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財政制度分科会(平成27年5月11日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成27年5月11日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成27年5月11日(月)15:00〜18:04
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

 

 

1.開会
2.地方財政について
・事務局説明 
3.文教・科学技術について
・事務局説明
4.社会資本整備について
・事務局説明
5.閉会

配付資料
○資料1 地方財政について
○資料2 文教・科学技術について
○資料3 社会資本整備について

出席者

分科会長 吉川 洋           

大家大臣政務官
竹谷大臣政務官
田中主計局長
岡本次長
太田次長
西田次長
新川総務課長
寺岡調査課長
窪田法規課長
片岡大臣官房参事官
阪田主計官
余島主計官
冨安主計官
青木主計官
井藤主計官
宇波主計官
彦谷主計官
高村主計官
小野主計官
井口主計官
中山主計企画官
内野主計企画官

分科会長代理     田近 栄治  
 委員

秋山 咲江
碓井 光明
遠藤 典子
大宮 英明
倉重 篤郎
黒川 行治
角   和夫
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
中空 麻奈 

 臨時委員赤井 伸郎 

板垣 信幸
井堀 利宏
老川 祥一
葛西 敬之
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美
武田 洋子
田近 栄治
鳥原 光憲
南場 智子
宮武  剛


   

午前9時59分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、ご多用中の中ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 

 本日は、地方財政、文教・科学技術及び社会資本整備について審議していただきます。2つ目の文教・科学技術の質疑が終わったところで休憩をとりたいと考えております。

 

 なお、岡本委員、古賀委員におかれましては本日ご欠席のため、意見書をご提出いだいております。皆様のお手元にお配りしてあるかと思います。ご確認ください。

 

 それでは、早速議事に移らせていただきます。まず、地方財政について、青木主計官より説明をお願いいたします。

 

〔 青木主計官 〕 青木でございます。どうぞよろしくお願いします。お手元の資料1、地方財政についてという横の紙を中心にご説明させていただきます。

 

 まず、1ページをご覧いただけますでしょうか。地方財政の健全化に向けてという表題で、下に2つ表、絵がございます。国の一般会計の中で、地方交付税交付金というのは、社会保障、国債費に次いで大きく15兆円程度であると。

 

 この金額でございますが、右をご覧いただきますと、全国どこでも一定の行政サービスをきちんと提供していただくという考え方のもとに、地方全体の標準的な歳出と歳入を見積もりまして、その差額を地方交付税で埋めるという考え方になっております。したがいまして、国・地方の歳出全体に関してですが、この地方歳出の総額をきちんと管理・コントロールしていくことが重要ではないかと考えております。具体的に、歳出については、国の取組と歩調を合わせた歳出抑制の具体的規律が不可欠というようになってございます。

 

 ページを開いていただきまして、2ページ目でございます。足元、現在の地方財政の状況でございます。交付税は、今、申し上げましたようにギャップを埋めているということもあり、地方の財政収支は、基礎的財政収支で見ますと、若干例外はありますが、この10年間程、ずっとプラスでございます。さらにこの2年間は、厳しい見方で見ても、マクロでみればプラスになっています。

 

 その結果、下のほうの図において、長期債務残高は、この10年間で国が300兆円、借金の額は増えていますが、一方で地方のはほぼ横ばい、むしろすでに減り始めているという状況でございます。

 

 3ページをご覧ください。ここ数年間、今の中期財政計画もそうですが、地方の歳出総額の規律ということでは、地方税、地方交付税、臨時財政対策債をあわせた、地方が自由に使うことができる一般財源の総額を実質同水準で抑制しているというルールのもと、財政運営をしてまいりました。グラフをご覧いただきますと、赤いラインでほぼ同水準でございます。実質的に同水準という意味は、消費税の財源を使った社会保障の充実分のように、要はペイアズユーゴーで財源を確保して、歳出に上乗せしているものはプラスアルファということでございます。

 

 ただ、リーマンショックの際に危機的な対応ということで、歳出特別枠を設けております。その結果、以前に比べると相当高い水準に一旦なっております。その高い水準を維持してきているということを踏まえますと、この水準自体を見直すということも考えられるのではないかということでございます。

 

 続きまして、4ページをご覧ください。今、申し上げました一般財源総額増加の元になっているものが、この歳出特別枠でございます。下の赤い棒と青い棒ですが、赤いものが歳出特別枠です。それから青のものは、要は財源不足が非常に大きいときに、最後は国と地方で折半で借金をし合うということが原則ですが、例外措置として、リーマンショック後に別枠加算というものも導入しております。これまでの財審の建議でも、速やかに解消すべきというご提言をいただいております。その結果、少しずつ減ってきてはおりますが、すでに税収も回復していますので、速やかにどちらとも廃止するということが適当ではないかということでございます。

 

 その関連で、平成27年度に地方創生という政権全体の大きな課題がある中で一定の対応をいたしましたので、そちらをご紹介させていただきます。5ページ目でございます。まち・ひと・しごと創生事業費というものを地方財政計画の歳出に計上させていただいております。これによって交付税を配分していくわけです。それを使って、各自治体に自主的に地方創生の取組をきちんとしていただくという趣旨で、こうした措置を取らせていただいております。

 

 1.で、財源措置に関して。既存歳出の振り替えと、新規の財源を使って、国・地方のPBには今以上に悪影響を与えないという考え方で、財源確保を行ったものでございます。

 

 実際その配り方なのですが、通常、交付税は基準財政需要と基準財政収入という、要は収入と歳出の差額で、足りない度合いに応じて各自治体に交付税を配るわけですが、こちらの場合は少し考え方を変えておりまして、大きく分けて4,000億円と6,000億円に分かれていますが、行革努力分、要は頑張って歳出を削っている自治体を中心に4,000億円を配ると。

 

 6,000億円は地方創生ということで、まさに人口減少対策として、人口が非常に大きく減っている自治体は必要度が高いということで、当面6,000億円のうち5,000億円をその数値の悪い団体に、既にいろいろ取り組んでおられて数値が改善している団体には1,000億円を中心にということで、いずれにしても、左から右にシフトさせていくという考え方を総務省としては考えているようでございます。

 

 6ページをご覧ください。ここから地方歳出の具体的な幾つかの項目について取り上げさせていただいております。まず、システム関係の予算でございます。国も民間企業も同様であると思いますが、いろいろIT化を進めていく中で、システム関係の予算が非常に大きな金額になっております。地方全体で見ますと、ここにありますように市町村で5,000億円、都道府県で2,000億円、あわせて7,000億円。特に毎年かかる運用コストが四千数百億円という金額になっております。

 

 その下の丸ですが、政府としてはこの運用コストの3割減を目指すということをコミットしております。その手段として、自治体クラウドがあります。自治体クラウドとは、昔は恐らく団体毎にメインフレームを持って取り組んでいたと思いますが、これをクラウド化し、かつ複数の団体で共同してクラウドシステムで持つということであり、これを増やしていこうということでございます。

 

 7ページ右側をご覧いただきますと、実際既に共同クラウドに取り組んでおられる団体があります。特に小さい町村では、財政状況が厳しいということもあると思いますが、積極的に取り組んでおられます。例えば神奈川県の全町村がまとめて取り組んだものとして、費用削減効果は4割と実際に効果としてこのような数字が出ています。

 

 6ページ下の右側の表をご覧いただきますと、メインフレーム残存団体の割合ということで、人口の大きな団体ではなかなか動きが進んでいないというところもありますので、こうした団体に着実に広げていっていただくことが重要であると考えてございます。

 

 続きまして、8ページをご覧ください。これも行政サービスの効率化という観点から、救急車の問題を取り上げさせていただいております。救急車の出動件数は、この10年程で20%増となっております。ただ、今の状況を見ますと、救急搬送者のうち半分程度が、結果的に軽症だったというケースでございます。比較的軽い症状であれば、基本は自分の家族の運転する車で送ってもらう、タクシーを呼ぶなどの手段があると思うのですが、そのような場合でも救急車を呼んでしまったというケースが相当数あるということでございます。

 

 消防費全体で2兆円かかっているわけですが、このまま現状を放置しますと、本当に緊急に病院に行かなければならない人のところにすぐに行くことができないという事態にもなりかねませんので、諸外国でも事例が見られますが、結果として軽症だった場合に救急車を有料化するということを検討してはどうかと、一つの提案として取り上げさせていただいております。

 

 9ページをご覧ください。こちらは、アウトソーシングの問題でございます。国は技能労務職員――具体的に運転手の方などを指しますが――そのような方の定員を順次減らして、新規採用を原則として行わず、民間委託をその分進めてきたということでございます。昭和58年比で92%減らしています。

 

 一方で地方でも同様に取り組んでいただいていますが、地方は国に比べるとまだあまり進んでいないという面がございます。まだ絶対値で10万人程残っていらっしゃいます。仮に地方に国の取組と歩調を合わせて、要は国並みの民間委託率で進めていただければという前提で計算いたしますと、削減額として700億円程出てくるということでございます。

 

 10ページをご覧いただけますでしょうか。歳出項目の最後、公債費でございます。地方債の元利償還費、要は元金と利払費である公債費につきましては、投資的経費がまず非常に落ちてきているということもございますし、借金の残高全体が既に絶対値で減り始めたため、現在の金利状況であるということもありまして、今後5年間、平成27年から32年にかけて1兆円程減少するのではないかと考えております。

 

 当然、公債費が減るのですから、PB歳出とは別ですが、公債費を財源に何か他に充てるということではなく、歳出カットしていくべきであると考えます。

 

 11ページ、ご覧いただけますでしょうか。今まで歳出全体を抑制するという観点から、いろいろ資料をご説明させていただきましたが、こちらはこの財源不足を埋めるという話です。そのギャップを埋める際に、まず国の所得税・法人税・消費税・酒税といった税金の一定割合を充てることが法律上決まっています。その法定率分で足りない場合に、国と地方でそれぞれ借金をすることになるのですが、内閣府の中長期試算ベースでいきますと、今から3年後この法定率で足りてしまって、むしろ法定率分が余るという状況が想定されております。

 

 そうなりますと、財源がその分あるのだから、それを使って他で歳出するという意見もあるかもしれませんが、そうではなく、今までは足りなくて借金をしてきたものが大きく積み上がっているわけでございまして、そこをまず減らしていくと。もちろん国も地方も借金してきたわけですので、こちらの2つ目の丸に、国・地方の債務残高の純減ということで幾つか書いてありますが、こうしたことに充てることをきちんと担保する仕組みが必要なのではないかということでございます。

 

 内閣府の中長期試算は経済成長の前提が甘いと言われていますが、実際の内閣府の中長期試算は、歳出を高い経済成長やそれに伴って上がる消費者物価指数、物価上昇分を加味して歳出自体を伸ばしていますので、仮に歳出全体をきちんと抑制していくということになれば、経済前提にかかわらず法定率分の余剰が出てくるということも十分あり得ると思いますので、今後数年間の中期計画を考えていく際にこうした論点も重要ではないかということで、資料をつけさせていただいております。

 

 12ページをご覧くださいませ。過去の借金が非常にたくさんあるということでございますが、特にこの赤いところ、臨時財政対策債ですが、平成13年以降、発行しなかった年も多少ありますが、最近では毎年新規で非常に発行しており、50兆円にもなりそうです。

 

 投資的経費が減ってきたため、地方債自体は減ってきていますが、それを上回る勢いで赤字地方債は増えていますし、過去の借金部分である交付税特別会計の借入金もまだ非常に多くありますので、こうしたものをしっかり減らしていくことが重要だと思います。

 

 13ページ、地方法人課税の偏在の問題でございます。こちらも、資料と基本的には変わりません。東京都に法人二税の関係を中心に税金が非常に偏在しているということでございます。したがって、そうした団体は非常に潤沢な財源を使って上乗せサービスをしていくわけですが、一方で田舎は交付税に大きく頼らなければいけないという状況です。

 

 14ページをご覧いただきますと、地方法人課税の偏在是正ということで、平成26年度改正で第1弾の偏在是正措置を講じております。こちらは消費税率引上げ時に合わせて、地方消費税分でさらに財源超過が増えるということもあり、こうした措置を講じていますが、消費税率10%の段階でも再度行うということで決まっておりまして、この平成2627年の税制改正大綱、与党でもそうなってございます。したがいまして、次の消費税率の引上げに向けて恐らく今年末、またご議論になると思いますので、資料としてつけさせていただいております。

 

 以上でございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 それでは、早速ただいまの説明について、ご意見・ご質問をお願いいたします。

 

 赤井委員。

 

〔 赤井委員 〕 ご説明ありがとうございます。地方財政を研究してまいりましたので、4点考えと意見を述べさせていただきたいと思います。

 

 全体として、消費税率が引き上がった影響で、今までに比べると若干財政の余裕が出ているということで、臨財債の拡大のスピードも少しおさまりました。ただ、それによってもう臨財債は解決するというイメージが広がっているようで、地方に若干緩みがあるのではないかというのが全体のトーンです。

 

 4点ということで、1点目が4ページの下のところにありますが、せっかく別枠加算・歳出特別枠を減らしてきているのですが、その上で地方創生に絡む費用が上積みされておりまして、4ページの下、5ページの地方交付税における算定というところで、4,000億円と6,000億円というのがありまして、これを積むことで、せっかく減らしたものがさらに大きくなっていると。

 

 これはうまく使うことができれば地方創生につながるかもしれませんが、交付税で渡しますので、どのように使われるかという行き先がわからない部分もありまして、この使い道に関して事後チェックはもちろん、事前にもどのように使うかという議論が必要ではないかと思います。

 

 2点目は、10ページのところになります。確かに公債費、公共事業関係の償還費というのは今後減っていくことになっておりまして、この影響によって公債費はそれほど増えないという予測が立てられているのですが、ここにはもちろん景気の回復や改革も入っていますから、単純にうまくいくかどうかは十分議論が必要かと。インフラに関しては今後維持管理費も必要ですから、少し公債費が減って余裕が出たら、必ず借金返済、健全化に回すという約束が必要ではないかと思います。

 

 次に、3点目ですが、12ページ目のところで、国に比べると地方の借金は拡大しておらず、200兆円で横ばいでいいのではないかという議論がよくあるのですが、人口も減少してきておりますし、1人当たりの借金は確実に増えておりますので、将来長期的に見ると、その負担能力から見て、横ばいでもやはり危機感は大きいということを共有すべきではないかと思います。

 

