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省庁別財務書類の作成について

<補論の構成>

1.省庁別財務書類の作成目的等

  • (1) 省庁別財務書類の作成目的

  • (2) 省庁別財務書類の作成単位等

  • (3) 省庁別財務書類の体系

  • (4) 省庁別財務書類の作成方法

  • (5) 省庁別財務書類の位置付け

2.一般会計特有の論点

  • (1) 各省庁の会計主体性

  • (2) 省庁間での財源の調整

  • (3) 公債の取扱い

  • (4) 出資金の取扱い

  • (5) 国庫勘定の取扱い

3.特別会計特有の論点

  • (1) 特別会計の会計主体性

  • (2) 全特別会計で同一の基準による財務書類の作成

  • (3) 特別会計財務書類の作成単位

4.貸借対照表

  • (1) 有形固定資産の計上価額

  • (2) 公的年金等の負債計上

  • (3) 資産・負債差額

  • (4) 国債整理基金特別会計に繰り入れられた償還財源

5.業務費用計算書

  • (1) 業務費用計算書の作成目的

  • (2) 業務費用計算書の計上項目

  • (3) 純コストの計算

  • (4) 業務実績の評価資料としての活用

  • (5) 農業共済再保険特別会計及び漁船再保険及漁業共済保険特別会計の業務費用

  • (6) 労働保険特別会計の徴収勘定

  • (7) 国債整理基金特別会計の業務費用計算書

6.資産・負債差額増減計算書

  • (1) 資産・負債差額増減計算書の作成目的

  • (2) 資産・負債差額増減計算書の計上項目

  • (3) 外国為替資金特別会計の換算差額

7.区分別収支計算書

  • (1) 区分別収支計算書の作成目的

  • (2) 区分別収支計算書の区分

  • (3) 貸借対照表との連動

  • (4) 資金運用特別会計の区分別収支計算書

  • (5) 公共事業特別会計の区分別収支計算書

8.参考情報

  • (1) 機会費用

  • (2) 公債関連情報

9.連結財務書類

  • (1) 連結財務書類の作成目的

  • (2) 連結の対象範囲

  • (3) 連結の考え方

  • (4) 持分法の適用

  • (5) 共管特殊法人等の連結省庁

  • (6) 特殊法人等の子会社の取扱い

  • (7) 連結の方法

  • (8) 連結財務書類の位置付け


<補論>

1.省庁別財務書類の作成目的等

  • (1) 省庁別財務書類の作成目的

    省庁別財務書類は、予算の執行単位であるとともに行政評価の主体である省庁に着目し、各省庁単位で財務書類を作成することにより、各省庁の財務状況等に関する説明責任の履行の向上及び予算執行の効率化・適正化に資する財務情報を提供すること等を目的として企業会計の考え方及び手法を活用して作成するものである。

    なお、省庁別財務書類は、行政府の説明責任の履行に資する財務情報の提供等を目的として作成するものであるが、国の財務書類の作成の基礎になり得るものでもあることから、行政機関以外の国会、裁判所及び会計検査院も省庁別財務書類の作成対象とした。

  • (2) 省庁別財務書類の作成単位等

    行政府の説明責任を高め、行政府自身の管理の向上により財政の効率化・適正化を促すためには、各省庁が実施する個別事業・施策等に着目したディスクロージャーを進める必要がある。しかし、個別事業・施策等単位での財務書類の作成・開示は、単位の確定や実際の作成等の点で容易ではないこともあり、行政府の基本単位であり、予算執行の単位であるとともに行政評価の主体である省庁に着目し、各省庁単位で省庁別財務書類を作成することとされた。

    省庁別財務書類の作成単位としては、歳入歳出予算の執行の責任者である衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣が所在する各府省庁等を単位とする方法と、一般会計の歳出予算・決算の作成区分である所管を単位とする方法が考えられる。

    省庁別財務書類は、予算執行の単位であるとともに行政評価の主体である省庁に着目して作成されるものであり、また、予算・決算との整合性を確保する必要があることから、予算・決算における最も基礎的な単位である所管を作成単位とすることとした。

    なお、防衛庁では、特殊な資産を保有しており、また、その金額も大きいことから、内閣府においては、防衛庁分(防衛本庁及び防衛施設庁)の財務書類を参考情報として作成することとした。

  • (3) 省庁別財務書類の体系

    財務書類の体系としては、資産及び負債の状況を明らかにする貸借対照表、業務実施に伴い発生したコストを明らかにする業務費用計算書、貸借対照表の資産・負債差額の増減の状況を明らかにする資産・負債差額増減計算書及び財政資金の流れを区分別に明らかにする区分別収支計算書の4財務書類及びこれらに関連する事項についての附属明細書とした。

  • (4) 省庁別財務書類の作成方法

    省庁別財務書類は、一般会計及び特別会計を通じた各省庁の財務状況等を明らかにするため、一般会計と特別会計とを合算して作成するものである。このため、一般会計省庁別財務書類及び特別会計財務書類を作成し、これらの財務書類を合算して省庁別財務書類を作成することとした。

    なお、国の会計帳簿については、民間企業とは異なり、歳入歳出と国有財産等の資産が一体として管理されていないほか、国有財産等の資産については物量尺度を中心に管理されており、台帳上では減価償却を行うこととはされていない。また、公共用財産など価額が管理されていないものも存在する。このため、省庁別財務書類は、歳入歳出決算及び国有財産台帳等の計数に基づき、必要に応じて過去の事業費を累計して作成することとしている。

    このように、省庁別財務書類は会計帳簿から作成されるものではなく、現行の決算書等の計数を加工しているほか、推計した計数に基づいて作成されていることに留意する必要がある。

  • (5) 省庁別財務書類の位置付け

    省庁別財務書類は、行政府の基本単位であり、予算執行の単位であるとともに行政評価の主体である省庁に着目し、各省庁単位で作成する財務書類であるが、省庁別財務書類において開示される財務情報を、さらに個別事業・施策等単位に細分化していくことで、個別事業・施策等に関する財務情報を開示することが可能となる。

    また、省庁別財務書類は、所管の一般会計及び特別会計を合算した各省庁を単位として作成されるものであり、各省庁の財務書類を合算することにより、国の財務書類を作成することが可能となる。

    このように、省庁別財務書類は、各省庁の所掌する個別事業・施策等に関する財務情報の開示へと発展させることが期待されるとともに、国の財務書類の作成の基礎として位置付けることができる。

2.一般会計特有の論点

  • (1) 各省庁の会計主体性

    一般会計の各省庁所管の歳出予算には、各省庁の多様な業務を遂行するために必要な経費が計上されているが、これを賄う基幹的財源は租税収入であり、各省庁に計上されている主管歳入でそれぞれ賄われているものではない。すなわち、一般会計全体で収支が均衡するよう財政運営が行われており、各省庁単位で収支は均衡しておらず、各省庁は会計的に独立した主体となっているものではない。

    しかし、各省庁は予算執行の単位であるとともに、行政評価の主体であることから、財務省に計上されている租税収入等を各省庁に配分するなど、各省庁を会計主体と擬制して、一般会計の省庁別財務書類を作成することとした。

