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財政制度分科会(平成28年10月4日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成28年10月4日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成28年10月4日(火)14:59〜17:06
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題
・社会保障1

3.閉会

出席者
分科会長 吉 川   洋 大塚副大臣
三木大臣政務官
杉大臣政務官
佐藤事務次官
可部次長
藤井次長
茶谷次長
角田総務課長
高司計課長
青木法規課長
高橋給与共済課長
関口主計企画官
中島調査課長
八幡主計企画官
竹田大臣官房参事官
嶋田主計官
小宮主計官
泉主計官
奥主計官
阿久澤主計官
廣光主計官
岩元主計官
中山主計官
内野主計官
委員

秋山咲恵

遠藤典子

大宮英明

黒川行治

角   和 夫

竹中ナミ

田中弥生

冨田俊基

中空麻奈

臨時委員

板垣信幸

伊藤一郎

井堀利宏

老川祥一

葛西敬之

加藤久和

小 林   毅

末澤豪謙

田近栄治

増田寛也

宮 武   剛


午後2時59分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻になりましたので、会議を始めたいと思いますが、本日は冒頭でカメラが入りますので、そのままお待ちください。

(報道カメラ 入室)

〔 吉川分科会長 〕 よろしいでしょうか。

それでは、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方には、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、社会保障を議題としております。

また、本日は、大臣政務官に就任されました三木大臣政務官、杉大臣政務官にもご出席いただいております。新たにご就任されました大臣政務官から一言ずつご挨拶をいただければ幸いでございます。

それでは、まず三木大臣政務官、お願いいたします。

〔 三木大臣政務官 〕 皆様、こんにちは。この度財務大臣政務官に就任いたしました三木亨でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

「コンビニ受診」という言葉が世の中にございますけれども、確かに、限られた医療資源を有効に、また効率的に活用しようと思えば、こういったことは控えていただくべきだとは思います。けれども、それは我々、医療、また社会保障を提供する分野から、例えば総合診療医の育成や、かかりつけ医の普及、また在宅医療や介護連携の充実といった観点からサポートしていく必要があるのではないかと、私は常々思っております。これに限らず、様々な諸問題を我が国の社会保障は内包しておりますけれども、皆様方から忌憚のないご意見をいただきまして、よりよい社会、そして未来の展望をつくってまいりたいと思います。どうぞご指導のほどよろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

それでは続きまして、杉大臣政務官、お願いいたします。

〔 杉大臣政務官 〕 皆様、こんにちは。この度財務大臣政務官を拝命いたしました杉久武と申します。

私は、3年前の参議院議員選挙で初当選させていただきまして、今回初めて政務の役職をいただきました。それまでは公認会計士として企業の経営を中心に見てまいりましたけれども、今、国として、財政健全化と経済成長を両立させていくという大きな課題がございます。そして、本日ご議論していただきます社会保障の問題、これは非常に重要な問題でございます。私自身もしっかりと皆様のご意見をいただきながら、前へ進めてまいりたいと思いますので、本日は忌憚のないご意見を頂戴いただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

それでは、報道関係の方々はご退室をお願いいたします。

(報道カメラ 退室)

〔 吉川分科会長 〕 では、議事に入ります。

まず初めに、事務連絡が1点ございます。主計局の福田局長は、本日、予算委員会のため欠席させていただいております。

では、議題ですが、まず社会保障について審議を行いますが、阿久澤主計官より資料のご説明をお願いいたします。

〔 阿久澤主計官 〕 厚生労働係第一担当の主計官をしております阿久澤でございます。よろしくお願いいたします。

本日は、社会保障についての総論をご説明させていただいた後、経済・財政再生計画に掲げられた目安の達成に向けて、改革工程表に掲げられた項目などをはじめとした医療・介護制度の改革についてご説明させていただきたいと思います。その上でご議論いただければと思います。

まずは総論につきまして、1ページをお開きいただきたいと思いますが、ご存じの通り、社会保障給付費は、高齢化の進展によりまして、年々増加の一途をたどっております。足下では、給付費総額は118兆円といった規模になっております。

その社会保障給付費の動向、これは人口動態に大きく影響を受けるわけですけれども、2ページをお開きいただきたいと思いますが、2025年までの人口動態の大きなポイントは、団塊の世代が75歳を超えて、いわゆる後期高齢者になるということにあります。

その上で、3ページをお開きいただきまして、この75歳以上の高齢者の増加というものが、社会保障給付費にどのような影響を与えるのかということについてでありますけれども、3ページは、この年齢階級別の1人当たりの医療費、または介護費を示したものであります。

まず、医療費につきましては、75歳を超えると90.7万円という水準になりまして、65〜74歳と比べ、約1.6倍ということになります。更に国庫負担に着目いたしますと、医療費に係る1人当たりの国庫負担は、65〜74歳に比べ、75歳以上では約5倍といった水準でありまして、医療費に与える影響よりもはるかに大きいということになってまいります。

また、介護費につきましても、65〜74歳と75歳以上の1人当たりの費用は大きく異なっておりまして、費用で見ましても、国庫負担で見ましても、65〜74歳に比べ、75歳以上は約10倍といった規模になります。

次の4ページをお開きいただきたいと思いますが、これは2014年から2025年までの間に高齢者の数が変化することによって医療や介護の国庫負担にどのような影響を与えるかということを図で示したものであります。説明は省きますけれども、人口の高齢化による影響だけでも、医療・介護に係る国庫負担が急増するといったことがビジュアル的にもお分かりいただけるかと思います。

なお、実際には、年齢階級別の1人当たり医療費や介護費は、技術の進歩やサービスの利用によって伸びます。従いまして、こうした高齢化を要因とする伸び以上の伸びが見込まれるところであります。

5ページを開いていただきまして、実際に医療費や介護費のこれまでの伸びについて、要因を分析いたしますと、高齢化などの人口動態の影響だけではなく、その他の要因、例えば医療の高度化、介護サービスの利用の広がりなどでありますが、こういったものによる1人当たり医療費・介護費の増加による影響といったものがございます。この図で言うと、オレンジ色の部分に当たります。

その上で、6ページをお開きいただきたいと思います。こうした人口の高齢化や医療の高度化などの要因によりまして、社会保障給付費、特に医療・介護について、今後とも大きく伸びていくということが見込まれます。

7ページをお開きいただきたいと思います。このように、現行のままでは、医療・介護が経済成長を大きく上回って増加していくということが見込まれておりまして、この伸びを放置しますと、税負担もしくは保険料負担といった国民の負担がどんどん重くなっていくということになります。7ページは保険料についてでありますけれども、保険料負担というのもある意味、手取りの実質賃金に影響するわけでありまして、医療費・介護費の伸びを放置したままで保険料負担が増えていくということになりますと、仮にアベノミクスの成果によって賃金が上昇したとしても、雇用者の実質賃金の伸びは抑制されることになってしまいます。

一方、公費負担については8ページにありますけれども、公費負担の増加について見てみますと、こちらは保険料の負担の増加以上に深刻であります。というのも、我が国の社会保険制度では、公費負担というのは、高齢者向け給付に手厚く措置されている仕組みでありますので、医療・介護の給付費の伸び以上に公費負担が伸びていくということになります。この図を見ていただいてもそれは見てとれるかと思います。

更に、これだけにとどまらず、必要な公費負担に見合う税財源を確保できていないという問題もございます。こうした公費負担をめぐる給付と負担のアンバランスによりまして、将来世代に負担を先送りしてしまっているという問題も抱えているわけであります。

9ページですけれども、これは我が国における社会保障の給付と負担のアンバランスといった問題を端的に示した資料だと思っております。横軸は国民負担率でありまして、縦軸は一般政府の社会保障支出になります。いずれもGDP比なのですが、通常、給付と負担がある程度バランスしていれば、この帯の上に乗ってくることになります。この場合は、制度は概ね持続可能ということになりますが、我が国の状況は残念ながら足下でも帯の外にありますし、また現行制度のままでは、更にどんどん離れていってしまうということが見込まれます。社会保障を持続可能なものにしていくためには、この帯の上に戻していく努力が必要でありまして、負担の引上げと給付の抑制といったものをともに行っていかなければいけないということになります。

ページを飛ばさせていただきまして、11ページをお開きいただきたいと思います。次に、社会保障と税の一体改革について簡単にご説明させていただきます。そのポイントですけれども、消費税率の引上げ分5%につきましては、社会保障の充実に1%で約2.8兆円、それから消費税率の引上げに伴う社会保障4経費の増に約0.8兆円、年金国庫負担2分の1の財源に3.2兆円、それから後代への負担のつけ回しの縮減に7.3兆円を充てるとされております。

12ページですけれども、このうち社会保障の充実については、消費税率10%段階では、子ども・子育てに0.7兆円程度、それから医療・介護に1.5兆円程度、それから年金に0.6兆円程度を充てることにしております。

13ページは、足下は消費税率8%の段階でありますので、この8%の段階における平成28年度までに行ってきた社会保障の充実の内容をまとめたものであります。

14ページをお開きいただきたいと思います。それでは、平成29年度予算編成における社会保障をめぐる主な課題についてこれからご説明させていただきます。まずは社会保障の充実をどうするかという論点でございます。消費税率の8%から10%への引上げ、これはもともと平成29年4月に実施する予定でありました。そのため、この14ページの表にある通り、平成29年度予算で残りの社会保障の充実を実施するという予定であったところ、消費税率の引上げが延期されたということを受けまして、予定されていた充実策をどうするのだという課題が生ずることになりました。

これに加えまして、今年の6月に取りまとめた「一億総活躍プラン」において、保育士や介護人材の処遇改善を図るとされまして、これをどのように実現するのかという課題も出てきたわけであります。こうした社会保障の充実策への対応についての基本的な方針は、総理の会見におけるご発言を借りて申し上げれば、まずは「社会保障については給付と負担のバランスを考えれば、10%への引上げを延期する以上、その間、引き上げた場合と同じことを全て行うことはできない」ということでありまして、またそれに加えまして、「赤字国債を財源に社会保障の充実を行うような無責任なことはしない」というご発言がございました。

こういったことを踏まえますと、社会保障の充実につきましては、財源の確保の努力を図りながら、その財源の範囲内で優先順位をつけて実施するということになってまいります。今後、予算編成過程において、必要な財源の確保を図れるよう努力していかなくてはならないということでございます。

続いて、17ページをお開きください。平成29年度予算編成における社会保障をめぐるもう一つの大きな課題が、経済・財政再生計画で示された目安への抑制というものでございます。17ページにありますように、経済・財政再生計画におきましては、社会保障関係費の増加につきまして、平成28年度から平成30年度までの3年間で1.5兆円程度におさめることが目安ということになっております。

