7か国蔵相・中央銀行総裁会議声明(仮訳)
(2000年1月22日 於:東京)

 

1.  我々7か国の蔵相、カナダ、日本、米国、英国の中央銀行総裁、ユーロ11か国の議長国蔵相、及び欧州中央銀行総裁は、IMF専務理事とともに最近の世界経済の動向をレビューするために本日会合した。7か国の蔵相及び中央銀行総裁は、国際金融システムの強化及び重債務貧困国(HIPC)イニシアティブの実施に向けた進展状況をレビューした。

 

2.

 我々は、カムドゥシュ氏がIMF専務理事として13年間にわたり重責を果たしてきたことや、我々の会合に貢献してきたことに対して深い感謝の念を表明した。

 

世界経済の動向

 

3.  主要な先進国経済と世界経済全体におけるインフレなき成長の見通しは改善されている。経済の拡大を持続させるために重要な、我々の経済の間におけるより均衡のとれた成長パターンを確かなものとすることは、引き続き課題となっている。我々は、新たな技術により創り出された投資機会を活用することを特に重視しつつ、上記の目的に向けて我々すべての国におけるマクロ経済政策及び構造政策を行うことの重要性について合意した。

 

4.  貿易及び投資のための開放的かつ競争的な国際市場は、効率的な全世界の資源配分、持続可能な成長、安定及び共有された繁栄にとって必要不可欠である。我々は、最も早い機会に新たな多角的貿易交渉の開始を通じて更なる貿易自由化を達成するとの我々のコミットメントを再確認する。

 

5.

 我々は、各国における持続可能な成長のための条件を維持または作り出すとの我々のコミットメントを再び強調した。この関連で、我々は、G7諸国が引き続き協力していくことの重要性を強調した。

  •  米国及びカナダでは、失業及びインフレが歴史的な低水準にある中で、経済は引き続き力強さを見せている。現在の政策目標は、強い財政状況の維持、慎重な金融政策、及び、米国においては、国内の貯蓄の増加により、持続可能な成長に資する条件を維持することである。

  •  英国では、成長は力強くなっている。労働市場の動きは依然として活発であり、金利は、内需が強くなっている中で、最近予防的に上昇している。インフレ目標を達成し、成長と雇用を持続させることを引き続き政策目的とすべきである。

  •  ユーロ圏では、成長の回復が相当進んでいる。多くの国において失業率がいまだ高いものの低下してきている中、経済成長の強化、雇用の増加及び投資機会の拡大を目的とした、適切なマクロ経済政策及び構造政策が引き続き重要である。

  •  日本経済は、持続的回復が確固たるものとはなっていないものの、勇気づけられる回復の兆しを見せている。このような状況の下、日本当局は、第二次補正予算を執行するとともに、内需主導の成長を確かなものとするよう、引き続き景気を刺激する2000年度予算を編成した。彼らは、ゼロ金利政策との関連でデフレ懸念の払拭を確かなものとするよう、十分な流動性を供給する意図を改めて表明した。金融システムを更に強化する措置及び構造改革は、引き続き重要である。

為替レート

 

6.  我々は、為替・金融市場の動向について議論した。我々は、日本の金融当局が、日本経済及び世界経済に対する円高の潜在的な影響について我々の共有する懸念を考慮しつつ、政策を適切に運営するという意向を再確認したことを歓迎した。我々は引き続き為替市場の動向を注視し、適切に協力していく。

 

新興市場国

 

7.

 新興市場国では、最近の経済動向は、一般に勇気づけられるものであり、市場のセンチメントは改善している。我々は、多くのアジア諸国における予想よりも早期かつ力強い経済回復を歓迎する。適切なマクロ経済政策とともに、金融部門及び企業部門における改革の完全な実施は、力強い持続可能な成長を回復し、将来の金融不安定化を避けるための、極めて重要な前提条件である。ラテン・アメリカ諸国では、地域全体として、経済状況の改善という歓迎すべき兆しがみられる。ラテン・アメリカ諸国は、健全なマクロ経済政策と、経済回復と市場の信認の完全な回復につなげるために必要不可欠である金融部門の強化を含む、経済改革の深化を続ける必要がある。

 

ロシア

 

8.  我々は、外的要因の改善を反映した、ロシア経済のいくつかの分野における好ましい動向を歓迎する。我々は、ロシア当局が、持続的な経済成長のために必要なマクロ経済安定化と経済改革を一層進めていくことを強く要請する。これらには、透明性の向上、財政及び金融上の説明責任、構造及び制度改革、腐敗や資金洗浄への闘いが含まれる。

 

国際金融通貨システムの強化

 

9.

