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第19回APEC財務大臣会合 大臣共同声明(仮訳)(2012年8月30日 於:ロシア モスクワ)

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  1. 我々、APECエコノミーの財務大臣は、2012年8月30日に、ロシア連邦のアントン・シルアノフ財務大臣の議長の下、ロシア連邦のモスクワにおいて、第19回年次会合を開催した。会合には、アジア開発銀行総裁、世界銀行専務理事、国際通貨基金副専務理事、経済協力開発機構(OECD)事務次長、太平洋経済協力会議(PECC)、APECビジネス諮問委員会(ABAC)も出席した。

  2. 我々は、世界経済の不確実性が高く、大きな下方リスクがあるときに会合した。金融市場は世界的に引き続き脆弱で不安定であり、いくつかの先進エコノミーは高水準の公的赤字と債務に結びついたチャレンジに世界規模で直面している。欧州の出来事はAPEC地域の成長に悪影響を与えている。多くの先進エコノミーの経済活動は弱まってきており、外需に強く依存し続けている新興エコノミーにおいては成長減速の明らかな兆候がある。そのような状況において、我々は、成長を支え、金融安定を促進するとの強いコミットメントを再確認する。特に、我々は、適切な場合に内需を強化すること、信認を回復すること、雇用創出を促すこと、高水準の公的赤字及び債務を削減すること、成長を押し上げ対外不均衡を減少するための構造改革を実施することにコミットする。我々は、需要を支え、いくつかの前向きな成果を生み出している最近の政策手段を歓迎する。

  3. APECメンバーは、高騰している石油価格によって形成された相当なリスクへの警戒を続けるとともに、市場が十分かつ適時に供給されることを確保するために、国際エネルギー機関(IEA)による適切な行動を歓迎する。我々はまた、農産品価格の急激な高騰に対応した輸出禁止や、WTOルールと非整合的なその他の制限を回避する必要性を強調しつつ、他の一次産品価格への警戒を続ける。

  4. 我々は、2012年6月18、19日にロス・カボスで開催されたG20首脳サミットの結論を支持し、世界経済の回復を強化し、強固で持続可能かつ均衡ある成長を確保するために協働する。我々は、ユーロ圏の一体性及び安定性を守るために全ての必要な措置を採るとの欧州首脳のコミットメントを歓迎する。我々は、金融セクターの安定性を増強するための改革を実施する我々の取り組みを強化することに合意する。我々は、変化する経済状況を考慮した健全かつ持続可能な政策によって赤字エコノミーの財政を強化するとともに、大幅な経常黒字エコノミーにおいては内需を強化しより柔軟な為替ルートに移行することにより不均衡を縮小させることに引き続きコミットしている。我々は、根底にあるファンダメンタルズを反映するため、市場で決定される為替レートシステムにより迅速に移行し、為替レートの柔軟性を向上させるとともに、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離を避け、通貨の競争的な切り下げを回避することへの我々のコミットメントを再確認する。資本フローはその受け入れエコノミーの利益となり得る一方で、我々は、資金フローの過度の変動及び為替レートの無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する。我々は、開かれた貿易及び投資、市場の拡大、並びにあらゆる形態の保護主義の抑止を堅く遵守する。

  5. 財政の持続可能性は、依然として持続的な経済成長の重要な要素である。財政における良いガバナンスは、予算政策の信認を高め、経済の回復を促進する。最近の金融危機は、世界のエコノミーの多くで、財政収支の大幅な悪化をもたらした。こうした困難な状況の下で、我々は、財政的余力のあるエコノミーにおいては短期的な財政刺激が成長と雇用創出を支えるために正当化されうると認識しつつ、長期的な財政の持続可能性を確保することに引き続きコミットする。先進APECエコノミーは、中期的な財政の持続可能性への懸念に対処しつつ、財政再建のペースが回復を支えるために適切なものであることを確保する。十分に財政的余力のあるAPECの新興市場エコノミーは、内需を支えるための裁量的財政措置を実施する用意がある。

  6. 我々は、過剰な民間債務の累積から生じる脆弱性を緊密に注視することの重要性を認識する。危機の間に、苦境に陥った金融機関を含む民間部門の債務は、公的部門の増大する債務に変換され、財政の持続可能性に対するリスクの増加となりうる。人口高齢化に関連する支出もまた、財政見通しにおいて考慮されるべきである。

  7. APECは、参加エコノミーが共通の関心を有する課題を前進させるための実践的な方策を議論する、貴重なフォーラムであり続ける。今年の我々の議論は、金融包摂とりわけ金融リテラシー、自然災害の影響に対処するための財政上の政策手段、国庫システムの3つの重要なトピックについての我々の理解を強化した。

