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第5節 予算

1.国の予算と財務局予算の推移

(1) 昭和24年度

 財務局が発足した昭和24年度は,戦後の荒廃した経済を復興させるため膨張した財政収支を均衡させ,インフレから経済の安定を図るべき大事な時期にあった。

 昭和24年度の予算編成は,日本経済の自立再建への指針ともいうべき「経済安定九原則(昭和23年12月)」に即して行われた。その基本方針は,国民が,自らの努力と耐乏によってインフレの根源を絶ち,一日も早く自主自立の経済態勢を整えることを目標としたものであった。終戦処理費,公共事業費をはじめあらゆる経費を圧縮し,予備費の計上すら取りやめたうえ,大幅な行政整理を行うという厳しい予算であった。

 このような財政の困難期に,財務局が国税局と分離し,新しい組織を整えていくことは,極めて難しいことであったと想像される。

 財務局の予算規模は,976百万円で,昭和54年度予算の33分の1である。業務別の構成割合は,人件費65%,管財関係経費22%,総務・理財関係費13%であり,人件費を除いて管財関係経費が大きな割合を占めているのは,戦後,旧軍財産,物納財産及び終戦処理費により取得した財産等,膨大な国有財産を管理していたためである。

 過去30年間の国の予算と財務局予算の推移は,次ページの表のとおりである。予算の増加割合を対比してみると,各年度とも増加割合が異なり同一歩調でないのは,財務局の所掌事務が広範多岐にわたり,その内容が予算編成のための各種調査,金融機関等に対する指導監督及び検査,国有財産の維持管理及び処分等調査・指導監督行政が主なものであることから,国の政策に左右される余地が少ないためであろう。

(2) 昭和25年度から29年度まで

 昭和25年度の国の予算は,経済統制を極力整理するため,補給金を大幅に削減し,債務の償還及び減税を行いつつ,前年度を下回った金額で編成された。

国の予算と財務局の予算の推移
年 度一般会計予算増 加 割 合財務局予算増 加 割 合
対前年度5か年平均対前年度5か年平均
 億円百万円
246,994  976  
256,333△ 9.58.81,0265.116.3
267,49818.41,16113.2
278,73916.61,76151.7
2810,17216.41,98012.4
2910,4082.31,964△ 0.8
 
3010,181△ 2.27.71,912△ 2.67.6
3110,6925.02,16413.2
3211,87711.12,59519.9
3313,31612.12,6411.8
3414,95012.32,7895.6
3517,43116.617.43,0409.014.3
3620,63518.43,34610.1
3725,56623.93,81113.9
3830,44319.14,63121.5
3933,1108.85,42717.2
 
4037,23112.415.95,6784.615.2
4144,59319.87,01023.5
4251,13014.78,86826.5
4359,37016.19,6548.9
4469,17816.510,85612.5
4581,87618.422.612,69016.915.7
4695,61116.814,81116.7
47119,32124.816,91314.2
48147,78323.919,28214.0
49190,99829.222,46916.5
 
50208,6089.214.924,5979.57.2
51244,67617.326,6438.3
52290,59818.828,3256.3
53342,95018.029,8395.3
54386,00111.331,8736.8
(注) 昭和52年度までは決算額,昭和53年度は補正後予算額,昭和54年度は当初予算額である。

 その後,昭和29年度までは,食糧増産経費,公共事業費,防衛関係費等の増加により,各年度17%程度の伸びを示した。

 財務局予算は,5か年間平均で16.3%の増加率であり,業務別の構成割合は,次ページの円グラフのとおりである。昭和27年度の増加率が高いのは,平和条約の発効によって,旧陸軍工廠等の財産について賠償指定の解除が行われ,これらの財産の管理処分を財務局が行うこととなり,300百万円計上された。このほか,進駐軍の使用していた国有財産が使用解除になったことから,これらの財産の管理処分も財務局で行うこととなり,39百万円が新規に計上された。また,財産税法等による物納財産の処分は,財産税特別会計で経理されていたものを,特別会計を廃止して一般会計で行うこととしたため,財務局にその処分経費79百万円が,新規に計上されたことによる。なお,財務局予算における人件費は,昭和27年度に初めて10億円台に達した。

