現在位置 : トップページ > 財務省について > 審議会・研究会等 > 財政制度等審議会 > 財政制度等審議会財政制度分科会 > 議事要旨等 > 議事録 > 財政制度分科会(平成28年9月7日開催)議事録

財政制度分科会(平成28年9月7日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成28年9月7日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成28年9月7日(水)14:00〜15:35
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.財務省幹部挨拶

3.事務局説明
・我が国財政をめぐる現状等について

4.質疑応答

5.麻生財務大臣、木原副大臣、大塚副大臣挨拶

6.麻生財務大臣とのフリーディスカッション

7.閉会

出席者

分科会長 吉 川   洋 麻生財務大臣
木原副大臣
大塚副大臣
佐藤事務次官
浅野政策評価審議官
福田主計局長
可部次長
藤井次長
茶谷次長
角田総務課長
江島主計官
安出主計官
司計課長
高橋給与共済課長
関口主計企画官
中島調査課長
八幡主計企画官
竹田大臣官房参事官
嶋田主計官
小宮主計官
泉主計官
奥主計官
阿久澤主計官
廣光主計官
岩元主計官
中山主計官
内野主計官
委   員

大宮英明

倉重篤郎

角   和 夫

竹中ナミ

田中弥生

土居丈朗

永易克典

臨時委員

板垣信幸

伊藤一郎

老川祥一

岡本圀衞

葛西敬之

加藤久和

小 林   毅

末澤豪謙

十 河 ひろ美

武田洋子

冨山和彦

南場智子

宮 武   剛


午後2時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方には、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、「我が国財政をめぐる現状等」を議題としております。また、麻生財務大臣にもお越しいただき、平成29年度予算編成等について、後ほどフリーディスカッションの場を設けたいと思います。

本日は冒頭から、木原副大臣、大塚副大臣にお越しいただいております。ご出席賜りまして、誠にありがとうございます。正式なご挨拶は、後ほど大臣がお見えになったところで、あわせていただきたいと思いますが、冒頭に一言ご挨拶いただけますでしょうか。

〔 木原副大臣 〕 この度の内閣改造において、財務副大臣に就任をいたしました衆議院議員の木原稔でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

〔 大塚副大臣 〕 同じく財務副大臣に就任いたしました大塚拓と申します。予算編成、国有財産、国際金融関係などを担当しております。後ほどまたご挨拶申し上げます。よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございます。

財務省の幹部の異動もございましたので、佐藤次官及び主計局の福田局長、可部次長、藤井次長、茶谷次長、角田総務課長、それぞれ簡単にご挨拶をいただけますでしょうか。

〔 佐藤事務次官 〕 この夏の異動で事務次官になりました佐藤でございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

〔 福田主計局長 〕 私は異動はありませんでしたが、引き続きよろしくお願いします。

〔 可部次長 〕 可部でございます。引き続きご指導よろしくお願い申し上げます。

〔 藤井次長 〕 夏の異動で主計局次長に参りました藤井でございます。よろしくお願いいたします。

〔 茶谷次長 〕 茶谷でございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。

〔 角田総務課長 〕 夏の異動で総務課長を拝命いたしました角田と申します。よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

それでは、議事に移らせていただきます。まず、「我が国財政をめぐる現状等」について、中島調査課長より説明をお願いいたします。

〔 中島調査課長 〕 調査課長の中島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私のほうから、最近の財政の状況をご説明させていただきます。

資料1の1ページをご覧ください。我が国の財政健全化目標ということで、2015年度のいわゆるPB赤字半減目標につきましては、足下、※印にありますように▲3.2%の見込みでございますので、達成すべき▲3.3%という目標は下回る見込みでございます。

それから、真ん中の2020年度のPB黒字化目標につきましては、これは消費税率引上げを延期いたしましたけれども、2020年度のPB黒字化目標は堅持してございます。この足下の見込みは、※印にありますように、国、地方をあわせて▲5.5兆円というPB赤字が残っています。GDP比にして▲1.0%。これをどう詰めていくかというのは、今後考えていかなければならないことでございます。

次、2ページにまいりまして、この6月に閣議決定いたしました「骨太2016」についてです。第3章と書いてある真ん中のところの財政健全化目標、先ほど申し上げましたように、2020年度までの黒字化目標はきちんと堅持をしております。そして、これを達成していくために、その下の点線の四角で囲ったところの目安2と3というところでございますけれども、国の一般歳出の水準は、これまでの3年間では一般歳出の総額の実質的な増加が1.6兆円程度となっていることを踏まえて、その基調を2018年度まで継続をするということが決められ、引き続きこれを守っていくということでございます。

それから、目安3、一般歳出のうちの社会保障関係費の水準、これも同様に、これまで3年間の経済再生や改革の効果とあわせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5兆円程度)となっていたことを踏まえて、その基調を2018年度まで継続をしていくということが決められておりますので、29年度の予算編成に当たっても、この目安をきちんと守っていきながら編成をしていくことになろうかと思います。

次に、資料2の1ページをご覧ください。29年度の予算編成のいわゆるシーリングでありますけれども、このように決定してございます。姿はほとんど28年度のものと同じであります。真ん中の年金・医療等のところで、上に飛び出ている「高齢化等に伴う増加額」というのが、29年度は0.64兆円ということになっております。これは先ほどの目安に照らしますと、3年間で1.5兆円程度という基調を維持するということになりますので、それを守りながら、主に年金・医療等のところを詰めていくということになろうかと思います。

それから、右上のほうに要望枠として、「新しい日本のための優先課題推進枠」というのがございます。これもその右に書いてありますように、「経済・財政再生計画」における一般歳出の水準の目安、すなわち、先ほど申し上げました3年間で1.6兆円という基調を守りながら、この優先課題推進枠も含めて、一般歳出を整えていくということになります。

次に2ページでございます。これは8月末に各省庁から要求・要望があった額を昨日発表させていただいたものであります。右下、赤い丸で囲ってあります、国債費も含めて、トータルで101兆4,707億円という要望が来てございます。

その上の赤い丸で囲ってある60兆8,415億円がそのうちの一般歳出になります。これが対前年度で右の丸で3兆128億円の増ということになってございますので、ここが先ほどの目安の3年間で1.6兆円という基調を維持するところを守らなければいけない数字になります。

