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財政制度分科会(平成29年5月17日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成29年5月17日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成29年5月17日(水)14:59〜17:00
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題

  • とりまとめに向けた審議

3.閉会

出席者
分科会長代理

田近栄治

大塚副大臣
三木大臣政務官
杉大臣政務官
福田主計局長
可部次長
藤井次長
茶谷次長
角田総務課長
江島主計官
青木法規課長
関口主計企画官
高橋給与共済課長
中島調査課長
八幡主計企画官
竹田官房参事官
嶋田主計官
小宮主計官
泉主計官
奥主計官
阿久澤主計
廣光主計官
岩元主計官
中山主計官
内野主計官
委員

遠藤典子

黒川行治

角 和夫

武田洋子

竹中ナミ

土居丈朗

中空麻奈

藤谷武史

宮島香澄

臨時委員

秋池玲子

伊藤一郎

井堀利宏

宇南山 卓

老川祥一

岡本圀衞

加藤久和

北尾早霧

小林慶一郎

小林 毅

末澤豪謙

十河ひろ美

田中弥生

冨田俊基

南場智子

増田寛也

~子田 章博

宮武 剛


午後2時59分開会

〔 田近分科会長代理 〕 定刻になりましたので、始めさせていただきます。

前回に続き、時間の制約の厳しい会議になりますけれども、よろしくお願いします。

本日は建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りしています「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」についてご審議いただきたいと思っています。本日お配りしている建議(案)につきましては、小林毅委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員にご意見をいただき、取りまとめていただきました。ありがとうございます。

それでは、議題に移りたいと思います。まず、総論についてご議論いただきたいと思います。次に、各論のうち、社会保障についてご議論いただいた後、文教、社会資本整備、地方財政について議論したいと思います。

そして、また、本日ご出席でない委員で、神津委員、佐藤委員、永易委員からは意見書をいただいています。こちらもご参考になってください。

まず総論について、一言申し上げれば、1ページに、まず財政状況が深刻であることは言うまでもないと、プライマリーバランスの達成を堅持するべきだということを述べております。それから、財政健全化のメリットということで、2ページ以降その第1のメリットとして将来不安の解消、第2のメリットとしてリスクの軽減を挙げており、そういったことを軸に、できるだけ分かりやすく、今の現下の日本の財政問題に財審がどう対処するか、そのスタンスを示したつもりです。

私からは以上です。

それではご忌憚なく、ご意見いただきたいと思います。岡本委員。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

私からはPB黒字化についてコメントをしたいと思います。昨年の建議と同様で、この1ページの下段以降でPB黒字化、それから、財政収支の重要性について触れていますが、その中で、昨年と違うのは、このPB黒字化について、最早残り時間がないということだと思います。また、2020年度が間近に迫って、傾斜が更に厳しくなっていることを踏まえて、より具体的な文言に修正すべき箇所があると思います。3点申し上げます。

1点目は、歳出削減の目安についてです。この5ページの23行目で、「必要があれば」と書いてありますが、更に険しくなった傾斜を上っていくためには、この「必要があれば」以降の文章を削除して、例えば、次のように置き換えてはどうかということです。つまり、「PB黒字化目標の達成のために、2018年度予算編成においては、目安である5,300億円にとらわれず、更に歳出削減を進めるべきである」などと、少し具体的な表現に修正してはいかがでしょうか。

2点目は、5ページの29行目で、「これを確実に実行するだけである」と書いてありますが、社会保障の44項目の改革工程表の中には、継続検討や、未だに手がつけられていない項目がありますので、全項目実施の意思をより強く表すために、「今求められているのは、改革工程表の全項目を確実にやり切ることである」とすべきではないかと思います。

それから、3点目は消費税率の引上げについてです。4から5ページにかけてある通り、このシムズ理論というバックスピンがかかる風潮がある中で、そうした風潮にとことん反論するとともに、消費税率引上げの必要性に言及すべきだと思います。消費税についてはこの場での議論の対象ではないとの整理かもしれませんが、「再び延期することはない」と宣言した消費税が再延期されてしまっている経緯も踏まえれば、やはり触れたほうがいいと思います。

6ページの3行目に、「当審議会としても」とありますが、この後に、「2019年に消費税率引上げが必ず実施されることを前提に」などと付け加えていただきたいと思います。この箇所は経済成長と歳出削減には触れていますが、やはり消費税率引上げについても触れたほうがいいのではないかと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ただ、5ページの8行目、「このような手段によらず、真正面から歳出改革に取り組むとともに、社会保障財源としての消費税率引上げを予定どおり実施し」と、一応書かれてはいます。

〔 岡本委員 〕 一応触れられていますが、やはりそこを前提にということを、最後の締めで言ったほうがいいのではないかと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 加藤委員、お願いします。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。起草委員の方々のご苦労は非常に分かるような文面かと思います。2点ほどございます。

1点目は、2ページの頭のところで、PB黒字化の話が書いてあります。今非常に怖いのは、こういった目標の先送りということが随分言われるようになっております。せめてこれについては、脚注でも構いませんが、「先送りということがないように」といった一言を入れていただけるともう少しインパクトが強くなるかなと思います。

2点目は、4ページから「物価水準の財政理論」の話があって、5ページの6行目で、「責任ある財政運営とは言えないだろう」と、「だろう」がついておりまして、これはなくてもいいのではないかと思いました。

〔 田近分科会長代理 〕 1点目について、もう少し具体的にお願いいたします。

〔 加藤委員 〕 つまり、「『PB黒字化』はあくまでも通過点、『一里塚』に過ぎないと建議等を通じて繰り返し確認し、主張してきた」とありますが、この目標について、「もはや先延ばしすることなく」というような言葉を入れていただければと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 分かりました。北尾委員、老川委員、宮島委員でお願いします。

〔 北尾委員 〕 2ページの1段落目で、2020年度のPB黒字化についてありますけれども、ここが「一里塚」に過ぎないという点を強調する必要があるかと思います。高齢化の進行は2020年で終わるわけではなくて、2030年、2050年までずっと続いていきます。2020年度の時点で黒字化を達成しても、その時点で改革をストップすれば、その翌年からはまた赤字化が繰り返されるということ、それを理解した上で、「一里塚」であり、そこから2020年度以降継続して黒字化を目標とするということをどこかで強調したほうがいいのではないかと思います。

2点目は、財政健全化のメリットについてですけれども、第1のところで、将来不安に対して消費を手控えているということは大きな問題としてあると思いますけれども、個人だけではなく、将来の財政負担が増えることによって、企業も当然将来不安があることによって投資を手控える、それによって成長が抑えられるという、個人、それから企業、両方のプライベートセクターに対する影響というものを強調したほうがいいのではないか思いました。

3点目は、3ページの20行目のところ、第2のメリットのところで、債務残高対GDP比が多いことによって、ショックがあった時の利払い費の増加が大きくとありますけれども、ここ意味がよく分かりません。既に債務が多いことで、追加的な債務を発行することによって金利は通常よりも高くなってしまうということを想定しているのか、あるいは、別の意味があるのかということがよく分かりません。恐らく他国に比べて既にもう債務残高対GDP比が非常に高いところまで行っているので、財政対応の余地も小さく、ショックに対して脆弱な構造であるという言い方でいいのではないかと思いました。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ご意見がたまってきましたので、この段階で起草委員のほうからフィードバックがあればよろしくお願いします。

〔 土居委員 〕 いただいたご意見はその通りだと思いますので、基本的に反映させる方向で検討したいと思います。

ただ1点、岡本委員からありました、5ページ23行目の「2018年度に追加の歳出・歳入措置を検討するべきである」というところについて、これは2018年度の予算編成の先の話をしている部分であります。まさに目安が一応2018年度予算編成までとなっておりまして、その目安を達した後、残りの2019年度、2020年度の予算編成に関して追加的な措置を検討すると書いてありますけれども、検討するかどうかはその時になってみないと分からないというスタンスがありがちなので、ここで措置の検討をきちんとやってくださいということを申し上げています。そこは、岡本委員のおっしゃったことと矛盾しない形でこの文章は残せる部分なのかなというふうに考えております。

〔 田近分科会長代理 〕 冨田委員、お願いします。

〔 冨田委員 〕 北尾先生からいただいたご意見で、このPB黒字化というのは「一里塚」に過ぎないということを強調してきたわけですけれども、今回それに加えて、その後財政収支の黒字化を狙うというふうに書いています。順番が逆になっていますけれども、明確に他の先進国の事例も引きながら議論を書いてありますので、全く同じご意見です。

