平成22年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)
平成22年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)
- 平成22年の税関における知的財産侵害物品の輸入差止件数は、23,233件で前年と比較して6.1%増加し、平成19年以降4年連続で2万件を超える差止めとなった。
- 件数の増加は中国からの偽ブランドバッグ、偽サンダル、偽電気製品等が増加したことが大きな要因である。
- 輸入差止点数は、630,688点で前年と比較して39.6%、約41万点減少した。
- 点数の減少は、中国からの「煙草及び喫煙用具」(商標権侵害)及び「CD、レコード類」(著作権侵害)が大幅に減少したことによる。
- 平成22年における知的財産侵害物品の輸出差止件数は10件、点数は4,711点であった。
(注) 「差止件数」及び「差止点数」は、税関が差し止めた知的財産侵害物品に係る一般貨物及び郵便物の件数及び点数をそれぞれ計上したものである。
知的財産侵害物品の輸入差止実績(平成18年〜平成22年)
○ 仕出国(地域)別輸入差止実績
- 輸入差止件数は、中国から輸出されたものが20,996件(構成比90.4%、前年比11.1%増)と前年をさらに上回り、引き続き高水準にある。次いで韓国から輸出されたものが574件(同2.5%、61.2%減)と前年から半減し、近年の減少傾向が一段と鮮明になってきている。韓国来の差止件数は、最も件数が多かった平成18年と比較すると、15分の1に減少した。
- 輸入差止点数は、中国から輸出されたものが515,573点(構成比81.7%、前年比39.2%減)と減少し、次いで香港から輸出されたものが38,724点(同6.1%、0.0%増)、韓国から輸出されたものが30,360点(同4.8%、60.5%減)と、韓国は5年連続の減少となった。
- 件数・点数とも韓国来の構成比は減少する一方、中国来の構成比は上昇しており、さらに中国来への一極化が進んでいる。
中国・韓国の差止件数(構成比)の推移
| 平成18年 | 平成19年 | 平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 件数 | 構成比 | 件数 | 構成比 | 件数 | 構成比 | 件数 | 構成比 | 件数 | 構成比 | |
| 中国 | 9,440 | 48.2% | 16,116 | 71.1% | 21,529 | 81.5% | 18,893 | 86.3% | 20,996 | 90.4% |
| 韓国 | 8,720 | 44.5% | 4,527 | 20.0% | 3,287 | 12.4% | 1,480 | 6.8% | 574 | 2.5% |
| その他 | 1,431 | 7.3% | 2,018 | 8.9% | 1,599 | 6.1% | 1,520 | 6.9% | 1,663 | 7.2% |
(注) 四捨五入しているため、構成比の合計が100%とならない場合がある。
○ 知的財産別輸入差止実績
- 輸入差止件数は、例年同様、偽ブランド品などの商標権侵害物品が22,994件(構成比98.5%、前年比7.4%増)で全体の大半を占め、次いで海賊版DVDや偽キャラクターグッズ等の著作権侵害物品が273件(同1.2%、35.5%減)となった。
- 輸入差止点数についても、例年同様、商標権侵害物品が大宗を占めており、商標権侵害物品が519,274点(構成比82.3%、前年比32.4%減)、次いで著作権侵害物品が57,865点(同9.2%、65.3%減)となった。なお、点数の減少は、煙草及び喫煙用具(商標権侵害)及び海賊版DVD(美容・健康志向に便乗したエクササイズ用DVD等、著作権侵害)等の差止事案の減少による。
- デザインを模倣した意匠権侵害物品について、輸入差止件数・点数とも全体に占める割合は例年同様大きくないものの(構成比0.2%(件数)、構成比7.8%(点数))、最近の傾向として、家庭用雑貨(美容関連機器等)の差止めが顕著に見られる。
平成22年知的財産別差止実績構成比
(件数ベース)
平成22年知的財産別差止実績構成比
(点数ベース)
(注) 四捨五入しているため、構成比の合計が100%とならない場合がある。
○ 品目別輸入差止実績
- 輸入差止件数は、ハンドバッグや財布などのバッグ類が15,681件と全体の54.1%を占め、次いで衣類が2,576件(構成比8.9%)、キーケース類が2,125件(同7.3%)となった。
- 輸入差止点数は、靴類が165,943点と全体の26.3%を占め、次いでアクセサリーパーツ等を含む身辺細貨類が84,216点(構成比13.4%)、ファスナー等の衣類付属品が47,874点(同7.6%)となった。
- 新たな傾向として、数年来国内で人気となっている靴類(サンダル)の侵害品が大量に差し止められた。(靴類:対前年比件数62.3%増/点数6.4倍)
- 全体に占める割合は大きくないものの、コンピュータ製品(ゲーム機関連機器)、電気製品(掃除機、痩身用機器等)の差止めも増加している。また、美容・健康志向に便乗した海賊版DVD(エクササイズ用DVD)は前年に比べ減少しているものの、家庭用雑貨(美容関連機器)の差止めが増加している。
