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財政制度分科会(平成27年4月6日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成27年4月6日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成27年4月6日(月)9:59〜12:34
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

 

 

1.開会
2.委員及び事務局からの説明
・「国の資産と負債について」
 −黒川行治委員
3.委員からのヒアリング
・「財政健全化〜これまでの取組と教訓〜」
 −富田俊基委員
・「諸外国の財政動向と海外経済・金融市場の状況等」
 −末澤豪謙委員
4.閉会

配付資料
○資料1 国の資産と負債について
○資料2 SNAベースの純債務残高について
○資料3 『財政健全化〜これまでの取組と教訓〜』
○資料4 諸外国の財政動向と海外経済・金融市場の状況等

出席者

分科会長 吉川 洋           
宮下副大臣
大家大臣政務官
田中主計局長
岡本次長
太田次長
西田次長
寺岡調査課長
山本司計課長
窪田法規課長
堀内給与共済課長
片岡大臣官房参事官
阪田主計官
余島主計官
冨安主計官
青木主計官
井藤主計官
宇波主計官
彦谷主計官
高村主計官
井口主計官
中山主計企画官
内野主計企画官
分科会長代理     田近 栄治  
 委員

碓井 光明
大宮 英明
倉重 篤郎
黒川 行治
角   和夫
竹中 ナ ミ
土居 丈朗
富田 俊基
永易 克典

 臨時委員赤井 伸郎 

板垣 信幸
井堀 利宏
老川 祥一
岡本 圀衛
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
武田 洋子
南場 智子
宮武 剛


   

午前9時59分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方におかれましては、ご多用中のところご出席いただきましてありがとうございます。

 

 本日は、前回ご質問のありました「国の資産・負債」について黒川委員及び事務局よりご説明していただきます。その後、富田委員、末澤委員よりお話を伺います。富田委員への質疑が終わったところで休憩をとる予定であります。

 

 それでは、早速議事に移らせていただきます。

 

 まず、国の資産と負債について、黒川委員よりご説明いただき、それに続きまして、寺岡調査課長より説明をお願いいたします。

 

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。それでは、私のほうから、国の資産と負債についてご報告させていただきます。

 

 まず、本論に入る前に、国の財務書類について簡単にご紹介いたします。1ページをご覧ください。

 

 国の財務書類は一般会計と特別会計をあわせた国全体のストックやフローの状況を、企業会計の考え方及び手法を参考に開示しているものです。決算の参考資料という位置づけで、平成15年度決算分から公表されており、今年の1月30日に平成25年度決算分が公表されたところです。

 

 まず、基本的な認識として、国の資産・負債の現状について、2ページの平成25年度における貸借対照表をご覧ください。この発生主義会計に基づく財務諸表である貸借対照表がつくられたことが最も重要な情報だと私は思っております。

 

 そこで貸借対照表を見ていただくわけですが、資産の主なものとして、為替介入時に取得した外貨証券など、有価証券が129.3兆円、財政融資資金貸付金等貸付金が137.9兆円、年金の運用寄託金が104.8兆円、それから、河川とか道路などのインフラ資産、公共用財産を含む有形固定資産が177兆円余りとなっています。一方、負債は公債が主でございまして、855.8兆円となっています。その結果、資産・負債差額は490.4兆円のマイナスでありまして、平成24年度末と比較して13.4兆円ほど悪化しております。

 

 この詳細につきましてはパンフレットをご覧いただきたいと思います。また、パンフレット中の項目の質問等がございましたら、私が直ちにわかる範囲で後ほどご質問にお答えさせていただきます。

 

その上で、国の資産を売却して負債を償還すべきではないかとの点についての留意点ですが、4ページをご覧ください。国の資産と負債は対応関係にあります。まず、マル1ですが、外貨証券は為替相場の安定のための為替介入の結果として取得したものであり、その取得のために見合いで外国為替資金証券を発行しています。そこにありますように、119.1兆円と117.4兆円。ただし、政府短期証券は101.6兆円と、こちらのほうが小さいではないかということなのですが、これは外国為替資金証券の内部保有分が17.2兆円ありますので、この分を差し引いてネットで負債は計上されますので、このようなことになっている。グロスで見れば、このように両者は対応しているということになります。

 

 したがいまして、この政府短期証券を減額するためには、外貨証券を売却して円に転換する必要がありますが、これは為替に対する逆介入、今のドル高を逆に反転させるということになるかもしれません。

 

 期末日にこのような数値になっていますが、円に換えるときに実際に実現するかどうかは為替動向に対する影響を見なければわかりません。また、このような外貨保有の通貨政策は国際的な問題でもありますので、単に投機とか投資の目的でやっているわけではないということについて留意したいと思います。ですから、外貨証券を直ちに売却をして円転し、手じまうことは困難だと思います。

 

 

 続いて、マル2についてですが、貸付金はその大部分が財政融資資金によるもので、その財源は財投債の発行によって調達した資金などで賄っています。財投債を原資とすることで、市場で最も低い国債金利での貸し付けが可能となっています。証券化等による売却の議論もありますが、上乗せされる金利負担や手数料など、本来必要のない追加的な国民負担が発生すること、また、一般国民への低利の貸し付けによる政策目的の達成が難しくなることから、財政投融資分科会においても実施しない方針が昨年6月に取りまとめられたところでございます。

 

 次に、マル3でございます。運用寄託金はその見合いの負債として公的年金預り金を計上しています。運用寄託金は年金給付のための財源の積み立てであり、給付財源の不足に応じて公的年金預り金とともに少しずつ取り崩していく性格のものです。

 

 このように考えていきますと、有形固定資産が公債の引き当てになり得るものと考えられますが、売却して現金化することのできない公共用財産、そこに書いてありますように、146.4兆円ですね。これは河川とか道路などのインフラ資産でございますので、このようなものを売却することは考えにくいということです。さらに、この公共用財産の価額は過去の用地費や事業費から推計して求めた取得原価で計上されておりますので、売却して得られる金額をあらわすものでもありません。

 

 なお、6ページをご覧ください。負債そのものから資産をマイナスしたネットの資産・負債差額とグロスの普通国債残高の推移を示しています。確かにグロスの普通国債そのものに比べれば、ネットの資産・負債差額の方が小さいことは確かですが、25年度末の額であるマイナス490兆円が10年ほど前の普通国債残高の水準とほぼ同じになっています。財政改革が急務であることは明らかであると思います。

 

 また、7ページを見ていただきたいと思います。財源不足、これは毎年のフローの財源不足ということで、企業会計的な視点で国の財務状況を見たものですが、これはPBで考慮されない利払費などを業務費用に含めています。企業会計では支払い利息等も含めて持続可能性を判断するのが常識ですので、このような姿になっているということです。

 

 したがいまして、PBよりもさらに下方に悪い数値になっていると。これが企業会計的に見た持続可能性の判断指標でございます。この利払費ですが、今はとても安く、1%程度の金利水準でございますが、この後どのような情勢になるのかわかりませんが、もっと金利が大きくなれば、企業会計的な指標で見ると、この数値は悪くなると思います。以上で私の報告は終わりにいたします。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、続いて、寺岡課長。

 

〔 寺岡調査課長 〕 私から若干の補足をさせていただきたいと思います。資料2でございます。

 

 ご説明がありました国の財務書類に対しまして、国の債務の状況を議論するには、よくSNAベースの債務残高ですとか、そこから金融資産を除いたSNAベースの純債務残高といったものがよく使われてございます。

 

 1ページおめくりください。国の財務書類は、今ご説明がありましたように、対象は一般会計、特別会計をあわせた国が対象になっており、そこでは企業会計の手法を使って、資産・負債、その増減について詳細な中身を示し、会計責任を果たすことが目的だったかと思います。

 

 それに対しまして、SNA統計の目的は、まず1つはマクロ経済の包括的な統計ということで、国と概念されるものについて一覧できるように、中央政府、社会保障基金、地方政府という一般政府全体をカバーし、国際基準に基づいて統計を作成してございます。したがって、純債務残高の国際比較などの手法が、IMFですとかOECDなどで広く国際的に使われているところでございます。

 

 ご覧いただきますと、まず、総債務残高ですが、中央政府の分が、我々はよく、国の普通国債は800兆円とご説明していますが、それに国の短期証券、借入金等をあわせて、国の部分が大体ここにありますように966兆円、それに地方政府、若干の社会保障基金の債務を積み上げまして、あわせて1,167兆円、これが一般政府のSNA上の総債務残高でございます。

 

 先ほど、国の財務書類で総債務が1,143兆円でございましたので、大体同じ額になっているのですが、こちらには地方政府、社会保障基金の債務が載っているという違い、他方、向こうにはおそらく公的年金の預り金等、発生主義上、負債と認識されるようなものが載っているという違いだと思います。

 

 一方、資産でございますが、こちらは金融資産として大きなものとしては将来の社会保障給付に充てられる社会保障基金の資産や、政策上保有が必要とされています外貨証券、あるいは、そのNTTやJT等の政府に保有義務がある株式等も含まれて、大体ここにありますように、577兆円でございます。これを総債務残高から除きますと一般政府の純債務残高のGDP比は約122.9%ございます。ちなみに、社会保障基金について除きますと、中央・地方政府の債務残高対GDP比が約164.5%になります。

 

 右側のページはそれを国際比較したものです。これはOECDの統計を使っていまして、若干その統計で使用される数字の時点が違いますので細かな誤差がありますが、いずれにしても、日本の純債務の数字は非常に突出して高いということだと思います。

 

 それから、3ページ目、このSNAベースを使った国民経済計算と、先ほどご説明がありました国の財務書類の対象範囲の比較でございます。左側の黄色い部分、一般政府となっていますが、中央政府、社会保障基金、地方政府、黄色く塗られたものがこのSNA統計上カバーされている部分でございます。

 

 ここには中央政府であっても、例えば公的企業に分類される財政融資資金勘定等が載っていない一方、国の財務書類は網かけの部分、国の一般会計、特別会計を対象としていると、そのような違いがあるということでございます。

 

 以上でございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、ただいまのご説明に関して、どなたからでもご意見、ご質問ありましたら、お願いいたします。恐縮ですが、いつものように、名札を立てていただけると幸いです。どうぞ、では、赤井委員。

 

〔 赤井委員 〕 よろしいですか。大阪大学、赤井でございます。ありがとうございます。

 

 少し解釈についての質問というか、正しいかどうかお聞きしたいのですが、この資料1においてどの程度その資産が売却できるのか、また、日本の財政状況がどれほど悪いのかという議論もするのだと思いますが、この資産・負債差額の一つの解釈としては、将来世代にどの程度負担を押しつけているのか、世代間格差がどのように変わってきたのかというものがあると思うのですが、その解釈で正しいのかということ。

 

 この6ページ目のところに、資産・負債差額と普通国債残高という推移がありまして、資産・負債差額の方は増えてきているので、そのような観点からすれば、世代間格差というものも広がってきていると言えますでしょうか?。

 

 さらに、この普通国債残高とこの差が徐々に広がってきていると思うのですが、これはどのように広がったり、それほど広がらなかった年度があったりということがあると思うのですが、その差はどのように見ればいいのでしょうか。例えば借金を建設国債で賄っていれば、その分、資産もつくられているので、それほど、この下の青いラインは増えないが、赤字国債等で賄って、そのような国債の質によってこの差が変わってくるのか、そのあたりの解釈があれば、教えてください。以上です。

 

〔 吉川分科会長 〕 黒川先生。

 

〔 黒川委員 〕 わかりました。まず、第1番目の資産・負債残高と世代間格差の問題ですが、これは大変難しくて、公会計部会でも、この資産・負債残高をどのように見るのかは大変議論があるところです。

 

 ただ、私が一大学人として大学院生などと話しているときには、国だけではなくて、地方も含めて、純資産残高を出したときに、この世代間格差と関係があるということは常々議論しているところでございます。ですから、赤井先生のおっしゃっていることは、私としては共感する、同意できるということでございます。

 

 第2番目の点は、14ページに建設国債、特例公債、財投債の推移の内訳が書いてあります。この10年間で、金額の差額というよりも、内訳が変わっているというご質問がありましたが、これは特にこの特例国債の伸びが毎年若干異なっているという、これで見ていただきたいなと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、続いて、岡本委員、永易委員、佐藤委員。

 

〔 岡本委員 〕 黒川委員からお話のあったところで、5ページの一番下の有形固定資産についてですが、この文言を読んでいると、「公共用財産などの、売却処分として現金化することが予定されていないものが相当程度含まれている」とありますね。

 

 確かに河川とか道路とか国会議事堂とか、そのようなものは売れないと思うのですが、よく世の中で言われているのは、官舎などいろいろあるだろうと。かつ、原価主義でいけば、かなり売却益が出るのではないかといった話がよくされるのですが、この「相当程度含まれている」というのは、仕分けして、売れそうなものというのを見るとどのぐらいで、ここはかなり含みがあるとか、そのような話はあるのでしょうか。

 

