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地震保険制度に関するプロジェクトチーム 第6回(平成24年7月6日)議事要旨

1.日時 平成24年7月6日(金)10:00〜12:00

2.場所 財務省国際会議室(本庁舎4階)

3.出席者

(メンバー)
佐藤主光(座長)、市川眞一、大谷孝一、纐纈一起、清水香、清水涼子、梨晃一、丹野美絵子、畠中誠二郎、堀田一吉、目黒公郎、山下友信、若泉征三

(敬称略)

(オブザーバー)
日本損害保険協会、外国損害保険協会、日本地震再保険(株)、損害保険料率算出機構、金融庁

(事務局)
佐藤総括審議官、岡本参事官、森山信用機構課長兼政策金融課

4.議事内容

  • ○ 「地震保険制度に関するプロジェクトチームにおけるこれまでの議論の中間的整理(案)」について

5.議論経過

  • ○ メンバー等からの主な意見等は以下のとおり。

    • 地震保険が火災保険とセットで販売されていることで、火災保険の販売促進にも寄与しているとの意見に関し、損害保険会社5社の住宅向け火災保険と地震保険の2011年度の営業成績を確認したところ、地震保険も含めた住宅向け火災保険全体の保険料の伸び率は6.7%、うち火災部分は3.8%、地震部分は16.3%となっており、地震保険の伸び率が火災保険を大きく上回っている。既に火災保険に加入している契約者が地震保険に追加で加入するケースが多いと推測されるが、地震保険ニーズの高まりによって住宅向け火災保険の販売も一定程度伸びているという状況にある。
    • 地震保険にリスクコントロール機能の全てを期待するものではないが、以下の点は非常に重要なので、この後の議論の前に是非指摘しておきたい。東日本大震災の被害額は直接被害だけで16.9兆円、復旧・復興の財源に充てるために発行した復興債が11.6兆円だったのに対し、首都直下地震が起こると、今の想定では直接被害だけで約67兆円になるため、東日本大震災と同じ比率で復興債を発行するとすれば約47兆円となる。一方で、少子高齢人口減少による労働力の減少を背景に、日本の国債残高と貯蓄額が逆転するのが2025年前後と考えられるので、首都直下地震や南海トラフの巨大地震が起こった場合の復旧・復興を含めた事後対応のための財政的環境は、今後益々厳しい状況になる。このような環境を前提に、限られた財源の効果的・効率的な運用を考える必要がある。最も重要な点は、地震発生前に被害を抑止・軽減するためにお金を使うことである。これによって、自分たちのコントロールが利く中で地域経済に貢献するとともに被害を減らすことができるし、事後対応時の条件も格段に改善される。しかし、事後対応として、地震発生後に資金を調達して使うとなると、財政的に厳しいだけでなく、兵庫県南部地震後に見られたように、復旧・復興に使われた資金が兵庫県の経済には貢献せず、外部に吸い上げられてしまった現象が、今度は日本全体を対象として起こりかねない。ゆえに、わが国が直面している現在の地震学的な環境や想定される被害量、さらに財政的な状況や対応に当たる人的資源量をトータルして考えると、日本が様々な制度によって志向すべき防災対策は、事前に被害をなるべく抑える方向の対策であり、事後的な対応策の充実ではないことがわかる。言い換えれば、事前の強力な抑止力対策の実現、つまりリスクコントロールの実現なくしては、事後対応では復旧・復興できるレベルを超えてしまう可能性が高いことを肝に銘じておく必要がある。
    • 「地震保険制度の位置づけ・役割」に、首都直下地震や南海トラフの巨大地震が連続発生するような場合は国家的有事として対応すべき事態との意見があるが、だからこそ被害軽減に努めるようにリスクコントロール機能の向上が重要ということになるし、「東日本大震災を踏まえた見直し」としても、そもそも被害が起きないような態勢を作っていくことの重要性が東日本大震災から学ぶべき教訓ということになると考えられる。
    • 「地震保険制度に関するプロジェクトチーム(以下「PT」という。)におけるこれまでの議論の中間的整理」(以下「中間的整理」という。)の公表後、PTにおいては、更に議論を深めていくことになるわけであるが、議論を深めても、例えば、官民保険責任のようになかなか議論をまとめるのが難しい課題もある。いつ次の巨大地震が来るかもわからないという切迫したときに、永遠に議論しているわけにもいかないだろうから、一定の期限を切って、まとめるところはまとめる必要がある。
    • PTでは地震保険制度の見直しの検討作業を2段階に分けて進めていきたいと考えている。まず、中間的整理では、これまで出された様々な意見を列記して論点を出し切っておき、これを受け、秋以降、更に検討を重ねて方向性を出していくことになる。喫緊の課題に対応して当面の見直しとしてはこうするが、そもそも論に立ち返って抜本的に見直すのであればこうだ、というように、時間軸で議論を整理してまとめていくことも考えられる。
