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財政制度分科会(平成27年10月9日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成27年10月9日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成27年10月9日(金)14:03〜17:05
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.ドイツの社会保障支出抑制の取組等

3.我が国の財政に関する長期推計

4.社会保障マル1

5.閉会

出席者

分科会長吉川 洋

福田主計局長
美並次長
可部次長
茶谷次長
阪田総務課長
中山調査課長
内野給与共済課長
青木法規課長
余島司計課長
片岡大臣官房参事官
小宮主計官
宇波主計官
奥主計官
阿久澤主計官
高村主計官
彦谷主計官
堀内主計官
冨安主計官
山崎主計官
タカ5主計官
江島主計官
廣光主計企画官
泉主計企画官

委員遠藤 典子
大宮 英明
倉重 篤郎
黒川 行治
角   和夫
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
永易 克典
臨時委員板垣 信幸
伊藤 一郎
老川 祥一
葛西 敬之
加藤 久和
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美
武田 洋子
田近 栄治
南場 智子
増田 寛也
宮武 剛

午後 2時03分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻ですので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方には、ご多用中のところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、「我が国の財政に関する長期推計(改訂版)」及び「社会保障」を議題としております。3時間の長丁場ですので、「我が国の財政に関する長期推計」についての質疑を終えたところで休憩をとりたいと考えております。

それでは、ここら辺で報道は退室をお願いいたします。

(報道カメラ 退室)

〔 吉川分科会長 〕 それでは、まず冒頭、前回の審議の際に宿題となっておりました「ドイツの社会保障支出とGDPの推移等」について、事務局からご説明をお願いいたします。中山調査課長。

〔 中山調査課長 〕 調査課長、中山でございます。

お手元の参考資料1「ドイツの社会保障支出とGDPの推移等」という資料に基づきまして、ご説明したいと思います。

1ページをおめくりください。前回、この資料をご説明させていただいたところ、冨山委員から、社会保障支出の抑制と経済成長のどちらがより効いたか、ドイツにおいて社会保障支出の対GDP比が低下傾向を示している点について宿題がございました。

2ページをご覧ください。ドイツの社会保障支出とGDPの推移につきまして、その分母と分子の推移を実額の伸率で整理いたしております。この表のうち、薄いブルーで網かけしている部分は社会保障支出の伸率がGDPの伸率を下回っている場合、すなわちGDP比が低下している期間を示してございます。ご覧いただきますと、確かにGDP成長率は安定的に推移してございますが、同時にこの期間、2005年から2010年にかけて社会保障支出の伸率が年平均で2.1%、2010年から2013年にかけては1.6%と相当程度抑制した運営が行われているかと思います。同時に、下に高齢化率がございますが、この間、高齢化が進んでいる中で、このような改革が進められているということでございます。

子細に見まして、単年ベースで推移を追ったのが下の段でございます。ご覧いただきますと、2003年から2004年にかけて社会保障支出は−0.4%の伸率となってございますし、2005年以降、4%、5%のGDP成長率が大きく寄与してございます一方で社会保障支出の伸率は0.5%、0.4%と抑制的な運営が行われていると考えております。

右肩、これらの背景にございますのは、いわゆるシュレーダー改革等でございます。主なものを列挙しておりますが、労働市場改革といたしまして、失業給付の支給期間の短縮、支給要件の厳格化、社会扶助の要素が含まれておりますので、失業扶助と社会扶助を再編、整理した上で給付水準を大幅に引き下げてございます。医療につきましても自己負担の拡大等が行われておりますし、年金につきましては2000年以降、年金額の支給水準の抑制、引上げの凍結、給付水準の段階的な抑制、支給開始年齢の段階的な引上げが、メルケル政権も含めて行われているということで、このような改革の効果が抑制につながっているものと考えてございます。

参考に、3ページでございます。シュレーダー改革は2000年頃からスタートしているわけですが、失業率の推移をご覧いただきますと、一番上のグリーンの部分でございますが、2005年が11.2%でピークとなっております。2003年から2005年にかけて社会保障支出を抑制しておりますので、このような厳しい中で社会保障改革が進められていたということかと思います。その後、改革の効果もありまして、失業率は大幅に低下しておりますし、一時期、リーマンショックがございましたが、比較的安定した経済運営が行われているということかと思います。

右肩、財政の指標でございますが、リーマンショック前、財政収支の黒字化を達成し、その後、足元でも黒字財政に復帰してございまして、債務残高対GDP比も74.7%まで落ちてきているという状況かと思います。

説明は以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

それでは、ただいまのドイツのご説明に関して、ご意見、ご質問等ありましたら、お願いいたします。どうぞ。

〔 南場委員 〕 非常に興味深いのですが、どれが一番効いていた施策だったのか。年金給付の引下げの部分なのか、医療費の部分なのか、その辺の効果の内訳と、もう1つ、診察費用の自己負担の拡大というところは、全体的に一律にされたのか、年齢別や疾患別など何か枠組みを導入されたのか、そのあたりを少し教えていただきたいのですが。

〔 吉川分科会長 〕 説明資料2ページの右側の内訳をもう少し詳しく知りたいというご質問かと思いますが、事務局、どうでしょうか。

〔 中山調査課長 〕 私どもが今調べている範囲で申しますと、まず年金につきましては、この間、年金支給水準は対GDP比でほぼ横ばいで推移してございますので、基本的に根っこで効いている部分がございます。同時に、シュレーダー改革は、労働市場改革が成長戦略としても非常に重要な役割を果たしたと言われておりますし、大幅な給付水準の抑制を実額で行っておりますので、これは相当程度効いていると思います。医療につきましても、いわゆる定額負担を受診時と薬価について導入してございますので、そのような改革の効果も効いているかと思います。

〔 南場委員 〕 細かい数字を見ることはできるのでしょうか。

〔 中山調査課長 〕 また整理して、ご説明できるようにしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 失業給付だけ、2ページの右側に書いてありますか。前職賃金の約5割だったのが月額345ユーロの定額制に、これが天井ということでしょうか。日本円に直すと約5万円程でしょうか。

〔 南場委員 〕 結構細かくと言うとあれですが、別にいたずらに仕事を増やしたくはないのですが、やはりこれ程成功している数字を見ると、何が一番効いて、そのうち何が日本にも適用できるものなのかというところまで掘り下げて見て初めて意味があるのかなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、その点また、事務局、お願いします。

ほかにいかがでしょうか。武田委員。

〔 武田委員 〕 大変丁寧なご説明どうもありがとうございます。

ドイツのシュレーダー政権時代の改革につきましては、社会保障を中心とする改革のみならず、先程課長からもございました労働市場の改革の一環として、職業訓練の充実化、就労支援体制の強化、さらには労働市場の柔軟化といったところにも手を入れたことがあったと記憶しております。もちろん、労働市場は日本よりもむしろ硬直的な部分がございましたので、日本と単純に比較ができるわけではございませんが、おそらくドイツのこのような経済成長と社会保障支出抑制の両立の背景には、改革が社会保障制度にとどまらず、側面的な改革も含め包括的に行われたという点がポイントではないかと思いましたので、コメントさせていただきました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

老川委員、お待たせしました。

〔 老川委員 〕 大変興味深い傾向だと思うのですが、これは事務局でも結構ですし、どなたでもご存じの方に教えていただきたいのですが、これ程の改革がドイツの場合、成功しているわけですが、日本でやろうとするとなかなか、まず政策それ自体を決めることが大変難しいだろうし、内閣として決めたとしても、それを実施に移すとなるとまた様々に抵抗があって、なかなか思ったようにいかないというのが実態だと思います。ドイツの場合、どうしてこれ程うまく成功したのか。特にドイツの場合、一般的には労働組合が非常に強くて、そこにシュレーダーは大分手を入れたと思うのですが、それが現実にうまくいった理由は一体どういう点であるのかを、一言では言いにくいかもしれませんが、ご存じの方に教えていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どなたか、ドイツの事情に詳しい方がいらっしゃれば。

〔 中山調査課長 〕 私どもが調査している範囲で申しますと、やはり90年代、東西ドイツ統合の後遺症といいますか、いわゆる欧州の病人と言われた状況がかなり長く続いたということが背景にあったかと思います。そうした中で、シュレーダー政権は労働者を支持基盤とする政権であったわけですが、社会保障制度自体が労働インセンティブを抑制するような仕組みだったという点に大きなメスを入れて、労働市場の活性化を生んだと同時に、財政的な効果が非常に高く反映したのではないかと思っております。

実際、シュレーダー政権、前半はかなり支持率を落としたと言われております。「アジェンダ2010」を策定し、進めていくわけですが、メルケル政権にかなり均衡した中で政権交代いたしましたが、メルケル政権に移行した後もかなり改革が進められている状況が続いておりますので、基本的に改革に対する国民的理解が深まっていたということはあるか思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

ちなみに、今の課長のご説明を補足させていただくと、シュレーダー政権は総選挙で負けてメルケルに代わったわけですが、メルケルはその総選挙の際に野党として、医療保険をファイナンスするために必要であるとして、16%から19%に付加価値税率を引き上げることを野党の公約として総選挙に臨んでシュレーダーを破り、連立ですが、今の政権誕生ということになったと思います。ですから、やはり社会保障に関する国民的な理解や、課長のご説明にあったある種の危機感というのは、ドイツの国民の間で共有されていたんだろうと思います。

黒川委員、どうぞ。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。

私は、3ページの左側の財政収支対GDP比、これにまず一つ注目させていただきました。経常収支が非常に大きく伸びているのは、財産所得の収支の黒字といいますか、投資からのリターンも結構入ってきているのではないかと思うわけです。ですから、GDPの伸びよりも、国民所得のほうがさらに大きく伸びている可能性があるのではないかと推量できる統計値です。EUの工業製品市場についてはドイツは、かなりいい市場を持ったので、ドイツ企業へは、投資リターンもかなり入ってきている。さらにドイツの場合は共同決定法だったのですから、賃金上昇にもそれが反映され、国民全体の所得上昇が進んでいれば、社会保障改革についても追い風になったのではないだろうかという気がいたしますので、もしわかっていれば、あるいは調べていただければと思います。

 

〔 中山調査課長 〕 経常収支改善の要因として1点、ユーロ加盟によってかなり輸出競争力が強化されたという面があろうかと思います。賃金の効果については、先程ご指摘いただいた宿題とあわせて分析して、またご報告したいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ちなみに、また一言加えさせていただくと、もし日独で比較するのであれば、この間、日本とドイツでは名目GDPの伸率は当然違っていて、ドイツはそれなりに伸びているが、日本はご承知のとおり名目GDPは落ち、GDPデフレーターがマイナスだったわけですが、その背景として、実は交易条件の違いがあります。交易条件というのは、輸出財の価格を輸入財のデフレートしたものです。ドイツは悪化していないが、日本は、石油の価格が2000年代に上がった中で大幅に悪化して、それがGDPデフレーターに後に反映しているという違いがあって、乱暴な言い方をすれば、それはドイツ経済全体が強かった、ブランド力があったということですが、そこら辺も含めて事務局に、やはり委員の皆様方、ドイツの問題に関心を強く持たれていて、ドイツに学ぶということであれば一体どこに学ぶべきなのかという点で、もう少し知りたいというご意見だったと思いますので、できる範囲でよろしくお願いします。

〔 中山調査課長 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、ほかの議題もありますので、先に進ませていただきます。

まず、第1の議題ですが、「我が国の財政に関する長期推計(改訂版)」について審議を行います。こちらの長期推計につきましては、前回、9月30日の当審議会において、富田委員からアップデートのご提案をいただき、それを受けて、小林委員、田近委員、土居委員、富田委員の起草検討委員の先生方に議論していただき、準備していただきました。起草検討委員の先生方、お忙しいところ、どうもありがとうございました。

本日は、富田委員よりご説明をお願いいたします。

〔 富田委員 〕 お手元の資料1をご用意ください。「経済・財政再生計画」が6月末に閣議決定されたことを踏まえまして、今、吉川会長からお話がございましたように、前回、「我が国財政に関する長期推計」をアップデートするということを申し上げまして、去年4月の試算に続きまして、今回も起草検討委員で改訂作業を行いました。

1ページをご覧ください。財政の長期推計ですが、私どもは欧州委員会が採用しております方法に完全に準拠いたしました。高齢化による社会保障給付、これは「年齢関係支出」と呼びますが、その増加が将来の財政に与える影響を分析するために、2060年度までの長期の財政の姿を展望し、2060年度以降に債務残高対GDP比を安定させるために2020年度時点で必要なPB改善幅を試算いたしました。

今回の改訂におきましては、2020年度までの国・地方のPBの推移については、この7月に内閣府が発表いたしました「中長期試算」にベースを合わせまして、経済前提につきましては、2023年度まではこの内閣府の「中長期試算」、そして2024年度以降は、去年6月に発表されました厚生労働省「年金財政検証」に基づきました5つのパターンを使用いたします。前回の試算では、現行制度を維持した場合、そして2020年度に国・地方のPB均衡という2つのシナリオについて試算いたしました。今回はさらに、先程申しました6月の「経済・財政再生計画」にあります、安倍内閣のこれまでの取組を基調とした歳出改革を2020年度まで継続するというシナリオを追加してございます。

1ページの下には前提が示されております。「年齢関係支出」につきましては、年齢階層別の1人当たり支出が異なる社会保障給付や教育等の支出について、人口構成の変化を踏まえて1人当たりの給付水準を、例えば1人当たり名目GDP比の伸びにスライドさせる等の前提のもとに推計をしております。その他の支出であります「非年齢関係支出」は、名目GDPの伸率で伸ばしております。

また、下に経済前提が示されておりますが、2023年度までは内閣府の「中長期試算」、それ以降は厚生労働省の「年金財政検証」におけます「経済再生シナリオ」に接続する5つのパターンがございまして、シナリオAからEというものを以下で示してございます。