〔 田近分科会長代理 〕 それでは、先に行かせていただきます。老川委員、宮島委員、増田委員、井堀委員。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。

私は内容的な面はほぼ同感でありますので、特に意見はないのですが、もの書きとして、この文章を読んでいて非常に気になったところがありますので、些末なように聞こえるかもしれないですが、幾つか申し上げたいと思います。

1ページの8行目、「財政規律が緩んでいるのではないかとの指摘がある点は看過できない」とありますが、この表現ですと指摘それ自体が間違っているというふうにも誤解されかねないので、「ないかと指摘されるような状況にあることは看過できない」というふうに直されたらどうかと思います。

それから、1ページの20行目の、「道義的責任」という言葉、これが恐らく大事だということを強調しているのかもしれませんが、普通道義的責任があるという場合は、法的にも何も責任はないけれども、道義的にはあると、このように弱い意味になってしまうので、むしろここは、次世代に対する我々の責務であるというふうにきちんと言ったほうがいいのではないかという気がします。

次に、今冨田先生がおっしゃった、この2ページの最初の段落は、文章を入れかえたらどうかと思います。3行目の末尾の「本審議会はこれまで」という文章を一番上に持ってきて、その後に、「『PB黒字化』を実現した上で、次に目指すべきは」というところを、「『PB黒字化』を実現した上で、利払い費も含めて、・・・財政収支に着目した財政運営を目指さなければならない」と、このように表現すれば、前のページからの流れがすっきりいくのではないかと感じています。

それから、3ページの20行目で、「利払い費の増加が大きく、財政対応の余地も大きく」と言うと、財政対応の余地が大きいということを言いたいのかなと思ってしまいます。ここは、「財政対応の余地が縮小する」というふうに表現されたらいいのではないかと思います。少し細かい点ですが、申し上げておきたいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。宮島委員、お願いします。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。大変な取りまとめありがとうございます。

この概要についてのご意見でもよろしいでしょうか。

〔 田近分科会長代理 〕 はい、お願いいたします。

〔 宮島委員 〕 なぜ私が概要に着目するかというと、記者の立場からすると、この全文を読み込むことはあまりなく、概要にどう書いてあるかに大変左右されると思っております。

以前に財審を取材していた立場からしますと、今建議に関する注目度が、正直少し減ってしまっているということが気になっております。本当に財政健全化がスタンスの分科会ではありますけれども、とにかくそのスタンスで厳しいことばかりを言っていると思われて遠ざけられるのではなく、国民との接点にも面で打ち出すのがいいのではないかと思います。

その意味で、概要について、1点目に、財政健全化のメリットの5行目に「経済成長を実現し税収を引き上げることも大事なことであるが」と逆説でつなげていますけれども、この会議でも前者の重要性は否定していなくて、かつ、本文では二項対立ではないとしていると思います。ですから、わざわざ前を否定する必要もないのではないかと、もしそうした意図であるようでしたらいいですけれども、否定をせずに、これは大事なことである、これとともになどとつなげる、もしくは、後ろを強めるなど、逆説的でないほうがいいのではないかと思います。これは本文における3ページの4行目も、逆説でつながっておりますので、同じことです。

2点目です。概要の社会保障の最後のマルですけれども、「子供・子育ては安定財源を確保しつつ保育の受け皿を確保していくため」と書いてありますが、全体を見ると、子供・子育ては保育の受け皿なのだという狭い印象を受けかねないと思います。現在財政上の最優先課題が保育の受け皿であることはもちろんそうだと思いますけども、保育園さえつくれば子育て支援だというように伝わるのはいかがかなと思います。例えば、ここは、「安定財源を確保しつつ、社会で子育てを支えるため、引き続き」など、少し全体感のある文言にしてはどうかと思いました。

3点目は、地方財政の項目は大変具体的に書いてありますけれども、前回の会議で出た「見える化」や、PDCAサイクルの重要性という部分をもう少し書き込んだほうがいいのではないかと思います。これは概要のほうについてもです。今書いてあることは具体的ではあるものの、取っつきにくいと言いますか、難しい部分がありまして、それの大前提としての「見える化」、PDCAサイクルという分かりやすい部分も少し加筆したらいかがかと思いました。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。いずれも本日この場が終わりましたら検討させていただきたいと思います。増田委員、お願いします。

〔 増田委員 〕 ありがとうございます。

昨年春の建議では、その前につくった改革工程表を確実に実行していくということが強調されていたわけですが、皆さん方もおっしゃる通り、私もPBの黒字化が風前の灯火になってきていること、それから、やはり消費税率も約束通り引上げなくてはならないこと、この2つを特に強調するということが今年の建議の非常に大きな意味ではないか。それに沿った表現をしていくということが大事だろうと思います。

もう既にご指摘がありましたが、1つは5ページの9行目のところに、「社会保障財源としての消費税率引上げを約束通り実施し」とありますが、消費税の引上げをするということ、それから、それを社会保障財源に充てるという、この2つがとても重要なことで、言い過ぎかもしれませんが、教育財源など、様々な財源が今必要にはなる中で、やはり約束された通りに社会保障財源に充てて、消費税を引き上げる、ここを強調し過ぎて強調し過ぎることはないだろうと思います。

それから、同じページの、特に23行目のところ、先ほど土居先生もお話になりましたけれども、2018年度に追加の歳出・歳入措置を検討する、これは先の話ですが、必ず入れておかないと、今年の経済成長見通しですら実質1.5%ということで、前提がもう既にずっと低くなっているわけですで、その追加の歳出・歳入措置は間違いなく必要になると思います。したがって、先の話でありますが、確実に書いておくことが必要ではないかということを申し上げておきます。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。井堀委員、お願いします。

〔 井堀委員 〕 質問ですけれども、この目安の話は2020年度のPB黒字化についてはかなり強調されていますけれども、骨太2015では同時に、2018年度のPB赤字対GDP比1%目標という数値目標があったと思うのですが、その1%の赤字目標に関しては書かれていません。これは、来年度1%はどうせ無理だから書かないのか、どのようにこの来年度の1%目標について考えているのかお伺いしたいです。

〔 田近分科会長代理 〕 僕の意見は逆で、無視したわけではなく、3年間で一般歳出の伸びを1.6兆円、それから、社会保障の伸びを1.5兆円に抑える、これらの目安を粛々と実現することで1%が射程に入ると思っていて、井堀委員のご意見は、骨太2015で2018年度のPB赤字対GDP比1%が入っていると、これも明示的に触れたほうがいいのではないかというご指摘でしょうか。

〔 土居委員 〕 我々も問題意識は同じですが、若干技術的なところがございまして、この1%という数値は2017年4月に消費税率を引き上げるということを前提につくられた数値ということになっておりまして、2019年10月に消費税率引上げを先送りしたということになりますと、当然その2017年度、18年度に入るはずだった消費税収が入っていないという中で、歳出改革は先ほど田近会長代理がおっしゃったような形で目安を実行すると。そうすると、この1%という数値が何%になるかというのは、抜けた消費税収分は目安の範囲に入っていないため、もう一度内閣府に試算させないといけないという技術的なことがあります。1%をきちんと達成するように頑張る、ないしは、1%に達しなかったら、先ほど5ページの23行目で申し上げた2018年度に追加措置を講じるということになりますけれども、その1%という数字がなかなか書きづらいというところが技術的にありまして、1%という数字が見えないような文章になっているということです。

〔 田近分科会長代理 〕 しかし、骨太2015に書かれているわけですから、井堀委員のご指摘も踏まえて検討させていただきます。

〔 田近分科会長代理 〕 末澤委員、お願いします。

〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございました。

昨年のこちらの審議会では、財政教育等の重要性が議論されたと思いますけれども、そういった観点から申し上げますと、今回はやはりPBの黒字化の問題が相当強調されています。ただ、このPBとは何かということを見ると、実はプライマリーバランスとしか書かれていません。その後PBが17回程出てきますけれども、これだとなかなか一般の方々にご理解いただきにくいのではないかと思います。ちなみに財務省のホームページでは、「基礎的財政収支(プライマリーバランス)とは、税収、税外収入と国債費(国債の元本返済や利子の支払いに充てられる費用)を除く歳出との収支のことをあらわし、その時点で必要とされる政策的経費をその時点の税収等でどれだけ賄えているかの指標となっています」と、このような解説があります。

