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財政制度分科会(平成27年9月30日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成27年9月30日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成27年9月30日(水)15:05〜16:52
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.麻生財務大臣挨拶

3.麻生財務大臣等とのフリーディスカッション

4.事務局説明
・戦後の我が国財政の変遷と今後の課題

5.質疑応答

6.閉会

出席者

分科会長 吉川 洋

麻生財務大臣
大家大臣政務官
竹谷大臣政務官
福田主計局長
美並次長
可部次長
茶谷次長
阪田総務課長
内野給与共済課長
青木法規課長
余島司計課長
片岡大臣官房参事官
小宮主計官
宇波主計官
奥主計官
阿久澤主計官
高村主計官
彦谷主計官
堀内主計官
冨安主計官
山崎主計官
主計官
江島主計官
廣光主計企画官
泉主計企画官

委員 碓井 光明
遠藤 典子
大宮 英明
黒川 行治
角   和夫
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
中空 麻奈
臨時委員 板垣 信幸
伊藤 一郎
井堀 利宏
老川 祥一
葛西 敬之
加藤 久和
小林 毅
末澤 豪謙
田近 栄治
冨山 和彦
宮武 剛
財務総合政策研究所名誉所長 貝塚 啓明

午後 3時05分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

皆様方には、ご多用中のところご出席いただきましてありがとうございます。

本日は、「平成28年度予算編成に向けて」を議題としております。

議論に先立ちまして、今回、新しく旭化成株式会社取締役会長、伊藤一郎委員に臨時委員としてご就任いただきました。恐縮ですが、伊藤委員から一言ご挨拶いただければと思います。

〔 伊藤委員 〕 ただいまご紹介いただきました、旭化成の伊藤でございます。よろしくお願いいたします。私は、商工会議所の副会頭をやっているものですから、中小企業等の関係で発言させていただくこともあるかと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

また、本日は、後ほど「戦後の我が国財政の変遷と今後の課題」について審議を行う予定としていることを踏まえ、元財政制度等審議会会長で、財政に関する深い知見をお持ちの貝塚財務総合研究所名誉所長にもお越しいただいております。

審議に先立ちまして、まず、麻生財務大臣からご挨拶をいただきたいと思います。

カメラが入りますので、そのままお待ちください。

(報道カメラ 入室)

〔 吉川分科会長 〕 では、大臣、お願いいたします。

〔 麻生財務大臣 〕 吉川会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、日頃から幅広く、かつ、ご熱心にご討議をいただき、まことにありがたく存じます。

この審議会からは、さる6月1日に「財政健全化計画等に関する建議」をいただいております。特に、実効性の高い「歳出水準」そのものに係る規律が必要であり、国の「一般歳出」をメルクマールとすることが適当である、などのご提言をいただいたところです。

これを受けまして、6月30日に「経済・財政再生計画」を閣議決定いたしておりますが、2020年度のPB黒字化目標の堅持、これまでの安倍内閣の取組を踏まえた歳出水準の目安の設定など、建議でいただいたご提言をしっかりと踏まえた内容とすることができたと思っております。

また、計画におきましては、各歳出の分野につきまして改革の検討項目が提示され、年末に向けて改革行程表等を策定し、改革の具体化を進めることになっております。

この審議会におきまして、年末に向けて議論していただく平成28年度予算は、計画の初年度となるものであり、計画の成否は平成28年度予算にかかっていると申し上げても過言ではないと存じております。計画における歳出水準の「目安」などを踏まえ、しっかりと編成を行っていく必要があろうと存じます。

予算編成過程においては、社会保障をはじめ各歳出分野におきまして、歳出抑制につながる制度改革を前進させ、計画に盛り込まれた歳出改革を具体化していく必要があろうと存じます。

各歳出分野における改革内容、平成28年度編成の査定方針につきましては、活発なご議論をよろしくお願い申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

では、ここで報道はご退出をお願いいたします。

(報道関係者退室)

〔 吉川分科会長 〕 それでは、大臣にご出席いただいていますので、この機会に皆様からご意見、ご質問等がございましたら、お願いいたします。せっかくの機会ですので、どなたからでも結構です。フリーディスカッションという形でやらせていただければと思っております。

田中委員。

〔 田中委員 〕 先輩の先生方をさておいて最初に質問をさせていただきます。2点質問がございます。1点は社会保障に係ることで、新3本の矢で社会保障の充実が掲げられていますが、それと、今、大臣がおっしゃられた、歳出を抑制するための改革はきちんと整合するのかどうかというのが質問の1点目です。

〔 麻生財務大臣 〕 それは整合させていかなければいかんのですよ。

〔 田中委員 〕 2点目でございます。2点目は、「1億総活躍」というスローガンが出されていますが、これに関して若干のコメントでございます。国民の中には活躍したいと思っている人が多いと思いますが、中には、活躍したくないな、休みたいな、と思っている人もいるかもしれません。

〔 麻生財務大臣 〕 私もそうです。

〔 田中委員 〕 それから、どう働きたいかというのも、朝働きたい人も、昼働きたい人も、場合によっては夜働きたい人もいて、どう活躍するか、どう働きたいかということは、やはり個人あるいは民間の組織が自分で決めることだと思います。政府というのは、そのような多様な選択肢を阻害しないような環境を個人が選択できるように側面支援するものだ、と私は理解していますが、「1億総活躍」というネーミングにしますと、みんな頑張れと、ある種、政府が誘導、扇動しているようにも捉えられるイメージがありまして、もう少し工夫の余地がないのかと。財政と関係ないかもしれませんが、2点目です。

〔 麻生財務大臣 〕 基本的に、田中先生、言葉の絶対量が不足しているのかもしれませんが、それぞれ捉え方次第、活躍ということを、あなたも活躍しなさいということを期待されていると思っていればまだいいほうで、全然思われていない、思われたくないという方もいらっしゃるわけですから、そのような方々を含めて、その言葉の捉え方の問題だと思いますので、今、しかるべき代替の言葉があれば、それはそれなりに考えさせていただけると存じますが。

〔 吉川分科会長 〕 では、富田委員。

〔 富田委員 〕 2020年度のPB黒字化に向けて閣議決定されました「経済・財政再生計画」の中に、財審から出させていただいた建議が反映されました。国と地方が歩調を合わせて確実に2020年度のPB黒字化が達成されることを、ぜひともよろしくお願いします。

ところで、この2020年度にPBが黒字化いたしましても、高齢化の影響は留まるものではありませんので、まだまだ長期的に社会保障関係費についての増大圧力は続くものと思われます。従って、財政が長期的にどうなるのだろうという長期的な展望を、やはり我々としても持ちたく思いますし、広く国民に知っていただきたく思うわけです。

この点につきまして、去年の4月に欧州委員会の方法論にしたがいまして、我が国の高齢化等の人口構成の変化が、財政にどのような影響を与えるかということを、この場で検討させていただきました。そこで、今回も、閣議決定されました「経済・財政再生計画」を踏まえて、この長期推計をアップデートしてこの場で議論させていただきたく思うのですが、大臣よりご指示を賜りたくよろしくお願いいたします。

〔 麻生財務大臣 〕 基本的には、今、言われましたように、この日本の中でPBという言葉が少なくともプライベートブランドではないのですよというところくらいまでは浸透したとは思いますが、まだポケベルくらいしか考えていない人もたくさん世の中にはいらっしゃいます。PBとは基礎的財政収支のことであり、この中には利払費要因が入っていないわけですが、利払費要因を除いた分がやっとチャラになるところまでいくのにあと5年かかるという話をしているのであります。それからようやく、過去の借金の返済という話になってまいりますので、そのような意味で考えますと、やはりデフレのままではとてもできないということですから、物価安定目標2%と一応目標は立てて取り組んでいます。さらに、2020年度以降にはいわゆる団塊の世代が一斉に後期高齢者の域に達していきますが、それが2030年度になれば今度は逆に後期高齢者は減少していくわけであって、人口構成が変わります。そうすると全く別の手だてを考えていかなければならないということになるので、私はそのころはもう死んでいるからいないのですが、若い人が考えてやっていかなければいけないということははっきりしているのであって、財政の長期推計のアップデートをしたいというお話でしたが、これはぜひ次回の財審でも様々な形で起草委員から発表していただくということが必要なのではないかと私は思っております。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、今の富田委員の問題提起を受けて、大臣から今のご発言をいただきましたので、次回の財審、10月9日に起草委員から長期推計のアップデートを提示していただくということにさせていただきます。

どうぞほかに。角委員。

〔 角委員 〕 質問というよりお願いですが、皆さんご承知のように、今、問題になっております軽減税率ですが、経済界としては10%時点における軽減税率につきましては反対という立場を明確にしております。これより先は個人的なお願いですが、諸事情でどうしても部分的に導入せざるを得ない場合、例えば、土地には消費税がかからないように品目を限定して、米や新聞などを8%ではなく、0%にしてしまうと。0%か10%かということにすると、様々な事業者は非常に事務手続きも楽になりますし、それの税収減も非常に限定的になるという思いがあります。ただ、そのようなことも他の様々な業界からみて難しいとなった場合に、仕方なく軽減税率を導入する場合は、ぜひとも現在の益税の問題や、いわゆる脱税の問題等が起こらないように、例えば、台湾のレジは税務署と直結しているという話もありまして、それがなぜちゃんと打つかというと、もし不正が判明すると大変なことになるという非常にペナルティの大きな制度の中で税務署とレジがつながっているという例もあるわけで、もし軽減税率を入れなければならず、入れる以上は、益税、脱税等がないような公平な制度設計をぜひともよろしくお願いしたいと思います。