試算のイメージ、2ページの下の図をご覧ください。現行制度がそのまま維持され、収支改善がこれから先も行われない場合、PBはどのように推移するかを示したのが、左下の図のマイナス側に出ております黒の点線でございます。その場合、右のグラフにございますように、政府債務残高対GDP比は急速に発散してしまいます。

それでは困るわけでして、マーケットはそのような事態を待ってくれない。このため、2060年度以降に安定的な水準にしようということで、赤い線のように持っていくためにどうするかということについての試算でして、今度は左の図をご覧ください。2020年度において、1回で恒久的な収支改善を行うと、先ほどの黒い点線が上方に水平移動いたしまして赤い点線になってございます。この赤い点線までPBが改善いたしますと、右のグラフにございますように、2060年度から政府債務残高対GDP比が安定するということになります。

そこで、「1回で収支改善を行うと仮定」とグラフに書いてありますが、収支改善幅は3つの要素に分かれます。上をご覧ください。2020年度の財政健全化目標を踏まえまして、2020年度時点で必要な収支改善幅を試算とありますが、それは3つの要素の合計です。第1は、2020年度時点のPB赤字を解消するために必要な収支改善幅。第2は、年齢構成の変化、少子高齢化に伴います歳出増に対応するために必要な収支改善幅。第3は、金利・成長率格差に伴って必要な収支改善幅。この3つ目は、2020年度時点の債務残高対GDP比を維持するために必要な収支改善幅でございます。

前回までは、1番目をInitial Budgetary Position、IBP1、2番につきましてはCost of Aging、まさに高齢化に伴う国民負担の増大と申しますか、政府支出の増大、3番目は金利と成長率の格差に伴う債務残高対GDP比の増加に対応するためのものですが、IBP2と表記しておりました。

以上が試算のイメージでして、以下、試算いたしましたケースをご紹介いたします。ケースは大きく、一般政府ベース、つまり国・地方に社会保障基金を加えたもの、それと内閣府試算に基づきます、いつも我々が見ている国・地方ベースです。

先に、欧州委員会が行っております一般政府についての試算をご紹介いたします。一般政府ベースで、2021年度から2060年度までの間、収支改善を行わず、現行の制度・施策を前提とした場合であります。これは2020年度までも現行制度が前提でありますので、ずっと現行制度を維持するという想定でございます。

そういたしますと、高齢化に伴って「年齢関係支出」が増加いたします。また、金利・成長率の格差によりまして、いわゆるデッドダイナミックスというものが働きまして、政府債務残高は急速に発散いたします。右下の図、点線のところをご覧ください。このような形になってしまいます。

そこで、2060年度以降に債務残高対GDP比を安定させるためには、2020年度時点で対GDP比は9.53%から11.12%の収支改善が必要で、その内訳が中段の3行の表でございます。2020年度時点のPB赤字を解消するために必要な収支改善幅は1.80%、これは前回の試算では3.80%でしたので、ここで大きく改善しております。それから、少子高齢化に伴う歳出増に対応するために必要な収支改善幅、4.82%から4.95%とございます。

先程申しました「年金財政検証」における最も楽観的なケースというのは、非常に高い成長率が前提になってございます。恐縮ですが、1ページにお戻りいただいて一番下の行をご覧いただきますと、実質経済成長率1.4%というのがケースA、0.4%がケースEであります。そして、名目経済成長率3.4%がA、1.6%がEです。金利につきましては、5.0%がA、3.8%がEでございます。こういった「経済再生シナリオ」に基づく5つのパターンを想定しておりまして、それぞれに必要な収支改善幅を見ております。

3ページにお戻りください。先程の(2)のところです。少子高齢化に伴う歳出増に対応するために必要な収支改善幅は、Aの場合は4.82%であり、Eの場合は4.95%ということになります。前回、去年4月の試算では4.78%となっておりました。

(3)の金利・成長率格差に伴い必要な収支改善幅につきましては、ケースAの場合が金利と成長率のギャップが一番少なくて、それによっても2.91%の収支改善が必要であり、Eの場合は4.38%ということになります。

これらを合計すると、2060年度に債務残高対GDP比を安定化させるために、2020年度に1回限り恒久的な収支改善を行うときの対GDP比が9.53%から11.12%ということになります。なお、(3)金利・成長率の格差については様々な不確定な要素もあり、議論があるところでもあります。これを除いて考えますと、6.62%から6.75%が2020年度において必要な収支改善幅ということになります。

これがケースマル1、現行制度を前提とした場合です。

ケースマル2、これも一般政府を対象といたしまして、閣議決定されましたように、2020年度にPBを国・地方ベースで黒字化するという前提を当てはめたときの一般政府、つまり社会保障基金も含めたベースでの2020年度に必要な収支改善幅を試算したものでございます。

この場合どうなるかということですが、2020年度に必要な収支改善幅は合計で先程よりも1.3%程小さくなりまして、8.21%から9.78%となります。これも3つの要素に分かれておりまして、表にございますように、2020年度時点のPB赤字を解消するために必要な収支改善幅は、先程は1.80%でしたが、0.72%と1.1%小さくなってございます。このような影響もあり、少子高齢化に伴う歳出に対応するために必要な収支改善幅や、金利・成長率格差に伴い必要な収支改善幅も小さくなります。また、金利・成長率格差に伴って必要となります収支改善幅を除いたものは5.34%から5.47%となります。

確認のために図をご覧いただきたいと思いますが、4ページの下の左では、2020年度は対GDP比で0.72%の社会保障基金の赤字が示されております。これを2020年度時点で1回限り恒久的な措置によって、PBを9.78%改善するということを行いますと、シナリオEの場合ですが、2060年度から政府債務残高対GDP比が安定するということになります。

以上、2つのケースは社会保障基金を含めた一般政府ベースでございます。

以下、3つのケースは国・地方ベースでございます。

まず、ケースAでございますが、これは現行制度を前提ということでございます。具体的に何かと申しますと、内閣府が7月に発表した「中長期試算」では、2020年度でPB赤字は6.2兆円と推計されております。それに対応したものでございまして、2020年度時点のPB赤字を解消するために必要な収支改善幅は1.08%、6.2兆円に復興分約2,000億円程の赤字を考慮して1.08%になります。

それから、少子高齢化に伴う歳出増に対応するために必要な収支改善幅は、一般政府ですと、様々な社会保険料を政府がいただいて、そして国民に給付していただくという仕組みですが、ここでは国と地方の負担分のみ反映されるので、2.66%から2.85%といったケースマル1より低い収支改善幅が示されています。

3番目は、金利・成長率格差に伴うもので3.00%から4.51%です。

あわせて、ケースAの場合ですと、2020年度で必要な収支改善幅は6.74%で、Eの場合ですと8.44%となります。

金利・成長率格差に伴う必要な収支改善幅を除いたものは、右側の四角に書かれたものでございます。

これが現行制度を前提とした場合です。

次に、ケースBは、2020年度に確実にPB収支を黒字化するという前提のもとに試算したものでございます。この場合、2020年度のPB赤字を解消するために必要な収支改善幅はゼロとなります。従って、必要な収支改善幅は、少子高齢化に伴う歳出増に対応するもの、及び金利・成長率格差に伴うものであります。

これらを合計したのが、シナリオAの場合は5.43%、シナリオEの場合は7.10%、金利・成長率格差を取り除いた場合は2.46%から2.65%ということになります。シナリオE、これは「経済再生ケース」の中で最も保守的なシナリオですが、その場合の必要な収支改善幅は、下の図に示されておりますように対GDP比で7.10%でございます。

最後にご紹介申し上げますのは、今回のアップデートの主眼点と言えましょう、安倍内閣のこれまでの取組を基調とした歳出改革を前提としたものでございます。これは、これまでの取組を基調として、2020年度まで歳出改革を行うという前提でございます。これについては、私どもの財審の春の建議をもとにしまして、「経済・財政再生計画」に歳出改革として示されているものが実行されるという前提でございます。それは、社会保障について3年で1.5兆円、非社会保障支出について3年で0.1兆円を基調として、2020年度まで歳出改革が行われるというケースであります。

それ以降については、ほかのケースも同じですが、後程グラフで示します、年齢構成の変化の影響によって変動いたします「年齢関係支出」を前提にして試算したものでございます。

その場合、国・地方ベースで2020年度に必要な収支改善はどの程度かといいますと、(1)の若干PB赤字が残ります。PBの大宗は解消するわけですが、若干は残るということで、対GDP比で0.11%と試算されます。(2)少子高齢化に伴う歳出増に対応するために必要な収支改善幅は、シナリオAからEで、2.56%から2.75%です。(3)金利・成長率格差が2.97%から4.45%ということで、3つを合わせますと、シナリオEの場合は7.31%の収支改善が必要で、金利・成長率格差に伴うものを除きますと2.67%から2.86%ということになります。

次のページをご覧ください。今まで申し上げました「年齢関係支出」の推移でございます。左側のグラフの上にございますように、65歳以上人口はこの点線のように増加し、PB収支を均衡した後もずっと高齢化が続きます。これに伴いまして「年齢関係支出」は、左側、赤い線にございますように、シナリオEの場合が高いほう、シナリオAの場合が低いほうでありまして、30%前後にまで拡大することが予想されます。

その前提は、人口推計の中位推計をもとにしまして、例えば医療費でありますと、年齢階層別の1人当たり医療費がこれから先、つまり厚生労働省の「年金財政検証」の経済前提を用いた1人当たりGDPの伸びに従って増えるという前提でいきますと、紫色のラインに沿って対GDP比が上昇いたします。介護につきましては、オレンジ色の線で示されておりまして、6.01%から6.11%にまで上昇するということであります。年金につきましては、シナリオAが一番下でありますが、Eはこのような形になってございます。教育等の中の教育につきましては、学校種類別に分けまして、例えば小学校、あるいは中学校という前提でいきますと、在校生1人当たりの教員数が以降一定であり、それに1人当たり賃金の伸びを掛ける等して、GDP比で割ることによって求めた数字が教育となります。

以上のものを合計すると、左側の「年齢関係支出」の合計というところに示されます。

次に、感応度分析をご紹介いたします。人口動態の変化や金利変動に対するセンシティビティーを機械的に計算したものでございます。

真ん中は、これまでご説明申し上げましたシナリオEに相当するものでありまして、出生中位の1.35から出生高位の1.60まで引き上げますと、このように必要な収支改善幅が縮小いたします。逆に、出生低位の場合ですと11.73%と拡大いたします。

金利が変動した場合でございます。これはシナリオEでありますので、もともとの金利は3.8%の前提でございます。名目GDPの成長率は1.6%であります。例えば金利が1%上がると、2020年度に必要とされる収支改善幅は約13%に拡大いたします。

以上の推計結果を、同じ方法論を用いて算定されておりますEU各国の中から主要国だけを取り出して比較したものが10ページでございます。ケースマル1、ケースマル2、ともに一般政府ケースです。欧州委員会が一般政府を採用しております。ケースマル1は現行制度の場合で、ケースマル2は2020年度に国・地方のPBを均衡させる場合でありました。こちらでご覧いただきますと、2060年度以降に債務残高対GDP比を安定させるために2020年度に必要なPB収支改善幅は、やはり我が国はかなり図抜けて大きくなってございます。

その背景を少し見てみようということで、下の表をご覧ください。高齢化率は、我が国は29%から40%近くにまではね上がります。他国も、どこも高齢化が進みます。スペインも高いテンポですが、我が国は他の主要国に比べて非常に速いテンポでこれから先も高齢化が進み続けます。少子高齢化に伴う年齢関係支出の増大に対応するために必要な収支改善幅というのは、日本の場合、前回は4.78%と試算されましたが、今回は4.82%から4.95%と試算されます。これが他のEU各国に比べて非常に大きいというのが我が国の大きな特徴でございます。そのほか、2020年度の債務残高対GDP比や、金利・成長率格差の前提といったものについて、下にまとめてございます。

11ページ、これは去年と全く同じ表を示させていただきました。欧州各国の「年齢関係支出」の推移でございます。

12ページをご覧ください。これは、前回の財審で事務局より提示があったものに、今回の推計をもとにいたしまして、一般政府の社会保障支出と国民負担率の2060年度時点の推計をプロットしたものでございます。ブルーで示された一般的な傾向から既に我が国は大きく離れているので、改革を行いませんと、さらに大きく乖離してしまうという姿が如実に示されておりまして、歳出改革によって社会保障支出の膨張を抑制することが大事だということが示されてございます。

最後に、13ページ、論点でございます。債務残高対GDP比を安定させるために必要となる2020年度時点の収支改善幅を抑制するには、早期の改革が重要となります。このような観点から、これまでの取組を基調とした歳出改革に着実に取り組むことが必要であります。2つ目の丸にございますように、大きな債務残高を抱えておりますので、金利が上昇すれば必要な収支改善幅が大幅に上昇することには常々留意する必要がございます。必要となる我が国の収支改善幅は欧州主要国と比較しても突出しております。これは、高齢化に伴う歳出増に対応するために必要な収支改善幅が突出していることを背景としております。中長期的に必要な収支改善をどのように行っていくのか、歳出・歳入両面の幅広い視点からの議論が直ちに必要でございます。改革を行いませんと、社会保障支出は一層の増加の見通しであります。歳出抑制を通じた収支改善が不可欠であります。

