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財政制度分科会(平成28年11月10日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成28年11月10日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成28年11月10日(木)15:45〜17:36
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題

  • とりまとめに向けた審議

3.閉会

出席者
分科会長 吉川  洋 大塚副大臣
三木大臣政務官
杉大臣政務官
福田主計局長
可部次長
藤井次長
茶谷次長
角田総務課長
江島主計官
安出主計官
司計課長
青木法規課長
高橋給与共済課長
中島調査課長
八幡主計企画官
竹田大臣官房参事官
嶋田主計官
小宮主計官
泉主計官
奥主計官
阿久澤主計官
廣光主計官
岩元主計官
中山主計官
内野主計官
委員

遠藤典子

大宮英明

倉重篤郎

黒川行治

竹中ナミ

中空麻奈

臨時委員

板垣信幸

伊藤一郎

老川祥一

葛西敬之

小林  毅

佐藤主光

末澤豪謙

十河ひろ美

田近栄治

宮武  剛


午後3時45分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

皆様には、ご多様中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、建議のとりまとめに向けて、お手元にお配りしております平成29年度予算の編成等に関する建議(案)について審議していただきます。

本日お配りしている建議(案)につきましては、これまで小林委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員にご議論いただき、とりまとめていただきました。委員の皆様、どうもありがとうございました。

本日の建議の審議の進行ですが、全体を4つに分けて審議したいと思います。まず建議の総論について、続いて各論のうち社会保障について、それから地方財政、教育、科学技術、社会資本整備について、最後に農林水産、エネルギー・環境、中小企業、政府開発援助(ODA)、防衛についてと、全体を4つに分けて審議を進めたいと思います。

なお、神津委員、永易委員におかれましては、本日ご欠席のため、意見書をご提出いただいており、皆様のお手元にお配りしております。適宜ご参照ください。

それでは、早速、議事に移らせていただきます。

まず、総論についてご意見をいただきたいと思います。どなたからでもどうぞ。

〔 倉重委員 〕 まず、総論の最初の2段落目のところ、前回の5月18日に出した建議で、消費税率10%への引上げについて、「着実にかつ遅滞なく」という条件をつけて提言したことに対して、2週間もたたない6月1日に、消費増税の先送り表明が安倍首相からあったわけです。

財審がここまで明確に提言したことに対して、全くそれを一顧だにしないような形での表明があったことについて、その後に、そのことに対する評価があまり明確な表現として見当たらずに、最後に「注視を続けたい」という程度でおさめている。全く反対の結果が出たということと、そのような増税先送りとともに経済対策を発表したことについても、財政再建の立場で、財政の健全化と、成長戦略による結果的な税収増については、あくまでも同時並行で行くべきだという我々のセオリーに対しても、全くそれとは違う、いわゆる経済対策だけで財政のつじつまを合わせようとするような政策を政府が発表したことに対して、やはり財審としてのそれなりの遺憾表明があるべきではないかと感じました。それがないと、2週間でがらっと変えられたことに対する財審の立場がないのではないかなと、私は感じました。

また、それにもかかわらず、財政健全化を求める論拠として、例の人口問題が挙げられています。1ページ、22行目の「他方、少子高齢化が」というところです。これは、要するに、国勢調査ベースでは初めて人口が減ったというご指摘ですが、人口減についてはもう既に、今年が初めてではなくて、推計人口データでは、おそらく2008年頃から減っているわけです。ですから、ここの局面にこの事例を持ち出して、「だから」と言うのは、少し論拠として弱いという印象を受けました。

その後に、2ページの15行目、「政府としては、真に必要な分野に歳出を計上し経済成長を支えるとともに、財政規律を維持することで家計や企業の将来不安を払拭し、個人消費や設備投資の回復」とあります。やはりここの家計や企業の将来不安というところが、一番ここで主張すべき大きなポイントだと思うので、これをもう少し強調できるような文案にしたらいいと思いました。

それからもう一つ、2ページの19行目に、これはおもしろい話だと思いましたが、リスク対応の予算という位置づけがあります。これはまさに震災などを想定した強い経済、政策余地を残すべきだという主張です。ここも、世の中の人が一番心配している、これから先、東南海地震や、首都直下型の地震が起きた時に、本当に財政的な対応余地があるのかという部分で、すごく胸に響くところだと思うので、ここが書き込まれたことは非常によかったと思いますと同時に、東日本大震災や熊本地震で、どのような形で財政的余地、対応余地が限定されたのかという、数量的な証明のようなものもしていただけると、より説得力が出るのではないかと感じました。

それと、3ページ目の13行目から2020年度のプライマリーバランスの黒字化についての表現があります。「財政健全化には一刻の猶予も許されない」に続いて、いつものように2020年度黒字化が来るのですが、「一刻の猶予も許されない」という言葉は、一刻どころか相当猶予し過ぎてきている中で、「一刻も」というのは、いかにも取ってつけたような、読んでいる人に響かない言葉だと感じました。何か言い方を変えられないのかなという感じがいたしました。

最後に、コラムがあります。おそらく、これは前回の建議でしっかりと主張しているところだから、今回はコラムでという形になったのかと思いますけれども、しかし、ここが、財政健全化すべきだ、主要国と同じような形でなぜ日本だけができないのかという、一番説得力のあるくだりのような気がします。結果的に、最後に書いてある結論も、なかなか意思表示が明確になっておりますので、これはコラムという枠を外して、そのまま本文に入れたらどうかという印象も抱きました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、5点あったかと思いますが、全てでなくても結構ですが、起草委員の先生方、適宜お答えがあればお願いします。

〔 田近委員 〕 いずれも伺っていて、もっともなご指摘だと思います。書きぶりについては、最初のところ、こちらが消費税率の引上げを提案して、そのすぐ後にそれが先送りされた。それで、「注視を続けたい」でいいのかというようなご指摘ですよね。それは、こちらで検討させていただきます。また、将来不安を払拭したというところがポイントだという点も、意を得たりということで聞きました。

私が聞いた中で、具体的に、少なくとも脚注で受けたほうがいいなと思ったのは、大規模な自然災害リスクの所で、東日本大震災でどのような予算措置があったのかということは、数字をつけて書いたほうがいい。倉重さんもそのようなご趣旨ですよね。

〔 倉重委員 〕 はい。

〔 田近委員 〕 そこは、これからのことも考えて、書き込んだほうがいいと思いました。

最後のコラムのところは、これだけの分量をどうするかというのは、引き取らせていただきたいと思います。

〔 小林委員 〕 国勢調査の件ですけれども、確かに今更感はありますが、やはり国勢調査というのが一番権威のあるものであると。しかも、それがこの建議を検討する直前に出ているということであれば、これはやはり逆に入れないと、国勢調査の話が出ているのにどうして入れないのかという話になるのではないかと。将来人口推計などは確かに出ていますけれども、やはり一般の人からしてみれば、国勢調査というのが、何しろ自分のところに調査票が来るわけですから、その結果は1つ大きな意味合いがあるのではないかという判断で、たとえそれが今更感があったとしても、入れるべきではないかと思いました。

もし、今のお話を引き取るとすれば、例えば「将来推計人口などでも出ているが」と入れてみる。逆にそれを入れると、少し国勢調査の重みが薄れてしまう可能性もあるかなという気はいたします。これは私の考えです。

〔 吉川分科会長 〕 1点目は、過去の財審の建議等でも問題になったと思います。つまり、過去こうすべきだったのになという、英語の仮定法過去ですか、should haveのことをどの程度書き込むかというのは、毎回問題になる点かもしれませんが、これは起草委員の先生方にお任せしたいと思います。

続いて、板垣委員、大宮委員、佐藤委員の順でお願いいたします。

〔 板垣委員 〕 ありがとうございます。起草委員の皆様、お疲れさまでした。

いつもよりも冒頭の総論が短いような気がいたしました。簡潔であることはいいですが、実は倉重委員がおっしゃったような部分、私も同様な感じを持ちました。

その上で、個別のところを行きますと、例えば1ページの20行目、「当審議会としても、対策がその目的を確実に達成することができるよう、注視を続けたい」。「できるよう」というのは、何かお任せという感じの印象があって、この辺があまりにもさらっとし過ぎて、むしろ「確実に達成できるのかどうか」と疑問文の形にして「注視したい」と続くようにすれば、財審として半分程度懐疑的に見ていると、そのようなにおいを少し潜り込ませるということがあります。

