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財政制度分科会(平成27年11月4日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成27年11月4日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成27年11月4日(水)15:00〜16:59
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題
○ 農林水産
○ 経済協力(ODA)

3.閉会

出席者

分科会長吉川 洋坂井副大臣
大岡大臣政務官
福田主計局長
美並次長
可部次長
茶谷次長
阪田総務課長
中山調査課長
内野給与共済課長
余島司計課長
青木法規課長
片岡大臣官房参事官
小宮主計官
宇波主計官
奥主計官
阿久澤主計官
高村主計官
彦谷主計官
堀内主計官
冨安主計官
山崎主計官
タカ5主計官
江島主計官
廣光主計企画官
泉主計企画官
委員碓井 光明
遠藤 典子
倉重 篤郎
黒川 行治
角   和夫
竹中 ナミ
土居 丈朗
中空 麻奈
永易 克典
臨時委員板垣 信幸
井堀 利宏
老川 祥一
岡本 圀衞
葛西 敬之
加藤 久和
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美
武田 洋子
田近 栄治

午後 3時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 では、定刻になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方には、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、「農林水産」及び「経済協力(ODA)」を議題としております。

早速議題に入ります。

まず、「農林水産」について審議を行います。それでは、高村主計官から、よろしくお願いいたします。

〔 高村主計官 〕 農林水産担当主計官の高村と申します。

お手元の資料1、「農林水産」という資料に沿ってご説明申し上げます。

1枚めくっていただきますと目次がございます。全体の構成ですが、まず、最初に農業の現状、構造改革の必要性ということ。それから、先般のTPPの大筋合意を踏まえた対応、次に水田農業の構造改革、右側に土地改良事業、農業分野の公共事業の話、それから最後に、財政措置以外の既存施策の見直しの視点というものもつけ足しております。ちょっと今回資料が厚くなってしまったので、総論のところは時間の関係で少し駆け足でご説明させていただきます。

まず、その総論のところ、2ページ目ですが、我が国の農業総産出額の推移を示しております。平成25年で約8.5兆円、畜産が3割、米が2割、野菜が4分の1という形になっております。

右側3ページ目、農業構造の現状ですが、左側の図は農家の戸数が全体として減ってきているということが示されております。右側に一戸当たりの平均経営規模の推移が載っておりますが、経営部門別というところを見ていただきますと、水稲、その下の乳用牛、肉用牛という畜産の各分野、畜産は相当程度大規模化が進んでいるのですが、やはり水稲、稲作の拡大のペースが遅いということが分かります。

4ページ目、農家の高齢化のグラフです。65歳以上で63%、70歳以上で全体の47%です。40代以下というのは10%に留まっております。今後、この70歳以上の方々が離農していくときに、若い担い手に農地の集積を進めて生産構造を強くするチャンスが来ているとも言えるわけです。これからの5年、10年で思い切った構造改革を進めて、若い人が積極的に参入してくるような強い産業にしていくということが課題であると言えるかと思います。

5ページ目の表は、品目ごとにどのような農家が生産をしているかということを示しております。緑のところが主業農家がつくっているという部分でして、主業農家というのは農業で生計を立てているプロ農家のことです。これを見ると、やはり米について、緑の割合が39%という形で低い。やはり米の構造改革の遅れというのが、ここからも分かるかと思います。

6ページ目、農家の家計の状況。今、申し上げた主業農家、プロ農家ということとそれ以外ですが、主業農家の家計の状況を見てみますと、総所得639万円に対して農業所得は505万円と。これは本当に農業で生計を立てている方です。それ以外のところ、準主業や副業というのは、農業所得は1割未満に過ぎません。こういう方々に経営マインドを持った営農というのを求めても、なかなか起こりにくいのではないかと思っておりまして、やはり日本の農業の課題というのは、この主業農家中心の農業にしていくということが目指すべき方向かと思います。ただ、今現状、この主業農家の方々は、農家戸数で見ると2割程度に留まっているというのが現状でございます。

7ページ目、米の生産コストの推移。この25年でマイナス23%ということで、年平均1%程度の減少と。政府では今後10年間で、米の生産コストを現状比4割削減と言っていますので、このコスト削減のペースをもっと加速させなくてはいけないというのが現状、今の課題です。

次に、8ページ目から食料自給率について触れさせていただいております。昨年財審でも議論していただきましたので、そのフォローアップをさせていただければと思います。8ページ目は食料自給率の推移と、国民の食料をどのくらい自給しているかということですが、カロリーベースで見ると39%。今の目標では、これを45%に引き上げていこうとなっております。

ただ、昨年も申し上げましたが、我々としては、本当にこの食料自給率というものを農政の目標として絶対にすべきものなのかどうかという問題意識を持っております。というのは9ページ目をご覧いただきますと、約50年前の食料自給率と今の自給率を比較していますが、やはり国民が何を食べるかによって、自給率というのは大きく左右されると。50年前はお米の消費割合が高くて、お米でカロリーをとっていたというのがありますので、それが米の消費が落ちると、自給率の低い畜産物や油脂の消費割合が増えていますので、その分自給率は減ると。自給率は減っていますが、これは逆に言うと日本人の食生活が豊かになったということの裏腹という言い方もできます。

次の10ページ目は財政的観点からの分析ですが、自給率1%向上させるために、国内麦の生産を増大させて輸入小麦に置換えた場合の試算ですが、今の国内の麦生産というのはコストが高くて輸入品と逆ザヤになっていますので、補填をしなくてはいけないと。ということで、40万トンの生産に対して、畑だと420億円の国民負担の増加、水田で生産すれば、さらに年間370億円程度の国民負担ということになります。

他方、下のほうにありますように、日本人が輸入小麦由来のパンやうどんなどを食べるのをやめて、国産米に置き換えた場合には、食料自給率は7%程度上昇すると。この自給率というのが国民の食べるものに非常に依存しているというのが、こういう試算からも分かると思います。

昨年は我々として、この食料自給力というものをもう少し見てはどうかという問題提起をさせていただきました。食料自給力というのは、今の消費構造に基づくものではなくて、日本の農地をフル回転させればどの程度の食料を最大限つくれるかと、そういう食料の潜在生産能力を表す指標です。

昨年の議論の後、12ページ目ですが、農水省もこれを日本に当てはめて試算をしてくれまして、今年3月の「食料・農業・農村基本計画」において、これを初めて公表しております。これはどう見るかということですが、右側の縦の点線が、国民1人1日当たりの実績値でのカロリーです。パターンがいろいろとありますが、一番下は今の日本の農地として活用できるところを全て使って、いも類を中心に作付けをしたと。その場合には、必要なカロリーは賄えているということになります。

我々は、もう少しこういう食料自給力というものに着目した農政を展開してはどうかと考えております。13ページ目になりますが、今の農政というのは、この左側の食料自給率重視の農政です。この青い部分を少しでも増やそうということで、相当な予算をかけて生産向上を目指していると。ただ、この施策目的というのは、とにかく国内生産量の増大ということですので、誰が生産するか、どのような技術でどのくらいの生産性で生産しているのかというのは捨象されているわけです。国内の生産が増加する限り、一律に支えるという発想になりやすいのです。

我々としては、そうではなくて、日本の農業生産の守るべきコアは何かと。13ページの右側でありますが、食料自給力というものを構成するプロ農家や農業技術、それから最低限の農地・水路等、こういった本当の守るべきところに施策の重点化をしていってはどうかという問題提起でございます。

以上が総論です。

次に、TPPの話です。

15ページ目、今回のTPPの大筋合意の概要です。これは輸入品にかかる関税の状況ですが、工業品も含めた全品目は9,018ありますが、関税を残すのは443と全体の5%程度。その残すものは農林水産分野の重要5品目、米、麦、甘味資源作物、乳製品、牛肉・豚肉、こういうところを中心に関税が残っていると。いずれにしましても、このTPPで大筋合意した段階でございまして、その発効には、まだまだこれから様々な手続が必要になってきます。

基本的には参加12カ国が全部国内手続を終えて、プラス60日となっていますが、これは相当時間がかかると思われますし、それ以外にも、全加盟国が国内手続を終えなくても一定の条件を満たせば発効という規定もありますが、それでもその場合でも、署名してから2年と60日経過後という発効の規定がございますので、現実的には来年、再来年にこのTPPが発効するということはなかなか考えにくい状況にあるのではないかと思っております。

輸入の関税が今の状況で、16ページ目は日本の輸出品目の関税の状況でして、これは日本が輸出しようとしている重要品目の全てで関税撤廃を獲得と。例えばアメリカ向け牛肉、これは今の輸出実績の20倍から40倍に相当する数量の無税枠を獲得しておりますし、枠外税率26.4%というのも15年で撤廃という成果をとっていますので、ある意味このTPPというのは攻めの農林水産業を展開していくチャンスとも言えるわけです。

17ページ以降は少し簡単にご説明させていただきますが、重要品目の大筋合意の概要です。お米は上のほうに書いていますが、枠外税率1キロ当たり341円、これは維持しています。日本のお米は、今、1キロ200円程ですので、もうこれほどの高い関税であれば入ってこないということです。ただ、国別枠というのをアメリカ・豪州向けに、SBS方式の国別枠を今回つくったということになっております。

それから18ページ目、小麦、これは国家貿易を維持するとともに、枠外税率は維持と。国家貿易ということで輸入差益をとっていますから、マークアップという名前の輸入差益が少しずつ減ってくるということです。

19ページ目の牛肉、これは関税水準が段階的に下がっていって、最終的には現行の38.5%が9%になると。ただ、右側にありますように、輸入が急増した場合にはセーフガードをつけて、関税が上がるような仕組みも導入されております。

20ページ目、豚肉も同様の状況です。

21ページ目、脱脂粉乳・バター、これは関税削減・撤廃はなしということで、TPP枠をつくるということになっております。

そして、10月上旬に大筋合意しましたが、大筋合意後、政府ではTPP総合対策本部というものが立ち上がって、関連する対策をつくっていこうということになっています。順番が逆になりますが、23ページ目の右上に、最初のそのTPP総合対策本部での安倍総理の発言を書いていますが、安倍総理は、TPPはオープンで活力あふれる経済をつくる成長戦略の切り札であると。今般の大筋合意を踏まえ、TPPを真に我が国の経済再生、地方創生に直結させていきたいと考えています。政府一体となって総合的な政策を策定していくと。これからつくる対策というのは、必ずしも農林水産に限ったものではなくて、もっと大きな視点での対策を考えていくということがまず1つ。それから、農林水産業については、「守る農業」から「攻めの農業」に転換するということ。そしてまた効果的・効率的な施策を検討していくと。

