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国債市場特別参加者会合(第46回)議事要旨

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.日時 平成24年10月26日(金)16:00〜17:10
 

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.場所 財務省 第3特別会議室
 

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.内容

 

(1) 財務大臣等挨拶について

○財務大臣、財務副大臣、財務大臣政務官より、出席者に対して挨拶があった。

(2) 特例公債法案成立遅延の市場への影響について〔参考配布:資料

○はじめに、理財局から、「特例公債法案成立遅延の市場への影響」に関連して、これまでの経緯及び現状について、以下のように説明を行った。

・特例公債法案については先の通常国会で廃案となっており、臨時国会において再提出する予定である。財務省としては、法案の早期成立に向け、引き続き努力してまいる考えであるが、仮に、特例公債法案が成立しない状態が続く場合、利付国債の入札及び発行については、11月中の利付国債の入札を最後として、12月以降の利付国債の市中発行、具体的には、12月4日の10年債入札から支障が生じ、その後は、特例公債法案が成立するまでの間、利付国債の発行は休止せざるを得ない。
 一方、発行が休止となった場合、特例公債法案が成立した後は、休止されていた間の発行額を取り戻す必要があるため、毎月の利付国債の市中発行額を現在よりも増額する必要が生じる。
 このように特例公債法案の成立が遅延した場合の国債市場への影響について、国債市場特別参加者会合の皆様の御意見を伺いたい。また、仮定の話ではあるが、利付国債の発行を休止せざるを得なくなるような場合において、市場への影響を少しでも緩和する方策についてアイディアがあれば、あわせて伺いたい。
 なお、特例公債法案の状況にかかわらず、国債の元利払いを行う国債整理基金特別会計には十分な資金を確保できていることから、本年度の国債の元利払いに支障を生じることはないことを念のため申し上げておく。

○ 出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・この時期に本会合において、今回の議題が議論されることに関しては、プライマリー・ディーラーの一社として極めて強い危機感と、これまでにない大きな不安を抱かざるを得ない。例年、この時期には、年々膨れ上がる翌年度の国債発行をどのような計画で安定発行・安定消化するかという、非常に重要な議論の準備を行っている。ところが、この時期に今年度予算の4割超に及ぶ財源に対する法案成立の目処が立っておらず、目の前に迫る12月債の発行が危ぶまれるという現状は、金融市場に対して極めて大きな悪影響を及ぼし得るものであり、待ったなしで打開する必要がある。
 本邦の国債残高や年間発行額は、国の生産力、成長力対比で極めて高い水準にある。それだけでなく、近年は政治リスクが懸案事項として加わり、国際的な格付機関は、日本国債に対して、格下げを含めた極めて厳しい評価を下している。その中で、弊社を含むプライマリー・ディーラーは、これまで発行当局及び市場関係者等とともに、そのときどきの金融市場環境を踏まえ、幅広い業態にわたる多くの投資家との対話を通じて、大量発行が続く国債の安定消化を維持すべく、長い年月をかけて、国債に対する信頼構築に尽力してきた。こうした努力により維持してきた安定発行・安定消化が、今日の国債費抑制に寄与しているという認識もある。
 来週から予定されている臨時国会において、法案が成立せず12月債の発行が不可能な状況となれば、これまで築いてきた市場との信頼関係が基礎から崩れ落ちる。
 また、年度末に向けて安全資産として40兆円近い運用を予定する投資家への影響も避けられないことから、国債市場とその参加者に対しては、多大な混乱を及ぼすものと考えている。
 加えて、法案不成立による発行停止は、政治リスクの顕現化を懸念してきた国際的な格付機関に対しても、大きなマイナス要因になると想定される。主要国の中で相対的に低い日本国債への現在の格付を考えると、格下げによる市場の動揺は、将来的に大きな不安材料を残すだけでなく、それに伴う金利上昇によって、これまでの努力で抑制してきた国債費が増大し、本邦の債務管理政策にとって負のスパイラルを招きかねない。
 法案の成否に関する今回の件がなかったとしても、足元の大量発行を支える市場環境は綱渡りの状況が続いている。今年度実施された国債発行額の増額に対しても、供給に対する需要が必ずしも十分とはみられず、年限によっては、イールドカーブの変形を伴って価格が崩れている。
 以上のように、極めて困難な状況下で、今後市場の動揺や国の債務管理政策に対する信用失墜も想定される中、法案の成否に伴う混乱は、日本国債の将来と本邦財政にとって致命的なダメージを及ぼしかねない。
 最後になるが、膨大な発行残高と発行額に至った今日の国債市場を支えるべく、これまで力を尽くしてきたプライマリー・ディーラーの一社として、今回の臨時国会において、会期中一日も早い法案成立を強く要望させて頂きたい。