それから、3ページの一番最後ですけれども、「個別の歳出分野における事情を背景にその実現が左右されてはならないものであることを強調したい」。私たちには、言っている意味は分かりますけれども、一般の人はこの文章を読んでもあまり分からないだろうと思います。つまり、無駄な肉づけはせずに、必要なところにはきちんとやった上で、この枠組みを守っていきなさいということですけれども、もう少し言葉が必要かなと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。では、大宮委員。

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。実は様々なレポートを私も最近調べてみたのですが、野村証券の今年の4月25日のレポートに、給与所得の400万円以上の就業者は、2002年から2012年にかけて250万人減少している一方、給与所得が300万円以下の就業者は、同時期に400万人増加しており、非常に低収入の人が多くなっているというデータが示されている。経済界としても、安倍政権の要請に応えて2年連続の賃上げを行ってきておりますが、税や社会保険料負担というのは、引き続き増えているのだろうと思います。若者世代を中心に、負担の不公平感、将来の不安や消費の抑制という形で、負のスパイラルを引き起こしているのではないかと懸念をしているわけでありますが、この不公平感を払拭するために、年齢層や所得層ごとの受益と負担の関係をデータに基づき科学的に分析して、必要な制度改革を行うということが、重要なのではないかと思います。

シンクタンクや研究機関の既存の研究成果を活用して、また、財務省からも説明をしていただいたのですが、その辺のところのデータの収集と分析を行って、その分析結果に基づいて、国民に分かりやすく、負担と受益を説明する必要があるのではないかと、非常に強く思っております。短期間でできるかどうか、少し難しいかもしれませんけれども、7ページの23行目あたりがいいのか、社会保障がいいのか分かりませんけど、注書きでもいいかもしれませんが、「若者を中心に収入があまり伸びていない一方で社会保険料負担が増えており、社会システムの公平性について不信感が高まっていることが懸念される」と。「各年齢層や所得層ごとの受益と負担の関係を把握するなど、データに基づく科学的分析を行った上で、必要な制度改革を講じることが重要である」というような形で、ぜひ記述していただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ちなみに、ご参考までということですが、おっしゃった家計類型別、世帯別、所得水準別での様々な社会保障、税負担等の負担と給付の出入りについて、内閣府がかなり詳細な一覧表をつくって、今、大宮委員がおっしゃったことにも、もちろん数年前になっているわけですけれども、その時点での資料というのは内閣府が用意したのではないかと思います。それが1つの足がかりにはなるかなと思って、ご参考までにお知らせしました。

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、続いて佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 3ページのところで、「これに対し、我が国の債務残高」と出ているのですが、ここで急に、「政府債務残高が民間金融資産残高を上回る等の試算」と、何か少し唐突感があって、そもそも今この段階で、なぜ金利上昇リスクというのが顕在化していないのかと。それは、理由は大きく2つあって、1つは日銀が買ってくれているから、2つ目が、おそらく国内で消化されているからと。前者については、いずれ出口が来るし、さすがに限界があるでしょうと。後者については、今ここに書かれているとおりと。何か少しそこのあたりをきちんと整理しないと、いきなり見た人が分かるのかなというのが1つです。

それから、5ページのコラムのところで、私個人的には、ギリシャの話をきちんとしたほうがよくて、やはりギリシャも、ある意味強制された形で財政再建をして、結果的にはいまだにかなり苦しんでいるわけで、もし財政再建をするのであれば、それは破綻前に自分たちのイニシアチブの下でやるべきであって、破綻してからの財政再建はより痛みが大きいという、そのような証左だと思います。もちろんフランスやイギリスの努力も紹介する上では大事ですけど、ある種の教訓として、外部から強制される、ある意味市場から押しつけられる財政再建というのは、より痛みが大きいのだということを書いたほうがいいのかなという気がしました。

あと、7ページのところ、これも「財政健全化を進めていくに当たって」というところが一番下に書いていますが、ここでなぜこの話が出るのかいまいち分からなくて、財政健全化の話をしたければ、言うべきことは社会保障費の抑制、適正化、特に医療・介護関係の適正化であって、その中の負担をどう配分するかは、ある意味、公平の問題にかかわる。もちろんそれは、社会保障の中で記述するのはいいことだと思いますが、財政再建ということであるならば、いかにマクロの意味での社会保障費を抑制していくかという、ここに全てがかかっていると思ったほうがいいと思います。それをやる上において何らかの納得感が必要だということであれば、世代間格差の解消というのは、抑制する上での1つの説明としてあり得るかと、何かそのような議論になるかなと思いました。

また、8ページですけれど、相変わらずなので、補正予算の話をしておいたほうがいいと思います。冒頭でいくらきれいな予算をつくったって、後で補正されてしまったら、今回みたいに、元も子もないと。あくまで財政規律というのは当初予算だけではないと、補正予算も含めて考えていかなければならないということは、きちんと言っておいたほうがいい気がします。

最後に、2ページのところ、まさにリスクに備えるですけれど、せっかくトランプ大統領も誕生したことですから、これも明らかに日本経済のリスクであるということは、書いてみると、何か非常に新しい感じがすると思います。

〔 吉川分科会長 〕 起草委員の先生。

〔 田近委員 〕 大宮委員と佐藤委員2人からご意見があって、まず、佐藤委員の意見は非常に大切なところを突いていると思いました。意見は7ページの18行目のところからですよね。

〔 佐藤委員 〕 そうです。

〔 田近委員 〕 財政健全化を進めていくに当たっては、最大の課題は社会保障分野であり、社会保障分野では、負担と給付がアンバランスのほうに行ってしまっている。

財政健全化を進めるに当たっては、最大の歳出である社会保障関係費の特に医療等の抑制が必要であると、そのように流れるべきだろうと。

〔 佐藤委員 〕 まず総額を抑えないと。

〔 田近委員 〕 総額を抑えて、その中で、今度は大宮委員ご指摘のように、負担と給付のバランスが重要になってくると。大宮委員のご指摘はそのとおりで、むしろ税調のほうでその点、若年の人たちの所得が伸びないというようなことを言っていますけれども、ただ、この社会保障のほうは、もう少し結果的には厳しいことになって、社会保障の給付抑制をしていく、そして、それは結果的に社会保障関係費を縛っていくことになるのですが、その1つの帰結として、社会保険料がまだもう少し上がっていく。特に組合健保の医療費も含めて、今、8%、10%を切っているところは更に上がっていく。そこの負担をどうシェアするかという問題も、同時にあると思います。

ですから、ご指摘の点は今、全部答えられませんから、踏まえていくと、私の答えは、佐藤委員のご指摘のとおり、財政健全化を進めるに当たっては給付の抑制が必要である。その時に、負担の公平を考えていかなければいけない。大宮さんのご指摘の点は、今すぐに頭の中で整理できないので、そこは頭を少し冷やして対応させていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ、中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。金利の話が出たのですが、3ページに佐藤委員から、金利上昇リスクだけ書いているというご指摘がありまして、そこは実は起草委員でも悩みまして、7ページに、「国債金利が極めて低水準で推移している」という主張を入れました。今、マーケットでは、金利が低いから財政再建はできているという話があり、放っておいても、マイナス金利ですから、どんどん利払いが減っておりまして、私たちはそれも知っているということを書くつもりでここに入れています。その後に、これだけ債務が大きいと、金利が上昇した場合に利払負担は極めて大きくなって大変ですよということを、7ページでは書きました。

同じことがまた3ページでも必要かどうかという時に、不要であると判断して抜いたというのが経緯ですが、でも、やはりあったほうがいいということであれば、もう1回検討したいとは思っています。しかし、何となく冗長かなという点と、金利が低いことは高騰に比べればそれほど問題ではないという点から、3ページでは抜いたということを説明させていただきます。

あと、大宮委員がおっしゃったのは、おそらく、2005年か8年に内閣府が出しているものだと思いますが、私たちが内閣府もしくは民間の研究機関に依頼した場合に、新しい数字でやり直していただくようなことができるのでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 とりあえずは財務省の事務方に聞いてみましょう。

