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財政制度分科会(平成27年5月15日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成27年5月15日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成27年5月15日(金)16:00〜17:58
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

 

 

1.開会
2.有識者ヒアリング(社会保障)
・中央社会保険医療協議会について
−森田朗中央社会保険医療協議会会長
3.IT予算について
−事務局説明
4.閉会

配付資料
○資料1 森田朗会長説明資料
○資料2 国・地方のIT投資について

出席者

分科会長  吉川 洋           

宮下副大臣
竹谷大臣政務官
田中主計局長
岡本次長
太田次長
西田次長
新川総務課長
寺岡調査課長
山本司計課長
窪田法規課長
片岡大臣官房参事官
阪田主計官
余島主計官
冨安主計官
青木主計官
井藤主計官
宇波主計官
彦谷主計官
高村主計官
小野主計官
井口主計官
中山主計企画官
内野主計企画官

分科会長代理      田近 栄治  
 委員

遠藤 典子
倉重 篤郎
黒川 行治
古賀 信明
角   和夫
竹中 ナ ミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
永易 克典 

 臨時委員

赤井 伸郎 

老川 祥一
岡本 圀衛
加藤 久和
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美
武田 洋子
田近 栄治
増田 寛也
宮武 剛

   
   

午後4時00分開会

 
〔 吉川分科会長 〕 ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

 

 本日は、森田朗中央社会保険医療協議会会長よりお話を伺った後、IT予算について審議をしていただきます。

 

 それでは、早速議事に移らせていただきます。まず、社会保障について、森田朗中央社会保険医療協議会会長からご説明をお願いいたします。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 中央社会保険医療協議会会長の森田でございます。本務は国立社会保障・人口問題研究所長を務めております。

 

 本日は、中医協の会長という立場から、社会保障の中で、医療関係についてお話をさせていただきたいと思います。

 

 医療につきましては、様々な立場の方から様々なご意見が出されるところですが、私自身もまだ現職の会長でございますので、話ができるところにはそれなりの制約があることはご理解いただきたいと思います。

 

 もう1つは、私自身の中医協会長の任期が来月初めで終了することになっておりまして、その後では思いを述べる機会があろうかと思いますが、もしかしたら先走って述べてしまう可能性もあるかもしれませんので、その辺は十分にご理解いただきたいと思います。

 

 さて、お話し申し上げます趣旨につきましては、資料1で配付されている紙のとおりでございます。そもそも中央社会保険医療協議会という組織がどのようなものであり、これまでどのような活動をしてきたかということにつきましては、参考資料という形で中医協の担当である厚生労働省保険局医療課に資料を作成していただきましたので、そちらをご覧になりながら、ざっと説明をさせていただきたいと思います。

 

 2ページからですが、根拠法は社会保険医療協議会法でありまして、いわゆる診療報酬、病院に行ったときに幾らになるかという点数を決めることが中医協の本来の仕事でございます。これは2年に1度、大臣の諮問を受けて審議をし、答申をし、4月1日から改定されることになっておりまして、次回は来年4月に改定されることになっております。

 

 中医協の構成そのものは、保険者が中心の支払い側委員7名、医療機関、医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員7名、そして、どちら側にもつかない、国会の同意を得て任命された公益を代表する委員が6名ということになっており、会長はこの公益委員の中から選ばれることになっております。

 

 法律上は具体的なことは書いてございませんが、労働委員会と似たような形で、支払い側と診療側が交渉して価格を決めるという運営の仕方になっております。両者が合意をした場合にはそれで決定ということになりますし、合意をしない場合は最終的には公益委員が裁定をするという形で決定がなされます。

 

 具体的に現在の委員及び専門委員につきましては次のページをご覧ください。

 

 また、4ページにありますように、中医協では総会が一番権威ある最終決定機関ですが、それ以外に種々の専門委員会、専門部会、小委員会が設置されておりまして、それぞれ外部の専門家も参加していただいて構成されています。

 

 後ほど少し触れさせていただきたいと思いますが、一番下の費用対効果評価専門部会で現在費用対効果評価の制度について検討しているところでございます。

 

 あと、医療費の動向その他につきましては、既にご存じのところだと思います。

 

 どのようなことを決めているかといいますと、基本的に年度末の予算編成と同じ時期に、改定率という形で医療費の単価をどの程度上げるかということが決められます。それによって、次回改定の医療費の総額が決まってくることになります。保険で負担する部分ですね。

 

 それに対しまして、今度は個別的にどのような点数をどの分野に割り振るかを決めることになっておりまして、8ページにございますように、平成24年、2012年の診療報酬改定の場合には、改定率をどうするかということについて議論が行われ、0.004%のアップということになりました。これは四捨五入して0.00%ということですが、その下の0.004がつくためにプラス改定だという、非常にシンボリックな意味を持っております。

 

 さらに、その中身につきましては、入院医療を強化する、外来の診療を強化するなど、そのような形での手当てが行われているところでございます。

 

 その後、10ページが、前回、2014年の診療報酬改定です。このときには、既にご存じかもしれませんが、入院医療をかなり絞り込むという形で、7対1の算定要件を厳しくすると同時に、地域包括ケアという形で主として高齢者を対象として、在宅医療の強化、そのための点数の配分をしたということでございます。さらに申しますと、このときの改定では消費税を5%から8%に上げた3%分を診療報酬で手当てするということで、要するに、消費税は本来薬や医療行為そのものにはかからないわけですが、それ以外に医療のために用いて消費税を負担した部分を後から還元するという仕組みで、これを診療報酬で行うため、このときには少しプラスになっております。数字そのものは、その前の9ページにあるように、このときには全体としては0.1%ですが、プラス消費税の分が0.63%加えられているということでございます。

 

 その後、答申附帯意見が幾つかつくというのが11ページ、また、新薬創出のことは後でお話しするかもしれませんが、薬価の仕組みをどのように決めるかということにつきまして、様々な点数の配分の仕方、その計算の方法などについて審議をするというところでございます。

 

 さらに13ページは、後で少し触れさせていただきたいと思いますが、消費税をどうするかということで最終的に公益委員が裁定を行いました。

 

 そして、次、今後中医協が取り組む課題の例ということで、多分これから大きな課題になってきて、次回の改定ではこれが制度として導入される予定でありますが、医療技術の費用対効果評価についてということで、後でお話しいたしますが、これまでは薬事承認されたものについてはほぼ自動的に保険収載されておりましたが、費用対効果についてきちんと審査、評価をし、それを保険収載の場合の1つの基準にするということを試みようとしているところでございます。

 

 それ以外でいいますと、17ページ、患者申出療養ということで、いわゆる保険外の併用制度、混合診療と俗に言われておりますが、この仕組みを新たに導入するということで、制度について今検討しているところでございます。

 

 ざっと制度の概要、資料のご説明をさせていただきましたが、日本の医療制度について申し上げますと、医療の提供体制、必要な医療ニーズに対してどのような形で医療を提供していくか、例えばある程度の比率で救急の患者さんが発生しますが、それに対して十分な手当てができるような救急医療の体制を整備する、あるいは高齢化によって在宅で治療される人がいた場合には、その在宅の医療サービス、必要量を供給すると。そのニーズ、マーケットの変化に応じて供給の体制をコントロールするわけですが、それを医療の診療報酬の点数、そして算定要件、つまりどのような条件のもとでその点数の診療報酬を受けとることができるかという仕組みを調整することによって、提供体制をコントロールしていこうというのが現在の制度です。

 

 外国では、これを規制によって行ったり、あるいはほぼ公費、税金によって行っているところもあるわけですが、我が国の場合には診療報酬という仕組みですし、さらに申し上げますと、これは完全に経済的なインセンティブだけであるというのは少し言い過ぎで、病床、病院のベッドの数に関していいますと一定の上限を設けておりますが、それ以外のほぼ全ての部分につきましては、点数と算定要件をコントロールすることによって供給体制をつくっているということでございます。

 

 ここからは私の個人的な見解になりますが、現在、財政が大変厳しいということで、そのために医療費を含む社会保障費の増加を抑制しなければいけないと。これは中医協でも十分認識しているところでございます。他方で、それにもかかわらず、高齢化と医療技術等の進歩によりまして、医療費は毎年と言ってもいいほど着実に増加する傾向にあります。

 

 一方で抑制し、他方で需要が増えてくるという状態ですが、その中でどのように対応すればいいのかということが財審でも議論されている課題ではないかと思います。

 

 私の個人的な考えも入りますが、医療は人の命と健康にかかわることですので、必要なものについてはやはり必要な手当てをせざるを得ないであろうと考えます。新聞でも大きく書かれましたが、先日中医協で、ソバルディという名前だったと思いますが、C型肝炎の特効薬という非常に有効性の高い薬の保険収載が承認されました。これは今までC型肝炎で苦しんでこられた方にとってはすばらしい、明るい話になるわけですが、全体として1,000億円のマーケットになると予測されているわけでして、その分の負担が保険プラス自己負担にかかってくるということになります。

 

 このような状況の中で、どのようにして医療費を抑制すべきか、することができるのか。これは大変難しい問題です。しばしばマクロ的な目標、キャップを設けて制限をする、あるいは議論されているように一定の負担を求めるという方法もあると思いますが、正直に申し上げまして、これは健康と生死にかかわることですので、削減は可能かもしれませんが、そのようなマクロ的な抑制策というのは、弊害も多いと思われます。特に一律に抑制した場合には、どうしても弱者の方にしわ寄せが行くということになりかねません。

 

 では、どうするかということですが、ここからは実際の医療費の支払われ方、細かいところまで踏み込んできちんと自信を持って言えることではないかもしれませんが、私が中医協の委員として6年間務めてきた中で学んだことを申し上げますと、まだ現在の医療費の仕組みには、無駄とは申しませんが、削減できる部分があるような気がいたします。

 