〔 窪田法規課長 〕 このバランスシートそのものの話ではありませんので、私から補足させていただきますが、国の資産で売れるものとしては、1つはご指摘の国有財産があるかと思います。こちらは国有財産当局において毎年精査して、最近でも1,000億円規模で毎年、処分できるものは処分していくということかと思います。

 

 もう一つ、有価証券の中に政府が保有している株式がございますので、これは多いときも少ないときもございますが、売れるものは売っていくということでございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。

 

〔 岡本委員 〕 まだかなりあるのでしょうか。

 

〔 窪田法規課長 〕 直ちに数字は出ませんので、調べてお答えさせていただきます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、永易委員。

 

〔 永易委員 〕 今の岡本委員の意見に実は非常に近いのですが、要は企業会計原則に則ってこれがつくられていると言われましたが、やはり時価の問題は必ずあるので、これでいくとどうなのだということが見たいというのが1つあります。特に有価証券と固定資産。

 

 それはそれでいいのですが、ポイントは、なかなか売りづらい。ロングタームのやつとショートタームですよね。わかりますが、やはり異常事態となりますと、企業でも国でも資産は売らないといけないのですよね。

 

 このような観点で売るとすると、このぐらいは何とかなるといった試算をやられたことがあるのかというご質問をしたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、事務局、お願いします。

 

〔 窪田法規課長 〕 財務省では理財局が担当ですので、私が記憶している限りでは、その正確な試算というものはなかったかと思いますが、調べた上でまたお答えしたいかと思います。

 

〔 田中主計局長 〕 非常によく注目を浴びる議論でありまして、実は、東日本大震災が起こりました。そのときに、復興経費がものすごくかかるという予想が立ったわけでありまして、当時、私、理財局長をやっておりましたが、その際に、復興財源をどのように確保するか、当時、民主党政権でしたが、相当あれを売れ、これを売れといった話がありました。

 

 といいますのは、あのときに法人税の増税を一方でやり、もう一方では所得税の増税をやり、所得税はまだ終わっていませんが、様々な国民負担をする以上、もう売れるものはとにかく売るのだという話があって、相当にその当時、言ってみれば、詰めた議論をさせていただきまして、その際、いろいろな出した資料等ございますので、整理して1回ご説明したいと思います。

 

〔 黒川委員 〕 それから、先生、いいですか。時価評価の会計上の話は私が引き取らせていただきますが。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうぞ。はい。黒川先生。

 

〔 黒川委員 〕 今日お示ししました国の資産の中の特に金融商品については時価評価されている数値でございます。ですから、1点、それだけ補足させていただきます。この金融商品の数値は年度末における時価評価されている数値で、企業会計でもそのようなことになっているということです。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて、佐藤委員、角委員、それから、土居委員。

 

〔 佐藤委員 〕 今の有形固定資産の件ですが、売れるかどうかよりも、どこまで価値を上げられるかどうか、例えばコンセッションではPFIなどの活用を考える場合、もしかするともっと価値を上げられるのではないか、資産価値をもう少し上げられるのではないかというアセットマネジメントの視点があってもいいかと思います。何でもかんでも売ればいいわけではないということ

 

 それと、よく出てくる話だと思うのですが、負債の部の中にある公的年金預り金の位置付けですが、おそらくこれは、運用寄託金との見合いなのだと思うのですが、もう先ほど赤井委員の話があった将来世代の負担を考えると、本来は預り金ではなくて、将来この段階で確約された年金の給付額というか、暗黙裡の負債ってありますよね。何か退職引当金とかと同じような考え方、将来発生するであろう給付というのが本来ここにあって、おそらくそれはものすごく大きくて、250兆円とかよく出てきます。

 

 したがって、その分だけ、おそらくこの差額はもっと赤字になって、それは何かというと、その部分はもう積立金にないので、将来の若い人からの保険料で賄うということですから、それをダイレクトに将来世代の負担だという議論につながると思うので、何かこのあたり、おそらくいろいろと議論があって、結局、預り金にしているだけなのだと思うのですが、もう少し発生主義という観点からすると、少し詰めた議論があってもいいのかなと。

 

 それから、私も東京都内の某市で公会計の仕事に関わったことがあるのですが、このような公会計の議論は何か売れるか売れないかという議論ではなくて、本来はもう日常の財務の状況というか、各省庁、各政策コストなどと言いますが、各政策において、今、自分たちの抱えている資産はどうなっているのか、負債はどうなっているのか、人件費はどうなっているか、やはり日常のこの財務運営の中で使われて、初めてこのような貸借対照表を含め財務諸表は意味があると思うので、本当はもう少し予算制度の中心になってきてもいい議論か思うのですが。

 

〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。

 

まず、第1点ですが、年金負債をどのように表示するかについては公会計部会でも10年来、議論になっています。国の財書類のポイントの20ページをご覧いただきたいのですが、先生がおっしゃったような企業会計的な手法で負債を計上したらどうかという議論もありますので、参考資料という形で載せています。20ページで特に見ていただきたいのが、厚生年金と国民年金の十字みたいになっている表の財源の中の国庫負担、厚生年金ですと330兆円、国民年金ですと120兆円。このような数値が先生がおっしゃっている数値に近いのかなと思います。

 

 ただ、これも平成21年度の財政検証でありまして、新しいものでバージョンアップしたいのですが、なかなかこの数値が出てこないということで、公会計室でも、公会計部会でも議論になっています。

 

 また、2番目のPDCAとどのように関係するのかということ、これも最近検討しています。各政策別に減価償却費とか人件費を割り振ったらどうかという情報、今日お配りしているポイントでは目立たないのですが、、そのような情報はつくりました。それがどのくらい各象徴で活用されているかという点についてはヒアリングをしたり、もう少し改善の余地がないかということを検討しています。

 

 ちなみに、このポイントの8ページを見ていただくと、140の政策毎にどのくらい費用がかかったかを把握しており、ここではトップテンを計上し、グラフで示しています。それから、省庁別にどの程度、補助金とか交付金が出ているのかは7ページにあります。これを見ると、ほとんどが厚生労働関係で占められているのが一目瞭然。

 

 お答えになるかどうかわかりませんが、以上でございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、お待たせしました。角委員、どうぞ。

 

〔 角委員 〕 以前も申し上げましたが、先ほどご説明がありましたように、固定資産の売却については各地方財務局が毎年きちんと計画的にやっておられるということはあるわけですが、1,000兆円を超える負債の中で年間1,000億円というオーダーでは、財務体質の改善ということについては直接、つながるというよりは、そのような姿勢を維持することが大事であるということのほうが大きいのかなと思います。

 

 とは言いながら、その財政健全化への効果が小さくても、逆に、例えば、以前も申しましたが、エリアマネジメントという名前で官舎の統廃合を進めておられる。そのことによって、例えばコンパクトシティが進むとか、生まれた遊休地が売却できるとか、それと、例えば四谷の駅前開発に、名前ももう公表されていますからあれですが、三菱地所さんがされるという中に我々も入れていただきましたが、あのような形で再開発につながって元気になっていくという、そのような効果の方が大きい気がいたしております。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、土居委員。

 

〔 土居委員 〕 ご説明、ありがとうございました。

 

 先ほどから議論になっていますが、その有形固定資産に関連しては、まさに有効活用、ないしは、売れるものは売るということは大事だとは思います。

 

 ただ、この話が資産・負債差額の話にどう関連づけられるかというところは極めて注意深く議論をする必要があると思います。例えば、資産売却収入をそのまま何か歳出に充ててしまうと、これは別に負債の返済に充てられるものではないということで、結局のところ、負債は引き続き残ったままということになりますし、過去のものについては有効活用なり売却という話はあるとしても、これから例えば建設国債を財源として有形固定資産を構築していくということがあるときに、この資産・負債差額にあまりにも過度に注目し過ぎると、結局のところ、建設国債で負債は積み上がっているが、別に実物資産がその左側にあるのだから、結局は資産・負債差額は増えてないのだから、別にこれは我が国の政府債務を増やしたことにはネットではならないのだという変な方向に議論が導かれてしまうと非常に危ういものがあると思います。

 

 もう少し別の言い方をすると、債務の大きさをはかるときに、実物資産まで含めて純資産ということに、ないしは、純債務ということにしてしまうと、その建設国債で賄った財源で実物資産を構築すると相殺されてしまって、結局、債務が増えてないかのように錯覚してしまうというのは危うい議論だと思いますので、この後、お二人の委員からある話に関連づければ、やはりストックベースで財政健全化の目標を立てるとしても、実物資産を入れるという話にするのは間違っているのではないかと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも。ほかにいかがでしょうか。黒川委員。

 

〔 黒川委員 〕 

 

先ほどの有価証券の時価評価と、年々の純資産残高の変動の要因というところで、このポイントの10ページを少しご覧いただきたいのですが、主として有価証券、金融商品については時価評価をしておりますので、資産評価差額が出ます。この資産評価差額が純資産、資産・負債の差額にも影響を与えていること、例えば外貨の為替換算差額と資産評価差額を見なくてはいけない。

 

 このポイントの10ページは、特に25年度の変動額と、過去10年間の変動額がどうだったのかということを示した数値でありまして、これを見ますと、特に為替換算、ここは先ほどから出ています外為特会のところですが、25年度は期末が104円くらいでしたかね。前年度の期末89円か90円くらいだったと思うので、1年間で15円程、この年度は変動したのです。

 

 そうしますと、会計上は換算差益が出る。円で測定しておりますので、数値が膨らむわけです。外貨で持っているものを円に換算しますから。そこで25年度は約17兆円、外為特会で換算差益が出た。ただし、それ以前の場合には、為替差損がいっぱい出ており,しかも毎年これらの評価差額も変動している。これが資産・負債差額の変動原因の一つになっている。先ほどのご質問に対する回答として言い忘れましたので、追加させていただきます。

 

 なお、外為特会で現在持っているものの含み益、含み損に関する情報を事務局の方で試算していただいているのですが、大体112円くらいかな。記憶違いでなければ112円くらいだと、現在持っているものの換算差損益はなさそうだと伺っております。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、いかがでしょうか。大宮委員。

 

〔 大宮委員 〕 国の財務諸表については随分データが新しいところで増えてきていると思いますが、地方を全部あわせたものはまだないのですよね。各県が出しているものも散見はされて、のぞいたことはあるのですが、それらはどこかで全体集約、特に有形固定資産は国だけではなく、地方も随分あるのではないかと思いますが、その辺はどうなのでしょうか。

 

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。その問題はやはり公会計部会でかねてより出ています。地方のほうの会計基準の整備、これは総務省が主としてやっているわけですが、先生もご存じのように、いろいろなやり方があって変遷もしてきた。ここに来て、データベースをきちんと作成しましょう、有形固定資産についてきちんと測定しましょうということになった。

 

 ですから、これは軽々に今この場でどうするのかということは言えませんが、一応、地方の数値としてかなり正確なものが出てきた段階で、合算ができる状況になったのかどうかを判断するのかなと。

 

 いずれにせよ、公会計部会としてはその問題については非常に認識しております。

 

 いずれにせよ、公会計部会としてはその問題については非常に認識しております。

 

〔 吉川分科会長 〕 それでは、大体予定の時間ですから、よろしいですか。次の議題に進みたいと思います。

 

 それでは、次に、富田委員より、「財政健全化〜これまでの取組と教訓〜」についてご説明をいただきます。お願いします。

 

〔 富田委員 〕 2020年度までに国・地方のPB黒字化を確実に達成するために何が必要か、この問題を検討するために、これまでの財政健全化に向けた取組を振り返ってみました。資料3をご参照ください。

 

 対象は、2ページの目次にありますように、1997年の財政構造改革法、骨太20062010年の財政運営戦略と中期財政フレーム、及び、2013年の中期財政計画の4つです。

 

 まず、これら4つの取組の見通し・計画値と実績とを対比してみました。4ページの図をご覧ください。取組の前提とされた名目GDPの見通しと実績とを対比しています。太い赤線で示された名目GDPの実績は500兆円を挟んで推移しており、これまでの取組の前提についていずれをも下回ってきました。高成長の前提だけではなく、慎重な低い経済見通しも実績は下回ってきました。

 

 財政構造改革法は199711月に成立したのですが、それに至るまでの長い期間、199310月から1997年5月まで景気は拡大を続けていました。また、2006年7月に閣議決定された骨太2006のときは、2002年1月から2008年2月まで景気は拡大をたどっておりました。こうした景気の拡大過程がその先も続くものと過信し、その姿を財政健全化への取組の前提としてきたのです。

 

 次の5ページをご覧ください。財政健全化の計画に描かれたPBの展望と赤い太線で示された実績との比較です。財政構造改革法は財政赤字対GDP比を3%以下に縮小することを目的としていましたので、右の6ページも同時にご覧ください。財政構造改革法は2003年度までに財政赤字対GDP比を3%以下にするという目標を掲げていましたが、計画初年度の98年度から逆に財政赤字は拡大に向かいました。

 

