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財政制度分科会(平成26年10月27日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成26年10月27日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成26年10月27日(月)10:00〜12:35
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.社会保障について

3.文教・科学技術について  

4.閉会

配付資料
○ 資料1      社会保障マル2(年金、生活保護、障害福祉)
○ 資料2      文教・科学技術関係資料    

出席者

分科会長 吉川 洋           

大家大臣政務官
田中主計局長
岡本次長
太田次長
西田次長
寺岡調査課長
窪田法規課長
堀内給与共済課長
片岡大臣官房参事官
阪田主計官
余島主計官
白石主計官
冨安主計官
青木主計官
井藤主計官
宇波主計官
彦谷主計官
高村主計官
小野主計官
井口主計官
中山主計企画官
内野主計企画官

分科会長代理     田近 栄治  
 委員

井伊 雅子
秋山 咲恵
井堀 利宏
碓井 光明
岡本 圀衞
倉重 篤郎
黒川 行治
角   和夫
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
鳥原 光憲

 臨時委員

板垣 信幸
遠藤 典子
老川 祥一
大宮 英明
葛西 敬之
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美
中空 麻奈


  

午前 10時00分開会

〔 吉川分科会長 〕 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様にはご多用中のところ、ご出席いただきましてありがとうございます。

 本日は、「社会保障」及び「文教・科学技術」について、事務局よりそれぞれ20分程度で説明していただくこととしております。2時間30分の長丁場ですので、「社会保障」の質疑が終わったところで休憩を取りたいと考えております。

 なお、赤井委員及び古賀委員におかれましては、本日ご欠席のため、意見書をご提出いただいており、皆様方のお手元に配付しております。

 では、議事に移らせていただきます。まず、「社会保障」の2回目として、「年金、生活保護、障害福祉」について、彦谷主計官より説明をお願いいたします。

〔 彦谷主計官 〕 厚生労働第二担当主計官の彦谷と申します。私から、「社会保障制度」の2回目として、年金、生活保護、障害福祉の3分野について、説明資料1に基づいてご説明させていただきます。

 それでは、資料1の2ページをご覧いただければと思います。年金でございますが、まず平成16年改正で作られました年金制度の仕組みについてご説明いたします。ポイントは、少子高齢化の進展による支え手の減少を踏まえ、保険料収入、国庫負担等の負担を固定し、その財源の範囲内で給付額を自動的に調整することによって、制度の持続可能性を確保する点にございます。これはマクロ経済スライドと呼ばれる仕組みでございまして、被保険者の減少率と平均余命の伸びを勘案し、平均しますと年1.3%の減額調整が行われることになっております。

 3ページでございます。年金につきまして、16年改正以後、社会保障・税一体改革における議論を踏まえまして、基礎年金国庫負担2分の1の恒久化、低所得高齢者等への最大月5,000円の福祉的給付の創設等の改正が行われましたが、検討課題として、下にございます、マクロ経済スライドの見直し、高齢期の就労と年金受給の在り方等が残っており、現在、社会保障審議会年金部会におきまして、法改正も視野に入れた検討が行われているところでございます。本日は、これらの検討課題を中心にご説明いたします。

 4ページでございます。まず、今年の6月に公表されました財政検証についてご説明します。財政検証は、法律で5年に1回行われることとされておりまして、100年先までの年金財政と所得代替率を試算しております。今回の財政検証では、一定の前提のもとで将来の所得代替率が50%を上回るとされておりますけれども、本試算の前提条件であります賃金上昇率、名目運用利回りは、近年の経済環境と比較しますと高めになっている点に留意する必要があると考えられております。

 5ページをご覧ください。最初の検討課題でございます、マクロ経済スライドの名目下限についてです。マクロ経済スライドは、被保険者の減少率と平均余命の伸びを勘案し、先ほど申し上げましたとおり、年に1%程度の減額調整をする仕組みですが、現行制度では、調整は前年度の年金の「名目額」を下回らない範囲で行うこととされております。従いまして、物価・賃金の伸びが小さい場合には、調整額が小さくなり、物価・賃金が下落した場合には、調整が実施されません。調整が十分に行われないと、年金制度全体として、100年間の負担と受給をバランスさせる現行制度のもとでは、将来の年金受給者の年金水準が下がり、将来世代の年金確保や世代間の公平性の面から問題が生じます。

 6ページでございますが、年金特例水準についてご説明しています。平成12年度から14年度にかけて、物価が下落したにもかかわらず、受給者に配慮して年金給付額が据え置かれました。据え置かれた水準は物価上昇時に調整するとされておりましたが、物価が上昇しなかった結果、この状態は10年以上続き、ようやく平成25年度以降、3年間かけて、別途法律によりまして、本来水準への引下げが行われることになりました。この間、年金水準が本来の水準より高く据え置かれたため、年金受給者は累計で8兆円規模のいわば「もらいすぎ」の状態となりました。さらに、特例水準が解消されるまではマクロ経済スライドが適用されないとされましたので、現時点の年金受給者の受給額は、当初想定されましたよりも大幅に高い水準となっているのが現状でございます。

 このことは、7ページのグラフを見ていただくと明らかでございます。赤い線で示されております平成16年財政再計算では、2014年度、今年度の所得代替率は54%まで下がると見込まれておりました。現実には、緑の線にありますように、所得代替率は逆に高まり、62.7%となっております。これは、低成長とデフレ基調の経済環境が続いたために、当初想定されました年金特例水準の早期解消とマクロ経済スライドの適用がなされなかったこと等によるものでございます。平成26年財政検証では、一定の経済成長が続き、物価も上昇基調にあることが前提とされているため、マクロ経済スライドがほぼフルに実施され、将来世代の所得代替率が50%を上回る結果が出ております。しかしながら、成長率が鈍化した場合や、物価上昇率が低くなった場合には、この仕組みが想定されたようには機能せず、結果的に将来世代の所得代替率が50%を下回ることが想定されます。このようなことから、将来世代の所得代替率を高め、世代間の公平性を確保するためには、マクロ経済スライドの名目下限の撤廃が必要ではないかと考えております。

 8ページでございますが、2つ目の検討課題として、高齢者の就労と年金についてご説明します。厚生労働省は、今年の財政検証のオプション試算としまして、現在60歳までの40年間である基礎年金の保険料拠出期間を65歳までと5年間延長し、あわせて国庫負担も増額することによって、年金受給額が増額されるという考え方を示しております。この試算では、将来の所得代替率が6%程度上昇し、57%程度となることが示されております。しかしながら、このような考え方には問題点が多いと考えております。

 9ページをご覧いただきますと、1つには、保険料拠出期間を延長した場合に、国庫負担2分の1がつくことによって、将来の国庫負担額が増え、将来の現役世代にとって過重な負担になるのではないかと考えております。平年化後の国庫負担の増加は、15%程度と見込まれます。

 今後、年金受給者がさらに増加し、支え手が急激に減少することによって、10ページにございますように、1人の現役世代が1人の年金受給者を支える構造に近づくことを考えますと、国庫負担を増やすことは、将来の現役世代に過重な負担となり、厳に避けるべきではないかと考えております。

 また、11ページにございますように、今後、急激な高齢化により、医療・介護に要する社会保障給付は、経済成長を大きく上回って伸びてまいります。こうした中で、年金につきましては、平成16年改正の枠組みに基づき、固定された保険料や国庫負担の範囲内で給付を行うべきであり、将来世代の負担額を増加させることは適当でないと考えております。

 12ページをご覧いただきたいと思います。保険料拠出期間の延長には、もう一つ大きな問題がございます。このページには、現在の高齢者の就業状況を示しております。60歳代前半では、就業率が大幅に低下し、無業者が4割となり、また、無業者以外の非正規の方も含めますと、無業者又は非正規の方が相当多数を占めます。このような者の多くは、退職金をもらって働かないことを選択している者も含め、制度上、保険料支払いの免除者となることができます。免除者となった場合には、追加的に保険料を支払わなくても、国庫負担のみによって年金受給額が増えるという歪んだ制度となります。免除制度は、年金という保険制度にとってあくまでも例外的なものであり、免除制度を過半数の者が適用し得る層に保険料支払いを義務化することは、保険制度の本質に反するものではないかと考えております。高齢者の就業状況が今後大きく変わる中で、就業者に負担を求めることは当然でございますし、企業で働いている60歳代の方は、今でも厚生年金保険料を負担しております。しかしながら、現在の就労実態を踏まえますと、現行制度を前提とした保険料拠出期間の延長による拠出の義務化は、問題ではないかと考えております。

 13ページをご覧ください。少子高齢化がさらに進展し、年金の支え手と受給者の割合がほぼ1対1に近づいていく中で、また平均寿命が伸びている中で、支給開始年齢の引上げを真剣に検討する時期が来ていると思います。このページでは、年金受給期間が延びていることを示しております。1961年の国民年金の創設時には、支給開始年齢と平均寿命は、ほぼ同じでございました。これが平均寿命が伸びる中で、国民年金の支給開始年齢が変わらないため、現在では、平均寿命と国民年金の支給開始年齢の乖離は、男性で15年程度、女性で22年程度となっております。

 14ページにございますように、諸外国でも、近年、年金受給開始年齢の引上げが実施されております。我が国は、厚生年金報酬比例部分の受給開始年齢を65歳に引き上げることに、ようやく取りかかったところでございます。引上げ決定から実施までに相当な期間を要していることを考えれば、高齢者雇用の環境整備とあわせて、年金支給開始年齢の更なる引上げを早急に検討する必要があると考えております。

 15ページには、その他の論点を示しておりますが、引き続きの検討課題でございますので、説明を省かせていただきます。

 16ページでございます。まとめでございますが、少子高齢化により、年金を支える現役世代と受給者がほぼ1対1の関係に近づいていく中で、将来にわたって現役世代の負担を増加させることは、厳に避けるべきでございます。そのためには、マクロ経済スライドの名目下限の撤廃が必要だと考えております。また、保険料拠出期間の延長による国庫負担の増加は、厳に避けるべきでございます。他方で、支給開始年齢の更なる引上げについて、早期の実施を検討していく必要があると考えております。

 続いて、生活保護でございます。18ページに現状を示しておりますが、生活保護の被保護人員は、現在216万4,000人でございます。失業率の低下等により増加傾向に歯止めがかかりつつありますが、依然として過去最高の水準にあります。

 19ページでございます。生活保護の被保護人員の急増などを踏まえ、これまで生活扶助基準の適正化、医療扶助の適正化、あるいは、不正受給対策の強化などが行われております。生活保護の本体部分に当たります生活扶助基準につきましては、一般の低所得者、すなわち、第1・十分位の層の方の生活費と比較して、水準の見直しが行われております。

 しかしながら、20ページにありますように、住宅扶助基準につきましては、このような見直しが行われておりません。この結果、多くの市町村におきまして、低所得者世帯の支払っている家賃を大きく上回る住宅扶助の基準が設定されております。27年度予算編成では、この見直しが必要だと考えております。

 21ページでございますが、27年度予算編成のもう一つの課題でございます、冬季加算の見直しでございます。冬季加算は、冬季に暖房費等が増額することを踏まえて設けられたものでございますが、過去40年間大きな見直しが行われておらず、実際の消費動向等を踏まえた引下げが必要だと考えております。

 22ページ以降でございますが、生活保護の制度見直しについての論点を示しています。

 1つ目は、失業率が大幅に低下しているにもかかわらず、稼働世帯を多く含む「その他世帯」の保護脱却が図られていないという問題でございます。失業率の低下に伴い、その他世帯の保護開始は減っておりますが、保護廃止割合は横ばい、むしろ減っているのが現状でございます。これまでも、就労活動促進費の創設などを行っておりますが、効果はあまり上がっておりません。一層の取組が必要だと考えております。

 23ページも1つの論点でございますが、医療扶助の更なる適正化でございます。医療扶助は、生活保護費の約半分を占めております。病気であることと生活保護受給者にとどまることが相互に連関し得るため、不要不急の医療扶助が生じている可能性があるのではないかと考えております。これまでも様々な取組を行っておりますが、さらにこのような取組を強化していく必要があると考えております。

