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財政制度分科会(平成27年10月30日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成27年10月30日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成27年10月30日(金)10:00〜12:31
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題
・社会保障マル2
・地方財政

3.閉会

出席者

分科会長吉川 洋大岡大臣政務官
中西大臣政務官
福田主計局長
美並次長
可部次長
茶谷次長
阪田総務課長
中山調査課長
内野給与共済課長
余島司計課長
片岡大臣官房参事官
小宮主計官
宇波主計官
奥主計官
阿久澤主計官
高村主計官
彦谷主計官
堀内主計官
冨安主計官
山崎主計官
タカ5主計官
江島主計官
廣光主計企画官
泉主計企画官
委員遠藤 典子
倉重 篤郎
黒川 行治
竹中 ナミ
土居 丈朗
中空 麻奈
永易 克典
臨時委員板垣 信幸
伊藤 一郎
井堀 利宏
老川 祥一
葛西 敬之
加藤 久和
小林 毅
末澤 豪謙
十河 ひろ美
武田 洋子
田近 栄治
南場 智子
増田 寛也
宮武 剛

午前10時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方にはご多用中、ご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

本日は、「社会保障」及び「地方財政」を議題としております。

本日は、大臣政務官にご就任されました大岡大臣政務官、中西大臣政務官にもご出席いただいております。新たにご就任されました大臣政務官から一言ずつご挨拶をいただきたく存じます。

それでは、まず大岡大臣政務官、よろしくお願いします。

〔 大岡大臣政務官 〕 皆さん、おはようございます。このたび財務大臣政務官を拝命いたしました、滋賀1区選出衆議院議員の大岡敏孝でございます。滋賀1区といいますのは、滋賀県の西側半分全部でございまして、大変、風光明媚なところでございますので、また一度足をお運びいただきたいと思っております。

本日は、財政制度分科会ということで、テーマが「社会保障」と「地方財政」ということで伺っております。いずれも非常に難しい二律背反するテーマをどう追いかけていくかという分野があろうかと思います。社会保障につきましては現役世代の負担と将来負担、どのようにバランスをとっていくのか、さらに地方財政につきましては、人口減少が激しいところと緩やかなところのバランスをどうとっていくのか、様々な難しい課題につきまして、先生方にご議論をいただくことになろうかと思います。

私たちも先生方のご意向に沿って、またその決定事項をしっかりとお守りしていけるように頑張りますので、どうか引き続きよろしくお願いいたします。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。続きまして、中西大臣政務官、よろしくお願いいたします。

〔 中西大臣政務官 〕 皆様、おはようございます。ただいま大岡先生とともに財務大臣政務官を拝命しております参議院議員の中西祐介でございます。

各先生方、委員の皆さんにおかれましては、大変お忙しい中、こうしてお集まりいただき、まことにありがとうございます。

政府では2060年人口1億人をキープできるように様々な策を考えようということで、今、地方創生の様々なビジョンを描かせていただいております。実は2060年に私は80歳になる年でございまして、今、36というまだ若輩でございます。今日取り上げていただくテーマは、まさにロングのビジョンでいかに国が持続性を保てるか、そういう大きな根幹をなす社会保障と地方の財政ということでございますので、先生方から貴重な建議をいただき、それをもとに来年度の予算編成に向けて生かしてまいりたいと考えておりますので、ご指導の程、またご議論の程よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

それでは、ここで報道、退室をお願いします。

(報道退室)

〔 吉川分科会長 〕 本日は、まず冒頭、10月9日の審議の際に議論になりました「ドイツにおけるシュレーダー改革後の社会保障・経済情勢の推移」について、事務局からご説明をお願いいたします。調査課長、お願いします。

〔 中山調査課長 〕 調査課長、中山からご説明させていただきます。

お手元の参考資料1に沿いまして、ご説明させていただきます。「ドイツにおけるシュレーダー改革後の社会保障・経済情勢の推移」につきまして、宿題を大きく2ついただきました。

1ページおめくりいただきまして、最初がドイツは社会保障支出を対GDP比で抑制しております。その要因分析でございます。資料の2ページでございます。これ、左側にございますように、1995年から2013年にかけて、対GDP比でマイナス0.6%程度の抑制が図られております。これに関連する施策として、右側にございますように、労働市場改革、医療改革、年金改革と総合的な改革が進められたわけでございます。

その要因分析、3ページでございます。左側からまずご覧いただきますと、赤の年金でございます。先程のページにありましたように、累次の給付水準の抑制、加えてその支給開始年齢の引上げ策が講じられておりまして、継続的に支出水準を抑制しております。対GDP比で見ましても、2005年の10.2%から2013年の9.2%と、約1%ポイントの低下を図ってございます。

次、医療をご覧いただきますと、2004年にいわゆる受診時定額負担を導入しておりまして、この間、2000年から2005年にかけて横ばいということで、抑制が図られております。

次、失業給付につきまして、右側でございます。ご覧いただきますと、2003年から2005年、社会扶助の要素を含む失業給付の削減やミニジョブの導入、労働市場の流動化策といったいわゆるシュレーダー改革を受けまして、就労インセンティブが上昇いたしまして、2005年以降、失業率が大幅に低下しております。それに合わせて給付水準も低下しておりまして、対GDP比で約1%ポイント程度の下落につながっているということでございます。

2つ目でございます。ユーロ導入後のドイツの経済環境、好調を支えた要因として、交易条件、賃金水準の効果について宿題がございました。

6ページでございます。まず交易条件の推移を日・独で比較いたしました。赤の折れ線グラフが交易条件でございます。ご覧いただきますと、為替が大きく変動している中で、交易条件は比較的、安定的に推移しております。他方、日本は継続的に悪化していったということでございます。

この要因は、内閣府のレポートの中で見ますと、下の段でございますが、大きく3点挙げられておりまして、1つは為替レートの関係で、ドイツはユーロ建ての決済が多いということが1点、2点目は輸入構造の違いで、ドイツは輸入全体に占める一次産品の輸入のシェアが低いということ、3点目として、輸出構造の違いがあると指摘されておりまして、ドイツはEU域内の貿易が高く、先進国向け貿易が大宗を占めていること、が指摘されておるところでございます。

これを受けまして、7ページでございますが、左側、経常収支の推移でございます。ユーロ導入後、安定的に上昇しております。その背景には、この紫の棒グラフにあります貿易収支の黒字がございます。下の内閣府の白書でも、ユーロ導入後の価格競争力、恩恵的な為替水準が要因として指摘されているところでございます。

右側、その他経済指標について、青の折れ線グラフをご覧ください。賃金水準の推移を示しておりまして、点線の折れ線グラフが名目水準でございます。名目水準では安定的にプラスを持続しておりますが、一方、実線の青、折れ線グラフについて、2003年から2008年にかけて、これはまさにシュレーダー改革で労働市場柔軟化を図っておりまして、この間、実質賃金ベースではマイナスが継続しておりまして、これが1つ産業競争力の向上につながったと指摘されているところでございます。

事務局からの説明は以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。よろしいでしょうか。宿題に対してですが、それでは本日はその後に診療報酬改定を含む社会保障などボリュームの大きな議事も控えておりますので、特段のご意見がなければ次の議事に移らせていただきたいと思います。

では、続きまして本日のメインの議題に移ります。まず「社会保障(28年度診療報酬改定、子ども・子育て)」について審議を行います。

宇波主計官、ご説明をお願いいたします。

〔 宇波主計官 〕 おはようございます。厚生労働第1主計官の宇波でございます。よろしくお願いいたします。

今回は、「社会保障」の2回目ということで、28年度予算編成の課題として、診療報酬・薬価改定、それから若干、子育て支援策についてご審議をお願いしたいと思います。

1枚おめくりいただきまして、2ページ、診療報酬改定からでありますが、まず総論として、診療報酬本体及び薬価の改定率に関する考え方、次に各論として、前回ご議論いただきました「経済・財政再生計画」、「骨太の方針2015」の中に、社会保障関係では44の検討項目がございますが、この中に診療報酬・薬価の制度改革に関する検討事項、これが11項目ございます。これ以外にも、診療報酬に関連しているものが幾つかあります。これらについて、年末までに工程表をつくるという中で改革の方向性を定めて、これを28年度の改定に反映させていく必要がございます。

まず総論であります。3ページ、診療報酬制度の概要です。医科と歯科と調剤に占める技術料、青いところの工程の単価が診療報酬、それから赤い薬剤費を構成するそれぞれの薬の単価が薬価であります。

4ページ、過去の改定率の推移です。薬価については、薬価調査に基づいて、下落している市場価格を反映させているので、常に一定のマイナスであります。診療報酬本体については、予算編成過程においてその都度、改定率が決定されております。本体をマイナス改定したのは過去2回、いずれも小泉政権下であります。

5ページ、診療報酬改定に当たっての視点、上の緑色の箱にマル1からマル5とございますが、これらを総合勘案して検討するということが基本的な考え方であります。順を追って、少しそれらの論点についての現在の見方をご紹介したいと思います。

まずマル1の保険料などの国民負担という観点でありますが、6ページ、これが診療報酬改定の国民生活への影響であります。27年度予算ベースで、医療費は総額43兆円でございます。費用構造が一番上ですが、診療報酬の本体は医師等の人件費20兆円と、右の物件費、委託費、光熱費と記載された12兆円を賄っています。そして薬価がこの中央の2つ、医薬品と、特定保険医療材料の合計、この約11兆円のコスト見合いとなっております。

財源構造を見ていただくと、診療報酬を1%適正化した場合に、国民負担は全体で4,300億円軽減されます。内訳は下のとおりです。社会保障関係予算という意味では、国分1,100億円ということでありますが、それ以上に保険料あるいは患者のご負担も軽減されるというところがポイントであります。

8ページ、2つ目の視点ということで、賃金物価動向と診療報酬改定率の改定の関係ですが、右側であります。先程見ていただいたように、診療報酬本体、これは人件費20兆と物件費12兆を賄っています。8ページのこの青い線は、平成16年度を起点として、民間給与の動きと、消費者物価指数の動きを、今申し上げた医療費の費用構造、つまり2対1で加重平均したものです。言い換えれば、医療費の費用構造に応じて、単純に民間給与の動きと物価でスライドさせた場合には、この青い線が本体の改定率になります。

これに対しまして、黒い線が改定の実績であります。これまでの物価・賃金の動向に比較して高止まりしている状況にあります。特にリーマン・ショックの後、物価・賃金が下がる中でプラスの改定をしてきておりますので、高止まりをしているということでありますので、このような状況を踏まえれば、足元と、今後、物価の賃金の上昇が見込まれるとしても、診療報酬本体については一定程度のマイナス改定が必要であると考えております。

9ページ、先程申し上げた5つの視点のうち、マル3に医療機関の収入や経営状況というのがございますが、これは11月の上旬に、医療経済実態調査が明らかになります。その時点で改めてデータを踏まえて検討していきたいと思いますが、それを飛ばして、マル4の視点として、医療保険財政、国の財政の持続可能性という点で9ページを図示しております。夏の「骨太の方針2015」で、社会保障関係費全体の伸びについては、高齢化による増加分に相当する水準の範囲内におさめるという考え方が閣議決定されております。

医療費に同じ考え方を当てはめた場合、医療費全体の伸び、足元2%前後でありますが、依然、高齢化による影響である、下の赤いボックスの伸びよりも高い伸びとなっておりますので、この点から見ても、この高齢化分による増加分を超える伸び相当を抑制していくことが必要であると考えます。

10ページ、総論全体を整理したものでございます。今申し上げたように、今後出てくる薬価調査、あるいは医療経済実態調査の結果を踏まえて、さらに具体的に検討する必要がございますが、基本的な考え方としては、最初の丸にあるように、まず1)として、市場価格を反映した薬価改定、これを確実に医療費の減に反映させる。これに加えて、2)まずマル1として、診療報酬本体のマイナス改定と、それからマル2診療報酬にかかわる改革検討項目の実現により、全体として医療費の伸びを抑制し、そのことを通じて28年度の社会保障関係費の予算全体の伸び、前回ご紹介したように、概算要求時点では6,700億円の増となっておりますが、これを財政当局としては計画初年度ということで、高齢化の増加分の範囲内、約5,000億円弱におさめていくのが基本であると考えます。

