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財政制度分科会(平成29年2月8日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成29年2月8日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成29年2月8日(水)15:00〜16:09
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.事務局からの説明、質疑応答

  • 平成29年度予算の概要等について

3.閉会

出席者
分科会長吉川  洋杉大臣政務官
可部次長
藤井次長
茶谷次長
角田総務課長
青木法規課長
司計課長
関口主計企画官
中島調査課長
八幡主計企画官
竹田大臣官房参事官
嶋田主計官
泉主計官
奥主計官
阿久澤主計官
廣光主計官
岩元主計官
中山主計官
委員

遠藤典子

大宮英明

黒川行治

神津里季生

竹中ナミ

田中弥生

土居丈朗

冨田俊基

中空麻奈

臨時委員

板垣信幸

井堀利宏

老川祥一

葛西敬之

加藤久和

小林  毅

佐藤主光

武田洋子

田近栄治

宮武  剛


午後3時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には、ご多用中のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、平成29年度予算等を議題としております。

それでは、早速、議事に移らせていただきます。

まず、平成29年度予算等について、中島調査課長からご説明をお願いいたします。

〔 中島調査課長 〕 私から、「平成29年度予算の概要等について」という資料に基づいてご説明をさせていただきます。

まず、1ページ目でございます。平成28年度第3次補正予算フレーム、こちらは1月31日に可決成立いたしましたけれども、左側の歳出の追加で6,225億円となっています。この中身は(1)災害対策費、こちらは夏の北海道や東北の豪雨、それから熊本地震などへの対応で1,955億円、(2)国際分担金及び拠出金等、こちらは国連PKOの分担金などの追加支出で1,685億円、(3)自衛隊の安定的な運用態勢の確保等、こちらは対北朝鮮、中国という安全保障環境の変化に対応して自衛隊の運用態勢を確保するというもので1,706億円、諸々合わせて6,225億円ということです。

これらの財源は、その下、2.既定経費の減額ということで、国債費や予備費の減額などで4,164億円、それから右側の税外収入の確保で1,047億円、そして災害対策をやっていますので、建設公債発行対象経費がございまして、建設公債の発行で1,014億円、合わせて6,225億円の財源をつくっております。

あわせて3.税収が年初の円高などを反映しまして1兆7,440億円の減額となってございます。これに対応しまして、その下、赤字国債をほぼ同額発行しているという姿でございます。

2ページ目は、その歳出の内訳ですので、飛ばせていただきまして、3ページ目で、平成29年度予算の姿をご説明したいと思います。

一番上に書いてありますように、「経済・財政再生計画」の2年目の予算でございます。経済再生と財政健全化の両立を実現する予算だということです。

経済再生につきましては、1つ目の矢印、一億総活躍社会への対応をきちんとしていく。中身は、保育士・介護人材等の処遇改善や、保育の受け皿拡大、それから年金の受給資格期間の短縮といったものでございます。

それから、2つ目の矢印、経済再生に直結する取組ということで、成長力を高めるような施策に重点化をしている、科学技術振興費の伸長や、第4次産業革命の推進といったことでございます。

それから、3つ目の矢印は、働き方改革ということで、賃金アップを図る企業への助成や、非正規労働者の正社員転換などを支援するというようなものでございます。

財政健全化につきましては、一般歳出の伸びについて、昨年に続いて、3年間で1兆6,000億円、年平均5,300億円という目安を達成してございます。うち社会保障関係費につきましても、目安に沿って5,000億円の伸びにとどめているということでございます。

4ページ目、数字でそれを見ますけれども、一番上の行、税収のところは、冒頭申し上げましたように、平成28年度第3次補正予算で1兆7,000億円減額をしました。そこから概ね同額に回復するということで、平成29年度予算では57兆7,120億円と、ほぼ平成28年度と同額の税収ということであります。

その他収入、税外収入のところは6,871億円の増額となっておりますが、その大宗は、外為特会の剰余金を、昨年1.7兆円だったものを今年2.5兆円という形で増額をしている増額となったことによるものです。

公債金のところは、昨年とほぼ同額に抑えているということであります。

歳出のほうにいきまして、国債費でありますけれども、国債費も平成28年度と概ね同額になってございます。元本償還は残高が増えていますので当然増えるのですが、利払費につきまして、積算金利を昨年度1.6%にしておりましたのを、今年度は1.1%と下げております。これは、考え方としましては、日銀の金融政策で10年国債金利を0%で推移するよう国債買い入れを行うというスタンスがありますので、ベースの数字を0%と置いて、例年のことでありますが、過去に金利が急上昇したVaRショックなどの事実がありますので、そういったものを踏まえたバッファーを1.1%乗せるという形で1.1%、昨年は0.5%という足下の数字に1.1%乗せて1.6%という、そのようなルールの上での金利設定でございます。

それから、一般歳出は5,300億円の増、これも先ほど申し上げましたように、目安を守った姿となっております。

地方交付税交付金等につきましては、税収と交付税を合わせた一般財源総額を概ね実質同額にするというルールに基づいて2,860億円の増額という形であります。

それから、5ページ、6ページは表でありますので飛ばせていただきまして、7ページのところですが、このうち上から3つ目の社会保障のところだけを見ていただきますと、社会保障関係費は、4,997億円の増額、これも5,000億円の増にとどめるという目安を守った姿が、ここにあらわれてございます。

