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財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会
議事録

令和5年1月20日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会
議事次第

令和5年1月20日(金)10:00~11:04

財務省国際会議室

1.開会

 

2.議題

  •    令和3年度「国の財務書類」等について

 

3.閉会


配付資料

 資料1  法制・公会計部会 委員名簿
 資料2  令和3年度「国の財務書類」
 参考資料2-1  令和3年度「国の財務書類」のポイント
 参考資料2-2  「国の財務書類」ガイドブック
 参考資料2-3-1  国の財務書類等の財務諸表(4表)一覧
 参考資料2-3-2  国の財務書類等の財務諸表(4表)一覧(英訳)

 

4.出席者

部会長
部会長代理
委員


臨時委員

藤谷 武史
黒川 行治
赤井 伸郎
土居 丈朗

大塚 成男
金子 靖
小林 慶一郎
佐藤 綾子
関根 愛子
田近 栄治
冨田 俊基
山内 暁


           前田主計局次長
           八幡総務課長
           大久保司計課長
           園田公会計室長
           宮嶋会計制度調査官
           柘植課長補佐
           川中課長補佐
           
          

午前10時00分開会

〔藤谷部会長〕 
 それでは、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会を開催いたします。

 皆様におかれましては、ご多用のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は昨年度に引き続き、ウェブ会議システムを活用し、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して、会議を開催させていただくことにしました。よろしくお願いいたします。

 また、ご参加の委員の方に音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけパソコン等のマイクに近づいてご発言いただきますよう、お願いいたします。

 まず、本日の議題に入ります前に、本部会の臨時委員に異動がございましたので、ご紹介いたします。お配りしております資料1の法制・公会計部会委員名簿をご覧ください。これまで、ご参加いただいておりました椎名弘委員に代わり、昨年9月より新たに金子靖委員に審議に加わっていただくこととなりました。金子委員、一言ご挨拶いただけますでしょうか。

〔金子委員〕 
 ご紹介いただきまして、ありがとうございます。日本公認会計士協会で、公会計の担当をしております金子と申します。前任の者に引き続きまして、担当させていただきますので、よろしくお願いいたします。

〔藤谷部会長〕 
 金子委員、ありがとうございました。

 次に、事務局より事務局職員のご紹介をしていただきます。園田室長、お願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 それでは、事務局職員の紹介をさせていただきます。

 主計局次長の前田でございます。

 また、オンラインにて総務課長の八幡、司計課長の大久保が参加しております。

 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 続きまして、本日の委員の出席状況、そして資料の確認を事務局からお願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 本日は、宍戸委員がご欠席となっております。なお、本日、一部の委員の皆様にはウェブでご参加いただいておりますが、議場出席の状況につきましては、配席図をご覧ください。
 次に、議事次第をご覧ください。配付資料につきましては、参考資料を含め、2.のとおりでございまして、事前にご郵送させていただいております。
 資料の紹介は以上でございます。

〔藤谷部会長〕
 では、本日の部会の進行についてご説明いたします。

 本日の議題ですが、令和3年度「国の財務書類」等について、事務局からの説明と、それについての質疑応答を行う形で進めさせていただきます。

 では、議事に入る前に、前田主計局次長からご挨拶がございます。前田主計局次長、どうぞ、よろしくお願いいたします。

〔前田主計局次長〕
 おはようございます。法規課公会計室担当の主計局次長前田でございます。

 先生方には本日、大変お忙しい中をご出席賜りまして、誠にありがとうございます。

 実は私、3年前、主計局の法規課長を務めておりまして、当時の黒川部会長はじめ多くの先生方には、大変お世話になりましたけれども、引き続き、今年度もよろしくお願いしたいと思っております。

 振り返りますと、私が法規課長をやっておりました3年前に、まさにコロナということが起きたわけでございます。それから3年間、日本の財政というのは、かなりこれまでとは違う大きな支出をやってまいりました。もちろん、歳出の中身については、今後検証されるべきものだろうと思っておりますが、それが国の財務、財政状況に与えた影響というのは、まさに、今回ご審議を賜ります「国の財務書類」などにおいても、当然検証が行われるべきものだろうと思ってございます。

 3年間、ようやくコロナも少し落ち着いてきた中ではございますが、今度は令和5年度予算、これから国会でご審議をいただきます令和5年度予算案の最大の課題といいますと防衛費でございます。今後5年間にわたりまして、防衛費を大幅に増額するという大きな政府の方針が示されたわけでございますが、当然ながら増額する防衛費をいかにして賄うのかということで、与党、あるいは国民の皆様全体の中にも、国はまだどこかに財源があるのではないか、国民に負担をお願いする前に、もっといろいろやるべきこと、考えることがあるのではないかという議論は、私から見ましても、ここ数年になく高まっていると認識いたしております。そういう意味では、「国の財務書類」は例年になく注目度も高いと思いますし、また、我々も「国の財務書類」をより一層活用して、国の財政状況についてご理解を得ていかなければいけないと考えておるところでございます。

 法制・公会計部会の先生方には、是非とも、状況も踏まえまして、今日もご議論いただいて、引き続きご指導いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 本日はよろしくお願いいたします。

〔藤谷部会長〕 
 それでは、令和3年度「国の財務書類」等について、事務局から説明をお願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 それでは、参考資料2-1、令和3年度「国の財務書類」のポイントを用いてご説明させていただきます。

 ポイントの2ページをご覧ください。

 令和3年度末における国の資産及び負債の状況は、資産合計723.9兆円(対前年度末比プラス3.2兆円)、負債合計は1,411兆円(対前年度末比プラス35兆円)となり、資産と負債の差額である資産・負債差額は前年度末に比べ31.9兆円悪化し、マイナス687.0兆円となっております。

 令和3年度の業務費用合計は180.1兆円(対前年度比マイナス10.6兆円)、財源合計は139.3兆円(対前年度比プラス7.7兆円)となり、財源と費用の差額である超過費用は、前年度に比べ18.3兆円減少しマイナス40.8兆円となりました。引き続き1年間の業務費用を財源で賄えない状況が続いております。