 左の5ページの図は、国・地方のPBの図で、骨太2006では計画初年度の07年度は計画通りの方向に向けてPB赤字は対GDP比1.7%から1.1%に縮小したのですが、以降は2011年度にPB黒字化を達成できるという高い経済前提のもとに推計していた青い太線、そして、低成長の赤い細線が示す方向とは逆に、急速にPB赤字が拡大していきました。そして、政権交代のあった2009年度には、国・地方のPB対GDP比は▲7.6%、右のページの財政赤字対GDP比は▲9.3%まで悪化いたしました。

 

 民主党政権下の2010年6月に策定された中期財政フレームはPB黒字化を目指したものでありました。実績は計画の方向には向かっていましたが、PB赤字は5ページの緑の太線が示す成長戦略シナリオと呼ばれた高成長、そして、慎重シナリオと呼ばれた低成長を前提とする計画が示すほどの改善をしませんでした。

 

 直近、本年2月の中長期の経済財政に関する内閣府試算が赤と青のドットで示されております。そこに想定されております歳出・歳入の水準では、2020年度国・地方のPB黒字化には青のドットのベースラインケース、そして、赤のドットの経済再生ケースであっても、それぞれ164,000億円、9兆4,000億円が不足することが示されております。

 

 2020年度までに国・地方のPB黒字化を確実に実現するために、このギャップをどのように計画的に埋めていくかが我々に問われているのだと思います。

 

 7ページをご覧ください。図は一般会計のPB対象経費の対GDP比についてです。これまでの財政健全化に向けた計画と実績との対比を示したものです。太い赤線で示されている歳出の実績は、過去3つの計画をいずれも大きく上回っています。これがいかなる原因によるものを、以下で検討していきたいと思います。

 

 この7ページの見通し通りであっては、先ほど申しましたように、164,000億円、9兆4,000億円、それぞれ、PBの黒字化には不足することになります。

 

 なお、8ページは一般会計税収の対GDP比の推移です。経済前提が楽観的であったこと、そして、財政健全化計画の策定時には想定されていなかった減税の実施により、リーマン・ショック後も税収を極度に悲観せざるを得なかった中期財政フレームを例外といたしまして、財政構造改革法、そして、骨太2006も税収実績は見通しに届いておりません。ご質問があれば、事務方から説明してもらってもよろしいのですが、これまでは歳出に見合う歳入を確保するという観点が欠如し、減税を行ってきたという点にも留意する必要がございます。

 

 10ページにお移りください。財政構造改革法は財政健全化に向けた取組について、我が国で初めて法律という手法を採用しております。そして、財政赤字対GDP比3%以下、特例公債脱却等の財政健全化目標を設定しました。この目標の実現に向けて、主要経費については向こう3年間、当初予算における量的縮減目標を定めました。さらに、目標達成のために、必要があるときは、さらなる歳出の改革と縮減を講ずると定めておりました。また、財政構造改革法における当面の目標、主要な経費ごとの量的縮減目標等を踏まえた「中期財政試算」が作成されました。そこには一般歳出を相当程度抑制しても、大きな「要調整額」、要対応額が残ることが明示されました。

 

 次の11ページには、当時描かれていた財政健全化のステップが示されております。まずは、現世代の受益が負担を上回る状況を早急に解消すべし、国債費を除く歳出を租税等の範囲内とすること、これはPBの黒字化を意味します。これを財政健全化の第一歩、第一段階として定めております。これは当時はまだPB赤字が赤字国債よりも小さかったということがあります。実際、消費税引き上げに向けた制度減税、先行減税の影響でPB赤字となった96年度を例外に、98年度まで一般会計はPB黒字は続いていました。しかし、99年度以降、一般会計PB赤字の拡大が続いてきています。

 

 目標として財政赤字の対GDP比3%以下、赤字国債脱却が並列的に定められたのは1975年度に赤字国債が発行されてから、その脱却が健全化の目標とされてきたこと、そして、ヨーロッパではマーストリヒト条約が調印され、そのもとで財政健全化が進んでおり、財政赤字対GDP比3%以下というフローの基準は国内でも受け入れられる環境にあったと考えられたことがあります。

 

 より基本的には、財政赤字を3%以下に抑制するには、赤字国債からの脱却とともに、公共事業の削減も必要なことがありました。そして、第3段階は債務残高をGDP比で割り、少なくとも絶対枠で上昇しないようにする。このため、国・地方を通じ、財政収支の均衡を図ることとされています。当時は国と地方の債務残高対GDP比が90%で、その安定的引下げに必要なPB黒字幅は今日ほど金利と成長率の影響を受けにくかったとはいえ、この比率の安定的な引下げを確実に行うために、債務残高を絶対枠で増やさないことが目指されたのです。

 

 こうした閣議決定がほぼそのまま12ページの法律となります。ただし、例外は、目標年度が、1997年3月18日に、2005年度から2003年度に前倒しされたことです。

 

 13ページは財政構造改革法に示されました当初予算、各分野の量的縮減目標です。3年にわたるシーリングを法律で定め、構造改革を促進しようとしたのです。資料にはつけませんでしたが、歳出、各分野に関わる長期計画の見直しも法に定めております。

 

 さらに、目標達成に向けた進捗管理についても、毎年度、国の一般会計について財政収支試算を作成し、目標達成のための「要調整額」を示すこととされていました。右の14ページをご覧ください。経済前提は3.5%と1.7%の2通りです。

 

 しかし、現実の成長率によって、目標年度の財政赤字の対GDP比は異なってきますので、3%以下という目標を余裕を持って達成するために、それを、資料にありますように、2.3%から2.4%の赤字におさまるように、一般歳出の伸びに応じた歳入面からの調整額が示されました。

 

 15ページをご覧ください。財革法についてのまとめです。財政健全化目標、その達成に向けた当初予算における各歳出分野の量的縮減目標、公共投資基本計画等の各種長期計画の見直し、及び、詳細な具体的方策が法律、それに先立つ閣議決定で盛り込まれたことは高く評価できます。

 

 しかし、目標年度までの期間が2005年度から2003年度に短縮された一方、アジア通貨危機、国内不良債権問題を背景に、財政構造改革法、この法律が公布された同じ月、19971217日に総理大臣が2兆円の特別減税を発表しまして、その後、これに見られますように、政策の一貫性に問題があったと言わざるを得ません。

 

 こうして財革法は98年5月に改正され、9812月に凍結されました。財革法は財政規律としての真価を発揮することなく、わずか1年という短命に終わりました。やはり名目3.5%という成長率の見通しはあまりにも楽観的であり、そうした期待感が政治の中に浸透していたことは問題だったと思われます。

 

 次は骨太2006についてです。17ページと18ページをご覧ください。

 

 2002年度にGDP比5.6%の赤字であった国・地方のPBが健全化努力によりまして大幅に改善し、2005年度に2.7%と半減してきたので、骨太2006でこの勢いを持続させ、2010年代初頭までにPBを黒字化させ、以降、債務残高対GDP比を安定的に引き下げるという健全化目標が設定されました。

 

 その達成に向けて、「要対応額」、つまり、歳出削減、または歳入増が必要な額について、目標年度の2011年度時点で16.5兆円、このうち11.4兆円から14.3兆円については徹底した歳出改革で、残りは歳入改革で対応するという枠組みが構築されました。

 

 歳出改革については、過去5年間の改革実績も踏まえながら、分野別に歳出削減の数値目標が設定されました。19ページにそれが掲載してございます。例えば社会保障について、2006年度、国・地方をあわせて31.1兆円の歳出規模でありますが、自然体でいきますと、制度がそのまま持続いたしますと、2011年度39.9兆円に拡大する。そこで1.6兆円、このうち国分は1.1兆円削減して、2011年度の歳出を38.3兆円にする。これを2007年度から11年度までの5年間で行うので、国は年間2,200億円の削減を行うことが示されております。

 

 その方法としては、20ページに示されます医療、介護、雇用、生活保護の見直しを行うとしておりました。このルーティーン的とも言える見直しが中心でありまして、構造改革としては具体性を欠いた内容にとどまっていたと思われます。

 

 また、左の19ページにお戻りいただいて、人件費につきましては国家公務員の定員削減、それと同程度の地方公務員定員削減を行うことを含めまして、国・地方あわせて2.6兆円の抑制を行うとしております。公共投資は地方単独事業にも削減目標が決められました。

 

 22ページにお移りください。これらの削減目標がどのように具体化されたかを示しております。一番上に社会保障がございますが、形式的には概算要求額は各年度2,200億円削減されております。しかし、それが長期的に削減効果を持つ構造改革であるとは言えないものが散見されます。例えば2008年度の被用者保険による政管健保支援は法律が成立せず、歳出削減は未達となりました。また、2009年度には道路特定財源の一般財源化や、年金特会に設置された健保支援のための基金精算後の剰余金という他会計からの繰入れを社会保障に使途を拡大したことは一時的な財源確保であって歳出抑制ではありません。

 

 25ページが骨太2006のまとめです。財政健全化目標の達成に向け、分野別に歳出削減の数値目標を明示したのですが、特に社会保障分野ではそれを達成するための具体的方策がなく、実効性に欠けていたのではないでしょうか。2,200億円という歳出削減が、要求省に財政構造改革を促すという効果を生まず、その形式的な達成のみが優先されてしまったように思われます。

 

 一方、地方財政については先にも資料が出ておりますが、人件費など、個別歳出にかかる規律が設けられたというのは評価できます。歳出改革期間を5年間と長めに設定したことにより、具体的方策の実現に不確実性が伴うとともに、社会経済情勢の変動に対しても脆弱であったと言えます。

 

 具体的に指摘しますと、景気がよくて税収が拡大した計画初年度の2007年度当初予算では、税収見通しの増加により、「要対応額」が16.5兆円から13兆円に縮減できたとして、一時的なボーナスにもかかわらず、歳入改革の必要性についての検討が排除されてしまいました。しかし、その後、2008年秋のリーマン・ショックによる著しい景気後退で、2009年6月23日閣議決定で、今後10年以内に、国・地方のPB黒字化の確実な達成を目指すと、達成年度は大きく後ろ倒しされてしまいました。

 

 27ページにお移りください。2009年9月に成立した民主党政権の財政健全化への取組についてです。財政運営戦略と中期財政フレームが、2010年6月22日に閣議決定されました。その内容は基本的に同年3月に自民党が提出した「財政健全化責任法」、これに取り組みまして、政権交代前のPB黒字化というフロー目標、及び、債務残高対GDP比の安定的な引下げというストック目標を継続したものと言えます。

 

 財政健全化目標は、国・地方のPBについて、2015年度までにその赤字の対GDP比を2010年度の水準から半減し、2020年度までに黒字化すること。さらに、2021年度以降において、国・地方の公債等残高の対GDP比を安定的に低下させることです。この目標達成に向け、中期財政フレームが決められました。

 

 次の29ページをご覧ください。財源確保義務など財政運営の基本ルールの内容が示されております。右側、30ページの中期財政フレームでありますが、国の一般会計につきまして、向こう3年間を対象に、「基礎的財政収支対象経費」の上限を設定しました。これは「歳出の大枠」と呼ばれております。その規模は、2010年度当初予算を上回らないということで71兆円とされました。同時に、新規国債発行額については、2009年度第1次補正後予算の約44兆円を上回らないことと設定されました。2011年3月に発生した東日本大震災の復旧、復興にかかる経費などは歳出の大枠から外されております。

 

 歳入面の取組として、財政健全化目標の達成に向けて、必要な歳入を確保し、年金、医療、及び介護の給付等の施策に要する社会保障関係費のような構造的増加要因のある経費に対しては、安定的な財源を確保するとしました。

 

 この中期財政運営戦略・中期フレームのまとめですが、31ページをご覧ください。国の一般会計、基礎的財政収支対象経費について、71兆円という「歳出の大枠」を維持するという規律が設けられたのですが、各歳出分野について削減目標がありません。「歳出の大枠」を達成するために、事業仕分けにより、主として社会保障以外について切り込みが行われました。PB対象経費71兆円、新規国債発行額44兆円以下という国の一般会計の表面的な規律ばかりが重視され、国・地方を通じた歳出抑制が進んだとは言えません。

 

 例えば地方交付税は入口では抑制、つまり国のPB対象経費に入るからですが、出口では増えております。また、子ども手当等の国・地方負担割合も同様の趣旨で変更されました。

 

 その一方で、社会保障分野が聖域視されたことがこの表からもうかがえます。自然増についての推移を示した表でございますが、2010年度から2012年度の自然増が1兆円を超えております。自然増とは何か。昨年暮れの同審議会の建議におきまして、自然増の再定義に至った背景がここにもあろうかと思います。

 

 また、地方財政について、骨太2006に比べると、人件費、地方単独事業など、個別歳出への踏み込みはなされておりません。事業仕分けで地方財政計画の過大計上が強く指摘されていたわけですが、59兆円と過去最高水準となりました2010年度の地方一般財源総額を下回らないように、実質的に同水準を確保するということにとどまりました。

 

