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国有財産分科会(令和3年12月8日開催)議事録

 

財政制度等審議会 第52回国有財産分科会 議事録

令和3年12月8日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 第52回国有財産分科会 議事次第

 

令和3年12月8日(水)14:59~16:54
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
  1. 開会の辞
  2. 議事
    (1)東京地下鉄株式会社の株式の処分について
    (2)虎ノ門再開発建物の権利床の入居官署及び庁舎等使用調整計画
   (中央官衙地区事案)
   

(3)行政財産の未来像研究会における議論の取りまとめ結果の報告

   

(4)千代田区大手町二丁目所在の信託中財産の処分について

   

(5)経済対策等における国有財産の活用について

 

3.

閉会の辞
配付資料
資料1-1 諮問文
資料1-2 東京地下鉄株式を取り巻く状況
資料1-3 政府保有株式の売却について
資料1-4 東京メトログループについて
資料2-1 令和3年度の庁舎等使用調整計画(追加議案)
資料2-2 虎ノ門再開発建物の権利床の入居官署
令和3年度の庁舎等使用調整計画(追加議案)
資料3-1 行政財産の未来像研究会報告書
資料3-2 行政財産の未来像研究会報告書(参考資料)
資料4 千代田区大手町二丁目所在の信託中財産の処分について
資料5 経済対策等における国有財産の活用について
出席者

  委員   

        奥田 かつ枝

 

 

 

        亀坂 安紀子

 

 

                   川口 有一郎

 

    

                   小林 健

 

    

        若林 茂雄

 

 

 

 

 

 
          臨時委員            大久保 恭子

 

   

 
                   川嶋 三恵子

 

  

 
                   児玉  平生

 

  

 
            佐谷  和江

  

  

 
            滝澤  美帆

  

  

        松尾 弘

 

 

        持永  勇一

 

 

        野城  智也

 

 

  

 

 

  専門委員            津田 廣喜

 

 

 

 

 

 
    財務省            角田    理財局長

  

  

 
                      嶋田    理財局次長
            石田    理財局総務課長
        柴田    理財局国有財産企画課長
                      木村    理財局国有財産調整課長
        吉田    理財局国有財産業務課長
        中野    理財局国有財産調整課国有財産有効活用室長
         
  参考人            山村    東京地下鉄株式会社代表取締役社長
        小坂    東京地下鉄株式会社常務取締役

午後2時59分開会

〔 小林分科会長 〕 それでは、皆さん、本日はお忙しいところ御参集いただきましてありがとうございます。また、ウェブ参加の方もよろしくお願いします。定刻となりましたので、財政制度等審議会第52回国有財産分科会を開催したします。