 令和3年度の財務書類の特色でございます。令和3年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止と社会経済活動の両立を図りつつ、中長期的な成長力強化の取組を推進するとした当初予算の編成、さらには「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を実施するための補正予算の編成がなされました。

 これらの財政運営により、フローの状況として業務費用計算書では、「補助金・交付金等」が、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増加(4.2兆円)や、子育て世帯等臨時特別支援事業費補助金の増加(2.9兆円皆増)の一方、特別定額給付金給付事業費補助金の減少(12.7兆円皆減)などにより6.8兆円減少しております。

 また、「持続化給付金等」が6.1兆円減少した一方、「地方交付税交付金等」が3.0兆円増加したことなどにより、業務費用の合計は前年度に比べ10.6兆円減少し180.1兆円となりました。

 一方、財源面(資産・負債差額増減計算書)の財源でございますが、好調な企業収益等を背景に基幹3税がそろって増加したことなどにより「租税等収入」が6.9兆円増加、厚生年金保険料の増加などにより「社会保険料」が1.1兆円増加したことなどにより、財源の合計は前年度に比べて7.7兆円増加し、139.3兆円となりました。

 これらの結果、1年間の業務費用を財源で賄えない状態を示す超過費用は前年度に比べて18.3兆円減少し、マイナス40.8兆円となりましたが、依然として新型コロナウイルス感染症が拡大する前の令和元年度(マイナス20.3兆円)を大きく上回る水準となってございます。

 次に、ストックの状況、貸借対照表でございますが、資産の部においては、為替相場の変動等による外貨証券の増加等により「有価証券」が3.8兆円増加、大学ファンドへの運用原資としての財政融資資金の「貸付金」が3.1兆円増加、日本政策金融公庫への出資金の増加等により「出資金」が9.9兆円増加したことに加え、IMFから加盟国への特別引出権の配分等により「その他の債権等」が5.5兆円増加しました。これは見合いで「その他の負債」も増加してございます。一方で、翌年度へ繰り越される事業の繰越額の減少等に伴い一般会計の歳計剰余金が減少したこと等を受け「現金・預金」が21.2兆円減少したことなどにより、資産合計は前年度末に比べ3.2兆円増加し、723.9兆円となっております。

 負債の部におきましては、一般会計の普通国債等は45.7兆円増加しております。一方、財投債が14.1兆円減少するなどし、その結果、「公債」は30.0兆円増加し、1,114.0兆円となりました。全体として、負債合計は前年度末に比べ35兆円増加し、1,411兆円となっております。

 これらの結果、資産・負債差額はマイナス687.0兆円となり、前年度末に比べ31.9兆円の悪化となってございます。なお、外貨証券等の為替換算差額が12.5兆円となったことなどから、超過費用のマイナス40.8兆円に対し、資産・負債差額の悪化は31.9兆円となってございます。

 続きまして、3ページをご覧ください。資産の主な増減要因についてご説明いたします。

 現金・預金につきましては、対前年度末比21.1兆円減の48.3兆円となっております。翌年度へ繰り越される事業の繰越額の減少等に伴い一般会計の歳計剰余金が減少したことや、財政投融資特別会計において保有する現金・預金が減少したことなどにより、全体として21.2兆円減の48.3兆円となりました。

 有価証券につきましては、対前年度末比3.8兆円増の123.5兆円となっておりますが、過去の為替介入により取得した外貨証券が、為替相場の変動による増や保有残高の増の一方、時価による評価差額の減により4.8兆円増の122.7兆円となってございます。また、復興債の償還財源に充てるために保有する日本郵政の政府保有義務分以外の株式について、第三次分として残りの全てが売却されたことにより1.0兆円減少しております。

 貸付金につきましては、対前年度末比3.1兆円増の123.2兆円となっております。科学技術振興機構への貸付金が4.0兆円増加した一方、政策金融機関等の貸付規模が減少したことなどにより、全体として3.1兆円増の123.2兆円となりました。

 運用寄託金につきましては、対前年度末比1.2兆円増の113.7兆円となっております。

 出資金につきましては、対前年度末比9.9兆円増の93.3兆円となっております。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小事業者等の資金繰りの支援のための出資等により日本政策金融公庫への出資金が6.6兆円増加、大学ファンドの運用原資として科学技術振興機構への出資金が0.6兆円増加したことなどにより、全体として9.9兆円増の93.3兆円となりました。

 4ページをご覧ください。負債の主な増減でございます。

 政府短期証券につきましては、対前年度末比4.5兆円減の88.3兆円となっております。

 公債につきましては、対前年度末比30.0兆円増の1,114.0兆円となっておりますが、建設国債は3.5兆円増の293.7兆円、特例国債は42.7兆円増の678.0兆円となっております。一方で、年金特例国債は0.3兆円減の3.1兆円、復興債は1.4兆円減の5.4兆円、財投債は14.1兆円減の104.7兆円、原賠機構に対して発行された交付国債は0.4兆円減の3.3兆円となっております。

 借入金につきましては、対前年度末比0.7兆円増の33.6兆円となっております。

 公的年金預り金につきましては、対前年度末比0.5兆円増の122.3兆円となってございます。

 続きまして、5ページをご覧ください。フローの状況、費用の主な増減要因でございます。

 社会保障給付費につきましては、対前年度比0.7兆円減の53.9兆円となっております。年金受給者数の増加等に伴い基礎年金給付費が0.3兆円増加した一方、雇用調整助成金の減少等に伴い雇用安定等給付費が0.8兆円減少したことなどにより、全体として0.7兆円減の53.9兆円となりました。なお、社会保障関係経費は「社会保障給付費」だけではなく、「補助金・交付金等」にも51.4兆円含まれており、これら社会保障関係経費全体では、5.7兆円増の105.3兆円となっております。

