| (1) 平成24年度補正予算及び平成25年度予算に伴う国債発行計画について〔参考配布:資料〕 ○はじめに、理財局から、平成24年度補正予算及び平成25年度予算に伴う国債発行計画について、以下のように説明を行った。 まず、現時点での国債発行額の見通しについて説明する。 平成24年度補正予算においては、昨年11月に成立した特例公債法(財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律)に基づき、年金特例公債を約2.6兆円発行することになるほか、経済対策に伴い新規財源債についてそれなりにまとまった規模での増発が見込まれている。 平成25年度当初予算については、新規財源債、復興債及び財投債の発行額は、今後の予算編成過程において決まることとなるが、年金特例公債の発行が引き続き必要であるほか、借換債が9月の本会合において説明したとおり、概算要求ベースで7.5兆円程度増えるものと見込まれている。 平成24年度補正予算及び25年度当初予算に伴う国債発行について、今の話以上に確たることを言える段階ではないが、補正予算及び来年度予算における国債増発規模を考えると、発行当局としては、年度が替わる4月を待たずに、本年2月から市中発行額を一定の規模で引き上げることも一つの選択肢であると考えている。もちろん、仮に年度内に発行ロットを増額する場合には、年限及び増額幅について、年度末の市場に悪影響を与えることのないよう、十分配慮していきたい。 また、2月あるいは4月の増発方法の検討に当たっては、特定の年限に増発を集中させずバランスをとるとともに、これまで国債発行年限の長期化に取り組んできていることや、平成26年度においても平成25年度対比で借換債の大幅増加が見込まれていることを踏まえる必要があると考えている。 本日の会合においては、今後の様々な状況に的確に対応できるよう、各年限の発行額の増減のあり方、とくに、最大限どの程度の増発が可能なのかという点、また、増発のタイミング(年度内における増発の可否)やその他要望事項等について、幅広く意見を伺いたい。 ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・超長期債の需給環境は良くないが、発行年限の長期化のために増額する場合、消去法的に30年債になる。具体的には、1回あたりの発行額を6,000億円に減額した上で毎月発行とすることで、合計で年1.6兆円増額できる。40年債は、他の年限と比べると投資家層が薄いことから、増額により超長期債全体に悪影響を及ぼす恐れがあり、増額は難しい。また、20年債は、既に飽和状態に近く、増額は困難。一方で、10年債の需給環境は良好であり、月1,000〜2,000億円の増額余地はあると考えている。5年以下の年限の増額余地は大きいため、長い年限の増額を必要最小限にとどめて、不足分を2年債、5年債で調整すれば良いのではないか。特に、向こう5年間借り換えの必要がない5年債が増額の中心になると考えている。2月からの増額については、10年債で月1,000億円、不足分は5年債を増額するのが良いのではないか。 ・現在の金融政策及び市場環境の継続を前提とすれば、2年債で月3,000億円、5年債で月2,000億円、10年債で月1,000億円までの増発は可能。30年債は、市場育成の観点から毎月発行とし、単月の発行額を減額することで、月次での供給額の平準化を図るとともに、年度での発行額を増額できる。具体的には、現在発行のある月は6,000億円に減額し、それ以外(5,8,11,2月)は5,000億円発行することで、年度で1.2兆円増額できる。40年債と重複する月については、市場参加者がこれらの月に保有債券の長期化を図ることが期待できることや、30年債、40年債で投資家層は必ずしも重複していないと思われることから、大きな混乱には繋がらないと思われる。その場合は、30年債の発行銘柄数を、現行の年2銘柄から4銘柄に増やし、1銘柄あたりの発行額を抑制することで、需給の安定化を図れると考える。40年債は、イールドダッチ方式から価格コンベンショナル方式とし、安定した発行ができることを確認できた上で、増発の検討をすべきではないか。2段階で増発を行う場合、最初の増発時に投資家が必要以上に2回目の増発を警戒する可能性があることから、極力供給ストレスの波を均す形でより一体的・平準的に発行していく必要があるのではないか。 ・現在の金融緩和環境を踏まえれば、5年債、10年債を中心に増額し、次に2年債、超長期債を増額すべきと考える。具体的には、2年債、5年債は1,000〜3,000億円、10年債で1,000〜2,000億円の増額は可能。1年以下は増発余地が大きいため、最後のクッションとして使うべきである。20年債は今年度の増発で需給バランスがやや崩れたため増発は厳しく、30年債は月1,000億円程度の増額は可能とみている。40年債も月1,000億円程度の増発は可能だが、イールドダッチ方式からコンベンショナル方式への転換が望ましい。