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財政制度分科会(平成26年11月14日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成26年11月14日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成26年11月14日(金)16:00〜18:10
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.とりまとめに向けた審議

3.閉会

配付資料
○ 平成27年度予算の編成等に関する建議(案)

出席者

分科会長 吉川 洋           

竹谷大臣政務官
岡本次長
太田次長
西田次長
新川総務課長
寺岡調査課長
窪田法規課長
堀内給与共済課長
山本司計課長
片岡大臣官房参事官
阪田主計官
余島主計官
白石主計官
冨安主計官
青木主計官
井藤主計官
宇波主計官
彦谷主計官
高村主計官
小野主計官
井口主計官
中山主計企画官

分科会長代理     田近 栄治  
 委員

岡本 圀衞
倉重 篤郎
黒川 行治
角   和夫
竹中 ナミ
富田 俊基

 臨時委員赤井 伸郎
板垣 信幸
遠藤 典子
老川 祥一
葛西 敬之
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美
高原 豪久
中空 麻奈
増田 寛也

午後 4時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、定刻になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様にはご多用中のところ、ご出席いただきましてありがとうございます。

 本日は、建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております「平成27年度予算の編成等に関する建議」(案)について審議していただきます。本日お配りしている建議(案)につきましては、これまで田近分科会長代理、小林委員、土居委員、富田委員にご議論いただき取りまとめていただきました。大変お忙しい中、皆様、どうもありがとうございました。

 建議の審議の進行ですが、全体を4つに分けて審議したいと思います。まず、建議の「総論」について、次に「各論」のうち「社会保障」について、その次に「地方財政」、「文教・科学技術」、「公共事業」について、最後に「農林水産」、「エネルギー・環境」、「中小企業対策」、「外交」及び「防衛」についてと、このように分けて審議をお願いいたします。

 なお、古賀委員、田中委員、鳥原委員及び永易委員におかれましては、本日ご欠席のため意見書を提出していただいており、皆様のお手元に配付させていただいております。

 それでは、早速審議に移りたいと思います。

 まず、「総論」についてご意見をいただきたいと思います。板垣委員。

〔 板垣委員 〕 1ページなのですが、上から9行目、「普通国債残高は約780兆円と見込まれ」とありますが、これだと規模感が少し小さい感じがありますので、別のレベルの数字をお出しになった方がいいのではないかと思います。

 それから、11行目「このような深刻な財政状況にもかかわらず」のくだりですが、もっと短く切り込んで表現した方がいいのではないかと思います。というのは、最初の文章ですので、若干緊張感を持って論述した方がいいと思うからです。ならば文案を出せと言われそうなので、若干の文案を今、読み上げますと、例えば、「このような深刻な財政状況にもかかわらず」以下のくだりを次のように書きかえれば短く、もう少しめりはりがつくのではないかと思います。「このような深刻な財政状況にもかかわらず国債が安定的に消化されているように見えるのは、預金等の潤沢な家計金融資産等が背景にあることだけではなく、2013年以降、日本銀行が国債の大量購入という量的・質的な超金融緩和策を二度にわたって行うという異例の対応をとったことが大きい。このことは、市場が独自の判断で行動した結果として国債を安定的に消化しているとは到底言えず、管理相場によってかろうじて平穏を保っているにすぎない。」です。こうすればもう少し短くなって問題点の所在が出てくると思いました。

 それから、22行目、「この点について」というくだりがあります。ここの部分については、私は、「この点について......という指摘や、日本銀行の国債購入規模の累増は市場を通しての買取りとはいえ、もはや事実上の財政ファイナンスと変わりないといった厳しい指摘も出始めている」と変えた方がいいのではないかと思います。

 それから、その脈絡で考えますと、2ページの一番上の行は、「このように、これまでの国債市場の動向は一見安定しているように見えるが」という一言を入れた方がいいのではないかと思います。

 それから、3ページ14行目、ここは少し考えていただきたいという意見です。「このことは、社会保障を支え合う現世代や地域の行政サービスを享受する者が応分の負担をすることなく」と書いてありますが、この「現世代や地域の行政サービスを享受する者が」というのがダブっている場合もあるだろうと思い、何かスーッと来ない感じがします。

 それともう1点、大事なことなのですが、目次における大きなローマ数字1ローマ数字2、「我が国財政の現状と課題」と「財政健全化に向けた基本的考え方と具体的取組み」とあります。来週、解散・総選挙という動きがあり、消費税率引上げの先送りが確実視されている中で、財審案提出はその後でしょうからローマ数字1ローマ数字2の中に、その情勢の変化を踏まえた財審としての認識を、議論を行った上で書き込むべきではないかと思います。以上です。

〔 吉川分科会長 〕 具体的な修文ありがとうございました。1点目は、まさにおっしゃるとおり、細かいところはともかく、そのように修文するということだと思います。

 2点目の財政ファイナンスですが、これが現状で既にそうだと、そのような意見もあるというご発言だったかとは思いますが、それにしても、政府発でそれを言うかは微妙なところがあると思います。いずれにしても検討させていただければと思います。具体的な修文、どうもありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。末澤委員、お願いいたします。

〔 末澤委員 〕 細かい点で恐縮です。1ページの19行目、「本年11月には追加的な緩和を実施した」ということですが、これは10月31日だと思いますので、10月で。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 はい、そうですね。ありがとうございました。赤井委員、どうぞ。

〔 赤井委員 〕 細かいところではないのですが、今、板垣委員がおっしゃったように情勢の変化もありますので、それも踏まえて、最後どうするかというのはお任せしたいと思いますが、例えば、消費税率引上げが先延ばしされた場合、それによって財政再建の方向性も変わってきますし、税収が少なくなる部分もありますので、その部分に関しては確実に将来の見込みが変わらないように歳出削減をするなり効率化をすべきだ等の文章を入れた方がいいのではないかということ。

 それから、先延ばしの理由が、景気がもう一つ調子がよくないということで、逆に言うと、先延ばしをすることによって景気対策にもなるということですから、当初消費税率引上げのときに景気対策が行われる予定であったのであれば、先延ばしの際にはその部分が逆にしなくてもいいという意味で歳出の効率化もできるはずですから、そのような意味合いでの財政再建に向けた強力な必要性も更に書き込んだ方がいいのではないかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。私自身はまだ決まっていないと思っているのですが、個人的に点検会合なるものに出席することになっているのですが、それとともかくとして、佐藤委員、中空委員の順でお願いします。

〔 佐藤委員 〕 赤井委員が言ったとおりだと思いまして、情勢の変化はあると思うのです。念を押すべきことは3点あります。既に1点目は赤井委員がおっしゃったとおりで、もし消費税率の引上げを前提にしていれば行っていたであろう景気対策は要らない、それは事実だと思います。2点目は、もし先送りをするのであれば、消費税率の再引上げをいつするのかということについて、2017年度4月というのが有力視されているみたいですが、確約があるわけではないので、早めに明確にするということ。そして、今回はもう景気条項はやめて、上げるなら上げると決めましょうと。いずれにせよ、消費税率の再引上げの時期は必ず明確にするということ。3点目は、時間があるわけですから、それまでの間に、むしろ歳出の切り込みを一層徹底するべきである。それまでの間、税収が上がってこないということと、逆に言えば、我々に任されているのは、そのような歳出面での構造改革をしっかりとやることだと思うので、社会保障を含め、歳出の徹底的な見直しはやらざるを得ないだろうということを明確に打ち立てた方がいいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。板垣委員が最初におっしゃったと思うのですが、この1週間でいろいろなことが様変わりしました。消費税率引上げの先送りシナリオの可能性が出てきたこと自体が驚きでしかないのですが、そうやって読んでいくと、今回の建議なのですが、1ページの下の方に国債の在り方をかなり書いていただいています。日本国債の市場はとても歪んだマーケットになっていて、市場規律はほとんどなくなってきている気がしてしまうのですが、その中で、「この点について」と書いてある下から5行目のところから、「大量の国債購入により、過度な財政支出等に警告する市場の機能が損なわれ、財政規律を弛緩させているとの指摘がある」とあります。これは、指摘があるどころではなくて、もうそのままになってきています。次ですが、「日本銀行は、「国債借入などの政策は、財政ファイナンスと受け取られた場合」」と書いてありますが、財政ファイナンスと大概の投資家は思っているわけです。そのようなことを考えると、もっと厳しいトーンで、国債マーケットが非常に歪んだ形になったことを前面に押し出していただいていいと思っています。

 それから、マーケットのことも非常に腐心して書いていただいていて、今回ギリシャとの比較が出ていたと思います。13ページのところの「我が国への教訓」のところですが、これも非常にうまくまとまっていると思って感心して読んでいたのですが、最後の方が少し甘くなると思いました。我が国への教訓として、ギリシャと違っていいところがある、安心だと読めなくもない。だけど、基本的にはギリシャはユーロという通貨での調整ができませんが、日本の場合は通貨調整がなされる可能性が出てきてしまい、大幅な円安があり得るということです。それが出てくると国民の生活にも影響が出ますので、国債価格下落によって国内金融機関だけが影響を受けるわけではなくて、国民にもそれが素直に跳ね返るということ、それは大変なことであるということを、もう1回言うべきだと思いました。せっかくギリシャの例を出していただいていますが、結局よその国のことだと思ってしまったら残念だと思いました。

 あと、もう1点は、10ページです。「政府は、上記の基本的な考えに基づき財政健全化の取組みを進めるため、財政健全化目標の実現に向けた具体的な道筋を示した新たな財政計画を明らかにする必要がある」と比較的やわらかいトーンで書いてあります。私たち財審としては消費税率引上げの先送りは嫌ですが、今回万万が一そうなって、財政健全化が果たせなくなってくると、これは日本国の信頼につながってきてしまう。

 ちなみに、格付機関がどのようなことで将来格付けを下げると言っているかというと、これはムーディーズの例ですが、まず政府が財政健全化目標を達成できず、それによって国債市場の不安定化の可能性が高まると見られる場合、そして国債市場の国内投資志向が弱まり、日本の対外ポジションを悪化させ、日本の市場資本を不安定化する国内貯蓄が減少した場合、となっています。正直言って、国債市場の国内投資志向の弱まりというのは、日銀の大幅な金融緩和によってかなり進みつつあると思いますし、それが結果的に外債に向かっていくということもあります。それから、貯蓄も下がってきていることは周知の事実です。それに加えて赤字削減目標が達成できないとなると大幅な格下げということもあり得ますし、信頼が揺らいでしまう。それを防ぐためにも、せめて財審としては、財政健全化がとても大事であることをさらに強くアピールする必要があると思います。そうすると、「具体的な道筋」と書かずに、歳入はこうやって増やします、歳出はこうやって減らしますという目標など、もう少しその「具体的な道筋」を明らかにする工夫があってもいいと考えました。