・発行停止によるマーケットへの直接のインパクトとしては、流動性が著しく低下することが挙げられる。特に12月は非常にセンシティブな時期であり、ポジションのアンワインドが行われるタイミングである。発行停止により一段と流動性が低下しボラティリティが大きく上昇、その上昇を受けさらにポジションを閉じるという負の連鎖からマーケットが壊れるリスクが非常に高い。流動性が低下しボラティリティが上昇したマーケットが正常状態に戻るには非常に時間がかかると思われる。加えて、これまでの多大な努力により国債管理政策が十分に機能し、信頼感が醸成されていることにより、現在の膨大な発行額の消化が可能となっているところ、仮に一度発行が停止すると、この信頼関係が崩れ、発行再開以降の消化に多大な困難が伴うことであろう。
 また、こういった不確実性が増大することは、金利にリスクプレミアムが乗せられ、場合によっては国民へ追加的な負担となることもあり得る。また、来年度は大幅な増発が見込まれることから、わずか0.1%の金利上昇でも1兆円を超える国民負担が増えると見込まれる。我々マーケット関係者からすると1兆円はそれほど大きくない金額かもしれないが、世間の常識では非常に大きな負担と認識されることは申し上げたい。流動性の低下やボラティリティの上昇が、リスク管理の観点から国内投資家の残高圧縮のための売却を促すほか、海外格付機関による格下げの影響から、海外投資家の売却や購入見送りを誘発し、金利上昇に帰結する可能性も高いと考えられる。今回のように政治的混乱から重要法案が成立しない事態を一度経験すると、2014年の消費増税実施についても懐疑的な見方が増え、長期金利が上昇するリスクにつながるのではないか。
 なお、一部報道によると、発行停止により一時的に需給が引き締まり金利が低下するとの見方があるが、発行再開後に金利が跳ね上がることで、結局は発行コストの増加につながることから、目先の金利低下はそれほど重要ではない。また、運用サイドの投資家にとって金利低下は運用利回りの低下につながることから、発行停止による金利低下は発行サイド及び運用サイドの双方にとって健全ではないと思われる。
 いずれにしても、国債の発行停止は政府の支出及びサービスの停止から国民生活に大きな影響を及ぼすだけではなく、発行コストの増大を通じて国民にとって恐らく兆円単位の負担増につながると申し上げたい。
 今後の機動的な発行方法については、11月の段階で発行スケジュールの変更を前倒しで行うと、却って12月の発行が停止するという蓋然性が高まったとマーケットが捉えかねず、いたずらにマーケットを混乱させるリスクが高いと考える。この点について、投資家からも引き続き淡々と発行スケジュールをこなす方がよいとの声が多い中、一部の投資家からは2年債から10年債や20年債等の平準買いをしているセクターへの振替を希望する声も聞かれた。また、12月の10年債の発行停止については、12月発行の政府保証債や地方債等の条件決定や、15年変動利付債の金利への影響を懸念する声が聞かれた。

