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地震保険制度に関するプロジェクトチーム 第9回(平成24年10月25日)議事要旨

1.日時 平成24年10月25日(木)10:00〜12:00

2.場所 財務省国際会議室(本庁舎4階)

3.出席者

(メンバー)
佐藤主光(座長)、市川眞一、大谷孝一、纐纈一起、清水香、清水涼子、梨晃一、丹野美絵子、畠中誠二郎、堀田一吉、目黒公郎、柚木道義

(敬称略)

(オブザーバー)
日本損害保険協会、外国損害保険協会、日本地震再保険(株)、損害保険料率算出機構、金融庁

(事務局)
佐藤総括審議官、岡本参事官、栗原信用機構課長

4.議事内容

  • ○ 報告書のとりまとめに向けた討議。

5.議論経過

  • ○ メンバー等からの主な意見等は以下のとおり。

    • 現行の地震保険制度は、基本的にはよくできた制度であると評価しているが、単発の地震には対応できても連続地震への対応が不十分だという指摘が本プロジェクトチーム(以下「PT」)でもなされている。東日本大震災により民間準備金が激減する一方、今後、首都直下や南海トラフの巨大地震が連続して発生する可能性もないわけではなく、連続地震に対する強靱性の向上が重要。
    • このような観点から、強靱性については「(3)民間準備金枯渇後の民間保険責任のあり方」が重要。東日本大震災では、3月11日の発災後、5月2日の第1次補正予算によるレイヤー改訂まで、約1カ月半が経過している。仮に南海トラフの巨大地震が発生して民間準備金が枯渇した直後に首都直下地震が発生した場合、補正予算が間に合わない恐れがある。そうなれば、民間保険会社は財源の目途もなく巨額の保険金支払義務を負うことになり、被災者への保険金支払いが滞る可能性があり、また、巨額債務を抱えて民間保険会社の経営は大変なことになる。従って、民間準備金が枯渇したら、補正予算を待たずに自動的にレイヤーの改訂がなされるような仕組みの導入が望ましい。ただ、この場合、当初の政府の責任額はこれだけだが、仮に民間準備金が枯渇した場合には民間責任を減額する分、政府の責任をここまで増額する、ということをあらかじめ予算総則に盛り込んで国会の議決を得ておく必要があるが、このような方式が財政民主主義の観点から許容されるかどうか懸念もあり、財政当局の立場からすると、このような方式の導入は厳しいかもしれない。
    • 自動的レイヤー改訂が難しいならば、次善の策として、当初のレイヤーの段階から民間準備金の積み上がり状況に対して、例えば、同一年度に2回の巨大地震が発生しても準備金が枯渇することがないよう、民間責任額を準備金残高の半分程度に抑えてバッファーを持たせておくということが考えられる。これならば財政民主主義の問題も起こらないと思われるので、検討していただきたい。
    • なお、このような仕組みが導入できれば、連続地震への対応策としてもう1つ検討課題に上がっている「(2)政府による資金援助」の必要性はなくなると考えられる。
    • 巨大地震により民間準備金が枯渇した場合には、補正予算でレイヤーを改訂し、民間の責任を減額する必要があるが、補正が間に合わない恐れがあるので、自動的レイヤー改訂の仕組みの導入が提案された。しかし、このような仕組みが財政民主主義の観点から難しいというのであれば、当初から民間準備金にバッファーを持たせてレイヤーを設定しておけば、1回目の巨大地震後でも民間準備金が手元に残るので、とりあえず補正予算まではそれでつなぐことができるのではないかということ。
    • 日本地震再保険株式会社(以下「地再社」)固有の課題として、元受社の保険責任には一事業年度当たりの上限が設定されているが、地再社の保険責任については無制限になっている、ということがある。レイヤーの自動改訂の仕組みが導入されたとしても、地再社の資本は10億円しかないので、民間準備金枯渇後の改定後のレイヤーにおいても、民間が引き続きいくらかの保険責任を負担する以上、政府による資金支援は必要であり、また、地再社は債務超過に陥らざるを得ない。そのようなときには、政府による資金支援の必要は生じる。また、保険監督上の問題かもしれないが、債務超過の保険会社に対して再保険を出すことが認められるかどうかという問題も出てくる。
    • 自動的レイヤー改訂については、民の責任を減らせばその分、官の責任が増えるという側面についても合わせ考慮する必要がある。また、準備金が枯渇したら、民間の責任が自動的に減額されるということが、民間の責任を準備金の枠内に限定する趣旨のものであってはいけない。それでは、官民共同の保険ではなく、完全に官による保険になってしまう。民間は、準備金枯渇後も一定割合は責任を負うべき。ただ、それが予測不可能な金額では事業計画が立てられなくて困るので、保険料収入の何年分という形で明確化することが望ましい。
    • 以前、日本損害保険協会(以下「損保協会」)がPTで説明した資料を見ればわかるが、自動的レイヤー改訂の仕組みを導入するとしても、準備金枯渇後の改訂後のレイヤーにおいて、民間責任はある程度残ることとされており、ゼロにすることを想定しているわけではない。