その上で、18ページでございますけれども、集中改革期間の1年目の28年度は、目安の達成に向けまして、社会保障関係費の増加といったものを5,000億円以内におさめることができたわけでございます。2年目になります29年度予算におきましても、目安をしっかりと達成できるように、財政当局といたしましては、現在6,400億円と見込まれている社会保障関係費の増加を5,000億円までにおさめる必要があると考えております。このため、予算編成過程におきまして、改革工程表などに掲げられた検討項目について、できる限り前倒しして改革を実現していく必要があります。仮に29年度に講じる改革が不十分な場合、30年度予算における目安達成までの宿題といったものが非常に大きなものになってしまいます。宿題を先送りするのではなくて、29年度の宿題はきちんと29年度予算でしっかり仕上げる必要があると考えております。

それでは、20ページをお開きいただきたいと思います。改革工程表を踏まえますと、29年度予算では医療・介護制度改革が中心課題になってまいります。それぞれの改革項目につきましては、この後個別にご説明させていただきますけれども、まずはこの20ページにおいて、我が国の医療・介護制度の有する特徴と問題点、そしてそれを踏まえた上での改革の視点といったものをまとめさせていただきました。

我が国の医療・介護制度の特徴といたしまして、国民皆保険であること、フリーアクセス、自由開業制、出来高払いなどが挙げられると思いますが、これらは国民に対しまして必要十分なサービスを受けやすくするという面ではメリットがある仕組みではありますが、一方で、医療・介護費の増大を招きやすい制度であるという側面もございます。国民皆保険制度を維持しながら、制度を持続可能なものとしていくためには、いわば相反する両面の間のバランスというものをどのように図っていくのかといった観点からの制度のあるべき姿を考えることが必要だと考えております。

こうしたことを踏まえますと、今後の医療・介護制度の改革といったものを考えていくに当たりましては、資料にある4つの視点、すなわち、高齢化の進展を踏まえた「医療・介護提供体制の確保」、それから「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」、また「年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担」、また「公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護」といった視点が重要であると考えております。

21ページでございますけれども、その上で、こうした改革の視点を踏まえると、今後どのような個別の改革が必要となるかということを整理させていただいたものであります。

22ページに、厚生労働大臣のもとに私的懇談会がございまして、そちらの提言の抜粋を載せておりますが、21ページで示したこの改革の視点といったものは、この提言の考え方にも通じるものがあると考えております。

それでは、これからは医療・介護制度の具体的な改革項目についてご説明させていただきます。24、25ページは、まず医療について改革すべきと考えている項目をまとめたものでございます。基本的には改革工程表に掲げられた改革項目が中心でありますけれども、25ページの上のほうの緑の枠にありますように、必ずしも改革工程表に掲げられているわけではないけれども、しっかりやらなければならない項目も挙げさせていただいております。

この緑の枠の中で、まずは後期高齢者の保険料軽減特例についてですが、これは、平成27年1月の医療保険制度改革骨子におきまして、「29年度から原則的に本則に戻す」とされているものでございますので、これについて29年度予算編成において見直しを行っていく必要があるということで載せさせていただいております。

また、追加で載せさせていただいているもう一つは、高額薬剤の薬価の問題であります。中医協においても議論が今行われておりますが、昨今、高額薬剤が相次いで生まれてきていることを踏まえまして、改革工程表には明記されていませんけれども、薬剤について見直すべき論点といったものがあると考えておりまして、改革すべき項目として記載させていただいております。

それでは、個別の課題についてご説明します。27ページをお開きください。個別の課題、まずは、高額療養費制度の見直しについてです。現行の高額医療費制度につきましては、70歳以上の高齢者は、同じ所得区分でありましても、月単位の上限額が70歳未満に比べて低額に設定されている、また外来について更なる特例措置が講じられているなど、現役よりも低い自己負担限度額となっております。しかし、高額療養費というものは、家計の医療負担が過重にならないようにするための制度でありまして、そういったことを鑑みますと、自己負担限度額はあくまで負担能力に応じて判断されるべきものであります。公平性の観点から、同程度の所得水準であれば、年齢にかかわらず同程度の月額の自己負担上限とすべきであると考えております。また、外来特例につきましても、これは高齢者のみに外来を特出しして更なる優遇を図るといった特異な仕組みでありまして、そもそも経過措置的側面もある措置であることも踏まえますと、この措置をいつまでも続けるのは適当ではないと考えております。

なお、仮に高齢者の自己負担限度額を現役並みにしたとしても、受診頻度が高い高齢者に対しましては、受診頻度が高い現役の人と同様に、多数回該当ということで負担が軽減されるという仕組みがございます。そういった相応の配慮がなされる一方で、現役と高齢者の負担の公平性も確保できるということになります。こうしたことを踏まえれば、高齢者の高額療養費については、速やかに外来特例を廃止するとともに、自己負担上限について、所得区分に応じて、現役と同水準とすべきであると考えているところでございます。

また、28ページでありますが、高齢者の現役並み所得の要件についても見直しが必要であると考えております。なお、現在の高齢者の現役並み所得の所得区分に該当すると、自己負担が3割になるということですけれども、この所得区分は現役の平均的な年収以上の所得水準ということで設定することになっております。具体的には、世帯内に課税所得145万円以上の被保険者がいること、それから世帯内の被保険者全員の収入の合計が520万円以上であることの2つの要件をともに満たすということが、現役並み所得の要件になります。すなわち、今のやり方では、仮に課税所得が現役並みの145万円以上であっても、それに加えて収入の合計が520万円を超えないと、現役並み所得と判定されないという仕組みになっております。この要件のために、資料の右に図を示しておりますけれども、仮に収入の高い高齢者世帯が、それより収入の低い現役世帯よりも実質的には低い所得区分になって、負担が軽くなるということが起きてまいります。このような現役並み所得の判定方法につきましても、現役世代との負担の公平といった観点から、収入の多寡を適切に反映する仕組みになるように見直すべきであると考えております。

それでは、資料の30ページでございます。入院時の光熱水費の負担の見直しについてでございます。介護施設におきましては、在宅との負担の均衡といった観点から、光熱水費相当の居住費負担を求めているのですが、一方で医療施設につきましては、療養病床のうち65歳以上の医療区分Tに該当する患者を除きまして、基本的には光熱水費相当の居住費負担を求めていないというところであります。今後、地域完結型の医療に向けまして、病状に見合った医療・介護・在宅療養等の切れ目ない提供体制が求められる中にありまして、食費と同様に、どの施設であっても公平な光熱水費負担を求めていく必要があると考えております。先ほど申し上げました食費については、もう既に求めておりますけれども、基本的には全ての病床において、光熱水費相当の居住費負担を求めていくべきであると考えております。

続きまして、31ページであります。かかりつけ医普及の観点からの外来時の定額負担についてご説明させていただきます。かかりつけ医につきましては、外来の機能分化による効率的な医療提供体制の構築という観点や、患者の健康状態を総合的に管理し、適切な医療につなげていくという観点から、これを普及していく必要があると考えておりますけれども、いまだかかりつけ医の普及や外来の機能分化は十分に進展しておりません。

一方で、32ページにありますけれども、諸外国と比較しまして、我が国の外来受診頻度は非常に高くなっております。多くは少額受診ということになっております。限られた財源の中で医療保険制度を維持していくためには、比較的軽微な受診については、一定の追加負担を求めることも考えるべきではないかと思っております。

こうした2つの観点を踏まえまして、かかりつけ医以外の医療機関を紹介料なしで受診する場合は、一定の定額負担を求める仕組みを導入すべきではないかと考えております。

ちなみに、33ページをご覧いただきまして、先ほども申し上げました厚生労働大臣の私的懇談会の提言書におきましても、左下の赤の太字になっているところですが、かかりつけ医を受診した場合と、他の医療機関を受診した場合とで、費用負担に差を設けることを検討すべきであるとなっております。

この場合、どのようなものをかかりつけ医にするかというのが議論になると思います。具体的な内容は、先ほどの提言書もありますので、今後厚労省のほうでしっかりと議論を深めていくことになると考えておりますけれども、例えば32ページの「かかりつけ医に望む事項」などを参考に、また実際のところ、31ページの小児科かかりつけ診療料というのは診療報酬の点数なのですが、こういった前例も踏まえますと、31ページの制度のイメージの1にあるような診療所等とすることなどが考えられるのではないかと思っております。

また、かかりつけ医以外の医療機関を紹介状なしで受診した場合の定額負担につきましては、病院の規模に応じて、より高額な負担を求めるということも考えられます。その際には、外来患者が増えると病院の収入が増える「選定療養の義務化」の仕組みもあわせて見直すべきではないかと考えております。

それでは、34ページをお願いします。次は、金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みについてでございます。高齢者は、現役と比べまして、平均的に所得水準は低い一方で、貯蓄現在高は高いということになっております。そういった中にありながら、介護保険における補足給付を除きまして、高齢者の負担能力の判断に際し、預貯金等の金融資産は現時点では勘案されておりません。医療保険制度の持続可能性を確保していくためには、今後は、こういった金融資産等の保有状況も勘案して、負担能力を判定していく仕組みを導入していく必要があると考えております。

このため、まずは、介護保険における補足給付では先ほど申し上げましたように金融資産を考慮しておりますので、医療についても、入院時生活療養費等の負担能力の判定に際しても、介護保険における補足給付と同様の仕組みを適用すべきと考えております。

また、医療保険・介護保険における負担の在り方全般につきまして、金融資産の保有状況も勘案して負担能力を判定するための具体的な制度設計についても、検討を進めていく必要があると考えております。

続きまして、35ページでございます。スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険給付の在り方についてでございます。後ほどご説明しますが、高額な医薬品など、医療の高度化といったものを公的保険で適切にカバーしつつ制度の持続可能性を確保していくためには、一方で、小さなリスクには自ら対応するようにしていく必要があり、こうした観点からセルフメディケーションという視点は非常に重要であると思っております。現状では、市販品と同一の有効成分の薬であっても、医療機関で処方されれば、より低い自己負担で購入が可能となっております。一方で、今年度からスイッチOTCの購入費用に係る税制措置が創設されましたが、医療用医薬品の負担の在り方についてもあわせて見直していく必要があるだろうと考えております。

では何を対象にするかという問題がございますが、OTC医薬品の中でも、例えば、第2類・第3類に分類されている医薬品といったものは、この表の上のほうに例示が書いてありますけれども、副作用等のリスクが大きくないこと等から、販売方法への制限も緩やかになっております。こうしたOTC医薬品と類似する医療用医薬品の医療保険における扱いについては、見直していく必要があると思っております。

