7か国蔵相・中央銀行総裁会議声明(仮訳)
(2000年9月23日 於:プラハ)

 

1. 我々7か国の蔵相、ユーログループの議長国蔵相、カナダ、日本、米国、英国の中央銀行総裁、及び欧州中央銀行総裁は、IMF専務理事とともに最近の世界経済の動向を検討するために本日会合した。7カ国の蔵相及び中央銀行総裁は、IMF専務理事と世界銀行総裁とともに、国際金融機関の改革について議論した。また、7カ国の蔵相及び中央銀行総裁は、拡充HIPC(重債務貧困国)イニシアティブの実施、並びに国際金融システムの濫用についても議論した。

 

G7諸国経済の動向

 

2.  先進国経済、そしてより一般的には世界経済の拡大継続の見通しは、拡大の下地となるファンダメンタルズが強化され、ここ数ヶ月において更に改善してきた。我々の経済の間には、より均衡がとれ従って持続可能な成長のパターンが現れている。しかしながら、その目的のために引き続き注意を怠らないことが重要であり、我々は各々の国において力強く安定的な成長のための条件を改善するような、マクロ経済政策、構造政策へのコミットメントを再確認した。より具体的には、
  • 米国、カナダにおいては、成長が引き続き力強く、失業は低水準にあり、インフレは抑制されている。持続可能な成長率が維持されるために、財政政策と金融政策は引き続き慎重であるべきであり、米国においては、国内の貯蓄を増加すべきである。

  • 英国においては、成長は力強く、雇用が増加し、インフレは引き続き低い。金融政策は、財政政策によるサポートを受けつつ、引き続き成長と雇用を維持しつつインフレ目標達成を目指すべきである。

  • ユーロ圏でも、成長は力強く、インフレは引き続き低い。民間投資を増やし、潜在的生産力を増加させる観点から、健全なマクロ経済政策の継続と構造改革の強化が重要である。

  • 日本においては、回復の兆候が見られる。自律的な内需主導の回復を確実にするために、マクロ経済政策による下支えを継続するべきである。持続的な回復と潜在的生産力の増加を確かなものとするために、金融部門と企業部門における構造改革が継続される必要がある。

石油価格

 

3. 我々は、最近の世界の石油価格の急上昇が世界経済に与える悪影響を懸念している。世界の石油価格は、石油産出国と消費国の双方、特に貧困途上国にとって、世界経済の繁栄と安定の継続に整合的な水準に戻ることが重要である。高価格の継続と低水準の在庫に鑑み、OPEC及びその他の石油産出国が、石油価格の低下と石油市場の安定に貢献する行動を取ることが世界経済にとって不可欠である。全ての国におけるエネルギー使用効率の改善はその目的に貢献する。我々は、一連のスワップ取引の形態による石油備蓄の一定限の量の放出という米国の行動を歓迎する。我々は、これらの対策が石油及び製品市場における進行中の状況にとって適切であると評価し、引き続き産油国及び消費国と密接な接触を保ち議論を継続していくことを合意した。

 

為替レート

 

4. 我々は、為替・金融市場の動向について議論した。我々は、強固かつ安定した国際通貨システムに共通の利益を有している。欧州中央銀行のイニシアティブにより、米国、日本、英国及びカナダの通貨当局は、9月22日(金)に、欧州中央銀行とともに為替市場における協調介入に参加した。これは、世界経済に対する最近のユーロの動向の潜在的な影響について蔵相及び総裁が共有する懸念によるものである。最近の動向に鑑み、我々は、引き続き動向をよく注視し、為替市場において適切に協力していく。

 

新興市場国経済

 

5.

新興市場諸国においては、回復がしっかりと進んでいる。マクロ経済のファンダメンタルズは一般的に強化され、マーケットのセンチメントは引き続き積極的である。これらの国々における政策は、特に財政ポジション及び債務構造を改善すること並びに金融部門を強化することによって、経済改革をより深めていくことを目的としなければならない。しかしながら、改革へのモメンタムを維持し、現実の及び潜在的な脆弱性への対応に取り組んでいくべきである。我々は、多くのアジアの国々において企業及び金融のリストラクチャリングをより一層進展させることが必要であること、多くのラテン・アメリカ諸国において、脆弱性の減少を目的とする政策が必要であることを特に強調する。

 

ロシア

 

6. 強固な歳入及び輸出の動向、安心な国際収支状況、そして外貨準備の相当な蓄積と相俟って、本年のロシア経済の継続する力強い成長に我々は勇気づけられる。我々は、投資環境、構造改革及び金融安定の向上のための法的枠組作りを目的とするロシア連邦政府の経済プログラムを歓迎する。最近承認された税制改革は、このプログラムの実施の進展及び持続的成長の達成へ向けた進展の勇気づけられる兆候である。我々はロシアに対して、潜在的経済力を発揮するために、財産権の保証、法の支配の実施、資金洗浄への闘い、コーポレート・ガバナンスの向上、ロシア中央銀行のアカウンタビリティ及び透明性の強化、並びに効率的な金融部門の創出といった他の鍵となる構造改革を断固として実行していくことを要請する。我々は、この共通の目的を達成することに向けて、国際金融機関及びロシアが協力していくことを要請する。

 

国際金融機関の強化

 

7.

