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財政制度分科会(平成27年4月27日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成27年4月27日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成27年4月27日(月)12:59〜16:02
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

 

 

1.開会
2.社会保障について
 −事務局説明(総論、医療・介護)
3.社会保障について
 −事務局説明(生活保護、障害福祉、年金、雇用、子育て支援)
4.閉会

配付資料
○資料1 社会保障

出席者

分科会長 吉川 洋           
竹谷大臣政務官
田中主計局長
岡本次長
太田次長
西田次長
新川総務課長
寺岡調査課長
中村国有財産企画課長
山本司計課長
窪田法規課長
片岡官房参事官
阪田主計官
余島主計官
白石主計官
冨安主計官
青木主計官
井藤主計官
宇波主計官
彦谷主計官
高村主計官
小野主計官
井口主計官
中山主計企画官
内野主計企画官
分科会長代理     田近 栄治  
 委員

碓井 光明
遠藤 典子 
大宮 英明
倉重 篤郎
黒川 行治
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
永易 克典

 臨時委員

板垣 信幸
井堀 利宏
老川 祥一
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美
高原 豪久
武田 洋子
田近 栄治
鳥原 光憲
宮武 剛

   
   

午後12時59分開会

  〔 吉川分科会長 〕 ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。

 

 冒頭、カメラが入りますので、そのままお待ちください。

 

(報道カメラ入室)

 

〔 吉川分科会長 〕 それでは、本日は2020年度の基礎的財政収支黒字化目標達成のための財政健全化計画に向けた各論の第1回目として、社会保障についてご議論していただきます。

 

 それでは、短時間ですが、カメラの方々、退室をお願いいたします。

 

(報道カメラ退室)

 

〔 吉川分科会長 〕 本日は、前半部分の総論、医療・介護と、後半部分の生活保護、障害福祉、年金、雇用、子育て支援に分けて審議していただきます。本日は3時間の長丁場ですので、前半の質疑が終わったところで休憩をとりたいと考えております。

 

 なお、岡本委員及び古賀委員におかれましては、本日ご欠席のため、意見書を提出していただいております。皆様方のお手元にお配りしてあります。

 

 まず冒頭、前回ご質問のございました国の有形固定資産等について、窪田法規課長から説明をお願いいたします。

 

〔 窪田法規課長 〕 前回、売却可能な資産がどれほどあるのかとのご質問をいただいておりました。

 

 国の資産は25年度末で652.7兆円余り、そのうち売却の対象として考えられるものは、有価証券、有形固定資産、棚卸資産かと思います。有価証券は前回、黒川委員よりご説明がありましたように、為替への影響を勘案いたしますと処分が困難な外為特会の保有する外貨証券119.1兆円を除きますと、25年度末で10兆円余りでございます。ほとんどは郵政株式であります。未上場ですので、純資産額によって評価しておりますが、2022年度までに4兆円程度の売却を見込んでおります。ただし、PB改善ではなく、復興財源に充てるという整理がされてございます。

 

 次に、有形固定資産が177.7兆円、棚卸資産が3.9兆円ございます。有形固定資産ですが、あくまで行政サービスを生むものを資産としておりますので、国道・港湾等に費やした過去の事業費を積み上げ、公共用財産として146兆円余りを計上してございますが、売却した場合の価値をあらわしているものではございません。残りは、後で説明いたします土地を除けば、国の事務に用いております建物、工作物が大体でございますし、国有林もございますが、税金の助けを受けつつ、自らの借金の返済に充てているのが現状す。

 

 棚卸資産は、大きなものでは備蓄石油が1.5兆円、会社であれば経営状態が悪いときに保有するのかという議論もあるかと思いますが、国の場合はこれも仕事かと思います。弾薬1.4兆円というものもございますが、普通の感覚ではなかなか資産とは言いづらいものかと思います。

 

 売却ということであれば、そのような意味で土地かと思います。土地の内訳は、1ページの右側の表にございます。行政財産として12.5兆円、普通財産として4.8兆円ほどございますが、土地もほとんどが国の施設の敷地、公園、在日米軍への提供資産などでございます。国の保有する必要のない未利用国有地は5,000億円ほどでございます。売却には努めており、おめくりいただいて3ページでございますが、土地売り払い代として毎年1,000億円前後の収入を上げてございます。

 

 引き続き努力することは当然でございますが、4ページにありますように、先ほど申し上げた未利用国有地5,000億円につきましても、土地区画整理事業等の施行区域に所在するものや、境界確定を要するものが3,000億円ほどございますし、地方自治体が公共施設の用地として利用する予定の財産がございますので、それを除けば1,000億円程度になります。また、売却と申しましても、市況や土地の現況との兼ね合いもございますし、この場でも前回ご意見いただきましたように、売却に当たっては、まちづくりへの貢献等にも配慮しているところでございます。

 

 なお、公務員宿舎については、25%以上を縮減することとし、跡地の売却に努めております。ただし、跡地を売却した収益は、これもPB改善ではなくて、復興財源に充てる整理になってございます。

 

 以上でございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、ただいまのご説明に関して、どなたからでもご意見、ご質問、ございましたらどうぞ。よろしいですか。

 

 どうぞ、大宮委員。

 

〔 大宮委員 〕 地方の保有している、橋や建物などのインフラが大分古くなってきていて、それらの整備、維持にお金が非常にかかるということで、今後の人口減少に見合ったインフラの整備が、どのくらいのものになるかも含めて、各地方自治体で調査していただいているようですが、持っている資産を有効に活用するという視点から、単に売却するだけがいいわけでは必ずしもなくて、たとえば広島の駅の再開発といった形式なども、ぜひいろいろ工夫をしていただければと思います。

 

 インフラの整備、維持について、今後全体でかかるお金の数字がないのは、かなり問題だと思いますので、早急に数字を集めて、今後どうしたらいいか論議ができるような状態に持っていっていただきたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ご意見でよろしいですか。

 

〔 大宮委員 〕 はい。

 

〔 吉川分科会長 〕 黒川委員。

 

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。2点、意見を言わせていただきます。

 

 1点目は、売却に関連するものなのですが、法規課長が詳しくお話しになられましたように、国の財政状態と比べて、規模がかなり小さいと委員の皆様方はお感じになられたかと思います。実際その通りでして、可能な限り今後売却していっても、現実の債務超過に対してどの程度効果があるのかについては、甚だ小さいことが合理的には考えられる。

 

 また、先ほどから企業の経営との関係でご意見が出ていて、その通りだと思いますが、企業の経営の場合に一番重視されている指標は、言わずもがなでありますが、経常利益とか営業利益と言われているもので、それは毎年繰り返される経常的な取引から、収益と費用がどの程度発生しているのか、そのバランスで計算される利益。経常利益とは、さらに支払い利子も含めて、毎年どの程度収益と費用が対応しているのか、それの差額としてどのぐらい利益が出ているのか、そのような指標を経営者の皆様方は非常に重視されております。

 

 これを国に当てはめれば、毎年の収入と支出ですね。しかも国債の利子も含めて、どの程度バランスしているのかという指標が最も重要であって、企業であればそれによって持続可能性を判断するわけでから、経営とか会計から見れば、国においても同じように、利子も含めた毎年の収支のバランスが一番大事な指標だと言えると思います。

 

 2点目は、今ご質問がありました地方におけるインフラの状態ですが、これは去年も一昨年も発言をしたと思いますが、インフラに関連する戦略小委員会のメンバーだった関係もありまして、幾つか地方にも見に行かせていただきました。それから、その委員会に属していたものですから、実際メンテナンス費用がどの程度かかると推計できるのか、少しだけお話させていただきますと、まず地方に行ったときに、先ほどの委員からのお話のように、本当に個別のところを見ますと、現場の段階で予防的にメンテナンスをしているかどうかによって、つまり現場の方々の技術や能力、やり方によって、長くもつかどうかやメンテナンス費用はかなり変わってきます。

 

 また、推計の話で、私のような文系の人間にはなかなかわかりづらいのですが、技術系の先生方が多かった中で、将来に対する技術発展といった問題を考慮しないと、なかなか推計できないということがありまして、初めは減価償却の耐用年数などで簡単に推計できるかと思ったのですが、よく考えてみると、会計の減価償却は費用の配分にすぎないわけで、実際にはそれによって更新するとか修繕するといったものを推計するには、いささか誤差が大き過ぎるのではないかという感覚を持ちました。

 

 というわけで、皆様方はご存じのように、今一生懸命地方のほうで、どのような状況になっているのかというデータ整備をやっているということだと思います。ただ、これも前回、去年あたりでも各委員からお話がありましたように、コンパクトシティーやそのような社会の都市のあり方という都市設計の問題からしますと、根本的に現在あるものを更新するのかどうかという問題がありますので、これを入れると、将来費用がどの程度かかるのかは、仮定の条件がいっぱい入ってくる。そのように思いまして、概算はできるのかもしれませんが、かなり計画段階まで落とし込むような数値は、不確定要因あるいは計画との連動が非常に大きいのかなと、そのときに感じた次第です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。永易委員。

 

〔 永易委員 〕 ご説明ありがとうございました。もう売れるものはそこまでないというのは、この数字の通りかと思います。ただ、我々は民間ですので、PLとBSは常に睨まないといけないという発想があります。そのような面で、民間的に言えば、国の実質債務超過は490兆円という数字に一応なるのだと思います。

 

 よくBSの議論をするときに、今の国の借金はこの程度でGDPで割ると2年を超えるという議論があります。この面についての各社、各国の比較は常に出されるのですが、債務超過額をベースにしたときにはどうなのかということもどこかで出しておかないと、いつも財産がある、だからいいではないか、ないしはそれを売れという議論が常に出るので、常に実質債務超過からいうとこうだという面も述べていただいたらどうかなと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 

 では、本日のメーンテーマに移らせていただきます。先ほど申し上げたとおりですが、まず社会保障の前半部分、総論、医療・介護について、宇波主計官よりご説明いただきます。

 

〔 宇波主計官 〕 宇波でございます。よろしくお願いいたします。

 

 第ローマ数字2部の58ページ以降の、生活保護、障害、年金、雇用、少子化対策については後ほどご議論いただくこととして、ローマ数字1部では、1ページにありますように、今後の当面の社会保障制度改革の基本的考え方と、その際の中心になります医療・介護に関する制度改革・効率化の具体案について、ご審議いただければと思います。資料に沿ってご説明いたします。40分ほどお時間をいただきます。

 

 まず、基本的な考え方というところでありますが、3ページ、4ページは、27年度予算における社会保障関係費の姿、それからこれまでの推移でございます。社会保障関係費は、PB対象経費の4割を占めておりまして、この改革は財政健全化の鍵であると考えます。

 

 次に5ページ。これは今後の社会保障給付費の見通しです。見ていただくとわかるように、特に医療・介護の増加が顕著でありまして、ここが改革の中心であります。これに対しまして年金については、マクロ経済スライドの効果もあって、経済の伸びの範囲内にとどまる見通しとなっております。

 

 6ページは、社会保障の財源構造の変化を見ていただいております。日本の社会保障制度は、ご承知のように社会保険方式という方式をとりながら、高齢者向けの給付を中心に4割程度を公費に依存している財源構造になっております。このため、高齢化に伴って社会保障給付が増加いたしますと、その負担増が公費に傾斜します。この増大する公費負担部分を財政赤字で賄っているために、給付と負担のバランスが損なわれて、将来世代に負担を先送りしているような、いわば中福祉・低負担の状況にございます。社会保障制度改革は、社会保障制度自身の持続可能性の確保のために必要であると。ここを改革の主たる目的に据えるべきと考えます。

 

 7ページ。時間軸で見ても、2020年度は財政健全化の目標年次ですが、社会保障制度自身の持続性確保という点でも、75歳以上の人口増が今後焦点となります、その観点から、2020という年は制度改革の鍵であります。図にありますように、2020年代初頭にいわゆる団塊の世代の方々が75歳以上となられますので、今後75歳以上の人口が大きく増加します。

 

 医療と介護においては75歳以上になりますと、1人当たりの費用が大きく増加いたします。さらに国庫負担ベースで見ていただくと、先ほど申し上げたように後期高齢者医療制度、あるいは介護保険に公費負担が厚めに入っていますので、1人当たりのコストはそれぞれ4倍、9倍と違います。このため、後期高齢者が増加する2020年代には、社会保障制度の持続性が、このままですとさらに大きく損なわれることとなります。団塊の世代という人口のボリュームゾーンが75歳の仲間入りをされる2020年度までに持続可能性を構築することを目的とした改革をすることが急務であると考えます。

 

 8ページですが、社会保障制度改革を進める上での伸びに関する基本的考え方であります。昨年の骨太の2014でも、いわゆる自然増について、高齢化要因とその他の要因に分けて分析するとされていまして、8ページはそれを整理したものです。医療で例示しておりますが、まず国民全体の医療費があって、そのうち公的保険でカバーする範囲がございます。国民皆保険ということで、広範な医療行為が公的保険でカバーされ、かつフリーアクセスが認められているというのが日本の制度の特徴であります。

 

 この公的な保険医療費の構成要素がご覧のように分解されるわけであります。分解したもののうち、年齢別人口の変化に起因する医療費の増加は、この赤い部分ですが、ここが高齢化の要因であります。他方、それ以外の高度化等と言われる要因についてですが、これは様々な内訳があり、構成要素の総数で見ると、年齢別で見た、その年齢層の1人当たりの医療費単価の増加であるとか、受療率の高まりなどによって、1人当たり医療費の単価が増加するというのが、その他の要因であります。

 

 こうして見ますと、真にやむを得ない自然増は、高齢化に伴う伸びに相当する量だけです。その他の要因に相当する伸びについては、一面では技術の高度化という面が確かにあるわけですが、この面は社会保障以外の経費についても当然ある要素であります。だからといって、他経費においてこれを自然増として増加を認めているわけではございません。さまざまな合理化・効率化努力によって、それを吸収してきているわけであります。

 

 したがいまして、社会保障制度についても、国民皆保険を維持していくためには、必要な高度化は認めていく必要がありますが、それを取り込みながら、制度改革あるいは効率化などにセットで取り組んで、全体として、その他要因に相当する伸びを抑制する必要があると考えます。