    • 民間の保険責任を準備金の枠内に抑えるということになると、保険会社は一体何を引き受けているのか、ということになる。それでは、単に保険料として収納した資金を準備金として管理しているに過ぎなくなり、「保険」という名に値しないように感じる。勿論、ノーロス・ノープロフィットということは別の問題としてあるわけであるが、やはり、保険会社は、「保険」を営んでいる以上、ある程度の責任を分担すべきであり、準備金の枠内に収めるという考え方はいかがなものかと思う。
    • PTにおける官民リスク分担の議論は、決して民間の責任を準備金の枠内に収めるということを前提にしたものではない。地震再保険特別会計のワーキンググループで議論していた頃は、損保業界は、民間の保険責任を準備金の枠内に抑えて欲しいという主張をしていたが、PTの資料を見ればわかるように、業界としても、改訂後のレイヤーにおいて民間の責任額をゼロにすることは想定していない。自動的レイヤー改訂の仕組みは、民間の責任を準備金の枠内に収めるためのものではなく、いざというときに実際に民間の資金が準備金として手元になければ資金繰りに困るので、民間の責任額をある程度抑えることによって、被災者に対する保険金支払いに支障が生じないようにするためのもの。現行のレイヤーでも単発の地震に対しては問題はないのだが、連続地震の場合、補正予算が間に合わない恐れがあるので、自動改訂の仕組みを導入するとか、ある程度バッファーを持たせた形でレイヤーを設定しておくことによって、補正予算までの間のつなぎとするものであって、これによって連続地震に対する強靱性を高めるもの。
    • 地震保険制度における民間の役割は、基本的には査定と普及である。東日本大震災においても、3カ月で50万件、1兆円の保険金を被災者にお届けするとともに、加入件数も震災前に比べて145万件、14%増加しており、代理店と一緒に一生懸命普及に努め、この国を安全にしていくという役割を担っている。
    • 保険責任について、現行制度においても民間は一定のリスクを負担している。ただし、地震保険はノーロス・ノープロフィットなので、株主に説明のつく範囲でなければ、仮に連続地震が起こって経営が悪化した場合に、そもそも何でこのような商品を取り扱っているのか説明できないので、民間の保険責任の設定にあたりご配慮いただきたい。連続地震への対応は、一義的には補正予算での対応が基本であろうが、補正予算が間に合わない場合に、民間が何千億円という支払義務を負うことは、耐えられない。契約者が安心して加入できるよう、予めそのような事態に対応できる仕組みづくりをお願いしたい。
    • 民間準備金枯渇後の民間保険責任については、損保業界もゼロにして欲しいと言っているわけではなく、負担可能な範囲として欲しいと言っている。具体的にどれくらいの金額が、民間の負担可能な範囲なのかについては、色々議論があっていいと思うが、例えば、民間の保険料収入によって1〜2年程度で回収可能な水準ということが業界から示されている。自動的レイヤー改訂は、民間の責任を準備金の枠内に抑えるという趣旨ではなく、準備金枯渇後の民間の負担が過大にならないよう、地震保険制度の実効性・信頼性を担保できる範囲で、レイヤーを柔軟に対応させられないか、ということについての一つのアイデアである。勿論、民間の責任を減額する分だけ国の責任が増えるので、決して責任が消えてしまうわけではない。
    • レイヤーの改訂のみならず「(2)政府による資金支援」においても政府の機動的な対応が必要となる。後者の資金融通についても、その原資を財投から借りてのか、政府機関が融資するのかといった仕組みにもよるが、いずれにしても補正予算といった官庁特有の制度によって機動性が損なわれることがあってはならないと思う。
    • 政府から資金融通をして資金繰りをつければ保険金の支払いが滞ることはないが、資金繰りをつけただけでは、連続地震が起こった場合に民間が巨額債務を抱えて信用不安を惹起する問題を解消できない。これを回避するには民間の責任を減額する必要があるが、民間の責任を減額すれば国の責任が増えることになり、国の責任額は予算に書いてあるので、これを変更するにはどうしても補正予算が必要になる。それで、連続地震への対応として、補正予算までの間をつなぐ手立てについてご検討いただく必要がある。(事務局)
    • 連続地震が発生したときに確実に保険金を支払うということを第一に考えなければならないが、損保会社が負っている保険は地震保険だけでなく、ほかにもたくさんある。その支払いに支障が生じることになれば、ただでさえ震災で混乱をしている金融市場がさらに大きなシステミックリスクを抱えることになりかねない。そのような事態を回避するため、事前に何らかの手立てを準備しておく必要がある。民間準備金枯渇後の民間責任においても、3rdレイヤーについて、損害査定におけるモラルハザード防止のため、民間が一部負担する必要があるが、モラルハザードの防止が担保され、制度の健全性を保つために必要な程度のレベルのものであれば十分であり、それ以上のものを求めると、システミックリスクに対する対応ができなくなる。このような点も考慮して制度設計をしなければならない。