具体的には、例えば第2類・第3類に分類されているものなど、長らく市販品として定着しているOTC医薬品に類似する医療用医薬品は、保険給付の対象から外すこととするか、または保険給付として残すのであれば、OTC医薬品を購入した場合との負担のバランスの観点から、一定の追加的な自己負担を求めることとすべきではないかと考えているところでございます。あわせて、医療用医薬品のうち安全性など一定の要件を満たすものは、自動的に市販品として販売可能となるよう、スイッチOTC化のルールを明確化すべきだと考えております。

続きまして、37ページでございます。次に、後期高齢者の保険料軽減特例についてご説明させていただきます。まずは、低所得者向けの特例についてなのですけれども、後期高齢者医療制度においては、国民健康保険料と同様、低所得者に対して均等割を最大で7割軽減するという仕組みがございます。ただし、後期高齢者医療制度導入時に、激変緩和の観点から、更なる軽減が予算措置によって導入されておりまして、この激変緩和措置が現在まで続いているというところでございます。

後期高齢者医療制度は、そもそも急速な高齢者医療費の増加の中で、現役と高齢者の負担の関係を明確化し、かつ高齢者にも制度の担い手として、広く薄く保険料負担を求めることとしたものでありまして、こうした制度の趣旨を踏まえれば、激変緩和措置をいつまでも継続することは適当ではないと考えております。

また、後期高齢者の給付費の約9割は公費と現役からの保険料で賄っている中で、この図の下のほうですけれども、同じ低所得者でも、高齢者の均等割負担は、もともと現役より低く設定されています。この均等割の保険料特例は、更にその水準から保険料を軽減するといったものでありまして、現役との負担の公平性の観点から、速やかに見直し、本則の水準に戻していく必要があるのではないかと考えております。

加えて、所得割の軽減については、右上の図で5割軽減となっているところですけれども、高齢者のみを対象に、賦課最低限を超える者を対象として行っているものであり、これは所得が高くなるほど軽減額が大きくなるというものでもあります。そういったことを考えますと、低所得者への負担軽減措置としてはやや非効率であります。また、特例の上限所得の前後で、保険料額支払い後の手取り所得が逆転するといった問題点もございます。こうしたことから、所得割の特例についても、速やかに廃止すべきであると考えております。

次のページ、38ページで、今度は元被扶養者の保険料特例というものがありまして、これもご説明します。後期高齢者医療制度では、被用者保険の被扶養者であった人の激変緩和の観点から、もともと制度上、加入後2年間は、所得にかかわらず均等割を5割軽減するという仕組みがありました。これに加えて、後期高齢者医療制度導入の際の激変緩和として、更に制度加入後何年目であっても、均等割を9割軽減する特例が導入されまして、これが現在まで続いているところであります。

この元被扶養者に対する保険料軽減特例というのは、75歳到達の前日に被扶養者であったことのみを基準として、その後何年たってもずっと9割軽減の対象とするというものでありまして、世帯の負担能力とは無関係の基準で負担水準が左右されてしまうという問題がございます。

このため、資料の右下の図にありますように、例えば、所得は同じでも、単身高齢者よりも被扶養高齢者のほうが、負担が大幅に軽くなっているとか、子の扶養に入った時期によって負担が大きく異なっているとか、著しく不合理な面があると考えております。

従いまして、単身高齢者をはじめとして、保険料を支払う被保険者が増加する中にありまして、元被扶養者のみを対象とした特例を続けていくことは、制度の公平性の観点から大きな問題であると考えておりまして、この元被扶養者に対する保険料軽減特例も速やかに廃止する必要があるだろうと考えております。

続けて、39ページでございます。高額薬剤の薬価についてでございます。現在、中医協でも、高額薬剤、具体的にはオプジーボへの対応について議論が行われているところであります。オプジーボの薬価というのは、この図にもありますけれども、年間470人という当初の売上予測を前提に研究開発費や製造原価、また営業利益等を回収できるように算定されたものでありまして、その後、対象疾患等が大きく拡大したために、巨額の売上が見込まれることとなったものであります。このような場合、薬価改定時に薬価の再算定が行われるのが通例であるわけですけれども、オプジーボの効能追加が去年の薬価調査の後であったために、28年4月の薬価改定の際に再算定を行うことが間に合わなかったというものでございます。ただし、次回の薬価改定までに残り1年半ほどありますけれども、その間これだけの高薬価を放置するというのは、医療費や国民負担に与える影響の大きさを鑑みれば、大きな問題だと思います。従いまして、4月の薬価改定に対応が間に合わなかった高額薬剤につきましては、次回の薬価改定を待つことなく、速やかに適正水準まで薬価の改定を行うべきであると考えております。

あわせて、安全性等の観点も踏まえまして、適正な範囲での使用を行うためのガイドラインを早急に策定し、その遵守を保険償還の要件とすべきであると考えております。

続きまして、41ページですけれども、この高額薬剤の問題につきましては、先ほど申し上げたのは、オプジーボへの特例的な対応ということですが、こういった特例的な対応のみならず、制度面での対応をどうしていくのかということも検討していく必要があります。資料にもありますように、現在の薬価制度におきましては、こうしたオプジーボのような高額新薬の登場といったものに対応できるような仕組みになっていないのではないかと思っております。

例えば、現行の問題点とすると、1にも書きましたけれども、薬機法上の承認申請や適用拡大といったものがあると、経済性や医療保険制度の持続可能性といった観点からの検証がないまま、ほぼ自動的に保険が適用されてしまっております。また、薬価算定において費用対効果の観点が反映されていない。更に、大幅な適応拡大が生じた時でも、次期薬価改定を待たずに薬価を速やかに変更する制度的な手立てがないなどといった制度上の問題があると考えております。

これに対しまして、イギリスなどにおきましては、医薬品や医療技術について、費用対効果評価を実施して、その結果に基づいて、そもそも保険償還の対象とするかどうか、またするのであったとしても、その価格をどうするのかといったことを検討し決定していく枠組みがございます。

高額薬剤の創出や大幅な適用拡大など、昨今の状況に対応していくためには、保険償還の対象とすることの可否の判断や保険償還額の決定、更には薬価の改定に際しまして、費用対効果評価を本格的に導入する必要があるだろうと思っております。また、適用拡大等による大幅な医療費増加に速やかに適切に対応できるよう、薬価制度を見直していく必要があるだろうと考えております。

それでは、医療は以上にさせていただきまして、44ページをお開きいただきたいと思います。続いて、介護制度の具体的な改革項目についてご説明させていただきます。44ページは、改革工程表などに載っております介護保険についての改革項目をまとめたものであります。各項目につきまして、資料に沿ってご説明させていただきます。

まず、45ページでございます。高額介護サービス費制度の見直しとありますが、実は医療保険制度と同様、介護保険制度につきましても、負担能力に応じて利用者負担の月額上限が定められておりますけれども、医療保険と比べて、上限が部分的に低くなっているところがございます。図の赤枠で囲ったところでございますけれども、前回の介護保険改革におきまして、保険料の上昇を抑えて制度を持続可能なものとするために、一定以上の所得の人については、利用者負担割合を2割に引き上げるという改定をいたしました。医療保険と比べて負担上限が低くなっているこの赤枠のところについては、2割への引上げの際にも負担上限の見直しを行っていないといったこともあり、表にありますように、高額介護サービス費の支給額が急増しております。結果として、先の制度改革の効果が減殺されてしまっているということにもなっております。一定以上所得者に2割負担を導入した前回の制度改正の趣旨の徹底や医療保険制度との均衡といった観点から、速やかに、高額療養費制度と同水準までこの利用者負担の月額上限を引き上げるべきであると考えております。

続いて、46ページでございます。介護保険における利用者負担についての問題でございます。介護保険の利用者負担割合は、介護の必要度にかかわらず、原則1割となっております。介護保険制度の施行時は、一方で医療保険は70歳以上の自己負担は定額制でありましたが、現在は1割定率になりましたし、更に70〜74歳は段階的に2割負担に移行し、また70歳以上の現役並み所得者は3割負担となってきていることを考えますと、介護保険制度のほうも、自己負担の在り方は今のままでいいのかということはしっかりと議論していかなければいけない、見直していかなければいけないと考えております。

また、左の図にありますように、軽度者は中重度者に比べまして、サービス受給者1人当たりの利用者負担額は低い一方で、近年の費用額の伸び率は非常に高くなっております。こうした中で、一方で介護保険サービスを利用していない被保険者も負担する保険料は、制度創設以来、どんどん上昇しているということになっております。

このように、軽度者に対する費用額の伸び率が高くなっている中で、保険料の上昇をできる限り抑制していく必要がある。また、共助の必要性がより高い中重度者のほうへ給付を安定的に続けていく必要がある。こういった状況を鑑みますと、例えばイメージをこの左の図の緑の点線で示してあるのですけれども、軽度者が支払う利用者負担額が、中重度者が支払う利用者負担額とある程度均衡する程度まで、要介護区分ごとに、軽度者の自己負担割合を引き上げていく必要があるのではないかと考えております。

続きまして、48ページでございます。先ほどは軽度者全体の自己負担の問題について申し上げましたが、次に、軽度者の中でも、やや部分的な給付サービスの中身ごとの論点でございます。

まずは、軽度者に対する生活援助サービスについてでございます。訪問介護というのは、身体介護と生活援助に分類されるわけですけれども、軽度者は生活援助のみの利用が多くなっております。生活援助のみの1回当たりの利用者負担額は、右の図にありますけれども、民間の家事代行サービスと比較しても著しく割安になっているという問題がございます。生活援助につきましては、そもそも介護保険制度創設時から、特に生活援助のみの利用を介護保険の対象とするかどうかということについては、否定的な意見も見られた中にありまして、積極的な予防や自立の支援につながるような形で給付しましょうということで対象になったといったものであります。しかしながら、近年でも、軽度者に対する生活援助が本当に重症化予防につながっているのかなど、その効果を疑問視する意見もあります。

こうしたことから、軽度者に対する生活援助サービスにつきましては、抜本的に見直す必要があるだろうと思っております。具体的には、軽度者に対する生活援助は、ある意味、介護保険の適用事業者に限らず、多様な主体が、利用者のニーズに柔軟に対応できるというものでもありますので、地域支援事業に移行すべきであると考えております。

また、その移行の前提として、民間家事代行サービスの利用者との公平性や中重度者への給付の重点化といった観点から、保険給付の割合を大幅に引き下げる。または、生活援助によって、どのように重度化の防止などにつながるのかということを、きちんとケアプランに明記することを義務づけるなど、制度趣旨に沿った適正な利用といったものを徹底すべきであると考えております。