 13ページ、14ページのところは、格差の是正をどうするか。地方法人税の話ですが、財審としては歩調をあわせて、特別枠等をどのようにしていくか、地方法人税をどのようにしていくか、それを財政健全化にどのようにつなげていくかというところをしっかりと議論していくべきだと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では、続いて角委員、佐藤委員、よろしくお願いします。

 

〔 角委員 〕 ありがとうございます。4ページから5ページにかけてのお話につきましては、今、赤井先生がおっしゃった通りだと思います。平成28年度につきましては、地方税収はリーマンショック前に戻っておりますので、ぜひともこの特別枠はなくしてほしいと思います。

 

 それと、5ページのこの1兆円ですが、今、基礎自治体は人口減少の中で、町の魅力を上げることによって、転入を増やす、あるいはそこで子育てがしやすいなどいろいろな点で、これからは競争をし、自治体間の競争力を上げていく時代だと思います。

 

 そうした中で、やはりコスト意識、あるいは税金を使うときにいかに有効にそれを使っていただけるかという観点が非常に重要になってくるわけです。もちろんスタートしたところですので、マル2の人口減少の特別対策事業費6,000億円については、当面5,000億円はどちらかというと人口が現に少ないところにたくさん使うので良い思いますが、これからはぜひとも成果主義をとって、右側の1,000億円を増やしていっていただきたいということでございます。

 

 それとIT化の話ですが、参考資料の10ページに都道府県別のクラウド化の見込みの表が出ております。これを見ますと、やはり大きな政令市などの取組が残念ながら遅れています。マイナンバーが入るわけですから、自治体がそのシステムを変更するということは必須条件になりますので、そういった時期をとらえてこのクラウド化を進めるということがなぜもっと進まなかったのかと少し残念な思いがあります。ぜひとも特に大きな政令指定都市等の意識を高めていただいて、ここでコストを浮かせて、住民にとって、あるいはその町の競争力にとって有効なお金の使い方をするべきであると思います。

 

 先般、私どもが豊中で学童保育を始めたときに、ある関西のテレビ局が特集を組んでくれたのですが、奈良市では全ての小学校に学童保育があり、非常にうまくいっています。片や大阪市での学童保育は人が集まらず、閉めざるを得ないという差が残念ながら出てきています。ですから、自治体の方の意識をいかに高めるかによって、効率的な行政サービスを提供していただき、この人口減少時代に立ち向かっていただきたいという思いを強くお願いしたいと思います。

 

 

 

〔 吉川分科会長 〕 では、佐藤委員。

 

〔 佐藤委員 〕 手短に3点ほど。

 

 まず、第1に地方財政計画なのですが、これはある意味壮大なフィクションでありまして、あたかも何か国が財源保障をして、それに基づいて地方がそのお金を使っている、あるいはお金を使うべきだという感じになりますが、これは部分的には一般財源になりますので、例えば地方交付税の使途を含めて、実は地方財政計画に計上したとおりに使っているわけではない。

 

 それは先ほど赤井委員から話が出た臨財債の償還についても同じでありまして、臨財債の償還に基づいて、公債費が歳出項目に出てくるのですが、そのとおり償還しているかというと、そうではなく、かつては計画と決算の乖離で、地方単独事業の投資的経費についても計画どおり使っていないのではないかという議論があったと思いますが、もともと単独事業は特に一般財源なので、計画どおり使っていない。では何のために財源保障しているのかということがそもそも問われている分野だと思います。

 

 それから、もう一点は、積み上げで何かこの経費はよくないから圧縮しようであったり、歳出特別枠を減らそうなどいうのはわかりますが、実は地方財政計画自体は個別の項目ごとに積み上げたわけではなく、初めに総額ありきでありまして、そうなるように支出項目を考えているというのが正しい言い方だと思います。

 

 だから、例えば歳出特別枠は減っていますが、まちづくりや地方創生絡みの支出は増えているわけでありますし、地方法人税が導入されて水準超経費が本当は減るはずであるが、その部分もあわせて新しい事業にお金が回ったりするわけですので、一方を減らせば一方が増えるという構造になっているというのが事実だと思います。

 

 だとすれば、本当は考えなければいけないのは総額抑制でありまして、地財計画の総額については、抑制してマクロでたがをはめる必要があると思いました。また、あと2点細かいことで、1点目ですが、実は11ページにある財源不足の解消ですが、こちらは今言った理由で、放っておけば支出が増えるだけなのです。したがって、もし財源不足が解消したら、それは必ず地方には交付税の借入金がありますので、特会の借入金の返済、あるいは地方債の圧縮など、臨財債含めてそちらに使うようにというのは、あらかじめ手当しておく必要があるかと思います。

 

 法定率分の縮減によるというのは、少し気をつけたほうがよくて、というのは財源不足が解消したから法定率を下げるのであれば、同じロジックで財源不足が発生したら法定率を上げるという話になってしまうので、あまり法定率に基づいて上げ下げすることは、気をつけたほうがいいということ。

 

 それから、最後にもう1点、やはりこれから財審で気をつけるべきであるのは、地方創生絡みの事業の経費でありまして、正しい目的が誤った使われ方をするというよくある話だと思いますので、いろいろ頑張っているのはわかりますが、やはり放っておくとたがが緩むということもありますので、まち・ひと・しごと創生事業費を含めて、少し地方創生絡みの経費については注意深く見ていく必要があると思いました。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、井堀委員、碓井委員。

 

〔 井堀委員 〕 今の5ページの創生事業費です。これは地方が活性化するためにお金を出すとすると、時限を切ってお金を出さざるを得ないと思うのです。問題は、時限を切ってしまうとにばらまきになってしまい、1回限りのお金ですので、なかなか効果がでない。だから、ある程度継続的にそのお金が入るという見通しがないと、地方自治体としてはそれを有効に活用する、特にいろいろな経費に活用する投資的なインセンティブがなく、ちゃんとした形では使われずに終わってしまうので、恒久財源を確保するという話が6ページの赤のところに書いてある。これでどのくらいきちんとした創生事業費の財源が出てくるのかというのが一つ気になるところです。

 

 それから、中身なのですが、5ページの一番下のマル2のところを見ますと、人口減少しているところと増加しているところの両方に出す。ということは、結局全ての自治体に出してしまうので、これは政策効果としては意味がないと思います。むしろ本当に活性化するのなら、人口減少しているところには補助金を減らす、あるいは毎年行うのなら、少しずつ補助金を減らしていくということを最初にコミットしておく。どちらにしてもお金が出てくるとあまりインセンティブとはならないので、この使い方は非常に工夫を要すると思います。今のままですと、過去に行ったいろいろな地方活性化のばらまきのお金がもう一度出てきたという印象がありますので、どうせお金を使うのであれば、厳しく効果のある形で使っていただければと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 碓井先生。

 

〔 碓井委員 〕 一般財源の総額を抑制することに対して、基本的に私も賛成なのですが、地方公共団体の事務事業は、形式上は増えていると言われています。ですから、それとの見合いで一体どれほどの見直しができるかということは、慎重に検討する必要があると考えています。

 

 それから、5ページのところですが、私は基本的にこの交付税の枠内でこんなに政策的なことを織り込むというのが、そもそもいいことなのかという疑問を最初から持っていまして、それならば補助金で行うようにという議論が出るかもしれません。それはまた問題がありまして、これは交付税でやるということ自体を慎重に検討する必要があると思っています。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて土居委員、田中委員、武田委員。

 

〔 土居委員 〕 まず、地方一般財源総額に関してですが、中期財政計画で総額確保というたががはめられてしまったので、そこから抜け出せず、結局は歳出特別枠も別枠加算も今のところ残ってしまっているというところはあったかと思います。そうした意味では、この夏に財政健全化計画を策定して、2020年を見据えた財政運営を検討していくという局面においては、やはりこの地方一般財源総額の水準自体、もう一度虚心坦懐に議論をして禍根を残さないようにする必要があると思います。

 

 その意味では、主計官ご説明の4ページで、昨年末の建議では、歳出特別枠については即座に廃止または大幅な縮小を行うべきという、私としては非常に踏み込み不足になっていたところが、この4ページでは大幅に縮小という言葉はなく、廃止する必要とさらに一歩踏み込んで書いてあり、私としては非常に大事な前進を感じます。

 

 それから、もう一つ別枠加算、歳出特別枠も、こちらはもちろん速やかに廃止すべきと私も思いますが、地方自治体側の収入としても、地方税収がより多く入ってくるということで、自然に解消できる局面に今後なってくるだろうというご説明でもありますから、こちらは次第に解消することになっていくという感じはいたします。

 

 それに対して内閣府の中長期試算では、地方自治体の財源に余力ができたならば収支を改善する方向でお金を使うという前提になっておりますから、10ページ、11ページにもありますように、きちんと債務の返済に充てていただかなければならない。この理解がまだ十分多くの方々に浸透していないのではないかと私は思っております。

 

 杞憂であってほしいと思うのですが、地方税収が経済成長によっても増えるならば、その丈とあわせて地方歳出も増やせばいいという気持ちで、2020年までの財政運営を地方で捉えていただくと、中長期試算で描いている財政収支の動向も絵に描いた餅になるということであります。2020年における9.4兆円という経済再生ケースでのPB赤字の額が、地方財政運営が収支の改善に結びつかないような運営をしますと、9.49.4どころではなくて1011、さらに多くなってしまう可能性はあるので、公債費の減少に合わせて交付税を見直す、または臨財債の満期が来たものから順に返済する、交付税特会の借入金を早期に返済するなどという、債務の削減につなげていくべきだと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 田中さん。

 

〔 田中委員 〕 私は、今回はもう少し厳しく提言をするべきではないかと思います。歳出特別枠を廃止する必要があっても、こちらに上乗せされているわけですから、ある意味、形を変えて一括交付金が再浮上していると。ただ、浮上させるために何かの理屈をつける必要があるので、5ページの2のようにいろいろなインディケーターを設けたという理屈にしか私には見えません。しかも、どちらに転んでも交付金が出るわけですから、まさに自助努力をかえってそいでしまう交付金の出し方、補助の仕方をしているのではないかと思いますので、これは可及的速やかに厳しく見直すべきではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 武田委員。

 

〔 武田委員 〕 ありがとうございます。地方財政に関し、意見を2点申し上げます。

 

 1点目は、マクロ経済の情勢を踏まえれば、別枠加算及び歳出特別枠については私も廃止が望ましいと思います。また、余裕が出てきた分、着実に債務返済に充てていく必要があると思います。

 

 2点目は、地方交付税における算定に関してでございます。資料の5ページにもございますが、今後はその取組の必要度から、取組の成果に視点をシフトさせていくことがという点は重要だと思います。

 

 例えば、数値の悪い団体への割増し部分はむしろ減らし、例えば人口の集積、コンパクト化に向けて努力した先にインセンティブを与えるほうがよいのではないかと思います。

 

 三菱総合研究所で全国の市町村のデータを用いまして、人口と行政コストの関係を試算してみました。そうしますと、人口の規模で行政コストが左右されるのではなく、人口の密度と関係があるとの試算結果が出まして、平仮名の「し」の字を横に寝かせたような形になります。つまり、ある程度人口密度が高まると行政コストが低下し、最後の限界的なところは横ばいないしは若干上がるといったグラフが描けます。したがって、行政コスト削減を目指して、まずは人口の集積に取り組む地方自治体にかじを切ることは、長い目で見ると全体の歳出抑制につながるのではないかと思います。

 

 また、これは行政コストやインフラ補修費の抑制といった点だけではなく、人口が集積することで、地方創生に寄与する面もございます。例えば既存の研究では、集積を進めた方が、非製造業セクターを中心に生産性が上がるとの結果もございます。行政コストの観点だけではなく、経済の生産性向上といった視点も踏まえ、取組みの成果を地方財政の仕組みに入れていくことが望ましいと考えます。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、中空委員、富田委員、末澤委員、竹中委員の順でお願いします。

 

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。私からは投資家の人としゃべっていて得た観点だけ、つけ加えさせていただきたいと思います。

 

 外国人投資家も含めまして、やはりこのまち・ひと・しごと創生事業費には多大な疑念が抱かれており、全く何もできないのではないかということはみんな思っているところです。それはなぜかというと、基本的には内容が詰まっていかないからで、なぜ詰まらないかと考えると、民間のお金を呼び出す策になっていないからではないかと思っています。そこまで財審で考える必要はないのかもしれないのですが、お金を出す以上、その先の姿が少し見えないとやはり話にならないかと思っているので、何らかの行き先がわかる仕組みづくりは必要かと思います。

 

 岡本委員の意見書にも書かれているのですが、インセンティブの働かせ方が生ぬるいのではないかと思います。なので、外国人投資家も含め、投資家から見ると本当にこれが実現できるのかどうか何となくわからない状態にいる。恐らくは失敗をして、前回のようなばらまきになるだろうという思いがどうしても出てくる。ですので、私も質問されると、今回は違うとまず言ってみるものの、何もその後説明できないので、基本的にはその方向をつくっていくべきではないかと思っています。

 

 〔 吉川分科会長 〕 富田委員。

 

〔 富田委員 〕 2点申し上げます。

 

 1点目は、地方債の残高が横ばいになっているのですが、それ以上に驚くべきことは、公金預金という地方公共団体が保有いたします現金と預金の残高が非常に増えておりまして、5年前の200912月末206,000億円に対し、去年、201412月は34兆円。この間に7割も増えているのです。

 

 先ほど、人口が減るので1人当たりの地方債の負担が増えるというお話がありましたが、これだけ国の財政が厳しい中で、地方の公金預金が増えてきたということをどう見るかということが1点目です。これまでの予算が甘かったのか、何が起こったのかということですね。

 

 2点目は、地方財政計画はフィクションであったら困るわけです。国会において予算を審議し、成立するにもかかわらず、地方交付税が何に使われているかわからないというのは、まさに国会の危機そのものであって、地方財政についてきっちりとした総額の管理は当然大事ですが、同時に個別の計画について決算との間に大きい乖離があるというのはやはりおかしいわけでして、一つずつ議論して詰めていくことが重要であると思います。

 

 最後に、中身の議論を財審がするかどうかなのですが、先ほどの地方創生の話で、これは当然議論するべきことです。財審で議論しなくて、誰がその知識人としての役割を果たすのかということであると思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、末澤委員。

 