 

 そのための視点を、8ページの右側の青いボックスに書いてございます。第1に全体の公的保険がカバーする範囲を見直し、次に単価の見直し。それから、受療率の引下げ。この受療率の引下げは、例えば過剰病床の削減、入院期間の短縮といった医療提供体制の問題、あるいは重複受診などの無駄排除といった効率化、さらに健康・予防の推進といったものがございます。最後に負担のあり方として、公平な負担という視点があると思います。これらについて、後ほど詳しく提案させていただきます。

 

 1点だけ、高齢化の伸びの範囲内はやむを得ないという考え方は、伸びの量的な考え方を申し上げています。当然ながら、その他の伸びを抑制するに当たって、高齢化向けの給付についても改革事項には含まれます。高齢化はやむを得ないから高齢化向けの給付は効率化しないということではございません。

 

 以上を踏まえて、社会保障関係費の伸びの大きな考え方を整理してみたものが9ページです。安倍内閣のもとでのこれまでの3年間において、社会保障関係費の伸びは、1つは経済雇用情勢の改善等、「等」の中には過去の改革の効果といったものによって、消費増収を活用した充実分1.0兆円を除きますと、3年間の伸びは年平均0.5兆円程度と、高齢化による伸びに相当する範囲内となっております。

 

 考え方として、引き続き2020年度に向けて、国民皆保険を維持するための制度改革に取り組み、経済雇用情勢の好転やこれまでの改革などの効果、医療費の効率化の取組の効果と相まって、今後5年間の社会保障関係費の伸びを、少なくとも高齢化による伸びに相当の範囲内にする、すなわち、5年間ですと2兆円強から2.5兆円の範囲内にしていく必要があると考えます。

 

 今申し上げた考え方を右側に改革の柱として記載してございます。ローマ数字2ローマ数字3の内容について、この後詳しくご説明させていただきますが、改革の具体的な積み上げによって目標を達成していくことが必要であると考えます。これについて、改めて骨太2006との対比も踏まえながら、ポイントをご説明申し上げますと、社会保障改革の大きな考え方を示すという点では骨太2006と同じですが、今回申し上げた考え方は、削減額ありきではありません。目的は社会保障制度の持続性の確保であります。給付と負担のバランスの確保が目的でありますので、多年度にわたってアウトカムとしての伸び率を高齢化の伸びの範囲内にしていくと。そのようなことを重視するという考え方であります。

 

 これをどうやって実現していくかということも、右の箱にありますように、ローマ数字2の制度改革の効果だけでなく、まさに経済成長と財政健全化の両立が現政権の考え方ですので、そのような立場に立って、ローマ数字1にあるような経済雇用情勢の好転やこれまでの改革が複数年度にわたって拡大あるいは平年度化していく効果、さらにローマ数字3にあるような医療提供体制の改革あるいは無駄の排除、予防の推進等の効率化努力も効果があればそれによって実際の社会保障給付の伸びが鈍化していきます。こうした効果とも相まって、アウトカムとしての伸び率を高齢化の伸びの相当の規模の中にしていくということであります。その意味で、基本的にこれまでの3年間の安倍政権のもとでのこれまでの取組の巡航速度を維持していくということです。

 

 経済成長や予防の推進というのは、あらかじめ効果を見込むことが難しいという面がありますので、当然、改革の手を緩めてはいけないと考えます。給付と負担の改革については、後ほどご紹介するように、「財政健全化計画」の中で改革事項をしっかり積み上げていく必要があると思います。ただ同時に、経済再生に取り組み、その果実は、例えば生活保護の減少、あるいは医療費国庫負担の減少という形で反映されてきますので、これを取り込んでいく。それから過去の改革の効果についても、きちんと考慮していくと。こうして実現した効果が医療費の動向に反映される中で評価をしていきます。これらによって給付費の伸びが鈍化すれば、その分は制度改革のハードルが下がっていくことになります。このようにして、改革のアクセルの踏み具合を調整するということであります。経済雇用情勢、あるいは実際の社会保障給付の動向を踏まえながら、改革を進めていくということが大事ではないかと思います。

 

 繰り返しですが、ポイントは、削減額ありきではないということ。改革は積み上げていくということ。それから、実際の改革は経済再生、あるいは効率化、無駄排除といったものの努力とあわせて、複数年度にわたって実際の社会保障の給付の動向を見ながら進めていく。そういったものを通じて、社会保障給付費の伸び率を高齢化の伸びの範囲内にしていくということであります。

 

 10ページは、高齢化の伸びの範囲内にするということと、社会保障制度の持続性というものの関係を図示したものです。今回、一体改革のフレームで見ていただいていますが、消費税率を10%に引き上げた後、まだ13兆円程度の財源不足があるわけですが、歳出面の伸びを高齢化の伸びの範囲内にできれば、これは国費ベースで年0.5兆円弱の増加となります。

 

 右側のピンクですが、こちらは名目3%成長下での消費税収の伸びが0.5兆円程度ということで、要するに給付の伸びが財源の伸びの同額あるいはそれ以下にできるということであります。つまり、名目3%の経済成長の実現努力と相まって、今よりも後代への負担のつけ回しは拡散しないということが可能になり、制度の持続性確保につなげることができると考えています。

 

 11ページ、今申し上げた総論部分について内容をまとめたものであります。一番下の丸だけ、再度見ていただきますと、この夏の「財政健全化計画」において、今ご説明したような社会保障関係費の伸びに関する大きな考え方、改革・効率化等の柱、それに沿ったメニューを盛り込んで、その上で、年末までに予算編成過程の中で、本年は診療報酬改定もございますので、それも含めて、給付費の動向も見ながら、具体的な改革・効率化の工程表を策定することとすべきではないかと考えます。

 

 以上が総論です。次に第ローマ数字1部の後半は、医療・介護等に関する今後5年間の制度改革・効率化の具体的案。先ほど見ていただいた9ページの右側の青ボックスのローマ数字2ローマ数字3に該当するところについて、柱に沿って提示させていただきます。5年分ということですと、かなり大部でありますので、ポイントを絞ってご説明申し上げます。

 

 まず、公的保険給付の見直しであります。14ページが総括表であります。一番上の緑色の箱ですが、限られた医療・介護資源の中で大きなリスクに有効に対応するというのが、公的保険の本来機能であります。そのような意味で、ここの機能に立ち戻って、例えば同じ効果がある後発医薬品がある場合の先発品の扱い、あるいは個人が日常生活で通常ご負担いただけるようなサービスあるいは金額について、公的保険給付の範囲を見直し、全体として公的保険を、真に必要な場合に重点化していくことが最も必要だと考えます。

 

 もう一つ、青いボックスにありますように、公的保険給付の見直し・重点化というのは、一面では保険給付費の伸びを抑制して制度の持続性を確保するといった面に貢献するわけですが、それと同時に、公的保険から外れた市場については産業として伸ばしていくことができます。そうした意味で、経済成長とも整合的である、あるいは社会保障の雇用・成長市場としての側面といったものを損なわずに、改革を進めることができると考えます。

 

 具体的な改革事項を真ん中のオレンジ色の箱の中央に記載しました。それぞれについて、小さい字で記載したページに個別の資料を添付していますので、それを適宜ご覧いただきながら、基本的にはこの総括表に沿ってポイントをご説明します。

 

 まず1ですが、後発医薬品の使用促進。後発医薬品は治療効果の点では全く同じです。使用促進というのは最優先で進めるべき課題であると考えています。ツーステップで進めることを提案しております。

 

 現状、我が国の後発医薬品の使用率は、数量ベースで見て5割を少し下回っているところでありまして、諸外国に比べて大きく遅れています。他方で、最近のいろいろな取組があって、足元では使用率の増加速度が倍増していまして、今の目標は29年度末に60%ということになっていますが、それを達成するペースを大きく上回った勢いがあります。

 

 したがって、第1ステップとして、今の傾向がとまらないように、目標を29年度末80%といったように前倒し・引上げをすることが必要だと考えます。これによって予見可能性が高まると、後発医薬品メーカーの生産体制を強化するための設備投資が行われます。したがって、目標はできるだけ早く、本年夏の時点でコミットして、そうしたことをお示しすることが必要だと考えます。それから、目標は単なる目標ではなくて、診療報酬体系と連動しています。したがって、目標を切りかえるとともに、これを適切に来年度の診療報酬に反映していくということで、制度改革を推進することができます。

 

 そうした上で第2ステップでありますが、現行制度のままですと、先発品価格の高止まりがなかなか解消しません。患者負担が同じ1割負担や2割負担、3割負担のままでは、なかなか後発品のインセンティブが働かないので、秋の財審でもご議論いただきましたが、目標に向けて、ある程度生産体制や意識が整ったところで、後発品がある先発品については、公的保険による給付額を後発品の価格までにするという制度に改革する必要があると考えます。

 

 それから2つ目の類型としては、リスクの大きさ、あるいはQOL/ADL、これはquality of lifeとか日常生活動作という専門用語でありますが、こういったものの影響度が少ない領域、あるいはリスクが小さい領域について、保険給付の厚みを下げてはどうかという視点であります。

 

 この2の横側に3つほど書いていますが、1つが市販類似薬の保険給付からの完全除外であります。医療用医薬品については、使用実績があり、副作用の発生状況等から見て市販品として適切だということになると、まずスイッチOTCということで市販が認められます。一番左下に、代表的なものが書いてございます。

 

 公平性の観点、セルフメディケーションの推進の観点から、スイッチOTCが認められた医療用医薬品については、保険償還率をほかの医療用医薬品よりも低くすべきではないかという視点。さらに、スイッチされた後に長らく市販品として定着したような湿布薬、漢方、目薬といった市販品類似薬については、保険から完全除外すべきではないかということであります。

 

 もう一つの提案が、19ページの受診時定額負担・保険免責制の導入でありまして、限られた医療資源の中で、疾病等に伴う大きなリスクをカバーするという観点から、保険の基本機能は大事にしながら国民皆保険を維持していくことが必要かと考えます。その観点から、現行の定率負担に加えて、少額の定額負担を導入すべきではないかと考えます。

 

 上の緑の柱書の中の注にありますように、考え方としては2つありまして、1つは、常に一定額を保険免責にする。もう一つは、月額負担は上限が今もございますが、月額上限の範囲内で一定額の負担を求める、受診時定額負担という考え方があります。いずれの考え方も、過去検討されたことがあります。金額については、過去は100円、500円、1,000円という水準が検討されたことがございます。

 

 下に図示したのは受診時定額負担のイメージです。月額の上限がありますので、多額の医療費がかかった場合には今と変わりません。このようなことで、公的保険のカバレッジを、どちらかといえば右のほうに重点化していくと考えるものであります。

 

 それから、柱書の2つ目の丸にあるように、この際に制度設計として、かかりつけ医の推進といった観点を織り込んで設計することも考えられると思います。

 

 20ページからは介護保険であります。秋にも少し議論していただいたものであります。29年度の制度改正の課題になりますが、1つは軽度者に対する生活援助サービスなどのあり方。秋にも見ていただきましたが、要介護1ですと5割以上の方が生活援助のみで、その中身が右にあるように、炊事、洗濯、調理などであります。重介護の場合と同じように、この場合でも9割は保険でカバーされていますので、その結果として競争が働いていなくて、価格が高止まりしているという傾向も見てとれます。これらについて、公的保険の厚みを下げていくべきではないか、事業者の競争を促進すべきではないかという視点です。

 

 21ページは福祉用具の貸与、住宅改修。これについても同じようなことが指摘されます。ここの実態については今年の予算執行調査で、さらにどのようなものが貸与されているかという実態を財務省としても調査していきたいと考えています。

 

 それから22ページ、さらに進めて、今回は軽度者に対する通所介護について問題提起させていただいています。22ページの左下の円グラフを見ていただくと、要介護1・2で現在2兆6,000億円の費用を使っておりますが、今ご説明した生活援助というところがあるわけですが、さらに大きなボリュームゾーンとして通所介護がございます。

 

 この通所介護は、右半分を見ていただきます。通所介護サービスは、かなり事業者の参入が進んで大きく増加しています。他方、サービスの内容を見ていただきますと、比較的軽い方たちですので、例えばカラオケとかマージャン、カジノといった中身が入っています。この辺は機能訓練のためにやっているわけであります。それは一定の意義はあるとは考えますが、他方で柱書にも書きましたように、もう少し人員とか設備基準は、このような中身であれば、もっと規制を緩和して柔軟にすべきではないか。そして、地域の特性なども生かして自治体の裁量を生かすとか、公民館を使うとか、NPOの方にも参加してもらうといった、さまざまな自治体の裁量を拡大して、自治体の予算の範囲内で実施する地域支援事業へと移行すべきではないかと考えます。

 

 23ページ、今見ていただいた介護ですが、ドイツと韓国にも介護保険制度がありますが、いずれも要支援、要介護1・2の軽度者は対象外であります。

 

 14ページの総括表まで戻っていただきまして、今、2のところをずっとご説明しましたが、次に3として、ほかに在宅療養との公平の観点から、入院患者の居室代負担の見直し、それから柔道整復師についての給付のあり方の見直しについて、ご覧のような論点があります。

 

 では、25ページに行っていただきまして、26ページから、今度はもう一つの事項として単価の抑制であります。診療報酬改定、介護報酬の問題であります。26ページの緑色の箱の中、診療報酬と薬価改定、通常は2年に1回です。来年度がその時期です。これに加えて、そのすき間の年、2017年度に消費税が予定通りに10%に引き上げられますと、その対応のために診療報酬・薬価改定が必要であります。したがいまして、向こう3年間は3年連続で診療報酬改定、薬価改定が行われる可能性が高いと考えています。

 

 これらは予算編成期の課題になりますので、また秋にご議論いただきますが、今日、夏の段階で盛り込む必要があると考える基本的な視点と、それから薬価について幾つかの論点をここに書いてございます。1つは2つ目の丸、薬価調査に基づいて薬価の引下げが行われますが、これについては従来からご議論いただいていますように、市場実勢価格の反映にすぎないので、診療報酬本体の財源にはしないという考え方であります。

 