(3) 昭和30年度から34年度まで

 朝鮮戦争以後の物価の高騰は,輸入増大と輸出不振の傾向をもたらした。財政の緊縮,金融の正常化による景気過熱の防止と国際収支の改善を図ることになり,昭和29年度予算は,「1兆円予算」の堅持が強く主張された。昭和30年度も引き続き健全財政,健全金融を目標とし,通貨価値の安定と物価の引下げ,資本蓄積等経済自立の基本条件の整備の年とされ,総合経済6か年計画が策定されたのもこの年であった。

 昭和31年度以降,生産,貿易,雇用の各分野で成長がみられ,国民所得も伸び,予算においても,公共事業費,農林漁業振興費,中小企業対策費,貿易振興費の増額が図られ,国の予算は,5か年平均7.7%の伸びを示した。

 財務局予算の伸びも7.6%と同程度の伸びを示している。昭和31年度に大蔵本省に計上されていた国有資産所在市町村交付金192百万円が,財務局予算へ組替えられ,昭和32年度においては,単年度経費であるが,明治神宮外苑内道路敷地有益費補償金151百万円が計上されている。これらの特別の要素を除くと,この期の平均伸び率は5.4%となる。財務局の活動経費である旅費,庁費は,昭和32年度以降,金融機関検査旅費,国有財産管理処分旅費,国有財産管理処分庁費等を中心として増額され,節約などから削減が続けられてきたが,ようやくこの頃に財務局の発足当時の予算額程度に回復してきた時期であった。

財務局予算における人件費と業務別経費の割合
25〜29年度30〜34年度
25〜29年度30〜34年度
35〜39年度40〜44年度
35〜39年度40〜44年度
45〜49年度50〜54年度
45〜49年度50〜54年度
(注) 金額は5か年間の当初予算額の合計額で,( )書は構成比である。

(4) 昭和35年度から39年度まで

 昭和35年12月,実質国民総生産を10年以内に2倍にするという所得倍増計画が閣議決定された。国の予算の重点は,道路,港湾等の公共事業の拡大,文教の刷新・充実,科学技術の振興,社会保障の拡充,貿易の振興,経済協力の推進,農林漁業の振興,中小企業対策の強化に置かれた。国の予算の平均伸び率は17.4%となり,大きな伸びがみられた時期であった。

 財務局予算は,平均14.3%の伸びを示しており,特に,昭和38年度は,公務員宿舎が充実してきたことによりその環境改善を図るため,維持整備費が288百万円増額されたことなどにより,その伸び率は21.5%となっている。この期間においては,前期に比べわずかではあるが,財務局の旅費,庁費等の活動経費の増額が図られている。

(5) 昭和40年度から44年度まで

 この時期は,我が国の財政史上極めて画期的な諸施策が次々と打ち出された時期であった。第1に,昭和40年に至って経済活動の停滞と長期不況の様相により,税収見込みが大きく狂うこととなった。このため,歳入補てん債を発行し,公債政策導入の第一歩が踏み出された。第2に,昭和41年度は財政規模の拡大を通じて有効需要を積極的に造出することとし,このため財政法の原則に即した健全な公債政策を導入することとなった。第3に,財政による効果が早期に現れるよう公共事業等の促進を行った。第4に,財政が,我が国経済の安定成長のために果たすべき役割は,一層重要度を増してきた反面,法律上,制度上の義務的経費の膨張による財政の硬直化が叫ばれ,昭和43年度においては,この硬直化打開をねらいとして総合予算主義の予算編成が行われ,昭和44年度もこの思想を引き継いで予算編成されたことである。

 したがって,この期における国の予算の伸びは,昭和41年度の高い伸び率から次第に減少を示し,5か年平均で15.9%となっている。

 財務局予算は,5か年平均で国の予算とほぼ同率になっているが,昭和41年度において,昭和36年度から大蔵本省に計上されていた共済組合連合会建設に係る宿舎の借上費836百万円が,財務局予算に計上されたため大幅な伸びを示しており,昭和42年度においても,宿舎の借上費449百万円と合同宿舎の維持整備費260百万円が増額されたほか,建築交換による庁舎取得費376百万円が大蔵本省より移し替えられたことなどから,2か年間にわたって予算の伸びが大きかった。昭和43,44年度は,硬直化打開の方針に従い,合同宿舎維持整備費等の増加も少なく,財務局予算の伸びも鈍化した。しかしながらこの期においては,財政政策遂行上,財務局の重要性が認識され,情報連絡強化のための経費,事務能率向上に要する経費の増額が行われ,財務局の行政経費の水準が画期的に向上した時期であった。