次の丸に書きましたのは、この際ですが、前回ご議論いただきました「骨太の方針2015」の中で、診療報酬改定以外の改革事項もございます。これらについて、年末に定める改革工程表において、28年度からの確実な実施を政府決定することができれば、前回、例えば高額療養費の見直しや、病院病床の光熱水費相当額の患者負担の見直しなどを第1トラックに載せるということを提案させていただきましたが、これらの事項について、28年度からの確実な実施を政府決定することができれば、「骨太の方針2015」にのっとって、診療報酬改定のみではなくて、これらによる制度改革影響額も含めて高齢化の増加分の範囲内におさめていくということを目指すこととなります。

12ページ、次に各論であります。今申し上げたように、「骨太の方針2015」で制度改革については大きく3つのことがあります。(1)から(3)。(3)は前回、実はご議論いただいておりますので、本日は(1)と(2)を中心にご議論いただければと考えます。

13ページ、前回見ていただいたのと同じような形での総括表になっています。前回、色塗りして、後日議論としていた部分を今回、ふたを開いているということで、この白いところがそうです。灰色で塗った部分は、逆に前回、総括表で既にご紹介したものであります。

今回、各論の数が比較的少ないので、この総括表のそれぞれ赤い文字でP15とかP17と書かれた個票のページに沿って、個票でご説明いたします。

15ページ、まず市場実勢価格を踏まえた薬価の適正化・薬価改定のあり方ということでありますが、これまでもご紹介しておりますが、右の図にあるように、これまで2年に1回の改定ごとに下落している卸値、これは自由価格でありますが、この卸値の市場実勢価格を反映して、継続的にマイナス改定を行っております。

一番右の黄色い箱にあるように、過去の3回の改定では、おおむねこの2年経った後の公定価格と市場価格の乖離率は約8%であります。調整幅2%を残して、平均6%程度の引下げ、大体、過去3回では国費ベースで1,200億から1,300億円程度、医療費ベースで約5,000億円程度の引下げをしております。

一部から、この薬価の引下げを行った場合に、それの財源を診療報酬本体に戻すべきであるというご議論がございます。これは右にあるように、この黄色い三角形、ここがいわゆる薬価差でありまして、医療機関あるいは調剤薬局の経営原資になっております。このために、薬価引下げ分は診療報酬本体の改定財源だという考え方でのご主張でありますが、財政当局としては、左の図にあるように、既存の薬については青い線のように確かに毎度、下方改定をしておりますが、薬剤費全体、赤い線で見ると、これは患者数が増加すること、あるいは新薬が保険を収載されるということによって、一貫して年率3%程度の伸びとなっています。

財政当局としては、下がった部分だけをとらまえて財源だという考え方はとり得ないと考えておりまして、薬価改定に伴う適正化を確実に医療費の減に反映すべきだと考えております。この考え方、昨年、安倍総理の国会答弁でも明らかにされております。

16ページは、再来年度の薬価改定について論じております。春の財審でもご説明いたしましたが、診療報酬改定は2年に1回ですが、すき間の年、29年度に、4月から消費税率の10%への引上げが予定されています。医療費の課税関係を見直すかどうかにかかわらず、いずれの場合でも対応はその時点での市場価格に基づいた対応をする必要があります。不合理な国民の超過負担が生じないように、薬価については1年経つと下落していますので、直近の市場価格を反映した薬価基準に改定することが必要となります。したがいまして、薬価調査については今年度分と続きまして来年度も行い、3年連続という形にする必要がございます。

左の15ページの改革の方向性のマル3でありますが、このように3年連続の薬価改定になりますが、もう1つ、薬価改定のあり方については、毎年度、薬価改定をすべきではないかという議論が、「骨太の方針2014」以来、検討課題として掲げられております。この夏の「骨太の方針2015」では、これから向こう3回行われる、3年連続となる薬価調査の実績も踏まえて検討するということになっておりますので、この3回目の調査が完了した時点、30年央を目途に、この薬価改定の頻度についても結論を得る必要がある、このことを工程表に書く必要があると考えています。

17ページは、後発医薬品の新しいシェアの目標達成に向けた措置であります。右の18ページにあるように、この夏の「骨太の方針2015」で目標が60%から70%へと引き上げられ、かつ時期が前倒しされました。さらに29年央において80%の目標にする時期を決める。80%という目標は決まっておりますが、達成時期をその時点で決めるとされています。

この目標の達成に向けて、17ページの左側中段の青い箱にあるように、今現在、こういうジェネリックの推進措置を診療報酬の体系の中で講じておりますので、そのインセンティブ措置について新しい目標をきちんと反映させることが必要であるということ。それから右のピンク色のボックスにあるように、あわせてジェネリックの安定供給、あるいは信頼性向上のための措置を同時に進めることが必要であると考えています。これも28年度の診療報酬改定の課題であります。

19ページは、ジェネリックの価格の引下げであります。上の緑のボックスにあるように、国民負担を軽減する観点から、ジェネリックの価格算定ルールの見直しを検討するということで閣議決定されています。ジェネリックを推進する一方で、ジェネリックの価格自体が高いのではないかという指摘がございました。後発医薬品の価格算定ルール、やや細かくなるので、詳細は省きますが、中央の論点の右側にあるように、新しく後発品が収載されたときの値決めのルール、あるいはその後、既収載の後発品の価格について、こういう形で3価格帯でそれぞれの価格帯において加重平均値を後発品価格とするというのが現行の制度でありますが、いずれの制度についても下方に下げるような形で、「改革の方向性」に記載したような措置を講ずる必要があると考えています。

20ページ。今度は長期収載品、いわゆる特許が切れた先発医薬品であります。「経済・財政再生計画」では、一番上でありますが、保険制度における評価の仕組みやあり方が検討課題とされています。現行の医療保険制度においては、この中央の箱の左の図にあるように、特許が切れた医薬品の市場において、いわゆる特許切れの先発品と、それから後発医薬品、ジェネリックの間には平均して3倍程度の価格差がございます。それのいずれについても保険適用になっているので、患者負担率は同じ割合であります。現行の制度では、この高い先発品の価格について、一定期間を経ても後発品への置換えが進まない場合には、特例的な引下げを行うこのZ2という仕組みがありますが、引下げ率は▲1.5%とわずかでありますので、価格差を迅速に解消するような形になっておりません。今回の工程表の策定において、まずは28年度の診療報酬改定において、このZ2の深掘りをすべきだというのが1点。

それから、さらに抜本的な制度改革として、これまでも財審で何度かご建議をいただいておりますが、右のような制度、つまり後発医薬品がある特許切れの医薬品については、医療保険制度としては後発品価格までをカバーするという形での制度改革を行うべきだと考えております。これはフランスとドイツで類似の制度を導入しておりますが、こちらについてはその検討実施時期の明示が工程表においてはポイントだと考えております。

すぐにでもと思いますが、ある程度、ジェネリックが普及して、安定供給が可能な状態になっているとか、あるいは患者さん、医療機関の理解が進んでいるということが環境としては大事だと思いますので、70%目標の到達と80%目標の時期を決める29年央を目途に、具体化方策をまとめてはどうかと考えております。

21ページ、今ご説明したように、政府としてジェネリックの使用というのを強力に推進してまいりますが、「骨太の方針2015」では、同時に医薬品産業の国際競争力強化に向けた必要な措置を講ずるということを閣議決定しています。これは現実に日本の今の公的な医療保険市場においては、大手の先発品メーカーにとって、特許切れ医薬品、いわゆる長期収載品が重要な収益源となっております。ジェネリックの推進に伴って、少なからず影響が出る中で、新薬の開発力を同時に高めるということが産業政策として重要であるという問題意識であります。

診療報酬制度においては、ここに図示したような形で、新薬創出加算のあり方が1つの課題です。これは特許期間内において、通常であれば薬価調査に基づいて段階的に引下げが行われるべきところを、一定の要件のもとで特許期間中は価格を維持するという仕組みで現在、試行的に実施されています。

財政当局としても、欧米の医薬品産業とイコールフッティングで競争していくためには、特許が切れてもなお価格を維持して収益源にするような今の開発サイクルではなくて、真に有用な医薬品を開発した場合には、そのコストを特許期間内に回収できるような形でのビジネスサイクルを確立することが必要であると考えております。

ただ、この加算の本格導入を検討するのであれば、現在の仕組みはこの論点の上の丸のマル1からマル4に書いたものが今の適用条件になっていますが、マル2のように、市場価格が落ちていないということを薬の有用性の代替指標にしているということとか、マル3のように、医薬品そのものではなくて、企業に着目して、その企業が出した薬であれば別の薬でもこの加算の対象になるというような形の要件になっておりますので、この状態での本格導入ということには問題があると考えております。改革の具体的な方向性に書いたように、真に有用な医薬品を評価する枠組み、費用対効果評価の本格導入を前提とした上で、そういう枠組みにして重点化していくべきであると考えます。

それから、もう1つの改革の具体的な方向性の2つ目の丸に書いたのは、医薬品産業の国際競争力強化というのは大事な課題でありますが、これを公定価格制度のみでやっていくというのは無理があると考えております。競争力強化というためには、研究開発促進のための諸施策であるとか、それから業界再編を含む企業努力あるいは環境整備といった幅広い措置を講ずることが必要であると思います。

22ページ、これは前回ご議論いただきました市販品類似薬についての保険給付の見直しということが1つ検討課題になっております。前回、スイッチOTC、つまり市販が認められた医療用医薬品について、保険償還率を下げてはどうか、それから長らく市販品として定着したようなOTC、市販品類似薬については保険給付外とすべきではないかということを前回ご紹介させていただきましたが、今回追加したのは、一番下の検討実施時期の「マル2については」のところの下線を引いた下の2行であります。

具体的に、28年度の改定においては、こういう改革の方向性にのっとって、湿布第1世代及び第2世代を含む鎮痛消炎剤の除外、それからビタミン剤とうがい薬については、24年度と26年度の改定で一定の条件のもとで除外され、うがい薬については、うがい薬のみを処方した場合には、保険適用から除外されているということでありますが、実際に今この2年間の推移を見ていますと、期待されたような形での薬剤費の抑制がここの分野では進んでおりません。おそらくほかの何らかの薬と合わせて処方されているというようなことが実態だと思いますので、例外条件を撤廃し、条件なしでうがい薬についても保険適用から除外すべきであると考えています。

23ページから25ページまでは、前回ご議論いただいたものでありますので、省略させていただきまして、次に26ページからは調剤報酬に係る改革であります。

まず27ページから、何枚か現状をご紹介したいと思います。まず27ページの左上、保険薬局による調剤医療費は総額7.2兆円、国民医療費全体では40兆円強でありますが、そのうちの7.2兆円を占めております。このうちお薬代そのものの薬剤料5.4兆円を除いた約1.8兆円、赤いボックスが保険薬局の技術料である調剤報酬であります。

左の下、見ていただくと、調剤報酬は近年ほかの医科であるとか歯科の医療費を大きく超えて伸びております。この要因の1つは、政策的に進めている医薬分業。院内から院外の調剤へと進めてきていることが1つの要因です。右の下の図のように、今、医薬分業率は処方箋ベースで見ると約7割弱まで進展しています。ただこの量的拡大の効果を捨象した処方箋1枚当たりの単価で見ても調剤技術料、5年間で10%近い伸びとなっております。

それから、この右の上の図の中身を見ていただきますと、赤の調剤基本料とか緑の調剤料というのが伸びの大半を占めておりまして、患者サービス、つまり服薬指導などの対価である薬剤管理料の割合が、医薬分業が進んでいる中であっても伸び率が小さいということが見ていただけるかと思います。

今のこの3色について、どういうことかというのが28ページにあります。現下の調剤報酬体系、1.8兆円ですが、上の緑色の箱にあるように、技術料については、まず調剤技術料というのと薬学管理料に分かれます。調剤技術料については2つにさらに分かれて、調剤基本料と調剤料に分かれます。調剤基本料が左の上のボックスで、これで約5,000億円。これは基本的には費用面から見れば保険薬局のオーバーヘッドコストを賄っています。基本は41点、410円、処方箋1回当たりですが、大型の門前薬局を対象に、扱っている処方箋の出もとの医療機関の数が少ない。つまり集中率が高い場合というのがY軸、それから処方箋の受け付け回数が多い場合にはというのが右のX軸でありますが、これらが多い場合には特例的に少ない点数、25点となっています。

あと米印にあるように、このほか基準調剤加算とか後発医薬品調剤体制加算などがこれに加えられています。

それから、調剤技術料のもう1つの構成要素である調剤料は右の図でありますが、これで総額1兆円です。内服薬については、薬の処方日数に応じて、ご覧のように累増する点数体系となっています。また剤数が2あるいは3となった場合にはさらにこれの2倍、3倍という形でありますので、仮に28日分のお薬が出た場合には、この青い図で見ていただくように81点、810円でありますが、それが3剤出た場合にはそれの3倍でありまして、2,430円が調剤料であります。