 次は、2013年8月8日に閣議了解されました中期財政計画についてです。その主な内容は33ページ、その2番目にありますように、2015年度までに国・地方のPB赤字対GDP比半減目標を達成するため、その赤字の大宗を占めます国の一般会計に着目し、それを2014年度と15年度で各々4兆円ずつ改善するという目標を設定しております。地方財政については引き続き、一般財源総額で管理するという手法を採用しております。

 

 35ページにお移りください。この中期財政計画の国・地方のPB赤字対GDP比半減という目標に対して、一般会計の基礎的財政収支を4兆円ずつ改善という取組の方針は、半減目標は当初予算段階でかろうじて達成できたと推計されるとはいえ、大雑把過ぎたのではないかと思われます。各分野の歳出総額や、それを達成するための具体的方策が示されるべきだったのではないか。PB収支だけを目標にするということは景気の一時的な拡大による歳入増が歳出をもたらすなど、歳入の見込み次第で歳出水準が大きな影響を受けるという問題をはらんでおります。地方財政については危機対応モードから平時モードへの切りかえを進めるとしていますが、個別歳出の切り込みへの言及がなく、過去最高水準となった平成22年度の地方一般財源総額が引き続き継続されております。

 

 新しい財政計画の策定に向けて、これまでの財政健全化に向けた取組に何が足りなかったかといった教訓をまとめてみました。37ページをご覧ください。

 

 かつての財政構造改革法や健全化目標を法定している諸外国の例を踏まえますと、閣議決定等による財政健全化目標の堅持についての政府のクレディブルなコミットメントが必要です。つまり、口先だけではないということについての明確なコミットメントが必要だということです。

 

 経済や財政についての見通しについても現実的なものが必要です。内閣府試算の「ベースラインケース」における目標年度、2011年度で、このままでは164,000億円不足するという見通しに対しまして、経済再生による収支改善を図ることに加え、景気変動に大きく左右されることなく、余裕を持ってPB黒字化を達成できるよう、徹底した歳出改革を行うべきです。

 

 徹底した歳出改革を行うため、国・地方のそれぞれにおいて社会保障をはじめとする各歳出分野に規律となる指標を設定し、その達成手段としての具体的構造改革や個別の具体的方策を盛り込むことも必要です。

 

 地方については現在の地方一般財源総額は、その水準が高過ぎることに加えまして、今後、公債費の自然減が見込めます。従来の同水準という規律ではPBの増加を許容することになってしまいます。そのため、人件費・地方単独事業といった個別の歳出項目に規律を設けることが必要です。

 

 景気の循環を考慮いたしますと、2020年度までの5カ年にわたる改革の工程を一括管理するということは現実的ではないように思われます。当面は向こう3年間についての現実的な改革工程を策定してはどうでしょうか。その上で、PBの黒字化に向けた進捗管理について毎年度レビューし、追加的な歳出改革とその後の対応を検討することが必要です。

 

 なお、3940ページには事務局にまとめていただきました重要なデータが一覧できる大変便利な表がございます。

 

 以上でございます。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 では、早速、質疑に移りたいと思います。どなたからでも。井堀委員。

 

〔 井堀委員 〕 非常に有益で包括的で、かつ、内容のある説明、ありがとうございました。

 

最初の4ページの見通しと実績の名目GDPの図は非常に印象的なのです。3回の財政健全化への取組のときに、いずれもそのGDPの伸びが下のほうに下がっている。97年のときは通貨危機で2008年がリーマン・ショックですよね。その次は東日本大震災。

 

 その財政構造改革をやろうとすると、何か大きなマイナスのショックが起きて、結果としてうまくなってないというのは、偶然なのかどうなのかという点なのです。もちろん外生的に起きているという面はあるのでしょうが、例えば要するに景気がいいときに財政改革を進めようとするので、景気がその後、どうしても反転するので、結果として、その景気の悪いときに財政構造改革的なものをやってしまうという、そのような側面もあると思うのです。もう一つは、やはり財政改革というのはその歳出の削減と増税なので、それは短期的にマクロ経済に悪い影響を与えると、あるいは、心理的に企業・家計にとって増税や歳出削減ということで身構えてしまって、歳出が減って景気にマイナスになる面もあると思うのです。そのあたりの、こういった改革を進めるときに、マクロ経済に与えるマイナスの影響をどのくらい考えたほうがいいのか。

 

 これは今後改革する上で非常に重要な点です。もちろん非ケインズ効果があれば逆に働くことはもちろん論理的にはあるのですが、実際問題として、所得税の増税等があれば、短期的な消費が冷え込むことはあり得る話なので、そのあたりのマクロ経済に与えるマイナスの影響をどのように考えるか。

 

 それから、もう一つは、仮にそうではなくて、リーマン・ショックや通貨危機のような、外生的にマクロにマイナスのショックがあったときにそれに対してどの程度柔軟性を持って財政構造改革を進めるのかは非常に大きな問題です。ヨーロッパの場合もマーストリヒト条約での財政規律にいろいろなショックへの対応が検討されて短期的に柔軟性をもたせるように動いています。そこをあまり入れ過ぎると、コミットメントの面で問題も出てくるという、そこが非常に難しい点なのです。それについて、富田委員、お考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、富田委員、お願いします。

 

〔 富田委員 〕 ありがとうございます。まず、財政構造改革なり、財政健全化を進めようとしたから景気が悪くなったというよりも、むしろ、先ほど言われたように、景気がいいときに、それを政治のリーダーシップはさらに前向きにやろうということが柔軟な対応を阻む大きな要因になったのではないかと思うのです。我が国経済は、当然世界経済の中にあるわけでして、影響を受けるのは我が国の財政だけではなく、もっと大きな世界経済全体の大きなうねりの中にあるわけです。

 

 それと、景気は循環するものだということをどこまで認識できるかという、これはビジネスサイクルなので循環するのが当たり前なのですが、そのことがやはり明確に認識できることが大事だと思います。ですから、4ページにございますように、過去のトレンドよりも高い成長、瞬間風速を過信してしまうということが得てしてあったかと思います。

 

 したがって、そのような脈略で考えれば、財政健全化によって極めて短期的には需要の減少という悪循環があっても、長期的にはより安定した姿が描けると。だから、我が国経済は世界経済の中にあることを考えないといけないということが第1です。

 

 それから、骨太2006のときのことを考えると、これは内閣府の見通しで、内閣府ができて、諮問会議でいろいろ議論されてできた計画なのですが、ここにありますように、成長率のギャップも大きいし、基礎的財政収支も計画と実績が大きく違います。

 

 これは先ほどご指摘があったようにリーマン・ショックなのですが、実はリーマン・ショックも極めて遠因に過ぎないという指摘もあります。当時、日本は超金融緩和をやっていまして、円キャリートレードが活発に行われて、そのお金でアメリカにおけるサブプライムローン問題を拡大させ、その過程でアメリカの景気が非常によくなったものですから、日本からどんどん輸出が増えて、高成長が長い期間、謳歌できたと。だから、2002年から2008年まで非常に長い景気拡大があったわけです。それがずっと続く、あるいは、それ以上に拡大するのだという見通しをつくってしまった。

 

 だから、やはり景気というのはずっと拡大するのではなく、満つれば欠けていくのだということを大前提で考えないとだめだと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。私は司会ですが、井堀委員のご質問について、一言だけ発言したいと思います。井堀委員から、アジアの通貨危機、リーマン・ショック、東日本大震災、3つ挙がったと思うのですが、この3つは確かに日本経済にとって、外政的だったと考えていいと思いますが、最初の時期については、アジアの通貨危機もさることながら、やはり不良債権問題、金融危機が結局一番大きかったのではないかと思っています。9798年の時期ですね。ですから、この時期は財政再建は非常に重要な課題で当時でも既にあったわけですが、政策全体、マクロの経済政策としては手順の問題があったと私は思います。

 

 ただ、指摘したいことは、当時、まだ不良債権問題が完全には片づいてなかった、97年ですが、それに対応する大きなリスクが現在は財政赤字の問題ではないかということです。それが我々の審議会にとっても重要なテーマになっている所以だということです。そのように私自身は考えているということを一言指摘したいと思います。

 

 それはそれとして、ほかのどなたからでも。板垣委員、お願いいたします。

 

〔 板垣委員 〕 大変有意義な総括の仕方で、私も同様な認識を持っております。

 

 私なりのまた別の観点から言いますと、まず、このグラフの中にないポイントとしてはバブルの崩壊があったと思います。これは外政的というよりは、内政的な政策の問題であったと私は認識しております。タイミングの問題、それから、税の問題、いろいろなことがありました。そこは長く話すと大変なことになるのでやめますが、それ以外は外政的な問題だと私も認識しています。

 

 ただ、外政的な要因で日本国内の経済が混乱した場合に、私がずっと見てきている中では、財政面においても、金融面においても、必要以上のことをやってきたのではないかという気がします。私が今の政策に対して若干の懸念があるのはそのような点です。

 

 例えば2000年代から2006年までの間、円キャリー取引と先ほどおっしゃいましたが、まさにこのときは、円安政策をとっていた時期でもあったと思います。そのようなこともあって、政策的にあまり過度に長期間やってしまうことがいろいろな弊害を生んできた歴史でもあるなという感想を持ちました。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 

 永易さん、どうぞ。

 

〔 永易委員 〕 大変貴重なお話、どうもありがとうございました。大変勉強にもなるし、我々も反省しないといけないという要素を多々含んでいるという感じがいたします。

 

 お話を聞いていて、政府が当時は本気で対応しようとされたのであろうが、結果としてはどれ一つとしてうまくいっていないという歴史であるということ。そこを踏まえて、2015年をスタートとして、我々は2020年に向かってどうするのかを議論していく場であることから、1つは、いろいろな要素が起こるから、これをやれば絶対できるということはないと思うのですが、前のヨーロッパのお話、去年もお聞きしました。法律がいいのか、ガイドラインがいいのかわかりませんが、ほんとうは法律で覚悟を示し、それに実効性を担保する仕組みがやはり必要なのではないか。これは経済同友会さんからのご提案にはありましたよね。

 

 そのような機構をつくって、毎年、ローリングしていくのはいいのですが、どうしてもそこは安易に流れる。そのとき、そのときの状況次第で、もっと優先順位の高いものが出たら、当然そっちのほうに振れますので、客観的に当初の案がこうだと、その時点の評価で、今後どうするのか、5年でも3年でもいいですが、1年1年をちゃんとチェックしながらローリングしていく。それを実効性を担保するようなほんとは第三者機関がいいのでしょうね。政府となりますと、どうしても政治のTPOに流されますので、そのようなことがどうしても必要なのではないかという印象を強く持っているというのが1点です。

 

 もう一点は、富田先生が言われるところで、例えば37ページの矢羽根の4つ目、ここに自然減という言葉があります。去年から一貫して社会保障との一体改革という観点が主体でありましたし、同友会さんとか経団連さんの話を聞いても、一応、成長路線のもとでここに切り込んで、足りないと。足りない分を何とか消費税率引上げかどうか知りませんが、税的な手当てをすべきであるというのが主体だったと思いますが、客観的な情勢として、消費税率引上げが延期されて、2020年というのを考えた場合に、ギブアップするというわけではありませんが、客観情勢は非常に厳しいであろうというのは、皆さん、おわかりになるとおりだと思います。

 

 であるからというわけではないのですが、やはり自然減という考え方、ないしは、パーヘッドで実質を維持する。やはりこの5年間はどんなことをやっても人口は減っていくわけですから、そのような論点が入らないのかな。やはり実質で、例えば2%を前提としますと、それをフラットで置けば、パーヘッドでは公共のコストは上がっていくとなりますよね。そのような考え方が何とか入らないのかと。ちゃんとやれば、長大なものが出てくるのではないかと。そのような考え方をぜひ入れて、つまり、社会保障だけではなくて、国・地方だけではなくて、国の一般経費もそのような論点をぜひ入れるべきではないかと感じております。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 では、角委員、佐藤委員、赤井委員、土居委員ですかね。

 

〔 角委員 〕 先ほど、吉川先生、まさにおっしゃったように、97年は4月に消費税が上がりまして、それからデフレが始まったという話がよく言われましたが、まさに不良債権問題が引き起こしたと思います。

 

 91年前後にバブルが崩壊した後、やはり民間企業は、株価も地価もおかしいが、まだ神話が残っていて、もとに戻るのではないかという経営者としては淡い期待を持ったし、どうしても経営責任を明確にすることは躊躇しがちな、当時、まだガバナンスがそこまで効いてなかった部分もあろうかと思いますが、それで、ようやく97年からあの金融クラッシュが起きて、それ以降、各民間企業がバブルの処理をしたと。ですから、あれがバブルの処理のおそらくスタートと言っていいと思います。それに5、6年を要したのではないかと思います。

 

 まさにこの97年問題はみずから引き起こした問題だと思いますので、それを考えますと、今、景気がそこそこ、新興国の経済成長が多少鈍化するにしても、あるいは、原油の問題があるにしても、まだここしばらくは何とか今のトレンドが続くのではないかという期待を持っておりますが、そういった中で、景気がそこそこで、かつ、長期金利がこれほど低いという、このような時期は過去にあまり例がないと思います。