 したがいまして、これから医療費の抑制を行うとするならば、現在の診療報酬制度の見直しも必要かと思いますし、抑制可能な部分の削減を可能な限り行っていくべきであろうと思います。ただ、それをきちんと行っていくためには、実際に医療ないし保険がどのように運用されているかということにつきまして、非常に詳細なデータをきちんと収集し、エビデンスに基づいた形で対応を考えていく必要があろうかと思います。そのためには、本日の後半のテーマになっているかもしれませんが、やはり先進諸国を見ていると、思い切ったIT化の導入がその1つの手段ではないかと思います。

 

 以下、当面取り組むべき改革の方法として私自身が思いつくところを述べさせていただきますと、メモに書いたとおりですが、第1は保険の審査の客観化、厳格化、透明化、ガイドラインの導入と書きました。保険といいますのは中医協で点数を決めますが、実際には個々の医療機関で診察をし、それが医療費の請求書であるレセプトという形で保険者側に提出されることになります。保険者側はそれが保険の基準に従っているかどうかということを審査して、審査をパスした場合に医療機関にその保険料が振り込まれるということになっております。

 

 ただ、実際に審査がどのような形で行われているのか、その審査のプロセス、手続につきましては、数年前にレセプトのオンライン化が話題になりまして、電子的にレセプトを送ることが実際に実行されるようになりましたが、率直に申し上げまして審査そのものはまだ個々のお医者さんといいましょうか、専門の医師ないし薬剤師、看護師などの専門職の方が1件1件審査するということが原則になっております。

 

 そのプロセス自体は厳密な審査が行われていると言えるのかもしれませんが、数年前に調べたところですと、地域的にかなりばらつきがあると。あるお薬に関していいますと、あるところは保険では認めないという判断をする一方、他のところでは保険で支出していると。そのばらつきが多いというのが問題です。

 

 どれが本当に適正な基準であるかということについては必ずしも明確ではないところがありまして、海外の場合ですと、一定の病気に対してどのような形で検査を行ったり薬を使うかについてガイドラインを設けておいて、ガイドラインから反した場合にはチェックをかけるという仕組みもありますし、韓国ですと、完全に電子化されておりまして、80%以上がコンピューターで審査するという仕組みになっているようです。日本の場合にはその部分につきましてまだ改善の余地がありますし、それにかかるコストが非常に大きいと言えるかと思います。

 

 審査そのものの問題もさることながら、それ以前の問題としても申し上げますと、皆さんもお持ちだと思いますが、最近はカード型で1人1枚ずつになりましたが、健康保険証に顔写真はありません。したがって、悪用しようと思えばかなりできるわけでして、そして、保険証を持ってこられた方が、医療機関でこの保険証で本当に被保険者としての資格があるかどうかを確認するわけですが、後から請求した結果、資格がないと判断された場合には戻ってくる。これは再確認によってもう一度どこの被保険者であるかという資格の確認が行われるわけですが、その最初の返戻の額自体が数百億円を超える規模ですし、それにかかる事務手続も数十億円という規模になっている。

 

 このような例は、現代でいいますとクレジットカードの支払い能力といった、有効性の判断ではありませんが、電子化をすればはるかに少ないコストでできるし、正確に不正使用を抑制することもできるのではないかと考えられます。

 

 次が医薬品、医療機器等の保険収載、価格決定の費用対効果評価制度の導入でございます。先ほども少し触れましたが、これまで我が国の場合には薬事承認機関であるPMDAによって、薬が有効で効き目があり、かつ安全であることが確認された場合には、ほぼ自動的に一定期間をおいて保険収載されました。要するに保険の適用が可能であるということになっていました。ごくわずかの例外を除いてそうなっていたわけですが、そうしますと、新しいお薬が次々に出てくる場合、続々と保険適用されることになってまいります。薬の中には価格の割に有効性が乏しいものや、既存の薬に比べてそれほど効果が変わらないにもかかわらず価格は高いものなど、これまでの原則でいうと、そのようなものも保険の適用になってきたわけです。

 

 海外でもそうですが、医療費を抑制するために、本当に保険で支払うに値するかどうかということ、費用に対してどの程度効果があるのかということを測定し、一定以上の効果がないものについては保険収載しないと。あるいは、保険で支払う場合には価格をかなり引き下げると。そのような形で評価をし、それに基づいて保険に収載するかどうかを判断するという制度を取り入れております。

 

 我が国でも数年前から、中医協の中でそのような方法を採用しなければいけないのではないかということで検討されてまいりました。しかし、現実の問題としましては、薬品も医療機器も同様ですが、有効性の評価は技術的に大変難しいものがあります。現在、実際の具体的な例も取り上げまして、どのような方法が望ましいかということを評価方法について検討しているところですが、おそらく皆さんが合意できる唯一のいい方法はなかなかないのではないかと思います。

 

 しかしながら、この方法を取り入れない限り医療費が増大することになると思われますし、ベストの方法はないわけですが、何らかの方法で評価をした場合、それを保険収載あるいは保険価格に反映させるという仕組みはあり得るのではないかと。これは各国とも大変苦労しているところでございます。

 

 どのような方法があるかは省略させていただきますが、我が国でもこれを次回の診療報酬改定から試行的に導入しようということにしております。

 

 次は、DPCデータ等の医療データの蓄積と活用ですが、DPCといいますのは、病院での包括払いです。一定の病気の場合に、1日当たり幾らという形で診療報酬を支払う。その中でどのように薬や検査に使ったかということについては問わない。したがって、少ない投薬、少ない検査で治療し、効果があった場合には医療機関は収益が増える。それがある意味でいいますと、薬などを抑制すると同時に、診療のあり方について弾力的な対応を可能にする仕組みになっております。それ以外の通常の部分は出来高ということで、使った薬、行った検査に対してそれぞれ支払うというものです。

 

 原理的な問題としまして、出来高の場合には過剰診療になりかねないという傾向があります。他方、包括の場合には過少診療の傾向がないわけではない。そのために、包括化をする場合には、実際にどのような診療が行われたか、その結果、病気の改善が見られたか、どのような結果になったかということについては、詳細なデータをとって、きちんとした診療が行われているかどうかということを確認することになっております。

 

 これがDPCという仕組みで、我が国では世界でトップクラスの非常に詳細な結果についてのデータを蓄積しております。それを活用することによって、要するに少ないコストで有効な治療をするという部分について高く評価をするという仕組みを考えていく必要があるのではないかと。現在では一部の病院ですが、それ以外の診療所についてもそのような方法が考えられるべきではないか。そして、データそのものが、診療報酬の場合にどのような診療の能力を持っているかというストラクチャーの部分について点数をつけるということもありますし、今申し上げましたように、どのような治療をしたかというプロセスに基づいて診療報酬をつけるという方法もありますが、もう1つは、できるならば、どのような治療効果があったかというアウトカムについて診療報酬を支払うというのが、ある意味で有効な治療を効率的に導き出す方法であると考えられるわけですが、アウトカムの場合にはデータをきちんととることが非常に難しい。しかし、DPCもそうですが、そのような形でデータをとるためには、近くマイナンバー制度が動き出すことになりますが、医療関係についてもパーソナルヘルスレコードという形で個人についての健康データを蓄積していく。それに基づいて診療を行うことによって、一番有効な診療方法をカスタマイズした形で個々の患者さんに適用できると同時に、そのデータの集積によって、疫学的に有効な治療方法や病気の実態が把握できるなど、医学的な効果も大きい。そのような方向性が考えられると思います。すぐにというわけにはいきませんが、ヨーロッパをはじめとする先進諸国では実際にそのような制度が動いております。

 

 そのことは、同時に、医療機関の経営の効率化についても、そのデータに基づいて診療報酬評価するということはあり得ると思っておりまして、特に我が国の場合には医療機関の経営の実態についての情報は必ずしも十分ではありません。医療経済実態調査に基づいて中医協では診療報酬の点数の決定を行っているわけですが、サンプル数や回答数が少ない、またその他の要因によって、データの信頼性がどうしても高くならないというところがあると思います。

 

 結果として、経営効率の悪いところが生き残ることができる形で価格設定がされている可能性がないとは言えないと思います。したがいまして、非常に上手に経営した場合には大きな収益が上がってくるなど、一種の護送船団的な形で設定がされているのではないかと思われます。これも実証するだけの十分なデータはないのですが。その点につきましては、いわゆる標準的なベンチマークをきちんと設けて、それによって経営の改善を促すということもあり得るのではないかと思います。

 

 中長期的な課題として、全くの私見を申し上げますと、1つは保険者の統合再編による効率化です。現在法律が出ておりまして、国保は市町村単位の保険者から都道府県単位に拡大するということが行われておりますが、一般の組合健康保険あるいは共済組合の場合は千数百ございます。それぞれにおいて、規模が小さいところの経営効率があまり高くないということ、事務的なコストが非常にかかるということもありますし、今日ではご存じのとおり、かなりの額、半分ぐらいとも言われていますが、それを後期高齢者医療に拠出しておりますので、経営効率化へのインセンティブも働きにくい。その意味でいいますと、保険者をどのような形で統合再編していくか。そのような試みを大胆にやった国もありますが、我が国も後期高齢者医療制度のあり方も含めて考える必要があるのではないかと思います。ただ、これは中医協の所管外の話でございます。

 

 次が、保険外併用の範囲・対象のあり方と申しました。これはある意味でいいますと混合診療で、もっと短期的な課題ではないかとお思いになる方もいらっしゃるかと思いますが、もちろん短期的な対応も課題ですが、なかなか根の深いものがあろうかと思います。保険財政が非常に厳しくなってきておりますので、保険の限界を設けた場合に新しい薬をどうするか。先ほどの評価で申し上げましたが、メーカーの提示した価格に対して保険として支払い得る価格をかなり低目に設定した場合、メーカーが販売するかどうか。患者さんとしてはぜひその薬を使ってほしいという場合に、差額部分をどうするかなど。患者申出制度、先ほど触れましたが、そのような形もありますが、様々な形でいわゆる混合診療、保険の併用の可能性を開くべきだというご意見がございます。