(6) 昭和45年度から49年度まで

イ 昭和45年度予算

 財務局が発足して満20年を過ぎた昭和44年の我が国の経済情勢は,昭和41年からの息の長い景気上昇が続き,景気はなお拡大基調にあった。海外経済のインフレ傾向を背景に国際収支も昭和43年以来黒字を続けており,物価については,卸売物価が昭和44年初めから騰勢を続けなお上昇傾向にあり,消費者物価も同様の状況にあった。

 このため昭和45年度予算は,警戒中立型予算とし,財政規模をできる限り抑制するとともに公債発行額を縮減(公債依存度7.2%から5.4%)し,法人税の増徴を図り,財政面から経済を過度に刺激することのないよう編成された。社会保障費,公共事業費,中小企業対策費が増額され,昭和44年度当初予算対比で17.9%の伸び率であった。

 財務局予算の規模は,126億円で,昭和44年度当初予算対比15.2%増と同年度の人事院勧告の給与改善率10.2%の影響もあり,人件費が13%伸び,物件費,施設費等の経費が,17.5%の伸びとなった。

 新規経費として,合同庁舎警備費24百万円,昭和46年3月31日現在における国有財産台帳価格を改定するための経費18百万円,給与計算を電子計算機システムに移行するための研究委託費,金融機関業務の電子計算機化に対処するための検査官を研修する経費,小笠原諸島所在の国有財産調査費等が計上されたほか,公務員宿舎の借上費452百万円,合同宿舎の環境整備費329百万円等が増額されている。

 この年3月から日本万国博覧会が開催され,5月には,今後6年間の重要な課題として,国際的視点に立つ経済の効率化,物価の安定,社会開発の推進及び適正な経済成長の維持を掲げた「新経済社会発展計画」が決定されている。

 なお,昭和44年度以降の当初予算額の推移は下表のとおりである。

当 初 予 算 額 の 推 移

年 度国の予算
(一般会計)
財  務  局  予  算
予算額増加率人件費物  件  費  等合 計増加率
総務会計理財関係管財関係
 億円百万円百万円百万円百万円百万円百万円
4467,3955,7561,2111673,8215,19910,955
4579,49817.96,5051,3191894,6026,11012,61515.2
4694,14318.47,3231,4852095,7027,39614,71916.7
47114,67721.88,3751,7912466,5378,57416,94915.1
48142,84124.69,4572,0263127,1529,49018,94711.8
49170,99419.710,7522,1493356,9049,38820,1406.3
50212,88824.514,6272,2864057,59810,28924,91623.7
51242,96014.116,6032,8034507,76711,02027,62310.9
52285,14317.417,4043,7075067,48011,69329,0977.3
53342,95020.318,1744,0155417,70812,26430,4384.6
54386,00112.618,7384,2795748,28213,13531,8734.7

ロ 昭和46年度予算

 昭和45年の経済情勢は,前年初めから騰勢を続けていた卸売物価が,5月以降弱含みで推移しながら,次第に落ち着きをみせ始めた。消費者物価は,季節商品の大幅な値上がりと,中小企業製品等生産性の低い分野の価格が,賃金,所得の上昇等を背景に根強い上昇を続けていたため高騰していた。景気は秋以降,鉱工業の生産出荷が伸び悩み,在庫水準が高まり,卸売物価が落ち着いてきたこともあり,次第に鎮静化の様子をみせた。

 昭和46年度予算は,経済の安定成長と物価の安定を図ることから,予算規模を適正型として編成され,伸び率は,当初予算対比で18.4%となった。公債・政府保証債の発行額を前年度同額とし,国民負担の軽減を図るため所得税等について減税を行い,物価,公害対策の推進,社会資本の充実,社会保障を重要施策として,財源を重点的に配分することとされた。

 財務局予算は,当初予算対比で21億円増加し,伸び率は16.7%で,人件費は12.6%とほぼ前年度と同じ伸び率となったが,物件費等は22.4%と,高い伸び率となった。