8ページ目以降で、いただいた建議を踏まえてどのような予算編成を行ってきたかを少し説明させていただきたいと思います。今申し上げましたように、建議では社会保障関係費の伸びは5,000億円に抑制していくべき、改革工程表に掲げられている検討項目等を、できる限り前倒しして改革を実現すべきという方針でございました。平成29年度予算では、それをきちんと守って、自然増6,400億円に対して1,400億円を詰めて5,000億円の増におさめるということにいたしました。また、建議の中で財源の範囲内で優先順位をつけて実施をしていくとされていました「充実」につきましても、この5,000億円という目安を守る範囲の中で財源を確保して行っております。その1,400億円を詰めるための努力が、この8ページにあらわれているわけですが、1つ目の高額療養費・高額介護サービス費の見直しというところは、建議では外来特例の廃止と、それから現役と同水準にすべきだということ、介護のほうにつきましては、医療と同水準にすべきだというようなことをご指摘いただいておりました。

まず、370万円以上の、現役並み所得があるところは、左側は現役の70歳未満の高額療養費を書いておりますけれども、真ん中、70歳以上、外来のところを見ていただきますと、入院と統合ということで、外来特例は廃止をし、入院のところに書いてある数字は現役と同水準になってございます。それから、370万円までの一般の所得のところにつきましては、上限を段階的に1.8万円まで引き上げる、入院のところは現役並みの水準に合わせるという姿になっております。住民税非課税者である低所得者は、今回は据え置きをしております。介護のほうは、医療と同水準に、一般の所得のところにつきまして、4.4万円まで引き上げているという姿になってございます。

それから、下半分、後期高齢者の保険料軽減特例の見直しについてですが、建議上は、本則に戻すべきだというご指摘を受けておりました。

まず、所得割、斜めになっている線のところですが、5割軽減と書いてあるところについて、これは本則どおりにするということになってございます。

それから、元被扶養者のところにつきましても、9割軽減というのがかかっておりましたが、これも本則どおりにするということになってございます。

ただし、均等割のところ、ここも低所得なところですが、9割軽減、8.5割軽減といったところについて、ここは介護保険料軽減措置の拡充や、年金生活者支援給付金の支給とあわせて見直しを行うということになってございます。

次に9ページ目の左上、入院時の光熱水費負担の見直しというところです。建議上は、居住費の負担を求めるべきだというご指摘でございました。介護保険施設は1日当たり370円いただいておりますので、これに合わせる姿、医療区分1、医療区分23と、段階的ではありますが、介護保険施設と同じ水準をいただくということになってございます。

それから、右上、高額薬剤の薬価引下げというところですが、建議上は速やかに適正水準に改定すべきだというご指摘でございました。オプジーボにつきましては、2月から薬価を50%引き下げてございます。

それから、真ん中、介護納付金の総報酬割の導入というところ、建議上は、総報酬割へ移行すべきだというご指摘をいただいておりましたが、平成29年度から段階的に総報酬割を導入させていただきます。

10ページにまいります。社会保障のところは、今申し上げたところであります。

公共事業につきましては、建議の中で、総額の抑制に取り組む中で社会資本整備の重点化、効率化を進めるという方針をいただいてございました。今般の予算では、公共事業関係につきましては、ほぼ横ばいの伸びでありますが、安定的な確保を行い、その中で豪雨・台風災害などを踏まえた防災・減災対策、それから民間投資を誘発して、日本の成長力を高める事業などへの重点化を推進しております。

農林水産関係予算につきましては、ここには書いてございませんが、建議では、転作助成金の見直しというのを指摘されておりました。こちらは予算執行調査を踏まえて、水田機能を有しない農地への交付の廃止などをすることによって予算額を抑制しております。

外交予算につきましては、建議では、ODA等の一般会計予算について引き続き抑制基調を維持するということ、それからPDCAサイクルの徹底や、その高度化等に取り組むことで一層の戦略的な資源配分を実現していくべきという方針をいただいておりました。今回の予算では、ODA予算は「地球儀を俯瞰する外交」を推進する観点などを踏まえつつも、0.1%の増に抑えております。それから、ここに書いてございませんけども、PDCAサイクル強化の一環として、外務省が実施する無償資金協力について、評価の一層の充実や公表の在り方の改善を行う予定でございます。

それから、防衛予算につきましては、建議の中で、安全保障環境の変化に適切に対応しつつ、新規後年度負担の抑制、調達改革等を通じた一層の効率化、合理化等についてご提言をいただいております。今般の予算では、中期防対象経費につきましては、対前年度比で0.8%の増を確保するとともに、原価の精査などを通じて2,040億円のコスト縮減を図っております。

続いて、教育予算につきましては、建議では、エビデンスに基づくPDCAサイクルの徹底、基礎定数及び加配定数の措置の検討等についてご提言をいただいておりました。今般の予算では、教職員定数を縮減するとともに、発達障害を持つ児童生徒や外国人児童生徒の急増といった課題に安定的に対応するため、必要な教員数を基礎定数のほうに移行しております。

地方財政につきましては、建議の中で、歳出特別枠は廃止すべきである、また、地方財政計画の歳出の計画額が継続的に決算額を上回っていることを踏まえて、財源保障の適正規模についてより一層の精査が必要であるというご提言をいただいてございました。今般の予算では、これに沿いまして、歳出特別枠を大幅に縮減しつつ、地方交付税交付金等については概算要求時の増額要求を大幅に圧縮して、対前年度0.3兆円の増に抑制をしております。

11ページにまいりまして、我が国の財政健全化目標の見通しについてまとめております。参考資料の1でもお配りしておりますが、1月25日に内閣府から中長期の経済財政に関する試算が発表されました。2015年度のところ、2010年度の国・地方を合わせたPBの赤字対GDP比が6.3%ですので、それについて半減をするという目標がございました。これは※印に書いてありますように、2015年度は対GDP比3.0%の赤字でありますので、この半減は達成できてございます。