 

 これは、保険の財政規律を保っていくためには、はみ出した部分以外の部分についての保険適用は、やはりある程度認めていかざるを得ないと思います。でないと、新しい薬の適用などは難しくなってくる。

 

 しかしながら、どの範囲でどのような形で混合診療を認めるかということにつきましては十分注意する必要があるかと思います。あまりにこれを緩めることになりますと、情報の非対称性があるために、やはり危険な薬や効能がよくわからない薬、あるいは保険薬があるにもかかわらずそれ以外の薬と、そのようなものが使われて、これ自体が多くの国民にとってマイナスの影響を与える可能性もあると思います。むしろ医療関係者はそのような点を非常に重視しており、混合診療について消極的な意見が多いようですが、保険の財政自体を見ている限りは、保険の中で全部カバーできるかというと、かなり難しいと思いますので、現在の先進医療もありますが、どのような範囲でさらに拡大するかどうか。今度、患者申出制度で拡大されますが、その運用を含めて、慎重に何らかの形で制度を考えていく必要があるのではないかと思います。

 

 3番目の点は、かかりつけ医制度の創設と予防医療の推進と書きましたが、いわゆる家庭医やかかりつけ医、特に高齢者の在宅医療が多くなった場合に担当のお医者さん制度を設置することになりますが、そのような医師、診療所の報酬のあり方として何が望ましいかということでございます。これにつきましては、イギリスのNHSが近年改革をしました。前からそうですが、登録制にし、人頭的な形での診療報酬を払うといった包括的な支払い方式を採用しております。ただ、それだけですとやはり治療のあり方についてチェックが効きませんので、イギリスの場合ですと、アウトカムの結果がどの程度きちんとコントロールされているかによって加算するという形で、医療機関のインセンティブをつくり出しているところであります。

 

 それによりまして、医療機関はできるだけ早い段階で予防装置を講じた方が、治療に要する薬代などがかかりませんので収益が増えることになりますし、患者も重症化する前の段階で措置がとられることになりますし、国全体としても医療費の抑制になると考えられるということを、イギリスに行ったときに聞きました。

 

 それが果たして我が国の場合そのままうまくいくかどうかにつきましては、さらに検討が必要ですが、例えばの話として、我が国の特に高齢者の継続的なケアを行っていくような場合には、そのような仕組みを取り入れていくことも有効ではないかと思いますし、若い世代の人たちに行われている特定健診などと結びつける形で予防医療を推進していくことも将来的には有効ではないかと思います。

 

 最後は、先ほども少し触れたところですが、マイナンバー制度が始まるということで、国民の健康の記録について、マイナンバーを使うかどうかについてはかなり議論があるところですが、そのような形でヘルスレコードをきちんと国ないしどこかが管理をしていく。それを様々な治療の場でアクセスできるようにしていく。そのことがそれぞれの病気に対して最も有効な治療に早くたどり着く方法ではないかと思っております。

 

 今日でも高齢者の方は複数科に受診しているケースが多いものですから、重複投薬あるいは禁忌、一緒に飲んではいけない薬の処方が行われる可能性があるため、おくすり手帳がつくられているわけですが、私の知っている年寄りでも3冊持っている人間がおります。

 

 それに対してヨーロッパの先進諸国の場合ですと、自分のIDカードを薬局に出しますと、薬局のディスプレイに、その人がどこでどのような処方を受けているかがすぐ表示されることになります。今の日本の技術をもってすれば、その程度はわけがないと思うのですが、そのような形でいくと同時に、どこの医療機関でどのような検査をしたか、その結果がどうであるかという情報が利用できることは、他の診療科における治療においても大きく役に立つであろうと思います。

 

 特にお子さんの場合、日本では予防接種が任意になっておりまして、この免疫の問題が風疹をはじめ大変問題になっておりますが、少なくとも母子手帳だけで管理していくことは非常に難しくなってくる。これはマイナンバーの適用が検討されているようですが、そのような意味でいいますと、このような情報のツールを制度として整備していくことが必要でしょうし、さらに、これはまさに財審の議論になるかと思いますが、将来的にやはり保険料を上げていかざるを得ない、あるいは保険外の部分についても高額の自己負担部分が増えてきた場合に、いわば所得のある人ない人という、所得の差によって治療の結果が違うというのは非常に望ましくないとしますと、所得の情報と給付のあり方を連動させて、きめ細かくバランスをとるということも、マイナンバーを使えば技術的には可能ではないかと思っております。

 

 特に、まだマイナンバーの場合にはフローの部分しか補足できないようですが、民間に義務づけることによって、ある程度資産の部分もカウントしていく。例えばですが、そうしたことによって再分配でき、かつ給付をコントロールするような仕組みをきめ細かく考えていかないと、正直申し上げまして、今の保険財政はますます厳しくなってくるのではないかと思っております。

 

 私の申し上げたいことは以上でございます。

 

 ご清聴どうもありがとうございました。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では、ただいまの森田会長のご説明に関して、どなたからでもご質問、ご意見お願いいたします。

 

 それでは田中委員、お願いいたします。

 

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。

 

 質問が2点ございます。1点目が、まさに費用対効果の話でありまして、先ほども実はジェネリックの議論をしておりまして、処方の段階で費用対効果の視点を処方ガイドラインに入れられないのかという質問をしたのですが、そもそも何を言っているのか意味が通じなかったということがあります。

 

 その上で、このコンセプトが理解されるのに時間がかかるのかと思いながらも、1つ質問として、これは費用削減という意味では根幹的な問題提起ではないかと思うのですが、もしこれを先発、長期収載品あるいは後発の区分なく全ての医薬品にかけたとすれば、今までのようにジェネリックをプロモーションするという話ではなく、問題は解決してしまうのではないかということであります。特定にジェネリックだけをターゲットにする必要もなくなる程大きなソリューションではないかと思います。

 

 それから2点目ですが、データによる管理については全く賛成ですが、これはおそらく被保険者に対しても、あるいは医療機関に対しても、使い過ぎではないかなど、様々な警告、警鐘機能を鳴らすことができると思うのですが、一体、ではそのデータを使って誰がこの警鐘機能を担うことができるのかというのが2点目の質問です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、森田会長。可能な限り。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 最初の費用対効果といいますのは、いわば費用削減だけを考えているわけではございません。むしろ、ジェネリックとの関係でいえば、参照価格制度など、様々な方法もあると思いますし、今、費用対効果で検討されているのは、むしろ抗がん剤をはじめとする新薬や新しい技術が保険収載に値するかどうかをチェックしようということですが、率直に申し上げまして、今、そのような審査の対象になりそうな薬といいますのは、患者もそう多くはなく、単価としては高いのですが、全体としての財政効果はそれほど期待できないのではないかという気もします。これは私の個人的な印象です。

 

 一方で評価そのものにかかる時間的コストが相当かかるということです。むしろ私自身は、これはなかなか難しいところですが、新しい薬が出て、明らかに費用面で安くて効果も大きい、マトリクスでいうとドミナントの形で優位な新薬が出たような場合には、旧薬の価格を思い切って下げる、あるいは保険から外すなど、そのような形での措置をとるならば財政的な効果はかなりあると思います。ただし、これは日本の製薬業界をはじめ、日本どころか世界も含めてですが、よほど慎重な準備ときちんとした対応をしなければ、大変な混乱を起こす策であると思います。

 

 2点目、データについてですが、これは誰がやるかということで、データそのものをどの程度開放して、どの程度皆さんが利用できるようにするかというのは、個人のデータについては相当慎重に対応しなければいけないと思いますが、基本的に、日本でいいますと保険の審査をされているところがそこをチェックする。イギリスの場合は税金で行われていますから、地方のいわば医療費を配分する委員会がございまして、そこがチェックをして、ある先生がガイドラインに反して高いお薬を使っていた場合には警告を出すという仕組みがあるそうです。日本もそれを参考にしながら、制度的には様々な手段を考えられるのではないかと思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では続けて、古賀委員、宮武委員の順でお願いします。

 

〔 古賀委員 〕 森田会長、レクチャー、大変ありがとうございました。

 

 専門分野でないこともあるかもわかりませんが、大きく2点質問させていただきたいと思います。まず1点は、お話の中にも出てきましたが、かかりつけ医の問題です。おっしゃるように、医療機関の機能分化、あるいは医療と介護との連携については地域包括ケアシステムの構築が急務であると考えます。そのためには、やはりかかりつけ医の役割機能は非常に重要。しかし、私が住んでいるところのみかもわかりませんが、いざ地域を見回してみますと、かかりつけ医をどのように地域でつくっていくべきか、あるいはそれを根づかせるためにどうすればよいのかということが、あまり明確に見えていないわけでございます。その辺に対する所見があればお願いしたいと思います。

 

 それから2点目は、医療費の効率化・適正化についてでございます。会長がおっしゃったように、医療に関しては一律的な総額抑制とか削減ではなく、重点化・効率化あるいは弱者にしわ寄せがいかない、そのような観点が必要であると思います。もちろん医療を受ける患者側も重複受診や頻回受診あるいは重複投薬の是正等をやっていかなければなりませんが、より重要なことは診療側の働きです。役割ですね。頻回受診を患者に促さないとか残薬をきちんと点検するとか、あるいは多剤投与を避ける医療サービスの提供側の取組も非常に重要だと思います。この辺をどうお考えかということでございます。

 

 加えて、それらのために、今、データの話になりましたが、とりわけNDBと言われるナショナルデータベースの活用はまだまだ限定的と聞いております。この辺の活用についてはどうお考えかということをお聞かせ願えればありがたいと思います。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 

 

