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コラム 日本再生・成長力強化への財政投融資による対応

 

コラム

日本再生・成長力強化への財政投融資による対応

(1) 近年の財政投融資における成長力強化への対応

我が国の再生・成長力強化に対応するため、財政投融資においても、「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)や「日本再生の基本戦略」(平成23年12月24日閣議決定)などに積極的に対応してきています。

平成23年度財政投融資計画においては、「新成長戦略」などの実現の牽引役としての役割が期待される産業投資について、長期リスクマネーの供給源として積極的に活用し、パッケージ型インフラ海外展開やレアアース等天然資源確保の推進などを図るための出資を行いました。平成24年度財政投融資計画においても、「日本再生の基本戦略」などを踏まえ、資源獲得戦略の強化など、日本再生・成長力強化に対応することとしています。

 

◆「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)【抜粋】

(7) 金融戦略

国民金融資産を成長分野や地域に活用するための方策として、民間金融機関の積極的な取組を促す。さらに、 政府系金融機関・財政投融資等の活用やファンドスキームの活用・検討など、官民総動員による対応を進める。

 

◆「日本再生の基本戦略」(平成23年12月24日閣議決定)【抜粋】

「各分野において当面、重点的に取り組む施策」において、以下のような財政投融資を活用した施策が掲げられている。  

  •  ・ 円高メリットの活用による海外M&Aの促進や資源確保等  〈産業革新機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)〉
  •  ・ 官民連携による成長マネーの供給拡大 〈産業革新機構、農林漁業成長産業化ファンド(仮称)、PFI事業推進の官民連携インフラファンド(仮称)〉
  •  ・ 6次産業化・成長産業化の促進〈農林漁業成長産業化ファンド(仮称)〉
  •  ・ 社会福祉施設等の整備における国有地等の活用

 

(2) 今後の財政投融資の積極活用について

今後も、財政投融資については、現下の厳しい経済・財政事情を踏まえつつ、税財源によらない財政対応の重要性を勘案し、積極的に活用していくことが必要と考えられます。「日本再生戦略」(平成24年7月31日閣議決定)においても、こうした方針が定められており、今後検討していく必要があります。

 

◆「日本再生戦略」(平成24年7月31日閣議決定)【抜粋】

総論

5. 「日本再生戦略」と予算編成との関係

  • (iii)その際、財政投融資の積極的な活用や、税制改正及び規制改革、制度金融施策等を総合的に講じることによって、重点配分の実効性を担保する。

III. デフレ脱却と中長期的な経済財政運営

1. デフレ脱却の道筋

(2) デフレ脱却に向けた政策の基本方向

  •   ・  政府は、平成24・25年度を念頭に、2. に掲げるとおり「モノ」、「人」、「お金」をダイナミックに動かすため、規制・制度改革、予算・財政投融資、税制など最適な政策手段を動員し、平成25年度予算プロセス等において更に対応を具体化する。

2. デフレ脱却と経済活性化に向けて重視すべき政策分野

(1) モノを動かす

  •   ・ PFIの強力な推進、財政投融資の活用などにより、インフラ更新等の投資を促進する。

IV. 日本再生のための具体策

1. 政策実行の枠組み

(2) 政策実行手段の確保

  •   ・ 厳しい財政状況を踏まえ、財政投融資について、税財源によらない財政対応の重要性を勘案し、積極的な活用を図る。

2. 「共創の国」への具体的な取組 〜11の成長戦略と38の重点施策〜

(iii)新たな資金循環による金融資本市場の活性化〔金融戦略〕

(重点施策:政策金融・官民連携による資金供給の拡大)

  •  ・ 財政投融資について、税財源によらない財政対応の重要性を勘案し、今後積極的に活用する。

<成長力強化への対応の例>(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)

(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、資源・エネルギーの安定供給及び環境の保護を目的に、石油・天然ガス及び金属鉱物の探鉱・開発に必要なリスクマネー供給などの業務、石油及び金属鉱産物の備蓄に必要な業務、金属鉱業などにおける鉱害の防止に必要な資金供給その他支援業務を行っています。

 

◆事例:チリ共和国「カセロネス銅・モリブデン鉱山開発プロジェクト」

カセロネス銅・モリブデン鉱山開発プロジェクト
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構/海外開発債務保証/
カセロネス銅・モリブデン鉱山/チリ 第III州
本プロジェクトは、日本企業2社が推進する、日本企業権益100%の大型銅・モリブデン鉱山開発プロジェクトです。2013年の操業開始を目指しており、生産される銅精鉱(年間銅量約15万トン)は日本国内の製錬所などに供給される予定です。これは、日本の銅精鉱の総輸入量130.6万トン(2010年:Copper Bulletin June 2011)の約11.5%に相当するもので、日本の銅資源の安定確保に大きく貢献します。

JOGMECは、2006年に日本企業が本プロジェクトの権益を取得して以降、探鉱段階においては総額129億円の融資を、開発段階においては民間金融機関からの融資3億米ドルの90%(2.7億米ドル)の債務保証を、それぞれ実施してきました。本プロジェクトは、JOGMECの探鉱融資プロジェクトが開発に移行した案件であり、また、開発段階において(株)国際協力銀行(JBIC)及び(独)日本貿易保険(NEXI)と協力して支援する初の金属資源開発案件でもあり、日本政府の鉱物資源の安定確保対策の大きな成果と考えられます。

(株)産業革新機構

我が国経済・産業の一層の発展を推し進めるためには、グローバルレベルでの競争力強化を推し進める戦略の構築と実行が緊急の課題となっています。このプロセスにおいては、我が国と日本企業にとって、今まで慣れ親しんできたビジネスモデルに拘ることなく、従来の業種や企業の枠にとらわれずに、その発想と行動において自己変革と革新を推し進めていくこと(=オープンイノベーション)が重要です。(株)産業革新機構は、この “オープンイノベーション”の考え方に基づき、次世代の国富を担う産業を創出するため、産業界との連携を通 した様々な活動を行っています。また、その業務に必要な資金調達手段として、産業投資出資金等を活用しています。

 

◆事例:積極的な海外企業買収案件

再生可能エネルギーによる発電が盛んな欧州において、洋上風力発電は欧州各国政府による推進の支援策の下で急速に成長しております。北海においては今後10年間で約4000万KW(原子力発電所約40基分の発電量に相当)の洋上風力発電所の新規建設が計画されています。

こうした中で、産業革新機構は、洋上据付専用の特殊船を保有し、洋上風力タービン発電機の据付及びオイル・ガス洋上プラットフォーム設備へのサービスを行うリーディングカンパニーとして更なる成長が期待されている英国企業を、民間企業と共同で100%買収しました。これにより、今後、飛躍的な市場拡大が見込まれる洋上風力発電事業をターゲットにした特殊船による据付事業に対し、日本企業としての初めての本格参入を支援いたしました。

本件は、平成23年11月の第三次補正予算による円高メリットを活用した海外企業買収などの支援策の一部を活用した事例です。

洋上風力タービン発電機据付専用の特殊船
(株)産業革新機構/海外経営資源の活用/買収した英国企業が
保有する洋上風力タービン発電機据付専用の特殊船/欧州