 また、24ページでございますが、生活保護の医療扶助の後発医薬品の使用については、原則化とされておりますけれども、まだまだ水準が高い状態ではございません。生活保護の趣旨も考えますと、効能が同じ後発医薬品が存在する場合には、後発医薬品を基準として医療扶助の単価を設定すべきではないかと考えております。

 25ページには、生活保護についての論点を整理してございます。就労を通じた保護脱却のインセンティブが一層働くようにするため、大きな制度見直しも含めて検討すべき時期が来ていると考えております。例えば、生活保護受給の更新制を導入し、保護の必要性を厳格に判定することや、就労支援を正当な理由なく拒否した場合の保護費の削減といった仕組みも、検討に値するのではないかと考えております。

 26ページでございますが、これは少し別の話でございますが、27年4月から導入されます、生活困窮者自立支援制度でございます。この制度は、生活困窮者を生活保護に至る前段階で支援するものでございます。

 27ページにございますが、この制度は、ただいま申し上げましたように、制度目的が生活保護に陥るおそれのある者の自立促進ということでございますので、現実にその効果を上げることができるのかを検証することが必要だと考えております。また、制度開始初年度におきましては、具体的な効果を事前に検証できないため、まずは生活保護の見直しによって財源捻出をすべきではないかと考えております。

 最後に、障害福祉についてご説明します。29ページでございます。障害福祉施策のこれまでの変遷でございます。平成15年度に、それまでの措置制度から、利用者がサービスを選択できる支援費制度に移行しました。平成18年度に自立支援法が施行され、介護保険のような応益負担が一定程度導入されましたが、その後、応益負担の是非が議論され、見直しが行われました。

 30ページでは、障害福祉関係の予算の全体像を示しております。27年度概算要求額は、前年度比8.7%増の1兆6,300億円余となっております。最近の推移を見ますと、平成22年度以降、毎年10%弱の伸びを示しており、6年間で5割以上の伸びを示しております。障害福祉関係の予算の多くは、国が2分の1、地方が2分の1を負担するので、26年度の公費ベースでは、約3兆円の予算規模となってございます。予算の伸びは給付費の増と直結しておりますので、別の見方では、この間に障害関係のサービスの充実が大幅に図られたものと言えます。

 次の31ページには、障害福祉サービスの具体的なサービス内容を示しております。サービス内容としては、自宅で身体介護や身の回りの介護等を行う居宅介護、日中に施設で介護等を行います生活介護、施設で夜間に介護等を行います施設入所支援といった介護保険に近いサービスが7割程度を占めるほか、一般就労等を支援する就労関係のサービスがございます。これらのサービスの多くは、障害支援区分に応じたものとなっておりますが、中には支援区分に関係なく利用できるサービスがあるなど、支援区分とサービスとの関係が必ずしも明確ではないという課題がございます。

 32ページでございますが、障害福祉関係の予算の伸びの要因についてご説明しています。実利用者一人当たりの年間費用は、5年間で16%伸びて、一人当たり226万円となっています。それに対して、実利用者は40万人から68万人に7割伸びておりまして、予算額の伸びは実利用者数の増加によるところが大きいと考えております。また、サービスを提供する事業者数は、6年間で約9割増加しております。この間、制度改正があったことを考慮しましても、事業者数の増加が実利用者数の増加につながっているものと考えております。

 33ページには、事業所の実態を示しております。全体としては、介護保険と同様、社会福祉法人の割合が多いですが、サービス別に見ますと、居宅介護など訪問系サービスは、営利法人の割合が多く、これらの事業所については、介護保険のサービスを提供する事業所と重なっているものも多いようでございます。

 34ページには、障害福祉サービスの利用者負担を示しております。18年度には、1割負担を原則としつつ、所得に応じて上限を定めておりました。その後、累次に渡り負担軽減措置がとられております。22年度以降は、低所得者のサービスの無料化が図られ、最近の実態では、利用者負担は0.23%、負担のない方の割合が93.3%となっております。

 35ページでございますが、27年度には、障害についても報酬改定が予定されております。利用者数が急増する中で、サービス内容や事業所の運営主体が介護保険と類似していることも踏まえれば、介護保険と同様の考え方に立って、経営状況等に基づき報酬水準の適正化を図る必要があるのではないかと考えております。他方で、職員の人材確保が重要な課題でございますので、財源確保をした上で、更なる処遇改善を進める必要があると考えております。この他、対象となる難病の拡充や行動障害への対応など、サービスの充実も図る必要があると考えております。

 36ページでございますが、障害福祉につきましては、身体介護などの支援のほか、就労支援という重要な課題がございます。障害者の雇用につきましては、法定雇用率が定められており、平成25年度に、従来の1.8%から2%に引き上げられました。この法定雇用率の達成を促すため、障害者雇用納付金制度が設けられております。これは、雇用率未達成の企業から、達成できない状況に応じて負担金を徴収し、達成している企業に調整金を支給する制度でございます。最近の雇用率の実態を見ますと、近年、雇用率の上昇が見られているところでございますが、現状では、実際の雇用率は法定雇用率を下回っており、引き続き多面的な取組を効率的に進める必要があると考えております。

 37ページは、まとめのページでございますが、障害福祉サービスにつきましては、真に支援を必要とする障害者の方に対して必要な支援を確実に行き届かせるとともに、サービス提供を効率的なものとすることによって、制度を持続可能なものとすることが重要だと考えております。

 平成27年度においては報酬改定が予定されておりますので、先ほど申し上げましたような考え方に立って、報酬水準の適正化を図る必要があると考えております。

 また、28年度に向けて、総合支援法施行後3年を目途とした見直しが予定されております。この見直しに当たっては、障害福祉サービスの現状を踏まえ、自立や就労を支援するための効率的なサービス提供の在り方、必要な支援の度合いに応じたサービス提供の在り方、制度を支える財源や負担の在り方についても、様々な観点から議論が尽くされることが必要ではないかと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関して、ご意見、ご質問お願いいたします。毎度のことですが、名札をお願いいたします。

 では、倉重委員、岡本委員。

〔 倉重委員 〕 ありがとうございました。大変な内容のものなので、全部理解しているとは言えませんけれども、二、三点ちょっと質問します。

 まず、年金のマクロ経済スライドですね。この年金制度を見ていると、これが一番大きな制度改革になり得るポイントだと思います。私もよく覚えているのですが、2004年の小泉政権のときに、100年安心年金プランのときにプラスアルファでついた制度だと思うのですが、このときこの制度はあまり世の中には理解されていないが、実は大変な劇薬だと聞いた覚えがあります。本当にそうなのかなと思って今見てみますと、毎年1.3%ずつ減額調整していくわけですから、確かに大変な劇薬だと思います。支給年齢の引上げなど様々なやり方はあるのですが、この劇薬はこれからの年金制度を考えた場合、新規加入者に対する一種のペナルティになるのであって、今受給している、一番世代間の不公平を呼んでいる方々の懐に入る話なので、非常に平等かつわかりやすい、かつこの10年間に8兆円という、これだけの予算のやりくりといいますか、大きな塊になっているこの制度を実現するとしないとでは、この差が出ることを考えますと、これこそ前に進めなければいけないテーマだと思います。

 もう一つの特例水準については、来年度解消される予定になっておりますけれども、先ほどおっしゃっていた下限調整については、まだ法的な措置がなされていないと受け止めました。これについては、今与党内で、あるいはメディアも含めて議論が行われているはずですが、議論がどのような状況にあるのか。そして来年度において、それがそのような形で措置される見通しがどの程度あるのかを、マクロ経済スライドについてはお聞きしたいと思います。

 それから、もう1点ですけれども、これは障害福祉の件で、これまで聖域だった、あまり議論されていなかったところも、反発とか様々な議論があるにしても、今どのような状態でこの予算がついているのかについて透明化して議論をするという視点は私は非常に重要だと思います。その中で、34ページの利用者負担の軽減措置があるために、今年の3月では、93.3%の人が負担ゼロと。負担ゼロというのは、これはまるっきりただということなのでしょうかね。それから、その3つ前を見ていると、21年4月の段階では、10.5%なのが、急に9割も負担ゼロが増えているのですが、その辺はどのような事情でそうなったのかお教えください。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 1点目は、マクロ経済スライドには、原則としては賛成で、物価賃金が下げ基調のときでも発動すべきだとお考えということでよろしいのでしょうか。

〔 倉重委員 〕 そうです。そのとおりです。

〔 吉川分科会長 〕 それに加えて、2つほど質問ですね。

〔 倉重委員 〕 はい。

〔 吉川分科会長 〕 では、質問に、主計官、お願いします。

〔 彦谷主計官 〕 まず第1点目でございますけれども、マクロ経済スライドの見直しは、法律改正事項でございますので、来年度法律改正も視野に入れて、今、社会保障審議会年金部会で議論されているところでございます。年金部会においては、このマクロ経済スライドの名目下限の見直しにつきましても、既に議論が行われておりまして、多数の委員から、将来世代との公平性等を考えると、必要ではないかといった議論が行われたと聞いております。

 2点目でございますけれども、障害の関係の自己負担でございます。平成18年の自立支援法以前につきましては、障害の関係の議論が行われたときに、サービスのかなりの部分が介護に似ているということもありましたので、介護保険との関係をどうするのかといったことも踏まえて議論が行われました。そのような中で、それまでの措置制度から支援費制度という、サービスを選べるという介護に近い仕組みに変わる中で、1割負担が原則ではないかということで、所得に応じた上限を決めつつも、低所得者にも一定の負担を求める仕組みが導入されたところでございます。ただ、その後、応益負担、応能負担といった議論が幅広く行われる中で、低所得者に対する配慮という視点から、このように利用者負担が低減していったところでございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 では、岡本委員。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

 8ページの保険料拠出期間を45年とするということについては、私は絶対に反対です。おそらくこの狙いは、年金額を充実するとか、所得代替率を50%というぎりぎりのところを上げていくということなのでしょうが、この所得代替率の50%が本当に大変な中で、もうこの数値自体を見直すというのが、現在の財政の中では考えるべき方向だと思いますし、これは検討するのが逆方向ではないかなと思います。

 理由は2つありまして、1つは、高齢者の雇用拡大をするということは、企業に相当の負担になります。そして、若者の就業機会を奪うことになります。

 もう1つは、これも説明がありましたが、低所得者などの保険料免除制度ですね。このような免除制度のままだと、拠出期間を延長すると、適用対象がどんどん拡大する。これはもう明らかに目に見えておりまして、これ以上国庫負担を増加させるのかということであります。

 いずれにしましても、この所得代替率というもの自体が、今の状況の中で合うのかどうか。現行の保険料制度のまま拠出期間を45年にするという案には、絶対反対ということであります。

 2点目は、障害福祉施策の見直しですが、今回財審で初めて障害福祉施策を聞きまして、とりわけここで見た場合に、受益と負担のバランスがかなりおかしいことがわかりまして、興味深く思いました。

 先日この場で議論した特別養護老人ホームについて、多額の内部留保が存在していると、数値が具体的に示されまして、これらの削減に向けた議論が進んだと思います。したがって、さらに議論を一歩進めるためには、今回のこのテーマについても、積立金、剰余金などがどのくらいあるのか、具体的な数値を示していただきまして、この障害福祉施策を有効に機能させながらも、どれくらい切り込めるかということを具体的に議論していく必要がある、そのように考えております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、続いて、竹中委員、井堀委員の順でお願いします。

〔 竹中委員 〕 ありがとうございます。

 おそらく、財審が始まってから、初めて障害福祉がテーマになったのではないかと思います。そして、就労支援というところを皆さんで語り合っていただけることを、すごくうれしく思います。給付の対象や受益者でしかないというか、保護されるべき人たち、その観点は決して間違っているわけではないのですけれども、日本の福祉はそれ一辺倒であったところが、初めて彼らの中に働ける能力がたくさんあって、それがまだまだ引き出されていないがために、逆に言うと、受給者としての要求というか、そのことを充実されることだけにつながってきたという、やはり自分自身が重症の娘を授かって感じてきたことが、やっとこさ日が当たってきたのかなという思いで、大変うれしく思っております。