 まず、かかりつけ医ということですが、これにつきましては実際、前回の診療報酬の改定で、主治医という名前を使っているわけですが、かなり導入に前向きになってまいりました。これは地域包括ケアという形での介護との連携も含めた対応を考えなければいけないということもありますし、現場で診療されている診療所の先生方もその必要性を認めるようになった。今までは単科でもって診療科の名前を挙げていたわけですが、それだけでは実際の患者の形態には対応できないため、幅広く対応しようということになってきたと思います。

 

 しかしながら、これを制度として定着させるためには、まさに医療の1つの分野として、内科や外科、眼科と似たような診療科、さらに言いますと、大学における専攻として、例えばイギリスにございます総合家庭医のような位置づけも必要ではないかと思っております。

 

 2点目、医療費の効率化の話ですが、ご質問の趣旨を十分理解できたかどうかわかりませんが、私自身は、先ほどの話と同様、やはりまだ医療ということでミスがあってはいけない、あるいはそれぞれが丁寧に行うことで重複が発生するなど、事務の連絡もそうですし、二重に似たようなことをしている部分がたくさんございます。入院の場合ですと、病院内で相応にマネジメントできるかもしれませんが、特に在宅になった場合には、関係する医療従事者の種類も多いわけですし、そのような人たちの間での情報の共有などは非常に難しい。

 

 医師、特に専門医の方の場合は、1つのマネジメントや経営的な考え方によれば、その人にしかできない仕事にできるだけ多くの時間を割くような仕事の配分を考える。そのためには、それ以外の人たちが何をし、どのような情報を共有しているかにかかってくるわけでして、そのような形での医療の体制を考えていく。そのために、外国も含めてですが、IT技術はかなり貢献し得るところだと思いますので、ITによって相当の効率化が考えられると思います。

 

 最後、関連しますが、NDB、ナショナルデータベースもそうですが、やはり今のままですと、ある個人の健康の記録についてのデータが蓄積できないわけです。したがって、保険者側が特定健診を行い、調べて、ウエストが85センチを超えた、BMI25を超えたとか、そのような記録はありますが、それが入院した後の病気とどのように結びついているかについてのデータの突合は非常に難しい。それを行うことによって、予防だけでなく治療の有効性もかなり高まるのではないかと思っております。

 

 楽観的かもしれませんが、北欧諸国を中心として、そのような形での医療システムが大きな改善を見せていることは間違いないところでございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、宮武委員。

 

〔 宮武委員 〕 ご説明どうもありがとうございました。

 

 2点質問させていただきます。

 

 1点目は、参考資料の中の17ページに患者申出療養の創設、これは細部をお詰めになっている段階ではございますが、私は混合診療の禁止は皆保険体制を支える大きな柱として非常に大事な仕組みであると思っているのですが、その立場から保険外併用療養制度の中で先行き保険対象になる見込みのあるものは評価療養として混合診療が認められているわけで、なぜこれを新たにつくらなければいけないのか、いまだによくわからない。例えば患者の申し出を起点とするとおっしゃっていますが、現在の保険外併用療養費制度でも、これは医者と相談した上で十分なインフォームドコンセントを受けた上で実施しているわけですので、実際、患者の申し出であるのか医者の勧めであるのか、一体どのように見分けられるのか、よくわかりません。

 

 また、安全性や有効性について審査をするわけでありますが、保険外併用療養制度では専門家が会議を開いて判断をしております。これは同じ会議ではなく、別の会議が設けられるだろうと思うのですが、ここはルールとしてどのような判定の普遍性があるのか。あるいは、両方の専門家の間で意見が分かれた場合には一体どうなさるのかといったことを、お答えいただければと思います。

 

 それから2点目は、今の古賀委員のご質問に関連して、かかりつけ医を持てば、特に慢性期の病気を抱えている方は何回も診療所に行かずに、1カ月幾らという範囲の中で療養の指導を受ける地域包括診療料が設けられました。ただ、算定要件が非常に厳しく、在宅療養支援診療所である、あるいは常勤医が3人以上という条件があって、なかなか認定が取れないですね。これは条件を下げる方向にあるのかどうかお教えください。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 2点目から言いますと、下げる方向かどうかというのは私自身もわかりません。ただ言えますのは、包括は先ほど言いましたように医療機関にとってはある意味で収益を拡大する可能性があるわけですが、もともと基準になる包括の料金が高いかどうかによって、出来高がいいかどうかは、それぞれ医療機関は経営上から考慮されるところだと思います。

 

 1点目の患者申出療養についてですが、これは中医協の外での混合診療を開放すべきであるという強い意見と、他方において慎重にという意見の妥協の産物だと思います。そのために非常に複雑な仕組みと、制度の名称も含めて玉虫色的な設定をしておりますが、これは今のような形で政策決定する、制度を考えていく以上は、ある程度やむを得ないかとも思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 

 では続いて、加藤委員、佐藤委員、岡本委員の順で。

 

〔 加藤委員 〕 ご説明ありがとうございます。

 

 3点ほど手短にお願いしたいのですが、NHSの話で、かかりつけ医に対するアウトカム加算があったと伺いました。また、費用対効果を考えるときにアウトカムの評価をするということが何度か森田先生の口から出たのですが、果たしてアウトカムの評価というのは具体的に本当にできるかどうなのかということを教えていただきたいのが1点目です。

 

 2点目は、ヘルスレコードをつくると。それを考えるときにマイナンバーを使っていくということはもちろん必要だと思いますし、進めていかなければいけないと思います。一方で、反対論として、プライバシーの問題等々で診療側からの反対が大きいということもわかっているのですが、例えばこれを本当に実行させていくためには、森田先生のお考えとして具体的にどのようなことをすれば本当に使っていくことができるのかということを教えていただきたいのが2点目です。

 

 3点目は、非常に簡単な質問ですが、新薬等々ができたときに保険への収載がすぐに自動的に行われる一方で、日本ではドラッグラグが非常に長く、欧米に比べて2倍から3倍程あるという話がありました。そこら辺の関係性について少し教えていただければと思います。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 NHSにおけるかかりつけ医、家庭医のアウトカムという場合には、例えば100人の高血圧の患者を診ていた場合、そのうち80%、80人以上の人が正常血圧にコントロールされていたら加算をする。それが90%になった場合にはさらに加算をするという、ある意味で非常にラフな仕組みです。しかしながら、わかりやすい。

 

 我が国の先生方、医師に聞いた場合にはよく指摘されることですが、いわゆるクリームスキミングといった、初期条件がコントロールされていない以上、患者の選別が起こる危険があるということです。したがって、2点目の話にも結びついてきますが、やはり初期条件もきちんとデータとしてどこかにあれば、改善の度合いを客観的に測定することができるのではないかというのが私の素人ながらの考えでございます。

 

 3点目のドラッグラグの話ですが、ドラッグラグというのは2つあって、新薬が申請されたときのPMDAの審査の時間がかかるという審査ラグと、そもそも海外で承認されたお薬を様々な条件でもって日本で申請をするまでのメーカー側の申請ラグがあるわけです。

 

 現在、私が聞いている限りでは、審査のラグは今は海外と比べてほとんど遜色がないところに来ていると思います。申請するかしないかというのは、日本のマーケット、あるいは副作用のリスクに対する国民の意識の問題など、日本のマーケットが製薬メーカーにとってどの程度魅力があるか。それが見分けられるまで、製薬メーカーとしては申請の考慮をするということで、より薬価を上げる、あるいはリスク評価が変わるなど、そのような形があればより早く申請するということが、多分メーカーのおっしゃりたいことではないかと思います。

 

〔 佐藤委員 〕 ありがとうございます。では、手短に2点ほど。1点目は、診療報酬を先ほど経済的なインセンティブと位置づけられたので伺いたいのですが、もし経済的なインセンティブであるとすれば、点数を変えることによって、例えばどのように人々の行動パターンが変わるかと、我々経済学者は弾力性と呼びますが、その行動変容を診療報酬改定のときにどの程度織り込んでいるのかと。例えば薬価は毎年下げていますが、薬剤費は増えているわけですから、明らかに何らかの行動変容が裏にはあるわけですし、7対1も、入院基本料を7対1優遇すると、みんな7対1になってしまったわけですから、そのような行動変容を実際のところどの程度織り込んだ上での改定であるのかを、もし何か情報があれば教えていただきたいということと、保険者の話にかかわりますが、今、地域医療構想もそうですが、保険者といっても市町村国保を都道府県単位化するだけですが、ある種、都道府県が保険者的な役割あるいは医療全体をカバーする都道府県の役割はこれから求められてくると思うのですが、診療報酬においてもいまだに全国統一価格である部分もあるので、例えばある程度都道府県単位で診療報酬を弾力化するという考え方は中医協の中ではあるのでしょうか。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 1点目のの経済的インセンティブという話ですが、なかなか行動変容がきちんと読めないということが、その都度改定を必要とする理由であると思います。おっしゃったように、7対1も本来ならば2割程が病床数で適切であろうということでしたが、あの制度である限り、まさかそこまで看護師が集まるとは思わなかったのだと思いますが、集めてしまったというのが現実でございます。

 

 2点目は、ご質問の趣旨は地域的な問題だと思います。これは介護保険についてはあるわけです。これについては中医協ではほぼ毎回のようにそのような意見が出ます。ただ、それに対して消極的になる1つの理由は、いわゆる職域保険は全国一律でもって決めないと支払いがそれぞれ変わってくる、どこでどの程度患者が発生するかということで変わってくるというのは、説明がうまくできないということと、現実において対応が非常に難しいという反論が出まして、もう少し考えようという形で、毎回送られております。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、岡本委員。

 

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。財審の場では、診療報酬の話と、それから薬価について長く議論をして、診療報酬についてはやっとマイナスになったと思ったところ、結論は0.004%とプラスになってしまったわけですね。これは本当に惜しいと思うのですが、考えてみれば、これをマイナスにするというのはかなり大変な話なわけで、そのためどのような手段がとれるのかと思っていたときに、先ほど先生のご説明したITの活用という話があるわけですね。