続きまして、49ページの、軽度者に対する福祉用具貸与の在り方についてでございます。福祉用具貸与につきましては、貸与事業者が設定した価格を基準として、その9割を保険給付の対象にするといったものになっております。従って、介護報酬改定の影響を受けることはなく、貸与価格の適正化は市場競争に委ねられております。一方で、実際の貸与価格自体は、搬出入や保守点検といった附帯サービスに係る費用も勘案して包括的に設定されているので、利用者にとっては、事業所ごとの価格の理由といったものを確認することはほとんど困難で、そういう意味では価格競争が働きにくい市場環境になっているという問題がございます。 

実際、福祉用具貸与の実態を調査いたしますと、左の図にあるように、1ヵ月当たりの貸与額について、要支援1・2を中心に大きな地域差がございます。また、右の図にありますように、全く同じ製品でも、平均価格を大きく超える高価格で取引されている例もございます。費用の大半を保険料や公費で支払う以上、福祉用具につきましては、一般の民間サービス以上に価格形成の透明性の確保は強く求められると考えております。

こういったことを踏まえますと、適正な価格・サービス競争の促進や、不合理な地域差の是正といった観点から、まずは貸与品の希望小売価格や耐用年数といったものを考慮して算定される合理的な貸与価格と、一方で附帯サービスの価格を明確に分けて表示するということを義務づけて、利用者・保険者に対する価格形成についての情報開示をまずは進める必要があるだろうと思っております。また、保険給付の対象についても、貸与種目ごとに標準的な貸与価格を定めて、それを超えるものについては自己負担にするなど、附帯サービスについても、真に必要なものに限定するといった見直しをする必要があります。また、要介護区分ごとに標準的な貸与対象品目を定めて、その範囲内で貸与品を決定するなど、保険給付割合につきましても大幅に引き下げて、価格競争がしっかり働くようにするといった見直しが必要ではないかと思っております。

続きまして、51ページでございます。軽度者に対するその他の給付の在り方ということが、また検討項目に挙がっております。これにつきましてご説明します。

近年の介護費用額の伸びについて、サービス種類別の寄与度を見ますと、左の図にあります通り、黄色になっている通所介護の費用額の増加が顕著であります。また、通所介護については、費用額の約6割が軽度者に対するものとなっております。事業所数で見てみると、真ん中にありますように、特に小規模型通所介護が増加しております。

小規模型というのは、サービス提供1回当たりの管理的経費が高いことも考慮されておりまして、他の類型より基本報酬が高く設定されております。小規模型は、一方でサービスの内容は、右の図にありますように、個別機能訓練加算とは、様々な機能訓練をしているかどうかということですけれども、個別機能訓練加算を取得している事業所の比率は他の類型より低くなっている一方で、サービス提供1回当たりの単位数は最も高くなっている。こういったサービス実態を見てみると、単位が高いだけではなく、介護保険事業としてふさわしいサービス実態であるのかという問題もあると思っております。

こういったことを踏まえますと、軽度者に対する通所介護は、要は単に預かっているだけではないかということであります。軽度者に対する通所介護など、介護保険の適用事業者に限らず、多様な主体が利用ニーズに応じて必要な支援を行っていくことができるといったものについては地域支援事業に移行すべきであると考えております。また、その移行の前提としまして、機能訓練がほとんど行われていないなど、サービスの実態が、単に利用者の居場所づくりにとどまっていると認められる場合には、報酬の減算措置も含めた介護報酬の適正化を図るべきではないかと考えております。

続きまして、53ページでございます。介護納付金の総報酬割についてでございます。現行制度では、医療保険者が徴収する第2号被保険者の保険料である介護納付金により介護給付費の28%分を賄うことになっているのですけれども、この介護納付金における各医療保険者の負担を決定する際には、加入者数による人数割が採用されておりまして、負担能力に応じたものとなっておりません。このため、この図の真ん中の棒グラフで示しているように、同じ被用者保険者間でも、報酬額に占める第2号保険料の比率、いわゆる保険料率のような概念ですけれども、その比率に大きな差が生じております。また、相対的に所得水準が低い被保険者が多い協会けんぽに対しましては、この保険料を下げるために、介護納付金にも医療保険と同率の国庫補助が行われております。仮に総報酬割が導入された場合には、図の右側になるのですけれども、協会けんぽの被保険者の保険料負担は、国庫補助が行われている現行よりも減少します。また、負担が減少する被保険者数も、負担が増加する被保険者数を上回る見込みであります。

介護納付金については、所得に応じた公平な負担とするため、速やかに総報酬割に見直すべきではないかと考えるところであります。

最後に54ページでございます。介護の地域差の分析と給付の適正化というところです。市町村におきまして、任意事業として、要介護認定の適正化やケアプランの点検などの適正化事業を実施しているのですけれども、年齢調整後の被保険者1人当たりの介護費や認定率には、依然として大きな地域差が存在しております。

こうしたことを踏まえますと、都道府県による保険者支援や市町村の保険者機能をきちんと強化していくために、地域差の要因分析とその計画への反映を義務づけるとともに、例えば地域の実情を踏まえた介護サービス供給量の調整を行うための権限といったものを強化すべきではないかと思います。

また、保険者による給付の適正化に向けたインセンティブも強化する必要があると思っております。例えば、そのために、国庫負担金の中で調整交付金の割合を増やしまして、成果指標に応じて傾斜配分するといった枠組みを導入していくべきではないかと考えています。

私からの説明は以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では早速、皆様方から、ただいまの主計官のご説明につきまして、ご意見、ご質問、何でも結構ですので、お願いいたします。では、田中委員、宮武委員、お願いします。田中委員。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。大変膨大な量を簡潔にご説明いただきまして、ありがとうございました。

私は、31ページのかかりつけ医について意見を述べさせていただきます。なぜならば、これはある意味で医療制度の構造を変えるような一つのキーになるものであり、本日は欠席されていますけれども、土居先生、それから以前に委員でいらっしゃった井伊先生の試算によれば、様々コストカットできる10兆円程度の中でも、これが非常に大きな位置を占めていると理解しているからです。

まず、主計官からご提案がありましたが、かかりつけ医以外の医師を受診した場合にその一定の分を負担するということについては、賛成いたします。ただしなのですけれども、それだけではかかりつけ医制度というのはなかなか浸透しないだろうと思います。なぜならば、患者にとっては、これはペナルティーのようなものですが、これだけでは行動はなかなか変わらないと思います。その最大の理由は、お医者さんをなかなか信用できないという問題があります。

少し自分のことで言えば、末期がんの身内を自宅で介護した経験から言えば、息ができなくなった時に、かかりつけ医にコールしても5時間コールバックがなかったというケースがありました。いろいろ調べてみますと、昨日まで勤務医で麻酔科医だった方が、開業するとすぐに総合診療医になれるなど、要は、どのような資格要件があれば総合診療医になれるのか、あるいはそれがきちんとした機能を果たしているのかなど体制面のチェックなしに、比較的簡単にかかりつけ医になれるというのが現状です。

その意味では、まずかかりつけ医の研修なり、そのチェックなりの体制をきちんとすること。更に、質を向上させるためには、競争がなければなかなか向上しませんので、そこは患者のほうがきちんと自由に良いかかりつけ医を選択できるような選択権というものもあわせて担保していただくようなことが必要ではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

では、宮武委員。

〔 宮武委員 〕 私も、医療の分野は、この31ページの、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入について、質問をしたいです。いみじくも、このかかりつけ医というのをどの範囲にするのかということは、どうもまだ素案段階ではっきりしていないと思いますが、病院の勤務医を入れるかどうかというところが大きなポイントになります。現実に今、日本はフリーアクセスですから、病院の勤務医をかかりつけ医にしている、主治医にしているという方はかなり多いです。制度上も介護保険制度では、要介護認定を受ける際に出す主治医意見書、俗にはかかりつけ医意見書と言っていますが、これは病院の勤務医でも構わないわけです。その意味では、このかかりつけ医をどの範囲で絞るのかということが、制度をつくる場合の大きなポイントになって、病院の勤務医を入れてしまいますと、結局診療所と病院の役割分担、目的の機能分化、これがなかなか進まないということになってしまうのだと思います。

2点目ですけれども、要するに今、大病院で紹介状なしに初診で5,000円以上取るということが始まったわけですが、この別途負担は、大病院の場合は、5,000円以上取っているところに上乗せするということになるわけですね。その確認でございます。

3点目は、この別途の負担金の徴収の範囲というのは、この図を見ると、高額療養費の限度額のところまでを対象にしていると読み取れるわけでありますが、もしそうであれば、高額療養費の限度額の設定というのは収入によって随分違って、9通りぐらいの範囲があるわけですから、非常にややこしい、複雑な別途負担の取り方になってしまう。こういうことなのでしょうかということです。

その上で意見を申し上げますけれども、まずかかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入ということで、これを見ると、どう見てもこれは定額負担を取るということが主に見えますね。本来はそうではなくて、かかりつけ医の普及の促進策として制度設計すべきものだと思います。それは見出しからしてまず変える必要があると思います。

その上で、私はこの細かな定額の負担を一律に、100円なのか200円なのか分かりませんけれども、取るというよりもむしろ、かかりつけ医を持たない方の場合は、一般が3割負担であれば4割負担を取る。フランスは、そうやって最初は始めていますけれども、4割負担がいきなり難しいのであれば、例えば3割5分取るなど、思い切った制度設計として打ち出されたほうがいいと思います。そこはプライマリーケアの部分をきちんと拡充することによって、特に高齢者は慢性病が多いわけですから、そこできちんとその治療を受けていくということが、大きな流れの中で医療費の効率化に資すると思っておりますので、その辺の制度設計をぜひ検討していただきたいと思います。

それから、介護のほうでございますが、45ページ、高額介護サービス費制度の見直しとございます。この高額介護サービス費ですが、介護のほうも、一定以上の所得者を決めて、その方に2割の負担を求めた。その前後でどうしてこの3万7,200円という一般の限度額のところの人たちが急に増えているのか、これはどのような分析をされているのか、お教えください。

その上で私の意見を申し上げますけれども、高額介護サービス費を高額の医療費のところで非常に機械的にそろえるというのはいかがなものかと思います。医療のほうは、多数回該当の仕組みによって、4ヵ月目から自己負担額を軽減しているわけです。ところが、介護のほうは、3年や4年、寝たきりや認知症でサービスを受けている人はたくさんいます。期間の長さが全然違うところに基本的に同じ仕組みを入れるというのは、少し関係者の理解を得ることは難しいのではないか。どうしてもこれを入れるということになれば、期間を区切って、一定の期間で費用の負担のところにメリハリをつける必要があるのではないかなと思っております。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