それから、真ん中の2020年度のところ、PBを黒字化するという目標があります。ここの部分、※印にありますけれども、経済再生ケース、名目成長率が3%以上の高い成長率のケースにおきまして、2020年度のPBは8.3兆円の赤字、対GDP比で1.4%の赤字という姿でありまして、前回平成28年7月の試算では5.5兆円の赤字でありましたので、そこから2.8兆円赤字幅が膨らむという形になってございます。

私のほうからは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、早速、ただいまの説明に関して、どなたからでもご意見、ご質問をお願いいたします。 どうぞ、田中委員。

〔 田中委員 〕 今のご説明に加えて、参考資料1と2、こちらも踏まえてコメントをさせていただいてもよろしいですか。

〔 吉川分科会長 〕 ええ、もちろん。

〔 田中委員 〕 分かりました。実はこの予算概要と、内閣府から出ている中長期の経済財政に関する試算についての資料を拝見していて、とても気になりました。2020年度は今のところ白旗を上げている状態ですけれども、2025年度には黒字化するという前提になっており、1人当たりのGNIも相当伸びてはいますが、人口動態、社会保障関係費の伸び等々を鑑みますと、果たしてこのとおりになるのかというのが、直感的に見ても疑問に思いました。

1つ提案をさせていただきたいことがあります。2週間ほど前に都内の大学で、3・4年生の学生に向けて講義をさせていただいた時に、人口動態、財政状況について説明をしたのですが、真っ先に大学の先生が反応しまして、田中さんは学生を脅かしているのかと言われました。その反応に驚いたのですけれども、ふと考えますと、私自身がこの課題に本気で向かい合って考えて説明できていたのかということを反省させられました。その意味では、マクロの数字だけではまだ説得力がないのだと思いました。22歳の学生たちが30歳、40歳になった時、このマクロの数字だけではなく、その時の経済状況に応じてどの程度の収入が得られて、そしてまた、高齢化社会を自分たちで維持するということを前提にした場合に、どの程度の負担率を上げて、それが自分の収入においてどの程度の税金を払って、どの程度の社会保険料を払わなければ維持できないのかということを、リアルに個人ベースの試算で見せないと、なかなか説得できない。それを見た時に、今は次世代への先送りという言い方をしていますけれども、2025年、あるいは更に10年たった時に、負担の限界を超えてしまっているということもあり得るのではないかと。そういった意味で、私自身、様々なデータを見ましたが、今申し上げたようなシミュレーションがなかなか見つかりませんでしたので、できれば、そういったものを個人ベースでつくってみて、本当にこれはサステナブルなのかというのを、当事者意識を持ってもっと議論をこの場でしていくべきではないかというふうに思いました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。今後の財審における審議に向けてということですね。

〔 田中委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 では、中空委員。

〔 中空委員 〕 ご説明ありがとうございました。各論に関しては、これまでやってきました財審の話が入っていると思いますので、あまり問題はないと思いますが、金利が急上昇していることなどを考えると、もう一度目標をきちんと持たなければいけないなと思います。世界経済が、またトランプ政権になった後、どうしてもポピュリズムの台頭というふうに移ってきていて、私たちのようなマーケットにいるものから言うと、そのポピュリズムの台頭とは、金融政策から財政政策へのシフトですという言い方をしています。そうすると、財政政策がどこの国でもどんどん出るというふうに方向が変わったように見受けられて、財政再建をしなくても、しばらくは猶予がありますととれなくもなく、そういった意味では、大変危険な流れになっているのではないかと感じています。

日銀の金融政策も、もう手がなく、最近は超長期の金利が急騰して、カーブのスティープ化というのが起こってきていますので、金利上昇というのが仮にあった場合、この中長期の経済財政に関する試算というのも、全く根も葉もないことになってしまうなという懸念も出てきています。

ですので、いま一度、税収頼みの財政再建ではなくて、歳出をどう絞っていくかに、ここの財審の立場ではよりフォーカスをして話していかなければいけないのではないか、と思いました。

ベースラインケースと経済再生ケースに関しては、毎回様々な方が、経済再生ケースは楽観的過ぎるのではないかということをおっしゃっており、私も含めてずっとそう思っています。内閣府の方に理由を聞いたところ、やはり目標値は必要であるということでした。経済再生ケースという目標を持つのはいいのでしょうが、どうしても経済再生ケースでの財政再建ぶりだけがクローズアップされて、あたかもこのような高い目標さえ到達し得るということを押し出している感じが否めないなというふうに思っています。ですから、財審は正直に今ある問題についてはしっかりと議論しなければならないし、期待感ではなく、できることをやっていく必要があると改めて思った次第でございます。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。

加藤委員。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。

3点ほど申し上げます。今までのお二人の方と同じですが、中長期試算は非常に難しいなというふうに考えております。やっと今回、2025年まできたのですが、多くの方がご存じのとおり、2025年から先が非常に重要なところでして、それがないと、このような楽観的なものがずっと続くのかどうなのかということもあると思いますが、財審自体もこういった2025年以降ということも視野に入れて議論するべきではないかと思います。

また、2020年度のプライマリーバランスについても、前回の試算の5.5兆円から8.3兆円へ赤字幅が拡大したという、中身も曖昧なところもあるような感じもしております。その辺についても、内閣府の試算ですからここで言うような話ではないのかもしれませんが、しっかり考える必要があるのかなというのが1点です。

