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財政制度分科会(平成28年4月15日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成28年4月15日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成28年4月15日(金)14:00〜16:58
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題
・海外調査報告
・財政・租税教育

3.閉会

出席者

分科会長吉 川   洋坂井副大臣
大岡大臣政務官
福田主計局長
美並次長
可部次長
茶谷次長
阪田総務課長
中山調査課長
内野給与共済課長
青木法規課長
余島司計課長
片岡大臣官房参事官
宇波主計官
奥主計官
阿久澤主計官
高村主計官
彦谷主計官
堀内主計官
冨安主計官
山崎主計官
高主計官
江島主計官
廣光主計企画官
泉主計企画官
委   員

遠藤典子

大宮英明

倉重篤郎

黒川行治

神 津 里季生

竹中ナミ

田中弥生

土居丈朗

富田俊基

中空麻奈

永易克典

臨時委員

赤井伸郎

伊藤一郎

井堀利宏

老川祥一

加藤久和

佐藤主光

末澤豪謙

十 河 ひろ美

武田洋子

田近栄治

宮 武   剛


午後2時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方にはご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、ドイツ、イタリア、ギリシャとOECD、フランス、スペイン、ポルトガルの海外調査報告、海外調査に関する論点整理、そして、財政・租税教育について審議いただきます。

本日は3時間にわたる長丁場でございますので、海外調査報告についての審議を終えたところで休憩を挟みたいと考えております。ご協力よろしくお願い申し上げます。

それでは、早速議事に移らせていただきます。前回4月7日木曜日の審議に引き続いて、本日は、残りの2つのチームから報告を受けたいと思います。

まず、ドイツ、イタリア、ギリシャの海外調査報告について、中空委員、宮武委員より説明をお願いいたします。

〔 中空委員 〕 3月7日から私たちのチームは、ドイツ、イタリア、ギリシャという、財政健全化について学ぶ上でも大変重要な3国に行かせていただきました。その観点で、今日はこの国々から何を学ぶべきかということを中心に、私からはご報告させていただきます。宮武先生からは、年金や医療など、特に先生の専門分野で、私が捕捉できなかったところをつけ加えていただくという流れにしたいと思います。

では、お手元の資料1−1をお出しいただきたいと思います。順にお話をしていこうと思いますが、まず、ドイツからお話をしていきます。ドイツ、イタリア、ギリシャの3国につきましては、雑駁に言ってしまうと、ドイツは財政健全化に対して青信号と言える。イタリアに関しては、非常に努力中ですが、黄色信号がともり中。ギリシャに関しては、これも頑張ってはいますが、どうしても赤信号になっているということだと思います。ですので、頑張っているなりに、どこが頑張れていないのかというところを中心に今日はお話をします。

まずは成功している国、ドイツからお話をしていきます。1ページを開いていただきたいと思います。まず、経済状況の確認です。経済状況に関しましては、ドイツはいいですねということです。実質GDP成長率が足下で1.5%ございます。失業率も足元で5%以下までずっと改善してきていて、リーマン・ショックの後はある程度影響を受けましたが、改善傾向が続いています。

2ページに行きます。財政状況はどうかというと、ご多分に漏れず、リーマン・ショックの後は、多少やられています。2ページの緑の線が実質GDP成長率です。赤い線が財政収支対GDP比で、やはり少し落ち込んできた。しかしながら、この財政収支を改善するべく、一生懸命頑張りまして、その後を見ていただくとわかりますが、2012年以降は黒字のまま推移しているということです。債務残高対GDP比も安定的に低下していて、既に足下で同値が70.7%まで落ちている。非常に優良な財政再建ができている国ということになります。

経済も良くて、財政も改善してきているので、どのようなことをやってきたのかということに興味が湧くわけですが、ページをめくっていただいて、3ページ目で少し、金融危機後の対応を見ていこうと思います。まず始めに、ドイツはシュレーダー政権が頑張っていたので、ここで地合いができていた。そこに加えて、メルケル首相はリーマン・ショックの後、2009年7月ですが、ドイツ連邦基本法(憲法)を改正しています。この改正があって、それから、2010年6月に4年間の財政健全化策を決定、財政健全化を進めていったということです。

順調にうまくいっていますが、どこがうまくいったポイントだったのかについては、もう少し後で述べることにして、3ページの下の、ドイツが抱える課題というのをご覧いただきたいと思います。比較的、一般的な課題で、すごく深刻というわけではないようにも見えてしまいますが、少子高齢化がこれからも進むということで、この点については、ドイツは今からかなり備えをしています。これが問題である1点目。2点目はというと、大量の移民・難民が流入しているということです。これが足下では悩みの種になっています。この2点です。

さて、次に行きます。財政はどうやって健全化していったのか。私は3点ほどいい点があったと思っています。まず、その1点目でございますが、4ページです。4ページを見ていただくと、2009年7月に連邦基本法を改正したとあります。先ほどもお話をしましたが、やはり憲法改正に手をつけているというのは、例えば政治的な動きがあっても、簡単には動かしにくいということを意味しますので、これは1つ、よかった点。そこで何が決まったかというと、連邦政府と州政府の財政収支均衡を原則義務付けたということです。いわゆる、債務ブレーキルールをつくったことが大きかったです。4ページの下のほうに書きましたが、連邦政府については構造的財政収支対GDP比がマイナス0.35%以内であれば、本原則を満たすということで、現在のEUの財政協定よりも厳しいものを制度化してきました。ですので、きっちりと憲法に書きこむ形で、債務ブレーキルールをつくったのが大きかったということです。

このとき、当然ですがドイツにも政治問題がありました。4ページ右の点線枠内にあるヒアリングというところの、3つほど丸がついていますが、上から2つ目の丸に注目していただきたいと思います。キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)とドイツ社会民主党(SPD)の大連立政権でしたが、当然反発はありました。SPDのほうは、社会福祉・歳出拡大を志向する傾向にあったので、財政再建をしようという意思にはそぐわなかったわけです。それに対して、2年間は歳出増をする代わりに、その後は債務ブレーキルールをつくるということで、お互いに納得し合えたわけです。政治的にもこういう譲歩ができたということは、1つ、ドイツの知恵だったと思います。

このように憲法や債務ブレーキルールでしっかりと前提をつくったことが大きい1本目の柱です。

次のページ、5ページ目が2つ目のポイントになります。法律をつくっても、それをちゃんと履行できなければ、絵に描いた餅になってしまうため、予算編成プロセスを、ボトムアップ型からトップダウン型へ変えました。トップダウン型というのは、各省からの予算要求に先立ち、債務ブレーキルールに適合させつつ、連邦財務省が各省ごとに予算要求の上限を決定する仕組みにしたということです。徹底的に債務ブレーキルールに適合させるために、ボトムアップをやめて、予算の肥大化を抑えました。トップダウンにしたことで予算要求の上限ができたことが、2つ目のいい点だったと思います。

さて、3点目として、6ページ、7ページをご覧いただきたいと思います。まず、経済状況の見通しがかなり保守的だったということが挙げられます。連邦財務省の経済見通しが、6ページの「経済の見通しと実績」の図で御覧いただけますが、青い線が実績値です。赤い点線と緑の点線がそれぞれ2010年、2012年に目指していた実質GDP成長率ですが、それと経済成長の実績が、かなり見通しに近い値に収束していることが見ていただけると思います。もともと堅実にこのような成長の見通しをつくっていることもありまして、大きく乖離することがないという状況になっています。これは非常に良い点だと思います。

この見通しの堅実さが、7ページの、財政状況の見通しにも効いてきます。7ページの図のところをご覧いただきたいのですが、やはり安定化プログラム上の見通しよりも実績は良くなっています。目標を前倒しして収支均衡化を達成した。なぜこのようなことができるかというと、予想よりも税収が増加した分を、しっかりと債務の返済に使えたからです。それができる国ということで、この意味では大変堅実な財政健全化策が達成できたと言えます。

7ページ、右の点線枠内に、ドイツの債務に対する考え方が書いてあります。ドイツ語では債務と罪というのは同じ単語だそうで、これを考えましても、むやみやたらに債務を増やしてはいけないこと、余力があるならば減らしていこうという考え方を、見出せると思います。得てして、『アリとキリギリス』の中でキリギリスはつまらなく思えますが、このように見ると、堅実なことは、やはり良いと見えてくるわけでございます。

実際にどのようなことをしてきたのかということが、8ページ目以降にまとめてございます。メルケル政権で「財政健全化に向けた基本方針」を立てていますが、右下にある、各年の財政健全化の見込額という図を見ていただきたいと思います。何をやってきたかということに関しては、左のほうに細かく書いてありますが、イメージとして歳出抑制の割合を多くしているということを見ていただきたいと思います。歳入増加策を頑張りますと言っても、達成できないことが往々にして多い中で、必死に歳出抑制に取り組み、それを堅実にやってきたことこそ、財政健全化を成功に導きやすかった一因ではないかと考えている次第です。

それから、9ページに行きまして、社会保障改革の取組というところです。細かいところは宮武先生にお任せするとして、概要をお話させていただくと、まず、年金制度についてです。年金制度は2001年に3階建てにしました。それから2004年には、日本でいうマクロ経済スライドのイメージのようなものを導入しました。それから2007年になると、年金支給開始年齢の引上げを行ったということで、ラインナップやメニューに関しては、それほど奇異なものはなく、淡々とやっている感じはございますが、これをやり遂げてきている状況です。

それから、医療制度に関しましては、総額を管理したところが大きかったと思います。連邦補助には法定上限を設けて、総額を管理したので、医療制度に関しても、連邦補助が右肩上がりにどんどん肥大化することがなかったということです。先ほどから申し上げているとおり、トップダウンにしたり、医療制度も総額を決めてしまったり、要は肥大化しない仕組みを最初に導入してしまっているところが、ドイツの良いところだと思います。

ご参考までに10ページも見ていただきたいのですが、年金制度改革の効果として、得てして政治が入ってくると、やれここから年金を切るのはきついなどと言う人たちがたくさん出てきますが、10ページの一番下に、数式があると思います。この式が、何とドイツでは、法律に書き込まれているそうです。何かというと、人口構造が変わって、少子高齢化が進んで受益と負担のバランスに変化が生じた場合、あるいは経済が失速した場合には係数が働いて、ある程度調整が行われ、恣意性が働かない形で年金給付の額が調整されてくると、そういうスキームができていますよということです。ですので、政治的なものに左右されないという点においては、ものすごくいい仕組みではないかと思った次第です。

さて、それから11ページ、経済成長に向けた取組です。今までお話をしてきたドイツというのは、本当に頑張って財政再建をしてきましたが、このところ、ドイツも財政を使って経済を盛り上げろと、いろいろなところからプレッシャーを受けています。ドイツとしても経済成長をさせようとしている、成長戦略もつくっているということで、こちらのご紹介でございます。特に11ページの一番下、インダストリー4.0というのは、第4次産業革命と申しますが、新しい考え方でものづくりを進めていくべく努力をしていますということです。

それから、12ページ、今まで申し上げてきたとおり、特に財政再建に関してはきっちりとやってきましたので、成果が出てきましたというのがここのページに書いてございます。特に、債務残高対GDP比は、2019年には61.5%に達する見通しです。マーストリヒト条約の当該目標が60%ですから、もう目標にかなり近づくということになります。2017年予算要求の大枠では、追加支出もありますが、新規国債は発行せずに済むということです。

もう1つ、最後のところをご覧いただきたいのですが、12ページ目の真ん中の枠の3つ目の丸、2015年5月の国家改革プログラムでは、「ドイツが直面している人口動態の課題に鑑みれば、経済が成長しているときにこそ、更なる財政健全化に取り組むことが重要」だと言っています。これは、我々も本当に参考にしていきたいところだと思った次第です。

ということで、申し上げてきたとおり、ドイツはかなりトップダウンの側面がございます。例えば、あらかじめ上限を決めてしまうという手法もあって、厳しくもありますが、財政再建をきちんと勧めてこれた。それから、私はやはり保守的に、あまり大きく目標を見積もらずに堅実な策を立ててきた、この辺からドイツの財政健全化が青信号でうまくいっているというところなのではないかと思っています。

さて、次にイタリアにいきたいと思います。イタリアについては先ほども申し上げましたが、黄色信号ですね。

資料1−2の1ページですが、経済はどうかといいますと、ドイツに比べると、やはり、頑張っているわりにはそこまで良くもない。実質GDP成長率もようやく0.8%というプラス成長になってきましたという段階です。失業率に関しては12%超で、もともと労働マーケットが弱い国、雇用市場の弱い国なので、失業率についても、まだ高止まりの状態が続いています。

そういう状態は、残念ながら財政のほうにも見受けられて、2ページ目に移っていただきますが、赤い線が財政収支対GDP比を示しています。ご覧いただくと、やはり足下でまだ赤字なのですね。もともとイタリアというのは、累積債務の残高が日本よりは少ないものの、それでも債務残高対GDP比は大変大きいのですが、一方でPBは黒字化しているというポイントもあります。ですので、足下の状況を一生懸命改善していることは評価はできると思います。ただし、もともとの水準が悪かったことや、経済が依然良くないことも踏まえて、まだ道半ばという感じでございます。

この道半ばの状態ではありますが、3ページ、今まで何をしてきたかということをご覧いただくと、ここに書かれているとおりですが、これまでイタリアでは3回の財政健全化策を出しています。2011年の、7月、9月、12月と3回出ています。7月と9月はベルルスコーニ政権で出したもの。それはあまりうまくいきませんで、12月に新しいモンティ政権が厳しいものを出してきて、それでいよいよPBが黒字化したわけですが、今度は厳し過ぎたので、国民の不満が充満してしまいまして、辞任に追い込まれて、新しいレンツィ政権が経済成長と財政健全化の両立をやっていこうというところで、今、もがいている最中でございます。