他にいかがでしょうか。末澤委員。

〔 末澤委員 〕 細かい話ですが、先ほど人口のお話が出まして、国勢調査について、私もこれは必要だと思いますが、一応国勢調査は2月に速報が出ていまして、10月は確定値なので、できれば(確定値)と書くほうがいいかなと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 他にいかがでしょうか。板垣委員。

〔 板垣委員 〕 7ページの2行目で、「国債金利が極めて低水準で、金融緩和政策が大きく影響しているものであることを忘れてはならない」とあり、様々な意味を込められてこう書かれたと思うのですが、要するに金融緩和によって支えられている、管理相場として維持されていると、そのようなニュアンスが出るような文言のほうがふさわしいのかなと。それは、いつまでも続けられることではなく、いずれ出口があり、やはりその辺のリスクを考えるべきだというニュアンスを込めて、ここの文章をもう少し書き加えたほうがいいという気がしました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。では、これも起草委員に。

他にいかがでしょうか。よろしいですか。

では、とりあえず進んで、また最後に、時間が許す限りで戻っていただくという形で、次に進みましょうか。

2番目は社会保障です。どなたからでもどうぞ。黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は1カ所だけ、9ページの9行目、「我が国は、OECD諸国と比較すると、対GDP比でみて、社会保障支出の水準が中程度」とあるのですが、以前も出していただいたグラフを見ると、日本も2011年頃にドイツ並みになったので、これは中程度という言葉よりも、もう既に中程度を超えている、あるいは中程度を超え高程度に至りつつあるなど、そこまで言うと強いかもしれませんが、中程度ではないと書けないものか。

〔 田近委員 〕 医療統計の保健医療支出の中に、介護費用まで含まれることで、まさに黒川さんのおっしゃったことがあって、今は対GDP比で、確か11%程度でしたか。

〔 阿久澤主計官 〕 11.4%です。

〔 田近委員 〕 そうですよね。ですから、黒川委員がおっしゃったことはそのとおりということで、認識していいですね。

〔 阿久澤主計官 〕 今、田近委員がおっしゃったとおり、医療支出に関して、OECD諸国との比較で見ると、上から3番目程度の水準になっています。もう一つ考えるべきは、社会保障全体で見た場合にどうかという点で、委員ご指摘のように、確かに上がってはきております。ただ、価値判断として、これは中程度ではなく、かなり高いほうなのかというのは、分布として固まりがあるものですから、表現ぶりは少し工夫が必要だと思います。特に黒川委員のご指摘は、おそらく上がってきているという傾向を出すべきということだと理解していますので、その辺のニュアンスを、起草委員会の先生方とご相談したいと思います。

〔 田近委員 〕 数字を入れてね。

〔 吉川分科会長 〕 黒川先生、それでよろしいでしょうか。

〔 黒川委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて老川委員、伊藤委員、竹中委員、宮武委員の順でお願いします。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。意見というより質問ですが、9ページの15行目、「特に、医療分野については、医療費全体の伸び率を上回る形で伸びていく」、これはどのように読んだらいいのか。

〔 田近委員 〕 14行目、「医療・介護分野を中心に、社会保障関係費が更に増加していくことが見込まれ、特に医療分野については、医療費全体の伸び率を上回る形で」社会保障関係費が増加していく。これはなぜだということを中で議論したのですが、比例的に公費が伸びているなら、給付が伸びるなら、それは比例的ではないかと。ところが、75歳以上の人口が増えると、そこでの社会保障関係費の伸びが増えていくわけです。もっとこの辺をうまく説明できればいいのですが。

〔 吉川分科会長 〕 おっしゃりたいことは一応理解できたと思いますが、老川委員ご指摘のとおり、日本語として、必ずしも完全に表現できていないと思います。ですから、起草委員のほうで分かりやすく直していただくと。

〔 田近委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 ご指摘ありがとうございました。

〔 老川委員 〕 それから、22ページの19行目、「必要な医師数の増加につながるように、特定地域・診療科での診療従事を医療機関管理者の要件とすること」、これはどのような意味なのでしょうか。つまり、必要な増加につながるようにするというのは、全くそのとおりだと思うのですが、この医療機関管理者の要件とするというのは何を指すのでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 ひとまず、主計官から、ここでの趣旨をもう一度説明してください。

〔 阿久澤主計官 〕 これは、社会保障の2回目の議論の時に、私が論点として示させていただいたものを、建議としておまとめいただいているものだと思います。問題は、医師数において、マクロで増加はしているものの、特定の診療科もしくは地域においては、まだ過不足、偏在が存在していると。その偏在を是正するためには、マクロの医師数を増やすだけではなかなか限界があるので、一定の規制的な要素を入れて、その偏在等の是正をする必要があるだろうと。

その偏在の規制の、あくまで例として、例えば医療機関の管理者になるためには、特定の地域や診療科での経験をしていることを条件にすることによって、僻地に行っていただく医師の数を確保していこうとか、もしくは、必要な保険医や診療科の数をある程度医療計画等に定めることによって、その偏在をある程度是正できないのかと、そういった観点から提案させていただく部分であります。

〔 吉川分科会長 〕 分かりました。そうすると、まず、文章が長過ぎると思いますし、18行目から、全体もさることながら、診療科、あるいは地域で足りないという意味での偏在があるということですよね。「という問題がある」と、問題の所在を書いていただいた後に、「それの是正のためには」という形で続けていただく。いずれにしてもここは、起草委員の先生方と文章をもう一度分かりやすく工夫していただくということで、お願いできればと思います。

〔 老川委員 〕 この医療機関管理者というのは、診療所の所長などという意味ですか。つまり、マクロでは数は足りているけれども、地域や診療科目によって偏在があって、そこをきちんと見ていかなければならないというのは、全くそのとおりですが、この医療機関管理者が何を指すのか分からない。

〔 吉川分科会長 〕 おそらく、管理者になりたい人はその診療科を選ぶというインセンティブを与えると、そういったことですね。

〔 阿久澤主計官 〕 はい、会長がおっしゃるとおりでありまして、例えばですけれども、地域医療支援機関などに指定されている病院がありますけれども、そういった病院の管理者には、一定程度そのような経験を有した方でなければなれないとすることによって、インセンティブを与えることにならないかということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 その辺を、もう少し分かりやすく、起草委員の先生方と日本語を工夫していただくということでよろしいでしょうか。続いて、伊藤委員ですね。

〔 伊藤委員 〕 ありがとうございます。個別の問題ですが、介護納付金の全面総報酬割が、15から16ページに書かれております。介護納付金の全面総報酬割の導入については、前の社会保障の回に、私を含めて複数の委員から、時期尚早であるという意見があったと思います。それは、16ページの注の18に一応書いてはあります。しかし、応能負担の考え方ということを言うのであれば、むしろ受益者である高齢者世代に応分の負担をしていただいて、現役世代の負担増の抑制に比重を置くほうが、考え方としてはいいのではないかという気がします。

現状は、高齢者負担の見直しをはじめ、給付の適正化や効率化は十分に進んでいない。その分、現役世代に負担が求められているというのが実情だと思いますので、16ページの10行目に、「速やかに移行すべきである」と、もう結論づけられてしまっているのは、我々としては、違うのではないかという気がします。

〔 吉川分科会長 〕 では、田近委員。

〔 田近委員 〕 全体的に見れば、私の考えはかなり基幹的なところで、後期高齢者の支援金のほうが総報酬割に移行していくのに伴って、今度は介護納付金についても総報酬割に行く。伊藤委員のご趣旨は全て理解していると私は思いますけれども、財審として、どう書くかという時に、やはり私の意見は、日本の後期高齢者、介護保険の被用者負担の在り方として、総報酬割にしていかざるを得ないのではないかと思います。

我々としては、伊藤委員のご指摘のとおり注釈の18で受けさせていただいたということで、検討させていただきますけれども、この時点では我々も、ここをなかなか書きかえづらいなという気持ちはあります。

〔 伊藤委員 〕 おっしゃるように、平成29年から後期高齢者支援金の総報酬割が決まっているわけですね。それはもう決まったことですけれど、それと同じようなことが現状で介護保険でも導入されてしまうと、現役世代全体にとっては二重の負担になるのではないか。そこは今、配慮が要るのではないか。