 補助金・交付金等につきましては、対前年度比6.8兆円減の78.5兆円となっております。前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症への対応により、新型コロナウイルスワクチン等生産体制整備臨時特例交付金が2.0兆円増加、また、子育て世帯等臨時特別支援事業費補助金が2.9兆円計上されるなど、社会保障関係経費が増加するとともに、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が4.2兆円増加しております。一方で、特別定額給付金給付事業費補助金が12.7兆円、中小企業再生支援利子補給補助金が1.8兆円、それぞれ減少(皆減)したことに加え、経営安定関連保証等基金補助金が1.2兆円減少したことなどにより、全体として6.8兆円減の78.5兆円となっております。

 地方交付税交付金等につきましては、3.0兆円増の22.4兆円となっております。

 続きまして、6ページをご覧ください。財源の主な増減要因でございます。

 租税等収入につきましては、対前年度比6.9兆円増の71.9兆円となっております。所得税は2.2兆円増の21.4兆円、法人税は2.4兆円増の13.6兆円、消費税は0.9兆円増の21.9兆円となり、全体として6.9兆円増の71.9兆円となっております。

 社会保険料につきましては、1.1兆円増の56.3兆円となっております。厚生年金保険料が0.5兆円増の33.1兆円、健康保険料及び船員保険料が0.3兆円増の10.9兆円となったことなどにより、全体として1.1兆円増の56.3兆円となっております。

 これらの結果、超過費用について下の枠に記載してございますが、「財源合計(139.3兆円)」から「業務費用合計(180.1兆円)」を差し引きしますと、マイナス40.8兆円と、前年度に比べて18.3兆円減少しましたが、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の令和元年度のマイナス20.3兆円を依然として大きく上回る水準となってございます。

 7ページは補助金・交付金等についてでございます。令和3年度の業務費用の43.6%を「補助金・交付金等」が占めており、所管別の特色について記載させていただいてございます。

 厚生労働省は、対前年度比3.6兆円増の45.2兆円となってございます。令和3年度は、新型コロナウイルスワクチンの接種が本格化したことなどに伴い、ワクチンの生産体制整備等のための新型コロナウイルスワクチン等生産体制整備臨時特例交付金が増加(2.0兆円)したことに加え、地方公共団体におけるワクチンの接種体制構築等のための新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費臨時補助金の増加(0.7兆円)や、ワクチン接種を実施するための新型コロナウイルス接種対策費負担金の増加(0.7兆円)などにより、総額は45.2兆円と対前年度に比べ3.6兆円の増加となっております。

 総務省は、対前年度比8.6兆円減の7.4兆円となっております。令和3年度ですが、新型コロナウイルス感染症への対応として、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施するための新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が増加(4.2兆円)した一方、特別定額給付金給付事業費補助金が減少(12.7兆円(皆減))したことなどにより、総額は7.4兆円と前年度に比べて8.6兆円減少となっております。

 内閣府は、対前年度比2.8兆円増の6.6兆円となっております。令和3年度は、子育て世帯に対する給付を行うとともに、住民税非課税世帯に対する給付金の支給を行うための子育て世帯等臨時特別支援事業費補助金の計上(2.9兆円)などにより、総額は6.6兆円と前年度と比べて2.8兆円の増加となりました。

 文部科学省は、0.2兆円減の6.2兆円、経済産業省は、4.3兆円減の4.7兆円、その他の所管はトータルで0.2兆円減の8.5兆円となってございます。

 8ページは、国全体の社会保障財源及び給付につきまして、国の財務書類がどの部分をカバーするかを示しているものでございます。

 9ページをご覧ください。資産・負債差額の増減要因でございます。

 前年度末資産・負債差額がマイナス655.2兆円から、先ほどご説明しました超過費用がマイナス40.8兆円、資産評価差額がマイナス4.3兆円、為替換算差額が12.5兆円、結果として、今年度末資産・負債差額がマイナス687.0兆円となってございます。

 資産評価差額がマイナス4.3兆円となった理由につきましては、外為特会が保有する外貨証券について時価評価に伴う評価減、これがマイナス6.4兆円生じた一方、出資金について、出資先法人の純資産額の増加等に伴う評価増(1.4兆円)や時価評価に伴う評価増(0.7兆円)が生じたことによるものでございます。また、為替換算差額が12.5兆円となってございますのは、為替の影響により、外為特会が保有する外貨証券の為替換算差益が10.3兆円、また、外貨預け金の為替換算差益が1.5兆円生じたことなどによるものでございます。

 10ページでございますが、こちらは資産と負債の差額である資産・負債差額、これは大部分が過去における超過費用の累積でございまして、概念的には将来への負担の先送りである特例国債の残高に近いものであり、両者の推移について記載させていただいております。

 11ページはストックの推移でございます。国の財務書類の作成初年度の期末時点、平成15年度末以降でみると、資産は、平成15年度末695.9兆円から令和3年度末723.9兆円へと大きな増加とはなっていないものの、負債は公債残高の累増により平成15年度末941.1兆円から令和3年度末1,411兆円と増加し続けており、資産・負債差額は441.9兆円の悪化となってございます。

 12ページはフローの推移でございますが、超過費用は、平成20年度のリーマンショックの影響により、平成21年度に一時大きく増加し、その後減少傾向にありましたが、令和2年度以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により業務費用が大きく増加していることから、再び大きく超過費用が増加しているところでございます。

 13ページをご覧ください。近年の10年間の資産の内訳の推移でございます。

 下のグラフをご覧いただくと、一番上の現金・預金につきましては、平成27年度末と令和2年度末に大きく増加しております。令和元年度末までは国債発行額の平準化を図る等の理由により前倒債の発行額が増加傾向にある中、平成27年度末以降はマイナス金利の影響により日本銀行への日銀現先を行っていないことなどにより増加傾向となっておりました。令和2年度末に、新型コロナウイルス感染症対策に係る一部の事業の令和3年度への繰越等により、現金・預金が大きく増加しましたが、令和3年度末は翌年度への繰越額が減少したこと等により令和元年度末の水準に戻ってございます。