ご意見もありましたが、ご質問も幾つかありましたので、主計官、お願いします。

〔 阿久澤主計官 〕 お答えさせていただきます。まず、最初のかかりつけ医の話でございますけれども、こちらにつきましては、ご指摘のように、病院と診療所といったものの外来機能の機能分化につながるような制度設計ということでやっていく必要があると考えております。

そして、一方でこの中で大病院の5,000円の「選定療養の義務化」との関係についてご質問がございましたけれども、ここにも書きましたが、今、確かに外来の機能分化を進めるという観点から義務化をしているわけですけれども、一方で病院の収入構造を見ると、診療報酬で初診料を取った外に、更に5,000円をもらうということになっております。この場合、病院の収入は増えるということになっていて、本当にそれが機能分化に寄与するのかというところの問題もあるので、今回こういった定額負担を導入するということであるならば、そこでの大病院の5,000円の義務化ということも、きちんと自己負担化に切りかえるなど、そういった制度の見直しが必要であろうと思っております。

また、この高額療養費との関係におきましては、これは考慮の対象ということになりますので、一部負担上限の中に含めるということになります。制度がどこまで複雑になるかというのは、今でも外来医療負担は毎回3割負担していただいて、最終的に高額療養費ということで合計する仕組みがありますので、制度上やや難しい点はどのようなものがあるかというのはこれから検証しなければいけないですが、それほど問題が発生するようなことにはならないと思っております。

次に、フランスのようなある程度思い切った改革をといったご指摘がありました。定率がいいのか定額がいいのかという問題もありますけれども、我々は、一方で、受診時の軽度なリスクについては一定程度の追加負担ということも勘案すると、定額のほうがふさわしいのかなと思って提案させていただいているということでございます。また、その意味では、ご負担についても、ある程度機能分化がしっかりと進むレベルといったものを意識して負担額を設定いく必要があるだろうと考えております。

それから、介護のほうでございますけれども、もし質問の意図と違っていたら申し訳ございませんが、一般となっている3万7,200円というところの区分でございますが、一定以上所得の方々が2割負担になったのですが、その2割負担になった人の一部はこの一般の区分にもおられます。従って、2割負担になったけれども負担上限は変わらないといったことだったので、ここに出していますけれども、高額介護サービス費の給付額が急増しているということにつながっているのではないかと考えているところであります。

それから、医療にそろえるという話がありましたけれども、今回のご提案の点について言いますと、これは実は資料に示している医療の高額療養費というのは、基本的に若者の高額療養費の多数回該当に相当する負担でありまして、実は介護もほぼそれにそろっているという形であるのですが、一般所得だけがずれているということになっておりまして、そこはそろえるべきだということを申し上げています。

その上で、医療については、高額療養費を見直すべきであるという提案をさせていただいております。それにあわせて、介護を更にそれに伴ってどう見直すのかということにつきましては、確かに介護については、要介護ということはずっと続いてしまうということもありますので、それを踏まえてどのような設計にするかというのはまた議論があると考えております。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいでしょうか。

では、老川委員、井堀委員の順でお願いします。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。ここで挙げられている様々な改革、これは概ね必要なことで賛成ですが、同時に、一つは42ページにありますような生活習慣病、これは治療薬のことを言っているわけですが、同時に薬を使わないようにしていく、つまり予防医学といいますか、糖尿病あるいは高血圧、そういったものを日ごろからデータ管理をしっかりして地域全体で重症にならないようにしていくことによって、たちまち数千億程度の薬剤の節減ができると思います。今、民間、それから自治体等が一緒になって健康増進の運動をやろうということが緒についていますので、ぜひこういったものを進めて、応援してやっていただきたいなということが一つ。

それからもう一つ、それとも関連するのですが、これはこの間オリンピックの団長をやられた橋本聖子さんの受け売りになるのだけれども、今いわゆるオリンピック選手あるいはアスリートは、薬を使うと、たとえ風邪薬でもドーピングにひっかかってしまいますので、薬を使わないで体調管理あるいは健康増進ということをやるスポーツ医学、これが非常に大事になってきていて、それと地域の医療とうまく連携がとれればいいのではないかといった話もしていまして、全くその通りだなと思います。大学のスポーツ医学の専門の研究者というのは限られているように思いますが、実はスポーツ医というのは全国に3万人程度いるのだそうです。例えば48ページにあるような軽度者に対する生活援助、あるいは51ページにある通所介護、こういったところで時折スポーツ医に来ていただいて指導してもらうと、これはいわゆる運動機能の回復というものにも非常に効果があるだろうし、結局は介護の費用が節減できるということになっていくと思いますので、少しその辺を総合的に考えて対策ができるものであれば、進めていかれたらどうかなということを私の意見として申し上げておきます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

井堀委員。

〔 井堀委員 〕 最初の総論の給付の話について、6ページの社会保障給付費の見通しの図と8ページの公費負担の図との関係ですが、6ページですと、2012年から2025年で医療、介護それぞれ増えますということですけれども、8ページですと、2016年度のものしか出ていないのですが、これは6ページに対応させて2025年、要するに団塊の世代が後期高齢者になる時の公費の将来推計がどうなっているのか。本日のお話ですと、要するに給付費の伸びを超えて公費が増えるというお話だったので、2025年には公費がどの程度増えているのかという推計があれば教えていただきたいと思います。

それとの関係で6ページの給付費の見通しを見ますと、医療よりも介護のほうが、伸び率が高い。ということは、公費のほうも介護の伸び率が高いのではないかと思いますけれども、それとの関係で、本日の最後の介護費の話について、軽介護に関して効率化する、あるいは生活援助サービスの在り方等、様々な形で無駄なところを適正化していくというのは、それはそれで非常に重要なことで、それで介護費の伸びのある程度の抑制や効率化が図られると思います。問題は、介護の場合は要介護1、2から次第に3、4と悪化していくわけで、軽介護のところの効率化をやると、場合によっては軽介護で頑張っても仕方がないから、要するに中・重介護のほうにいったほうが楽ではないかと、インセンティブの面で中・重介護のほうへバイアスがかかってしまうようなことがあれば逆効果になるので、ある意味では軽介護で頑張っている人に何らかのインセンティブが与えられるような仕組みがあり得るのかどうかということ。

それからもう一つは、重介護の認定です。中・軽・重の認定のケアのところ、これは最後の図でも地域間の格差があるという話も出ていましたけれども、ここが場合によっては、軽介護のほうに効率化を進めると、認定が甘くなって、中や重のほうによりバイアスがかかるという可能性もあります。軽介護に対する効率化というのは非常に重要だと思いますが、その認定自体がそれによって影響を受ける可能性もありますので、そのあたりの副作用をどの程度重要と思われているのか、何かその点についてあればということ。

以上、3点です。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官、事務局、お願いいたします。

〔 阿久澤主計官 〕 すみません、公費の推計の内訳については、手元に数字がないものですから、もし分かれば、後ほどお答えします。

それから、軽介護の話でございます。確かに、介護の場合、ある程度リハビリ等をしっかりすれば、重症化を抑えられるという側面はあります。一方で、言い方は気をつけなければいけないですけれども、事業者からしてみると、重症化したほうが、例えば報酬の単価がいいので、あまり重症化予防をやるインセンティブが働きにくいのではない

かと。ご本人自身は、きちんと動けるようになるとか、自分がやれることが増えるという、それ自身がインセンティブになることはあるので、ご本人は頑張ってやるという方も多いですけれども、事業者側にはややそういうインセンティブが働きにくいのではないかという問題点はあります。事業者側には、我々としてもこの報酬体系を考えていく上で、ある程度機能改善に向けた取組をしているところと、そうでないところというのはきちんと評価を分けていって、そのような成果を上げているところが高く評価できるような仕組みを報酬の中に入れられないかという取組は、これからも報酬改定ごとにやっていかなければいけないと思っております。

また、要介護の認定については、ある程度一定の要件で、しかも認定委員会という委員会もつくってやっているはずですけれども、確かにこの地域差を見ると大きいので、ある程度認定に差が出ない、客観的に判定できるような仕組みどのようにしたらできるのかということについては、引き続きよく厚労省とも議論して、制度をしっかりと運営していきたいと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいでしょうか。

これは、主計官、4ページに医療と介護の、一人当たり医療費と介護費の国庫負担が書いてあって、2025年の人数の推計が書いてあるわけですから、国庫負担というのは基本的にはこれを掛け算したものになるということですか。

〔 阿久澤主計官 〕 この推計は、機械的というよりは、いろいろと前提を考慮しているので、単純にその数字が出てくるものではないということです。足下で見ても、高齢者給付が増える傾向にあり、その結果、今後とも公費の割合が増えていくというトレンドにあることは申しあげられますがただ、給付費の内訳として、公費負担がいくらになるかというのは、今手元にありません。

〔 吉川分科会長 〕 分かりました。

では続いて、末澤委員、冨田委員、中空委員。

〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございました。ここまでの議論とこの1から4ページを見ますと、医療費、介護費ともに現役世代と75歳以上では、医療費だとおよそ5倍、介護費だとおよそ10倍の差が発生しております。ですから、今後、高齢化が進むに当たって、社会保障は年金よりも医療・介護に問題の本質が移っていくということだと思います。そのことで私は最近ある厚労省の報告書を見てびっくりしたことがあるのですが、実は9月13日に2015年度の概算医療費を厚生労働省が発表されています。概算医療費というのは、国民医療費のおよそ98%を包含しておりまして、国民医療費の統計より1年早く発表されます。これで見ますと、その医療費の総額が約41兆5,000億円で、伸び率が前年比でプラス3.8%なのです。問題は、その中で調剤費が約2割を占めるのですが、全体が3.8%伸びる中で、調剤費が9.4%と約1割近く伸びています。私の理解では、こちらの審議会等でも最近ジェネリック(後発医薬品)を推進するということで、足下では後発医薬品の割合がフランス並みの6割程度に上昇していると思います。ですから、この医療費の中で、特に調剤費の伸びは少し落ちつくのかなと思っておりましたら、むしろ逆に増えていると。厚労省の説明では、バイオ医薬品等、高額医薬品が昨年度から急激に使用されて、伸びているということです。ただ、この問題というのは、ちょうど2年連続で、ノーベル医学生理学賞を日本人が受賞していまして、申し上げにくい部分もありますし、また命の安全にもかかわっていますから、単純にこれをカットしろというわけにはいかないと思いますけれども、これだけお金がかかるということを国民の皆様に公表して、ご選択いただくということが、おそらく今後5年後、10年後には相当重要になってくるだろうと思います。この調剤費が9.8%伸びた理由が、ジェネリックで何%抑えられたけれども、高額医薬品の部分で例えば30%伸びたなど、そのような何か内訳を見せていただければ理解しやすいなと思いました。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 最後の点はご質問ですか。

