| (1) 平成25年度予算に伴う国債発行計画について〔参考配布:資料〕 ○はじめに、理財局から、平成24年度補正予算に伴う国債発行計画の変更及び平成25年度予算に伴う国債発行計画について、以下のように説明を行った。 ・まず、平成24年度補正予算に伴う国債発行計画の変更について説明する。 この変更では、平成24年度補正予算に伴う国債発行額の変動を反映させるとともに、これまでの国債発行実績を踏まえた見直しを行っている。 発行根拠法別発行額については、建設国債の5.5兆円増額、特例国債の0.3兆円減額、年金特例国債の2.6兆円発行により、一般会計分の国債は7.8兆円の増加となった。一方、復興債及び借換債は合わせて1.5兆円の減額となったことから、国債発行総額は6.3兆円の増額となった。 消化方式別では、個人向け販売分や第U非価格競争入札について、これまでの発行実績を踏まえて見直しを行っている。カレンダーベース市中発行額については、1月10日開催の本会合における意見を踏まえつつ、年度末の市場への影響をできるだけ小さくするとの観点から、増額は本年2月から5年債2,000億円、10年債1,000億円、一月当たり計3,000億円とすることとした。他方、来年度の借換債発行の大幅な増加が見込まれていることから、来年度に償還の到来する6ヶ月物の短期国債については、発行を取り止めることとした。 年度間調整分の欄に示されているように、国債発行額増加分のうち5兆円以上は来年度に先送りされる形になっており、この分を含めて来年度の国債の市中発行を平準的に行っていく必要があると考えている。 ・来年度の国債発行額の見通しについて、現時点では1月10日開催の会合での説明以上のことを言える状況ではないが、発行当局としては、前回も説明したとおり、 @ 特定の年限に増発を集中させずバランスをとること、 A 国債発行年限の長期化に取り組んできていることを踏まえること、 B 平成26年度においても25年度対比で借換債の大幅増加が見込まれることを踏まえること、 といった考え方に立ち、前回会合において伺った意見を踏まえて、4月からの各年限の発行額を検討していきたいと考えている。もし、前回会合での意見から変更があれば、それを踏まえて検討を行うので伺いたい。 あわせて、平成25年度における物価連動債の発行再開やこれに伴う買入消却のあり方についてもご意見をいただきたい。 ○出席者からは、平成25年度国債発行計画(物価連動債を除く)については、前回会合時の意見から変更はないとの発言が大宗を占めたが、以下のような意見も表明された。 ・当社は40年債について積極的にマーケティングしており、昨年までは投資家層が着実に広がっている実感があったが、ここに来て頭打ちになりつつある。業者間では慢性的に在庫がタイトであるため、投資家からは入札及び入札前後しか買えないという声が聞かれる。前回の増発後の入札が流れたことが記憶に残っており、増発に懸念がある者も多いと思われるが、増発することで投資家ニーズに応え、40年債の市場を育成していくためにも40年債の増発を希望する。 ・30年債は月6,000億円の毎月発行による増額、2年債は月3,000億円までの増額がそれぞれ可能ではないか。 ・2年債は月1,000億円の増額、30年債は1回当たり6,000億円の毎月発行による年1.6兆円の増額が可能。ただ、その額が多いということならば、40年債と同月発行の月は5,000億円の発行とし、年間1.2兆円の増額にしてはどうか。なお、これでも不足する場合は5年債で補えばよいのではないか。 ・2年債では月3,000億円程度、5年債、10年債ではそれぞれ月1,000億円程度、超長期ゾーンでは30年債と40年債でそれぞれ1回当たり1,000億円程度の増額余地があると思われる。30年債を毎月発行する場合は、月6,000億円で行うのがよいと考える。 ・30年債及び40年債については、それぞれ1回当たり1,000億円ずつの増額が可能ではないか。 ・30年債と2年債が増額可能と考える。10年債については、先般の補正予算における増額に加え、更に月1,000億円増額することはやや市場に負担がかかるのではないか。 ・超長期債であれば、30年債を月6,000億円で毎月発行とするのがよいと考える。中長期債での更なる増額余地としては、2年債の月3,000億円程度、10年債も更に月1,000億円程度の増額ならば問題はない。