〔 田近委員 〕 それ自身は、後期高齢者の支援金、そして介護給付における被用者負担という、それぞれの制度があるわけで、二重というわけではないと思います。同じものを2回払わされるというわけではないです。

〔 伊藤委員 〕 そういった意味ではありませんが、2つということになりますよね。少しご検討いただければありがたいということであります。

〔 吉川分科会長 〕 では、関連して大宮委員。

〔 大宮委員 〕 やはり同じような意見です。先ほど申し上げた年齢別や所得別の受益と負担を示すことで、もう少しこの辺も科学的に分かるのではないかと思います。ですから、完全に反対しているわけではありませんが、平成29年度に、先ほど伊藤委員がおっしゃったように、もう既に始まるものがあって、それに上乗せして始めるというのはいかがなものかなと。そのような意見であります。

〔 田近委員 〕 もう一つ、ここに書いてあるように、日本の制度の次元でいうと、やはり協会健保、それは全部ではないですけれども、中小企業の労働者グループ、それから組合グループ、その間で賃金が違うと。ただ、協会健保のほうには国庫負担が入っているため、そうすると、我々は最初に総論で、社会保障に係る国庫負担、社会関係費をどう抑制していくのかという議論に立つ時に、総報酬割にすることで、ありていに言えば、組合保険のほうに余計に払ってもらうことで、協会健保のほうの国庫負担を減らすということですよね。我々は全部それを分かっていてしゃべっているわけですけれども、ですから、根っこの部分の、最初の総論の部分ともかかわる。それが、何とも日本的な制度の中では、このような帰結にならざるを得ないのではないかというのが、私の理解です。

〔 吉川分科会長 〕 では、関連で、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 財審の委員の中にも様々な意見があって、全く無視できるような意見はともかく、複数委員から何か指摘があった場合には、欄外で記入するのではなく、本文の中でできるだけ消化するという努力を、ぜひやっていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 それは、確かに従来もそのような配慮はしてきたと思います。では、そのご意見も踏まえて、もう1回起草委員、事務局、それからまた、強い意見を持ちの委員の方々の間で、調整していただければと思います。

〔 板垣委員 〕 念のため、私はこの表現には賛成です。

〔 吉川分科会長 〕 では、続きまして、竹中委員、宮武委員の順でお願いいたします。

〔 竹中委員 〕 起草委員の皆様方、本当にありがとうございました。お疲れさまでした。

私は自分の分野である障害者福祉のところの27から28ページについて、発言をさせていただきます。雇用が改善されたというのもありながら、障害者に関しては、ほとんどずっと給付する立場といいますか、サービスを提供する側の話というのが続いて、最後に少し就労が出てきますが、やはり前段のところで、例えば13行目に、「障害者が真に必要なサービスが効率的・重点的に供給されるよう」というところに、「必要なサービスを受けるとともに、社会の支え手となるような」という文言をぜひ入れていただきたいなというのが1つです。

それから、28ページの6行目、「就労系支援については」というところから、最後に「企業のニーズに合っているかの視点でモニタリングしていくことも重要」と、初めてこのような文言が入ったのですが、私どもが就労支援を26年間やっていて、様々な企業から聞くのは、やはりこれだけ仕事のアウトソーシングというのが一般的な働き方にもなっている中で、なぜ障害者だけが雇用であって、アウトソーシングで生計を立ててはいけないのか、タックスペイヤーになってはいけないのかという声も、企業側からも相当多数いただいています。

そのような形で、来年度からは、プロップステーションのある地元の兵庫県神戸市と厚生労働省とでタッグを組んで、そういった企業にアウトソーシングを図っていくための新たな取組をやっていこうということで、今、話し合いといいますか、地方自治体の議会にも諮っているのですが、そのような視点からいうと、11行目の最後の「障害者のニーズに合っているかとの視点だけでなく」の後などに、法定雇用率制度の柔軟な運用であるとか、発注率の法定雇用率制度への算入であるとか、少し具体的な推進施策も入れていただければ、ありがたいかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 具体的なご指摘、ありがとうございました。では、宮武委員、お願いします。

〔 宮武委員 〕 ありがとうございます。介護保険で2点申し上げます。17ページに、「介護保険における利用者負担の在り方」とありまして、最終的には15行目に、「要介護度区分ごとに軽度者の利用者負担割合を引き上げるべきである」と書いてあります。例えば要介護の1や2というのは2割負担にする、要介護3以上は1割負担にするというような制度設計が想定されるわけですね。そうすると、重くなるまで待ったほうが負担が軽くなると、このような捉え方も当然あるわけですね。

それは極論であるにしても、現場ではどのようなことが今起きているのか。介護予防と重度化防止に一生懸命取り組んでいる市町村は、数は少ないけれど随分出てきました。例えば埼玉県の和光市、あるいは大分県は、大分県ぐるみで市町村がやっています。介護予防をやると、当然ながら自立した人が出て、利用者が減る。それから、重度化防止をして、要介護3の人を要介護2にすると、報酬は減る。それが、現場の悩みです。成功報酬はないですから。

そこにこのような仕組みを入れたら、要介護3の人を要介護2に、一生懸命頑張ってやっても、喜ばしいはずなのに、本人にとっては自己負担が2割に引き上がるという矛盾が起きてくるわけですね。働きかけている職種はとても困りますね。本人もあまりうれしくはないですね。

ですから、このような断定的な書き方は、私は反対であります。私はやめるべきだと思っていますけれども、起草委員がどうしてもこれが必要であるとしたのであれば、どうするか、ご検討いただきたい。

同じような文脈で、18ページに、「軽度者に対する福祉用具対応等の在り方」とございまして、これも25行目あたりに一番強烈に、「軽度者(要介護2以下)に対する保険給付の割合を大幅に引き下げる」とあります。確かに福祉用具の貸与の世界というのは、参入が非常にやりやすいものですから、業者が乱立気味で、その質も極めてばらばらです。その中で、ご指摘のような価格をめぐる問題がいっぱいあることは確かです。

ただ、福祉用具というのは、ご本人が自立するためにも、また介護者が労働を軽減され、なおかつ介護者の人数を少なく抑えるための、極めて重要なツールです。これをうまく使うことによって、随分要介護度を改善する。障害者の世界でも同じことは言えるかと思いますけれども、そういった意味では、一般的に杖や押し車型の歩行器、車椅子など、日本の場合、こういったものの活用の仕方がまずい。それを直せば、極めて有効なツールになっていく。介護ロボットよりも、このような一般的な安い福祉機器のほうが、有効です。

そのことを基本的な認識にしていただいて、特に要介護2以下で、重度化防止を徹底的にやることによって、要するに、自宅で頑張れるということです。ですから、このあたりのところで保険給付の割合を、例えば大幅に引き下げる、自己負担で全部借りろということになると、借りる人がいなくなって大変困ると思いますので、これも私はご再考願いたいと思っております。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、田近委員。

〔 田近委員 〕 ものすごく大切なことをご指摘になったと思っています。基本的には同じ趣旨ですね。軽度者に対する負担を引き上げたり、あるいは福祉用具の使用料を上げたりすれば、状態を改善しようという努力に水を差すのではないかということですよね。それは私も関心があって、介護保険自身に言える問題で、要介護度3や4でも、その人たちの要介護度を下げていくというインセンティブが、その当事者たちにあるのか、それが介護保険の中にあるのかというのが大問題で、実際、なかなか要介護状態が改善されるというのが見られない。

おっしゃるとおりですが、現状の中で予算をつけるとすると、こうなってしまう。こちらでもちろん検討するし、また非常に大きな問題なので、表現ぶりを含めて、また宮武委員自身にも少し相談させていただいて考えたい。ただ、財審としては、介護保険を通じて要介護度を下げていく努力を考えているというのは、大切な点だと思います。

〔 吉川分科会長 〕 他の起草委員の方、よろしいですか。では、末澤委員。

〔 末澤委員 〕 13ページの2のところと、24ページのところ、「高額薬剤であるオプジーボの薬価改定について、確実に実現し、できる限り平成29年度」とあります。こちらについては、この審議会でも議論しましたので、この表現はいいと思うんのですが、ただ一見、オプジーボだけが狙い撃ち感があって、実は2015年度、既にもう医療費の3%に対して調剤費は9%ほど伸びているので、まず初めに、「高額薬剤の薬価を適切に見直すべきである。特にオプジーボの」というふうにしたほうが、いいのではないかと。

