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財政制度分科会(平成28年4月4日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成28年4月4日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成28年4月4日(月)13:59〜16:15
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題
・「経済・財政再生計画」の着実な実施(社会保障)
・復興

3.閉会

出席者

分科会長吉 川   洋坂井副大臣
大岡大臣政務官
福田主計局長
美並次長
可部次長
茶谷次長
阪田総務課長
中山調査課長
内野給与共済課長
青木法規課長
片岡参事官
宇波主計官
奥主計官
阿久澤主計官
高村主計官
彦谷主計官
堀内主計官
冨安主計官
高主計官
江島主計官
廣光主計企画官
泉主計企画官
委   員

遠藤典子

大宮英明

倉重篤郎

神 津 里季生

角   和 夫

竹中ナミ

土居丈朗

富田俊基

臨時委員

赤井伸郎

板垣信幸

老川祥一

葛西敬之

加藤久和

小 林   毅

佐藤主光

末澤豪謙

十 河 ひろ美

武田洋子

田近栄治

南場智子

増田寛也

宮 武   剛

國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長


午後1時59分開会

〔 吉川分科会長 〕 本日は冒頭、カメラ撮りがあるということですので、このままお待ちください。

(報道カメラ 入室)

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻ですので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方にはご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

前回、2月5日にもご審議いただきましたが、この春の財審では、今年度、平成28年度が「経済・財政再生計画」の初年度に当たりますことから、この計画の着実な実施について、海外調査報告も含め、審議してまいります。

本日は、「経済・財政再生計画」の着実な実施(社会保障)、それに復興関係について審議していただきます。

なお、本日は、計画の着実な実施のためには、薬価負担を抑制していくことが重要になるとの観点から、國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長からのヒアリングも行いたいと思います。國頭先生、どうもご多用中ありがとうございます。

それでは、報道の皆様方、退室をお願いいたします。

(報道カメラ 退室)

〔 吉川分科会長 〕 では早速、議事に移らせていただきます。

まず、がん治療のコスト考察、特に肺がんの最新治療について、國頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長よりご説明をお願いいたしますが、それに先立って、宇波主計官より問題意識及び國頭部長についてのご紹介をお願いいたします。

では主計官、お願いします。

〔 宇波主計官 〕 恐れ入ります。5分ほどいただきまして、お話を申し上げます。

社会保障でございますけれども、ご承知のように昨年夏の「経済・財政再生計画」におきまして、2020年度まで5年間の伸びを、高齢化に伴う伸びに相当する範囲、すなわち年平均プラス5,000億円の範囲におさめることを目指すということとされています。従来のいわゆる社会保障の自然増には、これ以外に医療の高度化等に伴う費用の増加も含まれるわけでありますが、昨年夏のこの計画というのは、必要な医療の高度化を取り込みながら、他方で改革工程表に盛り込まれた予防の取組や、さまざまな改革の実行を通じて、費用の増加を全体として抑えて、制度の持続性を確保していくという考え方になっているわけでございます。

そこで本日は、前半のセッションにおいて、医療の高度化に関して、当面の薬剤費について特徴的な動きがございますので、國頭先生からお話を伺い、ご議論をお願いできればと考えております。

専門的な話に入る前に、若干イントロダクションとして、薬剤費を巡る状況についてご説明申し上げます。資料の1−1というものでございますが、1枚めくっていただきまして、1ページ目でございますが、薬剤費は国民医療費約40兆円のうち、約4分の1弱を占めております。薬価につきましては市場実勢価格を反映して、2年に1回薬価改定を行って、継続的にマイナス改定しております。この青い線でございます。

他方、薬剤費の総額、これは赤いほうでありますけれども、こちらにつきましては、既存薬の価格を薬価改定で下げている一方で、2つの要因、1つは高齢化に伴う需要の増、もう1つは年度途中に新しい薬が保険収載されるといったことから、青い線へと積み増されまして、ご覧いただいたように薬剤費総額は年率3%弱で増加をしております。

2ページに行っていただきまして、医薬品について、この2ページは2001年と2014年の世界の売り上げ上位15品目を比較したものでございます。特徴が2点あります。1つは、近年、この黄色の網かけをしたバイオ医薬品、これが売り上げの上位を占めております。それから2点目は、それぞれの1品目当たりの売上高、右のほうに書いてございますが、これが大きく増加をしているということが挙げられます。

バイオ医薬品については、3ページに書いてございますように、微生物や細胞が持つたんぱく質をつくる力を利用して製造される医薬品であります。分子量が大きいということと、製造法の違いがございますが、一般的な医薬品と比べて非常に構造が複雑になっていて、非常に多額の開発費がかかるという特徴がございます。

現在我が国では、まだバイオ医薬品が販売額の上位を占める状況には至っておりませんが、昨今C型肝炎の特効薬の登場などを背景として、平成28年度、今年度の薬価改定におきまして、販売額が極めて大きい品目について特例的に価格を引き下げるという措置が導入されました。これが4ページでございます。

具体的には左の上の図にございますように、従来のルールでは年間販売額150億円超というところを1つの基準として、薬価を通常の薬価改定に加えて最大25%引き下げるというルールがございました。今回これに加えまして、右の上の図にありますように、年間販売額が1,000億円を超えるものについて、かつ予想販売額の1.3倍を超えた場合、あるいは1.5倍を超えた場合に、薬価を最大50%引き下げるというルールが設けられています。

今回見直しの対象になったのが、下に書いてございます4品目でありますが、真ん中の2つの品目がC型肝炎の特効薬です。いわゆるバイオ医薬品ではございませんが、従来のインターフェロン治療に代わる画期的な新薬であります。他方で、患者お一人当たりの年間薬剤費が300万円から400万円と高価でありまして、昨年保険適用が認められた時点で、販売額が1,000億円近いと見込まれ、業界でも話題になりました。実績がこの数倍に及ぶことが見込まれたので、今回新たな引下げのルールになって、マイナス32%という特例の引下げを行っています。

我が国においても、今後バイオ医薬品の登場に伴って、がん治療などの分野において、更に大変高価な薬が保険適用されていくということが見込まれます。今回、國頭先生のお話では個別銘柄も出てまいります。事務局としては、財審において、医学の発展、あるいは医薬品産業の発展ということの重要性は、従来から大事だとされているところでございますし、今回出てくる特定の銘柄自体の保険適用の是非を、ここでご議論いただくという趣旨ではございません。ただ、政策論の在り方として、このような医療の高度化をどのように取り込んでいくか、その上でいかに医療保険制度の持続性を確保していくのかという観点から、どのように改革を行っていくかということを議論していただく時の、1つの視点としてお話しいただければと思います。

それでは、國頭先生のご紹介をさせていただきます。ご専門は肺がんなどの胸部腫瘍でございます。1986年に東京大学医学部をご卒業された後、国立がんセンター中央病院内科、三井病院呼吸器内科などを経て、現在日本赤十字社医療センター化学療法科部長を務めておられます。

それでは國頭先生、よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ、先生、お願いします。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 ご紹介にあずかりました日赤医療センター化学療法科の國頭と申します。本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

私は先ほどご紹介ありましたとおり、肺がんが専門でありますので、その治療の流れというか歴史をざっと申し上げて、最近問題になっていることをちょっと申し上げて、後半は私の個人的意見も大分入ってまいりますが、それに対する考察をいたします。

肺がんは、数あるがんの中でもまだ治りにくいほうのがんであります。この表にあります5年生存率というのはイコール治った率ではありませんけれども、大体これを目安にいたします。そうすると、日本の数字は比較的いいように見えますが、がんセンターなどの集計ですと、そこに入ってくる患者さんは、状態のいい患者さん、もしくは早期の患者さんが多いので、その分バイアスがかかります。イギリスでは、医療費抑制の影響もあると言われていますが、5年生存率は10%前後。この表ではアメリカの、全体の5年生存率の数字は明記してありませんが、大体2割ぐらい。全世界的に言って、肺がんに罹患すると治る人は2割いないという状況です。

どうして予後が悪いのかというと、かなりの患者さん、過半数の患者さんで、診断時に病気が進行してしまっている。ここの4期とは、すなわちほかに転移がある状況で発見されるものでありまして、そうすると、やはり予後は非常に悪い。なおかつ、ほかに転移がある状況だと、もとが肺であっても、肺という臓器だけの病気というわけではなくて、全身の病気として見なきゃいけないんですが、その全身の病気をコントロールするのになかなか薬つまり抗がん剤でいいのがないと。

私が医者になってからも、いろいろ進歩があったということになっておりますけれども、大体2000年頃には抗がん剤の治療は頭打ちになっちゃいまして、この図のくらいの成績です。これは我々のほうでは有名な研究の報告でありまして、どういう薬を組み合わせて治療しても大したことはなかったということを示しております。ここは25カ月、2年ですよね。2年お元気でおられる方は1割ぐらいになってしまう。だから、5年生存という方は本当に少ないですね。

従来の薬、抗がん剤をいかにしてやっても、これ以上はいかないので、新たな治療戦略を開発しなきゃいけない。次に出てきましたのは分子標的薬剤というやつでありまして、これにはさっきお話あったバイオ薬剤のものもありますし、そうでないものもあります。従来の抗がん剤というのは、薬をがん細胞に振りかけたら、がん細胞は死んだ。だから、これは何かのものだろうということで、どこに効くんだろうということを検討し始めるのであります。この方法では、すぐご想像がつきますとおり、非常に効率が悪いわけですね。例えば、ゴルフ場の脇の土を掘ってきて細胞に振りかけたら、たまたま効いて、そこから薬が出たというようなものですから、当たるも八卦当たらぬも八卦であります。

分子標的薬剤というのは、そうではなくて、がん細胞というのはそもそもかくかくしかじか、これこれこういう性質を持っているのである。それを先に見つけて、それに対してその働きを抑えるという風に開発されるのが分子標的薬剤です。

がん細胞は何でがん細胞か。ここに示しますのは「セル」という雑誌に載った、我々のほうで有名な図でありますが、こういう特徴を持っている。勝手に増えるとか、もう増えるなというシグナルを送っても止まらないとか、等々があります。

ちなみにがん細胞は、非常に早く増えるからがん細胞というわけでもありません。人間の細胞の中で一番増殖スピードが速いのは、正常の胎児です。赤ちゃんですね。ただ、赤ちゃんはがん細胞と全然違う。それは、肝臓ができ、顔ができ、脳ができ等々、分化と申しますけれども、いろいろな機能がちゃんとできている機能体ができてくるわけですね。がん細胞というのは、ただ増えるだけ。で、死なない、あちこちに飛んじゃうというような性質を持ちます。

何でこういう性質を持つかというと、ある程度神様がつくってくれた増殖のメカニズムというのがあるのです。さっき申し上げたように、赤ちゃんなんかも成長しなければいけない。赤ちゃんに限らず我々の体では、細胞は増えなきゃいけない。私の年なんかでは、一見成長は止まっていて、目減りするだけのようでありますが、実は一定の割合で細胞が増えて、一定の割合で細胞が死んで、それでバランスをとれているわけですね。

増えるメカニズムというのはいろいろあって、例えば細胞の表面に増殖因子というのがあって、そこに何か信号がくっつくと、そこからいろんなシグナルが伝わって、これがこうしてこうなって、あれがああしてこうなって、何だかんだで結局、細胞が死ななくなるとか、転移するとか、増殖をするとかという、がん細胞にとって非常に都合がよくて、患者さんにとって、もしくは我々にとって非常に都合が悪いことが起こるわけですね。それを解明した上でどこかで抑えようというのが分子標的治療薬ということになります。

ちなみに、増えるメカニズムというのは無数と言ってもいいぐらいいっぱいありまして、1つのがん細胞では全部が活性化されているわけではなくて、そのうちの1つ2つを使って増えているわけですね。だから、そこを抑えるとその細胞は止められる、ということになります。要するに、やくざがシノギをするときに、どれを一番得意にしているかということでありまして、どこかから儲けを引っ張ってくるわけであります。治療が当たりますと、収入源を断たれてヤクザは音を上げる。この図にありますのは一番最初に出てきた頃の分子標的薬剤ですが、イレッサという商品名で、今も我々も使っております。ここに副腎転移というものがありますが、10センチぐらいのドカンという腫瘍が薬の投与で5ミリぐらいに縮小してしまっています。肝臓もぼこぼこに転移がありますけれども、すっとよくなっている。これはメーカーがつくったスライドでありますから、最も良く効いた例を選んでいるのでしょうが、確かにこういうくらいによく効く人もある。

従来はがんの分類というのは、細胞の形で分類していましたけれども、最近は、おのおのがどういう増殖メカニズムを使っているかということで、がんを分類するほうがメーンになっております。この方法だとかなり細かく分類されるため、この図はちょっと見にくくて読めないと思いますが、ここに「まだ分からない」というのもかなりあります。これはこれから研究が進んでくると分かってくるようになるかもしれません。

それで、さっきのイレッサという薬でありますけれども、この図ではゲフィチニブという一般名が書いてありますが、これは、特定の増殖メカニズムを使っているがん細胞にだけ効果があるわけです。何が証拠には、この薬が出てきた後で、そういう特別な腫瘍を持っている患者さんに限り、予後は倍ぐらいよくなった。そうでない人は全く変わらない。この薬が出てきても、全く何のメリットもないということであります。

この図から2つのことがわかりまして、要するに、外れた薬、外れた分子標的薬剤は、何の役にも立たないということであります。それは、ほかのがん細胞をいかに抑えることができても、このがん細胞には全然役に立たないということであります。それが1つ。

