財務省 採用案内 2013
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後藤 武志アジア開発銀行(ADB)職員PROFILE49Message職員からのメッセージ<海外編>●平成11年●平成13年●平成15年●平成16年●平成17年●平成18年金融企画局企画課主税局調査課 理財局国債課米・ボストン大大臣官房信用機構課課長補佐大臣官房政策金融課課長補佐政策を提言するということ求められる専門かつ幅広い知識と経験アジア各国から求められる財務省での知識と経験[平成11年入省] 私は、マニラにあるアジア開発銀行(ADB)において、主にASEAN各国の国債市場を改革する仕事を担当しています。その仕事の一部を紹介しながら、財務省で働くことの魅力を紹介させてください。 この原稿を書いている現在、国債流通市場の流動性を高めるための各種施策を、監督当局をはじめとする政府や国債に関わる関係者に提言するプロジェクトを担当しています。 国債の流動性は、発行・流通制度、保管振替・決済制度、デリバティブ市場、金融税制、取引を巡る市場慣行、取引前後の価格や取引量の情報公開制度等、多岐にわたる要因に左右されます。要因の数だけ関係者もおり、発行者である財務省、取引の主体となるディーラーや投資家といった市場参加者、流通市場を監督する中央銀行や証券取引監視委員会、税務当局、取引市場提供者、情報ベンダー、証券保管振替・決済機関等が関わってきます。 プロジェクトでは、こうした多数の要因に対する綿密な調査と分析が不可欠です。過去の資料やデータの分析に加え、関係者から現状と意見を聞き議論しながら、国債の流動性の現状について幅広い観点から綿密な評価を行います。次にこうした分析と評価に基づき、その流動性を阻害している要因を取り除き、国債に関わる制度や慣行を新たに構築する施策を、政府を含む関係者に提言していくことになります。その際、関係者の利害関係や反応を考慮しながら、実行性のある提言を行い、個別施策の実施順序まで含めて提示します。 プロジェクトの過程では、ADBであればたいていの機関や関係者とも会うことができますが、中途半端な知識と事前調査不足のままで各業務の専門家である相手と面会すると表面的な儀礼と説明だけで体よく追い返されることもあります。利害関係がかかる分野では関係者の反発を招くこともあります。他方、相手を返答に窮する、時には怒らせるような質問や提言ができれば、問題の核心まで迫っているかもしれません。 例えば、ある国では、取引報告にかかる過大なコストが国債取引の阻害となっていました。義務である取引報告のためのシステムに、必要のない取引システムが併せられた結果、端末feeが不当に高いことが原因でした。責任者の自主規制機関と面会すると、効率的なシステムと自慢していましたが、我々から、金融機関が義務として負担すべき報告端末と任意のサービスである取引システム端末は分離するべきと伝えたところ、監督当局の“暗黙”の了解がありADBに言われる筋合いはない、との回答で追い出されました。後に監督当局に確認したところ問題として把握していないだけでしたが、こうした監督当局の威を借りて営業を行う自主規制機関の利益相反の問題はよく見かけます。 このような政策を提言するプロジェクトにおいては、担当分野の専門知識にとどまらず関連分野への幅広い知識が必要です。また、実際に政策を提言する段階では、その国の政策立案プロセスを理解し、実行可能性の高い提言を行う必要があります。 翻って、財務省は、予算、税制、国債、国庫資金管理、為替等の関連する各分野を所管しており、勤務を通じて財政・金融に関する専門かつ広範な知識を得ることができます。また、日本での政策決定プロセスで経験する関係者間の利害調整や根回し等の経験は、専門家やコンサルタントでは持ち合わせていない貴重なもので、実際に政策を提言する際に大変役立ちます。そして、財務省勤務で蓄積する知識や経験が世界各国で必要とされ、それをキャリアの中で発揮できる機会があるということは財務省で働く一つの魅力ではないでしょうか。

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