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財政制度分科会(平成26年9月22日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
平成26年9月22日
財政制度等審議会


 財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成26年9月22日(月)15:03〜17:00
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

1.開会
2.議題
・我が国財政を巡る現状等について
3.閉会

配付資料 
○資料1 欧州債務危機について
○資料2 各国の財政健全化に向けた取組について
○資料3 国内市場の動向について
○資料4 財政と社会保障について

出席者

分科会長 吉川 洋           

麻生財務大臣
宮下財務副大臣
御法川財務副大臣
大家大臣政務官
竹谷大臣政務官
田中主計局長
岡本次長
西田次長
新川総務課長
寺岡調査課長
山本司計課長
窪田法規課長
堀内給与共済課長
片岡大臣官房参事官
阪田主計官
余島主計官
白石主計官
冨安主計官
青木主計官
井藤主計官
宇波主計官
彦谷主計官
高村主計官
小野主計官
井口主計官
中山主計企画官
内野主計企画官

分科会長代理     田近 栄治  
 委員

秋山 咲恵 
井伊 雅子
井堀 利宏
碓井  光明
倉重 篤郎
黒川 行治
角   和夫
竹中 ナミ
田中 弥生
土居 丈朗
富田 俊基
鳥原 光憲

 臨時委員

板垣 信幸
老川 祥一
大宮 英明
葛西 敬之
小林 毅
佐藤 主光
末澤 豪謙
十河 ひろ美


   
 

午後 3時03分開会

〔 吉川分科会長 〕 それでは、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方にはご多用中のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は麻生大臣にご出席いただいております。また、副大臣にご就任されました宮下副大臣、御法川副大臣、政務官にご就任されました大家政務官、竹谷政務官にもご出席いただいております。

 審議に先立ちまして、まず、麻生大臣からご挨拶をいただきたいと思いますが、カメラが入りますので、そのままお待ちください。

(報道カメラ 入室)

〔 吉川分科会長 〕 よろしいですか。大臣、お願いします。

〔 麻生財務大臣 〕 それでは、財政制度等審議会財政制度分科会の開催に当たりまして、一言ご挨拶をさせていただきたいと存じます。

 吉川会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、普段から財政をめぐる諸問題につきまして幅広くご議論をいただき、大変感謝をいたしておるところであります。

 御存じのように、安倍内閣におきましては持続的な経済成長と財政健全化の両立を目指した経済財政運営を基本方針といたしております。日本経済、足元では消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動の影響等も見られますものの、三本の矢の効果などにより、緩やかな回復基調が続いておると存じております。

 財政の健全化につきましても、平成26年度当初予算において、中期財政計画で定められた改善目標を上回る収支改善を実現いたしております。また本年4月から社会保障・税一体改革の第一歩でもあります消費税率の引上げを行うなど、その取組を着実に進めてもおります。これらはこれまで当審議会からご提言をいただいた成果だと考えておるところです。

 当審議会にてご審議をいただく平成27年度予算は、政府の経済財政運営に対する市場の信認と国際的な評価を維持するために、2015年度のPB赤字の対GDP比半減目標が確実に達成されなければならない極めて重要な予算であろうと存じます。また、2020年度までのPB黒字化に向けた布石となる予算でもあります。特に2015年度のPB赤字の対GDP比半減目標につきましては、その実現可能性については予断を許さない状況であると存じます。

 これを確実に達成するためには、予算編成過程におきまして、厳しい査定を通じた歳出の削減等を行う必要があろうと存じます。各歳出分野におけます査定方針などにつきましても、この審議会におきまして幅広くご議論、ご提案をいただく必要があろうと存じます。

 また、消費税率の10%への引上げにつきましては、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断をすることになります。国民に負担を求める以上、予算を聖域なく見直し、無駄や非効率を最大限排除しなければならないのは当然であります。

 昨年、当審議会の建議において、社会保障のいわゆる自然増の実態と問題点をご指摘いただき、予算編成でその見直しを行わせていただきました。本年もいただいたご意見、ご提案を来年度予算に最大限反映させるとともに、2020年度のPB黒字化を実現するための具体的な課題として今後取り組んでまいりたいと考えております。

 つきましては、昨年同様、幅広い見地から活発なご議論をよろしくお願い申し上げて、ご挨拶にかえさせていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、新たにご就任されました副大臣、政務官から一言ずつご挨拶をいただければと思います。

 それでは、まず、宮下副大臣、お願いいたします。

〔 宮下財務副大臣 〕 このたび、財務副大臣を拝命いたしました宮下一郎と申します。麻生大臣をしっかりお支えして働いてまいりたいと存じます。先生方の今後とものご指導をよろしくお願い申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、御法川副大臣、お願いいたします。

〔 御法川財務副大臣 〕 同じく、このたび財務副大臣を拝命いたしました御法川でございます。ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 続きまして、大家政務官、お願いいたします。

〔 大家大臣政務官 〕 このたび財務大臣政務官を拝命いたしました大家敏志と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 続きまして、竹谷政務官、お願いいたします。

〔 竹谷大臣政務官 〕 このたび、財務大臣政務官を拝命いたしました竹谷とし子と申します。先生方の中には以前からご指導いただいている方もいらっしゃいますが、この財政制度等審議会の中で非常に貴重なご議論がなされていると理解をしております。

 過去2年分の資料も拝見しておりますけれども、大変に読み応えがあるもので、これをそのまま実現できれば、財政健全化というものが達成されるわけでございますけれども、これを実行するには国民の皆さんの痛みを伴う改革をやらなければならないということで、今いろいろなところを回らせていただく中で、この財政に対する現実と国民の皆様との理解とのギャップを非常に認識しております。この状況を国民の皆様にしっかりとわかりやすく理解していただくことが非常に重要であるという問題意識を持っております。

 先生方のご議論、ご検討、しっかり勉強させていただき、日本の持続可能な経済成長と、財政健全化のために一生懸命働いてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 吉川分科会長 〕 どうもありがとうございました。

 それでは、ここで報道はご退出ください。お願いいたします。

(報道カメラ 退出)

〔 吉川分科会長 〕 それでは、本日は大変ご多用の中、麻生大臣にご出席いただいておりますので、この機会に皆様方から、どのようなことでも、ご意見、ご質問がございましたら、お願いいたします。フリーディスカッションですので、貴重な機会ですから、どなたからでもどうぞ、お願いいたします。葛西委員、どうぞ。

〔 葛西委員 〕 一言ご質問を申し上げたいと思います。

 経常収支が赤字になってきているということを新聞等で拝見しています。これは原子力発電の停止に伴って追加の化石燃料の輸入が増えたこと、それまで買っていたもの全体の値段が上がったことが大きな原因だと思います。これを早期に稼働させることが財政の健全化あるいは通貨の信用の維持に極めて大切だと思うのですが、この点についてのご見解をぜひお聞かせいただきたいと思います。

〔 麻生財務大臣 〕 原発停止に伴う日本の石油や天然ガス等々のスポット買いにより、年間3.6兆円以上貿易収支が赤字になったことは、全体の経常収支をマイナスに引っ張る意味におきまして極めて大きなマイナス要因だったことははっきりしていると思います。

 加えて、約75円から2008年のいわゆるリーマン・ショックのときと同程度の約108円まで円安方向に動いたことで、貿易収支の中においても貿易額としては、同じ価格で売るよりも、安く売れるわけですから、輸出の数量を増やすことによって新たな貿易摩擦を起こすよりは、少なくともその分は値段を据え置いて今のシェアを確保しながら、自分の企業の収支を黒にするという方法をとった企業は結構な数になっていると思います。そのようなものを含めまして、私どもとしては予想以上に影響を与えたと思っております。

 いずれにしても、安全第一と考えた上で、今後ともエネルギーの中に占める電力の安定供給が確実なものでない限りは企業も安心して国内で設備投資を増やさないことは当然だと思います。したがって、そのようなことを考えて、今後ともこのエネルギー、なかんずく、原子力発電に当分の間はある程度依存せざるを得ませんので、各企業、石炭、火力等々、いろいろ電力会社は場所を選択されたり、設備投資を計画されたりしておられますけれども、安全の確認をした上で動かしていかない限り、大きな電力会社は軒並み債務超過に陥ることがはっきりしております。債務超過になって仮に倒産になれば、債券市場は大変なことにもなりましょうし、与える影響は極めて範囲が大きいと思いますので、エネルギー問題は今日本が抱えている問題の中で、短期的には最大の問題だと理解しております。

〔 吉川分科会長 〕 いかがでしょうか。はい、倉重委員。

〔 倉重委員 〕 麻生大臣、G20、ご苦労さまでした。

 日本の財政健全化目標とそれに向けた政治的な努力が国際的にどのように評価されているのかをぜひ教えていただきたいです。様々な国際会議に出られて、日本の進むべき道といって説明されたときに、今回はもう少し景気を活性化するという注文もあったようですけれども、この財政再建努力については物足りないと思われているのか、いいプランだと思われているのか、しっかりとやっていけるかどうか不安に見られているのか。消費税率を引き上げるか、引き上げないかの決断をしたときに、世界のマーケットがどのように見ているかという点については、慎重な気配りをして決断しなければならないと思うのですね。

 その辺りのご見解をお聞かせください。

〔 麻生財務大臣 〕 昨年以降、この2年の間にどのような形になったかといえば、アベノミクスの評価、なかんずく、第一の矢、第二の矢によって、日本は間違いなく財政再建をやるために消費税率を与野党合意で引き上げており、各国は与野党合意ができないから引き上げられないのだろうと。したがって、これを実施しますと言ったときには、各国疑わしい顔つきでしたが、今年は4月から実施することを去年の10月で決めた後のワシントンの会議では、全くその種の声は聞かれなくなって、今年に入ってからは、2月にもありましたし、4月にもありましたけれども、いずれもそれらの会議において日本の評価は極めて高いものになってきております。