もう一つは、最近、債務残高に関して少し楽観的なにおいが漂ってきているような、そういった危惧がございまして、特に具体的な言い方をするわけではないのですが、債務はそのうちインフレで帳消しになるというような見方が出てくるのが非常に怖い。やはり我々は債務残高対GDP比をきちんと下げていくのだという目標を、2020年以降ももう少ししっかりと述べていく必要があるのかなというのが、2点目です。

3点目は、社会保障関係費の伸びを、5,000億円の増、実際には4997億円の増に抑制できたということなのですが、個々のところについて、例えば高額療養費のところの様々な現役との違いを押しつぶして、出たところを少し見直していくだけでは、なかなか社会保障全体の膨張を抑えていくのは、これから難しいのだろうと。やはり次年度以降は、医療の定額負担導入ですとか、年金の高所得者の給付の見直しですとか、抜本的な改革をしない限りは、なかなか難しくなっていくのかなというふうに感じました。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

中空委員、どうぞ。

〔 中空委員 〕 もう1点追加でお話ししたいのですが、今マーケットでは、今年中に衆議院の解散総選挙があって、その前倒しで消費増税の先送りがあるというのをまことしやかに織り込み始めています。消費増税先送りになって、更に安倍政権が続くうちは、消費増税はもうないという話が出てくるという話すらあって、それがマーケットに期待感として盛り込まれる恐ろしさというのを日々感じている次第です。そうなると、当然、日本国債の格下げということが起こるはずですので、気にしておきたいところです。既に、現状ではそのようなことが言われていますという話だけですが、付け加えさせていただきました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。

神津委員。

〔 神津委員 〕 ありがとうございます。大きく3つ申し上げたいと思います。

既に各委員からも出ていますが、私も将来世代へのつけ回しをこれ以上増やしてはならないということを申し上げておきたいと思います。人口動態の姿、あるいは足下の国債残高、これは既に相当重たい荷物になってしまっている。私は本来、2012年の与野党の三党合意が粛々と進められるべきであったと思っていますが、現在のように、そのことが非常にないがしろにされているということは重大な問題であり、引き続き政治の世界に勇気を求め続けていかなければならないと思います。目先のポピュリズムで物事を考えては絶対ならないということだと思います。

それから、財政の健全化は、やはり社会全体でどのように支えていくのかという視点が不可欠だと思います。この20年来、格差社会あるいは貧困の連鎖が広がってしまっている中、これをどのように食いとめていくかという意味で、必要な部分は充実を図ることがないと成り立たないということだと思います。そのことによって、税収や社会保険料が、もっと社会全体で支えられるようにならなければ、問題は更に深刻になっていくと思います。そして、個人消費の下支えという観点も欠かせない。子ども・子育て支援、あるいは教育を受ける権利への支援、全世代型社会保障制度への転換、所得再分配機能の強化、こういった側面が大事だと思いますし、働く者、生活者が将来の展望を持てる、そういった社会づくりにつなげていくことが不可欠だと思います。

今回の予算、多少の芽は出てきたと思いますが、水準感なりボリューム感は、まだ相当に不十分だということも率直に申し上げておきたい。また、弥縫策もかいま見えるわけであり、やはり骨太の改革が不可欠だと思います。

それから、3点目ですが、歳出の効率化は、急がば回れの視点も踏まえておくことが必要ではないかと思います。財政状況が深刻ですから、これはあらゆる観点で削減策を考えていかなければならないことは当然ですが、一律的な削減を行うことは、結果として自縄自縛に陥る、そういった要素をはらんでしまうということだと思います。

例えばということで申し上げたいと思いますが、介護保険制度における手直し、このことが重度化の防止や、介護離職の防止という観点で、果たして今後どのような影響をもたらすのかは、厳しく検証をしていくことが必要だと思っています。様々な分野において、何が本当の効率化につながるかを十分に踏まえていくことは極めて重要なことだと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。他にいかがでしょうか。

冨田委員、どうぞ。

〔 冨田委員 〕 「経済・財政再生計画」の目安を2年間きっちり守ってきたということで、歳出については削減ができたということはそのとおりだと思いますが、その結果、平成29年度当初予算のフレームを見てみますと、一般歳出と地方交付税交付金の増加、これはまさに骨太2015に示されました「経済・財政再生計画」どおりに実現できたわけです。なかなか大変な歳出削減、効率化であっただろうと思いますが、その一方で、2つ合わせたプライマリーバランス対象経費の増加分約8,100億円のファイナンスは、先ほどお話があったように、大宗は外為剰余金だというご説明でございました。これが持続可能な姿なのかということを、まず問題意識として持っておく必要があると思います。

先ほどは2025年についてのお話があって、「経済・財政再生計画」では、国・地方を合わせるとプライマリーバランスは黒字化するとのことですが、ベースラインケースで見ると、ものすごく大きな、15兆円もの赤字になります。ですから、なかなか将来というのは極めて不確定、不確実な要素がございます。

何を申し上げたいかというと、これまで掲げてきました2020年度プライマリーバランス黒字化ということを確実に実現していくために、どうすべきかということを検討する必要があろうと。これから先、骨太2015で決まった歳出削減の目安が2018年度以降も続けられるということを想定いたしましても、また、経済再生ケースで成長率が伸び税収が増えても、2020年度はまだ4兆円程度不足するということになります。ですから、歳出削減をこれまでのどおりのペースでやっていて実現できるのかどうかということについても検討すべきではないか。

ただ、2018年度までは「経済・財政再生計画」で行うということが決まっていますので、それ以降のことも含めて、これから春の財審でもって、2020年度の黒字化に向けてどのように進めたらいいのかということが課題であろうというふうに私は思います。