 

 ITの活用というのは、医療の中身の高度化、あるいは予防医療など様々なところに使えるという医療の充実の側面もあると思うのですが、一方で、様々な意味でのコストの抑制にも使えるのではないかと。つまり、この2つの方向を同時に解決するというためにこれは利用できるのではないかということで、非常によい示唆を受けたのですが、その中で、外国では結構使っていますよという話をされたわけですね。

 

 外国では、今言ったような医療の充実とコストダウンという2つの方向性の中で、どこにどのように目を向けて取り組んでいるのか、あるいはこの中で具体的にそのコストダウンに資するような方法論が海外であるのかどうか。

 

 先ほど話がありましたが、誰がチェックするかなど、その辺のシステムはどうなっているのか、海外の話を中心にこのITの活用が今後日本でうまく応用できるのであれば、その辺をお聞かせ願いたいと思います。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 これも様々な話があり、私自身、今年ももう一度視察に行こうと思っておりますが、例えばスウェーデンですと、ある病院である病気、例えば手術などに対して術後の成績がどうかということがホームページやその他で全部ベンチマークとして出ております。それによって患者は選択することが可能になりますし、逆に医療機関は、もちろんアウトカムデータがよくなる形での治療実績の改善の努力をするということになると思いますし、経営面のデータも出ている場合には、当然のことながら効率化を進めていくことになるかと思います。そのような意味でいいますと、データそのものをオープンにする、そして、競争にさらすというやり方は1つの方法であるかと思います。

 

 今、日本でも数々のデータがありますし、評価機構もありますが、わかりやすい数字がすぐ出てくるというものではなかなかないと。その問題ですね。

 

 もう1点は、個々の患者にとっては、実際これはNHKの「クローズアップ現代」でやっていましたが、あるリウマチか何かの患者ですが、高いお薬を使うのですが、仕事を休む期間が非常に短くなる。その場合働く時間が増えるわけですから、その生産性と、生産から生じてくる税収まで計算していましたが、それを判断して、この人にはこのお薬を公費で使うことが適切であるといった評価もしている。ここまでいくと別の問題が出てくると私は思いますが、そのような形でデータを使って、しかもそれを国民がアクセスできるような形にして、医療機関の改善における努力を促す仕組みが入っているということです。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 

 では続けて、田近委員、赤井委員。

 

〔 田近委員 〕 中医協の議論の進め方、可能性について伺いたいのですが、既に7対1の話も出ましたが、中医協の診療報酬の改定の仕方というのは、今日いただいた資料を拝見していても、平成26年度に社会保障審議会が基本方針を出すわけですよね。それは医療機関の機能分化・強化と連携、それから在宅医療を充実することだと。その大方針があって、それに対してどう対応するか、入院医療、外来に対してどう対応するか。それを要するに入院管理料等の点数に落としていくということなのですが、可能性として、2点聞きたいのですが、今、1日払いの包括の診療報酬は導入されましたよね。それに対して可能性としては、リアルGというのですが、1日当たりではなくて、より疾病当たりの包括、それから、急性期に限らず外来、慢性期まで広げていく、つまり、フレームワークとしてこのような審議会が大方針を出して、それを点数に落とし込むというのだけではなくて、診療報酬のそもそものあり方、議論も可能なのかということについて、それからあと、財審で議論したのは、受診時定額、現在は1割負担や3割負担で行っていますが、加えて受診時の定額払いも求めたらどうかという考えもあるのですが、その辺、免責といかないまでも受診時定額払いなど、大方針に対して点数で対応するというだけではなく、診療報酬自身のあり方、あるいは定額払いを導入する、それは中医協のアジェンダになるのですか。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 診療報酬に関する限り、あるいは支払う医療費に関する限りは原則として中医協のマターになります。ただ、中医協のみで議論するかどうかというのは、医療制度に関する場合、医政局の医療制度もかかわりますので、厚労省の中で調整しますが、委員の方の考え方と、これまでの伝統からいいますと、少なくとも診療報酬に直接かかわることについては全て中医協をクリアするという考え方に立っていると思います。

 

〔 田近委員 〕 そうすると、今申し上げた1日当たり包括から疾病当たり包括、あるいは急性期だけではなく、より広い範囲の包括、あるいは免責的なものは上がる可能性もあるのですか。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 あると思います。少なくとも病気ごとにつきましては、一部短期入院については入っております。この前から入れたと思います。

 

 原則は1日ごとですが、これは入院期間を短縮するなど、様々な事情から入ったということで、それまでの出来高に比べると、DPCのような仕組みが入ったというのは画期的な変化だと私は思っておりますが、さらにそれが変わるということは、可能性としてはあり得ることであると思います。

 

 受診時定額負担については、なかなか難しい問題であるとだけお答えさせていただきます。

 

〔 吉川分科会長 〕 赤井委員。

 

〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。1点だけ確認したいのですが、費用対効果が重要ということで、様々な分野、公共事業などでも数値を出したりして事業の選択に使っているわけですが、医療で、先ほどもアウトカムをどうはかるのかという議論があったと思うのですが、費用はまさに金額がランキングもされますし、2倍とか3倍というのはわかると思うのですが、効果のところを今後もそのような形で評価というのが、多分金銭的な評価は難しいと思うのですが、ランキングをつけるような形で、いわゆる費用対効果幾らというような形を目指すのか、もう少し具体的にどうかというのと、あとは1人当たりで非常に効果があったとしても、人数が少ないとそれは効果がないとみなすのか、では人数が多ければ効果があるとみなすのか。ほかにも延命措置と、本当に元気に健康がもとに戻るようなものとをどう比較していくのかなど、その辺をもう少し教えてください。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 効果ですが、これも高度に専門的なことを私がお答えする能力がございませんが、一般的に言われておりますのは、イギリスのNICEが開発したQALYと言っているのですが、Qualityadjusted Life Yearということで、単なる延命効果だけでなく、まさにQualityadjustedですから、生存の質の評価をした指標ということで、この質につきましては様々な行動がどの程度できるかなど、それぞれ国によって一定の方式でそれを出すことにしております。

 

 そして、それを比較する薬や技術と対照させてどの程度優位であるかという評価をしようということですが、QALYという数値そのものは、病気を超えて、様々な薬や技術に共通して用いられる尺度ですが、QALYの出し方そのものが果たして妥当であるのか。ある特定の病気には不適切ではないかなど、その種の議論は山ほど出ております。

 

 ただ、これはどこかで割り切らなければ無理だと思いますし、イギリスのNICEでは散々議論をして導入し、他の国の場合には導入を心がけてはいますが、他の要素を加えたりして、最終的には中医協ではありませんが、裁量的な要素を考慮して判断しているという状態です。

 

〔 吉川分科会長 〕 富田委員。

 

〔 富田委員 〕 ありがとうございます。お聞きしたいことは1点でございまして、高額医療費の自己負担の上限についてです。保険ということの本質を考えた場合に、患者サイドから見れば疾病の発生確率は低いのだが、幾らかかるかわからない、そのようなことに対してやはり手厚く見ていくということが非常に重要であると思うのです。それが多分必要な医療費の抑制は可能な限りすべきでないということの大きな意味だと私は思うのです。

 

 ですから、そのような問題について、もしすべての医療費の総額が一定だとした場合に、診療側には抵抗があるのか、あるいは支払い側にどのような議論があるのかなどについてお聞きしたいです。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 高額医療費については、診療側も支払い側も、この制度はどのような所得の状態でも、生活保護以外の人ですが、受けられるという意味では当然のことという前提で、あまりそれ自体は争点になったことはございません。

 

〔 富田委員 〕 お聞きしたいのは、より疾病の発生確率は高いが、それほど患者負担の診療費がかからないので、需要超過になっている傾向があるかもしれないと。その辺を抑制すれば、医療資源をより難病などについても使うことができて、国民の長寿化にも貢献できるのではないかといったことなのですが。

 

 つまり、資源配分として、発生確率は低くて難病のものにより対応できるようにしてはどうかという話なのです。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 特定の難病につきましては、また別の手当ての措置、制度もありますし、中医協の中においては正直言ってその点をどうするかという議論は、これまではほとんどされていないと思います。

 

 理由は、1点は先ほど言いましたように、できるだけ様々な患者に対しても手厚くすべきであるということと、もう1点は、具体的にどのような根拠に基づいてきちんと調べるかというときに、エビデンスがなかなかないということだと思います。

 

 ただ、議論としては、これからは出てくる可能性はあると思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 ほかにいかがでしょうか。

 

 最後に、私も司会をさせていただいていて、伺いたいことはたくさんあるのですが、かねてからこの診療報酬について、点数というのは少し奇妙ではないかと長年思っていたもので、つまり、基本的には公定価格ですよね。価格は大変重要なインフォメーションで、モノの価格について大体このようなものは幾らだというある種の意識を各自持っていると思うのです。

 

 この診療報酬体系は医療の公定価格ですが、あえて点数という制度をとることによって国民から遠ざけているのではないかと思うのです。ですから、端的に円で表現されるべきだと私は考えていますし、そちらの中医協で議論していただくわけですが、その情報がより広く国民に知れ渡って、常に国民が自分たちに身近な医療の価格は何円であるということがわかるようになっているというのが民主主義のもとで望ましいのではないかというのが私の長い間の考えですが、明日にも会長としてできることではないかと思うのですが。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 いや、会長などとてもできませんが、初めて聞くご意見ですが、それなりにそうかなと思いますが、実はかなり昔は、要するに点数というのは診療行為など様々なものの配分の比率を決めているわけで、1点幾らにするかという考えとは違っていた時代があるのです。あるところから10円にしてしまって、それ以後は、逆に言えば、比率はそのまま積み上げたものが総額になるという形になっていたと思います。

 