 上から2番目の青色の有価証券でございますが、為替相場の動向に大きく影響される状況となってございます。

 黄色の運用寄託金につきましては、平成27年度以降は増加傾向となっております。

 下から2番目のオレンジの出資金は、出資先法人の株価の上昇や純資産の増加等により年々増加しております。なお、令和3年度末は令和2年度に引き続き、日本政策金融公庫への出資金が増加したことなどにより9.9兆円の増加となっております。

 14ページをご覧ください。負債の合計は、平成23年度末比で322.7兆円の増加となってございます。下の図の公債の内訳をご覧いただければ一目ですが、特例国債が大幅に増加してございます。

 続きまして、15ページでございます。近年10年間の費用の内訳の推移でございます。

 費用合計は、平成23年度比で41.1兆円の増加となっております。高齢化の進行に伴う社会保障関係経費の増加などにより、令和元年度までは緩やかな増加傾向となっておりましたが、令和2年度以降は新型コロナウイルス感染症の対応により大きく増加してございます。なお、費用の過半を占めている社会保障関係経費は、平成23年度比で32.6兆円増加しております。

 社会保障給付費、補助金・交付金等ともに令和2年度以降は新型コロナウイルス感染症への対応により大きく増加しているところでございます。

 また、支払利息は、近年の低金利等により減少傾向にありますが、国債金利が上昇すれば、利払費の増加による財政の圧迫を引き起こしかねない点に留意が必要となります。

 16ページをご覧ください。近年10年間の財源の内訳の推移でございます。

 財源合計は、平成23年度比で43.6兆の増加、その中の租税等収入は、平成23年度比で26.7兆円の増加となっております。

 次に、17ページをご覧いただければと思いますが、これは国の一般会計の歳入歳出決算、特別会計の歳入歳出決算、そして国の実質上の財政規模を示す純計をご説明させていただいておりまして、18ページは純計ベースの歳入決算額322.7兆円と発生主義である財源139.3兆円の差額、また、純計ベースの歳出決算額285.3兆円と業務費用180.1兆円の差額の関係を説明させていただいております。

 19ページでございますが、こちらは昨年度から現金主義ベースの主要経費別分類で見る国の歳出決算額を記載しているところでございます。令和3年度における歳出決算額(純計)は285.3兆円、これを主要経費ごとに分類すると下の図のとおりでございます。年金給付費や医療費などの社会保障関係費が106.6兆円と全体の3分の1を占めているところでございます。

 20ページは、一般会計財務書類と国の財務書類(一般会計・特別会計)合算の比較でございます。資産・負債差額は、一般会計がマイナス708.9兆円、合算がマイナス687.0兆円となっておりまして、合算においてマイナスの幅が21.9兆円小さくなっております。超過費用は、一般会計がマイナス43.2兆円、合算がマイナス40.8円となっており、合算においてマイナスの幅が2.4兆円小さくなっています。これは、特別会計の資産・負債差額、超過費用がプラスであることによりますが、一般会計、合算ともに資産・負債差額及び超過費用が大幅にマイナスの状態であることは変わらないという状況でございます。

 21ページ以降は、従来から記載している参考情報について、計数を一部リバイスしたものとなってございます。

 事務局からの説明は以上になります。

〔藤谷部会長〕 
 それでは、ただいまの事務局からの説明について、ご意見、ご質問等ございましたら、ご発言をお願いいたします。ご発言を希望される委員を順番に指名させていただきますので、委員の皆様方は、ご意見等がある場合には、議場にてご出席の委員は挙手いただき、ウェブ会議システムにてご出席の委員の皆様方は、挙手するボタンのクリックをお願いいたします。

 冨田先生のお手が挙がっているように見えたのですが。

〔冨田委員〕 
 ありがとうございます。よろしいですか。

〔藤谷部会長〕 
 はい、冨田先生、お願いいたします。

〔冨田委員〕 
 ご説明ありがとうございました。10ページの下の図でございます。国の財務書類で言います超過費用に、資産評価、為替変動の影響を入れた、ストックベースの資産・負債差額と特例国債の残高が示されております。建設国債そして財投債は、見合いの資産が計上され、貯蓄・負債差額に影響を与えませんので、貯蓄・負債差額と特例国債残高とがほぼ同様の動きを示しますこの図は、特例国債についての常識的な理解、持っているべき知識といったものが、企業会計の考え方と手法によって裏づけられたということを示していると私は思います。

 質問ですが、建設国債につきまして、2年前の財政審の建議の中で、特例国債の発行が続く状況においては、建設国債の元利償還が特例国債に依存するので、建設国債の増加が特例国債残高の増加につながっていると指摘しております。

 この点を「国の財務書類」が依拠します企業会計の考え方、手法ではどのように捉えるのか、お教えいただきたい。特に、減価償却の費用計上について、また、建設国債対象経費の中で、補助金・交付金等に費用計上されるといったものがあるのか、あれば具体的にどういうものかということについて、お教えいただきたいと思います。

〔藤谷部会長〕 
 冨田委員、ありがとうございました。

 それでは、事務局から、お願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 ご質問ありがとうございます。いわゆる建設国債の元利償還に当たっても、特例公債が使われている部分について、会計的にどのような視点かというご質問かと思います。今の「国の財務書類」の業務費用には、利払費、これは特例国債、建設国債両方の利払費であったり、減価償却費、これは建設国債見合いの資産の償却が含まれてございますので、仮にこれらを税収で全て賄えるのであれば、会計的には、非現金支出である減価償却費が、いわゆるそこの部分が自己金融効果として建設公債の償還に充てられるという考え方にはなろうかと思いますので、そういった意味でここが、超過費用が生じていなければ、そういった考え方はあろうと思います。ただ実際のところ、今のところは、超過費用が多額に生じているところで、税収で賄えていないと考えますと、結果として、建設国債の利払費、元利償還分も、特例国債で賄っているのではないかという会計上の見方が可能ではないかと考えてございます。