 自分自身も年齢がもう年金に関わる年になっているので、本当はそちらの方にも非常に関心はあるのですが、今日はせっかくこの障害福祉を取り上げていただいたので、就労支援の部分について少し意見を述べたいと思います。

 前回も前々回も申し上げましたように、今は障害者の雇用率という制度のみが障害のある方、私たちは可能性に着目したチャレンジドという言葉を使わせていただいていますが、チャレンジドの働くことを後押しする制度になっています。この雇用率の制度によって、たくさんの働けるチャレンジドが世に出ていただいたことは間違いありませんので、決してこの制度を私は批判するつもりはありません。ただ、今、世の中が、これだけ非正規の働き方も増えている中で、非正規イコール低い働き方という言われ方もするのですが、そのような働き方をすることが自分にとっては適切であるのだという方々もおられることも事実です。かつ、いわゆる身体や精神、知的なところに課題を持っていらっしゃるチャレンジドの皆さんにとっては、やはりフルタイムで週に何十時間と定められた働き方ができないという方もいらっしゃるし、そのことができない方だから企業は雇用対象にしないという現実の中で、多様な働き方を設けることで、その人の能力を社会に生かすことができ、タックスペイヤーも世の中に増やしていくことができ、その人たちが社会を支える一人として誇らしい気持ちになることもできる。つまりそれが今は雇用制度のみになっているがために、その逆のスパイラルに陥っていると私は非常に考えています。

 ただ、この厳しい予算状況の中で、何か新たな国庫予算を上乗せして何かするのかというと、様々な工夫を凝らすことで、そういった方向性へ転換することは間違いなくできると思っております。とりわけ、36ページのところで、雇用率未達成企業の調整金という具体のところまで書いていただいておりますが、単にいわゆる罰金と呼ばれる納付金を払うのではなくて、仕事をアウトソーシングして在宅で少しずつでもやれる方々に出す仕組みであるとか、あるいは、達成されている企業でも、アウトソーシングを積極的に後押しする制度であるとかが私は非常に効果的ではないのかなと思っております。

 先般、厚労省の就労支援担当の方とお話をしたのですけれど、「ナミさん、そんなことは雇用率を上げないとできませんよ。雇用率を上げるということは、経団連とかがすごく嫌がるのですが、ナミさん、経団連を説得できるのですか」とかいきなり言われて、ちょっとびっくりしたのですが、私は雇用率を上げるのではなく、現状の納付金の制度の中にアウトソーシングが入り「罰金か仕事を出すか選べる」ということを想定してるので、決して経団連の皆様から大きく批判されることではないのではないかと思っております。障害者雇用率に関わる政策は、おおむね厚生労働省の裁量の中においてされてきたので、多様な働き方の創出についても、厚労省の皆さんに頑張っていただくとともに、今後も私からはプロップ・ステーションの経験に基づいて、様々な提案をして行きたいと思っています。

 ここで、今日はせっかく企業の経営者がたくさんいらっしゃるので、本当に雇用率の制度でお悩みになられたことはないかとか、あるいは、仕事を出すことも雇用率の制度の中にしっかりと入れていくといったことは、経営者の皆さん方にとってネガティブなのかどうかを、少し教えていただければうれしいなと思いつつ、一人でもたくさんのチャレンジドが働く誇りを持って生きていただけたらなと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、竹中委員から問題提起していただきましたので、この審議会で企業の経営に携わられている方、現実の企業でどうかということを、ご意見、ご感想のようなものをお願いします。

 では、角委員、お願いいたします。

〔 角委員 〕 鉄道会社は、例えば、事故があるとかといったときは、非常に言い方が難しいですけれども、身体的な障害をお持ちの方は、なかなかそのような会話ができない、あるいは、それでは軍隊とか消防署はどうなのだとか、そのようなことになろうかと思いますけれども。ただ、鉄道会社といえども、雇用率は一般企業並みにしていくべきだということになりまして、私どもも今それに向けていろいろと努力をしています。しかしそうなりますと、新たな職場をつくる必要が生じます。従いまして、私どもが考えましたのは、例えば、今までもちろん外部化していた清掃ですとかを、自社へ取り込んで、そこで障害者の方に働く場を提供しようとか、目が不自由な方に。

〔 竹中委員 〕 産業マッサージですね。

〔 角委員 〕 そうですね。それを会社の中に施設を作ってやっていただいたり、いわゆる高架下を使って野菜をつくったりと。

 このように、新たな職場をつくることによって、今まで鉄道会社でできなかった雇用率を上げていくことに協力しようということです。基本的には、企業は当然そのような方向に努力をすべきだと思うし、それが社会的な使命だと思います。

 それと、今日のご説明を受けての話になりますけれども、今日ご説明のあったことは、深く理解していない部分もありますけれども、全て正しいと思います。

 年金の支給開始年齢につきましては、これだけ諸外国が既に開始年齢を引き上げていくといいますか、67、68というようにしていかれる中で、日本は遅れているわけですから、遅れた分を取り戻す意味でも、例えば、2年ピッチで68に上げていくとか、できるだけ短期間で追いつく施策が必要ではないかと思います。

 それと、医療費につきましては、昨年ジェネリックの議論がございましたけれども、要するに、生活保護の方にジェネリックを原則化するということは前進だと思いますけれども、生活保護だけではなくて、昨年も申しましたけれども、当社の診療所の医師は、役員から全従業員、生活習慣病については、全てジェネリックを指定します。したがって、もう医者が、生活習慣病については全部ジェネリックを義務づけて、「いや、俺はもっと新しい薬が欲しい」という方は、別途費用を負担することは、以前から言われていたことですので、もうそろそろ来年度あたりから切り込んでいただきたい。

 そして、生活保護についても、「その他世帯」が、これだけ人不足の時代に減らないのは、明らかに生活保護を受けている方が得だからです。先程の住居の話もありましたし、医療の話ですね。その他世帯には、医療費は少なくとも1割負担をしていただく方向も含めて、議論をしていただくべきだと思います。

 介護につきましては、前々回も言いましたけれども、これだけ民間の企業が参入しているということは、甘い汁が吸えるからだと思います。以前に42円の太陽光発電のときに、火事場泥棒のようなことはしないということを言いましたけれども、介護について、実際やってみれば2割の利益率が出るというのは、ちょっと私はびっくりしていますので、あまりにも民間がこれだけ入るというのは、どこかがいびつな制度になっているように思いますので、よろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 葛西委員、障害者の方に関連して、お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 私たちの会社では、障害をお持ちの方の雇用努力は企業の社会的責務であると考えています。そして、当社単体において障害者を配置している他、当社グループ内の印刷業務を主な事業とする特例子会社をつくっており、この特例子会社の枠組みとあわせて政府が定める法定雇用率という義務を果たしております。しかしながら、企業にとって、このような取組はコストの増加要因とも言えるものであり、企業の競争力という観点で見れば、それは一定の範囲内にとどめておくべきものと思います。

 鉄道そのものについて言いますと、特に乗務員などは人の命を預かる仕事でありますので、設備的、システム的なバックアップのもと、あらゆる事態に対応できることが必要条件になり、障害者の配置上の制約を受けます。私が特例子会社について申し上げたのは、そのような制約がある中で障害者雇用を行う例として、ご参考になるかと思ったためです。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 全体としては、過去20年間、日本の労働市場は基本的に軟調だったということだと思うのですが、既に顕在化しているように、人手不足になっていくわけですから、これはもう障害者の方に限らず、基本的に働く側のいわゆる売り手市場的な状況になってきて、環境は変わるのだろうと私は思っています。

〔 葛西委員 〕 ついでに、それ以外のテーマ、年金、それから、生活保護、その他については、角さん言われたのと私は全く同じ意見であります。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 それでは、順番で、井堀委員、お願いいたします。

〔 井堀委員 〕 公的年金の件なのです。16ページの論点整理のマクロスライドの見直し、あるいは、支給開始年齢の引上げ等は、非常に最もらしいと思うので、ぜひ進めていっていただきたい。1つ問題なのは、国民の理解を得るために、公的年金が老後の生活の収入の主要なものであるという、そのような期待を国民も持っていて、政府も、それに応えようとして、年金代替率50%を今後100年維持しようとしていることです。これ自体がやはり問題だと思うのです。今後の少子高齢化社会では、給付を下げるか、負担を上げるしかない。マクロ的にもたないし、若い世代から見ると、世代別の収益率も非常に厳しい状況のときに、公的年金が老後の生活の主要な収入にはもうならないという、その事実をはっきりと国民に示して、その元で、高齢化社会で各人が高齢期になったときに、きちんと収入が保障できる環境を整備していく。

 具体的には、個人勘定の確定拠出の制度を整備して、ある程度所得のある方は、自助努力で、高齢期の自分の生活の主要な部分をきちんと備える。公的年金はあくまでも老後のリスクをシェアするための補完的な部分だというメッセージを出しておけば、多少給付水準が下がっても、あるいは、支給開始年齢が引き上がっても、対応できるわけです。

 今、支給開始年齢を引き上げようとするときに最大の問題は、その支給開始年齢が引き上がったときに、その間雇用が確保されないと収入源がないから困るという、このような話なのです。ですが、支給開始年齢を、例えば、70歳とか、75歳とかに引き上げていったときに、同時に定年を引き上げるというのは無理な話です。その間は当然自分で収入源を若いときから確保しておかなければ無理なわけですよね。だから、定年制の延長と支給開始年齢の引上げがセットで議論される限りは、この話も進まない。それを切り離していくために、自助努力できちんと確定拠出の個人勘定の年金を整備していく必要があります。

 今、401kとか、あるいは、最近ですとNISAとか、様々な動きはあるのですが、それを全ての若い世代の人たちが、若いときからきちんと準備できるような、そのような環境整備を行っていけば、公的年金はあくまで補助的な手段だということになり、多少給付水準が削減されて、実質的に公的年金の負担が増えても、たいしたことではないということになります。そうすると、国民全体として、このような16ページの論点整理のようなところが進むと思います。公的年金の世界だけだと、痛みだけの話なので国民の合意を得にくいかもしれませんが、全体として公的年金の役割をもう少し小さくする方向で、国民の合意を得る。そのための環境整備を様々な面でつくっていくことが大事と思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、鳥原委員、中空委員、碓井委員の順番で。

〔 鳥原委員 〕 ありがとうございます。

 3点あります。第1に、マクロ経済スライドに関して。高齢者の年金給付をカットしていくことには、色々な抵抗があるだろうと思いますが、給付抑制策が遅れれば遅れるほど、将来世代の年金給付が減ってしまいます。年金だけではなく、医療・介護を合わせた社会保障給付全体としてみても、少子高齢化でこれからますます支え手が減り、現役世代の負担が増していくことを考えると、マクロ経済スライドの名目下限ルールの撤廃は不可避なことだと考えております。ただし、高齢者にこうした給付抑制策の必要性を十分理解してもらうために、政府として、説明努力を最大限する必要は当然あると思います。

 第2に、年金の支給開始年齢についてですが、高齢者の働く意欲の高さを考えれば、日本の年金支給開始年齢の引上げも、諸外国に比べて遅すぎる感があります。今後、労働人口が急減していくことを考えれば、65歳以降も可能な限り働くべき状況ですので、支給開始年齢の2歳程度の引上げについて、早急に道筋をつけるべきだと思います。

 3点目、社会保険の適用拡大についてですが、女性の活躍推進には、社会保険・税の双方で、働くほど手取り額が増え、意欲を持って働ける仕組みが不可欠であることは、言うまでもないと思います。特に社会保険については、平成28年から年収106万円以上の労働者が新たに適用対象となりますが、一方で、本人や事業主にとって重い保険料負担となる、106万円の壁が新たに生じてしまうことが懸念されます。女性の就労拡大のためには、世帯単位で見た保険料が大きな負担とならず、かつ、事業主負担も過重とならないように、保険制度全体で調整する仕組みが必要ではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 はい。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。