〔 麻生財務大臣 〕 先生、よくご存じのとおりですが、私どもの立場、財務省としては、これは正直、軽減税率は事業者に手間がかかりますし、社会保障財源が減りますから、そのような意味では、課題がある。はっきり申し上げておきます。しかし、政府与党で軽減税率が必要だと公約に掲げた党がおありでしたから、それに合わせて軽減税率はぜひとも入れてもらわなければいけないという話がもともとスタートですから。ご検討くださいという。検討していただいたら、自分たちだけではできないと言われたので、そのお鉢がこっちに回ってきて、案を出したらそれはよくないと。では、自分で考えればいいではないかと。私の立場ははっきりしていますよ。財務省ですからもう少し品よく、そう言わないだけであって、私の場合は面と向かってそう言いますから、自分で考えて持ってくればいいではないかという話はしておりますが、まだ今、答えが出てきておりません。

おっしゃるように、この種の話はちょうどイギリスに住んでいたころ、軽減税率が入って、イギリス政府は今でもあれは税率が10%を超える前に導入したのは失敗だったと、自分で認めているくらいです。あのときは確かイクラは安いがキャビアは高い、ジンは安いがウイスキーは高いなど、様々に決めたのですが、誰が決めたのかという話になって、結果的に、アルコール以外の飲み物、喉に通るものは全て一律として決着をつけたという話でしたが、それによって収入は激減したというのがイギリスの例です。

従って、今からまだ3カ月程ありますので様々な方法が考えられるとは思いますが、言われたように、どこで区分するか、どのように課税するか等々考えますと、今でも、課税売上高1,000万円以下のところは、確か対象になっていないところが500万者程あったかと思います。その点に関しては、今からどのように対応するかというと、これは一生懸命取り組んでおられる政党の下部団体でも、少なくとも反対と言っておられるところが大変な数に上っていますから、そのようなところが今からどう反応されるのか、これこそ与党税調できちんと詰めていかれるかと思います。

我々はご検討なさってくださいという立場でじっと見ているというのが正直なところで、揉めた場合は、しようがない、10%そのままですよということにならざるを得ませんから、そのような意味では「10%時に入れる」と書いてありますし、歳出歳入のバランス等も考えなければいけませんし、一番忘れられているのは、軽減税率を増やせば増やす分だけ社会保障財源は減るということです。「社会保障と税の一体改革」はスタートしておりますので、軽減税率の導入に伴う減収分だけ社会保障の充実等の額も減るということだけは頭に入れておいてもらわないと、そこを理解しておいていただかないで、話だけは進められると、少し議論が浅いという感じが率直な私の実感です。

もうしばらく待っておかなければいけないと思っております。

〔 角委員 〕 ありがとうございました。

〔 吉川分科会長 〕 では、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 一つ、僭越ながら提案をさせていただきたいことがございますが、その前に1点意見です。先ほど「1億総活躍」のお話がありましたが、ご存じのように私が運営しているプロップ・ステーションという非営利の活動は、そのチャレンジドをタックスペイヤーにできる日本ということで、今まで福祉の恩恵で生きていくべしと言われていた人も社会で活躍できるように、タックスペイヤーになれるようにということで、25年程取り組んできました。おかげさまで、様々な弱者と呼ばれた人が弱者でなくなっていくための取組が行われるようになっております。ですので、私は「1億総活躍」をネガティブにとる方もいらっしゃるかもしれませんが、1億人がそれぞれの自分の分に応じた活躍ができるように産官民、分野を問わず力を合わせていくのだと私は理解したので、そのような理解に基づく政策として進めていただければうれしいなと思っています。

以上が意見で、ここから1点提案ですが、今は財政改革や社会保障改革などが喫緊の課題になっている中で、女性の活躍の時代、女性が輝く時代というようなことも言われるようになって、ぜひ女性が財政に関して様々な立場から意見を言える公聴会のようなものを開いていただけたらどうかという提案です。

というのも、9年前、平成18年、谷垣大臣のときに提案させていただいて、実際に全国各地から様々な分野の女性たちが約270名お集まりになって、それぞれの立場でご意見をいただきました。非常にいい会だったんですね。それまで全国公聴会、地方公聴会として、財務省の政策について、地方から様々にご意見をいただく会をやっていましたが、ほとんどが男性というか、おっちゃんたちが中心に座られているという状況でしたので、提案させていただいたところ、もう本当に活発な議論がなされた。ぜひこのタイミングで女性が輝くというような時代も踏まえ、またビジネスの分野も学究の分野も、私たちのような非営利の活動の分野も、女性たちがかなり頑張っておりますので、ぜひそのような意見が集約できるような会を考えていただければという提案です。よろしくお願いします。

〔 麻生財務大臣 〕 確か私、総務大臣をしておりましたので、谷垣でしたかね、9年か10年程前だったと思いますが、確かに地方でもそれをやらねばという話で、総務省に来られて、様々な話をしました。記憶が正確ではありませんが、覚えがあります。地方でも「へえ」というご意見が幾つか出たのを記憶していますので、歓迎します。よろしいのではないでしょうか。もう10年もたちますので随分ご発言される機会のある方も多かろうと思いますので、ぜひ発言者の選任といいますか、建設的な意見が出るようによろしくお願いします。

〔 竹中委員 〕 ぜひ女性の方、委員の皆さんもいらっしゃるので、コアメンバーをつくって事務局の皆さんにご相談しながらやらせていただきます。よろしくお願いします。

〔 吉川分科会長 〕 よろしくお願いします。

土居さん。

〔 土居委員 〕 先ほど大臣が来年度予算で、まさに「経済・財政再生計画」で決めたことを着実に実施していくというご決意をお示しになられて、私も大変心強く思いました。

ただ、そうは言っても、来年には参議院選挙があって、社会保障の話になると、高齢者の方々に迷惑をかけるようなことはなかなか表だってできないという圧力もかかってくると思います。ただ、我々もこの審議会の中で議論しているように、高齢者はみんな十把一からげに弱者ではないということですので、しかるべき高齢者の方にはしかるべきご負担をさらに今までよりもお願いするというようなことも、きちんと訴えていただきたいと思いますし、我々もそのサポートをさせていただきたいと思っています。そのような意味では、部分的にはなるわけですが、給付を抑制するということをいかに丁寧に説明して、国民の方々に理解、納得していただくかということを、ぜひ大臣に先頭に立ってやっていただきたいなと思います。

それから、先ほど角委員からもお話がありましたが、消費税の話です。私は軽減税率には反対ですが、複雑なことをするくらいなら、そもそも8%から10%に上げること自体やめてしまったらどうだというような意見も出始めているということに、大変強く懸念を抱いておりまして、安倍総理もおっしゃったように2017年4月には予定どおり10%に引き上げるということは少なくとも、何が何でも踏ん張っていただいて、大臣にはそこは崩さないというご決意をお示しいただきたいと思っております。

それからもう1点は、マイナンバーです。マイナンバーカード、この財務省案で出てきて、私は非常にいい問題提起だったと思います。もちろん、面倒くさいとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。マイナンバーカードそのものを手にしていない段階で想像するのは限りがあると。しかしながら、ICチップの入った21世紀型といいましょうか、新しい技術を使って我々の生活がよりよくなるということ、それから、マイナンバーというものは信頼できる制度であるということを、ぜひ大臣も先頭に立って訴えていただければと思います。

〔 麻生財務大臣 〕 まず、最初の話ですが、これは基本的には先ほど申し上げたように「社会保障と税の一体改革」の話であって、今後、医療や介護など様々な分野で社会保障にきちんと取り組もうと思ったら、今の人口構成上、今後税収の絶対量が現状維持では持続不可能。このことはもう明白ですので、その前提に立って考え出されたのが、今回の「社会保障と税の一体改革」です。一生懸命考えた香川は今日、告別式がありましたが、これはきちんと税との一体改革でやっておりますので、この部分はどうしても今回はやらねばならぬところだと思っております。

同時に、この10月から予定されていた消費税率の8%から10%への引上げを延期した最大の理由というのは、いま一つ景気がよくないという当時の判断と、当時のQEがマイナスに出た等々ということでした。引き延ばすということを決定されたのが昨年の11月ですが、これは基本的には、今、申し上げたような背景があります。「社会保障と税の一体改革」という文脈での消費税率の引上げはきちんと取り組んでまいりたいと私もそう思っております。

もう1点のマイナンバー、そして、軽減税率の話ですが、結構時間のかかった話だと思いますが、竹下大蔵大臣のときにグリーンカードを最初実施しました。法律も衆議院も参議院も通りましたが、結果としてはそれでも廃案です。それが過去の歴史ですので、私どもとしては、このようなものは時代と共に受け入れられる状況になるか、ならないかだと思います。ポイント制度を分かっていない人はたくさんいると思いますよ。今の方々がスーパーに行って、どのポイントが幾らたまったかというのを楽しみにしている人は世の中にたくさんいますが、ポイントって分かりますかと聞いて分からない人もたくさんいますから、やはり、ある程度このようなものが普及するには時間がかかる、それが1点です。

それから、やはり社会保険庁のあの騒ぎがありましたので、このようなものに対する信頼がないというのは事実です。社会保険庁の話に限らず、事実おかしなことがたくさん起きていますから、そのような意味でこうしたものに信頼がない人もいる。

