財務省 採用案内 2013
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09税制企画とは<業務の主なカウンターパート> 税金とは、国を運営するための財源であり、国が国として存立するための基盤です。税金は、我が国で暮らす一人一人の方々の生活の糧から支払われる『会費』であり、税制のあり方が公平・透明なプロセスで決定されることにより、なぜこうした負担が必要なのか国民から納得されることが極めて重要です。<概要>全省庁(税制改正要望関係)/総務省(地方税関係)/内閣府/国際機関/外国の税制当局/税理士/会計士/弁護士/税法・財政学者/社会学者/エコノミスト/経済団体/労働団体 等税制企画Fiscal Policy財政政策 「税は国家なり」、「税を考えることは、国家を考えることである」といった言葉に表される通り、税制は、国や社会のあり方に多大な影響を及ぼすものであり、その役割は実に多様です。税制の役割の一丁目一番地は、政府が国民にサービスを提供するための財源調達機能ですが、必要財源が調達できれば全て良しというわけではありません。税制の持つ影響の大きさに加え、国民から強制的に財産の一部を徴収するという税の性質を踏まえれば、その企画立案にあたっては、「誰が、どの程度ずつ、どのように負担すべきか」を徹底的に考え抜く必要があります。 例えば、「金持ちは、多くの税金を払うべき」という考え方があります。これは、能力に応じて負担をするという「応能負担」の観点から、もっともな主張です。しかし、仮にこの一見単純に見える命題を制度化する場合、実に多様な視点が必要になります。 まずは、当該税制が経済にプラスかどうかという経済政策的な視点です。「金持ちは、多くの税金を払うべき」とはいっても、所得の多い人に、過大な税金をかけてしまっては、労働のインセンティブが失われてしまいますし、付加価値を多く生み出す有為な人材が海外に逃避してしまう可能性もあります。 次に、当該税制が富の再分配にどう影響を与えるかという社会政策的な視点です。金持ちに多くの負担を求める一方で、貧しい人に給付をすれば富の再分配が行われるわけですが、そもそも負担を求めるべき「金持ち」とはどういった人なのか?所得が多い者なのか、資産が多い者なのか。目指すべき社会についても念頭におきつつ、所得課税と資産課税の適正なバランスを見定める必要があります。 そして、当該税制が執行可能かという税務行政の視点です。仮に資産家に課税を行おうとしても、総資産額を常時確認することは困難であるという執行可能性の問題に直面します。そのため、資産家は、資産のない者よりも多くの消費をするはずなので、消費額に応じた消費税を負担してもらってはどうかという議論も出てきます。 このように単純に見える一つの命題であっても、税制の企画・立案においては、様々な角度から物事を考える視野の広さと、価値の比較衡量を合理的に行うための知見が必要です。 そして何より、現在の税制を考えるにあたって重要なのは、過去を省み、将来を見据えるという時間軸的な視点です。1990年代以降、我が国では、財政赤字が急速に拡大し、2011年3月現在、国と地方を合わせた長期債務残高は約900兆円に達しています。負担を将来世代に先送りするのではなく、今を生きる世代が少しずつ分かち合い、将来に渡って国民全体として満足度が最も高い形になるよう、税制の本来の役割である財源調達機能の回復が急務となっています。子や孫にこの素晴らしい日本を引き継ぐために、主税局は挑み続けます。
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