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財政制度分科会(平成28年11月4日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成28年11月4日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成28年11月4日(金)15:00〜17:12
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題

  • 農林水産
  • 文教・科学技術
  • エネルギー・環境、中小企業

3.閉会

出席者
分科会長 吉川  洋 大塚副大臣
三木大臣政務官
福田主計局長
可部次長
藤井次長
茶谷次長
角田総務課長
司計課長
高橋給与共済課長
関口主計企画官
中島調査課長
八幡主計企画官
竹田大臣官房参事官
安出主計官
嶋田主計官
小宮主計官
泉主計官
奥主計官
廣光主計官
岩元主計官
中山主計官
内野出主計官
委員

遠藤典子

大宮英明

倉重篤郎

黒川行治

角   和夫

竹中ナミ

田中弥生

中空麻奈

臨時委員

赤井伸郎

板垣信幸

伊藤一郎

老川祥一

岡本圀衞

葛西敬之

加藤久和

佐藤主光

末澤豪謙

武田洋子


午後3時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には、ご多用中のところご出席いただきましてありがとうございます。

本日は、農林水産、文教・科学技術、及びエネルギー・環境、中小企業を議題としております。

それでは恐縮ですが、報道関係の方々、ご退室をお願いいたします。

(報道カメラ 退室)

〔 吉川分科会長 〕 それでは、議題に入ります。

まず初めに、農林水産について審議を行います。岩元主計官よりご説明をお願いいたします。

〔 岩元主計官 〕 農林担当の岩元と申します。お手元の資料、右上に資料1と書いてございます農林水産の資料に基づきましてご説明をいたします。

最初に目次でございます。主に4つのグループがございまして、最初は「農業の現状、構造改革の必要性」、いわゆる総論の部分でありまして、2つ目が「農政改革の着実な実施」、3つ目が「水田農業の競争力強化と転作助成の在り方」、4つ目が「TPP」でございます。

2ページをお開きください。この20年間の農業の産出額を10年ごとに円グラフで示しております。全体の産出額は、一番左の20年前と比べて、一番右の現在は、26%減少しています。その中でもオレンジ色で示している米の割合が大きく減少し、ピンク色で示している畜産、あるいは緑で示している野菜などが増えております。

続いて3ページをご覧ください。米の消費でございますけれども、左のグラフ、1人当たりで見ますと、昭和37年がピークでありましたが、現在ではその半分程度に減ってございます。右のグラフ、需要量の総量も年間にならしますと、毎年8万トン程度のペースで減少しております。

続いて4ページをご覧ください。左側の表は、農家の戸数と農業就業人口を示しています。農家の戸数は一貫して減少しておりまして、現在は216万戸となっております。このうち50万円以上の売り上げがある販売農家は約6割の133万戸、また65歳未満の農業従事者がいて、農業所得が過半である主業農家は14%の29万戸にすぎません。右側の表をご覧いただきますと、農家の規模はこれまで拡大してきていることが分かりますが、畜産に比べますと稲作の規模拡大は緩やかとなっております。

5ページをご覧ください。品目別の主業農家、準主業農家、副業農家の割合のグラフになっております。緑の主業農家は、先ほど申し上げましたけれども、65歳未満の農業従事者がいて農業所得が過半の農家、つまり働き盛りの人がいる専業農家というイメージでありますが、これの割合は米だけが極めて低くなっております。

6ページをご覧ください。農業従事者の年齢構成を見ますと、極端に高齢化が進んできております。65歳以上が65%を占めております。一方、50歳よりも若い人は10%にとどまっております。

7ページをご覧ください。一口に農家と言っても、その形態により所得の構造が大きく異なります。農家のうち多数を占めております準主業農家、副業的農家は、農業所得はわずかで、その他の所得で生計を立てていることが伺えます。一方主業農家は、全世帯平均の所得と比べて遜色ない所得を得ています。

8ページをご覧ください。我が国の農業全体の力を示す指標として、食料自給率がよく用いられます。下の青い線で示しておりますカロリーベースでは現在39%で、この20年ほどは横ばいで推移しております。赤い線で示しております生産額ベースでは、やや下がってきていますけれども、66%となっており、生産額で見ると3分の2は自給していることになります。

9ページをご覧ください。カロリーベースの食料自給率を品目ごとに昭和40年度と比較したものであります。ほぼ自給している米の消費が減り、自給率が低い畜産物の消費が増えておりまして、食生活の変化で自給率が下がってきていることが分かります。そこで消費の動向に左右されない食料自給の能力を示す値として、食料自給力という指標が昨年から導入されております。

10ページをご覧ください。食料自給力とは、食料ではない花などを栽培している農地や、再生できる荒廃農地を含め、最大限作付した場合にどれだけのカロリーが得られるかという潜在生産能力を示す指標です。この財審でも2年前にご議論をいただいたことも後押しとなりまして、昨年から導入されたものであります。

11ページをご覧ください。食料自給力指標の数値は、米、麦を中心に作付するか、芋類を中心に作付するかによって変わってきますが、芋類を中心に作付する場合、下のパターンC、パターンDの場合には、栄養バランスを一定程度考慮しても、エネルギー必要量を確保できる数値となっております。

次に、近年の農政改革の実施状況を見ていきたいと思います。

13ページをご覧ください。主食であり、多数の農家が生産にかかわる米は、農政において中心的な位置を占めてきました。戦中に始まった食糧管理制度が戦後も続き、やがて米の生産量が過剰となったことにより、昭和46年に国が主導する生産調整(減反)が始まりました。その後平成7年に政府の米の買い入れは備蓄目的に限定され、また平成19年には、土地利用型作物の農業における財政支援の対象を大規模農家に重点化する改革が進みました。しかし平成22年には全ての農家を対象とした戸別所得補償が導入され、その後平成25年にまた政策の方向転換が図られました。その具体的な内容は次の14ページをご覧ください。

平成25年に決定された農林水産業・地域の活力創造プランでは、平成22年に戸別所得補償として導入された主食用米についての2つの交付金は廃止することとされました。このうち、資料の一番上に書いてあります米の直接支払交付金は、現在は額を半分、10a当たり7,500円にして続けておりますが、平成30年には廃止することとしております。また、2つ目の米価変動補填交付金は、全ての生産者を対象に米価の下落を補填するものでしたが、平成26年産米から廃止されました。価格下落への対応は、3つ目の収入減少影響緩和(ナラシ)対策により対象を認定農業者などの担い手に限定されることになりました。これらと同時に、4つ目の米政策の見直しが決まりました。内容は平成30年産を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、需要に応じた生産を行うというものであります。やや分かりにくい表現でありますが、現在国が都道府県別に示している米の生産数量目標の配分を行わないこととすることを意味しており、いわゆる減反の廃止を平成30年に行うということであります。こうした改革を着実に実施することが必要となっております。

次に15ページをご覧ください。担い手に対する農地集積の状況を示したグラフであります。認定農業者といった農業の担い手が利用する農地面積の割合が、緑の折れ線グラフで示されております。平成22年の戸別所得補償の導入後横ばいとなっておりましたが、平成25年にその廃止が決定されて以降は、再び上昇に転じています。財政支援の在り方によって農地集積の進捗が変わる、つまり農業の構造改革に影響を与え得るということが分かります。こうした観点から、既存の財政支援の在り方については、不断に見直しを検討する必要があろうかと思います。

次の16ページには、そうした見直しを行っていくということが、政府の閣議決定等にも記されていることを示しております。農業の競争力強化のため施策を不断に見直す観点からは、転作への助成金が大きな課題であると考えております。ここからは転作助成金と競争力強化の関係について見ていきます。

18ページをお開きください。我が国の水田は約230万haありますが、そのうち主食用米、つまり食べる米をつくっている面積は6割の140万haにすぎません。その他の水田において、他の作物を生産してもらうため、つまり主食用米をつくらないにするために、水田活用の直接支払交付金を交付しております。左下のほうに金額が書いておりますが、平成28年度予算で主食用米に対しては723億円、主食用米以外に対しては3,078億円の予算措置を行っております。

次の19ページをご覧ください。水田の利用状況を隔年ごとに並べたものでありますが、赤い字で書かれております主食用米は、一番上の平成20年度の160万haから一番下の27年度の141万haへと19万ha減少しておりますが、水稲作付面積はこの間2万haしか減少しておりません。つまり転作といっても、同じ米の中で主食用米から違う米に転換しているものが多いということです。特に飼料用米、黄色い部分の増加が多くなっております。

次の20ページをご覧ください。食料・農業・農村基本計画では、飼料用米の生産目標が平成37年で110万トンとされておりますが、現在の財政支援の仕組みを継続すると、機械的試算では飼料用米に対して1,160億円から1,660億円程度の財政負担を要することになります。

次の21ページをご覧ください。転作助成の支払いの方法は作物ごとの単価を設定するわけですが、どの作物を選んでも主食用米と同じような所得が得られるようにする観点から設定されています。つまり、他の作物に転作しても、主食用米の所得を保障するという考え方ですが、赤字になる作物でもその赤字分を埋めて、更に所得も得られるようにするということになります。飼料用米は販売しても輸入の飼料減量のトウモロコシなどと同じ値段でしか売れませんので、所得を確保しようとすると高い助成金の額になってしまうわけです。これでは売る時の価格や売れる量、またどんなものが売れるのかといったことを十分考慮して作付するというよりも、手間が少なく助成金が多く受け取れることができる作物を選択しやすい仕組みであるということになります。この仕組みが飼料用米の拡大の大きな要因となっております。

次の22ページをご覧ください。同じ面積で比較すると、右側のタマネギ、キャベツといった野菜のほうが、収入が桁違いに多く、所得も多く確保できます。ただし、労働時間は飼料用米の28時間に対して野菜は100時間と多くなりますが、機械化が進めば労働時間は30時間程度に大幅に短くなり、飼料用米と同程度になります。

次の23ページをご覧ください。来年度予算の要求では、水田地帯での野菜への転換の取組を支援する事業が新規で要求されています。一方で右側、従来の転作助成は昨年度から見直しがなく、転作面積が拡大することから、大きな増額要求となっています。高収益の作物にシフトしていくことは望ましいわけですが、その場合に既存の予算の見直しを行わず、どちらにもアクセルを踏むことは適切ではないと考えられます。

次の24ページをご覧ください。ここからは飼料用米の拡大が受給に与えている影響を見ていきたいと思います。まず右上のグラフからご覧いただきますと、赤い折れ線グラフ、こちらが米の価格でございます。平成26年は過去最低水準の1万1,967円となりました。このため、左上のグラフでございますが、平成27年に飼料用米の作付が急拡大いたしました。この結果、左下のグラフでございますけれども、国が示している生産数量目標、つまりは減反の目標ですが、これを超過達成する事態、つまり生産量の抑制を行い過ぎたということになります。この結果、右上のグラフに戻りますと、平成27年産の米の価格は上昇しました。しかし、右下のグラフでございますけれども、需要量は18万トン減少し、平均的な減少ペースより多く減少しております。大きな財政負担が伴う飼料用米を減反の目標より多く拡大し、その結果価格が上昇し需要が低下するという、適切とは言えない循環を生みつつあります。