私からは以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

では、早速、ただいまのご説明に対してコメント、ご質問等、どなたからでもお願いいたします。いかがでしょうか。

では、加藤委員。

〔 加藤委員 〕 試算、どうもありがとうございました。非常に精緻で、また相当ご苦労された試算だとよく分かっております。

この試算を見たときにやはり一番大事なのは、(1)PB確保のための収支改善幅と、(2)少子高齢化に伴う収支改善幅をきちんと理解していく必要があるのではないかと思います。もちろん(3)の金利・成長率格差もありますが、これは厚生労働省の「年金財政検証」に伴うシナリオでして、果たしてこれがいいのかという議論を本当はしていかなければいけませんが、そのようなことは除いても、少なくとも6%、7%の収支改善幅が絶対に必要、逆にこれがないと安定的に推移できない、その背景としては発散してしまうということをもっと声高に説明していく必要があるのではないかと思っております。

いずれにせよ、本当にこのままでは危ないということをきちんと説明していかないと、例えば先程のドイツの話でもありましたが、やはり我々みんなが改革をしていかなければいけないことの必要性を認識するためにも、幅広く長期推計を使っていただければと思っております。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

では、永易委員、どうぞ。

〔 永易委員 〕 長期推計というのは様々なケースがあるわけですが、非常に分かりやすい形で推計していただき、本当にありがとうございます。やはりこれを聞いておりますと、現在、我々は「経済・財政再生計画」というものを受けているわけでありまして、歳出の目安がもう必須である。2020年度の目標必達で、本当は将来に財政破綻が待っているということも示されていますが、要はこれを守ることが必要最小限の努力であるという一つの共通目線が示されているのではないかと思います。

一方で、逆に言いますと、目安が、例えばおのおのの予算ないしは決算で守られないということになりますと、長期推計上では、2020年度もそうですが、財政破綻につながるということでございますので、やはり予算編成、補正予算も含めた歳出の目安、これをまずきちんと守っていくことが極めて重要だということを示していると思います。

先生方、本当にありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

では、続いて、佐藤委員ですね。

〔 佐藤委員 〕 ありがとうございました。数字に基づく議論というのは、これからも進めていかなければいけないのかなと思いますが、ただ、この数字を見てみると、かなり絶望的と言うとおかしいですが、2020年度の段階で一気に収支を改善しようと思っても、一般会計ベースで見ても対GDP比で10%規模の収支改善ということは、10%規模の増税もしくは歳出カットをして、それをずっと続けなければいけないということですよね。ずっとPBを黒字化させて、それで何とか2060年度以降で債務残高対GDP比が安定化するということですから、これはかなり厳しいことをやらなければいけないというメッセージではないかとこの段階で思います。

ちょっとテクニカルな質問ですが、最終的には2060年代で債務残高対GDP比を安定させるということについて、どの水準で安定させるかというところで、一番わかりやすいのは3ページと4ページの比較ですが、3ページは107.6%で安定、4ページは104.5%で安定となっています。これは、ただ単に試算の問題なので、そうだと言われればそうなのかもしれませんが、安定させるために2060年度時点において何か目標値を設定しているわけではなく、とにかく2060年以降、一定になるところに持っていくためには、発射台をどの程度の高さにしなければいけないかという計算なのでしょうか。最終的な安定性というのは、ここには何か幅があると思ったほうがいいのでしょうか。テクニカルな質問です。

〔 吉川分科会長 〕 では、起草検討委員の先生、どなたでも。

〔 富田委員 〕 今の佐藤委員のご質問、ご指摘でありますが、実は前回の昨年4月には、2021年度から26年度にかけて段階的に収支を改善するというものを示させていただきました。それから、また、政府債務残高対GDP比の目標を設定して100%にするということをやりました。

では、100%は何で出てきたのか。神様でもないので、私ども起草検討委員が100%だといいだろうということだけでは説得力を持たないわけでして、やはり試算の連続性、そして欧州委員会におけるS2という指標、つまり2060年度という長期に債務残高対GDP比を安定水準にもたらすために、どの程度収支改善が必要かという形の試算方法をとらせていただきました。つまり、国際比較が可能な形で、また恣意性を可能な限り排除する試算ということで、2060年度から安定するという試算方法をとりました。

2020年度に一挙にこれだけやれと言っているわけではなくて、この程度の収支改善幅が必要だということを示すことによりまして、高齢化はPBが黒字化しても続くわけですから、高齢化による部分をどのように評価すべきかということで、ここでお示しした次第でございます。

 

〔 佐藤委員 〕 1つだけ確認ですが、例えば3ページのところで、2020年度の段階で11.12%改善しなければいけない。仮に、これを10%にしたとすると、その途端、2060年度の段階ではもう発散径路に乗ると思っていいのですか。

〔 富田委員 〕 はい。

〔 佐藤委員 〕 ここは、かなりピンポイントな点だと。

〔 富田委員 〕 はい。

〔 佐藤委員 〕 数学的には、微分方程式は極めて不安定である、サドルパスに乗せているという理解でいいのですかね。

〔 富田委員 〕 はい、そうです。ただ、その場合も、60年度までに2021年度、22年度があるわけです。やはりこうした長期推計を続けることによって、必要な収支改善幅をそれぞれ明らかにすることもできるわけですから、21年度にも追加的な対応というものがとり得ます。今日はそれが主要なメッセージではなしに、やはり早期に収支改善を続ければ、その分必要な収支改善幅は小さくなるということをご覧いただきたいというのが、小数点以下の数字が多くて恐縮ですが、主要なるメッセージでございます。

〔 吉川分科会長 〕 ほかにいかがでしょうか。伊藤委員、お願いします。

〔 伊藤委員 〕 大変勉強になる資料を出していただきまして、ありがとうございました。

先程から出ていますように、ドイツのシュレーダー改革の中身を見ても、政府は相当思い切った社会保障の削減策を行っているわけですね。それにあわせて、当時の状況は、吉川会長が言われたように、ユーロ導入後のドイツのひとり勝ちという状況があり、その状況が思い切った社会保障の抑制策の追い風になった。これから思い切って社会保障支出が膨張するのを抑え込むと同時に、安倍総理がなぜGDP600兆円と言ったかよく分かりませんが、やはり両方ないと、これ程のことはなかなかできないのではないかと思います。

例えば、ここで言うと12ページ、社会保障の今の実態と、これからどのようなことが起きていくのか、もっと広く国民に知ってもらわないと、とてもではないが、なかなか改革もうまくいかないのではないかと感じております。従って、せっかく長期推計が出てきたのですから、これをもっと国民の皆さんに分かってもらうということをやっていかないといけないのではないかと考えております。

大変貴重な資料、どうもありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

では、続けて、宮武委員、末澤委員の順でお願いします。

〔 宮武委員 〕 このような質問をするのが適切かどうか迷いながらでございますが、基本的な条件の中で「年金財政検証」のデータをお使いになっているわけですが、今回の「年金財政検証」は8通りのシナリオを提示しておりまして、今日、先生がお使いになりましたのは、そのうちのAからEまでの労働市場参加が進むケースを全部挙げておられるわけです。ただ、労働市場参加が進むケースというのは先行きが非常に楽観的でありまして、60代前半は90%台の労働力率になって、60代後半でも確か7割近くは働くという前提でございました。とりわけ女性について言うと、30代前後から40代にかけては、今、子育てで職場を離れる方たちが多いわけですが、これが6割代から9割近くまで引き上がるという前提で計算をしているわけです。

それを実現することは非常に難しいことでありまして、よほどの女性の就労支援、高齢者の雇用改革をやらなければいけない。むしろ現実的には、ここで省かれていたシナリオ、8通りの残りのシナリオのF、G、Hという労働市場参加が進まないケースのほうが今の状況ではリアリティーがあるわけであります。先生がお使いになったときに、そのような戸惑いがなかったどうかを少しお聞きしたいのですが。

〔 吉川分科会長 〕 富田委員に戸惑いがあるのかどうか、そこをちょっと語っていただければと思います。

〔 富田委員 〕 戸惑い、ためらいということですが、まず先程伊藤委員からご指摘のあった点、GDP600兆円との関係ですが、これは私どもは「経済再生ケース」を前提としていますので、2020年度に594兆7,000億円という前提です。

〔 伊藤委員 〕 平均的に年3%成長するということですね。

〔 富田委員 〕 3.6%、3.7%と伸びていくというシナリオでありますので、そういう前提です。これは世の中の多くの方と共通の土台にいたしませんと、やはり全く違う想定で考えることは避けたい。その意味で、「経済再生ケース」を前提にしております。

〔 伊藤委員 〕 はい、わかりました。

〔 富田委員 〕 宮武委員のご指摘ですが、やはり「経済再生ケース」に接続する厚生労働省の試算を使っておりまして、これは先程申しましたようにAからEであります。私どもはAからEを等しく見ているわけですが、グラフとして例示させていただいたのは、宮武委員ご指摘のご懸念も踏まえて一番保守的なものにさせていただいていますので、そちらもご配慮いただきたいと思います。

〔 伊藤委員 〕 途中で口を挟んで恐縮ですが、私はGDP600兆円という数字はおっしゃるようなことだと理解はしていますが、我々の実感で言うと、3.7%や3.8%がずっと続くのかというと、1つはそこに問題があるのではないかということです。先ほどそこまで申し上げなかったのですが、そこが懸念点です。

〔 富田委員 〕 はい、ありがとうございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、末澤委員、板垣委員。

〔 末澤委員 〕 ご説明ありがとうございました。前回の分を、今回リバイスされたということで、(1)の部分は、その後の経済回復等もございまして若干改善したということですが、今回ご説明いただくと、(2)少子高齢化に伴う歳出増に対応するために必要な収支改善幅はむしろ悪化していると。また、先程富田委員から、今回、どのように認識するかはやや問題あるとおっしゃいましたが、金利・成長率格差に伴う必要な収支改善幅も3%から4%あると。この部分というのは、先程の「年金財政検証」との関係で申し上げると、ここが低くなるということは、財政にとってはプラスですが、多分、スプレッドアルファ1.7というのは実現できなくなって、いわゆる年金の100年安心プランのケース、今回は基本的なケースEをベースに試算されていますが、多分、こちらがうまくいかなくなる。

何を申し上げたいかというと、5年後の「年金財政検証」のときには、2020年代の高齢化、一段の高齢化、また少子化を見据えた試算に改訂せざるを得ないと思いますが、そのときに金利が成長率より大きく上がると財政は厳しくなるし、一方で名目金利と名目成長率の差を低く抑えると、今度は年金の受け取り額が足りなくなるという問題も出てくると思います。

私は、前回の繰り返しになりますが、今年は少子高齢化本格化元年だと認識しております。なぜかといいますと、高齢化という面で見ると団塊の世代、1947年から49年生まれの方々は、皆さん昨年12月末で65歳、前期高齢者になられた。一方で、団塊ジュニア、1971年から74年の方々は昨年末で皆さん40歳代ということですから、多分、次の5年後の財政検証プランというのは、今回、政府が打ち出しています「1億総活躍」がうまくいかないと相当大幅な改訂になるのではないか。

ですから、次回は、財政の問題と年金の問題というのはもう少しミックスして、セットして議論することが必要になってくるということが、今回の長期推計のメッセージではないかと認識しております。

〔 吉川分科会長 〕 板垣委員。

〔 板垣委員 〕 長期推計のこれ程の紙をつくっていただきまして、結構大変な作業だったと思います。感謝いたします。その上で、先程伊藤委員からお話があったように、そもそも3%成長を前提としているものに対して、こう計算するとこうなりますと示されても、それは一つの指標としては重要ですが、外側で受ける方は、例えば記者からすると、ベースが何かおかしいのに、それをまともに書くのかという議論まで出てくるわけです。我々の皮膚感覚と違うと、それを後生大事に大見出しで書いてアピールできるのか。そうすると、記者の心としても若干ためらいを生じるので、なかなかニュースになりにくいというのが本当のところだと思います。

ですから、今回の長期推計がせっかく出た中で、吉川会長にぜひお願いしたいのは、これはこれ、しかし今、今すぐ取り組まないといけないというメッセージは強めに出していただかないといかんのかなと。長期推計は、計算上はきちんとした精緻なものではありますが、厳しい状況だと思います。

〔 富田委員 〕 長期推計は確かに高い成長率が前提ですが、計算上影響してくるのは、先程末澤委員からご指摘あったように金利と成長率の格差です。と申しますのは、政府と民間、それから政府部内の資源配分は、年齢関係支出以外は一定です。最初のページで申し上げましたが、「非年齢関係支出」の対GDP比は一定、それから税、また社会保険料の対GDP比も2020年度段階からはずっと一定です。だから、GDP比で見ればほとんどその影響を受けないわけです。

これは、私、察するに、欧州の知恵ですね。各国政府はどこも高い成長前提で、様々な要求して、あまり整合性のない、場合によってはギリシャのように正しい統計を欧州委員会に伝えないところもあったわけです。そのような影響をできるだけ排除するという観点から考え抜かれた推計の方法で、ヨーロッパは2006年からやっていまして、なかなかすごい方法だということで、2007年からずっと財審で紹介させていただいている次第です。だから、やはり大きな方向観は確実に示しているものだとご理解いただきたい。

〔 板垣委員 〕 この推計の手法は私も評価しています。ただ、ベースの成長率の部分は、影響はあまりないとおっしゃっているが、私はあると思います。だから、その部分は現場で情報を流す者としては不安があるのではないか、ためらいがあるのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 成長率のところは、分からないと言えば分からない部分があるわけです。金利動向にもよりますが、成長率が過大推計されているということですよね。現実がより厳しければ、実はよりシナリオが厳しくなるということで、ミニマムでもこれ程厳しいということは、多分、先程から板垣委員がおっしゃっているのは、ピンポイントでこの数字に合うと言えば、合わないかもしれないということですが、かなり低成長シナリオでもこれから厳しいということですから。