品目別差止実績構成比の推移(件数ベース)
品目別差止実績構成比の推移(点数ベース)
(注) 四捨五入しているため、構成比の合計が100%とならない場合がある。
○ 輸送形態別輸入差止実績
- 輸入差止件数は、例年同様、郵便物が大宗を占めており、郵便物が22,281件(構成比95.9%)、一般貨物が952件(同4.1%)となった。前年と比較すると郵便物が5.3%、一般貨物が30.2%増加した。一般貨物の増加は、靴類(サンダル)の差止事案が相次いだことによる。
- 輸入差止点数は、郵便物が260,927点(構成比41.4%)、一般貨物が369,761点(同58.6%)となり、一般貨物の割合が大きくなっている。前年と比較すると郵便物が60.6%、一般貨物が3.3%減少しているが、これは、煙草及び喫煙用具、海賊版DVD(美容・健康志向に便乗したエクササイズ用DVD等)等の差止事案の減少による。
平成22年輸送形態別差止実績構成比
(件数ベース)
平成22年輸送形態別差止実績構成比
(点数ベース)
○ 差止申立ての状況
- 平成22年末時点において税関が受理している輸入差止申立ての件数は636件で前年末と比較して6.5%の増加となった。
- 知的財産別では、商業用音楽CDを対象とする著作隣接権に係る申立てが303件(構成比47.6%)、次いで商標権に係る申立てが180件(同28.3%)、意匠権に係る申立てが66件(同10.4%)となっている。
- 輸出差止申立ては、特許権と商標権に係るものが各1件である。
(注) 差止申立制度:自己の権利を侵害すると認める貨物が輸出又は輸入されるおそれがある場合に、税関に対し、当該貨物の輸出入の差止めを申し立てる制度。
(参考)税関が受理している輸入差止申立ての例(写真はすべて真正品)
| タイガー魔法瓶(株) ステンレスボトル(特許権) | (株)満天社 頭部マッサージ具(意匠権) | (株)MTG 美容用ローラー(意匠権) |
| 東洋ゴム工業(株) 自動車用タイヤ(意匠権) | YKK(株) ファスナー(商標権) | (株)タカラトミー おもちゃ「Flip Flap」(商標権) |
| (株)吉田 バッグ等「Porter」(商標権) | 任天堂(株) 携帯用液晶画面ゲームおもちゃの部品及び付属品等(商標権) | 日本テレビ放送網(株) DVD「怪物くん」等(著作権) |
| (株)スタジオジブリ ぬいぐるみ等「となりのトトロ」(著作権) | 熊本県 いぐさ「ひのみどり」(育成者権) | 本田技研工業(株) 自動二輪車(不正競争防止法) |
○ 告発事例
事例1
平成22年2月、門司税関は、中国から国際スピード郵便(以下「EMS」という。)を利用し、商標権を侵害するバッグ等73点を密輸入しようとした日本人男性を関税法違反容疑で告発した。
事例2
平成22年3月、神戸税関は、警察と連携の下、中国からEMSを利用し、商標権を侵害する腕時計53点を密輸入した日本人男性及び商標権を侵害する腕時計24点を密輸入した日本人女性を関税法違反容疑で告発した。
事例3
平成22年6月、東京税関は、中国からEMSを利用し、商標権を侵害する財布等275点を密輸入しようとした日本人女性を関税法違反容疑で告発した。
事例4
平成22年6月、函館税関は、中国からEMSを利用し、商標権を侵害する錠剤(勃起不全治療薬である「シアリス」の偽物)390点を密輸入しようとした日本人男性を関税法違反容疑で告発した。
事例5
平成22年10月、名古屋税関は、警察と連携の下、任天堂株式会社の商標権を侵害するゲーム周辺機器67点を中国から密輸入しようとし、また株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの商標権を侵害するゲーム周辺機器136点を密輸入した日本人男性及び法人を関税法違反容疑で告発した。
事例6
平成22年11月、神戸税関は、警察と連携の下、中国からEMSを利用し、商標権を侵害するボタン2,370点及びバックル1点を密輸入した日本人男性ら3名を関税法違反容疑で告発した。
事例7
平成22年12月、名古屋税関は、警察と連携の下、中国から任天堂株式会社の商標権を侵害するゲーム周辺機器150点を密輸入した日本人男性ら2名及び法人を関税法違反容疑で告発した。
○ 隠匿事例
税関において、輸入されようとした貨物の中に隠匿されていた知的財産侵害物品を発見し、差し止めた事例。
・ 医薬品、時計類、身辺細貨類等の知的財産侵害物品を、それとは無関係の商品や外袋・外箱の内部に収納していた事例。
お茶の箱の中から、商標権を侵害する医薬品を発見
・ バッグ類等に縫い付けたラベル(他者の登録商標を模倣)が見えないように、その上に架空のブランド名等を貼付し二重ラベルにしていた事例。
バッグに貼付されたラベルの下に、別のラベル(登録商標を模倣)を発見
・ ゲーム機周辺機器やそのパッケージの表面に印字した文字等(他者の登録商標を模倣)が見えないように、その上にシールを貼付していた事例。
ゲーム周辺機器用充電器のパッケージに貼られたシールの下に、登録商標と類似のマークを発見
・ この他、知的財産侵害物品を真正品と混在させていた事例、複数の貨物に分けて輸入しようとした事例等も存在。