 ドイツは財政再建を優先的に行い、事実、財政収支をバランスさせることとしておりますので、ドイツだけは間違いなくこの状況になっておりますが、ほかの国では金融政策だけではこの不景気を解消できない。ディスインフレという名前のデフレの一歩手前になっていますので、各国はいずれ日本がやったことを見習うことになると。そのように言っていたのが去年の10月で、今年の4月には間違いなく何カ国かがいろいろと言ってくるようになりましたので、かなり私どもの努力は評価されていると思っております。

 加えて、この12月にはもう一回、来年の10月からの残り2%の分を行う前提で、各国見ておりますし、各国と違って、私どもは去年の7月の選挙が終わった後、参議院でも過半数を獲得することになりましたし、消費税率を引き上げなかった場合は法律を改正しなければならないルールですから、そのような意味では上げる前提です。IMFのラガルド専務理事にしても、世界銀行のキム総裁にしても、引き上げる前提で見ておりますので、国際的な見方としては、今日出てくる欧州関係資料や、その後の財政健全化の各国の取組についての資料1、2を見ていただいても、私どもの努力は評価しつつも、しっかりと最後の最後までやるのだろうなということが1点。

 加えて、それでも2020年度までにPB黒字化できる見通しとはなっていませんから、更なる努力が必要だということも説明しており、その上での話になっております。うちは数字をいじくっているわけでも何でもないので、トランスペアレンシーははっきりしておりますし、その点の評価も高いです。私どもとしては何としてもこの12月に、税制抜本改革法附則第18条の3項に照らして、しっかりとした状況を作り上げていかなければならないと考えております。

〔 倉重委員 〕 その辺は総理と副総理の間に意見の不一致はないのですか。

〔 麻生財務大臣 〕 ありません。

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて、末澤委員、田中委員、土居委員、お願いします。

〔 末澤委員 〕 昨日、直接テレビにてあちらのコメントを見させていただきましたけれども、今日いらっしゃると、相当お元気だなと思いました。

 1点、ご質問させていただきたいのですが、先週末18日に日米で資金循環と財務勘定統計が発表になりまして、似たところと少し異なるところがございます。似た点は、個人の金融資産、純資産ですね。こちらは日米ともに過去最高更新と。これはよかったことですね。一方で、国債の残高につきましては日本では短期国債を含めて始めて1,000兆円を超えてきました。1,013兆円。一方、アメリカを見ますと、最近、残高増加額がとまってきております。そうした中で、日本銀行、アメリカではFRBが保有しております国債の残高シェアが過去最高と、利付国債に関しましてはゆうちょを抜いて、セクターでも今回最高になりました。短期国債を含めたシェアが日本では21.2%でありました。一方、同じ基準で、アメリカの場合、政府が保有する国債等も含めますと13.6%と、ちょうど日本はアメリカの1.5倍です。ただ、ご案内の通り対GDPに占める債務残高は日本が約200%、アメリカが100%ですから、約3倍保有していると。

 ですから、今大変景気はよくなってきているのですが、金利が相当低利で安定している、大きな意味でやはり日銀緩和の背景があり、それがやはりこのような残高増加額に表れているのだと思いますが、必ずしも持続可能とも思えない。冒頭おっしゃいましたように、財政健全化と経済成長を車の両輪として推し進めないといけないと思います。

 今年の年末の消費税率引上げはマーケットの関心事ですから、決めたことをしっかりとやってくるとともに、この経済活性化のために、もう大臣がよくおっしゃっていますが、企業が保有している余剰資金、これの投資をどのように促していくのか。

 このあたりをぜひご見解をいただければと思います。

 〔 麻生財務大臣 〕 一点目は日本の家計金融資産が約1,630兆円、世界で1位がアメリカ、2位が日本になります。しかしアメリカは対外純債務国ですから一緒にはできません。こちらは純債権国でやっているのですから、全く意味が違います。そこのところはなかなか私どもとしては見解が違います。

 二点目は、企業の内部留保金が2012年度末で約304兆円ありましたが、これが2013年度末で約328兆円となり24兆円程増えています。したがって、企業は間違いなく、今までのデフレの時代にお金を何も使わず持っておきさえすれば、お金の値打ちが上がり、ものの値打ちが下がる、デフレですから、何もしないでじっと持っているのが一番かたい経営でした。経営者なら誰でも考えます。しかし、この例は世界で一つもありませんが、マイナスからプラスのインフレターゲットを去年日本銀行と共同声明でやらせていただきました。それにあわせて、金融政策を緩める方向に舵を切り、お金が銀行にたまるだけではなく、市中銀行に出回るためにそこに需要が出てこなければならないと。個人消費と設備投資と財政支出、GDPの主たるものがこの3つですから、その3つのうち2つがとまっており、財政支出でそれを助けることから始めなければならないことははっきりしております。財政もその方向で事を進めさせていただいたものが昨年度予算であり、今年度の予算です。

 その方向で事を進めているところにもってきて、今回、さらに企業のほうからは、いわゆる法人税減税というお話が来ていますので、私どもとしては法人減税をしても、した分はどうするのですか、またためるのですか、と。金利もつかないのにためてどうするのですかということが、我々が財界に投げかけている言葉です。しっかりと使ってくれる保証をくださいと。それがないのでしたら、コーポレート・ガバナンスやスチュワードシップ・コードをやらせていただくようになったのはそれであって、私どもとしては企業が確実に持っている、内部のためているお金を使って、いわゆる消費に寄与するであろう給与を上げてもらうか、設備投資をしてもらうか、配当を上げてもらうか、この3つのうちいずれかにお金を使ってもらわなければ内部留保にため込まれてしまう。

 個人の方は消費税率が2%引き上げられて、企業は法人税率が2%下がり、下がった分は内部留保ということでは、何ら説得力を持ちませんので、その点につきましては、企業の理解を得るのは当然ですが、企業と話し合わなければならないと思っております。

 少なくとも、昨年は、今年度でもありますけれども、給与を上げていただきますというお話をしましたけれども、社会主義国家ではないので、少なくとも自由主義国家で組合の給与の関係を政府が介入する等といったことはあり得ません。しかし、今は非常事態ですから、給与にお金を回していただく方向で、去年は少なくとも2%なり、ボーナスや一時金も出ましたので、今年度も引き続きその方向でやっていただく必要かと思っております。

 いずれにしても、20年間デフレで縮こまった、企業経営者の意識を変えてもらうことはかなりのインセンティブが必要であることははっきりしていると思います。その方向で、コーポレート・ガバナンスですとかスチュワードシップ・コードはそのようなものの一環だと思っていただいて、それでも動かなければ、更に様々なことを考えなければならないかもしれません。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、続いて、田中委員、土居委員、竹中委員、老川委員、大宮委員の、そうした順で、皆さん、お願いします。

〔 田中委員 〕 麻生大臣、大変お疲れさまでした。私も昨日、ニュースでお姿を拝見して、瞬間移動されたのかなと思ったりしたのですけれども、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 2つ申し上げます。

 1つは、今、この国は自由主義国家なのだから、給与に政府が介入するのはおかしいのではないかと大臣からおっしゃってくださったことは、私は本当にほっとしました。というのも、残業代云々について、なぜ政府が介入するのかはとても不思議に思っていましたので、大臣自らこのように言ってくださったことは大変心強く思います。

 そして、2点目なのですが、これは質問というよりも提案であります。先ほどの竹谷政務官から、国民の財政危機に関しての認識が薄いとおっしゃって頂いたのですが、国民にどのように伝えるのかは財審においても長年の課題でありました。

 全く効果がなかったのかというとそうではなく、次世代への先送りというキャッチコピーが既に国民の中で共有されていて、その点はある程度の効果があったのではないかと思いますが、やはり全世代、あるいは、現世代においてどのように共有するかといったときの財政危機の認識の仕方にもう少し工夫が必要だと思っています。

 日本人は楽観主義で、神風が吹くという発想がどこかにありまして、いわゆる救済を誰かがしてくれるという、現在であればIMFということになるかと思いますけれども、救済はただでしてくれるわけではないのだというところの認識がおそらく薄いと思います。救済だと人道的な援助だという認識があると思うのですが、実際にIMFが管財人として入ってきたときに、その国に何が起こるのか、そして、それこそ社会保障サービスが大幅にカットされ、増税され、しかも自分たちが投票した議会で決められないという不自由さについて、実感が伝わっていないと思うのですね。

 ここを、今、財務省でもマクロの資料を用意していただきましたけれども、生活者目線で、シミュレーションも入れながら、そして、やや精神的な話になるかもしれませんけれども、自由が奪われることの屈辱ですね、これを伝えていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〔 麻生財務大臣 〕 2点目の話ですけれども、この資料2の2ページのところ、「各国の財政健全化に向けた取組マル2」を見ていただくと分かりますけれども、ドイツが財政収支がバランスする姿になっておりまして、その中で、赤字で描かれているのが日本であり、これが今の日本の置かれている状況であります。

 従いまして、このような状況にあることを、しっかりとわかって頂かなければならないのだと思います。IMFに介入されて、1997年のアジア危機の通貨危機のときに韓国はどのようになり、その後韓国がどのような経済状況になっていったのかを詳しく説明してもらえば、韓国では、短期で外貨を調達し長期資金を供給していたため、外貨資金が引き揚げられた結果、資金繰りに窮し、最終的にIMFに支援を要請することとなった。その後、銀行の経営再建の過程で外資の参入が進んだというのが一つお隣の国の話です。