 結局、消費税率引上げ反対派の人が「景況感が上がります」と言っているのですが、経済対策を打たずにどれだけ景況感が上がるのか、これは具体策が全然ありません。このような人たちに聞くと、必ず「規制緩和」とか「構造改革」と言ってくる。それは中身がないわけです。ですから、もう少し一歩上に行くためにも具体的な道筋を示すところで、更に具体的に書き込むのはどうかと考えました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。司会をやっておりますが、中空委員に指摘されたので、13ページのギリシャの教訓ですが、ここでは日本への教訓は書かれていません。あるかなと思うのは、金利は、ギリシャの場合でもダラダラと上がっていくのではなくて、ほとんど1週間から10日くらいの間にマーケットで急騰するということがあったわけですから、この1ページに書いてあるとおり、今のところ目の前では日本の国債の市場は確かに安定している。それは確かに間違いないのだが、だからそれで安心できるということではない。急に来るというように変えた方がいいと思います。

 お待たせしました。老川委員、よろしくお願いします。

〔 老川委員 〕 私も赤井委員、佐藤委員がおっしゃったように、消費税率の再引上げの先送り、これはほぼ間違いない状態だと思いますので、それについて何らかの言及をするのか、それともしないままの建議なのか、位置づけがはっきりしません。言及するにしても、先送りをどのように評価して言うかはまた少し議論を要すると思います。

 そこで、分科会長に少しお尋ねしたいのですが、まだ決まっていないというのはそのとおりで、来週決まる話だと思うのですが、そういったことについて、どこにどのように盛り込んでいくのか、何を盛り込むのかはこの場で今、議論されるのでしょうか。それとも別にそれを議論される場があるのか、そこはどのように考えたらよろしいのでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 これは、私の後で事務局にも補足していただきますが、委員の皆様方は、当然のようにここ1週間ほどでいろいろなことが変わってきたということで発言されているわけです。情勢が非常に流動的ということですから、この建議のスケジュールそのものも流動的なところが出てきているということだと思います。そのような認識なのですが、この点については委員の方々がこれだけ発言されていますので、今後について事務局からも補足説明をしていただきたいと思います。

〔 岡本次長 〕 私の方から、今の会長のご発言につきまして補足をさせていただきます。いろいろ報道をされておりますが、私どもはまだ何ら指示は受けておりませんので、現時点においてご説明ができる状況ではございません。ただ、一方で、報道されているようなことで仮にあるといたしますと、来週以降、まさに予算編成の日程にも影響してまいります。そのような意味では、予算編成に向けて、まさに建議をいただくという形になりますので、その後の日程につきましては、明確になりました状態で、会長にもご相談させていただきたいと考えているところでございます。

〔 吉川分科会長 〕 きわめて流動的ということですね。本日の時点ですとそれ以上は全てが憶測になるわけですから、その点について議論できないということだと思います。ただ、今日は審議会ですので、これまでの財政の議論に関係したところでのご発言はもちろん自由にしていただいていいと考えております。

 どなたでも、いかがでしょうか。富田委員。

〔 富田委員 〕 板垣委員と中空委員から総論の大切な部分に係るコメントをいただきまして、基本的にそのとおりだと思うのです。ただ、板垣委員が言われた管理相場というのは、少し違って、確かに国内では日本銀行がたくさん国債を買っているのですが、対外資本移動は自由です。高橋是清さんのときは日銀引受の前、昭和7年7月に資本移動を規制しているのです。ですから、「管理相場」という言葉は使えないと私は思います。

 それがゆえに問題がどこに出るかというと、中空委員が言われたように、為替レート、円が安い方向に出るということだと思います。これは類推なので議論が必要なのですが、ギリシャの例を挙げましたのは、ギリシャとかポルトガルの国債を、ECBがたくさんSMP(Securities Market Program)とか、OMTといって直接買ったり、LTROといって銀行に買わせたりしたわけです。そのような意味では、中央銀行が国債を大量に買っても、財政健全化の努力をしませんとギリシャのようになってしまうということが、ここで参考として計上していることの背景でもありますので、その点もお含みいただけたらと思います。

 もう1点は、先ほどからの議論なのですが、実は総論から14ページの具体的な取組みのところに移してあるのですが、来年度は、国・地方PB赤字の対GDP比半減目標の年度なので、これの関連でも、総論のところで皆さんのご意見を賜りたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか。1点目、どうもありがとうございました。ただ、大きな流れとしては板垣委員の意見と矛盾する話ではないと思います。岡本委員、どうぞ。

〔 岡本委員 〕 途中から出席しましてすみません。老川委員の言われたことと全く同じだったので、それは外し、細かなところをいくつか質問ないし意見をお伝えします。

 1つは、11ページの真ん中あたりにPDCAサイクルの話がありますが、その中のCのところが「各府省による自己点検」と書いてあります。この自己点検が非常に弱い感じがして、何か別の方向での厳しい目線でチェックするシステムができないかどうかということが一つです。

 それから、7ページの上から4行目の「消費税率が10%に引き上げられても」や15ページが特に顕著なのですが、「消費税率が10%に引き上げられた場合においても」という表現は、先ほどの消費税の話と絡むのかと思いますが、きちんと「10%に引き上げた後」とか、キリっとした文章にした方がいいのではないかということです。

 それから、9ページの25行目、地方が、ということですが、「憂慮せざるを得ない」というのが、言葉としては美しいのですが、憂慮どころが、全く問題であるということなので、もっと強く書いた方がいいのではないかということです。

 それから、4ページ7行目で、「現世代の受益者の負担感の欠如は」という文章があります。これは読んでいて、誰のことを指しているか感覚としてわかりにくいので、もう少し高齢者のところで使っているという表現を、例えば、「今の社会制度の大半の受益を受ける高齢者の負担感の欠如」とか、そのように書いた方がいいのではないかと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。消費税率のところですが、7ページと15ページですか、「消費税率が10%に引き上げられても」というのが7ページで、15ページは「上げられた場合においても」となっているのですが、実は、既存のプロセスで、「場合にも」というのは全部直したと思っていたのです。つまり、7ページと15ページは、細かく見れば日本語の文章は少しニュアンスが違っていて、7ページの方が、財審の報告書にはふさわしいと考えますし、他の起草委員の方々も基本的にはそうだっただろうと思います。いずれにしても、ここは統一する必要があると考えています。細かいことですが。

 もう一つ、基金に関してご指摘がありましたが、事務方から「各府省の」という、テクニカルな意味でこのような表現が法律的に正しいのかとか、そのような点についてもしお答えがあればお願いします。

〔 窪田法規課長 〕 確かに、政府全体としても行政改革の観点から横串でチェックする機能もございますし、強化していこうとも考えておりますので、その点も踏まえた記述に修正する余地があるかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 なるほど。では、岡本委員のご指摘を踏まえて、適宜そこは修文したいと思います。倉重委員、お願いします。

〔 倉重委員 〕 そもそも「財政健全化」という言い方が、本当にいいのかどうかということも我々はいつも読んでいて思っていました。昔は「財政再建」と言っていましたが、今は「財政健全化」。海外では何と言っているのかなと思ったりもするのですが、それはずっと使っている言葉だからいいのです。その「財政健全化」に当たり、もう切れるものがないので消費税率引上げということで政治的決断の上でやってきた流れを、ここで断つことに対する失望感というか、怒りといったものを財審としてどのように表現するのかは非常に重要な局面に今回なっていると思います。それは、先ほど板垣さんが言ったように、前文でどう表現するかということだと思います。

 おそらく、これから先、報道どおりのことが行われれば、14日の選挙の後に特別国会が開催され、新しい政権ができて、試案を示して、新しい財政のもとでまた予算編成が行われる。2年前と一緒です。2年前は政権交代しましたが。その段階になって、やはり新しい政権に対して、建議ということは行われることになるのでしょう。だから、それまではこの財審はお休みになるのですかね。お休みして、細かいことは全部やってしまったのですから、やりようがないのです。だから、ある程度、日程が定まった段階で、そのことについてどう言うかを、ぜひ集中的に議論してほしいというのが私の願いであります。

 これは、先ほど富田さんがおっしゃったように、こちらは財審のプロだとすれば、そのような新しい事態に対してすぐ上手に対応する能力が必要だと思います。だから、14ページ以降の、では、この目標達成をどうするのだと。私の粗末な頭で考えますと、これが先送りされると、2%分が10月からは入ってこないわけです。そうすると、1%が2.5兆円だとすると5兆円の半分、2.5兆円ほど入ってこないわけでしょう。そうなると、そもそも7,000億円程度しかなかったのだから、即来年の予算編成が非常に困難になる。では、それはそのまま1年半先送りするのかどうか。あるいはこの1兆数千億円を鉈で切るような新しい提言をするのか、あるいは足して2で割るようなことを言うのか。それから2020年度までの国・地方PB黒字化目標をどうするのかがすぐに問われるわけです。その辺をどのような構えでしていくのか、そしてその内実として、財審のこれまでの審議経過を踏まえた現実的で具体性のある切り方をここで提示できるかどうかが非常に重要だと思っています。

 それから、もう1点。先ほどから、国債のマーケットについて、板垣さんも中空さんも言っているのですが、板垣さんは、事実上財政ファイナンスとして外国人の投資家が受け取っていると。真実はどこにあるのか。真実というのはあれですが。しかし、本当に受け取られていたら、新しい変化が生じるわけでしょう。円安は出ていますが、まだ長期金利までは至っていません。その辺りのリアリティは一体どうなのかというのは、実際のところは誰も指摘できないのですよね。結果を見るしかないのでしょうが、もう少しいろいろな情報が欲しいと思いました。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 最後の点は先ほど私が発言したのですが、ギリシャの場合ですら破綻する1週間まではそれなりに金利が落ち着いていて突然来るという話ですから、金利は、ダラダラときれいに階段を上がっていくという話ではないわけです。それが大きな問題です。大きな問題の認識としては、もう既にここの文章にも書かれていて、委員の皆様方が議論されていることだろうと思います。