3点目、やはりプライバシーの問題で、マイナンバーは、今考えられているものですと、きちんとセキュリティーも一応は大丈夫ということになっていますが、本当かという話はずっと尾を引きます。いずれにしても、マイナンバーの支給が始まって、それが定着するまでしばらく時間がかかるとすれば、仮に今、財務省が提案した案が最終的にまた、これしかないという話になったときにも、「10%時にやる」と書いてありますので、10%がどの程度続くかは別にしてそれまでの間にそれが実施できるようにするのであれば、マイナンバーカードと、軽減税率を導入する時期が1年ずれても、きちんと信用を得てからスタートさせたほうがより定着は早いだろうと思います。少し時間がかかるかもしれないとは思っておりますが、いずれにしても信頼できる制度ができないと、税の話ですから何となく税が簡単に危ないと、社会保険庁と同じような話と思われたら話になりませんから、きちんとした制度にしていかなければならないだろうと、私は思っております。

〔 吉川分科会長 〕 では、中空委員に、板垣委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。私はマーケット関係の業務に携わっていますが、最近はマーケットが非常に混乱しています。日計りで株価も落ちていきます。そして、つい最近、日本国債の格付が下がりました。格下げの理由を見ますと、財政再建ができるかどうか不透明である、景気もこのままではあまり効いてこないというようなことが書いてありました。言葉としては分かりますが、何ら変わった気はしないものの、格付が下がってしまえばこちらの資金調達コストが上がる話になってしまう。

そのような状況の中で中国が弱いといったように様々な問題があるのですが、外国人投資家の日本売りはこのところとても進んでいて、私も毎日のように電話をもらっています。そこで、私に代わって麻生財務大臣に答えていただきたいのですが、日本はこのまま悪くならないと。このような点がよくなるということをぜひ麻生財務大臣の口で言っていただければ、そのまま伝えたいと思うのですが。

〔 麻生財務大臣 〕 スタンダード・アンド・プアーズっていうプアスタンダードの会社がありますが、僕は何回も公式の場で言っていますし、本人たちにも直接伝えてありますので。以前、ボツワナの国債より日本の国債が悪いと書かれた格付けが出ましたが、そのとき日本の財務省として反応しました。今の日銀総裁の黒田が、当時の財務官の時に、格付会社への申入文章を書いて、大蔵省には英語のうまい人がいるなと思って読んだ記憶がありますが、あれ程度ですよ。格付というものは、失礼ですが、会社のその人たちの偉い人に聞いたことがありますが、それはしようがないと。全然悪いとも思っていない。なぜか?格付というのは、国の格付をしても儲からないから。当たり前のことだと言われて、なるほどなと。だから、そう思って見ていないほうがおかしいと。向こうはもう堂々としていますよ。はっきりしています。だから、そのような意味では、我々もそれを見て踊らされているほうがあほだなと思わないとしようがないのですが、少なくとも優秀な人たちは会社に頼まれて会社の格付をやる。これはきちんと収入になりますが、国はならない。もう全然悪びれた感じもありませんから。

だから、そういうものだと我々も思っておかないと、間違えてしまうと思います。別にスタンダード・アンド・プアーズに限らず、フィッチにしてもみんな同じようなものだと思っておかないといけないと思っていますので、日本の場合は比較対象の問題ですから、少なくとも我々は2008年のリーマン・ブラザーズの破綻のときも基本的には我々の被害は極端に少なかった。日本の銀行はほとんど引っかからなかった。極めて優秀と書いてありましたが、全然違いますよね。あれは日本の頭取が英語ができる人が少なかったからでしょう?だから引っかかる人が少なかったんですよ。僕はそう思っていますけれども。だから、あの難しい話、日本語で聞いてもよく分からない難しい話をじーっと英語で聞いて分かった人がいないから何となく怪しいと思って、みんな買わなかったというそれだけのことでしょうが。

結果として、日本は極めて財政がおかしいと言われながらも、あの格付が下がっても国債の金利は全然上がらなかったではないですか。だから、いかにあの程度のものが信用されてないかが分かりますよ。それをあおっている人たちに乗っけられているマーケットの皆さん方のほうに問題があると、僕は思っていますよ。だから、踊らせられないようにしておかないと、この種の話は我々としてはなかなか介入するわけにはいきませんから。株価については、200円、300円下がったり上がったりすると驚いていましたが、最近はもう500円下がって1,300円上がったりするものだから、もうそれは儲かっている人がいるのだろうとは思いますが。だから、そのような人たちがきちんと対応されていく以外に、我々のほうが一喜一憂しないようにしておかないとどうにもならないと。私は基本的にこれを何とかしろというと、すぐいきなり政府の介入だというのが皆さんだからね。だから、僕はそのような話はなるべく乗らないようにして、自分で確信して自分で見ないと間違って新聞を読んで株なんて買っていたら、それは間違いではないかと私は思っています。

〔 吉川分科会長 〕 どうも。では、中空さん、マーケットに正確にお伝えください。

〔 中空委員 〕 正確に。そうですね。

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員。

〔 板垣委員 〕 質問が2点ありまして、1点目の質問は中空さんに先取りされてしまいましたが再度、ずばりお聞きしますと、アベノミクスについては、成功しているとも失敗しているとも言えない状態にあります。若干、失敗濃厚という感じも私は個人的にしていますが、麻生財務大臣自身、このアベノミクスをちゃんとやっていける自信がおありなのか、あるいは、どの程度のスパンで物事を考えていらっしゃるのか、まだ言えないということでしたらそれでも結構です。これが第1の質問です。

もう1点は、景気の雲行きが若干怪しくなると、大体大合唱が起こるのが補正予算。我々がこれから予算編成の話をするときに、我々の理屈を乗り越えて突然補正予算が出てくることもありますので、年末にかけて補正予算をやれという圧力がかかりそうなのか、そうでもないのか、これが2点目。

〔 麻生財務大臣 〕 最初の話はまず我々として、アベノミクスは成功しているか成功していないかといえば、それはまだ発展途上、経過の途中だと思っています。成功している部分は、間違いなく企業収益が史上空前、全部少なくとも物価がマイナスだったものがほぼチャラまで来つつあります。そのような意味を見て、また、失業率、有効求人倍率いずれも全部上向きで、いわゆる経済指標で下がったものはあえていえば金利と失業率で、他のほとんどの経済指標はこの2年半で上を向きました。そのような意味では明らかにアベノミクスというものは、目下、成功しつつあると思っています。

予定外だったものとしては、やはり中国の問題は、我々の予想より少し早く起こったと思ったのと、ドイツ等々の話が、ギリシャで引っかかり、中国に突っ込み、そしてフォルクスワーゲンと3つかかった形になりましたので、ドイツの状況が我々の考えているより早く悪くなったかなと。思ったより、予想外の海外要因によるものが多かったという感じはしますので、それが1点。

また、石油の値段がさらに1バレル110ドル程だったものが、ドバイ、WTIいずれも40ドルぐらいまで下がり、半分どころか3分の1程度にまで石油は下がった。これは間違いなく、いわゆる2%という物価の目標にマイナス影響はあったと思いますが、経済全体としては間違いなくいい影響を与えていると思っていますから、この点も資源の輸入国にしてはよかったと思っています。

また、原子力発電所も川内が動き始めましたので、様々な意味で少しずつこのような動きが始まると、いわゆるエネルギーにかかりますコストが削減されますし、電力の需要が増えてもそれに応えるだけの安定した電力が、きちんと一定の価格で供給できる状況が確保されるということになるというのは、いずれも私どもとしてはいいことだと思っていますので、今後これをきちんと継続していけばいいと思います。我々から見ていると、一番の問題は、金融が出動して、財政が出動して、今度は民間の出動でしょう。それが常識だと思っていますが、なかなか民間の出動までには至っていない。

企業は、税金は安くしろとおっしゃるが、安くした税金で純利益がそれだけ増えるはずですから何をされるのですかと言えば、社内の内部留保は304兆円だったものが、1年間で328兆円になり、昨年1年間でさらに増えて354兆円となっている。それだけ増やしに増やして何をされるのですかね。僕はぜひ聞いてみたいと思うのですが、どなたに聞いても、いやあと言われるだけで、お金を借りているマネーサプライは、マネーを増やしても増えないという状況にあるのは事実です。そのような意味では、我々は、企業は銀行に貸しはがし、貸し渋りを食らった経験から、金はなるべく借りないで自前でやろう。昭和金融恐慌の際と似たような状況が起きておりますので、このような状況は企業側が自分で金をため込まないで、様々な活動をしようという活力がない限りは非常に難しいことははっきりしていると思っております。

2点目の質問で、補正の話ですが、我々は何に出すかが一番問題だと思いますね。マスコミは、新幹線は全部反対だった側ですから。ところが、金沢に新幹線が通ったら、どのようなことになるかというと、金沢に行かれたらご存じのとおりですが、とても泊まれるようなところはありませんよ。我々が行ってもどこにも泊まれませんから。明日、明後日といっても旅館はとれない、部屋はとれない、それほど人が増えている状況というのは、間違いなく外国人客が増えただけではなく、国内の需要が喚起されているということが、今の結果、1つの例です。したがって、公共事業といいますか、補正予算を何に使うかが問題であって、少なくとも民間需要が喚起されるようなものに使われるということは、僕は決して間違った方法だとは思っていません。

今、圧力があるかといえば、我々のところに私に向かって直接言い切る人はそんなにいませんから、だから、今の段階で幾ら出せ、何を出せという話が私に直接来ていることはありません。

〔 吉川分科会長 〕 麻生大臣、どうもありがとうございました。

お時間が参りましたので、この辺でフリーディスカッションは終えさせていただきます。

大臣はご公務のため、ここでご退席です。どうもありがとうございました。

〔 麻生財務大臣 〕 こちらこそ。ありがとうございました。

(麻生財務大臣 退室)

〔 吉川分科会長 〕 それでは後半、議事に移らせていただきます。まず「平成28年度予算編成に向けて」ということで、「戦後の我が国財政の変遷と今後の課題」について廣光企画官よりご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

