平成24年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(平成25年2月18日)詳細
1.不正薬物
(1)覚醒剤
- 摘発件数は141件(対前年比24%減)と、過去最高であった昨年の185件より減少した一方で、押収量については、約482kg(対前年比20%増)と過去10年で最高の数量となった。
- 密輸入形態別では、航空機旅客による密輸入事犯について、摘発件数は大きく減少したものの、押収量については、約204sと3年連続で200sを超え、引き続き高水準となった。また、全体の摘発件数が、141件と減少する中、国際郵便による密輸入事犯の摘発が相次ぎ、摘発件数31件、押収量約35kgとともに過去2番目の件数、数量となった。
- 航空機旅客及び商業貨物による密輸入事犯を中心に大口事犯を多数摘発。全体として、1件当たりの摘発数量が増加。
- 航空機旅客による密輸入事犯の隠匿手口については、スーツケース等の二重工作や飲み込み事犯等の体内隠匿による手口が大きく減少した一方で、土産品等の携帯品に細工を施して隠匿する事犯が増加した。
- 運び屋による密輸入事犯の特徴としては、昨年より一転し、国籍別では欧州人、年代別では20代以下の密輸入事犯がそれぞれ大幅に減少した。
- メキシコを中心とした中南米を仕出地とする密輸入事犯が増加。
[事例1]
コーヒー豆袋内へ覚醒剤を隠匿していた事犯を摘発
平成24年8月、大阪税関は、ウガンダから関西国際空港へ到着した日本人女性の携帯品検査において、スーツケース内に収納のコーヒー豆袋内に隠匿していた
覚醒剤 約2s
を発見、摘発した。
〜 密輸入事犯の大口化傾向 〜
平成24年の覚醒剤の密輸入事犯の摘発実績は、摘発件数141件、押収量482sとなっており、平成23年と比較して、摘発件数は24%減少している一方で、押収量については、同20%増と大幅に増加するとともに、過去10年において最高の押収量となった。これらの実績が示す通り、覚醒剤の密輸入事犯における、1事犯当たりの押収量が増加している状況にあり、覚醒剤の密輸入事犯の大口化の兆候が窺える。
大口密輸入事犯が続発
押収量5s超の覚醒剤密輸入事犯の摘発件数は、近年増加傾向にあり、平成24年においては17件と、平成23年の約2倍となっており、更に平成20年と比較すると6倍弱となっている。
[事例2]
ロードローラーへ隠匿していた覚醒剤を摘発
平成24年12月、門司税関は、オランダから博多港へ到着した海上コンテナ貨物の検査において、コンテナに収納されたロードローラー内部に隠匿していた
覚醒剤 約109s
を発見、摘発した。
〜 密輸入トレンドの変遷 〜
航空機旅客による覚醒剤密輸入事犯の摘発件数が過去最高を記録するなど、平成23年は航空機旅客等といった「人による」覚醒剤密輸入事犯が多発したところであるが、平成24年には、一転、昨年急増した「欧州人」又は「若年層」といった運び屋の激減により、航空機旅客による摘発が大きく減少した。他方で、平成24年においては、国際郵便や商業貨物といった「物による」覚醒剤密輸入事犯の割合が増加しており、移り変わりの早い密輸入トレンドの変遷が見て取れた。
密輸入手口の変遷
平成23年の航空機旅客による密輸入の手口は、二重工作、体内隠匿によるものが急増、大宗を占めたが、双方とも平成24年には激減した。一方で土産品等の携帯品に巧妙に隠匿して、密輸入を図る事案が増加した。
[事例3]
民芸品へ隠匿していた覚醒剤を摘発
平成24年2月、東京税関は、カナダから成田国際空港へ到着したカナダ人男性の携帯品検査において、民芸品用のカゴ内部を細工して隠匿していた
覚醒剤 約1.5s
を発見、摘発した。
[事例4]
ダイビング用品へ隠匿していた覚醒剤を摘発