〔 末澤委員 〕 本日はおそらくデータがないと思いますので、結構です。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。

では続けて、冨田委員。

〔 冨田委員 〕 ありがとうございます。資料の20ページの下に医療・介護の改革の視点が4点、きれいにまとめられているように私は思います。私ごとながら、今年、大変大きな手術を受けたのですけれども、その際に感じたことは、この2番目にありますように、大きなリスクは共助、これこそはまさに医療保険の一番根幹にかかわる部分だと思います。この大きなリスクを共助で担い、それを持続可能なものにするために、本日お話のあったような項目や、あるいはもっと総論的に言えば、この20ページにあります、「年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担」、あるいは「公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護」といったことが重要な課題になっているというのが、一番根幹の部分だと思います。

そして、次の21ページには、残された課題ということもきちんと整理されているように思います。

しかし、27ページ以下に、工程表に沿った具体的な見直しの内容ということが書かれております。これは、ちょうど1年前の10月9日の資料とほとんど同じです。また、多くのページの下に小豆色のボックスで改革の方向性というのが、今回かなり詳しく書かれているのですけれども、その概要については今年の5月の財審の建議で示された17ページの内容と基本は同じです。ですから、基本精神は変わらないということは大事であり、また確実に改革工程表の実現を図るためには、重要なことを繰り返し議論すること、その重要性は十分分かった上で申し上げたいのですけれども、この春の建議以降の変化への対応ということで少し考える必要があるのではないかなと思います。それは、消費税率の引上げの再延期。それから軽減税率の設定。そして昨年度の税収実績がわずかながらも補正後を下回るという自然減収が発生しているといったこと。それから選挙もあってなのでしょうけれども、子ども・子育て、介護の環境整備というのが補正予算で行われました。また、7月の中長期試算では、歳出の伸びを物価の伸びの半分としまして、そして社会保障費は消費税率引上げの延期に伴います充実延期を含め、しかも3%台の高い経済成長を見込んでも、2020年度、PB黒字に対して5.5兆円不足すると試算されております。

こうした中で、資料の11ページから13ページにあります社会保障・税一体改革のネットの2.8兆円の充実以外にも、14ページに示されるようなたくさんの新しい計画が出てきております。これらの新たな施策につきましても、総論としては、ここの14ページに赤い字で書かれ、先ほど主計官よりご説明があった通り、財源の確保の努力を図りながら、その財源の範囲内で優先順位をつけて実施するということであろうと思います。しかし、これらは、先ほどの17ページの資料にある3年間で1.5兆円程度、そして11ページにあります一体改革満年度時点での2.8兆円との関係はどうなっているのか、お教えいただきたい。先ほど主計官は、予算編成の過程で財源を用意するとご説明されました。そんな簡単にできるのかなというのが心配なので、私は今質問させていただいた次第です。

それと、9ページの説明がございました。2060年の我が国の一般政府の社会保障支出(対GDP比)と国民負担率(対GDP比)の関係です。これはまさに1年前の10月9日の財審に、起草検討委員会の資料としてご説明させていただいたものです。ここで言いたいのは、2060年にここに至るのではなしに、2060年にここに至るような状態の時には、政府債務残高の対GDP比はもう発散に次ぐ発散を続けて400%や500%になっていて、とてもここまで到達できないと、それまでにもう我が国財政は破綻してしまうということが、本当に言いたいことなのです。もちろん、大事な趣旨は、先ほど主計官がご説明になったように、この多くの国々と同じ帯の中にきちんと入るような形のものになっていかないとだめだということですけれども、2060年にこうだということでは決してございませんし、たしか資料には、これはケース1と、つまり現行制度維持でいく場合にはこうだということも示させていただいたので、やはり注が必要なのではないかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。幾つかご質問もあったので、事務局のほうでお答えいただけますか。

〔 阿久澤主計官 〕 まず、個別の改革項目の話につきましては、改革工程表が昨年まとめられて、そして春の段階でもご議論させていただきました。工程表上16年中に改革を進めるという項目を中心に今回ご説明させていただきまして、従ってこの年末までに答えを出さなければいけない課題ということになっております。そういった春の時からの議論が続いているということでご理解いただければと思います。年内までには相応の答えを出していかなければいけないと考えております。

また、資料の14ページの充実の話につきましては、社会保障・税一体改革に伴う充実策ということでありまして、17ページに示された目安としての、高齢化による増加分に相当する伸びの1.5兆円程度とは、別になるということであります。充実策のほうは充実案のほうで財源を確保した上で行うということになります。従って、その財源の確保のされ方によって、1.5兆円に与える影響というのは変わってまいります。何らかの増税などにより財源を確保して充実策を行った場合には、結果として名目値としては1.5兆円の上に乗ってくるということになりますし、そうでなくて制度改正その他の社会保障歳出の抑制によって財源を確保して充実策を行った場合には、1.5兆円の中に入ってくるということになります。従って、このように財源の確保の中身に応じて見え方は変わってきます。考え方は、一体改革フレームは別途財源を確保して実施する、目安である1.5兆円は1.5兆円できちんと行うということで、それを足し算した時の見え方は今言ったような形になるということでございます。確かに、財源の確保というのは非常に大変であるということはその通りなのでありますが、一方で、今回の経済対策などにおきまして、例えば雇用保険の国庫負担の見直し等についての方針などもあり、それは今後議論して最終的に決めるわけですけれども、様々な形で財源の確保を図る努力も一方で行っていきたいと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 更にということですね、どうぞ。

〔 冨田委員 〕 一体改革の充実分と、それから高齢化による増加分の1.5兆円とが別にあって、更にそこに新たな計画がこの14ページにあるような一億総活躍関係や年金の話などが出てきていて、その財源をどうするのだと、そのことこそ当審議会にご相談いただいて、よりいい予算ができればいいのではないかという趣旨で質問させていただいたのですけれども、いかがでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 阿久澤主計官 〕 この一億総活躍の施策につきましても、先ほど申し上げましたように、財源確保の努力を図りながら、その範囲の中でということになります。従って、この一体改革フレーム以外の一億総活躍の施策を充実するためには、これは他の施策の合理化によって財源を確保しこの一億総活躍施策の実施をすれば、それは先ほど申し上げた、1.5兆円の中に入ってくるということになりますし、別途このために増税等の歳入確保措置をとるのであるならば、それはそれで1.5兆円の上にのるということであります。具体的にどの歳出改革を行っていくかということにつきましては、様々な合理化策を組み合わせて最終的に形づくる必要があると思っておりますけれども、一つ大きな歳出改革項目として今検討されているのは、先ほど申し上げましたように、雇用保険の国庫負担を引き下げるということでありまして、それはぜひとも実現していきたいと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 では、中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。まずグラフのことから少し申し上げたい点があって、5ページにありました医療費の伸び率の要因分解の表についてです。これに関しては、私たち民間にいる者の常識ですけれども、例えば私がアナリストをしていて、企業を見る時に、セグメント別に見ることが多いのですが、その他の要因というのがあまりに大きいと、その他ではないではないかという話が必ず出ます。つまり、その他の要因がこの表ではあまりにも大き過ぎると思います。右側の介護費の伸び率の要因分析は素直に見ることができるのですが、医療費の伸び率のほうは引っかかります。その他の要因は医療の高度化等という説明だったのですが、もしそれがほとんどであれば、そのように書いたほうが、いいのではないかなと思いました。これが5ページの図表についての意見です。

あと、表については49ページに、「福祉用具に係る1か月当たり貸与額の地域差」というおもしろい表が出ていて、それは当然ご説明があったように、貸与価格の適正化は必要でしょう、地域差があまりに大きいのは変ですよねというのはすごく分かるのですが、そもそもなぜこれほど差があるのかという説明が少しあってもいいかなと思います。それは地方自治体のせいなのか、それとも事業会社のせいなのか、何かもう少しブレークダウンがあったほうがいいかなと思いました。表についてはその程度です。

あと申し上げたい点が、高額薬剤についてです。高額薬剤の話というのは、ご説明の通りだと思いましたが、例えば高額薬剤と聞いた時に、幾ら以上だと高額薬剤と言うのだろうというのが、私は分からないと思ったんです。定義は何かということ。どこまでの高額薬剤を公的負担で賄うべきなのか、という基準が必要なのではないでしょうか。それから、ご説明の中で、適正水準まで戻しますという話があったのですが、適正水準とは一体何なのかということもあると思います。40ページに市場拡大再算定の特例措置についてというのがあって、あまり高いのが続いて売れ過ぎてしまうとこのような措置をとりますよと言ってしまうと、民間から見れば、すごくうまくいったら途中でルール変更された感は否めないなと思っています。前提とした売上規模がすごく違った場合は、このような手続をとるというルールづくりが必要で、あまりにもインセンティブがないと、高額薬剤を研究しようという意欲がなくなっていく可能性もあると思っています。政策により、民間のやる気をそぐというのは得策ではないと思いますので、高額薬剤の調整の在り方というのが、皆に納得しやすいものにするべきだとは思いました。

その一方で、費用対効果を重視する枠組みというのは大変重要なので、そのようなロジックを持ちながら、医薬品メーカーのやる気をそがせないということは考えていかなければいけないと思いました。つまり、もうける仕組みを残すということです。私が思うのは、日本のこのような様々な制度は、高度成長期につくられたものが多く、だから今は合っていないということになってしまうのですが、ではどうしたら合っていくのかということを考えた時に、少しもうける仕組みや経済合理性というのを入れなければいけなくなってきているのかなと思います。皆が幸せということは、かなり担保されてきていると思うので、その次の世界に入っていくという、ターニングポイントに入っていく。先ほど老川委員や井堀委員もおっしゃったのですが、例えば後期高齢者や、介護が必要な人たちに対して、それを全く使わなかったらインセンティブがあるなど、そうなったら本当に要支援や要介護1・2の人たちは皆、「何も使いませんでした」に急に入ってくるのではないかと私は思うのですが。インセンティブを与える仕組み作りが必要になっているのではないかなと思います。問題が出て、社会保障改革をしなければいけないとなった時には、とれる人からとりましょうと、それで今無駄になっているものを減らしましょうと、それが改革にはなるのですけれども、そういうことだけではなくて、根本的に考え方を変えるように、つまり、経済合理性を入れながらインセンティブを与えるというやり方に、仕組みづくりを変えていくことが必要かなと思いました。