次に、資料3の1ページをご覧ください。8月2日に経済対策を閣議決定いたしました。その経済対策の規模は、オレンジ色の合計欄にありますように、事業規模で28.1兆円、うち財政措置で13.5兆円、国・地方の歳出で7.5兆円であり、財政投融資で6兆円でございます。

その下の注にありますように、国・地方の7.5兆円の歳出のうち、国費は6.2兆円、地方は1.3兆円ということになりますが、国費6.2兆円のうち、28年度で追加をいたしますのが4.5兆円。これは後ほど説明いたしますけれども、一般会計と特別会計の補正予算で4.5兆円ということを決めてございます。

そして、財政投融資は28年度の追加が3.3兆円ということになってございます。

この対策の中身は、次の2ページであります。対策は大きく5本柱で、TからWまでが基本的には予算措置を伴うもの、Vが構造改革であります。

Iは一億総活躍社会の実現の加速ということで、保育・介護の受け皿整備ですとか、若者支援、社会全体の所得と消費の底上げといったようなことを盛り込んでおります。

IIは21世紀型のインフラ整備ということで、例えば大型クルーズ船受入れのための港湾整備ですとか、リニア中央新幹線の前倒しでありますとか、船舶の大型化に対応した国際戦略港湾等の整備といった未来へ向けたインフラ整備を盛り込んでございます。

IIIは基本的には中小企業・小規模事業者対策ということで、資金繰り対策ですとか、そのほか地方創生関係のものを盛り込んでございます。

IVは熊本地震や東日本大震災からの復興や安全・安心、あるいは防災対応の強化といったものを盛り込んでおります。

Vは規制改革や構造改革といったもので、働き方改革などをここに盛り込んでございます。

3ページは、その対策をつくる考え方であります。一番上の段落のところ、少子高齢化や潜在成長力の低迷といった構造要因も背景に、現状の景気は、雇用・所得環境は改善する一方で、個人消費や民間投資は力強さを欠いている。それから、新興国経済に陰りが見え、英国国民投票におけるEU離脱の選択等、世界経済の需要の低迷、成長の減速のリスクが懸念される。こういったことを背景に、この経済対策を組んだということを書いてございます。

次に資料4の1ページをご覧ください。これから提出することになります、この経済対策に伴う補正予算の形を示してございます。左側が歳出、右側が歳入です。まず一般会計で4兆円ほどの歳出を追加してございます。この財源は、まず歳出側では既定経費の減額ということで8,275億円。国債費の利払いの減でありますとか、熊本地震の復旧予備費、これは歳出の追加の中に熊本地震対応の予算を組み込んでおりますので、その見合いで予備費を減額しているということでございます。

右に行って1つ飛ばして、税外収入で2,844億円の歳入。それから、前年度、27年度の決算の剰余金受入で2,525億円。足りない分は、一番上の公債金(建設国債)2兆7,500億円で補っております。歳出の追加の中で建設国債発行対象経費が約2兆7,500億円ちょっとありますので、その見合いで建設国債を発行しているということであります。赤字国債は発行しないという形にしております。

次の2ページに行きまして、特別会計で追加をしているものが5,000億円ほどありますが、その大層はこの復興特別会計であります。復興特別会計は約5,000億円の歳出の追加、財源は同様に復興加速化・福島再生予備費の減額2,000億円、復興債での利払いが減ったもので240億円減額し、歳入のほうは一般会計から1,272億円受け入れて、3の税外収入のところと4の前年度剰余金のところを受け入れて、足らざるものを復興公債金で賄っております。復興公債も赤字国債という認識のものではありませんので、今回、補正予算において赤字国債は発行しないという姿でございます。

3から5ページは、一般会計と特別会計をあわせた4兆5,000億円の更に詳しい中身でございますので、後ほどご覧いただければと思います。

私のほうからは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明について、どなたからでもご意見、あるいはご質問がありましたら、どうぞ。岡本委員。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

今、世界同時不況というものが現実になっていく中で、経済の回復を最優先課題として、資金を投入し、全力を挙げて国でやっていこうということ、そして、それによって税収入を増やしていこうという考え方はそれなりに分かりますが、やはり、投入した資金がきっちり戻ってくるといいますか、効果が見込まれるということが必要であるわけでして、大盤振る舞いのようなことは、慎まなければならないのではないかと思います。

従いまして、入口においては厳正なチェック、出口においては効果の検証が必要であり、これについては、財務省では常にやっておられると思いますが、特に、今回の経済対策は最大規模であるだけに、是非その点について、きっちりやっていただきたいと思います。

各論として3点あります。1点目は、財投債のチェックであります。今回は財政措置で13.5兆円となっておりますが、その大部分の6兆円が財政投融資であります。これは新機軸でありますが、財投債は幾ら発行してもプライマリーバランスには反映しません。つまり、フロー面では何の問題もないように見えますが、ストック面では負債がどんどんたまっていくということですので、プライマリーバランスだけに注目しておりますと、尻抜けになりかねないわけであります。採算が合っているかどうかということについては、検証をしっかり行っていただきたい、これが1点目のお願いです。

2点目は、社会保障関係費の抑制についてです。高齢化に伴う増加額は、3年で1.5兆円程度、1年当たり5,000億円程度が目安であり、28年度は、その5,000億円の中にかなり努力しておさめられました。診療報酬や薬価の改定などのイベントが幾つかあり、そうした中で行ったということですが、29年度の6,400億円については、前回の診療報酬改定のような目玉となるイベントがないので、結構大変だと思います。やはり、粛々と減額をお願いしたいなと思います。

最後に国民への情報発信の強化ですが、この問題については、最近様々な形で取り組まれているように思います。今後も分かりやすく説明していく必要があると思いますが、参考資料1−2の2ページにある、プライマリーバランスの試算においては、6.5兆円が5.5兆円に1兆円減ったとあり、改善したような錯覚にとらわれて、皆が大したことはないと思う可能性があります。これは財政面での努力というよりも、物価の想定やテクニカルな形で算出された数値ということですので、やはり財政面では相変わらず厳しいという事実を、国民に伝えていく必要があるのではないかと思います。以上の3点です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