・当社もプライマリー・ディーラーの一員として、今般の法案成立の遅延や歳出の抑制、国債発行の停止については、他の参加者同様、強い危機感を抱いている。この点について、市場及び国民経済両面への悪影響について申し上げたい。
 市場への影響については、本邦の国債発行額が対GDP比で世界最大規模となっている中、その安定発行を阻害する要因が加わり、金利が上昇する展開になれば、格付機関による国債格下げリスクにつながるのではないか。格下げは投資家の行動に直接影響を与える重大なリスクであり、海外投資家による本邦国債への信認低下にも警戒する必要がある。また、国債の発行時期の歪み、換言すれば、一時的な発行休止を経た後で、再開後に増額発行されるという発行額のアップダウンが生じることによって、国債市場の需給を歪め、金利変動幅の拡大や好ましくない金利上昇につながるのではないか。
 こうした市場へのインパクトと同時に懸念されるのは、日本経済や国民生活への悪影響である。すでに地方交付税交付金など一部の歳出は支払いが抑制されており、一部の地方金融機関には資金の余剰感が乏しいことから、資金市場での調達に向けた動きが出ている。
 法案成立の遅れによって更に大規模な支払い抑制や停止といった展開になると、いわゆる政府の窓口機能の閉鎖不安も招くことになる。歳出の抑制が国民の生活や経済活動に直結する政府の機能、例えば、医療や介護、外交、安全保障、災害復興等にまで広がると、経済への打撃、国債の大幅な信用度の低下といったリスクも懸念される。財政・国債市場の安定と国民生活の安心が密接につながっていることに、市場関係者としてあらためて気づかされる事象であり、このようなリスクを顕在化させることはあってはならない。
 最後に、我が国の財政運営に対する政府のコントローラビリティという観点も挙げたい。我が国の財政は、巨額の財政赤字、債務残高を抱えながらも、債務管理を適切に運営することで安定性が維持されている。したがって、今般のように特例公債法案が政治的な駆け引きの材料に使われるようなことで不安が募り、財政運営に対する政府の管理能力に一度マーケットが疑問を持つようになると、金融市場における信認の低下、国債に対する投資家の投資スタンスの慎重化、債務管理の不安定化、といった事態悪化の連鎖的反応という負のスパイラルが到来するリスクも完全には排除できなくなる。
 国債発行の一時休止が、我が国の国債発行、財政運営の安定性に支障をきたし、国民生活への多大なるダメージにつながるという懸念を申し上げつつ、可及的速やかな法案成立を強く希望する。
 法案成立の時期に関する不確実な見込みに基づいて当初発行計画を変更することについては、市場参加者の予見可能性に支障をきたすことから、できる限り回避すべきというのが原則的な考え方である。
 しかしながら、極端な需給変動による不安定化を取り除くという目的で、11月の入札予定を一部変更するということであれば、発行休止による需給への影響が相対的に小さいと考えられる2年債入札の大幅な減額ないし停止が考えられるだろう。
 さらに、流動性供給入札も当面停止するといった措置を講じたうえで、その合計減額分を12月発行の他の年限(5〜30年債)に回すという案は考慮に値するのではないか。その場合、年限毎の発行額の配分については、特定年限の影響度の偏りを排除するといった観点から、各年限の発行予定額の比率に応じたプロラタ配分が現実的ではないかと考える。

・特例公債法案の成立が遅延している状態については、報道等で報じられている以上に非常に強い危機感を抱いている。特例公債法案が通過していないというヘッドラインのインパクトは大きく、予算の執行停止による景気への悪影響、株価の大幅下落懸念や国債市場の混乱、又は国民生活への混乱などを引き起こす可能性があり、強い危機感を持っている。
 また、法案成立の遅延は日本に対する国際的な信用の失墜を招くものと懸念している。円滑な財政運営ができていないと格付機関が評価するようなことがあれば、消費増税実施の先行きについても懐疑的に見られてしまう可能性がある。国債が格下げされた場合、投資家だけでなく、市場参加者、特に一部外資系証券の市場参加が難しくなることから、格下げは阻止しなければならない。
 更に法案が成立せず12月に国債が休債となり、法案成立後に休債分をその後の発行で増額することとなった場合、参加者は12月に発行がなかったからといって、リスク許容量は常に同じであるため、その分のリスク許容量を増額し入札に回すということは困難である。このため、発行増額の規模によっては札割れの危機や市場の混乱が見込まれる点も懸念している。
 ただ、これらを回避する方法として、成立時期等が不透明な中11月の入札を変更してしまうと、マーケットからは法案は通らないという懸念を抱かれる可能性があることから、11月の入札は予定どおり実施することが望ましい。仮に一部変更する必要があるのならば、12月の10年債は個人向け国債や15年変動利付債、地方債、政府保証債などのベンチマークとなっているため、こちらを優先し11月の2年債発行の減額や延期をすることは可能ではないか。
 これまで財務省や市場参加者が、当会合や投資家懇、在り方懇などを通じて膨大な国債発行を円滑に消化してきており、海外投資家からもこの点を信用されて今の低位安定な金利を維持する市場形成が可能となっていた。それが今回の事態を通じて、崩壊する危機があることについて強い危機感を持っている。

・特例公債法案の不成立には、非常に大きな危機感そして不安を感じている。マーケットは不確実性を好まないため、不透明性によって国は信用を失い、金利が上昇し、将来の国債発行コストが増大する可能性がある。
 12月に入札がなくなる場合、需給逼迫により金利が低下する一方、1月以降の発行増額によって、需給悪化懸念から金利上昇を招き、現在に比べて国債価格の変動幅が大きくなる可能性がある。
 日本国債の格下げ懸念が生じると、外国人投資家は金利上昇にベットする取引を行う可能性が高く、金利上昇のトレンドに陥る懸念がある。こうしたリスクを考慮したうえで、議論が行われることを望む。