〔 板垣委員 〕 そうですね。

〔 吉川分科会長 〕 もっと厳しくなるという意味では、十分メッセージとしては意味があるのではないですか。それは、もちろん板垣委員も同じ考え方ですよね。

〔 板垣委員 〕 もちろんそうです。

〔 吉川分科会長 〕 では、十河委員、それから倉重委員。

〔 十河委員 〕 ありがとうございました。私も皆様と同様で、この資料、大変参考になりました。同時に、正直に申し上げまして、2060年度という長期計画、長期財政の姿を出していただいたことで、私個人としましても大変ショックを受けております。これまでは2025年問題という形で私も昨年から委員をさせていただいておりましたが、2060年度という長期の姿を見ると、今の数字の問題も多少ございますが、とにかく深刻である、このままでは日本はどうなってしまうのかという不安を個人的にも持っており、同時にこれを国民が知ったらどうなるのかと・・・。今、非常に大きな改革のときに来ていると身を持って感じました。

そして、これから社会保障関係の議論に入ってまいりますが、8ページにもございます「年齢関係支出」の推移を見ましても、2020年度から2060年度に向かって、医療と介護が非常に大きく上昇していることをうかがい知ることができますので、今後の議論に関しましても、年金だけではなく、社会保障の中での医療と介護という部分が重点分野として大変大きなポイントになってくるのではないかと思いました。

同時に、諸外国との比較も様々な表で出ておりますが、これもやはり日本の現状が、甘いという言い方が正しいかどうか分かりませんが、他国と比べると数字が悪いわりには非常に守られている環境にあるということを痛感しております。ここも含めて、広く国民に、どのような形で財政のあり方を共有していけるのか、改善していけるのかという部分を私なりに考え、述べていきたいと思います。

ともあれ2060年度の長期推計を出していただき、大変勉強になったということを一言申し上げたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 重要なご指摘、どうもありがとうございました。

では、倉重委員、土居委員の順でお願いします。

〔 倉重委員 〕 私、どうも頭が悪いせいかわからないのです。この推計の仕方が、なぜ2020年度に一遍に収支改善を引き上げて、ずっとおろしていくようなやり方をしたのか。先程富田委員おっしゃったが、前回は段階的に改善するということを想定されていましたが、今回はどんと一発で高目に達して、そこからおろしていくと。これは現実的にはできないですよね。数%でも二、三十兆円の収支改善を行うということですから、なぜそういうようにしたのかということ。

それから、右の債務残高対GDP比のグラフは、ある意味、拡散しないといいますか、上に上がらない、要するにずっと平行線で200%前後を保っている、今のGDPを維持できるという結論を右の表にとった場合、2020年度に一発で引き上げる額の必要性というのは幾らになるのか。むしろ、対GDP比を拡散させないということが目的であるならば、100まで下げるのもベターでしょうが、とても大変な目標過ぎる。200%のまま維持するために最初の階段は幾ら程度上らなければいけないという計算がもしあるとすれば教えていただきたい。

もう1点、私の感じですが、先程板垣委員もおっしゃったが、今、3%成長を前提にして、まだこれ程のことをしなくてはいけないという局面にある、皆さんも本当に厳しい状況だと認識されているという共通点はありますが、一方でドイツの例などを見ると、国際環境的なプラス事情もあったかもしれませんが、やはりしっかりと社会保障関係費を抑え込んでいますよね。その差は一体何かというところを少し議論しないと、いつまでたっても追いつかないような印象を、私、受けております。

何をどのように議論すればいいのかというときに、こういったデータをきちんとつくってくれている人たちがいて、それを説明する人の説明能力が足りないのか、極端に言えば役人に説明能力がないのか、それを受けとめた政治に解決する力がないのか、メディアがきちんと国民に知らせていないのか、あるいは国民がだめで、いくら叫んでも動かないのか。私は、やはり政治に一番鍵があると思います。

先程のドイツのケースなども、多分、国会や自民党の部会でたくさん議論していると思います。なぜドイツのようにできないのか、日本の場合はこのような事情でできないという、様々な過去の積み重ねの議論があると思います。そういった話も財審の中でご紹介していただけるようなことがあれば、財務官僚などは常日頃そういうことを議論されると思うので、ぜひご紹介していただきたいと思って、今、発言しました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

では、時間も押しているということですが、土居委員、田近委員、よろしいでしょうか。では、お二人、お願いします。

〔 土居委員 〕 私も起草検討委員としてこの資料作成に加わりまして、作業にご協力いただきました皆様には感謝申し上げます。

私自身は、確かにご議論ありましたように、楽観的な成長率の見通しではないかなど申し上げたいことはあるのですが、それを言い出していると、結局のところ焦点が定まらないということもあり、あえて3点程申し上げたいと思います。

まず、今回、債務残高対GDP比が2020年度以降どうなるかということをこのグラフでもお示ししています。内閣府が7月に「中長期試算」を出しましたが、2023年度までしか債務残高対GDP比を出していなくて、2023年度までは債務残高対GDP比は下がりますと。去年も2023年度までで、今年も2023年度で、試算としては1年アップデートして2024年度を出してもいいものを、なぜか2023年度までのままで内閣府の試算がとまっているということから考えると、この先、我が国の政府債務残高対GDP比はどうなるのかということは、やはりきちんと計算に基づいて国民にお知らせするということがあってしかるべきではないか。このような意味でも、この長期推計はそれを一つお示しした。ただし、何も手を加えないということではなくて、きちんと改革をすれば、それが抑制できるという姿も示しているということであります。

さらに、今回「経済・財政再生計画」が取りまとめられたわけですから、その影響がどうなるかということも織り込んでいて、ある種の日本の財政の定期検診のような形でお示しできたということは、意義があったかなと我ながら思っております。その意味では、今後もしかるべきイベントがあるごとに、日本の財政の定期検診というような形で長期推計を行うことが重要かと思います。

もう1点、メッセージとしてありますのは、PB黒字を長きにわたって続けなければ、政府債務残高は収束させられないというかなり厳しい状況であります。我が国の戦後の歴史は、前回の会議の資料でありましたが、バブル期には確かにPB黒字が実現したときがありましたが、わずかな時期であって、かつ、その時期に財政支出を随分ばらまいてしまって、もう少し黒字が上げられたのにというような面もあったということからすると、黒字を維持し続けることはいかに大変なことかという実感があります。

最後に一言、確かに楽観的な経済成長率の見通しではないかというご批判もあろうかと思いますが、逆に厳しい数字を示すと、あまりにも厳し過ぎて受け入れられないという可能性も別の観点から、ないしは別の国民の方からご批判を受けるという、前門の虎、後門の狼というような感じがありまして、数字を出す側もどちらで示せばいいのかというのは大変悩ましいところであります。ただ、一つ、この数字を出したときに一顧だにされない、ないしは議論にふたをされることだけにはならないようにしていただきたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、田近委員。

〔 田近委員 〕 大分ご意見も出たので、簡単に感想を述べさせていただきます。

今日、長期推計を出すまでに、いつものとおり起草検討委員の中で様々な議論をしました。富田委員がきちんとしたご説明されたので、それにつけ加えることはないのですが、議論に加わっていて、これをどう読むのかということで、私の感想ですが、この推計がいいのは非常に単純なわけです。何百本の計量モデルの式があって、それから金利が中で決まるのではなくではなくて、必要なものはみんな外から入れて計算する。だから、様々な議論が出るシンプルさが魅力で、それが楽観的な推計ではないかなど、様々なご意見はありますが、端的に1つだけ、4ページを見ていただきたいのですが、私の読み方ですと、2020年度までに約束どおり国・地方のPBを均衡化させたとき、それを踏まえて一般政府の財政状況ですが、(3)は金利・成長率格差ですから当面ここでは触れないとして、2060年度以降、対GDP比を安定化させる、結果的には100%程度で安定化するのですが、そのためには(1)(2)で5%程の改善が必要だと。

これ、今のお金で言うと約20兆円、25兆円ですよね。前回、廣光主計企画官が戦後70年の話をして、僕が興味深いと思ったのは、社会保障関係費を消費税で全部埋めるとすると何兆円足りないかというと、40兆円から20兆円弱引くわけですから、大体25兆円程度です。そうすると、たまたま数字が合っているからということかもしれませんが、考えようによっては、今、国民が社会保障に必要な費用を消費税で賄ってくれれば均衡するということですよね。もちろん他の支出についてもあって、これはまたシンプルな推計だから分かりいいのですが、その他の支出は単に名目GDP比で伸ばしているだけで何もしていない。だから、その他の支出もこれから見直しましょう、そこでコストカットもできますと。ただ、国民が使っている社会保障を消費税で賄うと言っているわけですから、その足りない分がちょうどこれになっているということです。

その意味では、社会保障に係る負担を国を挙げてどのようにやっていくのかということを、結果的にこの推計が意味しているのかなと。これが多過ぎるならば給付を見直さなければいけないというところで、後段の話につながるかもしれませんが、やはり推計がある意味でシンプルなゆえに、意味しているところもわかりやすいのかなと、私はそう読みました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、時間超過しましたが、2つ目の議題があります。ただ、今日、3時間コースですので、ここで休憩をとって、35分に再開でお願いします。35分は時間厳守ということでお願いいたします。

( 休  憩 )

〔 吉川分科会長 〕 では、2つ目の大切な議題、社会保障がありますので、後半をスタートしたいと思います。

後半は「社会保障マル1」の審議です。総論、経済・財政一体改革の改革工程、障害福祉について、事務局からご説明をお願いいたします。

宇波主計官、小宮主計官、よろしくお願いいたします。

〔 宇波主計官 〕 第一主計官の宇波でございます。よろしくお願いいたします。2人の合計で50分ほどお時間をいただきます。恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。

今秋の財審では、社会保障について、2回に分けてご審議をお願いします。今日は、この夏に閣議決定されました「経済・財政再生計画」の中に44の社会保障分野の改革検討事項というものが書かれていて、これについて工程表をつくることになっておりますので、その策定についてご審議をお願いいたします。それから、この計画の中では言及されていない障害福祉についてご審議をお願いいたします。次回は、それ以外の平成28年度予算の課題、主に診療報酬、薬価改定についてご審議をお願いします。

それでは、本体の資料と参考資料とありますが、本体の3ページをおめくりいただきまして「経済・財政再生計画」です。まず、社会保障については、本年6月の財審の建議も踏まえまして、社会保障関係費の3年間と5年間の伸びについて、高齢化の伸びの範囲内にする、年間プラス0.5兆円弱にすることを目安、あるいは目指すとされています。3年間の分については、一般歳出全体の伸びの目安と同じ書きぶりになっておりまして、全体では3年間で1.6兆円、うち社会保障関係費が1.5兆円を占めるという形になっています。

社会保障の伸びを抑制していくための方策、これは真ん中のボックスの2つ目の丸の段落に書いてありますが、青い線で4カ所、下線を引いています。1つは「経済再生」、例えば生活保護や雇用の減、それから国民健康保険国庫負担の減少などがあります。2つ目は「改革の成果」、これまでやってきたものの平年度化効果、あるいは足元でジェネリック医薬品の使用が進んでいることの効果があります。それから、少し下に飛んでいただいて3つ目が「効率化、予防等」、4つ目が「制度改革」であります。この3つ目と4つ目の点について、今回、44の改革検討課題が閣議決定されていまして、これについて一番下の青い箱、時間軸というところに書いてございますように、年末までに工程表の策定をするということが閣議決定されております。

工程表の作業は、経済財政諮問会議を中心に検討されていて、その下に専門調査会と分野ごとにワーキンググループというものが設けられております。社会保障については榊原経団連会長が主査を務められておりますが、検討の過程で財審の考え方、あるいは議論をご紹介することになっておりますので、今日はその建議取りまとめに向けて、この工程表策定に向けたご議論をお願いしたいと考えております。

4ページに行っていただいて、安倍内閣のこれまでの3年間の取組の基調を維持するとなっているわけですが、過去3年間の取組がどうだったかということを図示しています。ピンク色の部分は消費税引上げに伴う充実分ですが、それを除くと年平均0.5兆円の伸びになっております。過去3年間に行った主な制度改革が点線の3つの箱に記載されておりまして、この規模が平均して年1,500億円程度となっております。

先程4つの青い線の抑制策を見ていただきましたが、経済再生などのこれまでの改革によって、社会保障関係費の伸びは従来より鈍化しております。その上で、制度改革として年平均1,500億円程度の規模の改革を実施することによって、3年間、年平均0.5兆円の伸びになっているというイメージであります。

5ページに行っていただいて、平成28年度予算の概算要求基準の内容を書いてございますが、一番下に目を移していただくと、平成28年度予算は夏の時点でプラス6,700億円という要求になっています。この夏の時点での経済再生やこれまでの改革の効果、先程の青い線の上の2つの部分は織り込まれています。今回の計画は複数年度の枠組みで高齢化の範囲内に抑制するということで、単年度ごとに機械的にプラス5,000億円のキャップをはめるということにはなっておりませんが、今年が計画の初年度でありますので、財政当局といたしましては、予算編成過程においてしっかりと、このプラス6,700億円を高齢化分の範囲内、つまり5,000億円弱の範囲内にするとともに、中期的にも目安が達成されるような改革を進めていくことが重要であると考えております。

6ページと7ページは消費税の増収分を活用した充実についての資料ですが、6ページを飛んでいただいて7ページ、ここに平成30年度までの増収分の税収と、その使途を書いてございますが、28年度は税率が8%のままでありますので、27年度から比べて税収増は基本的にありませんが、プログラム法に基づく効率化分を活用して、引き続き子育て支援に重点を置いて充実策を進めてまいります。

以上、総論で、ここから工程表についてであります。

9ページ、これを見てくださいと言うつもりはございません。これが「経済・財政再生計画」に盛り込まれた社会保障関係の44の改革検討項目であります。これを少し鳥瞰していただく資料を何枚かつけました。