平成24年6月、沖縄地区税関は、香港から那覇空港へ到着した日本人男性の携帯品検査において、ダイビングジャケット内に隠匿していた
覚醒剤 約5s
を発見、摘発した。
〜 覚醒剤の密輸入仕出地の平準化 〜
平成24年においても、中国や近年覚醒剤の一大仕出地として台頭してきた欧州、アフリカ、中南米といった地域を仕出地とする覚醒剤密輸入事犯が中心となったものの、全体の摘発件数が減少する中、これに伴い、中国、欧州及びアフリカ諸国からの密輸入も減少した。一方で、メキシコを中心とした中南米仕出しの密輸入については、引き続き増加した。
密輸入仕出地の平準化
覚醒剤の主要な仕出地は、「中国・アジア」より「アフリカ・欧州」、更に「全世界」へと推移しており、平成24年においては、あらゆる地域から我が国への密輸入が図られている状況が窺えた。
[事例5]
ポンプ内に隠匿していた覚醒剤を摘発
平成24年2月、東京税関は、メキシコから到着した航空貨物の検査において、ポンプ内に隠匿していた
覚醒剤 約4.6s
を発見、摘発した。
(2)大麻
- 摘発件数は82件(対前年比15%増)、押収量は約132kg(対前年比約2.3倍)と、昨年に引き続き、大幅に増加した。
- 大麻草については米国を仕出とする摘発(22件、約103s)の割合が多く、大麻樹脂についてはインドを仕出とする摘発(7件、約26s)の割合が多い。
[事例6]
プロペラシャフト内部に隠匿していた大麻を摘発
平成24年10月、東京税関は、米国から到着した航空貨物の検査において、プロペラシャフト内部に隠匿していた
大麻草 約40s
を発見、摘発した。
(3)その他不正薬物
- コカインの密輸入摘発押収量は、約9kg(対前年比75%減)と、減少した。
- ヘロインの密輸入摘発押収量は、約1s(対前年比67%減)と、減少した。
○コカイン
[事例7]
飲み込んで体内に隠匿していたコカインを摘発
平成24年5月、東京税関は、ボリビアから成田国際空港へ到着したボリビア人男性の携帯品検査において、体内に飲み込んで隠匿していた
コカイン 約0.9s
を発見、摘発した。
○ヘロイン
[事例8]
飲み込んで体内に隠匿していたヘロインを摘発
平成24年6月、東京税関は、マレーシアから羽田空港へ到着したチェコ人男性の携帯品検査において、体内に飲み込んで隠匿していた
ヘロイン 約1s
を発見、摘発した。
2.その他
(1)指定薬物の密輸入事犯
[事例9]
薬事法に規定する指定薬物の密輸入事犯を告発
平成24年9月、門司税関は、
薬事法に規定する指定薬物 約25s
を密輸入しようとした韓国人男性等を関税法違反で告発した。
(2)知的財産侵害物品の密輸入事犯
[事例10]
商標権を侵害する財布、衣類等の密輸入事犯を告発
平成24年7及び8月、大阪税関は、中国から
商標権を侵害する財布、衣類等 約8,000点
を密輸入しようとした中国人女性等を関税法違反で告発した。
(3)偽造有価証券の密輸入事犯
[事例11]
偽造有価証券の密輸入事犯を告発
平成24年12月、名古屋税関は、中国から、
偽造有価証券 9,978枚
を密輸入した日本人男性等を関税法違反で告発した。
(4)北朝鮮関係事犯
[事例12]
中古自動車の不正輸出事犯を告発
平成24年5月、神戸税関は、関係機関との連携の下、
中古自動車 5台
を、最終仕向地が北朝鮮であるにもかかわらず、中国が最終仕向地であると虚偽の輸出申告をし、不正に輸出した日本人男性を関税法違反で告発した。
(5)関税及び消費税等脱税事犯
[事例13]
冷凍豚肉に係る関税脱税事犯を告発
平成24年5月、東京税関は、カナダ及びデンマークから冷凍豚肉を輸入する際に、豚肉の差額関税制度を悪用し、価格を高価に偽って申告することにより、
関税 約136億円
を不正に免れた日本人男性等を関税法違反で告発した。