 全ての委員の方がご指摘になったところとほとんど一緒なので、違うところだけお話をしようと思います。

 4ページの財政検証で、高めの賃金上昇率や名目運用利回りだとおっしゃったのですが、高めというよりは、もううそに近いと思っていて、特に運用利回りに関しては、例えば、現状ですと、安定的な保守的な運用をしようと思うと、2%名目で出ないのが普通です。債券だけでやると1%台で、株を大きく取ったり、ハイイールドというリスクの高い商品を取らないと、もう3%、4%は難しいです。そうなってくると、それが名目ですから、この計算は、どれを見たら一番正しいのか悩んでしまう状況です。ですので、こういったことはもうやめませんかというのが、私が言いたいことの一つです。

 それと、7ページ、50%程度で収束する絵になるのですが、そう考えてくると、何となくこれもうそっぽく見えてしまう。なので、この辺は絵的にも心配だなと感じました。

 そもそも年金の問題は、個人にとって何が正しいのか、それから、私などの親世代にとって何が正しい年金か、子供世代にとって何が正しい年金かと考えてくると、それぞれの世代で正しいことを言っているのですが、まとまると合成の誤謬が起きてしまう。結果、どこも一番文句を言わない国に負債を被せてきたというのが、これまで日本が選択してきた結果ですから、そろそろ事実を知る必要があると思っています。ですので、このような明るいシナリオを持っていてはいけないのではないかというのが、まずあります。となってくると、7ページの図は、先ほど井堀先生が少し言われましたが、50%ある形にしないで、下がる絵も堂々と描いて、世代間の格差がこんなに激しいのだということを言わないといけないのではないかと思っています。

 足元は消費税率の引上げの話ばかりで、できるかできないかという話になってきていますが、消費税率の引上げが景気の良し悪しと一緒になって、この対立軸で話されること自体、私はおかしいと思っています。むしろ消費税率の引上げをするときに、これだけ世代間の格差があることが毎回毎回様々なメディアで取り上げられ、これを受けて、高齢者世代は何を思うか、若者たちは何を考えるかということが、問題提起されていいのではないかと考えました。ということで、この事実はもう少しわかりやすく知ってもらう必要があると考えます。

 ちなみに、10ページの高齢化の絵、1人が1人受け持たなければいけないよという絵は、今、中学校で配られている教科書にも出ていますので、そのような意味では十分言っているのでしょうが、彼らは自分の逼迫感としては感じていませんので、あなたのことなのだよということをもう少し教えていく仕組みも、同時に考えなければいけないと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。碓井先生。

〔 碓井委員 〕 質問なのですけれども、生活保護では世帯単位の原則が採用されていますし、今日の議題ではありませんけれども、介護保険料額の算定においても、世帯が意味を持っていると思います。それで、核家族化の進展で、ひょっとしてそれほど顕在化していない、あるいは、議論されていないのかもしれませんが、私は意図的な世帯分離とか、あるいは、高齢になったので引き取って一緒に暮らすとか、そのような人たちが逆に意図的に世帯を同一にすることを避けているとか、そのようなこともあるのではないかと、実態は知らないのですが、危惧しているのですが、その辺の議論はされているのでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 主計官、お願いします。

〔 彦谷主計官 〕 生活保護の場合は、一定の近親者が可能であれば、きちっと面倒を見るというのが、まずそれは世帯と関係なく、原則として行われております。

 その一方で、どこまで親族の方の負担を求めるかというのは、なかなか難しいせめぎ合いの中で、子供がいるから受けられないのだというのが、昔はそういった形もありましたけれども、最近では、どちらかといえば個人単位に近い運用になりつつあるのかなという印象は受けています。

〔 碓井委員 〕 一定の関係の人に負担を求めようという、それは法律の趣旨がそうなっているから、それはそれで大変苦労していることは私も存じています。そうではなくて、世帯自体の認定が甘くなっているのではないかという私の危惧であります。

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて、板垣委員、老川委員、十河委員。

〔 板垣委員 〕 主計官の説明は、それなりに納得できる内容であると思います。ただ、岡本さんが指摘されたように、年金の保険料を45年にするというのは、私も反対です。やはりそのようなことは避けるべきだろうと思っています。ただ、支給開始年齢を引き上げるということについては、逃げ水のようにどんどん年金が先に行くという、いわゆる国民感情の部分では、大変な悩みになるところでありますので、年金問題というのは、いくら説明しても説明しきれないという非常に複雑な分野ですので、その辺のところを政府としてはきちんと説明していく必要があるだろうと思います。

 それから、生活保護の問題については、住宅とか冬季手当、医療と3つあるわけですが、住宅とか冬季手当については、地域によってばらつきがありますし、ここに載っているだけのデータでは簡単に判断できない部分が多いと思います。例えば、冬季手当などは、もらい過ぎのところが多い感じがしますけれども、冬場は、寒い地域にきちんと暮らしたことがない人にとってみれば想像ができないほどの様々な負担が出てくることは間違いありません。だから、そのようなところも含めて、慎重に対応してほしいと。ただ、説明された趣旨はよくわかります。

 それと、もう1点、医療の問題については、先ほど角委員からも指摘ありました。生活保護受給者だけをジェネリックの対象にすることは、再三私も反対しているところであります。医療機関も含めて、国民全体で協力しながら実施していくことが担保される限りにおいて、先ほどの説明は理解します。

〔 吉川分科会長 〕 老川委員、お願いいたします。

〔 老川委員 〕 意見と質問をさせていただきます。

 支給開始年齢の延長、これは僕はやむを得ない話だと思いますし、13ページにありますように、国民皆年金制度を創設したときの平均寿命は、66歳なのですね。そのようなことをみんなもう忘れているのではないかと。これだけ寿命が延びているわけですから。当時は平均寿命と支給開始の差は1年しかなかった。それが現在15年以上となっているわけですから、年金制度の趣旨と実態、寿命がこれだけ延びてきているのだという実態を、もう少しPRする必要があるのではないかと。そうでないと、今、板垣さんもおっしゃったように、常にこの話になると逃げ水だという議論になってきて、逃げ水という言い方ももちろんできないことはないけれども、しかし寿命もそれだけ延びていることが実態なのですから、そこのところをもう少し一般人にわかるようにアピールしていく必要があるのかなということが意見です。

 それから、もう一つは、生活保護。これは、一回生活保護を受けるようになると、なかなかそこから抜けないということが22ページにもあって、失業率は下がっているのに保護廃止割合がむしろ減っているということで、ここが一つ問題だろうと思うのです。25ページでの、いろいろな仕組みで、何とか生活保護を脱する必要があるという考え方はその通りだと思うのです。現在も、少ないにしても、生活保護から脱却している人がいるのだとすれば、どのようにしてそれが実現しているのか、どのあたりがネックになっているのか、少し実情を教えていただければと思うのですが。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官。

〔 彦谷主計官 〕 生活保護を脱却する方が少ないことについて様々な要因があります。

 1つには、そもそも支給の水準自体の問題もあると思います。最低賃金の引上げの議論が行われるときに、必ず逆転現象が解消されたかどうかがメディアで議論されておりますが、今年の引上げで何とか逆転がなくなったということですけれども、この比較の対象になっておりますのは、いわゆる各地域における最低賃金で1日8時間・週5日働いた人と、可処分所得で比較して生活保護が高いか低いかという議論をしているところでございます。そのような中では、どうしても脱却に向けた働くインセンティブをつくっていくのが難しい状況にあることも確かだと思います。

 それから、脱却する方の統計を見ていましても、働いて所得が増えて脱却する方は、実はあまり多くありません。全体から見て半分もいないというところで、もちろん年齢にもよりますけれども、亡くなられる方、それから、家族が面倒を見るようになった方が実は多いです。

 それで、その対応として、最近2つ新しい取組としてやっていまして、きちんと就労努力をする人に月に5,000円渡して、努力していただくというのが1つ。もう一つは、安定就労の機会を得るなどして保護を脱却する方に、所得を得ますと、それに応じて生活保護の受給は減っていくわけですけれども、その減ったものの一部を、いわば脱却のときのために貯めておくという形で、10万円とか15万円を渡す仕組みをやっています。

 ただ、ここで今回ご提案させていただいておりますのは、給付という形だけではなくて、やはりもっといろいろな枠組みを含めて、幅広く検討していく必要があるのではないかということで、問題提起をさせていただいています。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 では、十河委員。

〔 十河委員 〕 ありがとうございました。

 毎回毎回で恐縮なのですけれども、私、参加するたびに、本当にここで提示される数字等にいつも驚いております。特に高齢者に向けたお金の配分が年々増加している事実、これは新聞等でも報道されておりますけれども、具体的にこういった数字を見ると、より一層驚いているという感じです。

 改めて思いますのは、委員の皆様もおっしゃっておりますけれども、世代間の公平性がとても重要ではないかと思います。若い世代にツケを回さないことはよく言われておりますけれども、これから生まれてくる、あるいは、今若い人たちが、日本で未来を背負って、明るい人生を送ってもらうためには、どうしたらいいのかなといつも考えさせられます。

 その上で、先ほど鳥原委員も、説明努力が必要ではないかとか、あと、中空委員も、世代間の格差をもっと明らかに知らしめていくことが必要ではないかということをおっしゃっておりましたけれども、私もまさにそのように思っております。その上で、世代別の受益と負担をよりわかりやすく数字等で説明、あるいは明らかにしていただくことはできないものかと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 続けて、末澤委員、佐藤委員、田近委員、土居委員の順でお願いします。

〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございました。

 実は、金融市場でも、今年は財政検証が相当注目を集めました。6月に実施されました社会保障審議会の年金部会、これは私も出席したのですが、金融関係者が200〜300人押し寄せまして、もう立ち見状態でございますね。

 なぜかと言いますと、1つは、先ほどの所得代替率が今回の検証でも50%を維持できるかどうかということと、これを維持するための運用利回りがどうなるのだと。専門委員会の吉野委員からもう報告書は出ていたのですが、先ほどの4ページですと、ケースEの運用利回りが1.7%。この1.7%を維持すれば、全てのケースで、目標である名目利回りが達成できるということで、1.7%以上を年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFで運用することが決まっていましたので、その後のGPIF改革の関係で、何か新しいインプリケーションがあるのかということで、どーんと押し寄せたのですね。

 ただ、私もその年金部会に出て、ちょっと肩すかしと思ったのは、いろいろ淡々と議事が進行しまして、ある委員から、今回の財政検証の結果、公的年金の健康診断をやりました、そうしたら、大きな異常はないことが確認されましたと、このようなコメントがあって、私もその時はああそうかなと思ったのですが。

 ただ、実際、今日のペーパーを見ると、なかなか難しい点が1つ指摘されています。それが、ちょうど今回の2ページなのですね。先ほどのマクロ経済スライドによる年金額の調整幅ですが、私の記憶では、2009年の財政検証後、厚生労働省は、当面、この物価からのマイナス分を0.9%と、これでいけるという説明をしていたと思うのですね。ただ、今回の財政検証後、明らかになったのは、これは平均でマイナス1.3%、来年度はたしか1.1%カットだと思うのですが、これは案外知られていないと思うのですね。なぜかというと、仮に来年度物価上昇が1.1%でも、年金は上がりませんよと。中期的に1.3%の物価上昇が実現できても、年金は全く上がらないということになるのですね。実は、これは相当大きな問題です。

 ただ、今回のこの結果によって何がわかったかというと、やはり過去の8.8兆円のもらい過ぎの分等、過去のひずみが将来の年金財政に大きな影響を与えていて、それが0.9%が1.3%になったということなのですね。この会でも春からずっと議論されていますが、人口動態の先行きを考えますと、これは相当スピーディーに改革をやっていかないと持たないなと。特にどんどん現役世代に負担が押しつけられるということになるのが、1つ、この数字でも検証されたのかなと。もちろん、そういったところは重視していく必要があると考えています。