ですから、一般の方にもなぜPB黒字化が重要かということを、初めの総論のところで、脚注でも結構ですけれども、書かれたほうがよろしいのではないかということです。

以上です。

〔 冨田委員 〕 1ページの21行目に意味を少し書いていますけれども、定義はおっしゃるようなことです。

〔 末澤委員 〕 一番初めに「プライマリーバランス(以下PB)」と書いてありますので、そこに、例えば、脚注を置いて、少し分かりやすい説明を入れたほうが、一般の人が見て、PBが分からないと、何もかも分からなくなってしまうと思いました。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 それも含めて、全体のバランスにおいて検討いたします。それでは、続いて小林委員、それから、黒川委員。

〔 小林(慶)委員 〕 参考のコメントになるかもしれないですが、3ページの18行目からリスクの軽減の話について、これは、リスクは財政の外から何かが起きた時に、その財政が非常に悪い状態ですとそれにうまく対応できないという話だと思うのですが、それとともに、あまり借金が多いと何らかの外的なリスクによって、ギリシャの債務危機のような状況になるかもしれないという論点もあるのかなと思います。

それを書くかどうかは分かりませんけれども、もし起きたら大変大きなインパクトがあるようなテールリスクがもしあるとすると、それは経済成長を現時点において低下させるのではないかという論点は既に研究もあります。これは2ページの第1のメリットで経済成長についての影響を書いていますけれども、3ページの第2のメリットでも経済成長につながるのだと。要するに、財政再建をすることでテールリスクを軽減するというのは、今の経済成長につながるのではないかという論点を入れてもいいのかなという気がしました。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 前段と並べて、リスクを減らすだけではなく、ポジティブな効果もあると。

〔 小林(慶)委員 〕 はい。

〔 田近分科会長代理 〕 分かりました。黒川委員。

〔 黒川委員 〕 起草委員の皆さん、お疲れさまでした。

私は4から5ページにかけての、いわゆるシムズ理論に関しての意見です。一言で言ってしまえば、政府が債務者利潤を得るという話ですけれども、逆に、国民のほうの立場になるとどのようなことになるか。例えば、4ページの脚注6でインフレーションになるだろうといった時に、どのように国民のほうは影響を受けることになるかというと、例えば、一番分かりやすいのは預金です。預金者は預金の購買力が減ります。要するに、政府のほうは債務者利潤を得るけれども、逆に国民はと言うと、債権者損失になります。そのように影響を受けますということを何か一言書かないといけないのではないか。債務者である政府のほうは財政が健全になっていいと思うかもしれないが、国民は、具体的にどのように痛むかということを書いたほうが、この理論がいかに無責任な財政運営になるかという意味が分かると思います。要するに、国民を痛ませて、政府のほうは債務者利潤を得るのかということを財審としてはできないということを、何か書けないのでしょうか。

〔 田近分科会長代理 〕 これを取り上げるとこの会議が終わってしまうかもしれませんけれども、今デフレ脱却のために、消費者物価水準を2%上げようとしています。他方、シムズ理論では、歳出をむしろ拡大することで、国民も消費しようとして、価格が上がる、それでデフレ脱却していこうということです。

デフレ脱却のために価格を上げようということ自身は、ここのコンテクストではポジティブだと思います。もちろんそれは一般的に価格が上がることで、黒川委員のおっしゃる問題がありますけれども、現下の問題としては、デフレ脱却ということですから、価格を上げること自身が問題だというのは、それは何か今のデフレ脱却の太いところと、ねじれてしまうような気がいたします。ここでのシムズ理論の問題は、価格を上げるための手段として、いろいろありますけれども、要するに、財政拡大が指摘されているということだと思います。

〔 黒川委員 〕 この脚注6の文章を見た時に、インフレ率が2%で済むかということですよね。

〔 冨田委員 〕 お気持ちよく分かるので、この経済理論の実験場と見なして、そのような不確かな政策を検討することは、責任ある財政運営とは言えないというふうにして、表現させていただいています。

〔 黒川委員 〕 それでは分からない。例えば、会計学者の立場から言いますと、このようなインフレーション会計の問題は、確かに既存の債務はインフレーションになれば債務者利潤になる。しかし、会計学のモデルで言えば、毎年の収支が均衡している状態を仮定すると、既存の債務についてはインフレーションになれば返済が楽になりますが、財政収支が今のように一般会計で30兆円程度足りない、60兆円税収があって90兆円支出しているというような状況が改善されていなければ、インフレーションになった時に財政支出は増えないのでしょうか。基本的な収入と支出が均衡していない状態でインフレーションになれば、支出のほうだって増えていってしまいます。要するに、会計学のほうのモデルでは、経常的なところで収支が均衡している状態でインフレーションになると、既存の債務は債務者利潤で返済が楽になります。ですから、結局プライマリーバランスの話と、利子も含めて、そこがとんとんになるという前提を置かないと、全く既存の債務ですら返済が楽になるとは、僕は会計学者としては言えません。

〔 冨田委員 〕 それはその通りです。

〔 田近分科会長代理 〕 黒川委員とはまた個別も含めて相談させていただくとして、物価が上がらないという悩ましい中でこのような議論が出てきたということが大きなコンテクストではないでしょうか。小林委員そうですよね。

〔 小林(慶)委員 〕 そうだと思います。

〔 黒川委員 〕 議事録に残すだけでも、僕は学者として責任を通せますけれども。

〔 小林(慶)委員 〕 ただ、デフレ脱却をするという意味ではそうですけれども、このFTPLによるデフレ脱却がリアルな需要の増加につながるかどうかというのは全く分からないということだと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 それでは、~子田委員、お願いします。

〔 ~子田委員 〕 取りまとめ作業お疲れさまです。

私はリスクのことで一言あります。このリスクの中に、今デフレで金利も低いという状況が、やがて金利が上がっていくという日銀の金融政策が成功した時に、それはポジティブに捉えるということでいいのですが、一度出口の時に、日銀が大量に保有する国債を、手放さないといけません。その時に、金利が上がるということもそうですけれども、その手放した国債を誰がかわりに保有してくれるのかという問題があると思います。そういったリスクをこの中で触れることはできないのでしょうか。と言いますのは、そもそも日銀があのような政策をとる時に、政府とアコードを結びまして、政府は財政健全化に努めるということを約束して、財政健全化が進めば、今申し上げたような、日銀が手放した時に、そもそもそれほど国債発行する必要もなくなっているのだからということでいいと思うのですけれども、今どうもそのようにならない状況なので、それを指摘させていただきました。

〔 田近分科会長代理 〕 中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。

先ほどの黒川委員と~子田委員の話を受けて、私もマーケットにいる者なので、シムズ理論の話や、日銀の金融政策の話というのは、この起草の時にどう入れ込むべきかという点について関心があり、他の先生方ともお話をしました。その結果、私が今納得しているのは、シムズ理論について、私たち財審ではそれほど真剣に取り合う議論ではありませんという立場をとるのではないか、ということです。その立場から、そういった議論があるのは知っているけれども真正面で取り上げるわけではなくて、私たちがきちんとやるべきは、歳出と歳入できちんと財政再建をしていくことなのだということに国民の意識を向かすことであると。

ですから、あえて表現から落ちています。けれども、もともとは、こういった奇策のようなものを持ってきて、その時だけ財政再建ができた振りをしても仕方がないというようなことを、実は書き込んでいました。それをやめて、私たちが信じていることを書こうということに合意し、シムズ理論についてはそれほど真剣に書きこまず、ということにしたのです。ただ、議論があることを知っているということはしっかり書かないといけないので、注書きにしようという整理です。

更に、金融抑圧については、既に起きていると思うのですが、この点についてもう少し書きなさいということであれば、これは検討事項だなと思っています。

それから、~子田委員のおっしゃっていたリスクの軽減については、私も日銀の金融政策について話をしなければならないと当初考えました。ただ、あくまでも日銀は独立している機関ですので、財審がこのように言っていたということを残すのはいかがなものかという考え方も正当であると思います。そこで、日銀の金融政策についても意識はしていて、リスクが大きくなってはいけないということについては、できるだけ配慮させて、そこをにおわすような表現にしたつもりだということです。

ですから、日銀の金融政策について、しっかりと書きこむことについては、財審としてやはりある程度距離を置くべきではないかという私たちの考え方から、少し柔らかい表現になっているということです。ご理解いただければと思いますが、それでもなお足りないということであれば、もう少し表現を変えるように後で話し合いたいと思っています。