そして農林水産業に関しては、これは左側の22ページ目のほうになるのですが、大きな方針が出されておりまして、1ポツは体質強化をやっていくということです。体質強化というのは、補助金で農業者に補償を行うということでは全くございません。TPPの影響が仮に出てくるとしても、それに耐えていけるようなコスト削減や生産性向上といった体質強化をやっていくんだという方針があちこちに示されております。

2ポツ目で、その重要5品目対策ということです。これはそれぞれの品目に応じて内容を書いていますが、米は備蓄運営による外国産米の主食用米生産に対する影響の食い止めと。先程、米はアメリカ向け枠、豪州向け枠をさらに今回追加で設定していますが、その枠を使って入ってくる分の国産米を備蓄運営によって吸い上げると、それによって影響を食い止めるということが書いてあります。

3ポツは牛肉・豚肉・乳製品、このエリアは比較的影響が大きいと考えられますが、ここについては経営の継続・発展のための環境整備と。

具体策を、今、検討しているところです。我々はこの具体策を検討していくに当たっては、過去、やはり貿易の自由化交渉の帰結として対策を打ったウルグアイ・ラウンド対策のことをよく踏まえておかなくてはいかんだろうということで、24ページ目に1994年のウルグアイ・ラウンド対策の概要が書いています。これは左下にありますように、当時事業費の合計6兆100億円という対策をまとめました。

この対策は、様々な批判を受けることになりました。その批判の内容を25ページ目にまとめておりますが、まず指摘マル1として、ウルグアイ・ラウンド対策については総額6兆100億円という金額が先行したとの指摘、金額ありきだったということです。金額ありきでつくってしまったので、結局予算消化に苦労するような事態もあったなど、そういう報道もなされております。

それから指摘マル2は、農業の体質強化と直接関係のない事業が多数実施されたという指摘。少しずつそこに例示的に書いておりますが、農業農村整備事業という公共事業3.2兆円、うち農道・集落排水施設整備事業費等ということで、全体の4分の1と。これは、もちろん農道や集落排水の施設を整備すると、その農村自体は非常にベネフィットはあるのだと思いますが、ただ農業の体質強化とは関係なかっただろうと。あと、それからよく言われるのですが、温泉施設等、関連施設等の整備箇所が相当程度あったと。こういう指摘を受けたことを教訓として、ちゃんと国民から理解の得られる対策にしなければならないと思います。

26ページ目に、我々なりの視点というのを簡単にまとめております。まず1番目は、TPP協定の実施が農林水産業にもたらす影響について分析を行い、その結果に基づいて必要な対策を検討すべきと。先程の金額ありきということではいけないということです。

それから2番目に、一律に補助金を配るようなことがあってはならず、コスト低減・国内の生産構造の転換を促し、競争力強化を図るための施策を基本とすべきと。また、輸出振興など、攻めの農林水産業を展開していくべきと。

3番目も、これもある意味でウルグアイ・ラウンドの教訓ですが、ちゃんと後で成果を検証するメカニズムがなかったということです。ですから、今回は対策の実施に当たっては、構造改革の進捗につき客観的に測定可能な成果目標を付し、執行状況を踏まえた施策の評価と見直しを行っていく必要。

最後に、対策を追加するだけではなく、既存の施策についても補助金、税制、規制措置を含め、競争力強化に向けて包括的な見直しを行っていくべきと。今回つくるTPP対策をきちんとするというのは、これはもう当たり前だと思いますが、ただそれで終わりにするのではなくて、今、講じている施策についても根っこから見直すという姿勢が必要だろうということです。追加するものがぴかぴかであっても、根っこの施策が競争力強化に逆行していては、強い農業は実現できないと思っております。やはり政策ツールというものを総動員して、農業の体質強化をやっていく必要があるという問題意識でございます。

その既存の施策の見直しの最右翼と我々が考えているのは米でして、それを次のセクションで掲げております。水田農業の構造改革。28ページ目ですが、これは米と野菜と畜産、3分野について生産の状況や国境措置、予算措置を比較対照したものでして、やはり米は国境措置でも予算措置でも手厚く守られており、そして構造改革が遅れていると。いわゆる経営マインドを持った農家に生産を集約させていく必要が、一番要請されていると考えております。

米を特別に守ってきている背景は、やはり米は国民の主食であるということになると思うのですが、29ページ目にありますように、その主食としての位置付けも相当変わってきているのではないかということです。1人当たりの消費量はもうピーク時の半分以下ですし、家計調査を見ますと、もう米よりパンのほうにお金を出しているというデータもございます。そういう意味で、政策のほうも見直していく余地が出てきているのではないかということです。

30ページ目、ちょっと米の歴史の振り返りですが、需要量を赤い線で示しています。昭和30年代の後半にピークアウトして、一貫して減少基調と。生産をこれに合わせていかなければいけないのですが、以前は米は国が全量管理するという制度でしたので、つくり過ぎが起きると、これは全部政府米の在庫に来ていたわけです。昭和40年代、昭和50年代に政府米の在庫が膨大に増えて、約3兆円をかけて過剰米処理をしております。今はもうこの全量管理はやめておりまして、減反によって受給のバランスをとってきております。

31ページ目は米政策の変遷ですが、これは細かく説明し出すときりがないので、一番言いたいのは右下にある生産調整の見直しということです。これについては、生産調整については5年後を目途に、これは平成25年に決めていますので、平成30年です。平成30年を目途に、行政による生産数目標の配分に頼らずとも、需要に応じた生産が行える状況になるよう取り組むと。

その経営マインドをやはり醸成するという意味で、これはやはり生産調整というのが大きな障害になっていると我々も考えておりまして、32ページ目にありますが、例えばやる気のある農家が牛丼屋と米の売買の複数年契約をすると。右側にありますように、年間1,000トン掛ける5年間、こういう契約をやろうと思っても、今の減反制度においては非常に取り組みにくいわけですね。というのは消費はだんだん落ちてくるので、毎年毎年配分される生産数量というのはどんどん落ちてくるわけです。そういう意味で、減反政策のもとでは、こういう経営力・販売力を備えた強い農家が育ちにくいということです。

従って、減反廃止という方向性は我々も適切と考えますが、33ページ目にありますように、我々は減反の廃止というときには、この助成金も含めたところでやり方を見直していくべきだと考えております。33ページ目ですが、左側の緑のところ、これがその減反の実効性を確保している3つの要素です。

最初が、行政による生産数量の目標配分。2番目が、生産する目標に従った主食用米作付けへの助成。これは民主党政権時に導入された米の米所得補償、当時は10アール1万5,000円でしたが、これは、今、単価を半減しています。10アール7,500円と。3番目が、転作作物への作付け助成と。これは主食用米以外をつくった場合には、低収益の作物であっても、主食用米並の所得が得られるように助成をするという措置です。

上の2つは廃止という方向性が出ていますが、この転作助成というのは、まだはっきりとした方向性は出ておりません。ただ、これをこのままの状況、要するに補助金によって所得を補償して、食用米以外を作付け拡大するということであれば、いつまでたっても売れるものをつくるという経営マインドが育たないのではないかと我々は懸念しておりまして、ここのあり方も見直していくべきであろうと。

34ページ目に水田にどのように助成をしているかということですが、水田面積がこの横の棒グラフで示されていまして、全体の3分の2程が主食用米ということになります。そして、今は主食用米の生産に対しても米の直接支払交付金が出ていますが、これは廃止すると。そして、米以外の主食用米以外をつくったときに助成をしております。ここの単価設定が、先程申し上げたように、麦、大豆などをつくっても主食用米並の所得が得られるような単価設定が右下にあるようにされているわけです。10アール3.5万円や10アール8万円など、それに加えて、右上にありますように都道府県が独自に単価を設定して配る部分はあります。産地交付金。この上と下合わせて、今年の予算で2,770億円ということになります。

35ページ目になりますが、転作助成の交付額は、年々増大傾向にあるということを示しております。増大の理由は2つございまして、1つは米の需要が落ちているので、転作の面積が拡大しているということ。さらに赤い線が示しておりますように、転作の10アール当たりの助成単価も上昇傾向にあるということで、P掛けるQの両方の面でここの予算が増える傾向にあると。我々としては、米という国内で余っているものに貴重な財源がどんどん投入されていくというのは、本当に予算の使い方として適切なのかという問題意識を持たざるを得ません。

36ページ目、予算がどんどん膨らむということのもう1つの試算について、今、この飼料用米といって、家畜に食べさせるという米ですが、大体10アール8万円を軸とした助成をしていますが、農林水産省は基本計画で、この飼料用米というのを110万トンにすると言っています。これを今の助成のまま支援し続けると、所要額は右側にありますように現状640億円というものが、1,660億円とさらに1,000億も増えるという可能性もあるわけです。これだけ予算を増やしても、結局得られる帰結というのは米の需給のバランスということだけですので、本当にこれが強い農業のために活きる金かどうかという疑問を持つわけです。

37ページ目ですが、ここで米の生産調整と野菜の需給調整を比較しております。キーワードはやはり経営マインドだということだと思いますが、米は作付けの段階で、補助金によってほかの作物に誘導していくわけです。ほかの作物をつくっても、主食用米並の所得が得られるように助成をするというような至れり尽くせりの生産調整。野菜というのは、これはもう農家自身が自分の経営判断で作付けして、仮につくり過ぎた場合には土壌還元、これは廃棄ということですね。産地廃棄、こういったことで価格を維持しようとすると。補填というのは、大体平均価格の4割程度に留まっております。

米と野菜で、売れるものをどの程度つくるかという当たり前の経営判断の働き方が異なっているのではないでしょうかと。野菜の世界に近づいていくためには、今の転作助成についても、このあり方を見直す。要するに主食用米並の所得の確保という考え方から脱却すべきではないかという問題提起です。

38ページ目、次からは自立的な経営判断による強い水田農業の方向性を、幾つかの視座から示しております。38ページ目、最初は低コストの生産構造と。この図は農家の規模別に、米の生産コストを棒グラフで示しております。一番左側は、これは全体の平均ですので、左から2番目というのが一番規模が小さいところ。右に行くに従って棒グラフが下がってきて、生産コストが下がってくると。