 また、建設国債見合いの資産というところで、基本的には建設国債対象経費が賄われておりますが、ただ一部、例えば地方の社会資本整備総合交付金などについては、国のほうでは資産計上されない部分がございますが、原則的には建設国債対象経費と資産というものは見合うというような形になってございます。

〔冨田委員〕 
 ありがとうございます。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 それでは、次に、小林委員からお手が挙がっております。小林委員、お願いいたします。

〔小林委員〕 
 2つほど、素人的な質問かもしれませんが、コメントしたいと思います。

 1つは資料15ページの社会保障関係経費についてグラフで示されている、下のほうの棒グラフですが、これは大変分かりやすいと思います。赤枠で囲って、社会保障関係の経費が全体でどれだけ増えたのかということが分かりやすく表示されていて良いと思うのですが、世の中の最近の関心は、会計検査院の検査の結果なども報道されていますが、医療機関にどれぐらいのお金の支払いがあったのかということについて、ある程度関心が高いと思うので、例えば医療費で見ると、それほど増えていないということになると思いますが、それに加えて、コロナ関係の補助金を入れると、かなり大きな金額が医療機関に支払われているということだと思うんです。

 それが分かるように、要するに、医療費ではなく医療機関へのトータルの支払いがどれぐらいになっているかが分かるように、枠をうまく示せないだろうかということが1つ、要望というか質問であります。

 そういうことがもし簡単にできるのであれば、医療費ではなく、それにプラスして補助金も含めて、医療機関への支払いが最近、コロナ禍の中でどうなってきたのかというのを資料で示されると、有益ではないかと思いました。これが1点目。

 2つ目は、こういうことが書けるのか分からないのですが、心配なのは将来、コロナ対策でゼロゼロ融資などをしていて、企業の債務が数十兆円単位で、コロナ禍で膨らんでいるわけですが、当然貸倒れのリスクが非常に心配されるわけであります。ゼロゼロ融資で貸倒れた場合に、国が最終的に穴埋めをしなければいけない金額はどれぐらいになるのかというのは、何らかの仮定を置けば計算できるのではないかと思うのですが、そういう将来発生し得る偶発債務のようなものを国のバランスシートのどこかに、注意書きのような形で表示しておく。こういうシナリオの場合には、こういう金額の偶発債務が発生し得るのだということを出しておく。例えば、1つはゼロゼロ融資のような話、あるいはもう一つは、昨年あったような大きな為替の変動によって、今度は偶発債務というより偶発の資産ということになるかもしれませんが、そういう偶発的に将来起こり得る債務だとか資産の変動について、財務書類に書けないでしょうかというのが2つ目の質問であります。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 小林委員、ありがとうございました。

 それでは、事務局から2点、お願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 ご質問ありがとうございます。まず、いただいたご質問の2つ目、いわゆるゼロゼロ融資で、例えば倒産が生じた場合の国における影響の話でございますが、まず、国では、ゼロゼロ融資に関しては信用保証協会が金融機関に行っている債務保証の信用保険を日本政策金融公庫が受けてございまして、いわゆるゼロゼロ融資で企業の返済が滞った場合には、日本政策金融公庫は多額の保険料の支払いが生じるということでありまして、国はそこに対して、出資金を措置しているところでございます。

 そういう意味では、今、日本政策金融公庫に対して出資金を計上してございますが、そこの部分が、仮に今後の返済が滞ってきた場合には、出資金の評価損という形で「国の財務書類」に表れることになります。そういった意味で、現状でも評価損が出始めている状況でありますが、そういったところについては、国の財務諸表で見える情報でございますので、丁寧にご説明させていただきたいと。

 また、将来の損失については、そういう意味では日本政策金融公庫自体のバランスシートで見ていくことは可能ではないかと考えてございます。

 先生がおっしゃった、為替の将来への影響について、財務書類の会計上のルールで計上しているところでございますが、現時点において、例えば、今回の平成23年度の115円のレート水準で、どのような残高になっているかは、いろいろ経年比較しているところでございますので、そういったところを参考に、皆様のある程度の推定は可能なのかと考えてございます。

 戻りまして、1つ目の医療機関に対して幾ら支払っているかは、今手元に、なかなかそこの部分は情報がないので、実務上は現時点で厳しいような状況でございますが、一旦引き取らせていただいて、検討させていただければと思ってございます。

〔小林委員〕 
 どうもありがとうございました。偶発債務については、会計上のルールでは書けないというか、あるいは書かないところを、あえて何か注意書きのようなものをどこかにつけておくと、国民にとって分かりやすいのではという趣旨で申し上げましたが、以上でございます。

〔園田公会計室長〕 
 ありがとうございます。

〔藤谷部会長〕 
 小林委員、ありがとうございました。

 では、田近委員、お願いいたします。

〔田近委員〕 
 田近です。私しかここにはいませんが、よろしくお願いいたします。

 最初、前田さんから防衛費用をめぐって、これから財源の話が重要なテーマの1つになる、公会計というのは、まさにファクトにのっとって日本の財政を考えるということで、財源の点で質問というか、確認させてもらいたいのですが、まず、財源確保ということで、分かりやすく言えば予算の使い残しですよね。剰余金、それがどのぐらいあって、それがどう結果的に処理されてくるのか。多少ここに書かれていますが、まず第1は、申し上げたように、財源ということで、予算の使い残しがどうなっているのか。

 それからあと、税収の方は、今、財源の方、6ページを見ているのですが、財源の方は令和3年になって、所得税がプラス2.2兆円ですよね。法人税は2.4兆円で、租税等の収入が6.9兆円、ものすごく増えていることは分かりました。

 今最初の質問は、だから、予算の使い残しがどうなっているのかということと、質問の2は、日銀からの納付金が、これからどうなるのかということで、財源ということを考える上で、一番重要な租税収入は増えてきますと。

