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財政投融資対象事業に関する政策コスト分析(試算)(平成12年度)

財政投融資対象事業に関する政策コスト分析(試算)
(平成12年度)

.本資料は、財政投融資を活用している事業の実施に伴い、国(一般会計等)から将来にわたって投入される補助金等を計算した政策コスト(試算値)等について、14機関(住宅金融公庫、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行、帝都高速度交通営団、社会福祉・医療事業団、日本育英会、日本道路公団、本州四国連絡橋公団、中部国際空港株式会社)が試算した分析結果を、コスト分析・評価検討会(資金運用審議会懇談会座長が主催する学者のアドバイザリー・グループ)等における実務的な検討を経て、整理したものである。


.分析に当たっては、将来にわたる補助金等を割引現在価値の形で把握するために、一定の前提条件に基づく仮定計算を行っている。従って、前提条件の設定如何により、分析結果の数値が相当程度異なったものとなることに留意が必要である。



.本分析における「政策コスト」の定義

 政策コスト分析における「政策コスト」とは、財政投融資を活用している事業の実施に伴い、今後当該事業が終了するまでの間に国(一般会計等)からの投入が見込まれる補助金等の総額を、割引現在価値として、一定の前提条件に基づいて仮定計算したものである。

 具体的には、以下のような推計値を合計したものである。

1  国(一般会計等)からの補助金、補給金、交付金は、毎年の投入額を割引現在価値に換算する。
2  国(一般会計等)からの出資金、無利子貸付金は、分析の最終年度までに国に返還されるものとみなし、その間の機会費用(出資金、無利子貸付金を他の用途に使用すれば得られたであろう利益に相当する額)は国からの補助金等と同様の経済効果を持つことから、これについて割引現在価値に換算する。なお、分析期間中に利益準備金が発生する場合にはその分出資金が増加するものとみなす。また、欠損金はマイナスの利益準備金とみなし、分析期間中の欠損金の減少は、利益準備金の増加(=出資金の増加)と同様の取扱いとする。
3  国(一般会計等)への納付金、配当等は、国への資金の移転であることからマイナスの補助金等とみなし、割引現在価値に換算する。

(注

)「政策コスト」は一定の前提条件に基づく仮定計算であり、前提条件の設定如何により、その推計値は相当程度異なることとなる。従って、本分析は、将来の制度・施策などを拘束するものではない。


.分析の対象

1

 本分析は、平成12年度に財政投融資の対象とされた事業に対して行っている。そのため、各機関が平成12年度財政投融資の対象外の事業を実施している場合には、それについて国(一般会計等)からの補助金等を受けていたとしても、その部分は本分析の対象から外れることとなる。
2  本分析は、平成12年度において実施・継続中の事業及び平成13年度以降の新規着手が既に予定されている事業を対象としている。


.前提条件の設定

 将来の財政投融資金利と割引現在価値に換算するための割引率は、各機関に共通の前提として、市場金利に基づき機械的な算出方法により設定した。それ以外の将来の事業見込み等の前提条件については、各機関の実状等を踏まえ、各機関によって独自に設定されている。

 具体的には、以下のように設定されている。


1

 共通前提:将来の財政投融資金利及び割引率については、平成12年度予算概算決定の時点(平成11年12月24日)における市中の国債流通利回りの実績値を基に、理論式による機械計算によって算出している。具体的な手順としては、
(i)  まず、市中の国債流通利回りを利用して、スポット・レート(特定の残存期間に対応する割引債の最終利回り)を算出する。
(ii)  求められたスポット・レートから、割引率(将来のキャッシュ・フローの名目値を現在価値に換算する際に用いる係数)を算出する。
(iii)  スポット・レートから、一定の手法を用い、インプライド・フォワード・レート(現時点での市場金利を前提とした将来の特定期間に対応する金利。例えば、5年後の5年もの金利等)を算出し、それを将来の財政投融資金利とする。
2  個別の前提:各機関に個別の前提条件は、個々の機関が行う事業の特性や各機関の実情等に応じて、例えば、以下のように設定されている。
(i)  政策融資を行う機関
1  将来の貸倒率の見込みについては、過去の実績を用いるケースや、格付会社の統計データを用いて信用リスクを機械的に算出しているケースなどがある。
2  将来の繰上償還の見込みについては、過去の実績を用いるケースや、計量モデル(ローンの経過年数及び借換対象となる民間ローンとの金利差を用いて繰上償還率を算出するもの)を用いているケースなどがある。
(ii)  事業を実施する機関
 将来の事業収入の見込みについては、既に開通している高速道路等の利用実績から予測される将来の交通需要を基に推計するケースや、空港整備計画の需要予測を基に既存空港の料金水準を参考に推計するケースなどがある。