この黒い線がございますが、これは昨年の米の米価に基づく手取り額と。去年は米価が下がりましたので、ナラシという補填が発動されて、実際の農家手取りは赤いところまで上がります。赤い線とこの棒を比較しますと、5ヘクタール以上のところで見ると優に利潤は得られているわけです。現在はもう米価の維持というのを至上命題にして、生産調整をしていますが、強い水田農業と言ったときは米価維持ではなくて、生産の軸を早く右に持っていって、低コストの生産構造を実現することではないかと思います。

39ページ目は方向性の2番目、輸出の促進です。日本のおいしいお米に対する海外需要は確実にあると考えております。実際に輸出に取り組んでいる農家もいて、右側のイメージに載っていますが、大体1俵当たり1万円程で出しているようです。その場合も経営費を削減することによって、所得は得られていると考えられます。ただ、今の補助金というのがこの真ん中、小麦、飼料用米と並べていますが、赤いところが助成ですが、これ程の助成があれば、わざわざリスクをとって輸出にチャレンジするよりも、確実にもらえる助成金でやったほうが得だということにやはりなるわけですね。「攻めの農業」と言っている以上は、この助成のあり方が輸出インセンティブを阻害しないような形にしなければならないのではないかということ。

それから40ページ目ですが、飼料用米というのを一生懸命推進していますが、実は飼料用トウモロコシのほうがずっと生産コストは安いということです。左下にありますように、飼料用米とトウモロコシ、ホール・クロップ・サイレージというその飼料用のトウモロコシ、非常に生産コストは安いし、輸入飼料よりも安い。もちろん様々な要件といいますか、やり方を工夫しないといけませんが、こういう低コストでの生産は可能だということです。日本の水田の6割程は乾田ですから、トウモロコシの栽培も可能ですので、こういう強い畜産業のための飼料自給の推進というのも、1つの方向性として考えられます。

それから41ページ目が、4番目として汎用田の有効利用。土地改良事業をいろいろとやってきた成果ということで、今の日本の水田の4割程は畑としても使える汎用田です。黄色いところです。ここまでちゃんと整備をしているのであれば、もう米にこだわらず、トウモロコシやほかの高付加価値作物への転換を進めてはどうかと。

42ページ目、野菜とお米の収益の比較ですが、同一面積で比較しますと、野菜のほうがはるかに収益は高いです。労働時間も、工夫すると米と同程度の労働時間に短縮できるということですので、こういう方向も考えられると。

実際に43ページ目にありますように、自治体によってはもう稲作からこういう高収益作物への転換というのは進められてきております。秋田県知事の発言を下に載せていますが、米として生産性が上がらない農地は、いろいろな畑作、花き等々、こういうものについて考えていかないといけないと。県の事業として、園芸振興を行っているわけです。国の農政も、こうした地域の動きを踏まえていかなければいけないと思います。

最後に44ページ目ですが、転作助成金のうち産地交付金と呼ばれる部分、これは都道府県が独自に単価設定してやっていますが、単に国の単価に上乗せしているという例もありまして、これもどこまで強い農業の実現に貢献しているのかと、そういう方向性に逆行しているのではないかという指摘ができるかと思います。

以上が、水田農業の話でございます。

次は、土地改良事業です。46ページ目になりますが、これは予算の名前でいくと農業農村整備事業という農業農村に関連した公共事業です。これは平成21年から平成22年のところで大きく減額されております。平成25年に少し相当程度回復して、26、27年と少しずつ少しずつ増額していると。今年の要求はプラス600億円ということになっております。

これは大きく減額された分、少しでも取り戻したいという背景があるように聞いていますが、やはり47ページにありますように、確かに22年はどーんと減っているのですが、そのときはそれくらいの規模で米の戸別所得補償というのを新たに創設しております。前回の構造を踏まえるのであれば、もしこの農業農村整備事業を増やすというのであれば、では、どこを減らすのかということになります。ただ、今年の要求を見ていると、米も先程の転作作物の助成ということで、プラス407億円の増要求となっていますので、ペイ・アズ・ユー・ゴーという考え方からすると、どちらも要求どおり認めるというわけにはなかなかいかないということでございます。

48ページ目、規模の議論は別として、中身をもう少し見直していくべきではないかということです。土地改良事業、一応生活指標というのはつけられていますが、どうもこういうものを見ていると、結局ハードの整備自体が事業目的化しているのではないかと、土地改良事業というのが設備投資というのであれば、では、どういう農業をその設備投資をした上でやろうとしているのかが見えないわけです。ですから、右下にありますように、高付加価値作物への転換や産地収益力の向上と、そういうアウトカム指標をしっかりとつけていくべきではないかということ。

それから、49ページ目、先程米のコスト削減が遅いということを申し上げましたが、様々な事業をやってきている割には、やはりそれがコスト削減に見える形でつながっていないと。採択用件を見ますと、こういう採択用件はありますが、その中には具体的なコスト低減目標はないわけです。そういったところを少し今後見直していくべきではないかという問題提起をしております。

それから、50ページ目ですが、ハードとソフトの連携強化と書いていますが、もう米は供給力過剰ということです。それで、先程申し上げたように転作助成金、これも見直していくべきだという問題提起をしましたが、ハードのほうもこういう米の供給力過剰の中で、さらに水田を整備していくのかということですね。米が余っているのであれば、水田の畑地化といったように、そういう新しい農業、強い農業のための基盤整備へ事業を見直してはどうかと考えております。

以上が、土地改良事業です。

最後に、財政措置以外の既存施策の見直しというのを入れています。これは財政措置ではないので、我々なり財政審議会の所管ではないかもしれませんが、ただ競争力強化と言ったときには、その財政措置だけでそれをやるのはやはり効率的ではないと。むしろ財政以外の様々な障壁をなくせば、予算も合理化できる部分があるのではないかということで、今回あえてこういうセクションで取り上げさせていただいています。これを簡単に説明していきます。

52ページ目、農地を所有できる法人の要件と。これは一応来年の4月から施行される形で、一応規制が緩和されることになっています。ただ、改正後も真ん中の枠の緑の下のところを見ていただきますと分かりますように、農業関係者以外の出資比率は2分の1未満にという規制が来年以降もかかります。

兵庫県の養父市というところはそれをさらに進めたいということを言っていまして、なぜこういう規制がもともとかかっているかというと、法人というのはもうからなくなったらすぐ農業をやめて逃げていってしまうだろうと。そうすると農地が荒れると。そういう懸念は確かにありますが、養父市の場合は、その件に対応するためにちゃんと積立金を取って、仮に法人がいなくなったら市独自で農地を保全しますという手当をして、こういう要件緩和の要望を出してきているということです。

それから53ページ目、農地保有の課税と。今、農地集積・集約化のために様々な予算を使って進めていますが、税の面でも見直しが求められるのではないかと。農地というのは一般に評価は非常に低いので、税金も安いのですが、農業生産をきちんとやっていない農地、遊休化させていたり耕作放棄など、そういうところは課税を強化してはどうかという要望が出されております。

あとは54ページ目、農地転用。これも来年4月以降、一部地方分権されますが、こういう転用というものをどう考えていくかと。

55ページ目にありますように、農家の方がなかなか農地を手放さないという1つの背景には、転用期待ということがあると思いますので、転用利益というものを地域の農業に還元できないかということで、今、検討を進めているところです。

あと、最後に水産業も少しだけ簡単に。日本の水産消費は減少しておりますし、生産量も減少しております。ただ、世界的に見ると消費は増えていますし、養殖の生産も増加していると。我々養殖業というのは非常にポテンシャルがあると思っているのですが、今、企業が養殖業へ入ってこようと思っても、そこはなかなか非常に難しいと。漁業権の問題や、それから生産目標数量の提示とありますが、こういう今の制度が、養殖業の競争力強化に向けた規模拡大や輸出促進の取組の意欲を妨げていないかという問題提起でございます。

最後、59ページ目、論点と書いてあるところは、今、私が申し上げてきたことを言葉にしたものですので、読み上げることはもう省かせていただきます。

以上が、農林水産でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。それでは、早速ご意見、ご質問等。岡本委員。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。今の時期ですと、やはりTPP合意による影響というのが極めて大きいと思いますので、26ページについて少しお話ししたいと思います。

ここに書いてある4項目の視点は全部そのとおりであり、これに基づいて進めてほしいと思うのですが、ただ、結構分かりづらいところがあります。例えば一番初めの「農林水産業にもたらす影響についての分析を」ですが、分析をするのは当然であって、要はこの分析というのがどの程度の分析なのかと。かなりゆるいものだとどうにもならないわけで、きっちりとした分析を行ってほしいなと思います。

それから2番目では、ばらまきになってはならないと言っているのですが、その後で、「競争力強化」や「攻めの」など、非常に抽象的な表現となっているので、これは全ての施策が競争的だとか攻めのという位置付けになってしまうのではないかなと思います。

それから、3番目の「構造改革と成果目標」ですが、ここもどのような成果を目標として立てるのかなど、我々、経営者の視点で考えると抽象的なものが並んでいると思います。

いろいろ俯瞰して検討する必要はあると思いますが、やはりウルグアイ・ラウンドの反省に立てということであれば、その1つ1つの項目について、ここでこういうふうに反省したと、だからこういうようにするという道筋をつけてほしいなと思います。

それからもう1つ、その前のページ、24ページの右側の棒グラフですが、これは補正予算と当初予算の関係ですが、初年度の補正予算はやむを得ないとしても、この後はずっと補正予算のほうが大きくなっています。何と言いますか、行き当たりばったりではないですが、毎年毎年、年初には予算を立てずに、後で補正でどんどん積んでいってしまうということで、これも事業費6兆円になったことの背景ではないかなと思います。

今、子育て支援予算など様々な問題が出てきて、この「補正予算」というところで考えられていることが多いのですが、これは実際もう少し先だということであれば、やはり本予算のほうできっちりと議論をし、補正予算の割合をとことん減らしていくと。これも、ウルグアイ・ラウンドの反省による部分ではないかなと、私はそのように考えますので、そういう点でお取り組みいただいたらありがたいと思います。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、続けて老川委員。

〔 老川委員 〕 ご説明ありがとうございました。大体指摘されたことは同感で必要なことだと思いますが、特に必要だと思うのは、農地、水田などの集約、大規模化、これが一番大事なことかなと思っていますが、これはなかなか進まない。