〔 田近分科会長代理 〕 宇南山委員。

〔 宇南山委員 〕 今回初めて出席させていただきました宇南山です。

2ページの16行目から消費の話で、私は消費が専門ですのでコメントさせていただきます。給付が負担を上回る現状を見て、自ら将来に備えて消費を手控えようとしているという、恐らく予備的貯蓄を意識して書かれていると思うのですが、公的年金が薄くなってしまったせいで代替的に貯蓄をするという話のように読めて、そのようになっていると、そこの2つが代替関係にあれば、負担が過度に小さくなっているために貯蓄が増えているということが、負担を増やせば貯蓄が減るだけになってしまうので、消費を増やすというロジックになっていないように思います。ですから、ここは恐らく財政破綻が起こったような時のリスクに備えているという書き振りのほうがいいと思いますので、負担を上回る現状を見て、財政の維持可能性に不安を感じ、将来に備えようというよりは、過度に消費を手控えようとしているというような表現がいいのではないかと思います。

それに応じまして、22行目で、「安心して消費することができる」というのは少し楽観的過ぎるような気がしますので、ここは将来にわたっての所得環境が予測できるような整理というような表現で、財政健全化をすれば消費がものすごく上向くというような楽観的な予測をしているという見られ方をしないほうが、議論の信頼性が増すのではないかと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ご指摘はよく分かります。ただ、ここの言い方は、財政健全化をどのように国民に訴えようかという時に、それが将来不安を軽減することでむしろ消費を増やすのではないかという点は宇南山委員とも意見は一致しているわけですよね。

〔 宇南山委員 〕 少なくとも、悪い影響はないというところまでは同意できると思います。

〔 田近分科会長代理 〕 書き振りについては、後ほど検討させていただきます。

いろいろとご議論いただきありがとうございました。今の宇南山委員のご意見、それから~子田委員の出口リスクに関するご意見についてどう書くか。また、井堀委員の骨太の目安もどう書き込むか。全体として国民に財政健全化のポジティブな意味をどう伝えるかというところで、ご意見は一旦ここで引き取らせていただいて、それぞれ対応させていただきたいと思います。結果的に全て答えられないところもあるかもしれませんけれども、それはまた個別にお話しさせていただいて、進めていきたいと思います。

〔 小林(慶)委員 〕 一言だけ、先ほど中空委員からあったコメントで、財審として、金融政策にあまり触れないほうがいいのではないかという点については、もう少し整理し直してもいいのかなと常々思っています。金融と財政は、やはり今、国の状態はこのような段階になっているので、もちろん仕事は違うわけですけれども、本来一体的に議論は必要なのではないか。ですから、陸軍と海軍のようにお互いのことは言いませんと言っていて、その後大変なことになってしまったら仕方がないので、やはりそこは全体を見た議論をやれるのかどうかということは、財審の立てつけとしてできるのかどうかということも含めて、少し精査したほうがいいのではないかという気がします。

〔 土居委員 〕 今のご意見、その通りだと思いますけれども、恐らくそれなりに意見は一致できるものもあるかもしれませんが、政権の意向とここでの意見の一致が、どこまでマッチするかという問題もはらんでいるということも少しお含みおきいただければと思います。

〔 冨田委員 〕 小林委員のおっしゃった点についてですけれども、結局シムズ理論は、背景に政府と中央銀行の統合で見ており、それを暗黙に触れる良い機会なので、この脚注6を見ていただくと、ここにはそういった意味を含んでいます。ですから、最後に金利が上がるというふうに言っています。

更に言えば、今大量に低金利の国債を買っていますけれども、金利が上がった時どうなるという、先ほどの~子田委員のお話あった点も絡んでいます。それは現在価値で見れば、今でも大量の国債を引き受ければ、将来のプライマリーバランスの割引現在価値がどんどん減少しているわけです。それがマーケットバリューで見た債務残高を引き下げている。ですから、それが金利上昇であり、あるいは、それをリアルで見たら物価上昇なわけです。そういった意味で、脚注6の中には、かなりテクニカルになっていますけれども、おっしゃったような問題意識を十分に入れたつもりです。

〔 土居委員 〕 言える部分までは言ったという感じになっています。

〔 大塚副大臣 〕 あまりここで私がどう考えるとか言う立場にないと思っていますが、先ほど、出口戦略の時に、日銀が持っている国債を誰が引き受けるのかという議論に聞こえたので、必ずしも日銀が市中でそれを売却するとは限らないと言いますか、満期まで持つというのが多分基本になってくると思いますので、この辺間違った情報が出るとセンシティブになってくるところですので、一応それだけ確認しておきたいと思いました。

〔 田近分科会長代理 〕 それでは、社会保障のパーツに対してご意見をいただきたいと思います。書き振りとしては、最初目安を達成し、引き続きその目安達成のためにはその工程表に従って改革を進めるべきだということになっております。ご意見をお願いします。宮武委員。

〔 宮武委員 〕 細かな点で恐縮でございますが、3点ほど疑問点があります。

1点目は、8ページの13行目、「我が国の医療・介護制度は、皆保険、フリーアクセス、自由開業制、出来高払いといった特徴がある」と書いてございます。医療についてはまさにその通りですが、介護保険のほうはむしろ出来高払いという弊害を除く形で制度設計をされて、施設については定額の報酬が既に決まっており、在宅のサービスは確かに回数が増えれば報酬が上がるわけですが、月額の上限があり、その中における出来高であります。しかも、在宅サービスの中のグループホームや、24時間対応の訪問看護介護など、そういったものも丸め、定額報酬になっておりますので、もしこのまま残すのでしたら脚注をつけられたほうがいいと思います。

2点目は、12ページに介護保険の調整交付金について、その一部を傾斜配分する枠組みを導入すべきであると書いてございますが、調整交付金は今75歳以上の方の人口比の高いところ、それから、高齢者の所得の低いところに傾斜配分されていて、あとは災害時に急速にニーズが高まった時にこのお金を使っております。そのまま5%分を出してしまうということになると、非常に高齢化でしかも過疎地域というのはたちまち困るという状態が予想されますので、私はもう少し幅広に、その調整交付金の活用方法を検討すべきではないか程度にとどめておいたほうが無難ではないかなと思います。例えば、介護給付費の5%の調整交付金分を6%に少し増やすなど、そういった選択肢も含めた検討のほうが妥当ではないかなと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ただ、これ工程表にどう書かれているかとかかわりますよね。

〔 宮武委員 〕 そうですね。

〔 宮武委員 〕 それから、薬剤費については高齢者に対する多剤投与の件について触れていただいたことはありがとうございました。

ただ1つだけ、参考資料の中の資料2−1−32、薬剤自己負担の引上げについてでございます。日本とドイツ、フランス、スウェーデンの例を挙げて、薬剤費については特別の負担をやっている国がありますと書いてあります。フランスは日本と似て、いわゆる窓口負担、自己負担をきちんと取って、その上で薬代についても特別徴収している国でありますけれども、ドイツの場合はいわゆる窓口負担がない国です。スウェーデンも公費医療でございますので、窓口負担がない。その中で薬については多少の負担ということを言っているわけでありますので、この参考資料を見た時に、訳を知っている人は少し不公平だというようなクレームがつく可能性があるので、小さくても注釈をつけられたほうがいいのではないかと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 分かりました。最初のところは重要だと思います。むしろ介護保険はそういった医療保険の問題を正すところで始まったというお考えで、厳密に書いたほうがいいと。

〔 宮武委員 〕 脚注でも結構です。

〔 田近分科会長代理 〕 分かりました。武田委員。

〔 武田委員 〕 ありがとうございます。まず、起草委員の皆様に取りまとめていただきましたことを感謝申し上げます。

その上で、7ページの15行目、「『団塊の世代』が後期高齢者となり始める2020年代初めにかけて」から始まる文章ですけれども、重要な論点として、社会保障制度の持続可能性という目的に加えて、世代間の公平性の確保という視点をぜひ入れていただきたいと思いました。例えば、「『改革工程表』に掲げられている検討項目等」のところを、先ほどの岡本委員のご指摘も踏まえて、「全て着実に実行することで社会保障制度の持続可能性を高め、世代間の公平性も確保していく必要がある」というような文章にしてはどうかと思いましたので、提案させていただきます。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。では、加藤委員。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。2点ございます。

まず、8ページの23行目に、「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」とございます。これについて全く異論はないのですが、これだけだと分かるかなという気がしておりまして、例えば、大きなリスクという話であれば、高額療養費制度をもう少し維持するために、小さなリスクについてはもう少し負担を増やしていくと。ですから、窓口負担など、そういったことをやっていくことにつながるのであれば、脚注でもよろしいので、これが一体具体的に何につながっていくのかということを書かれるのがいいかなと思います。