 

 ですから、この残された最後のチャンスで、いかに財政規律を回復していくか、先般、吉川先生の日経新聞の対談も読ませていただきましたが、もうラストチャンスだと思いますので、まさに富田先生がおっしゃるように、この3年計画、要するに2017年に消費税率を引き上げた、その年の数字をしっかりと出していただいて、そこからの20年は、我々は誰もが無理だと思っておりますが、それがまだ今の段階ではなかなか言いにくいということであるならば、3年計画がどうなのかというところをしっかり出して、それをいかに回復傾向に持っていくかを具体的に出していただければありがたいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうも。佐藤委員。

 

〔 佐藤委員 〕 財政健全化を、それ単独で実現することも、あるいは、継続することもかなり困難で、それとあわせて何をするかという補完的な制度改革がやはり求められると思います。

 

 具体的には、例えば先程、井堀委員からもお話がありましたように、増税したり歳出カットをすれば、当然のことながら、短期的とはいえ、経済に対してマイナス影響ですから、それをどう緩和するかという政策が必要で、特にこの間、消費税率を引き上げたときに、やはり思いのほか落ち込んでいるのは、思った以上に日本経済の足腰がまだ弱いというところが否めなかったと思います。

 

 だとすれば、その足腰を強化する政策、例えば、ある種、規制緩和も含めた形で、地域経済をどのように成長軌道に乗せていくのかとかという、そのようなある種の経済政策がやはり求められるし、先程PPPの話、例えば同じ財政再建の枠の中でも、今ある資源を、国の資産をどのように有効活用していくかという、そのような視点がやはり経済政策としなくてはいけないし、当然、増税である歳出カットは低所得者にしわ寄せが来ますので、財政再建をやって格差が拡大したら、政治的に持続、財政再建を続けられませんので、一方では社会政策として低所得者に対してどのような措置をするかが求められてきて、それは簡易な給付措置だけでは十分ではなかったということだと思います。

 

 その新たな低所得者対策として、低所得者に対して、ちゃんとした目配りができるかという、そのような社会政策をちゃんと補完していくという。何か財政再建というと、そればかり見てしまいますが、その周辺にある制度改革もあわせて実行しないとなかなかうまくはいかないと思いました。

 

〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。私のほうからは2点、政府のコミットメントと地方財政について述べたいと思います。

 

 政府のコミットメントが重要だというのは間違いない話で皆さんも同意されると思うのですが、いかにそれを実現するかということが大事です。で、前回の消費税率引上げの延期においても、この政治と選挙、その裏にある国民の理解がものすごい影響を与えていると思います。前回の選挙でも、増税を延期するほうが選挙で通りやすいだろうということもあって、結局政党が横並びになりました。これを踏まえて考えてみると、国民が意識を改革して、その財政再建が将来の安心感とか安定感、さらに、長期的視野を持って国民が財政について考えられるような教育を、この財務省ももちろん、政治の場でもしていくことが長期的にはその政府のコミットメントにつながるのではないかと思います。

 

 それから、37ページの4つ目のところにある地方についてです。私が地方財政を研究していて、その臨時財政対策債がものすごく膨らんできているから大変だというのを言い続けて、マスコミの人もそうだなということで興味を持っていただいていたのですが、今回、所得税増税ということもあり、臨財債の発行額が減り、その累積されている蓄積のスピードも減ったということで、私から見ると、もっと減らせるところを少し減った状態に終わってしまったということで、まだまだ改革が甘いのではないかと思うのですが、世間的には、伸びていたスピードが減ると、もうその問題はあまり議論しなくていいのではないかという風潮にマスコミ的にもなってしまったりするので、実際もっとできたのにしなかったとか、そのようなことも増税の裏ではあるので、注意したほうがいいと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 土居さん、武田さん、どうぞ。

 

〔 土居委員 〕 ありがとうございます。非常に重要な論点が幾つか出ていると思うのですが、まず、赤井委員も指摘されましたが、政府のコミットメントは非常に大事だと思います。一旦定めたものを朝令暮改しないことをいかに内外ともに信頼できるものにするかという取組が欠かせないと思います。

 

 それから、2点目は、井堀委員が指摘されて、吉川会長もお答えになられましたが、外的ショックの件ですが、日本は結局のところ、財政健全化に向けた計画を立てつつも、その直後に外的ショックで大きな不況に陥るということでありましたが、ほかの国と違って、財政危機には陥らなかったということだと思います。

 

 つまり、金利が急騰するということには、この97年も2008年、9年も2011年も、そのような事態には直面してなかった。財政収支は悪化しているが、財政運営上重大な支障を来すということにならなかったので、あたかも財政健全化計画を一旦店じまいにしたからといって、どうということはないと錯覚されているところがあるのではないかと思います。

 

 スウェーデン、カナダ、ポルトガルなどは、そのような外的ショックを受けた後に、もちろん経済危機にも陥るのですが、金利の急騰などに直面して、結局のところ、財政難に陥ると、財務のやり繰りすら大変になると、国債の発行すらままならなくなるという心配が出てくるぐらいになったので、真剣な財政再建をしたという過去の歴史があると思います。

 

 そこが違うというところであぐらをかいているというか、日本はそうでなかったから助かったというか、今までは助かったが、今後も助かり続けるというわけでは決してないというのはまさに吉川会長がおっしゃったとおりで、今の重大な危機は財政危機だと思います。

 

 そのような意味では、外的ショックがあったから、そのときには財政再建を一時中断してもさほど心配することはないというのも非常に心もとないことであるので、前も申しましたように、やはりコミットメントが大事だと思います。

 

 それから、これからの我が国の財政健全化の上では社会保障の改革が必要で、今後、全く外的ショックがないとは思えませんが、何らかの外的ショックでかなり重大な経済に支障を来すような状況が日本経済において起こったとしても、社会保障の制度改革は欠かしてはいけないと、短期的に景気が落ち込むようなことがあったとしても、医療や介護の中で過剰な給付、過剰投薬とか過保護なケアが行われているとか、そのようなことがあったら、社会保障の持続可能性に重大な支障を来すと思いますので、社会保障については不断の見直しが必要で、景気が落ち込んだとしても、過剰投薬を許していいのかとか、頻回受診を許していいのかとか、そのようなのは当然あると思います。

 

 ですから、社会保障の改革は、景気の良し悪しよしあしに関わらず、着々と進めていくことを通じて、財政健全化にも貢献すると、社会保障の質の向上にも貢献すると、このようなところはあるので、外的ショックと関係なく、社会保障改革をするべきものはするべきだと思います。

 

 最後に、私もこの審議会の場で過去にも何度も申し上げておりますが、富田先生がご指摘のように、地方財政の中では、地方一般財源の総額確保という呪縛に今までとらわれていたと。これによって守られるものも守られたとは思いますが、今後のフェーズでは、地方一般財源の総額確保は枠を一旦外して、きちんと地方財政の改革を促す取組に導くと。

 

 それとともに、先ほどご紹介があったように、2月の内閣府の中長期試算では、確かに地方の収支は改善するという試算になっていますが、聞くところによると、収支が改善したことによって得た財源は、地方の債務を返済するものと仮定して、9.4兆円とか16.4兆円という2020年度の国・地方PBの赤字という計算になっていると聞いております。

 

 そのようなことになりますと、しっかりと収支の改善は債務の返済に地方自治体も充てていただかないと、この内閣府の数字ですら絵に描いた餅になってしまうということですので、そのような地方の財政収支の改善が地方の債務の返済にきちんと充てられたり、ないしは、国・地方あわせた収支の改善につながるものにする取組が必要だと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、武田委員、老川委員。

 

〔 武田委員 〕 ありがとうございます。本日の富田委員のご報告でございますが、非常に包括的で、わかりやすく、示唆に富む内容であり、大変勉強になりました。どうもありがとうございました。

 

 1点質問させていただきたいのですが、37ページに、新たな財政計画に向けて、幾つか富田委員のお考えが述べられていて、全体として参考できる部分が多いわけですが、1点質問させていただきたいのは、「規律となる指標」をどう考えたらいいか、どう設定すればよいか、富田委員のお考えを伺えればと思います。

 

 全体の数字を設定しましても、なかなか実現が難しいという現実もあろうかと思います。したがって、その実効性を確保するために、具体的な個別政策から考えて、足りない部分を他の歳出削減として一律発動するというアプローチもあろうかと思いますし、一方で、11つ分野別にこちらに書かれているとおり、歳出目標を設定して、それに合わせてやるべきことを考えていくアプローチもあり、どちらがより実効性があるとお考えなのか、富田委員のお考えをお伺いできればと思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 富田委員、お願いいたします。

 

〔 富田委員 〕 ここで「規律となる指標」と書いておりますのは、新しくこのような用語で表現したらいいかと思ったのですが、これまでの財政健全化計画を振り返ってみますと、やはり一番ルーズだったのは、その規模だけとか、あるいは、直近の収支だけといったものだったのです。

 

 そうではなく、分野別、国・地方別といった形のものがより具体的なのです。これまでのいろいろな資料を見ていますと、閣議決定されたものや法律で決まったものというのは確実に実行されています。ただ、明確に閣議決定で書かれないと、一番弱い方向のものしか実現されないということがあります。閣議決定する際にも具体的に改革の内容まで踏み込んで書いていく必要があるのだろうと思います。

 

 そのような意味で、歳出主要分野別、国・地方別というのが一番規律ある指標としてはいいのではないか、3年間ぐらいの具体的なシーリングをかけることができればいいのではないかということです。

 

〔 吉川分科会長 〕 では、老川委員。

 

〔 老川委員 〕 今日はいろいろ貴重な資料、それから、ご説明、ありがとうございました。大変勉強になりました。また、各委員のご指摘も大体共感できる部分が多くて、大事なことをおっしゃっていただいているなと思います。また、やはり政治の場における行動がいかに大事かというのもほんとにそのとおりで、いくら法律で決めても、前の財革法がそうですが、改正されて凍結されると、それは緊急事態とか、いろいろ状況がありますから、変化があるにしても、法律でいくらがんじがらめに縛っても、物事がスムーズにいくわけでもないし、また、逆にそれが政争の具に使われるというこのような危険もありますので、どのような方法で縛っていくのがいいのかはまた別な問題だと思いますが、いずれにしても、その政治の場の対応は大事だということはそのとおりだと思います。

 

 特に景気がちょっとでもよくなってくると、すぐまたそれに伴って歳出圧力が強まるということで、本来であれば、財政再建に振り向けられるべき税収増が歳出のほうに回ってしまって、借金は積み上がっていくばかりと、このようになる。ここはやはり十分戒めていくべきだと思います。

 

 それから、また、同時に、歳出削減をほんとうに具体的に切り込んでやっていかなければならない。その場合、社会保障の分野が一番大きいというのは私もそのとおりだと思います。

 

 ただ、問題は、それを給付の削減とか、これもものによっては当然必要になってくるでしょうが、大事なことは、給付水準の引き下げとか歳出削減など、お金を減らすだけの話と考えてしまうと、非常に国民の理解も得にくい。もちろん、それも必要なものをやっていかなければならないが、医療の場合であれば予防医学ですね。いろいろデータを活用して歳出を減らすことに成功している自治体もかなりあるのです。しかし、そのようなものが実際にはあまり知られていなかったり、あるいは、ほかの地域でやろうと思っても、その地域に関連した、業界という言葉を使っていいのかどうかわかりませんが、その関係者の利害があってなかなか実行に移せないと、このような現状があるのですね。

 

 ですから、政治の場の姿勢の問題だけではなくて、民間の部分、関係分野におけるいろいろな利害関係者、このようなものの意識も相当変えてもらわないと、なかなか給付を切り詰めるというだけでは済まない話だと思うので、民間団体の利害関係者にも目を配った、しかも、実行可能な方法を積極的にPRしていく必要があると思うのです。

 

 これは単に国の財政の問題だけではありません。今、いわゆる民間の企業の健康保険組合のお金は高齢者のほうに相当拠出されていて苦しい状態にあります。しかし、予防医学によって医療費が減れば、そのような拠出も減ってくるわけだし、経済界にとっても非常に有効な方法だと思いますので、そのような方法があるのだということをやはりはっきり具体的に示して、関係団体がそろって対応できるような、そのような努力をやっていく必要があるのではないのかなと感じています。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございます。その点は私も全く同感です。おっしゃった医療については、いわゆる医療の提供体制というのですか、その改革なくして、社会保障全体の将来はないといいましょうか。そうした意味で、都道府県が主体となって、医療の計画がつくられることになっていますよね。そのような点も大変大事なのではないかなと私は思っております。意見を言わせていただきましたが。

 

 お待たせしました。竹中委員、お願いします。

 