 我々は、昨年6月のケルンサミットにおけるG7蔵相報告書に沿った、昨年9月の我々の会合以降になされた国際金融システムの強化に関する進展状況について、満足をもってレビューした。

  •  我々は、暫定委員会を恒久的な「国際通貨金融委員会」に改組するために採られた措置を歓迎する。

  •  我々は、20か国蔵相・中央銀行総裁会議の第1回会合が昨年12月にベルリンで成功裏に開催されたことに留意する。

  •  我々は、高レバレッジ金融機関、資本移動、及びオフショア金融センターに関して、この春に出される金融安定化フォーラム(FSF)による勧告に期待する。我々は、FSFが、基準及びコードの実施についてのタスクフォース及び預金保険制度についてのスタディグループを設置したことに留意する。

  •  我々は、国際的に合意されたコードと基準の幅広い実施を促すこと、及び、サーベイランス機能を有するIMFが主導的な役割を担いつつ、遵守状況のモニタリングを行うことに引き続き焦点を当てなければならないことに合意した。

  •  我々は、国際金融システムの強化のための広範な課題について、IMF理事会において議論が深められつつあることに勇気づけられる。

 我々は、危機の予防と解決にあたって民間セクターの関与を確保するための方策を含め、ケルンサミットで合意された広範な改革の実施に関し、確かな進展に向けた作業を継続する。我々は、IMFが変化を続ける国際金融の姿を反映した役割を果たすよう、IMFの機能を強化するための措置についても引き続き協力して取り組んでいく。この関連で、我々は、市場への情報フローを促進すること及び流動性リスク及びバランスシート・リスクを減らすことにより焦点を当てること、また、IMFの融資制度について包括的なレビューを行うことを含め、適切な措置を検討する。我々は、我々の今後の作業において、変化を続けるグローバルな状況との関連で、国際開発金融機関の役割を検討することについても合意した。

 

グローバルな金融システムの濫用に対する行動

 

10.  グローバルな金融システムの恩恵を確保するため、我々はその信頼性と健全性が、犯罪、不十分な監督基準及び有害な税の競争によって損なわれないようにしなければならない。
  •  資金洗浄を防止するため、我々は、金融活動作業部会(FATF)に、非協力的な国・地域の特定を迅速に完了することを促し、また、この関連で、適切な場合、我々の作業を他の省庁と調整する。

  •  我々は、金融規制の国際基準を損ない、租税回避と脱税のための避難地であるオフショア金融センター及びタックスヘイブンについて引き続き懸念を有する。この点、我々は、FSF及び経済協力開発機構(OECD)の有害な税の競争に関するフォーラムで行われている作業、更には、OECDの租税委員会(CFA)とFATFによる協力的な努力を強く支持する。我々は、OECDのCFAが、銀行機密に関する作業を早期に完了するよう要請する。

  •  国際金融システムの恩恵及び機会は、腐敗によっても損なわれかねない。この点に関して我々は、腐敗撲滅措置について様々なフォーラムで行われている作業を支持する。

  •  我々は、IMF及び世銀における、それぞれの資金の使用に関するセーフガードを強化する方策のレビューに期待している。我々は、国際金融機関(IFIs)が、加盟国とのプログラムの中で、統治及び資金洗浄撲滅のための措置も強化することを期待している。

 我々は、関連する多国間フォーラムと緊密に協力して、これらの問題に取り組むことにコミットし、来たるサミットにおいてその進展状況について報告する。

 

拡充HIPCイニシアティブ

 

11.   我々は、拡充HIPC(重債務貧困国)イニシアティブ及びその迅速な実施に対する我々のコミットメントを再確認した。我々は、これまでの相当な進展、とりわけHIPCイニシアティブのための財源の特定と確保における進展を歓迎するが、より早く、より広く、より深い債務救済を供与するイニシアティブの実際的な実施を確実にするためには更なる方策がとられる必要がある。
  •  全ての国際金融機関は、その費用を賄うために自己資金を最大限活用し、積極的にイニシアティブに携わることを促される。

  •  HIPCトラストファンドへの貢献を含む、イニシアティブへのいくつかの重要な二国間の資金貢献は、依然として立法府の承認を必要としている。

  •  我々は、二国間債権国に対し、前回の年次総会で合意されたように、イニシアティブの下での債務救済の比例的な割合を実行するための行動をとることを強く要請する。

  •  イニシアティブの下で支援を求める国は、国際金融機関と協力して、健全な政策枠組みの文脈において、透明性、説明責任、良い統治の重視を含む明確で監視可能な達成目標を持ち、貧困削減戦略を発展させる参加プロセスを開始することを強く要請される。

 我々は、春の早い時期までに、11カ国までの国がHIPC債務救済の恩恵を受け得るとの、世銀とIMFの最近のステートメントを歓迎する。我々は、適格国の4分の3が2000年末までにイニシアティブの下で決定時点に達することを確保するため、国際金融機関が重債務貧困国と協力し続けることを強く要請する。

 

九州・沖縄サミット

 

12.  我々は、九州・沖縄サミットの一部として7月に開催される福岡蔵相会合で採り上げられる議題について議論した。これらの議題としては、国際金融システム改革及びHIPCイニシアティブの進展状況についてのフォローアップに加えて、情報技術とグローバル化の更なる進展に伴う機会と挑戦、及びそれらが我々の政策に与える影響などが考えられる。我々は、福岡会合のための準備作業を開始する。

 


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