10ページに行っていただくと、一番上の箱の中ですが、7つの柱になっています。(1)から(7)、ご覧いただいているような柱のもとで、改革フェーズで分けるとAからDまで、Aは今実施段階にあるもの、Bは27年度中に行うもの、Cは28年度予算編成関連の項目、目を下におろしていただくと、ほとんどのものが(5)診療報酬改定の事項であります。そして、Dが検討時期・実施時期を今後明らかにしていくもの、つまりまだ検討実施時期が決まっていないものということで、ここに多くの事項が並んでいるということが見ていただけるかと思います。

従いまして、2つ目の丸ですが、基本的な考え方として工程表については、下線を引いた部分ですが、マル1改革の具体的な方向性を明らかにすること、マル2特にDの事項について、実施検討時期を明確に設定すること、マル3今進んでいるものについては操作性のあるKPIを設定すること、この3点が重要なポイントになると考えております。

次、めくっていただきまして11ページ、同じく鳥瞰図ですが、7つの柱があると申し上げました。11ページに書いてあることと、12ページの図表は同じことを書いていますので、年表のほうでご覧ください。

12ページです。一番上段、総論のところですが、今後5年後にPB黒字化目標達成、3年後に中間評価、29年度に消費税率の引上げが予定されています。中段の青い箱は、先ほどご紹介した3年間と5年間の社会保障関係費の伸び、毎年度0.5兆円の中におさめるということが書いてございます。

そして、一番下段ですが、改革の項目、柱ごとにスケジュールと、工程表作成に当たってのポイントが黄色い矢印の箱の中に記載してございます。ポイントを申し上げますと、(1)(2)ですが、特に(1)は医療・介護提供体制改革です。これはオレンジ色の箱に書いたように、現在、改革が進行中です。都道府県ごとに病床機能別の必要病床数を盛り込んだ地域医療構想というものをまず策定し、次に整合的な適正化計画、医療費目標をつくるということが決まっています。黄色の矢印の中に書いたのは、これらの改革は病院病床についてのみでありますので、工程表の策定に当たっては、1点は外来にもスコープを拡大すべきであるということ。もう1点は、それも含めて改革全体が早期に実現されること、実効性を確保すること、要するに実際に病床の数が見える化された病床数へと減っていくことが大事であります。このような改革を進めるために必要な方策が検討項目に入っています。後程ご紹介しますが、この実施が必要であると考えます。

もう1点のポイントは、少し飛んでいただいて、(4)負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化に関する事項であります。ここは、先ほどご紹介したDの事項が多くを占めております。工程表でありますので、改革の方向性を具体化する、いつまでに制度改正を行うかという時限を明確にすることが極めて重要であると考えております。多くのものが法律改正を要します。これらについては、この中では医療、介護が中心ですが、遅くとも29年通常国会までに本案を提出するという期限を明確化して、議論を加速させるべきではないかと考えております。それから、優先度が高くて法律改正を要しないような事項については、それよりも早いトラックに乗せて実施する必要があると考えます。

飛んでいただいて、(6)(7)の年金や生活保護も同じように法案提出時期が鍵となりますが、ご覧いただいていますように年金と生保については、それぞれ31年に次期再検証、生活保護については全国消費実態調査の取りまとめ時期に合わせて、29年度に生活保護基準の見直しを行うことが基本形です。こちらも、当然ながらそれを待たずにできる改革については、より早い時期を明示して推進する必要があります。

間に入っている(5)は、診療報酬改定に係る事項であります。これについては年末までに、改定率などは予算編成で決定していくことになりますが、44の検討項目の中に診療報酬に関する制度改革事項がありますので、あり方を工程表の中で示す必要があると考えます。

めくっていただいて13ページ、14ページ、これからは個別の事項ごとに考え方をご説明したいと思いますが、先程申し上げた制度改正の実施時期については、文章表現は大きく3つのフェーズに分けて提案しています。

これはD事項の整理ですが、ローマ数字2が先程申し上げた第2トラックであります。法律改正を要するもの、特に医療、介護の関係の事項については29年通常国会に法案を提出すべく、それまでに検討を進めていって、その結果を踏まえて措置するという形で整理しております。

それから、点線の下のほうは、先程ご紹介したように、年金、生活保護については予定されているフェーズに合わせて法的な対応をしていくという整理にしております。

その上のローマ数字1は、それよりも早い第1トラックに乗せるべきと考えているもので、これらについては28年末までに具体的内容について結論を得て、速やかに実施すると整理しました。本年夏の段階では、44の事項はいずれも検討事項になっていますが、第1トラックのものについては本年末の時点で実施することを確定させて、具体的内容を来年末までに詰めて実施するという整理です。

それから、それに類似したもので、既に審議会で議論が終わっている年金のマクロ経済スライドなどについての論点、あるいは制度の運用がもう既に開始されているもののガイドライン策定などについても第1トラックで整理しています。

下のローマ数字3が第3トラックで、これについてはローマ数字2よりもう少し後になりますが、もともとこの計画は2020年度までの実施検討事項でありますので、その中でできる限り早い時期にという整理をしています。

それでは、14ページから個別事項のご説明に移ります。分野ごとに検討事項を番号順に整理しています。AやDの符号は先程ご紹介した改革フェーズ、赤いページ番号は別冊の参考資料に個表をつけています。適宜ご紹介しながら、ご説明します。

今回は、かなり細かくて実務的な提案が多いです。そこは大変申しわけないですが、これまで何年かにわたって財審で大所高所にわたって建議としてご提案いただいてきたものを、夏の計画の中でほぼ全て具体的な検討項目として盛り込んでいるところであります。従って、ここからの説明はやや細かくて実務的なものとなりますが、今回は、これを実施に移していくための工程表の作業ということでありますので、どうぞご理解をいただければと思います。

幾つかポイントを申し上げます。まず、(1)医療・介護提供体制の適正化に関する事項です。頭の2つの事項は、先程ご紹介した地域医療構想、それから都道府県医療費適正化計画の策定に関するものです。ポイントは2点です。1つは、改革の早期実現のために、右の欄にあるように策定時期を前倒しで明確化すること、それから改革のPDCAがきちんと回るように病床機能報告制度に定量的基準を設けること、この2点がポイントです。

上から3つ目の事項は、外来にスコープを広げるということ、これは今年中に分析を実施すべきであると提案しています。このスコープの拡大は、後に出てきますが、介護保険についても同様だと思っています。要介護認定率や1人当たりの介護給付費についても大きな地域差があります。これを分析して、病床と同じように適正化に向けた取組を促す必要があると考えています。

上から4つ目の一番下は、現在進めている改革の実効性確保に関する論点であります。参考資料の2ページをご覧いただけますでしょうか。参考資料の2ページの真ん中の左の図ですが、我が国は現在、一般病床が約100万床、療養病床が約34万床ございます。このままでいくと、高齢化に伴って152万床へとさらに病床が増えていきますが、地域医療構想では2025年の病床として115万床から119万床まで減らし、かつ一般病床の中で高機能病床の割合を減らす機能分化を進める、それから、一番下の療養病床34万床について、慢性期を24万床から28万床に、地域差を解消するような形で減らしていくということを算定しています。

計算方法は、7ページに行っていただくと、左は一般病床ですが、都道府県ごとに、実際の診療データに基づいて、投入すべき医療資源量に応じて4つの機能別にあるべき病床数を算定します。それから、療養病床は右側ですが、大きく地域差がありますが、これを都道府県ごとに入院受療率の地域差を、ご覧いただいているような形で縮小するという前提で計算式をつくって、各県の病床数を計算して見える化しています。

今回の改革は、このように見える化されている点が今までと大きく違いますが、実際にこの病床数まで転換、削減できるかがポイントでありまして、実効性確保に向けた措置の強化が大事ということであります。

療養病床の再編については、細かくて恐縮ですが、5ページ、春の財審でもご紹介しましたが、このような改革が必要だと思っていて、療養病床は比較的診療報酬の高い医療区分2や3で大きな地域差が見られます。端的に申し上げると、県によっては必要以上に医療区分2、3の病床の請求があって、高い医療費を払っているということであります。従って、改革の方向性としては、医療区分2、3の要件を厳格化して、医療必要度の比較的低い医療区分1の病床について配置要件を下げて、かつ診療報酬を下げるという形で、シームレスに介護施設への転換を促す必要があると考えています。

それから、改革の方向性のマル2に書いたように、療養病床が減りますと10万床以上減ることになりますので、その患者さんの受け皿をどうするかという問題になります。29年度までに介護療養病床は廃止されることが予定されていますが、そのあり方とあわせて、今、この受け皿について厚生労働省で検討会をしています。その結果を踏まえて、低コストで効率的な受け皿への転換を進めていく必要があると考えます。

本体の15ページに戻っていただいて、今度は頭になります。これも、医療・介護提供体制の実効性確保にかかわる課題であります。病床の機能分化を進めるために、(ローマ数字小1)から(ローマ数字小4)まで細かく論点を4つ書いています。

ローマ数字小1)は、26年度から行っている地域医療介護総合確保基金の医療分約900億円の重点配分を引き続き継続・拡大する必要があります。

ローマ数字小2)は、高確法第14条の活用です。現在、診療報酬は、全国一律1点10円となっておりますが、この法律条文に基づいて医療費適正化計画を推進する観点から、改革が進まない県では異なる扱いをする、1点10円ではなくて、それよりも下げることができると法定されています。適切に活用されるように、28年中にガイドラインを取りまとめるべきと考えます。

ローマ数字小3)は、28年度の診療報酬改定にかかわるもので、特に急性期病床が多いわけですが、7対1病床が過剰になっていますので、ここの要件の厳格化がポイントであります。前回、26年度の改定でも一定の措置を行って、7対1病床は初めて38万床から減少傾向に転じ、2年間で2万床余り減少しておりますが、私たちが当初想定していたスピードよりもはるかに遅いものとなっているので、ここの強化が必要です。

ローマ数字小4)は、病床の指定権限を持つ都道府県の権限強化であります。特に転換命令は、公的病院にはできますが、現在のところ民間病院にはできず、勧告までとなっております。今回、都道府県に国保の財政運営の責任が移りましたので、病床のコントロール、それから医療保険の責任は全て県レベルで統一化されています。従って、県の権限の強化を図ることが非常に大事であると考えています。

15ページの2つ目と3つ目は、少し違う論点であります。まず、真ん中の論点ですが、こちらは参考資料の8ページ、医療・介護を通じた居住に係る負担の公平化です。居住費については、介護施設は全額を入居者からいただいて、低所得者の方に一部補助しています。病院については、療養病床におられる高齢者については居住費のうち一定額を、ここに書いてある価格をいただいて、これでは全部賄えないので、残りを保険給付しています。真ん中の白抜きの箱、その他の療養病床、一般病床の居住費については、居住というよりは治療という意味が強いということで全額を保険給付しています。公平という観点から、光熱水費についてご負担をお願いすべきではないかという点は第1と第2トラックで進めると書いてございます。

9ページに移っていただいて、続いての論点は受診時定額負担であります。一番上の緑色の箱にあるように、今回の計画では、かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討するとされています。

論点に書いたように、かかりつけ医の普及については、26年度の診療報酬改定で包括診療料が新しくつくられました。生活習慣病の患者さんについて、1カ月定額料金で1つの医療機関がまとめて治療、あるいは健康相談などを受け持つということでありまして、医療機関側にコストの合理化と治療効果の向上という双方のインセンティブが働くことを目的にした制度ですが、現在、122しか届け出の実績がありません。従って、1つの改革は、かかりつけ医普及に向けて現状を分析して、次の28年度の改定で地域包括診療料の要件緩和を進めるべきであると考えます。その上で、外来の機能分化を進める、あるいは医療保険の持続性を高めるという観点から、かかりつけ医以外を受診した場合には少額の定額負担を導入すべきであると考えています。

参考に書いたように、近年、フランスでかかりつけ医を推進しておりますが、今、フランスでは、かかりつけ医を利用した場合は自己負担3割、かかりつけ医を利用しなかった場合の自己負担は原則7割となっております。

法律改正を要しますので、第2トラックで29年通常国会までに法案提出という方向で検討を進めるべきと提案をしております。

恐縮ですが、それでは本体に戻っていただいて、15ページの論点は今、2つご説明したので、16ページ、(2)インセンティブ改革であります。

ポイントのみ、一番上は新設される保険者努力支援制度の傾斜配分です。

2つ目も保険者へのインセンティブ強化ということで、国保財政の仕組みの見直しです。今、国保は調整交付金というものがありますが、所得水準や年齢構造の差だけではなく、県ごとの医療費の水準の格差についてもこれで調整を行っています。従って、長野県は1人当たりの医療費が低いですが、その効果が長野県の保険料には一部しか反映されません。今回の計画では、様々なインセンティブ措置が提案されていますが、真にインセンティブを働かせるためは、やはり長野県の医療費が低い場合には長野県の保険料が低いという形で反映させる必要があると考えておりまして、この財政調整の仕組みを見直すべき、これは第1トラックでできると考えております。

次に行っていただいて、17ページ、18ページでありますが、これは負担や給付に関するものです。財政効果が大きい反面、基本的にはハードコアの事項が並んでおります。

まず、17ページは負担関係ですが、高齢者のご負担について、1番上と2番目と4番目がそれに関する事項です。トラックは、一番上から順番にトラック1、トラック2、トラック3という形で整理して提案をさせていていただいています。第1トラックが一番上で、これは高額療養費であります。

参考資料の18ページの中央の箱、これは医療保険でありますが、日本の医療制度は定率窓口負担が、現役は3割、高齢者の方は75歳未満は2割、75歳以上は1割という形になっておりますが、その上で一月の負担額について上限額が設定されています。これを高額療養費制度と呼びます。これによって、多額の医療費がかかった場合には、より厚めに保険給付を行うという形になっているわけでありますが、この負担上限は基本的に所得水準に応じて設定されています。ただ、医療費は、左右を見ていただくと、高齢者の方々には年齢のみの理由によって、同じ所得水準でありながら現役よりも低い上限が設けられていて、かつ、下半分ですが、外来のほうは、現役にはそのような特例はありませんが、高齢者の方には特例が設けられて、入院の場合、さらに半分程度の上限になっているということであります。