 私の質問は、今申し上げたように予算の使い残しと日銀納付金、それはどういう形になっているのですか、その質問2点です。

 それでは、事務局から、よろしくお願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 まず、予算の、その年度に事業費、いわゆる執行がどうしても間に合わなかった部分で、どうしても翌年度に繰り越さなければいけない部分は毎年生じるわけでございますが、2ページのアスタリスクの2、下のほうに記載させていただいてございます。今回、令和3年度の歳計剰余金24.8兆円のうちの22.4兆円が、令和3年度において事業が執行できず、令和4年度で執行する部分でございますが、一方で、令和2年度につきましては、これは37.0兆円、翌年度に繰越しが30.8兆円ございました。そういった意味では、コロナの影響が非常に出て、補正予算を3度編成した部分の令和2年度におきましては30.8兆円というような繰越しが生じておりますが、現状、コロナ禍にありますが、令和3年度の繰越しは22.4兆円という水準でございます。

 そういった意味では、多少、水準としては少なくはなっているような状況でございます。

〔田近委員〕 
 よろしいですか。だから、今のご説明の、よく分かったつもりですが、令和2年で、コロナの予算もあり、37兆円が剰余金となり、そのうち30.8兆円が翌年に、つまり、令和3年に繰り越されて、今度令和3年で新たに24.8兆円で、そのうち、22兆円が先送りされた、そういうことですよね。

〔園田公会計室長〕 
 はい、そうです。

〔田近委員〕 
 それが国のバランスシートの現金・預金に入ると。

〔園田公会計室長〕 
 そういう意味では、その部分は翌年度の業務費用にカウントされていくというような形で。

〔田近委員〕 
 これはさらにずっと続いていくと、これ、どう読むんですか。これは消滅していくんだと読むんですか。

〔園田公会計室長〕 
 年度の状況によるかとは思いますが、やはり、決算の状態において、執行できなかった部分は当然、現金・預金になりますが、そういう意味では、前年度の繰越しがかなり多かった状況にあれば、決算においては当年度の業務費用が大きくなるというような状況にはなるかとは思います。

 そういった意味で、決算の中で情報開示をしていくことで、いわゆる繰越しの部分もきちんと業務費用に流れていきますので、そういった説明になるかと思います。期ズレするところにはなるかと思います。

〔田近委員〕 
 日銀納付金、6ページについて。

〔園田公会計室長〕 
 6ページで、日銀納付金でございますけれども、令和3年度は1.3兆円と、対前年度でプラス0.1兆円と。今後、この金額がどうなるかという話は、そこはまさに日本銀行の金融政策によろうかと思いますので、我々からはなかなか答えづらい話かとは思います。ただ、いずれにしても原則として、日本銀行の資産の運用収益から日銀の事務費を除いた上で法定準備金分を控除した額を国庫に納付しているという状況にあって、それが、現状では0.8兆円の数字になった。

〔田近委員〕 
 これでやめますが、でも日銀は低い金利で国債を買っているわけで、日銀の収入のほうは、ある意味先細りで、そして準備預金の金利がもし、マイナスから上がってくれば、出る方は増えるわけだから、日銀納付金は今後、下がるとはいえ上がることはない。

〔藤谷部会長〕 
 田近委員、ありがとうございます。まさにその点は、今みんなが心配しているところですよね。ただ、これは財務書類なので、過去にあったことをまずは正確に記録していくということで、今後どうなるか、恐らく、残念ながら、今田近委員がおっしゃったような方向に展開する見込み、それは高いのだけれども、それは、また、それが起こった来年度以降、そのように数字として表れてくるということではないかと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございます。大変重要なポイントだと思います。

 それでは、次に、赤井委員からお手が挙がっているので、お願いいたします。

〔赤井委員〕 
 ありがとうございます。見させていただいて、毎年同じような形でつくっていただいている部分もあるので、それほどコメントもないのですが、しっかりとつくっていただいているので、本当にありがとうございます。

 例えば12ページを見ると、2年度、3年度、急激に拡大しているわけですし、コロナでかなり費用が増えていて、赤字もかなり増えている。その前のページのところにも出ていますし、こういうのを「悪化しています」と書いていて、もちろん今おっしゃったように記録するということですが、これだけ増えてきたら、もうその部分をいかに減らさないと、大変なことになるのではないかというのはもう皆さん、今までの意見もありますし、今後もゼロゼロ融資の強化が出てくると、さらに悪化する可能性もあるということもあるので、個人的には、これは大変だから何とか、せめて、今までのところからさらに悪くなっている部分、コロナで悪くなった部分は早急に戻さないと、大変ではないかみたいなニュアンスが伝わる文章を加えても良いのかなと思うのですが、だんだんと悪化していますと書いていて、これ以上書けないというのが事実なのかもしれませんが、悪化しており大変ですということが伝わる文章でも良いのかなと思いました。

 それと、あとは、補助金のところが、何ページでしたか。補助金をまとめていただいている、7ページですか。7ページ、本当にまとめていただいていて、これが、いろいろ前回、コロナのところだけ抜き出してくださいというお願いをしていて、それはなかなか難しいということで工夫していただいて、このページができていると思うのですが、なかったときに比べると、やはりこのページを見ると、実際、コロナでどういうことが起きたのかということも、ある程度上のほうの、特に1番と2番のところですよね。補助金、3番にも入りますか、その部分である程度書き込んでいただいているので、このページを見ることで、ある程度の動きが分かるということで、このページ、良いかなと思います。

 この財務諸表の意味は、淡々と起きたことをまとめるということですが、これを見ていろいろな人が、国民も含め、政治家も含め、研究者も含め、いろいろな人がこれを見て今後、今の実態を調べて、理解して、今後どうあるべきなのかというのを考える。情報を提供しているという意味が、本当に価値があると思うので、そういう意味でもこの参考1は良いことだと思います。

 個人的に希望としては、地方財政的なところと国の財政、ここでは国の方しか扱わないわけですが、出ている補助金が国から直接個人に流れているのか、地方に流れているのかとか、もう少しそれが影響、それが個人の、例えば給付金であったり、非課税世帯向けであったり、そういうところがどういう重みを持っているのかとか、あとはコロナ前と比べて、今まだこれだけ多い状態が続いているんですよというようなのを示すとか、もう少し、変なことが起きているんですという意味合いがあっても良いかなとも思いました。