〔 吉川分科会長 〕 佐藤委員。

〔 佐藤委員 〕 ありがとうございます。

 まず、生活困窮者自立支援制度ですけれども、これは1つ新しい試みだと思うのですが。この種の話を聞くと、いつも様々な自立支援があって、例えば、ひきこもりの方対策、若年雇用、非正規労働とか、私、行政事業レビューとかやっていたのですけれども、毎回違う名前で似た趣旨のものが出てきて、厚労省の中で担当している部局が違う、だから違うものなのだといいますが。あと自治体などでも独自の取組もありますし、NPOとかの民間ベースの取組もありますので、類似事業とのすみ分けをやらないと、ただの制度の水ぶくれ以上に、複雑化につながりかねないと思いました。

 それから、生活保護について、もう一つ。これも行政事業レビューで毎回出てくる医療扶助の話なのですけれども、先ほどの生活保護者だけにジェネリックを強制するのは不公平というご指摘がありましたけれども、生活保護世帯は自己負担もゼロであるという、こちらはむしろ普通の方に対して不公平という状況があるので、そこはすごくねじれているのですね。今、保険者機能と言われながらも、生活保護世帯だけについて言えば、保険者機能なるものを発揮する人がいないということもありますので、本来であれば、このような生活保護世帯であっても、国民健康保険とかに加入して、保険料は生活保護から出してとか、あと、高額療養費制度もありますので、そこはもちろん所得の低い方々には、自己負担が過大にならないように配慮することもできると思うので。今のフレームの中で生活扶助費を押さえ込むのにはかなりの困難があると思いますし、数字だけ見ても、半分近くが医療扶助というのは異常事態だと思ったほうがいいと思います。

 あと、住宅扶助についても、本来は、公営住宅とかも余っていますので、選択肢で構わないので、公営住宅に入れば無料にしてあげると。そうではなくて、自分で選ぶというのであれば、上限をかなり押さえ込んで、実費ベースで補助する形にしないと医療費扶助と住宅費扶助、根本的な見直しが必要かなと思いました。

 あと、基礎年金なのですが、加入期間を延ばすと、漏れなく免除期間アンド国庫負担がついてくるという、この仕組みがよろしくないのだと思います。60から65歳に支給を上げるとしても、国庫負担と連動させない工夫があってもいいのかなという気はするのですが。何事も国庫負担と連動したり、加入していても免除されていれば、一応加入したことになっているから基礎年金の国庫負担分が保障されるというのは、先ほど井堀委員からは、支給年齢と退職年齢が逸脱しているのがいけないという話もありましたが、制度設計からして問題は根深いのではないかという気がいたしました。

〔 吉川分科会長 〕 田近委員。

〔 田近委員 〕 私は障害福祉に触れたいと思います。29ページ、30ページですが、財審の長い議論の間で、障害福祉が1つのテーマで議論されたというのはあまりなかったと思います。今日、非常にいい説明をされたなと思いますが。

 国・地方を合わせると、障害福祉で3兆円お金が使われていると。介護は総額10兆円ですから、それなりの規模だと思います。大きいというだけではなくて、65歳以上になると介護保険になって、それまでの状態がどうであろうと、障害認定されれば介護保険が出る。そうすると、65歳未満というのは、特別な要件以外は支給されませんから、介護保険の外になる。長く議論されている問題ですけれども、日本の社会保障体系としても、医療、介護、それと、介護の範疇の中で障害をどこまで扱うかは、大きな問題がある。日本で介護保険は、英語で言うと、Long-Term Care Insuranceですが、そのLong-Term Care Insuranceは、実は介護で、そこには障害者が当然入ってくる、そのような範疇だと私は思います。したがって、ぜひこれからも、医療、介護という全体の中で、障害も触れるべきだと。それが、29ページの、障害者自立支援法の議論の中で闘わされてきたことだ。したがって、これからも、このような大きな視点で議論していただきたいというのが1点。それから具体的に、障害とは何なのだというところなのですが、32ページに、障害とは、身体障害、知的障害、精神障害、難病とあります。ここから、質問をさせていただくと、どのようなサービスが行われていたかということと、具体的には費用構成ですよね。3兆円が、このそれぞれの障害にどう使われたかという議論も、最初の一歩かもしれませんが、必要だと思いました。

 というわけで、初めての議論ですけれども、ぜひこの障害福祉を、医療、介護、全体の流れの中で議論していってほしいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、土居委員。

〔 土居委員 〕 1点目は、マクロ経済スライドの見直しは、各委員がおっしゃったことと私も全く同じ意見です。

 それから、特例水準の見直しについて、資料1の6ページにあります。最近、年金給付が減っているという高齢者の声が報道機関でよく取り上げられていますが、そもそももらい過ぎであったことをご理解いただくことから始めないと、世代間格差の問題は解決できない。

 それから、もし消費税率を来年10月に10%に引き上げれば年金生活者支援給付金が導入されることに、既になっているわけですから、消費税率をきちんと引き上げて、そのことを強調するべきだと思います。

 それから、8ページの支給開始年齢引上げですけれども、今でも60歳から70歳まで支給開始年齢を選択できることがあることを踏まえる必要があって、ここで議論していることは、あくまでも標準的な支給開始年齢の引上げであるということ。かつ、8ページでの年金部会での議論は、自発的に給付時期をずらしたらどうだとかという議論になっていて、少し話がすり替えられているところがあるのではないか。あくまでも標準的な支給開始年齢の引上げと老川委員もおっしゃっているのですね。平均寿命と連動する形で、正面から議論するべきだと思います。

 最後に、障害者福祉のことですけれども、介護保険とほぼ同じサービスを提供しているものについては、この両者の報酬体系を標準化するべきだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、主計官。

〔 彦谷主計官 〕 1点だけですけれども、今土居委員がおっしゃった年金生活者の支援給付金というのは、参考資料の5ページにも入っておりますけれども、来年消費税率が10%に引上げになった場合には、低所得者に配慮して、年で言いますと6万円を最高の金額として支払うということで、新たな制度となっております。

 これからマクロ経済スライドによる調整が行われますと、年金額が下がっていく中で、特に低年金者が困っていくということもございますので、このような制度もできているということもあわせてご紹介させていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、黒川委員、秋山委員、小林委員、お願いいたします。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。

 私は、今日の資料については、全面的に賛成でございます。ありがとうございました。そこで、障害者の問題について意見を言いたいと思います。

 私の友人にもうちの息子と同じときに生まれた障害者のお子さんを持つ方がいるのですが、大変な思いをされていると、身近で見ていて思いました。

 自分の子供が生まれたときに、最終的に願ったのは、ともかく普通の子供として生まれてきてほしいということでした。そのときにある確率のもとで、どうしても知的障害とかを持って生まれてしまうということなのですね。ですから、そのときの気持ちを思うと、自分の子供は平常であったけれども、ある程度の確率のもとで、そのようなお子さんが生まれる。だからその子供たちが背負ってくれていると思いました。ですから、国全体で見れば、その人たちが全ての何かを背負ってくれたわけですから、宝物のように思ってずっと見守って、その宝物のような方々が一生涯少しでも幸せな人生を送ってくれるということを、ある一定の確率で平常に生まれた者は見守る、あるいは支援をすることが大切なのではないかと思ってきました。

 そこで、財審としても、今回、この問題について非常に大きな取組をするということですけれども、今言ったような精神は絶対に忘れないで取り組んでいってほしいなと。37ページの今後取り組むべき課題という、ここの文章を拝見しても、よくそのような精神のもとで検討するのだということを、私としては確認したいと思います。

 それから、もう1点だけ、具体的に見ていると、例えば、2歳、3歳、4歳、5歳と、だんだんそのような方々が成長していく。特に私は今念頭に置いているのは知的障害ですけれども、初めは関係する機関が変わっていきます。文科省系統からどこかで厚生関係になる。そのようなところですけれども、縦割ではなくて、もうある程度このように方々がどのような生活を一生涯送るかはイメージとしてわくわけですから、検討するに当たっては、各省庁横断的に、そしてその方々の一生涯というものを思い浮かべながら、様々な政策を整合的にとっていってほしいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

〔 秋山委員 〕 この社会保障に関しては、非常に重いテーマでありますけれども、前回含めて、今回2回目で、事務局のほうからお出しいただいた論点に関しては、紙の文言は非常にモデレートに表現されていますけれども、論点については非常にシャープに指摘をされておりますので、私としては非常に理解と納得ができますし、あとは、これまでの皆さんのご発言についても、それに沿う形で議論が進んでいると理解しております。

 その上で、補足的に簡単に2点だけです。1点目は、若者世代の負担軽減に関して、少し違う見方になるかもしれませんが。実は、これから若者世代が生活していく中で、日本の産業構造がどんどん変わっていく中では、サービス産業が就業の受け皿の中心になっていくことは間違いないと思います。その中でも、過去10年間ぐらいを見ていても、サービス産業の中でも、この福祉・介護サービスというものが大きな位置づけにあります。

 問題は、今後、就業の受け皿になり得る産業であるところに、いかに健全な経営のもとに若い人たちの雇用機会を増やしていくことができるかということです。緊縮財政の中でも、その報酬制度について適切な改革をするということ。それから、社会福祉法人についても、切り込むべきところは切り込んでいくという、この2点が重要だと思います。

 それから、2点目ですけれども、先ほど十河委員のご発言で、私も財審に初めて参加させていただいたときに、全く同じ感覚を持ったことを思い出していました。それは国民がデータを知れば、同じような理解をできることの証左であると思いますし、一方で、この財審に何度か参加をさせていただいて、毎年繰り返される議論、繰り返される論点というのがやはりあるのですね。このあたりについては、本日、政務官もご出席ですので、ぜひ政務のリーダーシップを発揮していただいて、問題解決のスピードアップにご尽力いただきたいという、以上2点でございます。

〔 小林委員 〕 今の秋山さんの最後の部分を、私も強調しようと思ったのですが。

 実は、意外と現役の人たちも、国民も、今の年金の状況とか大体わかってきていて、自分たちはいつになったらいくらもらえるのかとか、もうほとんどもらえないのではないかとか、そのような意識が高まっているのですね。ところがそれが政策に反映されないというのは、そこの間に何かギャップがある。そのギャップの多くの部分は、政治家の皆さんがどれだけきちんと自分たちの有権者、支持者の人たちに説明をしているかという、そこが大きいと思うのです。もちろん、我々のようなメディアが繰り返しそのような状況を訴えていくことは必要だとは思うのですけれども、そこの部分の政治の役割の重要性を、今回年金に限らず繰り返し訴えていく必要があると考えております。

〔 吉川分科会長 〕 どうも活発な議論ありがとうございました。

 では、後半の議論もありますので、ここで5分程度休憩を取りまして、35分から開始ということでお願いします。ご協力よろしくお願いいたします。

( 休  憩 )

〔 吉川分科会長 〕 それでは、そろそろ後半の議論に入りたいと思います。ご着席、お願いいたします。

 では、後半、「文教・科学技術」に移ります。井藤主計官よりご説明をお願いいたします。

〔 井藤主計官 〕 文教・科学技術担当の井藤でございます。よろしくお願いいたします。

  1枚おめくりいただきまして、義務教育予算でございますが、大きな考え方は、やはり財政事情が厳しい中で、学校運営をより効率的なものとすることによって、よりよい教育環境をいかに維持していくのかと、そのような問題意識でございます。

 3ページにおめくりいただきまして、小中学校の公財政支出、在学者一人当たりで見ますと、もう既にOECD平均よりも高く、特にG5諸国の中では高水準となってございます。日本の財政状況を踏まえますと、日本の小中学校には十分手厚い予算措置が行われているという認識でございます。

 4ページでございますが、日本の予算の特色ですけれども、先生の給料の割合が非常に高くなってございまして、右のグラフなのですけれども、在学者一人当たりの教員給与支出で見ますと、国際的にもかなり高い水準になっているところでございます。

 5ページですけれども、近年、子供が少子化で激減している中で、先生の数は、ほとんど減らしてきていないと。この結果、児童生徒当たりで見ますと、平成元年以降先生の数は1.4倍にもなっているということでございます。