・特例公債法案の成立遅延について、徐々に市場の関心が高まっており、投資家・マスコミからの照会が増えている。メインシナリオは、特例公債法案は11月中に成立するというものであり、リスクシナリオは、12月、1月になっても同法案が成立しないというものである。後者については、大きく分けて2点の影響がある。
 1点目は、ファンダメンタルを通じた影響である。すなわち、ガバメント・シャットダウン(政府閉鎖)である。米国では幾度かあるが、有名なのは、1995年から1996年のクリントン政権時に、暫定予算が成立せず政府閉鎖が起きた事例である。米国では、政府閉鎖に関する基本法があり、重要なセクション以外、例えば国立公園や国立美術館等は閉鎖された。一方、日本には、そのような基本法はないため、ある日突然に政府の窓口が一斉に閉鎖されるといった事態は想定されていない。
 ただし、既に執行抑制が進んでおり、特別会計への一般会計繰入れが止まるとともに、都道府県向けの交付税交付金の配付も止まっている。今後は市町村向けの交付税交付金や、補助金執行も止まるだろう。地方は、金融機関からの一時借入金によって対応できるが、国は特例公債法案が成立しない限り、税収によって対応するほかなく、政府支出は落ち込む。株価の下落、金利の変動率拡大などを通じて、民間経済に影響が出、景気にはマイナスである。
 2点目は、金融市場への直接的な影響である。12月以降の入札停止は、日本最大の国債の売り手が市場から消えることを意味し、需給逼迫による国債価格の上昇、金利の低下要因となる。ただし、その後の国債増発局面では本来の価格よりも大きく下がる状況が予想されることから、売り向かう投資家や利益確定売りを優先する投資家も現れるだろう。
 こうした環境では、国債の格下げが現実化するおそれがある。既に海外格付機関3社中1社が日本国債の格付をAプラス格に落としている。もう1社はAAマイナス格を付けているが、昨年4月に見通しをネガティブにしている。この格付機関は、昨年、米国債をAAAからAAプラスに引き下げたが、その理由は、米国債のデフォルト懸念ではなく、政治の機能不全であった。日本においても政治の混乱が継続すると、国債をAプラスに格下げする会社が現れるかもしれない。バーゼルUの標準的手法では、複数の格付機関の格付を利用し、リスクウェイトを算定する場合、上から2番目の格付を採用することになっている。3社中2社がAAマイナス格を付けているうちは、国債のリスクウェイトが0%で済むが、3社中2社がAプラス格を付けると、リスクウェイトが20%に上昇する。大手金融機関はこの標準的手法ではなく内部格付手法を採用しているが、格下げは当然影響する。特に、外資系金融機関については、AAマイナス以上でなければ投資対象とできないケースが多いため、次の日本国債格下げの影響は相当に大きい。
 また、多くの国内金融機関は、国債のリスク管理の手法として、ボラティリティ(変動率)によりリスク量を算出するバリューアットリスクを採用している。現在は、金利の変動幅が大きくないため、リスク量も小さいと分析できるが、これが0.5〜1.5%の幅で上下するとなれば、リスク量が大きくなり、国内金融機関も日本国債の保有残高を落とさざるを得なくなる。
 特例公債法案の成立が遅延する場合、投資家の意見の大半は、現状の国債入札スケジュールを変更せず、予定どおり粛々と入札して欲しいというものであった。テクニカルな対応を行うと、それ自体が不透明感につながる。現状のペースで発行し続け、11月中に特例公債法案を成立させてほしいという意見が多数であった。
 なお、質問が1点ある。10年債の入札が停止した場合、15年変動利付債や個人向け国債の金利はどうなるのかを伺いたい。

(理財局より、15年変動利付債と連動している利回り(基準金利)は、直前に行われた10年債入札における平均落札価格を基に算出される複利利回りであるため、もし仮に12月10年債の入札が中止となった場合、11月に行った10年債入札における利回りが基準金利になることを説明した。)