    • 3rdレイヤーについては、民間に本質的な責任を求めるというより、適正な査定を担保することが目的であり、ここの部分の民間責任を余り厚くしてしまうとシステミックリスクにつながりかねないので、この点には注意しなければならない。
    • 総支払限度額について、以前、無制限にすべきと述べたが、それは3rdレイヤーの民間責任をなくした上でのことであり、今のままで無制限にすべきということではない。
    • 「(4)総支払限度額」については、地震保険が単発の地震としては最大の被害地震と想定する関東大震災を前提として算定しているので、仮に総支払限度額を上げたとしても、実態に影響はないのではないかという指摘がある。他方、引き下げるとなれば、契約者に説明されている内容と違ってくるので、契約者から理解が得られず、制度の後退とみなされるのではないかという議論がある。引き上げには余り実益がなく、引き下げについても、制度の後退ということと、契約者から理解が得られないだろう、ということになると、総支払限度額の算定の前提を変えることについて、何か重要な意義があるかは疑問。
    • 関東大震災が最大の被害地震という前提はどういうことなのだろうか。例えば、南海トラフの巨大地震と首都直下地震がほぼ同時に起こった場合の保険金の総支払額が、関東大震災を想定した場合のそれを上回らないというのは非常に考えにくいと思う。
    •  
    • 総支払限度額は単発の地震を前提として算定している。南海トラフの見直しが震源モデルにまだ織り込まれていない現時点では、関東大震災が単発の地震としては最大の被害地震として想定されている。南海トラフの見直し前の東海・東南海・南海3連動地震は、震源モデルの中に織り込まれており、確かに、3連動地震と首都直下地震の保険金総支払額の合計は関東大震災の保険金総支払額を上回るが、総支払限度額は単発の地震を前提として算定しているので、南海トラフの巨大地震と首都直下地震が同時に発生した場合については考慮されていない。
    • 地震保険の加入者が増えているが、今後、更に増えた場合に総支払限度額を上げなくてもいいのか。
    • 加入者が増えれば地震が発生した場合の保険金総支払額も増えるので、総支払限度額を上げる必要がある。実際、平成24年度予算で、それまでの5.5兆円から6.2兆円になったのはこれを反映したもの。
    • 「(5)「1回の地震等」の定義」については、現行の72時間基準を見直す必要があるかどうかという議論。自動的レイヤー改訂の仕組みや民間の保険責任にバッファーを設けるといったことにより、連続地震への対応が図られれば、72時間基準を見直す必要はないのではないかという意見もある。
    • 「(6)加入制限」については、早期の加入を促すためには地震リスクが高まった時点での加入制限はあってしかるべきではないかという意見と、逆に、安心を求める消費者の加入機会を奪うことになり消費者保護に反するとともに、結局、被災者救済のための財政負担に跳ね返るので、加入制限には反対という対立した意見がある。
    • 総支払限度額と同様、制度の強靱性を考えれば「(6)加入制限」も必要と考える。ただ、このように保険金の支払いや地震保険への加入が制限される場合があるということについて、加入者や一般の消費者に周知されていないことが問題。実際に巨大地震が起こり、総支払限度額を超えて保険金が全額支払われないとか、地震保険への加入が制限されるというような事態が起こったときに、ものすごい反発を買うと思うので、これらの周知徹底が重要。
    • 報告書にとりまとめる際に整理していく必要があるが、喫緊の課題、中期的課題、長期的課題と段階分けしながら意見を集約していくことになると思う。喫緊の課題としては、連続地震に対する強靭性を向上させるため、民間準備金枯渇後の民間保険責任をどうするかという問題があるが、この点については、自動的レイヤー改訂なりバッファーを持たせるなり、PTとしてある程度意見の集約を見つつあると考えられる。他方、制度の根本に関わるような論点については、まだ意見が対立しているところもあるが、そのような論点については、引き続き中長期的な観点から議論していく必要がある、ということで整理していくことになると思う。「(6)加入制限」については、制度の根本に関わる議論になるので、中長期的な問題というふうに整理されるかと思う。
    • 商品性のうち、「(2)対象物件」については、これまでの議論の中で、住宅及び家財を対象とする現行制度を見直す必要性について、多くの意見は出されていなかったと思う。
    • 「(3)付保割合」については意見が分かれている。付保割合の単純な引き上げについては、リスク量等の増大から、これを支持する意見はなかったが、「付保割合100%、全損のみ補償」というオプションを導入してはどうかという提案がなされている。全損のみに限定すればリスク量の増大は避けられるし、住宅ローンの負担等も考えれば、そのようなオプションに対するニーズがあるという意見であるが、これに対しては、選択困難なものの選択を消費者に迫るものではないかという反対の立場からの意見が出されている。