問題点については下に書いてございます。

4ページに行きたいと思います。財政健全化において、イタリアは何をしてきたのかというところです。ただ、やってきた項目については、ドイツと比肩するぐらい一生懸命なことが見て取れます。4ページの、例えば1つ目、2012年4月には憲法改正を行っています。憲法改正に当たって、財源確保義務制度、Pay-As-You-Goルールも厳格化した。ですので、右肩上がりに肥大化していくような財政赤字はもうつくらないで済むということを、均衡予算原則の適用に関する法律で縛ったわけですね。財源確保義務制度といって、何か新しい目標を立てるときには財源を必ず用意することという縛りも設けて、構造的財政収支の均衡という目標に向けて財政規律を高めました。これはできてきたが、それほどうまくいっていないのが現状です。

5ページに行っていただきます。何をしてきたかというラインナップが書いてございます。ベルルスコーニ政権は、大衆に大変人気のある政権でした。では甘かったかというと、財政健全化のプログラムに関しては決して甘くはありません。見ていただくと、ベルルスコーニ政権では4年間で1,452億ユーロの健全化策を策定しています。一方、モンティ政権は救国の政権だと言われたわけですが、3年間で1,035億ユーロ、規模としては比肩するぐらい大きな財政健全化策を出してきたわけです。先ほどのドイツの例と比べていただくと、右側のグラフがまた特徴的だと思いますが、歳出抑制策よりは歳入増加策に期待を込めている面が大きいです。ですので、どうしても財政健全化策がうまくいかないと、歳入増加策のほうにウエートがかかってしまう様子は、この辺からも見てとれるかなと思います。こうなってくると、うまくいかないことも出やすく、見込み通りに健全化が進まない恐れがあるとの様子も何となくうかがえるかなと考えています。

モンティ政権は頑張りましたが、総枠としては、それほどうまくいかなかったようにも見えます。ただ、個別に見ていくと、きっちりとできているところもあったわけでございます。6ページ目に行きまして、社会保障改革です。ここは2011年の年金改革で、例えば支給開始年齢を引き上げる、それから拠出方式に変えるなどといった、我々が普通にやっていることも入れましたが、1つ注目すべきはマル2のところです。2013年以降、過去3年間の平均寿命の延びを勘案し、支給開始年齢を自動的に引き上げる制度を導入したとあります。これは、しかも、下の点線枠内のところにありますが、国会の議決や大臣の署名は不要だということでございます。ドイツの例でもありましたが、やはり政治や選挙が関与しない仕組みをいかにうまくつくるかということは、財政再建のための1つのヒントであるという気がいたします。

それから、その次に行きます。7ページです。この取組をやってきたわけですが、それほどうまくいかなかったようにも見えます。ただし、左のほうのPB対象経費の推移をご覧いただくと、かなりの歳出抑制もしてきてはいます。ですので、評価としては、全体的にはまだ道半ばですが、頑張るところは頑張ってきたという評価ができるところもある、ということです。

一方、先ほど申し上げたように、どうしても財政健全化に厳し過ぎたのでうまくいかなかったモンティ政権を学習した結果、現レンツィ政権は経済成長に向けた取組を重視した面がございます。8ページですが、経済成長策や構造改革についてはここに書かれているとおりですが、さまざま経済成長に手を打っていきましょうということを頑張ってやっているところでございます。ただ、これが目につくと、どうしてもEU委員会からの財政規律の縛りを柔軟に適用してくれという希望ばかりが目立っているイタリアに見えて、何となくだらしなさも見えます。

とは言え、一方で次の9ページを見ていただくと、財政の健全化には、それほど手綱が緩んでいないというところも見受けられます。2つご紹介したいのですが、1つは財政健全化に向けた取組の1つとして、スペンディングレビューというものをつくりました。行革の監視委員会のようなものだと思いますが、チェックをどんどんしていきましょうという、モニタリングのシステムです。

それから、その下、セーフティー条項です。これも大きいと思っています。これは我々も学べると思っていますが、財政健全化が予想どおりに進まなかった場合には、予算安定化法に付加価値税率引上げのセーフティー条項が盛り込まれているということでございます。つまり、できなかったことがあれば、自然に補填できるような仕組みをつくっているということです。ここも工夫だろうと思いました。

1ページ飛ばしまして、11ページにいきたいと思います。今後どうなっていくのかということですが、財政健全化はゆっくりと進んでいく予定でございます。ただし、もともとストックベースの債務残高が非常に多い国ですので、少々フローベースで頑張っても、財政健全化をもっとしなければ、なかなかうまくいかないという現状ではございます。ですので、頑張っているわりには、道半ばになってしまっている面は否めないというイタリアでございました。

ですので、イタリアに関しては総じて黄信号ということになるわけです。

最後にギリシャの話をしたいと思います。資料1−3の1ページを見ていただいて、ギリシャに関しては、経済状況は非常に悪いということです。実質GDP成長率もマイナスのまま、失業率もさえない状況が続いている。

2ページをご覧いただいて、財政状況に関しても、その状況を反映していて、いまだに目標に達していないというところでございます。

さて、では、何をしてきたのかということで、3ページですが、もうギリシャはご案内のとおり、デフォルトしかけている、あるいは2015年はデフォルトしたと言っても過言ではないと思いますが、3回にわたって公的支援を受けています。この公的支援を受けながら来ましたが、その間に財政健全化というのも実は一生懸命やっていました。

4ページに行きます。できたこととできなかったことがきっちりとあります。やはりドイツのように、意地でも完成形に持っていった国と、それから、できることはやるが、できなかったことは仕方がないと取り置いてしまった国との違いだと思っています。たとえば、4ページの上、公務員数の削減はきっちりと頑張りました。ところが、付加価値税率の引上げに関しては、税率は上げましたが、税率を上げても、結局税収は上がらないという状況です。つまり、構造改革をせずに、この比率だけを上げてしまったので、ちっとも財政健全化に寄与してないという話です。

それから5ページ、民営化をご覧いただくと、民営化に関しても、もともとの目標に対して94%も下回っていると。つまり、6%しかできていないという、非常に惨たんたる結果でして、基金をつくろうと思っても基金もできない、民営化もうまくいっていない。医療改革に関しては、これはやり過ぎてしまったものになります。やり過ぎた結果、医療、病院環境が悪化してしまって、そろそろこれを改善しないと、もう国民の健康に悪影響が生じてきているということで、うまくいったものといかなかったもの、いき過ぎたものと、それらが複雑にまざってしまって、結果総じてみるとうまくいっていないのがギリシャだということでございます。

6ページは、年金改革の取組について何をしてきたかということが書いてあります。ドラスティックな改革は7ページにございますので、少しご覧いただきたいと思います。例えば、年金給付額の削減をしましたということや、制度改正に関しても、年金を2階建てにする、あるいはさまざまな基金を統合するなど、一般的なラインナップはそろえてきています。他方で、例外的措置を置いてしまう、それから、きっちりやりますと言いつつも、後ずれを許容してしまうなど、やると言ったことがやれなかったり、そのような状況の結果、なかなか財政状況が好転していかないということになっているわけでございます。

最後のページです。9ページをご覧いただいて、私からは終わりにしたいと思います。足下の情勢はどうなっているのかということですが、国民が不満を持って、どんどん新しい政権を求めてきて、財政再建をさせようとしているわりにはうまくいかない。それは申し上げたように、仕組みが、ラインナップだけはきちんとできるが、それをきっちりと履行させることができていないからだと思っています。その結果、今、既に起こっている第3次支援の改革の進捗をチェック中ではありますが、その第3次支援も財政再建の進捗が芳しくないものもあり、お金がおりない可能性も出てきている状況です。したがって、ギリシャに関しては、残念ながら赤信号であったということでございます。

私からは以上で、宮武先生、すいません。残り時間よろしくお願いします。

〔 宮武委員 〕 中空委員にポイントは全ておっしゃっていただいたので、蛇足ではございますが、財政状況と同じように社会保障の状況についても、この3カ国は対照したときに非常に興味深い存在であるということは言えます。

年金制度を例にとりますと、ギリシャでは歴代の政権が自分たちの支持基盤を固めるために年金をばらまいてきた。要するに、負担と給付の均衡というものが無視をされて、政治の側は年金を「あげる」という意識になり、国民側はそれを「もらう」という意識に陥った状況であります。

逆に、ドイツのほうは、社会保険の母国らしく、負担と給付の均衡を厳密に図っていこうということでございます。先ほど、中空委員がご紹介になった、資料1−1の10ページにあるこの数式でございますが、基本的には少子高齢化に合わせて、給付水準と負担のバランスをとっていくという、日本で言えば、マクロ経済スライドと同じ考え方であります。少し異なるのは、リースター年金という公的な補助金つきの私的年金の給付を、1つ当てにした上で、公的年金の給付水準を調整するというところであります。この点について言うと、まさに時々の政治状況によって年金制度が左右されるということを防止する意義があると思います。もちろん、そういう防止策を完成させたのも、政治の力であったということが言えると思います。

イタリアについてはその中間でありまして、ギリシャと同じように、かつては夏のバカンスの時期やクリスマスの時期には、年金制度からボーナスが出るような仕組みでした。給付と負担の均衡を取り戻すために今、何とか自主的に解決しようと悪戦苦闘している最中ということであります。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、OECD、フランス、スペイン、ポルトガルの海外調査報告を赤井委員、遠藤委員より説明をお願いいたします。

〔 赤井委員 〕 では、続きまして、OECD、フランス、スペイン、ポルトガルということで、国としては、OECDはパリにありますので、フランス、スペイン、ポルトガルというところを回ってきました。

OECDでは、全体の中で日本は何が学べるのかという点を見てきました。フランス、スペイン、ポルトガル、先ほど青信号、黄色信号の話がありましたが、フランスも青信号にはなり切れていないのですが、手堅く財政再建してきていると。スペインとポルトガルに関しましても、大変な時期はありましたが、その後、財政再建が進み、ポルトガルもかなりよくなってきていると。ただ、ポルトガルは小さな国ですから、今後の経済成長や産業次第では、今後どうしていくのかという課題も残っているという状況です。

OECDとフランスに関しましては私のほうから発表させていただきまして、その後、遠藤委員からスペイン、ポルトガルに関してお話しさせていただければと思います。

それでは、資料2−1をおめくりいただきまして、まず、OECDから説明させていただきたいと思います。OECDに関しましては、さまざまな部局があって、さまざまな調査もされていますが、日本に役立つ側面ということで、ここでは2点取り上げて、特に議論した点を紹介したいと思います。1つ目が成長と財政健全化の両立についてというところでございます。成長の裏には格差の問題もありますから、そこも含めて財政健全化とともに起きる成長や格差の両立をどのように見ていくのかという問題。それから財政健全化に向けた取組をされていますが、それが実際、実効性をどう持っているのかというところについて議論してまいりました。

まず、1ページ目のところで、「経済成長と財政健全化の両立マル1」というところで、ヒアリングによれば、労働市場改革などの構造改革が経済成長と財政健全化の両立を補完する部分もあるということです。特に日本に照らし合わせてみますと、日本は健全化のためにしなければならないことがたくさんあるということで、日本の健全化パスというグラフをご覧ください。これは実際、OECDの調査の中にあるグラフで、目標をどこに置くかにもよりますが、ベースラインと比べて健全化していこうと思うと、かなりドラスチックな改革をしなければ健全化が難しいということを示しています。いろいろな議論はありますが、堅実な経済前提を置いて歳出抑制、税収増を行っていくしかないという議論になりました。

次のページ、2ページ目でございます。「経済成長と財政健全化の両立マル2」ということで、OECDでの議論の中で、成長を阻害しない形でどのように予算を割り当てていくべきかという調査分析がなされておりまして、ここにある表はそちらを示したものになります。下の表は、削減したときに経済成長がマイナスだと悪くなるし、プラスだと良いというお話。それから、歳入増加のときにマイナス、プラス、どのような効果があるのかということで、これはOECD全体の中でいろいろなデータを使って分析した結果、1つ1つ見ていくと、いい面、悪い面があるというのが見えてくるわけです。それでは日本に対してどのようなことがここから得られるのかというと、このデータの中でも日本の位置付けというのが、データの真ん中というよりは少し外れたところにあるので、この結果をすぐに日本に適用して、それぞれの細目をこれに合わせて変えていくのが望ましいというよりかは、これも1つの参考情報として、日本では全体を見通した上で、全ての項目の無駄をなくしていくという方向に持っていくしかないのではないかという議論になりました。

3ページ目を見ていただきまして、それでは、財政健全化に向けた取組としてどのようなことをすればいいのかという議論をヒアリングさせていただきましたところ、その中で、EU諸国等では憲法や基本法に健全化のルールを盛り込むというこれまでの取組がありました。その中でも特に構造的財政収支というところに着目して、これでターゲットを決めて、そこに向かっていくというような取組がなされているわけですが、実際、構造的財政収支の推計についての細かい議論もさせていただきますと、右下に書いてありますように、データや推計方法が変わることで、その時々で中身、結果が変わってくるということで、構造的財政収支というものの信頼性といいますか、健全化に向けたルールに適用させるにおいて、どのようにするのが一番効果的なのかというところに関しては、まだ問題点も残っているということです。そのようなルールを盛り込むということも大事ですが、やはり財政規律の実効性を高めて、着実に健全化を進めていくしかないのではないかという議論になりました。

4ページ目のところにポイントが書いてありますが、今お話ししましたように、成長を阻害しない形で予算の重点化を行っていくことが望ましい。加えて、公平性も重要ですが、日本の場合は、1つの項目というより、全ての項目においてそのような在り方を考えていくことが望ましいというような形になりました。

続きまして、資料2−2のフランスにまいりたいと思います。

1ページがまず経済状況に関してでございます。フランスはまさに手堅く策を打ってきたというところもありまして、リーマン・ショック後、ほかの国同様、落ち込みましたが、その落ち込み度合いは、ほかの国に比べると軽く、ここの実質GDP成長率を見ましても、約マイナス2.5%程度のところで回復をし、その後も成長を続けているということがあります。

リーマン・ショック後の経済対策はどのようにしたのかという点が2ページでございます。ここにあるように、経済活性化ということで、2008年12月に260億ユーロの経済対策を行いまして、その結果、2009年の成長率の落ち込みは、ほかの国に比べると少なく、その後、2010年においては、またプラス成長に戻った。もちろん歳出を多くしている部分がありますから、財政健全化とのバランスは重要ですが、リーマン・ショック後の対応としては、ほかの国に比べるとしっかりできたのではないかという評価だと思います。