 感想程度なので、限界があると思うので、それぐらいのコメントです。そんなところで何か工夫の余地があれば、また教えていただきたいと思います。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 赤井委員、ありがとうございました。事務局は、コメントということでしたが、もし何かお答えがありましたら。

〔赤井委員〕 
 これ以上、大変だという記述を入れるのは難しいのか。その辺り何かあれば。

〔園田公会計室長〕 
 ありがとうございます。こういったポイントを使って、できるだけ情報を整理してお伝えしようと思っておるところですが、実は「国の財務書類」の本体もございまして、そこには例えば補助金の相手先とかを、1項目ごとに記載してございますので、そういった情報も、皆さん、本体のほうも見ていただければありがたいのかと、事務局としては思ってございます。そういった情報も知っていただければと思っております。

〔赤井委員〕 
 ありがとうございます。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 ただいま関根委員、佐藤委員、山内委員からお手が挙がっておりますが、順番にご指名してまいりたいと存じます。

 まず、関根委員、お願いいたします。

〔関根委員〕 
 ご説明いただき、ありがとうございます。関根です。

 ただいま赤井委員がおっしゃったこととつながるところがあるのですが、私も、後ろの方に書かれています長期的なトレンド、こちらをしっかりと皆様に分かりやすくお知らせしていくことがすごく大切だと思っております。現状、ここまでの状況になっていたら何らかの手を打たなければいけないというのは、関係者の皆様は、よく分かっているかと思いますが、この財務書類というのは、関係者、特に、実際に作成している方だけではなくて、国民の皆様によく分かるようにしていくことが重要と思っております。「国の財務書類」のポイントは全般に、かなり網羅的に記載されており、毎年ブラッシュアップされていてよくできているのではないかと思うものの、もう少し工夫ができないかと思っております。

 例えば目次を見てみますと、「国の財務書類」の概要が一番最初に記載され、2番目に前年度比較での財務状況の説明があり、資産・負債差額の増減要因が記載された後、財務状況の推移があります。したがって、推移は後ろの方になるので少しこう、補足みたいな形になっているのですが、現状を踏まえると、推移というのも、もう少し概要として前の方に出していくのが有用ではないかと思っています。

 例えば、私自身は「国の財務書類」というよりも、企業会計の専門なのですが、上場企業が作成する有価証券報告書でも、詳細に入る前の、最初のところに5年間の推移が記載されています。国の場合は、5年ではなくてもっと長い期間が必要かと思うのですが、いずれにせよ、そういった記載も参考にされてはどうでしょうか。今回すぐにというわけではないのですが、今後そういったものも検討されると良いのではないかと思っております。

 また、もう一つ、赤井委員がおっしゃったポイントとまた重なってしまうのですが、7ページの補助金・交付金のところについてです。ここは私も分かりやすいと思っております。もちろん補助金等がどこに流れているかということまでも分かれば、より良いと思うのですが、この点についても、コロナ以前と比較してどうなっているのかということが分かるようにするのは有用ではないかと思っています。現在、2年間の増減の説明となっていますが、もう少し長いトレンドを見るというのも、必要ではないかと感じております。

 以上、コメントですが、よろしくお願いいたします。

〔藤谷部会長〕 
 関根委員、ありがとうございました。

 そうですね。今のもコメントということで多分、情報の出し方ということについては、きっと他の委員からもご指摘あると思います。その点については、まとめて事務局から最後にレスポンスをいただくということにいたしまして、それでは、ひとまず、佐藤委員からご質問を承って、それからということで、よろしくお願いいたします。

〔佐藤委員〕 
 佐藤でございます。私も、赤井委員、関根委員に続いて、ほぼ内容が重複するのですが、開示という観点から、コメントというか、感想を2点申し上げたいと思います。

 まず、1点目は、社会保障の赤枠のところでございますとか、資産・負債差額への図のコメントの追記など、分かりやすくする工夫を、年々加えていただいておりますことに感謝いたします。

 そして2点目は、やはり報告媒体の検討課題として、メッセージ性をどこまで持たせるかということを、もう少し検討しなくてはいけないと考えております。先ほどの小さなコメントの追加とか、工夫も大切ですが、メディアでありますとか、国民の議論の土台にするためには、今あるこのポイントの、さらにメッセージ性を織り込んだポイント、概要版が必要なのではないかと思っています。もちろん、この点については中立性の観点から、非常に難しいとは思うのですが、それでも先ほど、指摘のありました資産・負債差額の状況、それから、国民の関心が高いコロナというトピックス、この辺りについては、1つ取り上げても良いのかと思います。関根委員がおっしゃられましたとおり、資産・負債差額については、最初の方で直近2年だけ見てしまうと、どうしても感覚が麻痺してしまいまして、やはりコロナ前との比較でどれだけ拡大したかというところを強調すべきであると思いますし、あとコロナについては、7ページの補助金のところを読むと、大体の大きなものは分かるのですが、やはりコロナというトピックスで、金額を合計しろとまでは言わないのですが、こういうものがあったというまとめ方のトピックスのページがあっても良いのかと思いました。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 佐藤委員、ありがとうございました。

 それでは、山内委員からも併せてご質問、ご意見を承ってからということにさせていただきます。

 山内委員、お願いいたします。

〔山内委員〕 
 私からは質問ではなく、幾つかコメントをさせてください。

 まず、以前から何度も繰り返しご意見のありましたコロナの影響につきまして、1つにまとめられているというわけではないのですが、全てを切り分けて1つに集約することが難しいということは、以前にもご説明いただきまして、よく理解しております。そういう中でも、各所に可能な限りコロナの影響についての記述を散りばめて記載してくださっているので、非常に良いと思いました。

