3. 財投機関に対するチェック機能の充実:II部 近年の財政投融資に関する取組み
財政投融資の対象事業の適正な執行の確保、財務の健全性の維持のために、実地監査や地方公共団体の財務状況把握に取り組むことで、財投機関に対するチェック機能の充実を図っています。
(1)実地監査
1. 法人等実地監査
平成16年12月の財政制度等審議会財政投融資分科会における報告書「財政投融資改革の総点検について」において、「財務の健全性、事業の必要性を入念にチェックするには、毎年度の財政投融資編成作業における審査に加え、実地での確認作業が必要である」との提言を受け、従来の地方公共団体への実地監査に加え、平成17年度より、財政投融資の対象事業を行う法人等への実地監査を開始しました。
法人等実地監査では、公的資金の貸し手としての視点から、(1)財政投融資の対象事業にふさわしい政策的意義、(2)財務の健全性・償還確実性、(3)資金の適正な執行等の実態についてチェックすることとしています。また、実地監査の結果については、公表の上、毎年度の財政投融資計画編成の審査に活用し、実際の事業の見直しに結び付けていくこととしています。
平成22年度より、「財政投融資の透明性の向上について−実施プラン−」の「check」分野の強化策として、従来の実地監査に加え、時々の重要テーマや政策効果の検証などにポイントを絞った監査(スポット監査)を開始しました。
2.地方公共団体実地監査
地方公共団体実地監査については、平成17年12月の財政制度等審議会財政投融資分科会における報告書「財政投融資改革の総点検フォローアップ」において「これまでは、貸付対象事業の適債性に係る非違のチェックが中心であったが、今後は、公営企業の経営状況の確認などに重点をシフトしていくことが望ましい」との提言を受け、平成20年度より、公営企業の経営状況の確認などに重点を置いた実地監査へシフトしました。
具体的には、貸付金の償還確実性の確保を図る観点から、公営企業の経営状況の実態把握及び評価を行い、必要に応じ、地方公共団体に対して、公営企業の経営状況を改善するための取組みを含め、償還確実性の確保について報告を求めることとしています。また、これに伴い、従来の貸付対象外費用の確認を中心とした実地監査については、抜本的に簡素化することとしました。

(独)国立大学財務・経営センター/施設費貸付事業/
鹿児島大学 MR画像診断支援ネットワークシステム/
鹿児島県鹿児島市

(株)日本政策金融公庫(農林水産業者向け業務)/
農林漁業施設資金/ドーム型ハウス/
神奈川県秦野市
(2)地方公共団体の財務状況把握
財務省(財務局)は、確実かつ有利な運用が義務付けられている財政融資資金の融資主体として、債務者たる地方公共団体の財務状況を的確に把握し、地方向け財政融資資金の融資審査の充実などを図る観点から、平成17年度から地方公共団体の財務状況把握を開始しています。
平成21年7月には、財政投融資分科会長が主催する「財政投融資に関する基本問題検討会」の下に設置された「地方公共団体向け財政融資に関するワーキングチーム」において、「地方公共団体向け財政融資に関する報告書」がとりまとめられ、財務状況把握の活用策が提言されました。これを受け、財務状況把握の基本的な考え方や主要な財務指標による分析手法を分かりやすく解説した文書を「財務状況把握ハンドブック」として開示するほか、財務状況把握の結果概要をいわゆる「診断表」として、ヒアリングを実施した団体に情報提供するとともに、財務状況が一定以上悪化した団体に対し、融資審査を厳格化することとしました。
平成23年度における財務状況把握(平成22年度決算)では、全ての市町村について財務状況のモニタリングを行い、必要と認められる一定の団体についてはヒアリングを実施しています(198団体)。ヒアリング実施団体の財務状況をみると、個々の団体では状況は様々ですが、全体的に財務状況が改善傾向にある中、過去の大規模な建設事業などの財源として発行した地方債の影響などにより債務高水準の団体や、建設投資や収支の減少により財政調整基金などを取り崩し積立金などが低水準となっている団体、生活保護の被保護者の増加などに伴う扶助費の増加や地方税の減少により償還原資(行政経常収支)が低水準となっている団体が見受けられました。
他方、財務上の問題が特に認められなかった団体のうち、過去4年(平成18〜21年度)の間には財務上の問題が認められた団体については、普通建設事業の選別により地方債の発行が抑制され債務高水準が改善した団体や、定員適正化計画を着実に実施することにより、人件費を削減し行政経常支出を圧縮したことから収支低水準が改善した団体、収支が改善したことから積立金が増加し積立低水準が改善した団体が認められました。
※平成23年度の財務状況把握の結果については、こちらからご覧頂けます。
また、財務状況把握ハンドブックについてはこちらからご覧頂けます。

(独)水資源機構/豊川用水総合事業部/
二川開水路/愛知県豊橋市

(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構/
鉄道建設事業民鉄線「高架式による複々線化工事」/
東京都 西武池袋線(練馬-石神井公園(4.1km))