 現在では逆にキャップがかぶせられて、点数が10円と決められているものですから、これはある意味で周知のところかもしれませんが、中医協で診療報酬の個々の項目の点数を決める議論をすることはほとんどありません。何をプラスにして何を減らすかというので、最終的に答申の前にそのようなものを考慮して数字を出してくるということになります。

 

 医療費総額ですから、ある部分について点数を上げたら、どこか他から持ってこなければいけないわけで、その調整は、数千項目にわたる医療と数万項目にわたる医薬品、そして、その後出てくる需要量を全部掛け合わせたものですね、それを調整するというのは、どこかの天の声のような形で最後におりてきて、これでいいですかということになります。

 

 一部、こちら点数を上げたらこちらを下げるということが最後に争点として残ることはありますが、基本的にそのような形で決まることはないというのと、もう1つは、公定価格とおっしゃいましたが、価格そのものは保険者が医療機関に支払う金額であって、それ以外の薬の実勢価格とは全く異なるわけです。そこで差額の問題が出てまいりますし、その辺は、例えばタクシーの料金でまけると大変なことになりますが、そのような類いの公定価格とは少し異なる性格であって、それ自体がまた国民も含め、専門家の方でも必ずしも理解されていないところがあるのかもしれません。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 よろしいでしょうか。今のお話を伺っても、森田会長のお仕事の困難、察して余りあるという感じがします。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 ありがとうございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 今日は本当にお忙しいところ、財審に時間を割いていただきまして、どうも本当にありがとうございました。大変有益なレクチャーをしていただいたと思っております。

 

〔 森田中央社会保険医療協議会会長 〕 どうもありがとうございました。私も中医協の会長としての任期は終わりますが、今まで非常によかった日本の医療制度をできるだけ持続可能なものにしていくために、これは財政の問題は大変大きいので、ぜひそうした観点からご審議いただければと思います。

 

 どうもありがとうございました。(拍手)

 

〔 吉川分科会長 〕 それでは、今日の会議の後半に移りたいと思います。

 

 続きまして、本日の第2番目の議題、IT予算について、片岡参事官より説明をしていただきます。

 

〔 片岡官房参事官 〕 よろしくお願いします。お手元に資料2ということで「国・地方のIT投資について」という資料がございますので、その資料に沿ってご説明したいと思います。

 

 まず、国のIT投資についてということで、2ページをご覧いただければと思います。調査対象あるいは定義等、若干のぶれ等はございますが、近年、おおよそ1兆円程度をIT予算として計上してきている状況でございます。

 

 大きく3つのカテゴリーに分かれると思っておりまして、1つ目が、後ほど簡単にご紹介しますが、IT宣言、これは2年前の6月に閣議決定しておりまして昨年6月も改定しておりますが、世界最先端のIT国家になるというこの宣言に基づきまして、政府情報システム、例えばハローワークや年金といったいわゆるシステム系を通じまして国民に対して行政サービス等を提供するために使っているお金が6,000億円、うちシステムウェア等の開発コストで1,400億円、運用コストで4,000億円といったところがございます。

 

 2つ目が、IT宣言に関連するのですがシステム以外、これが1,000億円弱。

 

 さらに、IT宣言には関係しないがIT予算という、定義上の問題ですが、これが3,000億円弱あるという状況でございます。

 

 参考資料編ですが、12ページをご覧いただければと思います。これが政府のIT戦略の推移ということでございまして2001年にIT基本法を施行して以降の流れについて簡単にまとめております。最初の5、6年は世界で最もインターネットの利用環境をよくするというハードを中心に整備してきたというところで、途中からどのような分野で利活用できるかという世界に移ってまいりまして、特に近年では一番右のところにございます。IT宣言の中でもそうなっておりますが、ITをどう推進するかということから、ITによる社会変革をどう促していくかという戦略にシフトしているといったような状況がございます。

 

 戻っていただきまして、3ページでございます。平成25年にIT創造宣言がつくられたわけですが、これと歩調を合わせまして内閣法等を改正しまして、政府CIOを設置し、その後、その政府CIOが活躍をされているところでございます。ITの本部長が総理大臣でございますので、その委任に基づきまして府省を横断する計画、工程表をおつくりいただいているというお仕事と、もう1つが戦略的にどう予算を重点的に配分していくかという、その方針の2つをおつくりいただいております。したがいまして、概算要求時の重点化、施策の着実な推進という観点から、重複があれば排除をし、連携の強化の必要があればそれをアドバイスで指摘いただいているという状況でございます。

 

 ただ、政府CIOを1人、副CIO1人、さらに事務局が2030というオーダーで、全体のシステムについて、あるいは政府全体のIT施策についてやるというのは限界もございまして、専門家が必要ということで、CIO補佐官を内閣官房で一元的に採用しまして、事実上、派遣をしているという制度もございます。

 

 7月以降、9月辺にかけての概算要求とCIO等とのかかわりについては、その下の図にまとめておりますので、ご覧いただければと思います。

 

 右側の4ページに移りまして、我々の思っております問題点、課題ということでご紹介をしたいと思います。まず1つ目でございますが、先ほど簡単にご紹介しましたIT宣言の中で、平成33年度までに保守運用コスト、人件費の塊といってよろしいかと思いますが、こちらが4,000億円程度足元にございますが、これを3割減にするということを決めております。今、しっかりと各府省でコスト削減に取り組んでいらっしゃっているわけですが、なかなか現状の見込みでは3割減の目標の達成が難しく、2割強であれば今できそうだというところに留まっているところでございます。

 

 どのように3割をやっていくかということですが、やはり無駄な業務フローを抱えたままシステムにして、それを開発し、さらに運用すると、どうしても費用が減らないということでございます。抜本的な業務の見直し、ビジネスプロセス・リエンジニアリング、BPRと申しますが、これをやっていくことが必要ということで、改めてですが問題提起をさせていただきたいと思います。

 

 それから、4ページ右側の下のグラフをご覧いただければと思いますが、平成26年で政府全体で1,149システムがございますが、上位5%弱の53システムで全体の運用コストの8割、さらに言いますと上位の12システムでも6割ということで、かなり大規模なところで集中的にお金を使っているというところがございます。これはまさに政府CIO、さらにCIO補佐官を中心にしっかりと頑張っていかなければいけないということかと思っております。

 

 後ろにまた戻っていただきますが、13ページあたりをご覧いただければと思います。主なIT予算ということでございまして、先ほど1、2、3と紹介しましたが、一番左側にあります政府情報システムのうち、運用コストが50億円以上の上位12システムをここでご紹介したいと思います。大きく分けまして、1番、3番にあります年金系。それから2番のハローワーク。さらには当省も関係しておりますが財務省の国税の関係、4番、8番。さらには登記、特許、あるいは出入国管理システムという形で、数百万人、数千万人の、あるいは数百万件というオーダーで関係しそうなものということで、確かに大規模なシステムであると感じます。

 

 ちなみにご紹介いたしますと、年金の関係の一番上の記録管理・基礎年金番号管理システムでございますが、現状450億円、500億円近い額を運用コストで使っているわけですが、いわゆる旧型のシステムを、自前で本当に開発した人しかメンテナンスができないというものから、オープンな、要するに保守サービスが市場で他の会社からも調達できるようなものにかえることによって、3割以上の削減を今見込んでいるといったこともございます。

 

 戻っていただきまして、資料の5ページでございます。大規模なものをやるということも当然ですが、もう1つは、残りの1,000を超える比較的小規模なシステムのところでもしっかりと削減効果を追求しなければならないと思っております。ここでは具体的には共通プラットフォームの取組をご紹介させていただきたいと思います。総務省の行政管理局を中心に各省でつながっております小規模なシステムをコンピューターシステム等で共用する、あるいは必要なソフトウェアを一括調達するといったところで、集約化によるコスト削減を今追求しているところであります。真ん中の丸でございますが、平成33年にかけまして総投資額306億円としているわけでございますが、実は改修をしていくに留まる場合は228億円しかかからないということで、78億円、実は投資額が増えてしまっていると。そうであれば運用コストで取り戻すということなのですが、平成33年の時点で14億円の減少に留まっておりまして、合わせて行うとすると、5年、6年、運用コストが削減するのを待って初めて投資額を取り戻せるということですが、この世界、日進月歩、早く進みますので、5年、6年もすれば、また新しい投資が必要ということで、このまま行きますと、全体としては実は費用対効果が必ずしも合っていないのではないかという議論になりかねないところでございます。したがいまして、先ほども申し上げたBPRを改めて特に徹底する必要があると考えております。

 

 それから6ページでございます。開発コストの話が実は抜けているのではないかという話でございます。開発コストにつきましては、予算要求段階でどのように正確な見積もりをしていくかということもございますので、これまで以上にCIOあるいはCIO補佐官と連携いたしまして、開発コストも含めたITの個別のプロジェクトごとの投資管理をしっかりとやっていかなければいけないのではないか。さらに執行においても、小さいシステムであればあるほどどうしても専門家との情報の非対称性がございますので、こちらもある程度束になってかかるという意味での調達一元化を通じて、言葉は悪いですが、専門家の言いなりにならないよう頑張って考えていかなければいけないということかと思っております。

 

 以上が国でございます。

 

 次のページ、地方のIT投資に移っていただければと思いますが、こちらは5月11日、前回の財審の地方財政の部分でご説明した資料と同じ資料が入っておりますので、簡単にポイントのみとさせていただきます。

 

 市町村、それから都道府県合わせて7,100億円使っているということでございます。総務省といたしましては、小規模な自治体等で個別に行うということはあまりにも非効率ということで、いわゆるクラウド、共同利用等をぜひ推進したいということで取組を進めておりますが、先ほど来申し上げているIT宣言の中で、こちらも運用コスト3割減を目標として掲げておりますが、達成期限が実は置かれていないこともございます。

 