  8. 我々は、個人及び家族の福祉とともに我々エコノミーにおける金融安定に貢献しうる21世紀における必須の生活スキルとして、金融リテラシーの重要性を認識する。金融教育はまた、いかなるエコノミーにおける経済成長を支えるための取り組みにおいても、消費者保護及び金融包摂にとって不可欠な補完物である。これらの要因を考慮し、我々は本日、金融リテラシーと教育についての政策文書を採択する(付属文書1)。我々は、G20首脳がロス・カボスでのサミットにおいてOECD/INFE金融教育のための国家戦略に関するハイレベル原則を承認したことを歓迎し、OECD/INFE、世界銀行、ADBが、金融包摂のためのグローバル・パートナーシップ(GPFI)と協力したことを歓迎する。我々はまた、金融リテラシー、消費者保護、及び金融包摂の目的を統合するメンバーの政策の作成を歓迎する。我々は、金融教育のための参加エコノミーの戦略の実施を支持し、世銀とOECD/INFEが作成したメソドロジーとツールの活用を奨励する。

  9. 我々は、特に、若年層への金融教育の重要性を認識するとともに、学校における金融教育のためのOECD/INFEガイドラインを歓迎する。我々は、エコノミー全域、地域、地方それぞれの状況を考慮しつつ、APECエコノミーにおいて、それらを実施することを慫慂する。我々はまた、APECエコノミーが「生徒の学習到達度調査」(PISA)における金融リテラシー測定への参加を検討することを慫慂する。

  10. 我々は、フィリピンと米国が5月にマニラで開催した、電子的な政府・個人間の支払いに金融包摂の目的を取り入れることに関するワークショップに留意する。

  11. 近年の自然災害のために多くのAPECエコノミーで生じた高い経済的コストに鑑み、我々は、災害に対する我々の耐性を強化することの重要性を改めて表明する。この関連で、調整された災害リスク・マネジメント(DRM)戦略の作成及び採択が重要である。我々は、10月に日本と世界銀行が共催する、持続的成長のためにDRMを主流化する特別イベントである「仙台会合」に期待する。我々は、統合された災害リスク・ファイナンシング政策が、総合的な災害対応の備えの一部であると認識する。これらの政策を作成するにあたっては、効果的で強靭な支払いシステムの維持、適切な場合にはリスクの共有及びリスク移転のための市場商品の導入または拡大を含む、財政当局の事前の計画及び準備に注意を払うべきである。

  12. 我々はまた、最近数年間にわたって災害対策の政策や慣行において導入されたイノベーションに留意する。この関連で、我々は、国際金融機関内における知識とベスト・プラクティスの交換を支持するともに、特に、世界銀行、OECD、ADB、その他の団体が連携して作成した、自然災害への財務当局の対応に関するガイドラインについての来年のプレゼンテーションを期待する。このガイドラインはG20による作業を補完するものとなる。我々は、そうしたベスト・プラクティスの統合が、特定のエコノミーの状況に合わせた包括的なDRM戦略と特定の政策手段の双方を我々エコノミーが立案し実施することを助けるものとなると考える。

  13. 国庫システムは、公的な財務管理の不可欠な要素であり、我々は、このトピックに関する我々の財政及び国庫担当の実務者による経験の交換を歓迎する。国庫システムの広範な近代化は実践的な重要性が高く、この課題に関する連携には新しいレベルの協力が必要である。我々は、技術的な課題に関して、APECエコノミーの財政及び国庫システム当局が行う、自発的な二国間及び多国間の意見交換または協力を歓迎する。こうしたやりとりは、国庫システムの開発と近代化のための共通の原則と効果的なメカニズムを特定するための建設的な対話を生み出す。

  14. 我々は、地域の金融システムの発展における緊密な官民連携を歓迎する。我々は、2013年初めのシンポジウム開催を通じてアジア太平洋金融フォーラムの創設を模索するとのABACの提言を支持し、オーストラリア政府がこのイベントを開催するというコミットメントを歓迎する。

  15. 我々は、2013年にアジア太平洋・インフラ・パートナーシップ対話を更に拡大させるため、官民セクターが緊密に作業することを慫慂する。我々は、本年のアジア太平洋金融包摂フォーラムの結果に留意するともに、APECの金融包摂のアジェンダに関するABACによる継続した作業を歓迎する。

  16. 我々は、アジア地域ファンド・パスポート(ARFP)の発展を徐々に進めている技術的作業に留意する。我々は、この進展や地域における異なる規制、経済、市場の状況、並びに資本市場をさらに統合するためのASEANによる取組みを考慮しつつ、パイロットARFPのために提案されたモデル、ガバナンスの取極め、及び政策の更なる発展を期待する。

  17. 我々は、2012年の議長国及びモスクワ会合のホストを務めたロシア連邦に感謝する。我々は、2013年9月20日に、インドネシアのヌサ・ドゥア・バリで第20回会合を開催する。