私の友人で農家を経営している人がいるのですが、どうして土地を企業やそういうところにやらせないのかと言うと、さっきご説明がありましたように、企業の場合はもうからなくなったらたちまち放り出して撤退してしまうと。そういうことになっては困るので、なかなか進まないんだという説明をしました。

そこで、52ページの養父市の例を挙げておられて、これが全ての解決とは思いませんが、1つの有力な促進剤だろうと思うのですが、これが要望となっているわけで、これはどこがどういうふうに取り扱うのか。それから、こういう要望というものが認められやすいのか、なかなか難しいのかという現状どうなっているのか、そこを質問したいのですが。

〔 吉川分科会長 〕 では、最後の養父市のその要望を認めるのは一体どこだという、そういうご質問かと思います。お願いします。

〔 高村主計官 〕 養父市は特区という制度を使って、この様々な規制緩和をやろうとしておりまして、今回のこの要望は、これまで認められている特区としての要件緩和に加えたさらなる要望でございますね。恐らく多分これも特区の議論の中で、どうするかということがこれから議論されると思っております。我々としてなかなかこれがどうなるのかというところまでは申し上げられませんが、そこはよく我々もあまり把握しておりませんので、申しわけございません。

〔 老川委員 〕 よくフォローして。

〔 吉川分科会長 〕 ただ、特区の審査をするのは、役所はどこでしたっけ。

〔 高村主計官 〕 内閣府に特区制度を管轄しているところがございまして。

〔 吉川分科会長 〕 役所としては内閣府ということですね。

〔 高村主計官 〕 はい、そうです。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、続けて角委員、末澤委員、佐藤委員、小林委員の順で。

〔 角委員 〕 私も全く今の老川委員のおっしゃられた点を指摘したくて発言を求めたのですが、9月3日に養父市国家戦略特別区域会議が開催されまして、その場でこのような要望が出ました。

ポイントは、やはり議決権の2分の1以上を法人が取得し、持つということと、ここにまさに書かれてあるように、農業以外の売り上げが半分以上でも認めると。ここがポイントになるのですが、そのときに、老川委員がおっしゃったように、農水省としてはその法人が参入するのはいいが、赤字になって撤退したらどうなるんだということが、ずっと断り続けてきたハードルだったわけですね。

ですから、それを越えるため、10アール当たり3万円を5年間ということで、15万円のある意味で保証金を、参入する企業からは一旦お金を預かると。そのお金をためておいて、最低限10年間はその農地が守れるように市として責任を持つと。もし撤退された企業があれば、その間10年間を保全しながら、新たな参入事業者を探してくると。そこまで養父市長はその決意を述べて、何とか内閣府にこの緩和を認めてほしいということをおっしゃっていました。

養父市だけで、荒廃農地は230ヘクタールに及ぶわけですね。この230ヘクタールを何とかこの5年間で、約3割に相当する70ヘクタールを生き返らせたいということで、強く求めておられます。先程高齢化の話、あるいは農業技術の話がございました。これをいわゆる日本の農家のすばらしい技術を伝承していく、あるいはTPPを契機に更に競争力の高い農家に育てていく。これには、やはり法人化が避けて通れない道だと思いますし、法人化をすれば若い人の参入や、あるいは女性、あるいは高齢者も生き生きとした老後が暮らせるようなこともできるのではないかということで、何とか養父市を突破口にしていきたい。それに続いて養父市のすばらしかったのは、農業委員会を説得して、農業委員会の権限を市がとったんですね。そこまで汗をかいてやっておられるわけでして、この動きをぜひとも他の基礎自治体にも広げていきたいということで、これが突破口になると思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 末澤委員。

〔 末澤委員 〕 ありがとうございました。TPP関連で2点程ご質問したいのですが、今、秋でマツタケがおいしい時期ですが、日本のマツタケの値段が高い要因として、海外からマツタケを持ち込む場合、土の持ち込みができないので水洗いしないといけない。だから風味が落ちるという問題もあるようですが、つまり農業の場合、その輸出・輸入に関して通関・検疫手続きと、またこれはEU内では輸出補助金に関する規制があると思いますが、その補助金がどうなるかによって、先程のTPP対策費の中身にも影響がでてくるのではと思います。また日本が輸出を振興するに当たって、例えば様々な通関手続、検疫手続で不利益をこうむればなかなか輸出できないという問題もあります。そういったところが今のところまだ開示されていないので、分かる範囲で教えていただければと思います。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、事務局、可能な限りで。

〔 高村主計官 〕 通関に関しては、TPP全体のルールの中で、もう少しその税関の検疫をスムーズにしようという話は確か盛り込まれていたと思います。農林水産物についても攻めのほうですね。攻めのときに必ず検疫の問題が出てきますので、その検疫条件の交渉をこれからしっかりして、攻めていくというところもこれから考えていく対策にやはり入ってくるのだと思います。詳細は、すみません、あまりよく把握しておりませんが、申しわけございません。

〔 吉川分科会長 〕 場合によっては、可能であれば、あるいは次回時間があるかもしれません。

佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 ありがとうございます。基本的に農業政策で、農業政策と恐らく農家政策と農村政策というのは違っていて、恐らくここで議論されているのは農業政策で、産業としての農業をどう強くしていくかということ。であれば、あまり国がつまらない補助金を出すよりは、やはり競争力のある農家をどう育成するか。具体的にはそれが大規模化であり、それから法人化による経営改善だと思います。だから、それは1つの方向性だと思います。

ただ、もう1つの問題は社会政策としての農家対策があって、例えばこれは零細・中小の米農家、特に兼業農家であっておじいちゃん、おばあちゃんがいて、彼らの生活をこれからどうするかという話があって、これは割り切って考えれば2つ分けて考えればよくて、一方では農業を続けることに対して補助金を出すのではなくて、やはり農家に対して例えばある種の損失補償ではないが、そういう形で本当は年金でもいいですが、何らかの損失補填みたいな形でやる。ただし一代限り。そのおじいちゃん、おばあちゃんが亡くなったら終わりねということで、子どもは引き継がないということにすれば、1つのある種の目処が立つと思いますね。つまり延々と補助金を出し続ける必要性はない。

ややこしいのは、地域政策としての農村政策のほうで、こちらはむしろ過疎化が進んでいる中において、例えば、今、地方創生の議論もありますし、そのあたりをどう絡めていくのかということと、さっき土地改良事業の話が少しありましたが、特に用水や農業施設が多分これも老朽化していて、地方自治体の公共施設等管理計画と同じように、こちらのほうにも今後どういう形で更新するか、あるいはやめるか、長寿命化するかということが問われてくるので、そういう高齢化が進んでいる、あるいは過疎化・高齢化が進んでいる農村におけるそういうインフラ整備というのをこれからどういう形でうまく撤退していくか、あるいは伸ばせるところはどうやって伸ばしていくかという議論をしないといけないのかなと思います。

つまり、まとめて言いたいのは、産業政策としての農業と、社会政策としての農業と、地域政策としての農業、それぞれに多分異なる政策対応があり得るのではないかと思いました。ちょっと抽象的ですが、以上です。

〔 吉川分科会長 〕 小林委員。

〔 小林委員 〕 やはり今年はTPPが大筋合意されたということで、ある意味では農業政策といいますか、農業予算を大きく転換させるいい機会、絶好のチャンスの年ではないかと考えますので、そういう意味では非常に重要になるのかなと思います。

さらに、食料自給力に着目した政策ということで、これはこの財審のほうで議論したことが取り入れられていると考えて喜ばしいことではあるのですが、この13ページに書いてあるその食料自給力に基づいた政策の方向性の例が4つ具体的に出ていますが、そのうちの3つまでが、これは別に食料自給力じゃなくて、例えば若者が意欲を持つ、あるいは他産業の技術の導入の生産性向上、それから強い農業経営につながる農業基盤とする。

これは考えてみれば、毎年この方向性というのは出ていたわけで、だとすると、新しく出てきているのはその次の非常時に必要となる農地を低コストで管理と。ここにはっきりとした形のあるものを出さないと、せっかく食料自給力というものに着目した話にはなってこないのではないかという懸念があります。その意味では、ここをどう具体的に目に見える形で政策として落とし込んでいくのか。このあたりを注視していく必要があるのかなと思います。

それから、先程養父市の話が出ておりました。まさにそのとおりで、ああいった取組は突破口にならなければいけないのですが、このときに、やはりどうしてもそこの自治体や、そこの首長さん、そういうところだけではなくて、こここそ政治がそれを後押しするような動きをしていかなければいけないのではなかろうかと強く思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。それでは、続けて板垣委員、遠藤委員、田近委員の順で。

〔 板垣委員 〕 資料を拝見しまして、私も考えるところがかなり重なる部分があって、できばえとしてはよかったなという感じがします。意見も大分出ましたので、お聞きしたいことが幾つかあります。

例えばTPPの関税撤廃によって、いわゆる国の税収減がどうなるのかと、確か8,000億円程あったのが、どういうペースで落ちていくのかという問題。それから、そのTPPの経済効果というのを一度出したことがありましたが、今回の合意によってどういう経済効果があるのかという点。この2つをお聞きしたい。

それから、先程ウルグアイ・ラウンドのときの話が出ましたが、ちょうどあの6兆円、私も取材していましたが、ああいうことは二度とやってはいけない。ところが、結局また補正で積むのだろうということは、先程意見がありました。私もそれは同感でして、とにかく補正で、例えばこの財審の議論もないままどんどん行ってしまう。当初予算しか我々は議論しないということではいかんと思いますので、やはり抜け道がないように、できるだけ予算編成で頑張っていただきたいと思います。

それからもう1つ、米対策ですが、1つは米の粉ですね。米粉を使ったパンの需要というのが実はあって、これは結構な技術革新があって大変おいしいものです。そういったものをちゃんとやっていけるかどうかという問題。それから、ホール・クロップ・サイレージという話が先程も出まして、これはもう前から言われている話ですが、ぜひやるべきだろうと私は思います。そのためにどうしたらいいのかというのが、まさに現場での技術革新なのか、あるいはやり方なのか、その辺のところに関心を持っています。

