財務省 採用案内 2013
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44Message職員からのメッセージ<霞が関・永田町編>石井 隆太郎厚生労働省保険局総務課医療費適正化対策推進室室長補佐[平成15年入省]PROFILE●平成15年●平成17年●平成18年●平成20年●平成21年理財局国債課、国債業務課広島国税局調査査察部主計局法規課米・ボストン大大臣官房文書課課長補佐現在の財政状況厚生労働省保険局に配属となってあるべき医療保険制度の姿財政と人の「生」の質 日本の医療保険制度を所管している厚生労働省保険局に出向し、日本の医療の現状を知るにつけ、改めて思うようになったことがあります。 それは、人間は必ず、どんな例外もなく、いずれは肉体的・精神的に衰えていき、やがてこの世を去らなければならない、という当たり前の事実です。これは、きっと誰しも理性としては理解できていても、日常の中で実感として思いをいたす機会は少ないのではないでしょうか。 日本の医療保険制度は全ての人が加入する国民皆保険を実現しており、例えば皆さんが病気に罹って病院に行った場合でも窓口で支払うのは、かかった医療費の一定割合だけで良く、その他の金額は、保険料や税金から賄われることになっています。また、不幸にして非常に高額な医療を要するような病気に罹ったとしても、支払う金額は一定限度までで済む制度も存在します。このような制度があるおかげで、私たちは、万が一、病気に罹った場合でも安心して病院や診療所に行くことができます。 人は、加齢によって必然的に健康状態が悪化し、場合によっては病気に罹患し、日常的な生活を営むことも困難になって、様々なケアが必要になってきます。人は誰しも年をとるわけですから、こうした制度は、私たちの生活に大変に重要な役割を持っています。 この医療保険制度が、厳しい財政事情の下、岐路に立たされています。 現在、75歳以上の高齢者の方々へ支出される医療費は、65歳未満の世代に支出される医療費の約5倍に相当しており、医療費は全体で約40兆円近くに上ります。今後、ますます社会全体の高齢化が進んでいくことで毎年1兆円程度増加していくことが見込まれています。 一方で、国の財政状況を見てみますと、歳入の半分近くを借金である国債でまかなう一方、過去の借金の返済や地方自治体への支援(地方交付税)と医療保険や年金の支出を含む社会保障関係費で支出の80%近く占めている、というように、こちらも非常に厳しい状況です。 様々な場面で議論されているように、今後、国が借金をして将来の世代へ負担を先送ることを回避するためには、年金であれ医療保険であれ、給付を見直すか、増税などにより新たに現在の世代の負担を増やすか、そのどちらか、もしくは両方が必要になってきます。 このような議論の際に、消費税や保険料を上げる、といった負担の議論もさることながら、給付面の議論は非常に難しい問題をはらんでいます。つまり、財政が厳しい、ということを以て、仮に医療保険制度がカバーする範囲をもっと狭くしよう、という議論があったとします(例えば、特定の病気は、そもそも全額自己負担とするなどです。現在でも、一般的でない医療技術等は保険の対象外となっています)。 これは直ちに特定の患者の方々の自己負担が増えることになりますから、場合によっては高い医療費を払えず、必要な医療を受けられないことで健康をさらに害したり、場合によっては、そのことにより命を落とされる方も出てくるかもしれません。 医療保険制度は、基本的に、国民の支払う保険料によって運営されているのですから、突然の病気や怪我など困った時に助けてくれるものとして、国民に理解され、信頼されなければそもそも成り立ちません。ですから財政状況を踏まえ、現在・将来の世代の負担の公平性等を考えた上で、しっかりとした議論が必要です。 ここに私のように財政当局と厚生行政の両方を経験した人間の使命があるのではないか、と思っています。人の生命や「生」の質をお金に換算することはできませんが、かといって現在の世代の生命や「生」の質のために将来の世代のそれがなおざりにされて良いわけではありません。財政という観点から、現在から将来にわたって持続可能な公平な制度の構築が、今、求められており、財務省と厚生労働省は非常に重要な役割を担っていると感じています。

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