平成25年度 財政法第46条に基づく国民への財政報告
第1部 平成25年度予算
1.予算成立の経緯
25年度予算は、25年1月29日に政府案が閣議に提出され、概算の閣議決定が行われた。
その後、25年2月28日に第183回国会(常会)に提出され、4月16日に衆議院において可決されたが、5月15日に参議院において否決されたため、両院協議会が開かれた。しかしながら、両院の意見が一致しなかったため、同日日本国憲法第60条第2項前段の規定により成立した。
以下、成立した予算について概説することとする。
2.予算編成の前提となった経済情勢及び財政事情
(1) 経済情勢
24年度の我が国経済は、東日本大震災からの復興需要や政策効果の発現等により、夏場にかけて回復に向けた動きが見られた。しかしその後、世界経済の減速等を背景として輸出や生産が減少するなど、景気は弱い動きとなり、底割れが懸念される状況となった。こうした状況に対し、政府は、25年1月に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(25年1月11日閣議決定。以下「緊急経済対策」という。)を策定した。本対策による政策効果に加え、世界経済の緩やかな持ち直しが期待されることから、我が国経済は緩やかに回復していくと見込まれた。物価の動向を見ると、緩やかなデフレ状況が続いていた。消費者物価は4年連続の下落となった。24年度の国内総生産の実質成長率は、復興需要による景気の下支え等があったものの、夏以降の世界経済の減速等により外需が減少したことから、1.0%程度と見込まれた。また、名目成長率は0.3%程度と見込まれた。
25年度の我が国経済は、世界経済の緩やかな回復が期待される中で、既定の諸施策の推進等により、着実な需要の発現と雇用創出が見込まれ、国内需要主導で回復が進む。物価については、消費者物価上昇率は0.5%程度になると見込まれる。GDPデフレーターはプラスになると見込まれる。完全失業率は、雇用者数が増加することから低下することが見込まれる。こうした結果、25年度の国内総生産の実質成長率は2.5%程度(名目成長率は2.7%程度)になると見込まれる。なお、先行きのリスクとしては、欧州の政府債務問題等、海外経済を巡る不確実性、為替市場の動向、電力供給の制約等があることに留意する必要がある。
(2) 財政事情
我が国財政は、24年度補正(第1号)後予算では公債依存度が49.2%にも及び、国・地方合わせた長期債務残高が24年度末においてGDP比198%程度になると見込まれた。我が国財政は主要先進国中最悪の水準であるなど、極めて深刻な状況にあり、こうした厳しい財政事情の下、政府としては、27(2015)年度までに国・地方のプライマリーバランスの赤字の対GDP比を22(2010)年度の水準から半減し、32(2020)年度までに国・地方のプライマリーバランスを黒字化するとの目標の達成に向けて取り組むこととしている。
3.予算編成の基本的考え方
25年度予算編成に当たっては、「平成25年度予算編成の基本方針」(25年1月24日閣議決定)に基づき、次のような基本的考え方に立って編成することとした。(以下、「平成25年度予算編成の基本方針」からの抜粋を基本としている。)
25年度予算は、緊急経済対策に基づく大型補正予算と一体的なものとして、いわゆる「15ヶ月予算」として編成する。
これにより、切れ目のない経済対策を実行し、景気の底割れの回避とデフレからの早期脱却及び成長力の強化を図る。
その際、民主党政権時代の要求内容を徹底して精査しつつ、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」の3分野に重点化するとの方針に基づいて、日本経済再生の実現に向けた取組に重点的な配分を行う。
また、財政健全化目標を踏まえたものとするとともに、国債に対する信認を確保するため、公債発行額をできる限り抑制し、中長期的に持続可能な財政構造を目指す。
4.一般会計予算の規模等
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(1) 一般会計予算の規模
25年度一般会計予算の規模は、926,115億円であって、24年度当初予算額に対して22,776億円(2.5%)の増加となっている。なお、基礎的財政収支対象経費の規模は、703,700億円であって、24年度当初予算額に対して19,803億円(2.9%)の増加となっている。
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(2) 一般会計予算と国内総生産
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一般会計予算の規模を国内総生産と対比すると、次のようになる。 (表1) 一般会計予算規模及び国内総生産の推移 一般会計(A)
(億円)うち基礎的財政収支対象経費(B)
(億円)国内総生産(C)
(名目・兆円程度)(A)/(C)
(%程度)(B)/(C)
(%程度)24年度 903,339 683,897 474.9 19.0 14.4 25年度 926,115 703,700 487.7 19.0 14.4 25年度の対前年度伸率 2.5% 2.9% 2.7%程度 − − (注)1.24年度の(A)欄及び(B)欄は、当初予算の計数である。
2.24年度及び25年度の(C)欄は、25年度政府経済見通しによる。(24年度は実績見込み、25年度は見通し)
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なお、25年度の政府支出の額は、125.8兆円程度であり、24年度実績見込みに対して、3.5%程度の増加となる見込みである。
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(3) 一般会計歳入予算
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租税及印紙収入は、現行法による場合、24年度当初予算額に対して9,860億円増の433,320億円になると見込まれるが、資産課税及び法人課税の税制改正を行うこととしている結果、24年度当初予算額に対して7,500億円(1.8%)増の430,960億円になると見込まれる。 また、その他収入は、24年度当初予算額に対して3,096億円(8.3%)増の40,535億円になると見込まれる。
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25年度における公債金は24年度当初予算額を13,930億円下回る428,510億円である。公債金のうち57,750億円については、「財政法」(昭22法34)第4条第1項ただし書の規定により発行する公債によることとし、370,760億円については、「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」(平24法101)第2条第1項の規定により発行する公債によることとしている。この結果、25年度予算の公債依存度は46.3%(24年度当初予算47.6%(基礎年金国庫負担2分の1の実現に必要な経費を勘案した場合)、補正(第1号)後予算49.2%)となっている。また、25年度における年金特例公債金は26,110億円である。 (表2) 一般会計歳入予算の内訳