グローバリゼーションが良い方向へ向かうための力であること、並びに、最貧国が国際金融システムに参加しそこから便益を享受し得ることを確実にする点について、国際金融機関は重要なプレーヤーである。我々は、最近出されたIMF専務理事と世界銀行総裁の共同声明、とりわけ、貧困削減、成長促進、及び国際金融システムの安定性の強化を進めるために、これらの機関の活動をより効果的に、より持続的にするべく、これらの機関がともに効果的に機能することを確かなものとすることを約束したことを歓迎する。我々は、国際社会の他のメンバーとともに、世界金融システムを更に強化するように、取組みを続けていく。

 

IMF改革

 

8. 我々は、IMF改革のための専務理事のコミットメントを歓迎し、IMFが将来起こる課題に対して十分な対応力を確保するために、専務理事とともに取り組んでいくことを期待している。我々は、危機を防止し、国内的及び国際的な金融安定の促進を支援するために、IMFのサーベイランス機能の強化に関して達成された進展を留意し、IMFにこの分野における作業を加速するよう要請する。これは、行動規範及び基準のサーベイランスにおけるIMFの中心的役割の強化、行動規範及び基準の実施、IMFの活動及び加盟国の政策の透明性の更なる強化の促進、国の貸借対照表及び債務管理の一層の強調、脆弱性の原因を特定する能力の強化、並びに加盟国の為替相場制度の妥当性に対する密接な注意を払うことを含む。我々は、行動規範と基準の実施のための市場及び公的インセンティブの促進に関する金融安定化フォーラムによる勧告を歓迎する。我々は、金融自由化の進展に伴う困難に耐えられるような、新興市場経済におけるより強固で柔軟性のある国内金融システムを作ることの重要性を再確認する。我々は、IMFに対して、この分野での作業を継続することを求める。

 

9.

我々は、世界的な資本市場の現実をより反映するようにIMFの融資制度を変更するために、IMFにおいて合意―各国に脆弱性を軽減するような予防的措置を講じるよう促し、IMF資金の不適切な長期利用又は反復利用を回避し大規模利用を抑制しながら、適切な条件付きの短期の国際収支調整支援及び限定された状況下での構造改革支援の中期的な融資を提供すること―が達成されたことを歓迎する。我々は、IMFの融資条件(コンディショナリティ)が、焦点を絞った、プログラムの成功にとって不可欠な問題に対処するものであることを確保するために、これからなされる見直しを待望する。

 

10. 危機の予防及び解決における民間セクター関与(PSI)のための枠組み作りにおける進展を歓迎する債券保有者を含む外国の民間債権者は、最近のIMF主導のプログラムの資金調達において、その関与を一層深めている。各国及び市場参加者に対してより一層明確になるようにIMFプログラムの立案の際に、このアプローチを運用可能にする点に関してIMFにおける一層の進展を期待する。この点に関し、パリクラブとの効率的な調整が最も重要な問題の一部である。我々は、資本市場との情報交換において重要な役割を担いうる資本市場諮問グループがIMFによって設立されたことを歓迎する。

 

11. 我々は、IMF自身のアカウンタビリティ及び機構と業務の近代化において現在進められている改善を待望する。我々は、独立評価部局の権限事項に関してIMF理事会でなされた合意を歓迎する。我々はIMF資金の保全のために最近強化された枠組みを実行することを促す。更に、我々は、IMFに対して、WTOやILOを含む他の国際機関との協力を拡大することを求める。IMFの意思決定構造と業務がアカウンタビリティを維持するものであることが重要である。世界経済の動向を反映したクォータ配分が行われることの重要性に鑑み、我々は、現在IMFで行われている加盟国ごとのクォータを計算するための計算式の検討の努力に留意する。

 

国際開発金融機関改革

 

12. 我々は、各国の貧困削減への支援を目的としたMDBs(国際開発金融機関)改革に関する先の声明を再確認し、世界銀行及び地域開発銀行においてこれら共有された優先事項を、中核となる政策及び業務の実践に生かすことに大きな進歩がみられたことを歓迎する。今後の課題は、今までの進歩を一層進めることであり、良好なガバナンス、選択性とアカウンタビリティ、主体性と参加の重要性といった原則を、大きな開発効果を目指した具体的な行動に結びつけていくことである。我々はMDBs に対し以下のことを求める。