〔 末澤委員 〕 ありがとうございました。私は以前地方債のアナリストもやっておりました関係で、地方公共団体や総務省的に言えば、12ページの地方の長期債務残高がずっと横ばいになっているというのは、90年代後半に景気対策を行ったがうまくいかなかった。そして、2000年代に入ってからは、地方はほとんど国の景気対策につき合っていません。実際、地方債の発行額がずっと計画を大幅に下回る状況が続いています。

 

 ただ、今後の状況を勘案しますと、この人口減少、またグローバル化の中で、やはり今後地方は債務残高を増やせる状況にはないと。むしろ18年度以降、地方財源不足解消後は、一段と借金の返済に資金を回していただく必要があると。

 

 その場合何をすべきであるかということですが、過去の経緯を見ますと、この交付税特会借入金は、かつては地方分と国分がありまして、国分は一括で長期借入して、毎年きちんと返済している一方、地方分は、確か過去3回リスケしています。ここ数年は1,000億円ずつ返済を増やしてますが、やはり過去長期にわたってリスケをしてきていることを考えると、2018年度以降、まず当初の計画に立ち戻って、この地方交付税特会の借入金の償還を優先すべきではないかと私は考えております。

 

〔 吉川分科会長 〕 はい、どうも。

 

 竹中委員。

 

〔 竹中委員 〕 私も特別枠については速やかに廃止する必要と書かれているのに全く同感ですし、まち・ひと・しごと創生事業費に関しては、疑念を感じざるを得ません。

 

 というところで、8ページの救急出動の件ですが、半分が軽症だということなのですね。それで諸外国のように、身近な病院をタクシーで往復して、1区間だと1,500円程のところを、もし1,000円きちんと費用を取ると、今、計算してみると、250億円程の予算が出ます。

 

 日本の救急医療体制というのは世界の中でも大変進んでいて、特に今、携帯やスマホでも今夜の身近な救急病院などは調べられるようになっています。そうした時代に、軽症の人がマナーを守らずに救急車を呼ぶということで、1人1,000円いただくことにすると実は250億円程のお金があるとしたら、逆に救急医療をきちんと充実させるための費用ができるのではないかと。

 

 救急医療を受けようとされる方のために、マナー違反の人がきちんとマナーを守る。歩きたばこのようなもので、マナーからお金を取るのかという批判もあるかもわからないが、マナー違反の人がもうそこまで来てしまったところがあり、この点は今回の資料の中で異質かと思ったのですが、私は問題としてきちんと取り上げられるべきだと思いました。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。今日は地方財政で救急車ですが、救急車が着いた病院の救急病棟に着いて、緊急でなかった場合には病院サービスでのペナルティと、救急車、それから病院双方でのモラルハザードに対する対処が必要だろうと思っています。

 

〔 竹中委員 〕 以前から医療については私も全く同感です。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では、大宮委員、お願いいたします。

 

〔 大宮委員 〕 現金や預金がたくさん余ってきているというお話から、1点目ですが、やはりバランスシートの開示が非常に重要ではないかと思います。

 

 2点目は、国会中継でもよく予算の審議はテレビに出ますが、決算審議はほとんどテレビに出ないというのは、時間も遅れて決算の結果が出てくるということもあるのでしょうが、企業にいる者にとっては、予算より絶対に決算です。ですから、決算をベースにどうするかということで、予算同士の前年度対比を行ってもしようがないと思います。ですから、そのあたりの考え方をきちんと変えていかなければ、いつまでも中が見えず、空疎な論議になってしまうのではないかと強く思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 いかがでしょうか。地方財政について。よろしいですか。

 

 では、次に本日の2番目のテーマですが、文教・科学技術について、井藤主計官より説明、お願いいたします。

 

〔 井藤主計官 〕 文教・科学技術担当主計官の井藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 それでは、資料2、「文教・科学技術について」という資料をもとにご説明させていただきます。

 

 まず、1ページをおめくりいただきまして、目次になってございます。今回、文教・科学技術予算の中でも大きな項目、義務教育予算、国立大学の運営費交付金、科学技術関係予算について取り上げさせていただいております。

 

 まず、義務教育予算でございますが、3ページをご覧いただけますでしょうか。左下の表にありますように、日本の小学校向け公財政支出でございますが、教育関係者の方々からよく国際的に低い水準だという指摘がございます。これはマクロで見て、GDP比で少ないという議論なのですが、日本は諸外国に比べて子供の数が少ないということを勘案しないと、それはフェアな比較ではないだろうということでございます。

 

 それで、日本の小中学校向け公財政支出を在学者1人当たりで見ますと、OECD平均よりも高く、特に経済状況の近いG5諸国の中では高い水準となっています。右の参考にあるように、日本の国民負担率は低いということを考えれば、相当頑張って教育に投資してきているのではないかと評価できると考えてございます。

 

 子供の世代にこれ以上借金を負わすことができないとすれば、その量の拡大よりも、より効果的な施策に重点化して質の向上を図ることが強く求められているのではないかと考えてございます。そうした観点から、4ページですが、諸外国におきましても、教員給与というのは教育支出のうちやはり最大の部分を占めるのですが、特に日本の小中学校予算は教員給与に配分が偏っているという特徴がございます。その結果、在学者1人当たり教員給与支出というのは国際的に見ても高い水準になってございまして、去年の財審では先生方の授業数が世界的に見ても少ないという比較もいたしましたが、こうした中で、どのような授業や経費にお金を投入していくのが合理的かという視点が必要だと考えています。

 

 続きまして、5ページでございますが、左の表を見ていただければと思うのですが、日本は諸外国に比べまして未だに学級規模が大きく、教育環境が整っていないという指摘がございます。確かに1クラス当たりの平均的な規模はG5で見ても大きい水準ですが、逆にその下、先生1人当たりの児童生徒数で見ますと、小学校ではG5で真ん中辺り、中学校に至っては一番少ない水準ということでございます。

 

 なぜかというと、日本の特徴でございますが、右にありますように1クラス当たりの担任外の先生の数が多いということでございます。これについては、少人数学級化することは合理的な投資かという議論があるものですから、それ自体良い悪いということはさておきまして、一番右下の米印ですが、去年の財審の建議でもご指摘いただきましたように、教員の活用について地方の自主的な判断に委ねるとすれば、定数について全体的な合理化を図りつつも、少人数学級、または少人数指導を含めて、地方が選択する施策を実施できる十分なリソースが既に手当されているのではないかということでございまして、こうした十分なリソースがあるということをもとに考えていかなくてはいけないということだと考えてございます。

 

 6ページでございますが、こちらは標準学級当たりの加配教員数の推移ということでございます。例えば平成16年度以降、少子化は引き続き進展しているわけですが、標準的な学級数、子供の数によって機械的に算出される標準学級数は1.0%減少してございます。加配定数には基礎定数のような自然減という概念は今までありませんでしたので20.7%増加しておりまして、標準学級当たりの加配定数というのは、その比率で見て21.9%増加しています。

 

 学級数の減少等というのは、今後も少子化を反映して当面続いていくことが見込まれているわけですが、仮に加配定数を現状維持とした場合であっても、子供の数ほどは減らないまでも、標準的な学級数は引き続き減っていくので、1標準学級当たりの加配定数は今後とも増え続けるということでございます。

 

 7ページでございますが、加配定数もやはり、基礎定数が減る部分、これは子供の数が減るほどではありませんがが、それに見合った程度は減ったとしても、等身大で見て単位学級当たりの資源としては減っていかないわけでございますので、同様な自然減的なものをやはり勘案していくことが必要ではないかということでございます。

 

 8ページでございますけれども、文科省をはじめとして、教員の計画的な採用やその育成などを考えると、計画的な定数の見通しが必要とおっしゃられるわけですが、そこに一定の合理性があるとしても、そうした計画を考えるということであれば、こちらに書いてございますように、標準学級当たり加配教員数を維持できる程度の加配定数の合理化は当然減とみなし、それを踏まえた計画を策定して、より費用対効果が高い方法、外部人材の活用等を計画的に進めることが考えられるのではないかということでございます。

 

 続きまして、国立大学の運営費交付金でございます。10ページの資料ですが、これをよくご覧いただきたいのですが、青い折れ線グラフというのは18歳人口でございます。最初の40年近辺の山が団塊の世代でございまして、平成に入ってからの山は団塊ジュニアでございますが、その辺から減少が続いておりまして、今後も当面減る見込みでございます。これは18歳人口ですので、18年後までの人は既に生まれておりますので、今後出生率が回復したとしても、そこまでは確実に減ることが想定されています。

 

 一方で、国立大学の在籍者はずっと増加してきて、近年やや微減の傾向はありますがほぼ横ばいでございますので、同世代における国立大学の在籍者の割合は非常に増えています。さらに特徴的なのは、緑の棒グラフの先生の数であり、こちらは増加傾向が続いているということでございます。

 

 11ページですが、こうした中で、国立大学法人の方々は平成16年度の独法化以降、毎年運営費交付金が減らされて厳しいということなのですが、それでは、なぜこれ程教員数が増えているのかということになると思いますが、国からの支出というベースで見ていただきますと、黄色の部分で、決算ベースの数字で16年度と25年度を比べても、大きく増えているということでございます。運営費交付金は減っているが、大学改革の補助金や科研費等が非常に増えているということです。

 

 他方、自己収入については、附属病院の収入は増えていますが、その他の収入は必ずしも十分に増えているわけではないということでございまして、3番目の丸にありますように、教育・研究の質の向上のためには、多様な収入源の確保を目指す余地があるのではないかということでございます。

 

 参考に、12ページの資料ですが、諸外国の大学や研究機関では資産運用や民間からの研究受託収入等、多様な研究資金の調達を行ってございます。国立ではないのでというお話もありますが、表に掲げてあるような世界の上位行も教育研究を行うという事業の中身を見ると、日本の国立大学と、事業という点では何ら変わりないという側面もあるわけです。したがいまして、多様な資金を得られないというのは大学の努力不足ではないかということについては、必ずしも合理的な反論でもないのではないかと考えてございます。

 

 次に13ページで、授業料についてですが、まずその前提としまして、生涯賃金は学歴が高くなるにつれて増加する傾向がございまして、大学を卒業した者は入在学時に要する費用に比べて、受ける恩恵が非常に大きい可能性があるということでございます。

 

 特に右の表をご覧ください。右下の部分ですが、国立大学と私立大学の授業料を比較した場合、国立大学の授業料は私立大学の概ね6割程度の水準です。例えば東京で言えば、東大であっても、一橋、東工大であっても、年間の授業料は54万円弱でございますが、例えば早慶で申し上げますと、文系でも年間110万円弱、理系では150万円程度になってございまして、特に比較的所得が高い層についてこのような差があることは、必ずしも合理的な説明はできないのではないかということでございます。

 

 もっとも、近年やはり教育格差の拡大等には配慮しなくてはいけないということもございます。特に低所得者層への進学支援などの問題があり、そのニーズに応じた教育研究環境の充実のための投資が非常に求められている。こうしたご意見もありますが、そうしたことについては、例えば国立大学が高所得者層部分の授業料を私立大並みに引き上げることによって財源を確保して、支援等を行ってはいかがだろうかということも考えられるのではないかということでございます。

 

 こうした点で参考になるのはイギリスの授業料改革でございまして、イギリスでは2004年の高等教育法までは一律年間1,200ポンド、大体20万円程度であった授業料を段階的に引き上げ、2011年には授業料上限額を年間9,000ポンド、200万円までは行きませんが、百万円台の後半に引き上げているということでございます。こうした中で、並行して低所得者向けの支援等を充実させてきているということもあります。こうした例も参考になるのではないかということでございます。

 

 15ページ、16ページは大学改革でございます。財審におきましても、大学改革については評価に基づくメリハリのある配分による重点支援を実現すべきとの議論をしていただきまして、建議でもそうした内容をいただいておるわけですが、文科省におきましても、そうした内容で取組を進めているということでございます。この点については、財審の場でも今後引き続きしっかりとフォローをしていく必要があるのではないかと考えてございます。

 

 最後に、科学技術関係予算でございます。18ページをおめくりいただければと思います。これは研究開発費の各国比較でございますが、官民合わせた研究開発費対GDP比は主要先進国の中でも日本は非常に大きいという状況でございます。その中でも特筆すべきは、民間部門の研究開発費が大きいということです。一方で、政府部門は欧米よりもやや低い水準にあるということもあり、科学技術関係の人たちは、欧米を凌駕するような水準で投資すべきだと常々おっしゃられています。

 

 ただ、日本の厳しい財政事情というものを考えますと、負担能力的にも、今後も社会保障の伸び等を考えると、政府負担を増やすということについてはどこに財源を求めるかということがあるわけでございます。もし民間の企業部門の負担を増やすことによって政府部門の投資を増やすということであれば、一体どういうことをしているのかということにもなるわけです。

 

 したがいまして、後ほど申し上げますように、近年科学技術については相当頑張って投資してきているということも踏まえれば、科学技術予算についても、量の拡大ではなく、質の向上により研究開発力の強化を目指すことが必要ではないかということでございます。

 

 19ページでございますが、平成元年比で科学技術振興費は3倍に増やしておりまして、右の折れ線グラフですが、国債費と社会保障関係費を除いた一般会計に占める割合を見ると、近年相当な伸びをしてきているということでございます。厳しい財政事情の中、このような大きな伸びの投資を頑張ってやってきているということでございまして、これに相応した成果を社会に還元できているのかの説明が必要ではないかということです。

 

 国の予算では基礎研究についてかなりの投資を行っているわけですが、これはすぐには成果は出ないというご説明をよく受けますが、基礎研究であっても、中期・長期的に少なくともどのような成果があるのか、どのような蓋然性があるのかは、やはり国民に対して説得力のある説明が必要ではないかと常々考えているところでございます。

 

 20ページは参考資料の一つです。内閣府の資料で、日本の企業部門の研究開発効率が低下傾向にあるというものです。ここで言う研究開発効率というのは、研究開発支出分の生産付加価値を指しますが、それが減っていると。

 

 いずれにせよ、財審でもかつて国の資金による研究、公的研究部門で1論文当たりの費用が非常に高い、あるいは、引用数が伸びていないという話もあり、質の向上に科学技術予算投資の拡大が十分につながっていないのではないかという疑いがあるという議論がありましたが、民間部門の研究効率を見てもそうした可能性があると。したがいまして、いずれにしても、繰り返しになりますが、量にこだわるのではなく、例えば企業・大学間の連携促進やイノベーションを阻害する規制の見直しなど、システム改革を通じて質を高めることが重要であろうと考えているところでございます。