(単位:億円)
1.租税及印紙収入
(1) 現行法を25年度に適用する場合の租税及印紙収入
433,320 (2) 税制改正による増△減収見込額
△ 2,360 資産課税
40 法人課税
△ 2,400 (3) 25年度予算額(1)+(2)
430,960 2.その他収入
40,535 3.公債金
428,510 4.年金特例公債金
26,110 合計 926,115 (表3) 公債依存度の推移〈当初予算ベース〉
(単位:億円、%)
年度 一般会計予算規模
(A)公債発行額
(B)公債依存度
(B/A)21 885,480 332,940 37.6 22 922,992 443,030 48.0 23 924,116 442,980 47.9 24 903,339 442,440 47.6 25 926,115 428,510 46.3 (注)1.24年度の公債依存度については、基礎年金国庫負担2分の1ベース。
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5.分野別の概要
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(1) 東日本大震災からの復興
25年度においても、引き続き被災地の復興の加速を最優先として、きめ細やかな復興施策を実施するとともに、福島の再生のため原子力災害等からの迅速な再生を推進することとしている。このため、まちづくりなどの復興の加速化、早期帰還支援など福島の復興の加速などのための経費43,840億円を東日本大震災復興特別会計に計上している。
なお、復興関連予算については、被災地の復旧・復興に直接資するものを基本とし、使途の厳格化を行うこととしている。全国向け予算については、子どもの安全確保に係る特に緊要性の高い学校の耐震化事業や津波災害を踏まえて新たに必要性が認識された一部公共事業、既契約の国庫債務負担行為の歳出化分に限り、例外的に復興特別会計に計上することとし、これら経費に係る財源は一般会計から繰り入れ、各府省に計上している。
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(2) 税制改正
25年度税制改正においては、成長による富の創出に向けた税制上の措置、社会保障・税一体改革の着実な実施、復興支援のための税制上の措置等を講ずる。
具体的には、所得税の最高税率の見直し、相続税の基礎控除・税率構造の見直し、少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置並びに金融所得課税の一体化の拡充、住宅ローン減税制度の拡充、研究開発税制の拡充、生産等設備投資促進税制・所得拡大促進税制の創設、事業承継税制の見直し、延滞税等の見直しなど、所要の措置を講ずることとしている。
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(3) 公務員等の人件費
公務員等の人件費については、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災や地域の防災・経済活性化などに対処する必要性に鑑み、国・地方を通じて、例年にない大きな抑制を行なっている。
国については、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(平24法2)に基づく給与減額支給措置を実施しており、また、退職給付の官民較差解消のために退職手当を段階的に14.9%引き下げること等の取組を実施している。行政機関の定員についても、現下の重要課題に適切に対応しつつ、厳しく業務の見直しや効率化に取り組み、2,374人(0.8%)純減することとしている。その結果、25年度予算における国家公務員の人件費は、一般会計及び特別会計の純計で、24年度当初予算額に対して2,713億円(5.3%)減の48,231億円となっている。
地方については、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(平24法2)に基づく国家公務員の給与減額支給措置を踏まえ、各地方公共団体において速やかに国に準じて必要な措置を講ずるよう要請されたことを受け、25年7月から国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提とした削減を見込むほか、国の取組を踏まえた退職手当の引下げ、定員純減等により、25年度においても引き続き給与関係経費の抑制を図ることとしている。
独立行政法人等については、国の取組を踏まえた給与及び退職手当の引下げを実施することとしている。
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(4) 特別会計
24年度においては、「特別会計に関する法律の一部を改正する法律」(平24法15)に基づき、東日本大震災復興特別会計が新たに設けられた。
25年度においては、「国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律」(平24法42)に基づき、国有林野事業特別会計を廃止し、国有林野事業債務管理特別会計を新たに設けている。
なお、特別会計の歳出総額から重複計上分等並びに国債償還、社会保障給付及び地方財政対策等を控除した額は、120,074億円となっており、さらに、東日本大震災からの復興に関する事業に係る経費を除いた額は、24年度当初予算額に対して2,113億円(2.5%)減の82,382億円となっている。
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(5) 決算等の反映
決算及び決算検査報告等の予算への反映については、これまでも、積極的に取り組んできているところであり、25年度予算においても会計検査院の指摘や決算に関する国会の議決等を踏まえ、個別の事務・事業ごとに必要性や効率性を洗い直し、その結果を的確に反映している。
また、24年度予算執行調査については、75件の調査を実施しているところである。このうち67件の結果を踏まえ、事業等の必要性、有効性及び効率性について検証を行い、25年度予算に的確に反映している。
さらに、各府省の政策評価に示された達成すべき目標、目標を達成するための手段、どの程度目標が達成されたかに関する事後評価等を精査の上、各事業の必要性、有効性及び効率性を検証し、政策評価の結果を予算編成過程の中で適切に活用している。