    また、一般会計においては、特定の業務を特定の省庁で実施している場合があり、各省庁の財務状況も当該業務を反映したものとなっているほか、各省庁の説明責任を果たすため、一部、所掌する業務と異なったところで財務書類を作成しており、各省庁が実施している業務内容や財務書類の作成基準を十分に理解した上で省庁別財務書類をみる必要がある。

  • (2) 省庁間での財源の調整

    • 1 省庁間での財源の調整の必要性

      省庁別財務書類は、各省庁を会計主体と擬制して各省庁単位で作成する財務書類であるが、各省庁の所掌する業務(歳入歳出決算)を前提として省庁別財務書類を作成した場合、一般会計の歳入の大半は財務省に計上され、各年度のフローは、財務省で大幅なプラスとなる一方、財務省以外の省庁はマイナスになる。また、歳出予算に従い施設整備や補助金等の支出が行われているが、これらの財源について、各省庁に歳出額に見合う財源を擬制しないと、会計的な整理ができない。このため、省庁別財務書類の作成にあたっては、財務省から他省庁へと財源を配賦する会計処理を行う必要がある。

    • 2 省庁間での財源の調整の方法

      財源の配賦の方法としては、各省庁に主管歳入を計上した上で、各省庁の歳出と主管歳入の差額を財務省から各省庁に配分する方法、国庫を管理する財務省に歳入を一括計上した上で、各省庁の歳出額に合わせて各省庁に配分する方法、歳出額と同額の歳入を直接各省庁に計上する方法が考えられる。

      国の一般会計においては、各省庁に計上された主管歳入は、各省庁の業務の実施財源に充てられているわけではなく、一旦国庫に入り、財務省に計上された租税収入等と一体として一般会計の歳出の財源に充てられるものであるが、各省庁は会計的に独立しているものではないことや、会計処理の分かりやすさ等を踏まえ、各省庁の主管歳入はそのまま各省庁に計上した上で、各省庁の歳出決算額(支出済歳出額)と主管歳入決算額(収納済歳入額)との差額を財務省から各省庁に配賦する会計処理を行うこととした。

  • (3) 公債の取扱い

    各省庁の所掌する業務を前提として省庁別財務書類を作成した場合、公債については財務省に計上される。しかし、各省庁は公債の発行により調達した財源により業務を実施しており、また、各省庁では公債発行収入を含めて財源の配賦が行われることから、公債を各省庁に配分して、各省庁の負担に係る負債の状況を明らかにすることが考えられる。

    しかし、公債の償還等については、各省庁の所掌する業務ではなく、また、各省庁は徴税等で償還財源を確保することはできないため、各省庁に公債を配分したとしても、各省庁は公債の償還等について説明責任を果たすことができない。

    また、公債の発行収入と支出について対応関係がなく、特に、過去に発行した公債については大幅な仮定計算による配分とならざるを得ないことから、財務書類に計上する計数としては適当ではないと考えられる。このため、各省庁に公債を配分してこれを貸借対照表の負債に計上する方法は採らないこととした。

    ただし、公債関連の財務情報については、参考情報として各省庁において開示することとした。

  • (4) 出資金の取扱い

    出資金は、国有財産法上普通財産として整理され、その管理は、普通財産の管理・処分を所掌している財務大臣が行うこととされている。このため、所掌権限により出資金を帰属させた場合、出資金は全て財務省に資産計上され、また、強制評価減が行われた場合の評価損等も、財務省に計上されることとなる。

    しかし、特殊法人等を監督している省庁は、出資の責任についても説明責任を果たす必要があると考えられることから、出資金を各省庁へ帰属させるとともに、評価損等も各省庁において計上することが適当と考えられる。

    また、特殊法人等との連結にあたっては、監督権限及び出資金等の財政支出がある各省庁において連結を行うこととしていることから、省庁別連結財務書類の作成との整合性も踏まえて、一般会計の出資金については各省庁において計上することとした。

  • (5) 国庫勘定の取扱い

    財務省は、予算の編成や決算の作成等の業務のほか、歳入の総括管理省庁として、いわゆる国庫に係る業務を一元的に所掌しており、また、国庫以外の業務も所掌している。

    財務省の所掌する業務のうち、国庫に係る業務を財務省から区分し、新たに国庫勘定を設け、同勘定に税収や公債金収入等を一括計上したうえで、同勘定から各省庁に財源を配分するといったことも考えられる。

    しかし、国庫に関する業務を財務省から分離した場合には、財務省の財務書類が所掌する業務を反映しなくなるほか、財務省の所掌する業務を明確な基準により、国庫と国庫以外に区分することも容易でなく、また、仮に分けたとしても、国庫以外の財務省分は極めて僅少になることが想定されることから、財務省の所掌する業務を区分して国庫勘定を設ける方法は採らないこととした。

3.特別会計特有の論点

  • (1) 特別会計の会計主体性

    特別会計は、国の会計の一部を区分して経理するために設置されたものであり、会計単位としては独立しているものである。しかし、次のような特性があり、業務の実施主体として完全に独立しているものではなく、独立した会計主体として捉えることが適切とは認められない特別会計も存在し、また、その程度も区々である点に留意する必要がある。

    • 1 特別会計は、特定の業務等に係る経理を明確にするために設けられたものであるが、特別会計によっては、資産等をほとんど保有せず、財政資金の流れのみを経理している場合がある。

    • 2 特別会計が対象としている経理の範囲及び具体的な経費の計上等については、各特別会計法等の規定及び毎年度の予算により定まり、特別会計が経理する業務に係る人件費や庁舎等の経費等の全てを負担していない場合がある。

      なお、特別会計法等の規定に基づき勘定が設けられている場合には、特別会計の経理が勘定単位に細分化され、当該勘定が経理する業務内容等は、さらに限定されたものとなる。

    • 3 特別会計が経理する業務に必要な財源については、保険料等の自己収入により賄われているものもあるが、一般会計からの繰入金により財源の大部分が賄われているものがあるなど、財源的に独立したものとはなっていない場合が多い。

  • (2) 全特別会計で同一の基準による財務書類の作成

    特別会計の特性や各特別会計が実施している業務は区々であり、財務書類の作成意義の乏しいと考えられる特別会計もあるが、各特別会計間の比較可能性及び一覧性の観点から、全特別会計において可能な限り同一の基準に基づいて財務書類を作成することとした。

  • (3) 特別会計財務書類の作成単位

    • 1 勘定単位での財務書類の作成

      特別会計財務書類は、特別会計が経理している業務に係る財務情報を開示するものであり、特別会計を作成単位とした。ただし、各特別会計法等の規定により、勘定区分が設けられている場合は、勘定単位で会計的に独立していることから、勘定を作成単位とした。

    • 2 勘定を合算した財務書類の作成

      特別会計の勘定は、セグメント的な位置付けにとどまらず、法令的にも会計区分と同様、独立した経理単位となっており、また、同一の特別会計内とはいえ、その経理する内容等も異なっている。

      しかし、一般会計から区分して経理するために設置された特別会計という単位での財務情報を開示することは、ディスクロージャーの面からは一定の意義があると考えられることから、勘定を合算した財務書類を参考情報として作成することとした。