 本日の開催に当たりまして、角田理財局長から御挨拶をいただきたいと存じます。
〔 角田理財局長 〕 理財局長の角田でございます。よろしくお願い申し上げます。着座させていただきまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 小林分科会長をはじめ、委員の皆様には日頃より御指導賜っておりまして、お礼を申し上げたいと思います。最近の国有財産情勢につきましては、いわゆる管理処分のあり方答申の取りまとめをいただきまして、現在その具体化を着実に進めているところでございます。
 行政財産につきましては、この後、事務局のほうから御説明をさせていただきます。
 普通財産につきましては、留保財産の取組など新たな施策を進めてきているところでございます。また、相続土地国庫帰属法が2年後に施行ということになりますので、詳細な制度設計を今進めているところでございます。
 本日の議事でございますけれども、お手元の議事次第にございますように、諮問事項といたしましては、1つは東京メトロの株式の処分、2つ目に虎ノ門再開発建物の権利床の入居官署、中央官衙地区の庁舎等使用調整計画に関する審議のほか、3つの報告事項を予定しているところでございます。
 委員の皆様方に幅広い御意見を賜りたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔 小林分科会長 〕 局長、どうもありがとうございました。
 ただいまお話がありましたように、本日2つの諮問と3つの報告、合計5つを予定しておりますので、委員の皆様におかれましては円滑な議事の進行に、長丁場でございますが、よろしくお願いします。
 それでは、議事に入ります。
 第1議題、東京地下鉄株式会社の株式の処分については、本日、資料1-1をもって財務大臣から財政制度等審議会に諮問をされました。この諮問につきましては、当分科会の了承が財政制度等審議会の了承ということになります。本日は議論を深めるために、東京地下鉄株式会社、山村代表取締役社長、小坂常務取締役にも御出席をいただいております。よろしくお願いします。本件議事の今後の審議につきましては、本日事務局及び東京地下鉄株式会社から御説明をいただきまして、次回答申に向けた議論を行いたいと思っております。
 それでは、まず事務局より案件の説明をお願いします。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 国有財産企画課長の柴田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず資料1-1は、今御紹介がありましたとおり諮問文でございます。
 私からは資料1-2、1-3に沿って概略を御説明申し上げたいと思います。
 まず資料1-2でございます。東京地下鉄株式を取り巻く状況ということで、おめくりいただきまして、1ページ目、東京地下鉄の概要でございます。これは後ほど、まさに東京メトロから御説明があるかと思いますので割愛いたしますけれども、1点だけ、上から4つ目、株主という欄がありますけれども、現在、国が53.4%、東京都が46.6%、この二者で100%全てを保有しているという株主構成になっているということでございます。
 おめくりいただきまして、2ページ目、これまでの経緯でございます。昭和61年、当時の行革の方針が示されまして、上から2つ目ですけれども、そこで将来的な特殊会社化、さらには完全民営化という方針が示されたということでございます。その後、平成7年、平成13年と閣議決定がございまして、そうしたものを受け、平成14年12月、下から2番目でございますけれども、東京地下鉄株式会社法が成立して特殊会社化されたということです。下に小さい字で書いていますけれども、その法律の附則第2条におきまして、国と東京都はできる限り速やかにこの法律の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるということが規定されているということでございます。平成16年から東京メトロが今の形の会社として設立されたということでございます。
 おめくりいただきまして、3ページ目、その続きですけれども、平成23年にいわゆる復興財確法ができまして、その中で東京メトロ株式の売却収入は復興債の償還費用に充てるということが規定されてございます。法律の延長改正がございまして、現時点では令和9年度までの売却収入を復興財源に充てるということが法律上規定されているということでございます。本年に入りまして、売却をめぐる状況に動きがございまして、令和3年1月というところですけれども、国土交通省の交通政策審議会のもとに小委員会が設置されまして、東京圏における地下鉄ネットワークのあり方について議論が開始され、東京メトロの役割、それを踏まえた株式売却のあり方について、令和3年7月に国土交通省の審議会で答申が取りまとめられたということでございます。
 その答申の内容が次の4ページと5ページ、2ページにわたって御紹介をさせていただいております。基本的にはアンダーラインのところを追っていただきますけれども、最初に東京8号線の延伸、東京8号線というのは有楽町線でございますけれども、その延伸と都心部・品川地下鉄構想と出てまいりますけれども、この資料上は省略をさせていただいていますけれども、上のほうの「1.今後の地下鉄ネットワークのあり方について」のところで2つの路線の新規事業について、早期の事業化を図っていくべきだというようなことがまずうたわれているという前提がございまして、その2つの路線の構想につきましては、アンダーラインのところですけれども、「東京メトロに対して事業主体としての役割を求めることが適切である」とされております。
 一方で、東京メトロは先ほど申し上げたような完全民営化の方針というものもございますので、株式上場を目指した経営方針を堅持されているという中で、こうした方針に影響を及ぼさないようにしていかないといけないということで、一番下のアンダーラインでございますけれども、「東京メトロが東京8号線の延伸及び都心部・品川地下鉄構想の事業主体になることが完全民営化の方針に影響を与えないよう、事業主体となることと一体不可分のものとして東京メトロ株式の確実な売却が必要である」という考え方が示されたところでございます。
 その上で、具体的にどういう売却をしていくのかということでございますが、次の5ページを御覧いただきまして、下半分、(2)のところでございますが、アンダーラインのところで、「東京メトロ株式の売却に当たっては」、今申し上げたような「東京メトロの役割を踏まえて段階的に進めていくことが適切である」とされ、具体的には、その2行下ですけれども、「国と東京都が当面株式の1/2を保有することが適切である」とされております。逆に言えば、1/2までは早期に売却していきましょうと、そういうことになっているということでございます。
 一番下のアンダーラインのところですけれども、冒頭申し上げたように、二大株主であります「国と東京都が共同で手続きを進め、同時・同率で売却することが重要である」とされております。同じタイミングで同じ割合で売っていきなさいというようなことが示されているということです。こうした方針が示されたことを受けまして、売却の事務を担当します私どもとしても、この検討を進めていく必要があるということで、本日諮問をさせていただいたということでございます。
 次に、資料1-3でございます。「政府保有株式の売却について」というタイトルがついておりまして、こちらはいわゆる売却の実務、具体的にどういうふうにやっていくという実務の話になります。
 おめくりいただきまして、1ページですけれども、先生方御案内かと思いますけれども、株式売却に関してこのような手続で進めていきますということでございます。一番左に、本日諮問をさせていただいたわけでございますが、御議論いただいた上で、しかるべきタイミングで答申を頂戴したいと思っております。答申を頂いた後、主幹事選定作業に入りまして、主幹事を選定し、選定された主幹事会社を中心に様々調整をしながら売り出しに向けた準備を進めていくという、ローンチに向けた準備を進めていくと、こういうことになっていくわけでございます。もちろん準備の進捗ですとか、マーケットの状況等々がありますので、実際の売却がいつできるかというのはもちろん分からないわけですけれども、一番下に参考ということで、日本郵政株式のときに大体どのぐらいの期間を要して準備が進められたかということを御参考までに記載させていただいております。
 次の2ページでございますが、主幹事証券会社の選定ということで、主幹事を選ぶ際に、下にありますとおり、書類審査、口頭審査、それらを経て選定していくということでございます。まず最初の書類審査の段階では、基本的には過去の実績などの定量的な要素について確認をさせていただくというのが通例やっていることでございます。2つ目の口頭審査のところで、右に吹き出しで審査基準例というのがございますけれども、当該株式に関する分析、どういう分析をしているかとか、あるいは4つ目にありますような株式をどういう販売戦略をもってやっていくのかと、そういったことをヒアリングといいますか、聴取しながら具体的に主幹事証券会社を選んでいくという形になるということでございます。
 続きまして、3ページでございます。どういう売却の方法で売却していくかということでございますけれども、ここにはNTT・JT・日本郵政という過去の政府保有株式の売却の実際のものを並べておりますけれども、近年、基本的にはブックビルディング方式という方式が市場慣行として定着をしているということでございまして、これまでも、比較的最近、ここ5年から10年ぐらいの間にやったものに関しては、ほぼ全てブックビルディング方式で売出しを行っているということでございますので、基本的には東京メトロに関してもこういった市場慣行を踏まえてやっていくということになろうかなというふうに思っているところでございます。
 最後に、これも御案内かと思いますけれども、ブックビルディング方式について4ページ目につけておりますけれども、投資家の需要調査を行いまして、需要の積上げを行って、その結果を踏まえて売出価格を決定していくと、そういう方式でございます。
 5ページは日本郵政のときの主幹事選定の基準をどのように設定していたかということで、字が小さくて恐縮ですけれども、ここに書いてあるような項目について答申で取りまとめていただいて、主幹事選定を行っていったということでございますので、過去の例として参考につけさせていただいているということでございます。
 説明は以上になります。日本郵政株式会社のときにお取りまとめいただいた答申を御参考として用意してございますが東京メトロに関してもこのような形での答申をいずれかのタイミングでお取りまとめいただきたいというふうに思っております。私からは以上です。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。続きまして、東京地下鉄株式会社、山村代表取締役社長から御説明をお願いします。
〔 山村東京地下鉄株式会社代表取締役社長 〕 東京メトロの山村でございます。本日はよろしくお願いいたします。着座にて失礼させていただきます。
 平素、当社事業に対して御理解賜りまして誠にありがとうございます。また、本日はこのような説明の機会を賜り、御礼申し上げます。
 早速ですが、お手元の資料1-4に基づきまして、当社グループの概要について御説明いたします。
 2ページにお進みください。本日は、会社概要、経営の状況、今後の経営、従業員持株会の順に説明してまいります。
 3ページにお進みください。当社は東京地下鉄株式会社法により2004年4月に設立されました。事業としては旅客鉄道事業の運営及び不動産事業等の関連事業の運営を行っており、鉄道事業のアウトソーシングや関連事業の一翼を担う全14社のグループがございます。
