財務省 採用案内 2013
21/58
今、我が国の多くの企業は、世界、特にアジアをサプライチェーンに組み込み、それらをより高度で複雑なものへと発展させている。これらの背後に、成長と生き残りを賭けた、熾烈な国際競争があることは言うまでもない。そして、国家もまた、その発展と成長を賭けて、グローバルな競争環境の中に置かれている。こうした中で、関税局は、アジアを中心とした地域における貿易円滑化に取り組んでいる。例えば、自国企業により有利な貿易環境を構築するため、新興国の貿易円滑化や貿易・物流政策に関与する。それは、誤解を恐れずに言えば、他国の物流・通関制度や貿易手続のためのシステムなどを、自らの色に染め上げていくような作業である。プレーヤーは、我が国だけではない。韓国のようなアジアの、あるいは米国、EU、オーストラリアといった世界の主要国が、アジア、中でも我が国がこれまで緊密な関係を築いてきたASEANなどに猛烈な勢いで入り込み始めている。アジアという成長地域を舞台とした貿易制度・システムの標準化をめぐる国際競争の様相がそこにある。こうした中で、勝ち抜き、成長を実現していくためには、我が国も、より明確な成果を求め、戦略的に取り組む必要がある。例えば、二国間の政策協議を通じて相手国の政策に関与しながら、開発援助政策を活用して、世界的に見ても先進的な我が国のIT化・統合化された貿易システムを新興国に導入する。アジアの貿易システムを「日本型」に刷新し、日本企業の競争条件そのものを向上させる試みである。こうした取組のため、いくつかの新しい施策の立案や調整を行った。例えば、アジアの開発パートナーであるアジア開発銀行(ADB)との連携を求めた。関税局が発展させてきた通関・物流分野の先進性と人的資源を、国際開発金融機関が持つ開発政策のエキスパティーズと結びつけ、より深く、アジアに入り込む狙いがある。さらに、この数ヶ月、国内外の開発政策関係者や世界税関機構(WCO)といった国際機関を巻き込み、アジアの貿易円滑化の将来構想を協議してきた。間もなく、我が国から、アジアの共通目標を提案する予定となっている。このような政策の立案と実施にあたっては、我が国の国際経済戦略、途上国に対する開発政策、国際開発金融機関との関係、通関・貿易分野の知見など総合的で幅広い理解と判断が求められる。いずれも財務省が背負う主要な政策分野であり、この組織が蓄積し、発展させてきた知的資源、人材、世界に張り巡らされた財務省職員のネットワークといったものが、国際的な政策競争の中で、日本の国益確保の源泉となる。入省して10年目になるが、改めて、財務省が担う政策の幅広さと深さ、そしてそれを支える人的資本の厚みを実感させられる。そして、最後に、国家のために働く、緊張感ある毎日を今でも過ごしていることを、お伝えしたい。西野 太亮関税局関税課課長補佐[平成15年入省]●平成15年●平成17年●平成18年●平成20年理財局財政投融資総括課福岡国税局調査査察部大臣官房総合政策課米・コロンビア大湯山 壮一郎関税局関税課課長補佐[平成14年入省]●平成14年●平成16年●平成18年●平成20年主計局総務課、法規課高松国税局調査査察部大臣官房秘書課財務官室総務省自治行政局20アジアを中心として貿易円滑化に取り組む 「たった△%と思われるかもしれませんが、私たちにとっては死活問題なんです。是非とも現行の関税率を維持してください!」平成23年度関税改正を巡って、私たちはそんな鬼気迫る訴え、悲鳴にも似た声を電話口であるいは直接面と向かって何度も聞いている。その度に関税改正という影響力の大きい仕事を担っていることの恐ろしさと貴さ、ありがたさを痛感する。 そんな私たちの仕事は関税率の査定と関税率に係る関税制度の策定だ。どんな制度であれ、ひとたび制度が構築されれば、人々は制度本来の趣旨を離れて制度自体を所与のものとして経済を営み、そこに利害が発生する。それゆえ、制度を改正するのは決して容易なことではない。関税制度も同じだ。例えば、「より一層の途上国支援」、「WTOルールに則った制度の再構築」、「新興国の台頭等の時代の変化への対応」といった平成23年度特恵関税改正における当初の大目標は、時に一つの利害の前に無力になりかねない。特に関税は、生産者や消費者等の利害関係がWTOルールの下で複雑に絡み合う厄介な代物だ。そのため利害調整は困難を極める。物資を所管する経済産業省や農林水産省と粘り強く何度も繰り返し協議を重ね、時には互いに激しく衝突しながらも、特恵関税改正の目的を実現しつつ、出来る限り利害関係者にも理解してもらえる改正案を模索することとなる。こちらを立てればあちらが立たず、あちらを立てればWTOルールにそぐわない。そういうことを繰り返すうちに、嫌になって投げ出したくなる時もある。大目標の達成を諦めそうになる時だってある。利害関係者から直にののしられて、たじろいでしまうことだってある。それでも私は信じている。どんな状況でも、諦めずに、目的が最大限に実現できる関税改正を追求し続ける、それが我々の使命であると。関税率△%を改正することの重み
元のページ