なお院内で調剤をされた場合には、日数であるとか剤数によらず、定額の9点、90円であります。

それから、左の下、これが患者に対する薬剤師の専門性を生かしたサービスを評価する薬学管理料、約3,300億円であります。代表例である薬剤服用歴管理指導料を図示しておりますが、処方箋1回の受け付けについて、イからホに記載したような患者サービスというか患者指導、服薬管理などを行うことを要件として、お薬手帳を持っておられるかどうかに応じて、ご覧のような点数となっています。

29ページ見ていただいて、左の上の図でありますが、薬剤師数は、一貫して増加傾向にございます。それから右の図のように、人口当たりの薬剤師数、これはOECD諸国の中でも我が国は際立って多い状況にございます。

それから左の下の図、これは薬局数でありますが、これも増加傾向になっています。ここに参考表記したのは、住民に根差したサービス拠点、一定の住民の数の中で拠点を設けているものの例として付記したのがコンビニエンスストアの店舗数と、ユニバーサルサービスを義務づけられている郵便局の数ですが、これらと比較しても多いという状況にございます。

それから30ページでありますが、これは院内と院外の比較をしたものであります。例えばケース3というのを見ていただきますと、同じ薬が出た場合で、医療費は院内の場合ですと1,390円、院外の場合ですと6,140円という違いがあります。患者負担も、見ていただくような違いがあります。

違いの大きな要因を見ていただくと、調剤料というところが院内の90円に対して、院外の場合は2,430円。また右の中に、一包化加算1,280円というのがある、このあたりが差の主要因であります。この一包化加算というのは、医者の指示があった場合には、異なるお薬を朝分とか夜分という形で1つの袋に入れるという作業、認知症の患者さんなどにとっては非常に大事なものでありますが、この作業に対して1,280円が調剤報酬として支払われているものであります。

今、現状を見ていただいた上で、31ページ、改革の論点を記載いたしました。「骨太の方針2015」では上のような記述になっております。調剤報酬について、保険薬局の収益状況、医薬分業のもとでの調剤技術料、薬学管理料の妥当性、保険薬局の果たしている役割を検証した上で、患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行うとされています。

なお、保険薬局の収益状況は後で少しご紹介しておりますが、大手5社の売上高で見ると、34ページの下にありますが、2009年度が3,752億円から、2014年度は6,000億弱というのが大手5社の売上高の現在の推移であります。

恐縮ですが、31ページに戻っていただいて、論点でありますが、大きく2つあるかと思います。まず調剤報酬全体の伸びの抑制の必要性であります。調剤の技術料、今見ていただいたように、他の医療費を大きく超えて伸びております。また単価も大幅に上昇しており、かつ薬剤師数が諸外国に比べても多い状況にございます。

もう1つが、全体を下げる中で、ゼロベースでの構造的な見直しが必要であると考えています。最初の丸にあるように、医薬分業は昭和49年以来、進めてまいりました。この狙いは、薬局において薬剤師が専門家として薬学的観点から処方内容をチェックする、あるいは服薬指導などを通じて、薬物療法の有効性や安全性の向上を目指すというのが狙いであります。

したがって、2つ目の丸にあるように、医薬分業に伴って、本来は服薬指導などを評価する薬学管理料へメリハリある重点化が必要であったと考えますが、実際には、さっき見ていただいたように、処方箋の受付と、処方箋に従って薬を棚からおろして必要な薬剤をそろえて袋詰めしてお渡しする業務などによる調剤技術料の伸びも大きくなっています。

3つ目の丸、10月23日に、厚生労働省が患者のための薬局ビジョンというのを公表しました。この中においても、立地から機能へ、あるいは対物業務から対人業務へ、あるいはばらばらから1つへ、ばらばらから1つへというのは服薬の管理をばらばらにいろんなところが管理するのではなくて1つへという基本的な考え方が掲げられております。

これに対して、現行の調剤報酬体系は以下のような問題があると考えています。

まず(1)の調剤技術料のほうですが、処方箋の受付回数や投与日数・剤数に応じて増加する仕組みとなっているので、処方箋の受付と薬を取り揃える業務などのみによって相当程度の収益を稼ぐことが可能となっており、これが門前薬局の林立、あるいは調剤医療費の増加を生んでいるのではないかという問題意識、それからまた今日の業務の実態や、PTPシートの普及や全自動薬剤払い出し機などの技術進歩を踏まえれば、投与日数・剤数に応じて業務コストが比例増することを前提にした調剤料は不合理であり、大幅な見直しが必要ではないかと。

具体的に、32ページに具体的な改革の方向性を記載しました。個票に沿って順にご説明しますが、1点だけ、柱書きの2行目、これらの構造改革については、これは診療報酬本体の改定とは別に行う必要があると考えております。これは先程冒頭の最初のページでご紹介したように、本体の改定率はマクロ的な視点から年末に改定率を決定しますと、医科と歯科と調剤の技術料の相対的な比重に応じて、1対1.1対0.3でこの改定率を配分するというのがルールになっております。しかし、今回、工程表で示すこの調剤報酬の見直し、あるいは後発医薬品の引下げなどの制度改革の効果については、この改定率の外で医療費の伸びの抑制につなげていくべきであると考えております。

具体的な方向性、ざっと見ていただければと思いますが、33ページ、まず調剤基本料について、左の下図でありますが、門前薬局を対象とした特例について、点数の引き下げと対象範囲の拡大が必要だと考えます。

それから右は、後発医薬品の使用割合に応じて、現在、インセンティブ措置が設けられ、これは加算でやっていますが、取組が不十分な薬局については減算措置とすべきであると考えます。

それから1枚飛んでいただいて、35ページは、調剤基本料について。基準調剤加算という形で患者さんの薬学管理とか服薬指導を実施している場合には、加算が行われます。12点ないし36点ということでありますが、財政当局としては、この要件が緩過ぎるので、真に努力している薬局とそうでない薬局の差別化が図られていないのではないかと考えています。

かかりつけ薬局に関しては、3点指摘します。1つは備蓄量であります。かかりつけ薬局の場合には、異なるさまざまな医療機関からの処方箋が持ち込まれますので、様々な医薬品の種類を用意しておく必要があるため備蓄量が増えます。これに対して、典型的な門前の場合には、処方箋の内容がある程度予測がつきますので、備蓄量のレンジを小さくすることができる、この備蓄量の違いというのが1点。

それからもう1つは、24時間対応というところでありますが、お薬をもらったときに電話番号が袋に書いてあると思いますが、この電話番号が24時間つながることがこの要件であります。この要件、調剤薬局の約6割が現在、該当するという整理になっております。ここも、かかりつけ薬局で一生懸命努力しておられる薬局は、現実に夜間であっても患者さんが門をたたきます。したがって、ここはその実績があるかないかというところできちんと見ていくべきではないか。

それから3つ目は集中率でありまして、先程申し上げたような集中率、この70%というのはかなり高い集中率であります。処方箋のうち7割が特定の医療機関からの処方箋であるということでありますので、この要件についても大幅な引下げが必要だと考えています。

それから、36ページ、調剤料については、この左にあるように全体を引き下げていく中で、投与日数や剤数によらず、基本的には定額に持っていくべきだと考えます。9点が妥当かどうかというのは、院内と院外の場合でオーバーヘッドのコストが違いますので、高さについては検討の余地があると思いますが、フラットに持っていくのは基本だと思います。一気に持っていくというのは現実問題として難しいと思いますので、28年度の改定においては、まずは全体の水準を2分の1程度に引き下げつつ、日数に応じて点数の伸びが逓減していく配分として、その後、段階的に定額化へ向けて進めるべきだと考えます。一包化加算についても、点数の引下げと日数比例を廃止すべきと考えています。

最後の薬学管理料については、医薬分業に期待される利点の1つでありまして、ここはきちんと評価すべきでありますが、現状ですと、この算定要件の中のお薬手帳がやや形骸化しているのではないかと思います。お薬手帳がない場合に、では発行しましょうかということを言われたことがある方もあるかと思いますが、何冊も持っていても意味がありません。これは薬の服用歴を管理することに意味があるわけでありますので、真にその患者さんの服用歴の管理をきちんとして指導ができている場合には加算をきちんとしていくという形でのめり張りづけ、努力している薬局とそうでない薬局との間の差別化を図る必要があると考えています。

以上が調剤で、2の(3)は前回ご議論いただきましたので、飛ばします。

以上が診療報酬改定についてのご説明です。

最後に、あと5分ほど、子ども・子育てについて申し上げたいと思います。45ページ、見ていただきますと、前にご紹介しておりますように、社会保障・税一体改革において消費税率引上げに伴う増収分のうち充実分2.8兆円、このうち0.7兆円をこの子育て支援策の充実に充てるということが決まっております。ここについては、消費税の引上げが延期されておりますが、ここの部分については予定どおり子ども・子育て新制度を施行し、0.7兆円というのが最終的な充当額でありますが、右にあるように、予定どおり保育所の枠のプラス40万人の拡大、あるいは放課後児童クラブ30万人の拡大ということに向けて現在、取組を進めているところであります。

他方、これに加えて、子ども・子育て分野については本年の春ぐらいから、経済的に厳しいひとり親家庭あるいは多子世帯の自立を支援する、そのために必要な財源を確保しつつ、政策パッケージを取りまとめるという検討を進めております。また、ご承知のように10月に総理から新3本の矢ということで、希望出生率1.8の実現ということが新しい第2の矢として掲げられております。

これらについて、下から2つ目のボックスにあるように、財源、様々な支援は基本的に経常的経費でありますので、安定的な財源が必要になります。この財源について、諮問会議において、社会保険財政を含めたアベノミクスの成果の活用、こういった議論があったことを踏まえて、安定的な財源確保策と一体となった政策パッケージを検討するようにというのが総理のご指示であります。

この社会保険財政といった場合には、財源の内容は公費、いわゆる税財源と、それから保険料財源がございます。アベノミクスの成果という意味では、税収も確かに今、上がっているわけでありますが、税収のほうは、ご承知のように今回のこの「経済・財政再生計画」、これは足元の税収の土台が上がっていること、それからその後も名目3%台半ばの成長を前提にした税収を前提にして、今回の「経済・財政再生計画」をつくっている、いわばもう折り込み済みという形になっているという現状であります。したがいまして、保険財政におけるアベノミクスの成果というときに、保険料のほうについても検討をする必要があると考えます。

その観点で見ると、47ページ、保険料の財源におけるアベノミクスの成果というのが如実にあらわれているのが雇用保険財政であります。一番右の図に見ていただくように、現在、雇用保険の積立金は過去最高の6.3兆円になっております。年間の失業等給付の金額が1.4兆円でありますので、数年分の給付費に相当する積立金が現在あって、今、保険料は労使折半で1.0%でありますが、これを引き下げることのできるような財政状況になっております。

もう1つ、48ページは、子育て支援策についての事業主の拠出金について、昨年の秋から財審で何度かご議論いただいておりますが、繰り返しになりますので、ポイントだけですが、平成10年のころには、現金給付については事業主が8割のご負担をいただいて、現物給付については公費中心という形でやっておりました。その後、子育て支援策を急速に拡充する中で、公費、税財源を中心に拡充してまいりました。一番右にあるような形に今なっております。子育て支援策、国として、社会全体で支えるものでありますが、事業者の方にとっても現在及び将来の労働力確保に資する施策でありますので、こういう現状を踏まえて、現物給付について事業主のご負担をもう少しお願いできないかという問題意識を持っております。

こういうことを総合勘案して、49ページでありますが、1つの政策パッケージの財源のあり方として、雇用保険における失業等給付と雇用保険二事業、これらについて雇用保険料をまず引き下げると。失業等給付については現在、労使折半で1%でありますが、これを今の労使折半1%から仮に0.1%下げた場合には、被用者分で800億円、それから使用者分で800億円の減になります。0.2%下げた場合にはそれの倍、1,600億円、1,600億円の減となります。

それから雇用保険二事業のほうは、これはルールがあって、今の保険財政を踏まえて、自動的に来年度から下がることが決まっております。800億円強の減、これは使用者分のみの保険料でありますが、決まっております。

これを引き下げつつ、右にあるように、使用者分の保険料の下がった金額の範囲内で、子育て支援に係る事業主の拠出金率、現在0.15%を引き上げて、これを新たな子育ての財源にさせていただけないかと考えております。