    • 地震保険の制度本来の趣旨は、「被災者の生活の安定に寄与すること」を目的とした費用保険としての機能を果たすということであろうが、一般の人の受けとめ方としては、地震保険は財物保険と捉えられているではないか。
    • 地震保険は、制度創設時の考え方としては費用保険であったとしても、その後、徐々に拡充されていく中で、一般の国民としては、地震で壊れた建物を再建するための資金を支給する財物保険としての役割を期待するようになっている。PTにおいても、地震保険法第1条の目的を見直して財物保険とするのか、現行法の目的を維持して費用保険のままとするのか、ということが論点となっているので、費用保険という制度本来の趣旨の周知徹底を図るべき、という一方の立場からの意見を並べるのはどうか。
    • 地震保険は、一般的には財物保険と受けとめられているという現実があり、また、厳密な意味での保険種目としても保険金額が対象物件の価値に連動した財物保険と捉えられるので、制度本来の趣旨が費用保険であっても、費用保険であることが当然のことのように記述するのではなく、費用保険か財物保険かについてニュートラルな記述にした方がよい。他方、そのようにすれば、費用保険という制度本来の趣旨の周知徹底を図るべき、というのも一つの意見として列記しても差し支えないと考えられる。費用保険か財物保険かの議論は、「保険」か「連帯」か、という地震保険の性格論にも関わってくるが、中間的整理では並列させておき、今後、議論して詰めていくことになる。
    • 現行の地震保険料率の算定上、津波リスクの寄与度は0.3%であり、ほとんど反映されていない。今度の料率改訂において、津波リスクを適正に織り込めば、保険料率全体の中でのウェイトもかなり大きくなるのではないか。いずれにしても、現行保険料率に津波リスクはほとんど反映されていないのだから、その点が明確になるよう記述すべき。
    • これまでの保険料率に織り込まれていなかった東日本大震災による支払保険 金を将来世代から回収するために料率を引上げることは、世代間の負担の公平性の観点から問題であり、すべきではないと考えるが、仮に切迫性・不確実性という名目で余裕率を徴収する場合は、その仕組みを国民に十分説明し、理解を得る必要がある。
    • 付保割合に関し、地震保険法の「被災者の生活の安定に寄与すること」との目的に照らせば、時価(経年劣化による減価償却後の価額)が補償される仕組みは妥当であり、実務上も新価(再調達価額)の2分の1は補償されるため、火災保険金額が新価を基準として契約されているという実態を踏まえれば、付保割合が低いという批判は当たらないのではないか。
    • 共同住宅は区分所有であり、区分所有者が個々に保険を掛けているが、大きな構造体では、個々の区分所有者が所有している柱の1本1本は自分のものだと言っても、それが壊れたときに本人にお金がなくて修復できなければ、建物全体の強度に関わってくる。PTでは、共同住宅に関し、これまでも共用部分の問題について議論があったが、それ以前の問題として区分所有の問題があり、このような共同住宅固有の問題に対応した契約のあり方について検討する必要がある。
    • 費用保険か財物保険かの議論は、今後、地震保険制度の見直しを検討していく上で根幹に関わる部分。例えば、費用保険であると厳密に定義すると、付保割合に関する議論も意味のないものになってくる可能性がある。本来の趣旨は費用保険だが、実務上他にやりようがないので財物保険として仕組まれているというある種の妥協の上に成り立っているのが現状ではないかと思うが、費用保険とするのか財物保険とするのかまず決めてから細部の制度設計にかかるのか、細部からボトムアップで積み上げていって、最後に全体の哲学に結びつけるのか、どちらで進めていくのかをまず整理しておかないと、例えば、付保割合の議論にしても、実はこれは費用保険なので、と最後に全部ひっくり返すようなことになってしまう。
    • 神学論争をしていても不毛なので、抽象論から入っていくのはどうかとも思うが、ボトムアップで積み上げていって、最後にひっくり返すようなことはやはりしたくないので、両にらみで進めていく必要がある。
    • 例えば、津波危険度の低い地域や耐震性の高い建物など、条件の良い物件だけを対象とした保険を作ると、現行の地震保険よりもずっと魅力的な保険商品が出来上がると思う。そのような保険商品を民間保険会社が、例えば、外資系の保険会社が作ったとき、現行の地震保険加入者のうち条件の良い人たちがどんどんそちらの方に抜けていくということが起こる可能性があると思うが、地震保険制度サイドとしてはどのように対応するのか。