3ページにまいりまして、財政状況でございます。財政状況はもちろん、リーマン・ショック後、またはギリシャ危機などもありましたので下がっております。その後、ドイツほど劇的ではないものの、徐々に回復をしてきておりまして、債務残高対GDP比は、逆に言うと、それほど伸びずに平行状態ですが、財政収支対GDP比や、PB対GDP比などは少し改善してきて、今後もこれを着実に減らしていくことが望ましいということになります。

それでは、財政健全化に向けてどのようなことをしてきたのか、今後どうすべきなのかというところについて、4ページからお話ししたいと思います。

国民負担率のグラフが4ページにございまして、フランスの国民負担率は、2013年で見ると、かなり高いレベルにあると。これはリーマン・ショック後、大変だからということで、国民負担率を上げてきた経緯もあるわけですが、さすがに財政健全化が重要だと国民はある程度分かっているわけです。ただ、ここまで高くなってくると、ほかの国では低いのになぜということもありますので、歳入を上げていく、国民負担率を上げる形での健全化というのは厳しくなってきているということがここで分かるかと思います。

5ページをご覧いただくと分かりますが、財政健全化に向けた改革として、この青い部分が歳入改革、赤い部分が歳出改革でして、2013年以後は主に歳出をカットする形での健全化にシフトしつつあると。ある程度、負担は許容する国民性だとヒアリングのときに聞いていましたが、さすがにもう国民負担率が高くなってきているため、今、国の歳出規模を減らしていくというところにシフトしつつあるということでございます。

その流れとしまして、6ページにありますのが歳出抑制の公約になります。2015年から17年にかけて、福祉や医療、地方などの部分も含めまして、500億ユーロの歳出抑制を行うという公約を掲げているということでございます。

それに加えて、一部、そこで得られた財源を使いまして、雇用創出のために責任・連帯協定というような形で、競争力及び雇用のための税額控除なども含めて負担を軽減するという措置も同時にとられております。

続きまして、8ページにまいります。財政運営を規律するルールということで、リーマン・ショック後、対応して財政健全化を行ってきたという議論をしました。どのようなルールがあったのかということで、そこに書いてある中でも、財政計画・管理基本法というものをつくりまして対応してきたということが1つの特徴かと思います。その中で、特に複数年財政計画法や財政高等評議会といった枠組みがつくられております。

最近の複数年財政計画法というのが9ページですが、そこを見ますと、複数年の財政収支というものを見込みまして、それに合わせる形で財政を進めていくということで、財政収支は2017年でマイナス2.8%、構造的財政収支においてはマイナス0.4%を目指しているということになります。

続きまして、10ページから社会保障制度の話ですが、社会保障制度に関しても財政が健全化していく見込みということで、医療費に関してのさまざまな取組をしております。

11ページにまいりまして、その中でも医療保険支出目標(ONDAM)というものが1つの特徴になっているかと思います。これは医療保険に対しての支出の目標を立てまして、それをできる限り守っていくことで、さまざまな仕組みをとり入れるということになっております。特に下を見ていただきますと、青い太線が実績で、薄い青色が目標ですが、2009年までは目標よりも高い実績になっていたわけです。これではだめだということで、2010年以降におきましては、医療支出をデータでモニターしていく試みを始めました。ヒアリングでも言われていましたが、電子化や情報整理がかなり進んでおりまして、どこに無駄があるのかということを徹底的に調べ上げています。さらに、目標達成が見込まれない場合には、一部保留していたものも払わないという強力な仕組みを導入しまして、医療保険の支出目標を達成しているということになります。

12ページは最近の年金制度改革ということで、これはほかの国でもよく議論されていると思いますが、支給開始年齢の引上げや保険料率の引上げなどを用いて、年金制度に関しては将来が見えるような形に改革してきているということでございます。

13ページにまいります。これまでは健全化についてでしたが、もちろん経済成長も重要だということで、経済成長に向けた取組を行っております。特に特徴的であるのが、ここに写真がある経済産業情報相の名前をとってマクロン法と呼ばれる規制改革が、ごく最近、議論の末に成立しました。それから、労働法の改正についても今、議論をしているところでございますが、もちろん、規制を変えたり、成長に向けた改革というのはなかなか難しいわけですが、新たな成長に向けて今、フランスは取り組んでいるということでございます。

それを踏まえて、14ページのところで、2015年から17年に向けて、財政収支対GDP比3%の目標を達成するためにさまざまな取組をしており、今後はこれを着実に実施できるのかということで、歳出も抑制していく予定ですので、そこが重要な鍵になってくるということでございます。

最後にポイントをまとめさせていただきます。フランスは、初めに申しましたように、リーマン・ショック後に適正な経済活性化の措置をとったという形で、それほどのマイナス成長にならず、その後プラス成長と。財政は悪くなったわけですが、その後、健全化を着実に進めてきておりまして、今後は成長と更なる健全化というところが重要になってきます。特に社会保障というのは我が国でも大きな問題になっておりますが、ONDAMと呼ばれる医療保険支出目標を立てて、その中でも情報をしっかりと整理して把握して、コストを下げていくインセンティブを埋め込むことで、この目標を達成する。特に最近6年は連続で目標を達成しているという点が日本でも学べるところではないかと。さらに、成長に向けて規制改革もいろいろと議論した上で成立して、次のステップに向かっているというところも、日本としては見習うべきではないかと。その結果として、良い方向に向かっているというのがフランスの状況でございます。

以上です。

では、続いて、遠藤委員のほうから。

〔 遠藤委員 〕 では、スペインに参ります。スペインは、ユーロ域内のGDPのシェアが10%程度の第4番目の国でございます。経済状況から見ておきたいと思いますので、資料2−3の1ページをご覧ください。

スペインの特徴としては、経済成長がここのところ非常に良くなってきておりまして、実質GDP成長率は、リーマン・ショック以降、悪くなりましたが、2014年からプラスに転じていまして、2015年には3.1%と高い伸びが見込まれております。直近のIMFの見通しでは3.2%に引き上げられましたので、アメリカよりも、もちろん日本よりも、高い成長率を記録しているということになります。失業率についても高止まりから少し下げるという状況に来ていますので、依然として高いですが、低下傾向にあるということです。長らくマイナスだった経常収支も、原油価格の下落等がありまして、2013年以降はプラスに転じています。家計を中心として個人消費と民間消費が非常に良く、内需主導型の成長をしている一方、輸出もユーロ圏外、アジアを中心に非常に伸びているということになります。8ページでまたご説明しますが、ここでは安い単位労働コストが効いてきているのではないかと思っております。

2ページを見ていただきたいのですが、資本増強プログラムというのは、リーマン・ショック以降、こちらもトロイカ体制のもとで行われるわけですが、この額が1,000億ユーロに上がりまして、この額でそのプログラムの実施がされるということになります。2014年の1月にこちらは終了しますが、その後、経済は回復基調にあるということです。

細かく見ていきますが、まだ問題点もいろいろと残っておりまして、不良債権は依然として12.7%という非常に高い水準にあります。失業率も、黄色は若年層、黒のところがトータルですが、若年層を中心に非常に高い失業率というのが問題化されているということになります。銀行の貸出残高も一応増加をしていて、残高の低下幅は縮小している。対外純債務は、経常収支の黒字化を背景にしても100%程度まで悪化していまして、このような構造問題はまだありますが、一様に経済としては良くなってきている状況があるということです。

では、財政はどうなっているのかということですが、3ページに移ります。スペインというのは非常に緩みやすい国でありまして、先ほどドイツのご説明をいただきましたが、対照的だなという印象があります。それでも、実質成長率の伸びとともに、こちらも厳しいプログラムが行われたということで、財政収支は着実に改善をしていっています。債務残高対GDP比も増加傾向にあるものの、伸びは緩やかになっているということで、財政の健全化の道もきちんととられてきているということになります。

ほかの国とも似ていますが、憲法を改正しまして、財政規律条項を追加しております。4ページに移りますが、これは皆さんもよくご存じのフランコの独裁政権、1939年から55年まで続きましたが、政権終結後2回目の憲法改正でございまして、こちらで金融市場に対する財政の信頼性を回復するための厳しいプログラムが組まれたということになります。これはフランコ独裁政権が終結の後、2回目と申し上げましたが、二大政党を含む圧倒的な多数によって、わずか2週間で改正案が可決されています。スペインの改革が成功した要因は、どうもスピードにあると思われます。

もう1つの特徴としまして、スペインは、自治州という州政府の立場というものが非常に強い国でありまして、自治州の予算の状況について国がすり合わせをしなくてはいけないとことが非常に重要になるのですが、新憲法を具体化するために財政金融安定化基本法というものが成立します。これによって、州政府も含めて、財政健全化の目標を具体化する、また、それと含めて監視機能を強化する、この2つが両立していく中で、財政健全化というものが進んでいくということになります。

具体的に年次ごとに見ていきますが、6ページですが、まず、2012年には投資の抑制や公務員賞与の停止などが行われる。2013年も同じように失業給付などの抑制。また、2014年についても同様の一般行政サービスを抑制するといった措置がとられるのですが、こちらも先ほど申し上げましたスピードです。右側のグラフを見ていただいても分かると思いますが、2012、13年に大きな改善が歳出面でも歳入面でも行われているということで、この初年度が勝負だということをスペインはかなり心がけて実施した特徴的な国であろうと思います。

社会保障改革については、年金、医療と順調的に行われています。2015年で見るとスペインは高齢化率が大体18.8%、日本が26.3%で、フランスが19%、ポルトガルが20%であるのと比べて若干若い国であるということもありまして、年金、医療の改革が進んできたということです。

もう1つ、これは絶対に忘れてはならない、8ページ、労働市場改革です。これはラホイ政権下で行われたわけですが、非常に失業率が高いということで、労働市場の改革を強力に推進する必要性が出てきたということになります。これはもちろん、低賃金にしても雇用を最優先するという目的があるわけですが、それだけではなくて、同時に解雇規制もきちんと整備をしていく、解雇の法制を積極的に整えていくということで、労働市場を流動化させていくという面でも雇用のサポートをしたということがあります。先ほど申しました単位労働コストの推移ということで、スペインは非常に低い。これが輸出拡大にもつながっているということで、厳しい状況の中でも労働市場改革、構造改革をした、これは日本も学ばなければならない重要な点であろうかと思います。

今後ですが、先ほど少し緩みやすいということを申し上げました。今の政権の状態ですが、2015年の10月あたり、総選挙が行われる直前あたりからポデモス党という政党が躍進をしていきます。ここは下の表にも書いていますが、赤字削減目標の緩和をしようというタイプの政党でございまして、ここが議会で大きなポーションをとってくると、非常に緩みがちになるという状況が1つ懸念されるということです。首相の擁立がなかなか難しくて、2016年の6月に再選挙の可能性なども指摘される中で、ポデモスが第2党などになってしまえば、財政収支が非常に問題になってくる。右下の図が、どこの政党がとったら対GDP比がどの程度改善されていくのかというシンクタンクの予想です。

そのようなところが一番の当面の課題ですが、経済も成長して、財政も改善して、良い状況になってきている一方で、2015年、16年は個人消費税の減税などもあるので、当面は景気改革の改善によって財政が改善してきたいい路線をもっと維持していく、財政改善の手を緩めないということが重要になってきていると思われます。ポイントは今申し上げたとおりでございます。

では、次、ポルトガルに移ってまいります。

ポルトガルはスペインに比べまして非常に小国でありながら、ギリシャに比べ真面目に財政再建をやってきた国でございます。資料2−4の1ページの経済状況を見ていただきたいのですが、失業率も少し低下傾向にあります。プライマリーバランスもプラスに転じておりますし、このところは実質GDP成長率も非常に伸びている。主にポルトガルの輸出の仕向け先はスペインでございますので、スペインの景気の良さにつられてポルトガルも改善してきているという状況にあります。

2ページを見ていただきますと、ここでも生産性の問題が出てきていまして、依然として極めてポルトガルは低いという、赤井委員もおっしゃられたような経済的な構造問題を引きずっているというところがどうしてもあります。

同じくスペインと少し似ているのですが、不良債権の問題というものは依然としてありまして、銀行の低い利益率などを背景として、不良債権の割合が依然として高い水準にあります。そうすると、貸出金利の高止まりもそれに引き連れて起きてくるということで、スペインと同様、こちらが懸念の内容になってきているということになります。ただ、780億ユーロの融資をプログラムから受けているわけですが、ここを何とか健全化のほうに向けていくということで、3ページ、財政のほうを見ていただきますと、先ほど申し上げましたようにプライマリーバランスは改善をしてプラスに転じていますし、PB対GDP比も、リーマン・ショック以降は大きく改善を見ているということです。債務残高対GDP比は130%と依然として高い水準にありますが、近年は横ばいになってきているということです。

2011年に総選挙が行われ、財政再建のプログラムが組まれます。3ページの下に書いてありますが、ソクラテス政権ができた時に、これは挙国一致体制で乗り切るということで、野党の社会民主党と一緒に、経済成長プログラムに対しては同意するという署名をとっています。ですので、日本にとってみると非常にうらやましいなと思えるところですが、同じく厳しい歳出カット、これはもう極めて厳しい内容が組まれるのですが、このプログラムにポルトガルは取り組んでいくということになります。

これによって、財政収支というものは大きく改善していったわけですが、財政収支対GDP比は、マイナス11.2%から、結果的にマイナス4.5%、2014年までに大きく改善をしています。特に歳出面60%、歳入面は40%の割合で実施しているということで、2016年度の今後の予算ですが、財政収支対GDP比はマイナス2.2%と目標は達成できる、それで債務残高対GDP比も減少する見込みだということでございます。人件費の削減の取りやめや所得付加税の廃止などをすることによって、経済も少し回復基調に乗せたいというものが今のポルトガルの状況でございます。