もう1つは、残念ながら治っちゃうことではないわけです。これは生存期間が延びるのは延びるんですけれども、4年、5年ぐらいの生存率を見てみますと落ちてきて、やはり患者さんは亡くなってしまう。どうしてかというと、よく効いていても、そのうち効かなくなる。これを獲得耐性と言います。その薬が細胞に、最初は効果があったのだけれども、そのうち効かなくなってしまう。

どうしてこんなことが起こるのかというと、1つはそこのターゲットになるところがまた変異を起こして、効かなくなる。抵抗性を持つわけです。ヤクザが自分のシノギのやり方を変え、警察の手入れから守るということになりましょうか。もしくは、そこの増殖メカニズムがやられたら、ほかのを利用するようになってそちらから増殖を再開するという場合もあります。つまり他のシノギを見つけてくるわけですね。敵もさる者でありまして、こういうことをやるわけですね。

というわけで、ここでひとまずまとめますと、分子標的薬剤の治療というのは、当たると大きい。外すと全く無効である。というわけで、当たる人と当たらない人を事前に振り分けるとか選択することが、何より重要であります。外れる人に幾らやったって効きませんのですね。この選別はは多くの場合、治療前に腫瘍細胞をとってきて検査することによって、可能です。

もう1つ分子標的薬剤の限界として、いずれ効果がなくなる、ということがあります。耐性ですね。これで腫瘍を根絶することはどうもできないらしいと言われております。一番長いもので3年以上効くこともありますけれども、多くの場合は大体1年内外で効果は失われます。

ただ、こういう薬は、ちゃんと当たると効果が高いのは確かである。この図は抗がん剤の薬価を安いものから高いものまでずっと並べております。コストは体格によっても違いますが、まず標準的な方での月ごとのコストとして作成されています。これが分子標的薬剤ですね。だから、やはり最近出てきたもので、その分、高い薬が多い。

ちなみに、分子標的薬剤以外にも、いわゆる従来の抗がん剤で、だけどやはり高いものはあります。それは必ずしもよく効くものではなくて、副作用が少ないとか何とかということを売りにしているもののほうが多いです。ただ、いずれにいたしましても最近の薬というのは、以前の薬に比べて、倍ではきかないですね。どうかすると10倍ぐらいのレベルで薬価がかかっております。以前の薬というのは結構、後発品なんかも出ておりまして、更に安くなっているものもある。

以上は枕でありまして、これからが本題なんであります。

先ほど申し上げましたがん細胞の特徴というのはいっぱいあるんですが、1つは、免疫のメカニズムから逃げるということがあります。そもそも我々の体には免疫のメカニズムが備わっていて、異物が出たときに排除してくれるようになっているはずであります。それなのに、異物の最たるものみたいながん細胞がドカンと出たときに、何でこれに対して太刀打ちできないのか、考えてみれば不思議であります。

これはそこを簡略化して示した図なのでありますけれども、免疫細胞がぼけっとしていて、がん細胞を見つけられない、というわけではないらしいんですね。がん細胞の表面にはがん抗原というのがあって、免疫細胞はそれを認識して、「こいつや」というのは分かるらしいんです。ただしそのときに、がん細胞がシグナルを出して、そこの免疫反応を抑えにかかる。そのシグナルというのはそもそも神様がつくっていたものでありまして、どうしてそんなのがあるかというと、免疫反応というのは、際限なく起こってしまうと人間は必ず死んでしまうからです。

免疫が強ければ強いほどいいというのは全くのガセであります。例えばスペイン風邪というのは1918年から19年にかけて大流行したインフルエンザの一種です。しかし通常のインフルエンザと違い、あのときに亡くなった患者さんというのは、老人・子供が多かったわけではなくて、若くて元気な人ばかり、ばたばたと亡くなった。なぜかというと、免疫反応が強い人が免疫反応の暴走によって、みんな体がやられて亡くなっちゃったという有力な説があります。

そういう免疫の暴走を抑えるために神様は、免疫反応のストップシグナルをつくっているわけですね。これ以上行くなと。がん細胞は賢いので、そのストップのシグナルを偽装しているわけですね。だから、ここで「ここでこの反応を起こしたら大変なことになりまっせ」ということを出す。そうすると、それを感知してしまって、さよか、ほな引っ込もかということで、免疫細胞がすごすごと、せっかくがん細胞を「こいつや」というのが分かってはいながら、撤退するわけであります。

そこの分子を、京都大学の本庶先生という方たちが発見された。一回これを見つけてしまえばブロックする薬を開発することはできるわけです。そこをブロックすることによって、幾らここで止まれ、止まれと言っても、免疫細胞のほうが其のストップシグナルに気がつきません。これは「ブレーキを外す」というような表現がされておりますけれども、「構へんから、いてまえ」ということで、免疫細胞ががん細胞をやっつけてくれる。なぜかこれは関西弁で説明するのが一番お分かりがいいようです。

さてその薬を臨床で使うとどうなるかというと、これは抗がん剤との比較試験でありますけれども、全体としてみれば大して効かないとも言えます。やはりどんどん患者さんは亡くなっていってしまい、平均的には抗がん剤では6カ月の予後から9カ月に延びるということですが、それではあまり大したことはない。ただし、2年後の成績をみるとだいぶ違う。この辺、治療開始してから1年半ぐらいの時点から生存曲線が落ちない。つまりここから以降では患者さんが亡くならないわけですね。そのままずっと延びていて、もしかしたら、今までの抗がん剤などではあり得なかったんですけれども、この患者さんは治ったんじゃないかというところまで行くらしい。何せまだ薬ができて肺がんの患者さんに使われ始めてから、もしくはこの試験でデータを取り始めてから、5年もたっていませんので、本当にそうかどうか分かりませんけれども、もしかしたら治ったんじゃないか、人によってはそのくらいの効果が出るようです。

だから、効かない人は、ほとんど全然効かないんですけれども、効く人では、効果が非常に長期にわたる。効く人の割合は2割とか3割とか言われています。

というわけで、この薬の場合、有効率は残念ながらさほど高くない。治験というのは大体、条件がいい患者さんが入るので、そのデータは実臨床より良いように見えることが多い。実際にこの薬が去年の12月から肺がんに使われるようになってきて、我々も使っておりますけれども、我々の業界では誰に聞いても、有効率は1割ぐらいだよなというのが大体のコンセンサスですね。がんセンターの元同僚に聞いてみても、やはり1割ぐらいですよねとか言っています。ただしその1割の人には、本当によく効く。

繰り返しますが、有効率は低いけれども、有効例では効果持続が非常に長くて、もしかして治ったのかというところまで行く。

ただし、誰に効くのか分からない。さっきの分子標的薬剤のように、こういうメカニズムでこの薬は効いて、こういうメカニズムでこの細胞が増えているんだから、それを事前に調べて、これには効くけどこれには効かないと判定することはできていません。

さらに、有効例では、いつまで使うべきか分からない。そうすると、途中でやめるわけにいかないんですよね。だって、やっていて効いていて、問題になる副作用があれば別ですけれども、患者さんは非常に調子よくいっているのに、止めましょうかとはなかなかならない。薬をやめて大丈夫ですかと聞かれますよね。それに対して我々はデータを持っていない。大丈夫かどうか分からないけどやめてみようかでは、大概患者さんはやめませんよね。

あともう1つ、無効例で効かなかったときのpseudoprogression(偽増悪)という問題があります。Pseudoprogressionはどういうことかというと、これはCTの画面でありますけれども、ここに出てくる白い塊ががんだと思ってください。そうすると、使っていて2カ月したら、どっと影が大きくなった。通常の薬だと、これはアウトです。絶対にこれから効くことはあり得ません。効かなかったからがんが大きくなったということでありまして、今後も効いてくることはない。つまり同じ薬を使って、これが小さくなることはあり得ないのです。ただそんなに割合は高くないとは言われますけれども、この薬に限っては、同じように使い続けて、その後でしゅっと小さくなっちゃうことがあり得るということを言われております。

これは要するに、リンパ球が集まって来てそこの影として出ているということらしいんです。今のCTその他ではこれが、がんが大きくなったのか、ほかのこと、例えば一過性に免疫反応が起こっているだけなのかを区別することはできません。ということは、どういうことかというと、使い続けなければしようがないわけですね。この段階で効いていない、もうダメだということを判断することができないのであります。

つまりやめどきが分からないということであります。薬を使っていて、今までは、影が大きくなったからもうだめだよ、諦めよう、残念だけど、次の治療を考えようと言っておりましたけれども、この薬に限っては、いったん悪くなったように見えても、これからまだよくなるかもしれない。そうすると、患者さんからすると、ずっと使ってくれということになりますよね。実際、ごくわずかですけれども、それで結果的にうまくいく人はいるらしい。

そうすると、従来の抗がん剤だと、効果は大したことないんですけれども、やめ時ははっきり分かっていた。分子標的薬剤は、時々はだらだら使うこともありましたけれども、とにかくまず事前に患者さんは選択することができて、効き目がなさそうな人には初めから使わない。そして選択した患者さんの中では有効率が非常に高い。Checkpoint inhibitor、免疫の薬は、効果は当たる人には非常によく、長く続くらしい。その有効率はせいぜい2、3割なんですけれども、誰に使っていいのかわからないということは、全員に使わなきゃしようがないということになります。

そして効いているときには、どこまで続ければよいのか分からない。効いていないときにも、いつやめていいかわからないから、要するに死ぬまで使うのかという話になります。どんどんお金はかさみますね。そしてその治療コストはどうなるのか。これがしゃれにならないぐらいのコストであります。さっきの、肺がんに対する最初の分子標的薬剤であるイレッサというのは、出てきたときは1錠7,200円ちょっとでしたかね。今は6,700円まで下がっています。7,200円ちょっとの薬が出たときには、高い薬が出てきたなと我々は思いました。ですけれども今、年間コスト、365を掛けますと、245万円。これは今や、コストパフォーマンスが一番良い薬になってしまった。

アレセンサというのは、分子標的薬剤の中では一番よく効くぐらいのもので、イレッサとは別のタイプに対して効くんですけれども、これは3年以上効果がもつ人が多いんですが、それは1年間使いますと、1,000万円弱ですね。

オプジーボはどうか。これは体重によって決まりまして、私はちょうど体重60キロなんですけれども、60キロだと、1回133万円で2週間に1回ですから、掛けますと、1年間で3,500万円です。繰り返しますが、これをやって効くかどうかというのは事前に分かりません。やって効いた人だと、1年、2年、3年と投与が続く可能性が高い。2年で7,000万円ということになるかもしれない。効かない人でも、どこまでやっていいか分かりませんので、出来る限りずっと使い続けるということになります。

これが登場して、薬価のグラフはどうなるのか。さっきのグラフはここまでですね。この辺の、最近の薬は高いなと言っていたんですけれども、そんなレベルじゃなくて、さらに図抜けてずぼーんと高くなったということであります。

この薬は、誰に使えばいいのか分からないから、全員に使う。効いた人にはいつまで使っていいか分からないから、ずっと使う。効かない人にもいつ諦めていいか分からないから、死ぬまで使うということであります。そうするとどうなるか。肺がんの患者さんは非常に多い。2015年は推定で13万人。この中でも、この薬の適応になるタイプは非小細胞肺がんというのでありますけれども、全体の8割強ですから、10万人強くらい。その中で冒頭に申し上げたように、治らない人が8割ぐらいでありますから、少なく見積もって5万人としましょう。もし1年間使うとなると、どうなるかというと、5万人に対してさっきの3,500万円を使うと、1,750,000,000,000円になりますが、この桁がなかなか読めない。1兆7,500億円でありまして、あの幻の国立競技場が7つできる。この薬があと2つ出てくると、5兆円になりますから、日本の防衛予算が全部飛ぶぐらいのことになります。

実際は、いつまでやるか、諦めどきが分からないといいましても、1年間諦められずに、結果的に無駄な投与をするということは少ないだろうと思いますので、このくらいかなというのをシミュレーションしますと、3分の1前後として6,000億円から8,000億円ぐらいじゃないかなと思っております。では6,000億円というのははした金かというと、決してそんなことはないはずでありまして、この間、自民党と公明党が軽減税率で綱引きして、公明党の主張が通ったら6,000億円の財源が足りない、これはどこから出てくるんだよという話を、私は新聞でちょっと読んだだけですから分かりませんけれども、そのくらいのお金であります。

それでなおかつ、これで決まりではないんです。これが最後でもなんでもないんですよ。この薬はあくまでも、1つの病気に対しての1つの薬にすぎないわけでありまして、この薬はほかにもまだ使われるようになります。この手の薬はほかにもまだ出てきます。そうですね。この薬はほかの病気にも使われるし、ほかの薬も出てくるわけであります。今の6,000億円とかなんとかいう数字は、Only one drug for one diseaseのものでありまして、そんなことでもつのかよと言うと、大体この話を聞いたみんなが黙ってしまいます。

アメリカでも問題になりまして、この言葉が出て来た。Unsustainable。持続不可能。アメリカは大体、コストのことはあまり考えない国でありますけれども、それでもさすがにというので、考えるドクターが出て来た。これはメモリアル・スローン・ケタリングというニューヨークのがんセンターのレオナルド・ザルツ先生という、この分野に関しては先駆者の一人ですね。先ほど私が出した薬価のグラフと同じような図が出ておりまして、70年代から薬価は少しずつ高くなってきたけれども、最近の薬で、どーんとスライドからはみ出すくらいになった。

これは、ニボルマブと同じようなペンブロリズマブという、日本でも承認されつつありますけれども、その薬を肺がんに1年間使うとどうなるか。アメリカ人ですから体はちょっと大きくて、体重75キロで計算しています。そうすると1年間で100万ドル。100万ドルって、1億2,000万円ですか。もつはずがないだろうということであります。