 6ページの太字の部分ですが、既に国際的にも一人当たりの教員数は非常に高いわけでございまして、これを伸ばさないというのが基本的な考え方なのではないかということでございます。この考え方に立つと、毎年1,600人程度の合理化努力はしていただく必要があるのではないかということでございます。

 7ページは、去年もお出ししましたので飛ばしまして、8ページでございますけれども、平成23年から、小学校1年生につきましては、学級編制の基準が40人から35人に引き下げられたということでございますが、これはなかなか明確な効果があったとは、下にもあるとおり、認められていない状況ではないかと。厳しい財政事情を考えれば、上限の基準としては、40人学級に戻すことを検討すべきではないかということでございまして、こうしたことで生み出された財源を他の施策に充てることも、検討すべきではないかと考えてございます。

 9ページですが、今年の6月にOECDの調査で、日本の先生は非常に長く働いて大変だという話がございまして、教育関係の方から、先生の数を減らしている場合ではないというご意見もあったところです。10ページでございます。この調査の結果というのは、アンケート調査の集計でございますので、各国同一基準で回答を行っているかという問題もございます。それで、11ページでございますが、OECDのEducation at a Glanceという調査によりますと、日本の先生の年間勤務時間、これは確かにOECDの平均よりも長い状況でございます。ただ、右下のグラフなのですけれども、年間の授業時間を主要先進国の平均と比べますと、小学校については2割程度、中学校については3割程度少ない状況でございます。そうした中で、先生の負担感を軽減することは大事でしょうし、より生徒に向き合う時間を確保することも重要と考えますけれども、このために授業時間が少ない先生を増やすということではなくて、事務作業の時間を短縮するための取組ですとか、外部専門人材の活用といったことに注力すべきではないかということでございます。

 それで、13ページ、14ページと、これは以前にもお出しした学校規模の適正化でございますが、時間の関係もありますので、15ページに飛んでいただきまして、現在、約半分の学校が標準規模に満たない状況でございます。これにつきましては、教育上の観点からも、適正規模の方が何かと好ましいと指摘されているわけでございます。こうした過小規模の学校を解消して、これはやや粗っぽい試算なのですが、少なくとも全小中学校が最低規模の標準規模校になるということになれば、小中学校で5,000規模程度、また小学校だけの先生で見ても1万8,000人ぐらいということで、かなりの合理化も進められるし、教育効果上もよろしいのではないかということでございます。もちろん離島とか山間僻地といった問題もございますので、一律にというのは乱暴だというのは、それはそうでございますけれども、このようなことも踏まえて、教職員定数の合理化努力というのはやっていく必要があるのではないかということでございます。

 16ページでございますが、先生の給与の問題でございます。これは昨年の財審でもご議論いただきましたけれども、平成18年には、文科省、財務省ともに、これは今後、優遇分を縮減していこうという話になっていたわけですけれども、17ページをおめくりいただきますと、これは月給分については調整が終了しているのですけれども、月給の本体部分が高いので、ボーナスで見ると、依然として格差が存在しているということでございまして、この部分について縮減して、他の教育の施策に充てるということも考えられるのではないかということでございます。

 それで、18ページでございますが、例えば、幼児教育無償化が必要だと言われておりますが、これは閣議決定でも、財源とセットで進めるということが決められていまして、そうした中ではございますけれども、財源の確保がないままに、段階的に進めるべきだという要求も来年度に向けて出されておりまして、こういったことが必要であれば、例えば、先ほど申し上げました小1・35人学級の見直しですとか、教員給与の優遇分といったものをこの財源に充ててはいかがか、といったことも考えられるのではないかということです。

 時間の関係で割愛いたしますけれども、19ページ、20ページにおきまして、以上申し上げたことをまとめさせていただいてございます。

 22ページでございますけれども、大学改革に関しまして、これは大きな前提といたしまして、18歳人口、子供の数ということでございますが、これが減ってございます。例えば、平成元年からこの間を見ると、半分近く減少しているということでございまして、今後も、18歳人口であれば18年先の人口までほぼ決まっている状況でございます。

 それで、23ページですが、この間、国立大学の入学定員というのは、基本的に減らしておりません。その上に、大学院の定員を伸ばしてきているという状況でございます。こうした中で、いろいろと国立大学にはリソースが投入されているのですけれども、十分に社会に対して求められる機能というか、成果を還元しているかというと、必ずしも十分ではないのではないかなという声が常に聞かれているところでございます。

 25ページにつきましては、この春もお出ししたので割愛させていただきますけれども、26ページでございますが、例えば、近年、地方創生ということで、地方の大学は大事だという議論がかなりいろいろなところから出されているわけですけれども、例えば、地方の大学について見ますと、多くの大学が、その設置されている地域を出身とする入学者の割合が同地域を就職先とする卒業者の割合を上回って、流出超過となってございます。こうした中で、地域の人材供給機能を十分に果たしているのかといった問題もあるのではないかということでございます。

 それで、29ページに行っていただきまして、国立大学というのは、近年、参考資料にありますけれども、事業規模が、研究費を中心に非常に膨らんでございます。運営費交付金が若干減って厳しいという声もあるのですけれども、諸外国の大学や研究機関では、資産運用や民間からの受託収入、研究収入等、多様な資金の調達が行われてございます。活性化していると言われている大学は、このような多様な財源を確保しているということで、このような努力もより一層必要なのではないかということでございます。

 30ページでございますが、現在の国立大学法人の運営費交付金の配分というのが、重点化に結びついていないのではないかという問題意識でございます。まず現行の仕組みでございますが、一番上の右側に、特別経費がございまして、これが1割程度。残りの大部分は一般経費ということで、教員・学生数等に応じまして各大学に配分されてございます。このように教員・学生数等に応じて配分するということでございますので、各学部等におきましても、教員・学生が固定的にいるわけですから、学長が特段のリーダーシップを発揮する場合を除いて、学内の重点化や再配分に関するインセンティブがなかなか進まないと。ましてや、大学間の再編や統合に向けたインセンティブも働きにくい状況だろうと考えられます。それで、一番下なのですが、文部科学省についても、この辺は問題だというご認識を持たれてございまして、運営費交付金の額の3〜4割は、改革とリンクさせるとおっしゃっているのですけれども、必ずしもその姿が見えていないというのが実情だと思います。

 次の31ページでございますが、実効性のある大学改革を進めるためには、予算のメリハリにより各大学の改革に向けた取組を促すことが必要ではないかということで、財務省案として考えてみたということでございますが、基本的には、一般運営費交付金につきまして、基盤経費と改革経費に区分して、改革経費については、学長のリーダーシップを発揮できないかということで、その大学について、法人としての全体のマネジメントをやっていく考えで運営していただけないかということでございます。

 また、32ページの特別経費でございますけれども、これにつきましては、現状では特別経費の対象期間、3年なり5年なりということが終われば、そこで終わりということなのでございますけれども、そうしたことでは、なかなか重要な課題に対して、その後も取り組むことができませんから、こういったものの配分について、後年度以降の基盤的な配分にも勘案するといったことも必要ではないかということでございます。

 また、33ページが、先ほどの改革経費でございますが、ここの配分についてはメリハリをつけることが必要なのではないかと。その方向ですが、各大学が目指す機能強化の方向ごとに評価基準を設定しまして、事前に決められた評価基準に基づいて、2年程度ごとに大学の取組を客観的に評価して、配分に反映するといったことが必要ではないかということでございます。評価基準については、例えば、世界最高の教育拠点であれば、論文数で研究成果ということでしょうし、地域活性化の中核的な拠点を目指す大学群であれば、地域にいかに貢献したかといったことが指標になるのではないかということでございます。

 34ページでございますが、国立大学授業料の設定は、現状、文部科学省令におきまして標準額は規定されており、各大学はその2割増まで自由に設定できることになってございますが、基本的にほとんどその増額はなされてございません。

 多様な財源の一つということでもありますけれども、34ページの右下ですけれども、質の高い教育の提供を行って、それに見合う授業料の設定をする。こういったことで生み出した財源を、経済的に困難な学生に還元するとか、よりよい教育環境の整備に充てるといったことも必要ではないかということでございます。

 35ページについては、今申し上げたことをまとめさせていただいてございます。

 次に、37ページ、科学技術関係予算でございますが、平成元年度との比較で約3倍増と、社会保障関係費も超える大きな伸びをしてございます。

 38ページでございますが、これは論文という1つの側面のものでございますが、こうした中で、総論文数は、それに応じて伸びたものの、論文の質につながっているわけではないということは指摘されてございます。

 39ページでございますが、我が国の財政事情を考えれば、今後量的拡大を続けるというのは、科学技術予算についても難しい状況でございまして、質の向上がその課題だろうと考えてございます。質の向上のためには、そのために効果の高いアプローチをすることが必要だと考えてございまして、例えば近年大きく伸びている分野融合領域ですとか、また国際共同研究、こういった分野に「選択と集中」を進める必要があるのではないか。

 あと、40ページはやや各論でございますけれども、競争的資金等で先生方、高額の研究設備を買われることがありますけれども、これはやっぱり一人の研究者、研究室が独占するというようなことになりますと、全体として効率的ではありませんので、高額の研究設備については、共用化を促進することが研究費の効率的支出にもつながるし、研究インフラの整備にもつながるのではないかということでございます。

 41ページでございますけれども、近年、競争的資金の制度数が非常に増えて、多様化が進んでございます。そうした中で、各制度の趣旨や違いが必ずしも明確でないといった問題が指摘されてございまして、こうした点については重複を排除しつつ、制度間の連携強化・統合化を推進する必要があるのではないかということでございます。

 42、43ページは、やや細かい点なので、割愛させてもらいまして、44ページをご覧ください。理化学研究所につきましては、今回、研究不正の問題が起きまして、そのガバナンスの在り方をめぐって大きく議論されているところでございますが、右の改革案にありますように、その資源配分については、PDCAサイクルを徹底して、ガバナンスを一層強化する必要があるのではないかということでございます。また、理研の予算執行につきましては、研究の備品とか、そういったものにつきまして、一括購入等も行われていなかったということがございますので、こういったことはぜひ徹底して、予算の縮減にも努めていただきたいと。それで、こうした点については、理研だけでなくて、その他の研究開発法人についても、ぜひやっていただきたいと。

 45ページなのですけれども、事業の「選択と集中」をやらなければいけないということでございまして、産業化、特に技術化を出口とする事業、こういったものにつきましては、新陳代謝を図り、例えば2年ごとに評価して、プロジェクト数を絞り込むといったことも必要なのではないかと。

 あと、46ページでございますが、今年は特に地域活性化の観点から、地域の事業がいろいろ要求されているわけでございますが、地域拠点事業につきましては、過去累次に渡って展開されてきたことを踏まえれば、これまでの課題を総括した上で、本当に効果的なものについてやっていく必要があるのではないかということでございます。

 47ページにつきましては、大規模プロジェクトも最初はいいのですが、後年度、非常に大きな予算が必要となって、予算硬直化を招く原因となります。一定以上の大規模プロジェクトにつきましては、当初の要求の段階におきまして、プロジェクトを通した負担の在り方について、財源調達の考え方を整理していく必要があるのではないかということです。

 続きまして、最後に、スポーツ関係予算ですが、50ページにありますように、来年度予算では、非常に大幅な増要求が出てございます。

 これについての考え方ですが、51ページですけれども、過去のデータを見ましても、選手強化の予算の多寡とメダル獲得数は必ずしも相関関係にはないので、真に効果のある施策に重点化する必要があるであろうと。

 また、52ページですけれども、過去の選手強化事業では国費以外にも、スポーツくじや民間資金で多角的に財源調達されてございます。スポーツは、国民・社会全体で広く支える視点が不可欠であると考えてございまして、我が国の厳しい財政状況を踏まえれば、こうした視点も不可欠であろうと。