〔 廣光主計企画官 〕 よろしくお願いいたします。例年、秋の財審でございますが、初回は、歳出各論に入る前に総論として最近の財政をご説明しておりました。今年は戦後70年の節目の年でもございますので、戦後70年に焦点を当てて、我が国の財政運営と節目ごとにおける財審の建議を振り返りながら、中長期的に我が国財政の運営について整理をいたしております。

資料を1枚おめくりください。全体の構成でございますが、まず我が国財政の変遷を振り返った上で、節目ごとにおける財審の建議をご紹介いたします。その上で、財政の景気調整機能の観点からの検証、特にバブル期の財政運営の検証をいたします。それから、主要歳出分野における財政の成果と今後の課題、特に一般歳出の4割を占める社会保障関係費、社会保障制度の変遷に焦点を当てます。最後に、これまでの財政の歩みから今後の財政運営の教訓を引き出して、論点として整理いたします。

2枚おめくりください。A3判の紙がありますので開いていただければと思いますが、3ページでございます。いわゆるワニ口のグラフでございまして、これを戦後70年でみたものでございます。

戦後財政でございますが、後程ご説明いたしますが、終戦直後のハイパーインフレーションによって均衡財政でスタートしております。高度経済成長、それから、固定相場制のもとで昭和40年度まで約20年間は均衡財政を継続しております。この過程で我が国の社会保障制度の基礎となる国民皆保険・皆年金制度を確立しております。

東京オリンピックの後、40年不況を契機に歳入不足を補填するため補正予算で特例法を制定して特例公債を発行しております。

その後も変動相場制への移行が進む中で、昭和50年度までは、財政法に基づき建設公債の範囲内で公債を発行してまいりましたが、昭和48年の老人医療無料化を推進した福祉元年や、第一次石油危機を受けて、財政危機宣言を発しまして、昭和50年度より特例公債を発行しております。翌年度より、特例公債脱却に向けた財政再建に取り組みますが、脱却目標達成には15年を要しております。この過程では増税なき財政再建の方針のもと、土光臨調を立ち上げまして、行政改革を推進するとともに、予算面ではゼロ・シーリング、マイナス・シーリングが実施されまして、徹底した歳出改革が推進されております。

このような取組のもとで、平成元年には消費税が導入され、翌年、バブル経済のピーク時の平成2年度には特例公債からの脱却を達成しております。

他方、同時期でございますが、世界的な景気低迷や国際収支不均衡問題を背景とした機関車論、それから、プラザ合意を受けた円高対策等、積極財政が求められました。当時の財政運営については後程検証いたします。

その後、バブル経済は崩壊いたしまして、税収はピークアウトしております。平成6年度には特例公債の再発行に追い込まれまして、社会保障関係費の累増や税収の低迷を背景に、特例公債が常態化し、四半世紀が経過しているといった状況でございます。

財政健全化の取組でございますが、平成9年度の財政構造改革法など、手法を変えて継続してきておりますが、平成18年度からはPB黒字化目標を設定いたしまして、リーマン・ショックで目標期限の延期を行っておりますが、平成27年度にはその中間目標であるPB赤字対GDP比の半減目標をクリアする見込みとなっております。

しかしながら、財政状況は悪化をしておりまして、政府債務残高は1,167兆円となっている状況でございます。

1枚おめくりいただければと思います。戦後財政でございますが、その推移をGDP比で見たものでございます。4ページでございます。緑が債務残高対GDP比、紫の棒グラフが新規国債発行額の対GDP比でございまして、折れ線グラフがいわゆる公債依存度でございます。これを見ましても、昭和50年代半ばに国債発行は高水準に達しております。ただ、その後の歳出改革、バブル期の高成長によって財政健全化が進められまして、特例公債から脱却しているということが読み取れます。

しかしながら、特例公債の発行が再開されまして、社会保障関係費の継続的な増加を背景に公債依存水準が上昇し、高水準に達しているといった状況でございまして、リーマン・ショック後には一時、新規国債発行額が税収を上回る異常事態に陥っているということでございます。

次のページ、めくっていただきますと5ページでございますが、戦前の財政についてワニ口の表をつくってみたものでございますが、物価上昇の影響が大きく、ワニ口というよりはヘビ口になってしまっていますので、対GDP比で見たほうが分かりやすいと思いますので、次の6ページをご覧いただければと思います。

6ページ、戦前の財政でございますが、廃藩置県、それから、地租改正によって財政基盤が確立されておりまして、一般会計ベースでは約20年にわたって均衡財政ということでございました。ただ、明治28年の三国干渉を受けた富国強兵策の強化を契機に、明治29年度以降、公債発行が常態化しているということでございます。

ただ、日露戦争、それから、関東大震災、昭和金融恐慌時に発行額は増えてはおりますが、一時的でありまして、全体として残高の累増を抑制しまして健全財政を維持しているということが読み取れます。

しかしながら、満州事変、五・一五事件や二・二六事件を契機に、軍事費が増加をいたしまして財政規模が拡大しました。日銀引受けを含めまして大量の国債を国内で消化したということでございまして、第二次世界大戦末期の昭和19年度には、政府債務残高対GDP比は204%になっているというものでございます。

次のページで、7ページでございますが、A4判の紙に戻っていただきますが、今、ご説明いたしましたが、戦前と戦後の財政でございますが、債務残高対GDP比が非連続になっているということでございます。実態として、先に申し上げますと、終戦後のハイパーインフレーションによって実質的に債務が目減りしているというのが実態でございますが、終戦直後の混乱期においては様々な政策対応がなされていますのでご紹介いたします。

資料の下段をご覧になっていただければと思いますが、終戦直後の昭和20年11月5日でございますが、財政再建計画を閣議了解しております。これは国民の財産に幅広く財産税等の1回限りの特別課税を課して、国債の償還財源に充てるというものでございます。GHQとの調整を経て規模を縮小して実施されておりまして、最終的には5年間累計で487億円の特別課税を実施しているものでございます。

同時に上段でございますが、悪性インフレーションの進展を阻止するための措置として、「預金封鎖」、「新円切替」を柱とする金融危機対策を実施しております。

次のページ、ご覧いただければと思います。8ページでございます。結果的な姿でございますが、この時期の債務残高対GDP比の縮減の要因分析を行いました。昭和19年度には204%だった債務残高対GDP比でございますが、終戦直後の昭和21年度には56%、昭和25年度には14%まで低下しておりまして、その要因分析をしましたところ、その主な要因は黄色のインフレーションの部分でございました。この時期、名目GDPは5年で45倍ということになっておりまして、他方、先ほど申し上げました財産税等による債務削減策、グリーンの部分でございますが、限定的になっているということでございます。

次のページ、ご覧いただきますと、9ページでございますが、今、申し上げた終戦直後の混乱期の政策対応における考え方について若干の資料をご紹介したいと思います。1つが昭和20年11月5日の閣議における「財政再建計画大綱要目」の説明要旨でございますが、ポイントに下線を引いてございますので簡単に読み上げます。「今日我ガ国民ノ財産総額ハ現在幾何ニ達スルヤ遽ニ推断ヲ下シ得ザルモ、概ネ四、五千億円ト推定セラルル処、其ノ中千五百億円乃至二千億円ハ国債ノ累積等ニ基ク謂ハバ身ノ無キ財産ト考フベキモノナルベシ」、「謂ハバ身ノ無キ財産トシテ国民ノ懐ニ在ル資金ヲ大規模ニ吸収シ物ト金トノ均衡ヲ回復スルノ要アリト認メラル」、「先ヅ以テ大幅ニ国債ノ償却ヲ行ヒ莫大ナル国庫ノ重荷ヲ整理シ以テ今後ノ財政収支ノ均衡ヲ容易ナラシムルノ基盤ヲ造成スルコト絶対必要ナリ」ということでございます。

次のページ、めくっていただきますと、昭和21年2月16日の金融緊急措置いわゆる「預金封鎖」を行った際の当時の大蔵大臣の談話を載せております。ポイント、下線のところを簡単にご紹介いたしますと、読み上げますが、「政府ハ、ナミナミナラヌ決意ヲ以テ、敗戦日本ヲ建テ直ス為ニ、各方面ニ亘ツテ、ホントウニ思ヒ切ツタ、シカモ、総合的ナ一連ノ緊急対策ヲ、断乎トシテ、実施スルコトニ決意シタノデアリマス」、「皆サン、政府ハ何故コウシタ徹底シタ、見ヤウニ依ツテハ乱暴ナ政策ヲトラナケレバナラナイノデセウカ、ソレハ一口ニ謂ヘバ悪性インフレーシヨントイフ、国民トシテノ実ニ始末ノ悪イ、重イ重イ生命ニモカカワルヤウナ病気ヲナオス為ノ已ムヲ得ナイ方法ナノデス。従来カラ、悪性インフレーシヨントイフ言葉ハ、我ガ国デモ盛ンニ論ゼラレテ来マシタ。併シ乍ラ、ソレハ兎モスレバ第一次戦争後ノ「ドイツ」トカ、又ハ最近ノ「ギリシャ」トカノ川向フノ火事ノヤウニ聴キ流サレ勝チデシタガ、ドウデセウ、此ノ頃ノ我ガ国ノ国民生活ノ現情ハ、サラヌダニ無理ニ無理ヲ重ネテ来[我]ガ国ノ経済ハ、敗戦トイフ悲シイ結末ニ伴ツテ、莫大ナ資源地帯ヲ喪失シ殊ニ食糧事情ハ逼迫シ」云々ということでございます。