もっとも、最終的な増額総額の規模にもよるが、短い年限を敢えて発行しなくとも、10年債で対応可能であり、それでも足りない場合は、5年債の発行額が2年債と逆転しないよう、2年債の増額で対応することがよいのではないか。 ・昨今のマーケット状況を見ると、5年債、10年債は平成24年度補正予算で決定した2月からの増額に加えて、4月から更に月1,000億円増額することは可能ではないか。超長期債については、30年債を1回当たり6,000億円の毎月発行は可能と考える。 ・4月以降の増発額については、5年未満のゾーンに発行余力があり、特に2年債については月1,000〜2,000億円増額可能とみている。また、10年債については月1,000億円程度の余力がある。超長期については、30年債を年8回発行を維持したまま1回当たり1,000億円増額可能と考えている。 ・2年債で月2,000〜3,000億円程度であれば可能と考えられる。また、5年債については月3,000億円、10年債については既に補正時に増額を決定した月1,000億円に加え更に月1,000億円の増額が可能ではないか。超長期債については、20年債は需給が既に飽和状態にあることから、30年債の発行を毎月6,000億円としてはどうか。 ・中長期債については、補正時に決定した増額に加え更に月1,000億円の増額は可能と思われる。2年債はそれ以上の増発の余地はあるものの、将来の借換額との兼ね合いになるのではないか。 ・5年までのゾーンには発行余地があるとみている。 ○物価連動債の発行再開について、出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・前回のワーキング・グループ等において再開に向けた具体的な検討が国内投資家に広く伝わったようだが、発行再開には国内投資家による安定需要が不可欠であり、その需要が現状見込めないのならば、引き続き安定需要への喚起に努める時期ではないか。 ・足元では金融政策の変更に伴う円安により、国内外の様々な投資家から小口での買いが見られている。 ・海外需要が大宗を占めており国内需要はそれ程大きくはない。発行再開に際しては、長い目で見て国内市場に定着させることが肝要であり、そのためには十分なリードタイムをもつことで入札参加者が発行再開に向けた十分なインフラ整備に努められるようにした後、最初は少額での発行を行い、様子を見ながら定着を図ることが重要ではないか。 ・国内投資家の存在なくして発行再開は困難である。当社では投資家からのニーズは確認できていないことから、発行再開は時期尚早ではないか。 ・国内投資家の強いニーズが見られないことから、来年度の国債発行計画に盛り込むのは時期尚早と考える。新政権における経済の立ち上がりを確認してから検討してもよいのではないか。 ・海外投資家を中心に問い合わせが非常に多い。発行額は少額でもよいから、早期の発行再開を希望する。 ・少なくとも来年度上期の発行再開は困難と思われる。市場育成の観点に立ち、来年度下期から、時間をかけてマーケットの様子を見つつ発行を検討すればよいと考える。 ・ワーキング・グループにおいて商品性の変更が持ち出されたものの、現在も国内投資家の継続的な需要が見える状況には至っておらず、発行再開は困難ではないか。 買入消却については、物価連動債の買入額を減額するのが適当であると考える。日銀買入オペのない月にのみ200億円程度行えばよく、減額の分は15年変動債の買入規模を増額するのがよいのではないか。 ・足元の市場心理はやや追い風であるとは思うが、来年度上期は経済情勢を見極めたうえで発行再開が可能かを丁寧に検討すべきではないか。また、来年度の発行計画に物価連動債を盛り込むのは時期尚早であり、来年度下期に発行再開が可能かという点についても、慎重に検討すべきである。当社店頭においては、国内投資家の需要は確認できていないのが実情である。 ・消費税増税により一時的に買い手が出てくる可能性はあるものの、安定的に購入するというニーズはない。既発債の値動きなどを考えると、未だ継続的な購入需要が見込めないことや恒常的な買い手が戻っていないこと等を勘案すると、発行再開は時期尚早ではないか。 ・国内投資家にニーズはないものの、海外の顧客から発行再開のタイミングに関して問われることがあり、一定程度のニーズは見込めると思われる。