 財政危機に陥ってIMFの管理下に置かれたときにどのようになるのかは、日本としては一般的にはあまり理解されがたいところです。経営者をやっていた方でしたら、自分の会社が銀行管理になったらどうなるかを思い出してもらえばいい。私は石炭をやっていましたから。石炭は全部、経営者、潰れましたから。だから、石炭経営をやっていたやつでしたら、銀行管理がどのようなものかは痛い目に遭って知っています。銀行などは信用してはいけないだとか、いろいろと覚えます。あのようなものを信用したらろくなことにならないと、そのように思って育ちましたから。だから、そのようなものとはしっかりと仲良くやらなくてはならない。IMFは大きな組織として世界的に使いますし、IMFの指導を使ってインドネシアはうまいことやりました。なお、イタリアはユーロに参加できるかできないかのときに、財政赤字対策として、金融機関の預貯金残高から0.6%の税金を取ったと記憶しています。そのような強権発動のようなことをする必要があることが意味することを、自分らでやり切るときはやっておかなければえらいことになるというご指摘は全く正しいと思います。

〔 土居委員 〕 麻生大臣には、このご議論をしていただくお時間をいただき、ありがとうございます。

 私は消費増税に関して、ぜひ大臣に1つお願いがございます。特に4月−6月のこの四半期のGDPの消費の落ち込みが何かと話題になっているのですが、消費税率を引き上げた意味と消費の落ち込みの解釈について、ぜひ私から1つお願いがございます。

 確かに目先の消費の落ち込み、ないしは、家計からすると、買いたくても税率が上がった分買えないといった生活に対する痛みはあるのでしょうが、消費税率引上げとは世代を超えて社会保障の負担を分かち合うことだと。今の社会保障給付にも当たっている部分はあるのですけれども、後代へのつけ回しを減らす部分も今回の消費増税にはあったと。

 その部分は、残念ながら、自分たちの消費を減らして、むしろ子や孫の世代の人たちの消費を増やすというか、彼らの負担を減らすことを通じて、消費の減少に落ち込まないようにするための世代を越えた分かち合いという部分が今回の消費の減少の中には含まれていることが、なかなか国民に伝わっていないのではないかという気がしております。

 それから、もう一つは、97年のときの消費増税のときと比較されるのですけれども、97年のときは2%ポイント上がり、今回は3%ポイント上がっているということですから、当然それだけ大きなインパクトがあって仕方がないということだと思うのです。

 ところが、何かと大きな減少があるということだから、7月から9月の四半期も消費がそれほど回復しないとなると、もう消費増税は延期したらどうだという形に流されがちですが、ここはぜひとも、消費が減るということは将来世代との負担の分かち合い、極端に言えば、今の生きる人たちが将来の人たちに対して贈り物を届けるかのごとく、自分の消費を減らさざるを得なかったということの国民への理解の浸透をお願いしたいと思って。

〔 麻生財務大臣 〕 最初にこの話が出たときの一番の目的はそれです。ご存じの通り、現在一般会計予算約90兆円のうち、社会保障関係費だけで約30兆円を使っているわけでして、約3分の1を占めておりますので、非常に大きな部分となるのですが、その中で高齢化等さまざまな問題があります。そのような問題を考えていったときに、今言われたように、今後とも国民皆保険制度などを維持するためだとか、様々なことはありましたけれども、基本的には今言われた趣旨をもとにして、社会保障を、民主党と公明党と自民党と3党が合意して、谷垣総裁の時に私どもがつくり上げたことは、元々はそこの意識ははっきりしていたのだと思っておりますので、これは世界に冠として誇れるところだと思っています。そのような意味では、優先順位の1番はそれです。

 実行していくに当たって、いろいろと社会保障の中の見直しもやらなければならないと。これまで、お年寄りに偏り過ぎてはいないか、子供の方は少ないのではないかと。いろいろな表現を新聞社などは、よく使っていました。

 現実論としてそのような形になっている状況にありますので、私どもとしてはその分は十分に配慮した上で、例えば子供や孫の世代に教育資金として贈る分については1,500万円までは無税にしたり、NISAとして新しいものを始めさせていただいたり、様々なものの効果がそれぞれすぐに出た形が見えますので、それらをやりながらも、基本的には長期的に見てできる限り痛みを少なく維持していくために、消費税という広く薄くかける税金にあのときは達して、3年前踏み切りました。

 その点を考えると、我々にはデフレ不況からの脱却というもう一つの大きな課題があり、やっと脱却しつつあるところが、もう一度消費が落ちるなどといったことはないようにしておかなければならないので、今でも、4−6月分の減った話しか書いてありませんけれども、1月から6月までの通期で見ますと、急激に落ちたとはいえ、我々としては1.3のプラスの成長を維持していると。7−9月は雨が降りましたことが大きくて、ゴルフをされるかどうかは知りませんが、ゴルフ場でいえば、7月と8月はキャンセルが多かった。おそらくそのようなところにあったゴルフ場は全部赤字です。これがどれ程の意味を持つかといえば、いわゆるニューヨークであれだけ雪が降った今年の1月、2月、アメリカのGDPがどうなったかははっきりしていますので、お天気はあまりばかにできたものではなく、非常に大きな影響を与えていることは確かだと思います。ビール会社も大変なことになったと嘆いていましたけれども、10月になったら、ビールは8月の分まで飲むかといったら、そのようなことはありませんから、そのままマイナスなのですよ。

 そのようなものは着実に回復していくとは思いますが、今言われたように、税制抜本改革法附則第18条の3項がありますので、そのようなものを重々勘案しながらも、2%引き上げられる経済状況、経営、景気状況を作り上げる努力を続けなければなりません。

〔 吉川分科会長 〕 竹中委員、どうぞ。

〔 竹中委員 〕 社会保障というと、どうしても配る話になりがちですが、この財審の議論でもわかるように、支え手をどれだけ増やすかということのほうが実は重要なのだなと、改めてこの会で勉強するたびに思うのですけれど。

 プロップ・ステーションが23年間、障害のある人の可能性に着目してチャレンジドという言葉を使い、チャレンジドをタックスペイヤーにできる日本ということで、さまざまなその人の能力を世の中へ押し出す活動をしてきましたが、残念ながら日本は法定雇用率の範囲、企業に雇っていただくいわゆる雇用政策です。本来、働くことが難しい方々、福祉なのか、何であるのかよく分からない形で続いてきて、実は、いわゆる障害者手帳をお持ちの方がもう六百数十万人ですけれど、そのうち働いている方は40万人ぐらいしかおられなくて、この数字はもう世界の先進国以外を含めても、ほぼ最低に近いのですね。

 それを超えることができない制度に既になってしまっている中で、私たちの活動、例えばベッドの上でのすばらしいグラフィックアーティストでいらっしゃるとか、ベッドの上でご自分で業を起して通販事業を始めていらっしゃるとか、あるいは、車椅子の方で雇用されるのではなくて、ユニバーサルマナーという、既に何千の企業がそのユニバーサルマナーの検定を受けるために社員の方を送り出されたりしておられますけれども、そのようなさまざまなアーティスティックな、あるいは、起業家としての能力を持たれた方々を世に出すことは、この雇用率の制度では全くできないのですね。

 そろそろ日本がもうこれだけ危機的な状況になってきた中で、ぜひ国を挙げて、チャレンジドをタックスペイヤーにするために、多様な働き方に向けて政策を行うべきではないでしょうか。雇用率という制度を否定するわけではありません。その制度によって雇用される方がいらっしゃることは当たり前のことですし、それも推進していただきたいのですが、それだけで立ち行かなくなった現在、より多様な視野で推進してほしいと大きな声で言っていただきたく思います。

 それと、これには特別な予算が要るかと思われがちなのですが、実は雇用率の制度は、雇用率未達成企業の納付金によって運営されているわけです。それを1割でも多様な働き方のほうへ回すことで実現します。新たな予算というよりも、発想の転換で、ぜひ国家の方針を、大臣から出していただければと思います。

〔 麻生財務大臣 〕 先程言ったように、私は炭鉱屋だったものでして、炭鉱におりますと、いわゆる足が義足だったり、手が義手だったりする人はたくさんいましたので、そのような人も普通に生活ができるようになっていましたし、その人たちだけ、別にエスカレーターがあるといった時代でもありませんでした。階段をスロープに変えたりしてはいましたけれども。

 そのようなちょっとしたことで状況は変わるものだと思いますし、その人たちが持っている能力は、健常者とほとんど変わらないぐらいの能力、あるいはそれ以上の能力を持っている人もたくさんいることは我々もよく知っているところではありますが、今言われたように、この給付率の話を少し触るだけで、十分にできるというご指摘は正しいと思いますので、検討させていただきます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、老川委員。

〔 老川委員 〕 ご帰国早々、このようにして直接お話を伺える機会をいただきまして、ありがとうございます。

 最初のほうにも質問が出ましたけれども、昨日までの国際会議における各国の反応ですね。伝えられているところによれば、ヨーロッパ及び日本の景気回復が思わしくないことについて、特にアメリカを中心にいろいろ批判があったとのことす。そのような中で、消費税については、先ほど大臣がおっしゃったように、10%に引上げることについては、むしろ上げないことによる信頼の失墜、そのような意味で、上げることが前提になって、それは各国理解しているだろうというお話で、それはそれで結構だなと思うのですが。

 そうなると、景気刺激のために今度は財政出動かと、このようなお話になってくると、これまた、いわゆるPB黒字化がさらに遠くなってしまい、信頼を失墜するおそれもあるということにもなってしまうと思うので、各国は一体どう考えてそのあたりを言っているのかなということと。

 それから、もう一つは、仮に予定通り10%に引上げる場合、外国がどのように言うかは別として、日本国内でそれによる景気のマイナス効果をカバーするための財政的な措置を求める声が当然出てくる可能性はあると思うのです。これまた放っておくと更に赤字が増えてしまうことにもなりかねないので、先程大臣がおっしゃった民間の眠っているお金をうまく活用することが一番いいでしょうが、なかなかそこのところにつながっていかない。