    • 3 共通勘定の取扱い

      業務勘定等のいわゆる共通勘定を有する特別会計においては、共通勘定の経費等を各事業勘定に配分した財務書類を作成することが考えられる。しかし、特別会計の勘定区分といっても、様々な業務に係る経理を行っているなど、勘定区分が業務単位を表すセグメントとして必ずしも十分ではなく、共通勘定の経費等を各事業勘定に配分したとしても、個々の業務の状況が完全に明らかになるというものではない。また、共通勘定の経費等を各事業勘定に配分した場合には、特別会計財務書類と歳入歳出決算との対応関係がなくなってしまうことから、共通勘定の経費を各事業勘定に配分した財務書類の作成は行わないこととした。

    • 4 食糧管理特別会計の調整勘定の取扱い

      食糧管理特別会計では、食糧管理勘定等の損益の調整を行うために調整勘定が設けられており、食糧管理勘定等の損益は調整勘定に振替整理し、調整勘定に損失が発生すれば、調整勘定に設けられている調整資金を減額し、利益が生じれば調整資金に組み入れて処理することが食糧管理特別会計法で規定されており、この損益処理の金額は法定の財務諸表に基づいて算定されている。

      しかし、特別会計財務書類は、勘定ごとの財務内容の開示を目的として作成することとしており、また、法定の財務諸表のように損益計算を行うこととしていない。

      このため、食糧管理特別会計の財務書類においては、勘定間の損益の振替整理は行わず、勘定ごとで完結した財務書類を作成することとした。

4.貸借対照表

  • (1) 有形固定資産の計上価額

    • 1 国有財産の計上価額

      公共用財産(公園及び広場を除く。以下同じ。)を除く土地や建物等の国有財産については、国有財産法に基づき管理が行われており、また、国有財産台帳によって価格管理がなされている。国有財産台帳の計上価格については、時価等を反映させるとの観点から、出資金等一部の財産を除き、5年ごとに時価等を反映した価格改定が行われている。

      貸借対照表の資産の計上価額については、基本的に、取得原価を基礎として計上することとしている。しかし、国有財産について取得原価を基礎として評価を行うためには、国有財産台帳とは別個に取得原価を基礎とした価格管理を行う必要があるほか、国有財産の情報開示としては、時価が反映された価格を提供することも意義が認められる。このため、国有財産については、国有財産台帳価格を基礎とし、償却資産については、定率法による減価償却を行い、減価償却費相当額を控除した後の価額を計上することとした。

    • 2 公共用財産の計上価額

      公共用財産については、国有財産法上、国有財産台帳の作成等が適用除外となっていることから、その価格が管理されておらず、また、新たに評価を行うことも困難である。このため、国の所有となる公共用財産については、過去の用地費や事業費等を累計することにより取得原価を推計し計上することとした。

      なお、償却資産については、推計して算出した取得原価に基づいて、定額法による減価償却を行い、減価償却費相当額を控除した後の価額を計上することとした。

    • 3 売却を前提として保有している国有財産の評価

      一般会計が保有する国有財産のうち物納された不動産等並びに特定国有財産整備特別会計及び農業経営基盤強化措置特別会計が保有する国有財産については、売却を前提として保有していることから、企業会計でいう販売用不動産と同様の性格を有するものと考えられる。

      企業会計の販売用不動産については、取得原価で計上され、時価が著しく下落した場合には、強制評価減を行うこととなっていることから、企業会計の販売用不動産と同様の性格を有する国有財産については、強制評価減を行う必要も考えられる。

      しかし、国有財産台帳価格は5年ごとに価格改定が行われ、時価の変動が反映されること、また、国有財産台帳の価格改定とは別に毎年度の時価評価を行うことは事務的に困難なことから「たな卸資産」の表示科目で計上し、その評価は国有財産台帳価格に基づくこととした。

    • 4 物品の計上基準

      車両や機器等の物品について、物品管理法に基づき管理がなされているが、取得価格又は見積価格が50万円以上(防衛庁防衛用品の分類に属する装備訓練に必要な機械及び器具(除自動車)については300万円以上)の重要物品が、価格管理の対象となっていることから、これらを「物品」として資産計上することとした。

      なお、物品管理法の価格管理の対象外となっている物品について、一定の基準を設け網羅的に把握し、価格管理を行っている場合には、重要物品以外の物品についても資産計上することが適当と考える。

  • (2) 公的年金等の負債計上

    • 1 厚生年金及び国民年金

      公的年金である厚生年金及び国民年金については、国における過去の勤務により支払義務が生じるものではなく、また、企業年金のように積立方式が法定されているものではないことから、企業会計における退職給付の会計基準をそのまま適用することは適当ではないと考えられる。

      また、公的年金の負債計上については次の考え方がある。

      • i わが国の公的年金は、積立金を持ちつつも賦課的要素が強い財政方式により運営されるものであり、各年の給付は各年の収入により賄われるという点で他の福祉のプログラムの給付と変わらないものであるため、会計上の負債として認識しないことが適当であるという考え方。

      • ii 公的年金は、保険料支払により給付が行われるという社会保険方式が採られており、保険料の支払によって制度の運営者である国に年金を支給する義務が生じることから、過去期間対応の給付現価を負債として認識するという考え方。

      この場合、将来給付の全額を負債計上する考え方と将来給付財源の違いにより、積立金分と国庫負担分のみを負債として認識するという考え方がある。

      このように、公的年金に係る負債計上については、種々議論があるところではあるが、厚生保険特別会計及び国民年金特別会計に係る公的年金の負債計上については、以下の取扱いとした。

      公的年金は、社会保険制度であり、その財政方式は賦課方式を基本とした制度となっており、また、年金の支払義務は保険料の払込によって発生するものではなく、受給資格を満たすことによって発生するものであることから、これを負債としては認識しないこととした。

      ただし、将来の年金給付財源の一部は積立金等の資産として保有されているため、当該資産に見合う金額を「公的年金預り金」として負債に計上するとの基本的考え方を採ることとした。

      「公的年金預り金」に対応する資産の範囲としては、現金・預金及び運用寄託金(いわゆる積立金)のほか、未収保険料(貸倒引当金を控除した額)、未収金、出資金等の資産についても、将来の年金給付財源に充てるために保有していると認められるものについては、「公的年金預り金」に対応する資産に含めることとした。さらに、確定債務として負債計上することとされている未払金に相当する金額が二重に計上されることを避けるため、「公的年金預り金」に対応する資産の合計額から未払金相当額を控除した金額を「公的年金預り金」として負債に計上することとした。

      なお、公的年金に係るディスクロージャーの充実を図るため、公的年金の財政方式、公的年金預り金に対応する資産の内訳、財政再計算又は財政検証の財政見通しにおける各年度末の積立金の額及びそれに対応する実績との差額の発生原因、将来給付現価額及びこれに対する財源の見込額等について注記を加えることとした。

    • 2 国家公務員共済年金

      国家公務員共済年金は、国家公務員を対象とした公的年金としての社会保険制度であり、給付設計は厚生年金に準拠したものとなっている。また、年金給付に要する費用について、雇用者としての国は、保険料の2分の1を負担しているほか、公経済主体として、基礎年金拠出金の3分の1等を負担している。

      国家公務員共済年金について、企業年金と同様、国家公務員の労働の対価であり、負債として計上すべきとの考え方もあるが、厚生年金が担っている機能を有し、遺族に対する支給、物価スライド等を行っており、単に労働の対価という意義を超えた公的年金制度としての性格を色濃く有していることから、これを負債としては認識しないこととした。