いかがでしょう。永易委員。

〔 永易委員 〕 質問になりますけれども、資料1の2ページ、「骨太2016」の第3章で、財政健全化目標の中の目安が1から4まで書いてございますが、例えば先ほど出てきた社会保障関係費の伸びを3年間で1.5兆円程度に押さえ込む、このような目安というのが、28年度の予算で一番効いたのかなという印象があります。やはりこのやり方というのは非常によいし、この目安というのが一番効いているのではないかという気持ちはあったのですが、今年度の骨太の方針では、その心としてはあるのでしょうが、本文にはなかったような気がしたのですが、これは私の誤解でしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 では、調査課長、お願いいたします。

〔 中島調査課長 〕 この部分につきましては、第3章の2つ目の矢印のところで、「経済・財政再生計画」における歳出・歳入両面の取組を進めるという書きぶりで、これは2015年度の時の「経済・財政再生計画」を受けているという形になってございます。確かに直接言及があるわけではありませんが、2016年度に2015年度のものを引いているという形で理解をしております。

〔 永易委員 〕 その理解でいいのですね。

〔 藤井次長 〕 「経済・財政再生計画」は、2015年に閣議決定をして、そのまま生きていますので、それをそのまま今回の閣議決定で引用をしているわけですが、引用していても、していなくても、それは生きているということで、29年度の予算編成でも同様の規律の下にやっていくというのが政府の方針でございます。

〔 永易委員 〕 ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ、宮武委員。

〔 宮武委員 〕 簡単な質問を1つお願いします。

消費税率を5%から10%に引き上げる際に、4%分は社会保障制度の安定化に使う、1%分は社会保障制度の充実に使うという約束であったわけです。それが3%引上げにとどまっている段階でございますが、その充実分については、おそらく総額で1%分、2.7兆円程度ですね。そのうちどの程度を各分野に充当されるのか。大きく言えば、子育て支援、医療、介護、年金という4分野ですが、そこにどれだけ充当されるのかということ。

それから、もう1点は、来年度予算は消費税率を上げないまま編成されるわけですが、この1%分の社会保障の充実に対して上積みをどれだけできるのか。その2点、分かれば教えてください。

〔 吉川分科会長 〕 では、事務局のどなたかお願いします。

〔 可部次長 〕 ご質問ありがとうございます。

ご指摘の通り、消費税率を5%から10%に上げることに伴いまして、トータルで消費税1%分、2.7兆円の充実を行うことが予定されております。このうち8%段階、28年度の段階では、概ね1.5兆円の社会保障の充実が行われておりまして、残り2%を上げる時に、残りの1.2兆円から概ね1.3兆円の充実を行うという設計になっております。

この中で1.5兆円でございますけれども、年金、医療、介護、そして子ども・子育てという部分につきまして引上げが行われておりまして、残りますのが1.2から1.3兆円ということになります。1つは子ども・子育てが0.1兆円、こちらにつきましては、総理のほうから消費税率の引上げが延期されたことに伴って、全てはできないと。また、赤字国債には依存しないと。しかしながら、その財源を確保しながら、できる限り対応していくという方針が示されておりますので、こちらについて、すなわち、待機児童の解消のための50万人分の受け皿の確保をしていくということになっております。

また、消費税率の引上げは来年は行われないのですが、プログラム法に基づきます社会保障の効率化によりまして、財源が生じてまいります。

最終的な整理はともかくとして、子ども・子育てのところの50万人分の受け皿については予算が確保できるのではないかということでございます。

続きまして、これはもともと社会保障の充実の中には入っていなかったのですが、昨年の秋以降、一億総活躍ということで保育士の処遇改善並びに介護人材の処遇改善につきましても実施が予定されております。

更に、年金の受給資格期間を25年から10年に短縮するということに関しては、もともとは消費税率10%への引上げとあわせてということでございましたが、やはり喫緊の課題であるということで、検討するということでございます。以上の3つについては、財源を確保しながら対応していくということについて布石が打たれているという状況にございます。例えば、今回、経済対策の中で雇用保険につきまして、アベノミクスの成果である積立金の活用の中で、国庫負担の時限的な引下げを検討するということになっております。あるいは、今回、経済対策の中で簡素な給付措置が所得の底上げという観点で前倒し支給されるということで、当初予算のフレームにすき間が出てまいります。そうしたことで財源の確保を図っていくということが考えられるところでございます。

いずれにしても、最終的には残りの部分も含めまして、予算編成過程で具体的な財源を確保し、確保できた範囲で充実は行う。その財源が確保できない部分については、消費税率の引上げが行われていないために財源が確保できないということを踏まえて、赤字国債には依存しないという対応になるということでございます。すなわち、財源とあわせて実施するという基本的な姿勢に変更がないという状況でございます。

〔 宮武委員 〕 ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 末澤委員。

〔 末澤委員 〕 1点ご質問がございます。

今の質問に一部関連しますが、参考資料1−2「中長期の経済財政に関する試算」(内閣府)の概要の2ページをご覧いただきたいのですが、こちらでは2020年度の国・地方のプライマリーバランスは、1月試算の6.5兆円の赤字から5.5兆円の赤字に改善しております。これは先ほど説明がありましたように、消費税率の引上げ延期に伴う税収減が0.3兆円あり、赤字が拡大する方向に行きますが、一方で、歳出規模の再試算によるPB改善が1.3兆円程度あり、この差額がこれに反映されているということです。その際、右側に歳出規模の再試算のイメージというグラフがございます。ここで今回の試算では、物価上昇率等の半分程度の増加に抑えられたという記載がありますが、なぜ前回は物価上昇率等に基づく増加で今回がその半分程度に抑制されたのか、そこの根拠をお伺いできればと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、お願いします。

〔 中島調査課長 〕 では、私のほうから答えさせていただきます。

資料をご覧いただきまして、確かに半分となってございます。通常は、1月の試算と7月の試算があるわけですが、1月の試算の段階ですと、そこはずっと物価上昇等で伸びていくという歳出の姿をつくってあります。ところが、7月の段階では、次の予算編成が近づいたということもあって、内閣府のほうでは翌年度に限り、今回でいうと29年度に限り物価上昇率の半分だけを織り込むという姿、逆にいうと、半分を落とした姿で内閣府は試算をしています。去年の2015年7月の段階の試算においても、同様に試算の変更を行っているということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。