 財務部の主計業務を局へ集中化するための機構改革経費20百万円,財務部の単独庁舎について,夜間無人化するため自動火災警報装置等の整備を始めることとして13百万円,昭和45年に開催された万国博覧会の跡地を維持管理するための経費126百万円のほか,関東,近畿,東海の局・部について,給与計算事務を電算化するための経費等が新規に計上された。昭和44年から始まった国有財産業務の電算組織整備も3年目に入り,普通財産統計・情報検索事務については,関東,近畿,東海,中国の局・部と北海道,東北の本局について実施し,鑑定評価,宿舎設置管理事務については,実用化実験等を実施することとして,13百万円の増,また普通財産の管理処分経費74百万円,公務員宿舎の借上費536百万円,合同宿舎の特別修繕や環境整備費329百万円等が増額された。更に,事務の能率化を図るため,備品,ゼロックスの整備費が増額計上されている。

ハ 昭和47年度予算

 昭和46年の経済情勢は,前年11月以降の景気の停滞が引き続いていた。公定歩合の引下げ,公共事業の施行促進の措置により景気の浮揚に努めた結果,その兆しがみえたが,8月のニクソン・ショックにより景気は再び停滞して先行き不安となり,政府は公共事業を追加し公定歩合の引下げを行った。アメリカの国際収支の悪化により,国際通貨体制が動揺し,12月のスミソニアン会議において,1ドル308円の円高レートが決定され,円切上げによるデフレ圧力も懸念された。経済活動の停滞から国民生活に与える影響が憂慮され,速やかに景気回復を図り,我が国経済を安定成長させる必要があった。このような情勢の中で昭和47年度予算が編成され,財政の健全性を保ちつつ予算の規模を積極的に拡大することとし,景気の停滞により税収の大幅な増加が見込めないため,公債を,1兆9,500億円(45年度当初4,300億円)と大幅に発行し,予算の伸び率は21.8%と高い伸び率となった。

 財務局予算は15.1%の伸び率となり,昭和46年度の伸び率を下回ったものの,昭和45年度の伸びとほぼ同じであった。物件費の伸び率も前年度を下回ったが,新規経費として,国立京都国際会議場の増築工事の完成に伴い,初度備品を調達整備するための委託費100百万円,将来,歳出事務の機械化を実施するためのシステム設計に必要な実態調査費,国有地等の明渡し請求に伴う離作等補償金等が計上されたほか,昭和46年に行った国有財産の台帳価格改定により国有資産所在市町村交付金が240百万円増え,国有財産管理処分費,公務員宿舎借上費等も大幅に増加した。

 なお,従来(項)財務局に計上されていた(目)施設整備費と(目)合同宿舎維持整備費のうちの環境整備費は,財務局施設費を新しく立項して計上替えされた。

ニ 昭和48年度予算

 昭和47年は,前年に引き続き公共事業の施行促進の措置がとられ,景気浮揚のため10月に,補正予算が編成された。景気は,財政支出,個人消費,民間住宅投資の増大により,ゆるやかに回復に向かっていた。国際収支は,大幅な黒字を続け,円再切上げの議論が活発であった。

 昭和48年度予算は,我が国経済の国内均衡と対外均衡の調和を図り,経済の安定成長を保ちつつ積極的に国民福祉の充実に努めることとし,地価対策,輸入政策の活用等,物価安定対策を重点に編成された。社会保障関係費,公共事業関係費,経済協力費の予算が増額され,予算の伸び率は,当初予算対比で24.6%と大幅な増加となっている。

 財務局予算は,20億円の増加,11.8%の伸び率で,国の予算に比べ低い伸び率となった。新規経費として金額の大きなものはないが,危険区域から住民を集団移転させる事業について危険区域を確認するための調査費,公共事業施行促進のための調査費,旧軍用施設の転用・活用の状況調査費,旧軍未登記財産の所有権移転補償費,国家公務員共済組合連合会貸付財産の実態調査費等が計上され,国有財産の管理処分費140百万円,公務員宿舎借上費267百万円,合同宿舎環境整備費150百万円等が増額された。

ホ 昭和49年度予算

 昭和48年に入っても財政支出,個人消費支出,設備投資の増大により,景気は上昇傾向にあった。国内物価は騰勢が続き,特定物資について不足の状態が発生し,狂乱物価の年を迎えた。過剰流動性が問題とされ,総需要抑制策として公共事業等の契約の抑制,財政の繰延等の措置が行われた。10月にOPECの石油生産の削減及び原油価格の値上げから「石油ショック」が発生し,これを契機に物価の高騰が続き,景気の先行きが懸念された。