それから、14ページの年金のところで、5行目に「次期の財政検証」と書いてありますが、例えば、その財政検証をどのようにやろうとしても、結局デフレ下でもマクロ経済スライドをやっていくということがない限りは、全然話にならないと思います。その意味で言うと、そういったデフレ下でのマクロ経済スライドについてはやはりどこかで触れておいていただけるとよろしいだろうと思います。

以上でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 伊藤委員。

〔 伊藤委員 〕 ありがとうございます。取りまとめ大変ご苦労さまでございました。

7ページの20行目で、「こうした取組を通じ、経済・財政再生計画の『目安』を達成し、少しでも社会保障関係費の伸びを抑制しなければならない」と書いてありますけれども、これは概要のほうにも同じことが書いてありますけれども、少し弱いのではないかと、少し強めに書いていただいたほうがいいのではないかという気がいたします。

それから、社会保障の前段のところに、今の意見と一緒ですけれども、いずれにしても、給付の重点化と効率化の徹底は待ったなしの状況ですから、その際、応能負担の名目でこれ以上現役世代の負担を重くすべきではなく、高齢世代にも適正に負担を求めていく改革を断行すべきであるというような文言を入れていただいたほうがいいのではないかと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 老川委員。

〔 老川委員 〕 また言葉の問題で恐縮ですが、9ページの10行目、「ただでさえ高齢化や高度化等」というところで、「高度化」は医療の高度化のことを言っていて、繰り返すのは面倒だからということで省いたのかもしれませんが、「高齢化と高度化」というとよく分からないので、やはりここは丁寧に「医療の高度化」というふうにおっしゃったほうがいいのではないかと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 宇南山委員、お願いします。

〔 宇南山委員 〕 16ページの2行目の、児童手当の所得制限などの変更によって「確保された財源については、保育の受け皿拡大に充てるべきである」という部分についてです。私はこの回欠席させていただいたので、議論が完全には追えていないのですが、保育の受け皿の拡大、もしくは、資料2−1−52ですと「子供・子育て支援に直結する『量的拡充』に充ててはどうか」という表現がとられていますが、受け皿の拡大だけに限定する必要はないのかなと思います。子供・子育て支援に使うという幅広めのほうが、例えば、保育士の給与の対応や、幼稚園の支援などにも使えると思いますので、ここはなぜ保育の受け皿拡大というところに限定しているのか、もし私が間違っているようでしたらご指摘いただければと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 これちは、少しテクニカルなところもありますので、阿久澤主計官、お願いします。

〔 阿久澤主計官 〕 私は4月20日の事務局説明資料を作成させていただきました。今回の資料2―1―52のほうでも「子供・子育てに直結する『量的拡充』に充ててはどうか」というふうにさせていただいております。これは、4月20日にご説明させていただきましたけれども、資料2−1−48にあるように、現在待機児童の解消に向けて、待機児解消加速化プランに基づき、保育の受け皿の量的拡充を図ってきております。しかし29年末までのこのプランの中では待機児童の解消がなかなか難しい状況になってきており、新たなプランをつくるということを総理もご発言されているので、その方向で考えております。

ただし、保育の受け皿の量を拡充すると、その分だけ運営費負担金が増加しますので、その増加分をどのようにまかなうかという問題が出てきます。既存のプランでは消費税引き上げによる社会保障の充実に伴う財源を活用して、この量的な拡大をしてきたのですが、その社会保障の充実のうち、保育をはじめとする子ども・子育て支援に充てる予定だった0.7兆円を、既に29年度予算の段階で全部使い切ってしまいます。したがって、今後更に保育の受け皿を拡充するのであれば新たな財源確保をしなくてはいけないという課題があります。その課題に対応していくためにどのようなアイデアがあるかということを後ろの項目の中で論点として提示をさせていただいており、その中の1つが特例給付の見直しであるということです。したがって、新しいプランの財源をどのように確保するのかという大きな財政の課題の中で、例えば、こういった策が考えられるのではないかという案をお示ししまして、ご議論いただきました。今回の記述はそのような経緯を踏まえていただいたものであると理解をしております。

〔 田近分科会長代理 〕 そうすると、例えばというような範囲で、更にそれを広げることも、その議論としては可能だということですよね。

〔 阿久澤主計官 〕 そこは、委員の中でご議論いただければと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 岡本委員。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

16ページの9行目で、企業主導型保育事業について、「その積極的な活用を図り」とあります。この積極的な活用をやると、負担はどんどん膨張します。財審はあまり使うほうで「積極的」とは言わないと思います。企業はこの財源を捻出するのに本当に苦労したのですが、これをもっと積極的にと言うと、いくらでも広がって、もっと負担しろとなってしまいます。これでは、財審と関係ないところはいくら膨らんでもいいというふうに読めてしまいます。

ですから、企業主導型保育事業については、財政の外側ですけれども、これを取ってしまうか、せめて「積極的な」を「効果的な」にする、あるいは「中身の有効活用」などというようにしていただければと思います。次々にここを拡大するというようになるのはどうかと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 よく分かりました。黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。

私、16ページの同じところで逆の意見で、学者としての意見なので、対立する意見でもいいと思うのですけれども、そもそも女性活躍社会との関係もあり、子供・子育てについては、子育て期間中の時短勤務などで、正規社員としての勤務を続けるというような企業のご配慮も大きく女性の就業率アップに寄与しているのではないだろうかという気がしてなりません。

ですから、子育て期間中の時短勤務などの女性の働き方に対する企業の配慮なども更に進めていくというようなことをむしろ書き込んでいただきたいなと思います。要するに、それが保育所などのような物的なものをつくるだけではなく、企業組織内部での細かい配慮も女性の活躍、それから、子育てにおいて非常に重要だというふうに私は思っています。

〔 老川委員 〕 私も黒川委員のご意見に全く賛成で、岡本委員のご心配はよく分かるのですが、むしろ事業主拠出金を経済界がおつくりになったということを私は高く評価する立場から、大いにこれを活用して、企業社会として取り組んでいくと、そういった意味で、表現上は有効な活用でもいいと思うのですが、大いに活用させていただくということで、むしろエンドースする意味でいいのではないかなと思っています。

〔 岡本委員 〕 私はこれをずっと担当していまして、厚労省とも交渉してきましたが、我々もこれをやらなければならないと思っています。ただ、何しろ保育所が足りない中で、これがどんどん広がる可能性があります。ですから、まずは効果的な使い方をして、その上で国でどのように考えていくかということもあるわけです。すぐに積極的にとすると、いくらでも野放図に広がりますので、そこは少し気をつけてくださいということです。

〔 角委員 〕 もちろん岡本委員のご心配はよく分かりますけれども、企業はやはりその企業の特性がありますので、例えば、都心にしかオフィスのないような企業は、保育所をつくろうにもつくる場所がないわけです。様々なところから出勤してくるわけですから、そのようなことを企業としてやりようもないので、例えば、郊外に工場があるなどという場合はいくらでもできると思いますけれども、やはりその企業の種類によって異なりますから、この企業主導型保育事業というタイトルだけで書かれてしまうと、非常に対応しづらい。ですから、我々はその法定を上回るような様々な子育ての、あるいは、お母さんが安心して働けるような、トータル的なサポートを企業としてやっていこうとしているので、この保育にだけ書かれてしまうと、非常にやりにくい会社も出てくると思います。トータルとしてやはり企業もそういった努力をすべきだということは当然書いていただいて結構だと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 それでは、起草委員のほうで、この段階で答えられるところは答えてください。

〔 土居委員 〕 基本的にいただいたご意見を踏まえて、納得いただけるような文章にできるだけなるように努力いたしたいと思います。

1つだけ、宮武委員ご指摘の12ページの調整交付金の件ですけれども、確かにおっしゃるように、成果指標など、幾つか工夫の余地が必要なところはあると思います。ただ、我々懸念しているところの1つは、この介護保険の財源の枠組みを超えて、更に公費を上乗せするような形でそういった過疎部、ないしは、高齢化率がかなり高い自治体、保険者に対してお金を出すというような話があったりするものですから、そこまでして公費を投じるということについては懸念をしているということを少し発言させていただきたい。

〔 宮武委員 〕 調整交付金は集まった保険料の中の5%分を配分しておるわけでありますので、その使い方について再検討するということであれば、それはぜひやるべきだと思います。今の調整交付金の使い方が本来的に有効かどうかということも含めて検討すべきだと思っておりますので、そこはお任せいたします。