 4ページにお進みください。当社は1927年に浅草~上野間で初の地下鉄営業を開始したことを起源としております。1941年には帝都高速度交通営団が設立され、路線の拡大に努めてまいりました。2004年の会社設立後は、お客様センターの開設等、サービス向上に努めるとともに、駅構内店舗Echikaの展開等、関連事業の拡大も進め、企業価値向上を図ってまいりました。
 5ページを御覧ください。当社は東京都区部を中心に9路線195km、180駅の地下鉄を運営し、うち7路線で他社と相互直通運転を実施しております。相互直通運転先を含めると、そのネットワークは550.8kmに及びます。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度は、1日平均755万人のお客様に御利用いただいておりました。都心部のみならず、首都圏において巨大な鉄道ネットワークの中核を担っており、首都東京を動かす重要な交通網として人々の暮らしやビジネスを支え、首都東京の維持・発展に貢献しております。
 6ページへお進みください。これまで当社は、首都東京の発展と企業努力により堅調に業績を伸ばしてまいりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により運輸収入が減少いたしました。その結果、右のグラフにありますように2020年度の当社純利益は赤字となり、配当についても減配となりました。ポストコロナに向けて、旅客運輸収入の回復が見込まれる中、安全の確保を前提に仕様や時期等の見直しを図るほか、経営の創造性・効率性を高める施策により利益水準の回復に努めてまいります。
 7ページを御覧ください。新型コロナウイルス感染症の影響による経営環境の変化を踏まえ、2020年度から安全の確保を前提としつつ、設備投資及び営業費用の削減を進めてまいりました。左上の設備投資額の図のとおり、2019年度から2021年度までの3か年の金額を当初計画4,900億円から700億円削減した4,200億円といたしました。また、営業費用についても2019年度比で約79億円の削減を図りました。
 8ページにお進みください。表は当社グループの直近5年度の連結損益計算書、セグメント情報でございます。足元の2020年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により運輸業の営業収益が大きく落ち込み、上の表の営業収益についても1,000億円程度減少した結果、当期純利益は赤字となりました。
 9ページにお進みください。左表は当社グループの2020年度末における連結貸借対照表です。2020年度末の資産合計が1兆7,624億円、負債合計は1兆1,180億円、差引純資産は6,444億円となっております。右の表は当社グループの2020年度末におけるキャッシュ・フロー計算書です。
 10ページにお進みください。当社は株式会社化以降、長期債務の削減に取り組んでまいりました。一方で、東京2020大会開催決定を踏まえ、将来予定しているものの前倒しを含めた積極的な設備投資の実施により、近年は長期債務及び純有利子負債が増加傾向にありました。今後は前倒して実施してきた設備投資も徐々に落ち着く見込みであり、安全の確保を前提に設備投資の削減等の努力をはじめ、キャッシュ・フローを意識した設備投資等の管理を厳格に行うことにより、長期債務の増加を抑えてまいります。
 11ページにお進みください。先ほど御説明した東京2020大会とその先に向けた設備投資の前倒しについては、特に2016年度から2019年度にかけてホームドアやバリアフリー設備整備等、積極的に実施してまいりました。2020年度と2021年度の設備投資額については、安全の確保を前提に車両更新、輸送改善等について、施行の優先順位や内容・時期等の見直しを実施いたしました。今後もポストコロナにおいて求められる輸送サービスを考慮しつつ、安全の確保を前提に仕様や時期の見直し等に努めてまいります。
 12ページにお進みください。これまで当社は自然災害対策として、震災対策と大規模浸水対策に取り組んでまいりました。これらの取組については、サステナビリティの観点からも重要であり、引き続き首都東京の都市機能の維持に努め、お客様へのさらなる安心の提供を図るべく、上場以降もしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。
 13ページにお進みください。当社ではポストコロナにおける社会・行動変容を見据え、選ばれる鉄道会社となるため、安心な空間、パーソナライズド、デジタルの三つのキーワードを設定いたしました。このような取組を推進するため、安心で持続可能な社会の実現を念頭に、新たなサービス、ビジネスの創出を目指していきたいと考えております。
 14ページにお進みください。1点目の安心な空間について御紹介いたします。駅・まち一体となったゆとりある空間の整備に関する取組については、駅周辺で都市開発を検討している開発事業者等と連携することにより、魅力的な地下鉄駅空間の整備を実現してまいりたいと考えております。駅構内や車内の消毒・抗菌については、2021年11月には半蔵門線1編成において車両用の空気循環式紫外線清浄機の搭載試験を開始いたしました。また、駅構内等でのテロ対策として、駅構内及び車内にセキュリティカメラを設置するなど、セキュリティの強化も図っております。今後もお客様が安心に御利用できる施策に努めてまいります。
 15ページにお進みください。2点目のパーソナライズドとして、2020年3月から大都市型MaaS「my!東京MaaS」に積極的に取り組んでおります。東京メトロmy!アプリでの多様なモビリティサービスとの連携や各種機能の御提供を通じて、パーソナライズド、つまりお客様1人1人のニーズに合わせた新たな日常を将来にわたってサポートしてまいります。
 16ページにお進みください。3点目のデジタルについて、ポストコロナに向け、世の中のデジタル化の潮流は猛スピードで変化しております。当社はセンサー等により鉄道設備の状態を監視し、保守管理に活用する状態基準保全、CBMの推進に取り組んでおります。例えば走行中の車両機器状態を総合指令所から遠隔でモニタリングできる車両情報監視・分析システム、TIMAと呼んでいますが、これを活用して車両の故障予兆検知を行うなど、保守のデジタル化やDXによる業務革新を進めてまいります。
 17ページにお進みください。当社グループはこれまでグループ理念、東京を走らせる力のもと、首都東京の交通ネットワークの要として、都市機能を支えるという重要なインフラとしての役割を果たし、東京とともに成長をしてまいりました。東京メトログループの3つの強みは、大都市東京に位置する事業エリア、首都圏鉄道ネットワークの中核、都市機能を支える社員の使命感・技術力であり、今後も東京に多様な魅力と価値を提供すべく、各種施策に取り組むほか、DX・技術革新による鉄道事業のイノベーション・コスト構造改革の推進、関連事業の拡大、時機を捉えた新規事業に取り組むことにより、鉄道事業と関連事業の相乗効果を発揮し、首都東京のまちとしての魅力向上、都市創造に貢献することで、安心で持続可能な社会の実現を目指してまいります。
 18ページにお進みください。これからの当社事業のうち、鉄道事業の成長施策について紹介いたします。東京メトロ沿線の都心に数多く存在する観光施設などの魅力を引き出し、移動需要の創出を図る取組を東京の都市内観光、、City Tourismと名付け、各種施策を実施してまいりました。さらなる定期外需要の創出により、鉄道事業の成長を図ってまいります。
 19ページを御覧ください。これからの当社事業のうち、関連事業の成長施策について紹介いたします。これまで鉄道事業とのシナジー効果の発揮を基本に関連事業の運営を行ってまいりました。足元の2020年度は、不動産事業は堅調だったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、広告・情報通信事業等で関連事業全体としては減収となりました。東京メトロの強みは鉄道を核とした企業であることと考えております。今後も駅・まち一体となった不動産開発や駅構内商業施設等の開発、デジタル広告媒体の展開等により、鉄道事業との相乗効果を発揮し、関連事業の成長を図ってまいります。
 20ページにお進みください。東京8号線、すなわち有楽町線の延伸と都心部・品川地下鉄構想の2つの新線建設については、2021年7月に交通政策審議会第371号答申が取りまとめられるとともに、国と東京都の間での合意がなされています。当社では、この答申と合意に基づき、経営に悪影響を及ぼさないような十分な公的支援と当社株式の売却の確実な実施を前提に事業化に取り組んでまいります。
 21ページにお進みください。2021年3月に長期環境目標、メトロCO2ゼロチャレンジ2050を設定いたしました。新型車両等の先端技術の採用による省エネ推進や太陽光等の再生可能エネルギーの活用により、対2013年度比マイナス30%の達成を目指し、2050年度までにグループ全事業でのCO2排出量実質ゼロを目指すものでございます。鉄道は他の交通手段と比較してエネルギー効率にすぐれておりますが、当社グループでは気候変動の緩和に率先して取り組むべく、全役職員一丸となって常にチャレンジしてまいります。
 22ページにお進みください。当社グループでは、グループ従業員を会員とする東京メトロ従業員持株会を2004年12月に設立しております。上場時に株式買付を行うため、同持株会に入会した会員の毎月の拠出金と会社からの奨励金を資金として積立を行っております。
 当社からの説明は以上でございます。株式上場は当社役員・社員の悲願であることも踏まえ、ぜひとも実現したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
〔 小林分科会長 〕 山村社長、ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見等ございましたら御発言をお願いします。
〔 児玉臨時委員 〕 都営地下鉄の関係で要望を一言、言いたいと思います。東京の地下鉄については戦前の法律で、営団に一元化するというふうに仕切りがなされていたわけですが、いろいろな経緯があって、今は都営と東京メトロの二元化になっていると。なかなかいろいろな問題があって大変だと思うんですけれども、サービスと料金については都営地下鉄との一元化をぜひ図っていただきたいと思います。要望です。
〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。
〔 持永臨時委員 〕 今、企画課長から御説明がありましたとおり、資料1-2で完全民営化の方針、さらに資料1-3で売却に向けた基本方針とございますので、財務省としては非常に明確なインフラ、制度が整いながら、逆に東京地下鉄の上場に向けた取組を待っておられる状況かなというふうに理解いたしました。そこで東京地下鉄、ちょっと特異と思っていますのは旅客運輸収入が90数%、例えば他の私鉄ですと多分30%ない割合の中、ただ、これが実は東京地下鉄の強み、都心部のネットワークを持っておられるというのが東京地下鉄ですので、この特異性を高めて、財務省としては将来のIPOで売却収入を増やす、東京地下鉄としては企業価値を高めていってIPOを成就させると思うのですが、このあたりは東京地下鉄のいい意味での特異性をアピールしながら企業価値を高めるところ、ここについては再度強調していただければありがたいです。