〔 竹中委員 〕 富田さん、ありがとうございます。私も民主党政権のときの3年間を除いて、合計すると10年以上、財審にかかわらせていただいているのですが、ほんとに、私がずっと言い続けているのは、財審がもう頑固おやじでおらな、しゃあないと。もう何があろうが、財審が頑固おやじで踏ん張らへんかったら、もうあかんでというのをいつも言わせていただいているのですが、一生懸命踏ん張るのですが、やはり、政治家の方、おられるのに申しわけないのですが、有権者というか一般の住民は出すのが少なくて給付が多いほうがありがたいのはこれは常識というか、そのような感覚で、どうしてもやはり有権者の方がバックにおられて政治家がおられるので、なかなかその厳しいところを全く一番厳しい意見と一緒になって言うということはできにくいというのは理解はするのですが。

 

 しかし、やはりこの状況を見て、財審、あるいは、財務省以外にも頑固おやじで一緒にいてくれる人をどうやって増やすのかが、こう見てて、すごい思いますね。毎回厳しいことを言って、ちょっと甘い試算のほうに流れ、もう今のほんとにこの今回の富田さん、ようまとめてくれはりましたわ。ものすごくその流れが、厳しいのが見えたのではなくて、節目、節目のところでやっぱり油断というか、してしまった、結果、そう流れてしまった自分も含めてなのですが、というような思いも込めて。

 

 特に、私たちがやっている活動でいうと、一番働きにくい人でも働けるような政策、タックスペイヤーになれるような政策というのもずっと言い続けて自分たちの活動もやってきているのですが、その分野でもやはりなかなか、ほんとに国民の中に眠っている底力を引き出すという、タックスペイヤーを増やすという活動よりも、まだやはり社会保障という名目の中でどう出すかという話のほうが、ついつい優先されてくるという根幹のところが、どのようにこれから変えていくことができるのかなと。まして、今、南海トラフとかもいろいろ言われていますが、次に、このような状態の中で、大きな何かそのようなことが起きたときに対応できるのかという怖さも感じつつ、今日の議論を、皆さん、同じような思いだと思いますが、拝聴してましたということで、意見です。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。では、岡本委員。

 

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。国際公約で見た場合に、世界から一回り、二回りおくれているようなこのPBという日本特有のこの基準で、これすら達成できないということがあるのですが、経済同友会でもこの前もここでも発表しましたが、これ、おろさないとどのような状況になるのかということでご説明したわけですね。三位一体だということで、GDPがほんとに実現できるかどうかわかりませんが、3%、ずっと持っていくと。こんなの、無理だろうという話、いくらでもあるのだが、3%に持っていかないといけないと。それだけでも達成できないと。それで、社会保障が5,000億円だと、所得税がその時点で13%で、17%に持っていくと。このことがPBをやるということだと言ったわけです。

 

 現実には、GDPも海外展開でほとんど企業が稼ぐという状況のときに、2020年で600兆円、その先だと800兆円と。このような数値を置いて、それでも目をつぶって、ここはそのように置いていくかと。それであっても、社会保障も消費税もやらないといけないのですよ。

 

 今度、消費税についてはどうかというと、2020年までは上げないかもしれないということで、ここも塞がれてしまうと。どんどん、どんどん外堀を埋められて、社会保障もということで、5,000億円というのはもうこれは大変なことだが、ほかが全部埋められたら、もっとやらないと、PBが実現できないと。ところが、この社会保障についても、給付を何としても切り詰めなければいけないというのが現状だと思うのだが、これもいろいろな状況を見て配慮してどうとか言ったら、これもほんとにほとんどできないだろうという感じが私はしましてね。

 

 そうすると、PBをおろさないのは私どももほんとに世界からおくれているので、おろさないのだが、次にどのようにそれを実現していくのかは、まず、その土俵づくりというか、これを明瞭にしてこの議論はやっていかないと、全体をつかみながら、どのように押さえていくかをやっていかないといけないと思うし、それについての合意をつくり上げていく努力をしなければならないと私は思います。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。南場委員。

 

〔 南場委員 〕 ほぼ重要な論点がほかの委員から出尽くしているとは思うのですが、このように過去の取組についてまとめていただくと、規律ある、ガバナンスのある民間企業とのギャップというのは責任の明確化の部分ではないのかなと感じました。

 

 また、経済の見通しの甘さと財政健全化目標の未達について、全て外的ショックということで曖昧な形にしてはいけなくて、どのような状況が起こったとしても、結果責任をしっかりととるという体制が強く求められると、民間企業としては感じます。

 

 それがないと、今後また、4回目、5回目と同じ議論が繰り返されてしまうのではないか。逆の言い方をすれば、今度はうまくいくと信じる根拠は何かと言いたくなってしまうので、次元の違う責任の明確化や信賞必罰をあらかじめ明確にして取り組みたいと考えております。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。では、倉重委員。

 

〔 倉重委員 〕 私も1990年代の財政構造改革法を思い出しまして、今思えばよくできたなと。ただ、あのときは、バブル崩壊後しばらくたって、何となく経済が落ち着いて、当時の橋本政権がよく頑張ってつくったと思うのですが、政治が全てそちらの方向に向かった。あのときの首相経験者とか有力者たちが、永田町の場でそのような運動を起こして、当然のことながら、それは当時の財務省が事務局として動かしたと思うのですが、それにぴったり呼応して、メディアも政治も応援する中で、これだけのがっちりとした法案ができたなと。

 

 これはどこかで政治のイニシアチブが必要な改革なので、それに比べると、今のこの政治の雰囲気は非常に弱いと思います。これに対する関心、問題意識、やる気。それを思いますと、なぜ財政再建が必要かというときに、いつもオオカミ少年と言われてくるわけです。

 

 ただ、先ほど、吉川先生がわざわざ言われた、あのときの90年代の金融危機ですね。これは当時の不良債権があんまり表面化しないで、あるとき、どんと出てきたことによるものだと私は思っています。

 

 その金融危機であったときの不良債権問題と今回の1,000兆円の財政危機問題は同種類のものだと吉川先生はおっしゃったのだが、なぜその財政危機がこれまで表面化してこなかったかについての回答を、先ほど、土居さんか富田さんがやってくれたと思うのですが、要するに財政危機が顕在化しなかったですね。金利が上がらなかった、そのようなことですよね。その1点だと思うのですね。

 

 では、なぜ金利が上がらなかったのか、ということが、我々がちゃんと過去も現在の状況も踏まえて、それをしっかりとほんとに認識しているのかどうかが私は大きなクエスチョンではないかと思います。

 

 あのときもその金融不良債権の透明性について、財務省の問題もあったと思うのだが、非常に我々は甘く見てました。今もこの問題について甘く見ている。その一番重要な部分として、もし金利の問題があるとすれば、これを真実に、金利の問題はどのような問題かということを真に知ることね。そして、それを皆さんに同じように考えてもらうことが大事な印象を受けました。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 

 では、時間が大分押してきていますので、まず、初めに休憩を入れるということをお話ししたのですが、皆さんのお許しをいただいて、あともう40分足らずですので、このまま末澤さんのプレゼンテーションに移りたいと思います。よろしいでしょうか。

 

 では、恐縮ですが、末澤委員、よろしくお願いいたします。

 

〔 末澤委員 〕 資料「諸外国の財政動向と海外経済・金融市場の状況等」をご覧いただきたいと思います。

 

 1ページめくっていただきまして、本日のテーマでございます。本日、何を申し上げたいかといいますと、アメリカのサブプライムローンの崩壊、それが百年に一度の危機と言われましたリーマン・ショック、欧州財政危機につながりました。ただ、その後、各国は直ちに財政健全化に着手し、取組を推進してきたということです。

 

 その中で、特に三つの国を中心に取り上げたいと思います。初めにドイツです。こちらはちょうど今年、1月からスタートした2015会計年度の歳出歳入はたしか2,991億ユーロと、これは1969年より46年ぶりに歳出・歳入が当初予算で均衡すると、このような予算を組みました。また、ギリシャです。実はこのままユーロ圏等との協議が進展しなければギリシャは早ければ今週、遅くとも7月にはデフォルトに陥るのではないかと、言われています。もう一つが米国です。こちらは昨年の中間選挙で上下両院を共和党が支配することになり、完全に大統領と議会のねじれが今発現しているわけでございますが、この国の財政がどうなっているか。こういったところをまずご説明させていただいて、後段で我が国の課題と今後の取組についてご説明させていただきたいと思います。

 

 3ページ目でございます。先ほどの関係で、ドイツと日本と米国の状況をちょっと一度確認していただきたいと思います。ドイツはこのグラフでいきますと、財政収支がずっと一番いいのですが、ご覧いただくと、一般政府ベースで大体2012年あたりから、財政収支が均衡しているということでございます。

 

 一方、アメリカですね。アメリカは実はリーマン・ショック、これはこちらがもともと発生国でもありまして、2009会計年度は最も財政収支が悪かったと。ただし、今、急激に改善してきておりまして、一挙にこの財政赤字が半減していると。

 

 一方、日本は、リーマン・ショック、これ、当時は対岸の火事と言われていまして、日本はもう、不良債権処理が終わったのであまり影響ないと思われていたのですが、やはりその後の株価の暴落等が相当ききまして、輸出が落ちたこともあって、日本は財政収支が悪化し、それがなかなか改善してないと、こういったところをちょっとご覧いただきたいと思います。

 

 4ページ目から、日本以外のその他の国、EU、米国、英国等は、財政収支の対GDP比を主たるフロー目標として設定しており、5ページ目でございますが、欧州財政危機ですね、また、リーマン・ショックを受けて、以下のような歳出・歳入、両面での取組をずっと推進してきた。これによって、先ほどご覧いただいたように、財政収支が足元が相当改善してきているということを、後ほどご覧いただければと思います。

 

 8ページまでご覧いただいて、ここから本日の本論となります。

 

 まず、ドイツについてご説明させていただきます。ドイツは財政収支がここ数年間黒字だったと。欧州財政危機もありましたが、私の理解では、実はドイツは日本同様、敗戦国ですが、EC、EU、また、このユーロ圏の枠組みに入ることによって、経済面では相当メリットを享受していると思っています。

 

 これは、欧州財政危機以前、欧州が相当バブルに振れた時期がございまして、このときにはユーロ圏の中で最も国際競争力が強いですから、ユーロ圏内での域内輸出が相当増えたと。一方、リーマン・ショック、欧州財政危機によってユーロ圏が財政危機に陥りました。そうなると、大幅に今度はユーロ安に転じるわけです。一時、円−ユーロでも1ユーロが170円程度だったのが、100円を割る状況になりましたから。

 

 そうなると、今度はユーロ圏以外のところに相当輸出を増やすということで、実はドイツは2009年、10年は一度、一時的に大きく経済成長率が落ちましたが、2010年からはV字回復です。

 

 また、日本同様、出生率は相当低いのですが、ユーロ圏からの労働者等の受け入れもあって、域内の消費市場は拡大しています。

 

 また、日本と若干、組合制度が違う。今は相当、組合への加入率は低くなっていると聞いておりますが、右側のグラフをご覧いただくと、実は賃金上昇率も相当高い水準が続いておりまして、今、日本でもこの賃金の引上げは課題になっているのですが、ドイツの場合ですと、経済の回復とともに賃金も相当回復して、これが国内消費市場も相当支えていると、このような構造になっているということでございます。

 

 一方、ドイツの財政健全化の一番大きなポイントは、リーマン・ショック以降、ドイツの連邦基本法を改正したことです。ドイツの基本法につきましては、実は憲法という名前を使っていません。これは、もともとは東西ドイツ統合後に憲法をつくるということでしたので、基本法という名称でございますが、2009年7月、これは当時は大連立ですね。今と全く同じ、SPDとCDU、CSUの大連立の枠組みでございましたが、この中で、2009年7月にたしか基本法第109条、第115条を改正して、109条に条文を追加する形で、この連邦政府と州政府に対して財政収支均衡を義務づけるという形になっています。

 

 ちなみに、ドイツの基本法の改正は連邦議会の総定数の3分の2、及び、連邦参議院ですね。選挙はなく、州議会の代表が出ていますが、こちらの投票総数の3分の2で改正できるという手はずになっておりまして、こちらで2009年に改正したと。

 

 これで基本的には財政均衡が義務づけられています。構造的な財政赤字が0.35%以上の場合、基本法第115条の施行法においてその追加の歳出分、財政収支悪化分についてはこれを解消していくと。このようなことがございましたので、2010年以降、このグラフのように、着実に財政収支が改善してきているということでございます。

 

 一方、このドイツと全く反対な状況なのがギリシャでございまして、ギリシャは2010年、2012年と、ご案内のとおり、金融支援を、ユーロシステムですね、また、IMF、ECBのトロイカから受けております。この際、さまざまな取組を進めてはいるのですが、なかなか国内的にも緊縮財政に対する不満がずっと継続し、何回か選挙もやってきましたが、最終的に今年の1月の選挙で急進左派連合、ツィプラス政権ですね、こちらに移るということで、従来掲げている財政健全化に向けた取組が今相当きしみを生じてきているということでございます。

 