〔 田近分科会長代理 〕 中空委員。

〔 中空委員 〕 先ほどから出ている企業主導型保育事業についてなんですが、私はどちらかというと岡本委員の意見のほうに賛成です。この財審の建議としてよく感じることなのですが、できないところ、お金がないところは、財源を企業に頼りますみたいなことがあります。ですから、国がやるべきことをやって、企業のほうもぜひ協力をということであれば、企業にもやっていただかなければならないというふうには思うのですが、財政再建をしなければならない中で、できないところは誰かにお願いしますというふうな逃げにならないように注意して入れ込まなければならないのではないかと思います。財源がないと民間にと転嫁される気がしますし、そういった事例があると、私は何か違うのではないかと思ってしまいます。とはいえ、いただいたご意見は重々斟酌しながら、意見をまとめていきたいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 十河委員、お願いします。

〔 十河委員 〕 起草委員の先生方、お取りまとめいただきましてありがとうございました。

先ほど宮島委員がおっしゃっていたことは、私もなるほどと思いまして、やはり事実を強く財審という立場から訴えていくと同時に、やはりこれをどう一般の国民に理解をしていただき、賛同していただくかということも非常に重要ではないかと思っております。

その意味で、16ページの2から3行目で、「いずれにせよ、子供・子育て分野だからといって聖域視せず」という文言はわざわざ入れなくてもいいのではないかと思います。常に適正化、合理化を図っていくということは重要ですけれども、誤解を生んでしまうのではないかと危惧しております。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 北尾委員、お願いします。

〔 北尾委員 〕 14ページの6から7行目の年金のところで、「年金受給開始年齢の在り方等」とありますけれども、これはもう少しはっきりと、年金受給開始年齢は引き上げていかなければいけないと明確化してもいいのではないかと思います。日本の年金受給開始年齢は65歳ですが、これは先進国の中でも最低水準、平均受給年数で考えれば日本は最年長です。これからいずれの先進国においても受給開始年齢は引上げがとり行われておりまして、改革が終わった時点においては、日本の受給開始年齢は最低になってしまうということで、そういった状況も踏まえて、ここはもう少しはっきりしてもいいのかなと思います。

それから、様々な研究で明らかにされているのは、高齢者は若い人に比べて非常に労働の弾力性が高い、制度の影響によって労働行動を大きく変えるというところがあります。もう一つ、研究で明らかにされていることは、年金受給開始年齢が来たとたんに労働をやめるインセンティブが強く働くということで、そういった雇用の動向等を踏まえつつ、年金受給開始年齢の在り方を考えるというよりも、逆に年金受給開始年齢を変えることによって、また我々が期待している高齢者の労働参加等を引き出すこともできるということを考えた上で、ここの改定のところをもう少しはっきりしてもいいのではないかなと思いました。

〔 田近分科会長代理 〕 分かりました。田中委員。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。

16ページの企業主導型保育事業にかかわるところ、私も申し上げたいと思います。この1年ほどをかけて100人程度の働く女性で子育てをしてらっしゃる方にインタビューを続けてきたわけですけれども、実際に彼女たちの意見を聞いてみると、やはり住居のそばの保育園を第一に考えていて、実際に事業所内保育所もあるところですけれども、事業所内の保育園は、それでもだめだった時の最後の選択肢として捉えているようです。やはり実際のニーズや使い勝手を考えると、公的なものが主で、それを補完するもので企業があるというふうに捉えないと、全て民間にゆだねていくというのは、現実を見ても無理があるのではないかと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 宇南山委員、お願いします。

〔 宇南山委員 〕 先ほどの主計官からの説明を受けてなのですが、現在保育所に実際に入所している人の所得水準が入所していない人よりも高いなど、ここにも指摘がありますように、保育のコストの負担分が非常に少ないといった問題があって、子育て世代間での再分配という意味がかなり強まってきているというふうに思います。やはり、保育の受け皿の拡大の財源が必要であるという場合には、例えば、「保育料の関係について議論を深めることが望ましい」というような弱い表現ではなく、ここもやはり拡充の財源として検討されるべきではないかというふうに思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

それでは、ここで1つ区切りにして、文教、社会資本整備、地方財政について、ご意見をいただきたいと思います。岡本委員、お願いします。

〔 岡本委員 〕 文教の中のこども保険についてコメントしたいと思います。21ページで教育支出の財源を国債に求めるという、いわゆる教育国債、これについて反対論が展開されています。書かれている内容は、私はその通りだと思いますし、反対することに賛成します。

ただ一方で、先日の財審では、いわゆるこども保険に対しても複数の反対意見が出ていたはずですが、それについての記載がありません。経団連でも、加盟企業の総意として、こども保険と教育国債に対しては内容面で問題があるということで、そのような意見表明を行っています。

とりわけこども保険については、社会保険料に上乗せすることで現役世代や企業のみが負担し、社会保険料を負担していない高齢者等との間での公平性に問題があるということと、受益が就学前の子育て世帯に限定されているために、同世代内でも公平性の問題があります。つまり、負担と給付が全く連動しないということで、保険と言えるのかということです。それから、一律の児童手当額がばらまきになるのではないかという点もあります。

先ほどの、企業主導型保育事業と同じで、財政の外側の話みたいに受け取れるかもしれませんが、この制度がスタートしたら、結局これはこの中でおさまり切らないで、財政のほうで負担しろということにどんどんなっていくような感じがしますので、これについても、何らかの形で記載していただければありがたいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 その点については、政治との関係で、財審がどこまでやるかですけれども、奥主計官から今の状況を説明していただきます。

〔 奥主計官 〕 通称こども保険というものにつきましては、自民党の何人かの議員の先生方から提言がなされ、それを具体化するべく、検討の場が設けられまして、現在特命委員会の小委員会で議論が現在行われているというふうに承知をしているところでございます。

〔 田近分科会長代理 〕 起草委員会のほうで、扱いについては少し引き取らせてください。加藤委員。

〔 加藤委員 〕 1点目、今の岡本委員の意見に全く賛成でして、こういった子供をもし公共財的なものに扱うなら、税でやらなければいけない。税であれば、財源は消費税だろうということは申し上げておきたいと思います。

2点目、18ページの9行目で、今回「貸与型奨学金により当座の自己資金を補うことが適切な手段である」ということを書いていただいたということは非常に重要なことだと思います。

3点目、32ページの1行目で、実はこの間、歩いていましたら、市長選挙がありまして、うちの自治体はこれだけ基金をたくさん蓄えていますというのを、何か自分のものというような感じの演説がありました。これはどうなのだろうというふうに思っておりますが、その意味で言うと、地方財政計画へ適切に反映させることというのは、少し分かりづらくて、交付税の調整をするなど、はっきりとここについては言ったほうがいいのではないかというふうに思っております。

以上であります。

〔 田近分科会長代理 〕 分かりました。そのポイントはこちらでも反映するようにしたいと思います。小林委員。

〔 小林(慶)委員 〕 教育国債に関する記述です。特に概要の文教の最後の行のところ、「世代間不公平拡大につながり」と書いてあり、また、本文では20から21ページにかけてその財源の話が書いてあります。私は教育国債をやるべきだとは思いませんけれども、反対しようという思いが強過ぎて、何か理屈が本当に正しいのかなというところは少し納得しづらい気がします。むしろ、この財審の文章で世代間不公平になるなどと、断言する必要はないのではないかなという気がして、ロジックとしては、そもそも国債の発行についての規律を緩めるということは、用途が教育であれ、何であれ、今の財政の状況から見て、慎重であるべきであるという全体論がまずあると。その中で、この教育について考えると、例えば、世代間の不公平につながらない、あるいは、世代を超えた投資になっているということは証明されていないのだから、慎重に考えるべきではないかといった言い方をして、立証責任をこちらが負う必要はないと思います。世代間不公平になるということをこちらが断言してしまうと、立証責任がこの財審に負わされるような書き振りになってしまいますけれども、それを逆転させて、全体としてそもそも国債発行に慎重でなければいけないところで、新たに教育国債をやるのであれば、世代を超えたきちんと投資効果があるということをもっと確実に立証されなければいけないという言い方にしたほうがいいのではないかという気がしました。それをやりたい人は立証してくれということを財審として言えばいいのではないかという気がしました。

