現在位置 : トップページ > 財政投融資 > 出版物 > 財政投融資リポート > 財政投融資リポート2012 > 1. 経済・金融危機と東日本大震災への対応:II部 近年の財政投融資に関する取組み

1. 経済・金融危機と東日本大震災への対応:II部 近年の財政投融資に関する取組み

II部. 近年の財政投融資に関する取組み/仙台市ガス局港工場
1. 経済・金融危機と東日本大震災への対応

1.財政投融資による経済金融危機及び東日本大震災への対応

財政投融資には、主に税財源により賄われる一般会計予算に比較し、経済情勢の変化に対応して、柔軟に資金供給を行うことができるという特徴があります。

平成20年秋のいわゆるリーマン・ショック後の経済金融危機においては、(株)日本政策金融公庫を通じて企業の資金繰り支援措置が講じられ、その実施に必要な主な原資として財政投融資が活用されました。その結果、平成20年度以降は2年連続して計画額が前年比で大幅に増加しました。厳しい状況にあった企業の資金繰りに一定程度寄与したと考えており、ユーザーからも評価する声が聞かれました。

また、平成23年3月11日の東日本大震災による甚大な被害状況にかんがみ、(株)日本政策金融公庫などを通じて、被災事業者の資金繰り支援や災害復旧などに必要となる資金需要に積極的に対応しています。

2.リーマン・ショック後の経済金融危機における財政投融資を活用した
  企業の資金繰り支援

(1)中小・小規模事業者向けのセーフティネット貸付

(株)日本政策金融公庫(国民一般向け業務・中小企業者向け業務など)は、社会的・経済的環境の変化の影響により、一時的に売上高や利益が減少しているものの、中長期的にはその業況が回復し、発展が見込まれる中小企業者などを対象に、経営を支援するためのセーフティネット貸付を行い、平成20〜22年度で累計11兆円の信用供与を実施しました。

セーフティネット貸付が急増した21年度4〜6月期以降に資金繰りDI(中小企業)も改善に向かっており、セーフティネット貸付は企業の資金繰り改善に一定程度貢献したものと考えられます。

セーフティネット貸付・民間金融機関の中小企業向け貸付と資金繰りDI(中小企業)の推移

PDFでの閲覧が可能です。

 

(2)危機対応業務

危機対応業務は、政府の危機認定により、指定金融機関が(株)日本政策金融公庫を通じた信用供与(危機対応円滑化業務:(1)ツーステップ・ローン、(2)損害担保、(3)利子補給)を受け、企業などに対して貸付を行うものであり、そのうちツーステップ・ローンの主な原資として、財政投融資が活用されています。リーマン・ショック後、企業の資金繰り悪化に対応するため、政府の経済対策を受けて「国際的な金融秩序の混乱に関する事案」が危機認定(平成20年12月11日)され、指定金融機関である(株)日本政策投資銀行及び(株)商工組合中央金庫による金融危機対応業務が開始されました。危機対応融資の貸付実績は、(株)日本政策投資銀行で約3.7兆円(多くがツーステップ・ローン)、(株)商工組合中央金庫で約4.8兆円(多くが損害担保付貸付)となりました。

リーマン・ショック後は、大手企業であっても、先が見えない中にあって手元資金を確保したいとの資金需要や、そのために短期資金を回転させて資金を確保することも市場状況から困難であり、長期資金を確保したいとの資金需要が見られました。また、社債市場については、低格付社債を中心に大幅に機能が低下したことから、このような社債を代替するための資金需要も見られました。こうした資金需要に、危機対応融資が一定程度対応し、民間金融機関では一定の限界があった企業の資金繰り改善に寄与したものと推察されます。

金融機関の貸出と資金繰りDI(大企業)の推移

PDFでの閲覧が可能です。

 