定率負担の割合は、高齢者の場合は一般的に生活費に占める医療費が高くなるということから、ここで負担率を調整するという説明がなされておりますが、負担の上限については基本的に所得に応じたものにすべきであると考えます。従いまして、高額療養費制度、それから介護についても同じ制度がありますが、公平の観点から、ここは法律改正が要りませんので、第1トラックで見直すべき、本年末で行うということを決めて、28年末までに具体的な内容を決めて実施するということを提案しています。今回の工程表の一つのキーポイントであると考えています。

他方で、本体の資料ですが、残りの定率負担についてです。窓口負担そのものについては、64歳から74歳の医療は2割となっているので、介護についても2割にするということを第2トラックで、その他の自己負担の引上げについては、今、70歳から74歳の医療費を原則2割という形に戻しているところですので、その適用になった世代について引き続き75歳以上も2割負担をお願いするという形の引上げを第3トラックで提案させていただいております。

17ページにある残りの事項、3つ目の箱は被用者保険における保険料負担の公平化であります。恐縮ですが、参考資料の21ページ、介護納付金の総報酬割であります。この課題は、夏の計画を策定する前に、既に社会保障改革プログラム法で法定されている検討事項で、なお実施されていないものであります。昨年秋に、後期高齢者医療費支援金の総報酬割にご議論いただきました。これについては29年度からの段階実施という法律が成立していますが、介護納付金についても同様に第2トラックで法律改正を進める必要があると考えています。

この図を見ていただくと、介護9.4兆円の給付費のうち、40歳から64歳の方がお支払いする2号保険料2.6兆円を、各保険者に配分して保険料として納めていただいているわけですが、被用者保険の中の配分は頭割りになっています。

右の人頭割と書いている上の図を見ていただくと、所得水準の高い健保組合と所得水準の低い協会けんぽは、同額の納付金を支払うこととなっています。協会けんぽの負担が重くて大変だということで、実際は協会けんぽに国庫負担を入れて、協会けんぽの方々の実際の保険料負担を下げているわけです。

これを総報酬割に変えると、下の図になります。所得水準に応じた負担となりますので、健保組合B、大企業の健保組合の保険料が上がり、協会けんぽの保険料が下がります。こうすると、協会けんぽは所得に応じた定率の保険料負担になりますので、国庫負担は廃止されることとなります。

これについては、国の財政から健保組合Bに負担が移るものですから反対のご指摘がございます。財政当局といたしましては、もともと歴史的に保険者が分立していた経緯から現行の制度となっていますが、本来、被用者保険の世界においては所得水準に応じた保険料負担とすることは当然のことと考えております。赤い国庫負担の財源は、財政赤字、あるいは消費税であります。このことを考えると、この問題については第2トラックにおいて、遅くとも29年の国会までに法案を提出して、早急に是正することが必要であると考えております。ここは、どうかご理解いただきたいと考えております。

本体の18ページに移りまして、給付の適正化に関する課題であります。一番上は、介護保険の給付の範囲に関する課題で3点あります。全て参考資料でご説明しますので、参考資料24ページから26ページをご覧ください。

まず、3つ目の1つは24ページ、春の財審でもご議論いただきました軽度者の方への生活援助、掃除、洗濯、調理といったものについて、春の財審建議でもいただいたように、介護保険給付を中や重度者に重点化をする観点、あるいは民間サービス事業者の価格サービス競争が全く働いておりませんので、それを促進する観点から原則自己負担とし、介護保険から一部補助をするような仕組みに切りかえるべきだと考えております。

2つ目の論点は、福祉用具貸与、これは25ページ、26ページ、27ページです。福祉用具貸与は、27ページでご覧いただくような内容になっています。車椅子、特殊寝台、スロープや歩行器などの貸与、住宅改修として手すり、段差解消、あるいはマル5にあるような洋式便器への便器の取りかえなどを含めて、一定額の範囲内で保険給付をしていまして、1割負担であります。

ここは、春に問題提起したときに、井堀委員から実態把握の必要性についてご指摘をいただきました。夏を越えて、財務省において予算執行調査をいたしましたので、そのインプリケーションを26ページでご紹介したいと思います。

26ページでありますが、福祉用具の貸与は、まず利用者の希望を伺って、その状況を見た上で、ケアプランの中で貸与をするかどうかということと機種選定を行います。その後、貸与する価格は自由価格で、貸与業者が提示する利用料をそのまま保険給付しておりまして、1割負担であります。

実態調査すると、図1にあるように、1人当たりの貸与額について大きな地域差がありまして、その要因として幾つかのものが見受けられました。図2を見ていただくと、1つは貸与の価格について、これは全く同じ商品です。ある会社のある商品ですが、平均の貸与価格に対して10倍以上の高価格で取引をされている例があります。物によっては、このスロープ商品Aは販売価格5,000円でありますが、1カ月のレンタル代金が7,180円となっている例もありまして、大きなばらつきがあります。

それから、下に移っていただいて図4ですが、これは手すりでありますが、高価格、ハイスペックの手すりについて軽度者の利用割合が高く、低価格の手すりについて重度者の方の利用が高いということが見受けられました。

このような機種のスペックと要介護度の対応関係について、図3にあるように大きな地域差があります。スペックと要介護度の対応関係が地域によってばらばらになってございます。

この点を踏まえて、1つ前の25ページ、改革の具体的な方向性を記載いたしました。3点ですが、福祉用具は、これがあることによって、例えば街に出ることができる、あるいは日常活動をみずから行うことができるという意味では非常に大事なものであります。むしろ、ベッドなり、寝たままになってしまうと要介護度が進行しますので、用具の必要性や利便性そのものを否定するものでは全くありません。ただ、こういった実態を踏まえると、やはり利用者の方の状況、あるいはADLの維持向上の必要性を踏まえて、それに応じた機種が適正に貸与される必要があると考えています。

従いまして、まず価格については、価格差がある中で、ヒアリングをしましたが、一部の業者はこの中に附帯サービスが入っているというご意見でありました。そういったこともあるかもしれませんが、まず物の価格としては市場価格や減価償却期間を考慮して適正な基準価格を決めるべきであると考えています。

次に、サービスについては、真に必要なもの、有効なものについては、別途、厳格な要件のもとに評価する枠組みにする。さらに、それを超えるようなエキストラなサービスをしている場合は保険外、自己負担とするというような形に、第1トラックで見直しを進めるべきだと考えます。

それから、軽度者に対する福祉用具貸与、これは日常生活でご負担いただいているものの延長線であります。住宅改修は個人の資産形成でもありますので、利用者負担のあり方についても見直しが必要ではないかと考えております。

次に、28ページ、軽度者へのその他の給付のあり方として、これは春の財審でもご議論いただきましたが、要介護度1、2に対する通所介護などのサービスについて、右に見ていただくような内容でありますので、設備基準を緩和して自治体の裁量を拡大し、地域支援事業へ移行することを検討すべきであると第2トラックで提案しております。

本体に戻っていただいて、18ページです。一番上の箱は、今、ご説明をした内容ですが、真ん中の箱については薬に関するものであります。費用対効果分析の本格導入、それから生活習慣病治療薬について、春にもご紹介したように、例えば高血圧の薬について、高価なARBの処方が日本は際立って多いということをご紹介しました。同じ疾病に対して、処方のルールについてガイドラインを速やかに策定すべきであると考えます。

一番下の箱は、これまでも何度も取り上げてきた市販品類似薬に係る保険給付の見直しですが、春の財審の建議でいただいたように、長らく市販品として定着をした市販品類似薬を保険給付の対象とすべきでありまして、工程表をとりまとめる過程において、28年度の診療報酬改定における具体的な品目について結論を得る必要があると考えております。

医薬品は、保険適用のあり方について、参考資料の33ページ、医薬品に係る保険給付は、ここに諸外国の例を記載しましたが、諸外国でも薬剤については通常の医療費負担とは違う体系をとっている国が多くあります。

例えば、フランスは、薬効に応じて多段階の保険償還率を、ゼロから100%まで設けています。そして、全体を加重平均すると、これは医療本体よりも患者負担率が高くなるようになっています。これは効果に応じて分けています。ドイツは、薬剤について別の負担を求めています。それから、フランス、ドイツは、特許切れの医薬品については後発品価格までを保険償還する、いわゆる参照価格制度というものが入っております。公的保険の給付の見直しという論点の中で、ここは具体的には夏の検討課題に入っていませんが、薬剤の適正使用という観点から、スイッチOTCについての保険償還率の引下げというご提案は建議でいただきましたが、そういったものを含めて薬剤の保険給付のあり方について見直しが必要ではないかと考えます。

続いて、もう一個、そのまま参考資料の23ページに行っていただいて、これが給付と負担に関する最後の検討課題となっていまして、マイナンバーの活用です。所得だけではなくて、金融資産の保有状況も考慮に入れた負担を求める仕組みについて検討するということが閣議決定されています。

ここはマイナンバーをどう活用するかということですが、真ん中の右下にあるように、今回導入されるマイナンバーは、預金口座については銀行等から告知を求められたものに対して告知義務が課されず任意付番となっております。下の点線のボックスにあるように、このあり方についてはマイナンバー付番開始後3年を目途に、状況を踏まえて見直しをするということが附則で法定されております。ここはきちんと名寄せができることが必要だと思いますので、負担のあり方において資産を勘案するに当たっては、このマイナンバーの見直しにフェーズを合わせて検討する必要があるかと思っています。

ただ、1点、今年の夏から介護保険については、補足給付という食費、居住費に対する補助について、本人の申告をベースに、所得だけでなく一定の預貯金を持っているかどうかという点を勘案することになりました。お一人の場合は1,000万円の預貯金というところで判断が分かれますが、このような制度が導入されました。

負担のあり方全般を見直すときは、おそらくマイナンバー制度との関係が必要となりますが、同じような類型で、例えば入院時生活療養費などについては優先的に補助給付と同じような仕組みを導入してはどうか、第1トラックでどうかということを提案しております。

本体の資料に戻っていただきまして、今、19ページの頭のご説明が終わったところであります。

(5)は、診療報酬、薬価にかかわる論点でありまして、これは次回ご議論いただきます。このような検討事項が並んでおります。

〔 小宮主計官 〕 続いて、21ページをご覧ください。年金でございます。少しスピードアップさせていただきます。

まず、マクロ経済スライド、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大につきましては、建議を踏まえてご覧のような方向性としております。これらにつきましては、昨年の財政検証を受けて、社会保障審議会でも今年1月に議論の整理が既に行われておりますので、これを踏まえて可及的速やかに必要な制度改正を行うべきとしております。

続いて、高齢期の就労に応じた年金受給のあり方でございます。将来の年金支給水準を確保し、制度の持続可能性を強化するために、現在の支給開始年齢の引上げが終了する2025年度に引き続いて、支給開始年齢のさらなる引上げを実施すべきと考えているところでございまして、そのためには速やかに検討を開始し、具体化の方策を取りまとめた上で、次期財政検証の結果も踏まえて所要の法案を提出すべきと考えております。

3番目、高所得者の年金給付のあり方ですが、高所得者に係る基礎年金の国庫負担分相当の年金給付の支給停止を行うべきとしております。また、その検討実施時期は2番目と異なりまして、次期財政検証の結果を待たずとも実施ができるものでありますし、またプログラム法の検討事項とされていることも踏まえ、第2トラック、29年通常国会の法案提出が必要と考えているところでございます。

続いて、(7)生活保護等ということで、上の欄が生活保護になります。これまでも就労による自立を促進するような制度改正を行っていますが、生活保護受給者の就労可能な受給者が多い、いわゆるその他の世帯というカテゴリーが、雇用情勢の改善にもかかわらず高止まりしているということで、十分な効果が上がっていないのではないかと思っております。この点についてはもう一段の取組が必要ということで、例えば加算について就労インセンティブを高める形に見直したり、正当な理由なく就労しない場合の対応につきまして、保護費の減額を可能とするなどの見直しを行うべきと考えております。

このほか、生活保護については医療扶助の適正化等の検討事項がありますが、これは参考資料に資料をつけておりますので、後程ご参照いただければと思います。検討実施時期につきましては、医療扶助の適正化や一部の加算の見直しなど、現行制度で可能なことはできる限り早く実施すべきでありますし、保護費の減額を可能とすることなど制度改正が必要な事項等について、29年の生活扶助基準の検証に合わせて検討を行って、法案の提出を行うべきと考えております。

工程表の最後になりますが、雇用保険の国庫負担の当面のあり方につきましては、雇用情勢の改善に伴い、特別会計に積立金が6兆円以上積み上がっております。保険料率の引下げも課題となり得る状況であることを踏まえまして、建議に沿って、当面の措置として一定規模で国庫負担を停止すべきで、実施時期については速やかに検討を行うべきとしております。

続きまして、工程表にない項目として障害福祉の説明に移りたいと思います。

23ページをお開きください。障害福祉関係の予算は、近年、大幅に伸びてきておりまして、28年度概算要求額は対前年度6.9%増、1.66兆円となっております。これは国費の額でありまして、地方分も合わせた公費総額では3兆円超になると見込まれております。これからご説明する福祉サービスである自立支援給付が伸びておりますが、これは事業所数が急速に増加していることと連動しているのではないかと見ております。