 それから、もう一つの最初の点は、繰り返しになりますが、流動的だということですから、そこの部分は今日の時点で深入りして議論することはできない、それに尽きるのだろうと思います。リセットする必要が出てくるかもしれない。もちろん、基本的な考え方は変わらないです。あるいは、これまでの私たちの財審での議論が全部無に帰するとか、そのような話ではないわけですが、新しい土俵の中で考えなければいけないかもしれないということだと思っています。末澤委員、お願いします。

〔 末澤委員 〕 ちょっと2回目になりますが、実は、私も会長同様、来週月曜日に点検会合に呼ばれておりまして、まだ全て決まっていないという前提でご説明させていただきます。

今の国債の件につきましては、以前ご説明させていただきましたが、日銀の異次元緩和によりまして、昨年度ですと、利付国債の純増額の約1.6倍を日銀が買っています。今回、追加緩和がございましたので、試算すると今年度につきましては純増額の約1.9倍日銀が買い取る。向こう1年間で見れば、純増額の約2.4倍を買い取ると見られまして、日銀の保有シェアは、この6月末は実績で21.2%でしたが、来年の6月には27%になって、来年の12月には31%です。このまま継続すると、2018年12月には50%を超えてくるという試算をしております。

 以上でございます。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。それを国語に直すとどうなったということですかね。

 はい、では老川委員。

〔 老川委員 〕 消費税率の再引上げに関しての議論は、別に場があると思いますが、先ほど倉重委員が言及されましたので、私の考えを一言申し上げておきたいと思います。

 失望感というお話があって、熱心に議論されてきた方は当然そうだと思います。ただ、この見送りがどのような結果を生むのかついては、必ずしも今この時点で言える話ではないでしょう。結果的にこれによって景気の回復が促進され、体力が回復に向かっていくということが、恐らく内閣の考え方だと思います。そのとおりになるかどうかは別にしてそのような可能性もあるわけなので、あまり短期の判断だけでこれまでの議論の方向性と違うということで決めつけた表現になるのは好ましくないと思います。

 しかし、いずれにしても、先送りにすれば消費税率の10%への引上げを前提に、それを財源にして社会保障のいろいろな政策を打とうと思っていたことが、その財源がなくなることは間違いないわけですから、それに対してどのような措置をとるのか。歳出の一層の切り込みが必要になるでしょうし、それだけでは間に合わないとすれば、新しい財源をどこから探すかも必要になってくるでしょう。その場合に、この建議では全く触れられていませんが、今まで過去には例がないかもしれませんが、新型の無税国債とか、そのような可能性等も、真面目に考えなければいけないことがこれから出てくるかもしれない。そのようなことも含めて前を向いた内容の建議にされた方がいいのではないかと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。いいですか。では、パートごとに議論を進めていくということですので、続きまして、各論のうち「社会保障」についてご意見をいただきたいと思います。

 ちなみに、毎回そうですが、後で前のところを思い出したという形でご発言いただくのは一向に構いません。ただ、全体の進行としては、「総論」を終えて、「社会保障」に進みたいと思います。社会保障について、どなたからでも。岡本委員どうぞ。

〔 岡本委員 〕 毎回の意見となりますが、21ページ以降で、全面総報酬割の話が出されております。これについて経済三団体で10月に意見を出させていただきましたが、前期高齢者医療への税投入拡充などによる被用者保険全体としての負担軽減策がない中で、現役世代間の負担調整にすぎない後期高齢者支援金の全面総報酬割には反対の立場をとっております。前にも言いましたが、取りやすいところから取る、これを具現化するより先に重点化・効率化に取り組むべきだと認識しておりますので、これは25年度もやったのですが、この12行目の次に、「なお、これまでと同様、協会けんぽに対する国庫補助を所得の高い健保組合を中心に他の被用者保険全体の保険料負担で肩代わりする構図となるため、慎重な対応を求める意見があったことを付言する」と、これは前の文章ですが、それ以来ずっと変わっておりませんので、ぜひ追記していただきたいと思います。

 それから、もう一つは26ページ3行目です。「一定の事業費負担を導入することを検討すべきである」と断定されています。これは前回私がいないとき議論になったと聞きますが、経営者の立場からすると、これは容易に受け入れられるものではないために、文末を「検討すべきとの意見があった」ということで、「すべきである」という断定ではない形に修文してほしいと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、検討させていただきます。

 他にいかがでしょうか。はい、赤井委員。

〔 赤井委員 〕 社会保障のところは、例えば22ページとか25ページの子育てもそうですし、27ページのところにもあるのですが、消費税率が引き上げられるとともに手厚いサービスを行うというところの文章がいくつかありまして、これは事務局に聞いた方がいいのでしょうか、引上げが延期された場合には、この手厚い社会保障の部分は切り離されて議論されるのか確認です。

〔 吉川分科会長 〕 そのあたりも流動的だと私は思っておりますが、事務局から補足があればお願いします。

〔 太田次長 〕 事態がどのようになるのかわからないというか、流動的なので、現時点でそれを前提にしてお答えするというわけにはいきませんが、いずれにせよ、仮にそのようなことがあれば、その財源に応じて社会保障をどうするかということを考えざるを得なくなるということは事実だと思っております。

〔 赤井委員 〕 はい。もしそうだとすれば、財源がない中で手厚くするということですから、そこのところは、必要性と財政健全化との鑑みの中で、より慎重に考えなければいけないという形の文章のトーンも重要かなと思います。

 以上です。

〔 吉川分科会長 〕 事態が変われば当然、文章も変わってくる。新たな問題が出てくるわけですから、その新たな問題についてどのように考えるのかという文章も書き込まなければいけないということだろうと思います。老川委員、お願いします。

〔 老川委員 〕 言葉がよくわからないので伺いたいのですが、23ページの27行目、介護の報酬の部分です。つまり、ここで言っているのは内部留保がありますねということで、それを少し見直したらいいのではないかということを言った上で従業員の処遇改善について触れていて、「その際、処遇改善については、処遇改善加算の拡充という形で報酬の基本部分とは別枠で設置することにより、事業者に追加の負担を求めることなく、また......」、ここの言葉の意味がよくわからない、どのようにしろと言っているのか。

〔 吉川分科会長 〕 働いている人の賃金に当たる部分は別枠で設置して上がるようにするけれどもと、そのような話だと思いますが、主計官の方から補足説明をお願いした方がいいかもしれません。

〔 宇波主計官 〕 ご指摘を踏まえて、もう少しわかりやすい文章にするように起草委員の方と相談したいと思いますが、ここは、先日ご説明申し上げたときに、基本報酬部分については収支差が大きいこともあって削減すべきであるということ、上の方、11行目のところに「▲6%の適正化」と書いてあります。このときに、そのようにして報酬を切ると収支差を圧迫したときに、それを処遇の引下げ、給料の引下げに使うのではないかというご議論があるのですが、そのようなことにはならないのだということを解説しています。つまり、処遇改善の部分は基本報酬とは別に、別枠の加算制度がございまして、こちらの加算制度の方は拡充する。それによって処遇改善はきちんとやるということでございます。そこの説明は、そのときのご議論を反映した文章にしているのですが、もう少しわかりやすくなるように工夫はしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 お願いします。細かいことですが、文章を切った方がいいかもしれないですね。

 では、他にいかがでしょうか。社会保障について何かご指摘があればお願いします。

〔 老川委員 〕 よろしいですか。いわゆる内部留保を再投資というのですか、つまり、貯め込んでいるだけではなくて、事業を、どこのところだったかな。

〔 吉川分科会長 〕 24ページの18行目あたり、つまり現に実施している事業に対して再投資をする、つまり新しく設備を拡充するとか、そのようなことをおっしゃっているのだと思いますが、「基本として......」とあって、それは私も賛成なので、これをもう少し強めるといいますか、「義務づける」と言ってしまうと強過ぎるのかもしれませんが、内部留保はそのままにしておかないで、必ず施設の拡充なり何なり、充実しなければならないようにするという趣旨のことをもっと表現を強めた方がいいのではないかと思います。

〔 宇波主計官 〕 かしこまりました。検討したいと思いますが、1点、事実関係ですが、ここは16行目のところに、「社会貢献活動の実施の義務化に当たっては」ということがございます。実は、内部留保を社会貢献活動に使えと、今おっしゃった義務化が既に閣議決定されております。ここの文章は、義務化のときに使う宛て先のことを、公費を使っているようなもの、つまりもともとの財源が介護保険の財源、公費を財源にしているわけでございますので、その使い道についても公費を充てている事業に使うべきだという文章にしておりますので、そこの趣旨がわかるように整理したいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 はい、佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 今の点なのですが、実は、この間まで行政事業レビューでもこの問題があがっていたのですが、少しこの内部留保の使い方だけは気をつけた方がよくて、「使え、使え」と言うと無駄なことにも使ってしまいます。社会福祉法人はその公益に即した事業は既にやっているはずだし、公費を充てた事業だって、本来はもう既にそれなりの財源を充てられているはずなので、無理に使えということになると、やらなくてもいいことまでやってしまうことになります。なので、そこは「使え、使え」ではなくて、「使い方の適正さというのも厳に精査すべきである」ということを念押ししないといけないと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。いかがでしょうか。はい、赤井委員。

〔 赤井委員 〕 私も一緒に行政事業レビューで議論していて、そのときに確認したのですが、この閣議決定の社会貢献活動の実施の義務化というのが、この文章の一つの根拠になっていると思うのです。この義務化も実際、収支差が高いから、それに使えという形ではなくて、適正な収支差のもとでそれを実施しなさいという意味ですから、適正な収支差以上に収支差がある場合は、必ずしもそれ全部を使うということを閣議決定しているのではないという理解だとも思うのです。しかし、もう現在貯まっているものに関しては仕方がないのかもしれないのです。だから、国庫返納とか、今後収支差を下げるということは含んでいるという意味で、閣議決定で必ずそれを全て使わなければいけないというところをどのくらい適用するかも注意が必要かと思います。