〔 山村東京地下鉄株式会社代表取締役社長 〕 鉄道会社では、既に上場しているJR東海と鉄道事業の比率が高いという面では非常に似通った事業特性を持っていると思います。コロナ前においては業界トップクラスの鉄道事業の収益性の高さを持っておりましたので、これが当社の最大の強みだと思っております。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして厳しい状況にありますが、コスト構造改革等による固定費削減ですとか、定期外の需要創出により収益性の回復を図りまして、今後も強みを強みとして生かしていきたいと思っております。
 併せまして、関連事業につきましても、不動産、流通、広告、情報通信の各事業において、顧客ニーズの変化を機敏に察知しまして柔軟に対応していく所存です。
 上場により他企業との協働・協業というのをまた活発に行うつもりでありますので、不動産開発や駅工事等で創出されたスペースの構内商業展開等を図りながら、消費行動の変化に対応した各事業の展開を図ってまいりたいと思います。
 コロナ前ですが、1日755万人の御利用をいただいておりますので、これに向けた回復・成長を図りまして、様々なパートナーとの連携を含めて、関連事業拡大、鉄道事業等のシナジーを含めて、関連事業の拡大にも今後十分な余地があるというふうに考えております。
 以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。
〔 野城臨時委員 〕 財務省の方に確認なんですが、資料1-2の4ページ目の、これは国土交通省の審議会のほうの文言の意味するところを確認しておきたいんですが、4ページの一番下に「事業主体となることと一体不可分のものとして東京メトロ株式の確実な売却」と書いてあるのですけれども、もう少し平たく言えば、事業主体となることを前提に東京メトロ株式の確実な売却が必要と、こういうように理解すればよろしいんでしょうか。ちょっと分かりづらい文章で、何を言っているのか分からなかったんですけれども、他省庁の審議会の話で恐縮なんですが。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 まさにおっしゃるとおりかと思いますけれども、東京メトロに対して先ほど申し上げた東京8号線と品川地下鉄、これの事業主体としての役割を求めていくということがベースにございまして、そうすることによって完全民営化の方針、こうしたものに悪い影響を与えることになってはいけないだろうということでございますので、まさに完全民営化の方針というのは株式の売却というのがある意味、表裏一体の話だと思いますので、そういう事業主体となることと株式の売却を確実にしていくというのをある意味セットで、一体のものとしてしっかり進めていきましょうと、そういう解釈だというふうに理解しております。
〔 野城臨時委員 〕 売却した資金を投資に回していくと。もう少し平たく、そういうような理解でよろしいですか。それとも、特にそれを縛っているわけでもないということですか。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 この2つの路線の事業を進めるということと今回の株式の売却収入云々というのはまた別の話でございまして、あくまで東京メトロの株式売却収入は復興財源に充てるという法律の規定がございますので、そういう扱いになっているということでございます。
〔 野城臨時委員 〕 むしろこの事業主体となることについては、先ほどの財務諸表が示すようにコロナ等でキャッシュ・フローが少し悪くなっているとしても、株主売却ではなく、例えばプロジェクトファイナンス、その他、いろいろ工夫をされて粛々と事業を進めていかれるということでしょうか。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 そうですね、あくまで今回の株式の売却収入は、事業とはまた切り離された世界であるということです。
〔 野城臨時委員 〕 すみません、ちょっと飲み込みが悪くて。理解いたしました。
〔 小林分科会長 〕 それでは、川口委員、どうぞ。
〔 川口委員 〕 この会議では売却の事務を担当するというところですので、直接関係ないことをお伺いするかもしれませんけれども、通常、上場する場合には向こう5年ぐらいの見込みみたいなものがあるかと思ったんですけれども、今回の資料にはなくて、2020年度の乗客数が1日当たり、19年に比べて65%なんですね。セグメント情報を見ると、やっぱり66%程度だから、かなり主力である運輸事業というのは旅客であると。そうしますと日本経済全体で、コロナ後は需要の、悪ければ85%、あるいは90%程度、やはり10%から15%ぐらい失われるんじゃないかという見込みがありまして、そうしますと2020年の水準には完全に戻らないわけですけれども、事務をつかさどる者としては、どんなような売却になるかという、ちょっとイメージだけでもお持ちかということを教えていただければと思います。
〔 山村東京地下鉄株式会社代表取締役社長 〕 メトロのほうからお答えいたします。先生おっしゃるとおり、今35%の旅客減、収入も35%減でございます。昨年度と今年度、緊急事態宣言がずっと続いていた影響もありまして、同じようなレベルで運輸収入が落ち込んでおります。状況の背景には、人流抑制に伴う外出抑制やテレワークが影響していると思いまして、コロナ後もテレワークの定着というのは一定あるんじゃないかというふうに見込んでおりますので、運輸収入に対する影響はしばらく続くのではないかというふうに見ております。見通しですけれども、2021年度が現在ですが、2022年度にかけて回復基調が現れてきて、2023年度には回復から成長へというふうなステージを見込んでおります。これからどういう状況になるかですけれども、少なくとも回復から成長の時期において、まず投資とか経費の節減を図りまして、あるいはDXを用いて業務変革、駅や運転の仕事、メンテナンスの仕事がございますけれども、デジタルを用いながらこういった仕事の中身を変えていきながら固定費をだんだん下げていく、そして構造改革とともに、成長に資する施策、先ほどMaaSのお話等も出ましたけれども、移動需要を開拓するためにポイントサービスを実施する、拡充する、あるいは都内のいろいろな施設と連携して、定額の御利用料金で施設が利用できるような、そういったサービスにも努めております。都内全体の観光エリア、六本木ですとか神楽坂ですとか飯田橋ですとか秋葉原ですとか、特色あるエリアが結構ありますので、そうしたエリアを東京コト体験、楽しんでいただくというようなことに、定期外需要の開拓にもう少し努めていきたいと思っております。
 そういうことで落ち込んだ営業収入、運輸収入を上げるとともに、関連事業のほうも、不動産事業がこのコロナ禍にあっても駅直結、駅ナカは比較的好調でございまして、空室率とか賃料低下の影響も些少でございます。ですから、我々としては駅近、駅直結のビジネス、不動産ビジネスを駅まち一体開発の中で、周辺のまちづくりとともに駅とまちが一体に空間整備するような姿、実際に渋谷のスクランブルスクエアとか、これから新宿では小田急と共同で駅直結型のビル開発を行いますけれども、こういったことによって歩行者流動性、回遊性を改善していくとともに、オフィス等の御利用に資するような、そういった展開を図ってまいりたいと思っています。
 そのほか、鉄道事業とのシナジーを図る情報通信事業とか、広告事業、こういったものもマーケティングを重ねながら、事業の優位性を捉えて、シナジー効果を発揮できる関連事業の拡大と成長といったものを図りながら上場に備え、併せてガバナンス等、上場に見合った体制の整備も進めていきたいというふうに考えております。
〔 小林分科会長 〕 ウェブの方からは今のところ挙手はございませんので、会場の皆さんで、さらに質問がございましたらどうぞ。
〔 川嶋臨時委員 〕 御説明ありがとうございます。1点、基本的なことを教えてください。政府保有株式の売却については財務省理財局を中心に進めていって、今後答申をまとめるに当たって、東京都と同時・同率、一緒に売却するというときには、東京都の手続のほうがどのようになっているのか、ちょっと教えていただけますか。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 あくまで、もちろん当審議会で御議論いただくのは政府保有株式分の売却ということになります。東京都のほうでも、東京都の中に同じような役割を担う委員会があるというふうに聞いております。ですので、そちらのほうで審議、御決定をいただくような手続が今後入ってくるということだと思っております。ただ、国土交通省のほうの答申に書かれておりますとおり、共同して手続を進めていきなさいということでありますので、それぞれ両者の決定が全く異なる方向を向いていても困ることになりますので、そのあたりは事務的には、東京都のほうといろいろな調整を行いながら進めていきたいというふうに思っております。最終的な答申の決定のタイミングもなるべく東京都のほうの決定とも合わせるような形で持っていければというふうに考えております。
〔 小林分科会長 〕 よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
 今の川嶋委員の御質問は非常に大事だと思っているのは、なんだかんだ言っても国と都、ほかの案件でもいろいろありますので、歩調を合わせていただきたい。要するに、持っているものは持っているんだけれども、売るのは一緒なんですから、タイムフェーズも改めて、できれば次回でも結構ですが、都のほうの進捗状況も御連絡いただきたいと思います。
 それから、特に運輸関係はコロナで云々と。予断は許さないわけですが、やはり基本的な人流の落ち込みというのはどうしても避けられないだろうと思うんですね。それが常態化するかどうかと。そこは今、社長のお話では、それを企業改革とコストセーブで乗り切っていくということなんですが、それはぜひよろしくお願いしたいということと、やっぱり前の郵政とか、そういうのと局面は違うなというふうに思いますので、いわゆるバウンダリーといいますか、事業環境に対する理解も今までのほかの案件以上に我々のほうからもよく見て、自然災害と同じようなことなので、ある面、企業努力だけではどうしてもカバーできないところもある、一方、公共交通であるという、その両建てでもってうまく按配していくということが大事なんじゃないかと思います。
 いろいろ御意見いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見がないようでしたら、次回の分科会において答申に向けた御議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。また、東京地下鉄の皆様、誠にありがとうございました。
〔 山村東京地下鉄株式会社代表取締役社長 〕 どうもありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
〔 小林分科会長 〕 それでは、第2議題に移ります。虎ノ門再開発建物の権利床の入居官署及び庁舎等使用調整計画、いわゆる中央官衙地区事案についてであります。庁舎等使用調整計画につきましては、本日、資料2-1をもって財務大臣から財政制度等審議会に諮問をされました。この諮問につきましては、当分科会の了承が財政制度等審議会の了承ということになります。
 それでは、まず事務局から御説明をお願いします。
〔 木村国有財産調整課長 〕 国有財産調整課長の木村でございます。着座にて御説明いたします。
 本件は、国が国庫納付を受けました権利床を中央省庁の庁舎として活用するために入居官署を決定するものでございます。さらに、入居官署が権利床に移転後の合同庁舎の使用調整計画案を策定するものでございます。
