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国債投資家懇談会(第64回)議事要旨

日時 平成28年3月24日(木)13:30〜15:00
場所 財務省 第3特別会議室
 
内容
 

1. 平成28年4-6月期における物価連動債の発行額等〔参考配布:資料1

○平成28年4-6月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債の発行額については、28年度発行計画においても、27年度発行計画と同様、「年4回、5,000億円を発行することを基本としつつ、市場参加者との意見交換を踏まえ、発行額を調整」するとされており、本日は、次回4月12日の入札における発行額等について、御議論を頂くものである。

・まず、資料1に沿って、足元の状況を説明したい。

・P1に最近の入札の状況、P2にその間のBEIの推移を示している。ご覧いただいたとおり、27年度において、BEIは低下傾向で推移しており、特に入札の度にBEIの水準が切り下がるような状況となっている。

・また、P3には各国のBEIと足元の物価動向に大きな影響を与える原油価格の推移を示している。足元では、原油価格が反転する中、諸外国に比して、我が国のBEIの上昇幅は小幅に止まっている状況。

・こうした状況について、原油価格の下落等のファンダメンタルズ要因による一時的な低下との見方もある一方、課題となってきた投資家層の拡がりが依然限定的であるため、恒常的な需給の不均衡が生じているという見方も少なくない。さらに、値動きが大きく、投資家の買いが手控えられる中で流動性プレミアムが拡大していることを指摘する意見も聞かれている。

・こうした中、次回4月の発行額等について、国債市場特別参加者や投資家の皆様から事前に御意見をお伺いしたところ、今後も安定的な発行を継続するためには、需給バランスの改善や流動性の維持・向上を図る必要があり、このため、発行額の減額や買入消却入札を実施すべきとの意見が多く聞かれた。

・当局としては、引き続き物価連動債の潜在的ニーズは大きく、物価連動債市場を育成していくことは今後の国債管理政策上の重要な課題と考えており、足元の市場の状況や市場関係者の意見を踏まえ、今般、物価連動債市場の需給改善と流動性の向上策を講じることとした。
・資料P4に当局案を示している。

・次回4月12日の発行額については、発行計画から1,000億円減額し4,000億円とし、その上で、4月と6月にそれぞれ200億円の買入消却入札を実施してはどうかと考えている。

・ここで、実施時期を4月と6月としているのは、日銀買入オペが奇数月に行われていることを踏まえ、国・日本銀行と合わせた市場からの買入れの平準化が図られることが望ましいとの意見が多かったことを踏まえたもの。

・また、対象銘柄については、市場の売却ニーズや流動性向上の必要性等を踏まえ、フロア付の17回債以降、カレント銘柄となる21回債までとしている。

・なお、今回の買入消却の導入は、物価連動債市場の流動性が高まらないという状況において、臨時的な措置として実施するもの。逆に、流動性が向上すれば、できるだけ早期に買入れを止めることが望ましいと考えており、今後、入札や流通市場の状況をこれまで以上に注視し、本懇談会等の場で、買入消却入札の継続の必要性を議論していくこととしたいと考えている。

・また、物価連動債のリオープン及び入札の方式については、資料に示したとおり、国債市場特別参加者・主要投資家の意見を踏まえ、いずれも27年度と同様、年間1銘柄でのリオープン、価格ダッチ方式での入札とすることとしてはどうかと考えている。

○平成28年4-6月期における物価連動債の発行額等については提示案で問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。

・当局の提案に異論はない。グローバルにインフレ期待が高まらない中、需給環境の悪化や流動性の低下といった状況を踏まえると、発行額の減額と買入消却入札の組み合わせによって対応することが適当と考える。特に、カレント銘柄も対象とした買入消却入札を実施することは、ディーラーのマーケット・メイク能力を回復させるのに効果的と考える。その他の内容についても異論はない。

・マーケット育成の観点からは、発行額の減額よりむしろ買入消却入札の実施で対応した方がよい。もっとも、買入消却入札の買入額が大きすぎると相場に与える影響も大きく、結果として当局が割安に発行し、割高に買い入れるといった事態にもなりかねないことを踏まえると、当局の提案でも問題ないと考える。