〔 田近分科会長代理 〕 よく分かりました。検討させていただきます。武田委員。

〔 武田委員 〕 ありがとうございます。

まず、20ページ教育のところでございます。マル2に関して、前回の分科会では、永易委員と私が同じ意見で、グローバルレベルの基準という意見を述べさせていただいたと記憶しております。本日永易委員から提出されている意見書の2枚目の上から3つ目のマル2具体案でもご提示されております。私も同意見ですので、ご検討いただければありがたいと思います。

次に、23ページ、社会資本整備のところでございます。前回の分科会は時間が限られておりましたので、意見として述べさせていただけなかったのですが、マル1のコンパクト・プラス・ネットワークについて、今後の人口動態を考慮すれば、現時点で計画を立てていくことが中長期的に地方経済をサステナブルに、そして財政支出という観点からもサステナブルにする、とても重要な施策であると思います。

したがって、立地適正化計画が策定された市町村が106ということですが、全体から見るとまだ少ないので、策定に至っていない自治体には計画策定を積極的に促していくとの文脈が加わってもいいのではないかと思います。現時点で策定しても、実行に移すとなりますと、実現は2020年、2030年になってくると思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 了解しました。田中委員。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。文教のところでコメントをさせていただきたいと思います。

私の意見を述べる前に、武田さんと永易さんのグローバルレベルでの重点配分についてですが、実際に大学への競争的資金、それから、特に国立大学はアグロバデューエを狙っているわけですけれども、競争的資金についても実はかなりメリハリのついた重点配分がなされています。ですから、実際に現状様々な資金を含めてどのようになっているのかということを調べて、現実を踏まえる必要があるかなと思います。

〔 武田委員 〕 ありがとうございます。

〔 田中委員 〕 その上で、高等教育を中心に述べさせていただきます。私の記憶では、文教の議論に関しては、今回は非常に珍しく、私学にかなりフォーカスが当てられて、そこに時間を費やした議論だったと思いますけれども、この文章を拝見すると、国立と私立が比較的いろいろと入っていて、特に後半の提言部分が国立に対して言っているのか、私学に対して言っているのかが少し読んでいて分からなくなってくるところがあります。その意味で、必要であれば私のほうでまた少し加筆した文案を提出させていただくということを前提に今コメントを申し上げたいと思います。

まず、19ページの7行目であります。この奨学金の延滞率は、これ表に出ていくと結構話題になるし、反発する人は反発するだろうなと思います。一言少し修正したほうがいいのは、7から8行目のところですが、奨学金延滞率そのものを教育成果の指標とすると論が飛んでいると批判が必ず来ると思います。むしろ返せない奨学金を取れと指導したほうが問題だと私は思っていますので、「教育・人材育成」ではなくて、「教育・指導方法」というふうに変えたらどうかと思います。

それから、19ページの29行目以降、ここから財審として提案が大きく2つあります。マル1のところは、国公私立を対象にした大学版地域医療構想を推奨しているように見えます。ただ若干気になるのは、5月13日の日経新聞だったと思うのですが、文科省がこれに先立てるような補助金を、私学を対象にして出したと書いてありまして、これも考えると、国公私立を対象にしたものでいいのかどうかというところをもう一度確認をさせていただきたいと思います。

その上でマル2では、私学助成ですので、明らかに私立大学をターゲットにした提言になっています。そうであると、少しこの全体の構成も国立向けと私立向けに組み直したほうがいいのではないかと思っていまして、ここは逆提案をさせていただくのがいいかと思います。

これは私の提案ですが、マル2のところはおっしゃる通りで、実は私立大学は認証評価という、パフォーマンスを見ないで合理性だけを見る評価で続けてきています。その意味では、大学評価の在り方を大きく見直して、こういったパフォーマンスベースドの評価にするべきだと思います。

ただ、これは国立大学にも必要なことですので、もし許すのであれば、私学助成などと書いてありますが、国立の運営費交付金もこのようなものが必要だというふうに書く必要があると思います。

もしこれを私学助成だけにするのであれば、この段落の組み方に関して後ほど提案をさせていただければと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 そのご指摘の点は我々も認識していて、基本的に今回の審議の場では私学をテーマに挙げて議論したと。田中さんのご意見はここの部分についてどう読むのか、プライマリーに私学なのか、国立と私学両方なのかということではないかと理解しました。

〔 田中委員 〕 分かりました。そうであれば、恐らくこれは、表現の仕方の問題だと思います。何か私学の話をしていたのかなと思うと、途中から国立が入ったりしているので、段の組み方などを私も考えてみたいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 分かりました。今回は軸としては私学中心に改革提案をしたということだと思いますけれども、今言った、国公立と私学分の配置のことは、少し頭冷やして考えてみたいと思います。

藤谷委員、お願いします。

〔 藤谷委員 〕 ありがとうございます。

私は21ページの教育国債のところで、コメントを2点と提案を1点申し上げたいと思います。

まず、小さいコメントですが、これは先ほど小林委員からも、大きな方向性には全く賛同できるのだけれども、理由が十分整理されていないのではないかということがございました。いろいろだめな点を挙げていくというのはある論法ですけれども、マル3で世代内不公平について挙げてしまうと、だから全部無償化にするために教育国債やるという議論に行ってしまいかねないと。もともと教育国債は5兆円の財源をどう埋めるかというところで出てきた話なので、本文ではこの17ページからひたすら限られた財政資源をどう効率的に配分するかという議論が続くわけですが、5兆円の財源が必要だ、それでは、という話は、非常に非連続的なロジックなので、我々としては、この17ページから読んでもらえればここで「国債による資金調達で教育支出を行った場合」と、論理がつながっているのですが、先ほど宮島委員おっしゃったように、読み手は恐らく興味のあるところしか読まないので、そのリスクはやはりあるかなと思いました。

2点目が、21ページですけれども、この教育国債の提案自体がはっきりしないので、こちらも的は絞りにくいのですが、我々のほうの議論として2つの軸があって、それが少し交錯している印象を受けます。

1つは、投資だから赤字国債とは別立てで議論していいという含みの議論として教育国債が出てきたというのはあると思います。これに対してはマル1で反論しているわけですけれども、ただ、確たる償還財源が見出せるわけではないというのは、実は建設国債、公共事業一般がそうです。ですから、公共事業でやっているわけです。

もう1つは、よしんば建設国債並びで扱うということはもちろんできませんし、やりませんけれども、建設国債だったとしても、これはPB赤字に寄与してしまいますと。結局本日の冒頭でご議論ありましたように、PB黒字化というのは次世代への負担先送りをしない、世代間不公平を起こさないという、これがやはりキーだということがもう少し前面に出てもいいのではないかということです。

3点目、ご提案ですけれども、やはり財審という立場上、どうしても無駄を削りましょう、効率化しましょうということを言わざるを得ない立場、これはもちろんそうですが、宮島委員もおっしゃったように、やはり有権者、納税者の目から見た時に、ひたすら借金返済を頑張らなければいけないという話ばかりされると、適切な財源確保への道筋というのも、少し理解が得にくくなってしまうのではないかということを危惧しております。

したがいまして、我々といたしましても、この教育投資、あるいは、機会均等の重要性は、十分賛同すると。だからこそ、持続可能性を確保するような恒久財源の確保が必要だと。もちろんそれは20ページの24行目、次世代に対して責任ある恒久的な財源を検討するということで盛り込まれてはおりますが、ここでもう一段、持続可能性を確保するためには、毎年度5兆円の国債を発行するということでは、結局先々どうなるか分かりませんので、やはり恒久財源が必要であると。その中身を税でするのかどうかということは、今年決めなくてもいいことのような気がしますけれども、ゼロ回答ということではなくて、もう少しニュアンスの仕方はあるのではないかというご提案でございます。

以上です。ありがとうございました。

〔 田近分科会長代理 〕 先ほど小林委員のご指摘と、何か軌を一にする部分があると思います。井堀委員。

〔 井堀委員 〕 細かい話ですけれども、27ページの整備新幹線のところで、本文自体は全然問題ないのですが、B/Cが確実に1を上回るという話について、この資料2−3−10を見ますと、整備新幹線の費用が当初事業費よりも最終事業費を上回っているというのが出ていますけれども便益の話は載っていないので、費用と便益で確実に費用よりも便益が1割を上回っているという本文に対応させるとすれば、このB/CのBの話も出したほうがいいのではないかと思います。費用だけ出しては、本文とはあまり対応していないという印象です。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 それも、検討させていただきます。~子田委員。