 今、足元で大きな問題となっているのが、支援が4カ月延長されたが、ほんとうに大丈夫なのかということですね。私見ではございますが、2009年からこの2015年の足元の中で、最もギリシャがユーロ圏の離脱の可能性が高まったのが今年だと考えています。これはなぜかというと、11ページの右側に、ギリシャの長期国債の残高のグラフがございます。ギリシャの長期国債とは2009年のこの粉飾発覚時の段階では約3,000億ユーロの残高がございます。オレンジ色の部分ですね。そのうち、約2,000億ユーロを海外が保有していたわけです。この2,000億ユーロというのはほとんど欧州の金融機関が保有しておりました。ですから、ここでギリシャを破綻させると、リーマン・ショックの影響プラス、ギリシャ問題で欧州全域が極めて大きな金融システム不安に揺れるということで、第1次、第2次の支援を実行したわけですね。

 

 その結果、何が起こったかというと、今、長期国債の残高は約500億ユーロ、うち、これは400億ユーロが海外なのですが、ほとんどECBが保有しています。では、残りの債務はどうなったのかと、ギリシャは返したのかというと、返せるわけがないですね。右側のグラフをご覧いただくと、ちょうど同じ金額、これ、長期ローンの残高が増えています。長期ローンは、ユーロシステム、IMFが出している資金です。ですから、結果的にこの5年をかけて、民間金融機関が持っていた債権をユーロシステムとIMFが肩代わりしたと。これが現状の状況でございます。

 

 また、150億ユーロについてはTBの発行が可能なのですが、ではTBは誰が持っているかというと、左下のグラフですね。これは去年の9月のグラフなのですが、大体この半分を民間金融機関が持っています。では、この民間金融機関はどうやっているかというと、これはECBからお金を借りて、ギリシャの政府のファンディングを支えていると。これは、最近はあまりやるなと言われているのですが、これをやっていると。

 

 次のページですが、ではなぜ今週、場合によっては7月までにギリシャが資金繰りに窮する可能性があるかということなのですが、実は今回の選挙結果を受けて、新政権が従来の債務再編、再建計画を一旦場合によっては反故にして、新たに債務再編を主張したと。このようなこともありまして、ECBはギリシャ国債をECBの適格担保から除外しました。3月9日にECBは量的緩和を開始しておりますが、ここからも対象外にしておりますので、国債を買い取る人がいないと。

 

 かわりに、今はELAというもので、これは4大銀行向けにECBがお金を出しておりまして、これを順次、残高を今、引き上げております。これは公表はされていないですが、報道ベースではこれ、先週、718億ユーロに引き上げられておりまして、これでギリシャの銀行のファイナンス、また、一部はTBの購入を通じてギリシャ政府のファイナンスにつながっていると。

 

 ただ、あわせてギリシャ政府はEFSFに対して、12億ユーロ残っているお金があるので、これを返せということと、ECBが過去高い金利で国債を買ってもうけただろうと、その分の19億ユーロを返せと。また、4月1日に経済改革案を出したので、つなぎ融資をやれと、このような要請を出しているのですが、これに対してはトロイカは色よい反応をしておりません。

 

 そうすると、上に書いておりますが、今週、9日にIMF宛てのローン返済が利子を含めて約4.6億ユーロと、また、14日にはTBの償還が14億ユーロ、17日には10億ユーロの償還がございまして、つなぎ融資が出ないと、このあたりが返せない可能性がある。

 

 加えて、この右上のグラフをご覧いただくと、実は7月に大きな10年国債の償還が約100億ユーロありますので、今回の支援の枠組みを4カ月にしたというのは、おそらくこの7月までには一旦決断しろということだと思います。ですから、実はギリシャについて見ると、今年の7月までというのは相当大きなリスクがあると。

 

 最終的にはギリシャ政府もトロイカの要求を飲んで、第3次支援に向けた交渉をスタートするものとは予想していますが、それだけ相当資金繰りは綱渡りの状況にあるのが今のギリシャの状況だということでございます。

 

 それらに関して、ドイツはやはりユーロ圏自身がドイツにとっては相当経済面ではプラスでした。ですから、みずから財政健全化を進めるとともに、ユーロの信認を維持しようと、このようなことが背景にあるだろうと。一方、ギリシャは、これはもう今はもう相当、財政が厳しいです。実は金利をご覧いただくと、あまり上がってなかったというのは、これは先ほどの話、市中でほとんど残存していないことが背景にありまして、こちらは、今相当瀬戸際にあると。

 

 やはり、EU等はギリシャに対して、財政健全化の取組をしないと支援は行わないとしています。なぜかというと、1つにはギリシャの問題で、ギリシャに甘い顔を見せると、イタリア、スペイン等でそのようなやや積極財政を標榜する野党が、この新興政党が勢力を増やしていることもあるので、そのようなところに対して相当強い意思を示すということもあるのだろうと考えております。

 

 続きまして、14ページからは、日米欧の金融政策の動向と財政健全化、また、アメリカの最近の財政動向についてご説明をさせていただきます。

 

 今年は、私の記憶でも初めてというぐらい、G7諸国でこの金融政策の方向性が異なる可能性がある年かと思っています。といいますのは、日本につきましては2013年4月にいわゆる異次元緩和を導入し、昨年10月に異次元緩和を強化してきました。この流れはしばらく続くと思います。

 

 一方、ユーロ圏につきましては2012年以降、利下げを継続し、2014年6月からは預金ファシリティ金利、これは下限金利ですね。欧州の場合は3つ金利がありまして、政策金利と上限と下限とあるのですが、下限の方をマイナスにするということで、今、下限金利はマイナス0.2%でマイナス金利政策をやっていたということでございます。加えて、この3月9日から量的緩和が導入され、月額600億ユーロ規模の国債等の買い入れが開始されます。ドイツの場合ですが、これ、GDP比でやりますから、大体百数十億ユーロのドイツ国債が買われます。ドイツの国債金利が今、短いところでマイナスになっているというのは、財政収支が均衡している中で110億ユーロ程度、買っているわけですから、それが背景にあるわけですね。

 

 一方、米国につきましては、この量的緩和の縮小が201312月に決定し、昨年10月に終えました。先週末の雇用統計は若干弱かったのは事実なのですが、基本的には今年年内に利上げを志向していると。これは後々、イエレン議長も認めていますので、今後、雇用環境等がある程度回復が続けば、今年の6、9、12月、このどこかで利上げ、場合によっては償還減も開始する可能性があると。

 

 英国も、これは実は数年前から、大体もう2014年ぐらいから利上げではないかと言われていたのですが、今年はおそらくアメリカの状況を見ながらやってないのですが、アメリカが仮に利上げに転じれば、来年に向けて利上げの可能性が出てくるということで、やはり今年から来年にかけては、日本、ユーロ圏と米英で金融政策の方向性が異なってくる可能性があるということでございます。

 

 そうした中、16ページですね。これは昨年、一昨年もご覧いただいたグラフではあるのですが、そのような金融政策の方向性の違い等もあって、この金利の全体水準の順位が今年になって相当変わりました。ずっと日本が一番低かったのですが、ドイツに追い抜かれております。ドイツの金利は今はもう0.1とか0.2とか、短い中期金利がマイナスです。これは先程ご覧いただいた財政収支が均衡している中、ECBが買っているわけですから、これはものがなくなっていっているということですね。

 

 一方、イタリア、スペイン等の金利、これは欧州財政危機のとき、黄色とオレンジのように相当、金利が上がったのですが、最近は財政再建の取組を相当進めたこともあって、今は実はイタリア、スペインの金利がイギリス、米国の金利より低いと、このような逆転が起こっています。ただ、アメリカ、イギリスは、別に財政が悪いということではなくて、景気がよくて、先ほどの利上げ観測が出てきていることが背景にあるわけですね。

 

 17ページは、米国が仮に今年、利上げに転ずるとすると、2004年以来11年ぶりになります。実はここまでのFOMCのステートメントを見ると、2004年と同じような言葉の変化がずっと続いておりまして、今年は、6、9、12月のどこかで利上げの可能性はあると考えています。

 

 なぜ6、9、12月かというと、これは前のバーナンキ議長のときから、FOMCの後に記者会見を設定したのですね。グリーンスパン議長のときにはやってなかったのですが、その関係で、記者会見があるのが3、6、9、12月ですので、そのような面では、6か9か12月か。先週末までは9月が優勢だったのですが、先週の雇用統計で9月から12月という見方も増えてきているということでございます。

 

 18ページです。一方、米国の財政につきまして、これは実はドイツとはちょっと違う意味で財政が相当健全化しているということでございます。実はアメリカの財政の場合は、経済が今好調なのですが、相当税収の弾性値が大きいという問題がございます。これはやはり直接税の比率が連邦税においては極めて大きいということが背景にあります。また、超党派の歳出削減策、これが2011年8月の予算管理法で10年間で9,000億ドルの歳出削減がスタートしたということと、いわゆるトリガー条項です。これが2013年3月に最終的に発動された関係で、9年間で1.2兆ドルの歳出抑制が続いています。

 

 問題は、次、10月からスタートする2016会計年度、これはどうなるのかということなのですが、オバマ大統領が2月に出した予算教書では、実は強制歳出削減をやめると言っております。これはなかなかアメリカの国防も含めて、経済にとってもダメージが大きいと。ですから、10月からやめるぞと、このような予算教書を出したのですが、実は議会を握っているのは共和党ですよね。

 

 アメリカの場合は大統領には予算提出権がございませんので、あくまで議会が出すわけなのですが、こちらは対抗して全く逆の予算決議案を出してきておりまして、一応、上下両院とももうこれは可決しております。両方をあわせておりませんので、まだ一本化はされてないのですが、上院案は10年間で5.1兆ドル、下院案は10年間で5.5兆ドルの歳出を削減するとしています。この左下のグラフをご覧いただくと、真ん中に濃い青い折れ線がございます。これが大統領予算案ですね、予算教書。

 

 これだと財政収支が悪化するという見通しになっております。対GDP比ではほとんど変わらないのですが。上の赤い折れ線が2つございますね。これが下院案と上院案でございます。これをご覧いただくと、もう2025年度までには財政均衡、実はこれ、少し細かく見ると、OCOという、Overseas Contingency Operationsという、海外緊急対応予算は少し別枠になっているので、完全にプラスになるかどうかは定かではないのですか、基本的にはもう財政均衡を目指す予算となっております。これは最終的にどうなるのかということなのですが、大統領が拒否権を持っています。しかも、上院の場合ですと、個別の法案化した段階で、いわゆる議事妨害ですね、フィリバスターが出て、これを通すためにはクローチャー・モーションという60の票が必要ですので、これはなかなか通りません。今回、上院の決議案はたしか5246なので、そのような意味では結果的にどちらの案も通らないので、この真ん中になると。ですから、予算教書よりも緊縮予算になる可能性が高いということで、結果的には財政健全化は与野党の対立で進むというところになるのではないかと思います。

 

 次の19ページで、アメリカの昨年9月に終わった2014会計年度の決算でございまして、1つ特徴的なのは、歳入が8.9%増えたにもかかわらず、歳出は1.4%しか増えてないと。これによって、財政収支が急激に改善してきているということでございます。

 

 アメリカ経済は、やはり消費の比率が高いです。個人消費の比率がアメリカの場合だと約68%、日本が61%、中国が36%ですから、アメリカ経済の中期的なトレンドは個人消費の動向に相当影響を受けやすいということです。今、足元はこのシェールガスの設備投資が落ちたりして弱まってしていますが、夏場以降を見ると、個人消費が回復し、基本的には安定的な成長が続くと見ております。

 

 21ページ、住宅投資も同様かと考えています。

 

 22ページ、アメリカはこれから利上げ、場合によっては償還減に向かう可能性があるということで、以前も申しましたが、実はアメリカと日本の中央銀行の国債保有比率を比べますと、日本はこれは昨年の12月最新の統計で25%、過去最高になっています。一方、アメリカは13.6%、9月が13.8%でしたから、既にピークアウトしてきております。日本の場合は今の政策が続くと、この右下のグラフのように、今年の12月には25%が32%に上昇し、4年後の2018年末には50%に到達する可能性があるということでございます。

 

 こうした中、日本の長期金利が過去、なぜ低位で安定しているかということで、ちょっとこれ要因が1.、2.、3.、4.、5.、6.、7.とございまして、これは昨年、一昨年もご説明させていただきましたので、今回は省略させていただきますが、この低位で安定した背景が、相当今、足元では変化しつつあると。今年は特に注意を要するのが少子高齢化の進展ということだと思うのですね。今、諸外国でも実は高齢化に伴ってディスインフレということが言われています。

 

 ただ、ここからは私の仮説なのですが、新興国は大体インフレが多いです。なぜかというと、生産年齢人口が増えていくと需要過多・供給過少になるからです。それが先進国になると、この生産年齢人口がなかなか増えなくなって、これがある面、デフレ要因になるということなのですが、日本はもうここを超えてきているのですね。もう生産年齢人口がもっと減って、いわゆる老齢人口が増えてきている。実はこのような人口ピラミッドは過去、人類史の中で存在したことがございませんので、実証研究ができないのですが、場合によっては今後は供給過多が供給過少に、特に社会保障の面では転じてくる可能性があるということをご説明させていただきます。