 この辺りをどのように大臣はお考えになっているのか、聞かせていただけるとありがたいです。

〔 麻生財務大臣 〕 資料2の2ページ目を見ていただけたらわかりますけれども、財政収支の均衡を達成しているのはドイツです。ドイツは、少なくともEU約30カ国の中で、最も財政規律を厳しく言っている国で、事実、達成しております。しかし、ドイツ以外の国に関しましてはそういった状況にはありませんので、財政規律に対しましてはもっと緩めるべきだ、財政を出動させるべきだと。これは、イタリアに限らず、フランス等々、いろいろな形で出てきていることは確かだと思います。各国が今からどのようにしてやっていくかは、ユーロという共通通貨でやっている国と、日本のように自国だけで自国の国債を発行している国では全然意味が違います。

 ちなみに、自国の通貨を発行して、自国通貨だけで国債を発行している国は、アメリカ、イギリス、スイス、日本と4つあると思いますけれども、そのような状況を踏まえて、私どもとしては、少なくともこの財政健全化という点でいけば、明らかに対GDP比200%を超えるほどの債務残高になっており、あまり過去に例がないほどの状況にあることを脱せねばならない状況にあることははっきりしております。

 しかし、同時に、今やっとデフレ不況からの脱却で、間違いなく経済成長がよく出てきたところを、一回腰折れさせると、折れたものをまた上に上げることは倍ぐらいの努力が要りますので、折れさせないようにすることとのバランスは極めて難しいところで、最も判断を要するところだとは思います。

 黒田日銀総裁が言われるように、消費税率を引き上げなかったことによる国際信用を失ったときのマイナスがどの程度か、これもこの中の資料に掲載されているところですけれども、このようなものを見ていただくと、やはり信用を失うと一挙に金利が上がってきます。しかも、一ヶ月間で4%が8%に倍ぐらい上がっているなどといった例もありますので、今は我々としても金利はマイナス0.5%程度で、これが永久に続くわけありませんけれども、低金利のうちに、やれるべきことはやる。

 同時に、引き上げる結果、景気が悪いということになれば、それは少なくともいわゆる経済成長の足を一挙にマイナスに持っていかれることのないようにするために予算をどうするかということは、12月、もしくは、それ以後でしたら来年の補正等々、様々な場面で考えておかなければならないと思っておりますけれども、今の段階でその手を考えているわけではございません。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 大臣からいただいている時間は、今もう50分なのですが、大宮委員、黒川委員、板垣委員、それぞれ一言ずつ簡潔にご意見、ご質問を述べていただいて、大臣、お時間が許せば、まとめて答えていただいて。

〔 大宮委員 〕 ありがとうございます。先ほど法人減税の件が出ましたので、内部留保に関しては、経営の代表というわけではないのですが、今の感じを少し申し述べたいと思います。

 経営の成果とは着実に従業員給与としても還元したいと思っています。これはもう確実にそうだと、それがないともうだめだと思っていますから。

 同時に、イノベーションだとかグローバル競争力の強化にもお金を入れたいと思っていまして、実は経営者のマインドは縮み志向から前向きに変わってきているのだと思います。

 例えば弊社の例ですけど、この前、アルストムを巡るフランスのGEとの買収合戦があったのですが、あのときに非常に早くに出ていけた一番の要素は、内部留保でお金がしっかりあって、財務基盤があったことです。

 我々はともかくあのようなことをしてでも、少しでも経営をよくして、それを還元していきたい気持ちが非常に強いということで、内部留保にもある程度目が向かざるを得ないということもございます。

 それから、特にインフラの事業をやっていますと、最近、日本の電力会社もそうなのですけれども、マニファクチャラーに投資をしてくださいという案件が増えています。昔、IPPでなくてもそのようなことになってきている。これは海外でもほとんど、例えば原子力発電というと、企業から、製造会社からしっかりと投資してくれというお話が必ず来ますので、そのような意味でもやはり財務基盤がある程度強くないと、世界に打って出れないということであります。

 そのところだけ、ご理解願えればというふうに思います。

〔 吉川分科会長 〕 黒川委員、お願いします。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。

 私、2点だけお願いしたいことがあります。

 2007年をピークにGDPが減少しておりますけれども、GDPをまた反転させて大きくするためには、資本効率の一層の強化によることと良質な雇用機会の創出によって、雇用所得・雇用報酬と、営業余剰を増やさなくてはいけない。そのためには、日本国内に付加価値生産拠点をもう一度増やさなければならないわけです。4月にまた東日本大震災後の状況を見に行ったのですが、やはり雇用機会がないと人も元には戻らないと思いました。

 そこで、まず、第1点は、ふるさと創成といったお話がありますけれども、ぜひとも農業、林業、製造業も含めて、良質な雇用機会、付加価値生産拠点を国内にもう一度つくっていくという、これが非常に大切なのではないかということです。

 それから、第2点は、先程から麻生大臣あるいは、実業界の委員もおっしゃったように、経営者のマインドは大分改善されてきた。とはいっても、麻生大臣もご存じのように、経営者のマインドが改善された後、中長期の経営計画に落とし込んだ後で生産拠点はできますから、国内の付加価値生産が増加するには時間がかかる。ですから、今年の年末の消費税改定の判断においても、短期的な目先の経済関連の数値にあまりこだわらないで、中長期の視点からぜひとも2%プラスを決断していただきたい。

 この2点でございます。

〔 吉川分科会長 〕 では、板垣委員、お願いします。

〔 板垣委員 〕 1点だけお伺いします。

 おそらく、消費税率を引き上げる場合に、頭の中にはもう補正予算のことが入っているのではないかと思います。もしそうであるならば、来年度の本予算の編成では、厳しく切り込む形にしてないことには、本予算をやって補正をやって、また本予算をやって補正という、この毎年繰り返す悪循環から抜け出せないと思うのですね。

 誰もが消費税率を引上げたら景気対策を打つだろうと思っている中では、来年度予算こそはしっかりとその辺のところを踏まえてやっていただきたいと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、大臣、お時間のない中で恐縮ですが。

〔 麻生財務大臣 〕 大宮さんの言われた内部留保があったからこそ、アルストムの話がある。結果的にはうまくいかなかったのですが。その他しっかりとやっておられる会社は幾つもありますので、内部留保が多い方がいいことは確かですが、今は使ってもらわなければ困るわけです。じっと持つだけの会社の方が多いですよ。数を調べてみていただいたらわかりますけれども。

 なのでそういった意味で、20年間縮こまった心理を一挙に変えるのは、1930年代のいわゆるフーバー大統領、それから、アンドリュー・メロンの財務長官のときに起きたアメリカのあのデフレ不況が結果的にいつ終わったかといえば、実は戦争が始まるまでは結構しんどかったのです。

 あのときに、代わりにフランクリン・ルーズベルトが出てきて、ニューディールという名前の、高橋是清を真似て、間違いなく1937年には結果を出しているのですが、そのときも財政再建派の人が出てきて、38年は再び一度下がるのですね。結果的にそれを超えていくためには先の大戦まで時間がかかったという話です。

 やはり経営者の意識が変わる方が僕は一般の消費者の意識が変わるより先なのだと思っていたのですが違いました。一般の方の消費が先に伸びて、経営者の投資が後に回った。その理由は、先程申し上げたように、電力の問題とか、いろいろな償却の問題など、いろいろあることは確かです。

 したがって、私どもとしては、そういった意識を変えていただくために、一括償却を認めるなどいろいろな形での税制の改正などをやらせていただいたのですけれども、どこかが先頭を切ってもらわなければならないところになってきている感じがしないでもありません。いずれにしても大分変わりつつありますことはもう私どもも思いますので、これがさらにもう一歩進んでいかせるためにどうするかということだと思っております。

 それから、黒川先生の話ですけれども、間違いなく雇用が増えていかない限りはという点に関しましては、はっきりしておりまして、日本国内で筑豊地帯にて昭和35年から40年までの間に人口が3割ぐらい減ったと思います。あのとき、その人たちはどこに行かれたかというと、仕事先に移動しやすい人はやはり若い人です。それははっきりしておりまして、あのときはまだ世の中、景気のいい時代でしたので、自動車等々に随分採用していただきましたけれども、例えば九州トヨタができたときには、筑豊ができたせいもあり、筑豊からトヨタに就職した人のほぼ95%以上が筑豊に戻ってきて、そこで働いておられます。

 そういった意味では、地元意識が強いことは確かなので、地元で企業ができるかどうかが一番大きなところです。東京一極集中は明らかに弊害に近くなりつつありますので、そこのところをどうするかですけれども、田舎のままでいいかといえば、僕は日本人はひなびたところはあまり好きではないのだと思います。雅びたところが好きなのですよ。それははっきりしています。だからみな都会に行きたがるのです。女性に限りません。だから、そこそこ雅びた地方都市をつくらなければならないのだと思います。夜8時以降真っ暗になった町に誰も住まないですよ。私は自分で13万の人口のときに住んでいますから、よくわかりますけれども、うちの会社で夜中まであけているアイスクリーム屋をやったり、うちの会社で夜中まであいているボーリング場をつくったりしたら、それは人がどんどん集まってくるのですから。

 そういったものの一つの例ですけれども、その地方で仕事が出てくるということは、その人たちに向いた仕事とは、今コンピュータがこれだけ発達しているのだから、随分と時間、距離等々は短くなっているはずなのですけれども、なかなかそうはいかない最大の理由はそれかなと思っていますので、少し考えていかないといけないと思います。これは黒川さんがおっしゃるように、中長期的に考えなければいけないということも確かだと、私も思っております。

 それから、板垣先生の言われた中で、補正と本予算のいわゆるイタチごっこみたいな話はどうしてもよくある話です。補正予算とは台風があったりなどしますので、そのようなときのことを考えて、やらなければならないとは思いますが、いずれにしても、バランスがとれたものにすることを常に念頭に置いておかなければなりません。最初から補正でやろうなどと思ってやると、予算などは全く形をなさなくなりますので、しっかりと対応させていただく姿勢で臨みたいと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 では、大臣、どうもありがとうございました。お忙しい中、時間オーバーになっておりますので。