〔 吉川分科会長 〕 米粉のパンを食べたいと思うかどうか、微妙なところなんですが。

〔 板垣委員 〕 おいしいですよ。

〔 吉川分科会長 〕 そうなんですか。では、主計官、税収も含めて、お分かりになる範囲でお答えいただければと。

〔 高村主計官 〕 TPPの影響がどうなるかと。これはいずれ出てきます。ただ、今はまだ分析をしているところでございまして、何らかの形で出てくると思います。

他方、関税がどうなるか。これはなかなか、関税当局としてまた考えなくてはいけないでしょうが、非常に膨大な品目がございますので、どこまで本当にきちんと、そもそも発効すらまだいつになるかよく分からない状況で、どこまで本当にきちんとそういう影響を予測するということが可能なのか、なかなか難しい問題面があるのではないかと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 ありがとうございます。私は前回の昨年度の財審のときにも同じことを申し上げたのですが、やはりこの飼料米の補助金のところが最も気になる、よろしくないと思われる点でございまして、こちらは非常に政治の問題も絡むところですので難しいのかもしれないのですが、ここでも示していただいているように、最もつくりやすい作物は農家にとっては米で、それで大豆や麦は面倒なので、米でその飼料米に転作すれば、10アール当たり最初8万円を出しましょうと。それで収益確保できますよねと。でも、それでも需要がないので、では10.5万円まで増やせるようにいたしましょうということになり、こうなると主食用のお米の生産だけをしている収入と同じものでいいと割り切れば、飼料用の米はただで売っても同じだということになりますよね。なので、これは非常に極めてナンセンスな政策で、そうすると、米は餌として使われることもないのに、ただただ税金を渡しているというような補助政策になっていると思っています。

それで消費者からすれば、主食用の米の生産が減少すると米価が上がりますので、ここは消費者にとっても家計への打撃が多いと。こういう悪しき政策がいつまでも残っているということは、政治的なハードルは高いとはいえ、極めて問題があるということを財審としても指摘し続けていくことが大事なのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、田近委員。

〔 田近委員 〕 私もTPP対策について質問ですが、今日いただいた資料の24、25ページにウルグアイ・ラウンド時の予算の内訳がある。ウルグアイ・ラウンドについてはもう様々な意見が出されていることは右に書いてある。

質問というのは、仮にウルグアイ・ラウンド関連対策というのをTPP関連対策の内訳として、仮にこのような予算が出てきても、我々には要するにこれがどこがばらまきになったのかというのが分からない。質問は、今から振り返ってみて、このウルグアイ・ラウンド関連対策の予算の組み方自身に何か問題があったら、どういう部分だったのかというのを伺いたい。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官、お願いします。

〔 高村主計官 〕 指摘の2番目にありますように、前回のウルグアイ・ラウンドで入ってきた対策・施策の中には、農業の体質強化と関係ないものが入ってきたということだと思います。ウルグアイ・ラウンドというのは、農業分野の自由化ということですので、海外から安く農産物が入ってくるだろうから、それに対してきちんと対抗できるように、やはり強くならなくてはいけないという狙いはあったと思いますが、農業と関係ない公共事業を中心とした施策がたくさん入っていたと。そこがやはり一番の問題であったと。

他方、左側にありますように、新規就農対策とあります。2ポツの(2)などはこの時にも入ったし、その後も今の農業の施策にも入ってきている部分はあるわけです。そういうことで全てが全部悪かったというわけではなく、農業に対して関係のないところが入ってきたというのがやはり反省する大きな点だと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では十河委員。

〔 十河委員 〕 大変分かりやすいご説明、ありがとうございました。私も主計官がおっしゃられました経営マインドを持つということ、そして強い農業を目指していくということには、全面的に賛同申し上げたいと思います。

その観点からいきますと、やはりご指摘されております食料自給率に関しましても、食料自給力への指標の転換というのは、今、大切な時期にあるのではないかなと思います。こちらのほうに、例えば表にありますような5,000億円近い予算を使うのであれば、攻めの政策のほうに充てていくということが正しいのではないかと思います。

また、35ページに転作助成交付額というのが出ておりまして、この10年で2倍以上の3,000億円超えと大幅にアップしているようでございまして、こちらも余っているものの処理にコストがかかっているのであれば、見直す必要があると思いました。

そして、今の農業に携わる従事者の件ですが、従来よりも懸念化されております。4ページにありますように若年層、若者の担い手が、今、極端に減っているという、この数字を見ても明らかですが、例えば私のような仕事をしている身で周囲を見渡しますと、第一線で働いている一部の人が仕事を辞めて農業のほうに、あるいは地方に移転する。そういう人も散見できます。

今、若者にとって農業というのは、決して古い職業ではなくて、むしろ格好いい、そういった意識を持つ若者も見受けられますので、彼らをバックアップするような部分に助成金などをつけていくというのもありではないかなと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

まだ少し予定の時間が余っていますが、では、私も十数年、農業の改革を見てきましたが、結論的には主計官がご説明されたこと、改革の方向には全面的に私は賛成です。

1つの感想として、言ってもしようがないのですが、改革が遅いなというのが率直な感想です。といいますのは多くのことは昔から言われていたということがあると思います。かねてから言ってきましたが、やはり農業というのは1つの表現として、所有と経営の分離がなされてこなかった。20世紀は様々なセクターで所有と経営が分離して、最初は工業ですし、流通でも流通革命では50年以上前に大型店が出てきて、小さな商店というものがそれなりにリストラされていったということがあると思います。

農業は所有と経営が一体化しているというのが長い日本の歴史の中で合理的だったと思いますが、農業ですら20世紀の終わりには、その一体化というのは合理性を失って、そのまま分離できないで今日に至っていると。大規模化の問題というようなことも、費用のこともそういうところに関連していると思うのですが、そういう問題がありますね。

そういう中で様々な改革が指摘されてきたのですが、農政全体がやはり相当遅れているというのが率直な印象で、それは今日の説明資料にもありましたが、様々な農業対策が余りに問題含みというのをたくさん見てきた気がします。

例えば、もういつのだか忘れましたが、国内の農業で新鮮な野菜を東京に運んでくるというので空港を整備するというのがあったと思いますね。東京に運んでくると。しかし、そのアイデアは、あたかも東京の真ん中に飛行機が着くような説明でしたが、もちろんそんなことはできないので、空港は埼玉にできると。そして埼玉からバスで運んでくる、トラックで陸上輸送と。しかしそういうところの渋滞や陸路の時間等は一切計算に入っていないと思いますね。恐らく結果、そうした空港は実際につくられたと思いますが、ほとんど利用されないまま今日に至っているのだろうと思います。

事ほどさようにそういうことが起きて、ある種の議論では県内で農業を閉じることを促進するような議論もあったように思います。ほかの分野で、例えば自分の県でつくった車にぜひ乗ろうということはあり得ないわけですが、リーズナブルな範囲で地産地消という、新鮮な野菜等はそれは結構だと思いますが、そういう合理性の範囲を超えたところで、県内で農業を閉じようという議論も大手を振っていたような記憶があります。

とにかく、農業の改革というのは少し遅れ過ぎではないかなと思います。TPPは、新しくお金を積むということではなくて、ご説明にもあったと思いますが、本来の農業予算の中身を見直す機会だと捉えるべきだと考えています。司会を仰せつかりながら発言させていただきましたが、ほかにもし皆さん、農業についてご発言あらば。

よろしいですか。では、どうもありがとうございました。

続けて、第2の議題として、経済協力(ODA)について審議を行います。山崎主計官、よろしくお願いいたします。

〔 山崎主計官 〕 ODA担当をしております、主計官の山崎でございます。よろしくお願い申し上げます。

予算はODAですが、今回少し民間資金などにフォーカスをいたしたく、様態としての経済協力という形にさせていただいております。よろしければ、お手元の資料3ページ目をお開きいただきたいと思います。

日本から途上国への資金の流れ、大まかに4つございます。1つは国費等を中心に行われます政府開発援助、この黄色い部分でございます。それから、その右でございますが、JBICやNEXIなど公的金融、公的保険によって賄われますその他政府資金、それから、民間資金でございます。また、日本では余り金額はございませんが、アメリカではビル・ゲイツ財団などもございますし、非営利団体による贈与も行われる国がございます。

このページの下に棒グラフを描かせていただいております。この後の資料におきまして、ODAのグロスとネットという概念が出てまいります。これは、特に円借款におきまして、そのディスバースした資金に着目して集計いたしますのがグロスでございます。他方で円借款が返済された部分を、いわゆるその当該年度の利益からネットアウトするものがネットでございます。私どもとしては、その援助を受けるのは、別の減免された金利分だけではなくて、まさに貸与した資金の総額でまさにプロジェクトが行われるということに着目すれば、やはりグロスを用いていくことが大事なのではないかと考えてございます。

右側、ODAの種類とございます。釈迦に説法で恐縮でございますが、ODAにつきましては大まかに2つ、バイの支援、二国間援助でございます。それから国際機関に対する出資・拠出、この2通りがございます。基本的には日本の顔の見える援助ということで二国間援助が望ましいわけですが、国際機関にはノウハウもございますし、またなかなかその地域的に日本が出ていけないような地域にも出ていけるというアドバンテージもございます。

日本のバイの援助ですが、有償資金協力、これはいわゆる円借款でございます。規模の大きいプロジェクトに対しまして、低利・長期の融資を行うものでございます。実施主体はJICA、2013年実績を見ますとネットで986億円、それからグロスで7,804億円となってございます。

また、その右側の無償資金協力でございますが、これは病院をつくったり、学校施設をつくったりなど、返済義務を課さない開発資金の贈与を行うものでございます。実施主体はJICA、外務省でございます。

一番右でございますが、専門家、ボランティアの派遣等を行いますのが技術協力となってございまして、実施主体はJICA、各府省となってございます。2013年実績は無償資金協力で約2,500億円、技術協力で約2,800億円となってございます。

次のページをお開きいただきたいと思います。一般会計ODA予算の推移でございますが、実はODA予算、1997年がピークでございまして、当時は1兆2,000億円弱あったわけでございます。それが、抑制基調のもと縮減が行われまして、2015年予算は5,422億円と当時の半分以下の規模になっております。

これを危機的ととる向きもございますが、次のページをご覧いただきたいと思います。先程申し上げましたそのODAでございますが、左上の四角にあるんですね。一般会計当初予算というのがございますが、これ以外にも、先程ご説明申し上げました円借款がございます。これはその一般会計からの出資金、それから財政融資資金、途上国からの返済された資金、これらを財源にしまして1兆円規模の資金を供与してございます。トータルで見ますと約2兆円の事業量が確保できるということでございます。

