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平成14年度 国庫収支の状況


平成14年度 国庫収支の状況



1.はじめに


 (1) 国庫収支とは

 


 国は、@外交、防衛、教育・科学の振興、公共施設整備等の施策の実施に必要な財源の調達及び支出、A郵便・造幣・印刷などの事業経営、B財政投融資など様々な財政活動を行っています。こうした財政活動の主体としてとらえた国のことを「国庫」と呼び、国庫に属する現金を「国庫金」と呼びます。(法律に基づいて業務上の現金を国庫に預託している公庫等の預託金も国庫金に含みます。)
 日本銀行に預けられた国庫金は、「政府預金」と呼びます。

 国庫金の受払い、すなわち国庫収支は、その相手先により、次のように国庫対民間収支、国庫対日銀収支及び国庫内振替収支に区分されます。



 国庫対民間収支
 国庫と民間との受払いのことであり、ここにいう民間は、企業や家計などの外、公団・事業団や地方公共団体も含みます。



 国庫対日銀収支
 国と日本銀行との受払いのことであり、国が政府短期証券を発行して日本銀行から資金を調達したり、日本銀行が国に法人税や納付金を納めたりすることがこれに当たります。



 国庫内振替収支
 国庫の内部での各会計相互間の受払いのことであり、これによって政府預金の増減を生じることはありません。例えば、一般会計から特別会計への繰入れや、財政融資資金による公庫等への貸付けがこれに当たります。

 国庫収支と政府預金増減、通貨量増減との関係を示すと次のとおりです。
   

  政府預金増減 通貨量増減
国庫対民間収支
国庫対日銀収支 ×
国庫内振替収支 × ×
 

 (注)○印は増減がある場合を、×印は増減がない場合を示す。


 (2) 財政資金対民間収支とは


通貨量増減をもたらす国庫対民間収支に、

@

 国庫対民間収支上と実際の民間との資金受払いに生じる時間的ズレを調整し、(例えば、日本銀行代理店の窓口で国庫金の受払いが行われた場合、日本銀行本店での決済及び政府預金の増減はその2日後となり、その時点で国庫対民間収支に計上されますが、実際の受払いが行われた時点とはズレが生じることとなります。)

A

 国庫に勘定をもたないが、国庫金に準ずる性格を有する政府関係機関(日本政策投資銀行、国際協力銀行等)の収支を加える
ことにより、財政収支に伴う通貨量の増減を的確に表すようにしたものが財政資金対民間収支です。
 財政資金対民間収支は、国の財政活動による民間との収支を全て網羅し、金融市場の繁閑に大きな影響を与えます。

 国庫収支と財政収支の関係を図示すると次のとおりです。

国庫収支と財政収支の関係


2.窓口収支と実質収支


 財政資金対民間収支の会計・機関等内訳には、窓口収支実質収支があります。

 窓口収支とは、各会計等と民間との直接の受払いによる収支のみをとらえたものです。これに対し、実質収支とは、窓口収支に国庫内振替収支(国庫内部における資金付替取引)を加えたものであり、これにより各会計等の実質的な収支内容が明らかになります。
 例えば「一般会計」については、資金調達を含めた窓口収支では常に大幅な揚超(引き揚げ超過。受取超過のこと)となりますが、これは公共事業や食管会計の赤字補てん金等一般会計から特別会計への繰入れが、窓口収支統計には表れてこないことによるものです。これらを繰入れて加算した実質収支統計では、多額の新規剰余金が発生するような年度は揚超、それ以外の年度は散超(散布超過。支払超過のこと)となるのが一般的です。

 以上のように、窓口収支統計では、各会計等の収支の実態を十分につかめないという問題があります。窓口収支だけでは、財政収支の揚超・散超の原因がどの会計等にあるのかよくわからないことが多いのです。
 財政の動きを実体的に理解し、それを将来の財政収支動向の把握や政策の運営に役立てようとするならば、実質収支の分析が必要になります。
 ただし、実質収支統計にも短所があります。一般会計の他37特別会計と5公庫等について、それら相互間の収支を毎日把握し分析していくのは事実上困難であるからです。速報性ということでは、実質収支統計は窓口収支統計に及びません。
 財政収支統計は、このような窓口収支と実質収支の特色を十分知った上で利用する必要があります。



3.平成14年度における窓口収支と実質収支


 (1) 窓口収支の概要


 平成14年度の財政資金対民間収支(窓口収支)は第1表のとおり、総収支尻は64兆5,134億円の揚超であり、前年度の35兆1,786億円の揚超から29兆3,348億円揚超幅が拡大しました。これは、租税収入の減少等による散超方向の動きがあったものの、国債等及び政府短期証券等の揚超方向の動きが大きかったこと等によるものです。
 主な会計の内容は次のとおりとなります。

@

 一般会計の収支尻は10兆2,748億円の散超となり、前年度の5兆9,900億円の散超に比べ、4兆2,849億円散超幅が拡大しました。これは租税収入が前年度の49兆1,033億円から5兆8,799億円減少して43兆2,234億円となったこと等によるものです。