〔 麻生財務大臣 〕 ありがとうございました。失礼します。

〔 吉川分科会長 〕 それでは、第2番目の議事に移らせていただきます。

 まず、我が国財政をめぐる現状等について、寺岡調査課長より説明をお願いいたします。質疑につきましては後ほど時間をとっておりますので、ご質問等ございましたら、その際にお願いいたします。

 なお、本日欠席の岡本委員、古賀委員及び中空委員より意見書を提出いただいており、皆様方のお手元に配付しております。

 では、寺岡課長、お願いいたします。

〔 寺岡調査課長 〕 前回、複数の委員からご指摘をいただきました点を中心に、本日は、資料1から4を用意させていただきました。それに従って説明をさせていただきます。

 まず、資料1「欧州債務危機について」でございます。

 1ページおめくりいただきまして、ギリシャでの危機の発生の経緯が、左側の緑色のボックスでございます。

 ギリシャは2001年1月、これは発足から2年おくれて12番目の加盟でございますが、ユーロに加盟いたしました。為替リスクがなくなったものですから、海外から資金の流入が起きる中で、これによって1つは経済成長率が上がるといった一方で、それに伴いまして財政赤字が拡大し、その一方で国債の需要が高まったものですから、海外国債保有比率が高まる、あるいは、金利が下がる、そうした中で、海外からの資金の流入でファイナンスされる形で財政収支が非常に拡大し、債務残高も増加した状況でございました。

 もともとギリシャは国際競争力が強い国ではございませんので、通常、市場が開かれますと非常に大幅な経常収支赤字になってしまいました。他方、通常であれば、こういった場合、為替の切り下げを行うことが一つの手段なのですが、そういったことができないために、むしろ公的部門の拡大による雇用の拡大ですとか、セーフティーネットとしての社会保障の充実を図るということで財政収支を悪くしましたが、それは海外からの資本の流入によってファイナンスされたといった状態でございました。

 そこに、2008年の9月にリーマン・ショックが起きて、世界的にも信用収縮に向かうと、リスクに敏感になるといった中で、2009年の10月ですが、ギリシャ政府の財政当局の不正が発覚し、一気に市場の信認を失いました。その結果、ギリシャ国債の格付けが引き下がり、国債金利が急上昇するといった事態となりました。

 2010年の4月の前には長期金利が8%台まで上がりまして、当時よく7%を超えるともう危険水域だと言われていましたが、事実上、ギリシャ政府は市場からの資金調達が不可能になります。

 こういった中で、国債の借換えが必要となるものですから、まずは、第1次ギリシャ支援ということで、EU、それから、IMFに支援を要請し、受けることができました。他方、そのためのコンディショナリティとして財政健全化を義務づけられますが、それもなかなか思うように進まない。あるいは、それによって経済が低迷する。例えば、観光者が減少するですとか銀行から資金が流出するといった事態が続きますと、さらに金利が高騰し、国債価格が暴落するといった事態となりました。

 こういった事態は、結局、ギリシャの大手4行が、大量に国債を保有しているものですから、ここの経営を直撃いたしまして、こちらにも公的な支援が必要になるといったことで、結局は2012年3月の第2次支援で、各国から支援を受けることになります。

 この時点で、既に金融、ギリシャ国債の金利は35%を超えるといった異常な事態になりました。

 こういったギリシャの危機はリスクに敏感になっていた金融市場を通じて欧州の他の国へと波及することになりまして、その経緯が右側でございます。1つはリーマン・ショックの影響で財政状況が悪化していたポルトガルやイタリアといった国、それ以外にも、先ほど、リーマン・ショック以降、国内の不動産バブルがはじけて国内の不良債権問題を抱え、公的資金注入が必要だろうと思われていたスペインやアイルランドといった国について、国債の格付け引下げや国債金利の上昇が発生するといったことで、こちらの国々も、大体七、八%まで金利が上がり、事実上、市場からの資金調達が困難になります。

 そうなりますと、その市場、2011年4月にはポルトガル、2012年6月になりますけれどもスペインは、先ほどと同じようなEU、IMF等に相次いで支援を要請することになりました。また、イタリアはそこまでの事態にはなっておりませんが、国債をECBに買い上げてもらい、事実上、市場からの資金調達が困難となる中で救済を受けました。

 更には、欧州の有力な銀行であっても、ギリシャ市場から疑念を持たれ、国債を持っている、または、こうした国々に対するエクスポージャーがあるということで経営が悪化し、政府による支援を仰いだということでございます。

 右側のページ、欧州危機の基本的な構図を整理いたします。財政赤字を放置し、債務残高の増大を招きますと、市場からの信認が低下し、国債金利が上昇、国債価格が下落いたし、政府が市場から資金調達ができなくなるという意味での財政危機と、それから、金融機関が国債を大量に保有してございますので、そういったものの財務状況が悪化し、経営破綻の危機に瀕するという金融危機が同時に起きたことが大きな特徴でございます。

 さらに申しますと、金融危機は、ここに右側にございますけど、ギリシャの4行のみならず、ベルギー、フランスの大手銀行のデクシアでありますとか、フランスのBNPパリバ、ドイツのコメルツといった大手の銀行の経営悪化も引き起こしました。この場合、財政危機と金融危機が同時に起きますと、当然、自国では公的資金が市場から調達できないものですから、国際的な支援を頼る。また、欧州としましても、単にギリシャが突然デフォルトを起しますと、欧州全体の金融危機を引き起こすということで救済が不可避になるといったことが起きたということでございます。

 その次のページは参考資料ですが、危機が進む中で経済状況は悪化します。各国、12年はマイナス、13年もマイナスの成長率でした。その中で、失業率も悪化し、例えばギリシャ、スペインといった国ですと若年者の失業率が50%を超えるといった事態となりました。

 さらには金融危機を回避するため各国が、お金を借りるに当たって財政再建策の実施を義務づけられます。その中で、公務員人件費の削減ですとか、年金支給額の削減、あるいは、付加価値税の引上げ、あるいは、最低賃金の引下げといった相当痛みを伴う改革の実施をさせられます。さらに、そういったことに伴い、デモ、ストライキが発生し、社会が混乱するですとか、そういった財政再建策の可否をめぐって、政治的には大変流動化するといったことであったと思います。

 4ページ目は、こちらも参考資料でございますが、格付けの推移でございまして、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、いずれも投資適格より一旦落ちてございます。一言で言いますと、これより落ちると市場からの資金調達ができないということで、これはいずれの国でも同じということでございます。

 次に、5ページ目、参考資料3でございますが、各国の金利の推移をつけてございます。まず、ご覧いただきますと、2008年9月のリーマン・ショック以前は、むしろ為替リスクがなくなったということで、各国の金利は大幅に収れんしてございます。このギリシャのみ、この枠に収まらないものですから右軸になっていますが、ギリシャ金利についても同じような水準に実はあったということでございました。

 他方、リーマン・ショック後、若干開いて、ギリシャの統計問題発覚以降は大きく開いてまいります。すなわち、イタリア、ギリシャ、スペインといった国々の金利が大きく上振れするのに対し、むしろ、ドイツ、それから、フランスは横ばい、ないしは、ドイツに至っては金利が下がるということ経済のパフォーマンスの良い国やあるいは財政状況の良い国とそれ以外の国々とで市場に選好されたという事例でございます。

 6ページ目は、大体ギリシャの例で言うと、金利は短期にもどれくらい変動するのかということを、まだ市場調達できるぎりぎりの線であった2010年の4月の水準をとったものでございますが、大体ここにご覧いただけますように、格付けが下がるに従い、どんどん金利が上がるのですが、一月で6%程度、あるいは、最後の部分だけを見ますと、5日間で5%近く金利が上がるといったことで、金利が一度上がり始めると早いといったことでございます。

 7ページは各国の海外の国債海外保有比率でございまして、ギリシャは、もともと海外保有比率は非常に低くございましたが、95年ぐらいに、ユーロへの加盟が議論され始めてから海外にも保有がされ、加盟後は7割まで行きましたが、危機後は下がっております。他方、ドイツのような国は、欧州危機の後も、むしろ引き続き買われているといった姿かと思います。

 8ページ目は、IMF・EUの欧州諸国への支援内容を整理したものでございます。危機に陥った政府に対して行った支援ですので、これ以外のECBによる短期国債の買い入れですとか、民間銀行への融資といったものはここに入ってございません。

 ちなみに、ギリシャに対しては2度にわたって約3,000億ユーロぐらい、日本円としますと42兆円規模でございますが、大体GDPの1.4倍ぐらい、支援が行われたということでございました。

 その後に、欧州は恒久的な組織としてESMというものを立ち上げて、そこでは各国持ち寄って、今5,000億ユーロ、融資枠がございます。5,000億ユーロは大体、今、日本円では70兆円程度なので、IMFがこれにつくことを想定しますと、大体100兆円ぐらいまで融資ができると言われています。

 他方、イタリアの国債の市場残高が2兆ユーロございまして、こちらは300兆円でございます。スペインだけでも7,000億ユーロぐらいございまして、これだけでも100兆円あるので、こういったセットをしても、どれぐらいの規模が救えるのかは引き続き議論になっているといったところでございます。

 更に参考の部分、下につけてございますが、日本の預金保険機構における資金援助の実績ということで、これまで我が国の金融機関の破綻処理、あるいは、資本増強のために総額48兆円の資金を日本では使ってございます。他方、幸いなことに日本は国内の市場で調達できましたので、そこが今のところはこういった国々との違いになろうかと存じます。

 9ページ目の資料でございますが、1点、経常収支の欄をご覧いただきますと、ユーロ加盟後、もともと競争力の高いドイツは一貫して経常収支も黒字基調が続いて、むしろ拡大する方向に動いてございます。他方、競争力のないスペイン、ポルトガル、ギリシャといった国は経常収支の赤字を大幅に拡大し、危機後は厳しい財政再建をさせられる中で、ようやく黒字の方向に戻していくという経常収支の姿を見てとれるかと思います。