 53、54ページですけれども、54ページから申しますと、近年、スポーツ団体の不正受給等々の問題がございまして、国民からも厳しい目で見られているのだろうと思います。このあたりのことをしっかりと正す必要があると。それとともに、53ページですけれども、何に使って、どのような成果を出したのかは、公表して、透明性を確保していただき、PDCAサイクルを回していくことが必要ではないかと考えている次第でございます。

 最後に、55ページでございますが、新設する競技施設についての考え方でございますが、既存計画のものは、さらなる費用見直しや収入増等を考えていただく必要がある。さらに、今後新規につくりたいという話があるのですけれども、こうしたものについては、それはオリンピックに向けてということであれば、そもそもいつできるのかということで、2020年大会に向けた有用性に加えまして、2020年以降のインフラとしての必要性・妥当性を十分に検証していくことが必要ではないかということです。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 早速質疑に移りたいと思います。田中委員、土居委員、富田委員、鳥原委員の順で、田中委員、どうぞ。

〔 田中委員 〕 大変明快なプレゼンテーションで、ありがとうございました。私の職場の名前も厳しく指摘されているところもありまして、今日は職場とは全く無関係で、私の意見として申し上げさせていただきたいと思います。

 スポーツと国立大学の改革について申し上げたいと思います。

 まずスポーツでありますが、オリンピックという言葉がありましたけれども、ついついオリンピック、祭典ということで、大盤振る舞いになりそうな感じはあるのですけれども、これは国民の負担であり、支援でありますので、透明性を担保して、説明責任を果たしていく必要があるだろうと思います。

 それから、国立大学に関しては、これは31ページから33ページに、関係者から見ると、実はかなりドラスティックな提案がなされているのですけれども、この点について、これをどう理解するのかということを1点申し上げたいと思います。

 まず、大学の類型に応じて、基礎的な資金である運営費交付金の分配を傾斜配分しろということなのですけれども、そもそもこの類型が何を意味するのかということなのですが、日本の大学の制度を鑑みますと、大体アメリカよりは欧州の大学制度を規範にして作られていると思います。では、欧州ではどうなっているかと言いますと、あまり知られていないのですが、そもそも大学の中に学位を授与できる大学とそうでない大学、学位授与権があっても、博士号を出す大学とそうでない大学が、かなり明確に線引き化されていて、その中での各種評価が行われているということです。これは何を意味するかと言えば、投じた公的資金を効率的に使うというだけではなく、出されている学位の質、信用をきちんと担保するために、このような線引きがなされていると私は理解しています。

 翻って、日本の大学はどうであるかということは、もう井藤主計官が指摘されているところでありますし、確かに日本の大学は800ほどありますけれども、そこら辺の役割機能が曖昧になり、そこで出されている学位の質についても問われ始めているところだと思います。このような状況に対して、文科省も手をこまねいて見ているわけではなく、機能分化という言葉を使って、この数年間政策を講じてきましたが、その成果が見えないだろうというのが、今日のご指摘であります。ですから、財務省としては、その考えにのっとって予算を配分するやり方で、この改革を加速化してはどうかというのが、これが今日のメッセージであろうと思いますし、私は基本的にこの考え方に同意をするところがあります。

 ただし、疑問点を2点挙げたいと思います。

 1点目は、この大学の役割分担を明確にするという問題は、国立大学の問題だけではなく、800ある国公私立大学全部に及んで議論をしないと、達成しないのではないかということです。

 そして、2点目、この運営費交付金の配分を世界研究拠点型と全国型と地域型、この3類型に応じて傾斜配分をしようというのが基本的なアイデアではないかと思うのですが、そもそも運営費交付金とは、ほとんどが人件費で占められています。それを考えると、単純に先の3類型順に傾斜配分するにはいかないだろうと思います。

 例えば、2番目にある全国型の大学の評価基準を見ますと、教育に重点が置かれています。教育は、外部資金が取りにくくて、人的リソースを投入しなければいけない性格を有しますので、運営費交付金のようなものでカバーしなければいけないかもしれないし、逆に、世界的な研究拠点を目指すところは、外部資金が取りやすいのではないかと思います。そのように、かなり中身を詰めて配分を考えなければいけないと思います。

 さらに、こういった配分を考えるときには、教員のエフォート、つまり各教員が研究と教育と社会貢献のいずれにどのぐらいの時間とコストを使っているのかということを明確にしていかないと、この先の3類型に基づく、運営費傾斜配分のための算定式は、なかなか成立しないのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。では、土居さん、どうぞ。

〔 土居委員 〕 1点だけ。

 先般、独法通則法が改正されまして、国立研究開発法人制度が設けられたということで、私も行政改革推進会議の議員をさせていただく中で、この国立研究開発法人のガバナンスについて、非常にいろいろと議論させていただき、強化をするべきだということを申し上げてきて、1つの成果が出たと思います。ただ、主計官からもご説明があったように、理研の例もあり、ガバナンスの強化と言いながら、必ずしも十分でないというのが、私の今の認識であります。

 ガバナンスの強化ということは当然として、それ以上に、もう少し研究機関としての在り方自体にもメスを入れなければいけないと。大学には、確かに学問の自由があるということだと思いますが、こうして税金が投じられている国立研究開発法人に対しては、そんな自由がどしどしと認められていると思うべきではないと。確かに、研究者はいろいろ機関を動けますから、大学に所属したり、研究開発法人に属したりということはあるのかもしれませんけれども、やはり大学とは性質は違うと思います。研究開発法人には、理事長を筆頭にして国家的なミッションが与えられて、そのミッションに応える研究しかできないという位に、きちんと統制をとってもらわないと、研究機関としての体をなさないと思います。そのような意味では、単なるガバナンスの強化ではとどまらず、国家の意思としての研究をできる研究者を集めて、成果を上げていただくという規律が必要だと思います。

〔 吉川分科会長 〕 富田委員。

〔 富田委員 〕 義務教育関係予算につきまして、今日の報告にもありましたように、義務教育関係の予算、教員の数は極めて硬直的なわけです。児童生徒の数が大幅に減っても、教員はあまり変わってない。この春の分科会の建議におきましては、自然減を10人上回る減員ということで、70万人ほど母数がある中で、10人のことを大騒ぎして、建議に書くことができたほどです。

 そうした硬直性を前提に考えると、この35人学級の廃止の問題は、極めて大きな意味を持っていると思います。削減できる金額が86億円とのことですけれども、国債金利を例えば1%といたしますと、これは利払い費で86億円ですから、国債残高で言えば、8,600億円の国債残高、つまり将来にわたる1年生だけの35人学級の財政支出の割引現在価値は、極めて大きいということであります。加えて、地方の負担、つまり交付税の負担もありますので、これの数倍の国民負担にかかわってくる。さらに、1年が2年、3年、4年と拡大する可能性もないとは言えない。さらに、学校規模の適正化にも影響してくる要因だと思います。

 これらを考えますと、特に明快な効果がないということでありますので、戻すということは本筋だろうと思います。このことは、これまで年金のところで議論ありました世代間の不公平といった問題から考えても、極めて大きな国債残高をこれから作ってしまう選択はできないので、先ほど主計官は、他の経費に充当するということも言われましたけれども、それは全く別といたしまして、35人学級の問題は、40人に戻すべきだと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、鳥原委員。

〔 鳥原委員 〕 科学技術関係とスポーツ予算について意見を申し上げたいと思います。

 科学技術イノベーションの推進を通じて、地方を再生・創生することが、非常に重要な課題でありますが、そのためには、地域の産業界と地元の大学、研究機関、地方自治体などが連携して、地域の潜在力を結集し、競争力の強化や地域発の新しい産業の集積をつくり出していくことが重要であると思います。イノベーションを実現する新たな制度としては、平成26年度予算において、産学官の連携により基礎研究から実用化・事業化といった出口までを見据えた研究開発等を推進する、府省横断型のSIP、戦略的イノベーション創造プログラムが創設されております。本プログラムについて、地方の再生・創生の観点から、地域経済を牽引する中堅・中小企業が制度を利用できるように、中堅・中小企業を核とした事業枠を創設することなどを検討していただきたいと思います。

 それから、スポーツに関して、まずこの資料の見方で注意すべき点があると思います。51ページのグラフは、選手強化予算の多寡とメダル獲得数の関係を見ようとするものであると思いますが、メダル獲得数の変化は、他の国の強化費との相対的な関係で見る必要があると思います。近年の開催国は、開催決定後に強化費を大幅に増加して、メダルを急増させており、その影響が非常に大きいということです。特に最近は中国、イギリス、そしてブラジルでその傾向が顕著です。こうした中で、我が国もオリンピック開催が決定したわけですから、27年度から強化費の増額は不可欠となると思いますが、このグラフの27年度予算には、おそらく国立競技場の建替えなどが含まれていると思いますので、これら強化費とは異なる要素を除いて、適正レベルかどうかの判断が必要ではないかと思います。

 それから、52ページのスポーツ関係予算の各国比較では、日本の財源が国費偏重ということになっていますが、国の事情の違いを考慮した正しい比較かどうかという点で見ると、特に日本では企業スポーツが競技力の強化やスポーツの振興に大きな役割を果たしているということが考慮されていないのではないかと思います。いずれにしても、我が国のオリンピック・パラリンピック強化費は、諸外国に比べて十分な額とは言えず、特に私が関わっているパラリンピックに関しては、トレーニング施設の不備や、指導者の不足、あるいは、競技用具の経済的負担の重さなど、たくさんの課題を抱えている現状にあります。2020年の東京大会を成功させて、大会のレガシーを最大化するには、何よりも日本選手の活躍が不可欠であり、そのための強化費の拡充を十分考慮すべきであると思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、続いて、大宮委員、老川委員、竹中委員。

〔 大宮委員 〕 3点ございます。

 まず1点、義務教育ですけれども、事務作業が非常に多いということのようでありますので、この辺、企業でもよく言うのですけれども、業務の棚卸しをして、主でない従の業務等については、外部の専門人材の活用といった、教員を取り巻く環境の改善を文科省に強く求めるべきだと思います。その中で、地域の人材とか企業OBは、地域の活性化という視点からも重要な人材だと思いますので、その辺の活用もぜひできればと思います。

 それから、2点目、科学技術なのですけれども、日本のイノベーション力が低下していると言われております。これは研究をして、その後、開発をして、最終的に良いものであれば事業化するというわけでありますが、この事業化に至るところで失敗している事例が非常に多いです。ここはいわゆる「ダーウィンの海」とか「死の谷」ということ言われていまして、ここへお金だけではないと思うのですけれども、うまく支援できると、日本の科学技術力を中心としたものが事業に結びついていくのではないかと思います。

 それから、3点目ですけれども、これは必ずしもオリンピックの件だけではないのですけれども、一度オリンピックの資金の調達法について聞いたことがありまして、これはロサンゼルスからそうなってきたと伺っていますけれども、いかに民間の資金も活用しながらやるかに対して、非常に示唆に富んだやり方だと覚えておりますので、ぜひ一度紹介をしていただけたらと思います。

〔 吉川分科会長 〕 老川委員、お願いいたします。

〔 老川委員 〕 スポーツ予算の関係、オリンピックの関係でちょっと伺いたいのですが、大会組織委員会関係者の話を聞いてみると、なかなか大変らしいのですね。会場の設営一つとっても、東京湾、これもトライアスロンといっても、川から入ってくる汚染水とか、このようなところの関係で、予定していたところが使えないとか、いろいろ問題があって、大分難航しているらしいのですが。それはそれで、いずれ調整してやっていくのでしょうけど。

 つくった施設を後々どうするのかというあたりで、国がつくったものは、そのまま当然残るでしょうけど、基本的には壊すことが前提になっていると聞きましたが、どういう部分を残し、どういう部分は壊すのか、せっかくつくったものを後々使えるようにしたほうが将来的にはいいのではないかと、素人考えで考えるわけですけれども、何で壊さなければいけないのか、どのような理屈になっているのか、ちょっと教えていただきたいなと。

〔 吉川分科会長 〕 これは主計官の担当ですか。

〔 井藤主計官 〕 私の担当と言われるとちょっと微妙なのですけれども。国費で整備するのは、基本的に新国立競技場だということになっていまして、あとの施設は、東京都なり組織委員会が整備すると。

