国債投資家懇談会(第48回)議事要旨
| 1. | 日時 平成25年1月22日(火)10:00〜11:00 |
| 2. | 場所 財務省 第3特別会議室 |
| 3. | 内容 |
| | (1) 平成25年度予算に伴う国債発行計画について〔参考配布:資料〕 はじめに、理財局から、平成24年度補正予算に伴う国債発行計画の変更及び平成25年度予算に伴う国債発行計画について、以下のように説明を行った。 ・まず、平成24年度補正予算に伴う国債発行計画の変更について説明する。 この変更では、平成24年度補正予算に伴う国債発行額の変動を反映させるとともに、これまでの国債発行実績を踏まえた見直しを行っている。 発行根拠法別発行額については、建設国債の5.5兆円増額、特例国債の0.3兆円減額、年金特例国債の2.6兆円発行により、一般会計分の国債は7.8兆円の増加となった。一方、復興債及び借換債は合わせて1.5兆円の減額となったことから、国債発行総額は6.3兆円の増額となった。 消化方式別では、個人向け販売分や第U非価格競争入札について、これまでの発行実績を踏まえて見直しを行っている。カレンダーベース市中発行額については、1月10日開催の本懇談会における意見を踏まえつつ、年度末の市場への影響をできるだけ小さくするとの観点から、増額は本年2月から5年債2,000億円、10年債1,000億円、一月当たり計3,000億円とすることとした。他方、来年度の借換債発行の大幅な増加が見込まれていることから、来年度に償還の到来する6ヶ月物の短期国債については、発行を取り止めることとした。 年度間調整分の欄に示されているように、国債発行額増加分のうち5兆円以上は来年度に先送りされる形になっており、この分を含めて来年度の国債の市中発行を平準的に行っていく必要があると考えている。 ・来年度の国債発行額の見通しについて、現時点では1月10日開催の懇談会での説明以上のことを言える状況ではないが、発行当局としては、前回も説明したとおり、 @ 特定の年限に増発を集中させずバランスをとること、 A 国債発行年限の長期化に取り組んできていることを踏まえること、 B 平成26年度においても25年度対比で借換債の大幅増加が見込まれることを踏まえること、 といった考え方に立ち、前回懇談会において伺った意見を踏まえて、4月からの各年限の発行額を検討していきたいと考えている。もし、前回懇談会での意見から変更があれば、それを踏まえて検討を行うので伺いたい。 あわせて、平成25年度における物価連動債の発行再開やこれに伴う買入消却のあり方についてもご意見をいただきたい。 ○出席者からは、平成25年度国債発行計画(物価連動債を除く)については、前回懇談会時の意見から変更はないとの発言が大宗を占めたが、以下のような意見も表明された。 ・30年債の毎月発行が要望であり、今の需給環境ならば可能と考えている。 ・20年債は需給懸念を理由に増発を希望する声が聞かれないが、当社としては、30年債と同様に20年債にも一定の需要が見込まれると考えており、そういった懸念を考慮する必要はないのではないか。 ・30年債は、発行頻度を維持とし1回当たり1,000億円の増額であればマーケットにとっても望ましいのではないか。 ○物価連動債の発行再開については、投資対象としていないため意見は差し控えたいとの発言が大宗を占めたが、以下のような意見も表明された。 ・発行が再開されたとしても現時点では投資対象と考えていないが、既発債を十分保有しているので、新発債と同様、既発債についても引き続き対応願いたい。 ・政府、日銀によるデフレ脱却に向けた対応の期待から徐々にニーズが高まってくる可能性があるので発行再開も出来るのではないかという考え方もある。 ・国内投資家のインフレ期待が高まるのであれば、年度後半からの発行が可能なのではないか。ただし、現時点における主要なニーズは海外投資家が中心であるため、それではマーケットの振れが大きくなる可能性がある。フロアが設定されるということなので、その振れは既発のものより小さくなると思われるが、国内投資家のインフレ期待、例えば数年先には1%前後になるということが明らかになるようならば、発行は可能かと思われる。仮に発行する場合は、以前の物価連動債導入時と同様に、まずは3,000億円程度を四半期に一度発行するという規模感で良いのではないか。 ・現段階において積極的に購入する予定はないが、仮に投資をする場合の判断基準としては、市場流動性が確保できるかという点を検討することになるのではないか。 ・ベンチマークに入るならば既発債からの入替えニーズはある。既発債からの乗換えを考慮していただけると投資家として購入しやすくするのではないか。 ・現時点で投資の予定はないが、発行が再開されれば、市場環境を踏まえて購入も検討することはあり得る。 ・現段階では特段のニーズが見込めないことから発行再開は難しいものの、今後発行再開の意図があるということを発信し続けることが重要であると考える。 ・マーケットの状況は若干変わりつつあるが、依然、投資対象とは考えていない。ただ、アクティブ運用の一環で将来的にインフレ見通しの確度が高まれば投資対象とすることも検討することはあり得る。 (2) 最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・足元のマーケット環境は、EU諸国の問題や米国での財政の崖問題などの懸念材料は残るものの、政権交代に伴う国内のインフレ期待や経済成長期待の高まり、米国等の景気回復の可能性により、少しずつ落ち着きを取り戻している。もっとも、世界的な景気の低迷、潜在成長率の低下は継続し、しばらくは世界的な金融緩和が継続すると予想している。国内においても追加金融緩和の流れが深まり、中短期から長期にかけての金利は低水準が続くと見ている。一方、近い将来における日本の経常収支の赤字化などが懸念されることから、超長期ゾーンが不安定な動きをする可能性は否定できないが、今年度の補正予算に伴う国債増発が最小限に抑えられていることなどを鑑みると、多少の変動はあるにせよ概ね低位安定で推移するのではないか。こういった見通しを踏まえた投資スタンスとしては、株価上昇に伴って分散投資の観点から債券へのアロケーションが増えていることもあり、金利が多少でも上昇するようであれば債券へ投資する予定である。 ・今年度の補正予算に伴う国債の増発が5年債と10年債の小幅な増額に止まったことで、現状程度の金利水準で今年度末を迎えられると期待している。一方で非常に重要なのは来年度の国債発行計画であり、内容如何によっては金利動向がナーバスになるのではないかと懸念している。長期金利が0.8%台半ばまでしか上昇していない理由は、当局が財政規律を重要視しているという安心感がマーケットに浸透しているためだと考えているため、当局には今後も財政規律に対する配慮を維持していただきたい。 ・現状円安が一服していることもあり、株価ももみ合う状況が続いているが、今後再び円安が進むようであれば金利上昇圧力がかかると思われる。ただ、民間の資金需要が今後もあまり見込めない状況であり、JGBへの投資に対する圧力は一定程度かかると思われることから、その上昇幅については限定的なものになるのではないか。 ・足元の金利変動については、新政権への政策期待や、米国の財政の崖問題で一部に妥協点があったということで上下した部分があったのではないか。今後の注目点としては、国内外で底堅く推移している経済動向が継続するかどうかと、日銀がどのような政策を実施するかである。短期的な波乱要因としては、海外では3月まで残っている米国での財政の崖に関する問題や、国内では財政規律がどのように議論されて行くかということである。そういう状況においても、マーケットはある程度落ち着いた動きになると考えており、長期金利は0.5〜1.1%の範囲内で年前半は推移する可能性が高いのではないか。海外投資家については、比較的シンプルに考える投資家が多く、国内経済が回復し日銀が緩和を進めて行くのであれば、物価は上昇していくと考えている投資家が多いと思うが、実際の投資判断については慎重に行っていくと思われる。 ・現状のマーケットはアベノミクスへの期待から円安・株高が加速しているが、国債金利は比較的落ち着いて推移しており、今後も、中短期ゾーンの金利は低位安定が見込まれる。一方、超長期ゾーンの金利は、インフレ懸念等を背景に上昇しているが、現状の絶対水準であれば一定の投資家需要が見込まれ、更なる上昇余地は乏しいと考えている。このため、超長期債への投資は今後も続けていく。 ・新政権になり市場の雰囲気が一変している。金利については、短期ゾーンから長期ゾーンが日銀の金融緩和強化により低水準で推移すると思われる。また、超長期ゾーンは、一定程度上昇すると思われるものの、当面は需要があることから、金利上昇幅は限定的と考えており、急激な環境変化がない限りは今後も引き続き、超長期債を中心に安定的に国債投資を行う予定である。 ・本日の日銀金融政策決定会合における追加緩和については、マーケットではある程度織り込み済みという状況であり、今後も追加緩和は続いていくという期待感が出ている。金利上昇要因としては、海外金利や円安・株高に連動して動くということはあると思うが、追加緩和期待から金利上昇余地は限定されるのではないか。 ・現在のマーケットは、アベノミクスの効果を見極めている状況である。財政悪化、国債増発による金利上昇の懸念を払拭しきれないことから、引き続きイールドカーブのスティープ化圧力がかかると思われる。ただ、日銀の金融緩和が長期化するという見通しや、国内において資金ニーズが高まることが当面見込まれず、資金が貸出にシフトせずに引き続き債券を中心とした有価証券に向かうと見込まれることから、金利上昇幅は限定的と思われる。他方、米国では住宅市場の改善等が見られるなど景気回復が見込まれ、年末にかけて米国の金利上昇に伴い、日本の金利も上昇する懸念はある。 ・昨年と比較し海外経済が回復していることや、国内では景気対策、それに伴う国債の増発が控えているということもあり、金利水準は現状から緩やかに上昇すると考えている。ただ、日銀が強力に金融緩和を進めていることから、長期金利は上昇した場合でも1.0%程度にとどまるのではないか。 基本的には低金利水準が続くと考えているが、リスクシナリオとしては、大型経済対策の効果が思ったほど大きくなかった場合、仮に消費税引き上げが先送りということになれば、財政の持続性について疑念が生じ、海外勢を中心に懸念が高まってくると思われる。こうした事態を避けるためには、経済対策を行った後に、間を空けずに財政のバランスを整えるための道筋を示すことが非常に重要ではないか。 ・欧米のリスクオフにより円高になっていたことや、金利水準も日本円が買われる結果として低位だったことは否定できないことを考慮すると、欧米のリスクオフが落ち着いたことにより、為替については円安方向に調整され、金利については諸外国の回復も踏まえて上昇に向かうのではないか。ただ、世界中で前例のない金融緩和が行われてきた結果として金利上昇が抑えられているので、当面は大幅に金利上昇するということはないと考えている。 アベノミクスについては、金利を中心とする国内投資家は冷静に見ているが、為替や株式については海外投資家が多く日銀の金融緩和への期待が強く効いている。具体策が出てきてインフレになって行かなければ、いずれ期待が剥落することが考えられることから、こうした転換点について注意が必要である。 ・足元では円安、株高が進んでいるものの、日銀の追加金融緩和期待や、国債の良好な需給環境により、金利は安定的に推移している。今後の見通しについては、国内のファンダメンタルズについて緩やかな景気回復過程にあると考えており、企業収益の回復を受けた設備投資の回復、公共投資の効果を通じて高めの成長率を達成すると思われる。一方、海外では、欧州情勢の悪化等景気下振れの可能性や、世界的金融緩和が継続するとの見通しから、金利は低位安定が続くと見ており、上昇するとしても緩やかな上昇になるのではないか。今後の国債投資スタンスとしては、ALMの観点から、引き続き資産のデュレーションを長期化するニーズがあり、基本的に今後も超長期債を中心とした投資を行う予定である。 ・当面の相場見通しとしては、最大の注目材料は需給面における国債増発であったが、先日発表された補正予算にかかる増発規模については抑制されたイメージを持っている。また、来年度予算についても報道等では、当初、当社が想定していたよりも低く抑えられると思われることから、金利低下には繋がらないものの大きな波乱要因にはならないと考えている。長期的な見通しとしては、急激な変化があるとは考えていないが、現在のポリシーミックスにおいては、イールドカーブにスティープ化圧力がかかり続けるのはないか。 ・足元において大幅な金利上昇が起こるとは考えていないものの、今後も当局が財政規律を重視する姿勢を継続的に発信することが重要と考えている。 ・昨年と比較しグローバル経済のテールリスクが減りつつある。特に欧州ではギリシャ、スペイン、イタリアを中心に混乱したが、ECBによるOMTプログラムもあり、テールリスクの削減という意味で良い兆しが出てきつつある。加えて、米国の住宅市況の改善や中国経済の底割れ不安が薄れていることからも、グローバルに経済の回復傾向をみてとれる。一方で、緊縮財政から欧州では実質成長率がゼロに近い、またはマイナスといった状況にあり、米国も欧州も金融緩和を当分続けると思われる。こうした中、日本経済についても外需に依存している部分が多数あり、海外との関係の中で、アベノミクスの効果がどれほど続くのかということに注目している。為替の動向が大きいと思うが、米国の自動車業界等からの円安に対する意見等もあり、為替動向が日本の景気に影響を与えてくるのではないか。 日本国債への投資にあたっては、日銀の金融緩和スタンスと財政規律の綱引きが中長期ゾーン以降で行われる可能性が高いのではないか。ただし、足元ではすぐに貸出が伸びるという状況ではなく、10年ゾーンまではニーズが高く、大きく金利上昇するようなことはないと思われることから、レンジ相場の中、金利が上昇する局面では国債に投資することを考えている。 ・追加金融緩和期待が高いことから、中期ゾーンまでは金利は低位で推移すると思われる。一方、長期ゾーンについては、海外の金利情勢等、外部要因に左右されることから、動向に注意が必要である。全体的に金利が低下しているが、国債への投資スタンスについては、デュレーションを伸ばさず、引き続き中期ゾーンを中心とした投資を考えている。 |
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問い合わせ先
財務省 理財局 国債業務課 城田・高嶋
電話 代表 03-3581-4111 内線 5701