    • リスク量や保険料負担の増大を招くという反対理由については、「付保割合100%、全損のみ補償」のオプションを導入した場合の影響についての損保協会の試算を見ると、現在、付保割合50%で地震保険に加入している世帯のうち、わが国で住宅ローン返済中の世帯割合である35%が「付保割合100%、全損のみ」のオプションを選択するとした場合に増加するリスク量はわずか1%であり、保険料については逆に24%下がるという試算結果になっている。更に新耐震基準の建物のみに対象を限定すれば、もっとリスク量を減らすことができるし、付保割合100%であれば、被災者は住宅再建に向けてある程度大きな金額を確保できるので、二重ローン問題は起こりにくくなるし、耐震化のインセンティブにもなる。そのように考えたときに、リスク量や保険料負担の増大を招くことを理由に、このオプション導入に反対するということが本当に言えるのかどうか、改めて考え直す必要がある。
    • 人々が暮らす前提条件は20年前と全然違ってきており、以前のように土地も株式も給料も黙っていれば上がるという時代ではなくなっている。家を買っても、それはやがてただの古い箱になっていくだけであるし、少子高齢化の中で、土地の価値もなくなっていくかもしれない。今般、政府が決定した日本再生戦略に、若年低所得者に100%ローンで家を持たせるというのがあったが、生活者が以前に増してかなりのリスクを取っているという状況が色々なデータで確認できる。そのような状況の中で、地震保険の位置付けについても考え直す必要があり、深刻な被害を被った被災者に対してできるだけ保険金を厚く確保することが重要。
    • 加入に際し、従来の地震保険と新たなオプションとで、どちらが自分にとって有利か不利かを合理的に判断するのは難しいので、「選択困難なものの選択を消費者に迫るもの」との意見もあるが、地震保険は、地震によって仕事も家も健康も家族もコミュニティも奪われるという重大なリスクに備える唯一のリスクヘッジの手段であり、唯一の危機管理のための方策である。医療保険などと異なり、有利不利というところで判断すべき保険ではない。また、このオプションは、深刻な被害に遭った人々の生活を支えるだけでなく、生活を自力で再建できる人が増えれば、国や自治体の財政負担も軽減できることになる。
    • 「付保割合100%、全損のみ補償」というオプションと従来の地震保険を示されて、どちらを選ぶかと問われても消費者は選べない。散々迷ったあげく、「付保割合100%、全損のみ補償」のオプションの方を選んだとして、実際に地震が起きて、半損までの損害にしかならなかった場合に、自分で選択したのだからと言って、自分に対しては一切保険金が支払われないことについて、果たして割り切ることができるのか。そういうものを選ばせる保険にするのがよいのか。色々トラブルの種になるのではないかという懸念がある。
    • 例えば、千葉県の浦安などでは、全損はほとんどなく、半損がかなり多いが、支払われた保険金がそれらの人たちの生活再建に大いに寄与したということを考えると、加入時点で「付保割合100%、全損のみ補償」のオプションを合理的に選ぶことができるかどうかという問題がある。
    • 住宅ローンを借りて家を建てる人は、そのことに伴うリスクを、その時点で認識しなければならない。国の関与で制度が支えられている地震保険において、住宅ローンを自己の責任として借りている人の生活支援について、二重ローンの問題まで含め、どこまでカバーすべきものなのかについて、慎重に考える必要がある。
    • 東日本大震災においても、地震保険制度はきちんと定着・機能している中で、新たなオプションを導入することで消費者・保険契約者が却って混乱しないか懸念される。また、従来の地震保険と新たなオプションの2つの商品が並立することによって、実際に首都直下地震などが起こった場合に、損害査定や保険金支払いに大きな負荷がかかってくる可能性もある。これらのことを考えると、新たなオプションの導入は現実的にはなかなか難しいのではないか。地震保険制度については、一部損をどうするかなど、比較的マイナーな見直しはあると思うが、現行制度の基本的な枠組みを余り変えてしまうと、むしろ弊害の方が大きくなるのではないか。
    • 「付保割合100%、全損のみ補償」のオプションについて考えるべきは、リスク量や保険料負担の増大ではなく、選択困難なものの選択を消費者に迫ることにならないかという議論が片方にあり、他方で、保険を買うのは自己責任なので選択の自由度は広いほうがよく、「付保割合100%、全損のみ補償」も、従来の商品をこれに変えるということではなく、あくまでもオプションとして選択肢を増やすということなので、加入者のニーズにも適うのではないか、という2つの議論がある。勿論、人間が合理的に判断することができるという前提であれば、選択肢が増えても合理的に判断すればよいということになるが、現実には、地震という低頻度・高損失型のリスクを合理的に判断するというのは非常に困難であり、あえて制度を複雑にすると却って混乱の要因となるのではないかという懸念が出てくる。
    • 消費者が選択する段階での情報が相当不足している現実がある。地震保険は非常に深刻なリスクをカバーするものであり、選択する段階でそれなりのリスクコンサルティングが必要。新たなオプションの導入は、適切なリスクコンサルティングとセットでやらないといけない。