〔 末澤委員 〕 分かりました。

〔 吉川分科会長 〕 板垣委員。

〔 板垣委員 〕 ありがとうございます。

資料1の2ページの、第3章の中で600兆円経済の実現と2020年度の財政健全化目標の達成の双方の実現を目指すと、こう書いてあるわけですけれども、私の感じとしては、600兆円というのはほとんど無理だろうという認識を前から持っています。また、資料1−2の中長期の経済財政に関する試算の8ページ、ベースラインケースというところをご覧ください。上から4行目で、2024年の名目GDPは581兆円と試算されております。このケースですと、達成できないということでしたね。その前の7ページの経済再生ケースで見ると、名目GDPが600兆円を超えるのは2021年度ということになっています。これは計算上の問題だろうと思いますが、成長率を2%程度と高く想定しないと達成できないという問題があります。

改めて財務省にお聞きしたいのは、このベースラインケースと経済再生ケースのどちらが、信用性が高いと考えているのか。答えにくいのかもしれないが、でも、やはりそこをはっきりしてもらわないと、この場で議論する時に、隘路に入ってしまう。基本的にどのような考え方なのかを説明していただきたいということです。

〔 吉川分科会長 〕 では、どなたか。

〔 中島調査課長 〕 私のほうから答えさせていただきます。

確かにこれは難しい問題ではあろうかと思います。ただ、600兆円経済を実現すると、目標をまず打っているというのがあります。ですので、そこはまず経済再生ケースが実現できないという前提に立つわけにはいきませんので、経済再生ケースを目指してやっていくのだと。

当然、ベースラインケースというものも念頭に置きながら考えなければいけませんが、まずは経済再生ケースを実現させていくという中でどのように財政健全化も進めていくのかということを考えていくのが、最初なのではないかと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 土居委員。

〔 土居委員 〕 今のご発言に関連しまして、確かに今のGDPの統計だと600兆円には乗らないという話がありますが、実は今年の12月に内閣府がGDPの統計の基準を改定するという作業があって、今、平成17年基準(1993SNA)でやっているわけですけれども、平成23年基準(2008SNA)に変えるということです。そうすると、特に民間投資のところ、R&Dや無形資産に対する投資が加わって、実はGDPが今の数字より上振れするのではないかという話があります。

それとともに公共投資も同じようなことがあって、そうしますと、ちょうど参考資料1−2の1ページにあるPBの対GDP比も変わる可能性があるのではないかということで、事務局におかれましては、もちろん内閣府からもいろいろ情報はあるかと思いますが、基準の改定によって、PB赤字が増える可能性があるのか、それとも減る可能性があるのか、そこをご研究いただくといいのかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 今のは、ご意見でよろしいですかね。

〔 土居委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 加藤委員、どうぞ。

〔 加藤委員 〕 簡潔に2点だけ。

1点は、資料1の2ページ、骨太2016の第3章で、今まで我々は財政健全化目標という「目標」という言葉を使っていたのですが、「目安」と「目標」はどう違うのかというのがすごく気になっております。今まではプライマリーバランスの黒字化という話をしていましたが、「目安」だと、「目安」としてということになってしまうのかなという危惧が1点。

もう一つ、実際問題として、プライマリーバランスの▲5.5兆円のところについても、600兆円という問題も確かにありますが、これを本当に改善することが果たして可能なのかという問題をやはり真剣に考えていかなければいけないのかなという気がしております。

現実の数字の問題というよりも、▲6.5兆円だろうと、▲5.5兆円だろうと、やはりプライマリーバランスの黒字化を目指すために何をするべきかという自主的な議論をするのが最初という気がしております。

2点目は、単純な私の意見、1点目は、単なる誤解であればいいのですが、「目標」と「目安」の違いは何か教えていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、1点目についてお願いします。

〔 中島調査課長 〕 もちろん「目標」と「目安」は異なるものでありますけれども、「目標」はきちんと決算ベースで守っていくということになろうかと思います。

「目安」のほうは、あくまでもリジットな「目標」を、きちんと守ろうという姿勢を示しながら、やっていく手段ということかと思っております。

これは、いずれにしても、きちんと守るように努力していくのが当然のことだろうと思っております。

〔 福田主計局長 〕 構造上、財政健全化目標というのは「目標」でありまして、それを実現するために歳出をこのような「目安」にすると、そのような構造になっているということであります。

〔 吉川分科会長 〕 他にいかがでしょうか。

では、大臣、副大臣とのフリーディスカッションに移りたいと思いますが、まずカメラが入りますので、皆様方、そのままお待ちください。

(報道カメラ 入室)

(麻生財務大臣 入室)

〔 吉川分科会長 〕 では、麻生大臣にご挨拶いただきます。

〔 麻生財務大臣 〕 吉川会長をはじめ、委員の皆様方には、常日ごろから幅広く、かつ熱心にご議論をいただき、誠にありがたく思っております。

さて、ご存じのように、6月に総理のご判断で、消費税率の引上げは延期をされておりますが、引き続き、2020年度のプライマリーバランスの黒字化目標は堅持をしてまいります。

現にこの内閣では、これまで約4年間で、国税収入は15兆円増加をいたしております。新規の国債発行額は約10兆円減額いたしております。平成27年度におけますプライマリーバランス赤字の半減目標は達成する見込みであります。このように、着実に財政の健全化は進めてきております。

また、政府として、このように財政健全化を着実に進めるだけでなく、経済再生にも最大限努力をしてきております。今般も第2次補正予算を含む経済対策を策定したところです。

他方、平成27年度の企業の内部留保というものを見ますと、先週、9月1日に公表されておりますが、この3年間で73兆4,000億円、305兆円が378兆円まで膨れているということを意味しております。

デフレ脱却のためには、企業が内部留保をため込むのではなくて、賃金、配当、設備投資など、中長期的な成長へとつながる未来への投資を増やすといったことを通じて、政府だけでなく、民間主導で経済の好循環を実現し、日本経済の成長を確かなものにしていくということが重要だと考えております。

経済再生と財政健全化を両立させていくということが重要であろう中で、この審議会におきまして、まずは足下の平成29年度の予算編成過程で、3年間で一般歳出増約1.6兆円、社会保障関係費増1.5兆円との目安等々や改革工程表に沿った歳出抑制が進みますよう、各歳出分野におけます改革の内容や、また29年度編成の方向性についても活発なご議論をよろしくお願い申し上げます。