 まずは、虎ノ門二丁目地区の市街地再開発事業の概要を御説明させていただきます。資料が前後いたしますが、資料2-2で御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページを御覧いただきたいと思います。左上にビルの絵があるものです。右上の箱ですが、この再開発事業は虎ノ門二丁目、虎ノ門病院があるところですが、約2万2,500平米の敷地に地上38階建ての業務棟と、既に竣工済みのKKR虎ノ門病院の病院棟が整備されるという再開発事業でございます。令和6年5月の竣工予定でございます。事業区域内に独立行政法人の国立印刷局の虎ノ門工場がございましたので、権利変換によりまして印刷局が業務棟の5階から15階までの11フロアを権利床としてまず保有いたしました。国立印刷局は11フロアのうち5階から8階までの4フロアを本部として利用することとしまして、残りの7フロアにつきまして、約2万3,000平米でございますけれども、本年3月、不要資産として国庫納付を受けたというものでございます。
 再開発建物の権利床の庁舎への活用につきましては、令和元年6月の国有財産分科会の答申で、庁舎が不足している地域においては庁舎需要等を勘案した上で、権利床を庁舎として活用すべきであるとされております。また、権利床を庁舎として活用する場合には、入居官署等について当分科会に報告すべきであるとされたところでございます。
 今回、虎ノ門二丁目再開発権利床を庁舎として活用する必要性でございますけれども、現在、中央省庁では定員が増加しております。その一方で、平成26年に中央合同庁舎8号館が竣工して以降、現在進行中の内閣府の新庁舎でございますとか、警察庁の建て替え計画以外に新たな庁舎整備が行われる計画がないという状況でございます。このため、各省庁におきましては、既存の庁舎スペース内を工夫しながら業務を実施しているところですけれども、既存スペースで対応できない省庁では民間ビルを借り受けして対応しているところでございまして、令和3年4月現在では9省庁で約4万5,000平米の面積を、民間ビルを借り受けているという状況にございます。
 また、各省庁における現有面積と国交省において定められた庁舎新営の際の基準面積でございますけれども、これを基に狭隘状況を調査しましたところ、全体平均で現有面積は基準面積の約81%程度ということになっております。特に国土交通省、厚生労働省、農林水産省におきまして、平均よりも著しく狭い状況となっております。
 虎ノ門権利床は、中央官衙地区からやや離れたところには位置しますけれども、この界隈でこの規模の床を取得できる機会はなかなかございませんので、このまとまった2万3,000平米の床面積を庁舎として使用し、国が所有する権利床であるため、民間ビルを借り受けした場合に比べて、長期間にわたり安定的に庁舎として活用することが可能になりますが、中央省庁の適切な職場環境を確保するために、活用したいというものでございます。
 このページの下段に新しい権利床に入居する官署、次ページ以降にそれに伴うほかの建物の使用調整計画をまとめておりますけれども、複雑な形になりますので、全体像を含めまして、1ページの図で御説明をさせていただきたいと思います。
 幾つか箱が並んだ玉突きの図ですが、虎ノ門権利床の入居官署の選定、関係する使用調整計画の策定に当たりましては、先ほど御説明いたしました中央省庁の事務室が狭隘である状況を踏まえまして、主に4つの考え方で整理をしているところでございます。
 1つは、権利床はやや中央官衙地区から離れておりますので、政府内でも独立性の高い機関の入居を優先する。
 2つ目でございますけれども、事務室が狭隘の状況で、特に狭隘で、今後改善がなかなか見込まれない農水省、国交省、厚労省の狭隘解消を優先する。
 3つ目でございますけれども、移転に際して1つの役所があまり離れ離れにならないように業務の遂行性、効率を重視するというものと、最後に民間借受けの解消を図って費用の縮減を図るというものでございます。
 これらの考え方に基づきまして、この図の左上の箱でございますけれども、虎ノ門の権利床には令和6年度以降、現在、中央合同庁舎6号館に入居いたします公正取引委員会、権利床の下にございますけれども、公正取引委員会と、5号館別館に入居しております人事院、それと民間ビルを今借り受けしております個人情報保護委員会、これはこの箱の左側のところですけれども、そして食品安全委員会の計4官署を入居官署とすることにしたいと思います。
 この理由でございますけれども、この図の下のラインでございますけれども、まず公正取引委員会でございますけれども、右下の箱に緑の箱で環境省とあると思います。ここに矢印がつながっておりまして、バツがついているラインでございますけれども、5号館には今、厚生労働省が入っております。平成29年に5号館に入っております環境省が旧日本郵政ビルに移転することになっておりますけれども、この5号館の環境省がいなくなったところに公正取引委員会が入るという計画が、かつて当分科会において諮問させていただきまして、御了解いただいていたところでございます。今回この使用調整計画を変更しまして、5号館の環境省が移転した後に、令和8年度以降、厚生労働省、そして農林水産省が使用するというものでございます。これによりまして厚生労働省は同一の庁舎内で、農水省は近くにございますので同一の街区内で、それぞれ狭隘解消を図るということが可能になるというものでございます。
 次に、上の段の人事院関係でございますけれども、人事院が権利床に移転した後の5号館別館には、令和7年度以降、現在4号館に入居いたします公害等調整委員会、農林水産政策研究所、運輸審議会に加えまして、今民間ビルを借り受けしております海難審判所、社会保険審査会、公益認定等委員会の計6官署が入居するとともに、全省庁の共用会議室を拡充しようとするものでございます。4号館の公害等調整委員会などが移転した後には、令和8年度以降、国土交通省及び消費者庁の狭隘解消を図るとともに、国税庁法人番号管理室の分散解消を図るというものでございます。この玉突きで、この建物ではございませんが、近隣にあります国土交通省が4号館にまとまったスペースを確保して、狭隘解消を図るということが可能になるというものでございます。
 こうしたことで今回、狭隘が著しい省庁の狭隘解消と民間借り上げの解消と、それによる借上費用の節減を行うというものでございます。
 最後に、図の右の真ん中のほうでございますけれども、7号館に入居いたします文化庁がございますけれども、令和4年度中に一部は京都市に移転することが決まっております。この7号館に約900平米のスペースが発生いたします。このスペースにつきましては、4号館にまとまったスペースを確保した上で、国土交通省等の狭隘解消を図るため、4号館にあります全省庁共用会議室の一部を7号館に移転させるという形でいきたいと思います。会議室の不足によりまして各省庁が民間の会議施設を借り受けしている状況がございますので、こういった状況を踏まえまして、令和5年度以降、全省庁が共用で使用する会議室を拡充しようとするものでございます。
 今回の虎ノ門権利床の入居官署及び関連する合同庁舎の使用調整計画の内容は以上でございますけれども、1点、報告事項がございます。資料2-2の7ページを御覧ください。参考で中央合同庁舎第2号館とある資料でございます。デジタル庁の発足に伴います中央合同庁舎2号館の使用調整計画につきましては、本年6月の当分科会に諮問させていただきまして、御了解いただいたところでございます。その際、一部、約790平米の使用につきましては、総務省が使うか、デジタル庁が使うかということで、当時は調整中になっておりましたけれども、今般デジタル庁の使用に必要な条件が整わないことが判明いたしましたため、総務省の狭隘解消を図ることで総務省及びデジタル庁との調整がつきましたので、その旨、併せて御報告させていただきます。
 私からの説明は以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、委員の皆様の御意見がございましたら発言をお願いします。
〔 亀坂委員 〕 御説明ありがとうございます。いつも思うことなんですけれども、中央省庁の狭隘解消は本当に玉突き状態で、苦労されて調整されているように感じるんですが、1つ違和感を感じる面が今年特にありまして、というのは今、大学の中で来年度の講義の開講数のコマ数決定とかで大分もめにもめて決まらなくなっている面がありまして、それは何かというとコロナの影響で大学の教室定員を削減するように調整していて、私の所属先の青山学院大学は、そもそもぎゅうぎゅうで、いっぱいいっぱいで、1限と5限に開講しなければ教室がとれないような状況のもとに、そもそもいろいろな講義の配置を、必修科目の配置とかを考えていたんですが、コロナでなるべく教室定員を削減せよということで、今年度から教室定員の3分の2までしか収容しないで講義の定員を定めて講義科目を調整しているので、いまだに、本来は10月ぐらいに決着がついていなくちゃいけない講義科目の調整がまだまだずれ込んで決まっていないんですね。そういった大学の中で定員削減とか、ウィズコロナ時代に応じた1人当たりのスペースの確保というのを議論しているんですが、この庁舎等の狭隘解消に関しては、ウィズコロナの時代にそういった1人当たりのスペースとかを勘案して、そもそも調整されているのかというのが非常に気になっておりまして、その点について御質問したいと思います。
〔 木村国有財産調整課長 〕 中央省庁におきましても、今御説明いたしました庁舎の新営基準というものは少し前に作られておりますので、コロナ禍でいろいろテレワークとか、そういったことを反映したものではございません。そういった基準の見直し自体は行っておりませんけれども、この後の議事の未来像研究会でも御説明させていただきますが、今テレワークが役所でも大分進んでおりますし、フリーアドレスとか、そういったオフィス改革も進んでおります。それを勘案しましても、例えば今回の国土交通省の今の現有面積というのが7割を切るといった、それ以前の問題といいますか、相当狭い状況でございますので、まずはこの狭隘解消をした上で、そういうスペースを確保した上で、そのスペースの有効活用でございますとか、働き方自体を見直していくとか、それを踏まえて、また庁舎新営基準の基準自体も見直していく可能性があると思いますので、同時並行的に進めていこうと思いますが、まず非常に狭い状況でございますので、それを解消したいという、今回はそういうことでございます。
〔 亀坂委員 〕 ありがとうございます。特にこの資料の中で気になったのが、1ページ目の厚労省が非常に狭隘解消をしなくてはならない状況にあると。今、ウィズコロナ時代で、厚労省が密というのは、非常にこれは問題なんじゃないかと思いました。
 以上です。
〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。
 それでは、ウェブの方からも御意見はございませんようなので、私から1つ確認ですが、いろいろやりくりして、聞いているとなかなか分かりにくいですが、要はやりくりして、民間から借りているものは返すと、それが優先というか、なるべく庁舎の中でやりくりすると。今まで借りていたやつがあれば、それを返していくと、そういうことですか。
〔 木村国有財産調整課長 〕 2つございまして、狭隘が著しいところを解消するのが1つでございます。それと分科会長がおっしゃいましたように、結構新しい組織ができたりしまして、民間ビルを借りて、相当借上額も膨らんでいるということもございますので、これを機に、そういったところは国の庁舎に入れて、年間の借上費を節約していきたいという、2つの柱でございます。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、庁舎等使用調整計画、了承することに関しまして御異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