 昭和49年度予算は,物価の安定を最優先の政策課題として,石油をはじめとする物資需給の均衡と国民福祉の向上を引き続いて推進することとし,このため予算規模は厳しく抑制することとされ,また公債を減額することとし,予算は当初予算対比で19.7%の伸び率となった。

 財務局予算は,22億円の増,12.1%の伸び率で,予算総額は200億円を超えている(前年度予算合同宿舎環境整備費及び赴任旅費を組替後の比較)。

 新規経費としては,財務広報官設置に伴う広報活動費,外国為替公認銀行の検査経費,地価の異常な値上がりに対処するための土地関連実態調査費,行政協定の実施による普通財産処分費,返還財産について地下防空濠の確認経費,旧国有未開地の脱落地実地調査経費等が計上されているほか,国有財産の管理処分費,公務員宿舎の一般修繕費等について増額されている。

 昭和48年度まで財務局予算に計上されていた合同宿舎環境整備費及び赴任旅費は,翌49年度から大蔵本省へ計上することとなった。

(7) 昭和50年度から54年度まで

イ 昭和50年度予算

 昭和49年に入っても石油ショックによる影響から,物価の高騰が続いた。総需要抑制策が続けられ,公共事業等の契約の抑制,財政の執行を原則として8%を目途に繰延べることとされた。民間給与の大幅な上昇の影響を受けて,国家公務員給与も,人事院勧告制度ができて以来の大幅な(29.64%)改善が行われ,このため大型の予算補正が行われた。物価の安定を最重点に,総需要抑制策が続けられたため年度途中から物価は比較的落ち着きを示したが,経済の停滞は続いていた。

 昭和50年度予算は,このような情勢を踏まえ,引き続き抑制的な基調のもとに,国民生活の安定と福祉の充実に配慮することとし,公債を前年度当初発行額より減額することとした。予算規模は21兆円を超え,前年度当初予算対比で24.5%増であるが,補正後予算対比では10.9%増と抑制型予算となった。

 財務局の予算規模は249億円となり,当初予算対比で48億円,23.7%の増となった。昭和49年度の大幅な給与改定の実施により,人件費が36%の増となり,物件費等については,前年度を若干下回った9.6%の伸びとなっている。

 新規経費としては,筑波研究学園都市の合同宿舎が一部完成することにより管理業務委託費19百万円,昭和51年3月31日現在の国有財産台帳価格の改定経費27百万円が計上され,その他公共事業等の新規採択補助事業調査費,みなし河川区域の引受立会及び実地調査経費,富士山頂譲与経費等が計上された。このほか,国有財産の管理処分費,公務員宿舎の増加により維持管理費が,それぞれ増額されている。

ロ 昭和51年度予算

 昭和50年に入り景気は底を打ち,緩慢ながら回復基調を見せはじめた。卸売物価も鎮静化の状況にあったが,個人消費,設備投資に力が欠け,景気の回復の足どりは鈍かった。このため,第1次から第4次の景気対策を実施し,税収の大幅な落ち込みから特例公債の発行に踏み切り,公共事業を中心としたとした予算補正を行って景気の浮揚に努めた。

 昭和51年度予算は,国民生活と経済の安定及び国民福祉の充実に配慮しつつ,財政の改善合理化を図り,景気の着実な回復に資するための施策を実施することとして編成され,予算規模24兆円,当初予算対比で14.1%の伸び率となった。

 財務局の予算規模は,276億円となり,昭和50年度当初予算に対して28億円,10.9%増の低い伸び率となった。これは昭和50年度予算の節約が,原則として旅費について20%,庁費について15%と大幅な節約率で行われ,節約後の計数をベースに昭和51年度予算が編成されたことによる。

 新規経費として金額の大きなものはないが,財務局考査官行動経費,給与EDP処理要領説明経費,小額貨幣流通状況調査経費,貯蓄実践地区巡回指導経費,京都国際会議場に身障者用エレベーター等の整備費などが計上された。

 国有財産の台帳価格を改定したことにより,国有資産所在市町村交付金が348百万円,公務員宿舎の維持管理費が141百万円増額計上されている。

ハ 昭和52年度予算

 昭和51年に入ると,国内需要や輸出の好調な伸びに支えられて景気は比較的順調な回復を示したが,夏以降,そのテンポは緩慢となり,景気の先行きに不安がみられた。このため景気刺激策の措置を講じ,予算補正を行うとともに公共事業等を追加した。