 

 21ページでございますが、こちらも研究開発資金の流れということで一つの参考資料でございまして、日本は当然企業負担の割合が多いのですが、その研究開発費のほとんどが企業に流れてクローズドな状態でございます。他の主要国は公的機関、大学部門とオープンに連携しているという指摘もございます。

 

 例えば右のドイツの大学部門をご覧ください。その括弧の中ですが、大学の14%の研究費が企業から来ていて、いわば研究開発センターとして活用されています。他方、その左下の日本の場合は、大学が企業から研究開発資金を調達しているのは2.5%に過ぎません。

 

 厳しい財政事情の中、今後公的機関及び大学部門は国のみに頼らず、企業部門の研究開発資金との組み合わせにより、共同研究を拡大するといったことで基礎研究と応用研究のつながりを強化して、その研究成果の社会実装により社会に対して効果的に貢献していくことも重要な課題だと考えている次第でございます。

 

 以上を説明とさせていただきます。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では、ただいまの説明に対して、どなたからでもご質問、ご意見をお願いします。

 

 田中委員。

 

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。1点目は国立大学に関して、2点目は科学技術予算であります。

 

 1点目、10ページでご説明をいただいたので、若干補足になるかもしれませんが、ここは確かに国立大学の教員は増えておりますが、これは特任教員など、いわゆる定員とは別の形で教員を増やしているということです。

 

 その上での課題ですが、確かに実務家教員や特任教員などは多様化を担保するという意味で喜ばしいことではありますが、他方で教育の質という点で、私は問題が起きていると思います。特に教育面では、学部・学科ごとにきちんと教育プログラム、目標があり、それに沿ってカリキュラムがつくられ、各教員には担当する科目の位置づけや役割が示され、教員はそれに基づいてポートフォリオを作成することが英米での一つの潮流になっています。しかし、日本では、なかなかそのようなプログラムの目標化、あるいは各教員のティーチング・ポートフォリオをつくるなどの指導マネジメントがなく、そうした中で教員の数を増やしています。そのため教育内容の多様化というよりも散漫になってしまっている。結果、教育の質の低下が懸念されているということです。

 

 2点目は、研究開発費に関して、先ほど基礎研究と応用研究という言い方をされたのですが、特に大学の教員に聞いてみれば、おそらく8割方が自分は基礎研究をやっているとお答えになる程基礎研究を重んじるカルチャーがありますが、実際のところ基礎研究と応用研究の境がどこにあるのかが本当はわからないのではないかと思います。ただし、ここで指摘されている重要な点というのは、研究というものが経済社会にどのようなプラスの貢献をしているのかをより明確に示せということだろうと思います。

 

 この点については、イギリスやアメリカでは国費は特に、パスウエー・トゥ・インパクトと言いまして、社会経済的にどのようなプラスのインパクトがあるのかを助成金の申請時に必ず書かせるような仕組みに今なっています。このように研究者の中でのインナーサークルだけでなく、社会から見てどのようなプラスの影響があるのかを説明することが当たり前のように求められている時代ですので、検討していく必要があります。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、続いて赤井委員、老川委員、田近委員。

 

〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。教育に関してですが、財政制約が厳しい中でも、教育は将来のためには必要で、ほかの現在の世代のために使う支出とは少し考え方も異なるかと思うのですが、将来的に国にお世話にならずに生活していける人材をつくるという意味では、義務教育をきちんと行って底上げをするということが重要ですし、人口も減ってくる中で、世界と競争していく人材、日本を率いるエリートの養成のために大学も必要ですし、そうした意味では教育の質の向上というのは不可欠であることをまず確認したいと思います。

 

 2点ございまして、この資料の関連で言いますと、1点目に5ページのところで教員数に関してありますが、学級規模は大きいが加配による担任外教員は国際的に見て高いということは、ずっと言われてきたにもかかわらず、あまり資料がなかったので、これを正確に示したということは重要かと思います。

 

 文科省はこの説得的な説明が必要で、学校側には学級規模を小さくする、35人学級などとよく言われていますが、一方で担任外教員は既に数多く配置されておりまして、学校ごとに35人学級を担任外教員で実現しようと思えばできる状況があるので、もう学校側は担任外教員をそのまま置くのか、クラスサイズを下げるのかという選択肢は与えられているということを十分認識して、この加配が実際はどのように使われているのかを見極めることが、まず質向上には重要かと思います。

 

 2点目に大学のところですが、14ページに授業料改革についてあります。大学の教育のところをいろいろ考えますと、やはり授業料を何とかできないかという思いが最近強く、自由に授業料が設定できるようになったにもかかわらず国立大学も横並びですね。東大が動かないことには上げるわけにはいかないなど横並びとなる議論もあり、地方自治体の税金を上げられないのと同様ですが、大学の特徴に合わせて多様化するなど、私立との差もあるわけですから、奨学金の話もありますが、私立並みに一度引き上げて、本当に貧しい人のみに奨学金を与えるという形の仕組みなど、低所得の人には本当に授業料を下げないといけないですが、高所得の人にも安い授業料でいいのかという議論もあります。

 

 様々な議論がありますが、世界的にも少し事例が出ていますが、イギリスのみにかかわらずオーストラリアでも世界的にそうした形で引き上げて、本当に低所得の人のみに授業料を下げるという仕組みが世界的にも広がっておりますから、日本でも検討を本格的にすべきではないかと思います。そのときに、奨学金の返済率が悪い、学生に対して借金を負わせることはどうかという議論が必ず出ますが、そこは別に議論すべきかと思います。

 

 最後に1点。21ページのところで、研究開発にかかわる資金の流れが異なる、つまり日本の場合は民間からの流れが少ないという議論が出ていますが、海外と比べて日本の研究のシステムがどう異なるのかということは、こうしたデータも含めて、今後何が異なるのかについては調べていく必要があるかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、老川委員。

 

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。義務教育関係で2点、意見を申し上げたいと思います。

 

 昨年、1学級当たりの規模は必ずしも少人数が望ましいというものではなく、むしろ大規模で多くの子供たちがいた方がコミュニケーションも活発になって望ましいのではないかという議論もあり、そうした趣旨の提言もあったたかと思うのですが、今回はその視点には触れていないと。

 

 前回の意見に対して反発も強かったということもありますので、ご配慮されたのかと思いますが、1学級当たりの子供の数は少なければ少ないほどいいのかどうかという問題点は、やはりこれからも実態に即して検討を続けるべきではないかと思います。

 

 大きければ目が行き届かないなどとよく言われますが、本当にそうなのかどうか。むしろ小規模でも痛ましい事故が起きることもありますので、子供の数が減ってくる中で学級規模もあわせて小さくしなければいけないと決めてかかることには僕は違和感を持っていますので、研究を続けた方が良いのではないかと思っております。

 

 もう1点、地方財政に関して使い道の実態、どのようにお金が使われているかについてのご指摘もありましたが、これは教育費に関しても全く同様であると思うわけです。例えば習字、教科書や資材など、国の経費で配分されているはずですが、地域によってはほとんど使われていないところもあると聞きます。逆に、地域によっては非常に熱心に取り組んでおられるところもあるようですが、学校の先生自身が字を書けないという先生が増えてきて、ほとんど教えることができていないということもあるようで、大切な予算が無駄になっているという実態もあると聞きます。そうした先生がおられなければボランティアでもよいし、既に退職された方が学校で教えるなど、様々な手段があるのではないかと思いますので、そうしたことも含めて、実態をお調べいただけるといいのではないかと思います。

 

 その関連で、二、三日前の新聞に、教科書をやめて全部電子教科書化することが検討されているというお話もありまして、こちらも僕は考えものではないかと思います。やはり活字文化、本を読む、書く、そうしたことが子供の教育にとって基礎中の基礎だろうと思いますので、紙の教科書をなくしてしまうことがもたらす結果をよほど慎重に考えなければいけないのではないかなと。ただし、補助教材としてそうしたデジタル教材を使うということは、当然望ましいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。老川委員が挙げてくださった1点目は、かつての過去の財審では、学校の統廃合との関係で、かえって少ないと問題をもたらすのではないかという議論を行ったと思います。

 

 もう1点はもう少しノーマルなケースで、学力テストの結果から見て、少人数で十分な成果が上がっているとは言えないのではないかという資料が財審で議論されて、少なくとも当時見たデータでは、正答率は少人数の方が下がっていたかと思います。しかし回答率が高かったというのが当時文科省が言っていた議論だということで、財審でも相当盛り上がった記憶がございます。

 

 少人数の学級が本当にいいのかというそもそも論は、今でも財審として指摘しておいてもいいのではないかと思います。決して我々の主張が間違っていたとは私は考えていないということですが。

 

 では、続けまして田近委員、佐藤委員の順でお願いします。

 

〔 田近委員 〕 国立大学の運営費交付金のところで質問をさせてもらいたいのですが、今回国立大学についてかなり詳しい説明がありましたが、聞いていて、この問題をどのように財審で議論するかというスタイルがまだできていない気が致します。

 

 というのは、例えば社会保障なら、前回議論したように医療で、高齢化に従って給付費を5,000億円程増やさざるを得ないかもしれないと。それに伴う改革として、こうしたことを行ってほしいということを議論したわけです。交付税についても、地方財政計画で地方全体の歳出に対して、歳入が足りない部分は交付税で賄う。そうした制度のあり方について議論してきたわけです。

 

 国立大学についても、これから本格的に行っていくことになると思いますが、やはり何かスタイルが要るような気が致します。というのは、まず国立大学の運営費交付金というのは一体どのような配分基準で決まっているのか。それから、その配分基準が国立大学の様々なインセンティブ、あるいはパフォーマンスにどのように影響を与えているのかなど。そのコンテクストで、国立大学の教員数が増えたと指摘がありましたが、それはどちらにせよ運営費交付金を使うのであるから、パフォーマンスが高まるならば、財審で議論すべきことでもないように思う。

 

 それで、答えられる範囲のご回答でいいのですが、運営費交付金の配分基準が大括りに言ってどのようなもので、それがパフォーマンスに関して一体どのような問題があるのか。具体的に言えば、授業料を上げないと言っているが、その上げようとすることに対しての運営費交付金の配分が何か足を引っ張っているのか。

 

 最後に、秋に向けての要望ですが、国立大学の中期目標計画が一応今年度区切りになっているはずですので、ぜひこれまでの全中期目標計画のレビューをしてもらいたい。

 

〔 井藤主計官 〕 去年の秋の財審で相当詳しい資料を出させていただいたと思うのですが、国立大学運営費交付金は約1.1兆円程あるのですが、その1割程は特別運営費交付金として、プロジェクトに応じて配分し、残りの大宗は、教官数や学生数等に応じて機械的に割り振られていくだけで、再配分は十分できていないと。

 

 当時遠山プランが掲げられていて、大学法人化が行われていったわけですが、時代のニーズに応じた大胆な再編等も含めたリソースの再配分というものがひとつの目的として掲げられていたにもかかわらず、そのようなインセンティブが十分働かなかったという議論をさせていただいたわけす。したがいまして、大学に対してより成果に応じた配分をすべきではないかと。一般運営費交付金についてもそうすべきだし、特別運営費交付金については、よりそうした点をシャープに反映すべきだという議論をさせていただいたかと思います。

 

 そうしたことを踏まえて、今、文科省においては、様々な議論はありますが、第3期中期計画を見据えて、国立大学を3つの枠組みに分けて、その中でなるべく客観的な指標等に応じて評価に基づくメリハリある配分を実施して、その資源配分の重点化を図っていく方向で検討が進められています。また、国立大学においても学長の裁量等を増やすことによって、学内改革を促進すべきという議論もさせていただいたところでございます。そうした方向性で検討が行われていると承知していますが、引き続き財審でもウォッチしていただきたいと、今日、申し上げたところでございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて佐藤委員、お願いします。

 

〔 佐藤委員 〕 まず、科学技術関係予算ですが、こちらで出ているのはあくまで予算支出ですが、企業部門も含めて考えるということであれば、研究開発促進税制がありますので、そちらの租税特別措置に伴う減収措置も、本当は事実上の補助金という扱いになりますから、予算規模はもう少し大きいだろうと。これは別に研究開発関係に限りませんが、我々の見ている予算が予算の全てではないということ、減税という形での補助金もあるので、本当はそこまで目配りしないと、本当のところ実態が見えてこないのではと思ったというのが1点目です。

 

 それから、義務教育と一般論で言ってもあまり意味がない。例えば社会保障、医療や介護で、我々は一つの切り口を見出しています。それは地域間格差です。どう見ても、高齢者の数などを調整したとしても、地域間で医療費の格差があるではないか。これは何か奇妙な非効率が起きているのではないかというところから、我々は効率化に向けて議論を進めている。

 

 では、義務教育に関してはどこが切り口であるのかと。今のところ先生の給料というのが出ていますが、こちらは全国レベルですので、果たして地域間ではどうなのかを、もう少し細かくブレークダウンした形で見ていかないと、その全体の実態は見えないし、少人数教育に関して言うと、本当は学者の仕事でありまして、実際少人数教育はパフォーマンスにどのような違いがあるかは、きちんとデータに基づいて実証分析して、それが学会において、ある程度のコンセンサスがあって初めて政策の現場に出てくるべきものであり、この辺はもう少し学者レベルの議論が必要かと思いました。

 

 あと1点、ここで義務教育と言っていますが、要は公教育の問題であります。忘れがちなのは、私学の教育も一方であり、実は金持ちはみんな私学の教育に行きますね。私は地方出身者なのでその辺の事情が全くわからないのですが、東京はそうですよね。

 

 ですから、我々が今度公平という観点から議論しなければいけないのは、果たして私学に行っている人間に対して同等レベルの教育、少なくとも機会を公教育の枠の中で与えられているのかどうか。だって、お金持ちなら塾にも行くことができるわけですから、そのような塾に行く機会さえ逸している子供もいるわけですから、税額控除でも給付でもどちらでも構いませんが、何かそうした低所得者をターゲットにしたスキームがまず必要かと思いました。

 

 最後に1点質問が。私は、今、大学で財務担当をしているもので、先ほどお話があった運用の話について、私も一言「株を買えばいい」と言ったのですが、大学の担当者から、これは税金が原資ですので、安全資産しか運用できないと言って、何をやっているかというと預金しているだけなのですが、本当なのかという部分がある。どこまでの裁量があって、どこがボトルネックになっているのかよくわからないということですので、こちらは質問です。