 さらに、なまじ人口30万人あるいは50万人といった大きな規模があったがゆえに、先んじてIT化しましたが、先ほど来出ております、自社単独で開発していただいたところにしかメンテナンスいただけないような旧型システムがまだ残っているという話もございますので、ここを次期のシステム改修に向けてしっかりとクラウド化をしていただくということが改めて必要であるということを指摘したいと思います。

 

 次のページ、めくっていただきまして9ページでございますが、これも前回ご紹介した、いわゆるメインフレームを廃止した愛知県の例、それから、全市町村でやめた神奈川県、さらに23町村のうち18町村でやめた埼玉県の例を、4割以上コストが削減された例ということでご紹介しております。

 

 参考資料のところで1つだけご紹介させていただきたいと思います。21ページでございます。これも前回の地方の部分でもご紹介しましたが、都道府県別の次期システムのクラウド化の見込みということで、複数の自治体でもともと使うことを想定した自治体クラウド、一番右側の青い部分でございますが、単独のクラウド、あるいは自分で持ってしまっているもの、さらには本当に他になく、そこだけのメインフレームに至るまで、様々なシステムの段階がございます。全国平均は6割ということでございますが、なかなか深い青の部分が必ずしも広がっていかない、あるいは地域によって跛行性があるということでございますので、これはやっぱり横を見ながら、しっかりと高いところに目標を置いて実現していただきたいと。

 

 といいますのも、その次のページに、いわゆる社会保障・税番号制度、マイナンバーでございますが、今後、マイナンバーが今年度後半に向けて、付番あるいは個人番号カードが配られて利活用が進んでいくわけですが、ここでしっかりと効果を生んでいくためにも、地方がクラウド化することが重要かと思います。絵空事になって非常に大きな大風呂敷を広げ過ぎてもいけないのですが、かといって、あまりにも将来の利活用に対して慎重になり過ぎて、パッチワークのような形でマイナンバーを使っていくのもまた無駄になりかねませんので、そこは将来を見据えた利活用が必要ではないかということで、問題提起も改めてさせていただきたいと思うところであります。

 

 以上でございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 末澤委員、赤井委員、遠藤委員。

 

〔 末澤委員 〕 片岡参事官、ありがとうございました。

 

 今回、このITに関連して真正面から扱うのは初めてということなので、感想と質問をさせていただきたいのですが、実は私、初めにお伺いして、違和感というか、イメージと違ったと思ったのは、IT経費はもっと増えていると思っていたのです。それがIT宣言でもって減らさないといけないと。これは減ることは全然いいと思うのですが、ただ、証券会社なんかですと、最近、STPといいまして、Straight Through Peocessing、要は取り引きの電子化、効率化するためにITに投資すると。また、最近ですと情報セキュリティー投資とかも相当かかっています。

 

 余談になりますが、昨日、実はアメリカでSP500という株価指数、これが過去最高値を更新したのです。今、世界の企業時価総額ランキングナンバー1、2、3は全部IT関連企業なのです。AppleMicrosoftGoogleAppleですと、今年に入りまして時価総額7,000億ドル、日本円で80兆円を超えてきているのです。つまり、要は世界中の皆さんがIT投資していますよと。

 

 ただ、なぜIT投資しているかというと、その分、別でコスト削減しているわけです。一番その結果の影響を受けているのはホワイトカラー、つまり事務職が相当削減されて、それでアメリカではずっとジョブレス・リカバリーということで、雇用は増えないが景気が回復しているとここ10年間、言われていたのです。

 

 なぜこのようなことを申し上げるかというと、要はIT投資というのは投資によって別の効用を生むと。例えばコスト削減、人件費削減というためにやるわけで、実際、過去の日本の政府のIT投資がどの程度その他のコスト削減とか、効用や便益の拡大、行政サービスの向上に役立ったのかと。そのような指標がないのかと。各国と比べてですね。例えば投資効率の指標やコストの指標。そうでなければ、単に減らしたために、逆にワークシェアリングして人件費が増えるとなると元も子もない話ですので、指標がないかどうか、初めに確認させていただきたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、参事官、お願いします。

 

〔 片岡官房参事官 〕 ありがとうございます。私もまずこの議論を始める前に、末澤委員とほぼ同様の問題意識に立ったつもりで調べてみたのですが、研究開発でも似たような議論があったかもしれませんが、定義の問題等があって、特に政府でどの程度の投資をどこでどうやっていて、その各国比較がどうであるというところが、実を言うと我々、信用に足るレベルの統計が存在していないに近い状況があるというところを、まずご紹介したいと思います。

 

 一方で、そうは言っていても、日本の例えば電子行政のレベルがどの程度のレベルかというのが全くわからないというわけでは議論としては進まないので、国連の電子政府ランキングというものでご紹介したいのですが、2年に1度公表されているようでありますが、2010年では17位、2012年では実は18位に下がっておりますが、2014年では6位に上がっていると。では、6位に上がっているので電子政府として非常に進んでいるのかということですが、これも実は様々な指標の構成要素がありまして、強いのはいわゆるハード系だと。インフラ系はそれなりに整っていると。ですが、実を言うと逆に利活用のところはあまり進んでいないのではないかという議論はあるようでして、ここはさらに研究が必要かと思っておりますが、かなり頑張ってきているかもしれないが、まだまだ頑張る余地はあるというのが事実であるという感じがいたします。

 

 ただ、国としてどの程度の投資規模が必要で、それが各国との関係でどうであるかというのは、例えば医療でも国民皆保険制度か、あるいは民間保険が主か、それによって投資は変わり得るという部分も含めて言いますと、単純な比較ができないといいますか、まだ信用に足る資料に行き着けていないというところでありまして、将来の課題かと思っております。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、赤井委員。

 

〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。3点ほど述べたいと思います。1点目はまさに今おっしゃっていただいたように、日本のITのレベルはどの程度であるのかという資料があまりなかったので、それは今後整理していただければと思います。その資料があれば、予算的な課題であるのか技術的な課題であるのか、また、ソフト面はやはり国民の意識改革など、マイナンバーも含めてあると思いますので、そのようなところを整理していただくと、よりわかりやすいかなと思います。これは意見です。

 

 それから2点目は、13ページにIT予算で450億円など数字が出ているのですが、これもデータ整備ということになるのですが、この数字がどの程度高いか、競争があるのかなど、世界と比べて相対的にどの程度の金額であるのか、どの程度節約できるのかというところが、多分まだ整理されていないのだと思うのですが、そのようなところが整理されていくと、よりどこを縮減していけばいいのかということがわかるかと思います。

 

 システムの場合は、初めに安く入ってしまえば、あとはメンテナンスのところで費用を回収する仕組みもありますので、そのようなところも含めて競争条件を整備していくことは難しい面もあると思いますが、重要かと思います。

 

 3点目は、9ページなど、自治体の方になるのですが、21ページでクラウド化は進んでいる一方で自治体間には差があるということだったのですが、ここで1つ教えていただきたいのは、自治体クラウド、その次に単独クラウドがありますが、この単独というのはどのような意味であるのか。市町村合併ではありませんが、規模の経済が非常に効いてくる世界ですので、県におさまらず全国1つにしていくか、どの程度の規模にしていけばいいのかなどのご意見をお持ちであれば教えてください。

 

〔 片岡官房参事官 〕 21ページの自治体クラウド以下、定義を簡単にご説明したいと思います。自治体クラウド、一番左のところですが、こちらは複数の自治体による共同調達・利用を前提としたクラウド化システムということでございます。単独クラウドは、まさに複数の自治体ではなく単独の自治体ですが、手法として自前で持つのではなくクラウドシステム、外にシステムを使いにいくということです。

 

 オープン(ハウジング)となっているのですが、このオープンの意味はメインフレーム、一番右側ではなく標準仕様のシステムで、サーバー等は自治体自ら専用機器として持っている。ただ、外部データセンターに設置しているというものをハウジングと言っております。

 

 それから、オープン(自庁)は最後のサーバー等を自庁舎内に置いているもの。

 

 さらに、メインフレームはベンダーの独自設計で、汎用の大型コンピューターで運用しているので、つくった方でないと保守がしにくいという色合いになっているところでございます。

 

〔 赤井委員 〕 どの程度の規模がいいとお考えなのか。

 

〔 片岡官房参事官 〕 これはなかなか難しいところであると思うのですが、国の事務をやっていただいているようなケースですと、それは当然同じ業務をやって、基本同じ業務フローであれば1つのシステムを提供し、制度変更があれば、それに合わせて改修されたソフトウェアを配っていくというのが理想だと思うのです。もう1つ、現実として言えば、国・地方それぞれで似たような業務をやっているが、今まで現実問題として異なるシステムをつくって運用してしまっているという実績もあります。さらに、これを実際にどれ程度の規模でやるかといったときに、導入する費用あるいはメンテナンス、維持する費用をどのような形で分担していくかというのもあって、これは先ほどご紹介した埼玉県や神奈川県の例で、合意できれば全町村で行うことができる上、そのような費用分担に対して異議がある方等が出れば、埼玉県のように一部欠けるというところがありまして、なるべく多くの方に共通のものをつくっていただく方がいいと思うのですが、本当に1つのシステムでいいのか、あるいはある程度、何個かある中でシステム間競争をする方がいいのか、様々な要素あるいは地方自治という、システムを選ぶことも地方自治であるという考え方もなくはないと思います。私からどの程度が適当かということは申し上げにくいところでございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では続いて、遠藤委員。

 

〔 遠藤委員 〕 ご説明ありがとうございます。私も末澤委員に引き続きですが、2ページの予算の内訳を見ても、非常に大括りにしか調査ができないものであるということを見て驚きました。例えば政府情報システムが「公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる社会の実現」に該当するものという漠然としたものであるところが、非常に見えにくいなと思いました。

 

 それで、情報投資、システム投資の中から、どのように効率化して幾ら絞り出していくというよりも、業務全体のフローの見直しの中から、例えば人件費も含めて業務コストを下げていくということがある種IT導入の目的であると思うので、その全体を見直していかないと、クラウド化して幾ら絞ったかといったことでも、それだけではIT予算として、あまり実際としての経費の削減にはつながっていかないのではないかと思いました。