最後にもう一つあって、激変緩和措置についてですが、激変緩和措置というのは一体どの程度のことを言うのか、これも定義が必要かなと。激変緩和措置というのが一言入っていると、「私にとっては激変なんです」と言われ続ければずっと変えることができなくなるわけで、もう少し、高額薬剤にしろ、激変緩和措置にしろ、言葉の定義がはっきりとわかるようなものが必要かなと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ご質問もあったとは思いますが、時間も限られてきていますので、先ほどもこの資料の中での激変緩和措置について、なぜ9年間も続いているのかですとか、日本語の問題としてもおかしいのではないかというのはあるかと思います。

では、続けてできるだけ多くの方にご発言いただくということで、加藤委員、小林委員、伊藤委員、板垣委員、増田委員の順で、とりあえずそれでお願いいたします。加藤委員。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。私からは3点ほどお話しさせていただきたいのですが、一つは、先ほど冨田委員がおっしゃったところとも関連するのですが、医療保険というのは、「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」というところをしっかり考えていく。そのためには、高額療養費制度をどのように考えていくかというのは非常に大事だと思います。これは高齢者だからといって優遇するような仕組みではなく、大きなリスクに対して、年齢とはかかわりなく、守っていくということは大事なのだろう。その意味で言うと、この中の高額療養費の見直し、負担限度額等々の見直しというのは絶対に必要なことであって、これを早くやっていただきたいということが1点であります。

2点目は、31ページのかかりつけ医のところの定額負担についてですが、一体この定額とは、幾らぐらいなのか。もし数100円単位であった時に、これは果たしてかかりつけ医の普及になっていくのかどうなのか。単純にドクターショッピングをやめさせるということであれば、この値段ではなかなか難しいだろう。実際に定額負担を導入することと、かかりつけ医を普及させるということは、少し分けて考えたほうがいいのかなと思います。個人的には、昔議論があったように、かかりつけ医以外であっても、定額負担というのは全体的な形で入れていって、更にかかりつけ医では少し減らすなど、そのような形にしたらどうなのかなというのが2点目です。

3点目は、これは井堀委員もおっしゃったことですが、介護の中で軽度者については地域によってその認定の仕方が曖昧なところが非常に多いかと思います。こういったところにも、認定の割合というのは地域ごとにどれだけの違いがあって、それにどれだけ余計なコストがかかっているかというところまで、しっかりと見ていくことによって、随分コストを少なくすることができるのではないだろうかと考えます。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では続けて、小林委員。

〔 小林委員 〕 ありがとうございます。簡潔に申し上げたいと思います。一つは、まず29年度は、診療報酬改定や薬価改定などがないので、厳しいということですが、これは裏を返せば、そういうところ以外のところで削っていかなければいけない。つまり、それは今まで診療報酬というところでなかなか目が向かなかったところに切り込んでいくチャンスであると考えなければならないと思います。その意味で、今日ご説明があった改革の様々な論点、これは概ね私も進めていくべきだと思います。

その上で一つ、二つ言いたいのですが、まず先ほど中空委員がおっしゃっていた薬価の問題です。これは非常に大きな問題で、まさに医薬品業界が新しい研究を進めていくというインセンティブがなくなってしまうと、これは困るなというのが常にあります。ただ、ではそれを国庫が負担しなければいけないか、保険で賄わなければいけないかというのは、またそれは別の話ではないかなと、そこはある程度切り離して考えなければいけない。つまり、これだけのお金がかかるのですよということをきちんと国民に伝えた上で、さあこれをどのように負担していきましょうか、どのように研究開発費を回収していきましょうかということではなかろうかと思います。恐らく薬の研究開発のサイクルが非常に速くなっているので、研究する側もなるべく早くコストを回収したいというマインドが働いているのではないか、そういったことも少し考えていいのではないかと思います。

それと、これはもし可能であればですけれども、先ほどから出ております、37〜38ページにあります後期高齢者の保険料軽減特例が9年間ずっと続いているということが今回改めて議論になるんだと思いますが、この間全く議論にならなかったのでしょうか。それとも、例えば政治状況あるいは経済状況などでそういう議論が俎上にのっても、何となく消え去ってしまったのでしょうか。もしそれが分かれば、教えていただきたい。分からなければ、構いません。お願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 では、最後の点だけ、もしお分かりになれば、主計官から。

〔 阿久澤主計官 〕 この高齢者の保険料軽減特例につきましてどうするかという議論は、25ページの緑の改革項目の中に、27年1月の医療保険制度改革骨子と括弧で書いてあります。つまり、まさにその時期の医療保険の改革を議論している際に、この特例もどうするかということの議論があり、では29年度から見直すべきではないかということの本部決定が行われて、そしてまさに現在、29年度予算でどうしますかということになっている。このような経緯だと認識しています。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。

〔 小林委員 〕 それも今承知しておりますけれども、この27年の医療保険制度改革骨子が出るまでは、ほぼ放置状態だったという理解でいいですか。

〔 阿久澤主計官 〕 いろいろと内部では議論はあったと思いますが、それ以前に、公式の場でこのことが議題に上がり、見直しについて議論したということは、私は認識しておりません。

〔 吉川分科会長 〕 では続けて、伊藤委員、いかがでしょうか。

〔 伊藤委員 〕 ありがとうございます。全体としてはここに書かれたような方向と考え方でいいと思いますけれども、少し細かい話になるのですが、1点だけ申し上げたいことがあります。53ページにあります介護納付金の総報酬割の問題ですけれども、この導入については、現時点では時期尚早ではないかということでございます。応能負担の考え方自体に原則異論はないのですけれども、それであれば、受益者である高齢者世代に応分の負担をしてもらうということにして、現役世代の負担増の抑制を考えるということにしないといけないのではないか。一方で、現行1割という高齢者負担の見直しや、先ほども議論がありましたけれども、軽介護者の負担をどうするのかという給付の適正化や効率化、その辺がまだ十分に進んでいないという段階で、現状は現役世代に負担が求められているのが実情だということだと思います。

従って、介護納付金の総報酬割についても、40歳〜64歳の第2号被保険者全体の保険料負担を高めて、協会けんぽに対する国庫負担分、この資料によれば1,450億円ですけれども、それを肩がわりするようなやり方というのは少し問題があるのではないかと。取りやすいところから取るという在り方では、現役世代の納得が得られないということがあるので、現時点では、持続性のある改革とは言えないのではないか。介護保険の場合は、現役世代がほとんど受益を得ていない場合ですから、なおさら現役世代の負担感は大きくなってしまうということです。ご承知のように、29年度から医療保険では後期高齢者支援金の全面報酬割が決まっておりまして、これと同じようなことが介護保険でも導入されると、現役世代全体にとっては二重の負担になるのではないかということです。従って、その意味で言うと、今の時点では、高齢者世代に対する給付の重点化や効率化、自己負担の見直しを進めることが先決で、その前に介護納付金の総報酬割だけを先にやるというのは賛成できないということであります。

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員。以下、大変恐縮ですが、少し簡潔に、皆さんよろしくお願いいたします。

〔 板垣委員 〕 まず、31ページのかかりつけ医について、私は医師を信用できるかどうかというところが非常に大きなポイントだと思います。例えば32ページで右上のほうに「かかりつけ医に望む事項」と書いてありますけれども、こういったところを満たしてくれるお医者さんが果たして自分の身の回りにいるかどうか。あるいは、既に持病があり、病院通いをしていて、例えば腎臓病だったらこの先生ともう決まっている人が多いと思います。ですから、ここのかかりつけ医の定義、現状はどの程度先生がいるのかということを、もう少し明確にしない限り、なかなか賛成とも言いにくい状況であると思います。

それから、34ページに「金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組み」とありますけれども、金融資産という一方で債務の問題もあると思います。その辺のところをどのように勘定してその人の負担能力を判断するのか、あるいは不動産はどうするのかなど、不動産まではいけないと思いますけれども、非常に難しい課題があるなという印象です。

それから、介護の軽度者について、負担を重くして、重度者に重点的にやっていこう、これは正しいとは思いますけれども、例えばレンタルできる器具あるいは住宅改修の費用というのは、自治体によって非常にばらつきがあって、しかもひとり暮らしの時にどうするかという問題もあったりして、今ひとり暮らしが非常に多くなる中では、ここは相当慎重にやっていかないといけないのではないかなという気がいたします。

以上3点です。

〔 吉川分科会長 〕 では、増田委員、お願いいたします。

〔 増田委員 〕 総論のほうについて、意見ですので、答えを必要とするものではありませんが、一つは、来年度予算の編成について、どのような形で評価されるかというと、社会保障関係費の伸びがきちんと5,000億円以内に抑制されているかどうか。平成28年度予算で、5,000億円以内にきちんと抑制されたので、来年度は診療報酬改定がない中で、そのラインをきちんと保たれているか、すなわち3年間で1.5兆円以内の抑制の流れにきちんと乗っているかどうかというのが、判断される一つの大きなメルクマールだろうと思います。

そのためにいろいろな項目を整理してくださったと思うので、それぞれの項目をきちんとやっていくということが必要になるのですが、3年間で1.5兆円以内の抑制の流れと同時に、もう一つ考えなければいけないのは、例の消費税率10%引上げ時の社会保障の充実分が1%で2.8兆円だということですが、これがどうしても、5%も上げるのに充実分はたった1%なのかという、昔から言われている問題です。もっと充実分を増やすべきではないかというのが、常に底流にありますので、しかもなおかつ、総理のほうの一億総活躍の関係で、保育士や介護人材の処遇改善というのは、これはもう実現しなければいけないということになっています。そうすると、消費税率の引上げが延期されたことによって、1%の充実分の中でえり分けをして、それで実現するものと、どうしても諦めなければいけないというものがあって、そのほかに一億総活躍と。先ほど主計官のほうできちんと丁寧にご説明されたわけですが、この1%の充実分あるいは一億総活躍のほうについては、財源確保の内容次第によって、そこで実現できるもの、実現できないものが変わってきて、あるものは5,000億円の抑制のほうに入る部分もあるし、それから場合によっては財源確保のやり方によってはそこから外れるものもあるという、そこらが国民にとっては非常に分かりづらいところ。要は申し上げたいのは、せっかくいろいろ努力をされても、その充実感という意味で、もう削られるだけ削られたという痛みみたいなものばかりが出てくるということにどうしてもなりかねないので、これをどのようにうまく説明していくかというのは非常に重要なことになると思います。