・足元の状況を踏まえると当局の提案に異論はない。セカンダリーでの取引が限定的である中で、買入消却入札の実施によって、定期的な売却の機会が提供されれば流動性の向上に資するだろう。ただ、発行額を減額すると、当局の物価連動債のマーケット育成へのコミットメントが低下していると受け取られる可能性もあることから、発行額は現状維持の5,000億円としたままで、買入消却入札の買入額をもう少し増やすことで需給バランスを調整する方法でもよいのではないか。

・物価連動債の発行額については、5,000億円の維持を希望する。これまで、マーケット育成のために発行額を増額してきたところ、発行額を減額すると、以前に発行を停止した経緯もあり、発行停止の懸念が生じる可能性がある。ただ、現状は、流動性が大きく低下しているため、一時的に減額することは止むを得ないと考える。また、銘柄毎の需給や流動性の状況に偏りが生じているので、その状況を改善する観点から、買入消却入札を実施するという当局の提案に異論はない。

・BEIが大きく低下しているのは、固定利付債の金利低下の影響が大きく、物価連動債の市場原理に基づいた価格形成ではないと考えている。そうした中で、買入消却入札を実施すれば、価格形成をより歪めることになるのではないかと懸念していることから、現状維持が望ましいと考えている。ただし、強いこだわりがある訳ではなく、当局の提案に反対するものではない。

・BEIの低下は、原油価格の下落等のファンダメンタルズを反映したものと考えている。物価連動債の流動性は低いものの、流動性が著しく低下している銘柄は固定利付債にもあり、そうした銘柄と比較して、買入消却入札が必要なほど物価連動債の流動性が低いかどうかは疑問に思う。中長期的にマーケットを育成する当局の意思表示としては理解できるものの、発行額の減額でも意思表示は可能ではないか。当局の提案に強く反対するものではないが、少なくとも、市場価格を歪めるような買入規模とならないよう慎重に行うべきと考える。

・物価連動債の発行額は、発行計画上、「柔軟に発行額を調整」とされているため、発行額を4,000億円に減額する当局の提案に反対はしない。ただし、買入消却入札の実施については、ややマーケットに配慮しすぎとの印象もある。

2. 平成28年4-6月期における流動性供給入札について〔参考配布:資料2

○平成28年4-6月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札について、28年度発行計画では、新設される残存1-5年ゾーンについては奇数月、残存5-15.5年ゾーンについては毎月、残存15.5-39年ゾーンについては偶数月の実施とし、年間9.6兆円発行することとしている。各ゾーンの発行額の割り振りについては、27年度と同様、「具体的な実施方法は、市場参加者との意見交換を踏まえ、決定」とされており、本日は次の4-6月期におけるゾーンごとの発行額について、皆様の御意見をお伺いするもの。

・資料2のP4に、市場関係者の御意見を踏まえて作成した実施案をお示しした。

・各ゾーンの発行額の割り振りについて、事前に国債市場特別参加者・主要投資家の御意見を伺ったところ、毎月入札が実施される残存5-15.5年ゾーンについては、ここに示したとおり、現状維持の月5,000億円が適当とする御意見が大多数であった。

・また、隔月での実施となる残存1-5年ゾーンと残存15.5-39年ゾーンの割り振りについては、一部に、足元で超長期ゾーンへのニーズが強まっており残存15.5-39年ゾーンの発行額をもう少し厚くすべきという意見もあったが、大勢は、ここにお示ししたとおり、残存15.5-39年ゾーンについては4,000億円、残存1-5年ゾーンについては2,000億円とすべきとの意見であった。

・なお、流動性供給入札については、流動性が枯渇した銘柄を追加発行し、市場機能の維持・向上を図るという性格上、ゾーンごとの発行額は、市場ニーズに即し柔軟に見直すべきものと考えている。4-6月期におけるゾーンごとの発行額の割り振りについては、本日の御議論も踏まえ、最終的に決定することになるが、7-9月期以降の割り振りについても、入札結果や流通市場の状況を踏まえ、柔軟に見直していくこととしているので、よろしくお願いしたい。

○平成28年4-6月期における流動性供給入札については提示案で問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。

・足元は、超長期ゾーンの需給が特にタイトであることから、当該ゾーンの金額配分を厚めにする方がよいと考えているが、マーケットにおいて残存1-5年ゾーンのニーズの方が強いということであれば、当局の提案に強く反対するものではない。

・超長期ゾーンの流動性が大きく低下していることから、残存15.5-39年ゾーンへの配分額は27年度と同額またはそれ以上とすることを希望する。仮に4-6月期は当局の提案する金額配分で実施するとしても、7-9月期以降、配分額を決定する際には、マーケットの状況に応じて柔軟に見直してほしい。