被用者の分、従業員の分の保険料の引下げについては、その保険料の負担軽減ということで、実質的な賃上げに使われる。それから一部については使用者の方にとっても保険料の負担軽減に当たるという形で、アベノミクスの成果を企業と労働者とそれから次世代への3者に還元していくということがこれによって可能になるのではないかと考えております。

使途がもちろん大事であると思います。使途については、現在この新3本の矢というか、この一億総活躍ということについて、昨日一億総活躍国民会議の第1回会合が行われましたが、この会議を中心として、11月末を目途に、緊急に実施すべき対策を第1弾として取りまとめる。あわせて、具体的なロードマップである「ニッポン一億総活躍プラン」を来年の春ごろに取りまとめるということで、現在いろいろと検討しております。検討中なので、つまびらかに今、使途についてまでお話しすることができないわけでありますが、この使途のあり方も含めて今後、経済界と調整、これは政府としては厚生労働省を中心に調整させていただくこととなりますが、調整させていただければと考えております。

長くなりました。以上でございます。ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

ご説明を伺っていると、世の中には変なルールもあるものだと思うこともありますが、どなたからでも、ただいまのご説明に対してご意見、ご質問どうぞ。

末澤委員、遠藤委員、どうぞ。

〔 末澤委員 〕 どうもご説明ありがとうございました。先程のPTPシートのこういう機械があるというのを今回、初めて知りましたが、先週ですか、厚生労働省のほうからも発表ございましたが、2013年の社会保障給付費、また社会支出の総額が出ています。

その中で、他国との比較がございまして、社会支出というのは社会保障給付費に施設費を加えたものですが、それを見ると、その対GDP比は、日本の水準はアメリカ、イギリスよりは高いが、ドイツ、フランス、スウェーデンよりは低いという水準です。ただ中身を見ると相当違いまして、やはり日本の場合は高齢支出、年金等の支出と、あとヘルスケアといいますか保健の部分が多いと。

ただ日本の人口動態を見ると、これからますます高齢化が進むということを考えると、これから5年後、10年後は年金と医療の部分がますます大きなシェアを占めていくと。また総額でも増加していくというのはほぼ必至の状況だと。

一方で、少子化のところをこれからやらないといけないとなると、やはり今後、バランス的には、医療を抑えつつ、やはり少子化対策等に資金を回していくということが、これは政策的にも一億総活躍との関係でも必要だろうと思います。

ただ、単純にこれをカットするとなると、これはやはり国民、患者の痛みにしかならないということですが、今日ご紹介いただいた中で、マーケット的に見れば、ベネフィットとコストというのは本来、てんびんにかかるものですが、先程のご説明だと、本来そこまでコストがかかっていないのに多額の補助金が入っていると。それによって、この機械を導入しているところは過剰な利益があると。一方、多分導入していないところは、まあ、どうにかやっていけていると。

ですから、逆に言えば、少しこのコスト、この補助金のところを下げれば、多分この機械というのはよりたくさん入って、入るとこの機械の値段も下がって、結果的に全体のコストが下がるのではと想像します。つまりもう少し、市場では普通の理屈というのがこの医療の世界でも通っていくような形にルールが変わっていくべきじゃないかと。これは先程会長がおっしゃったとおりだと。

だからそこをまず進めていくということが、全体の改革を推進する際にも突破口になるのではないかと思います。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、遠藤委員。

〔 遠藤委員 〕 詳細なところまでご説明をいただきまして、ありがとうございます。

私はまず診療報酬の引下げについては、今、主計官のほうからご説明がありましたとおり、医療費の削減という意味合いでも非常に効果的な医療費の削減のツールだと思っておりまして、8ページにもありますように、物価との比較を見てみても、診療報酬のこの間の引上げの状態というのは、やはりほかの数字を見てみても合わないというイメージを持っております。

その中身ですが、先程調剤の医療費についてもお話があったと思うのですが、その調剤の医療費というのも、診療報酬改定の中に含まれているということでよろしいんですよね。そしてその調剤の改定を、この診療報酬の改定とはまた外枠でやるというようにおっしゃっておられたのですが、1点確認させていただきたいのは、調剤の医療費を改定した分を、ほかの医療費や歯科の医療費のところの引下げになっては何の意味もないので、本当に外というのは同じようにやった診療報酬の改定の外枠にあるということを1点確認させていただいて、それであれば非常に効果的であると思います。

つまりその中身のところで、調剤の技術料だけ下がって、ほかの医療費の診療報酬が下がっていないということになると意味がないのではと思います。

あと、また調剤のところで1つ、27ページの右上の図ですが、この単価の伸び、調剤基本料の伸びのところというのは、ある種、ジェネリック加算もあって、ジェネリックを推奨していく中で伸びているという側面もあるのではないかと思っておりまして、この点を1点確認させていただきたいなと思いました。つまりここにそれが含まれているかどうかということですね。

あと、調剤料が長い日にちでお薬が出るというのは、調剤薬局側というか、むしろお医者さん側が60日以上出しますよといった話になるので、これは逆に調剤料を上げるための調剤薬局のインセンティブになっているわけではないのではないかなと思った次第でございます。ですので、別に引き下げることについて異議があるわけではないのですが、少しそこの誤解が生じるのではないかなと思ったので、それも確認させていただければと思いました。

あと先程パッケージの問題や一包化加算といったことというのは極めて過剰サービスの一例であって、私は改めるべきだと思うのですが、34ページの調剤薬局事業がもうかっているからよろしくないというようにまたなると、逆に門前薬局のような小さなところが淘汰されて、あらゆるIT投資が行われるような大手の企業が増えていくということは、むしろいわゆる薬の自動化とかそういうものにつながる設備投資につながっていくのではないかと思っていて、大きく集約していくことがあまりよくないという印象も何かあまり誤解を与えるのではないかなと思いました。

以上が調剤や診療のほうでございまして、あと子育てのことですが、これはすごく大きな話で、申しわけないのですが、新3本の矢の中に、「希望出生率1.8%」というように入っていて、これこそ政策の中心点と考えると、ここは財政はできるだけ切り詰めて、企業のほう、よろしくお願いしますと、企業のほうでやはり応分の負担をということになると、これこそ財政の出動があってもよい場面ではないかなと思うので、事業主の負担を増やしながら、子育て支援をしていくということが、企業にとって逆インセンティブにならないかというような懸念を少し抱いているということが1点ございます。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 では、ご質問もありましたから、適宜、主計官から。

〔 宇波主計官 〕 まず最初に、外側という意味でありますが、改定率は改定率で様々なマクロの指標をもとに決めて、配分されるわけですが、あくまでも今の水準や体系を前提にしたものであります。

当然、年明けの中医協において、その中でも構造改革があって、メリハリづけがあると思いますが、ここで申し上げているのは、調剤報酬や後発医薬品については、今の点数の前提ではなくて、そのこと自体について構造的な見直しが必要だと思うので、その分は外で改革をして、外でというのは、改革をした効果を、本体改定率とは別に医療費の伸びの抑制に充てるべきだということであります。中でやった場合には、それだとメリハリは常にゼロサムになっていきますので、そうではなくてということの意味です。

それから、調剤医療費の伸びには、これはジェネリックの体制加算分も入っていると思います。どの程度入っているかということの分析は現在できておりません。データがなくて、なかなか分析ができておりません。

長期投薬は医師の指示ではないかということですが、これはそのとおりでありまして、薬局が無理やり長期投薬をしているわけではありません。ただ私が申し上げているのは、長期投薬をしたときの業務コストが日数に比例増しているわけではないのではないかという問題意識が1点と、それから長期投薬の場合の、薬局の本当にやるべき仕事は何かというと、日数分だけ出すところはそれほど業務コストは変わらないわけですが、長い間、投薬している間に、その患者さんの服薬指導をする、その間で何かの事故があった場合、あるいは薬がきちんと保存されているか、残薬になっていないかどうかという、専門家としての指導というのは、おそらく日数が長くなるとそれなりに本来はやらなければいけない。

それはどっちかというと薬学管理料のほうで評価をすべきものであって、現在はそれを調剤料として単に日数比例しているので、28日出しっ放しの薬局と、出した後にきちんと患者さんと向き合っている薬局は同じ点数になってしまい得るので、そこが問題ではないかという問題意識であります。

それから、利益が出ているから改定するといかがなものかということでありますが、本来、診療報酬は、そもそもが医療経済実態調査を見て、損益状況を見ながら改定はするというのが基本ではあります。というのは、もともと診療報酬は法律上、コストに鑑みて改定するとなっていて、基本的には様々なコストに対して一定の収益を確保するような形での点数をつけるというのが原則ですので、損益率が高い場合に、そこに着目することが間違ってはいないというか、そこは1つの重要な視点であるとは思いますが、同時に、今おっしゃったように、大型の門前薬局、今おっしゃったことでちょっと気になったのは、門前はどちらかというと大型で大企業であります。

〔 遠藤委員 〕 そうです。はい。

〔 宇波主計官 〕 それと小規模薬局みたいなところでは、確かに利益構造なり業務の内容は違うことになっています。今回は、比較的どちらかというと、門前薬局のところの点数を引き下げる、あるいはそういう処方箋の受付と薬の取り揃えを大量に回すことによって利益を上げているところについて見直しをしていこうということなので、相対的にはマイナスの影響が、大手のいわゆる門前薬局を中心に下方の見直しが行われるような体系にしていく、一方でかかりつけ薬局として地元に根差して一生懸命、患者さんの薬歴を管理し指導しておられるようなところはきちんと評価するような形でのメリハリはついていると思います。

子育て支援は、これは1つは事業主負担でいただいたものを奇貨として、何か公費を削減しようとかいうことは全く思っておりません。さっきご紹介したように、0.7兆円というのも、これも消費税の財源の中で2.8兆円のうち0.7兆円というのは少ないように見えるかもしれませんが、社会保障関係費全体の中に占める子育ての予算の比率で考えると、かなり、実は2.8兆円のうち0.7兆を充てるというのは、4分の1充てていますので、そういう意味では今回の一体改革では、少子化支援対策が最も重要だということで、多くの公費をそこに重点化しているので、おっしゃったように、当然、財政当局としても子育て支援は非常に大事で、消費税財源もそうですし、それから通常の予算の編成においてもできるだけ重点化を図るようにしていきたいと思っております。それに加えまして、ここのところ公費中心でずっと拡充してきているというご紹介した実情があるものですから、あわせて事業主の方のほうにもお願いしたいということでございます。

それによって、ネット負担増になると、それは様々なご議論があるかもしれませんが、今回提案させていただいているのは、アベノミクスの成果を活用して雇用保険料を引き下げる中での範囲内でということで、事業主の方にとっても負担増にならないような形にしながら一定のご支援をお願いできないかと考えております。

〔 遠藤委員 〕 ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて老川委員、永易委員、伊藤委員の順でお願いします。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。2点申し上げたいと思うのですが、1つは、診療報酬改定、薬価改定、いずれも必要なことだと思います。それは当然のことだと思いますが、1つ診療報酬の改定に当たって注意すべきことというのは、いわゆる開業医の方々の給料といいますか収益と、病院勤務医、この人たちの給料、これの問題をやはり考える必要があるのではないかなと。

財政当局が直接かかわるのはそういうことなしに、一般的には診療報酬と、医療行為に対する報酬ということになるわけですが、世の中の状況を見ますと、最近のビル診療所、そういうところでの開業医を目指す方が非常に多くて、病院の勤務医は非常にきついということで、なかなかなり手がいない。医師不足だと、こういうことも言われていますので、ここらの報酬の配分というのは中医協で扱うべき話だと思いますが、財政当局としてもやはりそこら辺、病院勤務医の待遇改善というようなことについて留意するように一言申し添えておくことが望ましいのではないかなと思います。

もう1つは質問ですが、49ページのところで、雇用保険が非常に積立金に余裕があると、これを還元するという保険料の引下げ、これはもう大変結構なことだと思います。それで子育て支援のほうにも回すと。ここで、47ページの図を見ると、子育てに回すのは事業主の負担を引き上げるということによってというように見えるのですが、そういうことですか。それとも保険料の積立金の余裕ができた分、保険料の引下げに加えて、子育てのほうにも回すと、こういう意味なのか、そこら辺、少し分かりにくいものですから教えていただければと。

〔 吉川分科会長 〕 主計官、簡潔にお願いします。

〔 宇波主計官 〕 50ページにあるように、お願いしているのは、今も事業主拠出金というのが子育て支援向けにあって、標準報酬の0.15%となっているので、この率を引き上げるということを提案しております。積立金から回すのではなくて、事業主拠出金率を上げると。