〔 ~子田委員 〕 今の藤谷先生がおっしゃった21ページの教育国債関連で、この理屈づけで、とにかく教育国債という考え方はよくないという考えに反対するわけではないですけれども、このマル3のところ、教育を受けずに返済負担だけを負うという人たちというのは、これは権利があるけれども教育を選ばなかったということなのでしょうか。そうしますと、高等教育の無償化ということであっても、別に無償だけれども大学行かないという人がいたら、それは不公平になると思いますけれども、そういったところまで踏まえて否定しているものなのかということをお伺いしたいです。あとは、藤谷先生もおっしゃったように、それほど必要だったらきちんと税金を取ってやればいいと思いますので、もう一段強めの表現を入れてもいいかなと思います。20ページの24から25行目にきちんと書いてありますけれども、そこはやはり必要な財源はその年きちんと調達しましょうということを書いてもいいのではないかなと思いました。

〔 田近分科会長代理 〕 21ページの世代内不公平の話について、奥主計官、お願いします。

〔 奥主計官 〕 補足させていただきます。ここは権利がありながら高等教育に行かなかったというよりも、むしろ様々な事情、様々な思想、様々な考え方の下で、人生の選択肢として高卒で働くことを選んだ人が、同世代の中で大学に行くことを選んだ人に税金を一部払うことになる点について、世代内の不公平が生じていませんかという議論があり得ると思います。

〔 ~子田委員 〕 それは全員が無償化になっても生じる不公平ですよね。

〔 奥主計官 〕 そうです、無償化にするためにその財源を次世代の、大学に行く人、行かない人の世代に求めればそうなります。

〔 藤谷委員 〕 であれば、もう少しここは補足されたほうがいいと思います。その上で、突き詰めていくと、税の受益が全国民に等しく均霑するということは、これはあり得ないので、その話をし出すとそもそも税でもって公共財を調達するというロジックを崩すことにはなりかねないということは一言付言しておきたいと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 藤谷委員がおっしゃりたいのは、税でやっても便益を享受した人もしていない人も両方払わされてしまうわけですから、それは程度の差ではないかということですよね。

小林委員、お願いします。

〔 小林(慶)委員 〕 私もこの議論は、この文章の中で深入りしないほうがいいのではないかというのが先ほど申し上げた趣旨だったわけですけれども、反論の理屈はいろいろ考えられて、今おっしゃった議論に対しても恐らく反論の理屈は考えられると思います。例えば、大学教育を受けた人から高卒の同僚に対して良い外部性の効果があるのではないかなど、何とでも反論ができるので、そういったことをここで書くよりも、むしろ立証責任はこれを主張している人たちに負ってもらって、我々としてはそもそも国債の発行についての規律を緩めるのはだめだと。もし、教育で国債を出したいのならば、それはきちんと科学的に立証すべきではないかというロジックで抑えたほうがよくて、あまりここの理屈を細かく精緻に組み上げることは泥沼的な議論になっていくのではないかという気がします。

〔 田近分科会長代理 〕 建議としてのポイントは、以前井堀委員がご指摘されたことを一番踏まえているのかなと思いますけれども、18ページの2行目で、「高等教育の費用負担の在り方については、その受益も踏まえて検討する」というところ。高等教育の効果としては多様なものがあるが、経済的側面に着目すれば、生涯所得につながるということで、私的便益が多いと。基本的にこのベネフィットは個人に帰着しているということが我々の認識だというところで、それでは、公的な資金はどこに使うのかと言ったら、あの時井堀さんがおっしゃったのは、資本市場が不完全で借金できない若い人たちに手を貸してあげましょうと、これがこの建議のプラットフォームだということは、これは全員了解だと思います。

教育国債のところは、これを踏まえて、あまり狭い意味で、ベネフィットを受けない人も負担しているではないかというような書き振りをどうするかはこちらで諮らせてもらうということにしたいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 老川委員、お願いします。

〔 老川委員 〕 教育国債のことで少し申し上げたいのですが、負担の公平・不公平、この問題は確かに1つあるのですが、問題は、18ページの21から23行目にあるように、例えば、教育を無償化した場合、権利があるから全員大学に行くのは当然だと、行きたくない人は自分の勝手ではないかと、こういった理屈になるけれども、私はそうではなくて、みんなが普通大学行かなければならないという考え方は、僕は少し間違っていると思います。やはり職業教育など、様々な選択肢があるわけで、大学へ行かないで別の道を歩んだ人にとって公平なのか不公平なのかという問題もあるわけなので、ここにあるように、全員が一律に大学に行かなければならないという前提で高等教育の無償化を議論するのは少し問題があると思います。家計の事情で、行きたいけれども行けないという人には奨学金をもっと手厚くするなど、様々なやり方があるので、全員無償化すればいいと、行きたくない人は自分の自己責任ではないかと、このような考え方に僕は賛成できないと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 今ヒートアップしている教育支出の財源のことですけれども、前回参加させていただいて議論した中では、幼児教育など初等教育のほうはある種の制度整備ができつつあるので、高等教育のことに限定して議論が進んでいたように思うのですが、「教育負担の在り方」という形で、非常に哲学的な議論におりてきているようなところがあるので、少しその教育の種類という、中身を限定した議論にしていくと落ち着くのかなというふうに思った次第です。

もちろん、私は高等教育に対して無償化というのは大反対でございまして、労働生産性が上がるというのも少し詭弁だというふうに思いますので、そういった意味では、高等教育に限定すればもう少し議論がスムーズになるのではないかという印象を持っております。

〔 田近分科会長代理 〕 角委員。

〔 角委員 〕 全く今と同じ議論についてですが、ヨーロッパは貴族社会の中で、高等教育を受けられる人というのはもう特定の階層であったと。ドイツの例をとると、終戦後に、今の日本で言うところの初等教育4年が終わった時点で、大学まで行けるか行けないかという選別をしてしまうということですので、ドイツは当然高等教育無償化、例えば私の友達の子供が医学部の大学出ましたけれども、これも無償です。要するに、早いうちにエリートを選別してしまうわけです。そういった中で、かつ、大学はきちんと勉強しないと卒業できないということですから、まず大学の在り方も違えば、制度も違う。それを同じように議論されるのはおかしいわけで、このバックデータの中に、やはり海外の無償化を入れている国の実態を資料として入れていただくと非常に分かりやすくなるかなという気がいたします。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ただ、職業訓練、職業大学のほうも充実しているわけですよね。

〔 角委員 〕 そうです。全くルートが違います。

〔 田近分科会長代理 〕 宮島委員。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。

先ほどご意見の中で、高齢者の年金受給開始年齢を引き上げると書いたほうがいいのではないかというご意見がありました。私は実質的に年金の受け取りスタートが遅れたほうがいいといったことには全く賛成ですけれども、恐らく、今日本の年金は、幅の中ではいつから受け取ってもいいことには、一応理論上なっているので、そこを引き上げるという強烈な言い方ではなくて、できるだけ後からもらったほうが得だというふうに、もう少し広く分かっていただいて、実質的に引き上げるというほうが現実的なのではないかというふうに思いました。

〔 宮武委員 〕 宮島さんが少し代弁してくださいましたけれども、本日はマクロ経済スライドをデフレ下でも機能させようという意見と、それから、支給開始年齢の引上げが出ました。マクロ経済スライドは、今から年金を受け取る人も、既に年金を受け取っている人も、全てについて給付水準を下げるという、極めて厳しい方策です。それがデフレ下では機能していないから、デフレ下でも機能させろとおっしゃる。私は賛成です。

そういった、厳しいことができない国々は支給開始年齢を引き上げている。支給開始年齢の引上げは、より若い人しか対象にならず、既に年金を受け取っている人は対象ではないわけです。その両方の良さをどのように加味するかであって、私はマクロ経済スライドを徹底的にやったほうがいいと思いますので、私は現在の報告書の場合はこのままで結構ではないかと思っています。

〔 田近分科会長代理 〕 なかなかこの場で結論が出る議論ではないことは分かります。

まだ意見を言いたい方もいらっしゃるかもしれませんけれども、ここで一応区切りにさせていただきます。特に地方財政のほうはかなり分かりやすい内容になっていますけれども、概要のところでいただいた、「見える化」やPDCAサイクルに言及するなど、もう少し分かりやすくしてほしいという指摘は反映したいと思います。

次回は、5月25日の16時から建議の最終取りまとめを行いたいと思います。

本日はこれで終わらせていただいて、この資料は、言うまでもないと思いますけれども、草案でありますから、机の上に置いて帰ってください。

いろいろテーマをいただきましたけれども、こちらで検討させていただきたいと思います。本日は以上です。ありがとうございました。

午後5時00分閉会

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