2. 財政投融資の特徴:I部 財政投融資の概要
財政投融資のうち、財政融資と政府保証については、約定通りの債務の償還が借り手に義務づけられています。また、産業投資は資金の受け手が投資家である財政投融資特別会計投資勘定に対して収益を還元する必要があります。政府が特定の事業に対して財政上の関与を行う場合、渡し切りの補助金のように無償資金を用いることもありますが、財政投融資の場合は将来におけるリターンを前提にした有償資金を用いていると言えます。有償資金を活用して事業を行うことについては、一般的に以下のような特徴があります。
租税負担の抑制
財政融資は財投債の発行などによって国の信用に基づき低利で調達した資金を用いていますが、その償還・利払いは財政融資の貸付先からの償還・利払いによって賄われています。従って、財政融資は租税負担を伴わない政策手段であると言えます。また、財政融資を活用して政策金融機関や独立行政法人などが事業を実施する際には、同時に一般会計などから補助金・補給金などが支出されている場合があります。このような場合においても、補助金・補給金などのみによって事業を実施する場合と比べて、租税負担が抑制されることになります。
事業の効率的な実施
政府が特定の事業を政策的に支援する場合、補助金を渡すよりも融資を行う方が、貸付金の返済を通じてコスト意識を高め、事業の効率的な実施につながる場合があります。具体的には、中小企業対策、ODAなどにおいては、融資の形態による支援の方が適切となる場合があると考えられます。
受益者負担の実現
空港などの社会資本の整備においては、受益者が特定できるため、租税のみでその負担を賄うよりも、受益者に一定の負担を求める方が公平性の観点から妥当だと考えられる場合があります。このような場合には、受益者負担を実現する一つの方法として、有償資金を用いた財政投融資の活用が考えられます。
政府が特定の事業に財政上の関与を行う場合において、どのような場合に有償資金という金融的手法である財政投融資を用いるかについては、以上のような財政投融資の特徴を踏まえて判断する必要があります。一般的に、当該事業がある程度の採算性を持ち、事業者が貸付金の返済などを通じてコスト意識を持つことにより事業の効果的な実施が可能となるものは、財政投融資の活用が適切と考えられます。