よろしければ、次のページをお開きいただきたいと思います。ただいまご説明申し上げました一般会計の予算額が、この薄い黄緑色の棒グラフでございます。また、後ろの緑色の棒グラフがODAの事業量でございます。これまでの経済社会にどのようなことが起こったかと、あるいはその経済成長率、財政収支がどうだったかということをプロットしてございます。具体的には赤い折れ線グラフが我が国の名目GDP成長率、それから青い折れ線グラフが国・地方の財政収支の対GDP比、黒い棒グラフが今のASEAN10の1人当たりのGDP平均を指数化したものでございます。

ODAは戦後賠償と並行して進められてまいりました。その過程の中で、準賠償として途上国に経済協力を行うということで始まりましたが、日本が戦後復興を果たす中で、東南アジアとの関係が非常に悪化した時期がございました。1974年にはインドネシアの反日運動が起きましたし、また同じ年にタイでも学生の反日運動が起こっております。恐らく戦争が残した爪あとということもありますし、またやはり当時日本企業の東南アジアにおける急激なプレゼンスに対する反発があったという見方もございます。

このような中で、やはり東南アジア各国と隣人として、イコール・パートナーシップで協力関係を築いていこうという福田ドクトリンが策定されます。また、それと相前後する形で中期目標が設定されまして、とにかく量的目標をつくってODAの規模を増やしていこうという時期でございました。我が国の財政収支を見ても改善傾向にありましたし、また当時もオイルショックを経験したとはいえ、日本の経済成長力もございました。このような中で、一般会計予算、あるいはODAの事業量も拡大の一途をたどったわけでございます。

他方で、1990年あたり、バブルの崩壊とともに、我が国の財政状況が非常に悪化いたしましたし、経済成長としても非常に低調なものになっていったと。他方で、ASEAN各国におけるアジア各国における成長が非常に著しいという環境の中で、特に財政状況が非常に悪うございましたので、先程申し上げた一般会計の予算がピークを迎えました1997年に財政構造改革法が成立いたしまして、平成10年度はマイナス10%シーリング、それ以降も前年度を下回るという非常に厳しいギャップがかかったわけでございます。

その後でございますが、やはり我が国の経済・財政状況、それからやはりODAのおかげとは申しませんが、ODAの貢献もあって東南アジアにおいて非常に高い成長が実現したと。

さらに、ここには書いておりませんが、外務省のODAで不祥事も様々ありましたし、また無駄な非効率な事業に対する指摘も会計検査院などからあったわけでございます。このような中で、やはりODAに対する国民の非常に厳しい目線の中で、ODA予算は抑制の一途をたどってきたということでございます。

他方で、先程申し上げましたように円借款などを含めましたODAの事業量という目で見れば、一定の事業量を確保してきたと見ることができようかと思っております。我が国の財政は非常に厳しいですし、経済成長したとはいえ、貧困の問題もございます。したがいまして、我が国の現在の経済・財政状況を踏まえれば、やはりこうした傾向というのは依然として維持していくべきであろうと考えてございます。

次の日本のODAのタイド率でございます。先程のグラフに合わせてプロットするのがうまくいきませんでしたので、こちらのほうに別に出させていただきました。ODA創設当初は、これは100%タイドだったわけでございます。他方で、途上国支援と言いながら、100%タイドというのはおかいしいのではないかという非常に厳しいご指摘もございました。このような中で、日本のODAのタイド率というのは大幅に低下してきたわけでございます。

他方で、お手元の資料の2000年や2002年のあたりをご覧いただくと、小さい山がございます。これはやはり我が国企業が非常に景気の悪い中で苦労している中にあって、円借款と企業の進出をセットにしたようなプログラムが組まれまして、タイド率が増えてきているということでございます。また近年におきましても、円借款でそのタイドの場合には金利を優遇するという措置もございまして、足元少し上がってきているということもございます。

よろしければ、10ページ目をお開きいただきたいと思います。我が国の途上国向け支援に関して、この棒グラフでございますが、一番下の赤い部分がODAでございます。これは純増傾向にあることが見てとれます。その上が先程申し上げたJBICやNEXI、OOFの部分でございまして、特にここで着目していただきたいのは、この青い部分でございます。これは民間から途上国に対する直接投資でございます。今やODAをはるかにしのぐ規模になってございます。ODAの規模が伸びない、あるいは予算が減ったなどのご指摘があるわけですが、途上国との関係を考えれば、やはりその雇用や成長につながる直接投資というのは非常に大事ですし、その二国間関係を見るに当たっては、そういうこともしっかり考慮していくべきではなかろうかと思います。それからもう1つ、やはりそのODAも直接投資がちゃんと出ていけるような環境整備に資するようなものに重点化していくべきではないかと考えます。

次のページでございます。民間資金のうち、直接投資を主要先進国で並べてみましたが、日本の規模は米国に引けをとらないものになっていることが見てとれようかと思います。

それからその次でございますが、OOFです。これはJBICの融資ですが、途上国の成長に資すると思われる事例を1つ取り上げてみました。これはラオスに流れておりますナムニアップ川という川がありますが、そこにコンクリートダムを建設して、タイとラオスに売電するというプロジェクトでございます。これは収支採算性が取れますので、これはJBICが2億米ドル超の融資をしたものでございます。これはODAではございませんが、まさにこのラオス、あるいはタイにとって電力の安定供給に資するものでございますし、またこういったプロジェクトに関与された方々にとっては、非常に役に立ったと評価できるものではないかと考えております。したがいまして、単にODAのみならず、こういったものにも細かく目配りをしていく必要があるのではないかということでございます。

続きまして、13ページ目でございます。ODAの水準をネットで国際比較したものでございます。先程私はグロスで見るべきと申し上げましたが、次の資料においてはネットでしかとれないものですから、ODAの国際比較はネットでとらせていただいておりますが、我が国の順位が最近円安ということもありまして、世界で第5位ということになっております。

これについては悲観的な見方がなされますが、次の14ページのグラフでございます。これはODAと、それからOOF、JBICやNEXIの資金、それから民間の対外直投、これを加えたベースで見ますと、日本のプレゼンスというのは一定程度確保できているということが言えようかと思います。

よろしければ、次のページでございます。ODAは被援助国のニーズに対応して、きめ細かくメニューなどを決めていく必要があるわけでございます。このような中にあって、年を経るにつれて、援助の中身の重点の置き方も変わってきている例でございます。

例えばインドネシアでございますが、インドネシアは日本最大の援助国でございます。やはり経済インフラなどを中心に、その開発支援を行ってまいりました。他方で最近、制度改革とのパッケージによる開発政策借款とありますが、これは金融市場や、あるいは税務会計、資本市場など、そういったものを改善を前提に借款を進めていくものでございまして、日本企業の進出の環境づくりという面で、こういった事業は大事なのではないかと考えているところでございます。

また、ベトナムも同様でございます。投資環境改善という事業も行われてございます。これは主に技術協力でございますが、例えばベトナムの民法の改正、商工省の競争管理局の機能を強化すること、あるいは知的財産に関する制度整備を行うことなどのための人的な貢献を行っているということがございます。このような取組は非常に大事だと考えております。

1枚おめくりいただきまして、有償資金協力の役割とございます。18ページ目、棒グラフを並べておりますが、近年においてそのODAの事業量の中で、有償資金が占める割合が増えてきているというグラフでございます。

駆け足で恐縮でございます。次のページでございます。円借款のニーズというのはどうなのかということですが、アジア向けの円借款がこのページ中ほど、上段の黄色い棒グラフでございます。中国向けの新規の円借款は2007年を最後に止めております。他方で、インドあるいはベトナム、ミャンマーといった国で、資金需要は非常に強いものがございます。こういったものにきめ細かく対応していくということが大事かと思います。

またアフリカですが、基本的にこれは旧宗主国に任せておけという議論もあるわけですが、最近ではやはりその資源の観点からの重要性が特に認識されてございます。もともと貧困削減のようなプログラムのための支援というのが多かったわけですが、最近ではGNIも上がってきておりまして、社会資本整備に関するニーズも非常に強いものがございます。

次のページに、アフリカの有償資金のニーズの例をご紹介させていただきましたが、割愛させていただきます。

21ページでございますが、質の高いインフラパートナーシップに関してでございます。これは、外務省、財務省、経産省、国交省の4省が共同で取りまとめたプログラムでございます。4本の柱によって、今後5年間で1,100億ドルの質の高いインフラ投資を提供していこうということでございます。

それぞれの柱はこのページの右側に書いておりますが、柱の1つ目は、日本の経済協力ツールを総動員した支援量の拡大・迅速化ということで、単に円借款が出ていくというだけではなくて、その案件の組成の段階からしっかり技術協力が関与して、その後の円借款につなげていくという取組。それから第2の柱でございますが、これは我が国とADBのコラボレーションとして、我が国はADBの使途を支持していこうということでございます。また第3の柱は、JBICの機能強化によりまして、これまでとれなかったようなリスクも少しとれるような改革・改善が考えられないだろうかということでございます。第4の柱でございますが、日本におけます質の高いインフラ投資を国際スタンダードとするべく、国際機関等に働きかけていくということでございます。

よろしければ、1枚おめくりいただきまして、無償資金協力・技術協力をいかに行うべきかということでございます。外務省が行いますODAのプロジェクトですが、やりっ放しで評価がされていないのではないかという評価が一時ございました。特に最近JICAを中心に行ったプロジェクトについて、自己評価をしっかりやろうということで取組が進んでございます。

他方で外務省自ら実施するプロジェクトに対する評価というのは若干緩いのではないかという部分、あるいはJICAが実施した評価を政策に外務省がどう反映するかという部分については、まだ若干弱い部分があると思っておりまして、引き続き改善を求めてまいりたいと考えてございます。

次のページでございます。質の高いインフラ投資の展開支援ということで、先程円借款のところでご紹介したものを裏側からもこう書いてありますが、例えば無償資金協力でございますが、この四角の3つ目、これはアフリカにおけるプロジェクトですが、これをなるべく一括化、プログラム化して採択・実施すると。なかなか遠いアフリカに、今、日本企業が裸単騎で出ていくというのも難しいところがありますので、こうしたことで事業予見性を高めて、本邦企業の積極的な参加を促したいということでございます。

また、その下でございますが、質の高いインフラ展開のためパイロット無償、いきなり大規模な円借款やプロジェクトがなかなか難しいということであれば、質の高いインフラということを理解してもらうために、パイロット的に無償資金協力を行ってみるということでございます。当然そのプロジェクト自体が、その重要性が高いということが大原則でございますが、こういったものも民間企業によるビジネス展開につながるものではないかと考えてございます。また、技術展開でございますが、上流計画から技術協力を行って、その後の円借款等に展開していくということでございます。