・今後数年を見通した場合、現段階において資金循環的に国債の需要が急減し、それに伴い金利が暴騰といった事態は非常に想定されにくい。少なくとも、足元においてマクロ的な需給バランスは取れている。但し、マーケットにおいて不測の事態が想定されたり、価格の変動率が上昇する場合、そういった事態を織り込んで価格形成がなされるため、国債市場の中での需給バランスがとても重要になってくる。これまでは、年度初めに国債の発行計画が決まり、補正予算により増発があっても概ね予測の範囲内に収まっていたため、大きな変動には至らなかった。しかし、特例公債法案の成立遅延といった非常に見通しの立てづらい状況になると、価格変動率の予想が上がりリスクプレミアムが付くことで、段々と金利上昇に結びつくシナリオが想定される。今回は、世間一般でよく言われる、国債への漠然とした信認ではなく、国債の管理政策に対する信認が揺らぐことになるため、今までとは少し違った懸念を抱いている。
 実際には11月中に特例公債法案は成立するとみているが、仮に成立しない場合に備え、2年債と流動性供給入札を削ることを11月中に前もって決定しておくべきではないか。また、2年債が発行停止又は減額となると、日銀は同ゾーンを大量にオペで吸収しているため、何らかの対策を考える必要があると思う。

・特例公債法案については、一般的なカレンダーとマーケットが考えるカレンダーは必ずしも同じではないため、11月中に成立すればよいという訳ではない。マーケットは事態を先読みして動くため、12月に国債発行が停止するリスクがあるとすれば、リスク管理上そうした損失に対し何らかの対策をしなければならないことを踏まえると、1〜2週間前から手を打つことになる。一般的にマーケットというものは、物事が悪い方向に行かないように警鐘を鳴らすと言われているが、一方で国債市場は非常に規模が大きくなっているため、市場参加者の全員が同じ方向に動く可能性が高く、予期せぬ事態が起きかねない。従って、特例公債法案成立遅延の場合に備えた対応策についての議論も大切だが、対応策を取る必要がない段階での成立をお願いしたい。1日でも早く、少なくとも11月中旬までには成立させて頂きたい。 

・特例公債は一般会計予算の約4割以上の歳入であり、発行できないとなれば、株式・債券・為替市場のみならず、日本経済に甚大な影響を及ぼすことは明らかである。それにもかかわらず、年度の半ばを過ぎても法案が成立していない中本会合を開催することになったことについて、強い懸念と落胆を覚える。
 政治情勢により経済・市場が影響を受けるということは、仮に今回乗り越えたとしても今後、日本の財政再建に向けて国内外問わず懸念される点となることは間違いなく、この問題は早急に解決していただきたい。具体的には12月以降に歳出がロックアウトした場合、実体経済に悪影響が出ることが予想され、義務的な経費さえ抑制されてしまうと消費増税どころではない。現在日本経済は株価が示すように長期低迷している状況であるが、政治情勢によって景気低迷にさらなる拍車をかけてしまうと同時に、日銀による金融政策などの努力も無意味なものになってしまう可能性がある。
 次に格付については、政治情勢により国債の格下げリスクが高まる可能性がある。また、金利が上昇することにより、国のみならず地方公共団体や事業会社の資金調達コストの上昇につながりかねず、これこそまさに税金の無駄遣いそのものになるのではないか。更に外資系証券の中には、格付がA格となれば国債市場における活動を制限される証券会社も出てくる可能性が高い。証券会社は市場のクッション的な存在であるが、クッションが薄くなることで市場が変動するリスクが高まる恐れがある。そうなった場合、大量の国債を安定消化するため、このプライマリー・ディーラー制度を創設し、平準発行に努めてきた発行当局のこれまでの努力が無駄になる。また、発行がない期間と発行が集中する期間が発生してしまうと、期間次第では甚大な影響が出る可能性がある。
 法案が成立しないことにより、日本が財政問題を解決できるかが疑問視され、特に超長期金利が上昇してしまうリスクが懸念される。

・今回の問題のポイントは、財政の運営・債務管理におけるマーケットとの信頼関係であり、国内外の投資家が注目している。この信頼関係が崩れてしまうと、悪い金利上昇を引き起こし、国民の負担に大きく跳ね返ってくる。一旦この信頼関係が崩れてしまうと、回復には非常に大きなコストと時間を要する。早いうちに法案を可決し、市場の混乱を回避してほしい。
 万が一の場合には、不透明感を可能な限り無くすために、発行計画に沿って淡々と発行するのが良い。ただし、11月最後の2年債入札の近辺になっても法案成立の目処が立たない場合には、2年債が再発行時の市場への影響が最も小さいと考えられることから、11月最後の2年債の入札を見送り、調整弁として使うような対策も、検討の価値はあると考える。