 

〔 井藤主計官 〕 これは法律上、安全な資産ということには決まっています。但し、寄附金のようなものについても、そこまで限定する必要があるのか、勿論、運用に失敗して毀損しました、だから運営費交付金を増やしてほしいみたいな話はダメなのですが、こうした点について運用の見直しでどこまでできるのか、あるいは制度改正が必要ならば、どのような制度を考えるべきであるかという点については、我々としても文科省に対して既に投げかけているところではございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて角委員、十河委員。

 

〔 角委員 〕 研究開発についてですが、これからどんどん産学連携を進めていかなければならないと思います。特に健康医療関係では、国家戦略特区の関係もありまして、以前は例えば創薬にいたしましても、日本の開発期間というのは、海外に比べまして非常にタイムラグがあり、かなり長くかかってしまうということで、競争力がなかったわけですが、厚労省が努力をされて、創薬ラグについてはほぼなくなってきたと聞いております。特区を活用して、例えばある難病など、限られた分野においては、治験がある程度進んだ段階で、いわゆる仮免許を出す。ですから、完全なオーケーは出ないのだが、仮免を出すことによって、その試作期間、開発機関を短縮するということが既に取り組まれて、諸外国からも注目を浴びています。

 

 ですから、この産学連携の2.5%しかないこの部分をいかに増やしていくかということは、逆にそうした政策を打ち出すことによって、製薬会社も、あるいは医療機器メーカーも積極的に大学と一緒になって、基礎研究だけではなくてやっていこうという動きになろうかと思います。

 

 先月、京都で4年に1回の日本医学会総会、要するに医学界の全国レベルの会議がありましたが、その中でもそうした議論もあったように思いますし、ぜひともその国家戦略特区も活用していただいて、産学連携がさらに進むような方向でご検討いただければありがたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、十河委員。

 

〔 十河委員 〕 ありがとうございます。義務教育について感想を申し上げたいと思います。教育に関しては歳出削減というところもありながら、やはりまずは質の確保が一番大切な部分ではないかと私も思います。その上で、やはり現状のかなり厳しい予算を強いられている、今の体制を見直していく必要はあると思います。

 

 また私が感じましたのは、資料の4ページのところに日本の教育者の方の勤務時間と授業時間というのがありまして、日本の先生たちは事務負担型が多いと。事務に時間の多くを割いているということで、勤務時間は大変長い。一方、ヨーロッパなどは授業重視型になっております。これは日本人の大変丁寧な授業の準備、あるいは会議などで議論を交わす、細かい事務作業といったものを丁寧に行っていくという特性があると思いますが、子供にとっては、授業にもっと重きを置くということは重要ではないでしょうか。そうした意味でも、やはり今置かれている状況というものは議論していく必要があると思いました。

 

 同時に3、4ページ、今、人件費が大変高いというところで、その中には少子化が進んでいるにもかかわらず、教師の数があまり減っていないという現状が見られます。必ずしも減らすことがいいというわけではありませんが、何と言っても質の向上が重要だと思いますし、まだ採用の倍率が低下している中で、なぜそれに見合わせた採用数になっていないのか。ここはやはり議論して、提案していく必要があるのではないかと思いました。

 

 その上で、8ページに教職員定数合理化計画を打ち出されていますが、こうして数値で合理化計画を中長期的に提案して、議論のテーブルに乗せていくことはとても重要だと思います。今、小中学生は特にIT化が進んで、私たち成人以上にITの環境の中で日々を過ごしておりますので、もっと合理的にできる部分もありますし、一方で紙の重要性もございますので、これらも含めて、今、教育のあるべき姿を未来に向かって議論しながら、歳出削減を厳しく切り込んでいく必要があるのではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

南場委員、それから葛西委員、大宮委員の順で。

 

〔 南場委員 〕 恐らく日本の国際競争力は相対的に低下をしている。それは知的生産拠点としての競争力や産業競争力、そして人材力というところだと思うのですが、資源のない我が国において人材力の強化は極めて重要であるが、それが相対的に低下しているのではないかという企業現場からは見えている。今日のこの議論、科学技術、それから義務教育、そして大学教育というのは、戦略的投資対象分野ではないかと感じている一方で、今の教育のまま、同じ方向で投資をしても、国際競争力の強化の方向にはつながらないと考えるので、特に初等教育で、質の議論を十分に行って、そしてそれから財政の話という流れで行われるべきではないかと考えているのですが、その辺がどのような議論になっているのか。

 

 米国の初等教育の様子をいろいろ見ていますと、制度としては、米国全体としては日本よりも大きな課題はあるのですが、いい小学校の教育というのは、非常にレベルが高いと感じる。それはYouTubeにも数多く動画が出ているので、ぜひ見てほしいと思います。同じレベルの教育を国家全体で行うとするとお金はかかるでしょう。しかし、そここそが戦略的投資の対象ではないかということが私の考え方です。

 

 それから、大学について言うとランキングが極端に下がっています。例えば負担力に応じて授業料を上げるという今日の議論は各論としては賛成ですが、もう少し大きなポイントとして、国家の人材ポートフォリオ戦略をしっかりと立てて、国立大学がそれに呼応した学部の構成や、教授も含めた人材を擁していくという考え方で運営するべきであると考えますが、もともとの国家人材ポートフォリオ戦略がないという状態でどのようにやっていくのだろうか。

 

 それから、幾つかの地方大学の運営の話を聞いていますと、国際化や、どのようにしてアジアの学生を入れるかなど、どこも同じことを話しています。一番優秀な人はみんなアメリカに行ってしまうので、セカンドレベルでいいからどのようにして連れてくるのかと同じ議論がバラバラに行われている。そもそもこれだけの地方大学の数が必要なのか。本当に優秀なアジアの大学生が来たいと思うような大学になっているのだろうか。数が非常に多い印象で、多いだけではなくて、世界で戦えるレベルの突出した強みがあるところが極めて少ないというのが現実ではないでしょうか。ですから、地方大学の統合も検討するべきと考える。

 

 数は少なくても非常に良い大学があるという形のほうが、私は我が国のリーダーを育成する高等教育、大学教育の場としてはふさわしいと思うし、世界の英知、ベスト・アンド・ブライティストを呼んできて、知的生産拠点としての競争力を強化するという意味では、繰り返しですが、数より質が重要。国立大学に関して、統合プランをつくっていくということを考えられているのかどうかを質問したいと思います。

 

 最後の科学技術について、企業のR&Dというのは、同じ業界にいる企業でも、同じ費目を企業によってはR&Dとして扱ったり、費用化したりまちまちである。税制によっても随分変わりますので、統計として比較するのは非常に危いことを少しつけ加えておきたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。教育の質、クオリティーが重要というのは委員の方々のコンセンサスなのだろうと思いますね。

 

 もう一点、財審の議論もお金に当然なりがちですが、実はほとんど全てのことが、お金とは別のそれ自体の問題というのがより重要な問題としてあるわけです。つまり、医療で言えば医療の提供体制、恐らく公共事業でも、いかに必要な公共事業をきちんと提供するかなど、もちろんそこが非常に大事なのですが、それとは別にもう一つの問題としてお金の問題、どうやってファイナンスするかという問題があって、我々の守備範囲が当然その後者のところにあるということですが、とりあえず主計官から、質問について一言コメントがあれば。

 

〔 井藤主計官 〕 日本の質が悪いというのは議論のあるところで、少なくともPISAの成績を見れば、日本の義務教育は諸外国と比べてもかなり質が高いとの評価をされる方もいるかと思います。ただ、ここの評価というのは十人十色のようなところもあるので、議論のあるところだと思います。

 

 次に、財審の場では、質を上げるというのは、これはもう当たり前ですが、これほど財政事情が厳しく、さらにプライマリーバランスの黒字化を達成して債務残高を減らさなければならない中で、子供にこれ以上借金を負わすことはできないとすれば、やはり質を追い求めることにおいても、財審の場においてはよりより費用対効果の高い施策に重点化するという視点が重要ではないかということだと思います。また新たな施策が抜本的に必要というのであれば、その財源をどうするのかという具体的な議論が必要だということだと思います。

 

 あと、大学の統合についてもご質問があったかと思いますが、この点につきましては、例えば独法化が行われる前の遠山プランでは、大学の大胆な再編・統合が一番に掲げられておりましたが、第1期、第2期の中期計画期間を通じて、必ずしも十分に進んだとは言えないのではないかということでございまして、財審の議論においても、大胆な再編・統合というのは、これまでも重ねて指摘されてきたことだと承知しております。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも。

 

 では、葛西委員、大宮委員の順で。

 

〔 葛西委員 〕 2点だけ私見を述べさせていただきます。お答えは必要ありません。

 

 1点は大学の授業料の話ですが、大学の授業料を学生の経済的負担能力に応じて減免するというのは一つ合理性のある考えだと思います。一方、本当に優秀な人間を集めて国のトップの人材を養成しようとするのであれば、優秀な学生の授業料を減免するといった道があってもいいと思います。

 

 もう1点はクラスの規模の話でありますが、人数が少なければいいという議論ですと先生1人対生徒1人が一番いいということになるはずですので、そうした議論には多分ならないと思います。実績をどうはかるかは非常に難しいと思いますが、少なくとも知識の習得と、人間力の涵養という2つのX軸・Y軸を考えて、その最大値をどのようにとるかということになると、やはり生徒の数が少ないよりは、一定の数以上いることによって対人関係において鍛えられる部分があると思います。その辺を考慮したクラスの適正規模というのは、一回どこかで検討してみられるといいのではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、大宮委員。

 

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。最後の21ページですが、常々私も非常に気にしているところでありまして、今、日本の中の「学」、それから「官」、「産」の連携があまりうまくいっていない部分があるのではないかと思います。これはおそらく行政の縦割りの弊害だと感じていまして、例えば理研とそれから産総研は所轄官庁が違います。それから、大学ももちろん文科省ということで違っていまして、予算がうまく出ずにばらばらに出るので、その連携をしようとしている人たちがいますが、なかなか今までうまくいっていないということで、最近例えばICTの分野や3Dプリンター、それから今度ロボット革命のことで、人工知能も含めた研究が大規模に立ち上げられるようですが、この大規模研究が出てくると、それを横断型で大きなプロジェクトで全体をつなげるという形のものが少しずつ増えてきています。

 

 その上に、さらに予算の割り振りのときに、連携プレーを促す予算のつけ方があるのかどうか。もしあればそのようなことも工夫していくと、さらなる競争力の強化になるのではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも。

 

 では、続いて板垣委員、土井委員、井堀委員。

 

〔 板垣委員 〕 財審の中で、公教育の問題が出るといつも申し上げるのは、生徒数が減っているのに、なぜ教員が減らないのか。

 

 教えること以外の雑務がたくさんあり過ぎて、例えば父兄から来るもの、上司から来るもの、教育委員会から来るもの、文科省から来るもの、こうしたことがたまっているから、どうしても現場感覚としては人手が足らないということでなかなか減らせない、というのではないかという議論を何度もしたことがあると思います。

 

 ところが、文科省は再度また人員増強を申し込んでくる年が何回かありました。では、あれほどの雑務そのものが、一体どれ程反省して減っているのかというデータがあるのではないかと私は思うのですが、それは文科省はとっているのでしょうか。これは1つ質問なのですが、財審の場でもそうした議論がたくさんあったのに、一体どの程度改善しているのかということだと思います。その上で人が必要だと言うなら、何ゆえに人が必要なのかということをやはり提示しないといけない段階です。

 

〔 井藤主計官 〕 参考資料の4ページに去年財審の場で出させていただいた資料があります。こうした点を踏まえ、我々としても、まず教員負担の軽減というものを最大限注力すべきじゃないかというのは常々申し上げています。

 

 それに対して、文科省は検討はしているということではありますが、具体的にその結果はなかなか披露されてこないということだと思います。今後も引き続き委員の意見を踏まえまして、積極的な議論を文科省の間とやっていきたいと考えてございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、土居委員。

 

〔 土居委員 〕 結局、財審で議論するときには、どうしても教育は大事、科学技術は大事という抽象的な重要性で予算増額を要求してくることに対して、本当にそれは目的どおりに予算が使われるのかというせめぎ合いの中で、これまでも議論してきたと思います。

 

 文部科学省にはもう少しきちんとしていただきたいと思うのは、結局こうした政策を行おうとしているのは公平性を重んじてすることなのか、それとも効率、つまり教育効果をより上げる、能力主義を徹底するなどを重んじてやるものなのか、何を目的にして使おうとしているのかをもう少しはっきりして要求をしていただかないといけない。世の中の意見を追い風にして、予算を増やせとなる感じがしてならないわけであります。

 

 これは自分の身内につばをするみたいなところがあって、大学の研究者も、立場が違うと予算増額をもっとしろ、なぜ予算をつけないのかといった話がついつい私の近所では出てくるのですね。そうした単純な話ではなくて、予算をつけることになるならば、なぜそれが必要なのかということももっときちんと説明していただかなければいけないことなのかと思います。

 

 そうした意味では、国の予算からしか教育や科学技術にお金が出せないというわけではない。アメリカの例でありますが、アメリカはまさに学校区ごとに固定資産税を異なる金額、ないしは税率にして、多くの税を取りながら優秀な先生を雇って効果的な教育を上げている学校区もあり、一方でそうでない区があるということからすると、我が国も地方自治体に固定資産税の課税権があるわけですから、国の財源のみに頼るのではなくて、各地方でそれぞれ増税をするなりして教育に力を入れるということはありえます。教育目的税という議論も自民党の中ではあると聞いておりますが、そうした話ももっと積極的に地方自治体にやっていただくということも考えるべきではないかと思います。

 

 それから、優秀な学生にはより授業料が減免できるようにするという意見には同感です。別の言い方で言うと、裏を返せば優秀でない学生からもっと高い授業料を取るということはこの審議会の中でも以前から私が申し上げていたのですが、そのネックはやはり大学内のガバナンスが真っ当にできていない、ないしは大学で提供している講義の成績評価が生ぬるいのでそれができないという根幹的な問題があります。なので、それ自体も改めていただかなければいけないというのは、自分で自分を律しながら申し上げております。

 

 最後に1点、参考資料で、15ページに非常に示唆深い数字があります。これは、国立大学の運営費交付金ともかかわるところでありますが、国立大学の教員は、確かに先ほどご紹介があったように増えているということですが、職員ももっと増えているというところが私は大変気になります。