 それから、薬価と調剤報酬について、記載のような個別の課題への対応が必要であると考えています。31ページが調剤報酬の問題です。いわゆる薬局が受け取る調剤技術料を見ていただくと、調剤医療費7兆円のうち、技術料が1.7兆円ほどあります。足元ではこの調剤技術料が医療費の要素の中では最も伸びが大きく、年率4%を超えております。

 

 32ページを見ていただきますと、この要素として、いわゆる門前薬局のイメージを持っていただければと思いますが、医薬分業が進展しているという部分がございますが、左はその要素を分解したもので、医薬分業の要素を捨象しても、なお調剤技術料が年率2%程度伸びています。

 

33ページです。病院に行かれたら、院内で処方された場合と比べて院外の調剤薬局で処方された場合は、調剤技術料の水準そのものが数倍から数十倍になっています。これは、医薬分業を行うことによって、保険薬局が専門家として様々な指導を行ったり、かかりつけ薬局といった機能を果たすということで、高い技術料がついているわけでありますが、34ページにありますように、実際にはこの真ん中の薬学管理料というのが足元、非常に伸びています。この管理料を算定できるための条件が、下に小さい字で書いてあって、このような機能ということでありますが、実際にこの果たしている役割から見て、調剤技術料が適正と言えるのかどうかという視点があります。一方で、かかりつけ機能という意味では右側ですが、例えば在宅訪問関連技術料などの算定回数は、0.003%となっています。

 

 35ページは、保険薬局の収益率の状況、下は大手調剤4社における内部留保の合計額の推移であります。こうしたことを考えますと、技術料は全体としては引き下げるべき、その上で真に特別な役割を果たしているときには、それを適正に評価すべきではないかと考えています。

 

 36ページは、新薬開発の論点であります。今、試行的に実施しているものについて、より実効性のある形で見直すべきではないかという視点を記載してございます。

 

 37ページは、生活習慣病の治療薬について、今回新しい資料を出して問題提起させていただいています。生活習慣病の治療薬は巨大な市場であります。例えば、高血圧の治療薬は作用機序の違いで、右の下にあるようにいろいろなタイプがあります。この中に、またさらに先発品と後発品があります。どれを処方するかはお医者さんのご判断でありますが、日本は高血圧ですと、最新の高価なARBという薬が非常に多く使われています。

 

 1つの参考として、どれを使うか、イギリスではガイドラインがあり、まずはカルシウム拮抗薬を使い、だめなら次はARBをというようにルール化されています。一方、日本のガイドラインを見ていただくと、ステップ1の段階から、どれでもいいということになっております。

 

 これまでは同じ薬効だという意味で後発医薬品の問題を取り上げてきましたが、さらに進めて、薬効は違うけれども同じ病気、生活習慣病を対象とした治療薬について、専門家の知見を集めて、処方の順番あるいはルールの設定をすべきではないかということを問題提起させていただいています。

 

 26ページに戻ってください。今、2つ目の丸について申し上げました。3つ目の丸でありますが、診療報酬本体・介護報酬についても、医療費・介護費は高齢化などの要因によって増加していく、つまり医療機関あるいは事業者の収入総額は増加していきます。秋にまた深くご議論いただきますが、ここについても国民負担の上昇を抑制する観点から、マイナスとする必要があるのではないかと考えています。

 

 27ページ、診療報酬改定・介護報酬改定のそれぞれの国民生活への影響を書いてございます。医療費は43兆円、介護費が10兆円でありますので、1%当たり国民の負担軽減というのは、これの1%であります。国庫負担だけでなく、保険料の方がさらに大きな金額が軽減されるところが大事かと思います。

 

 次に、改革の3番目の事項として、38ページまで飛んでいただきまして、負担能力に応じた公平な負担ということであります。

 

 39ページが総括表であります。高齢者のご負担のあり方と被用者のご負担のあり方を書いていますが、まず高齢者。右に幾つか書いていますが、1つ目は高額療養費。これは現役世代と高齢者で、年齢を理由に差が設けられています。特に外来については、現役は入院の場合と同じですが、高齢者については入院の場合よりも、さらに低い特例が設けられています。公平の観点から、まずこの見直しが必要ではないか。

 

 次は定率負担でありますが、これについても今、75歳以上の方は原則1割、70から74歳の方は今、足元で順次1割から2割へと、本則の2割に戻していますが、まずはこれらの方々が75歳に到達したところから、引き続き2割をご負担いただいて、段階的に75歳以上を原則2割へ移行すべきではないか。

 

 3つ目は、介護保険についても同じように負担上限、あるいは定率負担の範囲という問題がございます。

 

 それから、この箱の右側に縦に書いていますが、共通した論点として、来年1月からマイナンバーが入ります。これを活用して、フローの所得だけでなく預貯金などの金融ストックも勘案して、負担能力をはかるようにしていく必要があると。例えば高齢者の場合ですと、年収に預貯金取り崩しを加えた実質収入で見て、これは43ページに資料がついていますが、実質収入が200万未満の世帯の方でも、2,000万以上の貯蓄を有している世帯が8%以上おられます。現在のマイナンバーの仕組みでは預金口座は任意付番となっておりますので、こういった点も踏まえて具体的な制度設計を検討していく必要があるのではないかと考えます。

 

 もう一つの論点は、被用者保険間における負担能力に応じた負担ということであります。秋にご議論いただきまして、後期高齢者の医療費の支援金については、総報酬割に移行するための法案が現在国会で審議中でありますが、残っている課題として、前期の高齢者の医療費納付金、それから介護の納付金について、総報酬割への移行という課題がございます。

 

 ここについて、考え方をご説明したいと思いますので、44ページをおめくりいただけますでしょうか。イメージを真ん中に図示いたしましたが、このような高齢者向けの世代間扶養の拠出金ですが、頭割りの場合は左です。この場合は平均所得水準の低い中小企業も、所得の高い健保組合も、同じ拠出金負担になります。ただ、これだと中小企業は大変だということで、一部国庫負担を入れて、中小企業のところは保険料負担を軽減しているわけでありますが、ここの財源はご承知のように、消費税あるいは財政赤字であります。

 

 歴史的な経緯により被用者の保険がこのように分立しているのですが、財政当局としては、本来あるべき姿は右側であり、総報酬に応じた負担としていただくのは当然のことと考えております。

 

 39ページに書いてあるもう一つの最後の論点は、高所得者に対する年金給付のあり方、いわゆるクローバックです。かつて3党協議で、年収850万円以上の方から、基礎年金のうち国庫負担相当分の2分の1を順次停止するという案が議論されましたが、実現に至らずに、現在プログラム法上の検討事項となっております。向こう5年の中での改革の課題として挙げさせていただきました。

 

 47ページ以降は、次のローマ数字3に該当する医療の効率化の観点から、医療提供体制の改革であります。

 

 48ページは、これまでも何度か見ていただきました、我が国には4つの医療提供体制の問題点がございます。1つは、国際的に見てベッドが多い、あるいは在院日数が長い。2つ目は、このワイングラスの上のほう、7対1という、急性期を念頭に置いた厚い人員配置あるいは診療報酬点数がついているベッドが多い。3つ目は、ワイングラスの下のほうの座の部分ですが、医療保険がカバーしている病院の療養病床が多い。4つ目は、下の2つにあるように、これらについて不合理な地域差がある。

 

 49ページ、50ページは、現在この問題の解消に向けてデータに基づいて、都道府県ごとに将来の必要病床数の目標を決めるという地域医療構想をつくることになっています。それと整合的な医療費の適正化計画を前倒しで見直していくという段取りになっていて、現在ベッド数の算定方法について、ガイドラインが公表済みです。

 

 51ページが総括表です。大事なことは、現在この改革が進んでいるので、その実効性が確保されることだと考えています。実際に病床の再編が進まないと意味がありません。その意味で、右の張り出しの箱に書いたような枠組みの強化が必要だと考えています。

 

 ポイントだけ申し上げますと、1つは診療報酬体系です。ベッドの編成はある程度目標ができていきますが、それと整合的に診療報酬がついていく必要があります。それから療養病床については、このときに介護の施設あるいは在宅への円滑な転換を促すように、配置基準を引き下げたり、診療報酬点数を下げたりしていくことが必要ではないかと考えています。

 

 2番目の矢は、既に予算措置が決まっていますが、基金や国保の財政支援について、重点的に配分するという話。4番目の矢は、実際に病床を転換するに当たって、現在、民間病院には勧告までしかできないので、県の権限強化が必要ではないかということであります。

 

 病床の転換は、前倒しても、実際に本格化するのは2018年度からですが、診療報酬体系の見直しなどを含めて、できるだけ2020年度までの期間においても効果が発現できるように努める必要があると考えております。

 

 また、同じ51ページの下の張り出しボックスは、前にもご指摘ありましたが、現在病床だけを対象に改革を進めていますが、外来の医療費についても地域差があります。データに基づいて地域差を分析して、解消していく必要があると考えています。

 

 53ページにあるのが外来の地域差です。外来についてもベッドと同じように、お一人当たりの医療費について著しい地域差が見られます。

 

 最後に54ページから、今度は医療の無駄排除、予防の推進等。

 

 ポイントは、マイナンバーの活用ということかと思います。医療のデータを活用して保険者が機能を強化するとか、重複受診、多剤投与をチェックする、それから、予防の推進についても強化していく。そのためのインセンティブを保険者とか、あるいは被保険者につけていくことが大事だと考えます。

 

 これらの取組も、効果的に推進すれば、みんなが健康になって医療費が下がっていくということで、ウイン・ウインの関係だと考えます。他方、「財政健全化計画」との関係について、下に青い箱を書きました。ここの効果は、あらかじめ定量的に見込むのは難しいわけですが、冒頭にご説明しました今回の基本的な考え方では、実際の医療費の動向を見ながら改革を進めます。したがって、予防についても実効性が上がれば、その分だけ医療費下がり、いわゆる高齢化の伸びの範囲内という目標までのハードルが下がることになります。ただ、この改革が大きく出ることをあらかじめ見込んで、改革の手を緩めないようにすることも、同時に留意する必要があるかと考えています。

 

 資料の説明については以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では早速、どなたからでもご意見、ご質問、お願いいたします。

 

 田近委員、田中委員。

 

〔 田近委員 〕 

 

 9ページで、私の話したいことは、財審で日本の社会保障財政について、どう考えるか。それに対する大きな合意が必要だということです。その点、今日宇波主計官のお話されたものを出発点にすることはどうか。このことについて話したいと思います。

 

 私の理解をお話させていただくと、9ページの右側で、過去12年から15年の間に社会保障関係費が2.5兆円増えたと。そのうち消費税の充実分が1兆円あるので、1.5兆円と。それを3で割ると5,000億円と。これは大体、高齢者の医療費の伸びに対応しているので、これから頑張って毎年5,000億円ぐらいの伸びで管理できないかと。それが9ページの左側のほうになっているわけです。これは15年から20年の5年間で、高齢化に伴う伸びが、今申し上げたように毎年5,000億円程度で、2兆円から2.5兆円。それを上回る部分は、後半で述べられてきたさまざまなことをやって、見直すということだと思います。

 

 では社会保障の財政の管理の方法を話せば、話は尽きないし、この考え方の出来がいいか悪いかもあると。ほんの一言言えば、例えばスウェーデンでは社会保障とは、医療・介護は全額個人所得税と。それを上回るような給付はあり得ないという仕組みになっているし、ドイツでは保険料。それぞれの国はあるのですが、日本の現状をわかりやすく言えば、これから高齢化部分の医療費の伸びは、ある一定程度勘案していこうと。それ以上のものはできるだけ抑制を求めたいということで、この大きな考え方を財審で、どう我々が共有していくかが重要だと思います。

 

 具体的な方策については、我々は宇波さんの言っていることもそれぞれもっともだなと思いますし、僕もこのようなことを建議で書くのかと思いますが、財審としてはこのような考え方があるので、厚労省等にしっかりやってもらうと。そのように球を投げる。そのかわり、しっかり検証も求めたいということです。

 

 大きな考え方を財審で、どうこれからシェアし合っていくのかなと。そこが最も大切なところだと思いました。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、今の田近委員のご意見も踏まえて、続いて田中委員。

 

〔 田中委員 〕 宇波主計官、大変壮大なプレゼンテーション、ほんとうにわかりやすくポイントをまとめていただいてありがとうございました。

 

 私はジェネリックの問題と無駄排除の2点について申し上げたいと思います。これまではジェネリックがかなり大きな争点になっていたのですが、大分使用率も高まっているということで、それは喜ばしいことだと思うのですが、もう60%に近くなっているのであれば、8割といった割合ではなく、ジェネリックを原則化して、加算もするといったインセンティブではなく、減点主義のほうに転換してしまったほうがいいのではないかというのが1点。

 

 それから、無駄の排除ですが、一言で言わせていただくと、患者としてびっくりしました。患者になる者としては、症状に応じてそれなりの薬が処方されているものとばかり私は思っていたのですが、この資料を見る限り、決してそうではないということがわかりますし、34ページの院外と院内の話はわかりやすいですが、37ページの生活習慣病の薬について説明していただきましたが、これはそれなりに軽い症状のものであっても、高機能の高い薬が知らないうちに処方されているという証左であって、これは生活習慣病だけではない現象だと思います。

 

 また57ページに、費用対効果評価を導入すべきと中医協から提案されていると説明されており、これは薬価を決める際に費用対効果分析が入っていなかったということだと思います。薬を保険であれ市場であれ買う人間からすると、信じられないことであります。

 

 薬には厳しい治験やガイドラインがあり、複雑な算定方式を元に我々は購入していたと思っていたのですが、思った以上に必要以上の負担をさせられているのではないかと思います。お医者さんに実際に、なぜこのような高いものを処方するのかと聞いたら、患者が望むからだという答えが返ってきまして、そのような書き方をされているものが多いのですが、患者は何が高くて何が安い薬なのかもわかりませんし、そもそも薬の名前などわからないわけで、医療機関あるいは医師の間に、費用対効果を考えずに高い薬を出す習慣が根づいているのではないかと思います。

 

 その意味で、これからは処方をする際のガイドラインあるいはルールに、費用対効果分析は必ず入れるべきであって、それは先発・後発の区分をする理由は全くないと思います。

 