 10ページ目はヨーロッパ各国の財政収支を集めたものですが、最初のものはいわゆるプライマリーバランス、2番目は財政収支ベース、最後のものが債務残高ですが、いずれを見ましても、日本はギリシャよりいいものもあるかどうかということなのですが、概ね他の国は全て、日本より良い、そういった国であってもこのような危機が起きたということかと思います。

 11、12は飛ばさせていただきまして、13ページ。1点、イタリアは実は長い間、PBは黒字でございました。他方、債務残高の対GDP比は非常に高くございまして、こういった国でも、欧州債務危機によって、国債が売られ、国債金利が名目経済成長率を上回る状況が発生しました。従いまして、このような状況のもとでは、債務残高が非常に高いために、利払費負担が増加し、さらに債務残高GDP比が継続して上昇するのではないかという懸念が持たれたことから、戻りますが、イタリアはPBが黒字であっても国債が売られたと言われてございます。

 この辺りの経緯は富田先生が実は2012年の4月に日経「経済教室」に書かれているのですが、そこでは投資家が何らかのきっかけにより高い金利を要求することで、むしろ実際に債務のGDPが上昇するといった意味で、期待の自己実現効果、それがマーケットで起きた例であると示されてございます。

 資料2に行きたいと思います。

 既に大臣からご紹介があったところですが、リーマン・ショックを受けて、各国が2010年6月のトロント・サミットで財政健全化にコミットしてございます。日本以外の先進国は2013年までに財政赤字を半減、2016年までに債務残高の対GDP比を安定化または低下させるというもので、日本のいわゆる2015年度のPB赤字の対GDP比半減でありますとか、2021年度以降、公債残高の対GDP比を安定化させるといったものより極めて厳しく、かつ、期限の短い目標でございます。

 その結果ですが、2ページ目、2009年に比べて2013年の財政収支の半減目標は、少し国によってばらつきがありますが、概ね達成できる見通しに実はなってございます。

 その要因は、各国ともに歳出の抑制をやるとともに、歳入の努力で付加価値税を引上げる、イギリスとかイタリアとかいった例もありますけども、両面の努力をしていると。加えて、2010年、11年は非常に成長率が高かったこともあり、それに伴って税収がかなり大きく伸びたという話は、春の財審で委員の方々からご報告があった点かと思います。

 3ページは債務残高の対GDP比、こちらも日本はなかなか下がる目途がついてございませんが、イタリア、フランスはやや増え気味ですけども、残りの国はおおむね安定化に向け達成しつつあると見えます。

 4ページ目はEUでございます。EUは、ご承知の通り、財政収支のGDP比はマイナス3%以内に抑え、かつ、債務残高のGDP比は60%以内というもともとの基準がございます。ここにありますのは特にそのフローの基準値である3%以内ですけども、ドイツ、イタリア、フランスのみならず、ポルトガル、スペインであっても、3%以内にできる絵を描きつつございます。この点は日本がまだPB黒字化目標の見通しも立てられていないことと大分違うと思います。

 5ページ目は、各国の財政健全化が一体どのような枠組みでできているのかを対比したものでございます。実は、EUはもともと域内の財政健全化目標、例の財政赤字の対GDP比3%ですとか債務残高60%といったものがマーストリヒト条約で義務づけられまして、最近できた2009年の欧州連合機能条約の中で改めて義務づけられております。毎年、中期財政目標を定めた安定化プログラムを委員会に提出することが義務づけられておりまして、この中でいわばスケジュール管理がされるといったことになっています。さらに、その欧州債務危機を受けて、財政協定が各国と結ばれておりまして、ここには財政収支の均衡、あるいは構造的財政収支の赤字を0.5%以内に収めるといった根本の原則を、各国の法律、または憲法で規定するといったことを義務づけておりまして、これにより、各国、ドイツ、フランス、イタリア、国内法でそういったことを規定しているといった状況にございます。

 6ページ、7ページは参考でございます。

 資料3は、一方で我が国の国内市場の動向でございます。

 1ページ目は国債金利の動向です。まず、我が国は大体毎年度、新発債は約40兆円、借換えが120兆円強で、約160兆円新しく国債を発行させていただいて、残高でいいますと、今、普通国債がここにありますように、780兆円まで累増しています。反面、この赤い線でございますが、10年債の市場金利でいいますと、どんどん下がり続けると。足元は0.5%を切るといった事態になってございます。

 こういったことがなぜ起こっているのか、また、持続可能なのかという点が非常に大きいと思います。まず、2ページ目、マクロの資金循環でいいますと、長らく家計の貯蓄率が高かったもので、家計の金融総資産が1,600兆円に昇ってございます。このうち、住宅ローン等の負債を引いたネットの家計金融純資産で見ますと、今、1,260兆円ほどございまして、これがこれまで国債の安定的な消化に役立ってきたということでございますが、1つは一般政府の総債務が既にそのネットの金融資産とほぼ同じ規模になりつつあるということ、それから、足元の家計貯蓄率が、高齢化などを反映して、非常に低い数字になっていることから、こうしたことが持続可能なのかどうかが論点になるかと思います。

 次のページは、こちらも資金循環のお話でございますが、まず左側の表は、1,630兆円の家計の金融資産がどのようなところに投資されているかですが、日本は株式、出資金といったリスクアセットへの投資が非常に低く、10%以下でございます。ちなみに、株式だけで見ても、ユーロ圏は約17%、アメリカは約33%ありますので、この部分は低いです。

 他方で、デフレの状況下で預金現金で持つといったことが増える状況にございました。こうした現金預金は、金融機関に預けられてどういった運用をされるかといえば、こちらもデフレ下で貸出が伸び悩む中で、国債が消化されるといった状況にございました。

 今後、本来、デフレが脱却していく中で、そもそも家計のそういった投資行動、どういったところにお金を振り向けるのか、さらに、その金融機関の貸出はどうなるのかといったことが非常に大きな問題になろうかと思います。

 特に4ページ目は足元の金融政策について見たものですが、ご存じのとおり、日銀が今、270兆円にマネタリーベースを積み上げるのに向かって、年間大体50兆円ぐらいのペースで、国債を買い上げてございます。したがいまして、これは新発債、政府より出すものより大きいものですから、むしろ、銀行は国債の保有を減らす主体になっているといった要因でございまして、こうしたものが持続可能かどうかという点でございます。

 せっかくですので、本日、中空委員からこの点について意見書が出ておりますので、簡単に意見書をご紹介させていただきたいと思います。そこでは、今の市場は、日銀が国債を保有することで、あるべき水準を過度に下回った状態がつくられているのだと。したがって、日銀が将来的に出口戦略について議論されることになれば、金利には大きな調整圧力がかかっていくだろうと。

 さらに、金融機関の行動は、当面は当座預金の増加、国債の減少で対応してきましたし、貸出の伸びが鈍化していることを受けて、金融機関は再び国債を低水準の金利で、かつ、ALM的には長期のものを買わざるを得ない状態になっているのですけれども、これは消去法的に与えられた選択であって、決して正常な市場ではないと。

 2014年3月期、全国銀行の総資金利ざやは平均で0.14%まで下がっています。大体2000年代の初めは0.4%、0.5%ありましたので、もう相当落ちてきているということから、銀行の収益にも今後問題が出る可能性があると見ざるを得ず、同時に、その日銀の国債買い入れにも限界が来ているのではないかと。

 日本の国債市場のゆがみが拡大している中で、財政再建は何も遠い将来のために必要だからというばかりではなく、日本国債市場の正常化が図られ、ひいては、金融システムの安定性に資するためにも重要だといった意見を出されております。

 5ページ目は日本銀行の見方でございます。これだけ国債を買い上げる中で、黒田総裁は再三再四にわたり、これはあくまでも物価安定の目標の実現のために行っているもので、国債をファイナンスするためではないのだと。仮に、この真ん中の部分ですけれども、財政ファイナンス、国債を買い上げるために行っていると見られた場合には、リスクプレミアムの拡大から長期金利が上昇し、「量的・質的金融緩和」の効果が失われる可能性があるということで、あわせて財政再建をしっかりやってほしいと。むしろ、先ほど、大臣もおっしゃっていましたが、消費税率引上げの文脈で総裁がおっしゃった件でありますけども、仮に現在のマーケットの信頼が失われる事態になれば、金融財政政策を以てしても取り返しはつかないといったことまでご発言されていると理解してございます。

 6ページ、海外の動向です。左に経常収支の推移がつけてございます。ご覧いただきます通り、震災以降、実は貿易収支が赤字に転落し、経常収支がいよいよ赤字が見えてきている数字になってございます。従いまして、右側は部門別資金過不足でございますが、経常収支が赤字になりますと、海外の赤い線がいよいよ上がってまいります。すなわち、海外部門が貯蓄超過・資金余剰主体になるといったことでございます。

 7ページ目、こちらはその各国の国債の所有者別の内訳でございます。日本国内保有比率が非常に高いのでリバランスはすぐに起きないという議論ですけれども、経常収支が赤字になりますと、海外保有比率が急増する可能性があるといったことでございます。

 8ページ目、左のグラフで足元の国債の海外投資家の保有比率は現在でも8.5%ですが、実はセカンダリーマーケットではかなりアクティブな投資家であるといった姿が見てとれるかと思います。

 さらに、右側、各国の海外保有比率と金利の関係でございます。実は必ずしも海外保有比率が高くなると金利が上がるといったことにはなってございません。イタリア、ギリシャのように、金利が高い国と、むしろ、ドイツのように海外保有比率が高くても買われて金利が低い国があるように、選好が厳しくなされるといったことだと理解してございます。