 

 もちろん運営費交付金ですから、その使い道については各大学が考えることですが、私は国立大学にも勤めていましたし、今、私立大学に勤めていますが、私立大学も様々ですが、私の大学の職員は、少なくとも国立大学の職員よりは非常に作業効率がよく、少ない人数でよくこれほど仕事をたくさんしているなと思います。それに比べれば、やはり国立大学の職員の作業効率ははっきり言って悪いと思っています。ですから、公立小中学校の話と逆の話かもしれませんが、なぜ国立大学にこれ程職員が必要であるかということは、運営費交付金との絡みでも考えていただかなければいけないことなのかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、井堀委員。

 

〔 井堀委員 〕 簡単に2点、1点目は小中学校に関してです。4ページの在学者1人当たり教員給与支出は高いということですが、教員自身の1人当たりの給与も日本の場合は高いと思います。本当にその教員のスキルなり成果に応じて高いのであればいいのですが、おそらく年功序列が小中学校は非常に強くて、問題職員もいるとのことで、その辺のメリハリをもう少しつけてきちんとやるのが一つあり得るかと思います。

 

 もう1点、私もずっと大学にいるので言いにくいのですが、16ページの国立大学の方針で文科省の出したものというのは、今日の前半に出てきた地方創生事業と同様ですが、要するに護送船団方式の遺物です。トップの大学と伍してやるところと、それから地域のニーズというところで、全ての国立大学にそれなりにお金が行く形で配慮している。このままですと中途半端になって日本の大学の競争力がつかないので、やはりここは思い切って護送船団的なものから脱却して、国立大学自体を大胆に再編成して、本当に世界のトップと戦うところに集中的に予算を配分する方向に国立大学の概念を変えないと、厳しいのではないかと思います。

 

 地方のニーズに合うところというのは、その地域の中でやっていただけるようにする。要するに国立大学から外れていく形を考えるべきでしょう。このあたりは、なかなか難しいのですが、大胆に護送船団方式から抜けるのは地方財政も同じですが、教育に関しても必要な発想ではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも。

 

 では、最後に碓井委員、遠藤委員、黒川委員、よろしいですか。

 

〔 碓井委員 〕 18歳人口が減少しつつあるにもかかわらず、学部の入学定員は微減に留まっています。そうした中で、国立大学も私立大学も、今、学生の確保に躍起となっている。このような状況を考えると、根本的にどの程度の教育の総量が必要なのかを検討する必要があるだろうと思います。

 

 地方国立大学についてですが、国立大学に限りませんが、少なくとも現状の規模をどのように維持するか躍起になって、例えば新しい学部に衣替えをするなど、よく言えばそうした工夫をしようとしているわけですが、どうしてもそこに無理が出てきている。

 

 しかし、地方の国立大学をそれ以外の形態のものにするということがいいかというと、それも若干問題がありまして、地方の活力を維持するというときに、やはり国立大学の存在というのは大きいという意見を地方公共団体の人がよく言われます。

 

 したがって、完全になくすことができるかどうかはともかく、特色ある大学をそれぞれの地域に残すということには意味があるわけですが、今までどおりオールラウンドな大学を維持しようとすることは無理ではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 遠藤委員。

 

〔 遠藤委員 〕 ありがとうございます。まず8ページの初等教育について、質を上げることは必要である一方、教員の数を増やすことが質を上げることにつながらないということについて、この審議会においては合意がとれているところだと思います。しかし、文科省の計画における教員数の数値と財務省のそれとは大きな開きがあり、たとえば36年度の数字を見ると、教員の数でも1万5,000人の差がありますし、加配の増減数だけを見ても3,600人の差があります。文科省はどのような長期計画に基づき予算配分を要求しているのか、少しコメントをいただければと思ったのが1点です。

 

 次に、前回に引き続いて申し上げますが、産学官の連携については、大学の外部資金調達という意味合いでもとても重要な要素だと思っております。フラウンホーファがなぜこれだけ外部資金を取れているのかといえば、研究員の方々が外部資金の獲得を中心に評価されるインセンティブ体系になっているからです。これから16ページにあるような大学改革が行われる中で、教員の評価も論文や特許の数だけに縛らず、外部資金を獲得した実績という評価軸が加わってくるのかどうなのか。

 

 そこはこれから議論されることと思われますが、先ほど井藤主計官が、16ページに記載された改革の中で、運営委交付金も多少インセンティブ評価によって変わってくるとおっしゃったので、運営費交付金もインセンティブ評価の対象になるという理解が正しいのかどうかをもう一度確認したいと思いました。

 

〔 井藤主計官 〕 ご質問の点ですが、毎年の要求に当たって文科省からこうした計画がつくられて出てくるのですが、自然減で減った部分は基本的に戻す方向で加配で措置するという考えのもとに概算要求をしているのだろうと考えています。

 

 次に運営費交付金の話ですが、18歳人口というのは今後18年ぐらい先を見ても少しずつ減っていく傾向があることを踏まえれば、そのようなベースの資金は基本的には引き続き合理化努力を続けてもらう必要があるのではないかということを念頭に置いております。

 

 その上で、その配分においてもメリハリをつけた配分をしなければいけないと。さらにそれだけでは教育・研究強化のための資金需要がまかないきれないということであれば、外部資金ということで、まだまだ増収の余地はあるのではないかということが議論の大きなテーマになっているところだと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、黒川委員にご発言いただいて、前半の議論を終えたいと思います。

 

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は1点ですが、大学の在り方についてです。が私立大学は明治のころに建学の精神を持った方々がたくさんいらっしゃって、日本の国のためにということでつくられた。それらの大学が125周年など、創立百何十周年という形でお祝い事をしている。

 

 話は変わるのですが、日本政府の財政が厳しい中で、日本たばこもしかり、また今度、郵政ですら民間化していくという状況の中で、国立大学というものがずっと国立大学として存在する必要があるのか。先ほど言いましたように、明治のころだけではなくて現代でも、すばらしい大学をつくって我が国のために資する人材を教育したいという人がいるかもしれない。大学というのは様々な種類があるが、地方の大学はそれぞれの特色があるというのであれば、国立大学同士での再編成ではなくて、公立大学あるいは地方の私立大学との再編成ということも選択肢としてある。また、教育に非常に熱心な方、大学を創立したい方がいらっしゃると思うのです。

 

 そこで、大学は幾つかの要素から構成されています。キャンパスを見て、情報、知的財産の中心はやはり図書館です。メディアセンターと呼んでいるかもしれません。それから人的資本ですね。教員組織、教育者が集積しています。それと、地方の国立大学など物的資産も充実していましてうらやましい限り。これらが全てそろっているわけです。だから一から大学をつくろうというよりも、この集積している資源をいろいろ活用できないかと思う人はいるのではないかと思うのです。

 

 というわけで、結論は、国立大学自体がずっと国立大学であり続けるという選択肢ではない別の選択肢も考える余地があるのではないかというのが意見であります。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では、これで前半の議論を終えたいと思います。約束どおり5分程度休憩をとりたいと思いますが、少し時間が押していますが、15分には確実再開ということで、ご協力いただければと思います。

 

午後 5時08分休憩

 

 

午後 5時15分再開

 

〔 吉川分科会長 〕 それでは、後半始めたいと思いますので、着席をお願いいたします。後半は社会資本整備についてのセッションですが、まず、小野主計官に資料のご説明をお願いいたします。

 

〔 小野主計官 〕 よろしくお願いいたします。資料3をご覧ください。おめくりいただいて、4ページ目から説明いたします。

 

 4ページ目の表は、これまで財審では何回もお示ししたものでありまして、整備水準が向上してきているという資料でございます。高速道路と下水道、汚水処理人口普及率の例を掲げておりますが、こうした形で全国的に整備が進んできておりますので、これから将来人口減少、あるいはこれからご説明する維持管理・更新費用の負担が増えてくるということを踏まえれば、新規投資はこれまで以上に厳選していく必要があるのではないかという問題意識でございます。

 

 5ページ目以降で、老朽化対策、社会資本の維持管理・更新費用についてご説明いたします。そちらにあります表は、これも昨年お示しいたしましたが、国土交通省で所管しております社会資本について、今後の維持管理・更新費用の推計を行ったものでございます。こちらは2013年度で約3.6兆円かかっているものが、20年後には最大5.5兆円ということで、1.5倍程度に膨らんでいく可能性があるということでございます。日本の社会資本は高度成長期以降に急速に蓄積してきたという経緯がありますので、まさにこれから耐用年数を迎えてくる施設が非常に多くなるという問題が生じるということでございます。

 

 ただ、この推計は基本的に今まであるものを同じスペックで単純に更新していくことを前提にしたものでございますので、こちらをいかに抑えていくかということが課題であります。これについて、次ページ以降説明します。

 

 6ページ目で、こちらに掲げております資料は道路にかかっております橋梁のデータでございますが、ご覧いただきたいのは左下のグラフでございます。このグラフは、神奈川県で今後の橋梁の長寿命化計画をつくっております関係の資料であります。左側が現状のままで維持管理を続けていって、いずれ耐用がもうできないということになるとかけかえるといったときの費用でありまして、これは神奈川県の橋梁全体で2,000億円を超す費用がかかると。ただ、毎年毎年の保全費用は多少かかりますが、きちんと長寿命化を図っていくということにしますと、架け替えの費用が大幅に減りまして、トータルで見ると1,000億円を切る水準まで来ているということで、計画をつくって適切にメンテナンスを行うことで、大きな更新費用の圧縮が可能になるという一つの例でございます。

 

 それから、7ページ目、8ページ目に下水道のデータを掲げております。これについては事例でご説明しますので、8ページ目をご覧いただければと思います。2つ例を掲げております。左側の秋田の由利本荘の例でございますが、ここは、そちらの図面にあります市内の全域で下水道の整備計画を持っておりましたが、今後人口が減少していくということも踏まえまして、下水道で全て整備するのではなく、一部合併浄化槽に切りかえるといったことで、130億円程度かかると見られていた整備費が、1割から2割削減できることになったという事例であります。

 

 それから、右側は柏崎の例でありますが、ここは公共下水道の区域と農業の集落排水、こちらは、機能は下水道と同じでありますが、農水省所管の事業で、集落排水、2つの系統の汚水処理施設がありましたが、これもそれぞれ老朽化して更新しなければいけないというときに、集落排水の処理場については、更新するのではなくそのまま廃止すると。そのかわり、集落排水から管渠、管を公共下水道に接続することで、公共下水道での処理は一括して行うといった、いわば所管をまたいだ形で工夫をすることによって、更新費用・維持管理費用を下げていくといった当たり前の例でありますが、自治体も危機感を持って、こうした取組を始めているということでございます。

 

 それから、9ページ目、10ページ目が公営住宅であります。こちらにデータ等を掲げてありますが、10ページ目をご覧いただきますと、人口が既に減り始めていますが、世帯数ということで見ますと、今後2020年ごろをピークに減少していくと見込まれております。ただ、地方等におきましては既に世帯数の減少が始まっておりまして、左下の例にございますように公営住宅建てかえもそれなりにしておりますが、同時に供用廃止も行って、戸数については必ずしも増やしているというわけではないということでございます。

 

 それで、右下の鳥取市の例を掲げておりますが、更新する際も新しく建てるということではなく、必要な部分については民間住宅の空き家を借り上げるといった工夫を行っている自治体もあるということで、やはりそれぞれの自治体によって様々な工夫を行っているところが出てきているということでございます。

 

 11ページでございますが、このようなことを全体的に行っているのが、インフラ長寿命化計画ということでございまして、これは総務省のほうで音頭をとりまして、全自治体に対して、公共施設等総合管理計画と呼んでおりますが、それぞれが管理しているインフラについて、長寿命化、集約化等をどのようにいくかということで計画をつくってほしいということを要請しております。基本的には28年度いっぱいまでに全て市町村まで含めて計画をつくっていただくということにしておりますが、こちらに掲げておりますのは既に計画を策定している一部の県、あるいは政令市の例でございます。

 

 ご覧いただきますと、どの例におきましても、足元の予算額に比べて、こちらは将来の維持管理あるいは更新の費用の見通しですが、大幅に増えていくという形になっております。一口で申しますと、基本的にはこうした費用の増嵩に対しては、公共施設の長寿命化、あるいは特に体育館、公民館等々といった箱物については、人口減少に応じて集約化を図っていくといった形で対応していくという自治体が多くなっております。

 

 一方で、一番上の最後の丸にも書いておりますが、特に道路あるいは河川堤防といったいわゆるインフラ物については、こうした形で集約化するということが難しいものですから、長寿命化等々によって費用の削減を図るにしても、抜本的な対策が今のところ見出せないというのが現状でございます。

 

 1213ページが、こうした形で施設の集約化を進めていくということが、左側12ページは、財政支出と人口密度の相関関係、あるいは小売売上高と人口密度の相関関係を掲げておりますが、このような形で施設を集約化していくということでコンパクトシティ化を図っていくことによって、自治体みずからにとってもメリットがあるということでございます。

 

 右側、13ページは、昨年夕張市長が来てプレゼンされた資料の例でありますが、公営住宅を少し時間をかけて集約化を図っていくといった取組の例でございます。

 

 以上、ここまでが老朽化対策の議論であります。

 

 次の14ページ以降が支出の一層の効率化ということで、まず第1に民間資金の活用ということでございます。15ページは、これは政府の目標値でございまして、PPP/PFIについて、今後10年間で事業規模10兆円から12兆円のものを行っていくという、これは政府としての目標でございます。

 

 16ページ、17ページに若干事例を掲げておりますが、16ページの例が福岡空港の例でございます。今年の予算で、福岡空港の2本目の滑走路の建設を始めることになりました。ただ、これは事業費が約1,600億円かかりまして、通常でいきますと国2、地方1という割合で公費負担していくということになります。ただ、これについてはコンセッションを使って、この公共事業への支出額を削減することを考えておりまして、左側にありますように福岡空港はかなり発着回数が多い空港で、着陸料収入がかなりありますが、環境対策を行う、あるいは土地の借料等々があって、この滑走路部分だけですと若干の赤字であります。ただ、空港ビルは物販等々で黒字運営ということで、空ビルは、こちらは県等が出資しておりますが、国の部分と県の部分で一体化してコンセッションに出すということで、1,600億かかる建設費の一部に充てようという構想でございます。

 