こちらも財政運営ルールが厳しく、予算管理法というものが改正されまして、こちらも地方政府、政府機関なども広く対象に歳出の管理が行われているということになります。

社会保障関係の取組につきましては、7ページにプログラムを載せております。こちらは支給額の調整ということで、年金のところに触れたいのですが、こちらは参考資料2−4の6ページを見ていただくとお分かりいただけると思いますが、こちらのサステナビリティファクターというものを導入しています。平均寿命の伸びに応じて支給額を調整するというプログラムでございます。こちらはいろいろな計算方法に変更していて調整幅を拡大する中で、繰上げ受給の場合のみを対象とするよう変更するなど、まさしく文字通りのサステナビリティが担保できる制度に年金も変えていくという制度改革を断行したということが言えます。

今後ですが、国家改革プログラムということで、2020年に向かっては、構造改革に手をつけていこうとしています。ポルトガル経済というのは、スペインやほかのEU諸国に比べて脆弱であって、観光産業などに依存している局面が多いのですが、ここを何とか製造業などの付加価値の高い産業種に振り向けていこうということで努力をしていきたいという構えです。

ポルトガルがスペインと違って、1つ良いのは政権が非常に安定していたこと、第2党も同じような政治スタンスをとっているということで、安定的に財政再建について、長期的な政治リスクは極めて低かったところが、ポルトガルについては非常にポジティブに見ることができるのではないかと思っております。

10ページに今後の見通しなどを載せております。

最後のページに、ポイントを整理させていただいておりますが、ポルトガルは非常に極めて真面目に、財政収支の改善に取り組んできて、PBはプラスに転じたということで、政治リスクが低かった中で、着実に実施をしてきた。ただし、経済の構造改革が喫緊の課題であって、そこをプラスの転換にすることによって、もっと財政基盤を整えていこうという状況にあるということでございます。

私のほうは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関して、ご意見、ご質問等ありましたら、どなたからでもお願いいたします。また、いつものように名札を立てていただけると助かります。

加藤委員。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。非常に勉強になりました。

3点ほど教えていただきたいのですが、1点目はイタリアに関して、イタリアは、PBは黒字だが、財政収支は、まだいま一つということで、結局金利支払いが重荷になっているのかなということだと思います。例えば、日本の場合には、PBを前提としていますが、こういった形で、金利の支払いが重くなることについて、どのように考えたらいいのかというのが1点。

それから、年金改革の中で、幾つかの国で、非常にシステマティックな仕組みを導入していると。これは、両チームの方々に教えていただければと思うのですが、スウェーデンでもそうだと思いますが、システマティックなものを入れることは、非常に改革にとっては良いだろうと思います。一方で、政治的な問題を除いて、システマティックに年金改革が行える仕組みを導入するときの軋轢といったものが果たしてあったのかどうか、分かれば教えていただきたい。

最後に、ドイツとフランスで、両方とも医療支出にキャップを乗せていると言いますか、ある程度支出のキャップの目標を出されているということですが、例えば、日本でこれをやるとすると、利益集団との関係があります。日本でも、一時そういったことが議論されていたわけですが、これに対して、何らかの反対、批判といったものがあったのか、3点について教えていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 これは、どうでしょう。最初の2点が中空委員、3点目が宮武委員でしょうか。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。1つ目の、イタリアの利払いが大きくなっているということは、まさにそのとおりでございまして、本来対GDP比の4%分の黒字がちゃんと利払い用に積めれば問題はないのですが、そこまで積む余裕がないとイタリアの人たちは言っておりまして、今のところ、3%積めるか積めないか程度だそうです。そうすると、金利が上がれば上がるほどギャップができていくわけで、そういった意味では、利払い費の増大が重しになっている。ただ、それ以上、分かっているものの積めないという実情も言っておられました。ですので、日本もいずれ同じことが起きる可能性はあるかなと思っています。

2つ目にいただきましたのが、政治的な反対もあろうに、どうやってシステマティックに入れ込めたのかという話だったと思いますが、その点については、我々も再三質問をしました。何か反対はなかったのかとお聞きしたのですが、その鍵となる答えは“戦略”だったと思います。財政再建に向かいたい派閥、そうでない派閥があるとすると、財政再建へ向かう派の人たちは将来を見据えて、例えば、2年後にはこうしようと目標を置く。その代わり、手前ではあなたの言うとおりにしてあげるよということを交渉材料にして財政再建への賛成を取り込んでいく。それから、少子高齢化については、非常に大きく問題意識を取り上げていて、経済の見通しについても極めて堅実に、私たちから見れば比較的悲観的にも見える実際的な予測を立てるものですから、どれだけ経済にウエートをつけなければならないと言っていても、数字だけ見てしまうとネガティブなほうに引っ張られる傾向があったようでございます。ですので、堅実に見通しを出してきたから結果的に上手くいった面もあるという話だったのです。

その後、でき上がった後に、文句は出ないのかという質問を我々もしましたが、それは出ない、出たことがないというお話であったと認識しています。

宮武先生、次をお願いします。

〔 宮武委員 〕 例えば、ドイツは年金制度について、法律に数式を入れるところまでシステマティックにやっているわけですが、なかなか現実は難しくて、2014年の改革では45年間ずっと働いて、保険料を払ってきた人たちは非常に苦労された方だということで、特例で63歳支給を認めるということがやはり起こっています。それは、当時の社会保障担当の大臣がSPDの出身で、いわば労働界に対する一種の恩恵を与えることが背景にあったと聞きました。

ギリシャのような国では、社会保障制度が未整備なものですから、年金そのものが、まさに福祉でありまして、例えば、未婚の女性が親の年金を引き継ぐことができるという慣例もありました。その制度は廃止されましたが、なぜそのようなことをしたのかというと、介護の制度もないものですから、大家族の中で、1人嫁に行かなかった女性は親の面倒を見るという南ヨーロッパの古い慣習があって、それが土台にあったと聞きました。現実にはシステマティックにすることは非常に難しいと感じました。

また、ドイツについて言うと、病院団体と、保険者の側が協定を結ぶ、それから、いわゆる日本でいう診療所のレベルで言いますと、開業医の先生は全員が医師会に入っていますので、医師会がいわば価格交渉権を持っておりますので、そこと保険者の団体で協定を結ぶわけです。

かつては、途中で予算枠をオーバーしたりするとどうするのかという議論があって、それは結局、地域ごとに協定を結んだ病院や医師会が、その分は被らなきゃいけないという運営方法をとっておりました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、続いて、神津委員、佐藤委員、永易委員の順でお願いします。

〔 神津委員 〕 ありがとうございます。それぞれ大変興味深いお話をいただいたと思います。

感想と質問です。感想ということで申し上げると、財政の問題は政治にどうしても大きく左右され、どこの国でも政治はどうしても人気取りに走りがちなところがある。それを抑制する方法として、憲法改正といった歯止めをかけるいろいろな仕組みをしっかり構築していることや、政治は政治で、与野党の立場を超えて合意形成を図るといったことにも、少なからず取り組み、それが功を奏している事例を聞けたかと思います。

質問に関わるところで、そのような仕組みについて、私も前に申し述べたことがありますが、日本の場合、補正予算編成が財政規律の抜け穴みたいになってしまっている。補正という仕組みが、それぞれの国でどうなのかにもよりますが、何かヒントになるようなことが、今回の海外調査であったかお伺いしたいと思います。

それから、合意形成について、スペインの資料2−3の3ページ、4ページでは、与野党で憲法改正が非常に短期間の間に実現できたということが示されていますが、3ページの下の表と合わせて考えますと、これは社会労働者党政権の時に、これが合意されたものの、その後の解散総選挙で政権が変わっているという事実を踏まえた場合、やはり国民にとっては、受けが悪かったものとも推測されます。そのことが、もしかしたら今のスペインの混迷にもつながっているとも思われ、その点についてもご認識をお伺いしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、補正については2つのチームがあるわけですが、まず、赤井委員、どうぞ。

〔 赤井委員 〕 フランスで、その議論をした時に、日本に比べると補正というのはほとんどなくて、修正予算というのはありますが、予算の中で修正をして、新たな予算を組み替えて行うのはあるが、予算額を増やすというのは基本的にないということです。要するに、バジェットはハードで、日本の場合は、後で変えてしまうのでソフトというイメージであるかと思いました。

〔 中空委員 〕 先ほど少しだけお話をしましたが、ドイツに関しましては、トップダウンという予算編成プロセスもありました。あと、構造的財政収支という目標値があるということもありまして、その辺は、どんどんのべつ幕なしに肥大化していく要求をシャットダウンするものとしてワークしていると見ていただければいいと思っています。私もそのように感じました。

あと、私が行かせていただいた欧州圏、ユーロ圏につきましては、これは私見ですが、やはりEU委員会の目も光っているので、財政規律の縛りが必ずあることも財政健全化には効いているかなと感じました。

私からは以上です。

〔 吉川分科会長 〕 あと、スペインについては遠藤委員、お願いします。

〔 遠藤委員 〕 神津委員のご指摘のとおり、憲法改正を含めて、かなり厳しい財政プログラムを引いたということで、国民の間では、それでも下げ止まらない高い失業率を背景に不満が高まっていて、その結果として、総選挙の結果になったという側面は否めないと思っております。ポデモス党というところが非常にウォッチングされなければならない勢力でして、ここが票をとっていくとスペインの財政健全化に、それこそあまりよろしくない状況を与えてしまうのではないかと。そういう意味では政治リスクを帯びていると言えると思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 海外調査、お疲れさまでした。

さて、ドイツについて、まず2つお伺いしたいのですが、財政運営を規律するルールということで、資料1−1の5ページと6ページのところに、まず第一にトップダウンにしたということですが、これは具体的にはどのような形でのトップダウンなのか。よくボトムアップとトップダウンの違いは上から決める、下から決めるだけではなくて、枠予算か個別査定かという問題があると思うのですが、つまりトップダウンにすることによって、ある種、各省庁については、枠予算みたいなことをやっているのか、あるいは、そうではなくて、あくまで一定の審査はするがトップダウンなのかという点はどうなっていたのかなと。

6ページのところで、堅実な経済成長を前提にとはどのようにしているのかと思って、13ページですが、まとめのほうに客観性を担保するために、複数の機関の見通しを織り込んでということですが、具体的にこれは客観性を担保するなど堅実な予算の見通しをするためには、どのような仕組みをつくっているのか。英国の場合、前回、私が紹介させていただいたようにOBRのような独立予算機関を持っていますが、ただ、ドイツは違うと思いますが、これはどういうやり方で見通しの堅実性を担保しているのかというのが伺いたかったこと。

それから、非常に我々にとって興味深いなと思ったのは、イタリアの場合の、先ほどの資料1−2の8ページにあるセーフティー条項や、フランスもさりげなく資料2−2の8ページに書いていますが、複数年財政計画法のところに是正措置というのがあって、つまり計画から外れたときにどうするかということを予め決めていると。イタリアは真面目に付加価値税の引上げという形でやり、フランスは曖昧ですが、でも必ず何らかの是正措置をとるということを明確にしているのは、非常に日本にとってみても参考になることだとという気がしました。

もう1つ、これも分かっていたら教えていただきたいのが、この間行ったアイルランドとイギリスもそうだったし、ドイツもそうですが、どちらかというと財政再建が歳出サイドのほうにあって、イタリアは、最初は歳入サイドから始まって、フランスも途中から歳出をカットするようになっていますが、当初は税収の歳入改革のほうを進めているということでした。歳出改革に比重を置くか、歳入改革に比重を置くかと、よくこれで財政再建の成功の確率が違うということを言いますが、そこの抱えている人口問題や日本と違って多分人口がまだ若いので、比較的カットする対象が公務員の人件費だったり、現役の社会保障給付だったりというところで、高齢者向けのものをとる、年金の支給開始年齢を引き上げるというのは長期的な措置としては分かりますが、即効性のある歳出削減として、もし歳出改革をやったドイツは何が成功要因で、逆に、フランスやイタリアはなぜ歳入改革から入らなければいけなかったのか。特に、フランスは多分もともと国民負担率が高い国なので、なかなか厳しかっただろうなと思うので、その辺の内訳の要因が分かれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、これもドイツの中空委員から。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。

まず、1つ目にいただきました、ドイツのトップダウンの予算編成についてなんですが、これは枠が決まっているということでございます。枠を決めて、中の入り繰りに関しては、比較的それぞれの省庁に裁量があるということでした。ですので、枠だけ決めていると見ていただければと思います。

2つ目にいただきましたご質問ですが、私が先ほど述べました、どのように堅実に経済見通しを立てているのかですが、見通しに関しては、1月と春と秋の3回行われているということで、春と秋については、経済エネルギー省が中心となって、財務省、ドイツ連邦銀行、連邦統計局など関係機関が集まって見通しを作成する。作成に当たっては、欧州委員会やIMF、OECD、主要な経済研究所が公表する合同経済予測などの見通しと比較して、違いを分析する。こういったさまざまな意見、見解をすり合わせた上での連邦政府の1月の経済見通しというところに持っていくので、あまり突飛なもの、期待が高まっているものは出ないという話でございます。

3つ目は、歳出と歳入のどちらに傾向があるのかということですが、これは本当に私もずっと考えていることでして、ドイツでは、歳出を一生懸命やりましたと。だから、うまく行っているという言い方をしたと思います。歳入に期待するときというのは、人口構造でこれからの徴税率が上がると見込まれるからということもあると思いますし、産業の若さもあると思いますが、一方で、財政再建に対しての確度というと、新しく徴収するよりは、今ある既存の歳出を減らしていったほうが確度は高いかと思いますので、その確度の問題なのかなと。

ですから、イタリアや、ギリシャもそうですが、どうしても歳入策に依存する部分が増えていると思います。実際のメニューをつくるときに、どちらに偏っているのが良いかということは、私はあまりないと思っていますが、でも、実際にどちらで功を奏してきたかというと、基本的には、どうしても歳出面での改革ができないので、あるいはコンセンサスもつくれなかったというさまざまな理由があると思いますが、歳出面では功を奏さなかった。結果的に、わずかでも改革ができた歳入のほうで結果が出てきたと考えられると思っています。

ですので、そのときの立ち位置の違いが比較的大きく影響したのではないかと私は思っています。ほかの方は違う意見があるかもしれないので、追加があればよろしくお願いします。

