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コラム 諸外国における有償資金の活用

 

コラム

諸外国における有償資金の活用

(1) 諸外国における有償資金の活用

財政政策における有償資金の活用は、我が国に限らず欧米諸国でも広く用いられています。しかし、それぞれの制度ができた歴史的経緯や金融市場の状況などが異なるため、その具体的な仕組みや対象事業は様々です。例えば、融資の財源については、日本では主に国債の一種である財投債の発行を通じて市場から調達しており、租税は用いない仕組みになっていますが、アメリカやイギリスでは、租税と国債により調達した資金を組み合わせたものとなっています。

また、対象分野については、国の融資額のうち地方公共団体に対する融資額の割合は、日本では3割程度ですが、イギリスでは9割以上となっています。一方、アメリカでは、国から地方自治体に対する融資はほとんど行われていません。

このように、具体的な仕組みや対象分野こそ各国で異なっていますが、政府の財政政策の手段として、有償資金の活用は重要な役割を果たしています。とりわけ昨今は、経済金融危機を受けた対策として、諸外国において、政府による銀行への資本注入・不良資産買取や債務保証を行うなど、積極的に有償資金が活用されています。

欧米諸国における有償資金の活用の例

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(2) 諸外国における財政投融資類似制度の活用事例(ドイツ・EU)

諸外国における財政投融資類似制度の積極的な活用事例として、例えば、最近のドイツ・EUにおける事例があげられます。

ドイツにおいては、連邦レベルの政策金融機関としてKfW(復興金融公庫:連邦政府80%、州政府20%が出資)及びKfW100%出資子会社であるKfW IPEX銀行があります。地方レベルでは、州政府などが主要株主であり、州の政策に沿った政策融資を行う州投資銀行・開発銀行などがあります。これらの政策金融機関による融資は、ドイツの金融システムにおける全貸付金額の約1割を占め、中でも、KfWは総資産が約4,410億ユーロ(=約59兆円、2010年)と大きく、ドイツの金融システムの約5%を占め、近年、貸付を含む総資産が増加しています(2010年国内貸付額は約640億ユーロ)。

他方、欧州にはEU全体の政策金融機関として、1958年にローマ条約により設立されたEIB(欧州投資銀行:EU加盟国27カ国からの出資により構成)があり、総資産は約4,200億ユーロ(=約56兆円、2010年)とKfWと同規模の政策金融機関となっています。(2010年貸付額は約700億ユーロ)

KfW・EIBともに、必要資金の大宗を国内外の資本市場から債券発行などにより調達し、ドイツおよび欧州における、再生エネルギー・省エネ、研究開発・イノベーション、大規模インフラ整備、中小企業支援などを強力に推進するといった政策の下、これらを支援するための中長期貸付を行っています。

KfWの融資先としては、中小企業のほか個人顧客(住宅ローン、教育ローン)、地方自治体・関連団体(主に電気、ガス、水道、交通、福祉などの公益事業)、国・自治体出資企業(例:ベルリン新空港会社など主にインフラ関係)、輸出金融、途上国支援なども含まれます。なお、輸出金融やプロジェクトファイナンスなどはKfW IPEX銀行が行っています。

EIBは、2,500万ユーロ(約28億円)以上の大規模プロジェクトが対象となる個別ローン(直接融資、総貸付金額の約8割)と、主に中小企業のプロジェクトが対象となる仲介ローン(間接融資)があり、個別ローンの融資先には研究開発や省エネ向け融資を中心に大企業(大手メーカー・電力会社など)も含まれています。この他に、子会社の欧州投資基金(EIF)で出資・保証業務を実施しています。

リーマン・ショック後の経済・金融危機においては、ドイツでは企業(特に大企業)の資金繰りが悪化し、KfWは大企業向けを含む特別貸付プログラムを措置しました。同プログラムでは、連邦政府が貸付先の信用リスクの最大9割までを負担すること、売上高500億ユーロ以上の大企業向けも融資対象とされていることが特色になっています。また、EIBも貸付額を大幅に増加させるとともに、最近では欧州の成長戦略にEIBを積極活用することも表明されています。

ドイツ・EUの財投類似制度

(注) ドイツ・EUの財政投融資類似制度の調査結果については、財政制度等審議会財政投融資分科会(平成24年6月26日)にて報告しており、
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