(3)海外事業支援緊急業務

(株)国際協力銀行は、リーマン・ショック後の国際金融秩序の混乱に対処する累次の経済対策の一環として、日本企業の海外事業などを支援するため、海外事業支援緊急業務を臨時の措置として行い、主に外貨建てにより、累計で約2.5兆円相当の信用供与を行いました。

リーマン・ショック後、金融機関においては、国際金融市場が不安定化して銀行間市場が機能停止し、手元資金が少なくなる一方で、取引先の資金需要は逼迫し、資金のマッチングが平時と比して困難になっていたと推察されます。また、我が国企業においても直接金融市場からの外貨調達が困難であったほか、外貨を提供する米国・欧州系の金融機関においては、自らも経営危機に瀕して資金繰りに窮していたこともあり、資金需要があった企業に対して十分な資金を提供することができませんでした。こうした外貨の需要に対して、(株)国際協力銀行による海外事業支援緊急業務が対応したものと考えられ、ユーザーからも同様の意見が聞かれたところです。

 

3. 東日本大震災に対する財政投融資の対応

東日本大震災からの復興に必要となる資金需要に対応して、平成23年度1次および3次補正予算において、総額5.7兆円の財政投融資計画の追加を行いました。さらに、24年度当初予算においては、「震災対応分」として4.1兆円の財投規模を確保しています。各機関では、例えば、以下のような施策を行うこととしました。

 

(1) 企業等金融支援関連

・(株)日本政策金融公庫(国民一般・中小企業者向け業務)

東日本大震災の発生などによる中小・小規模企業者の経営安定などを図るため、東日本大震災復興特別貸付制度や、震災復興支援資本強化特例(被災中小企業向けの資本性ローン)の創設などを行い、資金繰り支援に万全を期すために必要な事業規模を確保して資金需要に的確に対応することとしました。

・(株)日本政策金融公庫(危機対応円滑化業務)

被災事業者などの経営安定などのため、指定金融機関 ((株)日本政策投資銀行、(株)商工組合中央金庫)を通じた危機対応融資(ツーステップ・ローン)の拡充など、必要な資金需要に対し資金供給を行うこととしました。

・(株)日本政策投資銀行

被災地復旧・復興需要向け設備投資資金などの貸付や、 震災復興向け出資など(リスクマネーの供給)に伴う財務基盤の強化に対応するほか、復興に必要な資材などの増産のための事業資金、直接被災していない企業・工場の耐震増強工事のための事業資金など、震災関連の資金需要に対し資金供給を行うこととしました。

 

(2) 地方公共団体

東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災・減災などのため、公立学校 施設の耐震化や道路の耐震補強・避難路整備、河川津波対策など(緊急防災・減災事業)を行うこととしました。

 

(3) その他

・(独)住宅金融支援機構

東日本大震災により滅失・損傷した家屋の復旧に対し、迅速に低利な資金を供給する災害復興住宅融資の拡充を行い、住宅の早期の再建などを強力に支援することとしました。

・(独)福祉医療機構(一般勘定)

被災した医療・福祉施設の復旧並びに安定経営の回復を支援するため、必要な資金需要に積極的に対応することとし、貸付限度額の引上げ、貸付利率の軽減、融資率の引上げ及び償還期限の延長などの優遇措置を総合的に実施するとともに、二重債務の問題を抱える事業者の負担軽減のため、返済猶予期間の延長などを実施することとしました。

 

<参考> 東日本大震災復興基本法(平成23.6.24 法律76号)(抜粋)

第二章 基本的施策

 第七条(資金の確保のための措置)

  •  国は、次に掲げる措置その他の措置を講ずることにより、東日本大震災からの復興のための資金の確保に努めるものとする。

 一 .復興及びこれに関連する施策以外の施策に係る予算を徹底的に見直し、当該施策に係る歳出の削減を図ること。

 二 .財政投融資に係る資金及び民間の資金の積極的な活用を図ること。

 

平成24年度財政投融資計画のうち震災復興対応分の内訳

PDFでの閲覧が可能です。