ちなみに、アメリカはどうやって皆さん使っているかというと、個人保険ですよね。アメリカで今、こういう薬を含めて、どういう病気になってもちゃんとした医療を受けられるぐらいの保険に入ろう、家族の誰がそういうふうになっても保険に入ろうとすると、ファミリー特約みたいなものでしょうか、そういうものに入ろうとすると、保険料と自己負担で大体、中産階級の勤め人の年収の半分が持っていかれるとされております。普通の勤め人の中産階級というのがどのくらいか分かりませんけれども、2028年には、その割合は100%になると言われております。100%って、どういうことかというと、通常の勤め人は保険料のためにだけ働かなければいけないということです。

というわけで、諸外国ではどう考えているのか。このスライドのパーソナルコミュニケーションというのは私がしたわけではなくて、私の後輩の医者がしたものでありますけれども、アメリカでは、とはいいながら、使わないわけにはいかないと答えている。アメリカは金持ちがいい医療を受けるということに、そんなに疑問を持たない国でありまして、だから使うのでしょう。ヨーロッパは、これはさすがに今の状況では無理だなと。アジアの医者は、こんなことをどんどん使うなんて、絵そらごとであると。アジアはちなみに、ブータンとかネパールとかではありませんで、韓国と台湾だそうであります。韓国、台湾ぐらいのレベルの国で、こんなの無理だというふうに音を上げております。日本は、夢の新薬と言っております。コストはどうなんだ。だけど使わざるを得ない。

何でこんなに高いのよということでありますけれども、それは別に、薬屋ががめつくもうけているからというだけではない。もうけてはいるんでしょうけれども、それだけとは言えない。確かに薬の開発コストは、先ほど宇波さんのお話にもありましたけれども、高くなっている。この図は、一定のお金を投資したときに、どのくらいの薬がちゃんと出てくるかというグラフだそうでありまして、だんだん少なくなってきている。ということは、要するに1つの薬に対する開発コストが高くなっているのです。大体9年ごとに開発コストが倍になっているそうであります。倍々ゲームで開発コストも高くなっている。

日本の医療費はどうかということを、私が申し上げるまでもありませんけれども、40兆円だそうでありまして、うち薬剤費は10兆円。薬は10兆円ですから、10兆円のところに1兆7,500億円がどんと降ってくるなんて、とんでもない話であります。その高い薬は誰が払うのかというと、3割負担ではないわけですね。

ちなみに、これもこの間聞きましたけれども、ヨーロッパ、アメリカは、日本はどんな薬でも3割負担だと、ずっと思っているそうであります。高額療養費という制度を幾ら説明しても、そんな都合のいいシステムがあるはずないと、なかなか信じてもらえないそうであります。

高額療養費とは何ぞやというと、要するにいろいろな薬、いろいろな治療法があって、高いやつから安いやつからあるんですけれども、ある一定を超すと、全部ここでおしまいというやり方であります。そうすると、後で戻ってくる分を含めますと、患者さんの負担はもとのコストによらずみんな同じであります。だったらいいやつを使ってくださいよという話になるのは当然でありますね。

これでシステムがもつかというと、私はもたないと思います。繰り返しますが、これはone drug for one diseaseであります。こんなのがどんどん出てきます。ジェネリックがそのうち出てくるじゃないかと。ジェネリックが出てくるまでには5年だか8年だか知りませんけれども、その間に次の薬が絶対出てきています。医学は進歩し続けます。非常に皮肉な言い方ですけれども、進歩し続けます。何か、寿命は120年になると主張する人までいる。120年生きてどうするんだというのはこっちへおいておいて、寿命は延びていくんですね。

今、超高齢社会では、病人は増えます。私はかつて若い時に救命センターで研修したことがありましたけれども、そのときは本当に若い人の交通事故とか、もしくは飛びおりとか、子供の事故とか、そういう患者がメインでした。今は救命センターのドクターにお聞きすると、年寄りばかりだと言われています。年寄りというのは病気になるんですね。年を食ってくると、どんどんご病気になっちゃうわけですね。だから薬は高くなり、それを使う病人は増える。

さて、有効な新薬が出たときに、さっき申し上げたように、「この人に効くから使う」という判断が出来るのが理想ではありますけれども、なかなかそうはいかない。まだわからない状況、だけど一定の割合で効くとなったら、やはり患者さんの命を救いたいというのが主眼ですから、まず使う。使いながら、それをマスターしていくということになりますね。まずは結果的な無駄を厭わず、とにかく使っていく。

だから、今まで我々は、それで行け行けどんどんでやっていた。そうですね。考えていたら進まないわけであります。やっていくうちに分かっていくこともあり、それでより多くの患者が救われるようになる。というわけで、医学・医療では、私がこの場で申しあげているようなことは非常に異端でありまして、医者はコスト云々を考えない、若しくは考えるべきではない、ということになっています。大体肺癌学会のお偉方はこういうことを言っています。「コストは国が考えるべきだ」。「医療経済は、現場の問題ではない」と。

時間を超過してすいません、ちょっと長くなりますけれども、費用対効果というのは大体こういうふうに計算するというのをちらっとだけ。既存薬Aと新薬B。A薬は100万円、B薬は150万円。100人使うとA薬は60人生きる、B薬は80人生きる。そうすると、これを計算すると、1人当たり助けるのは、A薬は167万円でB薬は188万円だから、A薬のほうがコストパフォーマンスがいいかという話になりますけれども、じゃあAのほうがいい薬かというと、あまりそうは思わないですね。だって、Bは80人。20人余計に助かるわけでありますから。

問題は、Bのほうを使うのではありますが、そこで重要なのは、追加の5,000万円を払う価値があるかどうかであります。さっきのAとBのおのおので1人当たり助けるのにどれぐらいかというのを、cost effectiveness ratio(CER)と言います。BがAに比べて1人「余計に」助けるためにどのくらいお金がかかるかというのを、incremental cost effectiveness ratio(ICER)、増分費用効果比といいます。要するに、20人余計に助けるために、5,000万円余計にかかる。だから、1人余分に助けるために250万円。

問題は、これが高いのか安いのかということでありまして、これを払えるか、払うかというのをwillingness to payといいます。それを払うかどうかということですね。誰が決めるかというと、払う人が決める。だから、自腹で払う人は、自分が決めるわけですね。一方、国民皆保険で、高額療養費で、要するに国家が負担する場合、国家が決めるわけになります。これがCERとICERの説明図でありますけれども、これは後で見ていただければお分かりになると思います。

それで、どのくらいが結局、1人1人の、そう言っちゃなんですけれども、命の値段として適切か。これはWHOもその基準を出しておりますけれども、やはり各国の経済事情によって異なると。1人当たりGDPの3倍を超えるとよくない、という目安らしいです。日本は大体400万円弱だそうでありますから、大体1,200万円を超えると、コストパフォーマンスが悪いことになります。さっきのニボルマブというのは1年間で3,500万円使う、それだけで3倍でありますね。

じゃ、実際の話、自分がどのくらい病気になって、どのくらい払うのかというと、あまりそこまで払うという人は少ない。すぐ諦めるという人も多いですね。100万円未満。これは医学部の4年生のアンケートらしいんですけれども、医学部の4年生になって、自分の命の値段というのは100万円もないというのが3割ぐらいいる。いいのかこれでと思うんですけれども、そういうようなことです。

その上さらに、ICERなど、ああいう従来の費用対効果の解析では不十分だという論文も出ております。これはさっきのザルツ先生の同僚のピーター・バッハという、同じくメモリアル・スローン・ケタリングのドクターがお書きになったものです。どうしてか。従来の薬Aに比べて、この薬Bがこのくらいコストパフォーマンスが何たらかんたらというのは、まずもう時代おくれである。なぜならば、従来の薬自体もコストがものすごく高くなっている。だから、プラスでどうこうというプラス分だけ見てもしようがなくて、全体のコストはもっともっと高い。

もう1つ。高い薬はどんどん出てくるんですけれども、common diseases(ありふれた病気)に対して開発される。ニボルマブにしても、今までは悪性黒色腫、ほくろのがん、日本人では大体数百人レベルの患者さんしかおられなかった病気に対しては出ていたんですけれども、肺がんという何万人単位の病気に対して適用された。そうすると、使う患者の数がどんと桁違いになるわけでありますから、一気に財政を逼迫するということになります。

そうすると、けち臭いけれども、コストの問題を見据えて、なんとかして破滅に至るのを回避しなければならない。まずバッハ先生は時代遅れと指摘されましたが、それでも費用対効果を考慮することから始まる。また、普通は何か競合品が出てくるとそのものの値段は下がる、というのが資本主義での自由競争の原理のはずですが、薬の値段だけは何でか分からないけれども競合品がどんどん高くなるというのは不思議なところであります。これがなんとかならないか。あと、どうして薬価が高くなるかというと、承認に当たってのハードルが非常に、まだ無駄に高いので、それを規制緩和することで、大分違うというふうに言われております。

適正使用。これは私自身がやろうとしていることでありますけれども、さっき申し上げたように、だめな人に対しても、いつまでやっていいのか分からない。じゃ、この人にはもうだめだよというようなデータをつくろうというものです。これは研究として非常に暗いんですよね。この人に対してよくなる、よくするというようなものではなくて、あなたはもうだめなんだから、諦めなさいと引導を渡すデータを作るものです。今までこういう人は50人いたけれども、1人もだめだった。100人いたけれども、1人も助からなかった。だから、もうここで諦めてちょうだいなと宣告するための研究ですから、めちゃくちゃ暗いんです。

有効例に対しても、ずっと使い続けるのではなくて、ちょっと怖いけれども、ここでやめてみない?ということを検討すべきである。もしかしたら不要な投与をずっと続けているのかも知れませんから。あと、医者はどうしても、新しい薬を使いたがって、不適切な使い方でどんどん治療してしまうことがありますけれども、それは保険査定などで厳しくチェックしなきゃいけない。

ただし、それだけではおそらく間に合わない。まだこれはone drug, one diseaseですからね。総量規制をかけなきゃいけないだろうと思います。高額療養費を見直すのか。そうなると経済的に使えない人が出てくる。それとも年齢制限をするのか。現時点でニボルマブの投与最高齢は100歳だそうであります。この薬は、100歳の人が苦しんでいるのを助ける、症状を取る薬ではありません。100歳の人に3,500万円かけて、101歳にするんですよ。有史以来、人類がここまでぜいたくになったことがあったのかと思いますね。じゃ、何歳がいいのか。本当に区切ることができるのかどうか。今我々が置かれているのは、救命艇状況です。救命艇の定員は絶対的に足りないわけであります。非常につらい状況でありますが、誰かを切らないと共倒れになるのではないか。年齢で区切るのか。アメリカのように、お金で区切るのか。どこかで区切らなきゃいけない、誰がどうやって区切るのかということになります。

これは、非常に不愉快な話であります。コストは医学の進歩と直接リンクしておりますから、つまりは患者さんの利益とリンクしているわけであります。今、これに手をつけようということは、今はみんなに治療が出来ている患者さんに対して、治療を受けられない患者をわざわざつくることになります。そうですね。今、みんな希望を持って治療をしようとしている人に、あなたはもう諦めようと言わなければいけないことになります。だから、ある意味では昭和初期の軍縮みたいなものでありまして、マスコミや国民世論の猛反発が予想されます。患者を、国民を見捨てるのかとか、私にとっては研究した仲間を裏切るのかという話になります。

我々はそこまでの覚悟を持てるだろうか。誰のためにか。誰のためにかというと、もし高齢者含め今の患者を全部切らないとしますと、誰を切るかというと、明らかでありまして、これは若い人を切るんですね、次の世代にツケを回し、次の世代を見捨てることとイコールです。

私は日赤看護大学で、看護大学生に対してゼミを持っています。この子達はみんな熱心で優秀で、みんなとても可愛い。この子たちがいて、この子たちを頼りにする将来の患者さんがいるのです。その患者は我々の子供であり、孫である。医療者側にも、患者側にも次の世代があるのだ。そうである以上は、やはりこの問題は避けて通れない。私はそう考えています。

時間を超過してすいませんでした。(拍手)

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。なかなか重たい話ですね。

それでは、どなたからでもご意見、ご質問。どうぞ。

〔 南場委員 〕 大変重要なご指摘をいただいたと思います。非常に難しい問題であるということが、素人にも分かりやすかったと思いますが、1点だけ教えていただきたいのですが、この手の免疫チェックポイント阻害剤の歴史が非常に浅いがゆえの問題というのがどの程度なのか。具体的に言うと、論文の上では20%の即効率、先生の感覚では10%とすると、有効なバイオマーカーが見つかればコストが10分の1になるというのが、まだ見つかっていないだけなのか、何かメカニズム上、誰に効くかが分からない類いのものなのかと。

それから、肺がんだと2週間に1回だけれども、黒色腫だと3週間に1回じゃないですか。この辺のプロトコルの違いというのも、歴史が浅いからなのか、もう少しデータが蓄積されてくると、最適、あるいは一番長くとってどれくらいでも有効なのかというデータが集まってくるものなのかどうかということ。

それから、無効例。無効と思われている病巣の拡大したものが、3カ月、4カ月たつと縮小し始めるというケースがあって、無効でもやめられないというお話がありましたが、今の先生のお話ですと、感覚としては1年以上効かない場合は、効かないと判断していいのではというようなことも、データが増えるともう少し、バイオマーカーが見つからなくても、半年以上たって効いた例はないねなど、期間を短くしていくことができれば、コストが10分の1あるいは5分の1に下がってくる可能性があると思うんですよね。

3つ言いましたが、それは別々の問題ではなくて、このように非常にコストが高いという課題が、症例が増えて研究が進めばどの程度解決される問題なのか、その辺を教えていただければ。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 まず、バイオマーカーに関してでありますけれども、それはおっしゃるとおりでありまして、この人は効かない、この人は効くということが分かれば、コストは大分軽減されます。効かない人には使わないということができればいいのですが、さてそれが果たしてわかるのか。少なくとも現時点までのいろいろな解析では分かっておりません。