    • 新たなオプションを導入するとしても、しっかりとした情報提供などの前提条件が整っている必要があり、それが満たされればオプションの導入も可能であるとか、前提条件が満たされない限りにおいては慎重な対応が求められるとか、そのようなまとめ方になるのではないか。
    • 「付保割合100%、全損のみ補償」のオプションにも関係するが、地震保険法第1条の「被災者の生活の安定に寄与すること」をもって費用保険とするか財物保険とするかはまだはっきりしていない。物損の填補をもって「被災者の生活の安定に寄与すること」も考えられるのであるから、目的規定はそのままだとしても、費用保険か財物保険かはっきりさせなければならない。それなのに、どちらかまだはっきりしていない中で、商品性については、「費用保険である地震保険」という文言が資料のあちこちで散見される。費用保険と捉えるか財物保険と捉えるかで制度設計・商品設計は変わってくるので、仮に費用保険とするということがPTの考え方であり、また、それが地震保険法第1条の目的規定の趣旨であるということであれば、それを前提として商品性についても考えていくべき。但し、一般の消費者は費用保険であると認識しておらず、物が壊れればその物の損害がてん補されるのが地震保険であると考えているので、費用保険であるということについて、一般の消費者に対する広報活動に、より一層努める必要がある。
    • 保険金限度額については、付保割合の引き上げとのセットでの限度額引き下げが論点として上がっているが、これまでPTでは、限度額を引き下げるべきとの意見はなかったと思う。
    • 「(5)損害区分」については、PTでも意見が分かれている。迅速性に関していえば、現行の損害区分が限界ではないかという意見がある一方、迅速性だけではなく適正性・公平性も求められるのであり、もう少しきめ細かな実態に即した損害認定があってよいのではないかという意見もある。
    • 地震保険の「普及拡大のためには細分化によって商品魅力の向上を図るのではなくて、むしろ強靱性の向上を図るべき」との意見があるが、商品魅力と強靭性は対立する概念ではないと思う。しかも、制度の強靱性の向上を図り、保険金の支払いの確実性を高める方が効果的というが、強靭性や確実性が高まったかどうかは一般の消費者にはわからないことで、実際には商品の魅力につられて加入する人もかなり多いのであるから、対立概念ではなく、両方図ることで加入を促進していくべきだし、制度の強靭性や保険金支払いの確実性というのは、実際に地震が起こってからの事後の問題であるので、必ずしも一般の消費者にとって加入のインセンティブにはならないのではないか。
    • 強靱性の議論と商品性に関わる損害区分の話は、対立概念的に捉えたり、他方に対してどちらかが優先というふうな論点のまとめ方は避けたほうがよい。また、損害区分の細分化というのは、一見、テクニカルな論点に見えるが、地震保険を費用保険として捉えるならば現行3区分の維持の方向に傾くし、財物保険として捉えるならば、物が壊れている実態に即して、ある程度きめ細かくということになり、地震保険の性格論にも関わる話。
    • 消費者側は物が壊れたら保険でカバーしてもらえると思っている人が多いのは間違いない事実。ただ、東日本大震災後の消費者側のリアクションを見ていると、勿論、一定の苦情はあるが、膨大な件数の保険金が迅速に支払われたことに対して高く評価する声が多くあることも紛れもない事実。
    • 保険に加入する際、保険料は消費者の最大の関心事。損害区分については、現行の3区分に新たに1つ区分を追加すれば、境界の増加により境界周辺で起きるトラブルが増加することはもとより、人間の行うことであるから、境界周辺では査定がどうしても甘くなり、上位区分に認定されがちになるということもあるだろうから、区分の増加により、保険金支払いが増加することが懸念される。それは保険料負担増にも跳ね返ってくることであり、消費者にとって望ましいことではない。やはり、消費者が入りやすい保険料にするのが加入のインセンティブを一番高めることだろうから、損害区分をもう1個区分増やすべきという消費者の声が現実に把握されていない中では、損害区分を変える必要はないと思う。
    • 保険は、貯蓄で対応し切れない経済リスクに対して家計がコストを払って備えるというもの。貯蓄である程度対応できる小損害については、そもそも保険は必要ない。そのような観点からすると、一部損は必要なのか、廃止してもいいのではとも思うが、現に存在する補償を後退させるのは現実的には難しいというのも理解はできる。いずれにせよ、損害のレベルが低いところで、段階をなめらかにして格差を平準化するというのは必ずしも重要ではないと思う。
    • 損害区分を細分化する場合、新たな区分をどこに設けるかという問題が出てくるが、現実に損害査定をすることを考えたとき、半損と全損の間に新たな区分を設けると査定が非常に難しくなると思う。東日本大震災でも現行の仕組みで一応うまく回っているので、東日本大震災を踏まえてどこか見直さなければならないというだけで現行の仕組みを変えると、今後、首都直下地震等が起こったときに、かなり困難な問題が多く出てくるのではないか。