次、11ページをめくっていただきますと、戦後の話に移ってまいります。戦後の歳出構造の変化を概観しておりますが、戦前は軍事費が予算の大層を占めておりました。戦後につきましては、防衛費のシェアが大幅に低下いたしまして債務負担が軽減される中で予算を幅広く政策経費に充てているということでございます。

中でも見ていただきたいのが、社会保障関係費でございまして、福祉国家を志向しましてシェアを継続的に拡大したということでございます。実際にみますと、昭和48年の老人医療費の無料化を柱とする福祉元年後、歳出増額に占める割合が15%前後から20%程度まで急速に増大をしております。その後の老人保健制度導入などの効率化の取組により、一時的にシェアは低下しておりますが、平成に入りまして高齢化の進展に伴って再び増加速度が加速し、現在1/3を占めるといった状況でございます。

あと、社会保障関係費の増加に伴う特例公債の累増に合わせまして、国債費のシェアも増加を続けておりますが、バブル崩壊後の低金利の継続によりまして、伸びは抑えられているといった状況が読み取れます。

次のページ、12ページをご覧いただければと思います。これまで戦後財政の大きな流れを振り返ってまいりましたが、その過程で財審からいただきました建議について簡単にご紹介したいと思います。

13ページ、ご覧ください。財審でございますが、昭和25年に大蔵省に設置をされております。昭和40年に国債発行の開始という政策転換の際に、会長は民間から出ていただくとともに、調査審議事項を広く財政運営の基本問題に拡充しております。昭和42年からは次年度の予算の建議をいただく現在のスタイルになっておるということでございます。

節目ごとにおける報告の内容を、以下ご紹介いたします。14ページでございます。まずいわゆる40年不況、山一証券の最初の破綻の際の不況でございますが、その際に公債発行への方針転換を図った際の報告でございます。下線部、簡単にご紹介いたしますと、「本来、健全財政とは、その規模、内容において国民経済とバランスがとれた財政をいうのである。この意味での健全財政の原則は、公債を発行するようになっても、あくまで守らなければならないものであり、いやしくも公債発行によって財政の放漫化を招き、ひいては経済の過熱を誘発するようなことは厳に戒めなければならない。」、「公債を発行する場合でも、財政の健全性を維持する必要があることは当然であるが、そのためには、経常歳出はあくまで経常歳入でまかなうという原則を堅持し、健全な公債政策をとることが前提となる。すなわち、財政法第4条に規定する公共事業費等の範囲内で公債を発行することは、いかなる場合でも守るべき大原則としなければならない。」ということでございます。

次のページをご覧いただきますと、15ページでございますが、昭和48年の福祉元年に向けまして社会保障制度の充実が課題となっていた時期の建議でございますので、ご紹介いたします。下線部でございますが、「社会連帯の観念に基づく以上、そこには応能と応益との調和が図られなければならない。」、「『ゆりかごから墓場まで』というのは、国の責任であってもそれは座していて得られるものではない。いわんや働かざるものの楽園を意味するものでないことはいうまでもない。」と。1つ飛ばしていただきまして、「社会保障制度は長期にわたるものであり、その充実は長期にわたる見通しの下に行なわれなくてはならない。」ということでございます。

次のページ、16ページがいよいよ福祉元年に向けての昭和46年の建議でございますが、当時の高齢者像というものがここで出てきております。下線部を見ていただきますと、「老令者は経済発展の恩恵にあづかることが少なく、自らの収入により生計を維持できるものは約4割程度に過ぎない状況にある。」、「戦後の荒廃から立上り、今日のわが国経済繁栄の基礎を固めた老人に対し、経済発展の成果を還元してゆくことは、次代をになう国民のいわば責務であると考えられる。」、「若い世代を含めて国民が老人問題をやがては到来する自己の問題としてとらえ、公的負担を分担する意識を持つとともに、国民の所得が向上した今日、自ら老後生活に備えるという社会的気風を醸成していくことが肝要である。」ということで、戦争を経験しない世代には自助を促しているということでございます。

次のページ、17ページでございますが、昭和51年度における特例公債脱却目標の設定から15年を要して、平成2年度に目標を達成する過程での建議でございまして、上が目標年限を昭和55年度から昭和59年度に先送りした際の建議、下が昭和59年度脱却を断念した昭和59年の建議でございます。

次、めくっていただきますと、18ページでございますが、目標達成を見据えた平成元年の建議でございます。

これもめくっていただきまして、19ページにお進みください。平成2年でございますが、「特例公債依存体質脱却後の中期的財政運営の在り方についての報告」として出されたものでございます。下線の2つ目でございますが、「昭和48年度の『福祉元年』以来の福祉の拡充等財政に対する需要はますます増大する趨勢にある一方で、従来のような税収の伸びは期待できなくなったため、歳出と歳入の差額が特例公債を含む多額の公債発行という形で顕在化したものである。」、また一番下の下線部でございますが、「特例公債依存体質からの脱却は、財政改革努力とともに、最近における景気・税収の好調等にも恵まれたことにより達成されたものであることを十分認識し、景気・税収の好調が今後とも続くことを期待して財政運営が安易に流れることを慎み、一刻も早く本報告が示しているような財政体質を作り上げるよう努力すべきであると考える。」ということで、警鐘をならしていただいております。

20ページ、4年後の平成6年度には特例公債の発行再開に追い込まれているわけでございますが、その際の建議でございます。上のほうの線の部分でございますが、「特例公債を発行することは、歳出は経常的な収入で賄うという財政法の基本原則に著しく反し、かつ、後世代に資産を残さず、他方で利払費等の負担だけを残すこととなり、世代間の公平という観点からも問題がある。また、ひとたび特例公債を発行すると、歳出増加圧力に対する歯止めが無くなり、財政状況の急速な悪化への道を開くこととなりかねない。」ということでございます。

21ページでございますが、橋本内閣での財政構造改革ということでございまして、その際の建議でございますのでご覧になっていただければと思います。

22ページにお進みください。以降、戦後財政について幾つかトピックスを取り上げまして分析したいと思います。まず、景気調整機能についてでございます。

23ページをお開きください。下部にあります表を見ていただきたいと思いますが、景気変動局面ごとに民需の成長への寄与度と、公需の成長への寄与度の共分散をとっているものでございます。これがマイナス、つまり▲であるとすれば民需と公需が逆の動きを示しているということになりまして、カウンターサイクリカルに財政が景気調整機能を果たしているとみることができるわけでございます。戦後でございますが、旺盛なインフラ需要や社会保障制度の整備を背景に、昭和50年度頃までは景気動向にもかかわらず継続して財政規模が拡大してきておりますが、その後については、基本的には景気調整機能が機能しているようにみることができるのではないかということでございますが、ピンクで示しております昭和62年度から平成3年度にかけてのバブル期においては、民需の拡大とともに公需も拡大していたという傾向がみられるのではないかということでございます。

次のページ、めくっていただきますと、バブル期に焦点を当てて財政スタンスを検証しているものでございます。左側を見ていただきますと、これは景気循環調整後のPBの変化分であるフィスカルインパルスという概念がございまして、それを算出することによって裁量的な財政政策による財政スタンスを検証してございます。具体的にグラフを見ていただきますと、税収の自然増など景気変動に伴う自動的な収支変動要因を取り除いたのが、青線の景気循環調整後のPBでございまして、これを見ますと、昭和62年度以降、景気循環要素を除いたPBが悪化していることが分かりまして、すなわち昭和63年度以降、拡張的な財政政策がとられていたことが読み取れるということでございます。

右側のほうが分かりやすいかもしれませんが、一般会計税収と一般歳出の推移をみたものでございまして、トレンドとして自然増収に伴って、物価上昇率が書いてございますが、物価上昇率以上に歳出が伸びていたことが分かるのではないかと思います。この時期でございますが、国際的な対外収支不均衡の是正が求められておりまして、プラザ合意、それからルーブル合意を受けまして、国内的には円高対策が求められていた時期でございまして、そのような要請に応える対応であったと考えられます。

次のページ、25ページ以降が、主要経費について戦後財政の成果と課題について整理をしております。

26ページご覧になっていただければと思いますが、まず社会資本整備のうち道路でございますが、高度成長に伴いまして急速に整備が進んでまいりましたが、近年、人口減少、それから公共交通網の整備に伴いまして全体的にピークアウトしているといった状況でございます。

27ページが住宅でございまして、これも似たような傾向がみてとれます。左のほうにありますが、住宅数と世帯数は逆転をしているといった状況で、量的には十分整備されているという状況かと思います。

次は28ページ、汚水処理でございますが、これにつきましても既に9割の人口ベースで汚水処理施設が整備されているといった状況に来ているということでございます。

29ページが教育の関係でございますが、これも左のほうを見ていただければと思いますが、児童生徒数は平成に入ってから30%減と。ただ、教職員定数は9%減でございますので、児童生徒40人当たりの教職員数が40%増というものでございます。

次のページが30ページでございますが、年金でございます。長寿化が進展しておりますので、左下を見ていただければと思いますが、年金の支給開始年齢時における平均余命が、国民年金でみますと戦後男性で8年弱、女性で10年強伸びているということでございます。このような状況等も踏まえまして社会保障改革プログラム法等に基づきまして、記載の事項について検討する必要があるということでございます。

31ページが医療についてでございますが、これも平均寿命が大幅に伸びておりまして、現在は世界最高水準の平均寿命ということでございます。健康寿命でみても世界最高水準でございます。一方で、右の図でございますが、医療費の伸びは欧州諸国と比較しても大きくなることが想定されていると。給付範囲の見直し、サービス単価の抑制、負担能力に応じた公平な負担、医療提供体制の見直し等の制度改革が必要といった状況でございます。