      ただし、国家公務員共済年金のうち、整理資源(昭和34年10月前の恩給公務員期間に係る給付分)については、事業主としての国が全額負担することとなっていることから、恩給公務員期間に係る将来給付見込額の割引現在価値額を「退職給付引当金」として負債計上することとした。

      なお、整理資源の具体的な計上額については、国家公務員共済年金の再計算等は国家公務員共済組合連合会で、また、各省庁及び各特別会計における毎年度の予算計上額の計算については財務省主計局で行われており、各省庁での算出が困難なことから、同局において計算された額を計上することになる(恩給公務員期間に係る将来給付見込額は、5年ごとに行われる財政再計算時における見込額を用いて算出を行う。)。

    • 3 恩給給付費

      恩給は、共済年金制度移行前において相当年限忠実に勤務して退職した公務員等に対して、国が公務員との特別な関係に基づき、使用者として給付するものであることから、退職給付と同様の性格を有しており、負債として計上することとした。

      また、恩給は一般会計から支給しているが、国の会計内部の負担関係については、特別会計において退職等により給付事由が発生した者の公務員期間に係る恩給支払財源を、当該特別会計が負担(一般会計へ繰入)することとされていることから、特別会計に係る負担分相当額については、当該特別会計の負債として計上することとした。

      なお、具体的な計上額については、恩給の給付等は、総務省人事・恩給局において行われており、各特別会計での算出が困難なことから、同局において計算された額を計上することになる。

  • (3) 資産・負債差額

    国の会計においては、企業会計のような払込資本に関する取引がないこと、また、国の活動について損益計算の意義は乏しいことから、資産と負債の差額について、企業会計の資本の部と同様の位置付けを与えることは適当ではない。

    資産及び負債の差額については、政府の財政運営の結果として、この部分をどう捉えるか、その位置付けについて種々議論があったが、国の資産は必ずしも将来の支払財源に充てられるものではないことに加え、一定の仮定を用いて資産評価を行わざるを得ないこと等から、積極的な位置付けを必ずしも見いだしにくいと考えられる。このため、貸借対照表における資産と負債の差額については「資産・負債差額の部」として整理することとした。

    なお、貸借対照表の資産と負債の差額の内訳については、その大部分が財務書類の作成開始時に生じた差額など、性質を明確にできないものであり、また、省庁別財務書類においては、資産・負債差額増減計算書を作成し、貸借対照表の資産と負債の差額の増減要因は全て資産・負債差額増減計算書において明らかにすることとしたため、資産と負債の差額は「資産・負債差額」として一括して表示することとした。

  • (4) 国債整理基金特別会計に繰り入れられた償還財源

    国債整理基金特別会計は、一般会計及び他の特別会計から受け入れた資金等を国債整理基金として、これを公債の償還発行の費途(国債及び借入金等の償還、利子及び割引料の支払並びに発行等に係る事務取扱費)に充て、もって国債の償還等に関する経理を明らかにするために設置されたものである。

    このように、国債整理基金特別会計は、国債の償還等に関する経理を明確にする特別会計であるが、一般会計の財源として発行された公債については国債整理基金特別会計の負債として帰属するものではなく、また、償還のための財源が一般会計から繰り入れられ、その残高は、将来の償還財源として国債整理基金特別会計にプールされているものである。(なお、償還の財源としては、これらのほか、借換債の発行、特別会計に帰属されたNTT株式、JT株式及び東京地下鉄株式会社株式等がある。)

    このため、国債整理基金特別会計においては、公債等のために一般会計等から繰り入れられた償還財源の残高等を、貸借対照表の資産・負債差額の部で「国債整理基金」として整理することが適当である。

    また、一般会計の財源として発行された公債については、借換債も含めて一般会計に負債計上されており、また、国債整理基金特別会計の資産については、一般会計に負債計上されている公債の償還に充てられるものであるため、一般会計においては、国債整理基金特別会計の資産・負債差額相当額を「国債整理基金」として資産計上することが適当である。

5.業務費用計算書

  • (1) 業務費用計算書の作成目的

    企業会計においては、当期の経営成績及び処分可能利益について、その額及び発生原因を明らかにすること等を目的として損益計算書が作成されている。

    これに対して、一般会計は、強制的に徴収された税収等を配分している会計であり、利潤獲得が予定されていない。また、特別会計は、受益と負担の関係を明らかにすること等を目的として設置されているものであるが、財源と業務費用の間に、必ずしも、企業会計と同様の費用と収益の対応関係のような関係がない。このため、国においては、企業会計と同様の損益計算書を作成することは適当でないことから、投入されたコストに対してどれだけの効用・便益等を得ることができたのかという観点で行政の効率性等を判断する必要があると考え、費用の発生状況に焦点を当てた計算書として業務費用計算書を作成することとした。

  • (2) 業務費用計算書の計上項目

    業務費用計算書には、各省庁の所掌又は特別会計の経理する範囲内において、業務の実施に伴い当該年度に発生した費用及び損失を計上することとしている。

    業務費用計算書の計上項目については、以下の整理を行った。

    • 1 評価差額等

      国においては、企業会計における売買目的有価証券に相当する有価証券は保有しておらず、満期保有目的以外の有価証券の時価評価に伴う評価差額については未実現であると考えられ、翌年度首には戻入れを行うことから、業務費用計算書には計上しないこととした。

      また、国有財産の台帳価格の改定に伴う評価差額については、法令の規定に基づき価格改定が行われ、その評価差額は業務実施に伴い発生したとはいえず、また、国の庁舎等は処分を前提としていないものが大半であり、実際の処分時に損益を計上すれば足りると考えられることから、業務費用計算書には計上しないこととした。

      ただし、有価証券、たな卸資産等の強制評価減については、時価又は実質価額が著しく下落したことで既に評価差額が実現していると考えられることから、業務費用計算書に計上することとした。

    • 2 資産の処分損益等

      資産の処分損益について、処分損を業務費用計算書に計上し、処分益を資産・負債差額増減計算書に計上することも考えられるが、処分損と処分益で計上される財務書類が異なってしまうことになる。処分益については、売却収入と簿価相当額との差額がプラスとなったものであるが、他の業務費用と財源との関係とは異なり、処分損と処分益は資産処分という同一の経済事象により生じる差額であり、その性質が大きく異なるわけではないと考えられることから、資産の処分益についても、業務費用計算書で計上することとした。

      また、引当金の戻入についても同様に業務費用計算書で計上することとした。

  • (3) 純コストの計算

    各省庁の業務実施に伴う実質的な費用(税財源の投入額)を明らかにするため、業務費用計算書において、業務費用に伴い発生した費用及び損失から、これらの費用及び損失に対応する手数料等の対価的な収入を差し引いて、業務実施に伴い発生した純コストを計算することも考えられる。

    しかし、一般会計においては、基本的に税財源等が業務経費の見合いの財源となっており、一部の特定の業務について、特に便益を享受する者から手数料等として実費的な費用を徴収しているものの、基本的に対価的な収入はなく、あっても極めて僅少な金額である。また、手数料の多くは印紙をもって納付されているが、この印紙収入については、各省庁の対価見合い分として区分することが困難であるほか、印紙を売り捌いたときに収入に計上されており、実際の業務活動に合わせて期間対応させて収益化することも困難である。