A

 特別会計等においては、50兆1,590億円の散超となり、前年度の61兆1,508億円の散超に比べ、10兆9,918億円散超幅が縮小しました。これは財政融資が330億円の散超から8兆679億円の揚超へ転じたこと等によるものです。

B

 国債等は88兆6,557億円の揚超となり、前年度の69兆4,590億円の揚超に比べ、19兆1,967億円揚超幅が拡大しました。

C

 政府短期証券等は36兆4,778億円の揚超となり、前年度の33兆766億円の揚超に比べ、3兆4,011億円揚超幅が拡大しました。


 なお、国債等及び政府短期証券等については、日本銀行による短期国債買入オペの実施に伴い、本来、償還日に民間へ支払われるはずであった割引短期国債及び政府短期証券の償還資金が日本銀行へ支払われたことにより、民間への支払額が大きく減少しました。日本銀行の短期国債買入オペに係る割引短期国債及び政府短期証券の償還資金の日本銀行への支払額は63兆2,178億円であり、仮にその額を差し引いた場合の平成14年度中の財政資金対民間収支は 1兆2,956億円の揚超となります。


 (参考) 資料1

 平成14年度財政資金対民間収支(窓口収支)

 [PDF] [Excel]



 (2) 実質収支の概要


 平成14年度の各会計等の実質収支及び対前年度比較をみると、第2表及び第3表のとおりとなります。
 以下、主な会計等について、実質収支の具体的内容をみることとします。

@

 一般会計は、37兆7,990億円の散超であり、前年度の38兆4,796億円の散超に比べ、6,806億円散超幅が縮小しました。これは、窓口収支の散超幅が、4兆2,849億円拡大したものの、国庫内振替収支の散超幅が、4兆9,655億円縮小したことによるものです。

A

 特別会計等のうち、

 平成14年度における財政融資資金の実質収支は36兆3,913億円の散超であり、前年度の44兆735億円の散超に比べ、7兆6,822億円散超幅が縮小しました。これは、郵便貯金の預託金払戻額が11兆1,494億円減少したこと等により、預託金が前年度の56兆8,202億円の散超から6兆3,115億円散超幅が縮小して50兆5,087億円になったこと等によるものです。

 平成14年度における公共事業関係特別会計(道路整備・治水・港湾・土地・空港の5会計)の実質収支は、前年度の2,045億円の揚超から191億円の散超となりました。これは、窓口収支の散超幅が、5,123億円縮小したものの、国庫内振替収支の揚超幅が、7,359億円縮小したことによるものです。

 平成14年度における食糧管理の実質収支は、163億円の揚超であり、前年度の508億円の揚超に比べ、346億円揚超幅が縮小しました。これは、国内米売払代が減少したこと等によるものです。

 平成14年度における外国為替の実質収支は、7兆8,866億円の散超であり、前年度の4兆3,559億円の散超に比べ、3兆5,306億円散超幅が拡大しました。これは、窓口収支の散超幅が、前年度の2兆5,515億円の散超から3兆4,314億円拡大して5兆9,829億円となったこと等によるものです。


(参考)

 資料2
 平成14年度財政資金対民間収支(実質収支)

 [PDF] [Excel]
 資料3 平成14年度国庫対日銀収支  [PDF] [Excel]



4.資金需給実績


 資金需給実績とは、金融市場における資金の過不足の状態と、これを調節する日銀信用等の増減を、日銀諸勘定残高の増減から計数的に明らかにした統計です。
 平成14年度の資金需給実績は第4表のとおりとなります。

 区分別にみると次のとおりです。

@

 「日銀券」は、3兆1,810億円の発行超となり、前年度の9兆2,017億円の発行超に比べ、6兆207億円発行超幅が縮小しました。また、「日銀券」の平均発行残高の伸び率は、前年度比12.0%(前年度8.9%)となりました。

A

 「財政資金」は、64兆5,134億円の揚超となり、前年度の35兆1,786億円の揚超に比べ、29兆3,348億円揚超幅が拡大しました。

B

 日銀対民間取引を示す「その他」は前年度の5,671億円の揚超から1兆65億円の散超となりました。

 この結果、年度中の資金需給は66兆6,879億円の資金不足となりました(前年度は44兆9,474億円の資金不足)。

 このため、日本銀行は、短期国債買入オペ等により「日銀信用」を増加させ、資金供給を図りました。

 (参考) 資料4 資金需給実績の推移 [PDF] [Excel]



5.国庫の資金繰り


 各年度予算の歳入と歳出は一致していますが、税収の受入れや交付金の支払い等の時期はまちまちであり、日々の収支は均等ではありません。この収支の差を埋めて予算の適切な執行を保障するのが国庫の資金繰りです。