〔「異議なし」の声あり〕


〔 小林分科会長 〕 それでは、本計画について御異議等ございませんでしたので、当分科会としては了承ということにいたしたいと思います。
 続きまして、第3議題、行政財産の未来像研究会における議論の取りまとめ結果の報告についてであります。初めに事務局より御説明いただいた後、行政財産の未来像研究会座長であります川口委員から改めて御説明をいただきます。
〔 木村国有財産調整課長 〕 まず、行政財産の未来像研究会の報告書について御説明させていただきますけれども、時間の都合もございますので、資料3-2の、これをまとめました行政財産の未来像研究会報告書について(参考資料)で御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず1ページ目でございますけれども、令和元年国有財産分科会答申を踏まえまして、新しい働き方でございますとか、脱炭素社会の実現といった新しい課題も検討するために、本年4月から行政財産の未来像研究会を川口先生に座長をお務めいただきまして、ここにございます各界のメンバーの方に御出席いただき、7回にわたり開催させていただきまして、活発な議論を行っていただきました。川口先生、改めてありがとうございました。
 2ページ目でございますけれども、研究会では委員の方々から貴重な御意見、御指摘を頂くほか、ここの開催実績にございますように、民間企業・官庁の先進的なオフィス改革の取組でございますとか、人材育成を兼ねた先進的な独身寮の実例、あるいは若手公務員を中心とした公務員の現状でございますとか、賃貸住宅・社宅など最近のリノベーションの手法、各業界における脱炭素への対応状況など、様々な方々からいろいろなお話をいただいたところでございます。
 また、今回初めての試みでございましたけれども、財務省の職員に公務員宿舎に入らない理由でございますとか、いろいろな設備の状況など、公務員宿舎に関する様々なアンケートを行うといった取組もあわせて行ったところでございます。
 続きまして、3ページ目でございますけれども、下の段でございます。①から③までございますけれども、①国家公務員の職務遂行の能率性の確保及び国の事務の円滑な運営、②時代の要請に応じた有効活用、③国民共有の財産としての有効活用を今後の方向性として掲げまして、社会経済情勢の変化を踏まえた行政財産の最適利用を図り、well-beingな行政財産を実現するとしているところでございます。具体的には4ページ以降を御覧いただきたいと思います。
 4ページ目でございますけれども、庁舎の関係でございます。今後の対応の2つ目、真ん中のところでございますけれども、民間企業におけるオフィス改革を中央省庁でも促進することで職場環境を改善し、庁舎利用の効率化を図るとしております。さらに、財務省は各省庁との取得調整等の機会を捉え、オフィス改革の議論を促すとしているところでございます。
 一部取り組んでいる省庁もございますけれども、紙が多いでございますとか、官庁におけるオフィスの利用は、より効率化する余地があるかと思います。いわゆるアクティビティ・ベースド・ワーキングといった考え方に基づきまして、フリーアドレスなど民間企業における取組は急速に進んでいるところでございます。もちろん組織や職務に応じて、適したオフィスのあり方でございますとか、その効果の部分には差があると思いますけれども、それぞれの職場の状況に応じて検討する余地はあるのではないかという御指摘だと思います。
 財務省は国有財産を総合調整する立場としまして、先ほどの虎ノ門関連の使用調整などを通じ、庁舎の有効活用を図る立場にございますけれども、なかなかそれだけでは庁舎の狭隘解消に至らないところもあるかと思います。テレワークなど働き方の変化への柔軟な対応、オフィスの使い方の改革などもあわせながら包括的に詰めていく必要があるのではないかという研究会の御提言だと受け止めております。
 一番下の箱ですけれども、脱炭素につきましては、後ほど経済対策の話があるかと思いますけれども、太陽光発電設備の設置でございますとか、電気自動車向け充電設備の設置等を後押しするといった新たな分野の取組が書かれております。そのための情報発信の充実なども今後課題になってくるかと思います。
 続きまして、1枚おめくりいただきまして、国家公務員宿舎でございます。国家公務員宿舎削減計画が達成された後、令和元年答申でも地域別・宿舎規格別のミスマッチでございますとか、老朽化宿舎の増加などが課題になっております。ミスマッチによりまして、都内の独身・単身者向け住宅も不足しております。
 左下の枠でございますけれども、多くの若手職員は国会対応でございますとか、法案作成、予算などの業務に従事しているほか、地方から霞が関に出てくる場合など、転居を伴う転勤もございまして、こうした職員向けの宿舎の整備を優先的に行ってはどうかという御指摘を頂いております。今回行ったアンケートを見まして、例えば多くの職員が地方支分局などから霞が関に出向しておりますけれども、宿舎には入りたいと。ただ、古くて遠いので、半ばやむなく賃貸住宅を借りているといった職員も数多くいるという結果になっております。
 右の上の箱でございますけれども、災害等への対応力を高める観点から中央省庁を中心とした東京23区におけるBCP用宿舎の確保を進めるべきという御指摘も頂いております。
 真ん中の段でございますけれども、老朽化対応に当たりましては、民間・公的賃貸住宅の手法もかなり進んでおります。空き部屋が出るたびにリノベーションをする手法でございますとか、それを包括契約にすることで安く機動的に部屋のリノベーションを行う方法ですとか、部屋の間取りですとか、住戸規格の変更を伴う改修、それらを低コストで行うリノベーションの技術の進歩などを導入することで、限られた予算により効果的に公務員宿舎の老朽化に対応できるのではないかという御指摘でございます。
 リノベーションの部分に限らず、報告書の中に随所に「費用対効果の高い方法により」という文言がございます。スクラップ・アンド・ビルドですとか、いろいろなやり方があると思いますけれども、国民負担や、新型コロナ感染症の影響なども注視しながら、できるだけ財政負担の少ない形で工夫して、今回、研究会から頂いた御指摘を踏まえ、対応していく必要があると考えております。
 このほか、最初の国民共有の財産としての有効活用のところにもございましたけれども、地域への開放、地域貢献ということが随所に報告書に散りばめられております。これまでも行政目的を阻害しない範囲での庁舎・宿舎の有効活用には努めておりますけれども、より庁舎の有効活用を図り、宿舎につきましても地域に溶け込み、より地域に貢献するような形でできるだけ利用ができればということを考えております。
 今後でございますけれども、令和元年答申と今回の研究会の報告書を踏まえまして、いろいろな仕組みをルールに落とし込んでいく、あるいは現場に落とし込んでいくという必要がございます。通達改正という形が中心になるかと思いますけれども、予算が必要なものについては、予算要求もしていかないといけないということになるかと思いますし、様々な御指摘を頂いておりますので、1つ1つできるだけ早くルールに落とし込んだり、現場に落とし込んだりしていきたいと考えております。
 私からの報告は以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、続けて川口座長からお願いします。
〔 川口委員 〕 川口でございます。
 それでは、資料3-2の3ページの最終行を御覧いただきたいと思います。「社会経済情勢の変化を踏まえた最適利用を図り、well-beingな行政財産を実現する」と、木村課長から今御説明があったとおりです。この一文は本報告に記した行政財産の未来像を一言で表現したものです。抽象的で分かりにくいと思いますので、少しお時間を頂いて説明いたします。
 研究会では、まず庁舎及び国家公務員宿舎、以下、宿舎と略しますけれども、これらの差し迫った課題について、次の3点を共有いたしました。
 第1の課題は宿舎です。中央省庁が集まる東京を例にとりますと、国会対応や法律作成で早朝・深夜に働く職員や災害対応に当たる職員が入るべき宿舎の戸数が足りない、あるいは老朽化が無視できないものがあるという問題です。これは国家公務員宿舎法が定める職務の能率的な遂行が妨げられているという認識です。
 第2の課題は庁舎です。先ほど来、議論がございますけれども、スペースが足りません。その一方で、民間企業が大きくオフィス改革にかじを切る中で、公務員の職場環境とはこの5年間で大きく差が開いています。
 第3の課題は財源です。宿舎の建て替えなどに新しい財源を用いることは世論の理解を得ることが非常に困難を伴い、抜本的な改善は簡単ではないというものです。
 これらの課題に対する対応策は次のとおりです。
 まず宿舎につきましては、都心における独身・単身者向けの宿舎及びBCP用宿舎の確保は差し迫った課題であるという意見が研究会においても多数出ました。メンバーの総意としましては、これらは確保しなければならないという強い結論であります。ただし、報告書では、これらの表現を「進める」という、やや弱い表現にしております。資料3-2の5ページを御覧いただければと思います。ただ、研究会では、そのように確保しなければならないと。
 東京都における若手職員やBCP用宿舎の確保の方法としましては、既存の公務員宿舎の改修や建て替えが現実的であるといたしました。これは4回目の勉強会です。その理由としましては、都心の民間住宅家賃は高止まりして下がっていないこと、若手職員が民間住宅を借りた場合、住居手当が支給されるものの、自分の給料のかなりの部分を家賃に充てているということです。なお、補足いたしますと、東京の住宅の家賃は世界的にも非常に高いです。日本はデフレですけれども、家賃は非常に高いです。割高ということです。
 続きまして、庁舎につきましては、先ほど御説明がありましたけれども、今後も国が取得する権利床を活用するなどにより、まずは狭隘解消を図るということが基本でございます。また、資料3-2の4ページ、こちらに写真で例示しましたけれども、一部の中央省庁ではオフィス改革に既に取り組んでいます。ただし、ペーパーレス化、アクティビティ・ベースド・ワーキング及びフリーアドレス制の導入には、業務によって向き不向きがあることが分かっていますので、庁舎の改革もこれを踏まえて検討することとしています。
 さらに、脱炭素社会の実現に向けての取組としては、宿舎を含めて率先垂範して社会実験的に進めるべきであるという意見も多数出ました。
 3つ目の財源につきましては、先ほど木村課長からも御説明がありましたけれども、徹底した賢い支出、ワイズスペンディングを行い、国民負担をできるだけ避けていく。そのための方策としましては、既存ストックの賢い活用、専門用語ではリアルオプションアプローチと言いますが、詳しくは本報告書の本文2ページ、注1を御覧ください。これを行うということです。
 以上のように、本報告書は差し迫った課題への対応を示すことを通じて、行政財産の未来像を描くというスタイルをとっています。
 行政財産の未来像についてのキーワードを3つだけ挙げますと、先ほどのリアルオプションを含む有効活用、それからワイズスペンディング、そしてwell-beingという3つです。3つ目のwell-beingは、日本語では良好な状態と訳されます。資料3-1の報告書本文、3ページの脚注に簡単な説明があります。well-beingのもともとの意味は、新型コロナパンデミックのような厳しいストレス状態において、生存に関わる損失、例えば健康被害、関係性の喪失、雇用の喪失、生命の喪失、組織的な損失、金銭的な損失、そして生産性の損失、こうした損失を回避し得る能力のことを言います。2019年頃から、コロナ前ですけれども、不動産のESG評価において、不動産オーナーや投資家がwell-beingに対する取組を増やしているかどうかを測定する試みがなされています。民間では、作るのはオフィスではなく働き方であるという発想が今や常識となっています。また、優秀な人材を確保するための1つの武器としてオフィスが位置付けられています。研究会では、庁舎を豪勢なものにすれば国民から批判を浴びることもあるだろうが、恐れずに正面から議論しなければ行政庁としての生産性やアウトプットに影響が出るという意見もございました。つまり、民間では職場のwell-beingを高めることがオフィス改革の大きな柱になっています。国民の理解を得られる範囲内で庁舎のwell-beingを長期的に高めるべきであるということです。
 一方、宿舎につきましては、財務省職員に対してアンケートを行いましたが、公務員宿舎を利用したくないという理由が、古い、汚い、遠いということでした。職場の職員と居住場所まで一緒は嫌だと考える人の割合は4人に1人くらいでした。条件を改善すれば公務員宿舎に入りたいという職員が相当いることが分かりました。アンケートの自由記述欄には、利用者から問題点が指摘されていますが、老朽化した宿舎のwell-beingは非常に低いことが分かります。床、壁、設備、水回りなどのハードだけではなく、ソフト面の改善が望まれます。