私のほうからは以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、引き続きまして、木原副大臣、お願いいたします。

〔 木原副大臣 〕 改めまして、このたび副大臣に就任いたしました木原稔でございます。委員の皆様方、本日はご多用の中においでいただきまして、誠にありがとうございます。

今、麻生大臣からご発言もありました通り、消費税率引上げが延期された中で、2020年のプライマリーバランス黒字化目標の達成は、簡単ではないと思っております。しかしながら、財政健全化を着実に進めることができますように、本日は平成29年度予算の編成に向けて、どうぞご忌憚のないご意見を賜りますようによろしくお願い申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、続きまして、大塚副大臣、お願いいたします。

〔 大塚副大臣 〕 改めまして、財務副大臣に就任いたしました大塚拓でございます。よろしくお願いいたします。いろいろ消費税率引上げの先送りもある一方で、安全保障環境が劇的に悪化するなど、新たな財政需要というものも生じてきているという状況を考えますと、黒字化目標の達成というのは、これまで以上に気合いを入れて取り組んでいかなければいけないという状況になっていると考えております。

あわせて、単に気合いを入れ過ぎると、必要なところにも切り込み過ぎてしまって、政府の機能が果たせなくなるということになってもいけませんので、気合いを入れると同時に、知恵と工夫というものもこれまで以上に出していかなければいけないだろう、例えば教員の数がそんなに要らないだろうと単に言うだけではなくて、教員の事務負担を軽減するような支援人材の確保とパッケージで歳出改革に取り組んでいくといったような知恵の出し方も必要になってくるのではないだろうかと考えております。

そうした面におきましても、先生方のご知見、お知恵を賜りますように心からお願い申し上げまして、一言ご挨拶といたします。よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、ここで報道の方、ご退室をお願いいたします。

(報道カメラ 退室)

〔 吉川分科会長 〕 では後半、本日は大臣、副大臣とのフリーディスカッションを行いたいと思います。大変貴重な機会ですので、どなたからでもご意見、あるいはご質問をどうぞご自由にお願いいたします。

田中委員、お願いします。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。全く違うことを2点。1点は麻生大臣に質問でありまして、もう一つは、提案と質問の間のようなものであります。

1点目は、企業の内部留保に関することです。これは、この数年間、麻生大臣がずっとこの内部留保についてはおっしゃられていたと思いますけれども、実際に、では、労働分配率、あるいは未来への投資を増やすに当たって、どのような策が考えられるのか、これは企業が決めることですので、なかなか政府として介入しづらいところもあると思うのですが、その点についてお聞かせいただけたらと思います。

それから2点目なのですが、概算要求、予算の時期になりますと、他の省というのは、基本的に予算の要求額を増やしていくという力学が働きますが、その中で、この財務省の中でも財審が、抑制をしようとか、健全化をしようというのを大上段で議論できる数少ない場で、時々口の悪い人には、青年の主張と言われたりもするのですが、このような場は非常に少ないです。

もう一つが、いわゆる行政改革推進会議、ここでもいわゆる無駄の撲滅ということで議論されているのですが、ここと、もっとリンクができるのではないかと考えています。特に、春にカナダのほうに見学、勉強をさせていただいた際に、あそこでは明確な削減目標額を出して、その上でプログラムレビュー、すなわち行政事業レビューのようなものを行っているのですが、ここのリンクをもっと強くすることができないかというのが、これが2番目であります。

〔 吉川分科会長 〕 では、大臣、1点目の内部留保についてお願いいたします。

〔 麻生財務大臣 〕 内部留保の件は、過去2年間のトータルで、25年度が23兆円増、26年度が26兆円増、合計約50兆円増だったと思います。一方で、企業が設備投資に回した額は約5兆円増です。そして、マイナスに最初にしておられますので、それを差し引くと、賃金は、その2年間で3,100億円増になっていたというのが昨年度までです。この9月1日に発表されたデータを見ると、それが23兆4,900億円増、設備投資は、3年間で約8兆円程度増えてきていますね。賃金は、2兆6,000億円程度まで増えていると思いますし、労働分配率は、77、78%あったものが、今は70%切っているのではないかと思いますが、そういう形になってきているのは、企業経営者がそうしたからでしょう。政府が主導しているわけではありませんから、それを政府にしてくださいというのは、社会主義みたいにやってくださいと言っておられるのですか。

〔 田中委員 〕 いえいえ。政府として、そこに対して何かできることがあるのか、逆にそこはもうお任せするしかないのかという点であります。

〔 麻生財務大臣 〕 企業に介入するというのであれば、内部留保に課税する、そういうことを期待しておられるのですか。そこまで追い込まれないように努めるのが企業経営者の責任だと思います。企業経営者が、デフレの時には基本的には、設備投資といったものに対して臆病になっておられる。それは当然でしょう、20年前に銀行に貸し剥がされた人たちばかりしか今、いないわけですから。

〔 吉川分科会長 〕 では、倉重委員。

〔 倉重委員 〕 大臣にお聞きしたいのは、成長と税収増との関係です。大臣が先ほどおっしゃったように、アベノミクスの成果ということで、国税だけで15兆円の増収、地方税も含めるともっと増えていますけれども、これはどこと比較したのかということです。やはり一番低いところ、まさにリーマンショックと、それから、日本の経済が民主党政権で最もパフォーマンスの低い時と比較してそれだけ上がっているわけです。

その点に関して、アベノミクスの効果が果たして税収増の何割程度を占めるのか、それは先ほど言った数字の全てを占めるものかどうかは、きちんと検証されてないと思います。むしろ別のことで増えているというような試算もあると思います。ですから、そこは非常に注意しなければいけないところだという感じがしまして、その点について、大臣はどう思っているのかということをお伺いしたい。

もう一点、これから先も成長とリンクさせて税収増を考えていくというのは1つの流れだと思いますが、今後5年間で成長があまり望めない中で、2020年までにGDPを600兆円まで引き上げるということも、本当にできるのかどうかという議論も先ほどありましたが、その点についての大臣の目算をお伺いしたい。