すぐに発行再開を行うことは現状困難であると思うが、そのような需要を拾いながら来年度下半期を目途に発行再開を検討してもよいのではないか。 ・引き続き国内投資家の需要は限定的であるものの、発行していかなければ需要は創出されないと思うため、来年度下期から少額発行してはどうか。 ・国内投資家からは、フロアのない既発債との入れ替えニーズは聞かれるものの、その入替えが一旦終了しなければ新たなニーズは生まれてこない状況であり、海外投資家の一時的なニーズだけで再開すると需給にブレが生じる可能性もあることから、十分な準備期間を以って発行再開を検討してほしい。 ・発行再開については市場では慎重な意見が多く、仮に購入するならば、安定的にCPIの上昇が見込める環境になるかどうか、また市場流動性が十分に確保できるかどうか、という点を勘案したいと考えており、結果的に現段階では積極的に購入するスタンスに至ってはいない。したがって、発行再開に当たっては、国内投資家の幅広い需要が見通せるまでは、慎重に検討してほしい。 ・ニーズが掴めていないため慎重に検討願いたいが、仮に発行を再開するならば、来年度下半期以降に少額発行での対応をお願いしたい。 (2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・足元の長期金利は、年始に少し上昇したところからは随分戻ってきて、昨年末あたりの水準まで低下してきている。来年度に向けた相場を考えると、結局のところ日銀次第というところ。本日22日に、日銀が追加緩和を行ったが、その中で見通されているコアCPIの水準は、2014年度の時点で消費税率の引き上げの影響を除くケースでは+0.9%となり、目標の2%には到達しない。そのような観点から、今後も金融緩和は積極的な形で続いていくと思われる。その場合、かなりの規模の国債購入が既に行われており、中短期の金利については既に低位にある中、今後もその額が増額されていく可能性があるため、更に上値を作ることも十分可能ではないか。このような中短期セクターにつられる形で長期の金利にも低下圧力がかかる可能性がある。本当にインフレ期待が出てくるようならば、10年のところまで含めるかもしれないが、超長期の金利に関しては上昇要因になり、カーブをスティープ化させると思われる。昨年同様、10年から20年にかけては既にカーブがスティープ化しており、この状態が続きやすくなるのではないか。 ・直近のマーケットの動きに関しては、中短期ゾーンにかけては日銀の追加金融緩和に対する思惑で動いている一方で、超長期ゾーンに関しては株価・為替の影響を受けたスワップの動きにつられており、長期金利がこの二つの間に挟まれ上下していると考えている。目先に関してはこのような傾向が続くとみており、日銀の追加金融緩和に対する期待が持続するのであれば、中短期金利は低位安定する。そして、中短期金利の低位安定は長期金利までにも徐々に波及するとみており、他方で超長期に関しては、引き続き株価や為替との連動性が高くなると思われるが、直近の株高・円安が巻き戻したとしても、超長期セクターの主要な投資家の平準買いスタンスが変わらなければ、超長期金利が大きく下方にシフトすることはないだろう。他方で今後も株高円安が続いていけば、超長期金利には上昇圧力がかかりやすい一方で、より短いところの金利は低位安定しやすいため、スティープニングバイアスというかフラットニングしにくい地合いが続いていくのではないか。 ・日銀が3年までの国債を買い入れる金融緩和により、10年くらいまでの金利を下げる効果が十分に出ていると考えている。当社が簡単な回帰分析で試算したところ、昨年の10年債の金利低下のうち、日銀の金融緩和の寄与度は27bp程度となっており、足元で株価がこれだけ上昇しているにも係らず、10年金利は0.7%台が定着している状況を証明づけられると考えている。こうした状況が続けば、株価が更に上昇しても、10年債金利が大幅に上がることはないと考えられる。 一方で、現在物価連動債よりも主導的となっているインフレスワップのマーケットを見ると、10年のインフレスワップ金利が既に0.7%台に近づいており、業者によっては0.7%以上の引値を出している。 投機的なマーケットではあるが、このような状況が続くのであれば、少なくともインフレスワップにはインフレ期待が入ってきていると言える。