 9ページ目は、前回申し上げた金利上昇が利払費を押し上げるといった点で、要は、最初はあまりきかないのですが、すぐに雪だるま式に金利負担が増えるという図でございます。右側に内閣府の中長期試算における名目成長率と金利の表が出てございます。これはその足元の長期金利が最終的には4.7%まで上がる姿に基づく国債費の試算では、足元23兆円程度の国債費が、国債の借りかえが一巡する2020年ですとか2023年になりますと、40兆、50兆円にすぐに増えるといった試算が示されてございます。

 次は財政と社会保障、資料4でございます。

 1ページ目は飛ばしまして、2ページ目をご覧いただきたいと思います。これは1990年、すなわち、ワニ口が開き始めた年と足元の財政を比較したものでございますが、増えているものは国債費と社会保障費です。社会保障関係費は24年間で約20兆円増えていますので、毎年大体1兆円増えているということがここに示されてございます。

 問題は、公共事業、防衛、文教・科技といったお金が、実はほとんどこの間、増えてございません。昨年の特会統合を入れれば、実質的にはほとんど増えてございません。社会保障関係費が現役世代、ないしは、引退した世代の生活費であるとすれば、将来の投資に向けた防衛、文教・科技、公共事業といったものがほとんど増やせないという意味で、既に財政の硬直化は始まっていると言っても過言ではないかと思います。一方で90年と比較しますと税収は10兆円落ちていますので、その分、公債金が40兆円ぐらい増えると。公債金によって、社会保障の増と国債費を補う姿になってございます。

 3ページ目でございます。なぜ社会保障関係費の公費負担がこれだけ増えるのかというと、社会保障が予算統制の世界にないのは間違いないのですが、日本ではよく社会保険制度だと言われます。社会保険制度とは使った給付を保険料で賄うのが原則だとすれば、実はその制度にもなっていないのかなということで、給付費のほうは足元115兆円で、20年間で65兆円程増えてございます。毎年3兆円増のペースです。これに対しまして、保険料のほうは、GDP、所得が伸びないものですから、あまり増えておりませんで、そのギャップがどんどん広がっておりまして、これを第2のワニ口とおっしゃるエコノミストもおられるということでございます。

 この公費の部分が実際何に使われているのかということが右側の4ページでございます。全体の社会保障給付のうちの黄色い部分がいわゆる保険料で賄われてございますので、残った赤、緑の部分が公費でございます。

 よく、公費を入れる理屈は低所得者対策と言われます。1つは生活保護みたいなもの。他方、実際は基礎年金、国民保険、後期高齢者医療制度、介護保険といった2分の1は公費で埋めてございまして、こういったものに使った公費の大部分は特例公債の発行を通じて将来世代の負担になっていることが日本の社会保障の財源の構造問題でございます。

 5ページ目は人口の推移でございますので、要は団塊の世代がどんどん高齢化が進むということでございます。ポイントは、5ページ目の下の表でございますが、1人当たり医療費をご覧いただきますと、65歳とそれ以下、75歳とそれ以下には実は1人当たり医療費の大きな階段がございまして、今後、社会保障負担はますます増えるといったことです。

 それから、6ページ目、よく2025年がピークかとか、それ以降は人口が減るから大丈夫ではないかといった議論がありますが、ご覧いただきますと、実は65歳以上、75歳以上といった高齢者の絶対数自体は、2042年、2053年までどんどん増えていく構造になっていますので、まだまだピークは先にございます。

 7ページ目は厚生労働省の社会保障の推計です。今後たった10年超で150兆円まで給付が増えるとされていますが、このギャップをどう埋めればいいのかは相当大きな財政的な問題だと思います。

 加えて、その先は、春の財審の長期推計でお示しいただいたように、2060年に向けてまだまだGDP比が増えるといった姿となってございます。

 8ページ目、日本の高齢化の水準は今でも欧米よりも高く、さらに2050年に向けて高くなっていきます。横にその国民負担率を並べて見ますと、日本が40%に対して、フランス、ドイツ、あるいは、イギリスといった国は低くございます。これが何を意味しているのかと申しますと、仮に欧米並みの社会保障を享受することを選択するのであれば、当然高い負担率が必要になりますし、逆に現在のままの負担率で抑えるということであれば、とても欧米並みの社会保障は享受することはできないといったことだと思います。

 9ページ目、既に財審、骨太の方針でも社会保障の向かうべき大きな方向として、中期的な給付と負担の均衡を取るといった考えが示されており、かつ、消費税の法案にも消費税を社会保障財源に充てることが既に法定されてございます。

 また、3の部分ですけれども、今後そのような改革に向けて社会保障制度改革推進会議の器もできてございますので、あとはこういった枠組みの中で各論を大急ぎで議論する必要があるといったことでございます。

 あとは参考資料でございますが、前回、OECDとIMFがどのように日本の財政を見ているかをご紹介させていただきましたが、今月の初めに世界経済フォーラムから国際競争力ランキングというものが出されました。今年日本は9位から6位に上がったとなっています。サプライヤーの質、企業の研究開発投資、技術者の数といった事業関係の技術開発の部分が高く評価されている一方、マクロ経済環境だけ大変低い評価でございまして、特に一般政府債務残高は144位中143位という低位でございました。次の31ページをご覧いただきますと、上の国は丸がそれなりにそろってございますので、日本もこの辺りを改善しないと、なかなかこれ以上のランクにはつきづらいのかなといった点でございます。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、ただいまのご説明に関しまして、どなたからでも。社会保障をはじめ、各論についてはまた別途議論する機会がありますので、財政一般について、ご意見、ご質問、どなたからでもどうぞ。では、田中委員、末澤委員の順でお願いします。

〔 田中委員 〕 先ほどの説明の中で、財政の硬直化が起きているということについて質問させていただきます。この議論は随分以前から議論されているために、この硬直化を打破するために特別枠という制度を設けたと理解しておりますけれども、その効果の検証はなされているのでしょうか。

〔 吉川分科会長 〕 事務局、お願いします。

〔 新川総務課長 〕 総務課長でございます。

 今ご指摘がありましたように、特別枠とは一定の、特に年々で違いますが、今年の27年度概算要求を例にとりましたら、裁量的経費を1割カットして、その0.3掛け分を特別枠という形で要求いただく形です。

 実は昨年も同様の役割でとったわけでありまして、その主なものについては、このようなもので予算がつきましたということについては公表させていただいているところではあるのですけれども、少し留意を要しますのは、予算全体として、今年であれば、その27年度の概算要求では特別枠というものは3.9兆円あったわけでありますけれど、硬直化という意味で申し上げますと、その特別枠の部分の最終的な帰属もさることながら、特別枠以外の部分のこの根っこの予算の部分についてのめり張りも必要になって参ります。よって、特別枠だけご覧いただくと、例えばこういった事業にこのようなものがつきましたというところだけなのですが、実際の予算の全体像になりますと、特に社会保障関係といった既存の予算の聖域なき見直しというところがございますので、そこまで併せてご議論いただけたらと思います。

 どのようなものに主に行ったのかという部分について、また機会をとらえましてご説明させていただければと考えております。

〔 吉川分科会長 〕 では、末澤委員。

〔 末澤委員 〕 ご丁寧な説明、ありがとうございました。

 私も従来、国債のアナリストをやっておりました関係で、国債市場に関連して、1点、追加でご説明させていただきます。今、長期金利は0.5%台ということで、世界で一番低い状況です。一方で、株も上がって物価も上がって、一見よさそうなのですが、実はその背景にはやはり日本銀行が国債を大量に買っているということがございます。わかりやすく申し上げますと、昨年度財務省が発行している利付き国債、クーポンがついている中長期国債の残高増加額が約38兆円だったのに対し、日本銀行が持っている利付き国債の残高増加額は昨年度1年間で62兆円です。つまり、1.6倍買っているのですね。

 一方、先週末出た統計によると、この4−6月期においても、財務省が発行している残高増加額は全体で約8兆円です。これに対して、日本銀行が保有している残高増加額は12兆円、つまり1.5倍買っています。

 地政学的リスクや欧州の金利が下がっている等、様々な問題があるのですが、発行されている1.5倍以上を日銀が吸い上げていれば、金利が下がるのはある意味で当然なのです。

 ただ、その状況をずっと継続できるかというと、先ほど申しましたように、対GDP比ではFRBの3倍を日本銀行が持っていると。ですからこの政策が必ずしも5年、10年とできるわけではないので、その間に本来政策が見込んでいたポートフォリオ・リバランスですね、民間の資金をうまく動かして、国力の維持回復につなげるとともに、財政再建をして、日本銀行がそれに関わらなくていいようにやっていかないといけない。長期的に今後、一番リスクがあると見ているのは、円安が仮に5年後、10年後と進んでいく過程になると、円安を止める手段は、昨年4月にも申し上げたのですが普通2つあるのですね。1つが円買い介入です。ただ、これは円売り介入とは実は等しくはございません。円売り介入とは1,000兆円でも2,000兆円でも、売ろうと思えば売れるのですね。これは円を我が国が発行しているからです。ただ円買い介入とは基本的に外貨準備の範囲内でしかできないという制約があります。そうすると、次の段階では金利を上げなければいけないのですね。今回もウクライナ情勢が緊迫化する中で、ロシア、ウクライナ、といずれも金利を5%上げたのですが、金利を上げるということは、日本銀行及び日銀券の信認に相当傷がつきますし、日銀券を保有されているということは、1つは金利が低いからなのですね。金利が上がると、預金だとか外貨に換えていくことになりますので、そうしたときに、日銀のファイナンスにはいろいろ問題が出てくると。要は今の政策はそんなに長くは続けられないということで、この数年間に集中的にいろいろな改革を、具体的には財政再建と経済成長戦略を進めていかないと、いつまでもこの状況は続かないだろうなと思っております。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、秋山委員、富田委員、土居委員、佐藤委員、その順からお願いします。

