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第60回 財務省政策評価懇談会(6月14日開催)議事要旨

 

 1 日時  平成29年6月14日(水)15:01~16:39

 

 2 場所  財務省第3特別会議室 

 

 3 出席者 (懇談会メンバー)

 

      

 

秋池 玲子 

 

ボストンコンサルティンググル-プ

  シニア・パ-トナ-&マネ-ジング・ディレクタ- 

 

 

小林 喜光 

 

株式会社三菱ケミカルホールディングス 取締役会長

 

角  和夫 

 

阪急電鉄株式会社 代表取締役会長

 

田中 直毅

国際公共政策研究センター 理事長 

 

 

田辺 国昭 

 

東京大学大学院法学政治学研究科 教授 

 

座長 

吉野 直行 

 

慶応義塾大学 名誉教授

 

                                                                       (敬称略、五十音順)

       (財務省)

         佐藤事務次官、宮崎副財務官、岡本官房長、太田総括審議官、茶谷主計局次長、星野主税局長、
        
梶川関税局長、中村理財局総務課長、武内国際局長、根本財務総合政策研究所長、伊藤秘書課長、
                源新会計課長

 

       (国税庁)

        迫田長官、栗原審議官、永田監督評価官室長


       (事務局)

        浅野政策評価審議官、阪田文書課長、田平政策評価室長

 

4 議題

 (1)「平成28年度財務省政策評価書(案)」について

 (2)「平成29事務年度国税庁実績評価実施計画(案)」等について

 

 

 

5 議事概要

  事務局より議題(1)及び(2)について説明を行い、その後、メンバーから意見等を聴取した。

  メンバーの主な意見等は以下のとおり。

 

 

≪平成28年度財務省政策評価書関係≫

政策評価全般

  • その年に評点が厳しくなったものだけでなく、厳しい評点が何年か続いているものについても、どのように取り組まれたかということをもっと説明すべきではないか。
  • (今回の会議のように)ペーパーレス化で会議を行うことは、事務の省力化・効率化にもつながり、評価したい。
  • 評価書と附属説明書が統合され、全体で460ページから300ページにまとめられてすっきりした報告書になった点は評価したい。

 

財政・税制・経済運営関係

  • 社会保障と税の一体改革は本当に待ったなしの課題であり、引き続き力強く取り組んでもらいたい。
  • 2020年のプライマリーバランス黒字化の堅持をよろしくお願いしたい。
  • 総合目標1の財政については、いわゆる政治の大前提というものと、財務省の個々のアクションというものを基本的にもう少し仕分けた形でないと、財務省としてどういうことがクリアされれば評定が「A」なのか「S」なのかということが分かりづらい。
  • 我が国の財政の現状、今後起こりうる「財政の崖」というものについて、国民的な議論が起きるよう、エビデンスベーストの議論が行えるような指標や資料、ストーリーとして国民が広く分かるようなものを提示することが、今後重要ではないか。
  • 総合目標1で債務残高のGDP比率の安定化とプライマリーバランスの黒字化が同時に両方入っていることは非常に重要であり、ストックとしての債務残高のGDP比率、フローとしての財政赤字のGDP比率、経済成長率の3つの変数を考えて、歳出と歳入を連立方程式で、パッケージとして考えることが必要である。国民に示す際にもそれを上手く発信してほしい。
  • 最近の研究では、高齢化が進むと財政政策や金融政策の効き方が悪くなるということが顕著になっている。現在の日本経済の問題は、構造改革ができているか、その中で民間企業、特にホワイトカラーの生産性をきちんと上げることができているかである。
  • 高等教育の無償化の話が出ているが、高等教育よりも、日本が今直面している超少子高齢化の「少子」の方を改革するのが喫緊の課題である。また、その財源については保険ではなく、税で賄うべきであり、社会保障全体の中でその費用の組替えをせざるを得ないのではないか。
  • 高等教育の無償化のために税を使うのであれば、大学を抜本的に改革して、投資をするに見合う大学にしなければならない。
  • 高等教育の無償化、保育所の無償化についても、歳出と歳入をパッケージで国民に示し、常にその両方を見ることを必ずやっていただきたい。

 

その他

  • 総合目標3の国債について、「財政の崖」は二つ考えられる。一つは国債保有の外国人比率の高まり、もう一つは金融政策が引き締められた際の国債費の利払いの増加である。そうならないように早い段階で財政を上手く健全化させないといけない。
  • 総合目標4の通貨の偽造等について、日本の紙幣は品質が高いため、海外にも上手く売り込み、利用してもらうことができれば、特にアジアの途上国にとって非常によいことではないか。
  • 税関や徴税の仕組みを新興国に導入することは、新興国に対してソフトパワーを持つという意味で意義のある取組である。導入を効率的かつ生産性高く行うために、日本の仕組みを標準化、言語化するとよいのではないか。
  • 総合目標5の質の高いインフラ輸出については、国内では実験する市場がなくなっているため、日本のインフラ技術が相当低下しているという話がある中で、日本の質の高い技術を維持して、中国との競争に負けないためにも、その取組みは必要なことである。
  • 商工中金で起きた危機対応の融資に関する問題については、政策融資の中で営業という側面と政策的な目的を達するという2つの側面があり、どこでも起きかねない問題であると思われる。
  • 地震や災害の際のセーフティネットは政府が提供せざるを得ないため、信用保証制度の100%の保証や、政策金融機関による短期的な貸出、セーフティネット貸出は続ける必要がある。
  • 地震保険の目標値を達成したというのは非常に大きな成果だと思うが、地震国で付帯率の目標が「60.2%」でいいのかという議論もあると思うので、目標値については引き続き検討してほしい。


≪平成29事務年度国税庁実績評価実施計画関係

  • マイナンバーをはじめとした税の仕組みのICT化については、新たな仕組みが作られた国の先進的な事例の研究もさることながら、既に税の仕組みがあった国におけるICT化を研究することが、日本にとって実効力のある学びになるのではないか。
  • 負担能力に応じた負担を実現するため、マイナンバーでの所得や資産の捕捉が可能となるスケジュールを少しでも前倒しすべき。
  • マイナンバーカードの普及に関しては、e-Taxでの認証など、国税での利用が中心となると思われるので、数値の増加という目標だけでなく、もう少し何らかのアクションや広報等をやっていただきたい。
  • BEPSやCRSについては、極めて重要であり、国際社会をリードするくらいに進めてほしい。
  • 国際社会における税金をめぐる問題については、当局の立場を広く理解してもらうため、将来を見据えて仕事をしているということを、もっと国民にわかるように提示すべき。



 

 

                                     (以上)