 

 アメリカの場合はテーパリングによってもほとんど金融市場が大きな影響を受けませんでしたし、むしろ足元では金利が下がってきているのですが、日本側が将来的にそのような経常収支の赤字が継続するような状況になると、実は今の異次元緩和は相当リスクにも転化し得るということでございます。

 

 25ページから、世界と日本の経済社会動向と財政の関係ということです。ここもちょっと時間の関係で、26ページ、27ページ、これは1月発表のIMFの世界経済の見通しです。この青く塗っているのが経済の見通しが悪化している国で、ピンク色が改善している国ということでございますが、1月段階のIMFの経済見通しでは、アメリカがいいが、ほかの国はだめですねという雰囲気になっています。

 

 次の27ページをご覧いただくと、出ている国が違うのですが、これは3月発表のOECD見通しです。こちらで見ると、実はアメリカは白になり、むしろユーロ圏がよくなっていると。ただ、どちらも悪いのは実は資源国です。つまり、年明け以降、ドル高と原油安の影響が相当、世界経済に影響を及ぼしつつあって、新興国の中でも資源を出している国は悪いと、資源がない国はむしろよくなってきていると、このような特徴がございます。

 

 あと、28ページのグラフですね。G7諸国プラス中国で、どの国はどこの分野に特色があるということでお出ししているのですが、実は個人消費のウエートは、先ほどもご覧いただきましたが、米国、英国、こういった国が高いと。一方、総固定資本形成、これはもう中国が断トツ高いと。純輸出はドイツが高いということですから、そのような意味では、いろいろな一つの事象が、国によってはプラスマイナスで逆の影響を及ぼす可能性もあるということでございます。

 

 原油がなぜ下がっているのかということですが、29ページが原油価格の動向です。実はちょうど先週、イランとP5+1の核協議が枠組み合意されましたが、2008年に原油価格が最高値をつけたときは、イランの核問題が背景にありました。今回は、年明け後、いろいろな地政学的リスクが浮上しましたが、原油価格は大幅に下がっています。

 

 

 あと、31ページですね。これは通貨の動向ということで、先ほどちらっとご説明しましたが、アベノミクスがスタートした2013年以降でご覧いただくと、最も強いのがドル及びドルにペッグしている通貨ですね。足元、特徴的なのはユーロが大幅に下落しておりまして、これが実は欧州の経済にとってはむしろまたプラスになってきていると。一方、資源国、ブラジル、あと、ウクライナ問題を抱えるロシアが急激に落ちて、最近はロシアは戻してきていると。

 

 同様に、32ページの株価で見ると、ドイツ、インド、中国、アメリカ、このような国々の株価が最近、堅調になっています。新興国でもインド、中国という、どちらかというとエネルギーの輸入サイドの国の株価は極めてよくなって、ブラジルとかロシアで悪いと。一番いいのは日本という形になっております。

 

 先ほども話したのですが、日本の場合、長期的なリスクは人口動態の変化だと思います。合計特殊出生率は、日本はドイツと並んで相当低いのですが、ここへ来て特徴的だったのは、2013年度の家計貯蓄率が、現行統計で初めてマイナスになると。2013年は景気がよかったという面もあるのですが、大きなトレンドは高齢化の影響が背景にあると考えますと、次のページでございますが、これは昨年も出しましたが、今のような日本の低負担、中福祉という状況が持続するのは、基本的には無理だということになります。

 

 先ほどご覧いただいたドイツはこの真ん中にあります。ちょうど中福祉、中負担と。アメリカは左下ですが、どちらかというと低福祉、低負担の国でございます。

 

 日本の場合、今後重要になってくるのが医療費の負担です。人口の高齢化とともに、右下をご覧いただくと、国民医療費は75歳以上と64歳以下では5倍の差がある。特に、介護費は65歳以上ですが、介護費ですと、65歳以上74歳以下と75歳以上では9倍の差があるということですから、やはり団塊世代が75歳以上に皆さん到達するのが2025年ですね。ここに向けては相当いろいろなリスクも出てくるのではないかと。

 

 また36ページ、一言だけ申し上げると、公的年金の積立金です。これは昨年6月の財政検証で、積立金は数年間減った後、急激に増える試算になっているのですが、一方で、この若年層の年金不信は基本的に続いていることがこのグラフでわかります。

 

 しかも、先ほどの積立金のグラフの前提が37ページのようないわゆる基本的ケースですね。基本ケースというのはないのですが、基本的なケースに基づいていることもあって、そのような意味では、この成長を本当に持続することが可能なのか、どのように持続させるのかということが今後の課題にもなると。

 

 ただ、38ページなのですが、今、公的年金の運用見直しというのがマーケットでも注目材料なのですが、私はこの運用見直し自身を否定するものではございません。むしろ、やはりどこかで運用の見直しは必要だと考えておりまして、この背景は、日本の個人金融資産とアメリカ、ユーロのエリアの金融資産を比べると大きな違いがあります。なぜかというと、下の真ん中のグラフをご覧いただくと、日本の場合、現預金の比率は52.5%と。一方、アメリカは13.4%、ユーロエリアは34.9%。投信や保険の中身をピックアップして私のほうで分析すると、実質的な株式保有比率は日本の11%に対して、アメリカは45%。アメリカは持ち過ぎているのですね。ですから、公的年金は非市場性国債の引き受けしかできない、これは当然です。一方、日本は誰も株を買わない中で誰が買うのだというテーマは引き続き残るということでございます。

 

 39ページ、このような人口動態はもう前からわかっていた話です。では、なぜここまで改革が進んでこなかったのか。これは、人口動態自身がその政治改革を遅らせる効果があるのではないかと思っています。

 

 これはなぜかというと、この左の上、下のグラフをご覧いただくと、今、団塊世代の方と生まれた赤ちゃんの人数は大体2倍差があります。右側の投票率、これは去年の衆院選、おととしの参院選も含めてですが、実は60歳代と20歳代の投票率の格差はもう2倍以上あります。また、これにプラスアルファで一票の格差が加わってくるということです。そのような意味では、次の最終ページでございますが、やはりこのギリシャ、ドイツ、米国の財政動向から得られるインプリケーションと今回の日本の足元の課題等を考えると、まず、危機発生後では手遅れだと、財政面でですね。日本は特にストックベースの財政収支赤字が極めて大きいですからね。あと、歳出・歳入は、同時改革が必要だと。加えて、国際競争力を維持していかないと、なかなか財政健全化だけでもうまくいかない。つまり、成長政策と財政健全化は車の両輪だと。引き続き、アンチ・エイジングが必要だということが私の最後のまとめとさせていただきます。

 

 以上とさせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。大変有益な情報を見せていただけたと思いますが、時間がほぼ定刻に近づいていますので、特段のご質問のある方はお願いします。どうぞ。

 

〔 宮武委員 〕 宮武でございます。ご報告、ありがとうございました。

 

 報告の点でお聞きしたいことが1点ございまして、あともう一件はご意見を賜りたいということであります。

 

 アメリカの今の財政収支の状況をご説明いただきましたが、ちょうどオバマケアが始まりつつあるわけでありますが、オバマケアは確かに民間の医療保険に補助金をつけて何とかより多くの方が保険に入る体制に持っていくわけですが、それより前に、実はその安い保険料さえ支払えない人たちのために、公的な医療保障のメデイケイドでが大量に低所得者を受け入れている。そのために、たしか日本円で換算すれば100兆円近い公費の投入をやっていると聞ていますがが、これから始めるわけでありますが、この歳出は極めて、1.4%しか伸びていないというところには、まだ入っていないと考えていいのでしょうか。それが1つでございます。

 

 もう一点は、前段の富田委員のご報告にも関係するわけでありますが、例えばこれで見て、ドイツやフランスの負担を見ますと、確かによく経済界の方々は日本の法人税率は国際的に見て高いとおっしゃいますが、例えば社会保険料で見れば、現在でもフランスやドイツは医療保険でいえば5ポイントぐらい日本より高い保険料を払っているわけです。ドイツは労使折半ですが、フランスの場合は経営側が圧倒的に負担が高い。そのような負担に耐えている。そして、さらにその上で、毎年度、歳出面で伸びがあれば、歳入面でも税金でもってそれを補うという状況が、今日いただいた表の中でもわかります。

 

 それから、先ほどざっと飛ばされましたが、34ページにおける人口ボーナス、人口オーナスのところを見れば、日本が福祉は結構高い水準を維持しながら、なおかつ、いかに負担をしていないかということでありまして、より満足できるサービス、より安心できるサービスを手に入れようとすれば、当然ながら負担もしてくれということをもっと正面から言わなければいけないことを、この表は教えているのだと思います。

 

 そのような意味で、日本と制度の似たフランス、ドイツの社会保障のあり方、特に負担面におけるあり方については、末澤さんはどのように思っておられるか、ご意見を賜ればと思います。

 

〔 末澤委員 〕 まず、米国につきましては、この19ページのグラフは20149月末までの歳入と歳出を表しております。実はオバマケアの本格実施は昨年の途中からです。このため、オバマケアについてはほとんど入っていません。ただし、メディケア、メディケイドは入っています。全体として、社会保障費についてはその部分は入っています。

 

 ただ、共和党案では基本的にオバマケアは全部カットということになっていますので、主にこの予算教書と上の共和党案との差は、オバマケアをこれから本格的に実施していくか、もう全部返上しちゃうかというところですね。ちなみに、共和党案は歳入増加はゼロになっていますので、全て財政収支の改善は歳出カットでやるということですね。

 

 先ほどのもう一方のご質問が、この低負担、中福祉、これはやはりこの人口ボーナスの影響が大きくて、次のグラフでございますが、かつての日本の人口ピラミッド、これはまさしく昔は人口ピラミッドだったわけですが、この生産年齢人口の増加をベースにつくられたシステムがもう基本的にはもういまや機能しないと。

 

 これはもう、これはある面、もう誰の目にもわかる形ですので、ここをちょっとやはりもう少し詳しく、わかりやすく、もう一回、国民の方々にご説明をしていただくということが必要になると。これは委員も、たしか前回おっしゃったと思うのですが、私もここはほんとに賛成なのですが、やっぱりこの団塊の世代の方々のお孫さんをどうやって増やすかということなのですね。実はこれ、第2次ベビーブームがあったのですが、第3次ベビーブームは今まで発現してないのですね。

 

 そのような面で、実はこれは相当大きな私は人口動態上のリスクだと思うのですが、やはり子供が増えれば、少なくとも親戚の子供が増えれば、もう少しお金を使うということになるんだろう。やっぱりこのグラフって私は一番、このさっきの一番最終ページのグラフでもそうなのですが、私はこの左下のグラフを見ると、すごい危機感を持ちます。つまり、第1次ベビーブーマー、ここはいいです。第3次ベビーブームが全然発現してない中で、第2次ベビーブーマーの方々がいわゆる後期高齢者になったときに、誰が面倒見るのかと。そのような面では、ほんとにこれから5年後、10年後どころか、20年後、30年後と、実はこの問題はむしろ深刻化すると見ておいたほうがいいというふうに考えています。

 

〔 宮武委員 〕 ありがとうございました。

 

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 

 定刻になりましたので、では、小林委員で最後にさせていただくことでよろしいでしょうか。

 

〔 小林委員 〕 どうもありがとうございます。先ほどの富田委員のご報告と今の末澤委員のご報告をあわせてちょっと感じたのですが、なぜ日本は3回も失敗していて、ほかの国はうまくこの財政健全化を進めて、現在進めていっているのかを考えたときに、やっぱり財政健全化への意思ということに尽きるのだと思うのですが、それはどのような形であらわれているかを考えてみると、例えば欧米の国を見てみますと、リーマン・ショックがあって欧州債務危機があって、それから大体1年か2年ぐらいで、もう財政健全化策というのが策定されていって動き始めていっているのですね。

 

 これは要するに有事から平時への切り替えという、これが非常にすごく強い意思を持ってやっていくと。もちろん、いろいろなショック、外的要因で経済が落ち込んだときにはいろいろ対策はとらなければいけない。それに、そのことを有事の対応とすると、その有事が終わった見極めというか、この平時に切り替える見極めというのが非常にうまくいっている、あるいは、強い政治的な意思で行っているように見えています。

 

 これらが非常に、ひょっとすると非常に示唆的なことなのではないかなと、そのようなことを、今日、お二方の報告を聞いて強く思いましたので、ちょっとここで一言言わせていただきます。

 

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 

 予定しました休憩をなくしても時間超過ということで、大変活発で有益な議論ができたと思います。3人の委員の先生方、どうもプレゼンテーション、ありがとうございました。

 

 毎回のことで大変恐縮ですが、本日の会議の内容の公表につきましては、私のほうで一元的に記者の方々にご説明するということにさせていただきます。

 

 では、どうも、ご多用のところ、ありがとうございました。

午後 0時29分閉会

 

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