以上が、提言ですが、質問したいことは、平成29年度当初予算のフレームのところで先ほど調査課長より、国債金利の設定についてはお話をいただきました。今般、その他収入ということで、外為剰余金の一般会計への繰り入れということもお聞きいたしましたが、それについて、外為会計の積立金の取り崩しと言いますか、積立金への繰り入れを削減するということだろうと思いますが、その時に幾らの円高までだったら外為会計に損失が発生しないのかなど、そのようなことをお話いただけたらと思います。

関連して、中長期試算についてです。昨年の1月や7月に出たものに比べまして、今申しました外為剰余金のところを含めたその他収入について、やはり水準が増えています。毎年6,000億円程度です。それはどのようなことで推計を増やされたのか、その背景についてお伺いしたい。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、調査課長。

〔 中島調査課長 〕 まず、2つ目のところの中長期試算におけるその他収入の推計のところですが、基本的に足下の数字から成長率で伸ばすという、マクロな推計になっております。

〔 角田総務課長 〕 それから、1つ目については、少しうろ覚えで恐縮ですが、90円台の前半の数字だったと思います。そこが分岐点かと思います。

〔 冨田委員 〕 かつては積立金の水準を資産の30%にすることを目処とするというふうに言ってきたわけですが、これは今回の措置で、もう積立金という概念がなくなったのかもしれませんが、もし当てはめると何%になるんでしょうか。

〔 角田総務課長 〕 確かに残高ベースで、保有外貨資産の30%というのは、平成19年の関税・外国為替等審議会でそのような議論があったと思います。平成29年度の数字ではありませんが、平成27年度末決算ベースでは、保有外貨資産の17.7%程のところにきていたと思います。今回の措置につきましては、平成22年度から25年度まで非常に厳しい状況の中で、一般会計を助けてきたのですが、その後、平成26年度から28年度においては、剰余金を3割以上留保するということを続けてきておりまして、平成26年度から29年度にかけて、仮に今回ゼロにしたとしても、剰余金を3割以上積んできているということにはなっておりますので、そういったことも勘案して一般会計を助けてもらったということでございます。

〔 冨田委員〕 はい、分かりました。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいでしょうか。

では、田近委員。

〔 田近委員 〕 少しミクロ的なことを触れさせていただきたいのですが、本日ご説明いただいた資料の10ページに、平成29年度予算の特徴(各歳出分野の特徴)とありますが、地方財政の話で、昨年財審で議論になったのは、地方の一般財源総額の確保というのが骨太に書かれていたと。ところが、国の税収が予想より少なくなってしまって、地方の一般財源総額を確保するために、交付税が増えてしまうという問題を議論して、結果的に様々な交渉努力があったのでしょうが、一定程度の交付税の増額でおさまった。来年もこれが続くわけで、私が言いたいのは、地方の一般財源総額が保証されれば、それは自由に使っていいというわけではなくて、地方の歳出について、ずっとやってきたように、1つずつ歳出の中身を精査していくべきだというのが来年度に向けての課題の1つかなと思います。

それから、教育についてですが、予算ができた後に天下りの問題が非常に大きく騒がれていて、スキームを見ていたら、文科省が文教センターというところに、様々な資料を買うというので補助金を出したと。そのような補助金が原資の一端となって、OBを雇うお金にも使われた。それも補助金の使い方の一環だと思うのですが、我々の域として、ずっと予算は厳しくされてきて、フロントラインのところでは社会保障関係費の伸びを5,000億円の増に抑える、あるいは一般歳出の伸びを5,300億円の増に抑えるなど、どこまで頑張ったかというところで議論しているわけですけれども、ただ、中身については、今申し上げたように、地方財政、教育について述べただけですけれど、引き続きしっかり脇を固めて議論していかなければならないということが、今、我々に突きつけられていることの1つなのかなと思います。

そういった気持ちを持って来年度、これからの財政運営、今年の予算の執行、更に続く予算について見ていかなければならないと思います。

以上、感想です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

では、小林委員、土居委員の順でお願いいたします。

〔 小林委員 〕 どうもありがとうございました。今年の予算と言いますか、財政健全化目標について、ある意味、財審に、1つ問題を突きつけられたかなという気がいたします。というのは、これまでは2020年度のPB黒字化ということに向けての議論をずっと進めてきた。これも無理だろうという声は多々あったけれども、「経済・財政再生計画」が達成されるということが前提となって議論してきたわけですが、今回、それが達成できないということになってしまった。それが2025年度になるという形になってしまった。財審としてはそれを容認して議論を進めていくのか、進めていかないのか。2020年度のPB赤字を、先ほど冨田委員はゼロという、黒字化達成に向けて議論をすべきだというお話が出ました。私もそう思います。ただ、そこのところは、財審としての方針というか、議論の方向性、目標というのをきちんと全員の共通認識なり、あるいは大前提として議論していかなければ、今後、追認機関なのかという声も一部ありましたし、その一方で、現実離れしていいのかという声もあるわけですので、その2つのバランスを考えた上で、少し検討していかなければならないのかなと、これは感想であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

ちなみに、これは事務方に質問ですが、中長期試算というのは、1月25日の諮問会議に提出されたということですよね。私、1月25日の諮問会議の議事要旨は見ていないのですが、中長期試算が提出されて、当日の諮問会議では新たな試算をめぐってどのような議論がなされたのでしょうか。先ほど2020年の数字を紹介していただいたとおり、当然厳しくなったというわけですが、この新たな試算について、何か議論はあったということなのでしょうか。