ちなみに、最終的にこれがわかるかどうかも分かりません。例えば、血管新生阻害剤と称する一連の薬剤がありますけれども、それに関しても、効く人と効かない人はあるはずなんですが、もう出てきてから10年以上たちますが、いまだに有用なバイオマーカーは出てきておりません。だから、いまだに、みんなに使わざるを得ないという状況です。

チェックポイント阻害剤に関して、バイオマーカーから患者選択ができるのかどうかというのは、現時点で不明でありますが、私はどっちかというと悲観的です。今までひっちゃきになってやっていて分からなかったものが、そんなに今年、来年、再来年、ぽっぽっぽっと出てくることはないだろうと思います。

もう1つ、例えば30%に効くとしまして、こっちの人には10%に効かなくて、こっちの人には50%効くというバイオマーカーができたとしますね。そうすると、それは科学的には非常に価値があることで、論文にもなりましてその研究者の業績にもなります。じゃ、しかし実際問題として、臨床的に役に立つのか。こっちの人、50%効く人はオーケーでいくとして、10%しか効かない人は、10%しか効かないから、あんた、諦めろと言えるかというと、なかなかそうは言えないですね。ほかの治療手段のほうが優先するだろうとは思いますが、最後には、だけど10%効くかもしれないんだから、やっぱりやりたいと思うのは人情ですよね。

だから、限りなくゼロに近いところまで効果がないという基準を作らないと、実際に臨床的に使えるようなマーカーにはならない。それは分子標的薬剤、イレッサのようなものに対しては出ておりますけれども、この手の免疫療法剤に対してそこまで行くかというと、そんな簡単には出てこないんじゃないかなと思います。

その次の問題、用量の問題でありますけれども、何でメラノーマが2ミリパーキロが3週置きで、肺がんが3ミリパーキロが2週置きで、これを直すと2倍以上の差になるんですけれども、というのは分かりません。誰に聞いても分かりません。メーカーが適当に、えいやで決めたらしいということしか分かりません。実際には大して副作用とかは変わらないというのが、この辺の薬の変なところであります。

ただ、実際問題として、どうもメラノーマの3週置きでちょっと少な目の量というのは、欧米のデータに比べて治療効果がいまいちではないかという説もありまして、先生がおっしゃるのと逆に、肺がんの投与量を少なくするんじゃなくて、メラノーマのほうを増やす方向でいくような雰囲気です、残念ながら。

あと、pseudoprogression、偽増悪。やっていたら大きくなるけど実は効いていてそのうち小さくなる。確かに1年もそれを期待して治療を引っ張るような人はおられませんけれども、例えば半年の段階でというようなことをしても、半年の段階でも1,700万円から1,800万円。そこまで使っちゃって結局だめだったというのは、あまりにも効率が悪いわけであります。今、私がデータとして集めようとしているのは、できれば一月ですけれども、せめて治療開始後二月の間に、かくかくしかじか、これこれこういうパターンは、CTの所見とか何とかはまた別にして、こういう人はもう効かないから諦めようというのを早期に見切るというものです。

だけど、従来のデータ集めというのは当然のことながら、患者さんを助けようと思って研究しているわけであります。私のように早いこと諦めようと思って、そういう目で見てデータ集めということをやっている人は、ほとんどいません。そんなひねくれたというか、貧乏たらしいというか、けち臭いというか、そういうことをしている人はほとんどいませんが、私はそれをあえてやろうとしています。できれば一月、二月の間に、諦められる因子というのが出てこないか。しかし「研究」である以上、うまくいくかどうかの保証は全くありません。

〔 吉川分科会長 〕 それでは宮武委員、末澤委員。

〔 宮武委員 〕 大変勇気あるご発言で、敬意を表します。それを前提に置いて、若干釈迦に説法のような私の意見を入れながら、2点ほどお聞きしたいんです。

社会保障制度のほとんどの制度はナショナルミニマムの保障で、基本的な保障や最低限度の保障にとどまるわけですが、医療だけは、例えば月額で500万円までは公的な保険で見るけれども、それを超えれば、それはあなたの責任だよということにすると、まさにそれは金の切れ目が命の切れ目になるので、オプティマムの保障、最適保障というものを目指してきたわけですね。それは医療の特殊性だと思います。

現に今、月額で400〜500万円以上の医療費を使うのは、今正確なデータを手元に持っていませんけれども、少なくとも年間で4万件以上だと思われます。そのくらい多いですね。ただ、先生のおっしゃるとおり、最適保障にも限界があることは、まさにそうだと思います。

その前提をおいた上で、1つは、日本の場合は医薬品も医療行為も全て公定価格でやっていますので、いわばコストのコントロールはしやすいわけで、フランスなんかはこのC型肝炎の新薬については、去年から、すごく儲かった製薬会社から拠出金をとっているということですね。そんなことをやっていますから、日本でも抑えることはできる。長い間かけて徐々に下げていく。先生がおっしゃったように半分ぐらいまで抑えていくのは可能ではないか。

それと同時に先生の、ここでやめたほうがいいとか、この方には効かないよという研究が、極めて大変な研究ですけれども、それがかみ合ったことによって、何とか乗り切れないのでしょうか。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 具体的な話になっていないので何とも言えないですけれども、財務省が研究に協力してお金を出してくれそうだという話は、私は寡聞にして聞いておりませんので、それはこっちへおいといて。まずこのニボルマブの薬価からすると、半分になったとしてもべらぼうに高いわけですね。

ニボルマブは、さっきは無効例のことばかり言いましたけれども、有効例で、効く人で、果たしてずっと続けなきゃいけないものかどうかというのも問題です。途中でやめてもいいんじゃないかということに関しては、開発者の京都大学の本庶先生は6回ぐらい、要するに2週間に1回だから3カ月ですね。3カ月ぐらいやっておけば、もしくはもうちょっと続けて、半年くらいやっておけば、それで免疫反応というのは十分持続するはずなので、オーケーじゃないかとも言われております。だから、そういう、有効例に対する適切な治療期間の検討、というのも別口の研究としてやりたいところですけれども、これはもっと難しいかもしれませんね。

ただ、ニボルマブではそれができるかもしれません。それで半分、3分の1にコストを下げることができるかもしれません。だけど、それを達成するのに何年もかかる。その間に、下手すれば、兆の単位のお金がかかるわけですね。繰り返しますがもともと10兆円の薬剤費のところに。

加えて、くどいようですけれども、これは「1つの病気、1つの薬」です。医学は発達していますので、本当に皮肉な言葉になりますけれども医学は発達していますので、次から次へ、どんどん出てきます。この薬にけりがついて、コストを削減してうまく使えるようになった頃には、ほかのもっといい薬が、もっと高い薬が出てくると思います。そういう、いつ終わるともない自転車操業でいけるのかというと、ここから先はシミュレーションで計算してみないと分かりませんが、私は普通に考えれば、できないんじゃないかなと思っています。

〔 宮武委員 〕 高額療養費については、いわば再保険の仕組みで我が国は対応してきたわけですね。健康保険組合連合会で言えば、翼下の組合に保険料率の0.1%分を拠出させて、それをプールして、その中から、月額120万円を超える医療費を支払う再保険で対応してきた。各保険者ともそういう形をとっていますが、例えば75歳以上の後期高齢者医療制度では、高額療養費についても公費と各保険制度からの支援金に頼っている。

年齢ということでいえば、その制度下の人たちに対しても高額療養費用の新しい負担を求めるというアプローチはあると思うんですね。それに耐えられない、嫌だとおっしゃれば、そこでやっと先生のおっしゃるような年齢制限という話が少しは見えるのかなと思いますが、いきなり年齢制限と言い出せるような政治家は、日本には絶対いないと思います。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 そうすると、高齢者の場合は働ける間、保険料が払える間は治療が出来て、お金の切れ目が治療の切れ目になるということになりますが、それが果たしてどのくらい倫理的に正しいのかですね。例えば75歳でも、寝たきりに近いお年寄りもいるし、75歳以上でも現役でバリバリ働いてバンバン稼いでいる方もおられる。だけど、そういう社会的なことを加味するということは、人間の価値を決めてしまうということになりかねません。もっと言えば、例えば生まれたときから障害をお持ちで、ずっと人の世話になって介護を受けていなきゃいけない人は、もうそれで病気の治療なんかしなくていいのかということになると、そんなことはないわけであります。

一番公平なのは、私は年齢じゃないかなと思っておりますけれども、ほかの基準があれば、そのほうがいいかもしれない。ほかの基準があって、科学的で、倫理的で、社会的に許容できるものがあれば、もちろんそちらがよろしい。

〔 吉川分科会長 〕 ただ、先生からお話を伺った今日の特定の薬価については年齢ということですが、お話を伺っていると、一般若年者で、すごく重度の交通事故に遭った場合なども含めた、いわゆる終末期医療一般にもかかわるような問題じゃないかという気もするんですが、その場合にはもちろん年齢ではなくて。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 そうですね。だけど、その場合はどこかで、この人はこれこれこういう理由で見込みがないからという基準作りをしなきゃいけないですね。

〔 吉川分科会長 〕 そうですよね。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 その基準もまた非常に難しい。

〔 吉川分科会長 〕 末澤委員。

〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございました。本日のプレゼンの資料の11ページと19ページを見させていただきますと、最近の薬価の高騰が極めて顕著だということが改めて再認識できたのですが、ただ昨年、TPP、環太平洋パートナーシップが大枠合意になった際、最後まで残った調整項目が、このバイオ医薬品のデータ保護期間だったと理解しているのですが、今後、TPPが仮に来年以降発効した際に、こういうバイオ医薬品に対する規制が何か変わるのかどうか。そういうのがもし何かあれば、これは事務局のほうがよろしいかもしれませんけれども。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 私が答えるべきものじゃないような気がするんですけれども。

〔 吉川分科会長 〕 土居委員、佐藤委員、板垣委員、赤井委員の順で。

では土居委員から、簡潔にお願いします。

〔 土居委員 〕 簡潔に2つだけ。

まさにおっしゃった点、問題意識は私も大変同意するわけです。そこで、1つ専門のお立場としてお答えいただきたいのは、各専門の医学会が薬の使用などについてのガイドラインを定めるというやり方というのは、このような場合には有効なのかどうかということをお伺いしたい。

それからもう1点は、もちろん1つの薬での高額薬剤の問題も大変重要ですし、あともう1つは、多剤投与、ポリファーマシーですね。これもまた、かなり問題で、例えばレセプトデータで悉皆的に見ると、社会保険だと20%ぐらいが、それから国民健康保険だと40%ぐらいの薬剤費が、10剤以上投与しているという形で薬剤費が使われているということも、最近内閣官房の研究会などでは明らかになってきていて、10剤も使用していると、当然アドバース・ドラッグ・リアクションなども起こったりすることがあるということですから、高額薬剤の問題も解決する必要があるし、多剤投与の問題も解決しないといけないと思うんですけれども、その2点をお伺いしたいと。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 まず、ガイドラインのことでありますけれども、ガイドライン委員会の立場からすると、要するにデータでさっきの生存曲線がこうなって、このくらいいいとか何とかと統計学的に証明されれば、それで「いい治療」として推奨せざるを得ないそうです。

コストのことは今まで検討したことがない。やったことがないのを自分たちの代になってするのはというふうになりまして、というわけで、じゃ、外部委員を入れるなり何なりを検討するとかいうことを聞いたことがあります。だけど、外部委員でやるということは、要するに、その人たちに丸投げするのかという話にもなりかねませんよね。で、うなっています。今のところ、うなっているだけです。

私はコストの問題は、ガイドラインに入れるべきだと思いますけれども、ちらっとほかの方にも申し上げましたが、私はこういうことをすると、大体皆さんから嫌われます。学会でも孤立しておりますので、あまり言っても通らないですね。それが第1のご質問に対するお答え。

ポリファーマシーのことについては、この機会に申し上げることがあります。今日この財審で話すに当たって、前の東京大学の生物統計の教授で、今、中央大学におられる大橋靖雄先生という方から、ぜひこれを言っておいてくれと頼まれました。生活習慣病などの外来治療、糖尿病なんかですね、その包括化を主張してこいということです。これが本命であると言われました。私はそういう患者さんを実際にあまり診ているわけではありませんけれども、大橋先生いわく、これが一番問題であるから、ぜひ言ってきてくれとのことです。ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 私も手短に、質問になると思います。いただいた資料の19ページに出ているのは、R&D efficiencyですが、年々下がっているということで、逆に考えてみると、2つの問題があると思うんです。

1つは、高額な薬を保険適用するべきかどうか。そこに命の線引きというのが問われてくるという問題と、もう1つは、そもそも薬の開発自体が過剰開発になっているのかどうかということ。つまり、軍拡競争じゃありませんが、ある意味、我々は極めて過剰な投資をこの分野にしているのかということ。これは医学の進歩と言いました。進歩をするのは分かりますが、どれくらいのコストをかけて進歩するべきかというのは問われるべきものだと思うので、果たしてこの分野は少し過剰投資なんでしょうかということを、1つ伺いたいのですが。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 保険適用に関しては、これも受け売りでありますが、日本は一番、薬が保険適用される、保険償還になる国らしいですね。日本で保険償還されない薬というのは、例えばバイアグラとか、インフルエンザワクチンとか、そういうようなものだけでありまして、大概の薬はどんな薬でも保険償還される、ある意味で非常に恵まれた国だということになります。