    また、特別会計においては、対価的な手数料等、目的税等収入や他会計からの繰入れでもって受益と負担の関係が明確にされているものの、他会計からの繰入れであっても特別会計にとっては業務の対価として予定されているものもあり、繰入額のうちどこまでを業務の実施に見合う財源として取り入れるのかという問題があるほか、目的税等収入や他会計からの受入の財源と費用との期間的な対応を図ることも困難である。

    このため、業務費用計算書においては、純コストの計算ではなく、総コストの計算を行うこととした。

  • (4) 業務実績の評価資料としての活用

    • 1 業務費用計算書に関する財務情報の利用

      国の行政サービスの提供においては、「どれだけのコストをかけて、どのような行政サービスを提供したか」といった評価が必要であり、このような各省庁の業務実績の評価にあたっては、業務の実施に伴う費用を発生主義で捉えたコストの情報が必要であり、業務費用計算書により開示されるコスト情報の活用が期待される。なお、「どのような行政サービスを提供したか」という観点については、業務の実施に伴う効用・便益等の非財務情報が必要である。

    • 2 形態別による表示

      各省庁の業務内容をより明らかにし、さらに、業務費用に関する財務情報を各省庁の業務実績の評価に活用し、予算の効率化・適正化に資するためには、コスト情報について、個別政策・施策単位等のセグメント情報が必要である。

      しかし、現状では、省庁別財務書類の作成の基礎となる予算・決算の表示区分は各省庁の業務の内容とは必ずしも結びついておらず、概ね形態別の費目で区分されていることから、業務費用計算書においても形態別の費目で業務費用を表示せざるを得ないものである。

      なお、現行の予算・決算については、表示科目が業務内容とは必ずしも結びついておらず分かりにくく、また、政策目的毎に区分されておらず事後の評価に馴染みにくいとの指摘を受けて、その表示区分について、別途、検討が行われているところであり、政策・施策単位等のセグメント別でのコスト表示については、この予算・決算の表示区分の検討結果を踏まえ、見直しを行う必要がある。

  • (5) 農業共済再保険特別会計及び漁船再保険及漁業共済保険特別会計の業務費用

    国の予算制度においては、総計予算主義がとられており、歳入と歳出を相殺し、純額での予算計上は原則として認められていない。

    しかしながら、農業共済再保険特別会計においては、農業災害補償法に基づき、国(一般会計)から同特別会計を経由した共済掛金の一部負担について、事務処理上の観点から、同特別会計に納付する保険料等と相殺したところで予算措置することができることとされている。

    また、漁船再保険及漁業共済保険特別会計においても、漁船損害等補償法及び漁業災害補償法に基づき、国(一般会計)から同特別会計を経由した保険料の一部負担及び共済掛金の一部補助については、事務処理上の観点から、同特別会計に納付する保険料等を相殺したところで予算措置することができることとされている。

    このように、相殺後の歳入歳出決算を基礎として業務費用計算書を作成した場合には、業務費用総額が表示されないこととなる。このため、これらの特別会計においては、法令の規定に基づき相殺が行われたことにより、歳入歳出決算に計上されていない部分についても、業務費用計算書に反映させて作成し、業務費用の総額を開示する必要がある。

    また、これに関連して、資産・負債差額増減計算書における財源についても総額で表示する必要がある。

    なお、予算措置とは異なり総額で表示していることについて、注記により明らかにすることが必要である。

  • (6) 労働保険特別会計の徴収勘定

    労働保険特別会計においては、労災保険及び雇用保険を経理しているが、労災保険及び雇用保険の保険料については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づき一括徴収され、徴収勘定において経理されている。

    労災保険及び雇用保険の保険料は、徴収勘定の歳入に計上された後、それぞれの保険料相当分が労災保険勘定及び雇用保険勘定に繰り入れられていることから、徴収勘定においては、保険料を資産・負債差額増減計算書の財源、両事業勘定への繰入れを業務費用としては整理せず、預り金として整理することが適当である。

  • (7) 国債整理基金特別会計の業務費用計算書

    国債整理基金特別会計は、国債の債務償還等に関する財政資金の流れを明らかにする特別会計であることから、債務償還費(国債及び借入金の元本部分の償還費)も含めたところで「国債整理基金」の減少となるものを業務費用として捉える考え方もあるが、国債及び借入金の元本部分の償還費については一般的な費用の概念にはなじまないことから、業務費用として整理することは適当でないと考えられる。

    このため、業務費用については、上記から債務償還費を除外することが適当である。

    また、資産・負債差額増減計算書の財源についても、同様に、「国債整理基金」の増加となるものから、債務償還費に充てられる公債金及び株式売払収入並びに他会計からの受入のうち債務償還費に充てられる部分を除外することが適当である。

6.資産・負債差額増減計算書

  • (1) 資産・負債差額増減計算書の作成目的

    省庁別財務書類においては、損益の算定ではなく、業務実施に伴い発生した費用に焦点をあてた計算書として業務費用計算書を作成することとしているが、業務費用計算書には、各省庁の業務実施に伴い発生した費用及び損失のみが計上され、財源や業務費用計算書に計上されない資産評価差額など、貸借対照表の資産・負債差額についての増減要因すべてが計上されるわけではない。

    このため、前年度末の貸借対照表の資産・負債差額と本年度末の貸借対照表の資産・負債差額の増減すべてについて、要因別に開示し、前年度末の貸借対照表と本年度末の貸借対照表の資産・負債差額の連動を図ることを目的として資産・負債差額増減計算書を作成することとした。

  • (2) 資産・負債差額増減計算書の計上項目

    資産・負債差額増減計算書においては、業務費用財源計算書の計算結果である本年度業務費用合計、各省庁の業務実施の財源、無償所管換等及び資産評価差額等に区分して計上することとした。

    • 1 財源

      貸借対照表の資産・負債差額の増加要因のうち、各省庁の業務実施の財源を「財源」として計上することとした。

      「財源」としては、歳入の徴収決定済額(当該年度に調査決定を行ったものに限る。)から資産・負債差額の増減項目とはならない資産の処分に係る収入及び貸付金回収収入等を除いた額を計上することとなる。

      また、歳入のうち、資金からの受入や前年度剰余金受入については、前年度以前に資産・負債差額の増加となっているものを改めて歳入として受け入れるものであることから、財源としては計上しない。ただし、租税収入等については、国税収納金整理資金から純額が歳入として計上されているものであり、これを財源として計上することとした。

      なお、特別会計においては、多様な財源があることから、財源を「自己収入」、「目的税等収入」及び「他会計からの受入」に区分して計上することとした。

    • 2 無償所管換等

      省庁間又は会計間の財産の無償所管換(渡)等及びこれに準ずる資産の減少については、貸借対照表の資産・負債差額の減少要因であるが、法令に基づいて所管換えが行われ、各省庁の業務実施に伴い発生した費用として業務費用計算書に計上することは適当でないとことから、資産・負債差額増減計算書において「無償所管換等」として計上することとした。また、財産の無償所管換(受)等についても、貸借対照表の資産・負債差額の増加要因であることから、同様に「無償所管換等」として計上することとした。