 昭和52年度予算は,国民生活の安定と経済の着実な成長に重点を置いたが,大量の公債金収入に依存している我が国財政の収支改善を図ることが急務であるとし,予算規模は適度にということで編成され,総額28兆円,当初予算対比で17.4%の伸び率となった。

 財務局予算は291億円となり,昭和51年度当初予算対比で20億円,7.3%増と前年度を下回る低い伸び率となった。

 新規経費として,教員の給与実態調査経費,財務部管内の主要経済指標作成費,庁費の実態調査経費等が計上されたほか,国有財産が増加したことにより国有資産所在市町村交付金が672百万円,国有財産の管理処分費105百万円,公務員宿舎の維持管理費121百万円増加したのが主なものである。

ニ 昭和53年度予算

 昭和52年の景気は前年と同じ動きを示し,前半は回復がみられたが,後半には緩慢となり,民間設備投資及び住宅投資等も停滞した。前年度同様景気対策が講じられ,公共事業早期執行等の措置がとられた。また,輸出の伸びが鈍化し,輸入の伸びも鈍化したため国際収支は相変わらず大幅な黒字を続け,円相場の大幅な上昇がみられ,我が国国際収支の黒字に対する外部圧力も強くなり始めた。

 昭和53年度予算は節度ある財政の維持に配慮しつつ,財政が内需の振興に積極的に機能する必要があるとの基本方針から,予算を経常部門と投資部門とに分け,経常部門については,経費の節減合理化に努めその規模を圧縮することとし,反面,投資部門については,充実することとして編成された。予算規模34兆円,当初予算対比で20.3%の伸び率であった。昭和52年度第2次補正予算を合わせて,15か月予算による切れ目のない執行を確保するため,投資部門である公共事業関係費について,積極的に規模の拡大を行い,エネルギー対策費,経済協力費,社会保障費に重点的に予算が計上された。

 財務局予算は,経常部門の規模の圧縮の方針を受けて304億円,当初予算対比で13億円,4.6%増の低い伸び率となり,財務局予算は,低成長の時代を迎えることとなった。

 新規経費も金額の大きなものはないが,財務局発足30周年記念誌の発行準備経費,地域経済構造の分析調査経費,公共事業等執行状況実態調査経費,旧軍港市国有財産処理審議会経費,返還財産処分経費,北海道に所在する旧国有未開地の実態調査経費,要引継公共用財産の実態調査経費等が計上されている。既定経費で増加額の大きなものは,国有資産所在市町村交付金204百万円,国有財産の管理処分費80百万円,公務員宿舎の維持管理費111百万円等である。

ホ 昭和54年度予算

 昭和53年は52年から顕著となった円相場の上昇が続き,その急騰による国内経済への影響が憂慮された。国際収支のアンバランス,インフレ等,先進国が抱えている経済問題の解決を図るため,各国が協調して行動することとされた。我が国はこのような状況の中で,景気の回復と国際収支の黒字の縮小を実現するため,公共事業の施行促進,公共投資の追加を内容とする予算補正を行ったこと等により,景気は順調に回復しつつあった。

 一方,ここ数年,財政面から景気回復に力を注いできた結果,公債発行額も多額となり,予算規模に占める公債依存度が,昭和53年度当初で36.9%と大きな割合を占めていることから,昭和54年度予算編成においては財政再建が強く叫ばれた。このため,歳出の厳しい見直しが行われ,経常事務費をはじめとする一般行政経費は,極力抑制することとして編成され,予算規模38兆円,当初予算対比で12.6%と低い伸び率となった。

 財務局予算は318億円で当初予算対比14億円,4.7%増の低い伸び率となった。人件費は,昭和53年度給与費の5%を計上していた給与改善費が,2.5%とされたこともあり3.1%の伸びで,物件費等は,7.1%の伸びとなっている。

 新規経費としては,地方出先機関の中間管理職を対象として行う決算関係事務研修経費,国家公務員共済組合法改正に伴う制度改正説明会経費,貸金業法制関係指導経費,通貨関係機器実態調査経費,財務局発足30周年記念経費,行政財産等の使用状況調査経費,島しょ部に所在する財産の調査経費等が計上されており,例年のとおり,国有資産所在市町村交付金,国有財産の管理処分費,公務員宿舎の維持管理費の増額も行われている。


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