あと、過剰投資かどうかということについては、結局のところ、命の値段はどのくらいかということになりまして、これも古典的な論文でありますけれども、15年前に比べて、転移がある大腸がんの治療成績は、大体寿命1年のところが2年になった。倍になった。そのためにかかる薬のコストは、340倍になったという報告がされております。2倍延ばすために340倍。これが進歩なのかどうなのかって、多分進歩なのでしょう。だけど、この進歩はどこまで、さっきの言葉、サステーナブルであるのかと。

だけど、それはどこかで線を引くのであれば、命の値段はここまで、これ以上はサステーナブルじゃないということをしなければいけないんですね。今のところは、どんなに高いコストを使った薬も、出てきた薬に需要があれば、メーカーとしては作って、売るでしょう。逆に、それをもってもうけようとしますのは、私は当然だろうと思います。それはペイするということですよね。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。では、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 どうも大変興味深い報告をありがとうございました。

2つだけ質問があります。1つは、開発コストが高い、だから高く売らざるを得ないと言っていますが、先生の実感として、本当にこの開発コストというのは透明性があるのかどうか、その辺をどのような印象で持っていらっしゃるかというのが1点。

それから、薬とは違いますが、混合診療には入っていますが、効くのに保険適用外というものに重粒子線の治療があります。私の知り合いでも、5年しか生きられないと言われた骨のがんの患者さんが、重粒子線治療で20年間生きました。そのような例をたくさん聞きますが、保険の対象になっていない。今回の薬についても、これは重粒子線とは違いますが、薬で効くかどうかはもう1つはっきりしない。効く人も相当いるということがありますが、この問題はどう考えたらいいのか、見解をお聞きしたいと思います。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 まず、開発コストの透明性に関して。よく言われるのは、メーカーはだめになった薬の、最終的にポシャった薬の開発コストまで、実際に上市された、市場に出てくる薬の値段に含めなければ、商売が成り立たないという話がありますね。これはそのとおりだろうと思うんですよ。

ただし今は、私のこれも聞きかじりですけれども、メーカーが出す資料では、かくかくしかじか、これこれこういうわけで、このくらいの薬価にしてちょうだいという時に、開発コストに関しては、ほかの薬のことはこれっぱかしも書いていないんだそうです。どこに含まれているのか、誰も知らない。学会でこの問題を取り上げた去年のシンポジウムのときに、メーカーの人もいっぱいいましたから、誰かコメントしてくれませんかって、誰も黙っちゃったんですね。だからおそらく、透明性があるとは言えないだろうと思います。

ただ、ちらっと申し上げましたけれども、メーカーの開発段階は別にして、我々のほうで、ある程度これはどうにかなることがあるかもしれない。治験の段階になった時に、要するに人に対して使うときに、ぐちゃぐちゃ、こんなのどうでもいいじゃんというような規制がいっぱい入っていて、それに対するコストがばかにならないようでありまして、これをどうにかすれば相当おさまるとは言われております。

もう1つの重粒子線について。重粒子線が本当に効く人は確かにおられます。ただし、誤解も多々あって、例えば、ここに病気があって、ここに転移があるんだけれども、この転移のところだけに重粒子線をかけてくれ、というのは全然意味がないんですね。そこの病気をコントロールしたところで、ここには本体があるわけでありますから。

また、重粒子線で効果がある場合に、ほかの放射線治療で効果がある場合もあります。つまり、重粒子線だから治ったのかどうかは分からない。本来的には比較してみないといけないんですけれども、なかなかそれは難しい。重粒子線はまだデータは少ないのですが、例えば陽子線。陽子線はいろいろなところに出てきましたけれども、実際問題としてあまり使い道がないというデータも出ています。プロトンバブルとかと言う陰口も叩かれていて、インディアナ大学は陽子線に見切りを付けて撤退したということまで言われております。各施設いろいろなところで陽子線の施設作られましたが、かなり怪しくなってきています。重粒子線はどうかというと、まだこれからでしょう。

ただ、これは薬にも多少関係あるのかもしれませんけれども、いずれにせよ設備に多額のお金をかけないといけないのですが、どんとものすごい投資をされてしまいますと、これでもってデータで、これはよくなかったとかとは非常に出しにくい。どうしてもやはり行け行けどんどんになっちゃうような感じはありますね。重粒子線が患者さんのベネフィットになるのは確かにありますが、今、重粒子線の治療を受けている人が、みんながそうであることは絶対にない。それをいかにして検証するか。比較のデータってなかなか難しいんですけれども、出すことは要求されると思います。

〔 吉川分科会長 〕 赤井委員。

〔 赤井委員 〕 大きな話になるかもしれませんが、今までの話を聞いていますと、おっしゃるとおり、サステーナブルではないですし、将来世代やコストのことを考えていくと、何とかしないといけないと。結局のところ、国に任せるみたいになってしまって、私たちが本当に批判を浴びながらも決めていかないといけないというのは、まさにそうだと思いますが、先生のような形で全体を理解されているお医者様がどの程度いらっしゃるのか。また、その理解をお医者様にしていただくことで、患者ともう少し話をして、節約していけるような部分というのがどの程度あるのかと、そのあたりについて、感想だけ最後にお聞かせください。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 知り合いや同僚の医者と、例えば1対1でこの話をしますと、100人が100人、黙っちゃうんですよ。暗くなっちゃって。自分には何もできない、というのが多いですね。

〔 赤井委員 〕 医者には期待できないですか。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 だけど医者は、例えばさっきの非常に暗い、やめどきを見つけるような研究に関しても、説明すればほとんど100人に95人までは、参加させてくれと言います。やはり問題の重大性を認識しています。何かやりたい。だけれども、そこから先の行動はなかなか出てきません。

〔 赤井委員 〕 分かりました。もちろん、国の制度としてはあると思いますが、ほかの何か意識的なものであればと思った。以上です。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 あと何かもう1つご質問がありませんでしたか。

〔 赤井委員 〕 それだけです。大丈夫です。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。

では國頭先生、お忙しいところをありがとうございました。

〔 國頭日本赤十字社医療センター化学療法科部長 〕 では、失礼いたします。(拍手)

〔 吉川分科会長 〕 では続きまして、「「経済・財政再生計画」の着実な実施(社会保障)」について、宇波主計官よりご説明をお願いいたします。

主計官、お願いします。

〔 宇波主計官 〕 時間が少し押しておりますので、手短にご説明したいと思います。今の國頭先生のお話も踏まえてですが、資料2をご覧いただければと思います。建議に向けての事務局の資料でありますが、まず前半は、平成28年度の社会保障関係費に関する資料であります。2ページからでありますが、4ページに総括をしております。既にご報告をしておりますが、夏の時点では自然増6,700億円の要求、これに対して、「経済・財政再生計画」に沿って、予算編成過程において診療報酬改定などを行うことを通じて、最終的な伸びは実質プラス5,000億円弱となってございます。

一方、6ページから7ページには、一億総活躍の関係の予算の資料をつけさせていただいておりますが、いわゆる第二の矢、「希望出生率1.8」の実現、それから第三の矢に関する予算につきましては、1つは社会保障と税の一体改革の枠組みにおける財源、それからもう1つは、財審でもご議論いただきました事業主拠出金の拡充といったもので安定財源を確保して、ご覧いただいているように公費ベースでプラス3,640億円、あるいはプラス790億円と大幅に拡充をしているところでございます。

8ページから10ページにかけては、社会保障と税の一体改革、消費税の引上げに伴う社会保障の充実に関する資料をつけておりますが、10ページをご覧いただきますと、3つありますが、真ん中が平成28年度、中央の青い箱が充実でありますが、左の前年度と比べまして、1.36兆円から1.53兆円へと、子育て支援を中心に拡充をしております。財源のほうは、ピンクの消費税の財源は8%のままですので増加はございませんが、オレンジ色の社会保障改革プログラム法等に基づく重点化・効率化分の財源、例えばこれは後期高齢者支援金の総報酬割が段階的に拡充をされておりますが、こういった財源によって、充実の増が可能になっております。

同じページの右の図が、最終的に消費税率が10%になった場合の姿であります。この場合は、社会保障の充実、青いところは1.3兆円ほど増加をする予定でございます。軽減税率をめぐる与党合意を踏まえまして、軽減税率の財源1兆円の確保というのが今後の課題でございますが、このうち0.4兆円については、一番上の点線の箱でありますが、一体改革の枠組みから総合合算制度を取りやめることによって捻出することとされております。これを捻出してもなお、ご覧いただいているように、予定されていた社会保障の充実2.8兆円、内訳は左側の9ページにありますが、これは確保できる見込みとなってございます。

以上が平成28年度の社会保障関係予算でありますが、11ページ以降は平成29年度に向けての課題ということでございますが、12ページ、これは以前にもご覧いただいた資料を若干アップデートしております。復習までという形になりますが、昨年の夏の計画において、全体の伸びについては5年間の「目安」が閣議決定をされています。これを達成するために、社会保障については44の課題が設けられまして、この改革の方向性と、それから実施検討に係る時間軸を定めた工程表を、昨年末に定めております。一番下の備考欄に記載いたしましたように、今後この改革工程表に沿って着実に改革を実行するということが閣議決定されております。

13ページが、この工程表の全体像を鳥瞰したものでございます。中段の濃い青色で塗ったところが、全体の伸びに関する枠組みであります。3年と5年間、それぞれ年平均5,000億円という、高齢化の伸びに相当する水準におさめることを目指すということになっております。下段にそれを実現するための改革の課題、7つの主要分野に分かれておりまして、ここに44の項目が入っております。工程表において、その検討実施の方向性と時間軸というものが記載をされております。現時点で盛り込まれた課題ですとか、基本的な方向性、検討の時間軸といったものは、これまでの財審建議をほぼ踏まえたものとなっております。

平成29年度の予算に向けては、この工程表のいわば実施段階と言いますか、中身を詰める段階に入っていくわけでありまして、改革の具体的な内容の検討を行っていくということになります。特に医療・介護については来年の通常国会に、この改革の法案を提出するということが工程表に盛り込まれておりますので、年末までの過程で、その中身を決めていくことになります。改革の内容を固めていくに当たって、これまで財審でご建議いただいていた改革の内容が実現されるように進めていくということが肝要であろうと考えます。

この点について、幾つかポイントだけご紹介します。14ページは主な検討課題ですが、15ページを見ていただきまして、それぞれの今の現時点で改革工程表に書いてある方向性や検討の時期をここにご紹介しています。中身はこれから詰めていくわけであります。ここに赤い括弧字で、ページ幾つというようにページ番号を書いておりますが、これが別添の参考資料のページ番号でございまして、その参考資料に、今まで財審でどのような建議をしていただいていたかというのを全部整理してございます。

今日は詳細なご説明は割愛させていただきますが、1のところが医療・介護提供体制のところであります。最初の丸のところが、今現在進めている病床の機能分化、あるいは療養病床の地域差の縮小といったものの早期実現ということであります。この地域差の分析と解消については、外来にも拡大をすることになっていて、本年夏までに行動計画を策定していくこととされています。

2つ目の丸は、この改革を実効性あるものとしていくために、機能分化を進めていくと、患者さんの受け皿となる療養体制が必要になりますので、それへの転換を進めていく観点であるとか、それから、病床の再編がきちんと進むように、財審でもいろいろとご建議をいただきました、例えば都道府県の権限強化といった課題も改革工程表に盛り込まれていますので、これを着実に実施していく必要がございます。

3つ目の丸は、提供体制関係で、幾つかの法律改正を要する制度改革事項があります。医療・介護を通じた居住に係る負担の公平の観点からの入院時の光熱水費相当額の患者負担化、それから、かかりつけ医の普及の観点からの外来時の定額負担の導入。これらについて、改革工程表に沿って検討を進めて、本年末までに結論を得て、その結果に基づいて、必要な法律を来年の通常国会に提出するということになっております。これは中身もそうでありますし、実際にこれを行うかどうかも含めて、現時点ではここは固まっていないので、その実施、それから中身ということを、本年末までに決める必要がございます。

それから次の段、2ポツ、3ポツのところは、インセンティブ改革、公的サービスの産業化といったもの。

それから、次の4というところが負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化ということでございます。先ほど國頭先生のお話にもありました高額療養費の見直しについては、財審の建議においても、いわゆる第1トラックにおいて最優先で取り組むべきとされておりました。改革工程表においては、世代間・世代内での負担の公平の確保、あるいは負担能力に応じた負担という観点から、これを見直すということ自体は工程表の中で決まっております。その具体的な中身を年末までに決めて、結論を得て、速やかに実施をするとされております。

同じ4の箱の中の2つ目の丸でありますが、その他の制度改革事項として、ご覧のような事項があります。これらについても実施をするかどうか、それから中身をどうするかといったことを詰めていく必要があります。検討期限は本年末ということでございます。

それから、第5の柱のところは、薬価とか診療報酬改定にかかわるものであります。これは平成28年度の改定においても、いわゆる大型門前薬局の報酬の引下げなど、一定の改革が進んだところでございますけれども、財審でご建議いただいていたような改革と比べれば、まだやるべきことが残っております。次期改定に向けて、更なる適正化が必要であると考えております。

それから、第6の柱として年金、7の生活保護というところで、ご覧のような方向性で改革を進める必要があるかというようにございます。

今日、前半のヒアリングでもご議論いただきましたように、今後、医療の高度化というものを取り込みながら、他方でその伸び全体をいかに高齢化の範囲内に抑えて、制度の持続可能性を確保していくかということが重要な課題になると考えます。基本的には、画期的な新薬や医学の進歩というものを、きちんと評価しながら取り込んでいかなければいけないと思います。