・28年度の発行額は27年度と同じ年間9.6兆円であるため、残存1-5年ゾーンが新たに対象に加わることで、既存のゾーンの配分額を減額しなければならないのは理解しているが、足元では流動性が大きく低下しており、流動性供給入札の発行額自体を増額することが望ましいと考えている。残存1-5年ゾーンは業者のショート・カバーに資することを目的として実施するため、当初は1回の入札当たり2,000億円とすることが望ましいと考えているが、そのままの金額配分で翌四半期も実施すると結果的に残存15.5-39年ゾーンの発行額が大幅に減額となってしまう。4-6月期については当局の提案で問題ないが、7-9月期における金額配分についてはマーケットの状況を踏まえて改めて検討してほしい。

3. 平成28年4-6月期における15年変動利付債の買入消却入札について〔参考配布:資料3

○平成28年4-6月期における15年変動利付債の買入消却入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・資料3のP2に15年変動利付国債の買入消却実施額の推移をお示しした。
15年変動利付国債については、需給バランスが著しく崩れ、価格が大きく低下したことに伴う危機対応として、18年12月から買入消却を行ってきた。その後、価格が回復し、危機対応として買入れを行う必要性が低下したという判断の下、昨年度以降は、段階的に買入額を削減してきている。

・P1に今年度の買入消却入札と日銀の買入オペの結果を整理した。

・特に、足元では、本年2月以降、固定利付債が全ゾーンで大幅に金利低下したこともあり、15年変動利付債の売却ニーズは大きく減退しており、2月に実施された日銀買入オペでの応札倍率は1.21倍と低水準にとどまっているほか、3月に実施した当局の買入消却入札でも、買入最大価格較差が55銭と大幅なプラスに転化している状況。

・こうした状況で買入消却入札を継続すると、結果として割高な価格で買い入れることになりかねないことから、当局としては、4月以降の買入消却入札を一時休止してはどうかと考えている。

・ここで「一時休止」と申し上げたのは、市場の状況が急変するなど、買入の必要性が高まった場合には柔軟に対応するという考えによるもの。今後、これまで以上に市場の状況を注視し、需給バランスが大きく崩れるような状況になれば、本懇談会等で議論を行った上、再開していく考えである。

○平成28年4-6月期における買入消却入札については提示案で問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。

・足元の状況を踏まえると4月以降の買入消却入札は一時休止で問題ない。ただ、買入額を減額した上で買入消却入札を当面継続し、その結果を踏まえて最終的に判断してもよいのではないかとも考えている。

・15年変動利付債の売却機会を確保する観点から、買入消却入札の継続を希望するが、マーケット環境が急変した場合には再開することを検討してもらえるのであれば、4月以降の買入消却入札は一時休止することで問題ない。

・例年の傾向をみると4-6月期は投資家の売却ニーズが最も高まりやすいことから、現状維持を希望する。もっとも、2月以降の日銀買入オペ及び買入消却入札の結果を踏まえると、4月以降の買入消却入札を一時休止するとの当局の考え方は理解できる。今後、マーケット環境が急変した際には柔軟な対応をお願いしたい。

4. リオープン方式等〔参考配布:資料4

○リオープン方式等について、理財局から以下のように説明を行った。

・リオープン方式については、昨年3月の本懇談会において、27年度の在り方を御議論頂き、決定したところ、今回も28年度のリオープン方式について御意見をお伺いするもの。

・資料4のP1及びP2に、事前にお伺いした国債市場特別参加者と主要投資家の御意見を踏まえ策定した実施案をお示ししている。

・10年債については、27年度から、新発債の表面利率と入札日における市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合はリオープンによる発行としている。事前に御意見をお伺いしたところでは、1銘柄当たりの市中残高を確保する観点から、原則リオープン発行とすべきとの意見が聞かれる一方、1銘柄当たりの発行額をできるだけ大きくすることは適当であるが、金利が大きく変動する場合には、新発債として発行し投資家の需要を喚起することが国債の安定消化に資するとの意見も強かったところ。

・このため、来年度も、引き続き、新発債の表面利率と市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合にリオープン発行とする現行方式を維持してはどうかと考えている。