 民間企業においては、企業の規模にもよりますが、転勤がある企業はかなりの割合で社宅を有しているのに対して、転勤がない企業は社宅がないところが多いという傾向があります。一般に社宅は市場の賃貸家賃と同じということはなく、市場家賃よりも少し安いことをメリットとして存在しているケースが多いようです。また、独身・単身者向けの民間社宅建築の趣旨は、若手社員の教育、人的ネットワークの構築、健康、地域社会との共生及びBCP機能です。つまり独身・単身者向けの社宅のwell-beingを高めることは、企業戦略の一翼を担っていると言えます。
 以上、述べた内容を1つの文章として表現したものが、先ほど御覧いただきました資料3-2の3ページの最終行の「社会経済情勢の変化を踏まえた最適利用を図り、well-beingな行政財産を実現する」ということであり、これが本報告に記しました行政財産の未来像を指しています。
 以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、委員の皆様の御意見等ございましたら、よろしくお願いします。いかがでございますか。
〔 野城臨時委員 〕 本当に労作だと思います。すばらしいレポートでございまして、最後、川口先生がおっしゃったこの一文の含意もよく分かりました。委員の構成を拝見すると、本当にユニークな、多様な方々が参加されていましたので、そういった方々が大変建設的な、生産的な視点を入れてくださったと思います。ぜひここに書かれた内容が絵に描いた餅にならないということを私としては財務省の皆様にお願いしたいと思う次第でございます。それに加えまして、この中ではwell-beingという観点で、生身の人をどうするかという観点で入っているのですけれども、短期間でそれだけではなかったと思うんですけれども、脱炭素のことが少し書いてあるのですけれどもひとこと。これは、むしろ財務省の皆様に申し上げたいのは、民間の最近のアセット評価では、ストランディング・アンド・アセット、座礁資産という言い方がされていて、地球温暖化ガスをたくさん出しているような不動産資産というものが機関投資家などから見ると、どんどん資産価値が劣後していって、それは座礁してしまうぐらいになると認識が拡がっています。機関投資家だけでなく、場合によっては国の規制で、EUや、あるいは英国では、そういった低いものについては、賃貸対象としては、住宅対象として貸してはならないという規制も入れる形でCOP26に対応しようとしているところがございます。まずはこのレポートの内容を実現することが大切なんですけれども、目線としては、そういった民間における地球温暖化ガスの排出量を物差しにしました資産評価をどう見ているのか、つまり民間資産のそういう物差しで座礁資産といったような概念があるとすれば、遠からず、行政財産の評価にも影響があるという目線で情報を集めていただいて、タイミングを失わずに、そういったことに対してもどういう手当てをしていくことが、この川口先生のレポートに見合うタイミングで打っていく必要があるというふうに思いながら、お話を聞いておりました。
 以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。
〔 亀坂委員 〕 今のwell-beingな行政財産というところで、私はwell-beingというと、日本で言うと幸福度の研究、生活満足度の研究に相当しまして、私も生活満足度の研究を大分した経験があるので、一言コメントさせていただければと思うんですが、リーマンショック以降、OECDではかなり生活満足度の研究というのが盛んになされているんですが、常にOECDから日本に関してはワーク・ライフ・バランスの改善が必要ということが言われておりまして、生活満足度を高めるにはディーセント・ワーク、尊厳ある仕事の仕方をさせなければいけないとか、そういうようなことを言われているんですが、ワーク・ライフ・バランスとか、そういった働き方の実証研究を日本の内閣府のデータとかで行ったこともあるんですが、日本の場合はやっぱり通勤時間が長いことによって、睡眠時間が削られて、健康を害するリスクが大分高まっているというふうな論文もたくさんありますので、医学系の論文とかで長時間労働、月に80時間以上ですね、残業されると脳疾患、心筋梗塞とか、そういったリスクが高まってしまうわけですが、通勤時間が非常に影響しているのも以前から日本の場合気になっていまして、そういった面からも今回頂いた報告書には賛成いたします。国際的な潮流で、OECDから求められている潮流に非常に沿った内容であると思います。
 以上です。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。
 それでは、ウェブの奥田かつ枝委員、お願いします。
〔 奥田委員 〕 奥田です。よろしくお願いします。
 まず、今も御指摘があったwell-beingに関しては、基本的な労働者のあり方として追求していくべきだということは賛成です。これを追求するためには、社会環境の変化のところにもありましたけれども、デジタル化を進めることによって長時間労働をなくしていくとか、在宅勤務を進めていくとか、そういった面での対応というのが重要かと思うところもありますので、ぜひ考えていただきたい。
 それから、ここに書かれている今回の方向性、対応について、川口座長からもお話がありましたけれども、どれくらいのタイム感で実現していこうということなのか。方向だけ、少しずつ少しずつ前へ進むということでよしとされていってしまう可能性もありますので、おおむねの目標となるような期間を考えたほうがよろしいのかと思いました。
 また、利用者の意向として、今回、宿舎についてアンケートをとられて実態を把握されたということ、これは非常に有意義であったと思います。庁舎についても、実際に働いていらっしゃる方たちが具体的にどういうふうに考えられているのかということ、これも今後の活用に当たっては把握していく必要があるのかと思います。世の中の流れで、フリーアドレスとかありますけれども、これが向いているところ、向いていないところ、御指摘にもありましたが、実際に働いている方たちがどのように思っているのかという観点、これはきちんと把握する必要があると思います。
 あと、3ページの社会環境の変化のところ、項目なのですけれども、最近自然災害が多いですね。台風関係もありますけれども、地震も非常に多いような環境の中で、災害対策を考慮した行政財産のあり方として、どうなのかという視点というのがあってもいいのではと思いました。太陽光発電というのが再生可能エネルギー、脱炭素への対応ということではありますけれども、発電施設を作っただけではなかなか難しいので、蓄電池をどう使っていくかとか、ここだけでどれくらいの自発的発電がいざというときできるのかとか、何かBCP的な視点も入れていただいてもいいのではないかと思いました。
 以上です。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。それではもう一方、松尾弘委員、お願いします。
〔 松尾臨時委員 〕 ありがとうございます。今回、資料3-1の未来像研究会の報告書を拝読いたしまして、非常に充実した報告書で感銘を受けました。検討すべき論点を非常に包括的に様々な角度から検討されていて、内容豊富な、これからの行政財産のあり方について考えていく基盤になるのではないかというふうに思いました。
 その上で1つ、国家公務員宿舎の今後の展望に絞ってコメントをさせていただきたいと思います。国家公務員宿舎の今後のあり方については、借受けの場合とのコスト比較をしながら、改修だけではなく、建設、建て替えについても検討していくという方向で、私はこの方針に賛成であります。それを具体化していくためにも、例えば現在の公務員宿舎の中で、余剰容積率等も用いて建て替えするときに、どれだけ戸数が増えて、そのことが需給のアンバランスの解消のためにどれだけ役立つのかということを、建て替え可能な宿舎の場所等も絞って、具体的なシミュレーションに入って、その上でコスト比較について検討するという段階に入ってはどうかというふうに感じました。結論ありきではなくて、建て替えのためにメリットと、どれぐらいコストがかかるかということを具体的に比較するための検討に入っていいのではないかというふうに思いました。
 そのときに、コスト比較に際して、既にこの報告書でも触れられていますけれども、国家公務員宿舎が持っている機能を十分に検討するということが重要だと思います。特に国家公務員宿舎の中でも、合同宿舎になっている場合には省庁間を越えたコミュニケーションを可能にしているという点ですとか、あるいは国家公務員宿舎だけではなくて、そのすぐ近くに民間のアパートとかマンションとか、あるいは住宅というようなものがあって、まちづくりの一角を担っているところもあるように思います。そこに公共施設が集まって、良好なコミュニティができているところもあります。そのコミュニティの重要な一機能を果たしている面もありますので、そういう地域コミュニティの活性化とか再生、維持への貢献という機能についても、数値化するのは非常に難しいと思いますけれども、コスト比較する際の考慮要因としても、ぜひ考えに入れていただきたいというふうに思います。
 そういうことも踏まえて、具体的なコスト比較のシミュレーションをすることによって、行政財産としての国家公務員宿舎の最適活用に向けた戦略的な施策の実施ということを考えていっていただきたいというふうに感じました。
 一方、民間賃貸住宅についても、賃貸住宅市場の活性化ということについては、国交省等を中心に検討も進んでいると思いますし、特に単身者の入居を促進するための民間賃貸住宅の活性化については、かなり検討も進んでいるようであります。それはそれで進めていって、民間賃貸住宅の市場もさらに活性化しつつ、国家公務員宿舎についても機能を維持・充実させるべきものは充実させて、将来的には公務員が緩やかな選択肢の中で自分の住居を選んでいけるというようなところを目指して進めていってはどうかというふうに考えます。長い時間のかかることであると思いますし、多くのコストを要することだと思いますので、それだけに長期的な展望を持ってぜひ進めていただきたいというふうに感じました。
 以上です。ありがとうございました。
〔 小林分科会長 〕 御意見ありがとうございました。ほか、いかがでございましょうか。皆様、貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見がないようですので、以上で次の議事に移らせていただきます。
 続きまして、第4議題、千代田区大手町二丁目所在の信託中財産の処分について、事務局から説明があります。
〔 吉田国有財産業務課長 〕 国有財産業務課長の吉田でございます。
 それでは、資料4に基づきまして、大手町二丁目に所在する信託中財産の処分について御説明をさせていただきます。本件、諮問事項という形ではございませんけれども、2015年にこちらの分科会にお諮りをしたものでございますので、その後の経過について御報告をさせていただくものでございます。
 それでは、資料の1ページを御覧ください。本財産は千代田区大手町二丁目所在の大手町プレイスのイーストタワーの事務所部分等に係る信託受益権でございます。もともと2010年12月に国立印刷局より国庫納付を受けた土地について、市街地再開発事業が行われまして、それによって取得した権利床でございます。権利床につきましては、2015年6月の本分科会の答申を踏まえまして、信託を実施しているところでございます。
 2015年の答申につきましては、2ページに概要が書いてございます。管理処分の方針について、答申の内容について御説明をさせていただきます。「本財産は、民間セクターによる業務機能の高度な集積が進んでいる大手町地区に所在しており、国が庁舎等として利用する計画はなく、その他公用・公共用の利用を図ることも想定されていないことから、民間セクターに対して処分を行うことが望ましい」とされております。また、「本財産は、国民共有の貴重な財産であることに鑑み、売却にあたっては、できる限り多くの売却収入を確保するよう努める必要がある。したがって、信託銀行等に信託し、原則としてテナントの誘致・貸付け等のリーシングを了した状態で、多くの投資家が応札可能な金額規模に適切に分割して、必要に応じて段階的に売却を進めることが適当」という形で答申を頂いているものでございます。
