| I.序 - アジア太平洋経済協力会議(APEC)の財務大臣は、第8回APEC財務大臣会議のため、中国の蘇州に参集した。国際通貨基金(IMF)、世界銀行及びアジア開発銀行の代表が我々の議論に参加した。
- 我々は、「構造改革の促進を通じた安定的で公正な経済成長の促進」という政策テーマの下、参集した。我々は、最近の世界及び域内のマクロ経済情勢、APECエコノミーが直面している政策課題を評価し、地域のより良き繁栄に必要な持続可能な成長を促進するための政策対応を議論した。
- 我々は、幅広い構造改革が、マクロ経済安定及び生活水準の持続可能な改善のための不可欠な基盤を築くことを合意した。APEC財務大臣プロセスにおいて実施されている作業計画(付属書 A)は、中期的な改革のプライオリティを反映したものである。
- 今後、我々は実務者に、金融安定及び地域の持続可能な経済成長に直接貢献する政策分野における一致した理解と能力をさらに強化するための努力に焦点を当てるよう要請する。また、我々は実務者に、APEC経済間の一層の経済協力・統合・開放を促進するための方法を検討するように要請する。
II.マクロ経済の挑戦及び政策対応 - 我々は、1年前にブルネイ・ダルサラームに参集した際よりも、世界経済環境が好ましいものでないことに留意する。世界の主要エコノミーは成長の減速を経験しており、世界成長予測は下方修正された。これを反映して、APECの多くのエコノミーは、IT部門の減速、金融市場パフォーマンスの低下、そして多くの開発途上国は、資本流入・海外直接投資の減少とともに、経済停滞を経験した。
- アメリカでは、昨年半ば以来経済は減速した。しかし、本年末に向けて成長の回復が期待され、長期展望は好ましいものである。金融・財政政策は、7回の金利引下げ及び大規模な減税等、経済を刺激するために調整された。これらの手段は、価格安定を維持しつつ、成長を支援していくものと期待されている。通貨当局は、必要があれば更なる緩和をする意図を表明した。日本では、経済活動は低下し、価格は下落を続けている。これに応じて、本年3月に導入された新しい政策フレームワークの下、金融政策は著しく緩和された。潜在成長率を高めるためには、金融及び企業部門の改革への更なる努力が必要である。同時に、改革の成長に対する短期的な悪影響は、可能な限り最小化されるべきである。これらの目標のため、我々は最近発表された構造調整策を歓迎する。中国経済は、世界的な経済減速の影響にもかかわらず、国内需要、それを支持するマクロ経済政策及びリストラクチャリングに支えられ、成長のモメンタムを維持した。中国のWTO加盟が見込まれることにより予想される課題に対応するため、改革は深化されるだろう。域内のそれ以外のエコノミーに関しては、特に危機の影響を受けたアジア経済において、経済パフォーマンスが不均一であることに留意する。対外経済に大きく依存しているエコノミーは、世界的な経済減速のためより深刻な影響を受けた。好ましくない対外市場の状況にもかかわらず、我々は、韓国が1997年の金融危機時に引き出したIMF融資を、繰り上げ返済したことを歓迎する。
- これを背景にして、我々は、世界の経済活動の早期の回復を促進するため、国際社会の全てのメンバーが時宜を得た適切な政策アクションを採ることの重要性を強調する。我々は、強化されたマクロ経済政策対話、現在の経済困難を解決するための協力、及びAPEC地域の持続的な広範囲の成長のための強い基盤の構築に対するコミットメントを再確認した。
- 我々はまた、ショックに柔軟に対応する経済の能力を強化するために国内構造改革を継続することの重要性を強調する。我々は、幾つかのメンバーエコノミーにおいて、金融・企業部門の改革が進展したことを留意する。しかしながら、我々は、金融及び企業部門が直面している困難を完全に解決することの重要性を強調する。これらには、銀行規制・監督、企業ガバナンス、ディスクロージャーの一層の強化、及び長期的な金融機関及び企業体に係る市場規律の強化策を含む。我々は、企業家精神に資する環境を作り、APECにおける民間セクターの発展を促進し、拡大する必要性を認める。