〔 吉川分科会長 〕 では、フランスに行かれた赤井委員。

〔 赤井委員 〕 フランスに関しては、主に資料2−2の5ページのところを見られているかと思います。まず、歳入改革を行って、それから歳出改革を行ったということで、歳入改革から手をつけることができたというところに関しては、下に項目が書かれていますが、資産所得や富裕税など、ある程度、富裕層に向けた改革も含めながら、全体としてはどうしてできたのかというところもヒアリングしますと、それは、その人が思っていただけかもしれませんが、フランス人の中では財政危機の時にはある程度負担しないといけないという意識があって、既に高いが、もう少しぐらい負担できるだろうというのが、しばらくはあったと。

ただ、2年ほど続けてみると、それが限界に来たということで歳出のほうに向かっていると。また、理解が進んだ1つの例が、2014年からは、そこにあるように地方向け補助金削減というところが書かれていますが、地方もこれまで伸びていましたが、その後は横ばいになって、地方の伸びも抑えながら削減、地方での理解が歳出のほうで進んだという点が、歳出改革ができた理由と。

もう1つは、初めに加藤委員が医療のキャップの話もされていましたが、ONDAMを導入して、医療費にキャップをしたことと、その中では政治的ないろいろな議論があって、日本同様反対も多いわけですが、一方で、EUにおいては、製薬業界はグローバルに全体を見ているので、一国での政治的なところにそれほど力を入れずに、製薬業界のほうでは薬価の引下げには割と好意的に受け入れることもあって、そちらのほうでの削減も進みながら、医療支出も抑えることができていることが、1つのここの理由になっているのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。それでは、永易委員、お願いいたします。

〔 永易委員 〕 いろんなご報告ありがとうございます。大変参考になりました。この会でも議論していて、感度がいまいちだったところが、相当クリアになってきたかなという意味でも感謝申し上げます。

私どもは神津委員が言われたとおり、日本の今の財政、ないしは財政再建への道というのは、この2、3年、かなり進歩したなという印象を持っています。工程表や歳出の目安がこの2年ぐらいは結構機能していて、トータルとしては進歩したなということですが、毎年、巨大な補正予算が出てくる。かつ、今回はもう早々とそのような議論が出ていますよね。おそらく客観で様子を見ると、相当大きなものがまた近々出てくるのではないか。消費税の問題もしかりという循環になっていると考えますと、今日、ご報告があったところというのは、憲法から始まってさまざまな法規制があって、そういうものを守る仕組みはもうでき上がっているのだと思います。

日本はそれができていない。ただ、そういうものをでき上がらせるためには、そう簡単ではないと。憲法の問題や法律の問題になりますと、かなり遠いかなという気がします。そうは言っても、補正予算を何とか仕組みとして、多少なりともガードをかけると。今だと正直言って、何の議論もされず、景気対策という形だけで対応している。そういうものに対して、何らか歯止めになる仕組みをつくれないのか。もちろん憲法や法律になると、民度の問題もありますよね。ドイツは、おそらく財政に対する民度がかなり高いだろうと思いますし、南欧の諸国は非常に、強烈な手痛い目に遭っていますよね。そのようなことがあれば、そのようなことができるのかもしれませんが、日本の今の状態を考えますと、そういうリジットな仕組みが実現するとは思えない。

そのような観点からいって、さっきもご質問があって、重複して恐縮ですが、何か日本としてもできそうなものをアイデアとして得られたでしょうかという質問をしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 補正に関してということですね。遠藤さん、何かおっしゃりたいという感じですが。

〔 遠藤委員 〕 大変難しい問題でございまして、私が発表しました南欧は、EUから、これだけプログラムのお金を1,000億ユーロ、780億ユーロと受けていて、国際市場の中で、極めて厳しい状況にさらされて、致し方なくこういうことを作業しなくてはならなかったという局面が一番大きかったのだと思います。

ただ、1つだけ、ポルトガルでいうと、現地に行ってすごく実感をしましたのは、ポルトガルの人というのは、昔の話をするとものすごく喜ぶんです。昔のプライドがポルトガル人にはあって、しかも1755年にリスボンの大地震が起きていて、全く更地になってきたところからポンバル侯爵が全部再建していく。そのような強いリーダーシップに対する信頼というものが、どちらかというと、ポルトガルはあるなという印象を現地に行ってみて初めて理解しました。

そのように考えると日本の政治への信頼感があるかというと、そこまでのところがないだろうと。システムを入れていくためには憲法をまた変えていかなくてはならないということになると、難易度が上がる。永易委員のご提言にきちんとした答えになっていないですが、ただ、1つ私は財政の改善ではないですが、スペインのところで、極めて厳しい状況の中でも労働市場の改革を行ったところは非常にポジティブに評価すべきだと思っております。失業率が高いという状況もありますが、解雇規制のようなものを緩和しているという構造改革のところがきちんと両立されていないと、痛みを伴い過ぎることばかり言うことが難しく、そのようになってしまう点もあると。

ですので、なかなか難しいというのがお答えでございます。

〔 吉川分科会長 〕 永易委員がおっしゃった補正で言えば、1つは補正予算が確かに日本はあるわけですが、加えて、今、政府全体で国際的なコミットメントにもなっていると思いますが、2020年度のPB黒字化という大目標があるわけですよね。2020年度PB黒字化は、本来の意味からすれば、日本の財政規律をかなり縛るルールになるわけで、当然、それに向けての財政運営も大目標と本来はコンシステントでなければ当然おかしいことになるわけですが。

〔 永易委員 〕 おっしゃるとおり。

〔 吉川分科会長 〕 それが建前論に終わってはいけないというのが、おそらく委員のお考えだと思いますが、私も大目標との関係がどうなるかというのは、本来もっとシリアスに考えられるべきだと思います。それはそれとして、どうでしょう。井堀委員、末澤委員の順でお願いします。

〔 井堀委員 〕 どうもご苦労さまです。

まずOECDについて、資料2−1の4ページで、日本を念頭に置いて、コメントのところで、労働市場改革などの構造改革が経済成長と財政健全化にプラスだというのは、定性的には分かります。ただ、今出てきているヨーロッパのような失業率がかなり高い国とは違って、日本の場合は今3%ですから、量的に日本のこの深刻な財政状況を健全化するのに、どの程度これが効くのかということに関して、これが出てきたということは、何かOECDのほうで推計をしたのかどうか、そのあたり何かあればお伺いしたいというのが1点です。

それから2点目はドイツに関してです。ドイツの安定化のプログラムが幾つか出てきて、直近で資料1−1の12ページの2015年4月の安定化プログラムが今後の見通しということですが、この2015年の安定化プログラムが、ここですと2019年までの数字が出ていますが、数年間の財政運営をどの程度縛るものなのか、単なる予測なのか、あるいは数年間の予算を縛るようなものかどうか、あるいはこの安定化プログラムというのが、7ページには2010年と2012年も出てくるのですが、これは毎年つくっているのか、あるいは数年に1回つくって、毎年の予算編成とは違った目的を持っているものなのか、この安定化プログラムの意味について教えていただければと思います。

以上2点です。

〔 吉川分科会長 〕 では、お願いします。

〔 赤井委員 〕 OECDに関して、資料2−1の4ページのところに少し書いておりますが、もちろん日本だけを目標に分析しているわけではないので、OECDの中でいろいろな国のデータから分析をすれば、労働市場改革というものが効果を与えているケースが多いということを議論はしました。しかし、日本においてどうかというのは、先方も日本の詳しいことをあまりご存じないところもあると思いますので、その程度の議論ということで、「など」になっていますので、ほかにも規制改革、より日本では何なのかというのを、そこも参考にしながら考えていかなければいけないという感じだと思います。

〔 中空委員 〕 ドイツについてですが、安定化プログラムというのは毎年つくられるものでございます。かつ、これはモニタリングされる、EU委員会などでもチェックされるものですので、単なる予測という以上にドイツが目標にするだけですが、一応きちんとした目標として縛られていくものと見ていただければと思います。

あと、ドイツは自分で律するようなところがございまして、つい最近、ロイターの記事に、社会保障支出が急ピッチでドイツは膨らむという記事も出ています。そういうことを言っている理由は、少子高齢化が本格的に始まってしまうと、ドイツの財政黒字のサステーナビリティーは途絶えてしまうと、それは大変問題だとドイツ自身が深く考えている結果、それを警鐘する意味でも、ドイツの社会保障支出が急ピッチで膨らむことに対して懸念しているということです。それをしっかりと発信することによって、国民で意識を共有できる面もあろうかと思っています。ご質問いただいた件に関しましては、毎年更新される目標値で、それをきっちりモニタリングしているということでございます。

以上です。

〔 遠藤委員 〕 1点だけ、OECDの中で生産性の議論が多く出てきて、先進国共通の問題なのかもしれないですが、潜在成長率も含めて低いという問題意識は共有できたと思っています。個人的な受け止め方とすると、完全雇用状態に近づいている今、日本だからこそ労働市場の改革ができるのではないかと、そういう構造改革の手を緩めてはいけないのだというメッセージに受け取らせていただいております。

〔 吉川分科会長 〕 はい。では、末澤委員。

〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございました。私どものチームも、前回、米国とカナダについて報告させていただいたのですが、今回と前回の両方を見ますと、財政健全化に成功、ないし成功しつつある国は、どちらかというと、財政健全化について超党派の合意がとれて、それに対する国民の支持があると。一方で、ギリシャのようにそこがうまくいかなかったところは、どうも赤信号のような気がしまして、そういう意味ではなかなか我が国も厳しいなという感じはしました。ただ、そのヒントということで、先ほども同じような質問があったのですが、OECDに関する資料2−1の2ページに経済成長と財政健全化の両立という欄がありまして、その下に各歳出項目の削減による影響と、あと各収入項目の増加による影響という表がありまして、これは多分マイナスとプラスという意味ですよね。ちなみに私のほうで、マイナスをマイナス1点、プラスをプラス1点ということで採点すると、歳出項目の削減は年金と補助金の削減がいずれもプラス4点で、逆に右側の収入項目で見ると、その他資産課税がプラス3点という感じになりまして、これを見ると、年金と補助金の支出削減及びその他資産課税をすれば財政健全化に一番効果があるようにも見えます。ただ、上を見るとそれは国によって違いますよと、これはあくまで平均なのでということですが、日本の場合、この中でどれをやれば、より財政健全化に効果があるかというような、そういうディスカッションが行われたのか、なかったのか、ないしはご説明を聞かれていて、いや、これがいいのではないかというようなアイデアといいますか、リコメンドがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

〔 赤井委員 〕 特に日本はという話はせずに、このまま日本でこのようなことを、ここに書いてあることをそのまますればいいと思いますかという質問はしましたが、これは全体の平均であるので、これが全て、そのままやれば各国で財政健全化ができるわけではありませんというような議論はさせていただきました。それでは、日本はどうすればいいかというところに関しては、明確な結論は出ていないという感じであります。それは私たちで考えないといけないということで、こちらの資料2−1の1ページにあるように健全化しなければならない幅が日本はものすごく多いですので、そのどれというよりかは、それぞれの中での無駄を、全ての項目において減らしていかなければならないというところが、訪問させていただいたメンバーの中での同意だったということです。

〔 吉川分科会長 〕 では続いて、倉重委員、老川委員の順で。

〔 倉重委員 〕 まともな質問が続いたので、ちょっと変な質問を3つばかりさせてもらいます。

これを全て見ると、やはりドイツが、我々が一番学ぶべきところだと思います。何といっても経済の規模や国民性や戦後の立ち直り方など、いろいろな面で似ていますよね。ただ、考えてみると、財政と原発に対する大綱だけは、日本とドイツは少し離れているというところで、私は不思議に思うのですが、日本はもう少し財政の面で、ドイツをなぜ学べないのか。それで何が悪いのかと。債務が罪という言葉と一緒だと、今日の話で初めて知りましたが、そのような1つのモラル、倫理、国民意識、いろいろなことがあると思いますが、率直に今回お感じになったこととして、うまくいかないのはどこに原因があるのかと。要するに政治なのか、それとも、官僚組織なのか、それともやはり国民なのかと、非常に雑駁な質問ですが、その辺、本当に印象論で結構なので、どこに問題があると感じたのかというのをまず1つお聞きしたい。それから、これは事務局にお尋ねしたいのですが、日本の財審が毎年ヨーロッパへ行って、彼らの状況を聞いて、日本も真似しなければいけないということで一生懸命勉強していますが、日本の財政について世界各国が関心を持って学びに来ている例はあるのかどうかということをぜひお聞きしたいですね。というのは、これだけの借金を抱えながらも、上手にというか、これだけちゃんとサービスを欠かさずやっている国も、またなかなかの達者な国だと思っています。そのようなケースが、アジアやヨーロッパの国にあるのかどうかというのを1つお聞きしたい。最後に、3点目ですが、やはり最後は政治の問題になるような気がしています。これは財審ではなくて政治家の方が毎年ヨーロッパへ行って、ちゃんと勉強してくれればこんな問題は起きないのではないかと、端的に言えば、そういう感じがしますが、実は政治家の人はみんな知っているんですよね。財務省の役人を呼んで話を聞けば一発で分かる話ですから。分かっていてもできないということだと思います。やらないのか、できないのかというところが非常に大きな問題だと思いますが、今日はせっかく来ていらっしゃる方々、もし一言感想があればお聞きしたいということでございます。

〔 宮武委員 〕 ドイツで言えば、医療についても、介護についても、年金についても、自治の原則でやっているということですよね。医療、介護は疾病金庫という保険者がいて、そして年金についても、実は年金は被保険者の代表を選んで自治として運営をされている、制度内容は国がほとんど決めているが、わずか数%の自治を守って、年金組合の事務所があるという、そういうところが日本とは違う面だろうと思います。ですから、まさに年金は、彼らにとってみれば、「もらう」ものではなくて応能負担でそれに応じて「受け取る」ものだという精神が一貫して流れていると、そこがなかなか日本は真似ができない点であると思います。