    • 一般の消費者が問題にしているのは、損害区分が3区分では大括り過ぎるということよりも、僅か1%の損壊割合の差で、半損と一部損とで、もらえる保険金に10倍もの差がつくのでは、格差が余りにも大き過ぎるということ。
    • それは、区分数の問題ではなく、それぞれの区分の補償割合の問題。
    • 区分数を増加させれば、境界が増加し、境界周辺で起こる査定結果を巡るトラブルも増加し、結局、不満が高まるだけではないかと懸念される。
    • 区分数を増やすことには反対だが、区分数は増やさずに、各区分の補償割合の格差を縮小させることができるかについては検討すべき。一部損は件数が多いので、ここの補償割合(現行、保険金額の5%)を引き上げるとリスク量が増えるという説明があったと思うが、一部損の補償割合を少し引上げる一方、一部損と半損の境界となる損壊割合(現行、主要構造部の20%)を多少引上げることによって、リスク量に中立的に一部損の補償割合を引上げることが可能かどうか、検討してみてはどうか。
    • 損害区分については、現行維持に賛成。東日本大震災はマグニチュードの規模に比較して揺れはさほど強くなかったが、非常に広範囲にわたったというのが特徴。さほど強くない揺れが広範囲にわたった結果、一部損が非常に多くなり、被害が軽微なのにそれなりの保険金が受け取った方が非常に多かった。それが、不満の声が少ないということにつながったのではないか。
    • 損害区分については、PTとしては、細分化すべしという強い意見はなかったということで意見は概ね集約されるかと思う。
    • 「(6)契約方法・契約構造」について、住宅ローンに関しては、住宅ローンを組んでいる人に対して銀行業界と損保業界が連携して地震保険への加入を促すべきというのは、一般論として言えることであるし、大きな制度変更を伴うことでもないので、そのような方向でまとめたい。
    • 「マンション問題」については、ライフラインを損害査定の対象に加えるのかどうかということについて、PTでも色々議論がある。
    • マンションについて、ライフラインを損害査定の対象にすると、戸建住宅との公平性の問題が出てくる。また、査定する側も非常にやりにくいのではないか。地震保険における査定対象については、従来通り、構造体を主体として考えた方がよいのではないか。
    • ライフラインはマンション特有の問題であり、マンション独自の査定方法というものを設けてもよいのではないかという意見もある。他方で、戸建住宅との公平性はどうなるのかという問題がある。なお、参考情報であるが、現在、損保業界では、損害査定基準の見直しについて検討中とのことである。
    • マンションについては、ライフラインを査定対象に加えるかどうかということより、そもそも構造躯体を含め共用部分の地震保険加入率が低いので、そのことが大きな問題。地震保険に加入していないと、住宅ローンの問題にも大きく関わってくる。
    • マンションについて、ライフラインを査定対象に含めるとなると、戸建住宅とは別立ての査定をしなければならなくなり、非常に煩瑣であるし、戸建住宅との公平性を担保するのも難しいので、ここは変えない方がよいのではないか。むしろ大事なのは共用部分の普及促進。マンションが再建できるかどうかは、結局、財源の目途が立つかどうか。修繕積立金が十分に溜まっているマンションばかりではないという現実を考えれば、主要構造部まで損壊が及んでしまった場合に、その改修に必要となる大きな資金が確保できるよう地震保険に助けてもらうということについて、しっかりとした普及活動をしていかなければならない。
    • 戸建住宅との公平性の観点から、基本的に、マンションについて特別なことを認める必要はないと思う。特にライフラインについては、戸建住宅とマンションとでは全く事情は同じではないか。ただ、エレベーターに関しては、無くても昇れることは昇れるが、高層マンションになると現実的にはそこに居住し続けることは困難。例外的に、例えば高層マンションのエレベーターのみ損害査定の対象とすることが可能なのか、検討することが考えられないか。
    • エレベーターは、それが使えなくなれば高齢者には相当不便になり、生活に支障が出るとは思うが、構造躯体が健全であれば、エレベーターの改修は短時間でできるので、躯体と同等の主要構造部とは考えにくい。
    • 恐らく問題となるのは、主要構造部が壊れていなければ、主要構造部以外については直すのは簡単だが、主要構造部が壊れていない以上、地震保険の保険金は支払われず、直す財源の目途が立たないという問題かと思う。
    • マンションと戸建住宅の問題は、同じ地震保険の中で考えるのか、それとも別建ての料率体系とするのか、という問題についても将来的な課題として、検討する必要がある。
    • 保険料率について補足説明する。損害保険料率算出機構(以下「料率機構」)は、地震調査研究推進本部(以下「地震本部」)が作成する確率論的地震動予測地図の震源モデルに基づいて地域的な地震リスクの差を地震保険料率に反映させているが、日本全国どこでも被害地震が発生し得るので、震度6弱以下の地震による損壊リスクについては、地域格差を設けずに全国で均等に負担するという考え方を取り入れている。純保険料の約30%を全国一律に負担してもらい、残りの約70%分について、地震リスクの地域格差に応じて割り振っている。約30%分を全国一律に割り振ることにより、地域的な料率格差が緩和されることになる。