32ページをめくっていただければと思いますが、社会保障制度についてロングスパンで整理をしているものでございまして、33ページ、ご覧いただければと思います。社会保障関係費の推移でございますが、戦後復興と高度経済成長とともに社会保障制度が確立されてきまして、昭和36年には国民皆保険・皆年金制度が確立しております。ちなみに、国民皆保険・皆年金制度の法整備は岸内閣でやっておりますが、その後、歴史的な昭和48年の福祉元年での社会保障関係費の28.8%の増を経まして、平成12年の介護保険制度の導入等、制度が充実し、高齢化の進展に伴って社会保障関係費が増嵩しているということが読み取れます。

34ページでございますが、社会保障関係支出の伸びを主要先進国で比較しているものでございます。OECDの統計でございますが、比較可能な1995年以降について示しておりますが、青の棒グラフが社会保障支出の対GDP比でございます。これを見ますと、日本は急速な高齢化とともに社会保障関係費も伸びておりまして、各国とも同様の傾向ではありますが日本の伸びが突出している状況でございます。ただ、ドイツについてみていただきますと、急速に高齢化は進んでいますが社会保障関係費の対GDP比はむしろ低下しておりまして、これはいわゆるシュレーダー改革によるものもあると考えられます。

次のページが、35ページでございますが、社会保障給付費の推移と人口構造の変化でございます。福祉元年で急伸しまして、老人保健制度導入である程度落ちつきまして、その後急伸するというパターンが読み取れます。見ていただきたいのが、下から3つ目の高齢者の終戦時の年齢の欄でございますが、先ほど昭和46年の福祉元年に向けた財審の報告書をご紹介いたしましたが、その中でも「戦後の荒廃から立上り、今日の我が国経済繁栄の基礎を固めた老人に対し、経済発展の成果を還元してゆくことは次代をになう国民のいわば責務である」と書かれておりましたが、昭和40年前後の高齢者は戦争を経験し、戦後ハイパーインフレーションで財産を失い、戦後高度経済成長の恩恵を十分に受けられなかった世代であって、全体として弱者とみることができようかと思います。しかし、これからの高齢者は戦争を経験していませんし、高度経済成長の恩恵も受けておりますので、全体としては資産を蓄えてきたとみることもできるのかなと思います。

36ページが医療費の推移、それから死因の順位の推移を見ておりますが、全体的な傾向は先ほど述べたものと同じでございますが、疾病構造の変化が読み取れまして、病気と共存しながらQuality of Lifeの維持・向上を目指す医療ニーズが増加していると。このようなニーズに対応する見直しが必要ということかと思います。

次のページが37ページでございますが、先ほど財審の報告で昭和43年のものをご紹介いたしましたが、長期の見通しが重要という報告がございました。しかしながら、福祉元年、昭和48年においても、その後においても、結果的に見通しは楽観的であったことが確認できまして、左が見通し、右が実績でございますが、これを比較いただければと思います。

38ページが、国債とりわけ特例公債の常態化の要因を少し分析したものをつけておりますが、左側で、社会保障関係費の増高が主要な要因として整理されておるということでございます。

39ページを見ていただきますと、社会保障給付費に焦点を絞りまして、国・地方ベースで社会保障の公費負担がバブル期以降どの程度政府債務累増の要因になったかを整理しておりますが、棒グラフは社会保障給付費における国・地方負担の合計から国・地方の消費税収を差し引いたものの推移ということでございます。消費税が社会保障財源化されておりますので、受益と負担のバランスが改善されている面はありますが、依然として高い水準でアンバランスが残っております。この構造を放置していては国民皆保険・皆年金制度の持続可能性を維持することが困難ではないかと思います。

次、40ページでございますが、これは度々使っておるのでございますが、受益と負担のバランスをOECDで国際比較したものでございまして、縦の線が受益、横の線が負担でございますが、平成2年、1990年頃までは受益と負担がバランスしていたとみることができるかと思いますが、それ以降、急速に銀河の帯の中から外れてしまっている姿が確認できるかと思います。

次、41ページ、最後でございますが、人口ピラミッドについて改めて確認させていただいております。現在、2015年でございますが、日本の人口構造、実は国際的に例を見ない水準に既に高齢化が進展しておりまして、比較できる国がないということでありました。30年後の2045年の姿をつけておりますが、国内に該当する市町村を機械的に探してみましたが、例えば、長野県の野沢温泉村や東京都の新島村ということでございまして、相当に高齢化が進展した社会を覚悟して、これからものを考えていかなければならない状況かと思います。

最後に2枚めくっていただきまして43ページでございますが、ご議論のために論点整理をさせていただきましたので少しご紹介したいと思います。

最初のポツでございますが、我が国財政は、戦後、均衡財政でスタートし、我が国の社会経済の発展・成熟に大きく貢献してきたが、バブル崩壊以降、特例公債の発行が常態化と。財政の持続可能性、世代間の公平、人口減少等を踏まえると、財政健全化を着実に進めていくことが不可避であると。2020年度のPB黒字化は財政健全化の一里塚にすぎず、中長期的には、財審の最初の財政運営に関する報告に示された、「経常歳出はあくまで経常歳入で賄うという原則を堅持し、健全な公債政策をとる」という基本を見据えた財政運営が必要ではないかということでございます。

2つ目のポツでございますが、戦後、特に1980年代後半のバブル期の財政運営をみると、経済状況が良好なときこそ、歳出を抑制し、財政健全化を着実に進めることが必要ではないかと。このような財政運営が、景気変動の増幅を抑制し、持続的な安定成長に資するとともに、経済ショックが生じた際の対応力を確保することにつながるのではないかということでございます。

3つ目のポツが長期的な視点から分析しています。我が国の経済・社会環境は大きく変わっておりまして、制度本来の趣旨に立ち返った抜本的な見直しが必要であるということでございます。

4つめのポツが社会保障でございますが、昭和36年の国民皆保険・皆年金制度の導入以降、国民生活の向上に大きく貢献してきていると。戦後70年を経て、弱者と捉えられてきた高齢者像が大きく変わっている一方で、現役世代、さらには将来世代に負担が先送りされていると。団塊の世代が後期高齢者となり始める2020年代初には人口構造が一段と高齢化することを踏まえれば、世界に冠たる国民皆保険・皆年金制度の持続可能性を確保するための制度の見直しが急務であるということでございます。

最後のポツが社会保障制度以外でございますが、戦後、社会経済基盤の充実が図られてきており、歳出抑制が必要ではないかということで、論点、問題提起として整理をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、ただいまのご説明に関連して皆様方からご意見を頂戴しますが、まずはそれに先立ちまして、貝塚名誉所長から何かご発言をいただけますか。

〔 貝塚財務総合政策研究所名誉所長 〕 私はかなり以前ですが財政制度審議会の会長をやっていたということもありまして、昔のことを思い出しましたが、ちょうど私が最初にこの財審に出たときの会長は桜田さんでして、今から考えるとやはり戦後の財界の人のある種のすごみがあって、ある意味では大したものだと思いました。それ以降、財審はかなり変わってきたわけですが、私自身は、過去の経緯を眺めると、やはり日本が財政赤字になったときに、それをどのように受け取るかは微妙で、その辺のところは平成財政史、昭和財政史の研究所のもろもろから見つける。それを見ますと結構、ある意味では簡単だから、赤字国債で歩かせるか、建設国債でその分を調達するかということで、結局赤字国債という形にしたわけですが、その後、日本の財政はかなり好転した時期もありますが、依然としてかなり債務を抱えているという状況がずっと続いております。ただし、日本の財政はこのような点が非常に力説されることもあるのですが、先進諸国の状況を見ると、これは大体ほとんどの国がうまくいっていないといいますか、赤字は非常に増えております。場合によっては、まさに財政危機になっている。ヨーロッパが相当ひどい状況ですかね。日本はある意味では数字的には悪いといえば悪いのですが、日本に関しては、現時点で、スペキュレーションにより日本の財政がおかしくなるという見方は、あまりないのではないかと思います。逆に言えば、相対的にほかの国で非常に財政状況が悪い国が増えたということでもあります。

日本の場合、財政に関していえば、やはりそこに関わる経済主体がなるべくならば財政から補助金、あるいは、負担を減らしてもらいたいだとか、そのような要望が非常に強いことは否定しがたいのですが、ただし、その点はある種の財政のディシプリンというのはやはりきちんと留保条件をつけて行っていく必要があるかと思います。私は財政学者ではありますが、昔の財政学者というか、より古い財政学者の人とはかなり違いまして、やはり財政というのは基本的には経済全体の中での財政ですと。経済自身がうまくいくことがかなり重要で、財政だけで全て経済のおかしなことを直すということはもともと無理な話です。ですから、基本的には、アベノミクスがどの程度成功しているかも様々な見方はありますが、やはり日本経済全体が順調に進行していくということが重要と考えています。

〔 吉川分科会長 〕 貝塚先生、どうもありがとうございました。

では、どなたからでも。いかがでしょうか。

冨山さん。

〔 冨山委員 〕 どうもありがとうございます。絶対、先生は覚えていないと思いますが、私、昔、貝塚先生の授業をとっておりまして、その他大勢の方、実は優をいただいております。