最後に、成長と税収の関係というのは、租税弾性値という考え方がありますが、これは果たしてどの程度と見るべきなのか。先日、ある新聞で、吉川先生と竹中平蔵さんが対談されているのを読みまして、名目GDP成長率と税収の伸びの相関を示す租税弾性値について、竹中さんは3から4あるというお話ですけれども、吉川先生は1だとおっしゃっていました。随分開きがあるもので、その辺もしっかり我々は把握してないと議論ができないと思いますが、その点を大臣はどう見ておられるのか、その3点をお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 では、大臣、お願いいたします。

〔 麻生財務大臣 〕 最初に税収の比較をされるのは、一番低い時と比べているとおっしゃいましたが、安倍内閣はそこからスタートしたので、その時と比べるのは当然ではないでしょうか。安倍内閣がスタートして4年で国税が15兆円増収したという話は、事実として申し上げております。

成長の話ですが、少なくとも、過去71年間の先の戦争が終わってこの方、世界中でデフレーションによる不況というものを経験した国家はありません。日本が最初ですから、間違いなくデフレ不況というものの先端を走っているのは日本です。1995年頃から住専問題が始まり、97年には、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券が相次いで破綻しました。更に98年には、日本長期信用銀行と日本債券信用銀行の破綻もありました。

日本の金融というのは、戦後一貫してインフレの時に、金のない時に金を貸すため、土地を担保にして金貸すということをしていたわけです。ところが、何が起きたかと言えば、担保にとっていた土地が6分の1になり、株が3万8,900円つけていた状況から一挙に7,000円台、8,000円台に下落したものですから、会社は債務超過になって、金融に限らず企業は萎縮して、借入金の返済が優先順位の1番になったというのが、2000年ぐらいまでのことです。

そこからようやく立ち直ってきたという時に、リーマンショックが起き、加えてその間に、いわゆるインフラストラクチャーというものは悪という考え方が定着しましたから、その結果、日本のインフラ整備は遅れました。

どの程度遅れたか。例えば、スエズ運河は水深約20メートルになりました。本年6月にできた新たなパナマ運河も約18メートルになります。日本の大きな港でもほとんどが15メートルのはずですけどね。インフラにお金をかけなくなってしまったわけですから、結果、日本には大きな船は着かないと。一方で、今治造船が今度製造予定の船は、全長400メートルですから、戦艦大和が263メートルと比べても大きい。それほどの大きな船を使って、いわゆる20フィートのコンテナを、今まで最高が約1万3千個、これを約2万個積めるようになると。これをもう既に14隻受注しています。愛媛県の今治は、タオルが有名ですが、造船所のほうがすごいですよ。

そこで何が起きているかというのは、現場に行けば分かります。実際、600メートルのヤードを作っていて、それで船を製造していくわけです。しかし、できた船をとめる場所はない、これが日本のインフラの現実です。

したがって、今、そういったものを考える時に、我々がやるべきことが成長というのであれば、生産性を上げることが重要なわけです。やはり港湾というものは、今、釜山やシンガポールで一度おろして、区分けして日本に持ち帰るということをしており、当然その分コストが高くなる。港湾の整備をきちんとすることによって、間違いなく港湾の生産性は上がりますし、いわゆる道路等々もきちんと整備することで、港から高速道路までつながり、ひいては、日本に投資が起きる。これは1つの例ですが、そういうことだと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員、土居委員の順でお願いいたします。

〔 板垣委員 〕 2つお尋ねします。

内部留保の件については、大臣はかねがねいら立ちを覚えてらっしゃるということはよく存じていますが、それは円安政策と法人税減税、それでたまったお金を投資環境が悪いというので動けないという状況があるわけですけれども、ならばそこを崩すのは企業にお願いするだけではなくて、別の手があるのではないかと普通考えるわけですが、この政策は間違っていたのかどうか、あるいは新たな手があるのかどうか、そこをまず1つお聞きしたい。

もう一つは、600兆円のGDPを目指すということですが、私から見るとかなり大風呂敷に見えます。大臣からご覧になって、これは現実的な目標だとお考えですか。この2つをお答えください。

〔 麻生財務大臣 〕 最初の内部留保の使い方について、たまったのは円安政策の結果だと言われるのであれば、企業は少なくとも経常利益は過去最高水準です。これが政策の間違いでしょうか。

それから、600兆円というのは、少なくとも我々は、GDP500兆円と言われた時代から伸ばしていかなければならないという1つの目標として、600兆円という数字を挙げたと理解しています。1つの目標として、分かりやすい数字を掲げることは大事なことだと思います。

しかし、考えてみると、このプライマリーバランス赤字を2015年度までに半減すると言った時は、新聞には絵空事と書いてありまして、達成できると書いた新聞は少なかったと記憶していますが、しかし現実に達成できました。その意味では、そうした方向性でやっていき、経済成長を実現するというのは非常に大事なことだと思っています。

少なくとも、日本以上にデフレが進んで、デフレ不況になっている国はありません。不良資産のために随分銀行は破綻しました。そういった意味では、間違いなく地方銀行等々でも今、随分、統合、合併が進むような時代になっていると思います。いずれにしても、そういった事態というものを我々はくぐり抜けてきたのであります。ヨーロッパ諸国と比べると、日本の場合は、はるかに銀行の内容は健全になっていますし、アメリカも、リーマンショックを経験して、その点はかなり健全になったと思います。厳しい状況になっているのは、おそらく中国やヨーロッパなどということになるのだと思いますが、そういった意味では、我々としては、きちんとした金融機関というものを持ち、政権が安定し、政策というものをきちんとやれば、あとは企業の問題、やる気の問題ということに最終的にはなっていくのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、土居委員、角委員。

〔 土居委員 〕 まず1つ、大臣にお願いしたいことと、もう一点は、大臣のご見解を伺いたいということです。

経済対策に関しまして、これから国会で第2次補正予算の審議が始まると思います。その中で、先ほど、大臣のご挨拶にもありましたように、財政健全化目標は堅持するということですけれども、なかなか大きな規模の第2次補正予算ということですので、これが決して健全化目標から逸脱したものではないと。歳出規模は大きいけれども、きちんと財政健全化はやっていくということを国会のご答弁などでしっかりと国民の皆さんにご説明いただきたいなと思います。