増発のタイミングは、市場への悪影響を抑えるため、2月に5年債、10年債を中心に月2,000億円程度増発し、足りない分は2年債等を増発し、それ以上は4月以降に増発するのが良いのではないか。 ・超長期債を増発する場合には、30年債を毎月発行とし、1回当たりの発行額を減額することが望ましい。20年債については、昨今の入札で流れたことや、金利先高観がある市場環境では金利リスクを取りにくい環境にあること等から、控えた方が良いと考えられる。そのため、2年債、5年債、10年債が増発の中心となる。増発のタイミングは、2段階で増発することが望ましく、2月に5,000億円程度、残りを4月以降に引き上げることが、スムージングの観点から妥当と思われる。2月の発行は、10年債で1,000億円増発し、不足分を5年債、2年債の順に増発するのが良いのではないか。 ・2年債から10年債までであれば、それぞれ1回当たり2,000億円程度の増発は可能と考えている。一方、20年債、30年債については、これまでの入札結果が芳しくないことや世界的な金利環境を鑑みると増発負荷の許容度はやや低いと思われる。そのため、30年債を中心とした超長期債の発行頻度と発行額は、共に現状維持を希望する。超長期債の中での増発余力に関しては、安定消化が続いている40年債が最有力と考える。ただし30年債の増発を行う必要があるならば、1回当たりの発行額を5,000億円に減額した上で毎月発行とする方法も考えられる。 増発のタイミングとしては、2年債から10年債は2月からのスタートで問題ないが、超長期債については主要投資家が運用計画を期中に変更することは難しいことから、4月からがよいのではないか。 ・増発余力は、まずは5年債で3,000億円、10年債で2,000億円、次に2年債で3,000〜5,000億円程度とみている。超長期については、30年債、40年債の発行頻度を維持することを前提に、1回当たり1,000億円程度であれば増発の余力があると思われる。ただし、超長期債の増発はあくまでも5年債、10年債、2年債を増発した上で、それでも不足する場合に検討を行うべきである。 増発のタイミングについては、2月から増発を行う場合、5年債、10年債でそれぞれ2,000億円程度は可能。それでも不足するのであれば2年債で調節を行い、超長期債については、4月以降がよい。 ・増発余力のある年限は、日銀の金融政策である資産買入等基金による大量買い入れが行われている現状を考えると、まずは2年債やT-Billが挙げられるのではないか。しかし、25年度・26年度の満期償還額を抑制したいという当局の立場を考えると、5年債や10年債が中心となり、残りを超長期債に振り分ける方が良いのではないか。優先順位については、まずは10年債、次いで5年債、30年債、40年債、2年債の順を考えている。増発額は、10年債以下でそれぞれ月2,000億円であれば問題ない。ただし、全体の平均年限のバランスを考えると、4月以降の増発は5年債、10年債で、それぞれ月2,000億円とし、必要があれば他年限で月1,000億円の増発がよい。 仮に2月から前倒しで増発する必要があれば、流動性の高い10年債、5年債、30年債が中心となり、20年債、40年債は見送った方がよいのではないか。 ・超長期債については増発の余地があり、最近の需給を考えると20年債よりは30年債、40年債の増発が望ましく、特に40年債の増発を希望する。具体的には、30年債、40年債の発行頻度を維持した上で、月1,000〜2,000億円程度の増発は可能と考える。また、40年債については、価格コンベンショナル方式での発行に変更していただきたい。 その他の年限の優先順位は10年債、次いで5年債であり、4月から増額するよりは2月から徐々に増発する方が望ましく、増発余力はそれぞれ月1,000〜2,000億円程度あるのではないか。 ・年限別の増発余地については、ほぼ各年限で増額は可能と考えているが、唯一20年債だけは足元の需給関係がやや飽和状態に近づいており、増額は厳しいと思われる。その中で、ロングエンドについては、30年債の需給が比較的健全であることから、このゾーンの増額については30年債がコアになるだろう。また、10年ゾーンより手前については、足元の金融政策等では相応の増額余地があると考えている。2年債については相当程度増額しても問題ないだろうが、今後の借換えを考えると、2年債は調整弁として用いるべきで増発の中心にすべきではない。したがって、5年債、10年債が増額の中心になる中、足元の環境を見ると10年債に比較的増額の余地が大きいと考えている。具体的な金額については、10年債は2,000億円、5年債は2,000億円、2年債は3,000億円程度の増額余地があると考えている。30年債、40年債については、月1,000億円程度の増額余地が月々あると考えているが、30年債についてはもう少し増額しても問題はない。その際、30年債の発行頻度を毎月6,000億円に変更することも可能と考えている。 増額のタイミングとしては、判明している補正規模を考えると、カレンダーベースの増額が7兆円程度であっても、相当の額を前倒債として来年度に繰り越せると考えており、本予算が具体的に決定していない段階では、あえて2月から増額しなくてもよいと考えている。