      なお、帳簿の誤謬訂正により生じた資産の増減及び実測により生じた国有財産台帳等の価額との差額等についても「無償所管換等」として計上することになる。

    • 3 資産評価差額

      有価証券及び出資金の評価差額(強制評価減に係るものを除く。)及び国有財産の台帳価格改定に伴う評価差額については、業務費用計算書に計上されないことから、「資産評価差額」として計上することとした。

    • 4 公的年金預り金の変動に伴う増減

      公的年金預り金の変動額については、公的年金預り金の計上額を将来の年金給付財源に充てるために保有している資産に見合う額とするという基本的考え方の下で、業務実施に伴い発生する費用と考えることは適当でないことから、当該変動に伴う資産・負債差額の増減を、「公的年金預り金の変動に伴う増減」として、資産・負債差額増減計算書に計上することとした。

  • (3) 外国為替資金特別会計の換算差額

    外国為替資金特別会計においては、多額の外貨建金銭債権債務等を保有している。この外貨建金銭債権債務等は、外国為替相場の安定を図るため、公的外貨準備として政策的に保有しているものであり、売買による収益獲得を目的として保有しているものではないことから、為替レートの変動による換算差損益が会計年度末に実現しているものと考えることは適当でない。このため、外国為替資金特別会計が保有する外貨建金銭債権債務等について基準外国為替相場等で換算を行った換算差額は、資産・負債差額増減計算書において計上することとした。

    ただし、外国為替資金特別会計において保有する外貨建債券については、外貨による債券の時価の変動と為替レートの変動の2つの要因によって差額が生じている。このため、外国為替資金特別会計の資産・負債差額増減計算書において、債券の時価の変動により生じた差額については「資産評価差額」の区分に計上し、為替レートの変動により生じた差額については「為替換算差額」の区分を設け、別途開示することが適当である。

    なお、外貨建金銭債権債務等の換算差額を資産・負債差額増減計算書において計上することにより、財務書類上、外貨建金銭債権債務等の含み換算損益が開示されなくなるが、この含み換算損益に関する情報も外国為替資金特別会計に関する財務情報として重要である。このため、保有する外貨建金銭債権債務等の含み換算損益について、外国為替資金特別会計の貸借対照表の資産・負債差額の部において、「資産・負債差額」の内訳として明らかにすることが適当である。

7.区分別収支計算書

  • (1) 区分別収支計算書の作成目的

    企業会計においては、企業の支払能力を評価すること、企業の資金創出能力を評価すること及び異なった会計処理の影響を排除し、企業の経営成績の比較可能性を高めること等の観点から、現金及び現金同等物の増減を示すキャッシュ・フロー計算書が作成されている。

    これに対して、国の会計においては、歳入歳出予算に基づいて予算の執行が行われていること、法律に基づき税収等の収入が確保されていること及び財務書類の作成基準においては、会計処理等の選択肢を限定していること等から、現金及び現金同等物の増減を示す財務書類については、企業会計と異なる観点からその作成目的を検討した。

    国の会計においては、予算の執行結果を示すものとして歳入歳出決算が作成されており、現金収支の状況は明らかになっているが、歳入歳出決算は、予算統制等の観点から組織及び目的等別に表示が区分されており、企業会計的な観点からは分かりにくいものとなっている。このため、歳入歳出決算を基礎として、その計数を並び替えることにより、財政資金の流れを区分別に明らかにするための財務書類として、区分別収支計算書を作成することとした。

  • (2) 区分別収支計算書の区分

    企業会計のキャッシュ・フロー計算書においては、営業活動、投資活動及び財務活動の3区分となっているが、国の会計においては、各省庁の収支のうち、将来の負担となる資金調達及び返済に関する収支(利息の支払額や資金調達に関する事務取扱費を含み、これを「財務収支」とした。)を除いたものを実質的な各省庁の業務と考え、これを「業務収支」として計上し、「業務収支」及び「財務収支」の2区分の収支区分とした。

    また、「業務収支」については、「財源」及び「業務支出」に区分し、「業務支出」については、財政資金の流れを明らかにするとの観点から、各省庁の有形固定資産(物品を除く。)の形成に繋がる支出を明らかにする区分を設けることとし、さらに「業務支出(施設整備支出を除く)」及び「施設整備支出」に区分することとした。

  • (3) 貸借対照表との連動

    企業会計におけるキャッシュ・フロー計算書の「現金及び現金同等物の期末残高」と貸借対照表の「現金及び預金」は基本的に連動し、また、現金及び現金同等物の期末残高と貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係を注記することとされている。

    区分別収支計算書は、歳入歳出決算を並び替えて作成することから、「本年度収支」においては、各省庁が保有する資金残高や歳入歳出外現金の残高が反映されておらず、区分別収支計算書の「本年度収支」と貸借対照表の「現金・預金」の計数は一致しない場合がある。このため、「本年度収支」の下で資金等の歳入歳出外の現金預金の残高を調整したところの計算結果を「本年度末現金・預金残高」として、貸借対照表の「現金・預金」と一致させることとした。

  • (4) 資金運用特別会計の区分別収支計算書

    特別会計が保有している財政法第44条の規定に基づく資金は、歳入歳出決算上の剰余が積み立てられたものが大半であり、その機能としては、歳入歳出決算上の過不足を調整するものである。

    これに対して、資金運用特別会計である財政融資資金特別会計の財政融資資金及び外国為替資金特別会計の外国為替資金は、特定の目的を行うために設けられた資金であり、これらの特別会計の歳入歳出決算には、利払費、事務費及び運用収入等が計上されるのみで、資金運用や貸付金、外貨資産等の売買等の受払いは計上されないことから、歳入歳出決算を並び替えて区分別収支計算書を作成した場合には、これらの資金における財政資金の受払の状況が開示されないことになる。

    資金運用特別会計における実質的な業務は、これらの資金を中心としたものであり、また、これらの資金は、歳入歳出予算・決算と一体として運営・管理されていることから、資金運用特別会計においては、これらの資金に係る受払いを含めたところで区分別収支計算書を作成する必要がある。

  • (5) 公共事業特別会計の区分別収支計算書

    公共事業特別会計においては、道路や港湾等の公共用財産の整備を実施している。これらの公共事業特別会計の一部においては、公共用財産整備の財源が一般会計から繰り入れられ、公共用財産の完成後、当該公共用財産が一般会計に移管されることとなっている。

    このような公共事業特別会計においては、施設整備の財源が一般会計から繰り入れられ、公共用財産が一般会計において計上されることから、一般会計において、公共事業特別会計への財源繰入れを「施設整備支出」に計上することも考えられる。しかし、一般会計からの財源繰入れは施設整備のための直接的な支出ではなく、また、完成した公共用財産は公共事業特別会計において一旦資産計上された後に一般会計に移管されているとも考えられることから、会計間の取引等の開示としては、一般会計から公共事業特別会計への施設整備の財源繰入れを「業務支出(施設整備支出を除く)」に計上することが適当である。

    他方、公共事業特別会計においては、公共用財産の資産形成となる施設整備に必要な経費や用地費等の支出については、直接施設整備に充てられることから「施設整備支出」に計上することになる。

8.参考情報

  • (1) 機会費用

    業務費用計算書においては、各省庁の業務実施に伴い発生した費用が計上されることになるが、各省庁の業務実施の財源には、各省庁が負担していない資金調達コストが生じているものがあるほか、特別会計の中には、人件費等が計上されていないものや、庁舎等の使用料の費用負担をしていないものがある等、業務実施に関するすべての費用が計上されていない場合がある。