24ページですが、障害保健福祉予算見直しの視点を掲げてございます。障害福祉サービスにつきましては、利用者負担が概ね生じず、利用者の利用限度額も設定されていないということで、制度上、供給側、需要側の双方に効率化のインセンティブが働きにくいという状況でございまして、今後ともサービス供給、需要の伸びが見込まれるということでございます。そのため、真に支援を必要とする方に必要な支援を行いつつ、そのサービス提供は効率的なものにするという観点から、制度の持続可能性を確保していくことが非常に重要であると考えております。現在、障害者総合支援法の施行3年後の見直し作業が厚生労働省において行われておりますが、その際にも、このような観点から幅広く見直しを検討していくことが必要と考えております。

以下、個別の論点ですが、25ページ、執行面の適正化について、上の緑の箱、1つ目の丸は事業所に対する実地指導を徹底すべきということで、春の財審でもご紹介させていただいております。

2つ目の丸は、透明性の向上になります。利用者負担がないということで、効率化のインセンティブが制度に内在していない中で、サービスの効率化を進める方策としまして、事業所による事業内容、経営実態の公表をしてはどうかというものでございます。行政当局においても、そのような内容をきちんと把握していくための改善が必要であろうと考えているところでございます。

3つ目の丸は、春の財審でご紹介した不合理な地域差の問題でございますので、省略いたします。

26ページ、制度上の見直しを書いておりますが、これも春の財審でご紹介したもので、内容はご覧いただければと思います。

27ページに飛んでいただきまして、個別の課題を載せております。放課後等デイサービスというサービスがございます。これは、学校の授業が終わった後や夏休みなどに、障害児の方に生活能力向上のための訓練等を提供するサービスでございますが、平成24年度の制度改正でその支援が充実されております。事業所の指定基準がやや緩いといった点や、事業所が高い収支差を確保できるといった点などから、営利法人を中心に事業所数が急増して、総費用額が2年で倍になるなど急増しているという状況でございます。これについては、サービス量の急増に必ずしも質がついていっていないのではないかというご指摘もあるところでございまして、真に支援が必要な障害児の方に必要な支援を行うという観点から、事業所の適切な運営を確保する中で、効果的なサービスを効率的に提供していくような見直しが必要と考えております。

また、その利用につきましても、現在、利用日数に制度上の制限が設けられておりません。障害児の生活能力の向上のための訓練を行うという目的に沿った利用を徹底するという観点から、利用回数の設定を行うこと、あるいは他の保育サービスとの比較も踏まえた利用者負担についても検討が必要と考えているところでございます。

28ページに移っていただきまして、就労支援でございます。障害者の方の就労支援につきましては、労働政策のほうでも就職の支援や職業訓練などの支援を行っているところでございますが、福祉サービスにおいても一般就労に向けた支援である就労移行支援、それから一般就労が困難な場合において就労機会の提供をする就労継続支援というサービスがございます。

就労継続支援につきましては、さらに就労困難の度合いに応じて、利用する障害者の方と雇用契約を結んで最低賃金以上の賃金を支払うA型というものと、雇用契約は結ばす工賃という形でお支払いをするB型に分かれております。これにかかる費用でございますが、緑の箱の下、右側にありますように、就労移行支援で月額16万円程度、就労継続支援で月額12万円程度となっております。

課題でございますが、就労移行支援につきましては、下のグラフの左側に黄色い部分がございますが、一般就労への移行率が低いということで、1年間の移行率がゼロ%といった事業所が3分の1を超え、20%以下の事業所が6割ということでございますので、事業のあり方を見直す必要があるのではないかと考えております。

就労継続支援につきましては、支援を受けるに当たって障害支援区分の判定が不要とされておりますので、就労困難を前提とした就労継続支援におきましても、費用ベースで見て、A型の8割、B型の5割が支援区分なしの障害者の方に行われています。就労継続支援につきましては、障害者の方にとっても、資料左下の表にあるとおり、一般就労に比べると賃金、工賃が低いものになりますので、一般就労可能な障害者の方には一般就労に移行していただけるような仕組みとしていくことが必要と考えております。例えば、障害者の方ごとに適切な就労支援サービスを提供するための支援区分を独自に設けるといったことや、第三者が適切なサービスを判断するアセスメントといったものを幅広く活用することなどが考えられるところでございます。

また、障害者雇用の数、あるいは実雇用率というのは、雇用率制度、それから雇用納付金制度の効果もありまして、資料右下のグラフにあるとおり増加してきております。他方、精神障害者の方の雇用者数はまだまだ少ないこと、あるいは法定雇用率を達成した企業も45%程度に留まっているという状況もございます。障害者の方の就労につきましては、ノーマライゼーション等の観点から、このような雇用制度の強化も通じながら、行政だけでなく、社会全体が責任を持って進めていくことが重要と考えているところでございます。

最後のページ、利用者負担のあり方についてでございます。現在、累次の軽減措置により、利用者負担がない方が93%、全体に占める利用者負担率は0.26%という状況でございます。このように利用者負担を通じた効率化のインセンティブが働きにくいということで、制度の持続可能性確保のためには、これまで述べましたように、事業所、行政当局を通じた取組が重要であると考えておりますが、あわせて利用者負担のあり方についても検討の必要があろうかと考えております。特に、障害福祉サービスの中で、通所サービスについてのみ経過措置で食費負担軽減措置が存在しておりますが、こういったものは経過措置終了時に廃止すべきと考えているところでございます。

以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

では、残り時間30分弱ですが、どなたからでもご意見、ご質問をお願いします。

田中委員。

〔 田中委員 〕 大変ありがとうございました。かなり集中するのが大変でしたが、内容が多かったものですから、質問も複数させていただければと思います。1番目は15ページに関するもの、2番目は16ページのインセンティブ、3番目は18ページの医薬品の問題、そして最後に、今日、竹中委員が中座されて、多分、一番大事にされていたところだと思いますが、障害者のところについてもコメント、質問させていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 済みません。ただ、ご覧のとおり、かなりの方が社会保障についてご発言あるかと思いますので。

〔 田中委員 〕 そうですね。では、2つに絞ります。

〔 吉川分科会長 〕 そうですね。これは共通ですが、皆様方、少し圧縮してご発言をお願いいたします。では、どうぞ。

〔 田中委員 〕 それでは、15ページと、18ページに絞らせていただきたいと思います。

まず、15ページの一番下段にあります、かかりつけ医の問題です。要は、医療の機能分化をしていくという一つ肝になる制度だと思いますが、そのように考えますと、かかりつけ医の普及を診療報酬制度だけで行うことが本当に十分かなと考えました。つまり、患者さんが、かかりつけ医を選んでいかなくてはいけないという問題がありまして、そのためには報酬制度でコントロールするだけではなくて、患者さんが安心してかかりつけ医を選べるような、選択できるような仕組みと合わせる必要があるだろう。そのためには、おそらく開業医の方たちの評価システム、評価を入れたり、評価情報を提供したり、あるいは総合診療医としての訓練や情報を、やはりかかりつけ医の候補の方たちに共有するという仕組みとセットにして進めるべきではないかというのが1点目であります。

2点目は、18ページ、薬に関して費用対効果を入れていこうということで、これは大賛成であります。ただ、今年の春の財審で、森田先生がいらっしゃってご説明されて、この費用対効果についてご質問したときの答えを覚えているのですが、非常にテクニカルで難しく、またコストがかかるという返答があったと思います。その一つの対案として、一個一個の医薬品の費用対効果のみならず、医療圏で、地域ごとにどの程度疾病率が下がったのかというような、地域単位でのアウトカムを見ていく方法もイギリスにはあるという説明があったのですが、費用対効果を検討されるときにはこのような視点も入れていただければと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、大宮委員、角委員の順でお願いします。

〔 大宮委員 〕 2点ありまして、1点目は「骨太の方針2015」の44項目、これは非常によいものができたのではないかと思います。工程表とKPIを設定することが明記されたということですので、ぜひPDCAサイクルを回すということで、この着実な実施をぜひお願いと思います。特に、データベースがたくさん参考資料にありましたが、この論議が非常に明確になりますので、この辺を活用しながら、きちんと取り組んでいくことが必要かと思います。

2点目ですが、17ページの箱の3つ目の総報酬割であります。従来、これは、経済界としては反対、反対と申し述べていますが、反対の趣旨は、この考え方自身は理解できますが、ほかの分野、例えば支出の削減がきちんとできた上で、全体を見ながら、先取りできるところだけ取っていくというようなことではない形でやっていただきたいという趣旨であります。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

では、角委員。

〔 角委員 〕 全般的には大宮委員と全く同じ感想でございまして、いよいよ動き出してくれるのかなという非常に強い期待がございます。ポイントは、やはり地方に予算とともにインセンティブ、ペナルティーをつけて、移管できるものは移管することによって、さらによくなるのではないか。貧困ビジネスではないですが、いわゆる弱者ビジネスが発生しないようなやり方をぜひよろしくお願いしたい。

今、幾つかご説明の中にも出てまいりましたが、例えばデイサービスで申し上げますと、神戸市は市会の全会一致で、いわゆる娯楽、カジノなどを主とするデイサービスについては認めないという条例を決めました。従って、今回、マージャン台を3台置いて申請したところは、マージャン台を1台に減らさないとだめと。場所によっては、デイサービスの看板にカジノと書いてあるわけです。マージャン台はある、パチンコはある、ルーレットはある、バカラはある、なぜこのようなことが起きるのか。というのは、要支援でありながら1割負担である。そうすれば、むちゃくちゃ安いわけです。コーヒーを飲みに行く感覚でそこへ行って、マージャンをしている。それで、形だけ1回体操しているというところがある。そういったことを防止するには、やはり目の届く基礎自治体や府県単位でやっていただいて、その辺の不公正をなくしていただければと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、葛西委員、老川委員、遠藤委員、伊藤委員の順でお願いします。

〔 葛西委員 〕 それでは、2点、意見ということで申し上げます。

まず医療については、提供体制に関する議論が多いわけですが、今後は医療を受ける側の話も対象にしていくべきではないでしょうか。例えば、これは死生観に関わるもので難しいテーマですが、意思表示もできず、栄養を自ら摂ることもできなくなったような方のいわゆる延命措置といったものについては、諸外国の例も参考にしながら、医療負担のあり方を考えていくべきだと思います。

もう1つは、かかりつけ医についてです。これはある程度患者が医師を選ぶにしても、医師と名がつけば全員同じような資質と実力を持っているという仮説の上に成り立つ制度だと思いますが、実際にはそうではないわけです。かかりつけ医を採用しているイギリスでは、優秀と言われる医師は国外に流出してしまい、医療の質が落ちているという話も聞きます。やはり医療の質を維持するためには、そこのところをどう解決するかについて、かなり工夫が要るのではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員。

〔 老川委員 〕 14ページに、主として病床の問題が取り上げられていて、病床を減らしていくと同時に受け皿が大事だというお話がありましたが、本当にそのとおりだと思います。つまり、病気はあらかた治ったが、ぴんぴん行動できるというわけでもない。自宅に引き取るといっても、なかなか家人が世話をすることは難しいという状態の方がかなり多いだろうと思います。そうすると、非常にまずいことになってしまう。

そこで、介護体制をしっかりさせるということが重要になる。低コスト化、効率化は大事ですが、問題はやはり人材の不足、それからレベルですね。最近、老人ホームなどに入っている人が殴られたり、場合によっては殺されてしまうということもあったりして、介護の質が非常に低下している面もあると思います。これも、1つは人手不足から来ていることもあるかと思うので、やはり人材の確保は大事だろうと思います。医療行為と介護行為というのは性格が違うわけですが、看護師さんをうまく流用してやっていただくなどを含めて総合的な対策が必要なのではないかと思いますので、今後、そこら辺も視野に入れていただければありがたいと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 遠藤委員、お願いいたします。

〔 遠藤委員 〕 ご説明ありがとうございます。工程表の整理をいただいたことで、非常に問題が明確化されているなという印象を持ちましたが、短期のところは大宮委員がおっしゃっていたとおり粛々と進めていただきたいと思うのですが、前半のご説明でもあったように、いかに非現実的な程高い経済成長を遂げても、財政危機であることには変わりがないわけですから、長期的な目標だとしておられる議論をいかに前倒しして進めていく必要があるのかを国民が共有するということは、やはり今から、すぐにでも始めていかなくてはならない。国民が共有できれば、政治的な改革のハードルが下がることにつながるという意味で非常に重要だと思います。

様々なご説明をいただいたところで、例えば福祉用器具の貸与の話や、借りたら原価よりも高いお金で貸していた話というのは、非常にインパクトがあって受け入れられやすいですが、とはいっても全体の規模から見ると2,500億円程で、どうしても印象として取りやすいところから取るというイメージが、予算の中でもいたし方ないご努力であるということは分かりますが、やはり大きな効果があるところから取るということをご検討いただく、みんなで理解していくということが非常に重要ではないかと思います。やはり個人の医療費負担の拡大や高額療養費のところで、十分リッチなご老人の方からはきちんと全額いただくというような形での改革を、もう少し国民的な議論にしていかなくてはならないと思っております。そういった仕掛けは、今からすぐにでもやらなければ間に合わないという気がしています。それが前半から続いたところです。

ですから、7,180円というミクロの数字のところで、では総体として幾らマクロで予算が縮減されるのかということが必要だと思いますし、前半のご説明のところだとすると、5%や7%という話が出てきたときに、消費税が二十何%に上がりますよということはよく聞きますが、では国民負担としては、私たちはそれで幾ら負担しなくてはいけないのかという数字の、今度はミクロ化というのでしょうか、どちらかに限られてくるところがあるので、その整合性がとれると、優先順位が国民にとってわかりやすくなるのではないかと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 伊藤委員。