費用対効果をきちんと考えていく必要があるとは思いますが、こういうものを取り込みながら制度全体を持続可能なものにしていくということのためには、これを受けとめるだけのスペースを確保しなければいけません。これまでの建議でもいろいろといただいておりますが、さまざまな改革、特に建議の中では、むしろ高額で高度な医療分野というよりも、どちらかというと比較的QOLへの影響が少ない分野とか、個人へのリスクが低い分野といったところを中心に、保険給付の厚みを下げていくべきではないかというところで、幾つかの方向性をいただいています。

例えばOTC類似薬の保険適用に関しては、市販が認められたものについては、それ以外の薬と比べて保険償還率を下げるべきではないかといったことや、先ほど國頭先生がおっしゃった生活習慣病治療薬についても、処方ルールの明確化といったことも建議でいただいています。かかりつけ医の推進の観点からの受診時定額負担についても、通常賄える少額の負担でとのご指摘でありました。

それ以外に、高額療養費なども年齢で輪切りにせずに、負担能力に応じた負担を求めるべきではないかといったことがあって、医療の高度化を受けとめるためには、こういった改革をしっかりと進めていく必要があるのではないかと事務局としては考えているところでございます。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、どなたからでも。老川委員、角委員。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。今、主計官が最後におっしゃった生活習慣病に関連して、少し意見を申し上げたいと思います。

先ほどのご説明のように、非常に最先端の新薬の問題というのは答えが出しにくい問題ですが、私はそれとは別に、答えは簡単で、やろうと思えば幾らでもできる話をしたいと思います。前にもいわゆる予防医学の、糖尿病の問題について言いましたが、もう1つ、高血圧。血圧降下剤も大変なお金がかかっているわけですが、1日1グラムずつ塩分を減らせば、ほとんど今の血圧降下剤に投じているお金はチャラになる。

というのは、現実に東大のある先生が、日本、アメリカ、それからヨーロッパの検証をして、そういうデータを持っておられて、例えば、1日1グラムということは、食パン1枚もしくはみそ汁1杯の分だそうです。イギリスはそういうことで塩分を減らす努力をされているようで、オーストラリアでも実行していて、効果を上げている。何をやっているかというと、塩を振る容器がありますね。あの塩の出る穴を小さくした。それだけで、ものすごく塩分の消費量の抑制につながっている。

という具合に、命の値段といったような難しいこと以前にやれることはたくさんあるのではないかと思いますので、そこら辺を国民の健康運動といいますか、そういうことを併せて啓蒙してやっていく必要があるのではないかということを感じますので、意見を申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。塩を売るほうは穴を大きくしようとするので、どうするかという問題はあるかもしれない。

角委員、神津委員。

〔 角委員 〕 ありがとうございます。高額療養費制度に関してですが、保険適用か非適用か、ゼロ対100になっているわけですね。ですから、その間に特定保険適用、その名前がいいかどうかは別にしまして、あまり美しくはないかも分かりませんが、保険の維持をしていくという意味においては、ある程度本人負担をしてもらわなければならないと思いますので、例えば延命治療、あるいは、効くか効かないかの確率が低いけれどもやるなどといった部分については、特定保険適用などとして、本人負担を上げる、もしくは、いわゆる高額医療の頭打ちをせずに、もう少し高いところまで負担していただくなど、そのような薬も出てきてもいいのかなという感じがいたしました。

それと、ある生命保険会社の調査によると、若い人の趣味の1位に貯金が上がったという話があります。これだけ3年間、一応そんなに多くはなかったけれどもベースアップをやって、賃金を各企業が上げてきたのに、個人消費が伸びない。これは、将来不安しかないと思うんですね。

ですから、今日は健康保険の話が主ではありますが、年金制度につきましても、早くから70歳まで働くようにしていかないと維持できないと思いますので、いまだちゃんと制度が固まっていない時期で、こういうのはおかしいかも分かりませんが、若い人たちに、将来大丈夫だよということを示すためには、少なくとも平均寿命が80歳を超えているわけですから、70歳までは働く、それについては我々企業も協力をしていくということで、議論のスタートを切っていただければありがたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、神津委員、武田委員。

〔 神津委員 〕 ありがとうございます。財政状況が非常に厳しい中でのご検討ということだと思いますので、少し申し上げにくいところもありますが、幾つかの観点、懸念するところを申し上げておきたいと思います。

まず、平成28年度の社会保障関係費の全体像ということで、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」の目標に資する施策に、重点的・効果的に拡充をされるということなんですが、その内容について、施設整備といった受け皿拡大に偏重しているのではないかという懸念を持ちます。これを本当に達成していくためには、働く人材の確保に向けた施策こそが必要ではないか。実効性の高い施策の実施という観点を、ぜひ中心に考えていただきたいと思います。

それから、子ども・子育て支援新制度の実施でありますが、これは本来、1兆円程度が必要とされてきておる内容でありますから、その1兆円程度に向けた財源の確保ということを早期にお願いしたいと思います。

それから、改革工程表の具体化に向けた対応の中で、医療・介護提供体制。かかりつけ医の普及の観点から、外来時の定額負担の導入ということですが、これについては、今の時点でこれを導入に向けてということに対しては、反対の立場であります。かかりつけ医がまだ定着には相当ほど遠い実態にあるのではないかと思います。むしろ、それをどうやって定着させていくのかという現実を踏まえた施策が、まず大事ではないかと考えます。

それから、負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化ということであります。これに関しましては、経済力の差によって医療へのアクセスが阻害されることのないようにお願いしたい。そのもとで、医薬品に係る保険償還率の引下げということについては、慎重にお願いしたいと思いますし、また、市販類似薬に係る保険給付の見直しについても、医薬品の保険給付範囲を縮小するということについては慎重に行うべきだと思います。

それから、介護保険の総報酬割でありますが、岡本委員からの意見書でも出ておるようであります。同様でありまして、これについては相当慎重な検討がないと、なかなか議論として難しいのではないのかなと思います。

そして、介護保険の自己負担割合を、医療保険制度との均衡を図るために2割に引き上げるということについても、これは行うべきではないのではないか。要介護ということについては、疾病と比べますと不可逆性が高いわけでありますので、自己負担割合の引上げがもたらす家計への影響は非常に大きいということに留意を願いたいと思います。

それから、同じく介護で、軽度者への生活援助の在り方について、要介護者の尊厳を保ち自立を助けるという観点から、一律に自己負担とすべきではないと思います。利用者本人の状態、あるいは家族の状況等も考慮し、慎重に検討願いたいと思います。

あと、年金についてですが、支給開始年齢の引上げについては、現行のスケジュールを前提に老後の生活設計を立てている現役世代に、多大な影響を及ぼすものであります。引上げ途中でのスケジュール変更については、国民の年金制度に対する信頼低下を招くものでありまして、スケジュールの前倒しは行うべきではないと思います。

最後、生活保護に関してですが、これについては社保審での議論状況、意見を十分踏まえていただきたいと思いますし、基準のさらなる引下げということについては、生存権保障の理念を否定することになりかねないということも含めて、慎重に検討いただきたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、ご意見いただいたということで、次に武田委員、竹中委員、田近委員。

〔 武田委員 〕 ご説明いただきまして、どうもありがとうございました。2点、意見を述べさせていただきます。

1つ目は、工程表の着実な実行が大切ということを、備考欄でお示しいただき、そのとおりかと存じますが、一方で、負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化という項目のみ、KPIについては全く白紙の状況でございます。KPIという言葉があまり適切ではない、なじまないということかもしれませんが、ここについての議論を2016年中にしっかり行って頂き、方向性が見えたものについては、例えば負担をいつまでに何割にするか等の目安、目標を工程表に加えていく、加筆していく必要があるのではないかと感じました。

2点目でございますが、今申し上げた背景として、先ほど角委員がおっしゃった、若い世代の社会保障に対する不安感は根強いのではないかということがございます。弊社では3万人の消費者にアンケートを毎年実施しており、昨年の結果と2011年の結果を比較してみました。一番不安の解消の度合いが大きかった項目は、雇用でございます。雇用に対する不安が相当低下したことがはっきりと分かります。

一方で、2011年から比べて不安度が全く下がっていない項目が2つございます一番高かった項目は何かということですが、答えは、社会保障の持続可能性と財政に対する不安です。消費者3万人に対するアンケートで出てきた結果ですので、特に若い世代を中心に、それが消費者の将来不安の大きな要因であるということが言えるのではないかと思います。

したがって、改革工程表が示されたことは非常に望ましいのですが、特に世代間格差の是正につながるような、負担能力に応じた公平な負担、給付の在り方について、ぜひ議論を進めていければいいと思います。それがひいては経済や社会保障制度の持続可能性、経済再生と財政健全化の両立に大きく寄与するのではないかと考えます。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 先ほどの発表の國頭先生の感想も少し入れてもいいですか。すいません。

〔 吉川分科会長 〕 ええ、どうぞ。

〔 竹中委員 〕 先生がいらっしゃる間に言えばよかったんだけれども、お帰りになるまでに頭がまとまらなかったので。

1つは、日本の医療の中で老人医療費が無料になったというのが昔あったときに、あの瞬間にすごくショックを受けた記憶があるんですね。これから老人が増えてくるときに、このような政策を打ち立てていいのかと、私はまだそのとき若かったですが、すごくショックを受けた記憶があって、今日のお話も、このお薬の価格設定、それとその効率のことを聞いたときに、これはなぜ保険薬になったんだろうと、今すごくショックを受けています。

これが保険薬になったということは、このようにバイオで非常に高額で、極めて特殊な治療にしか資しないものでも保険薬にするという流れが、一気におそらくできたのだろうという感じを受けて、例えば今、子供の心臓移植ができないから周りの方にお声をかけて何千万円のお金を一生懸命集められて、海外で受けられる手術をされるような方もいらっしゃって、そのように本人が何らかの負担、特殊な負担をしてというなら、まだ国民的コンセンサスも得られる可能性もあるのかも分からないですが、今日のお話を聞く限りでは、これをこのまま、この財審でも納得してスルーしてしまうのは、ゆゆしきことというか、ちょっと怖いなという感じがしたので、過激な意見かも分からないけれども、先生の過激さに影響されたか分かりませんが、関西弁なので言わせてもらおうかなと思って、言わせてもらっています。

それともう1つは、社会保障のほうでプロップ・ステーション、私がやっている活動が、いつも重度の、いわゆる雇用率にも換算することが難しいような障害のある、チャレンジドと私は呼ばせていただいていますが、そういう方々も、実はさまざまな能力を持っていらっしゃって、その人たちが働ける仕組みがないだけだというお話をずっとさせていただいて、昨年から一億総活躍社会に関する意見交換会で、加藤大臣からもそのお話を提言してくれと言われて、提言もさせていただきましたが、話が厚生労働省におりていったときに、やはり雇用率なのだと。雇用率が全てというところで、今堂々めぐりをしている。

であれば、そのような多様な働き方に対して仕事を提供してくださった企業などに、雇用ではないけれども、そのお仕事の発注が雇用率にカウント、何らかの計算式でされるというようなことができれば、間違いなく企業によっては出してくださるだろうと。そのような形ででも、一方的に福祉を提供するのではなく、その人たちからわずかでも働いていただいて、税として還元していただくという仕組みを同時につくっていくのが、社会保障の根幹にあってほしいなとずっと思っているので、そのような行動をとってきたわけです。

これは報告になりますが、ちょうど一億総活躍でこのようなテーマが取り上げられたということで、横浜ゴムの会長でCEOの南雲さんという方が立ち上がってくださって、業界に呼びかけて、そういったアウトソーシングでお仕事をされるというネットワークをしっかりつくるように、大手企業のネットワークの中でできないかということで、今検討を始めてくださったりしました。

政府に対しても、そういった雇用率に算入できるような方法・制度が考えられないのかということも方向性として出した上で、立ち上がっていただけるということで、昨日実はそれは私のブログでも発表させていただいたので、また見ていただければうれしいのですが、そのような方向で企業の皆さんのご助力もいただきながら、民間の立場の人間として進めていきたいと思っていますので、最後の制度のところにぜひ、後押しもいただき、ご理解をいただければということで、本当に一番助けなければならないという人の中にも、人を助ける力があるということを、共通・共有していただけたらうれしいなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 皆さん非常に活発なご議論をいただいて、皆さんのご了承がいただければ、4時までの予定ですが、10分くらい延長できればと思いますが、10分延長でも大分時間が押していますので、ご意見、簡潔にいただければと思います。田近委員、土居委員、遠藤委員、大宮委員、加藤委員ですか。あと5名。佐藤委員。

〔 田近委員 〕 ごく簡潔に。社会保障の充実について、質問と意見です。資料2の8ページに、これは今年度の充実分1.5兆円。質問というのは、1.5兆円、消費税の率次第で変わるのでしょうが、仮に1.5兆円。これは平成28年度予算が出ていますが、今後この枠取りされているものなのか、あるいは枠取りされたものだとすると、その中身はどう変わっていくのかというのが1点。

それから第2点は、私がいろいろ懸念していることの1つは、充実の医療・介護の中の、医療・介護サービスの提供体制改革の一番上、病床の機能分化・連携云々と書いてあって、ここの総合確保基金、そして地域包括ケアのところも総合確保基金。ここにお金を振り込んだときに、そのお金がどの程度有効に使われるかというモニターが非常に重要だと。特に上のほうの病床ですが、病床のほうで仮に900億円、固定費をつけて、47都道府県、仮に50でやると、20億円ぐらい。各都道府県に仮に20億円つけて、何ができるのかという気がしないでもないということで、次の質問ですけれども。

それをきちんとこれから使っていくことをモニターすべきだということです。

〔 吉川分科会長 〕 1点目では、簡潔に主計官、お答えいただけますか。

〔 宇波主計官 〕 簡潔に。田近委員からのご指摘のあったそのページの次で、9ページにあるのが最終的な姿でございます。2.8兆円という姿、これは3党合意以来、今まで議論してきていて、この充実というのを政府としては公約しております。