 

-  MDBs の支援の選択性と結果をさらに重視すること。
-  明確で、監視可能な、持続性のある開発の結果を達成するため、基準となる指標を含むパフォーマンスに基づく枠組みを確立すること。
-  基礎的な保健、教育、水の衛生、地方開発といった非常に重要な分野に焦点をあてた投資への高い水準の支援を持続的に提供すること。
-  MDBs が国際公共財を供与する活動を如何にして拡大することができるかを提案すること。
-  より強力な開発効果を生み出すための実行可能な政策の選択肢を提示するよう、包括的な融資金利等に関する政策の見直しを開始すること。
-  内部のガバナンス、及び、特にセーフガードと受託義務についての政策の遵守の強化を目的とした提案を提出すること。
-  専門化と協力の分野を設定する、世界銀行と地域開発銀行との間の覚書を策定すること。

 

資金洗浄と国際金融システムの濫用に対する行動

 

13.  我々は、この数ヶ月間に、特に、資金洗浄に関する金融活動作業部会(FATF)(非協力国・地域を特定した初めてのリストを策定)による作業を通じて、資金洗浄及び腐敗を含む金融システムの濫用に対する国際的な取組みにおいて著しい進展を遂げた。我々は、OECD(有害な租税慣行に対処)による努力、及び金融安定化フォーラムによるオフショア金融センターに関する努力、並びにFATFの勧告を優先度の高い国際的な金融基準に含めることについてのFATFの努力に対する我々の強い支持を再確認する。我々は、FATFにおいて追加的な非協力国・地域のレビューを推進することにコミットする。我々は、その体制の改善にコミットしている国や地域に対して、適切な場合には、我々の技術支援を供与する用意がある。我々は、非協力的としてFATFのリストに上がった国々との国際基準の遵守を確実なものにするための対話が明らかに失敗している際に、適当かつ包括的な対抗措置を定める決意である。これは、国際金融システムを守るために金融取引に条件を課し又は制限する可能性、及びこれらの国・地域に対する国際金融機関による支援に条件を課し又は制限する可能性を含む。我々は、この分野における我々のコミットメントを示すために、国内の銀行や他の金融機関に対して既に要請を発している。我々は、IMF、世界銀行、及び各地域開発銀行に対し、サーベイランス及び融資プログラムの中に、金融システムの濫用に対する取組みを十分に組み入れるよう要請する。我々は、IMF及び世界銀行に対して、理事会の討議用に、金融システムの濫用に対する取組みや国際金融システムの保全に関する、それぞれの機関の役割についての共同ペーパーを、来年の春の会合前までに準備し、春の国際通貨金融委員会及び開発委員会において、それぞれの取組み状況について報告するよう要請する。

 

拡充HIPCイニシアティブ

 

14. 我々は、昨年ケルンにおいて開始された拡充HIPCイニシアティブの実施における進展に留意する。また、貧困削減にコミットした重債務貧困国に対する債務救済供与の更なる進展を達成するという我々の強いコミットメントを再確認する。現在までに、10か国が決定時点に到達しており、現在、相当額の金銭的救済を受けている。

2000年末までに、20もの国が決定時点に到達し、債務救済を受け始めると期待されている。我々は、IMF専務理事及び世界銀行総裁によって示された進捗を促し貧困削減を進めるためのイニシアティブを歓迎する。債務救済を実効あるものにするためには、首尾よく経済・社会改革を実施することが肝要である。債務救済及び開発による利益を貧困削減と成長に確かにつなげるための極めて重要な方策である、重債務貧困国自身による貧困削減戦略ペーパーの重要性を強調する。

我々は、未だ決定時点に到達していない国々に対し、拡充HIPCイニシアティブから裨益するために改革努力を継続することを促す。我々は、特に、軍事紛争に関与している国には、平和を追求しHIPCイニシアティブの適格国となるために必要な改革措置を取ることを要請する。我々は、IMFと世界銀行に対して、どのようにすれば紛争当事国におけるこれらの機関の活動が、これらの紛争当事国をあり得べきHIPCプロセスへの参加に向けて良く準備させ得るのかについて、できる限り早く検討するように求める。我々は、ODA債権と適格な商業債権の100%債務救済に対するコミットメントを再確認し、未だそうしていない他の債権国に対して、これに続くことを強く求める。我々は、HIPCイニシアティブの実施に必要な資金を確保するという我々のコミットメントを再確認する。我々は、現在までの進展を歓迎し、債権者間の公平な負担分担により、二国間及び多国間の債権国に対しその資金上のコミットメントを実行するよう要請する。

 


 

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