    • これまでの料率改定においては、改定前の料率から改定後の料率への上昇率が余りに大きくなる地域については、激変緩和地域として、上昇率に30%のキャップをかけている。30%のキャップを超える部分の負担については、それを超えない地域に割り振っている。
    • 地震保険料率は、震源モデルに基づく被害予測シミュレーションから求めた1年当たり保険金支出見込額に対して、収支相償となるように、1年当たりの収入保険料を設定している。耐震割引を設定することにより、割り引かれる人からの保険料収入が減れば、割り引かれない人の保険料から不足分を賄い、ファンドイーブンとすることで収支相償が満たされるようにする必要がある。耐震割引にメリハリを利かせるのであれば、割引率の引上げによって減少する保険料収入を別のところの保険料の引き上げによって賄う必要がある。
    • 地域ごとの保険料率の格差について、これを平準化するための方策として、等地区分を現行の4区分から3ないし2区分に統合してはどうかという議論がなされている。しかし、先ほどの説明にもあるように、純保険料の約30%は全国一律に負担してもらうことによって、既に保険料率はある程度平準化されており、この30%の部分の比重を例えば40%に引上げることによって、等地区分を統合しなくても、料率を平準化することは可能ということである。
    • また、等地区分を統合しても、本当に区分が減るのかという問題もある。事実、現行4区分であるが、上昇率30%をキャップとする激変緩和措置により区分内区分が出来て、実際には8区分となっている。今回の料率改定において、区分を統合したことにより、現在料率が低い地域の料率が大きく上昇してキャップがかかり、激変緩和措置によって却って区分数が増えるということもあり得る。
    • 地震本部による震源モデルの改定においては、まだ、南海トラフの見直しが反映されていない。具体的な地震保険料率の改定作業は、南海トラフの見直し結果が震源モデルに織り込まれ、料率機構の方でその被害予測シミュレーションできるようになってからになる可能性もある。現在、PTでも保険料率について議論しているが、実際の料率改定については、タイミング的には先になるという点に留意が必要。
    • 最近の大きな被害地震は、概ね1等地か2等地で起きており、等地区分は短いスパンで考えたときの被害の実態に合っていない。震源モデルに基づく被害想定というのはその程度のレベルの計算であるということを念頭に置く必要がある。従って、被害想定から直接的に保険料率に反映させるとかなり危険性を伴うので、等地区分の区分数は少なめにした方がよいのではないか。
    • 基本的には等地区分の区分数は減らす方向でよい。一方で大事なのは、個々の契約者の耐震化のインセンティブ。これをもっと的確に料率に反映させることによって、もう少しリスクに傾斜した仕組みがとれないか。等地だけで比較していると正しく料率体系全体を把握できない。耐震化を料率にどう反映するかということも議論すべき。
    • 等地区分と耐震割引の議論はセット。地震リスクについては、科学の限界もあり、確固たることが言えないので、震源モデルに基づく地域的なリスクの格差を余り細部にわたってまで保険料率に反映させるべきではないという意見がある。一方で、地震が起きたときに建物が倒れるかどうかは個々の建物の耐震性に大きく依存するので、それについては耐震割引にメリハリを付けることで、耐震化へのインセンティブにするべきで、保険料率をリスクに応じて差別化する際の比重を等地区分から耐震割引に移したほうがよいという意見もある。これをセットにしてまとめる必要がある。
    • 等地区分と立地はリスクの性質としては別物。等地区分は地震学的な活動等を考慮したもので、立地は建物が建っている地盤状況や津波危険度といったローカルな条件。地盤によっては揺れの大きさが倍ぐらいは簡単に変わるので、その部分はもっと考慮に入れるべき。地震による被害は、地震の力と耐震性の双方の関係で決まるので、等地区分を細分化することは難しいが、ローカルな立地の条件をもう少し保険料率に反映させることで、条件の悪いところに住んでいる人たちを条件の良いところにうまく誘導できるような方向に持っていくということも含めて、検討する必要がある。実際、建物の耐震設計については、そのような哲学で作られている。
    • 立地による若干の割引はあってもよいのではないか。保険料率は250メートルメッシュという細かい単位で算出するのだから、ローカルな地盤条件を織り込むことが可能だろう。立地による保険料率の差は簡単につけられるのではないか。
    • 津波や液状化等の危険度の高い地域を対象として割増をかけるかどうかという議論は立地に係る問題。ただ、割増という言い方は、沿岸部の国民を地震保険から実質的に排除することになりかねないという反論もあるので、対象を限定的にして安全度の高い地域について割り引くという、耐震割引と同じ発想の立地割引の制度があってもいい。それは地盤や建物の強度に応じた割引制度といった話につながる。