- 我々は、特に金融システムの強化、経済・企業ガバナンスの改善、e-ファイナンスの促進、十分なソーシャルセーフティネットの整備という分野において、APEC財務大臣プロセスの作業の進捗を歓迎する。我々は、財務大臣プロセスの下、政策イニシアティブを通じて、銀行、証券、保険の技術の向上を継続することを決意する。我々は実務者に、他の国際的努力に価値を付加し、APECが強みを有する分野における政策イニシアティブ及び技術協力に係る協調努力を継続するように要請した(付属書 A)。
- グローバリゼーションは生活水準の改善に必須である。我々は、グローバリゼーションに関する一般の議論が、それがいかなる影響を有するかについての確固とした、かつ包括的な分析に基づく必要があることを強調した。しかしながら、我々は、依然として多くの人々がグローバリゼーションの恩恵にあずかっていないことを認識する。我々は、グローバリゼーションにより提起された挑戦に取組み、地域の一層の繁栄、安定及び平等を導いた政策を継続する一方、グローバリゼーションが全ての参加者に均霑するように適切なフレームワーク政策を採ることを決意する。
- 我々は、APEC地域に於ける持続的かつ公平な成長を達成するため、加盟国内・加盟国間の開発格差の縮小について、我々の協力を強化することを誓う。我々は、生産性向上及び成長がもたらす便益が経済の全セクターに及ぶことを保証することを確かなものとする一方、構造改革を追及し、自由化政策をよく管理することをコミットする。我々は、特に教育など、人的資源開発及びキャパシティビルディングにより、貧困層、弱者層に対して焦点があてられた支援の重要性を特に強調する。我々は、健全な国内政策及び貧困削減努力を支えるための開発援助の重要性を強調する。このような努力は人々にグローバリゼーションの利益を活用する能力を与え、継続する課題により良く対処することを可能にするだろう。
- 貿易・投資の自由化及び促進は投資家の信認を高め、地域への資本を引きつけ、成長を刺激し、貧困を削減する。この点に関し、我々は、自由で開かれた貿易・投資というボゴール目標に向け進展する重要性を強調する。この関連で、我々は、取締りをゆるめることなく貿易円滑化を促進するための関税当局間の更なる協力を歓迎し、奨励する。
- 我々は、開かれた、公平な、健全かつルールに基づいた多角間貿易システムに対する強い支援を再確認する。我々は、一層の多角間貿易の自由化、及び貿易ルールの強化のためのコンセンサスを形成するためのWTOによる継続的な努力を歓迎する。我々は、これらのメカニズムが、弱者への恩恵を含め、世界経済へ広範な恩恵をもたらすであろうことを信じる。この関連で、我々は、本年11月にカタールにおいて開催される第4回WTO閣僚会議における世界貿易交渉の新ラウンドの開始に対し強い支援を表明する。我々は、全加盟国の平等かつ効果的な参加の促進、及びバランスのとれた十分に広範な議題案を事前に作成する必要性に関する貿易担当大臣声明に再び言及する。
III.国際金融システムの強化 - 我々は、国際金融アーキテクチャーの改革においてとられた重要な進展を歓迎し、改革の継続的な実施を促す。我々は、改革の主要点に係るコンセンサスを形成し、国際金融基準・コードの開発・実施を含め、全てのエコノミーの改革プロセスにおけるオーナーシップを保証するために、幅広い参加を模索することの重要性を強調する。我々は、この分野におけるG-20及び金融安定化フォーラムの努力を歓迎する。
- 我々は、金融安定及び危機防止を促進することの重要性を強調する。我々は、国内金融システムを強化し、国内マクロ経済政策の一貫性を保証するための国家レベルでの一層の努力、及び国際金融部門のサーベイランスを強化するための国際・国家レベルの努力を奨励する。我々は、これまでの進展を歓迎すると同時に、主要な金融・経済政策基準の実施を評価することにより金融システムを強化するため、IMF・世銀金融部門評価プログラム(FSAP)及び基準・コードの遵守に係る報告書(ROSC)への自発的ベースでの一層の参加を奨励する。ROSCのモジュールの自発的な開示は、改革の透明性向上に資するだろう。我々は、基準・コードを遵守し、評価する作業が、各国特有の環境、改革プライオリティ、組織的な能力を十分に考慮する必要があることを強調する。この点では、我々は、APECエコノミーによる主要基準の優先された、よく順序立てられた実施を奨励し、必要があれば、焦点、目標が明確な技術・金融協力を促進する。また、我々は、国際金融システムの乱用を阻止し、その統一性を維持するために現在行なわれている作業にも留意する。我々は、Highly-Leveraged Institutionsに係るワーキング・グループ及びオフショア金融センターに係るワーキング・グループからの提言の実行における効率性及びその進展についての金融安定化フォーラムによるレビューを歓迎する。