〔 伊藤委員 〕 ご説明ありがとうございました。2点申し上げます。

1点は、我々事業者の社会保険料負担の現状でございますが、特に健保の実態というのは皆様ご承知のとおりで、高齢者医療に対する現役世代の拠出金というのは、もう保険料収入の大体半分になっているわけで、既に限界に達しています。平成25年度で、後期高齢者支援金と前期高齢者納付金等の高齢者の負担総額は3兆2,800億円程になっていまして、26年度はもっと増えるということでございますので、特に後期高齢者医療における支援金のあり方というのは、踏み込んで見直しをしていただかないといけないということが一つでございます。

2点目は、年金に絡む問題ですが、高齢者で余力ある人にはそれなりの負担を求めるといいますか、応能負担割合を高めて、できた財源は、要するに子育て世代、あるいは出産等の少子化対策に重点的に配分していただきたいということでございます。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、宮武委員、増田委員、南場委員、それから土居委員。

〔 宮武委員 〕 ありがとうございます。今日は、ドイツの社会保障支出の関係が話題になりましたので、参考資料の29ページに諸外国における介護制度の比較というものが載ってございます。ドイツとの比較のところ、現状ではこのとおりでございますが、ただ一言つけ加えたいことがございます。

ドイツの介護保険は、創設時から認知症の対策が全くとられていなかった。そこで、しようがないものですから、ここに書いてございますように、認知症に対しては要介護ゼロという苦肉の策の段階を設けて対応してきたわけであります。しかし、実は今年度に法律改正をして、2017年から5段階の正規の形に持っていくということが決まっております。同時に、日本と同じようにケアマネジャーを入れる、介護相談の窓口を全国で配置するなど、一種、日本に倣った形の改革、改善を実はやっているというあたりは、やはり日本の介護保険は評価をしたほうがよいかと、一言申し上げました。

もう1点は、ドイツの介護保険は保険料のみでやっておりますので、財源はそう多くはないわけであります。そうしますと、実は介護にかかわる費用を平均すると6割程度しかカバーできない。特に、特別養護老人ホーム、あるいは日本で言うサービスつき高齢者住宅に入ったとなると、入居者は自己負担が払えないわけです。その分は、実は生活保護で給付をしているわけです。緩やかなミーンズテスト、日本で言えば介護扶助で対応しています。ですから、あまり絞り過ぎると、実は社会保険の中では対応できずに公費の生活保護部分に移っていくといった部分も1点考えておかなければいけないことだと私は思っています。

総じて、公費は一切使わずに社会保険の原理で運営をしているという点は、私自身も社会保険の頑固な支持者ですので、大事なところだと考えています。その観点から申し上げますと、これも参考資料の21ページでございますが、介護納付金の総報酬割への移行を提言されているわけでありますが、支払い能力に応じて負担する、ニーズに応じて受け取るということが社会保険の基本であれば、やはり納付金についても報酬割に移行せざるを得ないのではないか。

財審の委員の多くの方は日本を代表する企業の代表者でございまして、そういったところは当然、賃金が高いわけですから、人頭割でやっているほうが楽ではあります。報酬割に移行すると、負担が増えてお困りなる、その立場はよく分かりますが、後期高齢者の支援金を総報酬割にした場合も、実は健保組合の中では6割の組合の負担が増えて、4割のところは負担が軽減されました。その意味では、同じ種類の保険者の中でも利害が錯綜する。

そこをどう切り抜けていくのかということになります。私は、仕送りする相手は引退者であり、引退者の中には自分たちと同じ席を並べていたOB、OGがいるわけでございますので、仕送りをする責任はある。しかし、金は出すが、口は出せないというのが今の状況です。自分たちが仕送りしたものがきちんと効率的に使われているのか、無駄がないのか、そういう点をチェックして、きちんと発言権を確保して、できたら勧告ができる、そういった仕組みと同時に総報酬割に移行することが大事だと、思っております。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 では、増田委員。

〔 増田委員 〕 ありがとうございます。細かいことは、今日はもう時間がないので申し上げませんが、要するに7つの分野について工程表がきちんと決められて、それに沿ってこれから進められていく、工程表を守るというところが、今回、非常に重要なところであって、しかも、そのうち、先程ご説明あったように前倒しができるところは、法律ではなく政令でどんどん前倒ししていく。法律についても、まさにここに書いてあるように、関係の審議会等をきちんと動かして、29年度からきちんと改正ができる、その準備を確実に進めていく。そこの進行管理を財審としてきちんと見ていくということが、今回、非常に重要だろうと思います。

それから、ほかの委員がご発言されたので、私もまさにそのとおりだと思っているのは、1つは、やはりこれから終末期医療についての議論が極めて重要であって、これだけ長寿命になりましたが、実は健康寿命との間に10年以上差がある。その期間は非常に長いので、やはり死生観や終末期医療の問題というのは、どうしてもこれからきちんとした議論をしていかなければいけない、避けて通れない非常に重要な問題だと思います。 以上は葛西委員のご発言に触発されて少し申し上げたところですが、もう1点、老川委員からも人材の問題のお話がございました。全ての産業がそうですが、人口減少の中で、それぞれこれから人材をどうしていくか。特に介護人材について言いますと、厚生労働省が6月頃発表した調査でも、今後10年間で38万人程の介護人材が不足するということがございました。それをどう確保するかということですが、若い人たちが中心に介護人材が賄われている、そうすると介護報酬が低い、離職も多い。確かにそこも解決しなくてはいけないところでありますが、例えば私が体験した介護スーツ、若い人たちでも腰痛になるような入浴介助をアシストするものが随分出てきています。となれば、高齢者で元気な方々がたくさんいらっしゃって、お年寄り同士で話が非常に通じて、社会福祉法人の経営者に聞いても、高齢者の方はこういった分野で、むしろ支える側としてまだまだ活躍していただける。確かに重労働の部分はありますが、介護スーツなどをもっと広げていくことによって、介護現場に高齢者の方々がどんどん入っていける。

みみっちい話ですが、金目のことで言えば、若い人たちがこれから生活を支えるためには、今、平均月収がわずか22万円程で、介護報酬が低いということが問題になっていますが、高齢者の方であればそこの部分は年金など別のクリアの仕方があるわけです。従って、財政的にもあまり問題がない。全体で活躍したいという人たちを満遍なく見て、介護分野の介護人材の手当ての仕方も、そのような形で若い人達に頼るのではなくこれから広く考えていくということもあっていいのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、南場委員。

〔 南場委員 〕 たくさんの施策が列挙されていますが、私としても、計画と進捗を見る上で、やはり重要な、インパクトの大きい取組の進捗には目を光らせたいという気持ちがありまして、その意味では、どの施策で、どれ程度の期待効果があるのかという数字が常に見える化されていると、非常にやりやすいと感じました。

あと、個別の施策についてですが、病気になる前に健康をケアするヘルスケアの取組の重要性について痛感しております。というのは、この分野は民間の力を大いに活用できる分野でありまして、個人、それから保険者、地域等のレベルできちんとKPIを設定して取り組むべきと考えております。こちらの資料にもありますが、インセンティブ付与の観点というのはとても重要だと思っています。というのは、健康は失って初めて重要性に気づくもので、あたかも空気のようなもので、価値化されていないことが大きな問題だと思いますので、その点でインセンティブ付与というのは大事な観点だと思います。

個人レベルですと、資料にもあるとおり、健康管理や予防に取り組む個人には現金の給付や保険料の軽減などを行うべきですし、保険者に対しても医療費適正化に向けた強力なインセンティブを導入するべきと考えます。また、地域でのおもしろい取組としては、神奈川県ですが、未病を治すという考え方で地方創生交付金を活用して、未病関連商品の購入を補助することで未病関連産業の育成と県民の健康意識、行動変容に取り組んでいて、非常に注目に値する動きだと思います。

こういったインセンティブ付与による個人レベルでのヘルスケアの取組と民間サービスの活用というのは、医療費の削減と税収の増大という両方の効果がありますので、財政的にも非常に意義があると思いますので、こちらの資料で既に計画されていることと知りましたが、改めて重要性を強調させていただきたいと思います。

それから、最後のポイントですが、負担能力に応じた負担ということが出てきていますが、これはもっとドラスチックにやってもいいのかなと個人的には思います。我が国では金融資産1億円以上の人が100万世帯あるそうです。その100万世帯に関して、もっともっと大幅にドラスチックに自己負担を導入するということは、賛成を得るのにあまり苦労しないのではないかと思います。冒頭の私の話に戻りますが、それがどの程度インパクトがあるのかを試算する必要は当然ありますが、そういったできることを全て行うべきではないか。金融資産の捕捉の問題は残りますが、大胆に踏み込んでいい分野ではないかと感じました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 武田委員。

〔 武田委員 〕 手短に申し上げます。1点目は、各委員がおっしゃられたように、私も工程表がつくられることは非常にすばらしいと思いますが、これをきちんと守ることを担保する仕組みをどう確保していくのかについて、ぜひご検討いただきたいと思います。

2点目は、大宮委員や角委員、それから遠藤委員がおっしゃられたこととも関係致しますが、医療の支出、減らしていけるものをきちんと減らしていくことが、非常に重要ではないかと思います。その点では、時間もかけずにシンプルにできることは,医療や介護の利用者に一定のご負担をお願いするということを、比較的速やかに実施することが重要ではないかと思います。後期高齢者の窓口負担の見直しであるとか、一定の定額負担いった案が実施時期として比較的先送りされていますが、それを前倒しにすることによって、まずは支出のほうを抑えていく。それと同時に、地域医療体制の見直しなど時間がかかる対策を行っていくということが効果的ではないかと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

もう時間ですが、皆様方のお許しをいただいて10分弱延長するということで、加藤委員、黒川委員、十河委員、土居委員、あと4名の方ということにして、皆様方、適当にご発言を圧縮していただくことにして、では加藤委員から。

〔 加藤委員 〕 手短に申し上げます。介護給付金の総報酬割への移行と、高齢者に対する高額療養費制度の話ですが、両方とも取れるところから取るという話ではなくて、やはり垂直的公平性を考慮して負担のあり方を考えるという点から見れば、これはぜひやっていくべきものだと思います。特に、高齢者に対する高額療養費制度の上限、高額療養費制度というのは非常に大事な仕組みだとは思うのですが、やはり高齢者というのは様々な方がいるので、きちんと所得のある人からはそれだけの負担をしていただくということは大事ではないかと思います。

手短に、以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 黒川委員、お願いします。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。

資料2の25ページの上の2つ目の丸、各事業所が事業内容を公表するとともに、行政当局がその経営実態などの事業内容云々、そういうことは必要ではないかと書いてありますが、全く必要であろうと思います。言わずもがなですが、ディスクロージャーというのは事業所の自己規律にも大変有効だと思いますし、サービス内容の需要と供給のミスマッチを防ぐという点でも、事業内容を公表していくということが大切だろうと思います。また、税金投入がされているわけですから、行政当局としてもガバナンスに関与するということは、権利であると同時に義務でもあるというような気概を持って、まずは事業内容を公表し、それを把握して関与していくということを速急に、すぐにでも始めていただきたい。

以上であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

では、十河委員、お願いします。

〔 十河委員 〕 ありがとうございます。大方の先生方のご意見等、賛同させていただきたいのですが、最後に1点、財政健全化のためには大胆な改革が必要であるということはもちろん、スピードアップして行っていくことも大切ではないかと思います。また今回の資料で、例えば福祉用具のばらつきや、放課後デイサービスの問題など、残念ながら福祉や社会保障という面を利用する、あるいは悪用する業者が増えているということもこの数字を見ると明らかで、こちらの削減は大した額ではないかもしれませんが、野放しにしておくのはよろしくないのではないか。悪用している事実が数字から明確に見えた場合は、対処していく必要があるのではないかと思いました。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、土居委員、お願いします。

〔 土居委員 〕 先程伊藤委員がお触れになりましたが、参考資料2の13ページの後期高齢者医療制度の話です。当然、これは若い世代の人に支援金を求めているということで、大変な負担になっていて、その負担をいかに和らげるかということは非常に重要なことだと思います。その観点から言うと、主計官からご説明ありましたように、もちろんここで後期高齢者医療の3割自己負担の範囲をもう少し広げるということもさることながら、後期高齢者の保険料負担が全財源のまだ1割にしかなっていないということを根本的に改める必要があって、これを1.5割、あるいは2割などに上げていくこととセットで支援金の負担を和らげるという根本的な制度改革をしないと、この支援金の負担軽減という問題にはなかなか活路がないのかなと思います。その点は、ぜひ踏み込んでいただきたいと思います。

もう1点は介護の話ですが、介護保険の65歳から74歳の自己負担2割を実現するには説得が大変必要ですが、2つの観点があると思っています。1つは、まだ軽度である、働ける可能性がある高齢者が65歳から74歳にはいらっしゃるということ。もう1つは、若い世代への負担、まさに介護納付金の負担を総体的に減らす、つまり高齢者の負担をまず求めるのではなくて、若い世代の2号被保険者に負担を求めるということでは筋が違うのではないか。この観点からも、2割負担はかなり強調して主張していかないと、ただでさえここは抵抗が大きいところかなと思います。

以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

皆様方、議事運営にご協力いただきまして、まことにありがとうございました。3時間コースでも時間が足りなくなるくらい、充実した議論ができたと思います。

なお、社会保障は、今日で終わりではなく、第2ラウンドがありますので、本日、委員の皆様方が出されたご意見や、若干質問のようなこともあったかと思いますが、それは適宜、事務局のほうで第2ラウンドのときに補足していただくということでお願いできればと思います。

また、本日ご欠席の古賀委員からは意見書をご提出いただいております。皆様方のお手元の資料の中にございます。

あとは、もうルーチンですが、本日の議論の内容につきましては、大変恐縮ですが、私にご一任いただくというお願いであります。

次回は、10月26日、15時からを予定しております。よろしくお願いいたします。

午後 5時05分閉会

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