・また、20年債、30年債及び40年債のリオープン方式並びに40年債の入札方式については、事前に御意見をお伺いしたところ、現行方式を支持する意見がほとんどであり、27年度と同様、20年債及び30年債は年間4銘柄、40年債は年間1銘柄で、利回りダッチ方式の入札とする案を提示させていただいている。

○リオープン方式等については提示案で問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。

・10年債のリオープン方式について、現在発行されている銘柄のクーポンが0.1%であることを踏まえると、30bpsルールが適用される局面は金利上昇局面ということになる。そうした状況においても、新発債として発行され簿価が分散されることになれば、投資家としては購入しやすいため、現行の30bpsルールの継続を希望する。

・10年債のリオープン方式について、新発債の表面利率と市場実勢利回りが30bps以上乖離すると、額面と発行価格の差が大きくなり投資家が購入しにくくなることが考えられる。また、10年債は指標銘柄であることを踏まえると、額面に近い価格で発行されることが望ましいと考えていることから、30bpsルールの継続を希望する。

5. 最近の国債市場の状況と今後の運用見通し等について〔参考配布:参考資料

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・日本銀行によるマイナス金利付きQQEの導入によって円金利は明確に低下しているが、円高は止まらず、株価も上昇していない。金利低下によって、金融機関から企業に資金が供給され、日本全体の景気が回復すればよいが、貸出は伸びていない状況である。
 運用スタンスとして、日本国債を含めた国内の運用は極めて限定的になっている。長期的な運用を考え、リスク量に合わない投資は避けて、様々な国の資産に分散投資するというのが基本的な考え方になっている。国内の金融機関はどこも同じような状況にあると思われることから、結果的にあらゆる資産が割高になっている。
 日本の国債市場に対する懸念としては、ボラティリティが上がり、流動性が低下している中で、プライマリーディーラーが、マーケット・メイク機能を維持できるのかという点である。今のような環境が続いて国内外の証券会社がマーケット・メイクできなくなるようであれば、正常化した際に国債市場が機能しなくなるのではないかと懸念している。

・低金利の環境下において、日本国債への投資は厳しい状況にある。現在は、10年債までマイナス利回りとなったことから、今年度の投資計画においても、年限を長期化して利回りを確保し、かつ日本国債以外への投資も行っている。ベーシスコストが高止まりしていても、海外資産に手を伸ばしていかざるを得ないため、グローバルな分散投資を推進していく方針である。

・マイナス金利付きQQEの導入後も、融資の需要はまだ見い出せない。「金利はまだ下がるのだろう」、「金利を下げてほしい」という話はよく聞くが、新たな資金需要には至っていない状況。
 円債への投資スタンスは、利回りがあるものを買うしかないため、対象は10年債よりも長期化していかなくてはならない。流動性の高さから考えれば、主たる投資対象は日本国債であるが、現在は、外債への分散投資もある程度せざるを得ないと考えている。
 最近、懸念しているのは、20年債や30年債といった年限において、取引量が少ない割に、金利が大きく動いていることである。オファー・ビッドが離れているところに、少量の売買が成立することで、金利が大きく上下してしまう状況になっており、手を出しにくくなっている。

・マイナス金利付きQQE導入決定後、企業の資金需要が急に大きく増えてきたという話は聞いていないが、貸出については、ある程度長いタームで影響を見ていく必要がある。
 金利低下により、有価証券運用にプレッシャーが掛かる状況において、外債、株、REITなどに、資金を振り向けざるを得ないだろう。外債投資には、外貨調達コストの問題があるほか、流動性も考えると、一定額は日本国債に投資しなくてはならない。イールド・カーブ全体が下がっている局面で、年限の長期化を図る投資家がいることや、トレーディング・タッチでキャピタル・ゲインを確保する投資家がいることも考えると、日本国債への投資が急になくなるとは考えにくい。
 こうした環境で運用を行う中で、国債市場の流動性が大きく低下していることを懸念している。金融機関の金利商品に関するエクスポージャーは大きく、数百億円程度の売買で、長い年限の金利が大きく上下する事態が恒常的に起きることは、金融機関にとって好ましくないだろう。

・マイナス金利付きQQEの影響により、銀行の負債のコントロールが必要になってきている。そのため、バランス・シートにリストラ圧力が掛かることになり、今後、銀行は、これまで預金をしていた顧客に直接金融商品を紹介していくことになるのだろう。その場合、個人向け国債が、銀行の最大のライバルにもなりかねない。