〔 老川委員 〕 分かりました。

いずれにしても雇用保険の保険料の引下げ、これはやはりアベノミクスによって景気がよくなっているということの表れで、非常に僕は大事なことだと思いますね。何となく株価は上がったが実際の生活にはあまり響かないのではないかと、影響していないというように考えがちですが、そうではなくて、やはりこういうことによって実質賃金、手取りが実質的に増えるということを生活実感として感じられるようにしておくことが大事だし、またそれとあわせて子育てのほうに回していく。

さっき使途について、まだ具体策はないとおっしゃって、それはそうだと思いますが、そういう成果が実感できるような、見える形での給付ということに力を入れていただきたいなと。これを希望します。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、永易委員、伊藤委員。

〔 永易委員 〕 それでは、2点申し上げます。1点目は今ちょうど話が出たので、子育てのほうですが、雇用保険の失業給付との関連で、率が下がるからそれをファンドに使ったらどうだと。これは非常に筋が通っているように聞こえますが、様々な観点がございます。例えば今、ご質問にあった点でもあるのですが、率の問題と絶対値の問題もあるわけですね。この6兆3,000億円、こういうのが本当に必要なのか。

これは私自身、実は預金保険料というのがありまして、今どんどん下がっているのですが、一旦4兆円、穴があいたんですね。それをずっと7倍に保険料を上げて、全部クリアして、やっと3年程前からですかね、少しずつ下げてきているという状態があります。今それが3兆円から4兆円の間に復活していると思いますが、やはりそういう絶対値の議論、この6.3兆円は、先程何年分と言われましたが、そういうものをどう使うのか。率だけではなくてですね。そういう当然パッケージで論理性のある形で提案してもらわないと、下がったから、その範囲だからいいでしょうという論理は事業家としてはすぐには乗れないかなという印象を持っているということです。これが1点であります。

もう1点は医療のほうでございますが、会長が言われました、よくもこんなルールと、変なルールがあるもんだなと、これは全く同じ印象であります。やはりどのゾーンにおきましても、いわゆるベンチマークと言われているものとの乖離がますます広がっているような、こんなのは本当におかしいですよね。ですから様々な方法論が出ておりますが、時間軸も大事ですが、全部実現してほしいというのが正直な気持ちです。

医療費全体でいいますと、例えば単価の問題と数量との関係でいえば、今日ご説明いただいたようなもの、これは単価の問題でしょうから、これのほうがスピード感が出ますよね。量のほうの問題というのは、様々な施策の集合体になりますので、やらないといけないのですが、これは時間がかかる。であれば、例えば2020年度を見据えて、3年間集中治療するというのであれば、こういうものはもう3年間で全部やり上げるというようなトーンで行くべきであろうと。

だから28年度の問題はもちろんありますから、足元でどれを着実に実現するかというのはあると思いますが、ちょうどご説明のとおり、3年連続でこの改定のポイントが来るわけですから、ここで全部仕上げるという覚悟でやるべきであろうと。その後に毎年の改定という議論も必然的に出てくるであろうと。全力を挙げてやってもらいたいし、財審としても非常に強いトーンでこれは打ち出すべきであろうと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、伊藤委員。

〔 伊藤委員 〕 ありがとうございます。子育て支援について、もう既に遠藤委員や老川委員、永易委員から出たので、簡単に申し上げますが、この雇用保険制度と子育て支援等の利用の拠出金というのは、もともと制度、目的が違うものだと思います。

現在、雇用保険積立金が積み上がっているというのは、もちろんアベノミクス効果で就業率が上がったとか、そういうことで積み上がっているわけですが、逆にそんなことになってほしくないですが、景気が悪化したら、この積立金は減っていくこともあるわけですね。したがって、そういう意味でいうと、雇用保険と子育て支援というのは、やっぱり別個に考えたほうがいいのではないかということでございます。

子育て支援の強化については大いに賛成ですし、先程の7,000億円というか0.7兆円というお話も出ておりますので、この件は大いに賛成ですが、企業の負担というのは、法人税率や事業拠出金など、全てを含めてトータルとしてどうあるべきかという観点でもご議論、ご検討をお願いできればありがたいなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、続けて宮武委員、土居委員、加藤委員。

〔 宮武委員 〕 ありがとうございます。診療報酬のこの注文を見ておりますと、病院をたたき、診療所をたたき、薬局をたたきと、モグラたたきみたいに担当の方のご苦労とストレスが何かよく分かる気がいたします。

ただこれを見ておりますと、やはりもう少し、一点突破全面展開的な戦略というものを打ち立てないと、毎回毎回この終わりなきモグラたたきが続くような危惧を覚えてならないわけであります。

例えばかかりつけ医の普及ということをまず進め、同時に全ての医療機関に共通の電子カルテを入れるという、そういう戦略を打ち立てることで、ブレークスルーが私はできるのではないかなと思っております。

例えば今回、資料の43ページでございますが、43ページの中程の下に、フランスの外来医療と書いてございまして、フランスは日本と同じようにほぼ国民皆保険の国でございますが、2005年からかかりつけ医制度を導入いたしました。それは義務ではなくて、任意でいいわけであります。また直接に病院に行ったとしても、それは認めるという、かなりファジーな形のかかりつけ医制度を設けたわけでありますが、当初はかかりつけ医を経由しないで専門医や病院に行くと、4割の自己負担。それを途中から7割の自己負担に切り換えたわけでありますので、一気に普及が進んで、今、16歳以上の方の98%がかかりつけ医を持っているわけですね。

それで成功したのかなということで、当局者に聞きますと、医療費の抑制には失敗したと、言っている。なぜかと聞くと、結局、かかりつけ医にかかって、また専門医なり病院に行って、二重に検査をし、二重に薬を投与してしまう。やはりこれは、全医療機関に共通の電子カルテを入れなかったのが大きな間違いだったと。これは今からでもやらないといけないと、こう言っていました。

そういう意味では、イギリスは公費医療でございますし、伝統的に家庭医の登録医制度を持っております。それでよく誤解されるのは、個人の医師を選んでいるのではなくて、診療所に登録しておりますので、診療所は通常は5、6人の医師がおりまして、その中の方を自由に選べる。またその診療所自体も、いつでも他に切り換えることもできるという、その辺のところは当初よりも随分緩やかな形の登録制度になっています。見習うべきことは、やはり全医療機関に共通の電子カルテを入れて、患者の病歴も服薬歴も全て把握できる。検査が二重になったり投薬が二重になったりすることもないし、待ち合わせの時間も短縮できる。さらに医師が処方箋を出そうとしたときに、必ずそのパソコン上に最も安いジェネリックが表示されるという機能も備えているわけですね。

そういうことからいうと、やはり全体的にはかかりつけ医の普及と電子カルテの導入を図ることによって、一点突破全面展開ができるのではないかなと素人考えでおります。釈迦に説法でございますので、ご回答は結構でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、土居委員。

〔 土居委員 〕 ご説明ありがとうございました。特に今回は調剤医療費の話に焦点を当てていて、冒頭、主計官が説明されたように、診療報酬改定、確かにこれまでは薬価を下げて、そのはがした分を本体につけるというような発想で改定が行われるというようなことがあったと。そうすると、マクロで見ると確かに引き算と足し算ということになりますが、結局これを一旦マクロで割り振って、調剤医療費の中でどうこなすかといったときに、個別の点数のつけ方で非常にゆがんだ点数のつけ方が横行しているという姿が明らかになったのではないかと思います。

そういう意味では、当然ながら、薬価ではがして本体につけるという発想をやめていただくというのは、元来この審議会でずっと言っていることでありますが、そういう発想ではない形でしっかり医療を支えながら、効率化できるところはきちんと効率化すると。さらには、各委員もおっしゃったような薬価における点数のつけ方の悪しき弊害を改めていただくと。特に調剤料の見直しというものは必須だろうと私自身は思います。

それからもう1つ、長期収載品の薬価ということでありますが、確かに製薬メーカーにとっては、新薬・創薬のためには、特許が切れる前にどれだけ稼げるかというところが重要で、そこに力を入れるということは重要だとは思います。

ただいつまでも、その特許が切れても、長期収載品になっても稼げるという見方を製薬メーカーに持たせると、ずるずるとその長期収載品で稼ごうとして、規律が働かないと。あげくの果てには誇大広告までして長期収載品を売ろうというメーカーまで出てくるという、これは、誇大広告については厚生労働省にそれを注意されているわけですが、そういうようなことまで起こるという意味では、きちんと予見可能な形で、特許が切れるまでにきちんと投資を回収していただくと。そして特許が切れたら値段が下がるということを予見可能な形で示すことで、規律ある新薬・創薬ができるのではないかと思います。

それから、薬局のことですが、多剤投与や重複投与というところの是正というのもしっかりやっていただかなければならないと思います。

最後に、雇用保険のところですが、厚生労働省がこれ、発表しているわけですが、平成24年度末の雇用保険の積立金、先程の主計官のご説明では26年まで既にデータが出ているということですが、厚生労働省が平成24年度末の積立金残高に対して、ソルベンシー・マージン比率を計算していまして、そのソルベンシー・マージン比率が283.8%という非常に高い比率であるということを、これは厚生労働省も認めているというわけであります。地震による影響などそういう巨大災害が雇用に与える影響など、そういうリスクも全部加味した上での283.8%ですから、相当高い比率であると私自身は思います。

そういう意味では、この雇用保険財政でこのまま引き続き保険料をとり続けて、積立金の残高も維持するということでよいのかというと、私はそういうことでは必ずしもないと思います。場合によっては、これは国庫負担を雇用保険財政にしているわけですから、それをとめるというようなこともあり得るでしょうし、子育てに支援するということもあり得るでしょうし、少なくとも雇用保険の保険料や国庫負担のあり方を抜本的に見直す時期に来ているのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、加藤委員。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。またご説明ありがとうございました。3点、手短に申し上げたいと思います。

1点目は、9ページにあります医療費のリコンポジションでありますが、例えば一般的に我々、これを見るときに、高度化のところに、何だ、この高度化はということを考えると、一般的にはこれ、例えば新しい技術の導入や新しい機械の導入等という形で、非常にポジティブに考えますが、これはある意味、生産性の努力がまだ足りないという部分もあるのかと考えております。

過去を見ますと、やはり2%程度で高度化の部分というのは、残差とは言いながら、そういうような形で書かれているわけでして、この点についてはある程度押さえていく必要がある。じゃあ、どこでやるかというと、やはりそれは診療報酬改定に反映させて、こういったところの増加分というのは診療報酬の改定への引下げ分というところである程度、相殺していくべきではないかなというのが1点目です。

2点目は、これは単純な話ですが、市販品、類似薬の話を伺ったのですが、いわゆるこの場合、一物ニ価という世界がありまして、世の中でも大体お医者さんに湿布をもらいに行くという、薬局に行くのではなくてお医者さんにかかるということがありますから、こういったところは早急に修正していただくということは重要だろうと思います。

3点目ですが、雇用保険の保険料の引下げと、それを子育てのほうに回すというのは、非常にこれはグッドアイデアだと私も思います。ただ問題なのは、先程伊藤委員もご指摘になりましたが、雇用保険というのは、ある意味、短期的な経済変動によって影響される部分があって、子育ての部分というのは長期的なものでありますので、たとえ将来的に雇用情勢が変わったとしても、子育ての部分については、その負担を減らすようなことがないような形で考えていただければいいかなと思っています。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、続いて南場委員、井堀委員、武田委員の順でお願いします。南場委員。

〔 南場委員 〕 私はあまり調剤報酬に詳しくなかったのですが、いろいろと教えていただいて非常に勉強になったのですが、印象として、やはり全般的にできること全て削減していくという一律的な考え方の印象を受けまして、もう少しメリハリといいますか、あるべき姿に照らして考えてもいいのかなという気がしています。

例えば薬局や薬剤師に期待される役割というのも、病院入院から地域在宅へという流れの中で、地域住民の健康管理を含め、今後、増大していく部分もあると思いますが、そういったことを反映したメリハリのある施策であるという考え方、打ち出し方、これは調剤に限らず、診療報酬全体に言えることですが、やはり全てのコスト削減施策に痛みを伴う主体がいますので、そういったところに対してもきちんと納得感を得て行くためには、どんなにわずかなコスト削減施策も全部やるという考えだけではなく、こういった地域医療体制をつくっていくんだという国のビジョンというか、あらがいがたい大義名分の中でも行われるべきであるという説明が非常に重要だと思うので、そういう考えに基づき検討されるべきだし、とりわけコミュニケーションに関しては、そういった形で社会に伝達されていくべきであると考えております。