 基本的に、そこの考え方なのですけれども、その後のインフラとしての必要性が薄く、そうはいっても、オリンピックは膨大な事業を短期間に行わなければいけないので、そのためにどうしても必要なものについては、仮設でやると。そうでないものだけ恒久施設にやるということで、整理がされてございます。

 典型的な例で、ロンドンの競技場なのですけれども、これは郊外に8万席規模の競技場を整備しましたが、その観客席は、恒常的には、そんなに要らないということで、その一部を仮設でやっておりまして、既に仮設部分の観客席は取り外す工事は行われており、そのような考え方でやられているものだと承知しております。

〔 吉川分科会長 〕 では、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 先ほども福祉の分野で、障害福祉ということで、初めて財務省が切り込んでいただいたというか、取り組んでいただいたというか、ということですので、感謝しつつ、教育の分野でも、ぜひ特別支援教育についても、皆さんで議論のできるテーブルに載せていただきたいなと感じています。

 先進諸国では、ほとんど特別支援教育、special needs educationですので、様々なチャレンジドに対する、その人の能力を高めるための教育は行われているわけですが、日本のように特別支援教育が分離された形でやっているのではなくて、兄弟は、障害がある子もない子も地域の学校に通い、そこでspecial needs educationを受けるのが一般的なのですね。日本は、それを特別支援教育という形で切り分けて、卒業後の就業に関しては、企業の雇用率を達成せねばという努力に、おんぶにだっこみたいな形でお願いをしていてという、これが日本の障害者福祉というものの1つの流れにもなっているわけです。

 であるならば、逆に、日本の国がそのような制度で教育と雇用をチャレンジドに関して行っていることについて、やはり議論の対象になるべきではないかなと私は考えます。ぜひ、お手を煩わすことになるのかもわからないですが、特別支援教育についても、その効果といいますか、教育的効果、あるいは日本の国全体が彼・彼女らを、チャレンジドたちを受け入れ、しかも国の発展につなげていくような政策になっているのかどうかということを、またここでご議論いただければうれしいなと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、続けて、佐藤委員、葛西委員、井堀委員、お願いいたします。

〔 佐藤委員 〕 義務教育について、一言で言えば、公的教育をどう再生していくかというのが大きな政策課題だと思います。私も地方の出身なので、東京に来ていまだに不可解なのは、夜中に子供が塾から出てきて、9時ぐらいに国立のまちを歩いていることです。これは、東京や大阪ですかね、大都会の問題だと思うのですが、公的教育の再生が問われている中で、その手段として、果たしてそれが学校の先生の配置、人数を増やすことなのか、給料を上げることなのか。大きな課題として、公的教育をどうしていくのかということで、ここが充実していかないと、結局、民間の私立の学校に行って、しかも、塾に行ける富裕層だけがいい大学に行けている。うちの大学も、子供はかなり富裕層ですからね。したがって、そのようなところになると、また世代を通じた貧困の連鎖が起きていきますので、人材の流動性、それから、もちろん、長い目で見れば、人材の育成という観点から見ても、公的教育を再生していくというのが大きなアジェンダだと思います。

 それから、もう一つ、これは地域差なのです。国と地方の関係でもあって、国の基準としては35人ではなくて40人学級だよね、国の基準としてはもう少し給料を下げたほうがいいよねと。それはあっていいと思いますし、それに従って交付税を配るのは自由だと思います。ただ、それぞれ地域によって、おそらくどのような形で公的教育を充実させていくのかは、事情もありますし、試みもあると思います。先ほどから何回か出ていますけど、OBの方の活用であるとか、退職した教員も多いわけですから、地方では、お年寄りがたくさんいるということですから、それが逆にリソースになるわけで、そういった人たちをむしろ教育に使っていくというのは、あってしかるべきだし、そのような様々な試みというのは、むしろ地方の自由だと思いますので、そこは国の基準としてやるべきことと、地方が裁量的にできることは、分けて考えたほうがいいと思います。

 ただ、税金を、少なくとも地方税であれ、国税であれ使っているので、成果として教育をはかっていくのは、もう少し真摯な努力がなければいけなくて、やっと学力テストも何となく情報公開っぽくなってきていますが、その学力テストという評価、それからいじめについては、認知するのと発生するのは全く意味が違うので。最近増えたのは、認知が増えたからだと。もともとあったのでしょうが。したがって、そのようないじめのこと、不登校、そういったところも、成果をしっかりと測っていくというところで、どのような試みがベストプラクティスなのかを、様々な地方の取組を見ながら見出していくという、そのような二段構えぐらいのことはしないといけないのかなと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 葛西委員、お願いいたします。

〔 葛西委員 〕 まず小中学校について、資料で説明された認識並びにその問題提起は、ことごとく当たっていると思います。

 私は、日本の小中学校、公的教育は、失敗しているのではないかと思います。それは、1つには、原則として、子供の数や授業時間が減っているにもかかわらず、先生の数は増えているというところに典型的にあらわれているので、教員の数は子供の数が減るのに比例して、あるいは、比例以上に減らした方がいいのではないかと思います。

 それから、今佐藤委員から話がありましたが、成果はどうなのかというと、おそらく学校だけでは十分な学力が付かないから塾が加わっていると思うのですね。塾でどのぐらいのお金が使われて、どのぐらいの子供が、どのぐらいの時間を拘束されているかは、資料には出ておりませんが、把握しておいたほうがいいと思います。

 さらに言えば、子供たちの社会性をなくす形の時間の使われ方になっているのではないかと思います。少人数学習なども、そのような傾向があると思いますので、この辺はぜひ思い切って直すほうがいいのではないでしょうか。小中学校向け教育支出のうち、人件費の比率が85.9%というのは、国鉄が崩壊したときの人件費率84.8%を超えていまして、信じがたい数字だと思います。

 それから、もう一つは、大学の方ですが、大学院の定員増というのは教育の密度を引き延ばしているだけではないかという感じがいたします。

 資金の多様化の話も出ておりましたが、テーマを決めて研究する分野と基礎研究としてやる分野とを分けたほうがいいのであって、テーマとして研究する分は、国家目標に資する継続的な対象テーマをきちんと決めることが大事ですし、企業からの寄附は、そんなに長期ではないけれども、対象がはっきりしていて、一定の期間内に結果が出るものを選ぶべきであると思います。その際に、資料では、ガバナンスを強くするために評価をきちんとするということを言っていますが、評価をするために、結果として、大学の教員、研究者は、余計なことに時間を取られてしまいますから、それは結果で判断するのがよいのではないでしょうか。企業からのお金は、企業が結果で判断するでしょうし、国家としてのテーマは、安全保障とか、そのようなものも含めるべきだと思いますが、長期持続的に国家目標が達成されるかどうかで見るべきなのであって、そんなガバナンスを強くするのは、やたらに事務作業をふやすだけですので、やらないほうがいいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。井堀委員。

〔 井堀委員 〕 簡単に2点。1つは、義務教育と高等教育について、共通性がどのくらいあるかということなのです。どちらも少子高齢化で、子供の数が減っていますし、子供の数が減れば、当然、大学生の数も減りますので、共通している点があるわけですね。そうすると、小中学校の統廃合という形で効率化を進めるのであれば、高等学校、大学も統廃合という形の、もっと大胆な取組もやらざるを得ないと思います。

 それから、もう一つ、高等教育で評価の話が出たのですけれども、高等教育の評価は、確かに論文数でもできますが、これはなかなか難しい。最先端のことをやっていますから。むしろ評価で相対的に客観性が保たれるのは、先ほど佐藤委員もおっしゃっていた学力テスト。義務教育の場合は、達成すべきものは決まっているわけですから、それをどの程度達成できたのかわかります。評価システムをもう少し義務教育に入れて、そこで財政的なインセンティブで義務教育の質をきちんと担保してもらうような、そのような制度を入れたほうがいい。義務教育だけ統廃合で、高等教育だけ評価システムだけではなくて、両方をうまく組み合わせて、それぞれ取り組んでいただきたいと思います。

 それから、もう一つは非常に簡単な点なのですけれども、オリンピックです。2020年度は、PB黒字化の年度です。私が心配しているのは、オリンピックまでは日本も気合いも入って、何とかいけると思うのですが、財政的にもオリンピックのために様々なことをして、人的にも努力していくと、その後がむしろ怖いのではないか。極端な話は、ギリシャもオリンピックの後破綻したわけですから、ギリシャのようにならないように、きちんと2020年の後を見据えて、オリンピック関係の予算も含めて、対応していただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、十河委員、遠藤委員、お願いします。

〔 十河委員 〕 大変わかりやすい資料、内容で、勉強になりました。改めて、教育は、言うまでもなく大切なものであって、曲がり角に来ているなと痛感しております。教育の質を、もう一度重点的に見直していく必要があるのではないかということと、それに合わせた予算のメリハリが今後重要になってくると。

 そして、私が1つ気になりましたのが、個性重視というところをもっと強化していくべきではないかというところです。資料の26ページに、国立大学が例として出ておりまして、関東圏以外は全て学生たちが流出しているという事実、これはやはり地方の活性化にも多少なりとも影響していると思いますし、その一方で、資料の24ページに、総合大学がまだ都道府県に1校あるということで、こちらも再検討していくところに来ているかなと思っております。やはり地方活性化、あるいは、とにかく日本は均質化がずっと言われておりますけれども、もっと特化した個性のある学生たちを増やしていくことも重要ですし、必ずしも偏差値教育が正解ではなくて、もっとスペシャリストを育てていくことが、今後の国力に関わってくるのではないかと。ポジティブに専門職を増やしていくことが大切ではないかと思った次第です。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

 では、遠藤委員、お願いします。

〔 遠藤委員 〕 ありがとうございます。ご報告ありがとうございます。

 大宮委員のご提示をされた論点にちょっと付け加えさせていただきたいのですけれども、先ほど業務の棚卸しということがあったのですが、実は、私、与論島の先生方と、新百合ヶ丘の小学校と、2つ見学に行き、そのようなディスカッションをした経験がございます。教育の後の先生方のお仕事には、与論島であろうが、新百合ヶ丘であろうが、あまり変わりがないということをとても痛感いたしまして、もしかすると、マニュアル化とか、IT化とか、そういったものが効率を上げる意味に何か上向きの効果を与えるのではないかなと思ったことがございました。ですので、そういった視点での、教員のお仕事のフロー改革は必要ではないかと思ったのが1点。そして、大学の件につきましては、また大宮委員がおっしゃった「死の谷」の問題なのですが、29ページに、ちょうどフラウンホーファーのドイツの研究機関の事例が挙げられていまして、実は産構審の産業技術環境部会のほうでディスカッションさせていただいた、まさにこれがテーマでして、フラウンホーファーの研究者の方々は、いくら競争資金を持ってこれたかによって、その業績が評価されるということで、まさしく今、理研の工学部版の産総研が、それに向かって組織改革をしているところです。33ページの改革の様々なモデルケースとして、国公立大学を分けてあり、論文の数で評価される先生方もあっていいとは思うのですが、いくら企業からお金を取ってきて、受託研究の質を上げていくのかというところもある種の評価軸になるのではないかなと思います。それが遠くは運営費交付金を減らしていくといった、1つの取組になるのではないかなと考えます。先ほど土居委員が、様々なところの研究機関や大学を行きつつあるということだったのですが、企業も含めて、そのような人材の流動化が進めば、そういった評価軸も出てくるのではないかと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございます。

どうも、後半も活発な議論ありがとうございました。本日の議論はこれまでとさせていただきます。毎回のことですが、本日の会議の内容の公表につきましては、恐縮ですが、私にお任せいただき、会議後の記者会見で紹介させていただくということにいたします。会議の個々の発言につきまして、皆様方から報道関係者等に対してお話をすることのないよう、毎度同じお願いで大変恐縮なのですが、お願いいたします。

 次回は11月7日15時から予定しております。よろしくお願いいたします。

 では、これで閉会といたします。

午後 0時35分閉会

  

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