    • 地震保険の料率計算の過程では250メートルメッシュの単位で計算を行っているので、現行の都道府県ごとに設定している保険料率について、更に細分化して料率計算することは技術的には可能である。ただ、それは保険料率を算出する過程での数値なので、実際に保険料率に反映させるとなると、細分化された料率格差に対する納得感であるとか別の問題がある。
    • 同一県内でも立地条件によって保険料が違うとなると、例えば、路地一つ隔てて、あるいは隣り合った家同士の間に境界ができてしまい、隣よりもうちの方が保険料が高いのはどうしてか、という疑問や不満が出てくる。そのような疑問や不満を解消して細かな料率格差を納得してもらうのに必要な根拠や条件がもう少し整わないと、なかなか立地割引というのは難しいのではないか。
    • 路地一つ隔ててなぜ保険料が違うのかということをしっかり説明できるだけのデータや解析結果は残念ながらまだない。阪神淡路大震災でも、路地一つ隔てて被害が大きく違ったという事実はあるが、それを100%説明できるかというと難しい面がある。
    • 実際に地震の後を見ると、隣は大丈夫なのにここは全部壊れたという例は多くある。それは地盤や建物の強度からくるものであるが、そのような条件の違いが歴然とした差となって出てくる。
    • 起きてしまってから事後的にはわかることであっても、それが事前にどこまでわかるかというと、そこにはやはり科学の限界があるということかと思う。
    • 地震保険は、自分の財産を守るという、個々人のリスク認識に基づいた「保険」というところにウエートがあるのか、それとも、助け合いの仕組みということなのか。もし、助け合いの仕組みであるなら、考え方がまた違ってくると思われる。保険料率の議論は、地震保険制度の本質にかなり関わる話。
    • 地震保険は、地震リスクに対する自助による備えであり、その意味で「保険」であることに間違いないが、地震リスクは市場原理に基づく「保険」の原理だけでは負担しきれないリスクであり、国の関与の下、社会的「連帯」の仕組みとして成り立っている。但し、あくまでも個人が自らの意思で加入する「保険」であり、100%「連帯」というものではない。
    • 「(1)地震保険制度の趣旨・目的」については、「制度創設以来、消費者の抱えるリスク状況も変化しており」ということであり、雨風をしのぐバラックを建てられればよいということで創設された地震保険であるが、実際、今では5,000万円、1,000万円というレベルまでカバーするまでになっている。しかし、それでも付保割合の制限があるので、建物の価値の半分しかカバーできていない。地震被害は、住まい、仕事、家族、コミュニティ、財産など全部を失ってしまうという極めて深刻な被害であるが、そのような中で、生活の安定・再建のための資金が絶対的に不足するという人が出てくる。建物価値を100%カバーするだけでは足りないという現実もある。借金返済にお金が回り、生活再建に至らない被災者にとって、現行の地震保険制度が「生活の安定に寄与する」と言えるのか。地震保険法の目的規定のこの文言を変えなくても、リスク状況の変化に合わせて、地震保険の位置づけを見直す必要はあるのではないか。
    • 地震保険は、地震という極めて確率計算がしにくいものに対する保険であって、基本的には国の信用力を背景としない限り成り立たない制度。逆に言えば、地震保険制度は、その自らの存立基盤とする国の信用力を毀損させるようなものであってはならない。まして南海トラフの巨大地震などが実際に起こってしまったときは、日本の国債の信用力も相当大きな影響を受けているところであろうから、その上更に地震保険に対する支払いをして、なお国の信用力が担保できるかどうかというのは極めて大きな問題になってくるところ。まず、被災されて非常に厳しい状況にある方々に対して広く薄く支援を行う被災者生活再建支援制度がある一方で、地震保険は、ある意味、その上乗せとして、加入者に対してのみ保険金を支払って、「生活の安定に寄与する」ものであるが、そのような地震保険制度に対して、あるいはその背後でその信用力をもってこの制度を支えている国に対して、国民が財産や生活基盤を失ったことについて、どこまで個々の損失を請求できるのかというところに関わってくる問題。国の信用力にも限界があるということを考慮しないと、後々想定していなかったところで制度が機能しなくなる可能性があることを前提として考えておくべきではないか。
    • 地震保険は、国の信用力によって裏付けられる制度ということは間違いない。強靱性のところにも関わるが、総支払限度額のところである程度国の財政負担を押さえ込んでいるが、これはかなり高い上限になっているため、果たしてそれだけで大丈夫かという問題は確かにある。
    • 地震保険が費用保険か財物保険かという論点については、機能としては費用保険だが、構造的には財物保険の枠で議論されているという印象を受けている。もし、費用保険ということでPTの意見を一致させるのであれば、制度の根本的な問題にも関わるような改定が可能になってくるとも思うが、いま議論されているような枠組みの中で考えている限りでは財物保険の枠で考えているということではないか。

(以上)

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