もう1点は、先程ほかの委員からも話が出ましたけど、基本的にはプライス掛けるボリュームというところがありますが、単価の部分、プライスの部分の議論が中心ですが、私のようにこの業界に詳しくない一般の者でも、このボリュームの部分の課題というのは非常に深刻に、かつ無駄を感じているところであります。そこの部分とセットで、確かに速効性や行政テクニック的には基本的にはプライスの部分を操作せざるを得ないのかもしれませんが、そのボリュームの部分についての第1回目の施策というところが非常に有効ではないのかなと感じました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、井堀委員。

〔 井堀委員 〕 簡単に2点です。第1点は、診療報酬改定は、非常に今日のお話は説得力ありますので、ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。薬の話、お薬手帳があんまり実際は機能していないのですね。複数発行されていた、様々な形できちんと薬の服用履歴の管理になっていないので、マイナンバーはどの程度これに活用できるかはともかく、一元化して薬の服用歴を管理するようなお薬手帳にしないと、効率的な薬の管理にはあまり効かないと思います。ぜひそういった方向で考えていただきたいと思います。

それから、第2点は、先程から何度もある雇用保険の話です。伊藤委員がご指摘された点で、確かに雇用保険で子育てのほうに回すというのは、現在の厳しい財政状況の中では、ある意味でセカンドベストのような感じです。本来でいえば、やはり雇用保険のような非常に短期でかつ景気にかなり影響を受けるようなところと、この子育ての話をするよりは、子育てのお金というのは、社会保障の中で高齢者に偏っている社会保障給付を制度的に見直して、そこから財源を出して、高齢者から若いほうへ給付の比重を変えるような、そういう制度改正の中で安定的な財源を見つけるのが筋かなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 武田委員。

〔 武田委員 〕 どうもありがとうございます。私からは3点です。

1点目は、10ページにございましたが、「経済・財政再生計画」に示されました3年間で1.5兆円程度という目処について、それ以上の具体的な文言はないというお話ではございましたが、3年間ということは、初年度は0.5兆円以内におさめることをしっかり堅持することが重要ではないかと思います。初年度に「骨太の方針2015」から外れてしまいますと、政府として、財政健全化に対して真摯に取り組んでいくのかという信任の部分にもかかわるのではないかと考えておりますので、意見として申し上げます。

2点目は、先程会長からもお話がございましたとおり、様々なデータないしは資料を拝見しまして、明らかにおかしいということが幾つかございますので、その点は全て是正すべきではないかと思います。その是正が、財政の面や社会保障の持続可能性といったところだけではなく、国民の直接の負担にも直結することがございます。何かがおかしいと直感的にわかるものは、むしろ国民に対して説明していったほうがいいのではないかという印象を受けました。

3点目といたしまして、全般に今申し上げたとおり、ここに書かれていたことはしっかり実行したほうがいいとは思っているのですが、先程南場委員がおっしゃられたご意見同様、やはりメリハリは必要ではないかと思います。総額をきちんと抑えることはもちろん前提ではありますが、頑張っている病院のお医者さん、あるいは頑張っている薬剤師をディスカレッジするような方向になってしまってはいけませんので、そこを財政当局として全体のビジョンの中でどうメリハリをつけてもらっていくのか、もっと意見を主張していただいて、場合によっては財審としてもそうした方向性を打ち出していってもいいのではないかと感じました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

南場委員もおっしゃった、先程から出ているメリハリというのは、私も大いに賛成ですが、診療報酬に関しては、皆様方ご存じのとおり、最終的な配分は、これは中医協の役割ですよね。

〔 武田委員 〕 そうですね。

〔 吉川分科会長 〕 ですから大いにメリハリつけていただく必要はあるわけですが、最後に頑張ってもらうのは中医協かなという気もします。それはそれとして、十河委員、お願いします。

〔 十河委員 〕 ありがとうございました。大変分かりやすくて、数多くある疑問点を私自身も意識できたと思います。

すでに、多数の委員の方からお話が出ているのとほぼ同意見ではあるのですが、今お話が出ましたメリハリという部分に加え、高齢化が著しく進んでおりますので、スピードをどう上げていくか、どう早く解決していくかという時間の問題も重要ではないかと思います。その上で何を選択して集中させるのかが大切と思いました。

私が1つ感じましたのは、ジェネリックについてですが、18ページに今、新しい目標を立てられるということで、2017年の段階で70%だったものを、2018年以降はなるべく早い時期に80%以上という新しい目標を掲げるということで、これは先述のスピードという意味におきましても、新目標の達成が非常に大切ではないかなと思いました。

さらにジェネリックに関しましては、他国に比べると日本はなお高いという水準であるようでして、やはりそこはさらに引き下げていく必要もありますし、いける可能性もあるのではないかなと思いました。

また、井堀委員からも出されましたように、お薬手帳に関しましては、最初の作成の段階では、その意義があったと思いますが、昨今、多数、複数持っているという方が多いのであれば、やはりこちらは見直していく必要が早急にあるかと思います。先程ピッキングの自動化というお話がございましたが、それが自動化できるのであれば、お薬手帳も同時に自動化、あるいはコンピューターで管理していくということが決して不可能ではないと思っております。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、お待たせしました。最後に中空委員、板垣委員、田近委員、黒川委員、4名の方にご発言いただきますが、恐縮ですが、また少し時間が押していますので、簡潔に、まずは中空委員から。

〔 中空委員 〕 じゃあ、すごく短くしゃべりたいと思います。

今まで出ていなかったことだけをつけ加えてお話しさせていただこうと思いますが、私は今、民間のあり方は何かなと思って聞いていました。

ご説明の中で、日本の医薬品メーカーの国際競争力がというお話がありましたが、国際競争力は彼らが頑張ればいいのであって、基本的には日本医療品メーカの場合自己資本比率も大変厚いですし、様々な特許も認められているのですから、頑張ってもらいたいところだと思いました。

当然ですが、外資系の特許切れ先発医薬品だけで収益が成り立っているような会社がたくさんあるのであれば、淘汰されてしかるべきと思って聞いていました。

一方、20ページに、そうはいっても後発医薬品の価格というのがあって、特許切れ先発医薬品と後発医薬品の差を患者が払っているということについては問題だとは思いますが、これを知らされずに払っているなら大変問題なのですが、書いてあるとおり、選択した結果、払っているのであれば、むしろブランド価値だと思いますので、それは国が取り上げるべきじゃなくて、企業が持っていていいのではないかなと聞いていました。

若干ずれているかもしれませんが、民間のかかわり方ということで意見させていただきました。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 委員の方々の意見におおむね私も賛成です。

診療報酬の改定については、この財審の場でも毎年やるべきであるという議論は数年前からありまして、その方向に沿って、宇波主計官の説明がありましたので、それは頑張ってほしいと思います。

それから、雇用保険についてですが、これも実は昔から議論がある話で、ただ井堀先生がおっしゃったように、それをメインにしないで、二番手として、今こういう財政が厳しい中でやらざるを得ないという考え方には私も賛成です。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では続けて、田近委員。

〔 田近委員 〕 雇用保険のことと、できれば小児医療のことですが、雇用保険については大分議論があって、要するに雇用保険の積立金がたまってきて、その一部を子育てに使うと。それがしっくりしない意見もあれば、やむを得ないという意見もありましたが、もう1つ言うと、そもそもこの子育て、雇用保険から確保される資金で子育てに使う。ただその子育ての資金は別に雇用者の子供だけではなくて、自営業者の子供も使うし、オール日本で使う。

そうすると根っこの問題では、だから雇用保険で子育ての資金を手当てすることがいいか悪いかという問題もあると思いますが、ただ同時に、今日ご説明はありませんでしたが、雇用保険には国庫負担が入っているわけですよね。

そうすると今度は、じゃあ、要するに基本的には正規雇用されている労働者、そして雇用している人たちの保険に対して、自営業者も含めて、何で国庫負担するのかと。その逆の話もある。

そうすると、じゃあ、何が理屈的に正しいのか。1つは雇用保険の国庫負担をやめて、それを一般財源として、一般財源から必要ならば子育てに充てるというのが1つの考え方だと思います。ただそうは言ってもなかなか難しいので、現実には雇用保険に対する国庫負担はやめない。そのかわり雇用保険も財政状況がよくなってきたのだから、その一部は子育てに使ってもいいのではないかと。というのが現実的な路線であるならば、相当ひねくれていますが、まあ、やむを得ないのかなと思います。

ただ言いたかったのは、子育て支援が何か雇用保険でしっくりしないなと。というのであれば、同時に今度、逆に自営業者の人から見れば国庫負担はしっくりしないなと思います。

あと1分。今日は小児医療の話はありませんでしたが、やはり日本全国の様々な自治体で小児医療をどうやって無料化しているかということと、大分時間がたったので、その結果、小児医療費というのはどうなったか。またできればその効果というのも、そういう資料も将来的には提出していただければと。それは感想です。

〔 吉川分科会長 〕 では、黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は2点です。調剤技術料の将来の動向という点で、事務局のご意見については全く賛成ですが、その場合に、当事者の心理的な効果というもので知っておかなくてはならないというのもここで議論しておくべきだと思いました。

1点は、過剰供給、お薬の過剰供給が起こっているのではないかという問題がありましたよね。それに対して、今回のこの技術料を引き下げるという点で、どういう影響があるのかと、これも考えておかなければいけない。

処方錠剤の日数に応じて、どういうカーブで技術料を決めるかです。受診間隔はお医者さんのほうで決めるということなので分離しているかもしれませんが、ともかくも平行線上で行くと、今まで慢性の患者さんに60日分を一度に処方してお渡ししていたのを、例えば30日ごとに処方して渡すことにして、2回受診に来てくださいねということになると技術料が総額としては増えてしまうということもあり得ないことではない。その点も考えて、このカーブ、これを考えなければいけないということが言えると思います。

それからあともう1点は、8ページのこのグラフで事務局がお話しになりたいのは、結局20年度あたりからは民間給与に比べて、医師・看護師の給料の伸びは非常にプラスであった。これをどのように見るかですが、事務局がおっしゃっているのは結局、ここで医療関係者と他との格差がより広がった。薬価を下げて、その分をこういう格差の広がりに使用していたというのは問題ではないかということをおっしゃりたいのかなと思いました。それでよろしいのか。

大多数の国民のコンセンサスを、あるいは後押しを得ないと、なかなか中医協を突破できないので、そのための理由をここでは表しているということだろうかと。ただそのときに、老川委員がおっしゃったように、また私も知人の医者が、若手の医師はリスクが高過ぎて、産婦人科医にはほとんどならないと言っているのですが、そういう点も財審としては分かっている。だからここはマクロの話で言っているのであって、ミクロ的に見れば、本当に一生懸命やろうと思っているお医者さんもいるわけですから、そういうのは分かった上で、国民に対して、これは格差が広がっているように見えると財審としては考えているということを確認したい。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 では、次の議題もありますので、主計官、簡潔にお答えください。

〔 宇波主計官 〕 ありがとうございます。

メリハリについて様々なご指摘もあり、それから老川委員、黒川委員からも診療所と病院というお話がございました。会長がおっしゃったように、は改定率だけが予算編成で決まって、いるわけです。 今回違うのは、「骨太の方針2015」で改革検討事項が決まっていて、年末までに政府としてこれらの事項について工程表をつくるとなっています。したがって、政府の方針として、幾つかの診療報酬に係る改定事項について、年内に政府が決めることになっている、ということであります。

メリハリは大変大事で、今後、私たちがしゃべるときにも留意をしたいと思います。例えばかかりつけ医をきちんと評価するということなどは随分言ったつもりだったんですが、やはり私たちとしては、全体としてはメリのほうになるような形を少し提言していかないと、総額の改定率の中で、あとは足し引きイコールになってしまうと思います。

黒川委員がおっしゃった8ページの趣旨は、そういうことでよろしいかと思います。

あと恐縮ですが、30秒だけ。

〔 小宮主計官 〕 雇用保険について補足をさせていただきますと、雇用保険、確かにおっしゃられるように、ある程度、短期的な景気変動による部分がございます。

49ページにも積立金の推移を掲げておりまして、確かに2000年代の初頭にかなり積立金が減っているという状況もございます。ただここにつきましては、その時点におきまして、給付についても例えば自己都合の方や定年退職されるような方については見直して、本当に就職困難な方に重点化をするというようなことをやっております。その結果、平成21年、リーマン・ショックのあたりでも積立金は決して減っておらず、さらに保険料率を下げるということは可能な状況になっているという形でございます。