    業務実施に伴うコストとしては、業務費用計算書の業務費用としては認識されていないが、各省庁が業務を実施する上での国民の負担と考えられる資金の調達コストや特別会計においては、一般会計等が負担している人件費や庁舎等のコストがある。

    これらのコスト情報を機会費用として開示する必要があると考えられるが、これらの機会費用の算定などについては大きな仮定が伴い、情報の正確性は大きく劣ると考えられることから、会計間での資金調達における資金調達コストに相当する機会費用のみを参考情報として記載することとした。

    なお、一般会計においては、財務省が各省庁の業務実施の財源を一括して調達しており、各省庁が負担すべきと考えられる公債による資金調達のコストについて、機会費用としての計上も考えられるが、各省庁が負担すべき公債による資金調達のコストの厳密な算定は困難なこと等から、別途、公債残高等の情報とともに、公債関連情報として開示することとした。

  • (2) 公債関連情報

    • 1 参考情報等として各省庁での公債関連情報の開示

      財務書類上、公債を各省庁に配分することとはしなかったが、各省庁の業務に要する財源の一部については、公債の発行により財源調達が行われ、その一部が各省庁の資産となり、また、資金調達コストも生じていることから、各省庁の負担に相当すると考えられる公債関係の財務情報について説明が必要と考えられる。このため、公債発行に伴う各省庁の負担に相当すると考えられる公債関連の財務情報ついて、複数の方法により算出し、各省庁において参考情報として開示することとした。

    • 2 各省庁が開示する公債関係の財務情報

      公債の種類は、発行目的により建設公債、特例公債及び交付国債等に分けられる。このうち、交付国債、出資・拠出国債及び日本国有鉄道等からの承継債務の借換国債については、各省庁の業務実施の財源に充てられたものとは言い難いことから、配分計算の算定から除外し、各省庁が公債関連情報として開示する公債は、建設公債及び特例公債に限ることとした。

    • 3 公債関連情報の内容

      公債関連情報として、公債残高、当該年度に新規に財源として発行した公債及び当該年度の利払費を開示することとした。

    • 4 各省庁で開示する公債関連情報の算出方法

      各省庁で開示する公債関連の計数の算出方法については、様々な方法が考えられ、一つの算出方法に絞ることは適当でないと考えられることから、複数の方法で算出を行った公債関連情報を開示することとした。

      具体的な算出方法は以下のとおりである。

      建設公債残高については、各省庁が保有する資産は、建設公債を発行した財源により資産取得した累計ではないが、建設公債発行見合いの財産が残っているとみなして、各省庁の資産額を基準として算出した額及び各省庁の資産・負債差額は、これまでの歳出予算による資産取得の累積であるとみなして、各省庁の資産・負債差額を基準として算出した額とした。また、特例公債残高については、関連するストックの情報はないため、当該年度以前3ヶ年度の歳出決算額(公債発行対象経費控除後)の累計額を基準として算出した額とした。

      当該年度に発行した建設公債については、建設公債の発行財源が必ずしも公債発行対象経費に充てられているものではないが、建設公債は、建設公債発行対象経費の額をもとに発行されていることから、建設公債発行対象経費を基準として算出した額とした。また、当該年度に発行した特例公債については、特例公債は当該年度の歳入不足を補うために発行されていることから、当該年度の歳出決算額(公債対象経費控除後)を基準として算出した額とした。

      利払費については、各省庁の負担に相当するとされた公債の当該年度の平均残高を基準として算出した額とした。

9.連結財務書類

  • (1) 連結財務書類の作成目的

    国の業務の一部は、特殊法人等を通じて行われている場合もあり、これらの特殊法人等を連結したところの財務情報の開示が必要である。

    連結財務書類は、各省庁の業務と関連する事務・事業を実施している特殊法人等を連結することにより、特殊法人等を含めたところの各省庁の財務状況を開示し、より一層の説明責任の履行の向上及び予算執行の効率化・適正化に資する財務情報を提供することを目的として作成するものである。

    なお、省庁別連結財務書類を合算することにより特殊法人等を連結したところの国の財務書類の作成が可能となる。

  • (2) 連結の対象範囲

    連結財務書類は、国の業務と関連する事務・事業を行っている法人を連結したところの財務情報を提供することを目的として作成するものであり、国から監督を受け、また、財政支出を受けている特殊法人等(法律により直接に設立される法人及び特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人並びに特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人、すなわち、いわゆる特殊法人、認可法人、独立行政法人、日本郵政公社及び国立大学法人がこれに該当する。)を連結対象とした。

    • 1 特殊法人及び認可法人

      特殊法人及び認可法人は、その事務・事業の内容等から、必要な監督(法人の長及び監事の任命、予算の認可等)が行われ、出資や補助金等の財政支出がなされている場合が多いことから、国との業務の関連があり、その多くは連結対象となる。しかしながら、国の監督権限の内容や財政支出の内容は、各法人によって相当異なっていることから、法人ごとに連結の有無を判断し、連結対象となる法人を判断する必要がある。

    • 2 独立行政法人

      独立行政法人は、政策の企画立案機能と実施機能の分離、行政のスリム化並びに効率性及び透明性等を確保するため導入された独立行政法人制度に基づいて設立されるものである。

      独立行政法人の設立の形態は、主務大臣が設立委員を任命し、必要な設立手続を行わせ、法人の長及び監事の任命等も行っている。また、その事務・事業を確実に実施するために必要な財政的基礎として出資がなされているほか、業務運営に必要な運営費交付金等が交付されていることから、国との業務の関連があり、連結対象となる。

    • 3 日本郵政公社

      日本郵政公社は、郵政事業を一体的に経営する国営の新たな公社としてこれまで特別会計が行っていた事業を総合的かつ効率的に行うために設立されたものである。

      日本郵政公社に対しては、事務・事業に必要な運営費交付金等の交付は行われないものの、独立行政法人と同様の監督が行われ、設立に際しての国の出資や郵便貯金の払い戻し等に係る公社の債務に対する政府保証が付されていることから、国との業務の関連があり、連結対象となる。

    • 4 国立大学法人

      国立大学改革の一環として、国立大学等が国立大学法人に移行することとされた。

      国立大学法人制度は、大学による自律的な運営が確保されるよう配慮されているが、基本的には独立行政法人制度と同様の仕組みとなっており、国からの監督権限のほか、出資や事務・事業実施の財源に充てるための必要な財源を交付されることとなっていることから、国との業務の関連があり、連結対象となる。

  • (3) 連結の考え方

    各省庁のより一層の説明責任の履行の向上及び予算執行の効率化・適正化に資する財務情報を提供するため、各省庁及び特別会計が所掌している業務と関連する事務・事業を行っている特殊法人等を連結することとし、業務関連性による連結を行うこととした。

    業務関連性の具体的な判断は以下のとおりとした。

    • 1 省庁別連結財務書類における業務関連性の判断

      特殊法人等の設立根拠法等に基づき、各省庁(主務大臣)から監督を受けるとともに、当該省庁から財政支出を受けている特殊法人等が、当該省庁の業務と関連する事務・事業を行っていると見られることから、各省庁が業務関連性により連結する特殊法人等は、「各省庁が監督権限を有し、各省庁から財政支出を受けている法人」とし、監督権限及び財政支出の有無により業務関連性を判断することとした。