 お願いしたいのは、医薬品を処方する際に費用対効果のコンセプトをルール化した場合に、どの程度の効果があるのかを試算する研究をぜひ進めていただきたいと思います。

 

 最後に申し上げたいのは、患者の立場からすれば、必要以上に無駄なお金を払って病気を治したいわけではなく、適正な負担で病気を治すことが求められていると思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、宮武委員、老川委員。

 

〔 宮武委員 〕 3点ほど個別の問題で意見及び質問いたします。あとは感想でございます。

 

 19ページの受診時定額負担・保険免責制の導入ですが、これは吉川会長のご持論でもあるので、言いづらいのですが、とにかく医療機関に行けば、100円なり500円なり1,000円なりを払えということでございますので、言ってみれば入場料をそこで取るわけですね。それは確かに保険財政としては非常に即効性があるのですが、私は今の診療報酬体系はむしろ1カ月幾らの包括報酬をメインにしていく。とりわけ診療所段階において、かかりつけのお医者さんをこれからどんどん増やしていくためには、1カ月幾らで療養指導していくという報酬体系のほうが良いと考えます。包括報酬とこの入場料方式が、整合性がないので、再考した方が良いとおもいます。

 

 さらには、このような定額負担に加え、定率負担も増やすことになれば、一気に患者の負担は増えるわけですので、どちらを優先なさるのかという議論もまた必要かと思います。

 

 また、17ページの長期収載品については、特許切れで、要するに後発品が出ている医薬品の値段が下がらないと。これは確かにその通りで、何とか適正な価格にするということについては全く異論はございません。

 

 ただ、基準の価格を定めるという仕組みが、本当に方法論として具体化できるのかどうかということですね。たしか私の記憶では、1998年ごろに厚生省が参照価格制度導入という議論を始めたのですが、ドイツの参照価格を参考にしたものの、ドイツの場合は医薬品メーカーが卸し段階で全て値段は公表されていて、それに法定マージンを上乗せしているわけですね。言ってみれば一物一価ということをきちっとやっているわけですね。その上で、成分や効能が一緒の医薬品についてはグループ分けをする。これはまた非常に難しいと思いますが、その上で平均的な値段というものをはじき出す。そのうえで保険者と医師会等の代表で基準額を決めるわけです。しかもドイツの場合は、外来は完全な医薬分業であります。このような、条件が違うところで、果たしてこの保険収載薬価の基準薬価をつくることができるのかどうか。どこまで詰められたのかをお聞きしたいと思います。

 

 3点目ですが、医療提供体制のところで、一番大事なところだと思うのですが、現在の病院群を再編成していく。48ページに、現在は7対1病院が非常に多く、療養病床もなお非常に多い。それを再編成して、高度急性期から慢性期へ、適正な病院の機能分担を図ると。これは全く大事なことであります。

 

 ただ、これは福田政権時代に社会保障国民会議がございまして、吉川会長はそのとき座長をお務めになったのですね。私も下っ端の委員で入っていたのですが、そのときに、高度急性期から慢性期へ機能別に再編成する場合、これによって当然ながら抜本的に入院日数を短縮するわけでありますが、その際は高度急性期の医療のスタッフですね。医師、看護師ら、スタッフは今より倍増すると。それから一般急性期は6割増にする。回復期もスタッフは3割増という。要するに、そこに人と金と物を集中的に投入することによって、入院期間を短縮するという考え方でした。それがいつの間にか、スタッフの増員のほうは図表からも消えていくのです。これは不思議でしようがないです。これをやらない限りは、そんな簡単に入院期間の短縮ができるわけはないので、そこのところはしっかりともう一度見詰め直さなきゃいけないと思います。

 

 全体としては、あらゆる面において提案をなさっているわけでありますが、どこに優先順位があるのかよくわからない。私自身は、高齢期の患者さんが増えて、慢性の病気を抱えている人が非常に多くなっていく中では、キュアという治療よりもケアのほうが大事になってくる。そのような意味では医療のほうをスリム化していって、介護のほうは拡充していく時代を迎えていると。そのような戦略的な視点が欲しいと思いました。

 

 以上であります。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。ご意見のほかにご質問も。

 

〔 宮武委員 〕 参照価格のほうですね。基準価格。これは、私もよくわからないので、ぜひ教えてください。

 

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。では、それも含めて事務局から。

 

〔 宇波主計官 〕 お許しいただければ、田中委員からお話あった点も含めてもよろしいですか。

 

〔 吉川分科会長 〕 はい、どうぞ。

 

〔 宇波主計官 〕 おそらく田中委員からあったジェネリックの原則化と、宮武委員からお話をいただいた参照価格の話は同じですので、ご説明申し上げますと、17ページでありますが、考え方は、80%まで目標を上げた上で、今の医療保険制度は先発も後発も、左の図にあるように定率負担です。したがって、患者さんから見ると1割から3割という低い率の負担で給付されるということであります。そうした意味での十分なインセンティブがない。

 

 それでは、先発品の使用が落ちていくための仕組みが弱いということで、後発医薬品の使用促進が進んだら、右のように後発医薬品の価格までを保険で見ると。治療の効果は全く同じ、病気を治すという意味では、いずれも同じでありますので、保険給付としては後発医薬品までとし、先発医薬品を選んだ方は、そこのところは追加をご負担いただくということですので、そのような意味では、田中委員のおっしゃっている医療保険の考え方としては原則化しているということであります。

 

 宮武委員からご指摘のあった、かつての参照価格制度との違いは2点ありまして、1つは、かつて議論されたものは先発品も含めて、全体を1つの参照価格にするという議論でありました。当時、ゾロ新をめぐるいろいろな問題もあったのですが、この案については先発品の開発を損なうというご批判もありました。

 

 今回提案しているのは、先発品の中では特許が切れたものからであります。つまり、特許が切れるまではこの制度の対象外でありまして、特許が切れて、後発医薬品が参入した後、要するに国民の皆さんに選択肢が認められている医薬品の中で、このような制度を導入すべきだというのが1点。

 

 もう1つは、参照にしている価格は参照価格ではありません。後発医薬品の保険収載薬価でありまして、ここは宮武委員ご承知のように、後発医薬品の保険収載薬価は毎回、薬価改定とともに決めています。今は3ゾーンありますが、後発医薬品の保険価格は決まっているわけですので、かつての参照価格の設定ではなくて後発品の価格という意味で、価格が明確だと考えています。これが参照価格のところの議論です。

 

 それから大変恐縮ですが、宮武委員からご指摘のあった2点、1つは受診時定額負担のところでありますが、19ページの2つ目の丸でありますが、おっしゃっているように医療機関間の適切な役割分担、あるいはかかりつけ機能の推進といった視点に立った制度設計は必要ではないかと考えております。宮武委員からご指摘のあったように、いわゆる包括報酬、かかりつけ医のための報酬というのは、現在も診療報酬体系の中にはございますが、この間発表されていたように、今全国でもわずかに120機関程度しか、これについて算定がございません。かかる事態の中ではなかなかまずいわけでありますので、おっしゃっているように、かかりつけ機能を推進するという観点とあわせて、一方で、保険についてはある程度大きなリスクをカバーするという機能に立って、重点化を図っていくことを今回提案させていただいた次第であります。

 

 それから、3番目の医療提供体制のところですが、おっしゃっているところはそのとおりだと思っていまして、療養病床の地域差を解消するということで、ここは少し細かかったのでご説明を省いてしまったのですが、よろしければこれをご紹介させていただきたいと思います。

 

 52ページ。医療保険の療養病床で21万床ございます。それから介護保険の療養病床で約6万床がございます。おっしゃるように医療と介護の連携の、ちょうど境目のところに位置している病床であります。これらについて、入院受療率に地域差があるということで、今回の地域医療構想では、入院受療率を全国の中央値レベルにまで低下させるような割合を用いて、病床数を再編していくということにしています。

 

 このときには、診療報酬の扱いも見直す必要があると考えていて、この紙を見ていただければと思うのですが、療養病床の中には高い点数がついている医療区分2、3というものと、そうではないものがありますが、特に高い点数がついている療養病床は、かなり地域差があります。医療区分2、3の算定要件が右の上の図3というところにありますが、1つはスモンとか、あるいは筋ジストロフィーの患者さんの数が要件になっています。ここに全国的に大きな地域差があるわけではございません。したがって、医療区分2、3に地域差があるというのは、それ以外の要件で算定されているということだと思います。それは、例えば状態とか医療処置の内容によって医療区分2、3の算定がついているものが、地域によってかなり大きく差があるということだと思います。

 

 したがいまして、医療区分2、3の算定要件をまず難病などに厳格化する。おっしゃるように、ここは医療でしっかり診るということかと思います。その上で、一般的な療養病床については、病院の療養病床と介護の療養病床との間を、うまくシームレスに連携していくことが大事だと思いますので、右の下にいろいろ配置基準とか点数に差異がありますが、これがシームレスにつながっていくようにすべきであって、医療の療養病床については、老人保健施設並みに医療看護師の配置基準を見直していく、あるいは報酬の組み合わせを見直して、それを今度、介護の施設を増やすことによって、きちんと介護のほうへ誘導して、そこできちんとお世話をする、あるいは在宅へとお世話をするというように機能転換を円滑に図る必要があると考えております。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも。では老川委員。

 

〔 老川委員 〕 ご説明ありがとうございました。大変論点はたくさんありますが、私は単純な質問を1つと、あと意見を申し上げたいと思います。

 

 53ページの外来医療費の地域差のところで、大阪府の場合は医療費、歯医者が断トツだと。これは一体なぜなのかと。全体的に医者にかかる人が多いとか、いろいろ問題があるという想像はできるのですが。

 

 それから、意見としては幾つかありますが、15ページのジェネリックの普及ですね。これは私も全く必要なことだと思っておりますし、主計官がおっしゃったように効果は全く同じだということであれば、特許料を払わないで、そのような安い薬を普及することは、断然不可欠なことだと思うのですが、ただ、お医者さんに言わせますと、いやいや、そうは言っても、実際には質の悪い薬があるのだというお話をしばしば聞きますし、後発医薬品の主要メーカーの方にも意見を伺ったら、全くないとは言い切れないと。自分のところは大丈夫だが、否定できないという話もありました。

 

 したがって、お医者さんが思い込みで後発は質が悪いとかと言っているだけであれば、さほど問題がないというか、意識改革してもらえばいいのですが、現実に素材とか製法、方程式は同じでも、つくるプロセスにいろいろ問題があるとすれば、そのような不安を解消していかないと、なかなか普及できないと思いますので、実態をよく調べる。厚生労働省なり、しかるべきところできちんと調べた上で、説得的な説明が必要ではないかと思います。

 

 それから、調剤のところ。33ページに調剤の技術料の問題があって、粉末の薬をその場で調合するというのは、技術料とかあって当然だと思うのですが、しばしばプラスチックにぴちっと入っちゃっていて、どこで買っても同じと思うようなものも、処方料とか技術料がとられる。我々素人から見ると、一体何なのだろうと思います。

 

 これを見ても、お医者さんのほうが処方する処方箋料、それから薬局のほうでも処方箋と、それぞれが処方料を取っていると。これも一体何なのかなという感じがしますので、その辺、実態をもう少し、なくていいものは払わなくてもいいのではないかと思いますので、そこら辺を整理できないのかなという感じがします。

 

 それから、37ページの生活習慣病。これは、僕は今後の医療費を削減していく上で、非常に大きなポイントだと思っておりまして、ここでは高血圧についての薬のことを言ってありますが、それもさることながら、それと同時に糖尿病の人工透析は、莫大なお金がかかる。しかも、患者にとっても大変な負担。私のたまたま知人が人工透析を受けていて、既に現役を離れましたから、週に3回、4時間ぐらいかかると。それを受けに行っているのだが、見ると、若い働き盛りの糖尿病の方が結構来ていて、大変らしいですね。仕事しながら、しかしその4時間を人工透析のためにつくらなきゃならない。これは労働生産性の上からも大変な損失だろうと思うので、がむしゃらに働いてそうなってしまったということで、やむを得ない面もあるのかもしれないが、防ごうと思えば防げたということも考えられる。

 

 それで、そういった予防医学というものを、もう少し徹底させる必要があるのではないかと。それによって相当、医療費が削減されるのではないかと考えます。

 

 予防医療をやっても、あまり財政は減らないのだという説を唱える方もあるのですが、実際ほんとうにそうなのかどうか、もう少しお調べいただきたいと思います。

 

 以上です。

 

〔 宇波主計官 〕 外来の地域差は、なぜかがわかりません。まさにデータを使って分析することが大事だという問題提起でありまして、なぜかがわからないところが、問題なのだと思います。

 

 ジェネリックは同一効果ということですので、仮にそうでなかった場合は、そのようなものは認めてはいけない、むしろPMDAにそれを報告するべきだと思います。一部、例えば薬を包んでいる材の中に、トウモロコシ由来の成分品が入っていて、トウモロコシのアレルギーの方がそれに反応してしまうといったことがあるかもしれませんが、それはむしろ、アレルギー患者さんは例外にするということだと思いますので、基本的にはこれは厚生労働省とも議論しておりますが、ジェネリックは同一薬効、同一成分でありますので、同じであって違ってはいけないというのが定義上の問題だと思います。

 

 1点だけ、調剤技術料は院内と院外とご覧いただきましたが、いずれかであります。院内で処方される場合は、あれが技術料になっていて、院外で処方される場合には、今3分の2ぐらいが門前薬局などの院外ですが、その場合は高い値段になっているということで、その加算の中身について、老川委員のご指摘にあったように、この技術料はいかがなものかという問題意識は持っております。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員、遠藤委員、佐藤委員の順で。

 

〔 板垣委員 〕 主計官、大変ご苦労さまです。私の記憶では、これほど詳細にあるべき課題を書き込んだものは見たことはないのです。言ってみれば、査定官庁が要求官庁に逆要求しているというぐらいの趣旨かなと思っています。その意気込みは非常に感じるわけですが、ちょっと問題なのは、これを全部仮にやったとしたら、どの程度の効果が得られるか。それは難しいとおっしゃっているが、財務省である限り、そのようなことを想定しないで何かを進めるということは、僕はないと思うので、いずれかの時点でそれは示してほしい。

 