そちらは少し置いておいてですね、今日の説明の34ページ目のドイツと日本の比較の議論、私は、今、貝塚先生が言われた、その経済成長との関係で重要な問題提起があると思っておりまして、ドイツは債務残高対GDP比が抑えられているわけですが、これも指摘にあったシュレーダー改革があって、シュレーダー改革は多分、2軸あって、1点は社会保障改革で歳出を抑制したという側面と、もう1点は労働市場改革とやはりコーポレート・ガバナンス改革を行って経済成長率を引き上げたことで、いわゆる構造改革をきちんと行ったということがあると思っています。それで、私の記憶が間違っていなければ、確か1990年代の終わり頃は、大体、日本とドイツの名目GDPはドルベースで2対1程だったはずのものが、今は10対8程のところまで縮まっているわけです。それで、同じくドイツも高齢化しているということは、実は高齢化の議論は言い訳にならないわけで、要はなぜこれ程追いつかれたかというと、やはり1人当たり生産性がドイツは激しく伸びたが日本は全く伸びてこなかったということが、背景にあるような気がするのですが、この実際の数字の寄与として、どちらがどの程度効いているかというのは、今すぐ分からないですかね。社会保障の歳出抑制サイドと経済成長サイド。もし分かれば教えてください。

〔 廣光主計企画官 〕 可能な限りとなりますが、おっしゃっているようにドイツは比較的成長を続けていたのは事実でありまして、それぞれの円、ユーロという通貨ベースの数字になりますが、日本は1995年度が名目GDPが500兆円強あったわけでありまして、今、現在でも2014年度で490兆円強ということで、ほぼフラットでございます。他方でドイツでございますが、1995年で1.9兆ユーロであったのが、2.9兆ユーロということでございますので、1.5倍程になっております。ですから、今、ドイツの社会保障支出の対GDP比率がそれほど伸びていない、抑えられているということの1つの要因としては、ご指摘のようなこともあろうかとは思いますが、ただ、ドイツの場合には日本に比べれば高齢化の進展度合いがまだまだ抑えられているということもございますし、それから、例えば、介護保険給付の対象は要介護3以上、それから、介護保険の保険料は年齢制限なく全ての給与所得者から取る、あとは、これも介護の話でございますが、給付の定額制、そのような日本ではまだできていないような制度となっております。

〔 冨山委員 〕 1点だけ済みません。解釈をし直すと、要するに財政もきちんと絞っていて、かつ、経済成長させるということは、ドイツの経験でいうと、財政を抑えても税金を使わなくてもやることをちゃんとやれば経済は成長すると理解していいのですよね。

〔 吉川分科会長 〕 経済は財政だけではないということでしょうね。日独だとおそらく交易条件の違いなどもあるかと思います。そこら辺、事務局に調べていただくとして。

〔 田辺委員 〕 今、事実関係だけですが、ドイツの件は僕も気になったのですが、1つは失業給付があるのではないですかね。景気がよくなってきて、先程ご説明があったような要因というのは、ずっと最初からあったわけで、伸びていないということに関しては必ずしも説明にならない。伸びていないとすれば、ドイツだとやはり景気がよくなってきて失業率が下がったことがきいているというような気がします。

〔 吉川分科会長 〕 日独については、事務局に簡単に調べていただくとして、土居委員、老川委員、末澤委員、小林委員。

〔 土居委員 〕 ありがとうございます。大変、歴史の流れがよく分かる資料で、私も勉強になりましたし、改めて我が国財政を振り返ると、これから先のことを見据える上で様々な重要な視点があったなと思います。

1点、まずバブル期の話ですが、先程の資料のご説明にもありましたように、歴史にifはありませんが、願わくばバブル期にもう少し政府債務残高を減らせていれば、ここまで苦しむことはなかったのになと思うわけであります。もちろん過去のことを振り返って、ないものねだりをしても仕方がない話でありまして、むしろ、逆にこれからのことを考えますと、2020年度にPBを黒字化に向けて、景気がよかったからと言って、それが必ずしも収支改善ないしは債務残高の抑制につながらずに、財政支出の拡大に振る舞ってしまうというようなことになれば、それはまるでバブル期の繰り返しになると思います。収支改善はもとより、収支が黒字になったとしても、その黒字分を決してばらまきで振る舞うということではなくて、債務残高の着実な抑制というものにつなげていかなければ、バブルのときの教訓を踏まえたことにはならないと思います。

それから、もう1点は、医療費の資料が35ページ、36ページにありますが、ちょうど老人医療費無料化をしていた時期の、福祉元年から老人保健制度導入までの間に債務残高対GDP比がかくなる程にまで増えているということであります。しかし、実はその下にありますが、高齢化率はたった2%しか上がっていなかったと。にもかかわらず、これだけ対GDP比で社会保障給付費が5%以上の増加になっているということは、老人医療費を無料にして受診が過剰に行われていたということの裏返しであろうと思います。で、これを止めたのが老人保健制度であり、老人保健制度によって一部自己負担が入り、それによってかくなるほどの増加率にはならずに済んだということは、確実にあったと思います。今、もちろん様々な配慮で、幼児医療費無料化というような話もありますが、その反面で小児科医は過剰受診で疲弊しているという話もあるということですから、やはり今後の医療のことを考えると、適正な受診が促されるような医療提供体制の見直し、患者負担のあり方や保険料負担のあり方もきちんと考えていく必要があるということが、この歴史的なデータを見ても、非常に含意のある話かと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、老川委員、お待たせしました。

〔 老川委員 〕 このご説明を伺って、戦前の軍事費の増大、それから戦後の大混乱という印象が非常に強かったのですが、戦後のあの大混乱の中でも財政再建の努力が行われていたということは、非常に印象的で、現在の政治状況、財政に対する緩みと言いますかね、そのようなものをやはりきちんと立て直さなければいけないとつくづく思いました。

それで、38ページの歳出の増加要因、この左下の図を見て改めて感じることが2点ありまして、1点は、今、土居委員もおっしゃった、社会保障関係費がとめどなく増えてきているということで、他の要因は努力によってかなり減っている部分もあるわけですが、社会保障関係費が減る傾向が非常に少ない。ここでどうすべきかということは、既に「骨太の方針2015」の中でも社会保障分野については44項目にわたって具体的に指摘がされておりますから、一々それは当然やらなければならないことばかりだと思うのですが、やはりメリハリがないと言いますか、何が一番大事なのかと、この辺りがまだあまり国民レベルで理解が進んでいないのではないかという感じがします。で、この会議でも私、何回か申し上げたことがありますが、減らすことももちろん大事ですが、減らそうと思えば減らせるのに実行されていないことが多い。例えば、予防医学によって糖尿病、人工透析を減らすというだけでも、相当の財政が軽くなる。人工透析は1人に年間500万円もかかる。で、そのような人が10人減ればそれだけで5,000万円ですね。予防医学によってどの程度社会保障関係費が減るかというデータはあまりないとおっしゃる方もいますが、それはあまり取り組んでいないから実績がはっきりしないだけで、理屈から考えただけでも減らすことは十分可能だと思いますので、そこら辺をしっかり国民運動として展開していく必要があるのではないかと。これは患者自身にとっても大事なことだと思います。

それからもう1点、ここで注目したいと思うのは、公共事業関係費が現在ではほとんど伸びていない、それどころか減っていて、ほとんど問題にならない。これも当然だと思いますが、それは既に公共事業がやるべきことがほとんど行き渡ってしまったからということだと思いますが、我々の意識の中に、依然として何か公共事業イコール悪というイメージがあって、公共事業関係、公共投資に金をつぎ込むということはあってはならないという思い込みがあるような気がするのですが、現実には僕は新しく様々な設備をつくるということよりも、維持・更新をはじめとしたインフラの整備をきちんとやっていかないと、大事故が起きて人命も失われ、かえって社会的な損失も大きいと思います。これは単に財政的な措置の話だけではなくて、人材の育成、これは前に黒川委員から四国大橋のメンテナンスのことでお話があったと思いますが、相当技術、技能は高度のものが要求されるということでありますから、必ずしも、一過性の、震災でそちらに人がとられているからそれが収まればまた戻ってくるといったことではなくて、やはりメンテナンスを中心としたインフラ整備ということは恒常的に必要とされることだと思いますので、そのような面も含めて金を使うところは使うということがやはり必要であると思います。先ほど貝塚先生から経済全体に役に立つ、経済全体がうまく回っていくような財政政策というお話があって、私も全く同感です。切り詰めるところ、それから使うべきところ、これをうまくバランスしていく必要があるのではないかなという、これは私の意見でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

では、末澤委員、小林委員。

〔 末澤委員 〕 先ほどの34ページのドイツのところですが、私もやはりドイツは相当頑張っているとは思います。ただ、やはり日本と比べた場合、似ているところと違うところがある。例えば、合計特殊出生率が低いと。これは似ているのですが、ただ、日本の場合は、ほぼ単一民族で、為替も円と。ただ、ドイツの場合ですと、ご案内のとおり1999年以降ユーロ圏に入りEU条約またはシェンゲン協定によって為替はユーロ、ドイツの競争力がより強まったと、つまりユーロ経済が良好なときはユーロ圏に輸出すればいいと。で、一方、ギリシャ危機等が起きてユーロが売られると、今度は中国など新興国に輸出すればいいと。そのようなメリットがあったのと、人口動態についても移民だとか、今は難民の問題をこれからどう対応するかといった点がありますが、そのようなところである程度労働力が維持できているというところがあって、やはり日本とドイツをそのままでは比較はできないと思います。そうするとやはり日本の場合は、ではこれから共通通貨圏に入るのか、シェンゲン協定的なものを持つのかというお話は、これはなかなかすぐには無理だと。