先ほどの加藤委員のキャップ制についてもまさに同じで、そのキャップを守ろうという自治が病院団体、疾病金庫、開業医の間にあるということではないかと思います。

それからもう1点つけ加えるとすれば、資料2−2の4ページに各国の国民負担率がございます。この国民負担率を見れば、例えば今日取り上げたイタリアであれドイツであれ、それからほかの、スペインであれ、日本よりもはるかに高い負担に耐えているわけです。ここのところはやはり見逃してはいけない点でありまして、これだけの負担をしているにもかかわらず、歳出の削減をしなくてはならないということですね。逆に言えば、これだけ高いからこれ以上の負担がとれないので、歳出の面で何とかして合理的な仕組みを入れていこうとしているのだろうと私は思います。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、海外から日本へというのは事務局ということで。

〔 中山調査課長 〕 まず、ここ1年程度の間で海外から日本の財政状況について何か調査依頼等があったかということで、実績としては、私の今確認できる限りほとんどなかったかと思います。一方で財務総合研究所等におきまして、アジアが中心になると思いますが、途上国支援等の関係で、日本のこれまでの経験、あるいは財政運営、あるいは仕組み等について、共有しているという実績はあるかと思います。

特筆すべきことがございましたら、またご報告させていただければと思います。

〔 可部次長 〕 個別の国に関しては、今、中山調査課長から申し上げたとおりですが、社会保障の関係はOECDあるいはIMFでも世界的な調査を行っているという状況があり、日本は最も高齢化が進んでいる中で、どのような改革をやってきたのかというのは、国際的に問われることがかなり多いということでございます。

〔 赤井委員 〕 少しいいですか。OECDでも医療の専門の人ともお話をして、財政面とは違いますが、日本の医療から学ぶことは多いとおっしゃっていました。

〔 吉川分科会長 〕 政務から一言ありますか。

〔 坂井副大臣 〕 倉重委員からご質問をいただきまして、私個人の感覚ということでお聞きいただければと思いますが、まずいろいろな意味で政治の決断と、そしてリーダーシップが必要だということはそのとおりだと思っております。ただ、正しいことを言って、正しいことをやって、正しいことが万が一にでも法律になれば、それでうまく回るかというと決してそうではないというところが難しいところでございまして、やはり納得をしていただくというのが非常に重要だと思っています。幾ら正しくても、やり方を間違えると、やはり皆さんうまくおさまらないということになろうかと思いますので、どう納得をいただくかというところを同時に考えながらやっていかないと、制度やいろいろな考え方があっても着地をしないと。政策としてはつくれても、実際に着地をして結果を出すところまではいかないというところだろうと思っておりまして、そこまでの、要は政策や方向性、あるべき姿と現実との間の橋渡しをどうしていくのかというところが、今まである意味、難しいがゆえに後手に回って進んでこなかったところだろうと思っています。今の安倍政権は、そういった面では、そこに少しずつでもチャレンジはしていこうというところで、半歩ずつ進んでいるのかなと思っています。

あとはもっと具体的に言うと、幾らそういった積み重ねをしていこうと思っても、納得がなく選挙でひっくり返って政権が変わればそこで終わってしまいますので、政権が変わった後に、今まで以上に、一歩も半歩も進まないというような政権ができてはどうにもならないということもございます。その辺も含めて総合的に考えながらですが、ただ、どちらにしても今まで以上に前に進んでいかなければいけないと思っておりますし、責任は感じております。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

では、老川委員。

〔 老川委員 〕 どうもありがとうございました。ご報告、大変勉強になりました。勉強になりましたが、なるほど、これなら日本もできそうだなという感じはあまりなくて、今の話にありましたように、やはり国民的な認識が一致しないとなかなかできない。例えば憲法に法律で収支均衡を書き込もうといったって、そのような合意ができなかったら、実際はとてもできないわけで、まずは国民的な認識というものをしっかり高めていくことが必要だなという感じがするわけですが。

それは別として、具体的に1つ、こういうことは日本でも掛け声としては出ている話で実際にどうなっているのかなというのが、ドイツの資料1−1の11ページのインダストリー4.0ですか。第4次産業革命ということを、日本でも政策目標として話題にはなっているのですが、ドイツの場合、例えばこういうビジネス、あるいは産業がIoTでうまくいっているなど、何かそのような具体例があったら教えていただきたいと思います。というのは、日本の場合、掛け声としては出ていますが、もしかして、なかなか実際の産業界がそのように動いているようにもあまり見えないし、投資もなかなか活発化しないという状況なものですから、現実にこのように成功しているよということがあれば少し教えていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、ご存じの限りで。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。インダストリー4.0とか、そのようなのは意外とまやかしが多いのかなと思いますが、現状ではIT技術を活用した製造業の高度化を目指すプロジェクトですので、例えば工場において全ての機器をインターネットにつなげましょうというIoT化を進めたり、最適な製造現場を機械がみずから考えるスマートファクトリーというのを展開していますと。結果、製造コストの大幅削減というのが果たせるはずですが、それが例えば、このようなところに、このような効果ですよということについては、残念ながら実際のインタビューの聴取ができませんでした。なので、現段階ではIoT化とスマートファクトリーということが挙げられるのではないでしょうか。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、後半の議題もありますので、最後に竹中委員にご発言いただいて、それで終えたいと思います。

〔 竹中委員 〕 本当にこの度の海外調査の発表は大変勉強になりました。なぜドイツで、財政再建がうまくいっていて、日本でできないというか、皆さん、これはものすごいメンタリティーの問題だと思います。最近ここに来て、角栄さん本がすごく売れて、それでやはりどこかで求めているという空気が感じられるんですよね。だけど、角栄さんのような方は多分もう二度と現れないし、現れたとしても、あのやり方は今の日本では絶対にできないですが、待望論のようなメンタリティーが日本の国民の中にはしっかりあって、かくいう私も角栄さん好きやねんみたいなところがあるということを踏まえた上で、やはり日本はどうすべきかというのを考えなあかん。どの国ができたからでもなく、今、正しいからええじゃないよという話もあったように、日本人のメンタリティーとしての考え方をしないとだめかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、これで前半の議論を終えて、本日は3時間コースですので、10分程度休憩をとって、4時再開ということでお願いいたします。

午後3時50分休憩

午後4時2分再開

〔 吉川分科会長 〕 定刻ですので、後半の議題を始めさせていただきます。

後半はまず、海外調査に関する論点整理、これは中山課長よりお願いいたします。

〔 中山調査課長 〕 これまでご報告いただきました計10カ国、3機関の調査の結果につきまして、直接調査いただきました各委員のご協力もいただきまして論点を整理させていただきました。

資料3をご覧ください。まず1ページでございます。ファクトといたしまして、各国のリーマン・ショック後の財政健全化の進捗状況を整理いたしました。1ページはフローベース、財政収支のGDP比の推移でございます。まず言えますことは、リーマン・ショック後、各国はG20の合意やEUの財政協定等を受けまして、財政健全化に取り組んできたと言えるかと思います。この結果、2015年の財政収支対GDP比で見ますと、各国とも日本よりも健全な水準を達成しているということが見てとれるかと思います。

下の表をご覧いただきますと、今回の調査対象の国と日本、これを2015年、直近の実績見通しで悪いほうから順番に並べております。日本は現時点でマイナス5.9%ということで、ドイツは黒字化を達成しているという姿になってございます。

2つ目のポイントといたしまして、2009年から15年の財政収支の改善幅を見ていきますと、多くの国で日本よりも早い段階で、かつ速いスピードで改善しているということが言えるかと思います。

下の表の中の四角で囲んだところでございますが、これは一番ペースが速いところでございます。欧州各国を見ますと、2010年から11年にかけて、急速に改善したという姿が見てとれるかと思いますが、一方、日本は震災の影響もあって遅れているという面があるかと思います。

次、2ページはストックベースでございます。これも表は悪い国から順番に並べております。2009年から15年の増減幅を見ますと、EUやIMFの公的支援を受けたギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペイン、これらの支援額、これも債務として積まれていますので増加幅は大きく出ておりますが、次いで大きいのが日本となっております。またドイツとアイルランドにつきましては、債務残高対GDP比が安定的に減少しているという局面に入っているかと思います。これもご覧いただきますと、アイルランド、ドイツは、ここ3年、継続的に低下傾向を示しているということが見てとれるかと思います。

3ページは、それをグラフとして整理したものでございます。

続きまして4ページに移らせていただきまして、現時点で今後に向けました各国の財政健全化目標を整理いたしました。これを見ますと、各国では引き続き具体的な財政健全化目標を設定している。特にEUでは、財政協定に基づきまして、財政収支や構造的財政収支をベースとして、すなわち利払い費を含めたベースで高い目標を設定しているということが見てとれるかと思います。

続きまして5ページ以降は、各国調査から得られる視点といたしまして、大きく4点整理させていただきました。併せて、その論拠に、あるいは代表例となっている国を下に整理してございます。1つ目の視点は、財政健全化の着実な実行ということでございます。財政健全化のための歳出・歳入改革に係る計画等を明確に示し、個別の措置を着実に実行していくことが市場の信認の維持・確保の観点から重要ということ。また、計画等を安易に変更することや財政健全化を先送りすることは、財政健全化の失敗や潜在成長率の低下につながりかねないといった点が整理できるかと思います。具体例を見てみますと、IMFはまさにそういったご指摘をいただいておりますし、イギリス、アイルランド、フランス、EUなどをご覧いただいても、イギリスはしっかり厳しい計画を実行していったということ、アイルランドは計画を上回るペースで進めていった。これはドイツも同じかと思います。フランスについては、医療保険支出目標を直近6年連続で達成していくといったような目標。EUはそのような歳出のベンチマークの導入を提唱しているということを例として挙げさせていただいております。

6ページは、2つ目の視点として、将来に備えた堅実な財政運営ということでございます。財政健全化に当たっては、経済成長が期待どおりにいかないことがあることも踏まえ、客観的で堅実な経済前提を置くことが重要であると。経済が予想以上に好調に推移し、想定を上回る税収が得られる場合には、財政面での、いわば貯金をつくり、余力を確保することで、将来起こり得る経済の危機等を乗り越えることが可能となり、また中長期的に財政健全化を進めることが可能となるということで、OECDもそういったご指摘いただいておりますし、IMFも貯金と言いますか、債務の削減を前倒しでやっていくということをご指摘いただいています。ドイツはそれを実際に実行して財政収支の黒字化を前倒しで達成していっている。一方、ギリシャは逆の反省があったということかと思います。

次、7ページ、視点3でございます。構造改革などの成長戦略と財政健全化の両立として整理しました。財政健全化のためには、経済成長の寄与も重要である。各国は労働市場改革や規制緩和、成長分野への投資などの構造改革に取り組んでおり、これと整合的な歳出・歳入改革を進めることも重要である。また財政健全化により、国民や投資家の信認を強化していくことを通じて、長期的な経済成長を促進することが財政再建と経済成長の好循環につながるという点がございまして、EUからもそういったヒアリング結果を得ておりますし、ドイツは、今日もご審議いただきました成長志向の財政健全化を進めておりますし、欧州各国では労働市場改革、成長戦略等を進めているということが確認できたかと思います。

最後、8ページでございます。4点目といたしまして、財政健全化のコンセンサスの醸成ということで、各国の成功例に照らすと、今日も委員からご指摘がございましたが、財政健全化への国民的なコンセンサスがその成功の根底にあるということも言えるかと思います。実際アメリカ、イギリスでは与野党での合意形成、あるいはそれを踏まえての憲法改正、あるいは法令上の財政規律の確保といった取組から、このようなことが言えるのではないかと思います。

事務局からの説明は以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。本日の前半、それから前回、海外調査のご説明をいただいたわけですが、改めて事務局がまとめた報告です。どなたからでもご意見、ご質問等、お願いいたします。

富田委員、どうぞ。

〔 富田委員 〕 論点整理は大変体系的にまとまっていると私は思います。ただ、あまりにきれいにまとまり過ぎていて、6ページのところですけれども、まさにこの部分が我が国が拳拳服膺すべき内容だろうと思います。つまり、経済成長が期待どおりにいかないことがあることも踏まえということの具体的な内容なのですね。日本で、財政再建に反対だという方は誰もいないと思います。しかし、いざ具体的な話になりますと、高い経済成長率を掲げる。そうすると、将来税収が増えるし、歳出削減の幅も小さくて済む。それからまた、その高い成長目標よりも景気が悪くなると、先ほど来、永易委員、神津委員からお話のあった補正予算が必要だという議論になってくる。

思い出せば1990年になってから、いつも財政健全化計画をつくってきて、現在と同じように高い経済成長の前提と、それから世界経済が順調にいかない場合、あるいは現在のようにベースラインケースという、まさにベースラインとして潜在成長率に比較的近い数字で長期計画を立てて、財政健全化のために必要な幅を示しているわけですが、なかなかその後者が、ここで書いてありますような堅実な経済前提というものが選択されずに、どの政権におきましても高い経済成長率というのが前提になり、その時々でいつも規制緩和や構造改革など、現在は成長戦略ですが、そのようなものとワンセットになって、高い経済成長率を前提にして絵を描いている。景気のいいときはいいのです。そういう時期もございました。小泉内閣のときはそうだし、現在もそういう状況ですが、ここで我々が拳拳服膺すべきことにありますとおり、税収が上振れた場合には貯金をするなど、今日まさに出張の報告でいただいたような内容のことを具体的に示しておく必要があるだろうと思います。

ということで、現在でも2つのシナリオが出ていますが、もう一方のシナリオをどのように広く理解をしていただけるようにしていくかということが大事ではないか。良いときもあれば、悪いときもあるということが一番肝だと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、続けて、神津委員、大宮委員、土居委員。

〔 神津委員 〕 資料3の7ページの視点マル3では、成長戦略が重要であり、その中で労働市場改革も一つの大きなテーマであることが示されていますが、一言で言えば、国によってこの労働市場改革、置かれている課題やこれまでの経緯はさまざまであり、その点は十分見極めてご検討いただくということが大事だと思っています。

今日はヨーロッパ各国のお話でしたが、よく知られていることで、ヨーロッパはセーフティネットが非常にしっかりしています。これは日本とは全く比べものにならないところであり、一番典型的なものとして、北欧の場合は解雇規制が極めて緩い一方で、その分、手厚い失業者対策、必ず国と労働組合で仕事を見つけるといった再就職をサポートする仕組みがあるわけであります。