 それから、右側の例は下水処理場の例でございまして、通常は処理した後の汚泥を焼却する焼却炉というものがありますが、これを昨今固形燃料化して売るというビジネスが出てきたということで、この部分を民間事業者に委託することで、焼却場の建設費用も圧縮できるといった例でございまして、空港、下水道といった料金収入が見込まれるものについては、このような形で民間資金を活用して、公費負担の圧縮を図るということが可能であるという例でございます。

 

 18ページが受益者負担ということでございまして、これは有料道路の料金でございます。左下を見ていただきますと、近年無料開放された道路の例ということで、地方の道路公社が行っております有料道路というのは、基本的に建設費用を償還すると無料開放するということが原則になっております。

 

 ただ、上の2番目にありますように昨年道路法を改正いたしまして、国の高速道路、NEXCOがやっております高速道路、あるいは首都高について法律を改正いたしまして、今後大規模修繕・更新費用がかかるということで、その分の費用を賄うために、もともと平成62年度まで料金を取ってあとは無料開放するという制度だったものを、15年間有料期間を延長することができるという改正を行っております。こうした取組もございますので、地方についても、今後の維持管理あるいは更新費用がかかるということであれば、引き続き有料化を継続するといった選択肢も含めて考えていただくことが必要ではないかと考えております。

 

 それから19ページ目、これも公共事業の分野に限りませんが、税制、規制と組み合わせていくということでございまして、左側、建築物の省エネ対策ということですが、これも昨年の建築基準法の改正で、一定の省エネ性能を一定以上の面積の建築物に義務づけたということがございます。実は従来から、省エネ性能を有する建築物に対して一部補助金を交付する事業がありますが、こういう規制が入るということとあわせて、こうした財政支出の見直し行っていく。

 

 あるいは右側、空き家対策で、これも一部の空き家について、固定資産税の低減措置から外すといった税制の見直しを行っておりますが、これに合わせて、実は空き家の除却等々について国のお金で支援しているものを見直すと。こうした税制、規制と合わせた見直しも必要となってこようかと思います。

 

 それから、20ページは、これも昨年ご紹介しましたが、機械化を行うことによって、河川堤防の除草についてかなりの省力化が見込めるということでございます。

 

 それから、21ページ目以降が、これも昨年ご議論いただきました公共事業の担い手の問題でございます。23ページの資料は以前ご覧いただきましたが、ピーク時に700万近くいた建設労働者が、今、500万人になっておりまして、しかも3割以上が55歳以上ということで、高齢化が進んでいるということでございます。

 

 それで、24ページの資料ですが、これは建設業連合会、建設業の業界団体がみずから出しているデータでございまして、建設市場の予測を出しております。名目、実質と並んでおりますが、基本的に現状から横ばいぐらいの数字を10年後の建設市場に置いております。したがいまして現状と同じですので、現状と同程度の技能労働者が必要だということで、技能労働者約328万人から350万人程度が10年後においても必要だという試算を出しております。

 

 ただ、ご覧いただきましたように、今、非常に高齢化が進んでおりますので、10年後に高齢者を中心に自然退職していく方が多いということで、約130万人が離職するということを考えると、この分を埋め合わせるために、同程度、130万人程度人材を確保しなければいけないと。そのうち、生産性向上、技術開発等々で35万人分が確保できるとしておりますが、それでもなお、今後の新規入職者で90万人分確保しなければならないということで、現状34歳以下の技能労働者が66万人しかいないということですので、人口減少下で果たしてこれだけの人員を確保できるのかどうかということで、こうした供給面からも、公共事業の水準を維持できるのかどうかということについては今後課題があるという例でございます。

 

 以上を踏まえて、総額の議論として、26ページ、27ページに参考の資料をつけさせていただいてございます。

 

 27ページ、公共事業関係費の推移は何度もご覧いただきました。ピーク時の15兆円から現状は6兆円ということで、かなり低い水準になっております。国際比較をご覧いただきますと、かつてはGDP比6%、IGベースですが、欧米主要国の倍という水準だったものが、近年ではほぼ3%ということで、欧米諸国の水準に近づいてきているというような状況でございます。

 

 こうしたことを踏まえてどうするかということを、28ページ目に文章でまとめております。申し上げましたように、新規投資は厳選するという中で、老朽化対策が増えていくということを様々な形で軽減・平準化を図っていく必要があると。その際、民間資金、受益者負担、規制、税制等によって効率化を図っていく必要があると。一方で担い手から考えると、現状ドラスティックなことが行われないと、そもそも現在の公共投資の水準を維持できない可能性もあるということで、最後の丸ですが、相対的には今後の公共事業関係費は増やせないということを前提に、必要不可欠な社会資本の機能を確保していくということを基本的な考え方にしていくべきではないかということでございます。

 

 

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。小林委員、赤井委員。

 

〔 小林委員 〕 どうもありがとうございました。ここ数年、財審でインフラについては長寿命化というのを進めていくべきであるという方向でずっと来ていたのですが、今日のご報告を聞いていて、11ページに出ておりますこうした状況などを見ていると、かなりその意識は各自治体に浸透してきたと考えていいのでしょうか。まず、それが質問。

 

 それに絡んで、こちらにあるのは政令指定都市や県などそうしたところですが、もう少し小さな自治体になってきた場合、そのような調査、長寿命化を進めていく上での人材の問題があるのではないかと、その辺の問題というのはどのように捉えられているのでしょうか。

 

 

 

〔 小野主計官 〕 申し上げましたように、まず、この長寿命化計画というものをとりあえずつくってほしいというお願いを総務省から市町村まで含めた全自治体に対して行っております。まさにおっしゃられたように、今現在できておりますのは、都道府県と政令市の一部であります。多くの市町村はこれからということになると思いますが、来年度までにとにかくまずつくっていただくということが重要だと思っておりまして、その上で中身のほうをよく見させていただいて、改善すべきところは改善していくということになろうかと思います。

 

 それから、人材については、特に市町村レベルになりますと技術系の人材がおられないということで、例えば国土交通省の地方整備局に技術者がおりますので、そうしたところで講習会を行う、あるいは自治体に職員を派遣するといった様々な工夫は行っているというところでございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、赤井委員。

 

〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。私の意見も似ている部分もあるのですが、まずインフラは、ポイントとしては生活にも絶対必要ですし、無駄は必要ありませんが、今後の経済成長にも必要な部分ですし、一方で人口減少で負担能力が減少していますから、やはり中身を変えながら必要なところはやっていくということが大事なのかなと思います。

 

 ちょっと3点ほどですが、1つ目は取組の評価ということで、まさに、今、質問していただいたように、これまでインフラとして長寿命化計画をつくろうとか、施設管理計画をつくろうというところまで始まっているのですが、それをつくるステップがどのぐらい順調に進んでいるのかとか、そのようなところをもっとフォローしていって、より早くきちんとしたものをつくるように促していくことが大事なのかなと。私も将来どのぐらい必要なのかとか、インフラを厳選するとどの程度コストが節約できるのかという推計もしているのですが、そのようなものも入れ込みながら、取組の評価をしっかりやるべきだと思います。

 

 第2点目は地域の生活、地域の成長のためとかかわるような地方創生が地方財政のときも出てきましたけれども、その地方創生の試みと、この実際インフラをどう変えていくのか。それはソフトなインフラ、ハードなインフラも関係するのですが、ここでも言われていた社会資本の更新とか担い手育成と、まさに地方創生、地域を元気にするための地方創生がうまく整合的になっているのかどうか。今はわからなくても、そのようなところのチェックをするようなことも大事なのかなと思います。

 

 3番目、最後ですが、公共事業費全体に関して、財政健全化との整合性が大事ですし、人口が減少して負担する人も減ってきているところとの整合性も大事ですけれども、インフラというのは規模の経済性がありますから、人口が減ったとしてもなかなかそのまま総額を減らしにくいわけですね。ばらばらと、先ほどコンパクトシティの話も出ていましたけれども、だから人口が減ると、その同じスピードでインフラのコストも減るようなまちづくりとか、これはすぐにはできませんから、長期的な視野でそういうまちづくりとか、長期的な視野を持ってそこが連動していけるような形の仕組みづくりが大事かなと思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では、続いて秋山委員、老川委員、大宮委員。

 

〔 秋山委員 〕 ありがとうございます。今、ご説明いただいた社会資本整備についてコメントをさせていただきたいと思うのですが、今日の3つのテーマ、またひいてはこれまでの財審の議論を通じてやはり思いますのは、高度経済成長の時代から、今、環境が変わってきて人口減少、それから、その中で財政も再建していかなければならない。そのためにも、経済成長というものをその環境の中でさらに推進していかなければならないという中で、ある意味古い制度設計が前提としていた政策目標は、今、政策目標自体が変わってきていると。

 

 今までのやり方とどうやって変えていくのかということについては、ここをもっと変えたほうがいいよねとか、見直したほうがいいよねという同じ議論を何年か続けて繰り返して議論するということがあるんですけれども、そこをどうやって、政策によってこの改革を進めていけばいいのか。また、その中で財政制度というものがそれにどうやって貢献、かかわっていけるのかというようなことを考えたときに、今日の一つのキーワードは、インセンティブの設計にまだまだ大きな改善の余地があるんじゃないかということです。

 

 今日のこの社会資本整備のテーマでいけば、地方財政のところでもコメントがありましたけれども、コンパクトシティ化ということについては、非常にこれはやるべきだということを言われつつも、なかなか現場で進めるというのが難しいという問題があります。夕張の事例が紹介されていますけれども、もう相当な危機感がある自治体だからこそ、ようやくそれでここまでできたというところがありますので、今日、地方財政のところでたしかコメントがあったと思いますけれども、このコンパクトシティ化を進めることに対して財政的なインセンティブをつけるということで、こういった政策目標を後押ししていくというような取り組みがもっと重点を置いてもいいのではないかなと思っております。

 

 同じように、インセンティブの設計によってもっと進めることができるであろうと思われるのが、15ページ以降に紹介されておりますPPP/PFI、それから特にコンセッションですね。

 

 このコンセッションの問題は、これ、今は空港の話が例として出ていますし、今、検討が進んでいるものとしては、愛知県だったと思いますけれども、高速道路のコンセッションの議論もあります。また、いろいろなここの例で、事業委託以外に、施設運営なんかも民間に開放することによって、財政負担を減らしつつ経済成長を進めていくことができるんじゃないかという、こういう議論を進めていくためには、財政面だけではなくて、税制や、あるいは規制の見直しと合わせたやり方を総合策で進めていくということを、もう少し深堀りして議論していったらいいのではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員、大宮委員の順で。

 

〔 老川委員 〕 ご説明ありがとうございました。公共事業の長寿命化、あるいはPFIをはじめとする民間資金の活用、これはいずれも非常に大事なことであると思います。大いにこれを推進していっていただきたいなと思うわけですが、同時に一番深刻だと思うのはこの担い手ですね。人材不足。ここにもありますように、130万強が不足してくると。

 

 しかも、これは建設業関係だけを言っているわけですが、現実にはそれだけではなく、トラックの運転手さんをはじめ、運輸、あるいはサービス部門全体が人手不足になっている。これは非常に深刻になってきているわけで、人手が足りなければ外国から連れてきたらいいじゃないかというようなことをよく言われがちなのですが、いろいろ社会的なコストなどを考えると、そう簡単な話じゃないなと思います。

 

 もちろん、外国人に頼る部分も当然出てくるとは思いますが、やはり何はともあれ初等教育における働くこと、仕事をやることの大切さ、そういうことをしっかり教育していくということ。それから、いわゆる職業教育ですね。技術・技能といったものを、みんなが中学を出て普通高校へ行き普通大学に行くというルートだけじゃなくて、やはり職業専門教育ということが、これから力を入れていく必要があるんじゃないかなと思いますので、また話が教育のほうにまた戻ってしまいますけれども、総合的に考えていかないとどうにもならなくなっちゃうなという気がしますので、その辺のご研究をお願いしたいなと思います。

 

 以上です。

 

〔 大宮委員 〕 一般に企業ないしは新興国でも、例えばインフラを買って火力発電設備を購入する際に当たっては、初期の購入費用のみならず、その運営していくための燃料代とか電気代とかいろいろなものがあると思いますが、それと、それから維持管理費をいわゆるライフサイクルコストとして考えて、それで評価して買うわけですよね。

 

 それが、国のこういうインフラについて、全く、運営費くらいは考えられているのかもしれませんけれども、維持管理費についてあまりにも考えられてこなかったというのは大変な驚きでありまして、これは企業でも、例えば大事な大きな機械を買った場合は、それの大きな大規模修繕があるというふうに想定されるなら、それを積み立て金として事前に手当しておくと、予算化しておくということが行われますし、マンションでも修繕積立金というのがありますよね。だから、そのような意味からすると全く欠落していたと言うしかないと思います。

 

 したがって、今年度中にいろいろなところで現状を見て、その後のどのようにするかの計画が立てられることになるのですから、そのための資金手当等についてこれから明らかになると思います。そのときにベストプラクティスがここに少し挙がっているようですが、それらを早くにいろいろなものがあれば提示して各計画の中にどんどん織り込んでもらうと、横通ししていくということが必要ではないかと思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、続けて角委員、末澤委員、佐藤委員。

 

〔 角委員 〕 ありがとうございます。もう28ページに書いていただいておりますように、キーワードは民間資金と適切な受益者負担に尽きると思います。

 

 先ほどご説明がございましたけれども、一般道路とか一般橋梁とか誰もが使う、お年寄りから子供さんまで、あるいは自転車とか、誰もが使う道路をいわゆる税金で維持・メンテナンスしていく、あるいは建設をするということはわかりますけれども、自動車専用道路を償還が終ったからといって無料にするというのは、今、まさに大宮委員もおっしゃったように、維持管理コストが認識されていないと私は思います。

 

 したがいまして、一応15年延長というご説明ではございましたけれども、自動車専用道路について、無料化ということはもう未来永劫しないというふうにお決めいただければありがたいと思います。自動車専用道路を無料にされるのであれば、じゃあ、なぜ公共交通機関である鉄道がほとんど受益者負担であるのでしょうか。もちろん過疎路線、地方は別ですよ。これはもういろいろは補助金をいただいて成り立っております。けれども、都市部の鉄道については大半が受益者負担で運営されておりますので、道路だけ受益者負担がなくなることにならないようにしていただきたい。

 