一言で言うと、例えば今回の9ページにあるように、そもそも今の日本においては、給付と負担のバランスが欠けていて、この帯の範囲に日本が入っていれば、その負担が上がると同時に充実分もそれなりに出てくるという関係ができたのでしょうけれども、今は既にもう給付のほうがあまりにも並外れて多くなって、負担とのバランスを欠く。そこの現状認識をどれだけきちんと理解していただけるかにかかっているのだろうと思います。いろいろやらなければいけないことは、端的に言えば、この図1枚を国民がどれだけ理解していただくかにかかっているのではないかと、そんな感じがいたしました。

それから最後に、54ページに個別の問題で介護費の地域差のデータがあって、ちょうどこの医療・介護情報の委員会に私も入っているのですが、3月に見た時に、やはりこれだけ地域差があるのだなということを改めて感じました。県の間や、それから介護費は、同じ県の中でも市町村間で相当違いがあるはずなので、市町村ごとのデータも各県ごとにきちんと示した上で、ある程度情報開示されているのかもしれませんが、きちんと是正する、あるいはその全体の水準の中で自分たちの位置どりがどの程度なのかというのを常に確かめて、削減につなげていかなければいけない。エビデンスベースでやっていくためにも、例えば54ページを更に市町村に分解する。それから、これは要介護の認定率の差ですが、医療についても疾病ごとにデータを分析するなど、様々なデータをこれからどしどしきちんと出していただくということが必要ではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、秋山委員、角委員、田近委員。

〔 秋山委員 〕 ありがとうございます。今日は総論からご説明いただきましたので、全体像について理解を深めることができました。改めて、今から来る10年後の姿が非常に厳しいと。特に人口ピラミッドの構造上、団塊の世代が後期高齢者になる今から10年後、この2025年問題と言ってもいいと思いますが、これを克服するには何かしら構造を変えていくということをせざるを得ないだろうというのが私の今日の理解です。ただ、一方で、この10年という時間軸で考えると、あまり多くのことを望むのは現実的ではないのかなと考えますと、基本的にいろいろ課題がある中で、インパクトが大きいものにじっくりと取り組んでいく、これが王道だろうと思います。

医療については、多くの方からご指摘いただいたような、かかりつけ医の問題がまさにそうであろうと思いますので、課題はあっても、実質的な解決策を進めていく。

それからあと介護ですけれども、特に今日も議論になりました軽度者に対する様々なサービスですが、ここの国庫負担を減らしていくということを実質的に考えますと、例えばサービス内容の利便性を高めて自己負担にどんどんシフトしていく。つまり、事業者の経営努力で事業者も利益確保ができるような、最近規制改革会議などで議論が始まろうとしているいわゆる混合介護の考え方、こういったものを進めていかざるを得ないのではないかと思います。こういったことをやることによって、事業者の経営努力で利益を生み出すことができれば、それが介護職員の処遇改善の問題にもつながっていくということで、構造的な取組が必要だろうと思います。

あともう1点だけ。後期高齢者に対する国庫負担の軽減というのは不可避であるということを考えると、いろいろな施策がこれから打たれていくだろうと思うのですが、その中で少し懸念としては、高齢者の貧困度が増すという社会的な問題が起きるリスクが非常に高まるということです。それこそNHKの番組などでも最近報道されていますけれども、ああいう姿を見ると、特に若い人を中心にした国民が非常に将来不安を持ってしまう。これは社会にとってよくないことだと思いますので、どうやってこの緩和策をとっていくかということで私が着目しているのは、まさにマイナンバーを活用することによって、今までフローベースだけで見ていた負担能力というものにもう少し様々な情報をつけ加えて、ストックベースも含めて、負担能力に応じた対策をとっていくということが、実は喫緊の課題ではないかと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 では、角委員。

〔 角委員 〕 ありがとうございます。2点です。大きなリスクは共助、小さなリスクは自助、それと公平な負担、私はもうこれに尽きると思いますが、私は大分前にがんをやった時に、生命保険やがん保険で大分給付を受けましたけれども、高額療養費制度は所得に応じて大胆に上げるべきだと思います。そのかわりに、それに対して民間の保険で給付を受けるように、それをまた税制でバックアップするようにして、高額療養費制度は所得に応じて大胆に限度額を上げていくべきだと思います。

2点目は、何年か前に生活保護の議論がありました。生活保護費は約4兆円で、そのうち1兆円が医療費と。貧困ビジネスや、先ほどの介護の話もそうですけれども、やはり公平という部分が欠落しているように思います。その生活保護については、改革工程表で、2020年までに適正受診指導の徹底等と掲げているのですけれども、これをやってもなかなか難しい話なので、前にも申し上げたように、例えば3兆円を、3%給付を上げますと、ですから一般の方は3%給付がふえます、そのかわり医療費1兆円については1割の負担をしてください、そうすると1,000億、1,000億でバーターということで、公平ではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 田近委員、簡潔にお願いします。

〔 田近委員 〕 田近です。この数年というのですか、改革工程表に基づいて、44というのがもう頭に入ってしまっているのですけれども、厚生労働係の方からご説明を受けている。私だけかもしれないですが、それをずっと聞いていて、社会保障制度について財審でどう議論を進めるのかというのがいつも気になっていることの一つです。

それについては、私は2つあると思って、1点目は、既に冨田さんや増田さんからご指摘があったように、18ページの経済・財政再生計画に掲げられた目安の達成、この中身についてはもうご指摘がありましたから繰り返しませんけれども、財審としては、日本の財政全体の中で社会保障制度をどう位置づけるか。これは当面、2016、2017、2018年は毎年5,000億円の増で抑えると、これが財政フレームワークの中の目標だということで、財審としても、これがどう達成できるか、それをきちんとウオッチしていく。そのために今日ご説明のあった各項目の改革が進められるべきだと思います。

2点目は、20ページに、その改革全体、社会保障制度をどう論じるかということで、簡単な提言と質問を述べさせていただきたいのですけれども、我が国日本全体の医療・介護の仕組み、ここで特色が書いてあって、その結果、患者側では、低い負担で利用が増えている、医療機関側も、できるだけ患者を受け入れて診療すれば収入が増える。ここからですけれども、それで本来その下にあるべきことは、患者を利用者と言わせてもらえば、利用者サイドでどんな改革を行うべきなのか。それから医療機関側、や調剤、そこでどのような改革をすべきか。更に、公的資金介入をどうすべきか。この3本の柱について、本来私は各項目を埋めていくべきではないかという意見です。その後をずっと見ていくと、圧倒的に利用者サイドの改革が多いわけです。小林さんがご指摘のように、来年度は診療報酬改定がない中でどこまでできるかという話ですけれども、供給サイドで出来高払いの問題や、あるいは介護療養病床に関しての来年度以降の踏み込みというのが、どのようなのかというのがもし聞けたら伺いたいと思います。介護療養病床はどうなるかという点についてごく簡単にお願いします。

〔 阿久澤主計官 〕 まさにその点について、今厚労省とも議論しております。介護療養病床については、一定期限で廃止になりますので、その受け皿といいますか、そのかわりをどうするのかという議論を提供体制の見直しとして、していかなければいけないと思っております。次回もし可能であれば、ご報告させていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻ですが、少し時間を延長させていただきまして、最後に葛西委員、黒川委員、大宮委員にご発言いただいて終わりたいと思います。

〔 葛西委員 〕 手短に申し上げます。お話を伺っていまして、基本的なポイントは、かかる経費をどのように負担配分するかというところが重点になっていると思います。実際には、人間というのは必ず老化していつか死にますよね。医療が進めば進むほど寿命が伸び、医療費が更にかかっていくことになります。しかも、最後には終末医療があり、その前に介護もある。そうすると、健康を維持している間の医療と介護と終末期医療のトータルコストはどんどん上がると思います。年齢構成の話やサービス水準の話のほかに、医療の進歩とともにコストが上がり続ける、それをどう抑えるかという話を認識ぐらいはしておいたほうがいいと。例えば、ヨーロッパなどでは、自律的に食事を摂って生命を維持することができなくなるような場合は、もうこれは医療の対象ではないという判断をしているようでありますが、そのような認識が場合によると必要だということをどこかにちょっとにおわせておくほうがいいのではないかというのが私の意見であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。終末期医療などの問題ですね。ありがとうございました。

では、黒川委員、どうぞ。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は、49ページの福祉用具貸与等の在り方について、お願いしたいことがあります。これについて、中空委員が先ほど言及されましたが、非常に控え目に我慢してお話しになったような気もするのですけれども、私自身はもう一歩進んで、この地域格差の表を見て、個別事情があるにせよ、あまりにもあるということを見て、取引の公正性が本当に保たれているのかどうかということについて疑問を持たざるを得ない。ですから、その製品やサービスの使用価値や品質といったものの情報と、それから合理的な価格というものがその市場において流布されていないと、なかなか取引の公正性は保てない。それからもう1点は、これは単に公費が投入されるという問題だけではなくて、消費者保護の思想からいっても何か問題がある市場ではないのかということで、私としては、公費負担の問題だけではなく、市場の公正性、取引がきちんと公正になされているのかどうかという点と、消費者保護の思想という点からいって、何か関係する省庁あるいは地方自治体にもう少し調査をしていただきたいなと、これがお願いでございます。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも貴重なご意見をありがとうございました。

では、大宮委員。

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。介護納付金の総報酬割については、伊藤委員、それから岡本委員の意見書にもありますように、同様の理由でこれには反対したいと思います。

それから、秋山委員の発言に関連しているのですけれども、公平な負担をどうするかという問題は大変重要だと思っていまして、7ページを見ると、現役世代はとてもではないけれどもやっていけないと見るのだろうと思います。これはできればですけれども、マイナンバーで少し分析ができるようになるといいとは思います。例えば年齢別や年収別等に分けて、税金の負担、それから消費税分の負担、それから社会保険料等の負担との割合みたいなものを何か推算ができないかなと。それによって現役世代と高齢者の負担の公平性という視点でもう少し中に入ったような議論ができるのではないかと思いますので、できるかできないか、分かりませんけれども、ぜひ将来そういった形での公平な算出ができて、特に若者の将来に対する不安感を払拭できないかもしれませんけれども、その辺の負担が公平だということで、納得してもらうということが必要ではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 少し定刻を過ぎてしまったのですが、本日も皆様方から大変建設的かつ様々なご意見、ご議論をいただきまして、まことにありがとうございました。議題は終了でございます。

なお、本日欠席の岡本委員、神津委員より意見書をご提出いただいており、皆様のお手元に配付してあります。後ほどご覧いただければ幸いです。

本日の会議の内容につきましては、大変恐縮ですが、私から一元的に報道関係者の方々にお話をさせていただきます。

次回は10月20日14時から開催することとしております。

それでは、本日は閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

午後5時06分閉会

財務省の政策