もう一点は、第2次補正予算で、それなりに大きな規模の歳出が盛り込まれるということになったと。それでいて、この8月に各省から出てきた来年度予算の概算要求・要望額を見ますと、与党内で歳出を増やしてほしいという要求が、相当大きいものがあるなという印象を私は持っております。

ただ、第2次補正予算で予算をつけてほしいという要望がそれなりに認められたという面があると思いますので、それが来年度予算で、今年の補正予算でついているから来年度はほどほどにという感じに与党内でなるのか、それとも、補正予算は補正予算、来年度予算は来年度予算ということで、引き続き、来年度で予算をつけてほしいと与党内から圧力がかかってくるのかという、そのあたりの大臣の見通しをお伺いしたいと思います。

〔 麻生財務大臣 〕 1つ目の質問は当然であって、私どもとしてはきちんと堅持してまいりたいと思っておりますし、最初に申し上げましたように、社会保障関係費の伸びを3年間で、1.5兆円程度に抑えることができたのは、やはり各省、社会保障だけ見ましても大いに努力された結果であって、引き続き継続をしていくということが1つ。

それから、2つ目の話は、これは基本的には、平成29年度の概算要求額が101兆円という話ばかりが躍りますけれども、昨年は要求額が102兆円程度でしたが、結果として、当初予算で96.7兆円におさまっていますから、引き続きおさめる努力をしていかなければならないところなのであって、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、3年間で、一般歳出の伸びを1.6兆円程度、社会保障関係費の伸びを1.5兆円程度におさめるという「目安」を堅持したいと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 角委員。

〔 角委員 〕 ありがとうございます。民間企業が設備投資を逡巡している、あるいは賃金の上昇についても、一応大手企業は3年間、不十分とはいえ、今までにない賃上げについても、踏み込ませていただいていますが、まだ政府のご要望に十分お応えできていないというのは、非常に申し訳ないと思っています。しかし、その背景としては、やはり人口オーナス社会の中で、国内では完全雇用と言える状況であるにもかかわらず、個人消費の勢いが出てこないというような状況ですし、海外では新興国も含めまして、経済情勢が非常に混沌としているということで、民間の設備投資が少し逡巡をしているようなところがあると思います。

私どもは内需型の会社ですけれども、新興国の問題等々よりは、個人が将来不安を感じて、財政規律の問題、将来の社会保障がどうなるのかといった将来不安のために、なかなか消費をしないという中にあっても、やはり成長するためには投資が要るということで、過去にも増して投資を進めているところです。

これから消費税率を引上げていくためには民間の設備投資を継続的に増やす必要があると思いますので、例えば5年の時限措置でもよいので、サービス産業の生産性を上げるために、IT投資や耐震に対する設備投資など様々な投資を増やしていくために、中小企業も含めて背中を押すような、少しの呼び水で民間の投資が進むような政策を、打ち出していただきますと、非常にありがたいなと思います。

〔 麻生財務大臣 〕 今のお話に関しては、設備投資減税というのをやらせていただいたのですが、あまり効果はありませんでした。

したがって、今、先行きが心配だからといった話は、もういつでも先行きが心配ということで、皆リスクを取ることができないというだけの話だと思っています。

設備投資を逡巡している会社というのは、金利が安いにもかかわらず、借金をしないわけです。いつするのかといえば、金利が高くなってから借金をするという話にしか聞こえません。昔は5%だ、6%だという時に借金をして投資をしていた人が、今0コンマ何%だという時でも借入金は増やさないという話ですから。それで内部留保を、ためておられるというのは、経営者として、私は見ていて不思議だというのが正直な実感です。

ただ、今申し上げたように、周りの環境を見ますと、ロボットやコンピュータなど新しい技術がどんどん出てきて、そういったところでは、間違いなく設備投資は増えています。

どこにどのような形でお金を使っていくのかということについては、今までとは少し違ったものになってきているということは確かだと思います。ただ、民間で、政策を積極的に利用していこうという意欲があるのかというところが、正直言って、よく分からないのです。

これがいい、このようにしてもらいたいというアイデアを民間の皆さん方が、主税局なら主税局に言われる、主計局なら主計局に言われるという機会をつくらないと、なかなか情報が入ってきません。こちらも普通の話が入ってくるようにする努力を、こちらも聞く努力をしない限りは、永田町や霞が関にいたって、情報は入ってきません。

地方を歩いていると、よく分かります。地方に行って経営者の話を聞いても、永田町に行く気はありませんし、私は別に自民党に頼らなくても結構、政府にやってもらわなくて結構と思っている経営者はいっぱいいます。ですから、そういった人たちの話を直接聞かないといけない。まずは仲よくなって、それでだんだん話を聞き出すのに何回か会ってというように、設備投資とは言いませんけど、聞く側は投資が要るわけです。皆、情報を取るという努力を怠らず、ぜひそういったところで情報を仕入れてください。

〔 角委員 〕 ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 では、時間も迫ってきましたが、3名の委員の方、それぞれ簡潔にご発言いただけますか。

〔 伊藤委員 〕 簡単に申し上げます。

大臣から、経営者のリスクの取り方が、踏み込み方が足りないとお叱りを受けたので、事例で申し上げると、私どもの会社は過去最高益を15年3月期に出しております。しかし、内部留保はほとんど増えていません。それは、純利益以上に設備投資として、5年間で1兆円ほど投じているからです。ただ、その使った1兆円のうち、5,000億円ほどはM&Aなわけです。M&Aを、我々は投資だと思っています。それが将来実れば、稼ぐわけですから。ところが、M&Aは、GDPに計上されない。それが、1点目です。

2点目は、600兆円のためには我々は、もちろん努力しますと。しかしながら、製造業について私の感じを申し上げると、前年度が最高だったと思います。その理由の1つは、昨年は年間で為替120円だったわけです。今年、仮に100円から105円で推移すると、製造業においては業績が下方修正されると思います。そういった、リスクはあります。

〔 吉川分科会長 〕 老川委員。

〔 老川委員 〕 大臣のご説明、ご意見、大変私も共感しながら聞いていまして、本当にその通りだという面、多々あると思いました。

ただ、感想を申しますと、要求され、それに対して反論するだけで終わってしまうと全然進まないのではないかなと。どちらの言い分もそれぞれ正しいと思いますが、そこからこうすれば進んでいくのではないかというような知恵の出し方を、それぞれもう少し出せないものかなと。