本日ご報告いただいた事例として挙がっている中でも、スペインの場合のように、失業対策をまた強化しているといった国もあります。また、イタリアの場合でも、この規制緩和の具体効果はもう少し見据える必要があると思いますし、ILOからは雇用の質も重要だという指摘も出ているということも聞くところであります。そして、これも別のところで聞く話ですが、OECDの分析でも、職業訓練や職業紹介などの積極的な労働市場政策への支出、人への投資を増やしていくということが、経済成長に寄与し、財政にも貢献するという分析があると聞いております。

我が国の場合、20年間のデフレの中で格差が相当に開いてしまったということが極めて問題だと思っています。いろいろな格差がありますが、企業規模による格差、あるいは雇用形態による格差、非正規が非常に増えているということです。それから、男女間での格差、あるいは教育の機会の格差に伴い、貧困の連鎖も発生している。そういったさまざまな問題を克服しながら、底上げや格差是正をいかに進めていくかが重要であり、そのことがなければ、社会の支え手たる納税者をもっと増やすことや、消費の拡大により経済を好循環させるということに結びつけるのは難しい構造になってしまっている。そのような構造を抱えている中、本当の意味での成長戦略として、手当てをしていかないと、なかなか歳入の増加には結びつかないのではないのかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、大宮委員。

〔 大宮委員 〕 大変緻密な調査と発表を大変楽しく聞かせていただきました。調査に出掛ける前に私から1つお願いした、日本の税制のシステムが非常に複雑ではないかという視点で、次の資料4にも絡むかもしれませんが、要するに国民的なコンセンサスを得ると今の資料3の8ページに書いてありますが、その視点からすると、先ほど、海外の仕組みが、例えば憲法にも書かれたとか、法律に入れられて難しい式まで入っているようなことも含めて、今、非常に社会保障費が増えてしまって財政赤字が大変だということはもちろん大半の方たちが知っていると思いますが、それを解決する施策の中に、例えば、税制の複雑さをもう少し簡単にする、あるいは各国でとっているシステム的なものを取り入れるといった方策を示唆するような形で、何かやっていただくようなことができればいいなというのがお願いです。

その前に、各国の税制を見た感じで、日本の制度と大分、単純さや複雑さに大きな違いがあったかないかということだけを知りたいのですが。

〔 吉川分科会長 〕 では、海外調査に行かれた方々、前回の方も、ごく簡潔に、ざっくりお答えいただけますか。

〔 佐藤委員 〕 税制につきましては、政府税制調査会のほうが別途、海外調査をしていますので、多分そちらのほうで取りまとめがあると思いますが、複雑さということを言わせていただければ、日本が異常に複雑な国というわけではないと思います。

ただ、諸外国において、よく法人課税の改革においても、課税ベースを拡大するという過程の中で複雑な租税特別措置の縮減などを図ってきているので、租税税制改革の中、特に課税ベースを拡大するという中において複雑さを取り除いていくということはやっています。

あと、我々にとって参考になるのは、租税支出という概念を持っていまして、租税特別措置だろうが減税だろうが軽減措置だろうが、要するにこれは一種の支出であると、補助金であるとみなすことによって、その規模感というのを国民に対して明らかにしているというのは、これは参考になるかと思います。

あと、これも簡素化という観点ですが、イギリスはユニバーサルクレジットを導入しまして、いろいろあった給付措置を一本化しているというのもあります。これは少し税制とは違いますが、簡素化というのにつながる改革だと思います。

〔 末澤委員 〕 米国の場合は政治的対立がありますので、なかなか法律改正はできていませんが、ただ、今回の大統領候補者には、より簡易な、簡素な税制を主張する方が多いです。

あと、これは田中委員からご説明いただいたほうがいいと思いますが、タックス・ファンデーションというところにきまして、世界の税制を比べた調査もありますので、少しそちらを。

〔 田中委員 〕 税制の仕組みに関しては、先ほど説明があったように、どこの国でも意外と複雑だと思うのですが、それを補うような、いわゆる政府から中立な立場から、市民に教育するような形で、分かりやすく説明をするような団体がたくさん非営利組織として存在しているということだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 遠藤委員、どうぞ。

〔 遠藤委員 〕 今の点で宿題をいただいていたので、スペインでもポルトガルでもそうですが、軽減税率の中の細かいパーセンテージも違いますし、例えば短期的に、レストラン課税を23%にしましょうとか、細かくいじっていますよね。なので、複雑さの観点では複雑であるということですが、ただ、内税方式なので、それを変更したときの消費に対するインパクトがなだらかにコストとして平準化されるというところが、少し日本とは違うところがあるのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では続けて、土居委員、老川委員。

〔 土居委員 〕 ご説明ありがとうございました。各国調査から得られる視点として、資料3の5ページから8ページに書かれていることは全くもっともだと思います。これを建議に反映していただきたいと思いますが、その上で、この視点については、我が国は極めて残念な状況であるということも強く建議に書くべきではないか。例えば、5ページの「マル1:財政健全化の着実な実行」というのは、結局、財政構造改革法は定めたが廃止されてしまったという形で覆った過去がある。さらには、マル2の「将来に備えた堅実な財政運営」は、先ほど富田委員がおっしゃったような懸念がある。唯一、マル3は満たせればいいなという程度であって、8ページのマル4のコンセンサスは、社会保障・税一体改革の3党合意が、もう今はないがしろにされているような状況で、必ずしも野党で合意するということも不成功に終わっているという状況にあって、我が国はどうすべきかという形でこの論点整理を生かしていただきたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員。

〔 老川委員 〕 7ページの視点の「マル3:構造改革などの成長戦略と財政健全化の両立」、これは、私は賛成で、財政健全化か成長かという二者択一ではなくて、両方を視野に入れてやっていく必要があるなと私自身は思っています。

ただ、どのように考えたらいいのかというのは、例えば、一番最初の丸、財政健全化のためには、成長の寄与も必要だと、このような表現になっていて、下のEUとドイツを比べますと、EUの場合は、財政健全化は長期的には成長につながっていくと、財政健全化がまず主ですね。ドイツの場合は、成長志向の財政健全化ですから、要するに投資によって成長をやっていく、と同時に財政の健全化もやっていくということで、どちらかというと成長を重視するほうにウエートがあるように見受けられる。それは各国それぞれだと思いますが。

我々はこの調査を踏まえて、いずれ建議に反映していく場合に、どのような認識でいくのかというのは、いずれ消費税の先送り問題などが話題になってくると思いますので、そこら辺をにらむとどのようにここのところを考えておいたらいいのかなというあたり、この論点をおまとめになった側のお考えを少し聞かせていただければと思います。

〔 吉川分科会長 〕 事務局からもお答えいただければと思いますが、従来の建議では、成長と財政再建と言いますか、この財審では過去の建議にもそのような表現を使って書いていたと思いますが、基本的には経済成長は確かに大事だということですが、やや理屈っぽく言えば、必要十分条件ということであれば、必要ではあっても十分ではないと。つまり、成長だけで財政再建できるというのが日本の場合にはできないというのが財審の基本的な考えだったかと思いますが、事務局からも何か今のご質問に対して回答していただくことがあれば。中山課長、お願いします。

〔 中山調査課長 〕 資料3に書かせていただいた論点整理は、基本的に各国の取組状況を包括して書かせていただいたということで、ウエートはおそらく、各国どちらに置いているか、あるいは、かなり構造改革を強力に先行させたといったところもございますが、ここの建議としては財政健全化、今回、財政計画を着実に進めていくための調査といった全体取りまとめでございましたので、その視点からこの文章のように健全化のためにはということで、成長の寄与が重要であるという整理をさせていただいたというものでございます。

〔 吉川分科会長 〕 繰り返しになりますが、成長だけで財政再建というのは無理だと。したがって、財政再建に向けて、財政自体として、例えば歳出の効率化でも何でも取り組む必要があるというのと、もう1つは、今日も何人かの委員の方からそうしたご発言があったかなと思いますが、成長に関して近未来のシナリオを描くときに、あまりに楽観的なシナリオに基づいて計画を立てていくというのは問題である、よくないと、堅めに考えると、いわゆる先憂後楽でいくのが正しいというのが、これは過去の建議でもそのような考え方でやってきたと思うので、委員の方々がその点について大きな異論がなければそうした基本的な考え方を今回の建議でも引き継がれると理解していますが。

十河委員、お願いします。

〔 十河委員 〕 改めまして、先ほどの海外調査報告、各先生方、お疲れさまでした。非常に勉強になりました。大変分かりやすく解説いただいてよかったと思います。

先ほど来、各国いろいろな形で財政再建の努力をしているという中で、では日本はどうかというときに、現実としてなかなか難しい状況にあると思います。先ほど土居委員からもお話がありましたように、これだけ各国から改善策のヒントとなるような事例が多数出ておりますので、これを私たちもしっかりと受け止めて、日本の財政再建のために何を具体的に変えていくか、あるいは、財審としては少なくとも建議に、これが道半ばである、達成できてないということを明記していくべきではないでしょうか。今、どの国よりも今日本は借金が多く、どの国よりも高齢化が進んでいるということを、今一度、私たちもしっかり受けとめ、将来の子供たち、日本の未来のために強く訴えていく…、そのためにもまずは海外調査報告を通じて、この分科会から提案していくことが大切であると考えます。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

では、竹中委員にご発言いただいて、次の議題に。

〔 竹中委員 〕 皆さんの意見と全く同じで、論点整理はもちろん必要ですが、これに最初の1枚もののまとめがやはり要るなと。なぜ海外にまでこの財審の委員の皆さんが費用も使って行ってきたのかということは、そのミッションがあったはずですよね。少なくともこのようなミッションで私たちは調査に行ったのだということをしっかり1枚ものをつけて論点まとめをされるべきだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 具体的なご指摘、どうもありがとうございました。では、よろしいでしょうか。

もう1つ議題があります。本日最後の議題になりますが、以前、この審議会の委員の方からご指摘のありました財政・租税教育について、現在の取組状況、今後の課題等を事務局から説明をお願いします。これも中山課長、よろしくお願いします。

〔 中山調査課長 〕 今日もご審議の中で出てきました国民的コンセンサスを醸成していくという観点で、委員のほうから今回の財審の中でご提案があったものとして、今後開催させていただきます女性公聴会と並びまして、財政・租税教育というのがあったかと思います。資料4に沿いまして、現状の取組と今後の課題についてご説明します。

まず1ページをご覧ください。現状の我々の取組状況でございます。財政教育の関係といたしましては、従来から使っております財政関係資料といったパンフレット、あるいは、その簡略版を配布、あるいはその説明等を行っているところでございます。併せまして、ホームページの中でも、中高生あるいは小学生をターゲットにいたしまして、「日本の財政を考える」という欄を設けまして、学習支援ツールとして解説や動画、あとは財政ゲームといった形のものを提供させていただいているところでございます。また、地方の財務局におきまして、各教育の現場からの要請等も受けまして、出張授業を実施した例もございます。ただ、全体としてみますと、主にターゲットは大学生や院生向けに講演の実施や学生政策サークルへの協力を行っていることが主になっているかと思います。

他方、同時に掲げさせていただきました租税教育といたしまして、国税庁を中心に、こちらのほうはかなり以前から体系的に進められているかなと思っております。1つは、国税庁、文科省、総務省等から成る関係省庁等協議会が設けられているほか、県単位、市町村単位でも協議会を設けて、租税教育が体系的に進められているところでございます。また、税を考える週間や作文コンクールといったものも行われております。また、各地方では、税務署、税理士会等を活用して租税教室への講師派遣等を行われておりますし、国税庁のホームページでも、「税の学習コーナー」等、学習支援ツールの提供が行われているところでございます。

2ページは、最近の状況でございます。1つは、今年6月から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるということでございまして、これを受けまして、中教審におきましても、参考のところに記載させていただいておりますが、高校生に対する政治への参加意識を高めるための指導の充実等や、高校生の政治的活動に係る考え方の整理等の対応が必要とされているところでございます。

このような指摘を受けまして、真ん中の丸でございますが、現在、中教審で学習指導要領の改訂に向けた検討が進められているところでございまして、平成28年度内に答申を予定されているようで、その後、学習指導要領の改訂が行われる予定となっていると伺っております。参考でございますが、その論点整理の中で、選挙権年齢の引下げを踏まえ、高等学校を卒業する段階で共通に身に付けておくべき力は何かを明確に示すこと、特に、国家・社会の形成者として主体的な社会参画を行っていくために必要な力の育成が求められていると指摘されているところでございます。

このような指摘を受けまして、現在、指導要領の中で、新しい科目といたしまして「公共」が検討されているところでございます。同じく論点整理の中でも、社会的・職業的な自立や主体的な社会参画に必要な選択・判断の基準を形成し、課題の解決に必要な力を身に付ける科目を高校に設けるとされているところでございます。

そこで、これまでの学習指導要領の状況を、参考までに変遷を整理いたしました。昭和33年以降、継続的にある科目といたしまして中学校の社会科がございますので、これを代表例にとりまして整理したものでございます。この中で財政・租税関係に係るものをピックアップしておりますが、経過を見る上で特色的なところを赤で抜いております。

最初に制定されました昭和33年からご覧いただきますと、特徴的なところといたしまして昭和33年に「公債などの学習」ということで、公債を明示的に対象にしているということでございます。ちなみに、戦後の公債発行がスタートしたのが昭和40年でございますので、公債発行前の段階で公債について明記されていたということでございます。昭和44年もそれが踏襲されておりますが、昭和50年が財政危機宣言ということで特例公債の発行がスタートし、昭和52年の改訂では落ちているということでございます。代わりまして昭和36年の国民皆保険・皆年金や昭和48年の福祉元年を受けまして、「社会保障制度の充実」といった記載がその後続くことになります。