〔 田近委員 〕 すみません、同じことは中でも議論していて、直したつもりでした。なぜオプジーボだけにするのかというのは、これはもちろん対処します。

〔 末澤委員 〕 まず一般論を書いたほうがいいかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。よろしいですか。

3つ目の議題、地方財政、教育、科学技術、社会資本整備についてご意見をいただきたいと思います。どなたからでもどうぞ。

倉重委員。

〔 倉重委員 〕 教育のところで、議論したとおりの結果になっていて、中身はいいのですが、いきなり削減色が強く、確かにそのようなことを主張するところですけれども、教育にも、1つの理念や位置づけのようなものがあると思います。教育に予算をかけていくことのプラス面。その辺の前文的なものが少しあって、だがしかし、だんだん削減する必要があるのだということにしたほうがいいと思います。他のところを見ると、比較的そのような前文で、理念と位置づけのようなものがあるのですが、教育のところだけそれが少し欠落しているような印象です。過去2年分を見てみたら、やはりそれなりの位置づけとなる文章がありました。

安倍政権だって一億総活躍で、教育については生産性を上げるためにも様々な力を入れている部分があるので、そのような前文を入れたらいかがかと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、これは結論的に、前文をご指摘のとおり入れましょう。少子高齢化の下で人口も減少するし、教育は大事だと。しかし、教育は大事だけれども、今回の財審でも量より質だろうということで、本質的な意味で、ただお金を使うというのではなくて、内容をきちんと考えようと、それが財審の立場だと思います。そうした趣旨の前文を事務局と起草委員の先生方で工夫して入れてください。

では、続いて老川委員、お願いします。

〔 老川委員 〕 私も教育のところで、今、倉重委員がおっしゃったことと似たような観点から一言申し上げますと、37ページの15行目ですね。「教職員を取り巻く環境の多様化・複雑化」とあるのですが、ここにやはりいじめや不登校などで、教員が非常に多忙だというような状況が現実にあるわけなので、そこら辺を少し触れたほうがいいのではないか。というのは、その後に、具体的には発達障害の問題と、外国人児童生徒の問題についてお触れになっているのですが、何か唐突な感じがします。

要するに、様々な課題があって、現場の教師が非常に疲弊している。だから、数を増やせなどの理屈が一方にあるのですが、それはしかし、ここの39ページにあるように、外部人材の登用などで対応したらいいのではないかというのがこの提言だと思います。ここは全く同感なのですが、その前段として、現場の教師が様々な課題を抱えているということについて、こちらも理解しているということを、少しニュアンスとして示しておいたほうが、説得力があるのではないかなという印象を持ちました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ご指摘を踏まえて、加筆訂正ということだと思います。

一言、老川委員がおっしゃった発達障害と外国人児童ですね。なぜ様々な問題があるのにこの点のみに触れるのは、唐突ではないかというような形でおっしゃったのですが、このご指摘は本当に自然だと思います。どうやら来年度予算で、文部科学省のほうから具体的にこの2点を挙げて予算要求がされているというので、財審としてはそれに答えなくてはならないと、そのようなやりとりの流れということだと理解しています。

では、小林委員、お願いします。

〔 小林委員 〕 今の老川委員のご指摘のところは私も感じていましたので、一応、38ページの17行目で、「こうした中、平成29年度概算要求において」として、この2つをなぜ取り上げたかということについて、少し触れたつもりではあったのですが、ここがあまり目立たないということであれば、もう少しその表現を工夫する必要はあると思います。

〔 吉川分科会長 〕 竹中委員。

〔 竹中委員 〕 今、まさに議論されている発達障害への対応、外国人児童生徒への対応の件ですけれども、前回の委員会でも申し上げたように、特に発達障害に関しては、田中委員のおっしゃった発達障害の方々の集中的な教育機関であったり、私どもの活動の中でも、発達障害の方は非常にICTなどとの相性がよくて、高い能力を発揮される方が多いです。そういった意味で、今、発達障害の人が、とりわけすごく数が増えて、それで、今までだったら単に問題児という扱いをされていた人たちが、発達障害というネームがつくことによって、精神手帳を取得されて、そこに給付を伴うような形になっているわけです。

しかし、そこでとどまってしまったらやはり意味がないので、その人たちをどうタックスペイヤーにしていくかというところで、教育によって一番効果の出やすい状況なので、これは単に教員の数の話ではなく、要はそのノウハウをきちんと教育の中に取り込むと。特に発達障害や外国人児童への対応というのは、いわゆる学校教育が取り組む以前から、様々な非営利組織等で相当強く推進されてきたりしていますから、そういったところとの連携もしながらやはり進めていく必要があると思います。この財審というのは、どのように人の能力をきちんとタックスに生かしていくか、タックスペイヤーにしていくかというところが重要で、やはり今回入っていることに私は違和感はないです。

〔 吉川分科会長 〕 他にいかがでしょうか。田近委員、どうぞ。

〔 田近委員 〕 既に総論のところで、財審の方針について議論してきましたけれども、今回の建議で、会長も含めて、我々としても力が入っているのは、地方財政の部分で、29ページをご覧いただくと、ここに「地方交付税交付金等は社会保障関係費と公債費に次ぐ規模で、平成28年度予算では歳出全体の15.8%を占めており、不断の見直しが欠かせない。2020年度(平成32年度)までのPB黒字化が財政健全化目標として掲げられている中、国・地方を通じた最大限の歳出効率化努力が求められている」ということで、来年度に向けて、交付税について厳しい交渉が想定される中で、財審としても最大限頑張ってほしいという気持ちと、あとはやはり交付税については、地方の歳出総額の見直し、検討が必要だと。私も長い間、財審の仕事をさせていただいていますけれども、やはりこの地方歳出については、毎年その中身をきちんと精査しなければならない。その総額が国の地方に対する関与を決定するわけで、その点は常に初心に戻ってやらなければいけないということで、あえて最初のパラグラフを挿入したと、そのようなつくりになっています。

〔 吉川分科会長 〕 大宮委員、どうぞ。

〔 大宮委員 〕 科学技術の44ページの(3)大規模プロジェクトの適切な選定と優先順位付けについては、後年度負担にも配慮しながらというのがありましたので、これは非常に異存なく、いいのではないかと思います。

1点申し上げたいのは、実は安倍政権が掲げるGDP600兆円の達成の鍵というのは、イノベーションと言われていますし、イノベーションを誘発する成長先端分野については重点配分が不可欠だと思っていまして、実は弊社も、高効率ガスタービンや石炭ガス化燃料電池複合発電、それからH3ロケットの開発等でたくさんの支援を受けておりまして、そういった意味では、財政健全化計画との整合性をとりながら、効率的な予算配分をいただいた上で、先進的な大規模プロジェクトをしっかりやっていきたいという、コメントだけでありますけれども、趣旨を申し上げたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

いかがでしょうか。遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 44ページになります。(3)プロジェクトの適切な選定と優先順位づけのところで、宇宙のことだけが取り立てされているのですが、こちらで宇宙を出してくるのはなぜなのかということを1つ教えていただきたいのと、段落が1つ落ちていませんということです。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 「例えば」にはなっていますが、深い意味があるのかと、そのようなご質問だと思うのですが、どなたか起草委員の方。

〔 中空委員 〕 特に宇宙開発だけを挙げなければいけない特別な理由はありません。エネルギーに関しては、今年は1Fの結論待ちなので、ここに書くことはあまり適切ではないだろうという判断で、触れませんでした。宇宙開発だけを出すと少し奇異だというのであれば、他の例をもう一つ入れてもいいと思いますが、エネルギーに関してわざわざ書かなかったのは、そういったことのためです。