例えば、内部留保のことで言いますと、先ほど角委員のほうから人口の話、あるいは将来不安の話がありましたが、1つはやはり企業の福祉、例えば社宅などそういった部分がここ20年ぐらいカットされて、それによって若い夫婦が、子供を1人はもうけても、2子、3子は生まれないと。やはり自分でローンを組んで、そちらのほうが最優先になってしまいますし、雇用の先行きも分からないというような状態だから、子供が生まれないと。子供が生まれないから、何とか少子化対策をということで、税金を使うということになる。例えば企業の側が、単に社内に託児所をつくるといったって、なかなかお母さん方は、赤ちゃんを連れて朝の通勤電車では来られない。それよりも、社宅をつくるまでしなくても、企業が住宅補助を支給するなど、そういった取組をする企業を励まして、税制面で何か優遇するというような総合的な対策をとれば少しずつ状況は変わるのではないかなと。これは私の全くの個人的な思いつきですけれども、例えばこのように、こうすれば進めるのではないかということを双方で考えられないだろうかというのが私の感想です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では最後に、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 春の女性公聴会では大変お世話になりました。あの時は、麻生大臣の最後のお話で明るい気持ちになって帰れたという参加者のご意見が大変多かった。特に麻生大臣になってから、意見交換会で委員と大臣が本音ベースでしゃべれるようになりました。消費税引上げ延期の際に、麻生大臣が最後の最後まで本当に頑張ってくださったというのは私たち皆見ていて、二度とこのようなことがないようにきっちりと次回こそは、というふうに皆で一丸になっています。そういった意味でも、この財審のメンバーと、大臣が常に意識をすり合わせながらやっていくためには、やはり皆会費制で飲む会というのが、おっしゃったように必要なのかなと。これは強制ではなく、必要なのではないかなと思いました。そうすることでまた飲み屋さんも元気づくかも分かりませんし、ぜひご検討くださいませ。よろしくお願いします。

〔 麻生財務大臣 〕 伊藤先生の話は、5年間で投じた1兆円のうちの50%がM&Aだという話だったのですが、これは御社に限らず様々なところでも増えていると思います。結果としてGDPに代わってGNI(Gross National Income)という概念が確実に増えてきていて、国がどうという話の前に、企業が設備投資ではなくて海外の企業を買収したことによって得た配当利益、金を貸したことによって得る金利収入、特許料収入等々の収入のほうが貿易収支よりも大きい。これが今の現実です。日本は貿易立国と言われますが、GDPに占める輸出額の割合は、ドイツのようにGDPの40%や韓国のように30%などといったことではなくて、今日本は10%少々だと思います。やはりGNI(Gross National Income)という発想がこれからの時代ではかなり増えてくるので、M&Aを含めてこういった投資が増えてくるのは当然なことであって、私どもとしては決して間違った方向だとは思っておりません。

それから、老川先生の言われた中で、様々な話がありましたが、企業福祉という点に関しては間違いなく、一度入ったらずっとその会社に奉職して退職までという発想がなくなってきた。これは、だんだんアメリカ的になってきているのかもしれませんけれども、アメリカでも、例えばこの間、ゼネラル・エレクトリックの社長になった人でGE以外に勤めた人はいないということを聞きました。アメリカでも同じですよ。様々な会社を見ていても、ずっとその会社に勤めて、父親も三菱重工にいました、祖父も三菱重工にいましたという人がつくっている三菱のタービンだから、とても値打ちがあるのだと。家業を継ぐつもりで三菱に勤めている人が、長崎に行ったらいっぱいいますから、そういったことを見ていると、日本の製造業のあり方として、きちんと蓄積していくという点があるのかなと思います。

そのような前提に立つと、住宅の補助や社宅の話が出ましたけれども、私のいた会社でも看護師だけで700から800人いまして、結婚して子供を産んでもう1回復帰する経験豊かな看護師がいっぱいますから、出勤と一緒に病院に連れてきて、会社で子供を預かる。今結構うちは看護師の数は足りているのですが、それは看護師学校を持っているせいもありますが、やはりそういった会社が行っている福祉というのはかなり大きなものがあると、私はそう思います。企業内で福祉をしっかりしているところのほうが企業に対する忠誠心や、企業と一緒になってやりますという意識は強く醸成されると思っていて、他国に比べて、製造業をやっていく時において、日本の強みとしてすごく大きいと、思っておりますので、ぜひこういった方向で進めていくべきだと考えております。

最後に、竹中委員の話ですけれども、今年4月に開催した女性公聴会では、400名超の方にお越しいただきまして、高校生に至るまで、正直驚くほどレベルが高い質問が幾つか出たのは非常に興味がありました。ぜひ、それに限らず、そのようなものをやろうという話は、日本に飲みニケーションという文化があるように、やはり1杯飲みながら出てくる。おそらく上司と一緒に飲んだり食べたり、嫌々行かされた人もいるでしょうが、へえ、うちの上司ってこんな人なんだというような話ができたりするというのは、その後の仕事にすごく有意義なものだと思っています。交際費課税含めてだと思いますが、ぜひ、こういったものは皆さん方のご理解をいただいてやらないと、これこそ皆さん楽しく内部留保を使える一番大きなネタの1つではないかなと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 大臣、どうもありがとうございました。

(麻生財務大臣 退室)

〔 吉川分科会長 〕 最後に今後の進め方として、社会保障や地方財政などの個別の歳出分野についてご議論いただき、平成29年度予算の編成に関する考え方、これを建議として取りまとめたいと考えております。どうしてもこのことに関して、ご発言したい方はいらっしゃいますか。建議を取りまとめるというのは例年通りということですので、よろしいでしょうか。ではそういう段取りで進めます。

本日の議題は終了ですが、本日欠席の神津委員より意見書をご提出いただいており、皆様方のお手元に配付してあります。ご覧いただければと思います。

本日の会議の内容につきましては、私から一元的に報道関係者の方々にお話をさせていただきます。

次回は10月4日、火曜日に開催することとしております。詳細につきましては改めて事務局よりご連絡をさせていただきます。どうもありがとうございました。

午後3時35分閉会

財務省の政策