 もう一つは、これだけのことをやると、相当痛みを感じる年齢階層あるいは所得階層の人たちが出てくると思うので、それは、平均的な水準で結構ですが、試算をしてもらわないと、これだけやるということは相当なものだと思いますので、その上で判断してみたいと思います。

 

 それから10ページ。ここにもグリーンの囲み、一番上のところに「名目3%の経済成長の実現と相まって」とありますが、何かできそうな雰囲気で書いていらっしゃるので、これはもともとこの財審の当初の議論で、怪しいぞという話になっている中で、もう少し表現を変えられたほうがいいかなと。でないと信用性にもかかわりますので。

 

 ということで、あとジェネリックについては皆さんのご意見が出たとおりで、私も大変注意すべき問題ではあるが、国民的な議論の中で普及させていくべきだろうと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、遠藤委員。

 

〔 遠藤委員 〕 ありがとうございます。

 

 まず、社会保障改革のあり方についてなのですが、最も政治的なハードルが高かった、負担能力に応じた公平の負担という点を、この安定政権下でぜひ進めていただきたいと、先ほどから出ております優先順位づけの問題で、特に感じることです。

 

 しかも、現状の負担の不公平が、国民にどのぐらい知れ渡っているかという広報的な面からいうと、年金のほうは負担の割合が公平ではないということは結構認知されているのですが、医療負担については、認知度が年金ほどではない印象があります。しかも、200万円の年収で2,000万円の預貯金がある世帯が8%もあるという現実。こうした世帯がもう少し負担できるのではないかといったことも含めて、周知のためのキャンペーンが必要な時期ではないかと思っています。

 

 一方、今回は詳細なデータをもとに踏み込んでおられるなという印象を持ちましたのが調剤薬局のところで、私も以前、この問題について調べたことがあったものですから、少しばかり発言をさせていただきたいと思います。最初に書かれてある通り、薬価の改定が診療報酬のほうに回らないような取組であらなければならないという大前提は認識するとして、調剤薬局の市場規模は6兆円程度なので、医療費全体の中から見るとわずかで、そのなかでも技術料のところは大体2割ぐらいですから、1兆円強だと思います。

 

 33ページに院内処方と院外処方で比較がある表を見ると、院外処方するから非常に価格が上がっているという印象を持ちかねないのですが、これは例えば過剰投与による薬剤費抑制のためや、プロによる薬剤投与体制を整えるためのインセンティブだったと思うので、医薬分業が悪かったかのような誤解を与えることがないように、議論を進めたほうがいいと思いました。その上で、もし、調剤のサービスがあまりにも過剰だとすると、一包化加算を保険対象から外すなどの、手法があるのではないかと思います。

 

 もう一つ、誤解を受けかねないと思ったのは、35ページの内部留保や利益率の問題です。調剤薬局の収益率は、営業利益率が連結で2.5%ぐらいの、比較的低利益率構造にあります。一部の会社が、社長が法外に高額の給料をとったりするということもあって、世間的な逆風は大きいのですが、大手はまだ12%ぐらいの市場シェアしかなく、再編・淘汰を促して効率化を図ること、またその際、ジェネリックを利用率の低いところから淘汰されていくような仕組みが取られていくべきであると考えます。

 

 現在、薬剤師が足りないという問題も報道などでよく取り上げられていますが、見直されるべき点があるとすれば、病棟薬剤業務実施加算ではないでしょうか。20床以上のベッド数などといった条件で病棟に薬剤師を置かなくてはならない訳ですが、医師や看護師の業務の範囲で行えないものか、診療報酬の抑制の観点からも再考の余地があると思いました。

 

〔 吉川分科会長 〕 佐藤委員。

 

〔 佐藤委員 〕 包括的な問題整理をありがとうございます。非常に包括的な分だけ、時間軸で少し整理したほうがいいのかなと思っていまして、つまり現行の制度の枠組みで、あるいは法律・制度の枠組みの中で、運用として対処できることは何なのかとか、例えばさっきのジェネリックなどもそうだと思うのですが、現行制度の枠の中でできることは何なのかということと、あと、マイナンバーが今度始まります。金融資産の把握はまだ先なので、マイナンバーの導入とともにできる、例えば負担の適正化であるとか、それからおそらく、地域医療の効率化は時間のかかることでありますし、極めて根本的な制度改革を伴う可能性がある。例えば都道府県の知事の権限は、今の枠の中でできる、十分なのかということも多分問われますし、いろいろとほんとうは権限あるといっても、抜かぬ伝家の宝刀みたいなので、実際抜きやすくしてあげなければいけませんから、そのような意味で、制度改革を伴うものはあります。そこは少し時間がかかると。トータルで見てどの程度の節約になるのかなという視点もあっていいと思うのですが、どのような順番で本来やっていくべきものなのかというロードマップがあると、非常に整理がつくかなと思いました。

 

 また、総報酬割の話で、毎回これはどこで議論したらいいのかわからないのですが、44ページに出てくる総報酬割になってきますと、これは税金だよねという割り切りでいいのではないかと思います。社会保険料なんて格好いいことを言わないでも、これは税金である。税金であるというのであれば、これは申しわけない、政府税調の仕事になってきますが、社会保険料の位置づけなのですね。ここは給付の話はしますが、このような社会保険料の話はしないし、税調は税の話はしますが、保険料の話はしないので、結局社会保険料の議論はどこでしているのかというと厚労省だけです。果たしてそれでいいのかなという議論は、出てくると思います。

 

 総報酬割は一見良いのですが、所詮は勤労者の中で負担を案分しているだけですから、本来それでいいのですかと。高齢者にも豊かな人はいますから。そのような人たちからちゃんと適正な値段を保険料と別に取らなくていいのですか。そのとき、資産に対してちゃんと適正な課税をしなくていいのか。そのような議論は当然出てきますので、もう少し幅の広い議論が必要なのかなと思いました。

 

 あと、ちょっと細かいのですが、さっきのジェネリックですが、17ページのところで給付の基準額ですね。後発医薬品に最終的に先発品も合わせていくということは、すごく大事だと思うのですが、そもそも論として、保険の収載薬価が高いのではないかという議論があるので、後発医薬品のですね。これは諸外国に比べてというのはよく出てくるので、果たしてこの水準自体がほんとうに適切なのかという議論は忘れてはいけないのかなと思いました。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、鳥原委員、富田委員、土居委員の順。

 

〔 鳥原委員 〕 社会保障については、さらなる給付の重点化・効率化の徹底ですとか家族化が必要な中で、医療、とりわけ財政効果の大きい受診時定額負担の導入ですとか、医療費の約25%を占める薬剤費の是正ですとか、このようなものをどんどん進めるべきだと思います。

 

 それとの関連で、ジェネリックの使用につきましては、目標値をさらに高めるべきではないかと思います。それに際して、欧米諸国と比べて使用割合が高まっていない原因だとか、医師が使いたがらない原因だとか、あるいは今日説明がありましたように、足元で増加している政策効果の中身などを検証して、使用率向上につなげていくことが大事ではないかと思います。

 

 もう一つ、前期高齢者納付金への総報酬割の導入についてですが、現役世代から高齢者の医療への拠出金の負担は、既に課題になっていて、被用者保険間の負担のつけかえとも言えるような前期高齢者納付金への総報酬割の導入には、反対の立場であります。今後、前期高齢者世代の増加を考えれば、現役世代の負担をこれ以上増やさない方策を徹底して講ずることが必要ではないかと思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 富田委員。

 

〔 富田委員 〕 2点ございます。最初は改革の基本的な考え方のところでありまして、確かに大きな問題提起をされたとは思うのですが、私は今の現実を考えた場合に、負担と受益のバランス確保が極めて重要な課題だと思います。そして負担について、大きなところは消費税についてですね。今のところ、2017年に10%ということだけは決まっているわけでして、そのような意味では、当面の改革という題がついているのもそのような理由だろうと思います。

 

 そして、毎年の社会保障の自然増の4経費について、高齢化要因、デモグラフィックなファクターだけで5,000億円増加するということでして、それと消費税、先ほど3%のところで成長率が甘いのではないかという指摘があったのですが、消費税収の増加とバランスするという意味では、受益と負担の伸びはバランスがここでうたわれているのですが、10ページにもありますように、2018年にまだ13兆円もギャップがあるわけでして、それで受益と負担のバランスと大きく言えるのかどうかですね。

 

 11ページに論点整理がございまして、最初に「2020年度までに受益と負担の均衡がとれた持続可能な制度を構築する」とあるのですが、それに向けての施策と、高齢化4経費の伸びを3%に抑制するための施策、両方あわせたものが後ろに書かれていると私は考えたのです。ということで、もしそれがそのような理解でよければ、私はそのような形で1つの体系になっているのではないかと思います。

 

 もう1点は、遠藤委員や鳥原委員の発言とも関連するのですが、負担の公平化のところで、前期高齢者の保険組合からの負担等についてのお話がございました。我が国は保険制度が分立しておりまして、国民皆保険とはいえ、たまたま入っている保険によって負担率が異なり、皆保険といいながらもクラブ的な要素があるわけでして、そのような中で、後期高齢者の場合ですと5割を赤字国債でカバーしているわけでして、前期高齢者もそのような状態にあることを考えると、クラブ的な負担よりも負担の公平という形が、医療制度の持続可能性にとって望ましいのではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 土居委員。

 

〔 土居委員 〕 ご説明ありがとうございました。社会保障の改革は非常に大事でありますし、2025年を目指すものが多い中で、できるだけ2020年までにできることをきちんと前倒しでやっていくべきだという趣旨で今日のご説明を伺うと、非常に整合的なものがあるのではないかと。主計官も強調されましたが、歳出削減額がありきということではなくて、社会保障改革が必要だというところを説いていくことが非常に重要だと思います。

 

 その観点から、今日の主計官のご説明を3点ほどの形でまとめることができるのではないかと思います。まずここに書かれた改革は、1つは既に社会保障・税一体改革の中で、既存の枠組みとして改革の仕組みが整えられたもの。それをきちんと遂行していくべきだということです。それから2点目は、今後の報酬改定で対処する必要があるものです。3つ目は、さらなる改革を求めなければならないもの。特に負担の適正化は、そのようなものだろうと。この3点であります。

 

 まず1点目ですが、私は3つ、重要な枠組みがあると思っています。今日もご説明ありましたが、地域医療構想と、医療費適正化計画と、地域支援事業と、この3つの枠組みを強力に進めていくことが大事だと思います。

 

 順不同ですが、ジェネリックの話がありました。ジェネリックはもちろん、主計官ご説明の通りだと思います。特に法改正後の医療費適正化計画によって、使用割合を目標として定めることが追加されていることは、非常に重要だと思います。確かに先ほどご説明あったように、使用割合は上がってきてはいるのですが、6割を超えている沖縄県があるかと思えば、4割前後しかない徳島、秋田、東京都、このような地域差も結構あるわけです。むしろ低い割合になっている県に、もっとしっかりと使用割合を高めていただくことを促すことを通じて、日本全体としても使用割合は高まっていくだろうと思います。

 

 それから、これは49ページにもありますが、地域医療構想と医療費適正化計画を、2018年を待たずに見直していくということで、早く取り組めるものは早く取り組むことが、非常に重要なことだと思います。

 

 それから、地域医療構想ですが、地域医療構想は先ほど宮武委員もご懸念ありましたが、私も少しこの地域医療構想策定ガイドラインの検討等にもかかわらせていただいた経験からすると、それなりにうまく医療から介護へと誘導する計画づくりを内包している医療構想だと思います。そのような意味では、これを的確に各県でやっていただくことを通じて、過剰な医療を抑制するとともに、患者の需要にマッチした医療をきちんと残して、医療から介護への受け皿の転換を進めることが可能だろうと思います。

 

 それから介護は、軽度な方への介護は、地域支援事業できちんと受け皿をつくってやっていくということですから、ボランティアを活用するなりして、できるだけ低コストできちんとケアをするという仕組みを、これは軽度者だけではなくて、先ほど説明があったように要介護1・2あたりにも、さらに拡大させていくことが必要だと思います。

 

 2つ目の報酬改定で対応するという話は、先ほど来説明がありましたように、後発医薬品の価格といったところもきちんと対応する必要があろうかと思います。

 

 3点目ですが、さらなる制度改革として、負担のあり方はもっと的確に適正化するべきだろうと思います。40ページにご説明のあった高額療養費の自己負担の限度額で、現役と高齢者で差があるというのは理不尽な差だと思いますので、きちんと高所得の高齢者にもご負担をお願いできると思います。

 

 さらに、医療制度の中で、「現役並み所得」というでたらめな定義があるものは早急にやめて、せめて介護保険で適用されている一定所得以上という定義に統一するべきだと私は思います。現役並み所得は導入時の経緯から、課税所得が現役並み所得ということで定義されていて、課税前所得で定義されたものではありません。ですから当然、所得税制における手厚い公的年金等控除を加味された形で、高齢者がより高い課税前所得になるような計算で、現役並み所得と言っています。ですから、若い人たちに対して不釣り合いな形になっていて、実際、上位7から8%程度の高齢者しか、この適用を受けない。介護保険は、今年度から変わりましたが、原則として所得割合上位20%の方を自己負担2割にするという形になりましたから、適用される人は、定義上は上から20%の方が負担割合が増えることになっていますので、現役並みという全然現役並みじゃない定義になっている医療保険での定義は、改めるべきだと思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 井堀委員、十河委員、武田委員にご発言いただきまして、前半の議論を終えたいと思います。

 

〔 井堀委員 〕 1点は意見ですが、最初に田近委員が言われたように、財審としては、高齢化が5,000億円にとどまる範囲で何とか頑張ってほしいという努力をするべきだと思います。今日お配りいただいた岡本委員の意見書にあるように、高齢化による5,000億円も聖域にするのではなくて、もっと切り込む必要が、財政状況が厳しいときにはあると思います。なかなか政治的には難しいのでしょうがなるべく切り込んでほしいと思います。

 

 その背後にあるのは、年金もそうですが、医療も基本的には賦課方式なので、マクロで給付と負担がバランスして制度が持続可能だということですが、必ずしもそれで将来世代にツケが送られていないとは言えないわけです。人口がどんどん減っているときには、世代間で見れば相変わらず若い世代ほど損する構造は続きますので、抜本的な改革の方向に進んでいただきたいと思います。