      ただし、各省庁の監督権限が限定されている場合や、財政支出がない場合等には、業務関連性が弱く、各省庁が連結を行うことにより一体として説明責任を果たす必要性は低いと考えられることから、連結の対象からは除外することができることとした。

    • 2 特別会計連結財務書類における業務関連性の判断

      特別会計が経理している業務の範囲は限定されており、特別会計との業務関係がより強い特殊法人等を連結すべきと考えられることから、財政支出が相当程度あるか否かを連結の要件とした。

      また、特別会計としては、特殊法人等に対する直接の監督権限を有していないことから、監督権限に代わるものとして、特別会計の管理大臣と特殊法人等の主務大臣が同一であるか否かを連結の要件とした。

  • (4) 持分法の適用

    監督権限及び財政支出の観点等から、業務関連性が弱いとして連結対象から除外された特殊法人等について、全部連結するまでもないが、企業会計の連結の考え方に準じて、出資の評価方法として持分法を適用することが考えられる。

    しかし、国の連結においては、企業会計の支配従属関係とは異なり、業務関連性がある特殊法人等を連結して一体として説明責任を果たすこととしており、連結対象から除外された特殊法人等について、連結財務書類において持分の評価でもって影響力を反映する必要はないと考えられることから、持分法の適用は行わないこととした。

    なお、出資先の財政状態の悪化により、出資金の価値が著しく低下した場合には、強制評価減を行うこととしており、また、附属明細書において出資金の純資産額等を開示することとしており、これらにより特殊法人等に対する出資金に関する情報が開示されることとなる。

  • (5) 共管特殊法人等の連結省庁

    特殊法人等の中には、複数の省庁から、監督を受け、また、財政支出を受けている法人がある。連結財務書類において、このような法人を連結する省庁は、監督権限及び財政支出の状況等から最も業務関連が高いとみられる省庁において全部連結を行うこととした。

    なお、勘定を有する共管特殊法人等については、勘定単位でもって連結省庁の判断を行い、連結することとした。

  • (6) 特殊法人等の子会社の取扱い

    特殊法人等は、子会社を有している場合があり、このような特殊法人等の子会社を連結対象とすべきかどうかについて検討を行った。

    各省庁は、特殊法人等の子会社に対して直接的な監督権限を有しておらず、また、財政資金も直接流れているものではないことから、各省庁と特殊法人等の子会社の間の業務関連性は弱いと考え、特殊法人等の子会社は連結対象とはすべきでないとも考えられる。

    一方、各省庁と特殊法人等との連結については、業務関連性により連結の判断を行っており、特殊法人等と支配従属関係にあり、特殊法人等と経済的一体性を有していると考えられる子会社は、各省庁とも業務関連性があるとも考えられる。

    しかし、特殊法人等の子会社の事務・事業の内容等は多様であり、各省庁との業務関連性があると考えられるものもあり、全く連結対象としないことも適当でなく、また、特殊法人等と子会社の間の支配従属関係でもって、一律に各省庁等と特殊法人等の子会社の間にも特殊法人等と同様の業務関連性があるとみなすことも適当でない。

    また、特殊法人等の子会社のうち、特殊法人等の手足として特殊法人等の事務・事業の一部を行っているものに限って、連結対象とすべきとも考えたが、各省庁と特殊法人等の子会社の間には直接的な監督権限や財政資金の流れもないことから、各省庁等との業務の関連性について、実質的な判断基準の設定は困難であった。

    このため、特殊法人等の子会社のうち、特殊法人等から出資を受けているものについては、出資を介して特殊法人等の子会社に対する各省庁からの間接的な監督権限及び間接的な財政支出があり、各省庁等と一定の業務関連性を有していると考え、このような特殊法人等の子会社について連結対象とすることとした。

  • (7) 連結の方法

    連結財務書類の作成にあたっては、企業会計の連結の方法を準用して連結財務書類を作成することとしているが、業務関連性による連結の判断や資本連結の方法など、一部企業会計と異なる処理を行うこととしている。

    • 1 会計処理の統一

      企業会計においては、連結に際しては同一の状況下での会計処理は統一されている必要があるが、国と特殊法人等では、その会計処理基準自体が異なっている。

      連結に際しては、会計処理の統一が図られることが望ましいが、事務負担等の観点から困難であるため、特殊法人等の既存の財務諸表を利用し、特殊法人等に特有の会計処理について、連結に際して必要な修正を行うこととした。

    • 2 特殊法人等の資産及び負債の時価評価

      企業会計においては、連結に際して、子会社の資産及び負債の時価評価を行うこととしている。これは、子会社化を子会社の「取得」と考えることを前提とした処理である。

      しかし、特殊法人等に対する出資を企業会計にいう支配権の獲得と同様に考えることはできず、また、国の連結財務書類においては、業務関連性がある特殊法人等を、連結することにより一体として説明責任を果たすべきものと位置付けており、特殊法人等の「取得」といった考え方を採ることは適当でないと考えられる。このため、連結に際しては、企業会計における支配獲得時の子会社の資産及び負債の時価評価と同様の処理を行うこととはしていない。

    • 3 資産・負債差額の部の表示

      国の資産・負債差額の部と特殊法人等の資本の部では、その位置付け及び内容が大きく異なっており、国においては、差額概念として一括表示されているのに対し、特殊法人等においては、その性格に応じて資本や剰余金等として区分表示されている。

      しかし、連結貸借対照表において、性格が異なる両者の資産・負債差額の内訳を詳細に表示した場合には、かえってその性格が理解し難いものになると考えられることから、連結貸借対照表においては、資産と負債の差額を一括して「資産・負債差額」として表示することとした。

    • 4 少数株主持分

      企業会計においては、子会社に対する出資割合が100%でない場合には少数株主持分が生じ、また、親会社説の考え方に基づき、少数株主持分は、連結固有の項目であることを考慮して、負債の部と資本の部の中間に独立の項目として表示することとされている。

      国の連結財務書類は、各省庁の持分保有者のために作成されるといった親会社説的な考え方は採り得ず、国民全体に開示されるものであるから、他省庁、他会計及び民間企業等からの出資に相当する部分を負債又は独立の項目として表示する必要はないと考えられる。

      また、特殊法人等の解散については別途法律が制定され、その残余財産等について必ずしも持分割合に応じた分配がなされるとは限らないことから、他会計等からの出資について、持分額で表示することは適当でないと考えられる。

      さらに、資産・負債差額の部には特段の位置付けをしていないことから、特殊法人等に対して他会計等からの出資がある場合においても、連結貸借対照表の資産・負債差額の部に他会計等からの出資金額に相当する部分も含めることとした。

      ただし、他会計等から特殊法人等に対する出資金額も含まれていることを明らかにするため、他会計等からの出資を内書きで表示することとした。

  • (8) 連結財務書類の位置付け

    省庁別財務書類は、予算執行の効率化・適正化等の目的のために作成されるものであることから、国の会計の財務書類を基本とすべきと考えられること、また、連結に際しては国と特殊法人等との会計処理統一の困難性等の技術的問題が存在していること等から、連結財務書類は参考情報として位置付けることとした。