先程土居先生からもご紹介いただきましたように、様々なリスクを勘案しても、高いソルベンシー・マージンを掲げているということでございますので、そういったある程度、雇用保険が頑健化しているということを前提に、今回のご提案をさせていただいたということでございます。

あと雇用保険国庫負担につきましては、前回の審議でも停止ということでご提案をさせていただいているということでございます。当面は措置として停止ということでご提案させていただいております。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。活発な議論ができました。

既に時間、超過しますが、皆様からたくさん出たメリハリですが、ベクトルに例えると、診療報酬全体というのはベクトルの長さですよね。あるいは絶対値。ベクトルは、皆さんご存じのとおり向きがあるわけで、この向きがまさに文字どおり配分ですよ。ですから長さをどう調整するかということとは別に、ベクトルがどっち向いたベクトルかというのはもちろん大きくて、実はどっちを向いているというそこのほうが医療の供給体制や診療科でこういう問題がある、こういう不合理があるとか、当然そこに大きな影響を与えるわけです。

そこは主計官からもご説明ありましたが、中医協が本来きちんとやるべきところですが、なかなかうまくいかないという問題があるわけですが、財審としては大いにそこにも働きかけていきたいということだろうと思います。

〔 阿久澤主計官 〕 地方財政担当の阿久澤でございます。お時間の関係もありますので、やや早口の説明になってしまいますが、ご容赦いただければと思います。資料2「地方財政」という資料に沿ってご説明させていただきます。

1枚開いていただいて、目次であります。まずは流れを説明させていただきますと、地方財政の仕組みと現状、それから「骨太の方針2015」で決められました「経済・財政再生計画」において地方財政では何をしようとしているのか、さらには予算編成に向けた検討課題、このような流れでご説明させていただきます。

それでは、3ページでございます。ご承知のように、地方交付税につきましては、まずはこの地方財政計画の歳出歳入、そしてそのギャップを埋めるものとして、地方交付税総額がマクロベースで決まり、それを前提として、各地方公共団体に対するミクロの交付税配分額、これが基準財政需要と基準財政収入の差を埋めるものとして決定されると、このような仕組みでございます。

4ページをお開きください。それでは、地方財政計画において見積もられたこの歳出歳入ギャップをどのような形で埋めていくのか。これにつきましては、27年度の例でいいますと、この歳出歳入ギャップが約18.2兆円と見積もったわけです。これに対して、まずは交付税の法定率分等を充てます。さらには特会財源を充てます。それでもなお財源不足になっている場合、27年度でいうと、これは3.1兆円に相当するわけでございますが、これに対しては、国・地方が折半で埋めることが基本でございます。このルールに基づきまして、国は交付税に特例加算を上乗せし、地方は赤字地方債であります臨時財政対策債を発行する、ということになります。

なお27年度におきましては、この折半ルールの例外といたしまして、全額国費による別枠加算0.2兆円が加算されているということです。これはリーマン・ショック後の臨時の対応の歳入版の措置でございまして、以前は1.5兆円程度ありました。税収の回復に基づきまして、減少はしてきておりますが、依然として残っていると、このような状況でございます。

このように、地方財政計画上の歳出歳入ギャップ、これが地方財政による国と地方の借金の額を決める構造になっておりますので、国・地方PBの改善を図っていくためには、地方財政計画の歳出を抑制して、この歳出歳入ギャップを縮めていくことが大事だと、このようなことでございます。

それでは、5ページを開いていただければと思いますが、このページは国と地方の歳出歳入の構造を示したものでございます。国の一般会計歳出96.3兆円のうち、地方交付税交付金が約15.4兆円、このような規模になっております。また地方財政計画の歳出でございますが、これが約85.3兆円ということで、国よりやや低い水準でございます。

内訳についてはご覧の通りでございますが、2点だけ。まず歳出特別枠というものがあります。これは、リーマン・ショック後の臨時・異例の危機対応のために設けられた歳出面の措置でございます。一方、水準超経費というものがございます。こちらにつきましては、不交付団体においては標準的な歳出を超える税収があるのですが、それをもとに行われている支出、すなわち不交付団体において行われております標準的な行政サービスを超える支出に充てられているもの、このようなものでございます。

それでは、6ページをお開きいただきたいと思います。国と地方の財政状況の対比でございます。リーマン・ショック後、国と地方の財政の不均衡は著しく拡大しております。国のPBは依然として、大きな赤字となっておりますが、地方の足元の財政状況を見ますと、PBのみならず、財政収支そのものも黒字になっているということでございます。その要因については、いろいろとご意見はあるのですが、やはりこれまでご説明してきたように、地方財政計画において歳出歳入ギャップが生じた場合に、それを交付税で埋める仕組みがあることが大きな要因になっていると考えます。

しかもこの交付税交付金の推移の表を見ていただければ分かりますが、例えば平成21年度から平成22年度のように、景気が悪くなって、それによって地方交付税の法定率分が減少したとしても、国から特例加算や、さらには別枠加算という措置を講じて、このギャップを埋めています。このような国から手厚い財政移転が国と地方の財政状況の違いを生み出していると認識しております。

それでは、7ページをお開きいただければと思います。ストック面でございますけれども、国と地方の長期債務残高については、過去10年程度を見ますと、残念ながら国の長期債務残高は約300兆円程度増加しているわけですが、地方はほぼ横ばいとなっているところでございます。こうした状況の違いは、先程申し上げたような国からの財政移転が非常に手厚いことにもよると思われまして、こうした水準についてこのままでいいのかということも含めた議論をする必要があるのではないかと思っています。

それでは、資料の9ページをお開きいただきたいと思います。本年6月に決まりました「骨太の方針2015」において、「経済・財政再生計画」というものがまとまりました。

これにおいて、地方がやることになっている項目を一覧にまとめたのがこの9ページでございます。この中で幾つかご説明させていただきますと、まず地方行政サービス改革ということで、例えば行政サービスのオープン化・アウトソーシング等の推進、また自治体情報システムのクラウド化の拡大などに取り組むことになっております。

また2つ目の白丸のところで、地方の頑張りを引き出す地方財政制度改革というものがございますが、これについては下から2つ目を見ていただきますと、トップランナー方式というものを入れると。これは歳出の効率化に向けた取組で、他団体のモデルとなるような例を前提に基準財政需要を算定して、他団体の歳出の効率化を促していく仕組みであり、このような取組を行っていくことなどが考えられております。

また、さらには公営企業や第三セクターの抜本的な改革や、地方財政の「見える化」ということで、頑張っている自治体とそうでもない自治体をしっかりと比較可能な形で示していくということで、外からのプレッシャーによって自治体の効率化を促していくという環境づくりなどにも取り組むことになっております。今、このような自治体の取組を促していくために、改革内容に沿ったKPIや工程表というものを、策定している最中でございます。

10ページをおめくりください。この「経済・財政再生計画」の実現に向けましては、まずは自治体の取組を促していくことが大事なのですが、先程来、申し上げているように、地方のPBを改善させていくためには、地方財政計画上の歳出歳入ギャップ、これが地方のPBを規定しているわけでございます。ですので、こうした自治体の効率化に向けた取組を国・地方を合わせたPBの改善に着実につなげていくためには、それぞれの自治体による業務の効率化や財政収支改善の取組の成果をしっかりと把握して、その成果を地方財政計画にちゃんと反映させていく必要があると、このように考えておりまして、こうしたことをしっかり求めていきたいと考えております。

それでは、資料の12ページをお願いいたします。今後の検討課題ということでございますけれども、これは地方財政計画に関する検討課題を一覧にまとめたものでございます。次ページ以降の個別の資料によって、個々の項目についてご説明させていただきたいと思います。

13ページでございます。まず「骨太の方針2015」において、地方財政についてどのように記述されているかということでございますが、右の文章のところをご覧ください。まず国については、1行目にありますように、安倍内閣のこれまでの取組を基調として、歳出改革に取り組むこととなっていて、真ん中の下線にありますように、地方においても、国の取組と基調を合わせ取り組むと、このようになっております。

また地方の歳出水準については、注書きの下から2行目でございますけれども、一般財源の総額について、2018年度までにおいて、2015年度地方財政計画の水準と実質的に同水準とされているところでございます。

それでは、その水準についてでございますが、14ページをお開きいただきたいと思います。一般財源の推移でございますが、近年は実質的に同水準で推移しているところでございまして、見た感じですと、26年度、27年度がきゅっと上がっているのですが、これは税と社会保障の一体改革に伴います社会保障の充実分のように、財源を確保した上で制度充実を図るもの、これが赤い矢印です。あと歳出の内訳の際にご説明した水準超経費、これが青い矢印でございまして、これらを除くと同水準ということでございます。

なお、水準超経費につきましては、近年増加しておりますが、これに対しては後から述べます地方法人課税の偏在是正によって対応していくということにしております。

いずれにいたしましても、国・地方合わせて財政健全化目標を達成していくためには、こうした歳出の中身をしっかりと見直していかなければならないということでございます。特に、積算がない、地方が自由に使える地方単独事業に着目させていただきますと、歳出特別枠の加増などによりまして、実質的に増加しております。こうした歳出特別枠を加えた実質的な地方単独事業の水準については、危機モードから平時モードへの切替えを進める中で、適切な水準に見直していく必要があるだろうと、このように考えているところでございます。

次、15ページをお開きいただきたいと思います。そうした単独事業のかさ上げ要因となっております歳出特別枠につきましては、あくまでもリーマン・ショック後の雇用対策のために設けられた臨時・異例の危機対応ということであったのですが、それに対して、地方団体は、歳出特別枠分を、既に社会保障や人口減少対策に使ってしまっていると。したがってその実態を踏まえて実質的に歳出特別枠を確保してほしいと、このように言っているわけです。いわば歳出特別枠につきまして、計上目的と使用実態に乖離がある状況になってしまっているということであります。

制度上、地方交付税交付金はあらかじめ使途を特定することはできないのですけれども、一方で歳出特別枠は、あくまでも危機的対応措置として特別に措置されたものでございますので、その政策目的に沿って用いられるべきものであると考えます。したがって、こうした当初の計上目的を踏まえますと、これは平時モードへの切替えの中で、廃止・縮減していくべきものだと考えております。

また、歳出特別枠に係る計上目的と実態の乖離が生じてしまったというのは、支出実績を把握・検証してこなかったことも1つの要因かと思っております。今後、歳出特別枠と同様に、特別な目的で計上された経費につきましては目的に沿った使用がなされているか、使い方についてしっかりと検証していく必要があると思っております。

そこで、16ページでございます。まち・ひと・しごと創生事業費が27年度に地方財政計画において創設されました。これは各地方団体の創意工夫による地方創生の取組を支援するものでございます。このようにまち・ひと・しごと創生事業費は一定の政策目的をもって計上しているものでありますので、その政策目的に沿った使い方がなされているか、事後的にしっかりとフォローアップして、措置の必要性等について検証を行っていく必要があると、このように考えているところでございます。

続きまして、17ページでございます。人口減少への対応でございますが、「骨太の方針2015」でも人口減少を踏まえた歳出改革を行うこととなっております。したがって、地方歳出につきましてもこれを踏まえた適正化が必要だと思っております。地方交付税の配分において、歳出ごとに標準的とされる需要の大きさを計るものとして基準財政需要というものがありますが、これの算定項目には人口を測定単位としたものが数多くあります。資料の左下にもありますように、人口を測定単位とするものは、人口に準ずると考えられる事項を測定単位とするものも含めますと、7割弱ということになっておりまして、これらは人口の減少に伴って需要が必然的に減少していくものでございますので、地方財政計画の歳出の計上に当たってはこうした需要の減少といったものをしっかりと反映させていく必要がある、このように考えております。

続きまして、少し飛ばしていただきまして、20ページと21ページ。こちらにつきましてはほぼ同じ趣旨の提案でありますので、一遍に説明させていただきます。20ページにつきましては、追加財政需要、いわゆる国で言えば予備費に相当する経費でございます。21ページにつきましては、国の補助事業における地方負担分についてでございます。いずれも計画額よりも実績が下回っております。すなわち地方にはその分、浮いた財源が存在するということになっております。

国であれば、こうした場合には不用として精算をして、後年度の財源に充てるという措置を講ずるわけですが、地方においては後年度の地方財政計画の歳入に充てるなどの精算はしておりませんので、使途がわからないまま渡し切りになってしまっているということになっております。