 

 それから、簡単な質問です。21ページの介護保険の利用者負担原則1割を上げると、競争原理が働いて価格が下がるという話です。これは確かに論理的にはありそうな話なのですが、具体的にどの程度利用者負担を上げると、その分価格インセンティブが働いて、もっと利用者が安いものを選択するという形になるのかどうか。要するにこれは供給側の要因にも依存します。例えば車椅子の企業がカルテルを結んでいれば、必ずしもそうはならないわけで、競争はあくまで需要と供給との関係だと思うのですが、これに対して試算か何かされているのであれば、お聞かせいただきたい。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、最後のご質問に対して、事務局からお願いします。

 

〔 宇波主計官 〕 井堀委員のご指摘があったように、ここは緑色の、例えば福祉用具貸与でいえば全部で2,400億円程度使っていて、特に車椅子、それから特殊寝台、このあたりがボリュームとしては多いということがマクロとしてはわかっております。

 

 それから、平均的な利用者負担額を緑色の箱の参考に書いていますが、例えば車椅子でいうと830円、ということは月額8,300円ということだと思うのですが、特殊寝台1,040円という、割と平均値やマクロはつかめているのですが、どのようなスペックのものなのかとか、例えばこれを購入した場合の価格と一体どの程度違うのか、レンタルの場合とかというところに、中身がよくわからないところがございます。

 

 それなので、この春にここは予算執行調査でも調査して、おっしゃっているようなご指摘の点も踏まえて、実態をもう少しつぶさに見て、またその結果報告もあわせてご報告させていただきたいと思います。実際にはいろいろなものがどのように使われているか、ただ一般論として、比較的高いものが使われているのではないかということが、よく指摘されています。ハイスペックなもの、高い手すりとか、高いトイレとかいうのが一般論としては指摘があるのですが、もう少しそこはきちんと議論していただけるようなデータがそろうように、少し分析してみたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、お待たせしました。十河委員。

 

〔 十河委員 〕 ありがとうございました。私からは簡単に感想を述べさせていただけたらと思います。

 

 まず、この資料に関しては、かなり細部に切り込んでいて、いよいよほんとうにこちらの議題を深く議論していく必要がある、そのような時期に入っていると思いましたので、この細かい部分を一つ一つ精査しながら、どのぐらいこれが実現できるかは別として、こういった具体的な提案をしていくことは、とても大切だと思いました。同時に自分もとても深く知ることができました。

 

 そして、今思ったのですが、今回の社会保障に関しては、土居委員もおっしゃっているように、削減だけではなくて、まさに改革であるというところ。この改革という部分において、制度を見直していくことも大切ではあると思うのですが、その一方で、国民の意識を変えていくことが、とても大切ではないかと思いました。

 

 と申しますのも、今、大病院がいろいろと問題化されているというか、縮小という方向にございますが、結局国民は大病院に依存しているというか、頼りにしているという事実はあるのではないかと思います。そんな中で、国民一人一人が自立していくといいますか、予防していく意識、そしてかかりつけ医を個人個人が持っていくといった意識を、どのように国民の意識の中に入れていくかということも、大切ではないかなと思っておりますので、このようなこういった細かい精査、削減と同時に、国民全体の意識を変えていくということも考えていかなければいけないと思いました。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、武田委員。

 

〔 武田委員 〕 ありがとうございます。本日は大変詳しいご説明をどうもありがとうございました。意見を3点申し上げます。

 

 一点目は、田近委員がおっしゃった、社会保障の改革の必要性をどのように共有していくかという点でございます。前々回の本分科会で、岡本委員から経済同友会の試算の結果をご紹介して頂き、私ども三菱総合研究所でも、ほぼ同じ試算結果が得られたと申し上げました。先ほど名目3%は非常に高いというご指摘がございましたが、仮に、過度に楽観でもなく過度に悲観でもなく、例えば間をとりまして2%台の成長で試算いたしましても、プライマリーバランスの黒字化を実現するには、社会保障の伸びの抑制と、歳入の改革を行っていかなければいけないという姿が、いずれの試算でも出てくるのは明らかだと思います。

 

 もちろん、経済成長について諦めるわけでは決してなく、日本が再生していくためには2つのイノベーションが必要ということ。すなわち、経済再生ではイノベーション向上が不可欠であるほか、国の制度設計、それには財政と社会保障制度が深くかかわっているわけですが、そのような制度改革のイノベーション、つまりその2つのイノベーションを同時に行って、日本を再生させていくという考え方を、財審はもとより、国民の間で共有していく必要があるのではないかと思います。どちらに過度に偏っても、議論は前に進まないのではないかというのが、1点目でございます。

 

 第2点目は、データの重要性です。何名かの委員からご指摘がございましたが、年金に関しては、若い世代まで広く議論されていますが、医療や介護に関しては、実は国民の意識あるいは認知度はまだまだ低いのではないかとの印象を持っています。なぜ社会保障制度の改革が必要なのか、つまびらかにするためには、やはりデータが重要であると思います。

 

 今回、大阪の歯科の医療費が高いという非常に興味深いデータが示されましたが、同じように幾つか示すことによって、世代内、世代間、地域間でそういった格差が明らかになると、もう少し国民の意識も、変わってくるのではないかと思います。日本国民は非常に子孫を思いやる、つまり孫や子供の世代のことを考えますし、地元意識も強いので自分の地域の医療費が高いことに対して不名誉に思う方々も、データを明らかにすることで増えてくるのではないかと思います。

 

 一方で、おそらくそれでもなお改革に躊躇する声が強いのは、どなたでも予想外に病気やけがをすることがあり、万が一のリスクへの懸念はデータを明らかにしたとしても残ると思います。方向性としては、データを明らかにして一定程度の負担をお願いする一方、万が一へのリスクに対する限界はここまでですというところその両方を示して、ここまで上限は抑えますので定額負担、あるいは後期高齢者の窓口負担や介護保険に対する利用者の負担の見直しを進めていきましょうと、両方を提示する必要があるのではないかと思います。

 

 3点目は、優先順位でございます。本日はメニューをたくさんご提示いただいて、私自身も理解が深まりましたが、幾つかは時間を要するものがあると思いますし、幾つかは今回の国・地方PB黒字化に間に合わせる必要があるのではないかと思います。PB黒字化に向けて、高齢化が避けられない中で幾らまでが増やせる範囲かという点は、議論を一歩進めてもいいのではないでしょうか。そのために改革のメニューとして、これとこれはすぐに着手するとの選別まで進めることができないかと考えます。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも活発なご議論をありがとうございました。

 

 では、3時間コースですから、お約束どおり、5分休みをとりたいと思います。3時5分くらいに再開ということにしたいと思いますので、ご協力よろしくお願いします。

 

( 休  憩 )

 

〔 吉川分科会長 〕 では、後半部分、社会保障、生活保護、障害福祉、年金、雇用、子育て支援について、彦谷主計官より、ご説明をお願いします。

 

〔 彦谷主計官 〕 ありがとうございます。第二担当主計官の彦谷でございます。58ページ以降、第ローマ数字2部ということで、医療・介護以外の社会保障の制度についての課題と改革の方向性について、ご説明させていただきます。

 

 まず、ページをめくっていただきまして、60ページ、生活保護でございます。生活保護の受給世帯数は、経済雇用環境が大幅に改善している中にあっても、依然として史上最高の水準で推移しております。1つの要因としては、保護率の高い高齢者の人口が増えているということがございます。ただし、それだけではなくて、61ページにございますように、一度生活保護に入った方の脱却がなかなか進まないという状況がございます。これは昨年の秋の財審でも申し上げましたが、保護受給の更新期の設定や、正当な理由なく就労しない場合の保護費の削減など、制度の仕組み自体の見直しが必要ではないかと考えています。

 

 62ページでございますが、生活保護の約半分、現在3兆8,000億円のうち約半分を医療扶助費が占めております。生活保護を受けている方1人当たりの医療費は、高齢者の多い国民健康保険と比較しても、約6割程度高い水準となっております。また、頻回受診の方も多いということで、これまでも取組を進めておりますが、さらに進めていく必要がございます。

 

 また、第ローマ数字1部でご説明しましたが、医療保険制度における改革が行われた場合には、それとあわせた改革・見直しが必要ではないかと考えております。1つには、保険対象が後発医薬品を基準として行われるようになった場合には、医療扶助についてもそれを基準に設定していくことが必要になるのではないかといったこと、また受診時定額負担のような制度が導入された場合に、生活保護受給者の方に、同額とまでは申し上げませんが、一定の自己負担を導入することについても検討する余地があるのではないかと考えております。

 

 63ページ以降でございますが、生活保護の水準の議論でございます。これまで、2年前に生活扶助額の削減、それから昨年の秋にもご議論いただきましたが、住宅扶助・冬季加算の見直しを行ってまいりました。しかしながら、これまでの扶助額の見直しというのは、基本的に物価動向等に応じたマイナーな、そのときそのときの見直しでございまして、抜本的な見直し、予断なき見直しが必要ではないかと考えております。次回の生活扶助基準の見直しにおいては、これまでの制度を前提としつつも、最低限度の生活保障のあり方について議論することが必要だと考えております。

 

 その1つとしまして、63ページにございますように、これは東京都23区の場合ですが、週に40時間、最低賃金で就労した場合の可処分所得、1人当たり約13万円でございますが、と比較して、生活保護の水準がどうかといったこと。また、これも東京都における年金受給者の平均的な年金受給額から税と保険料を控除した額が、単身で約146,000円、夫婦で約197,000円となっております。これは平均でございますので、この平均よりも生活保護額は約1万円低い水準になるといったことを、どのように考えるかということを考えなければいけないと思っております。

 

 また、64ページですが、これは一般の方の所得と比較して、生活保護の水準がどのような水準になるかというのを示したものです。赤い線が30代の一般世帯の第1所得十分位から第10所得十分位までの月額の消費額を示しております。これは全国の平均でございます。全国平均と比べますと、東京都区部における生活保護の基準というのは、上位40%を上回る水準ということで、まだかなり高い水準にあるのではないかと考えております。

 

 65ページでございますが、これは母子世帯の場合でございます。赤い線は先ほどのページと同じ一般世帯の消費支出でございます。母子世帯には相当な配慮が行われており、東京都の場合であれば上位20%の区分の方と同等の所得といいますか、生活保護が受けられるという制度になっております。こういったことをどう考えるかということを考えていかないといけないと思います。

 

 それから66ページでございますが、生活保護の基準は、全国の市町村を6つの区分に分けて生活扶助の額が定められております。この市町村の級地指定は、最近30年近く見直しが行われておりません。その結果、それぞれの級地において同じ生活扶助の額が得られるわけでございますが、その地域の低所得者の消費実態を比べると、かなり大きな差が生じているという実態がございます。こういったこともきめ細かく議論していく必要があると考えております。

 

 次、68ページ以降、障害福祉でございます。

 

 69ページでございますが、障害福祉関係の予算、現在国・地方を合わせて約3兆円でございます。これまで約10%弱で伸びてきてまいりましたが、最近若干伸びが鈍化しておりますが、足元の動向を見ますと、障害福祉サービス、前年度と比べて約7、8%ぐらいのプラスで依然として伸びている状況にあります。したがって、制度を持続可能なものとしていくことが重要な課題となっております。

 

 70ページに若干の論点を書いておりますが、9年前に制度ができて以降、これまで大幅なサービス量の拡充、事業所数の増加が行われてまいりました。その一方で、それぞれの事業所に対する実地指導を2、3年に一度行うこととされておりますが、市町村、それから県によっては、実施率が極めて低いところがあるということで、今後はこのような課題にも対応していく必要があると考えております。

 

 71ページですが、来年、障害者総合支援法の施行後3年をめどとした見直しを行うということで、現在厚生労働省において制度のレビューを行っているところでございます。そのレビューに対しまして、財政当局として検討の視点を示させていただいているところでございます。71ページの緑色の部分の2番目の丸ですが、マル1からマル4まで論点を示しております。

 

 1つは、先ほど介護においても問題となっておりましたが、障害福祉においても家事援助の割合が相当多いという状況にございます。このようなものについても、介護の状況等も踏まえながら、必要な見直しをする必要があるのではないかと考えております。

 

 また、介護には地域の自主性に応じた枠組みで、全体としての効率化を図る仕組みが導入されておりますが、障害者の場合にも同じようなことができないかということが論点になろうかと思っております。

 

 また、障害の支援を必要とする度合いに応じてサービスが提供される仕組みを、よく考えていかなければいけない。

 

 また、極めて低額な利用者負担の現状にありますが、このようなものを論点として考えていかなければいけないと考えているところでございます。

 

 72ページ以降、年金でございます。

 

 73ページ、マクロ経済スライドの議論でございますが、昨年の秋でも議論がありましたとおり、名目下限という制度があるために、マクロ経済スライドは完全に調整が行われない可能性があるという状況にあります。現在、下にありますように、厚生労働省の社会保障審議会年金部会において、マクロ経済スライドによる調整が先送りされない制度見直しが必要であるという議論をしているところであり、厚生労働省で検討が行われている状況でございます。

 

 74ページ以降、平均寿命の伸長に伴い、年金の支給開始年齢を引き上げるべきではないかという議論を示しているところでございます。75ページを見ていただきますが、日本以外の全てのG7の諸国において、支給開始年齢の6768歳への引上げが既に決定されているところでございます。例えばイタリアは法律で、平均余命の伸びに連動して年金支給開始年齢が上がっていくという仕組みが導入されているところであり、ご紹介させていただきたいと思います。

 

 76ページでございますが、年金の支給開始年齢の引上げについて、具体的なイメージを描いております。こちらに青い四角を描いておりますが、現在の年金支給を65歳から、男女平均しますと大体85歳まで年金を受けるのが平均的かと思いますが、青い四角で年金をもらっているという方が、今後平均寿命が延びていく中で、その下にありますようにマクロ経済スライドが適用されて、年金の給付水準が下がっていくと。そのような中で長い期間、年金をもらうようになっていきます。そこで、支給開始年齢を引き上げると、年金の給付水準を確保することができるということになります。