次の25ページをご覧ください。米の生産費は作付面積が大きいほど低下しますが、最も大規模層でも、日本再興戦略で設定された目標にはまだ届いておりません。転作を促して価格を維持、上昇させ、需要を冷やすよりも、コストの削減を進め、低コストで需要をつなぎとめることが必要ではないかと考えられます。特に米の輸出拡大に政府全体で取り組んでいますが、その際は価格の引下げのためのコストの削減が課題となっております。

次の26ページは、農林水産業の米における輸出力強化戦略についての内容をまとめたものであります。輸出ターゲット市場の深掘りのためには、下の3にありますとおり、米の生産コストの削減が課題とされております。

次の27ページをご覧ください。需要を取り逃がしている別の事例として、中食・外食事業者の米需要が挙げられます。米の消費のうち、中食・外食は3割を占めております。ここは比較的低価格の米を使用しているのが実態のようでありますが、この米の価格が平均よりも上昇しています。飼料用米の増産が要因であると指摘されるとおり、中食・外食の米需要とミスマッチが生じていると見られます。財政支援に支えられた過度な生産調整は、需要を取り逃がす結果となりかねません。

続いて、28ページをご覧ください。ここからは今年6月に公表いたしました予算執行調査で転作助成金を取り上げておりますので、そちらをご紹介させていただきます。まず、転作助成金は水田に交付するのが原則ですが、畦畔、こちらの左の写真にある水をためるものですけれども、畦畔がないような水田機能を失っている農地なども交付対象となっている事例がありましたため、米の生産ができない農地などは交付対象から除外すべきと指摘しております。

次の29ページをご覧ください。下のグラフは飼料用米への転作助成金の交付の仕組みをグラフ化したものであります。標準単収値531キログラムと同じ収穫量の場合は8万円を交付するというところが、この仕組みのポイントでございます。平成26年度から始まりました。しかし、平成27年の実際の収穫量は上昇しており、多収品種を利用した場合ではより高くなっております。このため、標準的な交付額、つまり8万円を適用する単収を継続的に更新するべき、すなわちこの斜めの線を右のほうにシフトすべきだと指摘しております。また、生産性を向上させるためには、多収品種を基本として、大幅な生産性向上が見込まれる場合に限定するべきと指摘しております。

次の30ページをご覧ください。二毛作を行った場合の助成、それから耕畜連携の取組、耕畜連携というのは米農家がわらを畜産農家にわたして、かわりに畜産農家から牛ふんを肥料としてもらうというような連携でありますけれども、こうした取組を行った場合の上乗せの助成がそれぞれありますが、ともに多くが定着してきており、財政支援を受けずに取組を継続することを促すような見直しを行うべきであると指摘しております。

次の31ページをご覧ください。水田活用の直接支払交付金においては、都道府県や地域が対象作物や単価を決めて配分できる産地交付金が予算措置されております。この執行状況を見ると、赤字になるため国が単価を設定して転作助成金を交付している作物に、いわば上乗せで支払っているものが約半分に及んでおります。このため、使途を収益力向上のための一時的な支援に限定するなど水田農業の収益力向上と財政支援の依存からの脱却を促すような交付の仕組みに改めるべきであると指摘しております。

次の32ページには、ここまでの内容等を踏まえまして、転作助成の在り方について論点・視点を記しております。説明は省略いたします。

次にTPPについて見ていきたいと思います。

34ページをご覧ください。昨年の財審の建議では、左側に記載されておりますが、TPP対策については真に競争力の強化に資する内容とすべき、成果目標を設けるべき、補助金だけでなく税制、規制措置を含めて見直しを行うべきといった指摘をいただいております。これらの指摘も受けまして、昨年11月に策定された総合的なTPP関連政策大綱におきましては、攻めの農林水産業に転換するため、体質強化対策に速やかに、かつ集中的に取り組むとともに、重要5品目については協定発効時に経営安定対策を講ずることとされております。また、今年の秋までに農業の成長産業化を進めるため、規制の見直しを含めた施策について検討を継続することとされました。

次の35ページには、TPP関連政策大綱に基づく体質強化対策のための予算措置の主な事業を挙げております。それぞれ成果目標を設定して、輸出の拡大、生産コストの削減、高収益作物への転換を支援する内容となっております。

最後の36ページには、TPP大綱で検討を継続するとされた項目のうち、資材価格の見直し、流通・加工の見直しについて、規制改革推進会議等で10月に示された見直しの方向について抜粋を示しております。例えば5でございますけれども、肥料については多品種少量生産で生産性が低くなっていることから、各地域の施肥基準等を抜本的に見直し、銘柄数を大幅に絞ることとされております。このように財政支援以外でも農業の活性化、成長産業化を目指した取組が進んでいるところであります。

私からは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。なお、福田主計局長は所用により遅れて出席とのことであります。

では、ただいまの主計官からの説明について、どなたからでもご意見、ご質問をお願いいたします。

それでは佐藤委員、黒川委員の順で。

〔 佐藤委員 〕 昨年も同じことを言っているような気がしますけれども、やはり日本の農業政策というのは農業振興という意味での産業政策と、農家保護という意味での社会政策が完全に混乱していて、もう少し政策体系自体全体の見直しが必要だという気がします。例えば農業振興という観点、特に稲作に関してでも、やらなければいけないことは明らかに大規模でありまして、逆に戸別所得補償や他の交付金はやはりそれにブレーキをかけてしまっているという面もあります。結果的に先ほどご紹介があったミスマッチを起こしてしまうということにもつながると思います。高齢の零細農家に対する何らかの手当てが必要だということで、これは何か別の政策、農家という個人に対する施策というのは本来あってしかるべきという気がします。

明日から行政事業レビューをやるので、私が担当する対象になっている、資料1の15ページにある農地の中間管理機構ですが、成果はこれからだというところなのかもしれないですが、農地の集積は確かに必要ですが、果たしてこの中間管理機構はどこまでその役割を今担っているのか、それからこれから担えるかというのはきちんと見ていく必要があると思います。実際まだ農業委員会もありますし、まだ集約化を市町村や現場レベルでやっている。後継ぎがいないとおのずから集約していったりする面もあるので、もちろんこのような機構もあるというのは、その可能性を広げるという点では重要だと思いますけれども、やはり今申し上げた農業委員会や自治体などとの役割の重複感というのも否めない。集約化を進めていくに当たって一番良いやり方は何なのかということは、少し冷静に精査していったほうがよろしいのではないかという気はしました。

31ページの水田活用の直接支払交付金の話ですけれども、地域の特徴を出しますといいながら、地域の特徴が全然出ていないというのが実態なので、やる意味があるのかなというのが素朴な疑問です。地域における支援例といいますけれども、国がやっている支援と重複感がありますので、少しこのあたりは自治体にもう少し対象を絞らせるような工夫というのがあってしかるべきという気がします。

私からは以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

では、黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。今のご説明は大変よく分かりましたし、それから佐藤委員と重複するところもあるのですが、まず1つ目が6ページ、7ページの図の読み方です。まず7ページの橙色の農業以外の所得は何によっているのか。年金などの所得によっているのかどうかを確認したいのと、それから私は会計学者なので、自家消費分、要するに所得補足されていないけれども、可処分所得の補填になるというその部分、これが入っているのかどうかも疑問です。ですから、これだけ見て全世帯の総所得平均と比べて低いというふうに、本当に言えるのかどうかというところが1つ注意点。

それからもう一つ、今度は6ページのほうです、先ほど佐藤委員がおっしゃったように、私もこれから攻めの経営ということになると大規模化が絶対必要だと思います。その時に、65歳や70歳以上の方々が何年かたって、いよいよお米がつくれないということになった時に、その農地を売るのか、あるいは貸すのかという意思決定に迫られる可能性があります。売るというのは我々人間の意思決定として重い決定なので、とりあえずは貸そうかということで、貸地がどんどん増えていけば、それを借りた人が大規模化して経営できるということにもなるので、貸地、借地という関係が、どちらかというと合理的かもしれないなと。その時に、この65歳や70歳以上の方々の次の世代の方が一緒に住んでいる場合と、もう次世代の人は都会に出ていってしまっていて、本当に夫婦2人だけで暮らしている場合とでは状況が違うと思う。要するに次世代の人たちが一緒に住んでいれば、また自分たちが退職年齢になった時に、先ほど言った自分のうちで食べる分と、それからもう少しつくっておいて、それでまた補助金をもらってという、この状況がまた起こるかもしれません。

我々が狙っているのはそうではなくて、そのように一緒に住んでいる人たちの割合のほうが多くとも、大規模にやりたいという人たちに貸す政策となっているのか。その場合には、補助金の政策とともに税制もあると思います。例えば、固定資産税と賃貸料、これのバランスというような関係で、考えられるかもしれません。このような問題があるので、このグラフの6から7ページをもう少し細かく見ていって、政策をとる必要があるのではないか、これが1点目です。

次に飼料用米について、これが増えているのは望ましくないということは確かにそうですが、農家の方々の気持ちになると、やはり飼料用米をつくるよりも、人々の口に入るようなお米をつくりたいというのが自然の気持ちだと思う。昨年か一昨年もお話ししたと思いますけれども、世界を見渡してみれば貧困、それから食料問題で危機的状況にある子供たちがいっぱいいます。そういったところへのODAの現物給付というものに対して、日本のこの余っているお米を回すことはできないのかということを素人ながらお話をした時に、同じお金を使って量的な確保をするのであれば、海外の安いお米を買って、そこに送ったほうがいっぱい確保できるというお話を先生から伺ったと。しかしそれにもかかわらずもう一度言いたいのは、飼料用米で補填をするぐらいであれば、それをアフリカの子供たちのほうにも回す、飼料用米として買うものをODAのほうに回すことにして買い上げる。このようなことをすることは、農家の方々にとっても喜ばしいことなので、お願いしたいなと。

以上であります。長くなりました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。3点あったかもしれません。最初の一、二点がご質問もあったと思いますが、主計官から、まとめてなにか補足あれば。

〔 岩元主計官 〕 まず15ページの農地集積の状況のグラフのところでございます。農地中間管理機構の現在の状況でございますけれども、15ページの一番下の注のところに書いてございますが、26年度国全体の新規集積面積、担い手に移った部分の面積が6.3万ha、うち機構の実績が0.7万haとなっておりまして、27年度は全体が8万haのうち機構の実績は2.7万haとなっております。

農地の貸し手にとってみれば、機構に委託するというのは借り手を探さなくてもいいという面ではメリットになるかと思いますけれども、一方貸し手によっては誰に貸すことになるか分からないという不安もあるという方もいらっしゃるだろうと思います。その場合には、機構を経由してというよりは、相対で賃貸契約を結ぶというようなこともあるのではないかと思っております。

いずれにいたしましても、この中間管理機構を活用して、引き続き農地の集積に努めていくことも重要でありますし、15ページでお話しいたしましたように、補助金の在り方についても農地集積が進むような方向で進めていく必要があるだろうと思っております。

それから7ページでございますけれども、こちらの副業的農家につきましては、65歳を超えて農業をやっていらっしゃるところになりますが、この橙色の部分というのは年金所得と、年金以外の所得が含まれてございます。それから真ん中の準主業農家、こちら65歳未満の現役ですけれども、いわゆる兼業農家ということでございますので、この橙色の部分は農業ではなく本業のほうの所得が記載されているというところでございます。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では続いて伊藤委員、岡本委員、中空委員。