今後物価連動債の発行を再開する際、実質金利をマイナスで発行することすらあり得るのではないか。こうした点を考えると、負債サイドにインフレリスクがある投資家のリスクヘッジとしての需要の喚起が大切であろう。 ・中短期ゾーンの金利については、5年債の15bp前後が正当化されるような金融緩和が今後も見込まれ、需給バランス的にも中期ゾーンまでの需給は緩みにくいと見ている。 一方、長期、超長期ゾーンの金利については、昨年末からの株高・円安の持続性にかかっていると考えている。この動きについては、グローバルなリスクオフの巻き戻しの流れのほか、国内主導の部分もかなり大きいと考えている。この点、年明けに米国の景気が財政の崖の影響をどのくらい受けているかという数字がこれから出てくるが、それが比較的堅調であれば、米国の景気に対する見方が上振れる余地がある。ドル高主導での円安、或いは米国の景気に対する見方の上振れに伴う株高が、今後想定され得るのではないか。 また、本日日銀による金融緩和の発表があったが、次のテーマとして、日銀の執行部の任期満了による後任人事に注目が集まると考えている。リフレ色の非常に強い執行部が誕生すれば、中短期ゾーンにはポジティブとなるであろうが、4月以降の金融政策で何が起きるか分からないことによるリスクプレミアムが、10年超の金利に乗ってもおかしくなく、足元の0.7%台から0.9%台くらいまでの上昇余地を短期的には見ておいてよいのではないか。 ・まず、本日の日銀の金融政策について申し上げる。今回、物価安定の目標ということで、事前予想通り2%のインフレターゲットを導入した。従来の「目途」から「目標」に変えて、かつ時期についても、達成時期は明確になっていないものの、できるだけ早くということで、決意表明をしたものと受け止めている。その一方で、実際にそれを実現するための手段面では実現性に乏しく、どちらかというと株式、為替市場にとっては期待外れであったという評価ではないか。今回資産買入れをオープンエンド方式に変更したが、今の方法では恐らく物価目標は達成できず、結果的に時間軸が伸びて、中期セクターが支援されるのではないか。一方、超長期、長期セクターについては、単純な時間軸効果だけではなくて、例えばリスクオンの流れであるとか、財政規律であるとか、米債金利の動きであるとか、その他の要因にも左右されると思われる。 今回日銀の政策に対する失望もあって、為替が円高に振れて、株価が下落したが、基本的には円安株高の流れが続くと考えている。 為替については、日本の貿易赤字の定着や、アメリカでのシェールガス革命で、将来的な貿易収支の改善期待や、それに絡んだ雇用が伸びる期待があるのではないか。 日本銀行については、今回やや消極的な金融緩和であったかと思われるが、今後一段と圧力が強まると思われ、更なる金融緩和に追い込まれるのではないか。 株式市場については、金融政策がやや期待外れであったものの、大型の景気対策、成長戦略により、政権が企業重視の政策にシフトしてきており、株価については当面支えられると見ている。 米国経済、米債金利については、「財政の崖」が「財政の坂」に変わったものの、引き続き心配材料ではある。しかし、一方で昨今の株式、不動産価格の上昇等もある。今回の「財政の坂、崖」については富裕層の影響が大きいものの、反対に資産効果がある程度想定され、結果的に統計指標は意外にしっかりすることも考えられる。 仮に、株高円安、米国の景気が意外に底堅いということで、ある程度日本の国債金利が上昇する分には特に大きな問題はない。しかし、財政規律の部分は引き続きしっかりやっていただきたい。2013年度予算について、新規財源国債の発行額が税収を下回る方向になるとの報道がある等、やや期待できる部分もある。他方で、6月には中長期的な財政再建・健全化に向けた新たな骨太の方針等がまとまると思うが、現状の3党の間での議論を見ると、仮に消費増税を実現できたとしても、例えば社会保障費への切り込みが不十分であるとか、自動車、住宅を中心に軽減措置を講じるなど、どちらかというと消費増税関連の話が決まっていっており、歳出改革の遅れであるとか、消費増税の影響を軽減するための減税措置の結果、期待したほどの税収を上げられないということも考えられる。このような財政再建健全化への懸念による金利上昇リスクだけは避けたいというところであるため、安倍政権には従来以上に財政規律に対し厳しい姿勢を示して頂きたい。 |