ご質問、一言答えると、1.5兆円から2.8兆円までの差というのは、これを埋めていくということになります。子ども・子育てがあと1,000億円ほどあります。年金は、消費税が10%に上がった折に福祉給付を中心に6,000億円が、ほぼ丸々残った状態にあります。あと、医療・介護については、残額について充実をさせていくということであります。基金についても、機能分化に使うということで合意をしておりまして、毎年使っておりますし、病床の機能分化のところは、武田委員からもお話があったKPIをしっかり定めて、きちんと病床の機能分化が進んでいるかどうかということを、このアウトプットをモニターすることとしております。

〔 吉川分科会長 〕 では、土居委員。

〔 土居委員 〕 先ほどの國頭先生のプレゼンに関して、私の意見を述べさせていただくとともに、この改革工程表の考えとして、一言だけ申し上げます。

まず、医療の高度化や創薬のイノベーションを取り込んでいくということは極めて大事ですが、医療保険制度の持続可能性と両立させていくということを、しっかりこれから踏まえていただきたいと思います。特に高額薬剤の話が今日はテーマに取り上げられましたが、先ほども私は申し上げましたが、多剤投与ですね。10剤以上も投与されている形で、薬剤費が相当な額、投じられているということですから、それでいて患者さんの健康も害しておられるということもあるということですので、そういうところや、あと市販類似薬に係る保険給付の見直し、医薬品や医療機器に係る費用対効果評価を本格的に導入するなど、そういった根本的なところにも踏み込んで、改革工程表で実を上げていただきたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、十河委員、どうぞ。
〔 十河委員 〕 申し訳ございません。簡潔に述べさせていただきます。

2点ございまして、まず國頭先生のお話、大変興味深く伺いました。多々ございますが、最終的に気になったのは、持続可能ということがある一方で、医師の方たち、現場の方たちが、コストは国任せである、医療経済は現場の問題ではないという意識をお持ちの方が、結構いらっしゃるというところですね。これだけ医療費がかさんでいるときに、この財政の部分を医師の方たちにどのように理解していただくか。ここを歩み寄る方策というか、話し合いをどのように進めていくか、意識を変えていくかということが、今後重要になるのではないかなと思いました。

それから今、武田委員からのお話もあって、将来に不安を持っている若者が多いという中で、女性が輝く社会づくりということを政府が掲げておりますが、次の段階として、私のような女性が今、若者を元気にするというのも、長いスパンで見たときに、日本の元気を取り戻す大きな活力になると思います。18歳の選挙権というのもございますし、これは国を挙げて若者の意識をどう国に寄せていくか、その対策のもとで具体的な政策を行っていく必要があるのではないかなと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

では、遠藤委員、大宮委員、加藤委員の順に。

〔 遠藤委員 〕 ありがとうございます。意見を割愛させていただきまして、質問だけさせてください。

平成28年度の診療報酬改定では、その前から本体の報酬のほうもきちんと割り込んでいくんだということで、割り込まなかったわけですが、その次の診療報酬の、次期改定について、何となくトーンが抑えぎみになったのかなという印象を受けて仕方がないのですが、これから目指すべきものの提示というものを、もう一度主計官からいただきたいなと思っておりますのと、せっかく今日のお話の中で生活習慣病の包括化の話が出ましたので、これは薬価のほうにも関係がある点ですので、こちらについて何か抜本的な施策がないものか、コメントを頂戴できますでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官。

〔 宇波主計官 〕 診療報酬改定率は毎年の予算編成の過程での検討事項になります。今度は通常であれば2年後、平成30年度に医療と介護同時改定がございます。

消費税が予定通り上がった場合には、仕入れにかかっているものの消費税増に対する対応として、来年度も診療報酬改定を行う可能性がございます。改定率の話は各年度の編成になるので、またその改定のときに、しっかりと事務方としても主張案をまとめていきたいと思います。

工程表に盛り込まれたのはどっちかというと、構造的な改革の方向性が盛り込まれておりまして、特に調剤報酬を中心に書かれていたものがございます。それはご説明したように、28年度も一定程度はやりましたけれども、まだ不十分であると考えております。次の改定に向けて、工程表の中でも平成30年度にもこれをやると書いてございますので、それは引き続き実施していく必要があると思います。

生活習慣病の包括化の話は、委員からこうした意見をいただいて、議論があったということでございますので、また建議に向けて、その辺も踏まえて、今まではあまりそこのところは出ていなかった話ではございますけれども、建議に向けて、また検討させていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、大宮委員。

〔 大宮委員 〕 医療の効率化について、最近言われているIoTやAI、ビッグデータなどを医療でもっと活用していただくと、例えばマイナンバーの導入によってであるなど、それから最近、米国でよく聞くのは、AI、例えばワトソンを使った診断が町の医者でも非常によくできるようになる、処方がよくできるようになるなどいうような声も聞きますので、データをたくさん集めることによって、例えば先ほどの高額医薬を用いたときの効果の件のデータの集約、それから生活習慣病等のデータの集約をして、それをどうすれば効率的になるのかということが幾らでもできるのではないかと思いますので、どのような形ですればいいか分かりませんが、各省庁をエンカレッジして、予算も少しつけてやるとかいうようなことで、ぜひお願いしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、加藤委員。

〔 加藤委員 〕 簡潔に申し上げます。國頭先生からのお話の中でもあったと思いますが、これから高齢化する中で、高度化した医療をどのように取り込むかということですが、そうすると、ハイリスクのものを医療保険に取り入れるということは、財源が一定である場合には、ローリスクのものをどう考えていくかということが大事になってくるだろうと思います。

つまり、今まであったような血圧降下剤がローリスクなものかどうかは別かもしれませんが、そういったものについての負担を増やしていくということが必要であって、また同時に、高額療養費制度についても言及がありましたが、高額療養費制度は最後の砦であって、そこについての負担については、今まで議論されてきたように高齢者と若者の間の格差の解消、あるいは高額療養費制度を維持するのであれば、ローリスクのもの、あるいは軽度なものについては保険適用から外すなどといった形で対応していく必要があるのではないだろうかと考えております。

以上です。ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 じゃ、佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 資料2で10ページを見ながら、素朴な質問が2つ出てきのですが、1つはテクニカルな問題ですが、ちょうど来年度ですよね、消費税が10%に上がったときに、ちょうど社会保障の充実分と消費税の増収分及び効率化分がマッチするようにできていますが、これは時系列的に、この後延ばしていったらどうなるんだろうと。つまり、同じペースで伸びるという理由はどこにもないわけですので、どこかでまた穴が生まれるのではないかということと、それから軽減税率で失うのは1兆円であって、4,000億円は分かりましたが、残りの6,000億円は、この中では社会保障安定化のほうが6,000億円穴があくという理解でいいのかどうかということ。最後は質問です。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官。

〔 宇波主計官 〕 まず後半のほうは、残り0.6兆円については、歳出・歳入両面にわたって安定財源を確保するということで、与党で合意をされていて、それが税制改正大綱にも入っておりますので、その方針の下で今後検討がなされるというふうに承知をしています。

前半のほうはご質問の趣旨は、この0.4兆と0.4兆がぴったり合っているということでしょうか。

〔 佐藤委員 〕 この年は合っていますよね。この後どうなるのかという。

〔 宇波主計官 〕 なるほど。これはおそらく軽減税率のほうは消費税収の動向によっていきますし、プログラム法の重点化・効率化というほうは、この0.4兆円というのが一応、制度改革としては満年度の姿でありますが、その後は多分、大きさはむしろ社会保障の伸びの大きさに連動して、この改革の規模も変わってくるので、ベースが違います。改革の影響額としては、これで平年度の姿であります。途中経過ではありません。自然増みたいなものをどう見込むかというところは、論点としては確かにあるかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうも活発なご議論をありがとうございました。

それでは、本日もう1つ議題がございます。前回の審議の際に委員から提案があったとおり、復興関係について、まず泉主計企画官より説明をお願いします。

〔 泉主計企画官 〕 主計企画官の泉です。

最初にページをめくって、資料3でございますが、1ページ目の目次をご覧ください。本日は、これまで財政面で震災に対してどのような枠組み・手法で対応してきたのか、そして将来に向けてどのような教訓、論点を考えるべきだろうかといった点について、5年たった中間地点ということでご報告をしたいと思います。

最初に3ページ目をお開きください。これは震災発生から、主に財政面でのトピックを拾って年表にしております。下線を引きましたのが、これからご説明する復興財源フレームの規模の推移を示した部分です。最初の3つは前半5年間の規模の推移、4つ目は後半5年間を合わせて、10年間で32兆円という規模を示したものです。

ご覧いただきますと、平成24年2月に復興庁が置かれたほか、同年4月には復興特会が設置されておりまして、平成24年度予算からは、一般会計とは別に復興特会で経理が行われています。復興庁は平成32年度までの時限組織となっておりますので、復興庁が廃止されたときは復興特会も廃止される時限的な特別会計となっております。

4ページ目は、分野別に復興の進捗をまとめたものでございます。上の枠囲いにありますとおり、道路や河川、下水道といった公共インフラの復旧はおおむね終了しておりまして、現在、住宅再建がピークを迎えております。それに合わせまして、産業のいろいろな再生が重要な課題となっていると。福島では来年3月までに、帰還困難区域以外の区域について避難指示の解除が目指されておりまして、住民の帰還に向けた環境整備が進められています。

ページをおめくりいただきまして、6ページ目ですね。ここから財政面での対応として、復興財源フレームの設定についてご説明いたします。震災発生から4カ月後の平成23年7月ですが、復興の基本方針が決定されました。マル1で、前半5年間の事業規模として、少なくとも19兆円程度、10年間では少なくとも23兆円程度との見込みが掲げられました。

マル2で、財源確保に係る基本的な考え方として、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うということを掲げまして、赤字公債の発行は回避することとしました。そのためマル3の下線ですが、平成23年度の1次補正及び2次補正で、既に歳出削減などで6兆円を確保していたのですが、これに加えまして、歳出削減やさまざまな税外収入の活用、そして時限的な税制措置で13兆円を確保するとしました。

財源はそうして確保することにしたのですが、当面必要となる一時的なキャッシュのため、マル4にありますとおり復興債を発行することを決めてございます。

7ページは、少なくとも19兆円程度という見込みを阪神・淡路大震災の際の被害額、事業規模と比較したものです。ご参考にご覧いただければと思います。

8ページは、復興財源フレームの進捗を示したものです。一番左が最初のフレームでして、19兆円フレームです。財源としては、復興増税10.5兆円、歳出削減及び税外収入で8.5兆円となっていますが、平成23年7月時点では、上のボックスに下線を引いておりますが、1次補正と2次補正で確保した6兆円程度が決まっていただけでして、残り13兆円が具体的に決定されたのが、その年の11月末となりました。

5年間で19兆円としてスタートしたわけですが、平成25年1月時点で見直しとなります。当時国会に提出する平成25年度の復興特会予算を足し上げますと、19兆円を突破することになりましたので、その当時、平成26年度と平成27年度の見込みを2.7兆円と考えまして、これらを賄うには25兆円フレームにする必要があるとして、日本郵政の株式売却収入などを復興財源に充てることに決めました。その後同様に、平成27年1月に26.3兆円のフレームになりました。

一番右の図ですが、昨年6月に、後半5年間に必要と思われる事業規模を6.5兆円程度と試算しました。それまでの26.3兆円フレームですが、0.8兆円程度の不用が見込まれていましたので、26.3兆円から0.8兆円を引いた差し引き25.5兆円に6.5兆円を足して、現在、10年間全体で32兆円というフレームになっております。

フレームの規模は拡大してきましたが、その度に赤字国債を発行するということではなくて、何らかの財源を確保しながら、事業規模と財源の両建てでこれまで進んできたということになります。

ページをおめくりいただきまして、ここから前半5年間の予算対応についてご説明します。

10ページは復旧・復興関係経費の予算措置額を時系列で並べたものです。これを主な経費別に分けて、棒グラフにしたのが11ページです。

11ページをご覧いただきますと、ぱっと見ますと、初年度である平成23年度に多くの予算が措置されたことが分かります。経費別に見ますと、赤が被災者支援経費でして、主に仮設住宅の供与といった経費。青が大きな割合を占めておりますが、インフラ復旧や住宅再建といった公共事業関係や災害廃棄物の処理といった経費です。平成23年度に大きな額が計上されまして、その後は横ばいとなっております。

緑色は産業・なりわいの再生に向けた経費でして、平成23年度の額が大きいのが目立ちますが、これは災害関連融資のために政策金融公庫などへの出資や二重ローン対策といった経費が計上されたことが影響しています。黄色が原子力災害関連でして、除染等の経費が中心です。風評被害対策なども含みます。平成23年度以降もほぼ横ばいで計上し続けられていることが分かります。

12ページですが、これはどのような形式で予算の計上を行ったかについて、時系列で追ったものです。まず、平成23年3月11日に震災が起こりましたので、平成22年度中は予備費を使用して対応が行われました。平成23年の当初予算は3月29日に成立していますが、関係予算は当然計上されていなかったので、濃い青色で示していますが、5月に1次補正、7月に2次補正、そして11月に3次補正を編成しています。

特徴的なのはオレンジ色で示している部分で、東日本大震災復旧・復興予備費というものです。これは、2次補正の際に通常の一般会計の予備費3,500億円とは別に、東日本大震災向けの予備費として、別途8,000億円を枠として計上したものでして、これを8月、9月、10月、3次補正を挟んで12月、2月、取り崩して使用しています。当時の状況は、補正予算だけでは次々と生じる財政需要に対応し切れず、その都度予備費を使用して対応したということになります。