〔 吉川分科会長 〕 主計官、どうぞ。

〔 宇波主計官 〕 閣議決定上は、赤井先生がおっしゃったように、適正な水準の部分と、そうではない部分とを分けていなくて、全部の内部留保の使い道について、社会貢献活動の義務化というのがかかっております。ただ、適正な水準以上に利益が出ていること自体は非常に問題であると思っておりますので、そこはむしろ、他のところで、社福の利益が非常に高い、収支が大きいことに対してそのようなものが積み上がらないように大幅に引き下げる必要があるというのを、23ページの20行目前後の3行ですが、「社会福祉法人の内部留保が現在の水準から更に蓄積しないよう、特別養護老人ホームなどの報酬の基本部分を大幅に引き下げる必要がある」と書いているので、ここから先に当たっては、むしろ、必要以上に積み上がることがないようにしなければいけないということとセットで議論が展開されていると理解しております。

〔 吉川分科会長 〕 はい、ありがとうございます。では、他にいかがでしょうか。よろしいですか。では、また何か思いつかれたらいつでももとに戻っていただくことは結構ですが、全体としては先に進みたいと思います。

 次に、各論のうち「地方財政、文教・科学技術、公共事業」について、どなたからでもご意見をどうぞ。はい、佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 ちょっと意味がわからなかったので教えていただきたいのですが、37ページ24行目、地方財政計画において、地方税収を過少に見積もったとしても云々という話がありますが、これは、恐らく言いたいことは、地方財政計画において見積もられた地方税収をベースに基準財政収入が決まってきて、これをベースに地方交付税を配っている。ところが、景気がよくなって、仮に地方税収が上振れしたとしても、本当はその分だけ基準財政収入は増えているはずなので、少し返せと言いたくなるのだが、その部分は返さなくてもよくて、景気が悪くなって下振れたときだけは補てんしてあげるという非対称性があるのはいけないのではないかという議論は多分あったと思うのですが、恐らくその種の話をされているのではないかと理解しています。でないと、これは地方財政計画ですから過少に見積もるのは、自治体が勝手にやっている話ではなく、総務省が過少に見積もっているということになってしまうので、今申し上げたように、何か見積もった地方税収と実態が合わないが、見積もった形で交付税を配ってしまって、しかも今言ったような非対称性があるので、結果的に過大に交付税を配っていることが問題だと思っているのですが、違いますか。

〔 吉川分科会長 〕 主計官、ないしは起草委員、富田先生。

〔 富田委員 〕 ここは、おっしゃったように、ミクロ、つまり各公共団体の話ではなく地方財政計画の話なのです。いつも地方税収の見積りが下方バイアスがかかっているのではないか。それは、国が歳出について財源保証をしているので、地方財政計画で見積もられる地方税収について、適正な水準に見込むのではなく、どうしても下方にバイアスがかかってしまうという意味で書いているつもりです。ですから、見積りというのは、言われるように、地方財政計画における地方税収の見積りが決算に比べて小さくなったとしても、計画の方が小さいという意味です。あれでしたらもう少しわかりやすく書き直します。

〔 赤井委員 〕 ここの地方自治体がいろいろなインセンティブを持っているという話はたびたび行われるのですが、ここでの議論は、それとは違って、総務省のインセンティブの話に近いと思いますので、そのあたりの誤解がないような記述が良いと思います。

〔 青木主計官 〕 いずれにしても、中身をもう一度相談して文章をきちんとしたいと思います。富田先生がおっしゃったように、結果として過少であった場合に、それを補填というか、後で精算するということがないということはもちろんあって、そのような仕組みになっているものですから、もともとの税収見積りに当たって低めに見積もるインセンティブがあることをここでは申し上げています。

〔 佐藤委員 〕 もう1点、危機モードから平時モードに切りかえるということ、それで歳出特別枠は要らないと、これはいいと思うのです。ただ、新しいニーズとして、いわゆる地方創生の話が出てきている。34ページの上の方などにちょこちょことついているのですが、この地方創生についても、交付税というよりは交付金とか、他の枠で出てくることになるのかもしれないのですが、これはまさに頑張る自治体を応援するものであって、ばらまきという形での支出拡大は厳に慎むべきである旨は言っておかないと、またおかしな話になると思います。

〔 田近委員 〕 佐藤委員の言った箇所でもあるのですが、この建議で9ページ19行目、「「まち・ひと・しごと創生」を重要政策課題に位置づけ」となっています。ただ、その予算措置の検討は26行目ですが、「28年度予算編成過程以降とするべきである」というところで、この段階で財審の方が踏み込んで、ああすべきだ、こうだというのではなくて、基本的にこれは、先ほど岡本さんでしたか、「憂慮せざるを得ない」というのは少し甘いのではないかと。そこの文章は検討ですが、ここは、28年度以降を前提にしていますよという形で答えていると思います。

〔 吉川分科会長 〕 はい、続いて増田委員、岡本委員の順にお願いします。

〔 増田委員 〕 地方財政のところですが、34ページのところ、ここで例の法人事業税についての地方法人特別税を創設したときのいきさつが書いてあるのですが、昨年の税制改正で3分の1に縮減されたと。まさにここに書いてあるとおり、来年度の税制改正で、3分の1の縮減前の状況と同じような規模の偏在是正効果を持つ措置を講じることが必要であると。これは党税調に対して、ここの認識は、この表現で私はいいと思うが、とにかく強く言っておく必要があるということで、必ず超過税収に入っている自治体から偏在是正措置はきちんととらせると、その認識をしっかりと伝えることが必要だと思います。

 それで、その下のくだりなのですが、法人住民税についての地方法人税化が昨年行われたわけで、当然これも必要なことであったと私は思っているのです。だから、この文章は変わってくると思いますが、「消費税率の10%への引上げ判断がなされた場合に......」と書いてある。これは、先ほど来の事態の変化によって変えるわけですが、私はあえて先ほど言いませんでしたが、私自身は今回当然のことながら消費税率引上げをすべきだという立場に立っていまして、総論的に、先ほど何人かがお話しされたことは全く賛成です。ですから、そのことはあえてつけ加えなかったのですが、地方公共団体では、さらに言えば、当然10%に引き上げることで地方の様々な個別の自治体の財政の将来の道筋は既に考えているわけですから、これは企業と全く同じなので、そこが大幅に狂うと。

 それから、社会保障との関係で言っても、子ども・子育てなどの関係について大幅に計画を変えていかなければいけないという様々な問題があります。そのあたり、ちょうど今月号の発売の『文藝春秋』にもいろいろ書いておきましたが、発売になったら1日程で何か引き上げないみたいな報道が流れて、もうほとんど1日ぐらいの効果しかなかったのですが、あそこに書いてあるように、計画的に財政をこれから健全化させなければいけないと思っている自治体にも極めてマイナスな影響があるということを、何かの形で伝えておきたいです。この中の文章でどうのこうのということではありませんが、財政を健全化させる上でも、非常にこれはマイナスであるということをこの場でしっかりと表明しておきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。それでは岡本委員。

〔 岡本委員 〕 56ページなのですが、この「地方の活性化」というタイトルで読んでいきますと、15行目に、「高度医療施設や大学等の高次の都市機能を集約」、要するにコンパクトシティ化を効率的にということが書いてあるのですが、前に増田委員がいろいろお話しされたのですが、やはり仕事とか稼ぎとか、その場所で確保されていかないとなかなか発展しないことを受けますと、「企業」というものをこの中に入れたいと。「高度医療施設や大学等」だけだとそんなに雇用等は図れない。私が思いましたのは、それをもう少し読み進んでいくと、「都市計画や建築に係る規制や税制の見直し、国公有資産の最適利用の推進など、各種のツールを総動員していく必要がある」と書いてあります。この後にでも、一つの観点といいますか、「そうした中で企業が活躍できる場の提供をすることは当然のことであるが」等、企業がもっと地方でも頑張らないといけないということを入れた方が、この「活性化」につながるのではないかと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 具体的なご指摘ありがとうございました。その関連で、小林委員。

〔 小林委員 〕 今の関連でお伺いします。企業というのは、もともとそこにある企業を念頭に置いておられますか、それともよそから来る企業を念頭に置いておられますか。

〔 岡本委員 〕 後者です。

〔 小林委員 〕 了解しました。

〔 吉川分科会長 〕 老川委員、お願いします。

〔 老川委員 〕 質問と意見と2つあります。1つの質問は、41ページから42ページにかけての少人数学級の問題です。35人学級はその効果が必ずしも明らかではないということです。前にご説明を受けたときは、だから40人学級に戻すべきだと、このようなニュアンスのお話だったように思うのですが、ずっと読んでいくと、そこのところがなくて、42ページの17行、18行目、「上限である「小一35人学級」を継続するのであれば、その効果が客観的に国民に示される必要がある」というかなりモデレートな表現になっているのですが、これは何か事情があってそうされたのですか。

 それから、公共事業の関係で、55ページ18行目、「職業教育の在り方といった、より大きな枠組みでの議論も必要な問題であるが、建設業を維持するために」と、せっかくこのような議論が必要だということを言いながら、「が」でつなげてしまうと話がどっちに行ってしまうのかわからない。そこで「必要である」で切ってしまって、「ただし、公共事業を増額するような財政的余裕はない以上、こうした厳しい見通しを踏まえた現実的な対応が必要だ」とすべきです。教育の問題と当面の公共事業の事業量を増やすとか、増やさないということとは別の範疇に入る話だと私は思うので、これを「が」でつなげてしまうと、せっかく言っていただいた話がどこかに消えてしまう気がします。

〔 吉川分科会長 〕 1点目のご質問ですが、井藤主計官にもお答えいただきますが、その前に、第一に、35人、40人学級の問題というのは、委員の皆様方、ご存知の方も多いと思いますが、世間で耳目を集めたイシューです。そのようなこともありまして、私も事務局の方々と少し議論をいたしました。私の理解は、いわゆる文科省とか、そうした関係の方々は、「効果もあるから35人上限にすべき」という議論をやっているわけです。私たち財審は、まず一番大きい問題としては、実態としての平均のクラスのサイズという問題もありますが、それはさておき、「35人にしろ」という議論に対して「その効果は必ずしもないではないか」という議論をしたわけです。私たち財審の立場というのは、皆様方もそうだと私は信じていますが、いわゆるエビデンスベーストできちんとした議論をすべきだ、単なるスローガン等でいろいろなことを決めるべきではないということです。