・2013年の日本銀行によるQQE導入以降、少しずつ分散投資を進めているので、今回のマイナス金利付きQQEの導入を受けて、急にアロケーションを変更する予定はない。
 ただ、日本の国債市場は、マイナス金利付きQQEを導入した1月29日以降大きく変わっている。従来は最もボラティリティが低い市場であったが、今ではほとんどの資産よりボラティリティが高い市場である。加えて、流動性が非常に低いので、リスク・リターンの観点から日本国債の魅力が下がってきているのは事実である。
 また、日銀買入の影響が強く、円金利がフェアな水準で釣り合っていないため、市場に変調が生じたときに買い支える投資家がほとんどおらず、ボラティリティを高める要因となっている。
 一方、預貸ギャップの拡大傾向が続く中で、流動性のある円資産という意味では日本国債に投資せざるを得ない状況であり、流動性とボラティリティに留意しながら、引き続きしっかり日本国債への投資を継続していきたい。

・マイナス金利付きQQE導入を受けて円金利は長期ゾーンまでマイナスになっており、超長期ゾーンについても、例えば20年債で0.4%を下回る等、今まで経験したことのない低水準になっている。今後の日本銀行の金融政策には、量、質に加えて、マイナス金利幅を更に広げるという追加緩和手段もあるため、それも念頭に様々な可能性を考えていかなければならない。
 また、日銀買入も継続されており、今後とも日本国債の需給がひっ迫して流動性が低下すると見込まれることから、何らかのショックがあった際にはボラティリティがさらに高まる状況である。
 投資家にとっては非常に難しい運用環境であるが、引き続き、国内外での分散投資を着実に進めていくほかないと考えている。

・マイナス金利付きQQEは、円金利が低下すれば、リスク性資産に資金が回るとの考えで採用されていると思っているが、ひたすら収益だけを求めていく投資家ばかりではなく、安全資産が必要な投資家もいるため、長期金利までマイナスに沈んでいる現状は、かなり厳しい。
 リスク性資産に資金を回すにしても、全てのリスク性資産の利回りが落ち、リスク・リターンが見合わず、リスクを取る意味がないところまで来てしまっており、この状態で拙速に動かない方がよいとの判断もあり得る。
 マイナス金利付きQQEの導入時は、来年度の資産運用計画を立てる時期にあったが、大きな政策変更と市場の大きな動きにより、全面的に見直すことになった。このように市場の動きが荒く、かつ、頻繁に金融政策が変更される中で、固定化した資産運用計画を立てるのは難しいことから、来年度の資産運用計画には、最初からある程度の幅を持たせている。すなわち、予め取れるリスク量を決めて、その上限から逆算した上で、市場の状況を見ながらそれぞれの資産を購入する方針である。
いずれにせよ、かなり運用が厳しくなっており、来年度に関しては気を引き締めてやっていかなければならない。

・超低金利下での運用難が続いているが、マイナス金利付きQQEの導入によって、現状の緩和状態がどの程度続くのかの目途がつかなくなっており、市場の環境に応じてリスクを分散して運用するといった従来のスタンスは限界を迎えつつあると感じている。
 そうした中で、負債側の商品性や販売方法についても考えなければならない時期が来ており、既に一部には見られる外貨建て商品なども、今後検討する必要がある。
 ただし、日本国債に関しては現行の金利水準がフェアだとは思わないものの、現在も必要分の投資は行っており、円金利が少しでも上昇すれば更に買うことになる。

・従来に比べ、残高を落としていくことになるだろうが、負債構造を考えると、マイナス金利付きQQE導入後も一定程度の日本国債をポートフォリオに組み込む必要はあると考えている。
 その場合に懸念されるのは、来年度の市中発行額の約122兆円に対して、日銀買入額が約120兆円に及ぶと言われており、純粋に市中に出てくる量が2兆円しかないことである。実際には、円債ポートフォリオの残高を落とす投資家も多いと思われるため、これよりは多くなるのかもしれないが、それでも海外投資家がひと月で買えてしまう程度しか市中に出てこないことになると、日本国債を必要量購入することは難しいだろう。
 株、不動産、REIT、クレジットや外債等に振り分けるとしても、クレジットのマーケットは規模が小さく、外債は調達コストが高い。不動産市況についても、同様の投資行動を取る投資家の動きによって既に上昇してしまっており、場合によっては運用見送りとの選択肢を取ることも考えざるを得ない状況。
 一方で、銀行が普通預金を受けきれなくなるリスクもある。大口預金の受入上限を設定したり、手数料を導入することもあり得るかもしれないと考えており、そうなれば、現金を持っているだけで損失が発生し得ることも懸念している。