〔 伊藤委員 〕 ありがとうございます。最初にただいまもお話ありました農地の集約ですけれども、農地の集約化や大規模化でその生産性を向上させるのは不可欠だというのはそのとおりでありまして、その1つの方法として、我々商工会議所は前から株式会社による農地の所有などを検討していただきたいということを申し上げています。これも1つの検討課題ではないかなというのが1点でございます。それに関連いたしまして、これも今お話あった中間管理機構の現状を見ると年間の集積目標の約6割程度だそうです。したがいまして、各地域、あるいは都道府県ごとの課題や特徴をよく点検して、競争力ある農業の実現に向けて、中間管理機構の機能強化を進めていただくということも必要ではないかと、このように考えております。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では岡本委員。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。2点意見を述べたいと思います。1点目は産地交付金についてで、もう1点はTPPについてであります。

まず、産地交付金の使い道については、21ページにありますように、飼料用米の販売収入は本当にわずかで、大半の赤字分を補うためにこの補助金が使われており、まさに経済的な効果のないところにお金を投入しているということでありまして、やはり販売収入がより大きいもの、例えば野菜などに変えていく必要があると思います。この飼料用米に補助金がどんどん流れ込むというのはおかしいですし、9割を超える額が交付金で助成されていますが、補助金や交付金の性格から見たらもっと少ないはずではないかと私は思います。

それから31ページを見ますと、平成27年度は578億円という金額が投入されていますけれども、産地交付金はどこに投入してもよいという非常にフレキシブルな予算であるわけです。飼料用米10%ということは約60億ですけれども、これについてぐっと減らして他に回すなどすれば、様々なところで効率化が図れると思いますので、このトータルの578億円という金額はより減らしていくことができると思います。そして、今後は生産的な、将来性のあるところにお金を投入していくという方向で検討していっていただきたいと思います。そういった意味では、先ほどご説明されませんでしたが、32ページの論点・視点というのは、まさにそのとおりだと思います。

それからもう1点は、TPPでございます。このTPP協定における取組やルールは、やはり今後のFTAやRCEPなどの交渉をやっていく時のスタンダードになると思いますので、これが早く成立することを強く期待しております。ただ、期待はしていますけれども、だからといって予算が緩くなってよいということはないわけでありまして、この点、財務省にはぜひとも費用対効果をベースとして、きっちりと見ていただければありがたいなと思っています。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。ご説明いただきましたこの農林水産の部分では、驚きの親切な制度が満載だなという感じがします。助成金と言っても、役に立っているというよりは、農業の競争力が保てない、あるいは農家の人たちに競争力を高めさせるインセンティブが全くないようにできているように思いました。助成金が出ていて頑張れと言われても、なかなかできるものではない。ですから、この業態に競争の原理を入れるということこそが、本来は大事だろうと思います。

そういった意味では、何人もの方が言われましたが、大規模化や法人化は、もう避けられない課題になっていくだろうと。ただ、輸出というのは非常にいい点だと思っています。海外出張で、シンガポールや香港に行くと、日本のフルーツを毎日食べられて羨ましいとよく言われます。海外では、日本のフルーツがお宝になっています。例えばシンガポールで普通のメロンが1万円近くして、日本の製品だというだけで売れていく。ですから、おそらく輸出しようと思ったら輸出競争力は大変あるのではないかと思っています。国が変な輸出するための策を考えてくれるよりは、それを何か後押しするような制度のほうが大事だと思います。例えば農業製品に関しては、流通制度で大変大きな問題があると思いますので、そちらのほうで様々な障害を除いて競争をそいでいる面を省いていくような、そういった努力が必要だと考えています。

あと、これも何人もの方が言われました。大規模化や法人化になった時には、その小規模農家の方々が苦しまないための工夫というのはもちろん必要になる。メリハリをつけながら、競争していくということをもう一度原理原則として導入していくことが大事なのではないかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

倉重委員。

〔 倉重委員 〕 15ページにある農地集積の状況が、何かこの数年の農政の現実をよくあらわしていると思います。グラフを見ると、戸別所得補償を導入した時から3年程度ずっと集積が進まないという因果関係が非常にはっきり分かります。政権が変わって、新しい政策を3年間やってみたけれども、農地集積という目的のためにはそぐわなかったということなのですが、他の農業政策全般の中で位置づけた時に、何かメリットは本当になかったのだろうかということについて、もしご意見があれば主計官にお聞きしたい。戸別所得補償を廃止したら、農地の集積が再び進んだことを見ると、政策のその時々のやり方によって、日本の農業の将来が随分変わってくるという1つの非常にいいモデルだと思いました。ですから、この辺の政策の失敗についてしっかりと検証すべきだと考えます。やはり、この政策というのは全面的に否定されるような政策だったのかどうか、主計官にお聞きしたいということです。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官。

〔 岩元主計官 〕 この14ページに記載されております米の直接支払交付金、もともと平成22年には10aあたり1万5,000円を交付することとされたわけですけれども、今まで小規模でやっていた農家が担い手の大規模なところに水田を貸そうとしたところが、この交付金が始まったので貸すのを少しやめますというような、いわば貸しはがしのような動きも起こったというようなことも報道されております。それはこのように米農家に一律に交付金を配ることについては、やはり農地の集積を遅らせる面は否めないのかなと思います。その意味では、それが26年から半分になり、30年から廃止するということは、農地を集積していくという面ではプラスになっていくであろうと思います。ただ、その直接支払交付金、もともと赤字部分を補填するという意味合いかとは思いますけれども、米の場合は麦や大豆と違いまして、国境措置でかなり守られておりますので、少し必要性については薄いのではないかなというふうに考えております。

〔 倉重委員 〕 しかしこの制度は、あの時EU並みに鳴り物入りで導入された制度ですよね。結局、農地集積という1つの目的には沿わなかったけれども、農政全体の中においても結果的に否定されるべき政策だったのかということを聞いております。

〔 岩元主計官 〕 直接支払交付金という意味では、ご指摘のようにEUでは、どちらかというと、その交付金によって国内の農業の維持を図っているところでございます。日本におきましても、麦、あるいは大豆につきましては海外との競争という観点で、直接支払交付金を行っております。ゲタと言われております。一方米については、海外からの輸入はほとんど国境でブロックしておりますので、その意味では少し状況が違うのではないかというふうに考えております。

〔 吉川分科会長 〕 最後に板垣委員にご発言いただいて、次の議題に移ります。

〔 板垣委員 〕 説明いただいた部分についてはほぼ納得ということではありますが、1つだけ質問をお願いします。

TPP対応関連の予算、もう既に昨年の補正から始まっていて、今回アメリカで成立できなかった場合に先食いした予算ということになってしまうわけですね。今予算編成とTPPの成立のタイミングが、微妙な段階なのですが、その後どうされるのでしょうか。それともこれまでやっていたことが無駄ではなかったという立場をとるのか、その辺をお伺いしたい。

〔 吉川分科会長 〕 主計官、お願いします。

〔 岩元主計官 〕 TPPにつきましては、昨年10月に大筋合意に至りまして、現在参加12カ国において、それぞれ国内手続を進めているところだというふうに承知をしております。こちらの36ページに記載されております体質強化のための施策でございますけれども、もともと日本の農業の競争力を強化していくということはこれまでも必要とされている課題ですので、こうした施策というのは、TPP協定が仮になかったとしても、本来進めていくべきものであったというふうに考えております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

それでは、次の議題に進みたいと思いますが、第2の議題は文教・科学技術です。奥主計官よりご説明をお願いします。

〔 奥主計官 〕 それでは資料2に沿ってご説明をさせていただきます。目次を開いていただきまして1つ目の議題から、義務教育費国庫負担金でございます。

2ページをお開きください。教職員定数の現状でありますけれども、平成元年度から足下の平成28年度を比べた場合、教職員の基礎定数はクラス数の減に伴いまして約12万人減少しておりますが、加配定数を約5万2,000人増やしているということで、教職員定数全体の減少幅は約7万1,900人ということになっております。円グラフもご覧いただきますとお分かりいただけますように、加配定数の全体に占める割合は1.5%から9.2%に増加しているというのが現状でございます。

そのような結果、3ページをご覧いただきますと、児童生徒数は、この間約30%減となる一方で、教職員定数は約9%の減にとどまっております。したがいまして赤い線で示している、児童生徒40人当たりの教職員数は約40%増という状態になってございます。

次の4ページをご覧ください。こうした教職員定数の措置の結果、現在の到達点として、在学者1人当たりの年間公財政教育支出のGDP比の国際比較をいたしますと、左下のグラフをご覧いただきますとお分かりいただけますように、日本の位置はそのような位置にあります。右側の表もご覧いただきますと、教員1人当たりが抱えておられる生徒数は、OECD平均に近くなっておりますし、G5の平均よりも下回っているとおり、より少ない生徒を1人の教員が抱えていると、そのような状況まで来ているということであります。

したがいまして5ページをご覧いただきますと、横軸が租税負担率、縦軸が在学者1人当たり年間公財政教育支出のGDP比をあらわしたものでございます。多くの国がこの青色の帯の中にあるという状態でありますけれども、日本は幸いにも租税負担率が非常に低い水準の中、高い水準の公財政教育支出を財政資源の中から振り向けているということがお分かりいただけるかと思います。

次の6ページですが、こうした結果、学力レベルの国際比較という観点から見ますと、日本は数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシー、いずれも比較的かなり高い水準を維持しているということが言えるのではないかと考えられます。したがいまして、教員の数をたくさん確保して学級規模を小さくすることによって学力が上がるということについてどう考えるかでありますけれども、7ページ、OECDが2015年に出した研究レポートを引用させていただいております。そこにありますように3行目、「一般には、学級規模そのものが生徒の成績を左右することを示すデータはほとんどない」、その2行下に、「各国は、例えば給与を引き上げて、優れた教員を募ったり、たとえそれによって学級規模が拡大することになったとしても、そちらを優先すべき」といったレポートを出しておられるということをご紹介してまいりたいと思います。

次の8ページと9ページの見開きが、今後29年度以降、どのように考えていくかという話に直結する資料でございます。まず左側の8ページ、これが財務省において試算をしたものでございます。試算の前提が8ページの右側の灰色の帯の中にある子供の数及びクラスの数の今後の見込でございます。今後10年間で、子供の数は約120万人、クラスの数は約3万1,000クラス減少するという前提の下で試算をしたものであります。ちなみに下の矢印の中にありますように、この3万1,000クラスの減を算出する際には、近年増加傾向にある特別支援学校及び特別支援学級の増加の趨勢を織り込んだ上での見込みになっていることを申し添えさせていただきます。財務省試算の結果は、基礎定数、加配定数それぞれ約4万4,000人と約5,100人の必要数の減ということでありますので、合計で約4万9,000人の教職員数の減、これが現在の学級編成の水準というものを維持した場合の必要教職員の数ということになります。