 

 したがいまして、65歳以降、年金の支給開始年齢までの間は、働くなり、その準備をすることができますが、年金として、保険として重要なのは、一定の所得給付水準が確保されることだと思っております。そのような意味でも、支給開始年齢の引上げの議論を早急に始めなければいけないと思っております。

 

 78ページの参考資料でございますが、上の図でございます。65歳以上人口が黒色の線で示されております。現在の労働力人口が青い線で示されておりますが、今後2040年以降、65歳以上人口と労働力人口がほぼ1対1の関係になることが明らかになっております。こうした中では、早急に検討して、年金の支給開始年齢の引上げの議論を行っていかなければならないと思っております。

 

 79ページは若干別の議論でございますが、短時間労働者に対する被用者保険です。来年の10月以降、25万人の方に適用の拡大が決まっております。しかしながら、将来の所得保障の充実という観点から、また働き方が多様化している中では、一定程度働いた場合に厚生年金に入って、将来、年金を受け取ることができるという取組を進めるべきだと考えております。また、女性の活躍の促進にも資することになるということで、早急にさらなる適用の拡大が必要ではないかと考えているところでございます。

 

 81ページ、雇用の関係でございますが、失業率が改善する中で、失業等給付の支出が減っております。そのような中で、労働保険の雇用勘定でございますが、現在6兆円程度の積立金が積み上がっている状況になっております。雇用保険に対しては国庫の関与が重要な位置づけを持っておりますので、現在約1,500億円の国庫負担を入れている状況にございます。もちろん、雇用保険において国庫負担というのは重要な位置づけを持つものではございますが、財政の厳しい折、また特会にこれだけの積立金がある現状を踏まえますと、雇用勘定への国庫負担を停止してはどうかということを考えているところでございます。

 

〔 宇波主計官 〕 最後でございます。子育て支援策について、84ページからでありますが、左上に黄色い字で書いてございますように、消費税の増収分のうち0.7兆円を最終的に充当することが決まっておりまして、その中身、右にあるような待機児童解消等の支援策の拡充というメニューがございます。消費税の10%の引上げが1年半延期された中ではございますが、子育て支援策については当初の予定どおり、新しい子ども・子育て支援制度の導入、あるいは支援策の拡充といったものを現在進めております。

 

 他方、左の下のボックスにございますように、さらなる拡充に向けて財源確保の要請がございます。もともと一体改革の議論の中でも、0.7兆円に加えて0.3兆円超の財源を確保して、さらなる質の拡充を図るべきという国会の附帯決議がございます。それから最近では、左のボックスの一番下でありますが、いわゆる子供の貧困の問題というのを踏まえて、経済的に厳しいひとり親家庭あるいは多子家庭に対する支援について、年末を目途に財源確保を含めた政策パッケージを策定するということを総理が表明しておられます。

 

 こうしたことから、事業主負担のあり方について、これは秋の財審でもご議論いただきました。そして建議では、「子育て支援は現在及び将来の労働力確保にも資する施策であり、社会全体でその費用を賄う観点から、さらなる充実が必要な保育の現物給付に一定の事業主負担を導入することを検討すべきである」とご建議をいただいておりますが、この事業主負担の拡充について、本年末までに本格的に検討することが必要ではないかと考えております。

 

 以上であります。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では早速、どなたからでも。

 

 末澤委員、佐藤委員。

 

〔 末澤委員 〕 どうも詳細なご説明をありがとうございました。前段の社会保障、医療・介護、また後段の年金を踏まえまして、全体的に私も含め、部分的に賛成できないところ、ないしもっとやるべきだと、中身はいろいろな評価があると思うのですね。ここからは歳出のカットの問題になりますと、これは相当、総論賛成だが各論反対という方が増えてくると思います。今日のこの審議が昨日の統一選の後になったのも、多分背景には若干あるのだろうと思うのですね。

 

 ただ、前回私は4月6日の会合のときにもご説明させていただいたのですが、今日は5年後を見据えてということなのですが、10年後を見据えると、これはもっと厳しくなるのは間違いないですね。なぜかといいますと、団塊の世代の方が、初めのところにありましたが、10年後には皆さん75歳以上と。そうしますと、介護費にすると9倍かかるという形になります。

 

 また、そのころというのは生活保護費が増えてくる可能性もあるのですね。なぜかというと、団塊ジュニアの方々、ちょうど今40歳から44歳なのですが、この方々というのはお子さんが極めて少ない。また、正規雇用の方も少ないと。そうすると、彼らが50歳になってきて、ほんとうに雇用が維持できているのかという問題も出てくる。また、場合によっては年金を払っていらっしゃらないとなると、無年金者が65歳から増えてくるということで、実際上、マクロ的に考えると、これから10年から30年後というのは相当厳しくなると。

 

 ですから、そういった長期的なビジョンというのは、再度国民の方々にもきちっとお見せして、例えば年金についても、物価下落局面でまた引下げになると。それは相当生活が厳しいのは間違いないです。ただ、ほうっておくと将来の方々は全然もらえなくなると。50%の所得代替率の維持は相当難しくなると思います。そのような将来のモデルというのは推計ですから、いろいろな見方はあると思うのですが、極めて合理的に見たときに、このままだとこうなりますよと。ですから、子供、お孫さんの世代のことを考えて、ぜひご負担等をいただきたいという説明が必要なのだろうと思うのですね。

 

 また、あえて言えば最後のところなのですが、私は子育て支援ですね。ここをもう少し大々的に、財審としてもアピールすべきじゃないかと思います。お子さんないし孫の世代が多ければ、おじいさんおばあさんもいろいろ目先の生活が大変でも、少し将来の備えをするということにはご賛同を得られる方は多いと思うのです。それが核家族、ないしはご自身の世帯しかいらっしゃらない方が増えてくると、なかなかそこまで気が回らない。

 

 ですから、私は今日の話というのは、初めの医療・介護と年金、また最後の少子化対策、これはほんとうに三位一体で進めていかないと、なかなか総論賛成だが、各論になると前に進まなくなるのではないか、そのようなアピールを、ぜひ今後お願いしたいと思います。

 

 以上でございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、佐藤委員。

 

〔 佐藤委員 〕 生活保護についてですが、62ページにいつもの図が、内訳が出てくるわけですが、医療扶助費が非常に高いというのが生活保護費を高くしている要因の一つだということで、ここにどう切り込むかだと思います。幸い、ジェネリックの普及が全体的には進んでいて、生活保護世帯に関しては60%ぐらいがジェネリックを使い始めているのですが、ただ、聞くところでは、かなり地域差がありますので、地域格差の是正というのは図っていかなければなりませんし、根本的な問題として、ここは自己負担がゼロなので、なかなか競争意識が働きにくいという分野なので、ジェネリックを義務化するのはあまりにもひどいというのであれば、かなり普及促進を重点的に図っていくか、自己負担を入れるかというところ、ここは最終的には判断が問われるのかなと思います。

 

 それから、その前の61ページで、脱却がなかなか進まないということだったのですが、去年の6、7月ですよね、参考資料の56ページに就労自立給付金の話が出ていますが、去年からなので、まだ結果は出てこないかもしれないのですが、このような新しい施策が、さてこの脱却の傾向にどのような影響を与えていくのかは、注視していくべきかと思います。もしこれがうまくいかないというのだったら、また新たな別の、もう一段強化した脱却措置を講じていく必要があるのかなと思いました。

 

 また、子育てにつきましてもある程度の事業主負担を求めましょうよというのが86ページに出ているのですが、あまり保険料を上げて雇用を殺しても本末転倒ということになりますので、このような子育てのための事業主負担の拡大と、さっきから出ている雇用保険の保険料率の軽減と抱き合わせて考えていけば、雇用にも悪くない形で、かつ子育ても拡充できるというメリットがあると思います。

 

 最後に地域差の論議は、国民に対してもっと問題意識を喚起するという点においては、エビデンスをどんどんと見せていくことだと思うのですが、この分野は不思議でしようがないのは地域差がかなりあることで、障害者一つとってみても、上のほうに2次判定における上位区分への変更とか、これは70ページに出ていますが、このような障害者の区分の認定についてもかなりの地域差があるというのは一体何なのだということは、明らかにしていく必要があると思います。大阪市が全部上位なのは、何となく想像つくのですが、ただ、ポリティカルには非常に難しいことかもしれませんが、このようなエビデンスを見せて、理不尽な地域差があるという現実を見せて、それを収れんしていくという方向に世論を喚起していくことが求められているのかなと思いました。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、宮武委員、土居委員、田中委員。

 

〔 宮武委員 〕 支給開始年齢について、76ページに必要性が書いてございますが、最近の支給開始年齢の引上げ論には大きな誤解が3つあります。

 

 まず、支給開始年齢と言っているのですが、実は日本の年金制度は既に60歳から70歳までの間で個々人が選択する受給開始年齢があります。この点は社会保障制度改革国民会議でも、私は呼び方も制度内容も変えましょうと提案して、最近厚生労働省は受給開始年齢と変えております。いわば65歳というのは基準年齢なわけですね。基準年齢をどうするのかという議論でないといけないので、命名からして、まず変えたほうがよいと思います。

 

 2点目の大きな誤解は、2004年の年金改正で保険料は上限を固定するということになって、2017年度には厚生年金、国民年金とも保険料を固定するわけですが、それ以降は、年金財政は一定の財源の枠の中で、それをいかに世代ごとに分配するかという世界に入っていくわけですね。その中で基準年齢を引き上げるということは、浮いた財源は広く薄く全体にばらまかれて、いわば所得代替率を引き上げることになるわけですが、別に年金財政が楽になるわけではないです。そこは財政効果があるような大きな誤解が私はあると思っています。

 

 3点目の誤解は、基準年齢を引き上げるということは、誰が対象になるかというと、より若い世代だけに適用されるわけですね。しかも基準年齢の引上げに伴う給付水準の引下げの対象にもなる。ということは、マクロ経済スライドで給付水準が下げられているのに、さらに基準年齢の引上げによって、二重の給付水準の引上げにさらされるのですね。これは若い世代にとってみると、非常に公平性を欠いていると思うのですね。

 

 そのようなことを前提の上で、この引上げをどう論じるのかというスタートのところから、私は議論を整理していただきたいのです。私自身は今回の年金の財政検証で、基礎年金の納付期間を40年から45年に延ばすというオプションが1つ出ておりました。あれは非常に有力な方法であると思っております。ただしこれは、基礎年金の給付の財源は半分が国庫負担でございますので、そんな簡単ではない。ただし、当面は例えば2年延長して、40年を42年ぐらいにする。それで、67歳基準年齢という1つの当面の到達目標を立てて、それに向けて、消費税が10%で済むわけありませんので、それがもっと引き上げられた時点で、このような方策をとるべきではないかと思っております。以上です。

 

 もう一つだけ発言させてください。先ほど、医療機関に行ったときには必ず100円とか500円とかというのを取るということに関して、1カ月幾らの包括報酬に向かっていく時代に、むしろ水を差すことになると申し上げて、主計官から、ただしその地域包括診療料という包括報酬が算定されたのは、実は120医療機関ぐらいしかないとおっしゃったのですが、それは当たり前でありまして、あの算定条件は常勤医が3人以上いなきゃいけないなどと、非常に厳しい条件があるわけで、すぐに算定ができる条件ではない。しかし今まで日本医師会が包括報酬に抵抗していたのを、やっといわば橋頭堡を築いたわけです。その橋頭堡を、私はぜひ大事にしてほしいと思っておりますので、ご回答は結構でございますので、意見として申し上げます。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 年金については、宮武委員がおっしゃったご指摘、いずれも正しいかと思いますが、この支給開始年齢引上げですが、76ページですか。公的年金というのは年金というわけですが、ある意味では長生きに対するリスクインシュアランスとしての意味合いがあるわけですから、そのような意味では本来的な原点に立ち戻っての支給開始年齢の引上げというのは、私自身は意味があるかなと思っておりますが。

 

〔 宮武委員 〕 それは全く私も同意見で、国民会議でも働く期間と引退の期間のバランスをとるのは大事なこととまとめました。

 

〔 吉川分科会長 〕 ですから、結論的には必要ということでよろしいですか。

 

〔 宮武委員 〕 ただ、追加でつけ加えているのは、例えば75ページに、各国の支給開始年齢の引上げについて表が出ていますが、日本以外の国、米国以下イタリアまでは全部、日本みたいに保険料の固定方式とか給付の自動調整装置はとっていない国ですね。それと、保険料を固定し、そして給付の自動調整をやっている日本とかスウェーデンとは、条件が違うということを、ぜひ認識した上で議論したいということでございます。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ、主計官。

 

〔 彦谷主計官 〕 すいません。ありがとうございます、宮武先生。

 

 年金制度はなかなか難しく、3点おっしゃられた点について、補足させていただきます。

 

 まず1点目ですが、支給開始年齢は、おっしゃるとおり日本の場合、早くもらった場合には、65歳を基準にして金額が下がる、繰り下げた場合には金額が上がるという制度になっております。ただ、日本の制度を言いますと、65歳というのには大きな意味があって、65歳の時点で50%の所得代替率を保障するというのを、1つのメルクマールとして制度が成立しているところでございます。それを今後、年金制度の持続可能性という観点からどう考えていくのかというのが、大きな議論なのかなと思っております。

 

 それから2番目の年金財政の点ですが、年金財政と国家財政が、今はある程度切り離されていることは、おっしゃるとおりでございまして、年金財政の中で国庫負担、それから保険料の範囲内で給付するという制度になっております。ただ、これも厚生労働省の財政再計算にありますように、相当高い経済前提、運用前提を置いて、ぎりぎり50%を維持できる。厚生労働省の試算でも、前提が悪くなったときには40%、場合によっては40%以下になるという状況が示されている中で、人生の終末期における所得保障というものを、いかにして高い確定的なものにしていくのかは、大きな論点になるということです。

 

 最後、3点目ですが、支給開始年齢の引上げが、若い世代にとって損になるというご指摘がございましたが、これは制度設計の問題だろうと思っております。65歳から年金をもらった人と70歳から年金をもらった人を同じ金額の年金にすれば、当然ながらそれはある意味、将来世代が損するという形になりますが、いわば引上げをするということは、新年金と旧年金という形になりますから、一定程度、当然ながら65歳からもらって長い間もらう人は、年金の額を引き下げることで差をつけていくということをすることによって、世代間の公平は十分確保できるのかなという、制度設計の問題かなと思っておりますので、つけ足させていただきます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、続けて土居委員、田中委員。