 それは裏を返しますと、やはり関西の道路ミッシングリンクというのがございまして、今、関空・伊丹のコンセッションがありますけれども、今のインバウンドがこれだけ急速に増えていくと、当然羽田・成田では受けきれないから、名古屋、あるいは関空、あるいは将来的には神戸空港も含めて、あるいは地方空港も含めて受け入れていかないと成り立たないという時代がもう目の前に来ているわけですね。ところが、東京では環状道路が3つ計画されてほぼ出来上がりつつあります。関西は一つの環状道路も完成していない。大阪湾岸道路といっても、西のほうへ行くと途中で切れてしまっています。

 

 そうすると、関西で、特区にして農業を輸出産業化していこうとするとき、いわゆる24時間空港は確かに2つあるんだけれども、それにつながる道路が一つとしてまともな道路がないということです。こう言うと、ちょっと関西のエゴになるのであまり言いたくはないんだけれども、そのためにもやはり民間資金の活用と、受益者負担ということで、ぜひともよろしくお願いししたいと思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 末澤委員。

 

〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございました。まず、ちょっと1点ご質問したいのですが、この5ページの2023年ないし2033年度の推計結果は、2013年度価格ベースでしょうか。それとも今後の物価上昇等を勘案しているのでしょうか。

 

〔 吉川分科会長 〕 じゃあ、これは主計官、お願いします。

 

〔 小野主計官 〕 これは物価上昇を勘案していない、2013年度価格ベースです。

 

〔 末澤委員 〕 そうしますと、多分今後このコストというのはもう一段膨らむ可能性が高い。先ほど人不足の問題がございましたが、3月調査の日銀短観でも、中小企業、非製造業の人手不足感というのは、これはもうバブル期並みの水準に達しておりまして、今後もやはり一段と人口の高齢化、少子化が続くと、やはり特にこの部分というのは過去労働集約的な部分も多かったわけですから、多分この試算だけではとどまらない可能性が高いと思うのですね。

 

 一方で、世界的に言うと地球温暖化などの影響で災害が増えていると。国内ではもともとそういう災害が多い立地だということを考えると、この防災・減災対策等もおろそかにできないと。そうしますと、やはり従来以上に一段とリスクの高い地域への選択と集中と、やはり労働集約型からより機械化等、ハイテクを使ってなるべく人を使わないでも対応できるような部分への移行が、本当に今、喫緊の課題だと考えております。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、佐藤委員。

 

〔 佐藤委員 〕 社会資本整備につきましては、ちょっと当面の対応と中長期的な対応に分けて考える必要があるかなと思いまして、当面の対応としては、今ある施設をどれくらい長く使えるのか、あるいは、今、地方債も起債できるようになりましたから、どの公共施設を除却していくのかということですか。そういう形で、今のあるものをどうするかという視点からまず議論していく必要があるだろうと。

 

 これでさえ結構大変で、というのは固定資産台帳がちゃんと整備されていない自治体もたくさんあるわけなので、そもそも老朽化といってもどの施設がどれくらい老朽化しているか、どれくらい把握できているかというのはかなり怪しいものがあるので、この最初のステップでさえかなりハードルは高いのかなと思います。

 

 中長期的にと言ったのは、先ほど何度かお話が出ていますコンパクトシティを含めたまちづくり、それは今はやりの地方創生も含めて、これからの町をどうやってつくっていくのかということを踏まえて、じゃあ、これからの公共施設はどこに立地させるのかということに次の政策目標を掲げて計画をつくっていくという必要があるのかなと思いました。

 

 それからPFI、私はちょっと内閣府さんのほうでPFI推進委員会の委員をやっているので、15ページ以降の話は知った話というか、なかなかそうだなと思いながら聞いていたんですけれども、実はなかなかこれ、PFI、PFIと言いますが、しょせんやっているのは地方自治体が一番多いので、やはり地方自治体がどれくらい自分たちの公共施設を今後、あるいはさっき教育の話がありましたけれども、学校を含めて、あと病院も含めて、どれくらいこのPFIという形で公共施設をマネージしていくかということ、ここが、今、問われているんです。

 

 これがなかなか進まない大きな理由は、そもそもPFIでやらなくても地方債で資金が手当できるといいますか、地方債で借りると金利が安いので、つまり、今ある地方財政の課題、つまり国がいろいろ手当してあげる、財源保障してあげているということが、実はPFIとかPPPの普及を阻害する要因になるというちょっと皮肉なことになっているわけでありまして、もともと何もしなければ、どうやって自分たちの施設をマネージしていくかとかはみんな自分で考えなきゃいけないわけですから、そうなれば民間資金を利用するというのは1つある選択肢だと思います。

 

 それから、やはり公共料金、スポーツ施設なんかも非常に料金が安いわけで、自分たちが使えばよくわかると思うんですけれども、やはりもっと使用者負担というのを引き上げていくというのも、これも本来なければいけないんですが、何せやはり自治体は外からおお金がもらえるので、何かそのあたり財政規律が弱いのかなという気がしましたということ。

 

それで1つだけ、コンパクトシティを進めていくということで、非常に大事なのは、地価を引き上げるということがやはりあると思います。先ほどちょっと因果関係が幾つか出ていたと思うんですけれども、人口密度が高いとむしろ地価が上がるので、地価が上がると何がいいことがあるかというと、固定資産税の税収が上がるので、したがって地方財政から見ても、実はコンパクトシティを進めていくということは、財政的にもメリットがあるということは強調に値するかなと思いました。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、時間が押してきましたので、少しご発言を簡潔にお願いできればと思いますが、続いて中空委員、土居委員、田中委員の順でとりあえずお願いします。

 

〔 中空委員 〕 2点だけです。簡潔に言います。

 

 と言いながらインドの話をするんですが、インドに行ったときに、インフラとしてのハイウエーに乗ったんですが、インドってもう資金の徴集をしていないんですね。何でしないんだと運転手の人に聞いたら、管理していた人が辞めたんだと。だからもう自由に使ってくださいと。そのかわり何が起きても知りませんよという状態になっているということで、それはインフラと呼ぶのかという話なんですが、基本的に日本もどこかでトンネルが落ちたりしているので、やはり老朽化については大変な問題だと思います。人がたくさん来る、インバウンドだと言っている中で、そういう問題は解決しなくてはいけないとは思うのです。

 

 ただ、一方で違うことを言いますが、必要のあるものとないものと必ず分けなきゃいけないと思っていて、橋梁でもあまり使わないのに、誰のためにそれを強くするんだっけというのは必ず必要だと思っているので、なので効率的に人が使うから選ばれたものにお金が行かなきゃいけない。逆に言うと、厳しいようですが、あまり使われないものだったら、もうやめていいと私は思いますので、そういう厳しい目線での選びが必要かなと思います。

 

 もう一点は公共事業そのものなのですが、公共事業というのは大事だと思いますし、財政使うときは公共事業にお金が回るとすぐ私たちは考えちゃうんですが、本当に必要な公共事業ってどれぐらいあるんだろうということは思います。ですので、何か元も子もないことを言いますが、公共事業は要らないのではないかという議論から始めてもいいぐらいな気がしています。すごい民間の意見ですけれども。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、土居委員。

 

〔 土居委員 〕 2点、申し上げたいと思います。ご説明あった資料の26ページ、27ページにもう如実に出ているわけですが、結局我が国の公共事業は、どうしても景気対策の手段として今まで使われ続けてきたという歴史があるわけです。やはりここはご説明があったような現状ですから、景気対策の手段としては公共事業は使わないと、毎年しっかりと整備維持するべきものはコンスタントにやっていくというやり方に変えていかないといけないと私は思います。

 

 2点目は、佐藤委員もご指摘ありましたけれども、まさにそのPPP/PFIを阻んでいる最大の要因は、私が思うにやはり手厚い財源保障を地方財政制度の中でやっているということにあると思います。秋山委員がご指摘のインセンティブという話も、これはまさにその地方財政制度によってそがれていると。ですから、やはり提言として打ち出していくには、地方債制度や地方交付税制度を通じて出されている手厚い財源保障がPPPやPFIを阻んでいるというところにも言及すべきと思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、田中委員。

 

〔 田中委員 〕 私は28ページについて申し上げたいと思います。今日のご説明、改めて聞いていますと、深刻な問題をかなり提起していただいたんですが、聞けば聞くほど不安になってくるのが明確な出口が見えないということであります。いずれも取り組み例とかであり、あるいは公共事業従事者に関しては数が減るということだけで、対応策についてはまだ見えない状況です。

 

 そのように考えますと、この最後の28ページの物の言い方ですけれども、この文章は、全体の公共事業関係費は増やせないということを前提にということで、あたかも旧体制をそのまま維持しながら節約しましょうという若干消極的な説明にみえてしまいます。ここはやはり秋山委員がおっしゃったように、もう旧体制から抜本的に変えなければいけないというような、もっと厳しく、明確な論調で結論を持っていく必要があるのではないかと思いました。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、最後に黒川委員、倉重委員、葛西委員、よろしいですか。その順でお願いいたします。

 

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。私は2点ございます。道路公団の民営化をしたときの会計基準をつくり資産評価をしたときの委員長だったものですから、以前にもお話ししたように本四架橋とかいろいろなところを見に行っております。その時の経験を踏まえて、2点お話ししたいと思うのです。

 

 道路公団をそもそも民営化しようとしたときの意図をもう一回思い出していただきたいのです。公団時代、無料化までの年数をどんどん延ばしていった。なぜ延ばしていったのかというと、自動車の運行台数が多くないような路線までもどんどんつくっていった。無料化する期間を長くすれば、その間に東名とか名神は大黒字なので、不採算路線もつくることができたということをもう一回思い出してほしいわけです。

 

 ですから、今日のお話の中でも無料化をしないで15年くらい延ばした路線もあったということですけれども、これは全てのものについてそういうことをするということではないということをもう一回確認したい。要するに無料化しないということを言えば、先ほどの話ではないですが、またぞろ無駄な路線をたくさんつくっていくということに道を開くことになるという、それは絶対ないとはいえない。

 

 一方、私が本四架橋を見たときに感じたのは、受益者負担主義からすると、本四架橋を利用する人は全国民ではないわけですね。要するに高速道路を無料化してしまうということは、税金で維持管理していかなくてはいけなくなるものですから、それはどうかなと思いました。したがって、無料化しないで維持管理だけのために、金額を下げての有料化、そこだけは守らないといけないということです。

 

 それから2点目は、長寿命化計画ということについて、予防的修繕というのはどういうイメージかをもう一回確認したい。本四架橋の場合は海の上にありますから、鉄に5層か6層の塗装をしている。その塗装が全部破れると、鉄ですから錆びてしまうのです。ですから、早い段階で2層、3層ぐらいのところでグラインダーをかけてまた塗装をし直すということが大事です。そのためには海面上60メートルのところに数十メートルの足場を組んで少しずつグラインダーをかけて修繕をしていって、五、六年かけてすべて終わると、また初めに戻って行う。だからずっとそこをお守りしている人たちがいるというのが、予防的維持管理のやり方なのですね。

 

 一般の道路だって大きな橋などいっぱいあるわけですから、このような予防的修繕をするのが長寿命化の理想的な形態なんですよ。そうすると、どれだけ技能を持つ人が本当に必要になるのかということに気がつく。だから、やはり人材から確保していかないと大変なことなんだなということを、私は見に行ったときに感じました。

 

 以上、この2点でございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、倉重委員。

 

〔 倉重委員 〕 今日の議論を文屋的な観点からちょっと一言言わせていただくと、私は今日の話をどう新聞記事に書くかと考えたとき――実際書きませんけれども――個々のパーツについてはそれぞれ非常にリーズナブルで、全部ぶった切ってもいいし、半分ぐらいしてもいいような印象を受けるのですが、じゃあ、なぜそうなのだということを国民に説明するときに、それぞれの理由はあるのだけれども、だけど利害関係が食い違ってそれぞれ反対も賛成もいるのだけれども、おしなべて彼らを説得するためのコンセプトが必要だと思うのですね。

 

 それはもう皆さんがおっしゃっているように少子高齢化であり、これだけの赤字があるからということなのですけれども、それプラスアルファで、それこそアベノミクスをさらに推進するような市場主義でいくのか、それとももうちょっと平等という観点でいくのか、老人が大事なのか、子供が大事なのかみたいな、それぞれによって違うかもしれないけれども、何か一つ貫くようなコンセプトがだんだんできてきたらいいなという印象をまず受けたのと、それから、それとまた逆の話なんですけれども、やはり国民に関心を持ってもらうために、今日、いろいろな項目を見て、私がああなるほどと思ったのは、先ほど竹中さんがおっしゃった救急の費用で、これは消防も含めて2兆円というんですから、救急だけでも相当な費用になって、これを軽症者に対して対策を加えれば相当な費用の節減になるという話なんですね。

 

 こんな話は非常に世の中にとって議論のしやすい関心のある話なので、例えば一つ一つのパーツは小さくても、ここまで追い詰められていて、一つ一つを拾っていかなければいけないと。具体的に言えば、これをやってみたらどうかという議論をちょっと皆さんに議論してもらうためには非常に格好の材料だという印象を私は受けたので、それをうまくこうやってプレゼンテーションしていく必要があるという感じがいたしました。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、最後に葛西委員、お願いいたします。

 

〔 葛西委員 〕 手短に1つだけ、意見を述べさせていただきます。

 

 「コンパクトシティ」については、何か過疎化・高齢化の切り札のように言われることもあるようですが、過疎化・高齢化は一時的なものではなく継続的なものでもあるので、コンパクトシティ化と言っても所詮は通過点であるという認識を持つべきだと思います。今のあるものを使いながら、それに順応して生きていく生き方も考えるべきです。

 

 例えばアメリカで一番人口の少ない州というのはワイオミング州で約56万人です。一方、鳥取県は約59万人。面積でいきますと、ワイオミング州は鳥取県の約70倍の広さがあります。つまり、日本の人口密度は今後さらに低下する余地があるということです。そうすると、今コンパクトシティを作っても、やがて陳腐化し、また何かつくることになるのではないかと思います。そのあたりをよく考える必要があるのではないでしょうか。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 少し時間超過しましたが、本日もお陰さまで活発な議論ができたと思います。

 

 毎回のお願いで大変恐縮ですが、対外的な情報発信、本日の会議の内容の公表に関しましては、私にご一任いただければと思います。お願いいたします。

 

 次回は5月15日金曜日16時から予定しておりますので、またよろしくお願いいたします。

 

 それでは、これで閉会とさせていただきます。

 

午後 6時04分閉会

 

 

財務省の政策