 私の理解は、今の段階で40人学級の方が35人学級よりも教育効果が上がるというエビデンスも必ずしもない。しかし、外からは35人にすべきだ、その方が教育効果があるのだという風が今吹いているわけです。繰り返しになりますが、それに対するハードエビデンスはないではないかということ、ある意味ではそれで十分なのではないか。なぜなら、40人にすべきというときに、40人の方がベターだというハードエビデンスも、少なくとも今の段階ではないわけですから、財政等を見ながら、今後もっとエビデンスを積み上げてこの問題はみんなで考えていくべきではないか。その点では、もちろん文科省にそれを「やれ、やれ」と言う人たちに対しては、そのエビデンスというのは必ずしもないと、そのようなやりとりを事務局ともしたということがございます。

 それから先は井藤主計官にもご説明いただけたらと思います。

〔 井藤主計官 〕 この点につきましては、42ページの注の37番にありますが、私ども財審の資料で指摘したデータは一つのデータなので、世の中これだけで全てを語れるのかというご批判があるのも事実でございます。我々がもともと言いたかったのは、まさに、吉川会長がおっしゃったとおりのことであり、資料全体を通して見ていただければわかるのですが、この部分にそこまで着目しているということではなくて、前のページにもありますが、結局もはやG8で比べても、教員生徒比率は十分に良好な状況になっている。そうした中で、これ以上児童に対する教員の数を増やすという政策はとり得ないのではないか。これを増やさないような効率化努力を求めるというところが主眼でございますので、そういったことを考えれば、吉川会長がおっしゃるような形が、財審としての報告書はよいのではないかと考えているということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 よろしいでしょうか。

〔 老川委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 関連でしょうか。赤井委員。

〔 赤井委員 〕 今の点で、私もこの書き方でいいと思うのです。その理由としては、今現在、小学1年生だけ35人学級が入っていて、もともと文科省は、それだけ膨大なお金を使ってでも小6まで全部入れたいという方針を一度掲げていたのです。ただ、小1に入れた後、おそらく明確な成果が上がっていないというのも理由だと思うのですが、その後小2、小3と拡大していません。ただ、加配はあって、小学2年生から6年生は、やろうと思えば35人学級もできるし、効果が薄いと思えば、代わりに別のスタッフを雇っていい教育ができるという自由度があるわけです。ですから、逆にここで言っているのは、小学校1年生で35人学級を強制して得られるメリットよりも、学校側や自治体側に自由度を与えればもっと高い教育効果が得られるのではないかということで、そのような視点を提示するのは間違いないのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 はい。私もこれに関わったものですから、35人、40人というのが、上限規制であるということも必ずしも世の中では十分には理解されていないのです。普通の人という表現は少しあれかもしれませんが、日本中全てがそのような形で頭の中で35人か40人かという形で想像している方も随分いるわけです。そのあたりを、やはり財審、財務省としてはとにかく丁寧に説明していくということで、井藤主計官、大いに頑張ってくださっていると思っています。

 関連して、佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 教育に関連してですが、教育が他の事業と少し異なるのは地方自治体がやっていますので、政策の効果を見るときは時間の推移、経年効果ではなくてもクロスセクションで見ることもできるので、まさに今、赤井委員がおっしゃったように、加配や派遣教員については、ある程度地方にも裁量がありますので、逆に地方に裁量を与えて、いろいろなやり方をやらせてみせて、その成果をきちんと比較、考慮できるような体制を整えていく、その中でベスト・プラクティスを生み出していきましょうと。初めから35人はないし、逆に初めから40人もないでしょうというのはそのとおりだと思うので。思い込みではなくてきちんとエビデンスを集めて、その上で教育の質を上げていきましょうと、そのようなメッセージであればよいのではないかと思ったのです。

〔 吉川分科会長 〕 これはもう、ここにいらっしゃる委員の方、皆さん、全員そうでしょうが、まさか我々メンバー全員が教育の敵みたいにされたら我々の本意ではないわけで、ここにいらっしゃる方全員が教育は大事だと思われているわけで、本当に実効性があるかどうかということについてハードエビデンスで議論したいということが我々の立場だろうと理解しております。

 では、主計官、お願いします。

〔 井藤主計官 〕 今の点につきましては、まさに41ページの8行目の終わりからですが、「約6万人にも及ぶ加配定数について、地方における活用の自由度を高め、地域の実情に応じ、更に効果的と判断される配置を可能とすることにより、政策効果を高めるということも検討されるべきである」という記述をいただいています。その点、前段についてはご回答になっていると思うのですが、そこでいわゆる多様な政策の比較を検証して、さらにハードエビデンスを集めましょうというご提案については検討させていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 他にいかがでしょうか。赤井委員、どうぞ。

〔 赤井委員 〕 地方財政で一つ、教育で一つ、公共事業で一つ、意見を述べたいと思います。

 まず、地方財政に関しましては、初め佐藤委員からも少し議論が出た、37ページに「過少に見積もるインセンティブが」という言葉があります。インセンティブというのは、通常自治体の交付税の話が多いと思うのですが、その仕組みが結局は地方の予算の非効率とか、そのようなことにつながっているのではないかということがずっと議論されてきました。地方財政計画を抜本的に見直して考えるべきではないかということをずっと佐藤さんとも一緒に言い続けているので、ここの書きぶりは良いと思います。加えて、地方財政計画で本当に財源保障をしていく仕組みづくりがいいのかどうかを根本的に、長期的でもいいので考えていかないと、この問題は永遠に続くのではないかと思います。

 次に、45ページのところで統廃合の話です。45ページの24、25行目のところに、「地方公共団体が地域の状況に応じて地元の理解を得つつ、学校規模の適正化に向けた取組みの推進を」ということなのですが、地元が反対するときは、その実際の学校で教育を受けている生徒の思いではなくて、自分が卒業生だからとか、そこに残っている高齢者の人の思いみたいなものもありますから、実際学生のことをどう考えるのかとか、そのような誤解も解きながら、その地域に学校がなくなることが寂しいという高齢者の人がいれば、そのような人にはもっとその学校が地域のコミュニティの核になるような、つまり学校の再利用を促すという形でもう少し具体的に書いてもいいのではないかと思いました。

 それから、53ページの公共事業のところで、ここの20行目に先進的な地方公共団体の事例があって、「ここでは先進例があるのでそれを見習いなさい」と書いてあるのですが、先進的なところは、本当にそれぞれ細かい施設に関して、いつつくられて、今後どのくらいコストがかかるのかという細かいデータも出てきます。ここに書いてあるとおりなのですが、自治体は本当にさまざまで、小さい自治体とか、やる気のない自治体などは、いつつくったのかという台帳もあまりそろっていないということもあるので、「先進的なところを見習いなさい」というだけではなかなか進みません。そのような自治体間の格差を十分把握した上で、小さい自治体で十分なノウハウもないようなところにはノウハウを提供していくとか、自治体間の格差をなくす試みも必要になってくるのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。竹中委員、どうぞ。

〔 竹中委員 〕 いつも同じようなことを言うのですが、教育のところで、実は、特別支援校について今回は、というか、今までもそうですが、触れられていなくて、私自身は特別支援校が、彼らを働ける人に育てていくための基盤でもあろうと思っているのです。今回入っていないということで、逆に、少し戻ってしまって申しわけないのですが、30、31ページの障害福祉サービスのところに障害のある方の中から社会の支え手をきちんと生み出していくのだという趣旨をもう少し強く入れていただく、つまり多様な働き方の創出であるとか、働くことに向けたスキルアップ、能力向上に向けた取組とか。「サービス」という言葉だと、どうしても彼らは受け手だけであるというイメージになってしまうので。もちろん障害福祉サービスという1項目を設けていただいたのは大変私も感謝しているのですが、なぜ設けたかというのが、何となくサービスの充実みたいにとられてしまうと、それは大きく違っていて、彼らの中に眠っているさまざまな能力を引き出すためにこそ、まずサービスが使われて、そのサービスがあって初めて本当にそのようなことができない、つまり、社会の支え手になれないという、真に必要な人のための予算が出てくると思うのです。この循環をそろそろ明確にしましょうというのが、いつも私の意見なので、ぜひ多様な働き方ができるようにとか、就業に向けて能力向上ができるように、つまり社会の支え手になれる転換、それに向けた、「サービス」と言葉で全部言ってしまうのがいいのかどうか、ちょっとわからないのですが、そのあたりも少しご検討いただいて、そのような書きぶりにしていただけるとうれしいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。今のご指摘も検討させていただきます。

 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。また、毎回申し上げていますが、戻っていただくことはもちろん結構なので、全体としての議論は、最後になりますが、各論のうち「農林水産、エネルギー・環境、中小企業対策、外交、防衛」について、ご意見のある方、どなたでもご発言をお願いいたします。では、増田委員、どうぞ。

〔 増田委員 〕 全然意見が出ないので、少し細かいことです。農林水産のところですが、60ページの下から3行目、例の農転の規制のところなのですが、この文章を読むと、「農地総量確保の在り方を見直す余地があると考えられる」と、非常に考え抜いた文章が書いてあるのですが、これはどこまでの表現なのか。私自身は、農地総量確保の在り方を変える、あるいはしっかりと検討するという立場に立っているのですが、この「在り方を見直す余地がある」というのは、単なる検討よりはずっと強いつもりで書いているのか、弱い表現で書いているのか、少しわからないので、あえてお聞きしたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 右か左かがよくわからないということでしょうかね。主計官、お願いします。

〔 高村主計官 〕 なかなか明確にお答えできるかどうかわかりませんが、我々の問題意識は、最初の農地のところの14行目に書いていますとおり、単に今の農地をそのまま維持するのが政策としていいかどうかは、非常に大きな疑問を感じているわけです。どうしても自然体で減ってきているのですが、それをとにかく維持するのだという政策の方向性はどうかと。そのような問題意識の中で、地方自治体からも非常に建設的な意見も出ているので、農地の総量確保の在り方を考えていこうと。

 我々、財政当局なので、農地そのものの政策にあまり深い見識もありませんので、そこは農水省ともよく相談していかなければいけない中で、問題意識としてこのような形で提言をいただくのは非常に有用なことだと思い、このような表現にしているということでございます。