 また、11ページや12ページのグラフにおいて新たに、リーマンショックの発生など、吹き出しを入れてくださったのも工夫されていて、分かりやすいと思います。

 さらに、例えば、これまでほかの委員からもご意見があった箇所ですが、15ページにつきまして、新たに赤い囲みで強調されているのも非常に工夫されていて分かりやすいと思います。一方で、記述部分の見せ方ですが、記述部分の箇所が全て黒字になっているようです。例えば、今回ではなくて今後で良いと思うのですが、強調すべき箇所を赤字にするなど、今後、さらなる工夫があると、より伝わりやすくなるように思いました。

 例えば、コロナの影響の箇所の記述を全て赤字にして、ピックアップして読みやすくするなど、そういうことをしても良いのかなとも思います。また今後、ご検討いただければと思います。

 その他ですが、事前に気になっておりました点として、円安の影響というのもありましたが、これは実現するものではありませんので、その点が記述によって強調されていることも良いと思いました。また、15ページにおいて、国債金利が上昇すれば、利払費の増加による財政の圧迫を起こしかねない点に留意が必要という記載が見られ、このような箇所は赤字にしても良いかもしれませんが、そういう点が記載されているのも非常に良いと思います。ありがとうございます。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 山内委員、ありがとうございました。

 一連のご質問は、みんな情報それ自体は工夫されているし、良いのですが、それをどのぐらい強くメッセージ性として打ち出していくべきか。一方で、正確かつ年度間での比較もできるような、インフラとしての財務書類の役割ということ、そこは公会計室の皆さんがまさに日夜努力しておられるところだと思うのですが、それと、国民に広くリーチしていくことのバランスをどう取るか。ひょっとするとそれはこの財務書類の中だけでやることというよりは、もちろん、今我々が議論しているポイントという資料は、そういう性質のものではあるのですが、一方でやはり本体を紹介するものでありますので、ここからさらに、今の山内委員のご指摘とか、あるいは関根委員のご指摘とか、とても良いと個人的には思っていたのですが、その打ち出しみたいなところというのは、ひょっとすると公会計の中だけでやるというよりは、もう少し広く親会というか財政制度分科会として国民にどう訴えていくかみたいな、連携みたいなのもあって良いのかというようなことを、議論を伺いながら、私、雑感として思ったところですが、事務局としてお答えになれるところと、なれないところといろいろあると思いますが、何かもしございましたらお願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 ありがとうございます。この財務書類をどう見せるかという意味で、法制・公会計部会におきまして、先生方からのいろいろなご指導をいただきながら、改善させていただいておるところでございますが、確かに新型コロナウイルスにおいての影響というもので、今まで先生方からのご意見を踏まえつつやってはおりますが、そういった、いわゆるコロナの前、後というところをどううまく見せるか、もっと言えば、長期的視点の部分を先に出せば良いのではないかというようなご意見、非常に理解できるところではございます。そういった視点も踏まえて、また引き続き検討させていただければと、現時点では思っております。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございます。

 皆様ありがとうございました。

 それでは次に、大塚委員からお手が挙がっております。大塚委員、お願いいたします。

〔大塚委員〕 
 ありがとうございます。多くの委員がもう既に発言されてしまったのですが、これも私からのコメントですが、1点は、これは山内委員もおっしゃられたように、今回のものではコロナの影響というのは、かなりあちこちで具体的に示されている。そういう点では、コロナが非常に財政に大きな影響を与えているということが、はっきりしてきている点は非常に望ましいというか、良い点ではないかと思っております。

 あともう1点、これは少し戻ってしまいますが、小林委員がおっしゃられたことに関係するのですが、小林委員は偶発債務という言い方をされていたのですが、というよりはやはり、少し言い方を変えていただいてリスク情報ということになると思います。これは多くの委員が言われているのですが、かなり国の財政も、国の外部からのリスクを負っている部分があると思います。確かに、部会長がおっしゃられたように、財務諸表というのは過去の事実ではあるのですが、過去のこれまでの事実から浮かび上がってきているリスクというのは読み取れると思うんです。例えば債権があれば、その貸倒れのリスクがある。国債については、金利のリスクがある。外貨建のものについては、為替のリスクがある。

 企業会計においては、今、リスク情報がかなり重視されてきています。ですから、国の財政におけるリスクということについても、中にはもう具体的に取り上げられているのですが、少し、そこをまとめた形で、何か示すことはできないかどうか、そういった点をご検討していただきたい。そういう意味で、小林委員の言われたことに非常に賛同したいと思います。

 ですから、1人が言うだけではなく、複数の委員からそういう意見が出たという形にしていって、今後検討していただければと思っております。よろしくお願いいたします。

〔藤谷部会長〕 
 大塚委員、ありがとうございました。

 今のご指摘は、見せ方だけではなくて、会計の考え方としても工夫の余地があるということ。

〔大塚委員〕 
 そうですね。見せ方にも関わってくるのですが、1つ、追加の書き方というか、項目的に明確にして、そこは書いていただけたらと思います。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございます。

 事務局、いかがでしょうか。よろしいですか。

 大塚委員、ありがとうございました。非常に貴重なご指摘であると承りました。

 ただいまのところ、ほかに挙手をしておられる方はおられません。もし事務局で見落としているということございましたら、カメラをオンにしていただく等、ご発言いただいて差し支えございませんが、よろしゅうございますでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、ご意見も一通りいただいたと承りまして、本日の部会につきましては、ひとまず議論については、ここまでとさせていただきたいと存じます。

 それでは、以上をもちまして、本日予定しておりました議題は終了いたしました。なお、資料につきましては、特別会計財務書類が1月27日に国会提出予定であり、いずれの書類も同日に公表される予定と聞いておりますので、資料の扱いにつきましても保秘にご注意ください。

 最後に、事務局から連絡事項をお伝えいたします。

〔園田公会計室長〕 
 次回の部会につきましては、3月22日を予定してございます。既に事務局から日程のご連絡をいたしておりますので、ご協力のほどお願いいたします。

 また、「国の財務書類」やパンフレット等につきましては、公表後、郵送させていただきます。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕 
 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。

午前11時04分閉会