 資料の3ページを御覧ください。沿革につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、再開発を経まして、大手町プレイスというビルの形で2018年8月に竣工に至っております。このうち国が取得しております権利床部分でございますが、右の図にございますが、2つのビル、建物があるうちのイーストタワーの事務所部分の全て、それから店舗などが入ります育成用途フロアのうちの16%でございます。リーシングの状況でございますけれども、現時点で9割を上回る部分にテナントが入居しておりますので、おおむねリーシングを了したという段階になっております。ちなみに、そのうち1つの大口テナントが全体の7割超を占めております。この点も踏まえて売却方法を検討する必要があるというふうに考えているところでございます。
 資料の4ページを御覧ください。ここからは不動産市況の状況について、簡単に御説明を申し上げます。都心5区では、オレンジ色のグラフでございますが、空室率は新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして上昇をしておりまして、当面は高止まりをする見込みというふうになっております。水色の線でございますが、グリーンのように見えますが、青い線でございますが、賃料指数のほうは2010年を100といたしますと、2020年は131.5というふうに高い水準にございましたが、こちらもコロナに伴いまして空室率上昇がありまして、2021年には下落に転じる見込みでございます。その後、景気回復により空室率改善がなされた際には、また再びこの賃料についても上昇するというふうな予測がなされております。
 5ページを御覧ください。都心5区のオフィス供給量の予測でございます。2018年、それから2020年に比較的多くのオフィスが供給されておりましたけれども、今後は比較的少ないという見込みでございます。ただ、2023年につきましては、虎ノ門・麻布台プロジェクトという森ビルがやっているものでございますが、こちらが大規模なものが供給されるということになっております。それ以外については、例年より少ない供給という見通しでございます。
 資料の6ページを御覧ください。投資家に聞き取りをしたアンケートによる不動産に対する期待利回り、それから観察する取引利回りがどうなっているかというものでございます。こちらにつきましては、先ほどまでのグラフよりはもう少し焦点を絞った地区になっておりまして、この資産のあります丸の内・大手町地区における期待利回りや取引利回りを聞いたものでございます。少しずつ下がってはきているんですが、新型コロナウイルス感染症の流行後におきましても、そのままという形で、比較的低い水準、期待利回りのほうは3.5、取引利回りを見ても3.0という形で、比較的低い数字、すなわち不動産としては高い水準ということになると思いますけれども、そういう形で進んでいるということでございます。
 資料の7ページを御覧ください。最近の大きな売買事例を幾つか調べて挙げさせていただいております。不動産市場では、REIT等が単独で大規模な物件を取得する事例、それから特別目的会社であるSPCの活用によりまして、ニーズや運営方針により実質的に対象不動産を複数で分割するような事例が見られております。近年、ここ数年を見ましても、3,000億円規模、2,000億円規模といった売却も成立しているということでございます。
 8ページ目を御覧ください。以上を踏まえまして、売却の進め方でございます。本財産は、リーシングのほうはおおむね了しましたので、受託者でありますみずほ信託銀行と現在協議を進めておりまして、以下のとおり売却を進めたいというふうに考えております。
 まず売却時期でございます。空室率の上昇であるとか賃料の下落といった傾向はございますけれども、先ほど御覧いただきましたように投資利回り自体は悪化していないということで、価格自体は高止まりという状況でございます。かつ2023年には大規模な供給も見込まれるということで、できるだけ速やかに売却手続を開始できればというふうに考えております。
 それから、売却の方法でございます。分割の要否というところに書いてございますけれども、もともとできるだけ多くの売却収入を確保するためには分割したほうが入りやすいんじゃないかということでの御答申は頂いておりました。ただ、先ほどの事例を御覧いただきましたように、大口のものであっても買い手のほうで自由に分割をしまして入ってくるというような形での取引事例も多いということがありますので、そういったことを勘案しまして、一括で売却できればというふうに考えております。理由の1つは、今申し上げましたように、①と②が逆になってしまいますけれども、②のほうですが、大規模案件では多様な購入スキームが活用されまして、購入者のほうでそれぞれのニーズに応じまして、取得に必要となる資金や生じるリスクを実質的に分割して応札してくるという事例があるということ、それから①に戻りますけれども、先ほど申し上げましたように、実際には大口テナントが7割超ということになっております。ここを分割するということになりますと、管理運営に支障を来す、テナントにも今後は2社が大家さんということになりまして御迷惑をおかけするようなことになりますので、なかなかここの分割ということも考えづらいと。こういう2点の理由から、分割はせずに売却を進めることができればというふうに考えております。
 売却の方法としましては、受託者であるみずほ信託銀行が入札を実施して売却をいたします。入札に際しましては、いきなりやるということになりますと、どんな人が入ってくるか分からないということもありますので、秘匿性の高い情報の開示対象を限定する必要がございます。例えば賃料とかですね、そういったものについては公開されないものですので、要は本気で入ってくる人にしか開示はできないというものになりますので、まずは入札参加希望者に対しまして、資力や経験等を踏まえまして審査を実施いたしまして、その審査の通過者に段階的に守秘義務を課した上で資料を開示した上で、入札を実施したいというふうに考えております。
 最後、9ページのスケジュールを御覧ください。スケジュールでございますけれども、公告につきましては年度内に行えればと思いますが、その後、様々な今申し上げました審査等の手続がございますので、実際の決済・引き渡しまでは入札を開始してから10か月程度を要する見込みでございます。国としましても、多くの入札参加者を得られるように広報等を行うとともに、審査や入札結果については報告を受けたいというふうに考えております。
 国としましては、この売却収入等から事務処理費用等を控除した金額を信託配当として受領する見込みとなっております。
 私からは以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。今の第4議題については、次の第5議題の説明後にまとめて御意見を伺うことにいたします。
 それでは、第5議題、最後に経済対策等における国有財産の活用について、これも事務局から説明をお願いします。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 資料5をお願いいたします。
 表紙をおめくりいただきまして、1ページでございます。先月、政府のほうで経済対策を取りまとめいたしましたけれども、その中で国有財産に関連する部分ということで、2点について御報告を申し上げるものでございます。
 まず1ページ目が新型コロナウイルスへの対応ということで、地方公共団体等に対する庁舎等の無償提供ということでございます。この下に書いてありますとおり、ワクチン接種体制の整備ですとか、検査の環境整備、あるいは臨時の医療施設、こうしたことを念頭に置きながら、自治体の要望・ニーズに応じて、自治体のほうが求めるスペックに合うような庁舎等があれば積極的に使っていただこうということでございまして、これまでも、右下にございますけれども、全国で約61件ほど、様々な形で提供しているという実績がございますけれども、こうしたこれまでの取組をさらに今後も引き続きやっていこうというものでございます。
 それから次のページ、2点目がグリーン関係でございます。本日の第3議題の研究会の報告書でも関連する部分がございましたけれども、ここに書いてありますのは例示ではありますけれども、例えば太陽光発電の導入の促進ですとか、あるいは電気自動車の普及促進に向けた充電施設の整備、そういった観点から国有財産も何らか対応できないかということで、これは1つのサンプルとして写真を2つ載せておりますけれども、例えば庁舎の屋上にこうした太陽光発電設備を置くとか、あるいは右側は庁舎の駐車場の一角のスペースに電気自動車向けの充電設備を設置して、広く使っていただくとか、そういったことも考えられるのではないかということで、民間事業者の方からも御提案など、これも今後いただきながら、国民の方々によりよく使われるといいますか、望まれるような形で対応していければというふうに考えているところでございます。
 非常に簡単ではありますけれども、以上になります。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、ただいまの第4議題及び第5議題の説明について、皆様の御意見を伺います。御意見ございましたら、どうぞ。
〔 亀坂委員 〕 資料5のほうなんですけれども、御質問なんですが、以前5Gの基地局を提供される取組が行われているというふうなことだったんですが、今も引き続きそういったこともなされているんでしょうか。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 それは昨年のまさに経済対策のときに取り上げた項目になろうかと思います。今回改めては取り上げておりませんけれども、取組としては引き続きやろうとしております。
〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。ウェブ参加の方、よろしゅうございますか。
〔 大久保臨時委員 〕 1点発言させていただいてよろしいでしょうか。大久保と申します。
 資料4の、ページ数でいきますと8の売却の進め方というところについてなんですけれども、売却の時期としましては、2023年にオフィスの大規模供給が見込まれるため、速やかに売却の手続を開始するというふうな記載がなされておりますが、虎ノ門・麻布台で多くの供給がなされるという説明がありましたが、虎ノ門・麻布台の需要者と大手町の需要者では幾分、性格が異なろうかと思います。ですので、規模の大きな売却になるかと思います。国民の大きな財産、大切な財産ですので、ぜひあまり売り急ぐわけではなく、慎重にお進めいただければというふうに思います。
 以上です。
〔 吉田国有財産業務課長 〕 ありがとうございます。おっしゃるとおり、丸の内・大手町地区は非常に価格も安定しておりますし、ほかの地区とは違う需要も見込まれると思っています。しっかりと鑑定をした上で、最低価格なども定めた上で入札を行いますので、何か売り急いで安値でもいいから売ると、そういったことは考えておりません。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。
〔 川口委員 〕 同じページで、復習になりますけれども、分割で売るべきであるというのは、東京オリンピックが終わった後にリーシングを、テナントを埋めて売るというのはリスクがあるんじゃないかと分科会で出たように記憶していまして、そういったこともあるので分割ということが答申に入っていたと思いますけれども、現状は御説明のとおり、分割するまでもないというふうに理解しておりまして、御説明のとおりだなと。もう決めたら速やかに不動産を売ったほうがいいと思いまして、この10か月とか、来年にかけてはまだ不動産は高いと思うんですけれども、リスクは中国、中国の不動産会社は、中国政府はベイルアウトの用意はないというのが海外での情報で、例えば今の問題ですと恒大というところがデポジットをマンションの購入者から集めているらしくて、中国政府が気にしているのは、デポジットを集めた分についてはちゃんとマンションを建てなさいと。しかし、債務の返済については一切関与しないというようなこともありますので、これから、この半年か1年か分かりませんけれども、ひょっとすると日本が経験したような過剰債務の問題というのが出てくるかも分かりませんので、その辺は全くどうなるか分からないので、決めたら速やかに売っていただきたいと。
 以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。ただいま第4議題、第5議題、御意見をいただきました。ほかに御意見等ないようでございましたら、以上で本日の予定しておりました議事は終了とさせていただきたいと思います。どうも皆さん、お疲れさまでございました。
 なお、最後に事務局から連絡事項がございます。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 事務的な連絡でございますけれども、記者レクの実施及び議事録・会議資料等の公開につきましては、従来どおりの取扱いとさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 それでは、どうもありがとうございました。

午後4時54分閉会