〔 中島調査課長 〕 諮問会議の中の議論は、もちろん健全化はなかなか難しいという議論はあったわけですけども、別に政府としてあきらめているわけでもなく、国会におきましても、総理も2020年度のPB黒字化は実現をしていくということをはっきり言っておりますので、2020年度のPB黒字化目標のところが揺らいでいるという状況には、今のところあるわけではありません。

〔 吉川分科会長 〕 そのようなことなのですね。ありがとうございました。

〔 藤井次長 〕 若干補足させていただきますと、この試算がどのような試算になっているかと言いますと、国・地方の歳出については、社会保障は人口高齢化など、様々なパラメーターを入れて推計し、それから、他の歳出も基本的に物価上昇に応じて伸びるというような推計になっています。そういった意味では、歳出抑制をはじめとした政策効果を織り込まないで伸ばしてあると、そのような歳出の構図になっています。そういった前提で、また全要素生産性なども上がっていって、高成長を達成した場合の基礎的財政収支がどうなるかというのが焦点になっているわけですね。それは2025年度まで伸ばすと一応黒字化しますよと、このような姿になっていると。2020年度の黒字化目標というのは、目標としてまだ堅持されておりまして、昨年の夏の試算ですと、基礎的財政収支の赤字幅が5.5兆円ということでございました。これが今回の試算では、国・地方の2017年度税収が昨年の見込みよりも補正によって落ちましたので、その分落として、結局8.3兆円まで赤字幅が広がったという結果でございます。

先ほど冨田委員のほうから若干言及がありましたけれども、今の歳出の改革、「経済・財政再生計画」に定められた目安に沿った改革をそのまま2020年度まで延長いたしますと、この試算対比では、4兆円から5兆円程度赤字幅が削れることになります。そうすると、直近の試算で、それでも3兆円台程度は赤字が残る格好になっておりまして、そういった意味で、昨年の夏の試算に比べて、現時点ではかなり厳しさは増しているということだろうと思います。ただ、この「経済・財政再生計画」の枠組みでは、2018年度に2020年度黒字化達成に向けて、歳入歳出両面について見直して、どのような改革をやるかということを決めていきましょうと、このような枠組みになっているというものでございます。

ですから、この試算をもって、2020年度から2025年度に黒字化目標がずれたというものでもありませんし、そのようなことを意図したものではないということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。そうであるとすれば、この新しい試算ですと、目標として政府が堅持している2020年度の赤字幅が広がったことで厳しさを増したということですから、その意味では、2018年度に見直す時には、昨年の夏よりは厳しいアクションをとらざるを得ないということが確認されるのがロジカルだという感じはしますけれども、そこまではいっていないということでしょうか。

〔 藤井次長 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 土居委員、お願いいたします。

〔 土居委員 〕 今の財政健全化目標の関連ですけども、2025年度に目標を先送りするということは、何の努力もしなくていいと言いますか、何の努力もしたくないと言っていることと同じことですから、それでしたら、どんな弱体化した政権でもできるわけで、そのような弱体化した政権がやるようなことを今の政権がするのは、筋が違うと。やはりここは2020年度の財政健全化目標を、きちんと堅持をして、これをむしろ歳出改革のドライビングフォースにするというぐらいの意気込みで臨んでいただくということがいいと思います。ですから、まさに2020年度の財政健全化目標は、消費税の増税が先送りされてもなお堅持したということで、2017年度の予算編成でも目安が達成できるなど、良い効果があらわれたというふうに思います。ですから、堅持は当然というふうに思います。

その上で幾つか申し上げたいと思いますが、今年は2018年の診療報酬、介護報酬同時改定を議論するという極めて重要な年で、まさに先ほど藤井次長おっしゃったような観点からすれば、本当にどこまで2018年で基礎的財政収支を改善できるか、その残された部分が2020年までで幾ら残っていて、それをどの程度改善していかなければいけないかということを、まさに試す重要な時期になっていると思います。目安は目安としてもちろんあって、その目安にできるだけ近づけられるようにするという努力は必要だと思いますけれども、診療報酬、介護報酬同時改定という、それなりに大きな動きをすることができる時期でもありますので、特に医療と介護については、より良い形で同時改定が行われるということを期待したいと思います。

資料の8から9ページに、先ほど調査課長からもご説明ありました医療・介護の制度改革があって、これはこれまでなかなか実現しなかったものが、ある意味で今回実現できた。とてもいい成果が上がったと思います。

私が個人的に思うのは、今までうまくいかなかった改革がそれなりにできたということの背景には、負担増に対する警戒、ないしは負担増に対する回避を願う国民の力というのは大きかったと思います。つまり給付が増えるということは、それだけ相似拡大的に、税財源のみならず保険料財源の負担も増えるということでありますから、保険料財源が、極端に言えば、国会で議決しなくても、それぞれの保険者の意思決定によって引き上げられるということで、あたかも消費税は増税されていないかもしれないけれども、保険料はどんどん上がっていくということで、本当に大丈夫なのかという、そのような関心は、被保険者のみならず、事業主の保険料負担ということも含めて、それなりの緊張感を持って給付に対して効率化を促す力になって、今回1つの成果を生んだというふうにも思います。おそらく今後の診療報酬、介護報酬同時改定の時にも、給付を増やす一辺倒ということになれば、相似拡大的に、税財源のみならず、保険料財源の負担増というのも強いられるということになりますから、まさか手放しで給付をどんどん増やしていいということではなくて、しっかりメリハリをつけていただいて、適度な形での給付と負担のバランスというものをとって同時改定がなし遂げられるということを、私自身としても期待しております。

