財務省 採用案内 2013
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01はじめに 財務省について、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。恐らく皆さんが新聞やテレビなどから受けるイメージは、現場から離れた霞が関で、少しでも予算を削ろうとする、国家財政のためなら何が何でも消費税率を上げようとする、いわば「国の金庫番」といったところかもしれません。 しかしながら、ここで私たちが明確に申し上げられることは、「ひとたび財務省で働けば、そのイメージが誤りであることに気付く」ということです。 財務省の真の姿は、国民皆が暮らし続けたいと思える国造りのため、資金の流れという観点から、我が国経済社会の未来予想図を描き、そのために必要な全体最適な政策パッケージを国民の皆様に提案し、実践していく組織なのです。 2011年3月11日(金)午後、東日本大震災が起きました。マグニチュード9にも及ぶ大きな地震は、東北地方の沿岸部を飲み込んでしまうほどの大津波を引き起こし、ひいては、福島第一原子力発電所の冷却機能を失わせ、放射性物質の拡散を招く事態となりました。 他方、被災した地方自治体の中には職員の多くが亡くなられたところも少なくないため、国主導でガレキ処理等の復旧事業が開始されました。官邸では東日本大震災復興構想会議が設立され、復旧から復興の過程へと進んでいます。大震災に伴う被害額は25兆と言われ、復興に必要な資金はそれ以上ともされる中、5月には約4兆円の平成23年度第一次補正予算が成立しました。こうした震災への対応の中で、財務省は何を目指し、どのような役割を果たしているのでしょうか。以下、具体的に説明することを通じ、皆様に財務省の真の姿を垣間見て頂きたいと思います。 まず、我々は、常に全体最適な資金の流れを目指します。例えば、原子力発電所の問題です。現在、危険区域にお住まいの方々が避難を余儀なくされ、近隣県の農家の方々も放射性物質の拡散の問題から風評被害にあうなど、経済的な被害が広がりつつあります。こうした中、国が大規模な予算措置を講じ、賠償を一手に引受けるべきとの議論があります。一時的には、全ての被害に賠償が迅速に行われ、一定の政策目的は達成されますが、これを中長期的に放置すれば、現在GDPの2倍近くに上る財政赤字が更に膨れ上がり、国債金利は上昇し、国債の格付けも下がることでしょう。その影響は、国債を大量保有する金融機関の財務状況を直撃し、最終的には、被災地域の復興のために資金を融通すべき金融機関の貸出余力まで弱めることとなるでしょう。 他方、東京電力にその賠償責任を全て負わせるとの議論もあります。仮にそうなれば、東京電力は破綻リスクを背負い込むこととなり、東電を大口融資先に持つ金融機関の財務状況が悪化するだけなく、東電債が指標銘柄とされてきた我が国社債市場までも壊滅的打撃を受け、復興を目指す企業のみならず、我が国企業全体の資金調達を困難なものとするでしょう。このため、電力の供給を継続し、かつ賠償に必要な金額を迅速に集め給付するには、まず政府が資金援助(予算・政府保証)を行う一方、国民負担を極小化するため、国が東電の経営を監視しつつ、東京電力の上げる利益により国に長期に渡り返済させるスキームが必要となります。これが、我々財務省が「失われた10年」といわれる不良債権処理に際し学んだ知恵であり、正に我々からこうしたスキームを提案したのです。つまり、資金の流れというものは、全体として一つにつながっており、ある部分の対策(部分最適)のために無理をすれば、必ずや他の部分に弊害を生ずるものであり、これを最終的に全体最適なものとするための不断の取組みが欠かせないものなのです。 そのために、我々は提案します。ある時、その施策が真に必要なら、たとえそれが歳出増や減税を伴うものであっても我々は提案します。被災地の復興に向けた各種の予算措置や税の減免は正にそれにあたるでしょう。しかし、同時に全体最適な資金の流れを実現するためには、耳障りの良いことだけでなく、耳障りの悪いことも、財務省として全て正直に提案していく必要があるのです。 例えば、東日本大震災の復興のために必要な施策や原発事故による経済被害への対応には、多額の資金が必要なことは明らかです。他方、我が国の財政赤字が膨れ上がる中、この財源の殆どを赤字国債に頼るとすれば、少子高齢化の進展に伴う社会保障給付の天文学的な急増の影響を待たずして、国債市場が必ずや反応し(金利上昇)、日本売りが始まるでしょう。このため、復興に向けては、その構想だけでなく、この天災による被害を、社会全体で共に支えあう共助の観点から、復興のための財源(復興税)の創設も必要となり得ます。その場合、十分な財源を賄うためには消費税が良いのではないか。消費税は被災地の低所得者にも負担となる税という一面もあることから、所得格差への対応や被災者への減免も容易という点を踏まえ、所得再分配機能を有する所得税により対応すべきではないか。所得税で賄える財源には限度があるため、やはり消費税と所得税の組合せとすべきではないかといった点を検討し、最適なものを提案していくのです。震災による経済的な低迷を打開するための税負担の軽減など、業界団体や下部組織からの耳障りの良い陳情を世間に提案することは簡単ですが、仮にそれを実現しても財源面など全てがバラ色ではないことをきちんと説明し、我が国の経済社会のあるべき姿に向け、必要な措置を併せて提言し判断していく、それが財務省です。 更に、我々は実践します。つまり、我々の仕事は提案で終わるのではなく、我々にはそれを現場で実践し改善する責任がありま
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