・従来は、預金やコール市場に資金を置くこともできたが、今は短期も含めて運用が難しくなっている。
 これまで、国債等のフィクスト・インカムについては、金利が下がることは、時価評価額が上がることであってよいことだったが、現在は、時価評価額が上がったところで売却してもキャッシュの置き場がなくなっており、昔のように「金利が下がる=よいこと」という世界ではなくなってきている。
 国内投資家は、短期資金をどこに置いておくべきか見えない中で、評価益が出ている国債を売るわけにもいかない一方、マイナス金利の国債を買い上がっていくこともできず、困っている状況である。
 海外投資家については、元々、為替のベーシスが有利に働くので、ある程度マイナス金利であっても気にせずに購入することができてしまい、そもそもの競争条件が変わってきている。
 また、海外クレジット投資を行う中で、2月中旬に、金利が急上昇し、信用スプレッドがワイド化したことがあった。その後、ECBが追加緩和を行ったために、信用スプレッドは急激にタイト化したが、これは、気配値だけが膨らんでいたということではないかと考えている。すなわち、少額の取引で価格が大きく動いてしまうということが、海外でも生じており、グローバルにリスク・リターンが見合わない状況。運用計画の段階で、従来の水準に目標を置くことができない。対前年比で見て、期間収益を上げるということ自体を変えていかないと見誤った運用になってしまうのではないかと懸念している。

・マイナス金利付きQQEの導入後も、基本的な運用スタンスは変えておらず、今のところ、市場の変化によってリスク量を上げなくてはならないとは考えていない。株式市場が低迷する中で、債券からキャッシュ・アウトしていかなくてはならない状況にあり、積極的に債券を買うという状況にはない。日本国債の投資妙味がここ一か月くらいで著しく落ちているため、リスクは若干落とし気味にしており、リターンの低下も許容せざるを得ない。

・これまで超長期ゾーンに投資の比重を移してきたが、最近の市場の動きにより、超長期ゾーンでの投資戦略も難しくなってきた。国内債券の運用については、引き続き超長期ゾーンを中心としながらも、日本国債以外の資産の比重を高めていくことを考えている。
 円金利が大きく低下したことにより、日本国債以外の資産への投資を検討している投資家が増えているという印象を持っている。その際には、為替リスクや信用リスク、ソブリンリスクが発生するが、リスク・リターンのバランスの中で運用に苦慮しているようだ。種類、量ともに取れるリスクの範囲内で利回りを追求していく動きが徐々に進んでいき、取れるリスクが限定的であれば、期待リターンを切り下げながら、安全志向の中で利回りの追求が進んでいくのだろうと考えている。

・期間収益を追及していることから、マイナス金利であっても更に金利が低下すると考えれば投資するため、マイナス金利付きQQEの導入前後で投資スタンスに大きな変化はない。
ただし、流動性の低下は顕著である。従来レポ市場において債券の貸し手であった投資家が、見合いの資金の運用先がないことから債券をレポに出さなくなっており、レポ市場の流動性は低下している。
 現行の税制の下では、レポ取引にかかる非課税措置の対象外となっている海外投資家がレポ取引を行う場合、海外マーケットで行うしかない状況になっているが、本来であれば、日本のマーケットで幅広い相手と取引できることが望ましい。非課税措置の対象が拡大すれば、より多くの海外投資家が日本国債のマーケットに参加することができるようになり、円滑なイールド・カーブの形成や市場の活性化に繋がると考えているため、引き続きレポ取引にかかる非課税措置の適用拡大について検討してほしい。
 また、流動性供給入札については、マーケットでショート・カバーすることが難しい銘柄を当局が追加供給することが目的だと理解している。マーケットで調達できず、入札で購入すること自体を問題だと言うつもりはないが、ここもとの入札では、証券会社のショート・カバーとは考えられないような、特定の銘柄の大量落札になっているケースもある。このような事態を防ぐために、一社当たりの応札上限が設けられているが、複数の証券会社が協力しているのであれば、それも形骸化してしまう。流動性が大きく低下している中にあって、こうした状況が起こっていることについて不安に感じている。