    • 医療において、公的な医療とは別に、民間保険会社が代替的な医療保険を提供すれば、健康な人はそちらに流れるだろうということはよく指摘されている。同様に、公的な地震保険とは別に、比較的リスクの低い人たちを対象とした地震保険を作ると、低リスクの人がそちらに移る可能性は否定できない。今でも、付保割合の上限50%を超える部分の補償を提供する民間保険商品があるが、これはあくまでも上乗せという形で公的な地震保険との棲み分けができている。仮に、上乗せ部分だけに限らないで、低リスクの人だけを対象とした地震保険を民間保険会社が販売するようになれば、公的な地震保険としては、民間と競争していくことになるが、国が関与する仕組みである以上、この地震保険制度が、限定された人だけを対象としたものになることはないだろうと考えられる。
    • 民間との競争の結果、低リスクの人たちが民間保険の方に移っていくと、公的な地震保険は、契約者の負担が増し、魅力が低下することとなる。特に公的な地震保険制度において、「連帯」の側面を強調すると、この問題は顕著なものとなるということにも留意する必要がある。
    • 中間的整理では、検討課題ごとに、ある意見とそれに相対する意見が並べられているので、中間的整理が公表されると、これを読んだ国民としては、PTにおける議論をどのように受けとめたらよいのか、戸惑うのではないかと思う。今後、PTで更に議論を深め、地震保険制度をより良いものに見直していくのであるという旨をしっかり国民に示す必要がある。
    • 中間的整理は、これまで出された意見・論点を全てテーブルの上に出すということに意味があり、秋以降、テーブルの上に出された材料を加工していくことになる。論点を列挙するということに中間的整理の意義があり、今回、あえて意図的に相対立する意見をウェイト付けすることなく列記した。
    • 分譲マンションについては、専有部分と共用部分でそれぞれ地震保険に入る必要があるが、専有部分とは一般に柱から内側の部分であり、評価される建築費も非常に少ない。例えば、一般的なファミリータイプのマンションで分譲価格が4,000万円だとしたら、専有部分の価格はせいぜい1,000万円位で、地震保険はその半額の500万円までしか入れないということになる。他方、共用部分については、評価額の半額までは地震保険に入れるものの、そもそも入っているケースが少ないとみられている。このため、分譲マンションについては、躯体にまで被害が及んだ場合に再建が非常に困難になる。再建のために住民に追加負担を求めても、地震保険を原資と考えるのであれば非常に脆弱なものとなる。住宅ローンが残っていれば、追加負担も困難となることが考えられる。このような実態も踏まえ、分譲マンション等、共同住宅における地震保険のあり方を検討する必要がある。
    • 躯体部分については共用部分とされているのが一般的であり、その場合、マンション管理組合がまとめて保険を掛けることになる。
    • 費用保険か財物保険かの議論は、保険金額の基準を新価とするか時価とするかの議論にも密接に関わる。生活再建資金を供給する費用保険の趣旨が、時価すなわち現在価値を基準とするということだったとして、では何が生活再建資金なのかと考えたとき、例えば、失った新築住宅を再建するのは無理でも、耐用年数が半分程度経過した同じような仕様の中古住宅を購入できる。新築の際のローンは残るが、中古住宅に住むことができるくらいの形で生活再建ができるようにするというのが、「被災者の生活の安定に寄与すること」を目的とする費用保険の趣旨とも考えられるのではないか。
    • 費用保険か財物保険かの議論はまだ整理し切れていないが、仮に、費用保険と捉えるとすれば、中古住宅ならば買えるようになる程度の再建支援資金を支給するというのも一つの考え方であり、秋以降、また議論していくことになる。
    • 費用保険か財物保険かの議論に関し、制度創設当初は、バラックでもとにかく生活できればいい、ということで全損のみ保険金限度額90万円からスタートした。その時点では、費用保険という趣旨は徹底されていたように思う。ただ、それ以降、付保割合や保険金限度額が引上げられてきて、損害区分についても半損、一部損が追加され、また、財物保険である火災保険に付帯して販売されるというのでは、一般の消費者としては、これを財物保険と受けとめて当然と思う。損害区分の細分化についても、契約者の認識を迅速・簡便な費用保険という制度本来の趣旨から今更ながらに乖離させるということではなく、もう既に一般の消費者の認識は制度本来の趣旨から乖離していると思う。むしろ、地震保険法第1条の「被災者の生活の安定に寄与すること」という目的を改正して、もう少し財物保険としての色彩を出すのか、そうではなく、やはり今のままでいくのか、という問題であると思う。