これに対しまして右側の9ページですけれども、これは今年の夏、文部科学省が29年度概算要求を出した時に、あわせて今後10年間、文部科学省としてはこのようにしたいという絵を描いてこられたものを、左の財務省試算と同じような姿に焼き直したものでございます。文部科学省の10年計画の前提は、青い枠の中にも書いてありますように、「通級による指導」や外国人児童生徒等への指導のために必要な教員を、現在加配の中で手当てをされておりますけれども、この10年計画の中ではこれを基礎定数化し、かつ徐々に手厚く配置をしていきたいということでございます。「通級による指導」とは、普通学級におられる発達障害児などを1日に数時間別の特別指導教室に連れてきて、そこで特別な指導をするために必要な教員でございます。文部科学省の計画によりますと、基礎定数で約1万9,000人の減、加配定数はいじめ対策などの加配の増を盛り込んでいますので、ネットで約5,000人の増ということで、合計約1万5,000人弱の減になっており、財務省の試算約4万9,000人との間には3万5,000人の乖離があるということでございます。

これを図示したのが次の10ページでありまして、この中の青い線が財務省試算の、いわゆる体制の現状維持をするラインであります。赤い線が文部科学省の10年計画を図であらわしたものでありまして、右側のオレンジの上向きの矢印が、3万5,000人の差をあらわしています。このオレンジ色の線の大きな部分を占めているのが、先ほど申し上げた通級指導及び外国人指導の対応に必要な教員の基礎定数化及びその充実ということで、3万5,000人の乖離によって、国費ベースで約758億円の差が出てくるということでございます。私どもといたしましては、この現状維持の青い線よりも上にいくということは、すなわち現在の体制よりも教職員数を増やすということを意味しますので、体制を厚くするのであればどのような成果を出されるのか、それが科学的に立証されたエビデンスを伴うものなのかということをしっかりと追及をしてまいりたいと考えております。

11ページは昨年末に経済財政諮問会議で定められました改革工程表の義務教育関係部分であり、そこにもエビデンスに基づいたPDCAサイクルについての言及があるところでございます。

12ページは加配定数6万4,700人についての見直しの方向性をイメージ化したものであります。そこにありますように、実証研究などを通じて費用対効果、適正配置数の検証をしっかりと行った上で、加配の中にも現在では学校数やクラス数、それから児童生徒数に連動する性格のものが入り込んできているということが考えられますので、教員とスクールカウンセラーやソーシャルワーカーなど外部人材とを組み合わせ、最適な投入方法を精査した上で、なおその教員の手当てが適切であるという部分については、法律改正を行った上で基礎定数化をするということもあり得るというふうに考えています。右側は引き続き地域や学校ごとの実情に応じて政策的判断で行う教員の手当てでありますので、加配として残る部分もあるというふうに考えております。

そのような目で今年の文部科学省の概算要求を見てみますと、私どもとしては少し困惑をする内容も含まれておりまして、例えばそこにありますようにいじめ、外国人の日本語指導、特別支援教育などそれぞれの課題につきまして、片やその加配定数での要求、つまり教員を増やすことによって対応したいという要求と、それから右側にありますように外部人材を増やすことによって対応したいという要求が、両方出ております。両方要求してはいけないというわけではありませんけれども、その教員や外部人材での対応がどういった局面で有効なのか、あるいは組み合わせが適切であるというのであれば、どういった組み合わせによってそれに対応するのが最も効果的なのかといったことをしっかり検証した上で予算措置をするというのがあるべき姿だと考えておりますので、そのようなことで説明を求めてまいりたいと考えております。

次の14ページ、15ページは、先ほど申し上げましたオレンジ色の上向きの矢印、3万5,000人の乖離の中の大きな要素であるところの特別支援教育及び外国人児童生徒対応のための教員措置についての現在の考え方をまとめたものでございます。左側の特別支援教育のほうから参ります。

まず第1に海外での研究事例によれば、上の箱の中に例示をいたしておりますけれども、特別支援教育において学級規模、すなわち教員の数と学力の間に優位な関連は見られないという研究例が多数存在します。それから次に右側の2つの棒グラフをご覧いただきたいのですが、これは先ほど申し上げた通級指導に対応しておられる教員1人当たりが抱えている児童生徒数を都道府県別に並べたもの、上が小学校、下が中学校でございます。ご覧いただきますとお分かりいただけますように、都道府県ごとに非常に乖離がある。対応がバラバラな状態になっているということがお分かりいただけるかと思います。それから左下の二重枠の中に例示をさせていただきましたけれども、特に通級指導のための教室を設置するということではなくて、外部人材や複数の教員によって指導するということで対応していると。特段通級指導教室を置いていない自治体もあります。我々としてはまだ現在通級指導の体制として教員や外部人材、その投入量、組み合わせ、いずれも都道府県ごとにまだ模索段階にあると思いますので、都道府県でどのような取組をされていて、どういったやり方が最も効果的、あるいは王道であるということが検証し確立をされた上で、基礎定数化について議論すべきであろうと考えています。

次の15ページ、外国人児童生徒への対応についての考え方であります。まず下の棒グラフをご覧いただきますとお分かりいただけますように、外国人児童の在籍状況というのは地域で非常に偏在性が高いという状況にございます。したがいまして、全国一律でのやり方がまだ言える状態ではなく、地域ごとの事情を踏まえつつ、まずその地方自治体や当該地域の経済団体、あるいはご両親を雇っておられる企業と十分な連携、協力を求めていくということが必要ではないかと考えています。

その次に右側の円グラフをご覧いただきますと、その外国人児童生徒の母語というのは、英語は少数派でありまして、非常に多様な言語をお話しになられるという状態であります。こういった特殊な言語につきまして、先生方を研修でその言語を一から学んでいただいて児童生徒に対応するということは、非常に非効率で非現実的ではないかと考えます。したがいまして、外部専門家の活用も含めて、費用対効果を最大化する対応の在り方、学校で引き受ける役割とは何なのかといったことを検証することが、基礎定数化を考える前に必要なことなのではないかと考えております。

16ページは、今申し上げたことをまとめたものでございますので、説明は省略させていただきます。

続きまして、18ページ以降は国立大学運営費交付金についてのご説明でございます。

まず18ページですけれども、国立大学法人は法人化以降運営費交付金を1,470億円減額されていて、教育研究活動が非常に圧迫されているというような批判がありますけれども、まずその1,470億円の減額の内訳というものを見てみますと、附属病院の赤字補填をしていたものが赤字の解消によって必要なくなった分、584億円と、退職手当の減、500億円が太宗を占めております。これだけで1,000億円を超える減となっているわけでありまして、これらは特に直接大学の教育研究活動に影響を与える部分ではないと考えられます。これらを除いた減少額というのは382億円でありまして、全体の3.1%に相当しますけれども、この間国立大学の入学者数は3.3%減少しておりますので、ある意味教育という観点から見るのであれば、体の大きさに見合った減と言えるのではないかということが1つ。それから右側の棒グラフをご覧いただきますとお分かりいただけますように、国立大学に対する国からの支出というものには、運営費交付金だけではなくて科研費をはじめとする各種の補助金がございます。これらを合算した国立大学の教育研究活動に対する公的支出を見てみますと、この間1,047億円、逆に増加をしているというのが現状であります。

したがいまして、右側の19ページをご覧いただきます。国立大学法人の会計基準に教育経費及び研究経費という項目がございます。これらをそれぞれ大学生1人当たり及び非常勤も含めて研究者1人当たりの数字に直したものがこちらのグラフであり、増加をしているというのが実態でございます。

次の20から21ページは国際比較の観点から述べたものであります。

20ページにつきましては左下のグラフ、2つ棒グラフが並んで各国比較、OECD、アメリカ、日本となっておりますけれども、左側が在学者1人当たりの高等教育向け公財政教育支出の水準のGDP比でございます。ここで見られますように、日本は18.0%ということで、OECDやアメリカの平均よりも低いということがよく言われますけれども、私どもとしては租税負担率の大きさともあわせて考える必要があるのではないかと考えます。右側の棒グラフをご覧いただきますと、これは租税負担率に対する高等教育向けの公財政教育支出の割合でございます。そこにありますように日本の水準はOECD平均を上回っているということであります。

21ページは米、英、仏、独の各国と日本の社会保障以外の支出と、それから高等教育向けの公財政教育支出の推移を見たものであります。まず下側の2つのグラフをご覧いただきますと、左側が米、英、仏、独の社会保障以外の支出の推移をあらわしたものであり、増加しています。右側が高等教育向け公財政教育支出の推移であり、全体が増える中で伸ばしていると。これに対して上のグラフをご覧いただきますと、日本においては、国、地方を通じた社会保障以外の支出総額は減少しているわけですけれども、その中で絶対額としては公財政教育支出を増やしてきているというのが日本の姿であるということがお分かりいただけると思います。

そういったことを前提に22ページ及び23ページが、今後の国立大学法人の取組として私どもが期待することでありますけれども、まず22ページは運営費交付金の再配分の強化促進についてでございます。運営費交付金のうち一定部分、これを各大学から切り出して、それを財源として再配分を進めると。国立大学は3つに分類されており、それぞれのグループの中でしっかり競争していただき、改革に取り組む成果を出しておられる大学に対しては分厚く配分をしていくということを、今後6年間の中期計画期間を通じてしっかりと進めてまいりたいと考えております。

それから次の23ページ、国立大学の収入構造につきましては、春の財審、その前の秋の財審でもご説明させていただきましたけれども、日本の国立大学の収入の中で運営費交付金が占める割合が非常に高いということでありますので、上のほうのグラフの青で示している研究受託収入や、緑で示している資産運用益、ここをより強化して、それによって多様な収入構造、収益力を上げていただく。これによって、自立的な国立大学による教育研究活動を進めていただく力を高めていただきたいと考えております。右下にありますように、KPIとして民間企業との共同研究受入金額についての数値目標、あるいは寄附金の受入額についての数値目標も定められましたので、これに沿ってしっかりと進捗させていただきたいと考えています。

25ページ以降が科学技術関係です。

26ページは日本における各主要経費の推移を平成元年度と比較をしたものでございます。ご覧いただきますとお分かりいただけますように、科学技術振興費は元年度を100といたしました時に、平成28年度は302.1ということで、いまだ社会保障関係費の指数を上回る水準にあるということ。

したがいまして27ページ、一般政府総支出に占める科学技術予算の割合という目でみますと、主要国の中でOECD平均1.54%を上回っている水準にあります。

次の28ページが、科学技術予算の対GDP比でございます。GDP比もOECD平均0.67%に対しまして0.75%ということで、主要先進国の中で上位にあるということでございます。

29ページはご参考までに掲げましたけれども、租税負担率の低さというものをご確認いただくための資料でございます。

そうした中、30ページでありますけれども、科学技術予算についてはインプット目標に拘泥することなく、やはり研究の質の向上に結びつけていただく必要があるのではないかということでございます。右下のグラフをご覧いただきますと、各国の総論文数に占めるTOP10%論文数の割合が示されておりますけれども、日本においては科学技術予算を伸ばしている時期も、それから横ばいになっている時期も、いずれも低い水準でずっと推移をしているということが分かります。それから先ほど28ページでご覧いただいたGDP比の国際比較を見ますと、アメリカ、ドイツといったTOP10%論文数の割合上位の国にも増してイギリスが17.0%であるというのが分かります。イギリスのGDP比は、日本やフランスよりも下位にありますので、予算投入量がそのまま国際的に高い評価を得て引用される回数が多い論文を生み出すわけではないということがここからも分かるのではないかと思います。