〔 吉川分科会長 〕 増田先生、どうぞ。

〔 増田委員 〕 ありがとうございました。いろいろご苦労された上でのことだと思います。これをどうのこうのというわけではないですが、私の問題意識は、いずれにしても耕作放棄地が非常に大量に発生していて、そこはもうかつて財政投資をやっているので、一言で言うと極めてもったいないと。しかも、これから人口動態が急激に減っていくところが非常に多いので、このようなことをずっと続けてきたというのは、この農地転用規制の部分が非常に大きいからです。財政当局の皆さん方というよりは、農水省本省の話であるでしょうし、我々がその点についてもっともっと厳しく言っていくことが必要なのだろうと思いますが、常にこの在り方を積極的に見直していかなければいけないという立場に立って、こちらからもいろいろプレッシャーを与えておいてもらえればいいと、このような趣旨であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ちなみに、転用に関しては、合理的な転用というのはもちろんあると思いますが、転用した際に発生したキャピタルゲインに関しての何らかの政府としての処置がないと、農地がなかなか有効に農地として使われないという問題があるのだろうという認識を私は持っています。ありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。どうぞ。

〔 赤井委員 〕 何度も発言するのはどうかと思ったのですが、63ページのところで、エネルギーのときに私は参加できていなくて、そのときに意見を申せばよかったのですが、去年だったかどうか忘れましたが、太陽光は後々大変なことになるのではないかという意見を私は述べたのですが、それはチャレンジすべきだという意見もあって、それはそうかなと思っていたのです。20行目に書かれているように、「買取価格の設定が高過ぎるという意見が多く出された」ということなので、今後どうするかということもあるかと思いますが、ドイツでも高過ぎて後でいろいろな意見が出ていたということもあったので、今回これが失敗たったかどうかということを見極めるのは難しいかもしれないのですが、反省点はおそらくあったと思うので、そこのところを今後に生かすためにどうすべきなのかという視点があってもいいのかなということです。

 つまり、リスクをとってチャレンジした企業には当然、報酬がたくさん行ってもいいと思うのですが、これは長期契約なので、それほどリスクがないのにかなり利益が行ってしまった場合、市場構造に大きな問題があるということになります。今後、コンセッションのような形で政府が長期的な契約を結んでいくことが増えていくと思うのです。そのときに長期的な見通しを誤ってしまうと、リスクもないのに企業に利益をたくさんもたらすような長期契約を結んでしまい、結果として国民負担、財政負担をものすごく大きくしてしまいます。今後に向けて国がPPPとかPFIも含めてコンセッションで長期的な契約を結ぶときに、リスク分担とか、契約の在り方をしっかりと考えずにそのときの思いでやってしまうと、長期契約ですから後で変えることができないという意味でも問題が起きてしまうということの良い教訓になったと思います。こうした今後に向けた契約の在り方にも言及できればいいかなと思いました。場違いでしたら、もうそこは判断していただけたらと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。他、いかがでしょうか。中空委員。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。私は、小さいことなのですが、67ページにある中小企業の資金繰りのところで一つだけお話ししたいと思っています。この文章を読みますとスーッと読めるのですが、よく見ると中小企業へお金を貸してきた問題点というのは金融機関が悪いように見えるのです。金融機関が目利きや経営支援機能ができなかったから国が仕方なくやってきたと読めなくはない。本当は、もう2つ、大事な主体がいて、中小企業自身がきちんと自身の開示をしなければいけなかったということと、それに対して市場が適切にリスクに見合う金利をつける体制を整えなければいけなかったということ。投資家もいなかったということもあると思っています。ですから、この二つの大きな主体がどこかに感じられるともっといいと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。そのための検討をさせていただきます。老川委員。

〔 老川委員 〕 たびたび発言させていただきます。60ページの上の方の食料自給率、あるいは「食料自給力」の問題です。考え方に混乱があるような気がするのです。つまり、「自給率を伸ばすという視点よりも、むしろ、海外からの輸入が途絶したような状況」でと、このような表現になっているのですが、食料自給率の議論、これも有事のときに備えて自給率を高めておこうという議論だったと思うのです。だから、ここで言いたいことは、平時において輸入作物の国内生産を一生懸命やるよりも、それはそのままにしておいて、有事のときに、現在違う作物をつくっているものをそっちに切りかえるとか、何かそのようなことを考えるべきだと、このような意味なのだろうと私は思うのです。

 そうであると、こう言ってしまうと、何か対立している印象を受けるので、どのような表現にしたらいいのかわからないのだが、輸入している作物の生産拡大を図ることにより自給率を伸ばすと......。

〔 吉川分科会長 〕 おそらく、ここでの問題意識は、何かあったときに日本の国として国民が十分に食べていかれる、栄養確保できる、生きていかれるということが大事だと。その際に、従来の、とりわけカロリーベースの自給率という概念が本当に正しい概念なのかというのが問題提起で、それよりも日本の農業は、カロリーベースの自給率を旗印にいろいろな政策を考えているうちに、しばらくしたら、そもそも後継者がいなくなってしまい、農業自体が消えてしまっていたということでは元も子もないではないかということから、ここでは「食料自給力」という概念のもとに足腰がしっかりとした農業をつくり直さなければいけないと、それが財審の議論してきたコンセプトだと思うのですが。

〔 老川委員 〕 おっしゃることは私も全く同感で、「食料自給力」を重視していくことには賛成です。ただ、この表現だとよくわからなくなってしまうと。だから、今会長がおっしゃったようなことをもう少し丁寧に砕いておっしゃったらどうかと。

〔 吉川分科会長 〕 「食料自給力」というコンセプトはよろしいということですね。

〔 老川委員 〕 もちろん。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。

〔 老川委員 〕 そのような意味で、前段の3、4行目の表現がわかりにくいということが1つ。それから、その後の8、9行目の「この「食料自給力」は、農地等の農業資源、担い手となる農業者、農業技術といった要素により複合的に定まるとされているが」とあるのですが、これは別に自給力の問題でなくても全部そうなので、むしろ「要素を複合的な観点から検討することが必要であって」と言い直したらどうかと思います。というのは、この自給力、つまり有事のときに切りかえてやっていくといっても、これは簡単な話ではないわけです。相当な力技が必要だと思うので、そのようなことを平時から考えて、総合的に計画を立てておく必要があるでしょうと言いたいのだと思うので、その辺りをもう少しわかりやすくおっしゃったらどうかというのが私の意見です。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。具体的なご指摘、どうもありがとうございました。起草委員の先生方にも、この点を加味して改稿していただければと思います。他にいかがでしょうか。黒川委員。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。全体にわたることにも関係するのですが、それでもよろしいでしょうか。先日も障害者の問題について発言させていただいたのは、1つには、府省横断的な対応をしていくべきだということが趣旨で、その例にもなるかと思います。教育の段階から労働、先ほどから出ているお仕事をしていくスキルを与えることがその方々の幸せになると。そのような問題や介護等の社会保障が複合的になっている。だからそれぞれの政策を横断的にあわせて対応しなければいけないということです。

 その他に、思いついたこととして、まず過疎地における少人数の小学校や中学校が結構ある。教員の配置や効率性という観点から見ると、一人あたりの教員数がすごく多くなっていて、教員全体の数を押し上げているという問題もある。

 その問題について、どうするのかというと、今までだったら文科省に任せておけば統廃合を検討するわけですが、実を言うと、統廃合することの前提には、どうしてそのような過疎地においても子どもたちがいるのか。それは親がそこで就業しているという問題もあります。ということは、まず親の居住地と仕事という問題も解決していかないと、要するに、そこからもう少し都心に出ていくとか、もう少し子どもたちの多いところで住むように移動すれば、過疎地における根本的な子どもたちの問題は解決するわけです。

 ということは、文科省だけではなくて、経済産業省と地方自治体、それから、先ほどから言っているコンパクトシティということになりますと、それ以外のいろいろな問題が関係してくる、あるいは地方再生も関係してくる。それが小学校、中学校の過疎地における少人数学校の問題を解決することにもなる。だから、これも横断的に捉えなければいけないことだと思うのです。

 それから、今思いついているのは、過剰米の問題を、今までであれば、国際経済学の基本のように、価格に反映されますから、限界費用が高いところではつくらない方がいいということなのでしょうが、もっともっと世界を見渡せば、栄養不良で亡くなる子どもたちが本当にいっぱいいるわけです。日本の農地でつくらないという政策ではなくて、つくってそのような子供たちにそのお米を現物給付として渡すことはできないものなのか。少しはやっているのかもしれませんが、それを大々的にやっていくとなると、外務省と農水省が一緒になって考えてみる。それをしないとそのようなことはできないわけです。

 そのようなわけで、私が最後に言ったのは、いろいろな制度の壁があるのかもしれませんが、府省横断的、あるいは一緒に考える政策をやっていくことが大切なのではないか。それを全部見るのは、このような場が一番よくて、私自身も勉強になりましたし、全体的な政策を考えていくのが必要だということは財務省が一番わかるわけですから、財審としては、前文かどこかに、少しでもいいから推奨していただけないかと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。ただ、先生、3番目の米の話は、私も経済学者なものですから経済学者的に言いますと、途上国の飢えた子どもたちにと、それはもちろん結構なのですが、その場合でも、日本は比較優位を持ったものをつくって、それで生み出した価値で米の生産に適したところの米を買ってODAとして、アフリカでもどこでも送る、その方が比較優位というのが......。

〔 黒川委員 〕 いえいえ、もうわかります。わかっているつもりです。

〔 吉川分科会長 〕 私は、この議論をそんなに強くしたいとは思いませんが、恐らく、エコノミストから出るだろうと思います。富田委員。

〔 富田委員 〕 老川委員も無税国債のお話をなさったので、その関連で申し上げたいと思うのですが、最初に末澤委員が2018年の暮れになったら国債の半分は日本銀行が保有している状態だと言われました。そうなっても国債は減るわけではないのです。我が国民が返還しなければ国債は全く減るわけではないということを基本的に認識されるべきだと思います。それと同じで、無税国債になっても、償還すべき国債が減るわけでは全然ない。日本銀行に国債が移ることも無税国債の話も、結局はある場所にある資産が他のところに移るという話であって、特に無税国債の場合ですと、我々は何かへそくりのようにして、むだなお金のような意識で銀行に預けているのかもしれませんが、銀行はそれでもって貸し出しを行ったり、あるいは日本銀行に当座預金をしたり、あるいは国債を持っているかもしれない。だから、無駄だと思っているものが無税国債に変わるといっても、結局は家計が銀行で運用している預金が国債にかわっていくわけです。ですから、トータルで見れば、結局国債はずっと残るわけで、財政政策の結果として赤字の金額が決まるわけです。何を言っているかというと、手品みたいなことは何もなくて、結局はそのような大原則をもとにして考えるべきだということです。