それから最後に、先ほど中空委員が懸念を示されたわけですけれども、消費税の増税が2019年10月に予定されているわけですが、それが更に先送りされるのではないかという、そういった話がちらほら私の耳にも入ってくると。しかも、それがあたかも経済理論によって裏打ちされているかのような話があります。「物価水準の財政理論(FTPL)」という理論があって、実は2000年に、おそらく日本語として初めて「物価水準の財政理論」というタイトルを付した論文を私が書いたのではないかと思うのですが、その理論に基づくと、インフレ率の物価目標を達成した後でなければ消費税率を引き上げてはいけないというような帰結が出てくる理論では決してないわけです。確かに財政規律を緩ませれば、それだけ物価が上がる、圧力になるというようなことは言っているのですが、ただ、それで財政破綻をするということを言っているわけではなくて、しっかり返済はきちんとするということをしつつも、財政規律をある程度緩めるという、本当に同時にできるのかということもありますが、できてこそ初めてインフレになるという、そのような理論でありますものですから、その理論に従って消費税の増税を更に先送りをするということを言っているという理論だとは、私は決して思いません。「物価水準の財政理論」が誤った使われ方をしないようなことを私は大変懸念しておりまして、誤解されないようにということを願っております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、続いて佐藤委員、板垣委員、黒川委員の順でお願いします。

〔 佐藤委員 〕 ありがとうございます。まず、2020年度の財政健全化目標ですけれど、これはあくまで決算ベースなので、例えば今年度をとってみても、この段階で我々が手元にしているのは予算ですから、この後、どうせ補正予算も組まれるでしょう。最終的に、財政でいつも思うのですが、財審はいつも予算のほうはよく見ており、今度は2018年度予算について議論をしていくわけですよね。補正に対して目配りが足りないなという気はしています。もし2020年度の財政健全化を真摯に取り組むのであれば、補正も含めて、かつ決算についてもきちんと強くものを言うという姿勢はあっていいのかなというふうに思います。ですから、最近の流れで、最初の当初予算は厳しいけれど、後の補正予算が少し緩いというのがありますので、少しそこに目配りしたほうがいいのではないかなというのが感想です。

あと、最近気になるのは、ポピュリズムについて、我々は警戒したほうがいいと思います。財政健全化という、ヨーロッパも今そうですけれども、結局その旗がポピュリズムのもとでおろされてきている、撤回され始めているというのがあります。それはそれで1つ理由があって、というのは、先ほど神津委員からご指摘のあったとおりで、格差の問題が否めなくて、ヨーロッパもそうですが、特に日本のように、歳出の大半を社会保障が占めている場合、否応なく社会保障を切らざるを得ない。でも、社会保障を切るということは、下手をすれば格差を拡大させる要因に働くということになりますから、ますますポピュリズムのほうにドライビングフォースかけるという、ポピュリズムのほうに人々を走らせるということになります。となれば、どうやって社会保障を賢く使うか、言い方を変えれば、賢く切るかという思考が必要かなと思います。医療であれば、費用対効果。今回のオプジーボなどもそうですが、果たしてコストに見合う効果があるのかどうかということを検証して、きちんとエビデンスに基づいて、いらないものはいらないと切っていき、価格を引き下げていくという対応をしていく。つまり、どのように切るかではなくて、賢く切るというワイズカッティングを少し考えていくということが必要かなという気がします。

それから、最後に、先ほど土居委員がおっしゃった、シムズ氏の議論ですが、日本人はノーベル賞に非常に弱いので、我々、経済学者が悪いのですが、日本人が誰もとっていないものですから、言われてしまうと、弱いですよね。それぞれ個人として言うのはもちろん自由ですけれども、財審としても、FTPLについて、どのような見解を持つかということについて、どこかの場で議論する必要があるのかなと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 今、様々な意見が出ていて、ちょうど12年前を思い出しました。12年前に財審の委員になったわけですが、似たような議論がなぜこれだけ続いているのだろうというのが実感ですよね。例えばプライマリーバランスの黒字化は、先送りの連続でありましたし、それから、補正の問題というのも必ず出るわけですね。おっしゃったように、決算できちんと見るという作業が欠落している。補正はほとんどその間、この場が開かれない。終わってから、はい、こうなりましたと。1年通してみると100兆円超えているではないかという話がずっと続いているわけで、そういったことをもう一度、ここの財審の中で議論の前提としてリセットするということが一番大事かなと私は思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 先ほどから出ている決算については、私の記憶では、ちょうど15年前とおっしゃいましたけど、塩川大臣の頃、決算ということで予算執行調査、以前からあった制度かもしれませんが、かなり大がかりに塩川大臣が当時やられていたという記憶があります。決算をきちんとというのは、いつの時代もあるということですかね。

〔 板垣委員 〕 そうですね。今お話出ましたが、塩川大臣の時には、例の「離れですき焼き」の話が出た時で、盲点になっているところをもう少しあぶり出そうと、このような議論があった時なので、非常にラディカルではあったなという気がいたします。今がラディカルではないとは言いませんけれども、やはりもう一歩踏み込んで仕切り直すということが重要かなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、黒川委員、お願いします。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は大きく分けて、2点申し上げます。まず1点目は、国債の利払費の問題についてもう一度確認したいのですが、財政健全化の目標がプライマリーバランスという指標でありますけれども、国債の利払費というものはどのように扱っているのか、お聞きしたい。目標に対して国債の利払費の伸び、あるいは大きさ、これについてどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。

〔 中島調査課長 〕 財政健全化目標上はPBで置いておりますので、そこに利払費というのは入ってきません。他方、債務残高対GDP比を安定的に右下がりにするという、ストック目標のほうには利払いによる債務残高増も乗ってきますので、そういった意味で、間接的な管理の仕方になっております。