〔 吉川分科会長 〕 他にいかがでしょうか。

では、最後のグループ、農林水産、エネルギー・環境、中小企業、政府開発援助(ODA)、防衛について、同じようにご意見、ご質問等がありましたらどうぞ。

遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 まず、エネルギー・環境の総論、58ページの11行目のところ、いわゆるエネルギーミックスの想定に基づく、つまりこれはエネルギー基本計画に基づくという前提で論述を進めていっておられると思うのですが、パリ協定の温室効果ガスの削減の達成のためにはと、ここで「エネルギー効率の改善と再生可能エネルギーの」という、1つの断定になっているのですが、一応エネルギー基本計画においては、非化石燃料の最大限の導入という形での意図のほうが、伝わりやすいのではないかなと思います。ですから、これは、再生可能エネルギーだけではないので、非化石燃料という形で持っていくのがいいのではないかなと思います。

またそれに関連して、14行目も、「幅広い経済主体が省エネルギー・再生可能エネルギーの」と、再生可能エネルギーのことしか断定をしていないので、総論のところなのですから、ここは例えば「再生可能エネルギー等の」というふうに、「等」を入れたほうがよいのではないかと思います。

次の再生可能エネルギー予算のところの24行目なのですが、こちらも、「CO2削減効果が大きいとは言い難い事業や」と、「政策目的の達成に直結しているとは思えない事業や」という、並列になっているのですけれども、CO2の削減効果も政策目的の1つなので、「CO2の削減効果の大きいとは言いがたい事業など、政策目的の」というふうにつなげてしまうのはどうかと思いました。

最後に、固定価格買取制度のところの、59ページの18行目ですけれども、こちらの電力多消費産業への賦課金減免制度について、企業が本来は払うべきところが家庭にダイレクトに乗ってくるという意味でもあるので、減免制度はまだ見直しの途中であると思いますので、「電力多消費産業への減免制度の適宜適切化」や、「最適化というものを進めることに加えて」という形にしていただかないと、まだそこも道半ばだと伺っておりましたので、そこは、きちんとピンどめをさせていただけたらと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 具体的なご指摘、どうもありがとうございました。では、これはまた起草委員の方々にご検討いただくということで、続いて伊藤委員、大宮委員、倉重委員。

〔 伊藤委員 〕 ありがとうございます。58から60ページにかけて省エネルギー予算に関する記述があるのですが、これを見ますと、例えば58ページの15行目から、「多数の経済主体の行動を変化させる規制的手法が中心的な役割を果たす」ということが書いてございますし、60ページの省エネルギー予算のところも、書き出しはやはり「規制的手法を含む政策体系を構築して」と書いてあります。自主的取組についてもその後のほうに書かれてはいますけれども、省エネについては、自主的な取組と規制的手法を適切に使い分ける、もしくは組み合わせてと言ったほうがいいのかもしれませんが、両方やる必要があると思うものですから、そのような自主的取組というところに、もう少し力点を置いて書いていただきたいと思います。

ご参考までに申し上げると、平成28年5月13日の閣議決定で、中小企業の排出削減対策の推進ということが決定されておりまして、その一部に、「中小企業による省エネルギーの取組を地域においてきめ細かく支援するためのプラットフォームを地域の団体、金融機関、商工会議所及び自治体等が連携して構築し、省エネルギーに取り組む中小企業の掘り起こしから運用改善や設備投資等の取組のフォローアップまで幅広く支援する。2017年度までに、全国に省エネルギー取組に係る支援窓口が存在するよう、プラットフォームを構築する」という記述があります。

したがって、中小企業というのはご承知のように、省エネに人員や資金を割くことが難しく、ノウハウも乏しいものですから、自主的取組を後押ししてあげるような部分が要ると思いますので、そのような部分を併記していただきたいなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、大宮委員。

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。少し関連はしていると思いますけれども、やはり今の同じ58ページの16行目の「規制的手法が中心的な役割を果たす」という直前に、例えば「自主的取組の慫慂及び」というような文言を追加していただけたらと思います。実は、経団連の低炭素社会実行計画の下で温暖化対策と省エネに自主的に取り組んできておりまして、かなり着実に成果が今、上がっていると思っています。これは、昨年7月に政府が国連に登録した約束草案の産業部門における対策の柱にも位置づけられておりまして、抜本的な温暖化対策、省エネ推進のためにはイノベーションの創出が不可欠であって、過度な規制というのは企業の研究開発の原資等も奪うという可能性もあり、イノベーションを阻害するのではないかということで、この観点からも、自主的取組が中心的役割を担うということをぜひ明記したほうがいいのではないかなと。それは、60ページの(2)の省エネルギー予算のところについても同様であります。

それから、もう一つ、59ページの固定価格買取制度について、先ほど遠藤委員からもお話がありましたが、文案のとおり、市場の機能を活用しつつ、再生可能エネルギーの導入と国民負担の抑制を両立させるということは、非常に重要と考えます。

一方、電力多消費産業における賦課金減免制度でありますけれども、東日本大震災以降、電気料金が、非常に高くなって、それで高どまりしているということで、賦課金の負担額というのも、制度導入当初の10倍ぐらいにも上っていることを鑑みますと、賦課金減免の財源を賦課金に求めると、更なる負担増になるのではないかと思います。電力多消費産業の国際競争力の維持強化という制度の初期の目的を鑑みますと、固定価格買取制度の存続中は、減免制度の継続を含め、賦課金負担についての配慮が必要ではないかと考えますので、これは経済界全体の意見として、ぜひ建議には反映を願いたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて倉重委員。

〔 倉重委員 〕 エネルギー・環境のところで、またまた大ざっぱな話で申しわけないのですけれども、私が新聞記者で何かニュースがあるかなと思った時に、項目はそれなりにあるのですが、原子力関連予算についての言及が、1行もないと思います。これは、今回あまり議論しなかったし、それから、先ほどおっしゃった1F問題の様々な議論があり、なかなか動いていない部分だからという趣旨もあると思いますけれども、やはり世の中は、財審が、推進派から見ても脱原発側から見ても、原子力関連予算についてどう考えているのかというところが1つもないのはいかがなものかと思いました。過去の建議を見ても、昨年、一昨年と、いずれもしっかりと原発予算についても書き込んでありますし、それから、両年度、同じ指摘がありまして、電源立地対策交付金について、廃炉決定自治体への適切な支給停止を求めています。これはおそらく、全く改善されておりませんよね。財審が指摘したことについて、3年度目は何も言わないというのは、その決着についても何も触れないというのは、いかがなものかと1つ思いました。

それから、あと、防衛費予算ですが、67ページの前文の第1段落では、着実な整備を行うという、国際環境においてこれは当然必要でしょう。その後2段落が、「だがしかし」ということですね。だがしかし、一本筋ではなく、このような面もあわせて抑制しなければならないというところが、非常にこれはよくまとまっていると思います。ただ、1段落目から2段落目まで移るところに、並列的に並んでいますけれど、「だがしかし、」一国の安全保障は、それだけではなくというように接続詞がぜひ欲しい。

そうすると、その下の「特に」も生きてくると。特にやはり、「財政が破綻すれば、防衛力等を行使することなく我が国は自壊することになりかねない」と、この13から14行目、まさに今の財政の現状を示しているいい表現だと思っておりました。

それと同時に、あとは装備費をいかに、価格を低くするかというところをずっと書き込んでおられて、それぞれもっともだと思います。その中で70ページの3、「防衛装備移転3原則を踏まえた」というところ、これは、武器輸出3原則が変わりまして、海外に輸出できるようになったということを踏まえた上での記述だと思いますけれども、ただここは、要は海外輸出をもう少しうまくして、価格面での国際競争力を増して、装備費の減額に努めてほしいという趣旨だと思います。71ページの2行目から、「国際競争力がないことの裏返しであり、技術的優位性の確立とあわせ、価格低減を含めた官民一体の取組が不可欠である」と、まさにそのとおりだと思いますけれど、何か財審が業界に対してそこまで言う必要があるのかなという、違和感を覚えました。業界からしても、何か余計なお世話ではないかというような印象を受けましたが、これは私の感覚でございます。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

今、気づいたのですが、防衛のところ、69ページの9行目、1になっていますが、例えばエネルギー・環境の章を見ると、数字ポツの後は(1)(2)(3)で、次に123と来ると思うので、防衛のところは、12が(1)(2)ですよね。そこは事務局、修正をお願いします。すみません、少し細かいことを申し上げました。