 それから、老川さんとは、35人学級や食料のところは全く同じ考えなのですが、違うのは、先ほども言われた、長期的にはどうかという評価の軸を持つべきだと言われたのですが、この消費税の問題、まだ確定しているわけではないのですが、先送りするということは、宿題の期限を延ばす。期限を延ばしてもどんどん宿題がまだまだあるわけです。やはり、10%で終わるような生易しい高齢化ではなくて、果たして日本国政府に国債を償還する意思が本当にあるのかどうか。その意思を2015年度の国・地方PB赤字の対GDP比半減目標、そして2020年度の国・地方PB黒字化目標に託してきたわけです。

 いつ、どうなるかということはなかなか予見できないわけですが、そのような隙をマーケットに見せるようなことは避けるべきで、むしろ、長期的な観点からすれば、先送りという議論は基本が違うのではないか。だから、短期、長期の混同といったことと、ポートフォリオ・リバランスのことを考えれば、本当に無税国債は効果があるのでしょうかという問題です。

〔 吉川分科会長 〕 老川委員、どうぞ。

〔 老川委員 〕 後段の方は、さあ、どうしようかという議論のときは、富田先生がおっしゃる議論はわかるのですが、恐らくもう先送りになってしまうのですね。だから、なってしまう場合を踏まえてどう考えるのかを私は申し上げたわけで、1週間前の議論としてであれば、今おっしゃったのは十分議論されるべきだと思うのですが、先送りが決まってしまったときに、こうあるべきだったということを、もちろん言ってもいいのだが、それだけではここから先どうするのかということが出てこないというのが私の意見です。

 それから、前段は、私は無税国債と言いましたが、無利子ということは、利払費はかからない、このような理屈であります。それから、銀行に預けているお金がこちらに動くだけではないかというご意見ですが、私が申し上げているのは、そのようなお金ではなくて、現実に動いていないお金、銀行にも預かっていないお金、そのような資金を表に引き出して、それで国債を買っていただいて、それを資源にするということを申し上げているわけで、少し前提が違うのではないかと思います。

〔 富田委員 〕 すみません。現金のことをおっしゃっていると思うのですが、現金というのは日本銀行の負債でして、それで国債を持っているということですので、回り回れば同じことだということです。

 それから、先ほど言われた議論の前提について1週間で変わったというのはそのとおりかもしれませんが、まだ確定したわけではなくて、我々としては、この14ページにありますように、27年度予算においては、まずは国・地方PB赤字の対GDP比半減目標を確実に達成しなければならないことが前提です。この前提は、消費税率の議論の前に閣議決定し国際公約したものなので、極めて重要な前提だと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 お二人のやりとりの中であれですが、先ほどからお話ししているとおり事態は流動的ということなのですが、いずれにしても、どのような状況でも、我々の財審の報告書、建議の中で、「何々すべきだったのに」という「仮定法過去」の文章が入ることはあり得ないわけです。どのような事態にしても、新たな事態を踏まえて、その事態のもとで前を向いて、その時点から将来に向けてこうあるべきと。いずれにしても、過去を振り返った「仮定法過去」で、should haveといった文章が書かれることはあり得ないと思っています。

 それはそれとして、どうでしょうか、他に。板垣委員。

〔 板垣委員 〕 会長のせっかくのご発言なのですが、私は異論があります。それは、間違った選択をしたと思う方もいらっしゃるでしょうし、正しい選択をしたと思う方もいらっしゃるでしょうし、そのようなことも含めて自由に議論するのがこの財審の伝統であります。

〔 吉川分科会長 〕 もちろんそうですよ。

〔 板垣委員 〕 ですから、建議の中にも、その議論の収れん具合によって入ることはあり得ると思います。一度決まったこと、これからどうするのかということも、もちろん議論するべきだと思います。来週になれば全てわかると思いますし、総理が会見をして何を言うかもわかってくる。それを踏まえて予算編成がどうなるのか、越年になるのか。越年になるということは議論すべき時間がまだあるということになるので、今いろいろ出ている新たな案件についてしっかりと財審で議論するということではないでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 ここでの議論がいかなる意味でも掣肘が加えられることがあってはならないのは当然ですが、私ははっきり言いまして、報告書の中に、「仮定法過去」が入るのは変だと思います。ただし、消費税云々の議論でも何でもいいのですが、我々がよく知っている、例えばPB目標。こちらは日本の財政の将来を考えたときに、先送りすることができない目標なので、政府があるアクションをとった場合に、そうした目標が本当に達成できるのか、そのハードルは、むしろ政府にとって高くなるだろうと思いますし、財政がそれだけ厳しくなると思いますが、それはその時点でまた言っていくことになるのだろうと思います。表現として「仮定法過去」はちょっとどうかなと私は思います。

〔 板垣委員 〕 それはそれぞれの意見であって、僕はそれでいいと思います。ですから、私は議論をした方がいいと。

〔 吉川分科会長 〕 議論はもちろんそうです。

〔 板垣委員 〕 そのときに出た議論の流れによって、どのような言葉を書き込むのかは、この場で決まることであるだろうということです。

〔 吉川分科会長 〕 そのようなことですね、私は一人の委員として司会を仰せつかっておりますが、私は、「仮定法過去」は少し違和感があるということを申し上げたわけです。今の点でも結構ですが、いかがでしょうか。どうぞ。

〔 田近委員 〕 「仮定法過去」の議論というと、間違えたことを言ってしまうかもしれませんが、消費税率の引上げが先送りになったときに、議論するのでしょうが、財審としては財政健全化を粛々とやっていくべきだと。そのときに、消費税率が引き上げられることで今回の財審の答申でも、「引上げがされたときには」ということがあるわけです。そうすると、引上げができないときには、引上げを前提にしていた歳出の拡大を見直さなければいけないという議論は必要になってくる。それは「仮定法過去」ではないと。ある意味で、僕なりに板垣さんの議論を理解すると、例え決まったことでも財審で議論してもいいではないかということでおっしゃった気がしたのですが、それだけではなくて、今回の場合には、既に決まったことも、ある意味戻ってくる。それもまたこの場のまな板の上で現役の問題として議論し直すということも出てくるのだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 はい。

〔 板垣委員 〕 そのような理解です。

〔 葛西委員 〕 私は吉川会長の意見に賛成でありまして、「仮定法過去」の文章を書くことはあまり意味がないと思うのです。議論はあってもいいと思いますが、書くものはやはり、今の事実に立脚してどうしたらいいかということになるのだと思います。その場合、変数は消費税率だけというわけではなく、税収と歳出に40兆円以上のギャップがあったりするわけですから、そこのところも含めた全体の中でどう財政問題に対処していくかという議論に変わっていくのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか、黒川委員。

〔 黒川委員 〕 はい、ありがとうございます。私の今の「仮定法過去」の理解は、田近先生の意見に近いのですが、これまでのここに書いてあるところ、各省庁から要求が出ているのも、特に厚生労働関係は、2%上げることを、ある程度前提に要求されているようにも思えるわけです。その前提が崩れることになれば、そのような支出はできないという書き方をすると、それは「仮定法過去」にはなりませんよね。ですから、2%上がることが前提だったのでこのような支出だが、それはできなくなったと、そのようなことはかなり迫力もある。それは先送りしたということの原因でそのようなことになったのだということは明らかにすると。

〔 吉川分科会長 〕 私の例えが正確に伝わっていなかったかもしれません、言葉が足りなかったかもしれませんが、例えば、政府がAというアクションをとったときに、こうした報告書で、「Aはすべきでなかったのに」というのをそのものズバリで文章に書いてもあまり意味がないのではないか。政府がAというアクションをとる、あるいはとらなかった、それは委員それぞれでその評価は分かれるかもしれませんが、いずれにしても、政府が仮にAというアクションをとらなかったケースであれば、それをスタートとしては、私たちが財政に関する議論を新たにしていくということで、田近先生はそのようにおっしゃったと思いますが、黒川委員が今おっしゃったことは当然だし、その点について、板垣委員ともほとんどは重なっていると思うのです。板垣委員が、文章でも「Aをとるべきではなかったのに」と文字通り文章に書くべきだということであれば、そこは違うのかなと。

〔 板垣委員 〕 いや、それはこの中の議論の中で、大宗がそう思う議論がなされたならば、書かざるを得ないのではないですか。

〔 吉川分科会長 〕 そのようなご意見ですね。そこは率直に言いまして私は......。

〔 板垣委員 〕 あくまでもマジョリティであれば、それは仕方がないということであるわけです。

〔 吉川分科会長 〕 そこは意見の違いがあるということです。ただ、私が言わんとしたことはほぼ正確に伝わったでしょうか。

〔 富田委員 〕 「仮定法過去」に絡んでの確認です。2015年度の国・地方PB赤字の対GDP比半減目標を確実に達成しなければならないということは、消費税の議論云々なしに我々の旗印だと思うのです。この大前提は守らなければだめなので、くどいようですが、我々の共通の認識として持っておきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 もちろんそれは結構です。先ほどから若干あいまいさがあるのかもしれませんが、例えの中では、2015年の国・地方PB赤字の対GDP比半減目標とか、2020年度までの国・地方PB黒字化目標を守るというのは「仮定法過去」ではないと思っています。政府がAというアクションをとらなかった場合でも、国際公約ではないかとか、そのような議論はいろいろあると思いますが、いずれにしても、私の言葉使いの中では「仮定法過去」にはならないと思っています。

〔 小林委員 〕 実は今、富田先生がおっしゃったことを言おうと思っていました。つまりいくつか絶対に後退させてはいけないものがあり、それが2015年の国・地方PB赤字の対GDP比半減目標であり、2020年度までの国・地方PB黒字化目標です。それに向けて、消費税率の引上げが遅れれば当然ハードルは高くなるわけなのです。

〔 吉川分科会長 〕 そのとおりです。

〔 小林委員 〕 だから、その高くなっていることはしっかりと書き込まなければいけないと。そこは共通認識だと確認しておきたいという意味で今、ご意見を申し上げました。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。私は先ほどから自分の意見を申し上げていますが、小林委員が今、指摘されたことには完全にアグリーです。