31ページ以降、質の向上のための提案を3つ挙げさせていただいております。1つは成果目標の導入ということで、下にありますように今度の第5期科学技術基本計画には8つの成果目標が盛り込まれており、これに沿ってしっかりと進捗管理をしていく必要があるということ。

次の32ページ、産学連携の推進であります。産学連携につきましては左下のグラフ、緑色の折れ線にありますように、日本の大学の研究開発費の企業からの受け入れ割合が、景気動向を問わず非常に低い水準で低迷している状態にあります。右側にありますように、各国比較をいたしましても日本の水準は米国の半分程度、ドイツはここに表現できないので書いてありませんが、下のアスタリスクのところに書いてありますとおり、14%もあります。そういった中でもう少し日本においても、例えば民間企業にも裨益するような研究開発を国が支援するに当たっては、企業との人的、あるいは資金的な提携、連携といったことを条件とするといったような取組が必要だと考えています。

最後に3つ目の提案ということで、プロジェクトの適切な選定と優先順位づけであります。文部科学省において総額100億円以上になる、後年度負担を持っている大規模プロジェクト、H3ロケット、ITERとポスト「京」の開発の3つが進行しております。ご覧いただきますと、平成30年度以降に、急激にその研究開発の後年度負担が出てくるということがお分かりいただけるかと思います。したがいまして、大規模プロジェクトの選定に当たりましてはCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)などと緊密に連携をして、後年度負担の姿も十分に踏まえながら、特に厳しく優先順位をつけるということが重要であると考えます。また、平成29年度の予算編成過程におきましても、30年度以降の状況もよく見きわめた上で、新たな事業を開始することが適切か否か、慎重に判断をしてまいりたいと考えています。

34ページは参考資料であります。

35ページは今申し上げたことのまとめでありますので、説明は省略させていただきます。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、どなたからでも。それでは田中委員、赤井委員。

〔 田中委員 〕 はい、ありがとうございます。私は義務教育と、大学について、大きく2点申し上げたいと思います。

初中教育に関しましては少し各論になりますが、14ページの特別支援教育であります。発達障害児に関してはこのところ社会的な問題になり、需要は大きいので、それに対する措置は必要だとは思います。ただ、主計官がおっしゃっていましたけれども、これを一般の教員でその基礎定数を増やすことによって、問題の解決になるのかということについては、私は疑問に思うところであります。少し個人的な例になりますけれども、私の教え子が5人ほどたまたま勤めているLITALICOという株式会社がありまして、3月にマザーズで一部上場した会社なのですが、発達障害児7,400人を対象に塾を経営し、既にウェイティングリストが5,000人規模になっています。それだけ需要があるわけですけれども、その内容を見ていますと、発達障害児に関しては個別指導で専門的な知識がかなり必要で、塾を経営しながらも、あわせて専門の教員を育てているということに鑑みますと、これはやはり一般の教員のスキルでは対応が難しいのではないか。その意味では、別の予算で充当する類いのものではないかと思います。

2番目は大学の運営費交付金に関するものです。これは皆様には釈迦に説法になるかもしれませんけれども、運営費交付金のほとんどは教職員の人件費に当たるところであります。資料の18ページにありますように、大学全体に対して運営費交付金を減らすかわりに競争的な資金を増やすことによって、全体としては増えているということをこの10年ほど続けてきました。その結果として、先ほど質の高い論文の数が出ていましたけれども、あまり研究力というところでは効果が出ていない。他方で若手研究者のプッシュアウトが起こっていまして、いわゆるある程度の年齢の教員がそこにいて、若い人がなかなか入れないことで、新陳代謝が起こらない。ですから、運営費交付金を減らしながら競争的資金を増やすという、このやり方自体をもう一度見直して、どのようなポートフォリオがいいのかということを再考する時期に来ているのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。赤井委員。

〔 赤井委員 〕 10ページにありますように、少子化ですから教職員定数はしっかりと減らしていくべきだと思います。ただ新たな課題に対する加配措置も必要ですけれども、それは財政制約を加味して優先順位をしっかりと見きわめて対応すべきと。

13ページにありますけれども、加配に加えて外部人材活用の様々な補助金がありますが、これはまさに役割分担をしていかないと、お金が幾らあっても足りませんので、その最適配分をしていくことが大事です。実は明日大阪で、大阪レビューが開かれるのですけれども、そこでもそのような議論していく予定です。

それから、11ページにありますとおり、エビデンスということが最近言われていますが、専門家が議論すると1つの政策に効果があるかないかしか議論せずに、財政制約の下で何が効果的なのかという議論が行われていないので、そこのところをきちんと見ていくということ重要だと思います。

それから国立大学について、まさに田中委員がおっしゃったように、教育研究活動の総額は増えているにもかかわらず業績が上がっていない。しかも国立大学では、運営費交付金が減って苦しいという議論をしている。競争的資金と運営費交付金のどのバランスが一番研究成果を生み出すのに正しいのかというところを議論すべきということです。

最後に1点。民間資金や寄附金が今後財源の多様化において、必ず必要になってくると思いますので、23ページや30ページにありますけれども、どうしてそれが増えないのか、海外と比べてどうして少ないのかというところ、成功事例と失敗事例を検証して、国として戦略的に増やす方法を考えていくべきだと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では続いて老川委員、大宮委員、お願いいたします。

〔 老川委員 〕 ありがとうございました。教員の定数の問題について、今までは少人数学級のほうが、学力が上がるという議論がありましたが、しかし実際にはそうではないということが明らかになって、今度は逆に、他にも発達障害やいじめなどの問題があるから、それを基礎定数にということで、何か教員の数を減らさない、あるいは増やすための論理だけに終始しているような印象があります。それに対して外部人材の活用というご説明がありましたけれども、これは誠にもっともな話で、先ほど田中委員からお話ありましたように、専門的な指導が必要とされる分野ですので、どんどん進めていかれたらいいと思います。

その上で一言申し上げたいと思うのは、どうも今の教員の定数の問題が、何か文部科学省あるいは学校だけで、いじめ、不登校や引きこもりなどの問題に対応しなければいけないと考えているように思えてならないのですが、実際には不登校やいじめの背景に家庭の問題など様々な問題がある。また、それがトラウマとなり大人になっても引きこもりになって、職業につけないということになると、現実的には200万人ぐらいの引きこもりがいると言われていますが、これは労働力不足という観点から見ても大変な問題だと思います。また仕事がない、収入がないということになれば、生活保護に頼らざるを得ないという大きな社会保障の問題にもつながっていくということなので、これは文部科学省の教員の配分というだけの問題ではなく、もっと社会全体の大きな課題という観点で、総合的な分析、そして対策が必要になってくるのではないか。財務省のほうからもそういった観点からのご指摘をされたらいいのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、大宮委員。

〔 大宮委員 〕 安倍政権はGDP600兆円の実現に向けて、鍵はイノベーションだというふうに言っているわけでありまして、10月14日の経済財政諮問会議においても有識者委員が、研究開発投資というのは経済成長の最大級の起爆剤であり、GDP比が1%の研究開発投資をすると潜在成長率が0.3から0.4程度上がるという分析もあると言っておられます。民間は今後10年間で大学や国立研究所への、研究開発投資を約3倍にしようということで取り組んでいるところでありまして、政府が骨太2016に示された研究開発投資、対GDP比1%というのは着実な達成を目指して引き続きやっていただきたいと思います。ただ、当初予算ベースで今0.75%、それから補正も含めますと0.85%程度の研究開発予算が政府から出ているわけでありますが、これを1%まで引き上げるというのはやはり数千億円の単位で財源確保が必要となるということも重々理解します。前回の会議においても田近委員がご発言されておりましたけれども、財政健全化計画と整合性をとることが非常に重要でありますので、効率的な予算配分をよく心がけて、何とか近いうちに1%に持っていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では続いて角委員、武田委員、竹中委員。

〔 角委員 〕 ありがとうございます。私も10ページのグラフを見まして、もちろん文部科学省と財務省で差があるのは分かりますけれども、この6年間全然減らないという、これは要するに前半6年間は加配の定数をずっと増やして、このグラフが真横に行っているというのは、どう見ても違和感があります。7ページのすぐれた教員候補で給与を上げるというのは大賛成でして、私も大学の理事をいろいろやらせていただいていて、その下に高等学校や中等学校を抱えておられるところを聞きますと、別に偏差値を上げるだけが全てではないですけれども、やはりそこは教師の質の問題、要するに尊敬される先生がいらっしゃれば、一生懸命勉強するということだと思いますので、これはもう大賛成です。

新聞記事で読んだだけなので、失礼があったらいけないのですが、ある私立大学が定員割れをして成り立たなくなり、それを本来なら退出すべきだと思いますけれども、公立学校に変えて授業料を低くして残ったという話を聞きまして、もちろん特殊な事情があるかもしれませんが、一般的には公立大学の定員を増やせばいいのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、武田委員。

〔 武田委員 〕 どうもありがとうございます。2点申し上げます。

1点目は、教育・科学技術の重要性です。人口がこれから減少していく我が国においては、人材の教育水準、科学技術力こそが、我が国にとっての頼みの綱でありまして、質の観点でも維持・向上しなければいけないと思っていますし、これこそ重点分野ではないかと考えております。したがって、どうやって限られた財源の中で教育水準や科学技術力を維持していけるのか、あるいは租税負担の在り方がこれでいいのか、そちらを考えるべきではないかと考えております。

2点目は質の点です。大事なのは教員の数ではなく、質であるという点は、先ほどご説明いただいたとおりだと考えており、単に教員数を増やせばそれで教育水準が維持できるというものでもないと思います。例えばグローバル化対応として必要な人材を、教員以外の外部人材の効果的な配置の工夫によって進めていくなどの取組については、ぜひ今後も検証を推進していただければと思います。

また、企業と大学や研究所の連携も、機能をもう少し補っていく工夫ができないものか、常日ごろ大学の先生方とお話しして感じるところでございます。第一線で研究し、グローバル市場で昼夜を問わず競争している方に、他の事務員が代替可能な事務処理であったり、あるいは特許のための申請手続であったり、そういった負荷がかかっているのは事実だと思います。その辺をうまくつなげてあげるところに財源を活用することによって、研究そのものに集中ができ、それが成果につながり、ひいては日本に大きなリターンをもたらし、イノベーションにつなげていく、そういった循環が要るのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 ありがとうございます。私は14ページのところの特別支援教育のところに絞り込んでお話をさせていただきたいと思います。たまたま自分の娘が重症心身障害ということで、ちょうど文部科学省が特別支援校、その当時はまだ養護学校と言っていましたが、養護学校の教育の義務化を施行した昭和54年に、娘はちょうど小学校入学の年齢になったのですが、障害が重くて通うことができない状態でしたので、義務化と同時に始まった在宅訪問児童の第一号になったということもあって、日本の障害児教育をずっと自分自身も体感し、見つめてきたという立場からお話をさせていただきます。数年前この財審で特別支援教育については何か資料ないですかといった時、文科省から全く資料が提示されておらず、財審でも全く審議されることがありませんでした。しかし近年、特に今回そうですが、特別支援教育に対しての資料が入るようになり、なおかつそこに教員の数ということもかみ合わされて、時代の変化をすごく感じます。今までも私発言しましたが、とりわけ特別支援教育においては教員の数と中身を、単純に関連づけることはできません。