- 我々は、IMF貸付ファシリティの主要レビューの完了及び予防的クレジットライン(CCL)を実施可能なものにするための努力を歓迎する。我々は、IMFによる民間セクター参加(PSI)フレームワークの適用における明快さ、柔軟性を一層強化するための継続的な努力の重要性を強調する。
- 我々は、国際金融機関(IFIs)の効率性を強化するための継続的な努力を促進する。我々は、IMFがサーベイランス及び危機予防に重点をおき、国際開発金融銀行(MDBs)が貧困削減に焦点をおくための作業、及びそれら機関の協調、透明性及び内部的なガバナンスのアカウンタビリティー強化のための作業を支持する。我々は、IMF理事会に係る代表権及びIMFクォータ・シェア配分が現在の世界経済を適切に反映することを保証することの重要性を強調する。我々は、IMF及びMDBsが、そのプログラムの高い質を維持し、意味ある結果を達成することを保証しつつ、コンディショナリティを整理・優先化し、加盟国のオーナーシップを改善することを奨励する。
- IMF及び他IFIsが中心的役割を有することを認識する一方、我々は、地域協力が重要な役割を有することに合意する。IMFプログラムを支援するために、IFIsにより供与された資源を補完するために設けられた協調的地域金融取極は危機防止・解決において効果的になり得る。この点では、我々は、地域協力における最近の発展、特にASEAN+3間のチェンマイ・イニシアティブの実行における実質的な進展を歓迎する。
IV.APEC財務大臣プロセスの戦略的目標 - 我々は、APEC財務大臣プロセスを吟味し、如何にして我々のプロセスの作業がより効率的にAPEC全体の作業及び他国際機関、フォーラの努力を補完し得るかを評価した。この目的のため、我々は、一連の戦略的目標、及びプロセスの具体的運用方法に合意した(付属書 B)。我々は、新フレームワークが、APEC全体のビジョンを補完する方向で、我々の作業の指針となりうることを信じる。
V.その他及び次回会合 - 我々は、APEC 民間金融家会合(AFG),APEC ビジネス諮問委員会 (ABAC), 太平洋経済協力会議(PECC)及びAPEC 経済委員会(EC)との対話を持ち、それらの我々の作業への貢献を評価する機会を歓迎した。我々は、経済成長、金融の進展、コーポレートガバナンスに関する彼らの提言に留意する。我々は我々の次官に、民間部門の見解が我々の作業プログラムに効果的に反映することを保証するために、民間部門機関とともに作業することを継続するように要請した。
- 我々は、APEC高級実務者会合(SOM)プロセス及び他のAPEC フォーラとの連携強化について、次官により達成されたここ一年の成果を歓迎し、我々の作業プログラムがお互いを補完することを保証し、不必要な重複を避けるための彼らの努力を継続するように促す。
- 我々は、APEC高級実務者会合(SOM)プロセス及び他のAPEC フォーラとの連携強化について、次官により達成されたここ一年の成果を歓迎し、我々の作業プログラムがお互いを補完することを保証し、不必要な重複を避けるための彼らの努力を継続するように促す。
- 我々は、中華人民共和国の人々及び政府による、全代表団に対する歓迎、及び第8回APEC財務大臣会議を成功させた晴らしい取計らいに感謝の意を表明する。
- 次回のAPEC財務大臣会議は、2002年9月にメキシコのロス・カボスにて開催することとする。
VI.付属書 - 財務大臣プロセスにおける政策イニシアティブについてのプログレスレポート
- 財務大臣プロセスの戦略目標
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