国による一定の財源保障を行っていることも踏まえますと、こうした形で浮いた財源が生じた場合には、後年度の地方財政計画の歳入に繰り越すなどの精算を行うべきではないかと、このように考えているところであります。

次に、22ページはこれまでご指摘させていただいた事項でもありますので、飛ばさせていただきます。

23ページの公営企業についても、これまでもご指摘させていただきました事項ですので、飛ばさせていただきます。

次に、税収でございます。24ページをお開きください。近年、地方税収は決算において計画額から上振れが続いております。こうした地方税収の決算での上振れ分につきましては、国で行っているような後年度の財源に充てるための精算を、地方財政計画では行っておりません。結果として、こうしたものが基金の増加や、当初想定されていなかった経費への支出に充てられているということになっております。こうしたことを踏まえますと、やはり地方税収についても、この決算増収については後年度の地方財政計画の歳入項目として計上するなどして、何らかの形で精算していく必要があるだろうと、このように考えております。

続きまして、25ページでございます。別枠加算についてでございますが、これの趣旨は先程申し上げました。リーマン・ショック後の特別な対応ということでありますが、まだ残っております。来年度の地方税収について見ますと、概ねリーマン・ショック前を超えることが見込まれておりますので、別枠加算を継続する理由はもうないだろうと、もう廃止すべきではないかと、このように考えているところでございます。

26ページをお願いいたします。地方法人課税の偏在是正についてでございます。ご覧のように、都道府県別の人口1人当たりの税収額の偏在、これは地方法人二税では約6.3倍ということになっておりまして、税制のあり方として考えてみても、こうした大きな偏在は望ましいものではございません。したがって、地方法人課税の偏在を早期に是正していく必要がある、このように考えております。

次の27ページでございますが、この地方法人課税の偏在是正については、2つの課題がございます。1つ目は、この資料の上段にありますように、平成20年に創設されました地方法人特別税。この地方法人特別税は税制の抜本改革が行われるまでの間の措置となっておりますので、その取扱いをどうするのかということ。2つ目は、資料の下の段にありますが、地方消費税の増税によって生じることが見込まれるこの偏在のさらなる拡大を防ぐために、消費税率の8%への引上げの際に、法人住民税の法人税割、これの一部を国税化して、交付税の原資としたところでございます。この措置について、消費税率を10%に引き上げるときにどうするのかという問題でございます。

これらにつきましては、与党の税制改正大綱において一定の方向性は示されております。まず地方法人特別税・譲与税につきましては、消費税率10%段階において、廃止するのですが、現行制度の意義や効果を踏まえて、他の偏在是正措置を講ずるとなっております。

また、法人住民税法人税割の交付税原資化につきましては、消費税率10%段階において、さらに進めることとなっておりますので、こうした方針に沿って適切な措置を講じていく必要があるだろうと、このように考えているところでございます。

駆け足になって申しわけございません。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

では早速、どなたからでもご意見、ご質問等。

では、増田委員。

〔 増田委員 〕 時間がないようなので簡潔に申し上げます。1点は、最後のほうで地方法人課税の偏在是正の話があったのですが、これは言葉自身は税の世界の話にもなると思うのですが、ここで書いている方向、言外に言わんとするところは、やはりこの与党の税調でもこういった偏在是正を進めるということをこちらの財審でも後押ししていく必要があるのだろうと。

それで、問題になっている地方法人特別税ですが、私が総務大臣のときに、やたら自治体からも、国税化するということで反対もあったのですが、やはりやらなければいけないものはちゃんとやらなければならないので、偏在是正をするという意味で、今回消費税率を10%に引き上げるときには法人住民税の代わりに、先般入れた地方法人税化をさらに進めると書いてあるのですが、それを財審の立場でも応援するというスタンスが必要ではないかと思います。

それから前のほうで、これはいろいろ議論のあるところですが、要は地方の頑張りを引き出す地方財政制度改革ということが書いてあります。これは総務省も含めてですが、今、交付税の算定の中で、地方の頑張りを何かで評価して、それで算定する。個々の配分はむしろ総務省の範囲になってしまいますが、どちらかというとその方向でに流れてきて、骨太でもそのようなことが閣議決定で書かれているのですが、私は、本来、国が誘導するものは補助金でしっかりと真正面からやるべきであって、地方の頑張りとか何かそのようなことを交付税の世界で言い出すと、どんどん補助金と交付税の性格の違いが曖昧になってくる。

むしろそのようなことを算定に入れれば入れるほど、その配分がブラックボックス化して、見えにくくなってくるということもあると思うのですね。交付税自身は本来は無色透明にしておくべきなのであって、一方でここに言わんとしている地方財政全体を「見える化」する、行革をするとか高い給料を下げるとか、これは当然やるべき話なので、それはそれとして取り組む話ですが、それを交付税の算定といろいろ絡めていこうとすればするほど、分かりにくくなって、むしろ見えにくくなってくるので、私は本当に国としてやるべきものをどんどん補助金できちんとやっていって、それから交付税は交付税でむしろ透明化する方向を維持しておかなければいけないのではないかと思います。

これはまたいずれ建議を議論するときに、文章でいろいろ書かれると思うので、私は財審での大きな方向性に、これまでも間違いないと思っていますから、それはそれでいいのですが、基本的な性格について、補助金と交付税の性格の違いだけは踏まえておく必要はあるかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では続けて、土居委員、田近委員、お願いします。

〔 土居委員 〕 ご説明ありがとうございました。阿久澤主計官のご説明を伺っていて、私なりにポイントをまとめると、地方財政の実績を後年度の計画にどのように反映するかということを、きちんと反映させるべきだということなのではないかと思います。

3点程ありまして、まず国と協力して歳出改革に取り組んだ実績は、しっかりと後年度の地方財政計画に反映するべきであるということだと思います。それからもう1つは、人口減などで行政サービスが自ずとと減るという、いわゆる自然減に伴う歳出の抑制は、当然ながら後年度の地方財政計画にも反映していくべきであると。そしてもう1つ重要だと思うのは、国として財源保障をすべきでないものが地方財政計画の中に含まれているのではないかということがあって、それもきちんと実績を踏まえて、財源保障すべきものはするが、する必要のないものはきちんと財源保障をやめて、その分は地方財政計画上の歳出に反映させるべきだと思います。

これは決して地方自治体の自由裁量を認めていないわけでなくて、むしろ配分された後でどのように使うかという自由裁量はあって、かつ地方分権にも反しないと思います。

先程増田委員がおっしゃったように、地方の頑張りをどう引き出すかということは非常に重要なことだと思いますが、やるとすれば交付税のミクロの配分の段階で、そのミクロの配分の仕方を見直すと。できるとしても、頑張りを引き出せないディスインセンティブをなくすということが主眼になるのかなと思うわけで、基本的には地方交付税は、先程の増田委員のお考えと全く私も同じなのですが、どちらかといえば、地方交付税は税収格差是正、財政調整機能の方によりシフトさせていくことが求められるのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 田近委員。

〔 田近委員 〕 阿久澤さんのご説明、ありがとうございました。質問は1点です。

18ページで、ご説明の流れとしては、今後、地方の歳出、地方単独事業、歳出特別枠の水準を精査していこうと。私もそう思います。それで18ページに、その1つとして、地方単独の社会保障給付費が出ているのですが、なぜ児童福祉費がここまで高くなったのか。先程来の議論とも関係するかもしれませんが、そのご説明をいただきたいということ。それから関係しますが、消費税が上がって、地方消費税が充実したと。それに伴って、地方の社会保障の歳出の形がどうなったのか。

それと最後に地方法人税の配分について議論がありましたが、偏在、その地方消費税についても同じような問題が起きたわけで、地方消費税が充実されたことに伴う現状とその取組といいますか、必要となる問題についても、どこかで改めてご説明いただければと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 では、ご質問ありましたので、主計官お願いします。

〔 阿久澤主計官 〕 まず18ページの話でございますが、データをいろいろと集めてこれを分析したのですが、個々にどの事業に貼りついているかというところまで詳細には分からないのです。

ただ、確かに児童福祉費が増えているということは事実でありまして、ここにも書いてあるように自然増で増えているわけではないだろうということで、何がしかの制度拡充なり何なりを行っているのだろうと思っております。

では、外形的に見てどのようなことが地方で行われているか。因果関係として結びついているかどうかの証拠はありませんが、客観的な事実として、この間に小児の医療費の自己負担を引き下げるための助成をしており、しかもその年齢をずっと就学前から小学校、小学校から中学といってどんどんと無料の対象を広げてきているということがあります。また少し財政が豊かなところですと、幼稚園だとかの授業料を独自に引き下げるといった取組を行っている自治体がありますので、そのようなことの結果かもしれないと、一応そのように思っているというところが1点。

それからもう1つですが、その地方消費税の上げ方によって、社会保障の歳出の形がどのようになったかという話ですが、まず国の制度と関連する社会保障制度は、地方負担分も含めまして、国の改革の内容に応じて見直しが行われております。一方、地方単独事業でどのような内容の変更があったのかは、飛ばしてしまったのですが、実は地方単独事業というのは積算のない世界であります。しかもその地方単独事業の部分では、結果として何をやっているのかということについて、検証もなされていないわけでございます。

指摘事項の中では、実は16ページの下の部分に少し書いていたのですが、そのようなこともありまして、先程土居委員からのご指摘もありましたが、結局どのようなことをやっているのかということを検証していかなければいけないだろうと思いますので、今後このような地方単独事業についても、このようなことの把握に努めるよう求めていきたいと思っています。したがって、結論ですが、現状では地方単独事業の社会保障事業がどのように変わったのか、なかなか分析できないという実態にあるということでございます。

また、課税の偏在の話でございますが、まさに消費税率の引上げ、しかも地方消費税を上げることによりまして、これは不交付団体にも税収が行くものですから、偏在がより増えることの影響はやはり大きいということで、それを是正するための偏在是正措置を考えていく必要がある、このように考えているところでございます。

〔 吉川分科会長 〕 時間が迫っているのですが、最後に、小林委員、中空委員の2人発言していただければと思います。恐縮ですが、簡潔にお願いいたします。

小林委員。

〔 小林委員 〕 ここ数年、地方財政の話が出てくると、国は非常に財政収支が悪いのだけれども、地方のほうは財政収支が改善して、PBも財政収支も黒字になっているというような、これはまさにそれがファクトでというか、事実ですからそれでいいのですが、これを例えば発信したときに、実際に地方に住んでいる人たちとかがなかなか実感としてそれをすとんと胸に落ちるというか、納得できない、やはり地方は大変なんだよねというのが最初に出てくるのですよね。

これはやはりここの発信の仕方を少し丁寧にしていかないと、一部の自治体がいいだけではないのかとか、それから全体としては厳しいのに、例えば東京や福岡など、地方の中核都市などがいいだけで、それで全体がよくなっているだけなのではないのかとか、そのような議論になりかねない。

そうすると、やはり先程出てきた地方税収の平均化といいますか、そこはもちろん大事なのですが、それを丁寧に少し説明してあげないと、地方の人にはこういう議論がなかなか届かなくなる可能性があるなと。ここ数年、毎年この話が出てきているので、少しそれは意識してやっていく必要があるのではないかと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。地方財政とは全く違う発想で、私は地方債というのを見ていましたので、その話からさせていただきたいと思うのですが、10月に地方債が発行されているのですが、福井県、熊本県、大分県、山梨県、相模原市、京都市、福岡市、みんな10年なのですが、国債対比で全部同じ15.5ベーシスというところで発行されているのですね。これが現実だと私は思っていて、地方財政と国との切り分けというのを幾ら訴えていても、マーケットが見ているのは、国がバックにいるであろう地方ということです。

でもかといって今のこの時点で、国は関係ありません、地方が頑張りなさいと言ったら、それは資金調達ができなくなるところが出てくるということだけなので、それをそちらのほうに急速に持っていくのは難しいのですが、今の現実を考えると、理想的な地方財政の独立採算のあり方というのは相当難しいし、国と地方の関係というのは少し慎重に考えていかなければいけないのではないか。それがマーケットからの声であると思ったので、伝えさせていただきました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

それでは、時間が参りましたので、以上で本日の議題を終了とさせていただきます。

なお、本日ご欠席の赤井委員、岡本委員、古賀委員より意見書をご提出いただいており、皆様方のお手元にお配りしております。適宜ご参照いただければと思います。

あとはもうルーティンですが、大変恐縮ですが、本日の会議の概要は私にご一任いただき、会議後の記者会見で紹介させていただきます。

次回は11月4日15時から予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

では、どうもありがとうございました。

午後 0時31分閉会

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