そうするとやはり、国内独自で改革をしていかないといけない。安倍首相も今回新しい人口政策、先程「1億総活躍」というプランも出されていますが、合計特殊出生率は1.8、将来的には置換水準の2.08も一応、視野に入るとおっしゃっていたわけですが、それを上げていくためには、やはりもう少し少子化対策に力を入れていかないとなかなか難しいと思うのですね。なぜかというと、昨年12月末日をもっていわゆる団塊ジュニア世代、1971年から1974年生まれの方がもう全員40歳以上に到達されたということで、普通に考えると合計特殊出生率はむしろ今後下がる可能性が高い。実際、昨年は9年ぶりに1.43から1.42に下がっています。そのような意味では、やはり通常の努力ではなかなか難しい。

そのような中、今日も少しありましたが、一昨日厚生労働省が発表した平成26年財政検証結果レポートを見ますと、70歳と30歳以下の公的年金の給付と負担のバランスは、厚生年金に関しては、70歳は1,000万円払うと5,200万円程、つまり5.2倍と。一方で、30歳の方ですと2,900万円払って6,800万円、これは2.3倍。30歳以下は皆さん2.3倍なのです。実はこれは5年前にも同じ調査をやっていますが、5年前の格差は、70歳は4.7倍だったと。30歳以下は2.3倍で一緒です。つまり、この5年間で0.5倍、高齢者はもらう量が多くなっている。これはなぜかというと、過年度の物価下落時の調整の解消に時間がかかったということと、マクロ経済スライドがずっと発動されなくて、今年初めて発動されたと。ただ、このままいくと来年度は多分、カットはできないですね。一応、長期の財政検証上のマクロ経済スライドカット率はたしか1.3で置かれているはずですので。今年度は0.9でしたが。そうすると、どうみても総合物価ベースで見ても、今年ゼロ・プラス・アルファぐらいのところまでしかいきませんから、来年はまたカットし切れないと。そうするとまたこの比率が拡大すると。再来年は消費税が上がれば、その分でカットできるかもしれませんが、それは実は必ずしも皆さんにとってプラスになる話ではない。つまり、やはりそのような世代間格差の是正をこれからより本格的に考えていかないと、日本経済の再生、私はよくアンチエイジングという言い方をさせていただいていますが、人口動態の今後の改革もなかなか難しい。そうすると最近みられますように、経済界では、どこか1社が5,000億円規模で海外に投資するという話はここ数ヵ月、毎週のように起きています。つまり、とにかくこれはやはり国内の人口が減る、消費者が少なくなるから海外に投資するというスパイラルが、どんどん継続せざるを得なくなると。そのような意味では今回、やはり人口政策に資するような財政運営といいますか、ある面、この世代間格差を縮小するようなところに、私は、歳出も少し修正していく必要があるのではないかと、先ほどの最後の論点のところと関連して考えました。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、小林委員。

〔 小林委員 〕 財政史をまとめるというのは非常に興味深く、かつ、おもしろくて、意味はあると思いますが、ただ、その一方で、戦後70年だからまとめましたということでやっても、これが建議の中に入れるときにはやはりそこから何を、このような理由があるからまとめました、あるいは、戦後70年の財政史をまとめたからこのようなことが見えてきましたということを、明確にメッセージとして建議の中には盛り込んでいかなければいけないと思います。そうでないと、おもしろいが、それで終わり、教科書には使えますねとなってしまっては意味がないと思います。

で、その意味で、この論点整理の中の1つで、バブル期との比較は大きなポイントだろうと思うのですが、先ほど土居先生から、あのときもう少しきちんととやっていればというお話が出ましたが、ただその一方で、これにあえて反論的なことを言うとすれば、でもあのときは特例公債脱却していますよねと。そのような事実はありましたよねという反論が当然予想されるわけです。だから、あのときに、いや、もっとやれたということを、データなり何なりで示して説いていかないと、必ずしも説得力のあるものにはならないかもしれない。その辺りは少し我々、留意してこのテーマを考えなければいけないのかなと。

それから、では、今とバブル期は似ているのか、似ていないのかという点。これはもう賛否両論あるかと思いますが、では、なぜバブル期のことが例に出るのかということを考えた場合に、どこをもってして似ているか、今、それ程に景気がいいのか、という声が根強くある中で、その部分をきちんと指摘しないといけない。似ている点の1つは、どちらも税収が非常によかったということで、公債依存度が非常に低い時期というには、今、少し見ただけですが、そのような類似性はありますが、このような資料を見て、やはり説得力のあるものにしていかないと、ただ何か70年回顧に終わってしまいましたとなりかねないのかなと思いました。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 では、加藤委員、宮武委員、富田委員。

〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。2点ほどコメントさせていただきたい。その前にまず1点は、やはり建議の中身をずっと読ませていただいて、本当に過去様々なことが言われてきて、そして、今でも勉強になることが多いということは非常に感じました。

その中で、取りまとめていただいた資料の37ページですが、将来の見通し、特に社会保障制度をつくる際の将来の見通しについて、なかなか将来を見通すということは非常に難しいだろうと考えるのですが、しかしながら、どのように将来を見通していくのかということが重要だろうということに、改めて気づかされたと思っております。次回、将来の財政の長期推計をお示しいただけるという話もありましたが、やはり我々がこれから考えていかなければいけないのは、将来のことは分からないが、できる限り保守的にみていくことが必要だろうということが、改めて勉強になったのではないかと思います。

2点目は、35ページにもありますが、高齢者像をどうみていくかということが大きく変わってきたということは、考えていかなければいけないことで、もう既に社会保障の議論の中で幾らでも議論が出ていると思いますが、弱者としての高齢者だけでなく、やはり負担をお願いできる高齢者もいるという考え方の中で、何をしていくかということを改めて考えていかなければいけないのではないかと感じました。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、宮武委員、富田委員。

〔 宮武委員 〕 大変な労作を拝見して勉強になりました。それと同時に、今、感想を申し上げますと、例えば35ページのところ、老人医療費の無料化等の流れをご説明いただきましたが、老人医療費の無料化を率先したのは岩手県の沢内村という非常に小さな村でございました。そこで、乳幼児と高齢者の医療費、窓口負担も無料にしたわけですが、実はそれと同時に村民の徹底的な健康づくり、病気予防をやったわけですね。小さな村ですが、保健師を4人程雇って、しかも病院長が、村の福祉課長が兼任するという思い切った政策をとりました。中央に持ってきたときに起きたのは、無料化だけを入れて、片方の健康づくり、病気予防というものは全くなおざりにされたという歴史だったと思います。その反省で老人保健制度をつくって、この保健はまさにヘルスの保健になっているわけですが、ここでもまた、やはり病気予防、健康づくりはなかなか進まなかったという歴史だったと思いますね。

それから、今度は介護保険制度をつくった。で、介護保険制度をつくったとき、創設時以来、これをつくることによって医療費を適正化していくということを言ったのですが、これは両方とも伸びているという現状でございます。

また、後期高齢者医療制度をつくった。このときは、75歳以上の方を独立の制度に入れて、そして応分の負担もしていただこうということでありますが、なかなか政治が決断できなくなって、一番安い保険料の方は月額350円という、それこそ立ち食いそば並みの費用で1カ月の保険料負担が済むということをみますと、書いてあることの中に、私は間違ってつまみ食いをしたり、総合的な政策をとれなかったり、応分の負担を取れなかったという歴史を読み取ったほうがおそらく有益かと思って、拝見しておりました。以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、富田委員。

〔 富田委員 〕 ご説明ありがとうございました。先程、老川委員が戦後の大混乱の中におきましても、財政健全化の努力がとられていたというお話をご指摘になられました。私はその直後の公債不発行時代、つまり昭和40年代に至るまでですが、それは経済環境の影響もあるだろうと思いたいわけですが、実は吉田茂元総理の『回想十年』という本にはすごいことが書かれておりました。少し該当箇所を紹介させていただきますと、「予算編成の都度、各省からの強制、強要、威嚇を厳重に阻止する機関がなくては国家財政は破綻する。この機関は民主政治において最も重要な機関である。為政者たるものは、かかる機関が厳としてその権威を保持するように仕向けるべきである。」と指摘されております。私はこれは現在にも通じるご炯眼というべきだと思います。

今日では、財政法では発行できない赤字国債、特例国債の発行が常態化しております。14ページでお示しありましたが、「経常歳出はあくまで経常収入で賄う」という原則、昭和40年度の財審建議に立ち戻っていかねばならないと思います。この観点から、今日、39ページでお示しがあったのですが、社会保障関係費についてです。これの計画的な抑制が必要でありまして、2020年度のPB黒字化の実現に向けまして、「経済・財政一体改革」で示されました歳出改革の取組を、強制、強要、威嚇などの万難を排して、ぜひとも皆さん方、局長以下、先頭に立って頑張っていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。大体、時間ですので、よろしいでしょうか。最後に富田委員から、事務方へのエールといいますか、たしか吉田内閣の時代というのは、この建物もGHQに接収されていて、大蔵省は四谷の小学校の校舎か何かを使ってやっていたのだろうと思いますが、我が国の財政全体を小学校の校舎で、事務方の先輩方はやられたということでしょうか。今の富田委員のエールをしっかり受け止めていただきたいと思いますが。

では、時間ですので、本日の議論はここまでとさせていただいて、あと、簡単な連絡をさせていただきますが、1つは、本日ご欠席の岡本委員、古賀委員から意見書を提出していただいておりますので、皆様方のお手元にお配りしております。

もう1つは、毎回ルーチンで大変恐縮ですが、本日の会議の内容につきましては、私にお任せいただき、会議後の記者会見で紹介させていただきます。皆様方から個別に報道関係者等に対してお話をすることのないようご注意いただきたいと思います。

次回は10月9日14時から予定しておりますので、また、よろしくお願いいたします。

では、本日の会議を終わります。ありがとうございました。

午後 4時52分閉会

財務省の政策