特に発達障害の方のことを田中委員がおっしゃいました。私が主宰するプロップ・ステーションでもそうですが、発達障害の方というのは教育の仕方によって最も教育効果と就労成果の出る方々です。しかし、既存の教育の中では残念ながら問題児などと言われてしまっており、そこに実は大きな課題があるわけです。日本で問題児、発達障害だと言われた子供が、ご両親の仕事の関係で欧米へ行かれたとすると、そこでは普通の生徒という状況になることが多々あります。なぜそのようなことが起きるかというのは、教育の仕方が根本的に違うからです。日本では障害児は「教員を加配して受け入れる存在」という概念がありますが、欧米では「専門的な知見によるスペシャルニーズ・エデュケイションの対象」と位置づけられます。ですから障害児教育の成果を上げるのは教員の数とイコールではないということが、はっきり言えると思います。もちろん海外事例を含む先進的な勉強された先生方が増えるということは重要ですけれども、何より大切なのは特別支援教育にICTを取り込むということが、日本ではまだ否定的にとられていることが、障害児教育の進化を妨げていると思います。アメリカでは何年も前から積極的にICTを取り入れた教育を行っています。要は発達障害の方は紙の教科書と板書による文字で勉強することが難しいという側面があるわけです。ですから、発達障害の方々にとっては、その人に合わせた字の大きさや、文字の出てき方、画面が変化するというような教材が必要であるにもかかわらず、日本の教育は教科書と黒板と先生の注意喚起についてこられない生徒はもう問題児ということになる。この点がまだあまり知られていないところです。

プロップでは、弱視の子供のお母さんからのご相談も多いのですが、弱視の子供というのは一般の教科書の文字がほとんど読めません。ご家族が一生懸命拡大コピーされたりするのですが、残念ながらそれは公費にはならなかったり、一部公費にしていただけたとしても、全ての教科書ではない。とりわけテストの時は、絶対テスト用紙でないとだめといって、実はとても能力の高い人だけれども、それによってきちんとした点がとれないというようなミスマッチもいっぱい起きています。その意味で、特別支援教育というのは人間が成長していく、社会人になっていける、誇りを持って生きるという、ある意味で全ての教育のモデルになるのかなと思っています。教員の数という話になった時に、私は財審がこのようにきっぱりと、子供の数に合わせて減らすべきと言われたことによって初めて、質の問題にテーマが移ってきたのかなと感じます。その意味で、私は財審の1つの在り方として、まずそのように投げかけるということがあって、なおかつそれを受けて文部科学省が、あるいは教育に携わる全ての方が、もう一度、単なる数ではない、質というところに徹底的に着目をしていただきたい。それによって日本の教育というのは劇的によくなるのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも貴重なご意見ありがとうございました。

では、加藤委員、黒川委員、佐藤委員、末澤委員で。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。1点質問です。趣旨についてはもう既に赤井委員、老川委員がお話をされていますが、学級規模と学力の関係、あるいは基礎定数や加配の関係について、エビデンスが必要だということは、昨年の建議の中にも出てきましたけれども、そういったことについていかに文部科学省側が対応して、様々なデータや何かを出してきているのか、その点について少しお伺いしたいと思っております。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 主計官。

〔 奥主計官 〕 予算編成過程の中でまだ議論をしている最中ですので、その意味では途中経過ではありますけれども、文部科学省が一定のエビデンスであると示されたものの結構な部分が、1の資源を投入した時にプラスで何らかの効果があることが認められた、よってこの政策には効果があるというような説明をされることが多い。先ほども委員の先生方からお話も出ていましたが、我々としてはやはり1投入してプラスであるということではなくて、他の様々な手段の組み合わせの中での費用対効果検証というのはやはり重要なのではないかと考えておりますので、まだその意味では十分なエビデンスが議論の俎上に上っている段階ではないというふうに私どもは考えております。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。まず15ページ、初めて議論をお聞きしましてびっくりしたのですが、この15ページの外国人児童生徒への対応について、文部科学省は具体的にどのようにしていくのかということを主計官にお伺いしたい。

〔 吉川分科会長 〕 主計官。

〔 奥主計官 〕 普通のクラスで日本語の授業についていけるような状態までサポートすることを目指すという考え方に基づいて支援するということだと理解しております。

〔 黒川委員 〕 分かりました。この図を見まして、私はこのグローバル社会において人材の宝の山だというふうに思った次第です。これだけの英語以外の言葉を話す子供たちがバイリンガルになる。家庭では母国語を話していて、今の日本の教育制度の中でケイパビリティーまで平等になると。アマルティア・センではありませんが、そこまで引き上げたならば、この人たちがどれだけ日本のグローバルな中で活躍する人材になっていくのだろうかと私は見ました。

特に地域偏在がありますよね。そうすると、1つ考えられることは、グローバル化している企業にとってもこの子供たちをどのように取り込むのかというのはあるかもしれませんが、もう1点は中小企業も地域の活性化で世界に出ていこうと言っている時に、この子供たちが大人になって従業員になってくれたら、非常に力強い宝になると思います。ですから、先ほどから様々な知的障害者の問題もありましたけれども、それと同じようにこのような子供たちをバイリンガルとして、しかも日本のグローバル社会における貴重な人材だと見てどのように教育をしていくのかを考えていくことが大切なことではないかと感じた次第です。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 ありがとうございます。まず32ページのところにある産学連携ですけれども、やはり必要なのはマッチメーカーだと思います。つまり大学側の言語も話し、産業側の言語も話せる人というのが、求められてくるのではないかと。おそらくそのあたりがうまくいっていないというところがボトルネックではないかなという気がします。

それから22ページ、23ページで、確かに競争を促す、財源の多様化を促す、これは非常に大事だと思います。しかし、それができる分野の研究者と、必ずしも競争がイコールフッティングではない分野の研究者というのはいるわけです。我々のような応用分野は競争にさらされてしかるべきだと思いますけれども、基礎研究の分野であるとか、地方大学など、もちろん地方大学はこれから経営改革をしなければいけないですが、やはり一定の配慮は必要かなと。これはおそらく総額をどうするという話よりは、運営交付金の配分の問題かなという気がします。

実は、大学の経費で一番増えているのは、法定福利費でありまして、つまり社会保険料です。高齢化による社会保険料の増加が、本来未来の投資であるはずの研究や教育を圧迫しているというのが事実であります。やはり社会保障を何とかしなければいけないというところに落ち着くと思います。

最後に、毎年この教員定数でなぜこんなにもめるのだろうと考えると、やはり義務教育費国庫負担金が基本的には教員定数に絡むからですよね。ですから、予算をとりたければ教員定数を増やすしかないわけです。今地方分権の時代でもありますし、極めて教育というのは地域的な特徴を持ちますので、やはり都会での公教育と地方の公教育は違いますから、ここは本来であれば補助金は交付金化し、子供1人当たりに定額化するなどして、あとは何人教員を雇うか、どのような教員を雇うかというのは、それぞれの自治体が創意工夫をして、よい意味での競争を自治体間に促すということが必要なのかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、末澤委員。

〔 末澤委員 〕 ありがとうございます。8ページの右側に子供の数とクラスの数の10年後の変化というのが出ていますが、これを見ますと子供の数は12.4%減っているけれどもクラスの数は7.9%しか減らないと。これは私の勝手な理解ですが、おそらくこれは1クラスの学校がどんどん増えていって、1をゼロにはできないので、クラスの数はあまり減らないのではないかと。これからどんどん子供の数は減ります。おそらく来年、再来年には出生数100万人を割ってくるわけですが、その時に学校の統合という新たな観点でやっていかないと、いじめの問題も外国人対応も1クラスだけでやるというのは難しいと思います。これは地方では、ご不満があるのは理解していますけれども、やはり教員の専門性の面でも、ある程度統合していくと。

あと今週思ったところで、実はこの1週間に2回、小学生の通学時に不幸な事故が起きています。ですから、今後はスクールバスの対応をもっと抜本的に考えて、やはりご自宅の近くまで回って安全管理をすべきだと思います。学校の統合をそういった安全確保とともに、従来とは違った観点で対応を考えていかなければ、従来の議論だと結果的に教員の数はそれほど減らなくても、実は質が落ちていくということになりかねないのではないかと考えております。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、次の議題に移ります。本日3つ目の議題はエネルギー・環境、中小企業であります。

小宮主計官、ご説明をお願いいたします。

〔 小宮主計官 〕 資料3をご覧ください。経産、環境担当の小宮でございます。よろしくお願いいたします。

3ページからご覧ください。まずエネルギー・環境対策でございますけれども、ご覧いただいておりますのは経済産業省、環境省の一般会計予算の構成でございますが、それぞれがエネルギー、それから環境という観点から事業をやっています。本日は両者重なり合っております省エネ対策、それから再生可能エネルギー対策の予算を中心にご説明申し上げたいと思います。それぞれ特別会計で実際の事業はやっております。

4ページ目はその特別会計の仕組みでございますが、省略をさせていただきます。

5ページ目でございます。この特別会計は石油石炭税と電源開発促進税の2つの税が特定財源とされております。地球温暖化対策の必要性の高まりを背景といたしまして、平成24年度から石油石炭税は特例措置として段階的に引き上げられており、そのような形で財源を確保して、歳出を増加させているところでございます。

次の6ページ目をおめくりください。今後のエネルギー政策の目標でございますけれども、昨年7月に経済産業省が2030年に目指すべきエネルギーミックスを決定しております。政策目標としては、左側にございますように安全性を大前提といたしまして、震災前を上回るエネルギー自給率の確保、電力コストの引下げ、そして温室効果ガス排出量の大幅な削減を掲げております。その具体的な姿といたしましては、右上の図のとおり、徹底した省エネによりエネルギー需要全体について経済成長による増加分を上回る削減を行うということが1つ、また電源構成につきましては右下図のとおり、再生可能エネルギー、それから原子力の増加によりまして火力の割合を引き下げるという形になっております。

7ページ目、パリ協定でございますが、このエネルギーミックスと整合的な取組を進めることで達成できるものとして定められているのが、パリ協定に際しまして日本が提出した約束草案の削減目標で、2013年度比マイナス26%という目標となっております。

8ページ目でございますが、この26%削減の内訳を部門ごとに見たのが右下のグラフでございまして、業務その他部門、家庭部門については40%程度の大幅な削減が必要とされているというところでございます。この大きな枠組みを達成するのが、この予算の使命でございます。

10ページ目から再生可能エネルギーでございます。エネルギーミックスの中で足下の2014年、再生可能エネルギーの割合は、水力を除き4%強でございますけれども、2030年には13から15%程度、大幅に導入を拡大することが目標とされております。そのための政策手段といたしましては、第1に固定価格買取制度が挙げられることになりますけれども、あわせて各種の予算措置が講じられております。その全体像を11ページにお示しをしております。

ご覧いただきますとおり、再生可能エネルギーにつきましては地熱、バイオマス、風力、太陽光と幾つかエネルギーが分かれておりまして、それぞれのエネルギーごとに研究開発、実証事業、導入支援のための措置がそれぞれ講じられておりますことから、多くの事業が行われていることになります。そのため、予算措置が総花的になりがちでございますので、次の12ページでその予算をどう考えるかという視点を示させていただいております。