ただし、全体の増発規模がさらに大きくなる可能性があるのならば、2年債から10年債までの流動性の高い年限を2月より先行的に増額することも一案である。 ・平均償還年限の長期化を引き続き継続していくという全体の構図に若干違和感を覚えている。銀行主体の消化にならざるを得ないという構図であることや、満期が到来する年限を考慮すると、中長期債中心の増額になるのではないかと考えている。唯一例外と考えるのは、最も需給が逼迫している40年債であり、増額の優先順位としては最優先と考えている。具体的な金額としては、一回当たり1,000億円程度の増額は可能とみている。その次の順位としては、10年債、5年債、2年債となっており、増額については、10年債は月1,000〜2,000億円、5年債については月2,000〜3,000億円、2年債については残り必要な額を日本銀行の金融政策が続く限りはいくらでも増額可能と考えている。 超長期全般に関して、一つの懸念を持っているのは、金融監督に当たり、金利上昇リスクにフォーカスが専ら当たっていて、金利が想定ほど上がらないというリスクが注視されていない点である。このようなスタンスが今後強まると、生保全体のALMの流れが止まって超長期ゾーンの需要が悪化してしまうリスクがあり、発行当局としても、この点を明確に認識する必要があると考えている。 増額のタイミングについては、4月に発行額を急増させることを回避するためには、5年債、10年債、場合によっては40年債を2月から増額した上で、必要に応じて4月にも増額すべきと当社は考えている。 ・2年債については月3,000億円、月5年債については2,000億円、10年債については月1,000億円程度を増額することは全く問題ないと考えている。 増額のタイミングについては、前述の金額程度では2月と4月のどちらから開始しても問題はない。超長期ゾーンについては、投資家の動きが見えないため、実際のニーズはなかなか分からないものの、現状のマクロ経済環境から考えると、現状の超長期金利水準は高くないと考えており、これは需給がさほど悪くないということを表しているとみている。したがって、20年債、30年債についてはそれぞれ月1,000億円の増額が可能と考えている。 ・2年債を3,000億円、5年債を2,000億円、10年債を1,000億円程度の増額余地はあると考えている。ただし、10年債を月2,000億円増額すると、需給は足元については良いものの、今後はやや重たくなると考えている。超長期ゾーンについては、当社のニーズはないものの、マーケット全体を考えると、20年債、30年債、40年債のどこかで1,000億円の増額ができると考えている。また、増額のタイミングについては、発行額を平準化するという意味で、足元需給の良い5年債、10年債を2月から増額すればよいのではないか。 ・増発については、2年債3,000億円、5年債2,000億円、10年債1,000億円の増額が可能ではないか。超長期債は、これまで20年債、30年債ともに1,000億円の増額が可能と考えていたが、実際にはどちらか一方を1,000億円程度、できれば30年債が好ましいと思われる。他の発言にもあったが、30年債の毎月発行を検討する場合は、1回当たり6,000億円の毎月発行では少し多いと思うので、40年債と重なる月のみ5,000億円に減額するという案に賛成である。 増額のタイミングは、2月に半分、4月に残り半分と段階的に行う方が望ましい。また、日銀の国債買入れにより中短期セクターの流動性が低下しているため、2年債、5年債を増発するのであれば、残存1〜5年を対象とする流動性供給入札を新設し、当該ゾーンの流動性を高めることも検討してはどうか。 ・来年度にかけて大幅な増発が行われると想定しているが、増発のタイミングとしては、2月から段階的に行うのが望ましい。ただし、2月からの増発についていくつか留意点がある。一つは3月の決算期末が非常に近いという問題と、もう一つは政治的な話になるが、かなり大規模な経済対策が行われることに対し、財政規律が維持されるかどうかが海外も含めて市場から注目されているという点である。場合によっては市場にネガティブ・サプライズを与えてしまい、金利が不用意に上がることも想定されるため、市場の消化能力には配慮せざるを得ないのではないか。 増発の対象年限であるが、2月からの増発については5年債、10年債に限定した方がよい。2012年度に2年債を増発した場合、2014年度に借換えとなり、また、来年度についても日銀の再乗換という話になると、2014年度の借換債が増加する要因となる。2014年度以降の需給を考えた場合、今年度中の2年債増発は避けた方が良い。また、超長期ゾーンについては基本的な需給環境が良くないという点も考慮し、年度内の増発は避けるべきである。ただ、4月以降については、月々の増発額が合計で5,000億円を超えるようなら、20年債、30年債も増やさざるを得ないのではないか。 ・超長期ゾーンの増発を考えた場合、40年債は投資家層の広がりが不十分であるし、20年債は今年度の増発の結果、需給的には一番悪い年限であろう。30年債については生保などの需要が強いゾーンであり、増発は可能とみている。増額方法については、多くの意見と同じで6,000億円ずつの毎月発行が望ましい。長期以下の年限については、借換債が今後2年間で大きく増えていくという話を踏まえると、今回は5年債、10年債を中心とした増額が好ましい。額については必要額に応じて1,000〜2,000億円程度を想定している。 ・10年以下のゾーンについては他と同意見だが、超長期ゾーンに関しては、月1,000億円程度、年間で1.2兆円の増発は可能と考えており、銘柄の優先度は40年債、30年債、20年債の順で考えている。 一方、当社店頭においては海外投資家による超長期債の買いがかなり活発な状況となっているため、先ほどの意見とは真逆になってしまうが、当社としては40年債だけでなく、30年債、20年債の入札もダッチ方式にすることを考えてほしい。というのは、一本値で買えるようになると、海外投資家は前日から注文を出すことが可能であり、当社も受けやすくなるからである。米国はダッチ方式、欧州は基本的にコンベンショナル方式が多いと認識しているが、アジア時間に海外投資家とやり取りしないといけないという日本の業者の特性を念頭に置くならば、ダッチ方式の採用にも検討の余地があるのではないか。 (2) 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・政権交代後、景気対策等への期待感が為替・株式のマーケットに広がっている中、直近の債券マーケットはその様子を冷静に注視しているという状況。今後、債券マーケットとしては今回の増発による超長期の上昇と日本銀行へのさらなる緩和期待による中・短期金利の低下というスティープニング要因が続きやすい状況が続くのではないか。 また、増発の話を含め、超長期ゾーンに関してはやや需給懸念が広がっている印象がある。生保は絶対水準がある程度上がってくると買うということもあり、急激なスティープニングは予想していないが、金利は下がりにくく、需給が徐々に緩んでいるという印象がある。超長期セクターに関しては、年20兆円ペースで10年超の残高が増えており、2〜3年にわたり、現状のペースで超長期の増発が続く場合、3年後くらいには超長期のマーケットは40〜50兆円増えてくることになることから、生保がそれだけの需要をキープできるのかという点も踏まえて、国債発行計画の作成が必要ではないか。発行計画において減額が難しい現状では、2、3年後の借換債も非常に重要なポイントではあるが、超長期債の残高も視野に入れながら発行計画を作る必要があると思われる。 ・今回の補正予算や当初予算の件は過去に比べ債券市場にとって不透明な状況が続いている。ただ、株価や為替の大幅な価格の変化に対し、長期金利の動きは比較的まだ穏やかなほうであるとの印象を強く持っている。このような現状についていろいろな説明はあるが、一つは日本経済の状況でリフレ政策が取られたとしても本当にインフレ率が上がるのか、ということに対し債券市場の参加者はかなり疑わしく思っているからである。 もう一つは、日本銀行の政策がこれからもう一段国債の購入政策において踏み込んでいくのではないかということにある。そのような意味で今の状況は補正予算についての概略が見えてきているという安心感があるものの、日本銀行はどうするのかといった点はまさにこれからの材料であり、需給的なインパクトがあまりないということになれば少し安心感につながるのではないか。日銀の政策も含めて2月、3月は非常に注目していくべき局面であり、2月、4月に段階的に増額し、比較的スムーズに増発をこなしていく必要があるのではないか。 ・新政権は、主要市場への働きかけにより、期待を持ち上げることに成功したと考えている。そもそも景気循環上、景気が底入れしつつあるタイミングであることに加え、過去数年見られた春先からの欧州を火種とした景気下振れリスクも今年はないと思われる。基本的には長期金利は景気に基づいて上昇するのではないか。また、財政リスクを反映した悪い金利上昇をすることはないと今のところ考えている。 一方で、リスクとしては、円安に伴う輸入価格の高騰から貿易赤字の拡大によって経常赤字になるパターンが考えられる。さらには消費増税が最終的に取りやめとなってしまえばリスクが顕在化することになる。 また、グローバルに捉えると、財政赤字の額と各国中央銀行であるBOJ、FED、 BOEにおけるバランスシートの拡大額が偶然であると思うが同じようになっている。最終的には各国中銀のバランスシートに対する懸念がマーケットの主要な注目点となる可能性がある。具体的には2014年後半と考えているが、一般物価が上昇し出口戦略を探るような金融政策を実施する必要があるにもかかわらず、債務管理に従属するような政策に重点が置かれ、インフレを半ば無視するような事をマーケットは不安視するだろう。そうなるとあらゆる金融資産のボラティリティが急上昇するようなリスクシナリオが懸念される。 |