小林委員、お願いします。

〔 小林委員 〕 今、倉重委員のご指摘の第1段落と第2段落を「しかし」でつなぐというのは、実は最初は「しかし」でつくったのを、私が外した記憶があります。というのは、これは逆説の話なのかなと。そうではなくて、むしろここはフラットに並べたほうがいいのではないかという認識で、私は「しかし」をとりました。これは、おそらく私と倉重さんの、記者としての感覚の違いのようなところがあるのかなという気もします。私が、 「これ、しかしじゃないよね」というようなことを言った記憶がありますので、再度検討いたします。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、その点は、起草委員の先生方の間で、接続詞について少し議論していただくとします。

関連ですね。大宮委員、お願いいたします。

〔 大宮委員 〕 防衛の71ページ2行目の「特に艦船等の分野において高い技術水準がある一方で」の文章、「とりわけ価格面での国際競争力がない」と、これは、艦船が何を意味するかによりますが、豪州の潜水艦の件ですと、必ずしも価格面ではないかもしれないと。「等」が入っているので、違うのかもしれませんが、少し表現を何か工夫されたほうがいいのではないかなという感じがします。

〔 吉川分科会長 〕 続いて板垣委員、老川委員、黒川委員の順でお願いします。

〔 板垣委員 〕 ありがとうございます。倉重委員が先ほども指摘されましたけれども、エネルギー予算の中にやはり原子力が入っていないというのは、私は大変な違和感を覚えます。あるいはもんじゅということを考えれば、文部科学省の科学技術のところでやるべきでもあるかなと。この議論は、昨年もこの場で同じような議論をした記憶があります。

やはりもんじゅの例を考えてみると、これからどうするというのは、この財審の建議の後、決まると思います。ですから、昨年もそうでしたが今年も、それは書けないよねということで終わってしまう。これはやはり問題だろうと私は思っています。

原子力予算ということは、例えば2つあると思います。1点目は、汚染水対策で、結局、国費を投入しながら漏れを防げていないという問題。実験的な試みだから仕方がないというのもありますけれども、あのまま行くのか、それとも、もともと最初から鋼鉄の矢板を差し込んでやったら、コストはもっと安く、既存の技術で対応できたと言う技師さんもたくさんいます。これを今後どうするのか。だらだらとやるのか、やらないのか、きっちりチェックしなきゃいけないよという意識、これは盛り込む必要があるだろう。

2点目、もんじゅについては、結局、あまり成果もないまま、実質無駄遣いみたいな形で終わっている。今度は、フランスとのASTRIDの提携協力の中で、この間も話しましたが、分担金で膨大な金額が出てくる。果たしてそれがコスト、技術の将来性、それから、それを管理する能力、こういった部分でできるのかどうか、査定の際には、やはり厳しくチェックしなければいけないと思っています。

念のため、修文をもんじゅのところだけご参考までに言いますと、例えばこんな感じかと思います。「1兆円以上の予算を使いながら、目立った成果もなく、廃炉も含め検討することになった高速増殖炉もんじゅは、技術的な見通しの甘さ、研究開発体制のずさんさを露呈した。多額の予算を費やした核燃料サイクルの見直しも同時に行われることになっており、それに関連する予算査定に当たっては、もんじゅの失敗の反省の上に立って、技術的可能性、適正コスト、システムの管理体制など、多方面からの厳しいチェックが必要である」という趣旨の文言をやはり入れるべきだと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、この点は、起草委員の先生方、それから、事務局、そしてまた今、意見を述べていただいた委員の方、適宜連絡をとっていただいて、次回までにまた次の修文の検討をよろしくお願いいたします。

では、老川委員。

〔 老川委員 〕 私はODAと防衛について申し上げたいのですが、その前に、今、板垣委員からご発言がありましたので、一言感想を言いますと、もんじゅの問題に触れる、触れないは別として、もんじゅが失敗に終わった原因というのは1つではなくて、様々な問題があります。ですから、それを今、例えばというような表現でおっしゃった話ですと、少し違った印象を与えるおそれもあると思いますので、やはりそこら辺の問題点の指摘というのは、やるならばきちんと幾つかのことを言わないと、一方的になってしまうのではないかなという印象を持ちました。

それから、ODAについて、65ページの1行目、「このため民間との連携を重視する事業については」の後に、やはり作業員の安全性などについても目配りする必要があるよということを言っておかないと、この前のテロの問題で、日本人の作業員がかなり犠牲になったりしておりますので、やはりしっかり踏まえておくべきだということを示しておいたほうがいいのではないのかなという印象を持っております。

それから、10行目、あるいは14行目に、実施後の評価の問題に触れておられて、これはもちろん大事なことですが、これは、この言葉だけですと、何か実態があまりよく分からないと思います。もう少し言葉を補って、実際にこちらがODAで協力してつくった施設などが、その後もきちんと円滑に運用されているかどうか、ここら辺をもう少しきめ細かくフォローアップすべきだというような言い方にしておいたほうが、いいのではないかなと思います。ただ評価というと、役に立ったかどうか。つくった時は役に立っているんだけれども、2年、3年たって、もう廃屋になってしまっているというようなケースがあって、これは非常にもったいないと思いますので、ここら辺の表現を少し工夫していただきたいなと思います。

それから、防衛について、67ページのところで5行目、「安全保障環境が一段と厳しさを増している」と、「よって防衛力を」云々と、こうつながるのですが、その前に、やはり「日米安保体制の安定的かつ円滑な運用を図るとともに」など、何か、安保体制について触れておかないと、今回は主として装備品のところに具体的に触れられているわけですが、防衛力全体を考える場合は、やはり日米安保の下での防衛力の強化という観点が必要ではないかなと思います。

それから、67ページの12から13行目、要するに財政の健全化が大事だということを言っており、これは本当にそのとおりだと思うのですが、「弾道ミサイル攻撃等の安全保障上のリスクが顕在化し、財政が破綻すれば」となっており、財政が破綻していると、このようなリスクが顕在化しても対応できないということを言いたいのでしょうから、少しこの言葉の表現は、前後を入れかえるなりされたほうがいいのではないかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 具体的なご指摘、どうもありがとうございました。黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は1カ所、61ページの9行目で、前回の財審でも発言させていただいたのですが、2国間のJCMの案件の一つ一つが、CO2発生、クレジット発生がとても小さいものが多いものですから、今のままでは目標に達できないのではないかという危惧を私は持っています。そこで、前回は、何とか大きな案件を発掘するために、外務省などとの連携も視野に入れたらどうかということを発言させていただいたので、それを踏まえてご検討いただきたいのですけれども、「環境省が共有した上で、更に案件発掘のために外務省とも連携し」としていただく。それから、選択的というのは、今のところ、選ぶ状況ではないような、ともかく大きな案件をいろいろ探さなくてはいけない状況にあるようにも思うので、「有効かつ効率的に実施すべきである」という、有効という言葉のほうが、まだ今の状況であればいいのではないかなという気もしますので、ご検討いただきたいなと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、続いて、遠藤委員、大宮委員、竹中委員。

〔 遠藤委員 〕 先ほど板垣委員のご指摘のところで1つ、少しコメントさせてください。起草委員に基本的にお預けするということで、私も問題はないと思いますが、前回の委員会でも板垣委員もご指摘であられましたし、資料のほうにも1Fの問題もきちんと書かれておりましたので、昨年のもんじゅの状況とはまた今年は全然違ってきていると思います。原子力閣僚会議も今年中にと言っていますし、東電の1Fの問題も、今年中に何とか結論にということで、少し前進をしていますので、もんじゅが失敗かどうかということの検討は、この委員会では難しいかもしれませんけれども、原子力の今後の政策においても、国民負担を非常に極小化していく努力を進めていかなくてはならないというのは、財審の中でも言えることではないかなと思っております。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 大宮委員、お願いいたします。