その右側のページでございますが、海外展開支援でございます。地方自治体あるいは中小企業、優れたノウハウを有しているところがございます。そうしたところのノウハウを、被援助国の途上国のニーズとマッチングさせていくということでございます。こういった取組も非常に大事ではないかと考えてございます。

よろしければ、1枚おめくりいただきまして、分担金・拠出金の評価と重点化でございます。28ページ目の資料、これはまた以前財審でも出させていただいた資料でございます。国際機関への分担金・拠出金につきましては、英国で通信簿をつけております。それをその資源配分への基礎としてございます。

他方で、日本ではこのような取組がございませんでしたので、次の29ページでございます。昨年、財審からいただきました建議でございますが、国際機関向け拠出金についても、外交上の意義等の観点から厳格な評価が必要であると。また、その評価をもとに、予算に反映するべきであるというようなご指摘をいただいております。

こうしたことも受けまして、外務省におきましては、本年8月に評価を行った上で公表してございます。AからDの4段階評価でございます。評価の基準といたしましては、外交課題遂行上の有用性、我が国実施事業との相互補完性。あるいは意思決定における我が国のプレゼンス。専門分野等におけるその国際機関の影響力、組織・財政・マネジメント。機関等における邦人職員数等でございます。こうしたことをもとに、AからDの評価をして対外公表してございます。

取組のスタートとしてはよしということかもしれませんが、次のページをご覧いただきますと、その評価結果をまとめてございます。D評価はゼロでございまして、C評価も数が非常に少なく、A、Bに寄った評価になってございます。それから、予算額ベースで見ても、C評価とされたものの予算額は非常に僅少であるということで、我々としてはできればもっとC、D評価に寄った厳しい評価をお願いしたいところなんですが、恐らく外務省的には、重点化できている結果が反映されているだけだということかもしれません。

ただ、大事なのは、この評価は今回外務省の省内で行われております。チェックをかけたとはいえ、やはりこうした評価を行うに当たってはなるべく外部の専門家の方々の目を入れて、客観性を高めていくということが大事かと思っております。

論点整理でございます。途上国に対する我が国の貢献評価をするに当たっては、単に一般会計のODA予算の多寡を論じるのではなくて、やはりそのODAの事業規模を踏まえるべきであると。また民間資金、とりわけその直接投資が開発途上国との関係強化に重要な役割を果たすものですので、当然に重視されるべきではないかということでございます。

また、ODAにおいて途上国における投資環境の整備・改善につながる事業に重点化して、民間投資の促進を図るべきではなかろうかと。また、ODAの一般会計予算につきましては、我が国の経済・社会情勢の変化に応じて規模も変化してまいりましたが、現下の厳しい財政事情、我が国の経済・社会環境などを踏まえますと、引き続き抑制していくことを基本とすべきではないか。その際、ODAの各ツールをより戦略的・重点的に運用していく必要があるのではないかということでございます。

ご説明は以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、早速どなたからでもご意見。黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は環境問題における二国間クレジットとの関連で、ODA、あるいは今日お話にありましたOOF、PF、これとの連動ができないものかということをご提案させていただきます。

12ページ、これはOOFですが、水力発電所を建設する例です。水力発電というのはCO2を発生しませんのでいいことですが、どの程度ベースとなるレベルから、どのように計算してCO2が削減されたのか測定するのは1つ大きな問題ではあります。いずれにせようまく測定ルールを定義すれば、かなりのCO2削減クレジットを発生させることができるものです。

それからもう1つ、22ページに外務省、財務相、経済産業省、国土交通省が一体となって、これからアジア地域の膨大なインフラ需要に対して応えていこうと。この膨大なインフラ需要というのが、写真がどこかにあったかな。橋や道路と書いてありますが、恐らくアジア地域において、エネルギー、発電関係のインフラというのは非常に需要が大きいことが予想されます。ですから、ここのインフラというイメージを、石炭火力であっても日本の持っている最高度の技術、今までの普通の並のものよりも最高度の技術をもってすれば、CO2は出るとは言ってもより少なくすることができる。そこで温室効果ガス排出削減クレジットが生まれる可能性があるので、それを何とか利用できないか。

CO2の問題は、京都議定書の第二約束期間には日本は入らなかったわけですが、先程言いましたように次回の財審で議論になるのか、少しくらい話題になるのか分かりませんが、二国間クレジットで何とか、僕の記憶が間違っていなければ、将来5,000万トンか1億トン程を狙おうという話があるのではないかと。これは記憶が曖昧ですが、我が国全体では、年間で13億トンから14億トン程だと思いますが、かなり期待されているところです。しかし、現在のところ、二国間クレジットの各事業は1,000トン程度のレベルではないかと。これも私の記憶間違いでなければそういうことですが、お調べいただければと思います。

今、二国間クレジットは環境省が主にやっていると思いますが、目標と比べて規模が違う。そこで、水力発電のような関係だと、かなりのオーダーでクレジットが生まれる可能性があるので、何としてでも利用できないか。このためには、外務省、財務相、経済産業省、環境省、こういう省庁を越えた協力関係でやっていかないとだめだと。少し長くなりましたが、要望をしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では老川委員、永易委員、よろしくお願いします。

〔 老川委員 〕 はい、ありがとうございました。ODA対象国が経済成長して必要なくなったなど、そういうところはどんどん別の国へ持っていくなど、そういうこと。それから無駄があってはいけない。やはり国民のお金、税金を投じてやるわけですから、そこら辺は厳しく評価していくということは大事だと思いますが、他方でやはりこのODAというものは日本の外交といいますか、戦略的に極めて重要なことなので、あまり金目だけで、あるいは数値的な効果がはっきりしないからというようなことだけで塩梅しないほうが、僕はいいのではないかなと思います。

そういう意味で、もちろん無駄があってはいけないのですが、時々テレビや何かで報道されるのは、せっかく日本がお金を出して学校を建てたり、病院を建てたりしても、そこの施設が一部壊れちゃった。そうすると修繕できないで、そのまま使えなくなって放置されているなどのケースが幾つかあるようですね。そういうところは、やはり顔の見えないということとも関係しますが、メンテナンスということについてもフォローアップをきちんとやっていく。

そのためには、人材がなかなか大変だろうと思いますが、やはり様々な企業のOBやボランティア、こういう人たちにうまく働いてもらうなど、そういう形で、現地に人が必要ならば行ってちゃんと手当してあげられるということで、やはり日本の協力というのはきめ細かくありがたいなという実感を与えるような援助の仕方が必要ではないかなと思います。

それから、特に国際機関への出資、これももちろん大事だと思いますが、人の派遣といいますか、日本人の存在がやはり必要なので、この間のユネスコのああいうばかげたことが簡単に行われてしまう。日本の抗議が全然受け入れられない。こういうことはまことに残念なことで、やはり日本の意向というものもしっかり把握する必要があるということを国際機関自体に理解をさせるようなやり方というのが、これから必要になってくるのではないかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。では、永易委員。

〔 永易委員 〕 はい、ありがとうございます。今回のご説明は、従来の狭いODAではなくてトータルで見ておられるので、これは非常にいい議論ではないかと思います。ずっと表を見させていただきまして、ODAの本予算というのか、予算ベースの数字は随分カットしてきたわけですが、トータルでこのようにして見ますと、十分日本国としてプレゼンスを示せる数字だなと理解した次第であります。

その中で1つ、インフラ投資の話が20ページから21ページに詳しく載っておりますが、今からこの概念で捉えますと、まさにこの世界の数字がどんどん増えてくるのではないか。これはODAだけではありません。トータルの数字です。で、どこへ行っても感じるのは、前回のインドネシアの件、ロンドンの原発は少し違うかもしれません。ただ、インドネシアの高速鉄道のやり方は、必ず今から中国、場合によっては韓国がやってくるやり方であろうと思います。

そうしますと、このインフラ需要に対する対応というのは、従来の経済協力という概念とはやや違う、やはり後進国というのか開発途上国の成長を日本国経済に取り込むという色彩が出てくるのだろうと思います。年間80兆円、10年間で800兆円とも言われておりますでしょう。下手をすると、こういうものに日本は入札で負けていくということは十分あります。やはり中国はAIIBを中心にかなりのことをやってくるでしょう。だから、我々はADBを今度1.5倍にするなどという話がありましたが、そういうところにはやはり相当強いトーンでやっていくべきではないかと思います。もちろんODA自体は、コメントがございましたとおり、重点化して筋肉質でいいと思いますが、このようにトータルとして捉えるのであれば、これは相当力を入れていかざるを得ないであろうし、いくべきだと思います。

そういう面で、そういうトーンが必要ではないかという点と、もう1つ、例えば13ページ、14ページあたりのところ、これは従来からの表だからしようがないのですが、やはり相手が欧米なんですね。ただ、インフラ投資などという概念を捉えるのであれば、実際は中国であり、場合によっては韓国だと思います。だから、この数字が例えば中国の数字なんかがあると非常によく分かるのですが、今回だめであれば、ぜひ次回からはそういう数字を入れていただくと非常にありがたい。そのように思います。

〔 吉川分科会長 〕 最後の点は、場合によっては次回、そういう数字があれば説明していただければと思いますが、いわゆる宿題という感じで。

中空委員、土居委員、井堀委員、葛西委員の順でお願いします。

〔 中空委員 〕 はい、ありがとうございます。今、永易委員がおっしゃったことと似ていることから始めたいと思っているのですが、8ページの日本のODAのタイド率という表があります。何となく日本が日本のODAのことを語るときに、タイド率が低くなっているということをまるで反省しているかのように言うのも正直どうかなと思っていて、これが低くなるのは、その相手国に自由を与えるということですのでいいことなのでしょうが、中国などの動きを見ていても、やはり全然タイド率などは無視しているのだろうと思います。

そうすると、私たちが今度見るべき視点としては、タイド率ということよりは、質としてどういういいものを出してきたのかということだろうと思うので、質の概念をここにどうやって織り込むかちょっと分からないで言っているのですが、もうタイド率がどうだからということの議論を自分で言うのはやめたらどうでしょうかというのが1点目です。