.分析の手順
1  平成12年度予算概算決定の時点(平成11年12月24日)における計数を基に仮定計算を行う。
2  設定された前提条件に従って、将来の事業見込みを作成する。
3  作成された事業見込みに基づき、分析期間にわたる資金収支を作成する。
4  分析期間にわたる資金収支から、各年度における当該事業に対して投入が見込まれる国(一般会計等)からの補助金等を推計する。
5  推計された各年度の補助金等を、各年度毎に対応する割引率で割り引くことにより割引現在価値に換算し、それらを総計して「政策コスト」(割引現在価値換算)を算出する。


.各項目について
1  「財政投融資を活用している事業の主な内容」とは、本分析の対象とされた事業が、財政投融資を活用し、どのような政策目的に従って行われているのかについて、簡潔に記述したものである。
2  「補助金等が投入される理由」とは、どのような政策的理由により当該事業に補助金等が投入されているのかについて、簡潔に記述したものである。
3  「12年度財政投融資計画額」とは、本分析の対象とされた事業に係る平成12年度の財政投融資計画額である。
4  「11年度末財政投融資計画残高見込み」とは、平成12年度予算概算決定の時点における平成11年度末財政投融資残高見込みである。
5  「当該事業の成果、社会・経済的便益など」とは、当該事業のこれまでの成果とそれによって生じた社会・経済的便益、及び将来見込まれる成果とそれによって生ずるであろう社会・経済的便益について、定性的、定量的に示したものである。
6  「分析期間」とは、平成12年度より本分析の対象とされた事業の終了年度までの期間である。
7  「国からの補給金等」とは、国(一般会計等)からの補助金、補給金、交付金を指す。
8  「国からの出資金等の機会費用分」とは、国(一般会計等)からの出資金、無利子貸付金が分析の最終年度までに返還されるものとみなし、その間の機会費用を計算したものである。なお、利益準備金が発生する場合には、その分出資金が増加するものと見なしている。
9  「国への資金移転」とは、国(一般会計等)への納付金、配当、法人税を指す。
10  「欠損金の減少分」とは、分析期首に存在する欠損金が分析期末までに減少することを、利益準備金の増加に換算して、その額を抽出して示したものである。
11  「補助金等の12年度予算計上額」とは、各機関に投入される国(一般会計等)からの補助金等のうち、本分析の対象とされた事業に対して投入される部分のみについて、平成12年度予算に計上されている額を示したものである。
12  「民間借入金利等を用いて試算した場合の政策コスト」とは、分析期間中に必要とされる財政投融資資金の全額を、財政投融資資金と同様の借入年限・据置期間・償還形態により長期プライムレートなどの民間金利で調達すると仮定した場合の政策コストを試算したものである。なお、当該民間借入金利等については、各機関の実状を踏まえ、各機関がそれぞれ独自に設定している。
13  「特記事項など」とは、上記各項目以外に特に記載する必要がある点を示したものである。
  

政策コスト分析とは


住宅金融公庫

国民生活金融公庫

中小企業金融公庫

農林漁業金融公庫

公営企業金融公庫

沖縄振興開発金融公庫

日本政策投資銀行

国際協力銀行

帝都高速度交通営団

社会福祉・医療事業団

日本育英会

日本道路公団

本州四国連絡橋公団

中部国際空港株式会社