続きまして、4ページでございます。平成元年、これは特例公債脱却の前年の年にあたります。ここで特徴的なのは、「財政収支が国民生活にとって重要な意味をもっていることを理解させる」ということが租税教育と並んで明記されているところでございますが、次の平成10年は、これが以降落ちているということでございます。他方、平成10年、20年の学習指導要領では、今後の課題といたしまして、「少子高齢社会」というのが明記されているところでございます。

5ページでございますが、こうした状況を踏まえまして現下の状況を考えますと、少子高齢社会がさらに進展をしているところでございまして、社会保障の受益と負担の在り方や財政状況の悪化、財政・社会保障制度の持続可能性が財政をめぐる現在の主要な課題になっているのではないかと思います。現在の財政をめぐる諸課題に対する基礎的な知識をもとに、中教審でもご指摘のある、自立した主体として社会への参画、必要となる選択・判断の基準の形成、諸課題を考察し追究する力の育成等、国家・社会の形成者として必要となる力を育成することが重要ではないかと考えておりまして、これらを財政教育に適切に反映していく必要があるのではないかと思われます。

今後の当面の取組といたしまして、6ページでございますが、大きく2つ掲げさせていただきました。教育現場のサポートといたしまして、授業に活用できる副教材の作成、あるいは、学習支援ツールの活用提案や充実を図っているということ。また、各現場で、財務局や税務署と連携した特別授業の促進。こういったものの中で優良事例の横展開を図っていくということが考えられるのではないかと思っております。

また、教科書策定への協力といたしまして、この財審委員の中にも教科書の監修・作成に携われている先生方がいらっしゃると思いますが、基礎となる材料の提供を積極的にやっていきたいと思っておりますし、新たな「公共」の科目では実践例といったものが収集されているところでして、このような取組に協力していきたいと考えてございます。

その観点から、最近の取組を3つほど載せさせていただきました。7ページは、特別授業の実施ということで、全国国立大学附属学校連盟のほうから財務省に要請がございまして、全国の小学校、中学校、高校で特別授業を協力しているところでして、主計局の職員、あるいは財務局の職員も参加して、このような取組を進めているところでございます。

また、8ページ、18歳選挙ということで、いろいろ財政についても取材協力依頼があるところで、我々としても積極的に対応しているところでございます。

また、今日配布した資料に、1つ冊子をつけさせていただきました。参考資料3とございますが、試みに副教材を作成いたしました。いわゆる財政関係資料のパンフレットをベースにいたしまして、中高生向けに簡略化した内容で、かつ現在の課題、受益と負担の問題について整理したものでございます。このような副教材等を作成して、教材内容へのご意見を広く取り入れながら進めていきたいと考えております。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、どなたからでもご意見、ご質問。

〔 赤井委員 〕 まさにここに書いてあることは、これまでの海外調査でも思ったことを、できるだけそれに近づけて、日本が近づいていくためにも重要なことだと思いますし、これを進めていくべきだと思います。

そのためには、今後、将来、日本を担っていく若い世代にしっかりと教育していくと。なかなか大人になると教育するのも難しくなってきますが、若い世代に教育していくことが大事ですし、選挙の問題もあります。まず選挙に行って、きちんと勉強して、自分の思いを伝えていくということが大事だと思います。

あと、ここにいる私たちも大学の教員としては、大学生に対してもしっかりと教育していくということが大事になると思いますし、財政でいろいろ出張して講義するのはいいですが、どうしても一方通行になってしまうので、コミュニケーションを図るなど、学生が考えてどうあるべきなのかを提言してもらうということも重要になってくるかと思います。

大学生による政策提言という取組として、言葉だけ、GEILやWEST、ISFJなどがありまして、一橋大学の佐藤先生のゼミや慶應義塾大学の土居先生のゼミなどが私のゼミと、ゼミ生にディスカッションをさせて論文を書いて政策の在り方を考えるというようなイベントをやっておりますし、そのような場に対して財務省も今後も協力していただけるということなので、学生たちが政策の在り方を考えるような場面でも財政の教育というのをしていけばいいかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

順調に時間が流れてきていますが、皆さんにご発言いただきたいと思いますので、恐縮ですが、それぞれできれば1点に絞っていただいて、簡潔にご発言いただきたいと思います。富田委員、土居委員、田中委員、武田委員、とりあえず。

〔 富田委員 〕 昔よりも現在のほうが、財政事情がよろしくないのは明らかですが、指導要領には国債や公債、財政収支という言葉すら出てこないというのはいかがなものかと。今日もお示しがありましたが、5ページにありますような現状を踏まえた内容にする必要があるのではないかと思います。

それと、財政の問題を財政として話をするとなかなか難しい面があると思います。それは、あれかこれかの選択、例えばバターか大砲か、効率か、公平かという予算制約の中で何を選択するかということを子供のうちから教えませんと、あれもこれもという、高い成長率にすればみんなうまくいくということにつながることになってしまいますので、できるだけ予算制約の考え方の下に経済自立人をたくさんつくっていく。行政依存ではなしに経済自立ということをうまく教えるような概念が必要ではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、土居委員。

〔 土居委員 〕 私は、高校の現代社会と政治経済の検定教科書の執筆者の1人ですが、つくづくその立場で思うのは、6ページにありますように教育現場のサポートというのは非常に重要だと。教科書は、教えたいことを書けば、おのずとそれが生徒に伝わるというものではなくて、学校の先生に教科書を採用してもらって初めて使われるし、ライバルとなる教科書会社もあるということですので、どのように教えやすいように書くかという発想で教科書を書いてしまっているところがあると。本来はどう教えたいかという点が重要ですが、残念ながら、学校の先生も忙しいので、教えやすいように教科書が書いてあると、その教科書を使って教えようかなと思ってしまう現状がある。

あとはページ数が限られているので、少ない字数でそれを言うということが非常に大事で、残念ながら今の財政にまつわる教科書の記述というのは、仕組みを理解させるということだけで手いっぱいになっていて、現状がどうで、これから将来どうすればいいかというところまでなかなか思いがいってないというような状況ですので、簡潔にかつ的確な説明の仕方で、教育現場でそれが実行できるような、サポートというのが大事だと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 田中委員。

〔 田中委員 〕 私は、学校や教育の評価をする立場からすると、これだけ多くの取組があったのに、なぜ実際に学生と話すと認識が薄いのかなというところで、学習成果を少し問いたいような気分だったのですが、この取組の具体例について申し上げたいと思います。

財務省の職員の方が実際に現場に出向いているというのは、財務省の職員の方にとっても子供たちにとっても非常にいい刺激になると思いますので、ぜひ行ってほしいのですが、少し条件がありまして、中長期で捉えていただきたいと思います。今はとにかくアクティブラーニング、いろいろな方法を使っていらっしゃいますが、教材と教授法をご自分たちで開発していらっしゃるフェーズ1の段階です。ただ、全ての子供たちを財務省の職員で教えられるわけではないですから、どこかの時点でその教材をモデル化して、地域で自立的にそれを運営できるようなフェーズに入っていただきたいと思います。そして、その際には、社会保障が子供たちにとっては最大の問題でありますので、まさに、どうやって選択をするか、その前提として受益と負担ということを、もう1回、私たち自身も非常に鈍感になっていますので、そこを教えていっていただきたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 武田委員。

〔 武田委員 〕 富田委員のご意見と近いですが、私も何を選択するのかというディスカッションに最後はつなげられるような仕組みが必要なのではないか、重要なのではないかと思います。一方で、この資料だけですと、選択肢が高校生のレベルではピンとこないこともございますので、1つの事例として、本日、海外出張の報告もございましたが、海外で厳しい財政状況に陥った国がどういう手段をとったのか、改革が成功した国の事例として、こういうことに取り組みました、といった事例もあれば、ディスカッションにつながりますし、本当に何を選択するのか、いいとこ取りはできないということが伝わるのではないかと感じました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございます。

では続けて、神津委員、黒川委員、加藤委員、遠藤委員。

〔 神津委員 〕 私は、抜本的に強化すべきだと思います。とりわけ、学校教育のそれぞれの段階でしっかりとビルトインをしていくべきだと思います。

今、18歳選挙権で主権者教育ということがよく強調されていますが、これも密接に関わることだと思います。主権者教育が今さらのごとく叫ばれていますが、よくよく考えれば戦後70年間、あまりちゃんとやってなかったなということの裏返しではないのかと思いますし、納税者教育も非常に弱かったと率直に思います。

先ほど永易委員から、民度の問題についても触れられました。日本人というのは一般的には民度はそれなりに高い国民だと思いますが、確かに財政に対する向き合い方や、政治に対する向き合い方ということになると、どうもそこの部分だけ民度が低いのかなと。それがやはり教育の問題と密接に関わると思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 黒川委員。

〔 黒川委員 〕 参考資料3の、立派なパンフレットがございますね。これを私のキャンパスに週2日ぐらい事務に来てくださっている専業主婦の方に見せて、どのような感想を持ちましたかと聞きました。それで、まず2ページ目、今まで800兆円から1,000兆円の債務がある、あるいは一般会計で何十兆円使われていると言われると分かりにくいが、1人当たり幾ら使われているのかという図は主婦として非常に分かりやすい。なお今、私が言っているのは、そのような人たちに対してどこが分かりやすいのかというご参考のためです。

次に8ページ、これもグラフが非常にはっきりしていて、どの税金がどのくらいの割合を占めているのか。ここで、たばこ税は幾らぐらいですかという質問を私は受けましたが、これも今まで知らなかったことだとおっしゃっていました。

それから次に、11ページ、12ページ、これはいつも出てくるワニ口ですよね。これに、すごくショックを受けていたのと、それから12ページの債務残高の急激な伸び、この辺が、非常にインパクトが強かった。

最後に、17ページの図、ここで初めて彼女は日本がいかに、国民からすれば結構保障されているが、先進国と比べて負担が非常に低いのだと。この図を見て、この矢印の真ん中辺にいかなくちゃだめなのよねということはすぐに分かって、いかに今まで負担してこなかったのか、ということを言っていました。

ここで私が思ったのは、以前、地方の税務署に講演を頼まれて行ったときに、税務署の壁に小学生がいろいろお習字で書いたものを貼っているんですね。税務署を身近な存在にし、納税意識を高めることは、地方でも結構していたと思います。だからこそ青色申告制度も成功したようなところもある。だから、国民は税金を納めているという意識はあるかもしれないが、その税金の量、負担率まではまだはっきりと認識してなかったのではないか。国民からすれば、いっぱい納めているよ、きちんと納めているよねという意識はあったとしても、その納めている率と、受けているサービスとの関係まではあまり知られてなかったのではないか。というわけで、この17ページは非常に分かったわとおっしゃっていました。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 どうも貴重なインフォメーションありがとうございました。

では、加藤委員、遠藤委員。

〔 加藤委員 〕 手短に。高校生にとって、財政というのは、どちらというと暗記科目になっていまして、例えば、私の学生と話をすると、数字は知っているが、じゃあそれがどういうことにつながっているかって想像力がない。例えば、消費税にしてみても、8%だ、軽減税率だということは分かっているにしても、それを上げていくこと、さらに、それを確保することが将来においてどのように影響してくるかという、そこの想像力をどのようにつけていくかということが大事だろうと思います。

その意味でいうと、資料の中の7ページ等々にありますように、さまざまな機会をつくって自分たちで考えさせていくということが大事だと思いますし、先ほど赤井委員がおっしゃっていましたが、そのように学生たちに想像力で物事を考えさせることによって財政の必要性が分かってくるのだなというのはいろいろと感じております。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 では、遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 得られていない情報があるとすると、分かりやすく提供するというのは意味があると思いますが、例えばこれが教科書に載ったとき、この円グラフのここを占めるのは何でしょうとここに括弧がついていて、それを答えさせるような試験の問題が出てくるようなイメージも同時に湧いてしまうというところが少しあります。

本来学ぶべきなのは、結局トレードオフというような考え方だと思います。富田先生がおっしゃって、武田委員もおっしゃったと思いますが、それがやはり日本の教育の中に欠けていて、何をとって何を犠牲にするのかというところを自分たちで考えさせる方向にもっていかないと、大人になっても何もかもが必要だということになってしまうので、そのトレードオフの感覚を身に付けさせるツールとしてこの財政が使われると大変いいのではないかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 前回のときに租税教育というのが出たことからつくっていただいたということで、さすがに財務官僚という、やるなという感じで。22日の女性公聴会もおかげさまであっと言う間に満席で、既にお断りしているという状況です。つまり、みんな知りたいし、意見も言いたいし、一緒に考えたい。だけど、そのような場がなかったと。公聴会もずっと財審もしてなかったですし、そのような意味では、このような資料をうまく活用して、先ほど私が言ったメンタリティを変えていく、若い子供たちからメンタリティを変えていくということを早急に取り組むべき時期なのかな、まさに財審としてそういうのをすべきことなのかなと思いながら今皆さんのご意見を聞きました。

これを今度の22日も配ってほしいなという意見がありましたが、これは先行投資です。教育の中にも必要な先行投資はあって、せっかくこれだけのものを、短時間とはいえ精根傾けてつくられたと思うので、先ほど職場の女性の方に見てもらったといったような使い方をしていただくためにも、やはり先行投資をされたほうがよいのではないかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。委員の方のご発言と時間のトレードオフの間で時間をとった私を許していただければと思いますが、皆さんのご協力を得て本日の会議を無事終えることができました。

最後に1つだけ短いアナウンスメントです。次回の日程については、4月28日金曜日、16時30分から18時で、今もお話が出ましたが、4月22日金曜日に開催される女性公聴会についての報告、それから、建議取りまとめに向けた1回目の審議を予定しております。

また、既に皆様方には事務局からご連絡してあるかと思いますが、28日の審議終了後には麻生大臣、事務局の方々との意見交換会も予定されております。

また、次回28日の審議に向けては起草委員の皆様に建議のたたき台を作成していただき、28日はそれについて審議を行うと、こういうことになっております。小林委員、田近委員、土居委員、富田委員、中空委員におかれましては、大変お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

また、最後もルーティーンですが、本日の会議の内容につきましては、大変恐縮ですが、私から一元的に会議後に記者会見でプレスの方々に報告させていただきます。ご協力どうもありがとうございました。

では、これで閉会といたします。

午後 4時58分閉会

財務省の政策