 

 本来、クラウド化してサーバー側に情報を集めて、しかもマイナンバーが入ってくるとなると、情報セキュリティー分野ではむしろさらに投資をしてもらわないといけないというイメージを私はしております。そうすると、例えば13ページの費用項目の中で一体どの予算としてセキュリティーの予算が載ってきているのか。今までそのような数字があるのかどうか。あとはどこの省が総括して、例えば情報セキュリティー予算を計上するのか。例えば防衛か総務かという部分も含めて、何かセキュリティーに対する記述がこの資料の中にはあまり見受けられなかったので、それについてはどのように予算を振り分けていく予定であるのかがもう少しわかると、マイナンバーに個人情報を預ける市民としても安心できるのかなと思いました。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて老川委員、竹中委員。

 

〔 老川委員 〕 ありがとうございました。私はIT関係については全く素人で、体験的なことを申し上げるわけですが、末澤委員のご指摘の、要するに投資がどのような効率・効果を生んでいるのかということに関係しますが、なかなかわかりにくいですね。新聞社であれば、原稿を手で書いて、オートバイで本社に運んで、そこから打つという作業がコンピューター化によって大幅に簡略化して、しかも遅い締め切り時間でも原稿が入る、あるいは経理システムを統一することによって人件費が節約できるなど、様々な効果があります。そのようなことを考えてもこのIT化は必要であることは間違いないし、これからも大いに活用していかなければならないとは思うのですが、ただ、他方でIT化の効率を上げていくためには、やはり行政の場合でも仕事のやり方の見直しですね。フローというお話がありましたが、業務の見直し、例えばなるべく共通化していくなど、そのようなことがより一層必要になってくるだろうと思うわけですが、同時に、と言いましても、運用コストの話がありますが、現実に様々なことを個別にやっていたのではということでシステムメーカーから言われて、様々なことをやってみて、ところがそれが使い勝手が悪くてどうにもならない、あるいは業者から言われてやって、ところがこれが何十億円という単位の金になってしまうなど、そのようなことをやっていたら導入したとしても費用対効果どころか、効果よりも費用がはるかに多くなってしまうというので、うちの場合でも一度大がかりなプロジェクトを途中で相当の損害を出しながら中止したことがあります。それも、他の似たような業界に聞いてみると、他のメーカーならばさらに安くできたなど、そのような話がいっぱいあるのですね。

 

 また、1回動かし出すとメンテナンスが大変、そこにも金がかかるだけでなく、何年かすると再度更新しなければならない。これがまた莫大な金がかかる。したがって、導入する場合はよほどメーカーの選定などを慎重にやらなければならない。言うなりになっていて、しかも交渉に当たる専門職を充てているが、これもいつの間にかメーカー側の言うとおりになってしまっていて反論できない、しかし、別なところに相談してみると、そんなにかからずにできるというようなケースもあったりしますので、IT化か従来どおりかという選択ではなく、IT化を進める場合、システムを構築する場合の業者の選定から始まって、選定の仕方などももよく考えていく必要があるのではないのかということを、自分の会社の中の体験をもとに感じました。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では続いて、竹中委員、土居委員、田中委員、どうぞ。

 

〔 竹中委員 〕 ありがとうございます。今、老川さんおっしゃったことにも関連するのですが、どのような実態が起きるかということはとても重要であると思っていて、この12ページにIT戦略の推移というのがありますが、プロップ・ステーションでは、障害の重い人がコンピューターを使って仕事できるようにということで、1995年に発足してから実はコンピューターを使っていて、まさにこの流れは全部見聞きしてきたのです。とりわけ2003年ごろのe-Japanの戦略が進み出したころから、私は財審とともに総務省の情報通信審議会の委員も並行してやっていまして、完全に国の政策と地方自治体の話を全部見てきました。

 

 最初、メインフレームのときは1円入札などで規模の大きなものを1円でとにかく送り出します、その代わり後の運用で実は大きくお金が取られていくと。まさに損を出したり、また改修が必要ですと言われたりということがあって、それが落ちついて、次はネットワークの時代が来たというと、今度はネットワークでつなぐという業者が群がって、メインフレームの人が様々なことを言って、今度、クラウドと国家が言っているということで、今、地方自治体の情報担当のところにはクラウドのメーカーが毎日のように見積もりを持って提示しているという状況になっているのです。

 

 政府のCIOをされる人は、相当レベルの高い人が選定されるとは思うのですが、地方自治体はやはりそのようなところまでいかないところがほとんどです。私も神戸市はじめ幾つかの自治体の情報化の委員もしているのですが、やはり情報化に対してどれ程のレベルの方がいらっしゃるかというのは、自治体の差が非常に大きいので、そこで何が起きるかという不安が1つあるのと、それからもう1つは、22ページのところ、これはマイナンバーですが、ちょうど総務省の情報通信の委員をしているときに住基ネットの導入がありました。あの住基ネットの悪夢のような思いだけは二度としたくないと思っているのですが、私、委員もしていたので、住基ネットを推進しようといっていたのですが、監視カメラか見守りカメラなどで、監視するのだと。これは国民を全部縛り中まで丸裸にするためのものだという声が大きかったがために、結局住基ネットは失敗に終わりました。巨額の予算を使って失敗。

 

 今度は、ですからマイナンバーは必ず成功してもらわないといけないのですが、そのときに、とりわけ自治体クラウドと組み合わせるということになると、今言ったように、国の税金は国税1本ですが、自治体によってばらばらのシステムで、例えば自治体の徴収や水道代といったものはフォーマットが自治体によって全然異なり、それをそのままクラウドに置いても何の意味もないのです。

 

 ですから、国であるのか、それから大きな県か、それとも市が政令市か中核市か、あるいは規模の小さな町村であるといったことのフォーマットを、国が決めて自治体がいいと言うかどうかわかりませんが、何らかのフォーマットを何種類かに決めて、そこに全部その該当する自治体は入れていくなどのやり方にしないといけないのですが、無駄が絶対に間違いなく出るし、業者の言うとおり、単に聞いているとそこらは多分まとまらなくなると思うのです。

 

 そのような意味で、非常に不安なこともあると同時に、ぜひ速やかにやっていただきたいことでもあるのです。

 

最後に私が何が言いたいかというと、非常に様々な問題が絡み合っているテーマですので、今回初めてですが、この財審でも今後これが重要なテーマになってくる可能性があるので、ぜひ一度、この全体を理解して議論ができる、何か勉強会的なものをやっていただければうれしいので、ぜひよろしくという提案です。

 

〔 吉川分科会長 〕  

 

 では、土居委員、田中委員、佐藤委員の順で、簡潔にお願いいたします。

 

〔 土居委員 〕 ご説明どうもありがとうございました。初めて財審でIT投資の話が出たというのは、とても意義があることだと思います。

 

 ただ、2ページの推移が、必ずしも確たる予算項目で分類できるわけではなく、随分事務局なりにご苦労されてこのような数値を出されたと思いますので、もう少しIT予算に関しても予算の費目のつけ方をこのような分析に、よりなじむような形で計上できる方法を考えてはどうかと思います。

 

 それから、省庁再編の何の因果か、ICTを所管するところと地方自治を所管するところが同じ総務省にあるということですから、地方分権だから地方自治体に任せておけばいい、国は口を出せないということではなく、むしろ国と地方と協力しながら、それなりに統一したフォーマットでシステムをつくっていくことが重要であると思います。 

 

〔 吉川分科会長 〕 では、田中委員。

 

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。私、評価をやっている人間ですので、どのように評価するかと思ったのですが、何度考えても、効果が見えない、成果が見えないと言っているのですが、手段が目的になっている計画なのですよね。このような計画は絶対に評価ができないタイプになっていまして、やはり何を目的に、ITやクラウドといったツールを使う先が何かということを設定しないで、ツールを広げるプランになっているので、これは多分誰が見ても違和感を覚えるのではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、佐藤委員。

 

〔 佐藤委員 〕 やはり本来の目的は業務の見直しであり、そこで人件費なり時間、コストを節約すると。これがあくまでも目的であり、IT投資は手段であるという、その関係がはっきりしないので、結局IT投資を一生懸命やっているのだが何をやっているのかわからないということと、おそらく業務を見直していないために様々なカスタマイズが起きて、結局運営コストが上がっていくという構造であると思うので、まず何はともあれ業務の見直しが先にあるということ、それを促すようなインセンティブを各省庁なり自治体なりに与えていくことが必要かなと思います。

 

 それから、自治体に関して言うと、例えば公会計なんかに標準モデルがありますように、やはりこのようなIT投資についても標準モデルを総務省で示していかれることはあってしかるべきかと思うのです。

 

〔 吉川分科会長 〕 本日も大変活発な議論をありがとうございました。

 

 以上で本日の議題は終了させていただきます。

 

 今回の春の審議では、2月26日以降、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標の実現に向けた財政健全化計画について審議を行ってきたわけであります。皆様方におかれましても、様々な見地から幅広くご議論いただきました。今後は、いただいたご意見を踏まえて建議の起草を行い、次回はそれをたたき台として皆様にお諮りするという段取りでございます。

 

 そこで、建議を起草いただく委員につきまして、これまでもお願いしてきたわけでありますが、小林委員、田近委員、土居委員及び富田委員に引き続きお願いすることにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。4先生、大変ご多忙の中、よろしくお願い申し上げます。では、4先生にお願いするということにいたします。

 

 最後に本日の会議の公表につきましては大変恐縮ですが私にご一任いただきたいというお願いでございます。

 

 次回になりますが、5月19日火曜日14時から予定しておりますので、またよろしくお願いいたします。

 

 では、どうも、ご多用のところ、ありがとうございました。

午後 5時58分閉会

 

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