 財務省では、日本銀行等から情報を集め、日々国庫の収支状況を把握した上で、

@

 国庫金に不足が生じる場合には政府短期証券を発行して資金を調達し、

A

 国庫金に余裕が生じた場合には、資金に不足がある特別会計等へ国庫余裕金の繰替使用を行い、または政府預金の中の国内指定預金(有利子)に組替える

  など、国庫金の効率的な管理に努めています。
   
(参考)  資料5  平成14年度国庫余裕金繰替使用及び一時借入金の月末残高  [PDF] [Excel]
 資料6  平成14年度政府預金残高の内訳  [PDF] [Excel]
 資料7  国庫金残高内訳推移  [PDF] [Excel]



(平成14年度財政資金対民間収支の実績については、財務省財務総合政策研究所編「財政金融統計月報(619号)・国庫収支特集」に詳細なデータが掲載されていますので、ご利用ください。)


お問い合わせ先 財務省理財局国庫課(TEL03-3581-4111 内線5430)
   


第1表 平成14年度財政資金対民間収支(窓口収支)

(△は散超、単位 億円)

区     分

14年度(A)

13年度(B)

比   較
(A−B)

一 般 会 計


うち


 租   税

 公共事業費

△ 102,748

432,234
△ 42,897

△ 59,900

491,033
△ 46,790

△ 42,849

△ 58,799
3,894

特 別 会 計 等


うち

 


財 政 融 資

道路・治水等

食   管

外   為

公 庫 等

保   険

郵 便 局

△ 501,590

80,679
△ 53,423
△ 1,998
△ 59,829
82,755
△ 8,302
△ 186,622

△ 611,508

△ 330
△ 58,545
△ 1,471
△ 25,515
58,900
35,676
△ 233,051

109,918

81,010
5,123
△ 528
△ 34,314
23,855
△ 43,978
46,429

小     計

△ 604,339

△ 671,408

67,069

国  債  等

886,557

694,590

191,967

政府短期証券等

364,778

330,766

34,011

合     計

646,995

353,948

293,048

調 整 項 目

△ 1,862

△ 2,162

300

総     計

645,134

351,786

293,348

日銀売買オペ分
償還額調整後

12,956

△ 44,780

57,736



第2表 平成14年度財政資金対民間収支(実質収支)

(△は散超、単位 億円)

区   分

対 民 間
窓口収支

国 庫 内
振替収支


(対民間実質収支)

一 般 会 計
財 政 融 資 資 金
道路・治 水 等
食 糧 管 理
外 国 為 替
そ  の  他

△ 102,748
80,679
△ 53,423
△ 1,998
△ 59,829
△ 467,020

△ 275,241
△ 444,592
53,231
2,161
△ 19,037
608,104

△ 377,990
△ 363,913
△ 191
163
△ 78,866
141,085

国  債  等

886,557

△ 17,310

869,247

政府短期証券等

364,778

92,683

457,461

合     計

646,995

646,995

調 整 項 目

△ 1,862

△ 1,862

総     計

645,134

645,134

(注)一般会計は交付税特会を含む。



第3表 実質収支の対前年度比較

(△は散超、単位 億円)

区    分

14年度(A)

13年度(B)

比較(A−B)

一 般 会 計
財 政 融 資 資 金
道路・治 水 等
食 糧 管 理
外 国 為 替
そ  の  他

△ 377,990
△ 363,913
△ 191
163
△ 78,866
141,085

△ 384,796
△ 440,735
2,045
508
△ 43,559
90,594

6,806
76,822
△ 2,236
△ 346
△ 35,306
50,490

国  債  等

869,247

809,655

59,592

政府短期証券等

457,461

320,234

137,226

合     計

646,995

353,948

293,048

調 整 項 目

△ 1,862

△ 2,162

300

総     計

645,134

351,786

293,348

(注)一般会計は交付税特会を含む。



第4表 平成14年度資金需給実績

(単位 億円)

区    分

14 年 度

13 年 度

前 年 度 比

日  銀  券
財 政 資 金
そ  の  他

△ 31,810
△ 645,134
10,065

△ 92,017
△ 351,786
△ 5,671

60,207
△ 293,348
15,736

資 金 過 不 足

△ 666,879

△ 449,474

△ 217,405

 日

 銀 信 用

国 債 買 入

国 債 借 入

短 国 買 入

短 国 売 却

国 債 買 現 先

国 債 売 現 先

手形買入(本店)

手形買入(全店)

C P 買 現 先

手 形 売 出

貸     出

短 国 買 現 先

短 国 売 現 先

700,069
134,061
△ 85,319
567,258

82,975

△ 45,844
41,921
3,746

1,271

667,438
79,087
△ 99,659
699,116



45,628
151,356
19,030
43,863
△ 2,131
△ 268,852

32,631
54,974
14,340
△ 131,858

82,975

△ 91,472
△ 109,435
△ 15,284
△ 43,863
3,402
268,852

当 座 預 金

33,190

217,964

△ 184,774

(注)1

.△印は、日銀券……発行超,財政資金・その他……揚超、資金過不足……不足、日銀信用……減少、当座預金……取崩し。

.平成14年11月11日に日本銀行が公表している「日本銀行当座預金増減要因と金融調節」の一部項目の計上内容が変更されたため、変更後のデータを記載している。