〔 黒川委員 〕 そうですよね。そこで毎年のように、プライマリーバランス目標を達成することは大丈夫なのかという議論をしてきたと思います。それをもう一度確認したいのです。ベースラインケースでも何でも、名目の長期金利の上昇というものを想定している。例えばこの参考資料1の8ページのベースラインケースの場合を見ても、2025年で1.9%、2020年で1.4%を想定しているわけで、しかも、建前として、これは実現してほしいと言いますか、実現すべきだというようなことなのでしょうけれども、実現してしまうと、支払利子額は一体幾らになるのか。そういったことを本当に考えて、2025年以降、これで大丈夫なのか。プライマリーバランスの指標さえ黒字になれば、それで大丈夫なのか、そこまでやはり考えるべきではないかと。ですから、PBの黒字化という指標だけをもって議論していいのだろうか、ここをもう一度確認したいと思います。

それから、2点目は、税収の中身で、中長期試算では、消費税については、仮定を置いておりますが、法人税の仮定が本日の資料では少し分からない。法人税額というものの位置づけがだんだん下がっていて、法制・公会計部会では各税収の中身まで見ているわけですけれども、法人税額の伸びがなかなか回復していません。消費税額と所得税額はある程度回復していますが、法人税額がリーマンショック前の水準まで回復しない段階です。この状況をどのように考えているのか、もしお分かりになれば教えていただきたいなと。

〔 藤井次長 〕 直近の税制改革で法人実効税率5%程度、税率を下げております。中期的に見ると、繰り越し欠損控除の制限や、受取配当等益金不算入制度の縮減などでもって、中期的には税収中立の形で、課税ベースを拡大して税率を下げるというパッケージであり、計算上はそうなっておりますが、税率を下げているものですから、そこがきいてくるということだと思っております。

〔 黒川委員 〕 分かりました。そうすると、全体的に法人税率を引き下げて、企業の国内における付加価値生産拠点というものを大きくしようと、そのような意図がある。それは私も理解しているのですが、そうすると、この財政健全化の中の、税収の中における法人税収というものの位置づけに関して、今まででしたら、法人税額は、国税に関しては消費税額と所得税額と並び3つの柱と考えていたのですが、これから先、今言ったような大方針だとすると、もう3番目ぐらいでずっといいのだと、このようなことを想定されているというふうに理解してよろしいでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 藤井次長 〕 いいのだという言い方ではないですけども、事実上、そうなっているということだと思います。経済活性化のために法人税率を引き下げると、国際的に見ても、主要先進国で法人税率をかなり引き下げておりますので、その中で日本だけ高いというわけにもいかないという中で下げていくというのが流れで、なかなかここから反転はしないのだろうと、このように思っております。

〔 黒川委員 〕 そうだとすると、税収の中身の移行と言いますか、変化というものも考えていかなければならないのではないかと思います。

それから、それについて財審の場で考えるかどうか分かりませんけれど、税収というものに対して考慮するのであれば、今言ったような大きな流れについても考えていかなければならない。

それから、もう少し細かいところまで言うと、各企業が多国籍化していきますと、かなり新聞でも取り上げられていますけれども、租税回避、節税というものは当然ながら図るだろうとは思います。企業は実質無借金だなんていうようなことも言われている中で、法人税額の伸びがいまいち鈍化していますが、それが法人税率だけの問題なのか、あるいは国際的な過度な租税回避によるものなのか。そういったものが原因として1つあるのかどうかということについて、何か事務局としては考えているところがあるか、少しお聞きしたい。

〔 藤井次長 〕 すみません、さすがに現役主税局員ではないものですからお答えは控えさせていただきます。問題意識は省内で共有したいと思います。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 すみません。これは税制調査会の議論なので。おそらく、田近先生が一番お詳しいかと思いますけれど、国際課税につきましては、OECDの中で、外国法人の合算方式の見直し等の、BEPSの動きがありますので、国際協調の枠の中で、いわゆる過度な租税回避に対する対応というのは粛々とやっていると。それは十分かどうかと言われたら、また別で、抜本的に何とかしろと言われたら、今おなじみの国境税の話になってきて、国境税というと聞こえが悪いですけれど、要するに仕向地主義の課税への転換ということ。平たく言えば、これは消費税なのですね。

先ほど税収の話が出てきましたけれど、法人税はほとんど当てにならないというのが現実です。法人税は対外的な関係がありますので、我々だけでは決められない。それから所得税は、あまり期待されては困るという言い方も変ですが、格差是正というもう一つ大きな目標がありますので、所得再分配機能ということを考えれば、お金持ちからはとるけれど、所得の裨益を与えない。税額控除であれ、給付であれ、何らかの形で配るということを名目にしていますので、ある意味で、再分配機能の中に位置づけられる。もちろん税収確保もしますけれども。もし税収を大きく確保したいということあれば、やはりその軸になるのは消費税なのであり、ですから上げなければだめだという話を散々しているということだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、他にいかがでしょうか。よろしいですか。特になければ、本日の議論はこれで終了ということにさせていただきます。

なお、本日欠席の岡本委員より意見書をご提出いただいており、皆様のお手元にお配りしております。

本日の会議の内容につきましては、大変恐縮ですが、私にお任せいただき、記者会見でご紹介させていただくことにさせていただきます。

次回の日程ですが、これは調整の上、改めて事務局よりご連絡をさせていただきます。では、どうもありがとうございました。

午後4時09分閉会

財務省の政策