    • 今回の地震保険制度の見直しが、消費者にとって後退と受けとめられないようにしないといけない。東日本大震災後の制度改正が、今後また巨大地震が起こった際に、「1000年に1度」とか「想定外」といった言い訳を許すようなものであってはならない。その点、心して検討する必要がある。
    • 秋以降の議論においては、地震調査研究推進本部(以下「地震本部」という。)における震源モデルの改訂を踏まえた地震保険料率に関する新しいデータが損害保険料率算出機構(以下「料率機構」という。)から示されるであろうから、それが大いに参考になると思う。政策を検討する際、「こうあるべき」という理想論も大事だが、実現可能性の検証が非常に重要となる。震源モデルの改訂を踏まえて今後のリスクを全てそのまま反映させると保険料率を3割、4割引上げる必要があるという話になったとき、果たしてそれを当然のごとくそうなると言ってしまってよいものか。やはり、どこまで負担が許容できるかという観点から一定の歯止めがかかって、制度見直しの議論も一定の範囲に収めざるを得なくなる可能性もあるのではないかと思う。
    • 首都直下地震が発生した場合のことを想定したがために地震保険制度の商品性が後退するようなことがあってはならない、という意見は、消費者の立場からすれば大変ありがたい。しかし、実際には、東日本大震災で保険金を受け取った方々からは、「これでは少ない」とか「全損だったのにこれだけしか支払われないのはおかしい」といった声は聞かれない。「掛けておいてよかった」、「これだけ支払われてありがたい」という声がほとんどであり、消費者からは非常に評価されている。費用保険と財物保険の議論にしても、消費者はそのような言葉は知らないが、火災保険と同じような感覚で「失われた財産の全額が支払われないのはおかしい」という声は聞かれない。そういう意味では、消費者は、地震保険に過度な期待をかけることなく、もっとリアリスティックに考えているように思う。
    • 余り過度な期待を抱いてもらってもいけないし、逆に商品性が後退しているという印象を持たれてもいけないので、消費者サイドにどのように受けとめられているかということも勘案しながら議論していく必要がある。
    • 地震保険料率は、「地震本部」の震源モデルにおいて想定されている各地震の発生頻度とそれらの地震による損害の程度によって決まる。震源モデルは現在改訂中であるが、改訂後の震源モデルにおいて、今後、地震が、どこで、どの程度の規模で、どの程度の頻度で発生するかをまず捉える必要がある。その上で、料率機構において、被害関数を使って各地震による損害をシミュレーションすることになるが、今回の料率改訂において使用することになる被害関数について現在検討中である。契約金額については、現在の契約をベースとして計算することになる。都市部と郊外とでは契約額が異なるので、予想支払額も異なってくる。従って、都道府県別や市区郡別に損害の状況がどうなるのかをまず見て、その上で、それをどういう形で集約していくのかということで等地区分の姿が固まってくる。最初からどのような区分にするかということではなかなか捉え難いところがある。秋以降の議論において、震源モデルの改訂結果を踏まえた議論をしていくことになるので、必要なデータは可能な限りPTに示していきたい。
    • 保険加入者に対してリスクに係る情報発信を行い、ある一定の方向に誘導するというリスクコントロール機能の向上を図るにしても、どこまでの保険料ならば許容範囲かということを勘案した政策判断として、リスクに応じて料率格差をつけ過ぎたので、もう少し平準化させようということになることもあり得る。改訂後の震源モデルに基づき純粋保険数理的に計算した場合にどの程度の料率格差がつくのかということは、そのような議論をする上でのたたき台として把握しておく必要があると考える。
    • 震源モデルの改訂を踏まえ料率機構において新たに算定する保険料率において、現在ほとんど加味されていない津波リスクが相当のウェイトでかかってくるのではないかと考えられ、それによりかなりの料率格差が出てくるのではないかと思われる。そのような格差を容認するかどうか、秋以降の議論になると思う。
    • 地震保険制度は、地震国日本における安心の拠り所であり、その見直しについては国民の関心の高いことを踏まえ、PTにおけるこれまでの議論の概要をこの段階で一度国民の皆様に示すことは大変意味あることと考えられる。本PTにおいては、今後も検討を重ね、議論を深めていくこととなるが、地震保険制度をより良いものとすべく、引き続き精力的な議論をお願いしたい。

(以 上)

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