・本法案が、政治の材料に使われていることに強い懸念を示すと共に、一日も早い法案成立を強く要望する。本法案の影響は、既にマーケットに出ている。例えば、今月に入ってから、日本国債が米国債に比べて相対的に買われているが、これは法案が成立せず、国債の発行が停止することで需給が逼迫し、日本国債が買われることを見越した動きではないかと思われる。11月末ではなく、1日も早い法案の成立を要望したい。万が一、法案が成立しない場合には、11月末の2年債の発行を停止し、12月の10年債の発行にまわす対応が妥当と考える。

・レポ市場においては、法案が成立しない場合、特定銘柄の逼迫、貸し渋り、スクイーズにつながる可能性がある。国債価格は歪み、投資家や業者は、思わぬ損害が出る可能性がある。空売りしたポジションの手当てが出来ずデフォルトが起きる可能性や、フェイルの多発も危惧しなければならない。昨年度から時間をかけて策定してきた国債発行計画であり、市場の安定、信頼のため、途中での停止は何としても回避すべき問題だと思っている。早期の法案成立をお願いしたい。

・休債となった場合のマーケットへの影響の緩和策として、11月の2年債入札を延期することは、当然必要になってくる。マーケットの視点からは、10年・20年・30年・40年といった長めの年限の入札に関してはボラティリティが高く、また証券会社も入札前に準備が必要となってくるため、極力この4つの年限の入札に関しては平準的な入札を継続していくべきと考える。そのための方策として、11月の2年債入札の延期、それでも対応できなければ、次に流動性供給入札、5年債入札の延期という形で、極力10年以上の年限の入札が継続されるような対策を早い段階でアナウンスしていただきたい。現在、入札一週間前に発行額等の発表を行うこととなっているが、可能であれば早い段階で、例えばいつまでに特例公債法案が成立しなければどうする、といった比較的長いスパンでの計画をアナウンスするだけでも市場参加者の安心感が高まってくると考える。

・昨年、米国も似たような問題で国債の格付を下げられたが、その教訓として、格付が一度下がるとすぐには戻らないということがある。日本に関しても、特例公債法案が成立したとしても、また来年度以降同様の問題が生じるリスクを抱えており、そうしたリスクが意識される中では一度下がった格付は戻りにくいことが予想される。
 金融危機が2007年頃から続いている中、各証券会社のバランスシートに対する規制や国債を保有することに対するチャージ等が上がっており、取引される国債の大半が証券会社のバランスシートを通過することを踏まえると、こうした一方向の動きが大きく出るということは国債市場にとっては望ましくないことであると考える。
 海外の投資家からは、日本国債の安定消化は非常に大きな魅力であり、国債残高にかかわらず金利が低位安定している要因の一つとなっているところ、今回の特例公債法案の成立遅延という事態は、安定消化が揺らぐということが意識されることになるだろうとの声が聞かれている。また、貿易赤字が定着し、経常収支も単月ベースで赤字に陥るという無視できない状況になっている中でこのような事態となっていることは、タイミングとしても非常に悪い。今まで日本国債の安全性を支えていた軸が揺らいでいるということを意識する必要があると考える。
 発行計画に関しては、他の参加者同様、ギリギリまで入札を継続し、休債するのであれば11月の2年債、という意見が投資家から多く聞かれている。

・当社としては3つの懸念を抱いている。
 1点目は、市場的な観点からスペキュレーションが煽られるリスクがあることである。現在、景気が悪化している中で質への逃避から日本国債への需要が急速に高まっているが、新発債の発行が停止されて供給不足から金利が急低下した後に、発行再開時に供給量が増えて金利が急上昇すると、株価にもダメージを与えるリスクがあるだろう。
 2点目は、政治的混乱により格下げのリスクが高まることである。米国債が2011年8月に債務上限法案に係る政治的混乱の中で格下げされたが、こうしたリスクを日本も十分に認識すべきであり、出来るだけ早い段階での特例公債法案の成立を強く求めたい。
 3点目は、日本銀行の金融政策への影響である。30日に政策決定会合があるが、既にメディアでは、資産買入等基金を10〜20兆円程度増額するということが報道されている。これは日本銀行が国債を大量に吸収するということであるが、仮に国債発行停止となると、その一方で供給不足が生じることから、スペキュレーションを煽る形で金利が乱高下する事態も想定される点について十分考慮いただきたい。

 

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