・現在の国債市場は、市場機能と流動性が低下する中で、金利低下し、投資ではなくトレーディングのマーケットになっている。そのような状況では、売却益で収益を上げるしかなく、発行時に入札で購入して、日本銀行に売却することしかできなくなってしまうことを懸念している。
 以前であれば、イールド・カーブが立っていたことから、イールド・カーブ上の相対的価値に注目してポジションを構築して投資していたが、今は、ポジションをフラットに近い形にして、売却収益を得る機会を狙う状況。
 このような状況において、日本国債のマーケットで一番妙味があるとすれば、余剰のドル資金を円のT-Billに投資することである。先進国のマーケットの中では、円のT-Billの金利は高い。

・本懇談会に長らく出席してきたが、本日が一番深刻で、次なる展望が描けないとの印象を持った。最近、消費税の引き上げを延期すべきとの議論も出ているが、マーケットに流通する国債が減少していても、日本国民が負うべき借金は減少していないので、問題である。
 昨日、政府の月例経済報告で景気の下方修正をしたが、高い経済成長を掲げて、色々それに向けて取り組んでいけば上手くいくという前提自体を考える必要があると思う。具体的に申し上げると、本年度の国と地方を合わせた税収の見込みは99.5兆円、リーマン・ショック以前の平成19年度では92兆円であった。しかしながら、本年度の99.5兆円のうち、消費税の引き上げ3%分を除くと91.2兆円となる。つまり、92兆円あった税収が、消費税の引き上げを行わなければ、91.2兆円に減少している状態である。
 冷静に考えれば、労働力人口が減少する中で、高い成長は期待出来ない。内閣府中長期試算における経済再生ケースでは、平成32年度にプライマリー・バランスを黒字化するまでには、消費税を10%に引き上げても6.5兆円不足する。ベース・ライン・ケースでは、12.4兆円も足りない。ベース・ライン・ケースでも潜在成長率を0.8%としており、それは米国やOECDよりも1人当たりの生産性の伸びを高く見ている状態である。
 現在、国債市場で市場機能が低下としているという言及があったが、日本経済全体についても、高い成長率を前提にして物事を考えていると上手くいかない状況になっていると思う。我々は80年代の終わりにはバブルを経験した。今回は、口先バブルを経験したと捉えて、冷静に様々なことを考えるべき時期である。

6. 理財局からの説明事項〔参考配布:資料5

○理財局から国債の決済期間の短縮化について以下のように説明・報告を行った。

・最後に、国債の決済期間の短縮化について2点説明・報告する。

・1点目は、国債発行における決済期間の短縮化の検討状況についてである。

・現在、日本証券業協会において、流通市場における国債取引の決済期間の短縮化(T+1化)を平成30年度上期から実施することを目指した検討が進められている。

・これを受け、発行市場の決済期間をどうするかについて、国債市場特別参加者に意見をお伺いしたところ、流通市場と発行市場の決済期間が異なると決済日のズレに伴いレポコストが発生すること等から、流通市場と揃えてほしいとの意見が多く聞かれた。

・当局としても、決済期間のズレにより入札参加者に追加コストが発生することは好ましくないため、発行市場についても原則として決済期間をT+1化する方向で検討を進めたいと考えている。

・その際、決済期間の短縮化に伴う事務負担の増加について懸念する声もあることから、具体的な事務フローの策定に当たっては、市場関係者と十分に議論を重ねていく必要があると考えており、御協力をお願いしたい。

・また、発行当局・入札参加者の事務習熟を図る観点から、29年秋に予定されているT+1化の総合運転試験の対象に国債の入札・発行も加える方針で考えているので、その旨御留意頂きたい。

・2点目は、国庫短期証券の最低額面金額の引き下げについてである。
日本証券業協会の検討の中では、流通市場のT+1化を進めるにあたり、GCレポ取引のT+0化を同時に実現する必要があるとしており、その際、T-Billの売買単位を利付国債と同額の5万円に引き下げて欲しいとの要望が示されている。

・当局としても、レポ市場を含めた流通市場の機能の向上には積極的に協力すべきと考えており、資料5のとおり、来年4月1日以降、T-Billの最低額面金額を5万円とすることとした。その旨、市場関係者の皆様にも予め御承知おき願いたい。

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電話 代表 03-3581-4111 内線 5701
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