1点目、費用対効果ということで、2つ事業を並べております。右の事業につきましてはCO2削減コストが1トン820円と試算されておりますけれども、左の事業については1トン2万円を超えているということで、費用対効果の観点を踏まえる必要があるのではないかという点が1つ。2点目、政策目的に合致した予算措置ということで、こちらも2つ事業を並べております。いずれもコストの削減を目的としている事業でございますけれども、右の事業は家庭用燃料電池への補助金でございまして、この補助金の支給要件に電池価格の低減要素を組み込んでおります。最終的に補助金に依存しないという出口戦略をつくった上で、燃料電池の普及という政策目標を実現しようとしています。

他方左の事業は、海外に比べても高い日本の太陽光発電のコスト低減を目的とするものですけれども、外国とのコスト差の主要因とはなっていないパネル性能に関する技術開発を主に行うということで、必ずしも政策目的にマッチしていないように思われます。このように見ますと、再生可能エネルギー予算につきましては優先順位づけを明確化して、政策効果の高い事業への重点化を進めるということと、特に導入補助、実証事業につきましては出口戦略の設定を徹底する必要があると考えられます。また、再生可能エネルギー導入の目標に向けて、個々の事業についても適切なアウトカム目標、KPIを設定した上でPDCAを回して、進捗管理することも必要と考えます。

13ページ目は、経済産業省と環境省の2省庁がそれぞれ事業を実施するというのも、この再生可能エネルギー分野の特徴でございます。お示しした水素ステーションの整備事業というのは、燃料電池自動車の普及を目的としているものでございますが、両省で地域的な整備方針がバラバラとなっており、連携が必要とされております。2省庁でやるのであれば、連携した上で政策の方向性を共有して、できるだけ国家的な予算とする必要があると考えております。

14ページは今申し上げた点を論点としてまとめさせていただいたものですが、説明は省略をいたします。

次が固定価格買取制度についてでございます。昨年もご議論いただきましたけれども、固定価格買取制度、いわゆるFIT制度につきましては、左下の表にございますとおり、日本の買取価格は国際的に見ても高い水準にございます。2030年度に向けて再生可能エネルギーの導入拡大による買取費用の国民負担は増大が見込まれますので、本年整備した改正法においては、入札制度の導入などコスト抑制に向けては一定の見直しが盛り込まれましたけれども、引き続き買取価格の引下げが必要と考えられます。

16ページ、こちらも昨年ご議論いただきましたけれども、電力多消費業者への賦課金減免制度というのがございます。こちらにつきましては、賦課金制度の趣旨等を踏まえ、減免制度自体の見直しを図りつつ、賦課金によって対応すべきという建議をいただいており、17ページに載せたものでございます。他方、28年度予算では一部を建議に従いまして賦課金化をしましたけれども、16ページの真ん中にある予算額の推移をご覧いただきますと、賦課金自体が増加していることによりまして、予算額も増加しているという状況にございます。引き続き減免制度の適正化と減免財源を国費に頼らないような取組が必要と考えております。

18ページをご覧ください。以上の他、FIT制度や再生可能エネルギー発電に関連いたしましては、表のような各種の予算措置が講じられております。FIT対象の再生可能エネルギーの導入コストにつきましては、FIT制度を通じて回収することが基本であると考えられますので、こうしたことを踏まえて予算措置につきましては事業者による対応は困難で、効果の大きいものに限定する必要があると考えているところでございます。

19ページ目は以上申し上げましたことを論点としてまとめさせていただいていますので、省略をいたします。

21ページ目から省エネ予算でございます。省エネにつきましては、エネルギーミックス実現のため、現在に比べて2030年には35%の大幅なエネルギー効率の改善が必要と経済産業省は試算をしているところでございます。

これをいかにして達成していくかですが、22ページ、省エネにつきましては国民全体、あるいは事業者全体での取組が必要になってきます。等しく取組は必要になってきますので、基本的には規制的手法での対応が有効とされております。省エネ法では中小企業を除く事業者に年平均1%のエネルギー効率の改善を求めることにしておりまして、資料では事業者に対する規制と書いておりますけれども、取組状況が不十分である場合には、その指導、助言等々の措置が設けられています。また、この事業者に対する規制の右側に実効性の確保というところがございますけれども、本年4月から事業者クラス分け制度を導入いたしまして、S、A、B、Cのクラスに分け、Sはホームページで公表、B、Cには調査、指導を重点化するといった取組をしています。また、機器に対する規制としてトップランナー制度がございまして、メーカーに対して目標年度までに高い基準の省エネ性能の達成を求めることとしております。このトップランナー制度の対象品目は順次拡大をされております。引き続き省エネ法については実効性確保のための取組や、対象の拡大といったことを進めていくべきであろうと考えています。

23ページ目に平成29年度の予算措置の全体像を載せております。規制的手法とあわせて予算措置を行っているわけでございますけれども、再生可能エネルギー予算と同様に研究開発、実証導入支援という形になります。例示といたしまして右側に載せておりますけれども、まず右上は経済産業省の、いわゆる省エネ補助金と呼ばれるもので、工場・事業場における省エネ効果の高い設備への設備の入替えを支援するものでございます。こちらにつきましては、箱の下のところの注に書いてありますとおり、結果的に大企業への支援がかなり大きいものとなっております。大企業の中には多額の内部留保を有する企業も多いことから、省エネ法の枠組みの中で自助努力を求めつつ、なかなか省エネに対応しにくい中小企業などへの支援を重点化するということも考えられると思っております。次がリチウムイオン電池から更に革新的な電池を実用化する研究開発で、3番目が省エネ家電等COOL CHOICE推進事業というものが載っております。これは環境省が新規に要求しているもので、2030年度目標の達成に向けて省エネ家電普及のために、来年から家電販売業者の方々にCO2削減効果に応じて補助金を支給するというもので、販売奨励金のようなものでございますけれども、そもそもトップランナー制度の下で国がメーカーに普及努力を求めているものですので、追加的な効果があるのかは考える必要があると思います。

留意点として24ページ目の3番目の○に4点ほど掲げております。1番目、規制的手法で対応するほうが効果的な場合については規制的手法に委ねるべきではないか。2番目、民間の自助努力で対応可能なところは規制的手法または自主的取組の慫慂により対応すべきではないか。3番目、予算措置を講ずる場合であっても、規制措置との連携を図るとともに、政策効果が特に高いものに限定すべきではないだろうか。4番目、2030年目標の達成に向けて効果が大きいものを優先すべきではないかといったことを考えております。

26ページ目からその他というところで、1つはJCM(二国間クレジット制度)についてご説明をさせていただきます。京都議定書の下でも政府はクレジットを購入したことがございましたけれども、その仕組みでは日本からの技術は必ずしも活用されないという問題点がございました。今回のJCMは、日本の技術設備を用いて外国で排出削減を行った際、その一部を日本の削減努力にカウントするというものでございます。省エネの進んだ日本に比べ、特に途上国は削減コストが低い場合が多いため、産業界にとりましても海外での削減を活用することは国内で削減対策を行うよりもコストの軽減になります。また、それに加えまして省エネ技術の海外展開をできるというメリットもあり、一石二鳥の制度になっています。

このJCMについて、27ページにございますように経済産業省と環境省がそれぞれ普及のための事業を行っております。経済産業省は実証事業ということで第1号案件の組成を支援、実証して、2号以降のビジネスベースでの普及促進につなげるというもの、環境省は補助事業で相手国における省エネ設備の導入の最大2分の1を補助して、クレジットの2分の1以上を政府が取得するというものでございます。

JCMの普及自体進めるべきだと思いますけれども、こうした補助事業を進めていくうちに、最近相手国の補助金慣れとも言うべき現象が生じております。補助金がなければJCM事業を認めないという国が一部出てきており、JCMも本来先ほど申し上げたように削減コストの低減と低炭素技術の海外展開という2つのメリットがございまして、民間主体で普及させるにふさわしいものですけれども、よかれと思ってやった補助金が逆に足を引っ張りかねないという状況にあるのではないかと懸念しております。政府の役割としては、補助金に依存しない民間資金へのクレジット獲得への移行を後押ししていくことが重要で、そのための道筋を両省で共有し、効率的に事業を行っていただく必要があると考えております。以上が28ページの論点としてまとめております。

29ページ目、福島第一原発事故に係る費用負担の問題でございます。この現在のスキームは平成25年12月の閣議決定で定められております。現在経済産業省において東京電力の改革につきまして、東電委員会という審議会を設置して検討しておりますので、本日は現在のスキームについて紹介だけさせていただこうと考えております。現在のスキームでは、廃炉・汚染水対策と被害者賠償・除染等に分かれております。廃炉・汚染水対策につきましては、炉の設置者である東京電力が責任を果たすとされておりまして、国は技術的難易度が高い研究開発等について支援するということでございます。これまで約2,000億円の予算措置が行われております。賠償・除染等につきましては、国は東京電力の資金繰りを支援するとされておりまして、そのため9兆円の交付国債を発行して原子力損害賠償・廃炉等支援機構に交付をしております。交付された交付国債の元本分については、最終的に東京電力を含む原子力事業者の負担金を主な原資として回収することが基本ですけれども、下の表の除染等と書いてあるところの2.5兆円、こちらにつきましては当該機構の保有いたしております東京電力株式の売却益によること、それから中間貯蔵施設と書いてある1.1兆円につきましては、一般会計等の財政収支に影響を与えないよう、エネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定から行う資金交付で賄うこととされております。以上の枠組みは国民負担を抑制しつつ、電力の安定供給と福島の再生を両立させる観点から定められたものですけれども、今後につきましては経済産業省に設置された東電委員会における検討状況等を見ていく必要があります。

以上がエネルギー・環境でございまして、続いて中小企業の説明に移らせていただきます。

中小企業につきましては、昨年の財審で信用保証制度についてご審議の上、建議をいただいております。今年はその後の検討状況についてご説明させていただきたいと考えております。

31ページ目、中小企業対策費の全体像ですけれども、平成28年1,825億円ございますが、約半分が資金繰り支援に係る予算となっております。そのうち信用補完は646億円という最大の予算項目になっております。

32ページでございますけれども、もともと信用保証制度は金融機関がとるべき信用リスクを信用保証協会と日本公庫で分担することで中小企業の資金繰りの安定・円滑を確保するというものでございまして、あくまで保険制度でございます。実際この1998年の金融危機までは予算措置もわずかでしたが、金融危機後、巨額の予算投入が続く状態となっておりまして、持続可能性の確保が必要となっております。

33ページでございますけれども、保証につきましては2007年10月から一般保証の保証割合を8割としておりますが、リーマンショック対応により青色の100%保証の部分が増加をしたということで、ストックベースで見ると、依然として高いものになっております。ただフローベースで見ると、足下では一般保証の割合が高まっているという状況でございます。

34ページ、昨年の建議でございますけれども、ここでご指摘をいただきましたのは2番目のパラグラフの最後のほうに書いてありますが、信用保証制度への過度の依存により、金融機関は中小企業とともに経営改善・事業再生を図るインセンティブを阻害するようなことがあってはならないということで、4番目のパラグラフにありますように、8割保証とされている一般保証の保証割合の見直しということと、100%保証の見直しについて提言をいただいております。