めくっていただきまして13ページは続きですが、平成24年度以降は復興特会が設置されたので、特別会計予算ということになります。ここでも復興特会に予備費が、平成24年度は4,000億円分計上されまして、緑色の部分ですが、使用が行われております。その後は当初予算、そして補正予算という流れが続いておりまして、平成25年度以降は予備費の使用は行われておりません。この頃になってようやく必要な費用は当初予算もしくは補正予算への計上で対応できるようになったという状況になってきたということだと思います。

震災対応としては、予備費全体で約9,500億円という大きな規模での使用実績となっております。

14ページは、予算の執行状況についてまとめたものです。左側の表の下から2番目のボックスに執行率を示していますが、平成23年度は60.4%という執行率で始まりまして、平成26年度決算が終わった時点で、一番右側ですが、累計して81.4%という数字になっています。

右側の折れ線グラフは、各項目ごとの執行率を累計で示したものです。特に目立つのが青い色の折れ線グラフで、住宅再建といった公共事業関係の執行率です。平成23年度は20%台の執行率でして、平成26年度末まで来て71.7%。これを見ますと、青色の公共事業関係、そして黄色の原子力災害関係の執行率が相対的には低くなっているという状況です。

めくっていただきまして15ページは、執行率が低調となっている要因ですが、青色が公共事業関係、黄色が原子力災害関係について、主な理由を示しています。これを見ますと、地元住民との合意形成やほかの事業との調整に時間を要した、建築資材の確保が困難になった、時間の経過とともに計画の変更が必要となったといった理由で、執行が遅れているということになりまして、いずれにしても復興が進んでいないといった指摘につながったものと考えています。

16ページは全国向け事業でして、これは、被災地のために負担したのにお金が被災地に回っていないと、各方面から多くの批判を受けて、政府として見直しを行ったことをまとめたものです。一番上の囲みにありますように、平成24年11月に、既に契約されたものを除いて予算の執行を停止しました。その後については、津波対策の公共事業、学校耐震化などに限って措置する、基金についても使途の厳格化を徹底するといった見直しを行いました。

また、3つ目の丸ですが、昨年6月に復興特会の全国防災事業は平成27年度限りで終了すると決定して、実際、平成28年度以降は復興特会には計上しない扱いとしております。

それでめくっていただきまして、17ページから後半5年間の対応についてご説明します。

18ページは、昨年5月に後半5年間の復旧・復興事業の在り方を検討するに当たって、前半5年間の総括を復興庁が行っておりまして、そこから予算関連部分を抜粋したものです。下線部をご覧いただきますと、5年間の事業規模を示した上で、5年分の財源をあらかじめ確保した、事業規模の拡大に応じて追加財源の確保も行ってきたとして、復興の加速化につながったということで評価できるとしています。

他方で、ページの下のほうですが、19兆円の見込みは推計であったとして、一番最後ですが、適切に予算管理、事業管理を行っていくためには、必要な事業を、その進捗に応じて年度ごとに積み上げていくことが重要だとしてございます。

19ページは、後半5年間の復興事業を進めるに先立ちまして、昨年6月に事業の整理を行ったものです。前半5年間は全ての事業について、全額国費負担、すなわち地方負担ゼロということでやってきたわけですが、この取り扱いを見直しまして、上の枠囲いにありますように、まずマル1ですが、被災者支援や災害復旧、原発事故由来の事業といったものは、引き続き全額国費で措置すると。マル2として、一方で、地域振興や将来の災害への備えといった全国共通の課題へ対応する事業は、一般会計へ移行すると。右側の緑色の部分です。そしてマル3ですが、復興特会で行う事業の中でも、被災地固有とは言い切れない全国共通といった性質も有するものについては、一定の自治体負担を導入すると。このような整理を行っております。

20ページは、前半5年間の実績見込み額と、後半5年間の事業規模の試算額です。前半5年間で25.5兆円に対して、後半5年間は6.5兆円となっております。

21ページは、後半5年間の初年度予算となる平成28年度の復興特会予算の概要です。前年度予算額の3.9兆円と比べまして、平成28年度予算は3.2兆円という規模になっております。このうち除染等の経費は東電が負担することになっておりますので、そうした経費を除いた復興財源フレームのベースでは、1.9兆円という規模になってございます。

それでめくっていただきまして、23ページ、24ページですが、震災発生から5年目ということで、現時点で考えられる将来への論点としてまとめてみたのが、このページです。

まず(1)として、今回の震災発生に対しまして、財政面からの対応としては、多年度で収入と支出を完結する枠組みとして復興財源フレームを設定しました。そのために、歳出削減、税外収入の活用だけではなくて、復興増税を行って財源を確保することとして、一時的に必要となるキャッシュを得るために復興債を発行することとしました。これが次の世代ではなくて、今を生きる世代全体で負担を分かち合うという発想のもとに組まれた枠組みです。すなわち、赤字公債に頼るのではなくて、我々世代で歳出と歳入の両方を、いわば自賄いするといったものでして、こうした両建ての手法をとったからこそ、プライマリーバランスといった財政健全化目標の議論からは、復興歳出は別枠の扱いを認めてもらったということになります。また、復興特会も経理の明確化のために設置しています。

こうした枠組みは、阪神・淡路大震災の際にはとられていなかったもので、今回の震災のような巨大な財政ショックが生じた際の1つの対応例になるのではないかと考えます。

マクロ的にはただいま申し上げたとおりですが、個別の財政措置としても、そこに記しましたとおり、震災復興特別交付税の導入といったさまざまな措置が講じられています。

次に(2)として、こうした財政的な枠組みができるまでの間は、先ほど申し上げましたとおり、予備費での対応を多用しています。特に、通常の予備費とは別枠で設けました東日本大震災復旧・復興予備費での対応が象徴的でして、当時の政府はそうした手法を選択したということになります。これも今後の対応例になるものと考えます。

(3)ですが、財政的な枠組みができ上がったのは平成23年11月末となりました。枠組みのでき上がりが遅かったという指摘もありまして、確かにそうした面もあったかもしれませんが、なぜに時間がかかったのかといえば、先ほど申し上げた今を生きる世代で負担を分かち合うという考え方を維持するために、要は財源確保のために、与野党を通じて国会で大議論が行われたということでございまして、そのための時間、コストだったという意味もあったのではないかと考えます。

(4)ですが、復興財源フレームは多年度フレームとなっておりまして、多年度フレームという手法をとった場合の功罪といったことでございます。まず、複数年度分の財源をあらかじめ手当てする手法をとったものですから、被災地に財政資金を安定的に供給することになりまして、その意味では評価できると思います。他方、5年間で19兆円ということでスタートしたわけですが、2年過ぎで超過してしまいまして、事業規模の見直しが複数回行われました。ところが一方で、執行率が低い、無駄・流用という批判も生じました。

復興特会は、いわば財源つきの特会となったわけでして、財源があらかじめ確保されている以上、どうしても面倒を見てもらいたいという誘因が働きかねません。したがって、1つ目のひし形ですが、事業ごとの精査をきちんとして、真に復興に必要な事業に重点化するといったことが重要と考えられます。

次に、2つ目のひし形ですが、震災発生当初は仕方なかった面もあったかもしれませんが、とにかく予算を積むといったことではなくて、毎年度ごとに事業の進捗に応じた予算額を適正に計上する、精度の高いものとすることが重要ということになります。

最後に3つ目のひし形ですが、前半5年間は復興経費を全額国費負担したわけですが、地元にとって事業計画を見直す財政的なインセンティブが弱くなってしまった面もあるのではないかと考えられます。自治体が持続可能なサイズのまちづくりを自ら進めていくためにも、一定の自治体負担を求めることは重要ではないかと考えられます。

以上が震災に対する財政面での対応について、これまでの措置を振り返るとともに、5年目という中途地点ではございますが、将来への教訓、論点となるのではないかと考えられる点についてご報告しました。

私からは以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、既に予定の4時を越えていますが、随分たくさんの方がご意見あるので、ごく簡潔にご意見いただければと思います。

では神津委員から。

〔 神津委員 〕 一言だけですが、今後自治体の負担も織り込んでいくということでありますから、ただ、被災地の自治体の財政状況は、経緯を含めてさまざまだと思いますので、ぜひ一律的ということではなくて、自治体ごとにきめ細かい配慮をいただきたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では大宮委員、お願いいたします。

〔 大宮委員 〕 予算が少し余ったり、執行の度合いがよくないという話が少し出ていましたが、最後の2ページのさっきの将来の論点の中で、丸の部分に非常にたくさんあると思うんですよね。例えば財源をうまく確保したとか、予備費を使って機動的にやったとか。

ただ、このような大きな事態のときには何が必要かというと、ワンチームでやると言いますか、何かプロジェクトのようなものを立てて、最初は多分中央集権的に、全体を見ながら物事を決めていくと。それが今ぐらいのフェーズになると、多分、分散型で地方に少しずつそれを落として、自立的にやっていただくというのが大事だと思いますが、最初のやり方がどちらかというと縦割りで、非常にうまく動かなかった部分がたくさんあるのではないかなと感じています。

今からどうするかというのは、その辺のところはもうフェーズとして通り過ぎているのかもしれませんが、まだ課題が残っているのであれば、もう少し中央集権的なやり方を組成できるといいなと強く思っていますので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、佐藤委員、田近委員、富田委員の順に。

〔 佐藤委員 〕 簡潔に。将来の論点ということですので、もちろん今回の東日本大震災からの復興というのは重要な課題ですが、もう1つ我々が考えなきゃいけないのは、将来の災害、つまり首都直下や南海トラフなどに対しても、このフレームは役に立つのかどうかということと、おそらく我々が素直に反省するべき点というのは幾つかあるかなと思います。

特に気になったのは、最初に大きなお金を積むのはしようがないと思いますが、どこかでギアチェンジをすると言いますか、PDCAサイクルを回してちゃんと事業評価して、あまり非効率だと判断されたものについては速やかに執行を停止するなど、最初は大盤振る舞いでも、だんだんと絞っていくというギアチェンジをちゃんとできる体制というのが本来は必要だったのかなというのが今回、私は個人的に思った東日本大震災からの反省点です。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、田近委員。

〔 田近委員 〕 手短に。既に大宮委員と佐藤委員のところに、特に触れるんですが、将来への論点で、私はもう1つ項目を加えるとして、国と地方の協調と言いますか、責任分担というのが当初から想定されるべきだと思いました。

それから、14ページに各項目別の支出がありますが、これも考えれば、被災者支援も災害救助法によって都道府県が管轄することになっているわけだし、それぞれの項目の国と地方の分担があるのかな。

それから1つ、これで最後ですが、興味深いというか、これはどうしてなのかなと思うのは、項目の中に地方交付税交付金という項目があるわけですよね。これは被災者支援や住宅再建、町並みづくりというのと並べて入る項目なのかと思いました。もう少し端的に言えば、まさに交付税のやった事業を区分して、ここに計上すべきだと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ではお待たせしました、富田委員。

〔 富田委員 〕 5年間の総括ということで、18ページに書かれている一番最後のパラグラフですが、震災直後に事業規模が推計されたわけです。その後、段々確度の高いものになってきたと書いてありますが、私が非常に奇異に感じたのは、震災直後の3月23日に、阪神・淡路大震災と比較して事業規模、すなわち復興予算額をストックの被害額として推定され、ケース1というのが16兆円、ケース2というのが25兆円と推計され、震災対応特別会合資料として関係閣僚会議で示されたわけです。しかし、その後、これが修正されたことが全然ないのです。

もっと言えば、阪神・淡路大震災との比較で考えると、かなり大きな規模の16兆円、25兆円が示されまして、それをベースにして、いろいろ地方公共団体や関係省庁のヒアリングを踏まえて、7月末に5年間で19兆円という事業規模が決まりました。で、先ほど24ページでお示しのように、「5年間で19兆円」を2年過ぎで超過と簡単に書いてありますが、じゃ、どのような理由で超過したということもさっきのご説明ではありませんでした。結局、積み上げ計算と言いますか、最初にストック被害額を計算するときに、建築物やライフライン施設、文教施設など、そういう計算をしてあるのです。それと先ほどご説明あった事業の区分ですね。先ほど田近委員の指摘あったページですが、それとも違うわけでして、最初の事業規模と、それが毎年の予算編成でどのように見直しがされて決まったのかというフィードバックが今日のお話では伺えなかったのです。将来のことを考えますと、毎年予算編成の精度を高めてきたと書いてありますが、実は当初見た事業規模との関係などを考えませんと、南海トラフや首都直下地震などを考えたら、だんだん不安になってくるのです。

もっと言えば、関東大震災のとき、1923年9月ですよ。その翌年2月に、日本は震災復興のためにドル建てで資金調達するのですが、6.5%利付という高い金利なんです。だから、国辱国債という名前が今日にも残っているぐらいです。

何を言いたいかというと、事業規模の見積もりを震災後のわずか10日間ほどでやったものが、決定的に重要な意味を後々持っちゃったということでして、その事業規模をさらに上回るようなトータルの事業規模になっちゃったということです。この点を将来への論点として、再度厳密に検討していく必要があるだろうと私は思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、皆様方から活発なご意見をいただきました。 本日ご欠席の岡本委員より意見書をご提出いただいております。皆様のお手元にお配りしておりますので、ご参照ください。

本日の会議については、大変恐縮ですが、会議後の記者会見を私から一元的にやらせていただきますので、個別のお話は報道関係者になさらないようお願い申し上げます。

次回の日程については、4月7日木曜日14時から17時で、イギリス、アイルランド、EUとアメリカ、カナダ、IMFの海外調査報告、社会資本整備、文教・科学技術、地方財政についてご議論いただきます。

閉会いたします。

午後 4時15分閉会

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