 

〔 土居委員 〕 ご説明ありがとうございました。

 

 まず、年金ですが、支給開始年齢の引上げは、私もまさに74ページで書かれているように、団塊ジュニア世代以降の若い世代の人たちが、どのような人生設計をするかを早めに問うて、国民的な議論を喚起すべきだと思います。なぜか支給開始年齢引上げというと、団塊ジュニア世代よりも前の人たちが慌てふためくのですが、実は引上げは65歳までは決まっているわけでありまして、極端に言えば既にもらっている方までが、支給開始年齢引上げけしからんとおっしゃるのは、全くナンセンスでありまして、むしろ若い世代の人たちに、今どうするかということを問うべきだと思います。

 

 それから、もう1点だけですが、生活保護のところで、特に64ページ、65ページで、全国消費実態調査に基づいて生活保護基準の算定を行うこととされているところは、非常に重要なポイントです。昨年、全国消費実態調査の調査年だったわけでして、この調査結果をより詳細に精査して、より的確に、きめ細かく、地域ないしは世帯構成に合わせて、生活保護基準が実態に合った形で設定されるように議論するべきだと思います。ここでは公表されている全国消費実態調査の調査結果に基づいてグラフが描かれているわけですが、全国消費実態調査の個票にさかのぼってより細かく分析していただきたい。それによって、地域、それから世帯構成、それぞれの消費実態が明らかにされ、それに相応するような生活保護基準を定めることができると思います。

 

 以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも。田中委員。

 

〔 田中委員 〕 私は生活保護に関しまして、60ページ、61ページを見ながら、ごく簡単なコメントを1つと、質問が1つであります。

 

 1つは、この60ページを拝見するに、ここで指摘されているように、失業率の条件がよくなっているにもかかわらず、保護世帯が増えているということなのですが、特に平成21年から22年にかけて、ぐっと上がっているのは、政権交代によっていっとき生活保護基準の大きな要件緩和があったわけですから、この点をなぜ、原状復帰ではないですが、そこに戻すということをここに記すことができないのかどうかという点です。

 

 もう一つは、これは既に書かれていますが、更新期の設定ということが提案で書かれていますが、逆にこのような生活保護において、いわゆる出口というのですが、最初にどこかで切るよということがないと、ずっと依存的になるのは当たり前でありまして、更新制を入れるというのは必要なことではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、永易委員、遠藤委員、碓井委員。

 

〔 永易委員 〕 このローマ数字1部、ローマ数字2部を通じて共通なのですが、今回は何なのだろうと、私もここへ出ていて時々思うのですが、これは財審であるから、厚生労働省の委員といった世界とは違うわけですよね。もちろん、それを完全に無視しろなんて言いません。ただ、今回の我々の審議会の目的というのでしょうかね。長期的なものもありますが、やはり2020年に向けた工程表をいかにつくるかということだと、私自身は思っています。

 

 となりますと、社会保障は何といっても本丸でありますし、いろいろな案が出ている。これは結構であるということなのですが、板垣委員も言われておりましたが、どこかの段階では、これをやったらこうなるのだという絵がないと、全部が全部できるとはとてもではないが思えないし、それでいろいろな方策を積み上げれば、前提の条件もいろいろあるが、2020年には何とか届くような工程表をつくらないといけないという面からいうと、毎年の議論もされていると思いますが、今年は進め方を変える必要があるのではないかという気がしています。

 

 私なども銀行ですから、いろいろな再建計画はつくります。その検証をして、何とかそのとおり、例えばその企業がうまくいってほしいというので、直近でも随分やっておりますが、そうなりますとどういうことになるかというと、このようなことをやったら、このようないいことがあるというのをずらっと並べて、可能性としてはいける可能性があると。ただ、その材料というのは、実は全てがうまくはいきません。

 

 だから、このようなことがうまくいかないケースはこうだというならばが、10をやろうと思ったら20ぐらい材料がないと、実際はできません。実現可能性がないという形になってしまうので、どうしてもいろいろな議論を聞いていて、おのおのの議論はもっともだし、私も知らないことが結構あって勉強にもなっておるわけですが、一つ、今度の7月に向けていろいろあると思うのですが、ぜひそのようなスピード感も踏まえて、7月までにやるにはどうするかと。そのような視点を入れた審議会にしてもらいたいという気がいたします。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、遠藤委員、碓井委員、田近委員。

 

〔 遠藤委員 〕 ありがとうございます。永易委員がおっしゃった優先順位のことについては私も同感で、もちろんすべての施策が喫緊の課題であることは理解していますが、国民に対しては、この全体の問題点の中で何が優先して解決されるべきなのかということを示していく必要があるのではないかと思いました。

 

 と申しながら、細かい点で恐縮なのですが、1点、生活保護について質問させてください。生活保護は、その脱却の問題が一番大きいということをお示しいただいているのですが、万が一のときの備えと言ったときに、私たちの世代以上だと生命保険ですが、若い子の世代だと生活保護でして、万が一の生保にならないためを考えたときに、最低賃金との相関が高いと思われるのですが、例えば生活扶助基準を見てみると、人数とか土地とかで算定されていて、市場価格である賃金との連動は、どのように担保されるべきなのか教えていただければと存じます。

 

〔 吉川分科会長 〕 事務局。

 

〔 彦谷主計官 〕 これは最低賃金を議論するときにも議論されており、最低賃金の決まる過程において、各地域の最低賃金を発表するときに、生活扶助基準との逆転が生じていないかどうかということをとても意識されております。したがいまして、データとしては地域によって、どちらが高い低いという検証が行われております。ただ、1つの指標ではありますが、もちろんこれは年齢層によって、働ける人、働けない世代、いろいろな世代がありますので、それだけが指標ではないということが1つ。

 

 それから、40時間働く人と比較して、同額だからいいのかと言われると、またそれはどうなのかなという議論があるのかなということだけ、申し上げさせていただきます。

 

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。

 

 では、碓井委員。

 

〔 碓井委員 〕 先ほど佐藤委員も言及されました生活保護の医療扶助のことについて、発言したいと思います。62ページに書かれています一部自己負担の導入の点についてなのですが、ここに書かれている趣旨というか、お気持ちはよくわかるのですが、それをどのように説明するかということですね。つまり、国民の最低限度の生活を保障するのが生活保護だと仮定しますと、実質的には、医療保険と違って、過剰な医療が供給されやすい状態にある。多分そのような認識に基づいて、抑制すべきであると。このような考え方はよく理解できるわけですが、真に医療を必要としている保護者にとって、一部負担を導入するということは、それだけその部分が引っ込むことになりますね。

 

 そうすると、説明の仕方としては、ちょうど所得税の医療費控除について、足切りといいますか、裾切りといいますか、そのようなものがある場合に、基礎控除等で既にその分は織り込み済みである。それと同じようにして、ひょっとすると生活扶助費の中で、その部分は考慮されているのだという説明ができればいいのですが、もしそれができないとなると、難しさがあるという印象を受けました。これは単なる私の感想です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、田近委員。

 

〔 田近委員 〕 永易さんから、財審としての社保に対する検討のあり方について、言及があったわけですが、最初私もそのようなつもりで話しました。財審としては、社保も財政運営のあり方に対して考え方を示す。そして、それを実現するための具体的な方法を示し、それを担当官庁に求めていく。それで国民に理解してもらう。

 

 ただ、今日伺って、非常におもしろいと思ったのは、ものすごく、私も含めて今の社会保障に対する問題意識があるなと。そのようなことで、このような大きな、あるいはさまざまな意見を財審としてまとめて、ぶつけていくのかなと思いました。

 

 次に、今申し上げたいのは、そう言いつつ、今日ずっと3時間近く座っていて、総論部分を除くと、病院に行ったときみたいに、ここがかゆければ何とか科で、ここが痛ければ何とか科で、いろいろな診療部分に行ったなという感じで、言いたいのは、マクロ経済スライドを僕もずっと考えていて、2004年改革でこれが出て以来、このような考えでいくならいけばいいと。今もそう思っています。ただ、高齢者にとって要するに、年金をカットされるメカニズムにすぎないと。

 

 それで言いたいのは、もう少し専門のお医者さんの診断だけではなくて、我々は高齢者も、私もそれに近くなってきたのですが、高齢者から適切に負担を求めていかなけれないけないと。それを理解してもらわなければいけないということで、財審としては、それをどうするかということなのでしょうが、若年者と現役者、高齢者の所得税負担、社会保険料負担の実態というのは必要な気がします。

 

 それを見せながら、高齢者の人に負担を求めていくと。その一端としてマクロ経済スライドもあるのだということで、年金の中で2004年改革以来、マクロ経済スライドが出てきた。それを適切に執行してこなかったのだから、しなきゃいけないという議論もよくわかりますし、私もしていますが、その議論を受け入れてもらうためのもう一段の工夫、努力が要るように思いました。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも。

 

 それでは、時間が押してまいりましたので、鳥原委員と黒川委員にご発言いただいて、今日の議論を終えたいと思います。

 

 鳥原委員、お願いします。

 

〔 鳥原委員 〕 先ほど雇用保険の国庫負担を停止してはどうかという説明がありましたので、雇用保険については昨年もこの場で申し上げましたとおり、労使と国の3者で、みんなで支え合うセーフティーネットという役割を果たしておりますので、国庫負担を停止ということではなくて、一定の負担を維持することは必要だということを申し上げておきたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、黒川委員。

 

〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。

 

 私は、本日いただきましたこの詳細な資料の、まず評価についてと、それからもう1点、お聞きしたいことが2点なのですが、1つ目は、私が委員になってから3年間たっていて、毎年非常に一つ一つが詳しくなっていて、政策の現状を分析し、政策の提案について細かくされているように思うのですね。このようなことは非常に大事で、一つ一つはもしかすると金額は小さいかもしれないが、非常に全て頑張っていって積み上げていけば、大きなものになると。そのようなことが大事であると思うのですね。

 

 その中で、この財審の、特に主計局の方々が一生懸命このようなふうに具体的なものを出しているというのは、それぞれの政策官庁に対してキャッチボールというのでしょうかね、物を投げて、問題提起をしている。で、相手はどのように考えるのかという、そのようなことをしているとも思えますので、非常にすばらしいことだと思って、今後とも大変かと思いますが、具体的に精緻に分析して、我々が中に見せていただく。

 

 我々としては何をやるかというと、これは全てにわたって大きな価値観が問われる問題だと思います。結局はカットするのか、あるいは歳入を増やして満たすのかということを常に考えて、それぞれの案がみんなそのようなことになっていると思いますので、それを我々としては意見を言っていく、一人一人がどのように考えるか。国民の代表として、ここにいるわけですから、言っていく。それが我々の役割なのかなと思いました。

 

 2点目はお口直しなのですが、これは最後の少子化対策のところで、私の友人の学者が調査をしていまして、特に女性も、奥さんも働いていて子育てをしているときに、大変だと。女性はいろいろ休まなくてはいけないし、企業からいろいろ理解をいただかないと、正規社員を続けられない。そのような議論はよくあるのですが、アメリカで男性社員2人で働いていて、男性社員の子供の子育てに対する、育児に対する参加度というものが、非常に重要になっていると。特に、男性社員が子育てに協力すると、子供の学校に対する拒否度というのが減るという実証研究が出ていて、日本でもそんなのが言えるのではないかという論文があって、私どもに送ってきて、おもしろいからというわけで。

 

 そこで、今日はちょっとお口直しというのは、委員の皆様方のところに企業の大物の方々がいらっしゃるので、女性社員だけじゃなくて、子育て期間中の男性社員に対して、企業というのはどのような態度でいらっしゃるのかしらと。これはお口直しで、ちょっとお聞きしたいのですが、どなたか教えていただければと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、ここで一言、ずばりでお願いいたします。

 

〔 大宮委員 〕 例えば、育児休暇や育児勤務は、制度的には男性でも女性でも同じようにできています。ただ、実態からいうと、男性でとっている人は非常に少ない。なしというわけではなくて、最近かなりそのような人が増えてきているということだろうと思いますが。それから、介護も同じような制度がありまして、これも男性が休んでということをやっている事例はかなり多くなっています。

 

 会社としては制度的には、法的に定められたものよりははるかに高度なものを準備しているつもりなのですが、実態面として、それがほんとうにうまく回っているかというのについては、まだやるべきことが残っているかなと思っています。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 特例的なのですが、富田委員。

 

〔 富田委員 〕 すいません。お口直しの後でありますが。

 

 先ほど永易委員が提起された問題なのですが、今回の我々の建議の作成というのは、中期財政計画に向けてであります。そのような意味で、永易委員のご指摘の意味はわかるのですが、これまでの中期財政計画として前回私が報告させていただきましたのは、削減額を示して、これでどうだということではなしに、それぞれの分野における構造改革を提案する。それでこそ、長期的に財政を持続可能なものにしていくことができるのだということを申させていただきました。

 

 私は今日のそのような形で、構造改革のことを提案されていると思うのです。遠藤委員は優先順位をつけるということも言われましたが、これらを全部やっても、なかなか健全化は容易じゃないと思います。先ほど受益と負担の伸びのバランスをとったって、社会保障4経費だけで13兆円不足しているわけですよ。2018年ですが。そのようなことも考えますと、鳥原委員に失礼ですが、雇用保険で6兆円もお金があるわけですね。この積立金の問題を検討するというのは当然、国民としての大きな選択肢であって、我々財政審として、そのようなことをご提案申し上げるのは重要なことだと私は思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 本日は社会保障について、大変活発な議論ができたと思っております。本日の会議の内容の公表につきましては、大変恐縮ですが私にご一任いただきまして、会議後の記者会見で紹介させていただきますので、皆様方から個別に報道関係者等に対してお話することのないようお願い申し上げます。

 

 次回は5月11日月曜日15時から予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 

 では、どうも、ご多用のところ、ありがとうございました。

午後 16時02分閉会

 

財務省の政策