これを受けまして、中小企業庁の審議会において検討されている方向性が35ページでございます。これには信用保証団体や金融機関も参加して見直しを検討されてこられましたけれども、この方向性の中では、まず1番目の一般保証につきまして、保証協会と金融機関の連携を通じた中小企業の経営改善・生産性向上ということで、8割保証という割合は変えないけれども、金融機関による保証を利用しない融資であるプロパー融資、これを確保することにより、金融機関に適切にリスクシェアを促すと。こちらにつきまして金融庁は担保を保証に依存しない融資を促進する方向に金融行政を見直しておりますので、中小企業庁と金融庁で連携をしてモニタリングすることとしております。また、プロパー融資の状況を情報開示することにより外部からの牽制も働かせるという方向となっております。100%保証につきましては下のほうでございますけれども、経済危機対応を別建てといたしまして、迅速に発動できるようにしつつ適用期限を限定すると。これまでの不況業種対応につきましては、金融機関支援の下で経営改善が促されるよう保証割合を入れていくとされております。

こうした方向につきましては、金融機関に経営支援機能を発揮させることによって信用保証制度の持続可能性を高めていくものと評価することができると考えております。一般保証の見直しにつきましては、実効性が上がるように金融機関による必要十分なプロパー融資の量が確保できるようにすることが重要と思っております。経済危機対応の新たなセーフティネットにつきましては、金融仲介機能を回復したら速やかに解除できるようにする必要があると考えております。信用保証制度につきましては、中小企業の資金繰りを支えるための、あくまでも保険制度であるということを申し上げましたけれども、これを踏まえて更に強靱で安定的な制度の構築を目指すべきと考えているところでございます。今回の見直しは、この方向で進めていただいた上で、この効果を検証し、保証料率・保険料率の在り方についても検討するとともに、必要に応じて更なる見直しを行うということも考えております。以上申し上げたことを最後の36ページにまとめてございます。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。それではどなたからでもご意見お願いいたします。では角委員、佐藤委員、黒川委員。

〔 角委員 〕 先ほどの水素ステーションの話ではないですけれども、エネルギー行政が経済産業省、文部科学省、環境省というふうに所管が分かれておりまして、電力会社、ガス会社も今改革を求められている。また原子力問題、原子力の部門を分離するなど、原発の事故対応のことも含めて、やはりアメリカ版のDOEという組織を日本としても導入する方向に向かっての議論をしていただければありがたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 私も23ページで、先ほどご指摘があったとおりで、このエネルギー投資促進に向けた支援事業や、省エネ推進事業など、よく見てみると自前で投資のできる大企業であったり、5つ星家電であればもう既にこの段階でおそらく消費者の受けもいいでしょうし、いわゆる補助金が追い銭になっているケースというのがあり得ると思います。実は、農林水産省の農地の集約化も同じでありまして、中間管理機構が出す協力金についても既に集約化するつもりでいる農家にまで払っている。本当にそのつもりだったのかどうかは、もちろん本人に聞かなければ分からないですけれども、やはりある種追い銭的な形で補助金が使われるというのは、費用対効果効果はきちんと検証すべきではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。27ページのJCM事業についてでございます。京都メカニズムの時にはCDMがありましたけれども、それが先ほど主計官があまりうまくいかなかったのかもしれないとおっしゃいました。本日パリ協定が発効したということで、ぜひとも発言させていただきたかったのは、このJCM事業については日本としても非常に期待をしているところでございます。要するに2030年に26%減の内訳の1つになるところですが、ここで27ページに挙がっている事業、「セメント工場における廃熱利用発電(インドネシア)」と書いてありまして、これが今のところ一番大きい事業です。私は15年ほど前から排出権取引の会計基準のことをずっとやってきましたので、少し関心があって知っているのですが、今のところこのJCM事業は3桁台、1,000トン未満のものが非常に多くて、このような大型案件は本当に少ない。そこで日本の目標に照らすと、非常に小さいものが多いので、大きなものをしないとなかなか政府の目的に沿わない。

そこで案件としては、昨年も話したかもしれないですが、ダム建設など、何か大きなプロジェクトに副産物として出てくるクレジットをカウントしてこちらに算入できないかというところです。確かに京都メカニズムの時にはODA予算、ODAは別の目的で開発国に対して援助するという目的だったので、そちらのほうを使ってCDMをやるということは認められないという考え方もあの時にはあったとは思いますけれども、今、その時から考えてみて、人権問題と経済問題、それから環境問題はもう密接不可分の関係があって、この3つ、他にも食糧問題や人口問題などありますが、全部合わせてやっていかなければならない状況に至ったと思います。パリ協定の前文を見ても、そのような基本的人権について書いてありますので、先ほど言った京都メカニズムの時のように、ODA予算とは別でないとだめという考え方は後退していると思いますから、ぜひとも外務省のODA関係のところとも連携をしていただきたい。また、大型案件の時に副産物として出てくる排出クレジットを測定するということを入れてほしい。CDM事業の時に日本は幸いながらクレジットをどのように客観的に測定するかという組織が幾つもできたので、そのノウハウはまだ残っていると思いますから、ぜひともやっていただきたいなと思います。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 では大宮委員、遠藤委員、伊藤委員、板垣委員、赤井委員にご発言いただいて終えたいと思いますが、簡潔にお願いします。

〔 大宮委員 〕 再生可能エネルギーについてですけれども、原発の運転停止で東日本大震災以降、産業用の電気料金は約30%上がっています。それから家庭用も20%ということで、今度固定価格の買取制度が見直されてよくなるだろうと思っていますので、これは大変歓迎したいと思います。

一方で賦課金の負担額というのが制度導入当初の10倍になっているわけです。今後とも当面の間増大が不可避であるので、固定価格の買取制度から卒業して、早く国民負担を伴う補助がなくても自立的に再生可能エネルギー導入が進むように、制度の抜本的な見直しが必要なのではないかと思います。

ただ、なお固定価格買取制度が存続する間というのは、増大する先ほどの賦課金負担についての配慮が不可欠ではないかと思っていまして、とりわけ、電力多消費事業者に対する産業競争力の維持や、強化の観点からは、一定規模の予算措置を含めて減免措置を継続していただけるのがいいかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 ありがとうございます。FITのところは今大宮委員が言われたことに加えて、どうしても太陽光だけが偏重して入り過ぎると。地熱などに全くお金が回っていかないという、そのような偏重を調整していくということも必要であると考えています。

また、省エネの予算については佐藤委員がおっしゃられた、追い銭は、まさしくそうでありまして、それこそ5つ星家電は、昔ありましたエコポイントのように消費の先食いというところにも通じてくるということで、規制と振興であれば規制によって見直す。しかもその規制というのはもちろんエネルギー供給構造高度化法など、やはり炭素価格がある程度リアライズされないと、省エネもインセンティブが働かないと。そういったインセンティブも合わせた規制の手法が有効であるのではないかと思っています。

その意味で1点JCMですけれども、環境省がかわいそうだなと思ったのは、環境省で挙がっているJCMは非常にコストが高い、CO2のトン当たり数万円の数字になっていますけれども、それこそ先ほどの行政レビューを見てみると、27年度は5,300円程度になっていますし、今年度は3,600円程度になっていると思います。ですから、ある程度効率化はされているという点も見ておかないと、非常に規模が大きくて効率が悪い事業だけを挙げられてしまうと、厳しいのかなと思いました。なぜなら、やはり補助金がつかないと、炭素価格がないので、プリウスを新興国で安く売ってくださいという民間同士の契約をしても、民間のほうにインセンティブが働かないというような状況はまだあり得るのではないかなと思っています。ですから、補助金がついてくる部分というのも一部必要で、もう一つ経済産業省が掲げている、ある種補助金以外のNEXIや、JBICなどと連携し、そういった補助との両にらみで、このJCMを改善していくという方向が適当なのではないかなと思っております。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 伊藤委員。

〔 伊藤委員 〕 大宮委員と同じですけれども、エネルギー問題、特に再生可能エネルギーのFITのところ、今年FIT法が改正されて、単価が下がったので一定の効果はあるのでしょうが、この仕組みというのは積み重ねですから、今のままでは結局賦課金負担が減ることはないと思います。原発を本当にどこまで動かすのかということと絡みでいうと、今後どんどん日本のエネルギーコストが上がってしまって、それが全部国民負担になってくるというようなことにならない、様々な工夫が要るのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 板垣委員。

〔 板垣委員 〕 昨年この場でもんじゅの議論をした記憶があります。建議には書いていただけませんでしたが、予算編成では財務省が頑張って、15億円の減額をしていただいた。結局もんじゅも廃炉になると。つまり時代の情勢をよく見ながら議論しなければいけないだろうと思います。ただ、政府はいつもこの時期から原子力政策をどうするか議論が始まりますので、結論を見ないまま財審で予算編成の議論をやってしまう。もう少し迅速に政府は動いてほしいと思います。そういった意味でもんじゅの後の日本の高速炉研究は、今度はアストリッドと提携をしますけれども、その時に日本国がどれだけのお金を分担するのか、きちんと情報開示を速やかにやっていただきたい。その上で議論をきちんとやりたいということです。

それから汚染水問題、これもリスクがあるから国がお金を出してやっている事業でありますけれども、本当にこれが正しい道なのかどうか。土木建設業者に言わせますと、凍結するのではなくてもともと分厚い矢板で囲ったほうがよかったのではないかと。本来挑戦すべき研究だったのかどうか、そういったことも含めて、やはり考えるべきだろうと思います。財政の立場から、そのような技術的な動きについても日々注視しなければならないということだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 赤井委員。

〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。他の委員も言われていますけれども、FITについて、15ページを見ると非常にお金がかかっているというのを感じられると思います。将来4兆円になっていくと、消費税1%、2%程度に匹敵するということで、消費税を引き上げるのにすごく議論が行われてだめだったのが、この固定価格買取制度、どの程度国民の議論が行われたのか。将来この程度かかるということまで全部見込んでの議論だったのか。こうなってきた時に、これがかかることで消費税も逆に上げられない、消費も伸びないなど、そういったことにもつながっているので、確かにCO2は減っているとは思いますけれども、実際どの程度の想定だったのか、更にCO2が減ったことはこの額を負担するに見合うものだったのかどうか、もしご意見あれば教えてください。

〔 吉川分科会長 〕 主計官。

〔 小宮主計官 〕 この固定価格買取制度ができた時に最終的な負担として現在のようなものを見込んでいたかというと、多分そうではなかったとは思います。

〔 赤井委員 〕 分かりました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。それでは時間少し超過したかもしれませんが、本日の議題は終了とさせていただきます。

なお、本日ご欠席の神津委員から意見書を提出していただいております。皆様のお手元にお配りしてありますので、適宜ご参照ください。

今回の秋の審議における総論、各論の議論は本日で終了となります。起草委員の皆様方に建議のたたき台を作成していただき、次回以降、そちらについて審議を行うこととしたいと思います。起草委員の皆様方、よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 本日の会議の内容につきましては、大変恐縮ですが、私に一任していただければと思います。

次回ですが、11月10日15時45分から予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

本日はこれで閉会ということにいたします。ありがとうございました。

午後5時12分閉会

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