〔 大宮委員 〕 もんじゅの件は、先ほどの老川委員と全く同じ意見であります。

それから、ODAについて、64ページの26から28行目、「最近では、ODAによる開発支援の取組と連携しつつ、従来ODAで行っていた事業の一部を民間企業等が担うケースが見られるようになってきている」という文章ですけれども、これはミスリーディングだと思います。民間はあくまでも採算性があることが前提となりますので、したがって、この26から28行目の当該箇所を、「最近では基礎インフラ部分はODAが担い、これが呼び水となり、採算がとれる部分は民間が手がけるという官民連携――いわゆるPPPですけれども――、これが進んでいる」というような形で修文を願えたらと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 防衛のところです。老川さんがおっしゃったことと全く同じですけれども、まさかのトランプ氏が大統領に選ばれたということで、やはりここにはしっかりと、日米の安保が我が国の安全保障の基軸であるということを入れておかれたほうがよいではないかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 他にいかがでしょうか。末澤委員。

〔 末澤委員 〕 先ほどの防衛の67ページの11行目からのところで、「弾道ミサイル攻撃等の安全保障上のリスクが顕在化し、財政が破綻すれば」という趣旨は、おそらく、地政学的リスク等が顕在化し、それに伴い国内の金融市場等が動揺した際にはというような意味ではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 1つのやり方は、財政が破綻する理由というのは1つではなくて、いろいろ可能性としてあるわけですから、この文章の最初の部分を全部とってしまって、「財政が破綻すれば」で初めてもいいのかなという気もします。そこら辺、起草委員の先生方に工夫していただければと思いますが。

他にいかがでしょうか。老川委員。

〔 老川委員 〕 今のところで、例えばですが、財政が破綻していると、有事の際に必要な防衛力の整備ができていなくて、それで、国が自壊してしまうと、そういった意味だと私は理解しているので、そのような表現にされたらどうかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 いずれにしても、先ほど老川委員に指摘していただいたとおり、主語のところは最初に持ってきて、「財政破綻は」にすればいいのではないかと。では、今の老川委員のご指摘も踏まえて、修文していただければと思います。

以上で全体、4つのテーマのご意見をいただいたのですが、もう一度指摘したいこと、思いついたことがあれば、どうぞ。

遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 大変僭越な発言なのですが、KPIやPDCAというのが全体としてすごく多くて、よく片仮名の言葉を使ったり、このような略語を使うと、非常に意味がぼやけてしまうという懸念があるので、何かもし置きかえられるようなところがあるのならば、具体的な一つ一つを持ち合わせていなくて大変恐縮なのですが、ご検討をお願いします。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 建設的なご指摘、どうもありがとうございました。起草委員の先生方には、そうした目でも最終チェックしていただくと。

他にいかがでしょうか。小林委員。

〔 小林委員 〕 先ほど、教育のところ、(1)でいきなり教職員定数と言っていて、前文を持ってきたらいいのではないかという話がありました。それで、今少し見直しましたところ、社会資本整備のところが、やはりいきなり量から質へという(1)になっているのですが、この量から質へというところを前文みたいにしてもいいのかなという気がいたしましたので、これは少し検討させていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 無理ない形で統一するとすれば、各章、簡単な前文がついていたほうが、統一感があるかもしれませんね。すぐに具体的各論に入るよりは、それぞれの章、簡単な前文をつけるという方向で調整しましょう。

〔 小林委員 〕 おそらく読む人の印象として、(1)からが各論だというイメージになってくると思いますので、そこはまた起草委員会で相談しながらやりたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 板垣委員。

〔 板垣委員 〕 一言だけです。総論のコラムのところですが、読んでいったら突然四角が視野に入って、何かせきとめられたような感じがあって、ここから先、読む気がしなくなりますよね。しかも数字がすごく多い。ですから、場所をどこか別のところに持っていくか、あるいは平文でつなげていくか、どちらかにされたほうがいいかなという気がします。

〔 吉川分科会長 〕 分かりました。これも検討をお願いいたします。

十河委員。

〔 十河委員 〕 まずは、起草委員の先生方、大変お疲れさまでございました。本当に大変勉強になる内容で、具体的な指摘ということは、なかなか私の立場ではしにくいのですが、今回拝読しておりまして、全体的にやはり量から質という言葉を表現として各項目使っているということが印象に残りました。まさに財政も、量を放出していくということが今問題になっているわけで、質の精査というところが国全体で問われているという時代にあります。先ほど、総論の部分をもう少し手厚く書いていったほうがいいのではないかというご意見があったと思いますけれども、こちらのほうは、「例えば公共投資について」という部分に、量から質にという主張があったという一文のみになっておりますので、総合的に質の重要性ということを総論の中に加えていってはいかがかなと思いまして、具体的な提案でなくて恐縮なのですが、ご検討いただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 貴重なご意見、どうもありがとうございました。

倉重委員。

〔 倉重委員 〕 これまた私が新聞記者として読んで、この前も言ったのですが、どう原稿を書くかと考えるのですね。そうすると、いつも見出しは何だろうかと。今回は例年と違って、一番財審が言いたい部分であり、世の中の関心部分にもフィットしていて、なるほどと思われるようなところをどこに置いているのかということも、やはりどこか頭の片隅に置いておくべきだと思います。少なくとも記者がこれを読んで、吉川先生がメリハリをつけて説明していただけるから、なるほどというところにおそらく落ち着くのだろうと思いますけれども、一般の人はこれを読んで、特に今年の状況として例年と何が違うかということが分かるのか。やはり皆さんが指摘したこともありますけど、トランプ現象みたいな話で、だからと言って、トランプをそのままぽっと入れて、今回の見出しに使うわけにもいかないと思うので、いわゆる何か強調したい面というのがどこかに欲しいのですけれども、小林委員に質問してもいいですか。

〔 吉川分科会長 〕 私からも少し僭越ですが、メリハリがついているかどうかは別として、今年の建議、1つは、要するに様々な分野が、もちろん予算ですから全方位であるわけですが、やはり財政は厳しいと。そういった中で政府自身が高く掲げている2020年のPB黒字化、これを現実的に達成する予算づくりが最も大事なことだということだと思います。もちろん予算づくりは政府、内閣の仕事であって、私たちは財務大臣への建議という形でこれを書いているわけですが、我々としては、繰り返しになりますが、2020年のPB黒字化、これは財政再建に向けて大変大事。とにかくこれを本当に実現するような予算づくりをやるべきだと、それに尽きると思います。

〔 小林委員 〕 これは皆さんの意見を反映したものなので、あまり私がそれを言うのは適切じゃないのかなという気も少ししますけれども、ただ、吉川先生がおっしゃったように、様々な状況や環境の変化が起きて、PB黒字化というのが本当にできるのかどうかという疑問が一番高まってきている年だと思います。その中で、やはりここは絶対やらなければいけないでしょうということ。

それと、防衛のところに少し関連しますけれど、様々な意味で大きな変化が起き、リスクが起きている。それから、今年は地震が、熊本や鳥取で起きて、そのようなリスクに対応していくために、財政がどのような意味合いを持っているのかということだと思います。ですから、今の状況の変化や環境の変化というのを、様々なところで打ち出してきている。

私があまりそのようなことを言うとよろしくないのかなと思いながら、ご質問を受けましたので、お答えいたします。

〔 倉重委員 〕 ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 他にどうでしょうか。よろしいですか。

以上で本日の議題は終了とさせていただきます。

本日も大変活発な建設的、具体的なご意見をたくさんいただきました。追加のご意見等ございましたら、明日11日金曜日の昼12時までに、事務局にメール等、何らかの形でご意見をお寄せいただければと思います。

本日の議論でも、幾つか具体的な修文というご意見をいただきました。率直に言いまして、意見が、委員全体の中で全く一致していな論点もあったのかなと思います。そうしたところは、恐縮ですが、起草委員の先生方、事務局、それから、当然ですがご意見をいただいた委員の方々の間で緊密に連絡をとっていただいて、次回までに新しい建議の案をつくっていただければと思います。

次回ですが、11月15日の10時半からです。起草委員の先生方も、また関係した委員の方々にもぜひご協力をよろしくお願いいたします。皆さん、大変お忙しい方々なわけですが、建議の最後の案に向けて、ぜひご協力いただければと思います。

また、大変恐縮なことですけれども、委員の皆様方、本日お手元に配付してあります建議(案)につきましては、保秘の観点から、会議後回収させていただきますので、お持ち帰りにならず、机の上に残しておいていただければと思います。

では、会議はこれで終了いたします。

どうもありがとうございました。

午後5時36分閉会

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