〔 秋山委員 〕 2点申し上げたいと思います。

 1点目ですが、本日、麻生大臣よりご挨拶いただきました中でのキーワードは、どちらかといえば、これまで財審の議論、あるいは、報告書の中で、私たちがある意味主張してきたことと基本的には同じことをおっしゃっているということだと思います。

 最後におっしゃっていた、厳しい査定、それから、聖域なく見直しをする、特に社会保障関係の実態をしっかりとあぶり出して、必要な見直しを行っていくということについての具体的な課題に踏み込むことが重要であるというメッセージだったと理解しております。私もこの財審の議論に加わらせていただいて何年か経つのですけれども、その総論としてはこのような話をいつもされるのですが、年末に近づくにつれ具体的な各論の話に落ちてくると、非常にスケールの小さい議論になり、そのせいで毎年少しずつしか進んでいかない部分がまだまだあるなと理解しております。特に今日、社会保障の各論は今後の議論になると思いますけれども、具体的な課題の議論に関しては、今年は踏み込んだ議論が必要な年になるという理解で、皆様と議論をしていくべきだと思っております。

 それから、2点目、板垣さんからご指摘のあった補正予算の部分ですけれども、この悪循環を断ち切るところが、1つは、もちろん厳しい査定の中での議論でいえば、どちらかというと補正予算の部分に関しては事後評価が十分されていない認識があります。このことが、結局消費税などの議論をして国民に痛みを求めるときに、一方で国の予算の使い方はまだまだ見直しの余地があるのではないかというところに説得力のある議論をしていけないことから言えば、補正予算の質を上げていくことが重要な課題になるのではないかなと思います。

 突発的な事項への対応という本来的な部分は必要であると思いますけれども、必ず事後評価をすることが必要だと思いますし、今回は地方創生が大きなテーマとしてクローズアップされてきて、地方での雇用をどのように増やしていくのかと。特に若者の地方の雇用の増に結びついていきづらいということでいけば、これは単なるばらまきではなく、よく政府が使う異次元の政策が、今まさに景色を変えるような取組が必要であるということになろうかと思います。

 それは、例えば従来の規制、制度、あるいは働き方の多様化などがまさにそうだと思いますけれども、考え方も含めてこれまでの慣習の景色を変えていくためのインセンティブとして何かしら予算をつけることで、風景が変わることが促進できるものについては、例えばそれが何年かかけて後で税収が上がることにつながるものについては、それなりに予算をつけていくという。

 そうだとすると、これはどちらかというと、従来の縦割りの予算の組み方とは少し違う枠組みで考える必要があるのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 では、富田委員、どうぞ。

〔 富田委員 〕 先ほど、事務局から、欧州債務危機のときに、危機の予想が自己実現するという話の紹介がございました。

 火のないところには煙が立たず、大きな問題は発生しないわけですけれども、当時の欧州は構造改革が遅れているとか、あるいは、生産性の上昇に比べて極めて賃金が大幅に上昇してきたという国々において、債務危機、つまり国債金利の大幅上昇が起こって、先ほどお話のあったような救済措置がとられ、厳しい財政健全化を実施するということでした。

 翻って我が国を見ますと、これも先ほどご紹介あったのですが、新発国債が40兆円ですが、毎年、借換え国債は120兆円出しているわけですね。これは過去の我々の決定であって、避けることはできないと。対して税収は50兆円ぐらいです。50兆円と120兆円、プラス、40兆円、160兆円の国債発行額と比較しながら、景気と金利、つまり、成長率が高くなったら財政収支が改善するのだろうかが疑問で残るわけなのです。それが一番大きな火のないところに煙が立たないというか、危機の要因だと私は思うのですが。

 物価安定化に向けて、日本銀行によって国債残高の増加の1.6倍も購入されており、また、今日、意見書として中空委員から出ておりますように、こうした日本国債の市場のゆがみが持続可能なのかという問題なのですね。

 欧州を見てみますと、債務危機が起こって金利が上昇いたしました。その後、2012年の半ば頃から低下を始めるのです。それはギリシャの先ほどお話があった半分ほどヘアカットし、債務の減免をしてしまうことがそのスタート時点だったわけですが、結局、金利が下がっていく過程とは、GIIPSと言われた国々が極めて強度な財政健全化計画にコミットせざるを得なくなった状況が起こり、財政の健全化が進むにつれて金利が低下していった。その過程において、物価も金利も安定化していったと理解しております。

 それに先立って、確かにECBも各国の国債を直接、間接的に買う方法で大量に資金を供給したのですが、それは結局時間稼ぎであって、最終的な答えは各国の財政健全化であり、主要国における基本法や憲法に財政の健全化を織り込み、麻生大臣も言われたように、ドイツはそれを確実に履行して、財政収支を均衡させた背景があるわけですね。

 ですから、何を言っているかというと、危機の予想とは危ないぞと言われるところでほんとに危機が起こってしまって大変なことになる。さりとて、そこで我が国、デフォルトできるかというと、これだけPB赤字が大きいから、必ず市場から資金調達をしないと、医療費も生活保護も年金も払えないわけです。だから、デフォルトできない。

 田中さんが言われたようにIMFから借りることも決して規模的に容易ではないわけでして、やはり、今、日本銀行の国債大量買入れによって長期金利が安定している状況の中で時間稼ぎをさせてもらっているわけですから、きっちりと約束したことを一つずつ実現していく以外に答えはない。まず来年度については、2015年度のPB赤字の対GDP比半減、2020年度までのPB黒字化に向けたきっちりとした計画をつくることが必要です。

〔 吉川分科会長 〕 では、続いて、土居委員、佐藤委員です。

〔 土居委員 〕 簡潔に2点だけ、財政健全化目標との関連で。

 まず、2015年度のPB赤字の対GDP比半減ですけれども、当然達成するべきだと、麻生大臣もお考えであることを示されて、ぜひとも来年度当初予算には超過達成をするぐらいの勢いで予算編成に臨んでいただきたいと思います。

 と申しますのは、私は当然、来年度、予定通り消費税率を10%に引上げるべきだと思いますけれども、もし上げると決めれば、年度前半には駆け込み需要が考えられること、それから、今現に既にかなり大きな額になっていると言われている未消化の公共事業があるということ、それから、当初予算の予算執行においても年度内での期日の執行の進捗を工夫することで、ある程度景気の波をならすことができて、2015年度の補正予算に頼らなくても、予算執行を工夫することで反動減に対応できるのではないかと思いますので、2015年度のPB赤字の対GDP比半減目標を達成することと年度内の景気の変動をできるだけ縮小することを工夫していただきたいと思います。

 それから、もう一点は2020年度に向けた財政健全化目標の達成ですけれども、資料2に書かれていたように、各国ではコミットメントをどうするかを腐心していると。

 我が国も10%に引き上げるか上げないかに関わらず、今から研究をしておく必要があるのではないかと思います。過去には財政構造改革法がありましたし、基本方針2006というものもありましたけれども、貫徹はしなかったと。それから、2009年度でしたか、税制改正法の附則で消費税率に関しての検討についてコミットするとか、いろいろな工夫があると思いますので、どのように我が国で2020年度までのPB黒字化目標を達成するコミットメントができるかは研究する必要があるかなと思います。

〔 佐藤委員 〕 では、簡潔に2点だけ。

 せっかく欧州の財政健全化へ向けた取組などをまとめていただいたので、ここから何が学べるかについてもう少し真摯に考えてみてもいいのかなと思います。

 特に、危機に陥ってからやっつけで財政再建したところはそうでしょうと思うのですが、例えばドイツとか、あるいは、イギリスであるとか、ある意味、未然にといいますか、危機に対して迅速に財政再建に取り組めた地域がやったことはわかっているのですが、どのようにしてこのコンセンサスをつくったのか。

 先ほどから議論がありますように、財政危機に関しては国民との間で理解が共有できてないという現実があると思うので、どのように各国政府が国民やステークホルダーを説得したのかはもう少し見てみる価値はあるのかという気がしました。

 それから、先ほど、秋山委員からもお話がありましたけど、我々が今年、一つ注意して見るべきは地方創生だと思います。これはある意味、ほんとに省庁横断的で、交付税から社会保障から、公共事業から教育まで予算的には全部カバーした取組になると思います。うまくいけば地方の景色を変えるものかもしれないけれど、そうでなければおそらくいつものばらまきに終わることになると思うので、ここは本来の意図を実現するべく見ていく必要があるのかなと思いました。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 大宮委員、どうぞ。

〔 大宮委員 〕 企業経営の視点で予算編成にかかわる中期的な課題で申し上げたいと思います。実は、会社でも大体事業部とか事業本部という要求省庁に対するコーポレートがお互いに予算編成とか事業計画の話し合いをして、セットして決めていくわけでありますが、基本的に要求省庁ないしは事業部はたくさんの知恵を持っていまして、その事業については専門化集団です。対するコーポレート側はなかなか知恵がなくて、相手側の土俵に乗ってしまうと、議論が非常に矮小化してしまう。

 ですから、極力、公平・客観的な評価指標を財務省側としてしっかりと持つと。これを、毎年時間をかけていてはいけないのかもしれませんけれども、リファインしていくと、評価しながら回していくことが非常に重要ではないかと思います。

 そうでないと相手側の土俵に入ったまま、議論が矮小化されて、小さなところしか突っ込めないことになるのではないかと思います。

〔 吉川分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、まだご意見ある方もあるかもしれませんが、次回以降、議論の場がかなりありますので、本日は時間になりましたので、議論はこれまでというふうにさせていただきます。

 本日の会議の内容の公表につきましては、毎回大変恐縮ですが、私にお任せいただき、会合の記者会見でご紹介させていただくことにさせていただきます。

 会議の個々の発言につきまして、皆様方から報道関係者等に対してお話をすることのないよう、毎度同じお願いをしているわけですが、ご注意いただきたいと思います。

 次回は10月8日15時から予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

午後 5時00分閉会

 

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