〔 老川委員 〕 私も全く同感です。先送りされてよかったという人は、この中にいないと思います。しかし、そう決まってしまうと、決まったことによってどのようなことが生ずるか、つまり今まで上げることを前提にして組んできた計画が変わるわけですから、目標達成が難しくなることも考えられます。よって、このような点をもっとこうするべきだといった論理構成なら、僕はごく当たり前のことではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 倉重委員。

〔 倉重委員 〕 私は先ほど失望と怒りで言ってしまったものですから、それをあらわすためには、その政策判断がそれで正しかったかどうかについても言及して、皆さんの意見があれば、少数意見でもいいから付記した方がよろしいと思います。と申しますのは、ずっと長い時間、それを前提に全ての議論をしてきて、この一、二週間という流れの中で新たな事態に当然対応します。さっきおっしゃった趣旨で、そのような新たな目標ができれば、それについてどう切り刻んでいくかということをプロフェッショナルとして提言しなければいけないが、全体の大枠については、常に政府が決定した枠内でしか議論できないというのが財審の役割なのか。基本はそのようなことなのでしょう、政府から諮問を受けてやるのですから。政府の今回のこの問題についての考え方も、法的には決まっていて、10%にしないときは弾力条項で、「その趣旨として合うときには」と、そのような政策判断なのです。その政策判断が正しかったのかどうか、それは先ほど老川さんがおっしゃったように、もしかしたら、プラスになるかもしれない、あるいは、逆にマーケットでもしかしたら大変なことになるかもしれない。わからない段階でいろいろ議論してきた中で、その政策判断についていろいろな意見が出ると思うのです。それについては、とことん議論して、議論の経過については適切に報告書の中で反映してもらった方がいいのではないかと思います。

 それから、「仮定法過去」について、そういったものは前向きなこのような審議会の答申になじまないと言われるのも、取りまとめ役としてのお立場としてはよくわかるのです。しかし、取りまとめ役として、今のこの事態についてそれなりのご印象を持っておられると思うのですが、その辺のことについてもぜひ発信をしていただきたいという印象を抱いています。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。ちなみに、消費税に関しては、私はもちろん個人的に一経済学者として意見を持っております。それについては18日に点検会合が開かれるだろうと思っていますが、もちろん個人の見解として述べるつもりでいます。この財審の報告書ですが、先ほどからの「仮定法過去」ですが、私は政府がAというアクションをとらなかったことに言及すべきではないとは言っていないのです。文字通り文章として、「政府はAというアクションをとらなかった。これは間違っていた」という文章を報告書に書くのがどれくらい生産的か、あるいは自然なことなのかというと、やや違和感がある。ただ、Aというアクションをとらなかったことにより、例えば、PB目標でも何でもいいですが、それがこれだけバイ・イット・セルフとしては苦しくなるとか、そのようなことは事実なわけですから、こうしたことを報告書の中で淡々と書くことは十分にあり得ることだと思います。私は、文字通りにshould haveで、それを「仮定法過去」と言ったのですが、そのような表現を盛り込むのは、やや違和感があると。ただ、これは委員の皆様方とご相談いたします。別にここで結論が出たわけでもありませんし、委員の皆様方の中にもいろいろ考え方があると思いますし、流動的な事態の中でどうするかを議論して考えればいいのだろうと思っています。

 板垣委員、お待たせしました。

〔 板垣委員 〕 これは、建議というのは、そもそも誰のために書くのかという話なのです。諮問をするのは財務大臣であるが、僕自身の意識としては、ここで議論をするのは、財務大臣のため、時の政権のためではなくて、財政という形をとりながらサービスを受ける国民のためであろうと考えているわけです。ですから、議論の中で様々な対立する意見があったら、それは素直に建議に書き込むべきだと思っています。

 1つ、参考に申し上げます。麻生内閣のときにこの財審は何をやったかをご存知ない方もいらっしゃると思いますが、定額給付金に反対をしました。当時の部会長が記者会見でそれを述べました。既に決まったものに対して、それはいかんという決議をしているのです。それを考えると、私の感覚では、そんなに縛りのある審議会なのかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 縛りがあると言われると大変つらいところがあるのですが、そのようなつもりはなくて自由闊達な議論だと思っています。竹中委員、どうぞ。

〔 竹中委員 〕 財審は憎まれ役になっても、頑固親父と言われても、言うべきことを言う場とは違いますかということをお話しさせていただいたことがあると思うのですが、まさに今がそのような時かと思うのです。これだけみんなで議論してきたことに対して、先延ばしにする、しかもそれを解散で問うなんて何なのかと思っている人が多いのではないですか。だから、どの深さで共有できるかどうかは別にしても、またあしたの結果を聞いて、もっと怒りが高まるのか、おさまるのかわかりませんが、とりあえず今日の議論はそこでまとまっても全然おかしくないと思うし、財審はそうすべきだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。ただし、問題は、全てがここでの議論は憶測、何も決まっていないというのが現実で、憶測に対して私たちが拳を振り上げても。

〔 竹中委員 〕 いや、だとしたら、なおさら貫くべきです。なおさら、憶測に振り回されず、今まで私たちが語り合ってきたことを貫くべきだと。

〔 吉川分科会長 〕 もちろん。ですから、今の時点ではこれが素案なのですよ。それで、今日皆さんにこれをお諮りしているわけです。ただし、事態が流動化してきたので新たな問題が生じるかもしれない。先ほど事務局から補足していただいたわけですが、この建議というのは、基本的には予算編成に向けて建議としてこの財審から財務大臣へという話なのですが、予算編成自体のプロセスが流動化するかもしれないと、そのような状況なのです。それは今日時点の話です。葛西委員お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 同じことを繰り返しても仕方がないので。流動的であると同時に、その効果もまた流動的で、先ほど老川さんが言われたように、どのような形になってそれが経済に反映するのか、あるいは、財政に反映するのかも流動的なところがありますから、そこは、このような予定であったが、そうではなかったことが間違っていたとか何とかということをあらかじめ言ってしまうのは、自分の将来に対する生産性を縛ってしまうので、やはり生産的な議論を文章には書くべきだと思います。それは吉川分科会長にお任せして、起草委員の方がいますから、いろいろな議論を踏まえてまとめていただいたらいいのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 わかりました。この点については委員の間でも委員が分かれているということだと思います。板垣委員が、そもそも、このような答申にしても、建議にしても、形式的には大臣へということなのだが、最終的には国民に向けてのメッセージだろうというスピリットは共有します。ただ、もう一方で形式があることも事実なのです。そこをどのように考えるかという問題だと思います。他にいかがでしょうか。中空委員。

〔 中空委員 〕 時間もないので短くお話しします。言葉については私もお任せしたいと思います。皆様の意見を聞いていると、基本的には同じようなことを言っておられて、あまり違っていないと感じました。ただ、私たちは、27年度予算において、2015年度の国・地方PB赤字の対GDP比半減目標の確実な達成をコミットすることを大きく持ち上げるべきです。実は、メディアの人から、私は朝から、消費税率引上げ反対派の人たちが、仮に消費税率の引上げをしなくても、この2015年度の国・地方PB赤字の対GDP比半減目標は達成できるというシナリオがたくさん出ているようなのです。たくさん出ているのかどうか知りませんが、それについてどうですかと聞かれているのですが、中身を見ていないのでわからないのですが、そのようなことの確認を私たちはする必要があるし、基本的に、私は毎回、内閣府の言っている経済成長が果たしてできるのかという問題意識をお話ししてきました。私たちが言っている2015年度の国・地方PB赤字の対GDP比半減目標だって達成することができるかどうか、相当危ういという意識なわけです。そのような中で、消費税率引上げ先送りでも目標が達成できるというシミュレーションが出ているということですから、そういったものもかなり意識をして、やはりこちらが正しかったと思わせるような文言や数字等々をきちんと盛り込んでいくことを心がけなければいけないと思っています。

〔 吉川分科会長 〕 大体予定した時間なのですが、よろしいでしょうか。

 今日は、「建議とは何か」ということを考えなければならないような本質的な議論も出たと思っています。基本的に、今日の時点で何も正式には決まっていないのです。決まっていないのですが、我々の財審、この建議ということで言えば、想定外のシナリオの世界に入ったということだと思っています。先ほどから何回も申し上げているとおり、事態は流動的ということだろうと思います。

 今日は、細かい文言に関する建設的なご指摘もいただき、そこは適宜修文するということですが、それとは別の種類の大きな宿題を我々も抱え込んだというのは、先ほどからの議論で皆さんよくご存じのとおりです。ですから、これからどうするかというのが想定外シナリオで本当に流動的な中で、事態が変わって、その変わり方によっては、この建議の発表のタイミングとか、その他が変わってくる。もちろん、文章もこのままではまずくて、他のことも議論しなければならないということも出てくると思います。ですから、その場合には、また委員の皆様方としっかりと連絡をとらせていただいて、この建議のデスティネーションをどうするか、タイミングも含めて連絡を密にとらせていただくということで今日は引き取らせていただけないでしょうか。

 では、時間が参りましたので、本日の議論は一応終了とさせていただきます。

 それで、今の時点で私たちにできることは、このお手元の書類が一応、素案です。この素案について、大きな宿題はちょっと別にして、個々の論点について何人もの委員の方が具体的なご指摘をしてくださったと思います。また、今日これから、このようなところはこうした方がいいということを思いつかれることもあると思うので、そうした具体的なご意見は17日(月)の12時まで事務局にメールでお寄せいただきたいと思います。それは適宜、反映するということだと思います。そうしたご意見を踏まえて、これは起草委員の方々にご尽力いただいて、しかるべくこれを修文していく。

 ただ、繰り返しになっていますが、今後の予定は変更になる可能性もございます。その場合には、私が事務局と相談の上で、事務局から皆様方にもう一度連絡させていただきます。その宿題がどれくらい大きなものになるのか、それも流動的だと今は思っております。ただ、性質が違うものが二つあることだけは今日の時点ではっきりしていて、細かい個々の論点についての具体的な細かい修文と、非常に大きな宿題が出てくるかどうか、これは性質が違いますから、前者については月曜日の昼ごろまでにご意見をいただいて、起草委員の先生方中心に事務局で修文を行う。第2の大きな宿題については、スケジュール等も含めて、事務局と私が連絡をとらせていただいて、今後どうするかということを皆さんにも適宜ご連絡させていただくということでお願いいたします。

 では、本日の会議はこれで終わります。ありがとうございました。

午後 6時10分閉会

  

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