あと、よくテレビなどを見ていますと、安倍さんが外遊をすると様々なお金を使ってくると。それに対して、国民からはたくさんの非難が出ていて、外国にお金を使うならば日本に使えというようなことはよくあると思います。なので、そういう意味でも、先程老川委員がおっしゃったように、日本の国にとってはとても大事な戦略になってくるので、そこはまた出しようかなと思っていて、やはり同じように、先程永易委員が説明されました13、14ページですが、私は14ページのODA、OOF、FDIを、日本としてはもう少し強調してしゃべっていいのかなと考えています。

というのも、私がいます金融マーケットは、最近OOFに入るのだと思いますが、JBICなどが出しているお金に対して1年間は民間がリスクをとりますが、その後JBIC保証になったりするような債券の形での資金調達が進んできています。実際、様々な要因があってそれにお金が回っているわけですが、基本的には民間のお金がOOFという形を通して外に向かっているのが現状かと思います。ですので、これは2013年で終わっていますが、14年、15年と延ばしていくと、もう少し増えているような気がトータル感としてはあります。ですので、こちらのほうを日本国としては見せていくのかという点を整理するのが1つのアピールのための戦略だろうと思います。

最後にもう1点、これは単なる質問ですが、有償資金のODAの中で、これまでの貸し倒れって非常に少ないはずですが、どの程度貸し倒れているのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 最後の点だけ、もしお分かりになれば簡潔に。あるいは次回でも。

〔 山崎主計官 〕 今、手元に数字があるはずですので、探します。

〔 吉川分科会長 〕 では、その間に土居委員にご発言をお願いします。

〔 土居委員 〕 山崎主計官、ご説明どうもありがとうございました。私は国際機関等に対する拠出の評価の実施について、意見を1つ述べたいと思います。

外務省で31ページのような評価を実施されたというところは、まず評価していいと思いますが、主計官もご指摘のように、Dがないなど、やはり少し予算編成、予算要求を気にし過ぎた評価になっているのではないかと思います。先程老川委員もお触れになられましたようにユネスコの件もありますから、もう少し予算編成も意識せざるを得ませんが、さはさりながら、国際機関に対して我が国としてどのように評価しているかということは当然国際的にも注目されることですから、しっかりと、予算要求だけに捉われずに評価をするということをまず外務省には求めるべきではないかと思います。

そういう意味では、当然CやDになったからといって、減額要求にしなければいけないという必然性は必ずしもなくて、場合によっては評価が低いということは、もう少し力の入れようを工夫すれば、日本にとって非常にありがたい国際機関になり得ると。しかし、現状としては低い評価にせざるを得ないというような機関もあるかもしれない。ないしは場合によってはAという高い評価が得られるかもしれないが、そこまでお金を出していいパフォーマンスをする機関ならば、多少拠出を減らしても引き続きいいパフォーマンスが持続できるかもしれないと、拠出を減らすということだってあるかもしれないと。

そのような意味では、評価を予算要求とは別にしながらも、さはさりながら、どうしてそういう評価になったのかということと拠出額との関係を別途きちんと精査すると。このような段取りが、外務省のほうでもあってもいいのではないかと。そういうことを予算編成のプロセスの中で、外務省にしっかりと国際機関に対する評価をお願いするということを求めていくべきではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 主計官、先程の。じゃあ、お願いします。

〔 山崎主計官 〕 中空委員からいただきました質問でございます。 円借款の債権放棄実績でございますが、平成15年度から25年度まで、約9,955億円ございます。金額的には非常に多いのですが、実はこの大層は、その平成14年にまとまりました重債務貧困国、HIPCsに対する債務削減が決まり、それを受けて債務削減が行われましたので、金額としては大きいものになってございます。また、近年ではミャンマーに対する債務削減が約3,000億円ございまして、金額としてはこのような数字になってございます。他方で、近々大型の債務削減が行われる議論というのは、今のところないというのが現状でございます。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 はい、どうも。では、井堀委員。

〔 井堀委員 〕 私、永易委員がおっしゃられたことと同じことだと思ったので、あまりつけ加えることはないのです。やはり日本がこれまでアジアを中心にODAをしてきたときに、中国はかなり同じようなといいますか、かなり競合するような援助をやっているわけです。先程インドネシアの高速鉄道の例もありましたが、そうすると、日本から見ると途上国が経済的に発展することが最大の目的ならば、どこの国から援助をもらっても途上国としてはありがたいわけですから、中国から援助が来るならば、日本はその分は中国に任せて、ほかの国に援助を振り向ければいいという考え方もあり得ると思います。ただ、問題はそのODAというのは、その後、日本との様々な経済的な発展の大きな呼び水になるということであれば、戦略的に中国と張り合っても、もう少し頑張らなければいけないということだと思います。

その点からすると、日本のODAのデータのときにFDIとの合計が出ていますが、これはODAが増えたから、その後それが呼び水になってFDI、民間が出ていったという因果関係がある程度データで読み取れるのであれば、これは非常に戦略的にもっともらしいと思います。そのあたりのODAとFDIを単に足し上げるのではなくて、時系列的にODAが出たからFDIが増えていったというのが各国別にでもあるのであれば、そういうデータも出ていればよろしいのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 はい、では、それももし可能であれば次回、適宜ご説明していただくとして、葛西委員、お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 もう皆さんおっしゃったことと重なるかもしれませんが、意見でありますので、お答えは要りません。

有償資金協力の分野で「質の高いインフラパートナーシップ」というものが1つのキーワードになっていますが、インフラというのはもともと国が整備すべきものですから、そこに民間資金を呼び入れるというのは本来的に難しいと思います。やはりインフラ援助においては、まずきちんとした国家戦略があって、その国との関係をどうしていこうかという狙いをもとに優先順位をつけるべきものです。日本の場合、ODAというのは、援助を受けた国が経済発展すればそれでいいというようなところが少し見られるように思いますが、そのような考え方でインフラをパッケージ輸出しようとするのは難しいというように感じます。

なお、当社では、海外から鉄道技術に関する支援要請があればポジティブに受け入れることにしていますが、例えば大規模に出資をして鉄道会社のオーナー或いはオペレーターになる気は全くありません。要するに技術とシステム、そしてそれらのインテグレーションについて我々が人的・技術的なノウハウを提供するというところまでが限界です。インフラのパッケージ輸出というコンセプトはいささか甘いような気がいたします。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、最後に武田委員、佐藤委員、加藤委員、お三方ですが、予定された時間が迫っていますので、恐縮ですが簡潔に。

〔 武田委員 〕 ありがとうございます。意見が2点ございます。1点目は、今、お話が皆様から意見がございましたアジアの質の高いインフラ投資に関してであり同様でございますので、こちらは省略いたします。

もう1点は、国際機関や国際社会における我が国のプレゼンスや影響力といった点でございます。プレゼンスの観点では、もちろん拠出金というお金の部分も評価としては重要ではないかと思いますが、一方で人の部分も非常に重要になってきていると感じます。日本は歴史的に公的機関などから出向という形で行ってきましたが、今後の日本の国際社会、あるいは国際機関におけるプレゼンスということを考えますと、人材をもう少し戦略的に、つまり出向以外のプロパーの職員をどのように増やしていくかということも、長い目で見たときの我が国の国際的なプレゼンス及び影響力に大きく影響してくるのではないかと思います。従って、短期的な視点で人数が増えたか減ったかという、A、B、C、Dの評価も必要なのかもしれませんが、もう少し長期ビジョンに立って戦略的に人を育て、人を送っていくということを長い目で実行していく必要があるのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 では手短に2点程です。

もう既に井堀委員から言われていますが、14ページのところ、例えばその因果関係が非常に大事で、呼び水というのであれば、日本がODAを配ったことが、結果的に乗数効果的にそのOOFやFDIなどを呼び込んだという因果関係が見えなければいけないし、仮にそれが中国のODAが増えても同じ効果があれば、確かにお任せしてもいいのではという議論になると思うので、そこはやはり単にマクロで見るのではなく、それぞれの事業をもう少しミクロレベルでブレークダウンして分析したほうがいいのかなという気がします。それによっては、やはりODAの配り方、やり方、戦略というのも決まってくると思います。

もう1つは、先程の分担金の評価ですが、やはり28ページを見たらイギリスってやはりいいなと思いますが、計量評価をちゃんとしているんですね。それに対してMARって何だろうというのは若干疑問ですが、でも、やはりちゃんと計量評価をしようという姿勢というのは評価すべきであって、恐らく30ページにある日本の場合の評価の基準において、法人職員数は確かに数ですが、これがだから何だという話になってしまうし、多分プレゼンスや相互補完性と言われても何となく定性的な評価のような気がしますし、最後の評価のA、B、C、Dも、学校の成績みたいに多分立ち上げた点数が何点以上ならA、あるいは何点以下ならBなど、そのような評価をしていないとすれば、何となく気持ちの問題ということになってしまうので、ちょっとやはりこういう定量評価というのは、別にこの分野に限りませんが、もう少し学ぶべきところが多いのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 はい、どうも。では、加藤さん。

〔 加藤委員 〕 手短に。実は、これは井堀委員と、それから佐藤委員と同じですが、例えば14ページで、ODAとFDIが足し算になっているわけですが、現実問題としてODAとFDIが時系列的に違うかどうかという話と、それから行くところが違うのかなという気もしております。つまり、ODAでやるべきプロジェクトと、それからFDIで、もうけなければいけないところとあるので、これは単純に足し上げていくということで、同じ資金の性質を持っているかどうかということも含めて考えていく必要があるのかなということです。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

それでは、活発な議論ができたと思いますが、時間が参りましたので、本日の議題は終了とさせていただきます。

なお、本日ご欠席の古賀委員より意見書を提出していただいており、皆様のお手元にお配りしております。

今回の秋の審議では、8月5日以降審議を行ってまいりまして、各論については次回の審議を残すのみとなっております。皆様方に活発なご議論をしていただき、まことにありがとうございます。今後は、いただいたご意見を踏まえて、平成28年度予算の編成等に関する建議の起草に入ってまいります。

建議を起草いただく委員につきましては、事務負担を踏まえ、これまでもお願いしておりました小林委員、田近委員、土居委員及び富田委員に、今回中空委員を新たに加えた5名の委員にお願いすることとしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

〔「異議なし」の声あり〕

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございます。それでは、5名の委員の皆様にはよろしくお願いいたします。

あとはルーティーンですが、本日の会議の内容につきましては、恐縮ですが私にご一任いただければと思います。

次回は、11月10日13時から予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

では、本日の会は終了いたします。どうもありがとうございました。

午後 4時59分閉会

財務省の政策